JP6787362B2 - ハット形鋼矢板の造形圧延方法 - Google Patents

ハット形鋼矢板の造形圧延方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハット形鋼矢板の造形圧延方法に関する。
ハット形鋼矢板は、加熱炉で加熱された素材であるスラブを、粗圧延機や中間圧延機、仕上げ圧延機といった複数の圧延機で圧延することで製造される。また、粗圧延機、中間圧延機及び仕上げ圧延機による圧延を、粗圧延、中間圧延及び仕上げ圧延ともいい、これらの圧延を総称して造形圧延ともいう。ハット形鋼矢板の造形圧延では、各圧延機の圧延ロールに形成された孔型(カリバー)で、素材を圧延することで、素材の断面形状が目的のものとなるように、徐々に造形される。
例えば、特許文献1には、スラブの幅を粗圧延機の造形第1孔型に適した幅にエッジングした後、ウェブ面及び腕を平坦な形状とする孔型を用いて粗圧延を行い、腕を突起高さ分持ち上げたV字状として孔型を用いて中間圧延を行う圧延方法が開示されている。特許文献1によれば、ハット形特有の突起部のつぶれを防止することができる。
また、特許文献2には、初期造形での継手部を主とした形状不良や肉不足の防止を目的に、規格が45Hや50Hの大型のハット形鋼矢板の造形圧延において、素材の断面形状を矩形断面形状と略ハット形断面形状との間の中間形状に造形する予備整形孔型を用いる圧延方法が開示されている。
特許3709889号公報 特開2015−123478号公報
ところで、規格が10Hや25Hの従来のハット形鋼矢板の造形圧延では、スラブからの造形はできていたが、造形の安定性としては継手を主とした欠陥(例えば、爪肉量不足や全長での寸法変動等)が初期造形段階にて発生し易く、安定した圧延とは言い難い状態であった。ここで、初期造形圧延とは、粗圧延〜中間圧延までの初期に行われる造形圧延のことをいう。
さらに、このような圧延方法を用いて、規格45Hや50Hといったより大型のハット形鋼矢板の造形圧延を行う場合、規格が10Hや25Hの従来のハット形鋼矢板における問題点がさらに顕著となっていた。このため、大型のハット形鋼矢板では、欠陥なく造形を行うことが極めて難しいものとなる。
このような問題に対して、特許文献1の圧延方法は、中間圧延を主とした改良を行ったものであり、突起部のつぶれを解消することを目的としている。このため、造形圧延の初期における継手部の造形を安定して行うものであるとは言い難く、爪肉量不足や全長での寸法変動の問題を解決できるものではない。
また、特許文献2の圧延方法は、圧延設備上、予備整形孔型を配置可能な場合に適用可能なものである。つまり、予備整形孔型を設けた新たな圧延機やロールを導入する必要等があることから、既存の圧延設備へ適用する場合や設置スペースに限りがある場合には、困難性を伴うものとなる。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、新たな圧延設備を追加で設けることなく、継手部の造形を安定して行うことができるハット形鋼矢板の造形圧延方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、スラブを素材として複数の孔型で圧延することでハット形鋼矢板を造形圧延する、ハット形鋼矢板の造形圧延方法であって、上記複数の孔型による圧延において最初に用いられる孔型であり、上記素材の変形量が最も大きな圧延に用いられる第1孔型で圧延をする際に、圧延される上記素材の長手方向に直交する断面において、上記素材に一対の腕部を造形する一対の腕領域が、上記第1孔型が形成されたロールの軸方向に平行な左右方向に対して、左右方向の外側が内側よりも高くなるように、5度以上、10度以下の傾きで傾いた上記第1孔型を用いる、ハット形鋼矢板の造形圧延方法が提供される。
本発明の一態様によれば、新たな圧延設備を追加で設けることなく、継手部の造形を安定して行うことができるハット形鋼矢板の造形圧延方法が提供される。
本発明の一実施形態における第1孔型を示す断面図である。 圧延設備を示す説明図である。 ハット形鋼矢板の断面形状を示す断面図である。 本発明の一実施形態における第1孔型による圧延の状態を示す説明図である。 従来の第1孔型による圧延の状態を示す説明図である。 本発明の一実施形態における第1孔型と、従来の第1孔型とを比較する断面図である。 スラブと第1孔型の対応する領域を示す説明図である。
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するように、本発明の実施形態を例示して多くの特定の細部について説明する。しかしながら、かかる特定の細部の説明がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかである。また、図面は、簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<ハット形鋼矢板の造形圧延方法>
(装置構成)
図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態に係るハット形鋼矢板の造形圧延方法について説明をする。本実施形態では、図2に示す圧延設備1で、複数の孔型を用いて、矩形断面のスラブを造形圧延することで、ハット形鋼矢板を製造する。圧延設備1は、加熱炉2と、粗圧延機3と、中間圧延機4と、仕上げ圧延機5とを備える。加熱炉2は、連続鋳造機等で鋳造された鋼材であるスラブを、圧延される所定の温度まで加熱する。粗圧延機3、中間圧延機4及び仕上げ圧延機5は、加熱炉2で加熱されたスラブを順に造形圧延し、図3に示すような、最終的な製品の断面形状のハット形鋼矢板を製造する。なお、以下では、圧延前のスラブ及び仕上げ圧延での最終的な圧延を除く造形圧延が施されたスラブを、総称して素材ともいう。
図3は、長手方向からみたハット形鋼矢板6の断面形状を示す断面図である。なお、以下では、図3の左右方向及び上下方向を、ハット形鋼矢板6における左右方向及び上下方向とそれぞれ称する。ハット形鋼矢板6は、長手方向に直交する断面において、ウェブ部61と、一対のフランジ部62と、一対の腕部63と、一対の継手部64とを有する。ウェブ部61は、左右方向に延在する部位である。一対のフランジ部62は、ウェブ部61の両端から、左右方向に対して上下方向の下側に傾いた方向となる斜めにそれぞれ延在する部位である。一対の腕部63は、各フランジ部62のウェブ部61と反対側の先端から、左右方向に延在する部位である。一対の継手部24は、各腕部63のフランジ部62と反対側の先端に設けられる、鉤状の部位である。一対の継手部64は、ハット形鋼矢板6が用いられる際に隣接する他のハット形鋼矢板と嵌合可能なように、ハット形鋼矢板6上下方向及び左右方向に互いに対称な形状を有する。なお、ハット形鋼矢板6は、長手方向において上記の断面形状を連続して有し、長手方向のどの位置においても同様な断面形状となる。また、一対の継手部64には、継手部64の鉤口の左右方向内側に、鉤口が形成された上方向または下方向に突出する突起部65がそれぞれ形成される。なお、図3において、実線で示すハット形鋼矢板6Aは、規格が50Hの断面であり、破線で示すハット形鋼矢板6B,6Cは、規格が25H,10Hの断面である。ハット形鋼矢板6の規格サイズは、主にフランジ部62の上下方向の長さであるフランジ高さや、ウェブ部61の左右方向の長さであるウェブ長さに違いがあるものであり、10H、25H、45H、50Hとなるに従い、フランジ高さ及びウェブ長さが長くなる。なお、規格が10H、25H、45H及び50Hの有効幅は900mmと同一であるが、フランジ高さは、それぞれ230mm、300mm、368mm及び370mmとなる。
粗圧延機3、中間圧延機4及び仕上げ圧延機5は、素材を圧延するロールを有する圧延機であり、各圧延機のロールの表面に少なくとも一つの孔型が形成される。本実施形態では、一例として、粗圧延機3には上ロールと下ロールとからなるロール組が1組設けられ、このロール組に、ロールの軸方向に並んだ2つの孔型が形成される。また、中間圧延機4には、上ロールと下ロールとからなるロール組が2組設けられ、これらのロール組に、ロールの軸方向に並んだ2つの孔型がそれぞれ形成される。つまり、中間圧延機4には、合計で4つの孔型が形成される。さらに、仕上げ圧延機5には、上ロールと下ロールとからなるロール組が1組設けられ、このロール組に、ロールの軸方向に並んだ2つの孔型が形成される。これらの圧延機に設けられた孔型は、圧延方向の上流側(断面形状がスラブに近い側)から順に第1孔型〜第8孔型ともいう。各圧延機のロールの孔型は、矩形状の断面形状の素材が、仕上げ圧延機5で最終的な製品の断面形状となるように、それぞれ設定される。
さらに、本実施形態では、粗圧延機3にて最初に圧延が行われる孔型である第1孔型33を、図1に示す形状とする。第1孔型33は、圧延設備1による圧延において最初に用いられる孔型であり、素材の変形量が最も大きな圧延に用いられる孔型である。図1において、符号31は粗圧延機3の上ロール、符号32は粗圧延機3の下ロールである。第1孔型33は、上ロール31及び下ロール32の表面にそれぞれ形成される。また、第1孔型33において、ハット形鋼矢板6のウェブ部61に相当する領域をウェブ領域331、一対のフランジ部62に相当する領域を一対のフランジ領域332、一対の腕部63に相当する領域を一対の腕領域333、一対の継手部64に相当する領域を一対の継手領域334という。
上ロール31及び下ロール32の中心軸を通る断面視(例えば、図1に示す断面視)において、第1孔型33のウェブ領域331は、一対のフランジ領域332に接続される両端側である左右方向の外側が、自身の中央部に対して上下方向の上側となるように、左右方向に対して5度以上10度以下の範囲で傾いた形状を有する。ここで、第1孔型33において、上下方向(図1における上下方向)は、上ロール31と下ロール32とが対向する方向であり、素材の上下方向に対応する方向である。また、第1孔型33において、左右方向(図1における左右方向)は、上ロール31及び下ロール32の軸心に平行な方向であり、素材の左右方向にそれぞれ対応する方向である。また、図1において、符号θ1は、ウェブ領域331の左右方向の両端側の傾き(度)を示す。つまり、ウェブ領域331は、図1に示す断面視において、V字状の折り曲げ状となる。なお、図1に示すように、下ロール32側のウェブ領域331において、傾きθ1が上記範囲となるが、上ロール31側のウェブ領域331についても、下ロール31にならって同様な傾きとなることが好ましい。
また、第1孔型33において、一対の腕領域333は、一対の継手領域334に接続される端側である左右方向の外側が、反対となる左右方向の内側に対して上下方向の上側となるように、左右方向に対して5度以上10度以下の範囲で傾いた形状を有する。図1において、符号θ2は、一対の腕領域333の左右方向の外側の傾き(度)を示す。つまり、一対の腕領域333は、図1に示す断面視において、ウェブ領域331と同様に、全体の形状がV字状の折り曲げ状となる。なお、図1に示すように、上ロール31側の腕領域333において、傾きθ2が上記範囲となるが、下ロール32側の腕領域333についても、上ロール32にならって同様な傾きとなることが好ましい。
さらに、本実施形態では、第1孔型33以降の造形圧延で用いられる孔型では、圧延の下流側の孔型となるほど、ウェブ領域の傾きθ1及び一対の腕領域の傾きθ2が、0度以上の範囲で、小さくなるように孔型が形成されることが好ましい。なお、各孔型におけるウェブ領域、フランジ領域、腕領域及び継手領域は、第1孔型33と同様に、ハット形鋼矢板6のウェブ部61、フランジ部62、腕部63及び継手部64に相当する領域である。また、ハット形鋼矢板6の最終形状においては、ウェブ部61及び腕部63を、平坦な形状となるように、左右方向に平行に延在させる必要がある。このため、少なくとも仕上げ圧延の段階では、ウェブ領域及び腕領域の傾きθ1,θ2を0度として、平坦にすることが好ましい。さらに、ウェブ領域及び腕領域の傾きθ1,θ2を0度超とした傾けた孔型を、第1孔型33のみとしてもよいが、第1孔型33以降の孔型での圧延時の安定性を考慮すると、第1孔型33以降の孔型でも傾きθ1,θ2を0度超とすることが好ましい。さらに、第1孔型33以降の孔型では、造形圧延が進むに従い、傾きθ1,θ2が徐々に小さくなるように設定されることが好ましい。さらに、このような場合において、粗圧延機3の第2孔型や、中間圧延機4の前半に用いられる孔型(例えば、第3孔型等)では、傾きθ1,θ2を5度以上10度以下とすることがより好ましい。
上記構成の圧延設備では、以下の方法でハット形鋼矢板6の造形圧延が行われる。
まず、素材であるスラブが加熱炉2で所定の温度まで加熱される。
次いで、加熱された素材が加熱炉2から抽出され、粗圧延機3へと送られ粗圧延が行われる。粗圧延の前には、素材の搬送ラインの加熱炉2と粗圧延機3との間に配されたエッジャ圧延機によって、素材の幅方向へのエッジング(圧下)が行われてもよい。粗圧延では、素材に対して、粗圧延機3の第1孔型33で複数パス(回数)の圧延が行われることで、素材が第1孔型33の応じた断面形状となる。その後、素材に対して、粗圧延機3の第2孔型で複数パスの圧延が行われる。
第1孔型33による圧延の状態を図4に示す。図4において、図4(A)は、素材7がスラブの状態、つまり最初に圧延される状態における、粗圧延時の素材7と粗圧延機3の上ロール31と下ロール32との位置関係を示す。また、図4(B)は、第1孔型33での最終圧延パス時の素材7と粗圧延機3の上ロール31と下ロール32との位置関係を示す。さらに、従来の第1孔型33aによる圧延の状態を図5に示す。図5において、図5(A)は、図4(A)と同様に、素材7がスラブの状態、つまり最初に圧延される状態における、粗圧延時の素材7と粗圧延機3aの上ロール31aと下ロール32aとの位置関係を示す。ここで、粗圧延機3aは、従来の孔型であり、上ロール31a及び下ロール32aの中心軸を通る断面視(例えば、図5に示す断面視)において、ウェブ領域331a及び一対の腕領域333aが、本実施形態のV字状の形状と異なり、左右方向に延びて形成される。粗圧延では、第1孔型33aによる造形圧延の初期において、下ロール32,32aのウェブ領域331,331aと素材7とが接触し、上ロール31,31aの腕領域333,333aと素材7とが接触した状態で圧延が進む。
この際、従来の第1孔型33aでは、図5(A)に示すように、上ロール31aの腕領域333aの略全域と素材7とが接触した状態(図5(A)の破線P1で示す状態)で造形圧延が行われる。また、従来の第1孔型33aでは、下ロール32aのウェブ領域331aの略全域と素材7とが接触した状態(図5(A)の破線P2で示す状態)で造形圧延が行われる。このため、第1孔型33aによる複数パスの圧延では、素材7の第1孔型33aとの接触面の面積が大きくなり、この接触面に掛かる圧力が小さくなる。接触面に掛かる圧力が小さくなると、造形圧延時に素材7が左右方向の一方向へと流れ、ズレる現象であるすべりが素材7に生じる。すべりが生じてしまうと、継手部34に、肉不足や過充満が発生することとなる。図5(B)は、すべりによって、素材7が左右方向の右側(図5(B)の右側)へと移動した状態を示す。図5(B)に示す例では、左側の継手部34にて、左側の継手領域334aに素材7が充填されていない肉不足が発生した状態(符号AF)となり、右側の継手部34にて、右側の継手領域334aに素材7が過剰に充填された過充満の状態(符号OF)となる。肉不足が発生した場合、ハット形鋼矢板6の継手部34が基準を満たして形成されない可能性がある。また、過充満の場合、継手部34の手入れの必要性が生じる可能性がある。
一方、本実施形態の第1孔型33では、図4(A)に示すように、上ロール31の腕領域333が傾いているため、腕領域333の全域ではなく、左右方向の外側のみが素材7に接触した状態(図4(A)の破線P3で示す状態)で圧延が行われる。このため、腕領域333との接触面において、素材7に係る圧力が大きくなる。これにより、造形圧延中の素材7のすべりが抑制される。また、下ロール32のウェブ領域331がV字状に傾いているため、ウェブ領域331の全域ではなく、左右方向の両端側のみが素材7に接触した状態(図4(A)の破線P4で示す状態)で圧延が行われる。これにより、造形圧延中の素材7のすべりがさらに抑制される。つまり、図4(B)に示すように、第1孔型33による造形圧延では、最終的に継手領域334に素材7が過不足なく充填されるようになる。特に、一対のフランジ部(ハット形鋼矢板6のフランジ部62に対応した箇所)を引き伸ばしながら造形圧延は進行するが、このような場合に、各フランジ部の両端側が、下ロール32のウェブ領域331と、上ロール31の腕領域333とにそれぞれ押し当てられ、保持された状態となる。このため、素材7の一対のフランジ部を、左右均等に引き延ばすことができる。さらに、第1孔型33による複数の圧延パスのうち前半の圧延パスでは、素材7の引き伸ばし量や変形量が大きくなる。しかし、前半の圧延パスにおいては、上ロール31及び下ロール32と、素材7との接触面は小さくなり、点接触的となることから、上記の効果が顕著なものとなる。
また、図6には、本実施形態の第1孔型33と、従来の第1孔型33aとを並べて示す。図6において、実線で示す孔型が、本実施形態の第1孔型33であり、点線で示す孔型が、ウェブ領域331a及び腕領域333aが左右方向に平行に延在する従来の第1孔型33aである。図6に示すように、本実施形態の第1孔型33は、ウェブ領域331を折り曲げることで、ウェブ領域331の左右方向の長さである幅Aを第1孔型33aの幅Aaよりも小さくしているものの、最終圧延(仕上圧延)後のハット形鋼矢板6のウェブ部61に必要な長さであるウェブ相当長さを十分に確保することができる。そして、第1孔型33では、ウェブ領域331の幅Aが短くなることにより、フランジ領域332の幅Bを第1孔型33aの幅Baよりも大きくすることができる。これにより、素材7断面におけるフランジ相当領域が大きくなり、第1孔型33による圧延時に継手領域334での肉不足が生じにくくなる。また、フランジ領域71の上下方向に対する傾斜が、第1孔型33aに比べ緩くなる。これにより、第1孔型33の深さ(上下方向の最大深さ)を浅くすることができることから、ロール強度の観点から、ロールの有効利用径の拡大を図ることができ、さらにロールの強度を確保することができる。なお、有効利用径の拡大とは、特許第4238701号で開示される中間圧延段階でのロール有効系拡大と同様な効果であり、本実施形態では、この効果を初期圧延となる粗造形圧延段階において得ることができる。さらに、第1孔型33では、腕領域333を折り曲げることで、図6に示すように、上ロール31及び下ロール32の逃げ部E(孔型の左右方向の両外側の隙間)を、第1孔型33aの逃げ部Eよりも浅くすることができる。これにより、ロールの有効利用径の拡大をさらに図ることができる。
なお、一対の腕領域333の傾きθ2が5度未満となる場合、素材7への第1孔型33のくい込みが弱くなり、素材7のすべりが生じる可能性が高くなる。また、素材7のフランジ部の引き伸ばし効果が十分に得られず、造形圧延を安定して行うことができない。また、一対の腕領域333の傾きθ2が10度超となる場合、素材7の突起部(ハット形鋼矢板6の突起部65に対応した領域)を含む継手部の形状が、次に圧延が行われる第2孔型と合わせにくい形状となる。また、各継手領域334の左右方向の外側の壁面角度θ3が大きくなり過ぎるため、素材7の拘束面を含め変動しやすい傾斜となる。壁面角度θ3は、図1に示すように、継手領域334の左右方向の外側の上下方向に対する傾きである。さらに、第1孔型33で造形圧延された素材7の突起部の角や位置などの影響から、素材7の第2孔型との噛み込み性が低下する可能性や、素材7が第2孔型で変形しにくくなる可能性が生じることがある。
また、ウェブ領域331の左右方向の外側の傾きθ1が5度未満となる場合、上記のウェブ領域331に傾きを設けることによる効果が十分に得ることができない可能性がある。一方、ウェブ領域331の左右方向の外側の傾きθ1が10度超となる場合、次に圧延が行われる第2孔型との噛み込み姿勢の悪化や、ロールの偏摩耗の進展等が進みやすい状態となる可能性がある。
なお、粗圧延では、粗圧延機3の第2孔型についても、第1孔型33と同様に、ウェブ領域及び腕領域が折り曲げられた形状として圧延が行われることが好ましい。このようにすることで、第1孔型33での圧延と同様に、素材7の継手部が過不足なく形成され、フランジ部の引き伸ばし効果を十分に得ることができるようになる。
粗圧延機3による粗圧延が終了した後、中間圧延機4による中間圧延及び仕上げ圧延機5による仕上げ圧延が行われることで、最終的な製品形状であるハット形鋼矢板6が造形される。なお、中間圧延においても、粗圧延と同様に、中間圧延機4の各孔型の形状を、ウェブ領域及び腕領域が折り曲げられた形状として圧延が行われることが好ましい。このようにすることで、第1孔型33での圧延と同様に、素材7の継手部が過不足なく形成され、フランジ部の引き伸ばし効果を十分に得ることができるようになる。
以上の工程により、予備孔型のように新たな圧延機やロールといった新たな圧延設備を追加で設けることなく、継手部の造形を安定して行うことができるようになる。なお、造形圧延されるハット形鋼矢板6は、どのような大きさのものでもよいが、フランジ部62の上下方向の高さであるフランジ高さが350mm以上となる、規格45Hや50Hといったより大型のものとすることで、上記の効果がより顕著なものとなる。特に、大型のハット形鋼矢板6の場合、フランジ部の引き伸ばし量が大きくなり、従来の圧延においてはすべりの量も大きくなる。このため、大型のハット形鋼矢板6を、安定して製造することには困難性が伴っていた。これに対して、本実施形態を大型のハット形鋼矢板6の圧延に適用することで、大型のハット形鋼矢板6を安定して製造することが可能となる。また、ハット形鋼矢板6が大型となるほど、孔型の深さが深くなるが、本実施形態によれば従来の孔型よりもこの深さを浅くすることができるため、ロールの強度を上げることができる。
図7には、第1孔型33と、圧延前の素材7であるスラブ7aとの対応位置を示す。図7において、符号A,B,Cは、スラブ7aにおける、ウェブ部、フランジ部、継手部と腕部とを合わせた部位の、幅方向(左右方向)の各長さをそれぞれ示す。また、符号A’,B’,C’は、第1孔型33のウェブ領域331、フランジ領域332、腕領域と継手領域とを合わせた部位の、スラブ7aの幅方向に対応した各長さをそれぞれ示す。また、表1には、従来の第1孔型33aを用いた場合、及び本実施形態の第1孔型33を用いた場合における、A’/A,B’/B,C’/Cの比をそれぞれ示す。また、表1において、従来の第1孔型33aでは、25Hと50Hの2つの規格サイズにおける比、第1孔型33では、50Hの規格サイズにおける比をそれぞれ示す。表1に示すように、A’/A及びC’/Cの比は、第1孔型33及び従来の第1孔型33aともに、規格サイズに関わらず1.0となり、造形前後で長さに変化がないことが確認できる。一方、B’/Bの比に関しては、従来の第1孔型33aでは、規格サイズが25Hよりも大きな50Hとなることで、B’/Bの比が1.8から2.2となり、規格サイズが大きくなることでフランジ部の引き延ばし量が大きくなることが確認できる。なお、フランジ部の引き延ばし量にすると、25Hでは約105mmであり、50Hでは約153mmである。さらに、本実施形態の第1孔型33では、Aの値を従来の第1孔型の50Hの場合に比較して小さくし、これに伴いA’/Aの比が1.2、B’/Bの比が2.0となり、フランジ部の引き伸ばし量にすると約142mmとなることが確認できる。つまり、大型の規格サイズである50Hで比べてみた場合、本実施形態の第1孔型33によれば、従来の第1孔型33aよりもフランジ部の引き延ばし量を小さくすることができ、より安定して造形を行うことができることが確認できる。
Figure 0006787362
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、第1孔型33のウェブ領域331及び一対の腕領域333をそれぞれV字状に折り曲げるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。第1孔型33は、少なくとも一対の腕領域333が上記実施形態のようにV字状に折り曲げられていればよく、ウェブ領域331が平坦(左右方向に平行に延在する状態)であってもよい。なお、一対の腕領域333のみを折り曲げることでも、すべり抑制の効果やフランジ部の引き伸ばし効果を得ることができるが、ウェブ領域331及び一対の腕領域333を折り曲げた方がこれらの効果についてより高い効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、図5に示す構成の圧延設備1で造形圧延を行うとしたが、本発明はかかる例に限定されない。必要とされるハット形鋼矢板6の形状に応じて、圧延機の構成や孔型の数等が適宜設定される。なお、いずれの場合においても、少なくとも、初めに圧延が行われる第1孔型においては、上記実施形態と同様に、ウェブ領域(好ましくはウェブ領域及び腕領域)が折り曲げられた形状となる。なお、本発明において、第1孔型は、素材7が略スラブの状態から、最も変形量の大きな圧延が行われる孔型のことをいう。このため、特許文献2のように、スラブの状態から予備整形孔型による圧延が行われる場合には、予備整形孔型による圧延の後に、行われる粗圧延機による圧延において用いられる孔型が、第1孔型となる。
さらに、上記実施形態では、第1孔型33のウェブ領域331をV字状に折り曲げるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。ウェブ領域331は、圧延の初期のパスにおいて素材7との接触面が小さくなればよく、左右方向の両端側が傾いていればよい。このため、ウェブ領域331の左右方向の中央が、両端に比べて上下方向に低く、且つ左右方向に平行に延在する平坦な形状であってもよい。
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、規格が45Hのハット形鋼矢板6を製造するに当たり、上記実施形態に係る造形圧延方法を用いた。実施例では、第1孔型33を上記実施形態と同様とし、それ以降の第2孔型〜第8孔型では、ウェブ領域及び腕領域を平坦とした。圧延を実施した結果、ハット形鋼矢板6のフランジ部62を安定して引き延ばすことができ、また、両方の継手部64の肉量を良好に確保できることが確認できた。
つまり、本発明によれば、新たな圧延設備を追加で設けることなく、継手部の造形を安定して行うことができることが確認できた。
1 圧延設備
2 加熱炉
3 粗圧延機
31,31a 上ロール
32,32a 下ロール
33,33a 第1孔型
331,331a ウェブ領域
332,332a フランジ領域
333,333a 腕領域
334,334a 継手領域
4 中間圧延機
5 仕上げ圧延機
6,6A,6B,6C ハット形鋼矢板
61 ウェブ部
62 フランジ部
63 腕部
64 継手部
65 突起部
7 素材

Claims (5)

  1. スラブを素材として複数の孔型で圧延することでハット形鋼矢板を造形圧延する、ハット形鋼矢板の造形圧延方法であって、
    前記複数の孔型による圧延において最初に用いられる孔型であり、前記素材の変形量が最も大きな圧延に用いられる第1孔型で圧延をする際に、圧延される前記素材の長手方向に直交する断面において、前記素材に一対の腕部を造形する一対の腕領域が、前記第1孔型が形成されたロールの軸方向に平行な左右方向に対して、左右方向の外側が内側よりも高くなるように、5度以上、10度以下の傾きで傾いた前記第1孔型を用いる、ハット形鋼矢板の造形圧延方法。
  2. 前記第1孔型として、前記断面において、前記素材にウェブ部を造形するウェブ領域の前記左右方向の両端側が、中央に比べて高くなるように、5度以上、10度以下の傾きで傾いた前記第1孔型を用いる、請求項1に記載のハット形鋼矢板の造形圧延方法。
  3. 前記第1孔型での圧延以降に行われる、前記第1孔型を除いた複数の孔型で圧延を行う際に、
    前記第1孔型を除いた複数の孔型のうち、仕上げ圧延機の孔型を除いた複数の孔型として、圧延される前記素材の長手方向に直交する断面において、前記素材に一対の腕部を造形する一対の腕領域が、それぞれの孔型が形成されたロールの軸方向に平行な左右方向に対して、左右方向の外側が内側よりも高くなるように傾いた孔型を用い、
    前記仕上げ圧延機の孔型として、圧延される前記素材の長手方向に直交する断面において、前記素材に一対の腕部を造形する一対の腕領域が、前記仕上げ圧延機の孔型が形成されたロールの軸方向に平行な左右方向に対して平行な孔型を用い、
    前記第1孔型及び前記仕上げ圧延機の孔型を除いた複数の孔型の前記一対の腕領域の傾きは、前記第1孔型の前記一対の腕領域の傾きよりも小さく、且つ圧延順の後半になるほど小さくなる、請求項1又は2に記載のハット形鋼矢板の造形圧延方法。
  4. 前記第1孔型での圧延以降に行われる、前記第1孔型を除いた複数の孔型で圧延を行う際に、
    前記第1孔型を除いた複数の孔型のうち、仕上げ圧延機の孔型を除いた複数の孔型として、圧延される前記素材の長手方向に直交する断面において、前記素材にウェブ部を造形するウェブ領域が、それぞれの孔型が形成されたロールの軸方向に平行な左右方向に対して、左右方向の外側が内側よりも高くなるように傾いた孔型を用い、
    前記仕上げ圧延機の孔型として、圧延される前記素材の長手方向に直交する断面において、前記素材にウェブ部を造形するウェブ領域が、前記仕上げ圧延機の孔型が形成されたロールの軸方向に平行な左右方向に対して平行な孔型を用い、
    前記第1孔型及び前記仕上げ圧延機の孔型を除いた複数の孔型の前記ウェブ領域の傾きは、前記第1孔型の前記ウェブ領域の傾きよりも小さく、且つ圧延順の後半になるほど小さくなる、請求項2又は3に記載のハット形鋼矢板の造形圧延方法。
  5. 造形圧延される前記ハット形鋼矢板は、フランジ高さが350mm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハット形鋼矢板の造形圧延方法。
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