JPWO2019156078A1 - H形鋼の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2018年2月9日に日本国に出願された特願2018−022105号に基づき、優先権を主張し、その内容をここに援用する。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと、突起部35、36の傾斜面とのなす角度θfは、図3に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面40a、40b及び孔型底面41a、41bと、突起部45、46の傾斜面とのなす角度θfは、図4に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面50a、50b及び孔型底面51a、51bと、突起部55、56の傾斜面とのなす角度θfは、上記第3孔型K3と同様に、図5に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
なお、この第5孔型K5では、ウェブ部82を部分的に圧下し、隆起部82bを形成されるような圧延造形が実施されることから、当該孔型を「ウェブ部分圧延孔型」とも呼称する。また、形成後の隆起部82bの幅長さと同じ長さは上記窪み部85a、86aの幅長さW1と同じ長さ(後述する逃がし量W1)となる。ここで、図6の拡大図に示すように、本明細書における窪み部85a、86aの幅長さW1は、当該窪み部85a、86aの深さhmの1/2の深さでの幅長さとして規定し、後述する逃がし量W1も同様の規定によるものとする。
第6孔型K6による圧延造形により、隆起部82bの圧下に伴うウェブ高さ方向への拡がり及びフランジ部80へのメタルフローを促進させ、フランジ減面をなるべく生じさせずに圧延造形を実施することが可能となる。
この第6孔型K6は、ウェブ部82に形成された隆起部82bを消去することから、「隆起部消去孔型」とも呼称する。
このような第6孔型K6での圧延造形においてフランジ部80内面とロールが少なくとも1パスでは接触した状態となるような条件を実現させるためには、第6孔型K6の孔型設計を好適に行うか、あるいは、第6孔型K6でのパススケジュールを好適なものとすることが必要となる。
図8は、第6孔型K6での圧延造形において、フランジ部80内面とロールとが接触した状態で圧延造形が行われる場合の概略説明図である。なお、説明の簡略化のため、図8では被圧延材Aの上半分のみを図示している。図8(a)、(b)に示すように、上孔型ロール95による隆起部82bの圧下において、フランジ部80の内側面80aが上孔型ロール95と接触した状態で圧延造形が行われることが好ましい。フランジ部80の内側面80aが上孔型ロール95と接触した状態は、第6孔型K6での圧延造形が複数パスで行われる場合に、全てのパスでそのような状態でも良く、また一部のパス(例えば第1パス)でそのような状態となっていても良い。即ち、少なくとも1パス以上の圧延造形においてフランジ部80の内側面80aが上孔型ロール95と接触した状態となっていれば良い。
また、以下の表2は、本発明に係る孔型設計を示すロール孔型諸元であり、隆起部を形成させた後、隆起部消去及び拡幅(第1段拡幅)を同時に行う孔型(表中のK6)を含むような条件を示すものである。なお、表2に記載の各ロールK1〜K6は本実施の形態に係る第1孔型K1〜第6孔型K6に相当し、その他、K7〜K9は一般的な拡幅孔型である。また、K2−1、K2−2は突起高さの異なる割り込み孔型を示すが、共に本実施の形態に係る第2孔型K2に相当する機能を有する孔型である。
なお、隆起部の消去が部分的に行われた場合、残存した隆起部の消去は後段の任意の孔型において行われることが好ましい。例えば、中間圧延工程を行う中間ユニバーサル圧延機5(図1参照)でのユニバーサル圧延により残存した隆起部の圧下・消去が行われても良い。
図10(a)に示すように、隆起部を消去する圧延造形において、完全に隆起部を消去した場合、隆起部消去に伴うウェブ内法の拡幅に伴い、孔型ロールと被圧延材のフランジ内面との間に隙間が生じてしまう(図中破線部参照)。一方、図10(b)に示すように、隆起部の消去を一部にとどめた場合、孔型ロールと被圧延材のフランジ内面とが接触した状態で圧延造形を完了させることができる。
これにより、フランジ部80の左右変形が均等化され、圧延安定性の維持が図られる。
上述した通り、本実施の形態に係る第5孔型K5(図6参照)では、被圧延材Aのウェブ部82の中央に隆起部82bが形成され、形成された隆起部82bは、後段の第6孔型K6において消去される。そして、隆起部消去後に必要に応じてウェブ内法の拡幅圧延が行われ、H形粗形材が造形されるが、従来に比べフランジ幅の大きな大型H形鋼製品を製造するためには、H形粗形材のフランジ幅もできるだけ大きくすることが望まれる。
本発明者らは、第5孔型K5において形成する隆起部82bの幅長さW1(即ち、第5孔型K5での圧延造形におけるウェブ内法の逃がし量)を変えることで、最終的に得られるH形粗形材のフランジ幅に違いが出ることを見出した。これは、隆起部82bの幅長さを大きくする程フランジ肉量が確保しやすい反面、後の隆起部消去時において被圧延材Aの長手方向延伸作用によってフランジ幅が減少することに起因する。
逃がし率[%]=(逃がし量W1/ウェブ内法W2)×100 ・・・(1)
図11に示す結果から、従来に比べフランジ幅の大きな大型H形鋼製品を製造する場合には、H形粗形材のフランジ幅も大きくなるような圧延造形が所望されることに鑑み、逃がし率の数値範囲は25%〜50%とすることが望ましいことが分かる。
上述したように、隆起部82bを形成する際の逃がし率の数値範囲は25%〜50%とすることが望ましいことが図11の結果から分かっているが、一方で、このような数値範囲の逃がし率で隆起部82bを形成する際のウェブの圧下部分82aの厚みの値については更なる検討を行う必要がある。これは、隆起部82bを形成した後に、当該隆起部82bを消去するための圧延造形を第6孔型K6で実施する際に、圧下部分82aが薄すぎ、隆起部82bのメタル移動が断面内で行われず、被圧延材Aの長手方向へのメタル移動が生じてしまった結果であると推定される。
図12は、被圧延材Aの反りに関する説明図であり、被圧延材Aの長手方向端部において反りが生じた際の概略側面図である。図12に示すように、被圧延材Aの長手方向端部において反りが生じた際の端部と定常部との差異が「反り量」として規定される。そして、被圧延材Aにおいて反りが発生した長手方向長さに対し発生した反り量の比率が以下の式(2)で定義される「反り(%)」とされる。
反り[%]=反り量/反りの発生した被圧延材長さ ・・・(2)
操業上、被圧延材Aで生じた反りが10%以上となると、次パス以降での寸法形状悪化が著しく圧延続行が困難である。即ち、図13に示す結果から、ウェブ厚み(圧下部分82aの圧下後厚み)を140mm以上となるように第5孔型K5での圧延造形を行うことで、良好な造形性が担保されることが分かる。これは、表1に示す水準1〜3の条件で造形性が良好であることと一致する。
なお、同条件下において反りが数%(10%未満)である場合には、数十mm程度の反りが通常操業にて観察されるが、操業上問題無い程度であることは当業者であれば容易に推察することが可能である。
なお、第5孔型K5においてウェブ厚み(圧下部分82aの圧下後厚み)を所定の値(例えば140mm)以上となるようにした場合、後段の第6孔型K6においてウェブ厚みが更に薄くなるようなウェブの減厚圧下を行っても良い。
例えば、スラブ厚が300mm、隆起部82bの高さを十分な高さに孔型を取った場合、隆起部高さは300mmのままである。その状態から、隆起部消去孔型(図7の第6孔型K6)において隆起部82bの消去をしたところ、第5孔型K5での圧下後仕上りウェブ厚が140mmのケースでは通材性に問題はなかったが、130mmのケースでは通材不良が発生した。これらのケースでは隆起部82bの厚みはいずれも300mmとなっており、隆起部82bの延伸は140mmの場合、300mmから140mmまで圧下されるので2.14であり、130mmの場合、300mmから130mmまで圧下されるので2.31である。同様に種々のケースについてプロットすると、図14に示すように、通材不良の閾値を示す限界延伸はいずれも2.1程度となっている。
2…加熱炉
3…サイジングミル
4…粗圧延機
5…中間ユニバーサル圧延機
8…仕上ユニバーサル圧延機
9…エッジャー圧延機
11…スラブ
13…H形粗形材
14…中間材
16…H形鋼製品
20…上孔型ロール(第1孔型)
21…下孔型ロール(第1孔型)
25、26…突起部(第1孔型)
28、29…割り込み(第1孔型)
30…上孔型ロール(第2孔型)
31…下孔型ロール(第2孔型)
35、36…突起部(第2孔型)
38、39…割り込み(第2孔型)
40…上孔型ロール(第3孔型)
41…下孔型ロール(第3孔型)
45、46…突起部(第3孔型)
48、49…割り込み(第3孔型)
50…上孔型ロール(第4孔型)
51…下孔型ロール(第4孔型)
55、56…突起部(第4孔型)
58、59…割り込み(第4孔型)
80…フランジ部
80a…(フランジ部の)内側面
82…ウェブ部
82a…圧下部分
82b…隆起部(未圧下部分)
85…上孔型ロール(第5孔型)
85a…窪み部
86…下孔型ロール(第5孔型)
86a…窪み部
95…上孔型ロール(第6孔型)
96…下孔型ロール(第6孔型)
K1…第1孔型
K2…第2孔型
K3…第3孔型
K4…第4孔型
K5…第5孔型(ウェブ部分圧延孔型)
K6…第6孔型(隆起部消去孔型)
T…製造ライン
A…被圧延材
Claims (7)
- 粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、
前記粗圧延工程は、被圧延材を所定の略ドッグボーン形状に圧延造形するエッジング圧延工程と、エッジング圧延工程完了後の被圧延材を90°あるいは270°回転させてウェブ部の圧延を行う平圧延工程を有し、
前記平圧延工程を行う孔型のうち、少なくとも1孔型の上下孔型ロールには、被圧延材のウェブ部中央に隆起部を形成させる窪み部が当該上下孔型ロールのロール胴長中央部に設けられ、
前記平圧延工程を行う孔型には、前記隆起部が形成された被圧延材に対し、当該隆起部を圧下し、且つ、当該被圧延材のウェブ部の内法拡幅を行う隆起部消去孔型が更に含まれ、
前記隆起部消去孔型での圧延造形は、前記隆起部を形成させる窪み部を有する孔型において当該隆起部が形成された後の被圧延材に対して行われ、
前記隆起部を形成させる圧延造形は、前記隆起部の圧下後には行われないことを特徴とする、H形鋼の製造方法。 - 前記隆起部消去孔型での圧延造形は複数パスで行われ、
当該複数パスのうち、少なくとも1パス以上において、被圧延材のフランジ内面と孔型ロールとが接触した状態で圧延造形が行われることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。 - 前記隆起部消去孔型での圧延造形は複数パスで行われ、
当該複数パスのうち、第1パスにおいて、被圧延材のフランジ内面と孔型ロールとが接触した状態で圧延造形が行われることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。 - 前記隆起部消去孔型での圧延造形では、前記隆起部の消去が部分的に行われ、残存した隆起部は後段の任意の孔型での圧延造形により消去されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
- 前記平圧延工程において形成される隆起部の幅は被圧延材のウェブ部内法の25%以上50%以下に設定されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
- 前記隆起部消去孔型における前記隆起部に対する圧下率を2.1以下とすることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
- 前記エッジング工程は4以上の複数の孔型により行われ、
当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、
前記複数の孔型のうち、第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れて被圧延材端部に分割部位を形成させる突起部が形成され、
前記複数の孔型のうち、第3孔型以降の孔型には、前記割り込みに当接し、形成された分割部位を順次折り曲げる突起部が形成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
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