JP6786439B2 - 保持装置および保持装置の製造方法 - Google Patents

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本明細書に開示される技術は、対象物を保持する保持装置に関する。
例えば半導体製造装置において、ウェハを保持する保持装置として、静電チャックが用いられる。静電チャックは、例えば、セラミックスにより形成され、内部に発熱抵抗体により構成されたヒータを有するセラミックス板と、金属により形成され、内部に冷媒流路が形成されたベース板とを備える。静電チャックは、内部電極を有しており、内部電極に電圧が印加されることにより発生する静電引力を利用して、セラミックス板の表面(以下、「吸着面」という)にウェハを吸着して保持する。
静電チャックに保持されたウェハの温度分布が不均一になると、ウェハに対する各処理(成膜、エッチング等)の精度が低下するため、静電チャックにはウェハの温度分布を均一にする性能が求められる。そのため、静電チャックの使用時には、セラミックス板内部のヒータによる加熱や、ベース板内部の冷媒流路に冷媒を供給することによる冷却によって、セラミックス板の吸着面の温度制御が行われる。
また、静電チャックは、使用時に、熱サイクルにさらされる。セラミックス板の形成材料であるセラミックスとベース板の形成材料である金属とは熱膨張率が互いに異なるため、静電チャックが熱サイクルにさらされると、セラミックス板とベース板との間に熱膨張差が生ずる。従来、セラミックス板とベース板とを、弾性変形能力が比較的高い有機系接着剤を含む接合層により接合することにより、セラミックス板とベース板との間の熱膨張差を緩和し、部材の割れや剥離等の発生を抑制する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、セラミックスと金属との複合材を用いてベース板を作製し、セラミックス板と複合材製のベース板とを、金属を含む接合層によって接合することにより、接合層の耐熱性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平4−287344号公報 特開2005−101108号公報
近年、半導体プロセスの多様化に伴い、静電チャックの吸着面を従来よりも高温(例えば260℃以上)にすることが要求されることがあり、そのような場合には、静電チャックはより高温の熱サイクルにさらされる。上述したセラミックス板とベース板とを有機系接着剤を含む接合層によって接合する従来の構成では、静電チャックがより高温の熱サイクルにさらされると、接合層に含まれる有機系接着剤が分解温度まで到達し、接合層と被接合部材との界面等で剥離が発生して、吸着面の温度分布の均一性が悪化し、静電チャックが使用できなくなるおそれがある。
また、セラミックス板と金属製のベース板とを接合する接合層の耐熱性を向上させるため、上述した従来の技術のように、有機系接着剤を含む接合層に代えて金属を含む接合層を用いることも考えられる。しかし、そのような構成では、金属を含む接合層は弾性変形能力が比較的低いことから、セラミックス板と金属製のベース板との間の熱膨張差を効果的に緩和することができず、部材の割れや剥離等が発生するおそれがある。また、そのような構成では、金属を含む接合層は熱伝導率が比較的高いことから、冷却媒体によるセラミックス板の冷却効果が高くなるため、静電チャックの吸着面を高温(例えば260℃以上)にしようとすると、ヒータへの入力電力を過度に大きくする必要がある。そのため、このような構成では、ヒータ電源容量が過度に大きくなる上に、ヒータの電流が過大となって断線が発生するおそれがある。
なお、このような課題は、静電引力を利用してウェハを保持する静電チャックに限らず、セラミックス板とベース板とを備え、内部にヒータを有するセラミックス板の表面上に対象物を保持する保持装置に共通の課題である。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される保持装置は、セラミックスにより形成され、第1の表面を有する板状であり、内部に発熱抵抗体により構成されたヒータを有する主セラミックス板と、前記主セラミックス板の前記第1の表面とは反対側に配置され、金属により形成された板状であり、内部に冷媒流路が形成されたベース板と、を備え、前記主セラミックス板の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、さらに、前記主セラミックス板と前記ベース板との間に配置され、セラミックスにより形成された板状の中間セラミックス板と、金属を含み、前記主セラミックス板と前記中間セラミックス板とを接合する第1の接合層と、有機系接着剤を含み、前記中間セラミックス板と前記ベース板とを接合する第2の接合層と、を備える。本保持装置によれば、内部にヒータを有する主セラミックス板と、内部に冷媒流路が形成されたベース板との間に、比較的熱伝導率の低いセラミックスにより形成された中間セラミックス板が配置されているため、そのような中間セラミックス板が配置されていない構成と比較して、ヒータと冷媒流路とに挟まれた部分の伝熱性を低下させる(すなわち、熱抵抗を高くする)ことができる。そのため、冷媒流路に供給される冷却媒体による主セラミックス板の冷却効果が抑制され、主セラミックス板の第1の表面を高温(例えば260℃)にする場合であっても、ヒータへの入力電力を過度に大きくする必要がない。従って、本保持装置によれば、ヒータの電源容量が過度に大きくなることを抑制することができると共に、ヒータの電流が過大となって断線が発生することを回避することができる。また、本保持装置によれば、主セラミックス板の第1の表面を高温(例えば260℃)にする場合であっても、第2の接合層の温度が過度に高くなることを回避することができる。そのため、第2の接合層の材料として、耐熱性は比較的低い一方、弾性変形能力が比較的高い有機系接着剤を用いることができる。従って、ベース板の形成材料として冷媒流路等の加工がしやすい金属を用いても、第2の接合層によってセラミックス製の中間セラミックス板と金属製のベース板との間の熱膨張差を緩和することができ、部材の割れや剥離等の発生を抑制することができる。また、本保持装置によれば、第1の接合層は比較的高温に晒されるが、主セラミックス板と中間セラミックス板とは共にセラミックス製であり、両者の熱膨張率の差は小さいため、第1の接合層の材料として、弾性変形能力は比較的低い一方、耐熱性が比較的高い金属を用いることができる。そのため、本保持装置によれば、第1の接合層が分解温度に達することを防止することができ、主セラミックス板と中間セラミックス板との間で剥離が発生することを抑制することができる。
(2)上記保持装置において、前記第1の接合層は、前記ベース板と電気的に接続されている構成としてもよい。本保持装置によれば、第1の接合層をプラズマ励起用の電極として使用することができるため、プラズマ励起用の電極としての第1の接合層より上に位置する絶縁体は主セラミックス板のみとなるため、プラズマ励起の安定化を実現することができる。
(3)上記保持装置において、さらに、プラズマ励起電極用端子を備え、前記第1の接合層は、前記プラズマ励起電極用端子と電気的に接続されている構成としてもよい。本保持装置によれば、プラズマ励起電極用端子を利用して第1の接合層をプラズマ励起用の電極として使用することもできるため、プラズマ励起用の電極としての第1の接合層より上に位置する絶縁体は主セラミックス板のみとなるため、プラズマ励起の安定化を実現することができる。
(4)上記保持装置において、前記第1の接合層に含まれる金属の主成分は、アルミニウムである構成としてもよい。本保持装置によれば、第1の接合層の耐熱性および接合信頼性の向上を実現することができる。
(5)上記保持装置において、前記第1の接合層は、純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記主セラミックス板と前記アルミニウム層とを接合する第1の接合機能層と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記中間セラミックス板と前記アルミニウム層とを接合する第2の接合機能層と、を含む構成としてもよい。本保持装置によれば、第1の接合層が、延性の高い純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層を含むため、主セラミックス板と中間セラミックス板との間の熱膨張差による応力を効果的に緩和することができ、熱サイクルに対する信頼性をさらに向上させることができる。
(6)上記保持装置において、前記第1の接合機能層と前記第2の接合機能層との少なくとも一方は、厚さが互いに異なる複数の部分を有する構成としてもよい。第1の接合層を構成する第1の接合機能層や第2の接合機能層が、厚さが互いに異なる複数の部分を有する構成では、第1の接合機能層や第2の接合機能層の表面に段差が存在するため、第1の接合層内に空隙が形成されやすい。第1の接合層内に空隙が形成されると、その部分の熱伝導率が局所的に低下するため、主セラミックス板の第1の表面の温度分布の均一性が低下するおそれがある。本保持装置では、第1の接合機能層および第2の接合機能層に接するアルミニウム層が、延性の高い純度99%以上のアルミニウムで形成されているため、第1の接合機能層や第2の接合機能層の表面に段差が存在していても、アルミニウム層が変形することによって該段差に追従し、第1の接合層内に空隙が形成されることを抑制することができる。そのため、本保持装置によれば、第1の接合層内の局所的な熱伝導率の低下に起因して主セラミックス板の第1の表面の温度分布の均一性が低下することを抑制することができる。
(7)上記保持装置において、前記第1の接合機能層と前記第2の接合機能層との少なくとも一方には、純度99%以上のアルミニウムが入り込んだ貫通孔が存在する構成としてもよい。第1の接合層を構成する第1の接合機能層や第2の接合機能層に貫通孔が存在する構成、すなわち、第1の接合層内に空隙が形成された構成では、その部分の熱伝導率が局所的に低下する。そのため、主セラミックス板の第1の表面の温度分布の均一性が低下するおそれがある。本保持装置では、第1の接合機能層および第2の接合機能層に接するアルミニウム層が、延性の高い純度99%以上のアルミニウムで形成されているため、第1の接合機能層や第2の接合機能層に貫通孔が存在していても、アルミニウム層が変形することによって該貫通孔内にアルミニウムが入り込み、第1の接合機能層や第2の接合機能層を貫通する空隙が形成されることを抑制することができる。そのため、本保持装置によれば、第1の接合層内の局所的な熱伝導率の低下に起因して主セラミックス板の第1の表面の温度分布の均一性が低下することを抑制することができる。
(8)上記保持装置において、前記第1の接合層は、アルミニウム合金とセラミックスとの複合材料により形成された複合板と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記主セラミックス板と前記複合板とを接合する第1の接合機能層と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記中間セラミックス板と前記複合板とを接合する第2の接合機能層と、を含む構成としてもよい。本保持装置によれば、第1の接合層が、アルミニウム等に比べて熱膨張率がセラミックスに近い複合材料により形成された複合板を含むため、熱膨張差によって第1の接合層で発生する応力を低減させることができ、その結果、延性の高い純度99%以上のアルミニウムを用いずとも、主セラミックス板と中間セラミックス板との間の熱膨張差による応力を効果的に緩和することができる。さらに、第2の接合層の温度が過度に高くなることを効果的に防止することができるため、第2の接合層の材料として有機系接着剤を用いることができ、ベース板の形成材料として冷媒流路等の加工がしやすい金属を用いても、第2の接合層によって中間セラミックス板とベース板との間の熱膨張差を緩和することができ、部材の割れや剥離等の発生を抑制することができる。また、本保持装置によれば、複合材料におけるアルミニウム合金とセラミックスとの体積比率を調整することにより、複合板の熱膨張率を主セラミックス板や中間セラミックス板の熱膨張率に近付けることができ、熱膨張差により発生する応力による剥離の発生を抑制することができる。
(9)上記保持装置において、前記複合板の形成材料である前記複合材料は、アルミニウム合金と炭化ケイ素とを含む構成としてもよい。本保持装置によれば、複合板の熱膨張率を主セラミックス板や中間セラミックス板の熱膨張率に容易に近付けることができる。
(10)上記保持装置において、前記主セラミックス板および前記中間セラミックス板は、それぞれ、各構成成分を酸化物換算した場合に、Alの含有率が90wt%以上である構成としてもよい。本保持装置によれば、主セラミックス板および中間セラミックス板の耐食性、耐摩耗性を向上させることができると共に、主セラミックス板と中間セラミックス板との間の熱膨張差を小さくして両者の剥離の発生を抑制することができる。
(11)上記保持装置において、前記主セラミックス板および前記中間セラミックス板は、それぞれ、主成分が同じであり、前記中間セラミックス板の熱伝導率は前記主セラミックス板の熱伝導率よりも低いことを特徴とする構成としてもよい。本保持装置によれば、ヒータと冷媒流路とに挟まれた部分の伝熱性を中間セラミックス板によってより効果的に低下させることができることから、第2の接合層の温度が過度に高くなることをより効果的に防止することができると共に、主セラミックス板と中間セラミックス板との間の熱膨張差を小さくすることができることから、両者の剥離の発生をより効果的に抑制することができる。
(12)本明細書に開示される保持装置の製造方法は、セラミックスにより形成され、第1の表面を有する板状であり、内部に発熱抵抗体により構成されたヒータを有する主セラミックス板と、前記主セラミックス板の前記第1の表面とは反対側に配置され、金属により形成された板状であり、内部に冷媒流路が形成されたベース板と、前記主セラミックス板と前記ベース板との間に配置され、セラミックスにより形成された板状の中間セラミックス板と、前記主セラミックス板と前記中間セラミックス板とを接合する第1の接合層であって、アルミニウムを含有するアルミニウム含有層と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記主セラミックス板と前記アルミニウム含有層とを接合する第1の接合機能層と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記中間セラミックス板と前記アルミニウム含有層とを接合する第2の接合機能層と、を含む第1の接合層と、有機系接着剤を含み、前記中間セラミックス板と前記ベース板とを接合する第2の接合層と、を備え、前記主セラミックス板の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置の製造方法において、前記主セラミックス板と前記アルミニウム含有層との間と、前記中間セラミックス板と前記アルミニウム含有層との間と、の少なくとも一方に、複数のアルミニウム合金箔を、前記第1の表面に略平行な方向に並べて配置する工程と、前記主セラミックス板と前記中間セラミックス板との少なくとも一方と前記アルミニウム含有層とにより挟持された前記複数のアルミニウム合金箔を加熱することによって、前記第1の接合機能層と前記第2の接合機能層との少なくとも一方を形成する工程と、を備える。本保持装置の製造方法によれば、主セラミックス板や中間セラミックス板の大きさに制限を設けることなく、複数のアルミニウム合金箔を用いて第1の接合機能層や第2の接合機能層を形成することができ、ひいては、保持装置を製造することができる。
(13)上記保持装置の製造方法において、アルミニウム含有層は、純度99%以上のアルミニウムで形成されている構成としてもよい。本保持装置の製造方法によれば、主セラミックス板とアルミニウム含有層との間や中間セラミックス板とアルミニウム含有層との間に複数のアルミニウム合金箔を配置する際に、一のアルミニウム合金箔と他のアルミニウム合金箔とが重なり合うことによって段差が生じたり、一のアルミニウム合金箔と他のアルミニウム合金箔とが離間することによって隙間が生じたりしても、延性の高い純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム含有層が変形することによって、該段差に追従したり該隙間内に進入したりするため、第1の接合層内に空隙が形成されることを抑制することができる。そのため、本保持装置の製造方法によれば、製造された保持装置において、第1の接合層内の局所的な熱伝導率の低下に起因して主セラミックス板の第1の表面の温度分布の均一性が低下することを抑制することができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、保持装置、静電チャック、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
第1実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図である。 第1実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 第1実施形態の変形例における静電チャック100の構成を示す説明図である。 第2実施形態における静電チャック100aのXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 第2実施形態の静電チャック100aの製造方法の一部を概略的に示す説明図である。 第2実施形態の静電チャック100aの製造方法の変形例の一部を概略的に示す説明図である。 第3実施形態における静電チャック100bのXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 性能評価に用いられた実施例および比較例の静電チャック100の概略構成を示す説明図である。 性能評価の結果を示す説明図である。
A.第1実施形態:
A−1.静電チャック100の構成:
図1は、第1実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、第1実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図3以降についても同様である。
静電チャック100は、対象物(例えばウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハWを固定するために使用される。静電チャック100は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置された主セラミックス板10と、中間セラミックス板60と、ベース板20とを備える。主セラミックス板10と中間セラミックス板60とは、主セラミックス板10の下面と中間セラミックス板60の上面とが上記配列方向に対向するように配置されている。また、中間セラミックス板60とベース板20とは、中間セラミックス板60の下面とベース板20の上面とが上記配列方向に対向するように配置されている。静電チャック100は、さらに、主セラミックス板10の下面と中間セラミックス板60の上面との間に配置された第1の接合層110と、中間セラミックス板60の下面とベース板20の上面との間に配置された第2の接合層120とを備える。
主セラミックス板10は、例えば円形平面の板状部材であり、セラミックスにより形成されている。主セラミックス板10の直径は、例えば50mm〜500mm程度(通常は200mm〜350mm程度)であり、主セラミックス板10の厚さは、例えば2mm〜10mm程度である。
主セラミックス板10の形成材料としては、種々のセラミックスが用いられ得るが、強度や耐摩耗性、耐プラズマ性の観点から、例えば、アルミナ(Al)または窒化アルミニウム(AlN)を主成分とするセラミックスが用いられることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。本実施形態では、主セラミックス板10は、アルミナを主成分とするセラミックスが用いられており、各構成成分を酸化物換算した場合にアルミナの含有率が90wt%以上である。
主セラミックス板10の内部には、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成された一対の内部電極40が設けられている。一対の内部電極40に電源(図示せず)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWが主セラミックス板10の上面(以下、「吸着面S1」という)に吸着固定される。主セラミックス板10の吸着面S1は、特許請求の範囲における第1の表面に相当する。
また、主セラミックス板10の内部には、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成された抵抗発熱体で構成されたヒータ50が設けられている。ヒータ50に電源(図示せず)から電圧が印加されると、ヒータ50が発熱することによって主セラミックス板10が温められ、主セラミックス板10の吸着面S1に保持されたウェハWが温められる。これにより、ウェハWの温度制御が実現される。
ベース板20は、例えば主セラミックス板10と径が同じ、または主セラミックス板10より径が大きい円形平面の板状部材であり、金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等)により形成されている。ベース板20の直径は、例えば220mm〜550mm程度(通常は220mm〜350mm程度)であり、ベース板20の厚さは、例えば20mm〜40mm程度である。
ベース板20の内部には冷媒流路21が形成されている。冷媒流路21に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が供給されると、ベース板20が冷却される。ヒータ50による主セラミックス板10の加熱と併せてベース板20の冷却が行われると、第1の接合層110、中間セラミックス板60、第2の接合層120を介した主セラミックス板10とベース板20との間の伝熱により、主セラミックス板10の吸着面S1に保持されたウェハWの温度が一定に維持される。さらに、プラズマ処理中にプラズマからの入熱が生じた際には、ヒータ50に加える電力を調整することでウェハWの温度制御が実現される。
中間セラミックス板60は、例えば主セラミックス板10と略同径の円形平面の板状部材であり、セラミックスにより形成されている。中間セラミックス板60は、ウェハW等の対象物を保持する吸着面S1を有する主セラミックス板10とは別に設けられる部材であり、静電チャック100におけるヒータ50と冷媒流路21とに挟まれた部分の伝熱性を制御する、より具体的には、該部分の伝熱性を低下させる(すなわち、熱抵抗を高くする)ための部材である。中間セラミックス板60の直径は、例えば50mm〜500mm程度(通常は200mm〜350mm程度)であり、中間セラミックス板60の厚さは、例えば4mm〜12mm程度である。
中間セラミックス板60の形成材料としては、種々のセラミックスが用いられ得るが、強度や耐摩耗性、耐プラズマ性の観点から、例えば、アルミナまたは窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスが用いられることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。本実施形態では、中間セラミックス板60は、アルミナを主成分とするセラミックスが用いられており、各構成成分を酸化物換算した場合にAlの含有率が90wt%以上である。すなわち、中間セラミックス板60の主成分は、主セラミックス板10の主成分と同じである。また、本実施形態では、中間セラミックス板60の熱伝導率は、主セラミックス板10の熱伝導率よりも低い。例えば、中間セラミックス板60におけるアルミナの含有率を主セラミックス板10におけるアルミナの含有率より低くすることにより、中間セラミックス板60の熱伝導率を主セラミックス板10の熱伝導率より低くすることができる。
第2の接合層120は、有機系接着剤を含んでおり、中間セラミックス板60とベース板20とを接合している。第2の接合層120に含まれる有機系接着剤として、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の種々の有機系接着剤が用いられ得るが、比較的耐熱性が高く、かつ、柔らかいシリコーン系樹脂を主成分とする有機系接着剤が用いられることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、第2の接合層120に含まれる接着成分(有機系接着剤)における含有割合(重量割合)の最も多い成分である。第2の接合層120には、接着成分の他に、粉末成分(例えばアルミナやシリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素等)や添加剤(カップリング剤等)が含まれていてもよい。第2の接合層120の厚さは、例えば0.1mm〜1mm程度である。
第1の接合層110は、金属により形成されており、主セラミックス板10と中間セラミックス板60とを接合している。第1の接合層110の形成材料である金属としては、種々の金属が用いられ得るが、例えば、アルミニウムを主成分とする金属が用いられることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。第1の接合層110の厚さは、例えば0.5mm〜5mm程度である。また、プラズマ励起時の放電防止のため、第1の接合層110の外周面は、図示しない絶縁性のコーティング材(例えば、セラミックス溶射膜)により覆われていることが好ましい。
図2に示すように、金属製の第1の接合層110は、導電性端子部材90を介して、金属製のベース板20と電気的に接続されている。具体的には、中間セラミックス板60と第2の接合層120とベース板20とには、それぞれ、Z方向に貫通する貫通孔62,122,22が形成されており、これらの貫通孔は互いに連通している。これらの互いに連通する貫通孔62,122,22内に、例えば、先端にスプリングコネクタが設けられた導電性端子部材90が挿入されている。導電性端子部材90の先端(上端)は、第1の接合層110に接触しており、導電性端子部材90の他の部分は、ベース板20の貫通孔22の内周面に接触した状態で固定されている。このような構成により、第1の接合層110とベース板20とが電気的に接続される。なお、ベース板20は図示しないグランドに接続されているため、第1の接合層110も、導電性端子部材90およびベース板20を介してグランドに接続されることとなる。
A−2.静電チャック100の製造方法:
次に、第1実施形態における静電チャック100の製造方法の一例を説明する。はじめに、主セラミックス板10とベース板20と中間セラミックス板60とを準備する。主セラミックス板10とベース板20と中間セラミックス板60とは、公知の製造方法によって製造可能であるため、ここでは製造方法の詳細な説明を省略するが、主セラミックス板10は、例えば以下の方法により作製される。すなわち、アルミナ原料とブチラール樹脂と可塑剤と溶媒とからなるスラリーをキャスティングし、乾燥させてシート化したものを複数作製する。内部電極40やヒータ50やその他の配線として、タングステンまたはモリブデンと樹脂と溶剤とからなる金属ペーストを用いて、スクリーン印刷でシート表面に所定のパターンを形成する。さらにシートの上下層の配線を繋ぐ為に、シートに穴をあけ、穴の内部に金属ペーストを充填させたシートを用意する。それらのシートを積層することによって配線を内蔵した成型体を作製し、脱脂後、焼成を行うことによって主セラミックス板10を作製する。
また、中間セラミックス板60は、例えば以下の方法により作製される。すなわち、主セラミックス板10と同様に複数のシートを作製し(ただし、配線パターンの形成の必要は無い)、それらのシートを積層し、脱脂後、焼成を行うことによって中間セラミックス板60を作製する。焼成後、各接続用端子を通すための孔を形成する。なお、セラミックス粉末をプレス成形したものを焼成することによって、中間セラミックス板60を作製してもよい。
次に、主セラミックス板10と中間セラミックス板60との間に、金属ろう材(例えば、アルミニウム合金であるAl−Si−Mg)の箔(例えば、厚さ1〜3mm程度)を挟み、真空チャンバー内において1〜10MPaの圧力下で500〜600℃に加熱する。これにより、主セラミックス板10と中間セラミックス板60とが第1の接合層110によって接合(ろう付け)された積層体が作製される。なお、作製された主セラミックス板10と中間セラミックス板60との積層体の側面や上下の平面を研磨してもよい。
次に、ベース板20の上面に、ペースト状接着剤を塗布する。ペースト状接着剤は、接着成分(例えばシリコーン系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等)と粉末成分(例えばアルミナやシリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素等)とを混合して作製したペースト状の接着剤である。ペースト状接着剤は、カップリング剤等の添加剤を含んでいてもよい。
次に、ベース板20に塗布されたペースト状接着剤の表面に、主セラミックス板10と中間セラミックス板60とが第1の接合層110によって接合された積層体を配置し、ペースト状接着剤を硬化させる硬化処理を行うことにより、ベース板20と上記積層体とを接合する第2の接合層120を形成する。硬化処理の内容は、使用する接着剤の種類に応じて異なり、熱硬化型の接着剤であれば硬化処理として熱を付与する処理が行われ、水分硬化型の接着剤であれば硬化処理として水分を付与する処理が行われる。
その後、導電性端子部材90を貫通孔62,122,22内に挿入して固定することにより、第1の接合層110とベース板20とを電気的に接続する。以上の工程により、静電チャック100の製造が完了する。
A−3.第1実施形態の効果:
以上説明したように、第1実施形態の静電チャック100は、セラミックスにより形成され、吸着面S1を有する板状であり、内部に発熱抵抗体により構成されたヒータ50を有する主セラミックス板10と、主セラミックス板10の吸着面S1とは反対側に配置され、金属により形成された板状であり、内部に冷媒流路21が形成されたベース板20とを備え、主セラミックス板10の吸着面S1上にウェハW等の対象物を保持する保持装置である。第1実施形態の静電チャック100は、さらに、主セラミックス板10とベース板20との間に配置され、セラミックスにより形成された板状の中間セラミックス板60と、金属を含み、主セラミックス板10と中間セラミックス板60とを接合する第1の接合層110と、有機系接着剤を含み、中間セラミックス板60とベース板20とを接合する第2の接合層120とを備える。
このように、第1実施形態の静電チャック100では、内部にヒータ50を有する主セラミックス板10と、内部に冷媒流路21が形成されたベース板20との間に、中間セラミックス板60が配置されているため、そのような中間セラミックス板60が配置されていない構成と比較して、ヒータ50と冷媒流路21とに挟まれた部分の伝熱性を低下させる(すなわち、熱抵抗を高くする)ことができる。そのため、冷媒流路21に供給される冷却媒体による主セラミックス板10の冷却効果が抑制され、主セラミックス板10の吸着面S1を高温(例えば260℃)にする場合であっても、ヒータ50への入力電力を過度に大きくする必要がない。従って、第1実施形態の静電チャック100では、ヒータ50の電源容量が過度に大きくなることを抑制することができると共に、ヒータ50の電流が過大となって断線が発生することを回避することができる。
また、第1実施形態の静電チャック100では、上述したように、ヒータ50と冷媒流路21とに挟まれた部分の伝熱性を低下させることができるため、主セラミックス板10の吸着面S1を高温(例えば260℃)にする場合であっても、第2の接合層120の温度が過度に高くなることを回避することができる。そのため、第2の接合層120の材料として、耐熱性は比較的低い一方、弾性変形能力が比較的高い有機系接着剤を用いることができる。従って、ベース板20の形成材料として冷媒流路21等の加工がしやすい金属を用いても、第2の接合層120によってセラミックス製の中間セラミックス板60と金属製のベース板20との間の熱膨張差を緩和することができ、部材の割れや剥離等の発生を抑制することができる。
また、第1実施形態の静電チャック100では、第1の接合層110は比較的高温に晒されるが、主セラミックス板10と中間セラミックス板60とは共にセラミックス製であり、両者の熱膨張率の差は小さいため、第1の接合層110の材料として、弾性変形能力は比較的低い一方、耐熱性が比較的高い金属を用いることができる。そのため、第1の接合層110が分解温度に達することを防止することができ、主セラミックス板10と中間セラミックス板60との間で剥離が発生することを抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、主セラミックス板10と中間セラミックス板60とを接合する第1の接合層110に含まれる金属の主成分は、アルミニウムである。そのため、第1の接合層110の耐熱性および接合信頼性の向上を実現することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、主セラミックス板10および中間セラミックス板60は、それぞれ、各構成成分を酸化物換算した場合に、アルミナの含有率が90wt%以上である。そのため、主セラミックス板10および中間セラミックス板60の耐食性、耐摩耗性を向上させることができると共に、主セラミックス板10と中間セラミックス板60との間の熱膨張差を小さくして両者の剥離の発生を抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、主セラミックス板10および中間セラミックス板60は、それぞれ、主成分が同じであり、中間セラミックス板60の熱伝導率は主セラミックス板10の熱伝導率よりも低い。また、中間セラミックス板60の熱伝導率はベース板20の熱伝導率よりも低い。そのため、ヒータ50と冷媒流路21とに挟まれた部分の伝熱性を中間セラミックス板60によってより効果的に低下させることができることから、第2の接合層120の温度が過度に高くなることをより効果的に防止することができると共に、主セラミックス板10と中間セラミックス板60との間の熱膨張差を小さくすることができることから、両者の剥離の発生をより効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、金属を含む第1の接合層110がベース板20と電気的に接続されている。そのため、第1の接合層110をプラズマ励起用の電極として使用することができる。一般に、プラズマ励起の安定化のためには、プラズマ励起用の電極より上に位置する絶縁体の厚さをできるだけ薄くすることが好ましい。本実施形態の静電チャック100では、中間セラミックス板60が設けられるために、主セラミックス板10を含めた絶縁体の厚さは厚くなるが、第1の接合層110をプラズマ励起用の電極として使用することができるため、プラズマ励起用の電極としての第1の接合層110より上に位置する絶縁体は主セラミックス板10のみとなるため、プラズマ励起の安定化を実現することができる。
A−4.第1実施形態の変形例:
図3は、第1実施形態の変形例における静電チャック100の構成を示す説明図である。以下では、第1実施形態の変形例における静電チャック100の構成の内、上述した第1実施形態における静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図3に示す変形例の静電チャック100は、第1の接合層110をプラズマ励起用の電極として機能させるための構成が、上述した第1実施形態の静電チャック100と異なっている。すなわち、図3に示す変形例の静電チャック100では、第1の接合層110が、ベース板20ではなく、プラズマ励起電極用端子として機能する導電性端子部材92と電気的に接続されている。より具体的には、中間セラミックス板60と第2の接合層120とベース板20とのそれぞれに形成された貫通孔62,122,22内に、例えば、先端にスプリングコネクタが設けられた導電性端子部材92が挿入されている。導電性端子部材92の先端(上端)は、第1の接合層110に接触している。また、ベース板20に形成された貫通孔22には、筒状の絶縁部材24が嵌挿されており、導電性端子部材92は、筒状の絶縁部材24の内周面に接触した状態で固定されている。このような構成により、第1の接合層110が、プラズマ励起電極用端子として機能する導電性端子部材92と電気的に接続される。図3に示す変形例の静電チャック100でも、上述した第1実施形態の静電チャック100と同様に、第1の接合層110をプラズマ励起用の電極として使用することができるため、プラズマ励起用の電極としての第1の接合層110より上に位置する絶縁体は主セラミックス板10のみとなり、プラズマ励起の安定化を実現することができる。
B.第2実施形態:
図4は、第2実施形態における静電チャック100aのXZ断面構成を概略的に示す説明図である。以下では、第2実施形態における静電チャック100aの構成の内、上述した第1実施形態における静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。なお、第1の接合層110をプラズマ励起用の電極として機能させるための構成については、第1実施形態またはその変形例と同様であるため、図4ではその図示を省略している。図5以降においても同様である。
第2実施形態における静電チャック100aでは、第1の接合層110aが、第1の接合機能層111と、アルミニウム層113と、第2の接合機能層112とから構成されている。アルミニウム層113は、純度99%以上のアルミニウムで形成されている。第1の接合機能層111は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成されており、主セラミックス板10とアルミニウム層113とを接合する。第2の接合機能層112は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成されており、中間セラミックス板60とアルミニウム層113とを接合する。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。第2実施形態における静電チャック100aのその他の構成は、第1実施形態における静電チャック100の構成と同様である。アルミニウム層113は、特許請求の範囲におけるアルミニウム含有層に相当する。
第2実施形態の静電チャック100aの製造方法は、上述した第1実施形態の静電チャック100の製造方法と以下の点が異なる。図5は、第2実施形態の静電チャック100aの製造方法の一部を概略的に示す説明図である。第1実施形態では、主セラミックス板10と中間セラミックス板60との間に金属ろう材(例えば、アルミニウム合金であるAl−Si−Mg)の箔のみを配置して加熱するものとしている。一方、第2実施形態では、図5のA欄に示すように、主セラミックス板10と中間セラミックス板60との間に、純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層113(例えば、厚さ0.2〜3mm程度)を、吸着面S1に略平行な方向(本実施形態ではZ軸に略直交する方向であり、以下、「面方向」という)に並べられた複数の金属ろう材箔、例えば、アルミニウム合金箔AF(例えば、厚さ0.03〜0.5mm程度)で上下から挟んだものを配置する。この状態では、主セラミックス板10とアルミニウム層113との間と、中間セラミックス板60とアルミニウム層113との間とに、複数のアルミニウム合金箔AFが面方向に並べて配置される。この状態で、第1実施形態と同様に、真空チャンバー内において1〜10MPaの圧力下で500〜600℃に加熱する。これにより、図5のB欄に示すように、主セラミックス板10とアルミニウム層113とにより挟持された複数のアルミニウム合金箔AFが第1の接合機能層111となり、中間セラミックス板60とアルミニウム層113とにより挟持された複数のアルミニウム合金箔AFが第2の接合機能層112となり、その結果、主セラミックス板10と中間セラミックス板60とが、第1の接合機能層111とアルミニウム層113と第2の接合機能層112とから構成された第1の接合層110aによって接合(ろう付け)された積層体が作製される。なお、アルミニウム層113の純度を高く保つため、接合時の加熱時間を短くして、金属ろう材箔からの元素の拡散を抑えることが好ましい。その後は、第1実施形態と同様に、該積層体に第2の接合層120によってベース板20が接合され、静電チャック100aの製造が完了する。
以上説明した第2実施形態の静電チャック100aは、上述した第1実施形態の静電チャック100が奏する効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、第2実施形態の静電チャック100aでは、主セラミックス板10と中間セラミックス板60とを接合する第1の接合層110aが、純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層113と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、主セラミックス板10とアルミニウム層113とを接合する第1の接合機能層111と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、中間セラミックス板60とアルミニウム層113とを接合する第2の接合機能層112とを含む。このように、第2実施形態の静電チャック100aでは、第1の接合層110aが、延性の高い純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層113を含むため、主セラミックス板10と中間セラミックス板60との間の熱膨張差による応力を効果的に緩和することができ、熱サイクルに対する信頼性をさらに向上させることができる。
また、第2実施形態の静電チャック100aの製造方法は、主セラミックス板10とアルミニウム層113との間と、中間セラミックス板60とアルミニウム層113との間とに、複数のアルミニウム合金箔AFを、吸着面S1に略平行な方向に並べて配置する工程と、主セラミックス板10および中間セラミックス板60とアルミニウム層113とにより挟持された複数のアルミニウム合金箔AFを加熱することによって、第1の接合機能層111と第2の接合機能層112とを形成する工程とを備える。第2実施形態の静電チャック100aの製造方法によれば、主セラミックス板10や中間セラミックス板60の大きさに制限を設けることなく、複数のアルミニウム合金箔AFを用いて第1の接合機能層111や第2の接合機能層112を形成することができ、ひいては、静電チャック100aを製造することができる。
図6は、第2実施形態の静電チャック100aの製造方法の変形例の一部を概略的に示す説明図である。図6のA欄に示すように、アルミニウム層113の表面に複数のアルミニウム合金箔AFを並べて配置する際には、一のアルミニウム合金箔AFと他のアルミニウム合金箔AFとが重なり合うことによって段差が生じたり、一のアルミニウム合金箔AFと他のアルミニウム合金箔AFとが離間することによって隙間が生じたりすることがある。しかしながら、本実施形態では、アルミニウム層113が、延性の高い純度99%以上のアルミニウムで形成されているため、図6のB欄に示すように、加圧加熱処理の際に、アルミニウム層113が変形することによって、アルミニウム層113(純度99%以上のアルミニウム)が上記段差に追従したり上記隙間内に進入したりして、第1の接合層110a内に空隙が形成されることを抑制することができる。そのため、第1の接合層110a内に空隙が形成され、その部分の熱伝導率が局所的に低下することに起因して、吸着面S1の温度分布の均一性が低下する、という事態の発生を抑制することができる。
なお、図6のB欄に示すように、第2実施形態の静電チャック100aの製造方法の変形例により製造された静電チャック100aにおいては、第1の接合機能層111と第2の接合機能層112との少なくとも一方が、厚さが互いに異なる複数の部分を有する構成となることがある。より具体的には、第1の接合機能層111と第2の接合機能層112との少なくとも一方が、1枚のアルミニウム合金箔AFから形成された比較的薄い部分P1と、互いに重なり合う2枚(またはそれ以上)のアルミニウム合金箔AFから形成された比較的厚い部分P2とを有する構成となることがある。比較的厚い部分P2は、アルミニウム層113の表面に複数のアルミニウム合金箔AFを並べて配置する際に、一のアルミニウム合金箔AFと他のアルミニウム合金箔AFとが互いに重なり合うことによって生じる。このような構成では、第1の接合機能層111や第2の接合機能層112の表面に段差が存在するため、第1の接合層110a内に空隙が形成されやすく、その部分の熱伝導率が局所的に低下することに起因して、主セラミックス板10の吸着面S1の温度分布の均一性が低下するおそれがある。しかし、上述したように、本実施形態では、延性の高い純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層113が変形することによって上記段差に追従するため、第1の接合層110a内に空隙が形成されることを抑制することができる。そのため、本実施形態では、第1の接合層110a内の局所的な熱伝導率の低下に起因して主セラミックス板10の吸着面S1の温度分布の均一性が低下することを抑制することができる。
同様に、図6のB欄に示すように、第2実施形態の静電チャック100aの製造方法の変形例により製造された静電チャック100aにおいては、第1の接合機能層111と第2の接合機能層112との少なくとも一方に、貫通孔HOが存在する構成となることがある。この貫通孔HOは、アルミニウム層113の表面に複数のアルミニウム合金箔AFを並べて配置する際に、一のアルミニウム合金箔AFと他のアルミニウム合金箔AFとが離間することによって生じる。なお、貫通孔HOは、Z軸方向視で閉じたものに限られず、第1の接合機能層111や第2の接合機能層112の外周部に連続しているものも含む。このような構成では、第1の接合層110a内に空隙が形成され、その部分の熱伝導率が局所的に低下することに起因して、主セラミックス板10の吸着面S1の温度分布の均一性が低下するおそれがある。しかし、上述したように、本実施形態では、延性の高い純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層113が変形することによって貫通孔HO内に進入し、貫通孔HOが純度99%以上のアルミニウムによって充填される。そのため、第1の接合機能層111や第2の接合機能層112を貫通する空隙が形成されることを抑制することができる。そのため、本実施形態では、第1の接合層110a内の局所的な熱伝導率の低下に起因して主セラミックス板10の吸着面S1の温度分布の均一性が低下することを抑制することができる。
C.第3実施形態:
図5は、第3実施形態における静電チャック100bのXZ断面構成を概略的に示す説明図である。以下では、第3実施形態における静電チャック100bの構成の内、上述した第1実施形態における静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
第3実施形態における静電チャック100bでは、第1の接合層110bが、複合板115と、第1の接合機能層111と、第2の接合機能層112とから構成されている。複合板115は、アルミニウム合金とセラミックスとの複合材料により形成されている。この複合材料は、多孔質セラミックスに溶融金属を加圧浸透させ、その後に冷却することにより作製されたものである。複合板115の形成材料としては、種々の複合材料が用いられ得るが、例えば、多孔質炭化ケイ素(SiC)にアルミニウム合金を浸透させた複合材料が用いられることが好ましい。複合板115の形成材料である複合材料のセラミックスと金属との体積比を調整することにより、複合板115の熱膨張率を、主セラミックス板10および中間セラミックス板60の熱膨張率に近付けることができる。
第1の接合機能層111は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、主セラミックス板10と複合板115とを接合する。第2の接合機能層112は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、中間セラミックス板60と複合板115とを接合する。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。第3実施形態における静電チャック100bのその他の構成は、第1実施形態における静電チャック100の構成と同様である。複合板115は、特許請求の範囲におけるアルミニウム含有層に相当する。
第3実施形態の静電チャック100bの製造方法は、上述した第1実施形態の静電チャック100の製造方法と以下の点が異なる。第1実施形態では、主セラミックス板10と中間セラミックス板60との間に金属ろう材(例えば、アルミニウム合金であるAl−Si−Mg)の箔のみを配置して加熱するものとしているが、第3実施形態では、主セラミックス板10と中間セラミックス板60との間に、アルミニウム合金とセラミックスとの複合材料で形成された板状部材(例えば、厚さ1〜5mm程度)の上下を、同様の金属ろう材箔(例えば、厚さ0.03〜0.5mm程度)で挟んだものを配置し、同様に真空チャンバー内において1〜10MPaの圧力下で500〜600℃に加熱する。これにより、主セラミックス板10と中間セラミックス板60とが、第1の接合機能層111と複合板115と第2の接合機能層112とから構成された第1の接合層110bによって接合(ろう付け)された積層体が作製される。その後は、第1実施形態と同様に、該積層体に第2の接合層120によってベース板20が接合され、静電チャック100bの製造が完了する。
以上説明した第3実施形態の静電チャック100bは、上述した第1実施形態の静電チャック100が奏する効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、第3実施形態の静電チャック100bでは、主セラミックス板10と中間セラミックス板60とを接合する第1の接合層110bが、アルミニウム合金とセラミックスとの複合材料により形成された複合板115と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、主セラミックス板10と複合板115とを接合する第1の接合機能層111と、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、中間セラミックス板60と複合板115とを接合する第2の接合機能層112とを含む。このように、第3実施形態の静電チャック100bでは、第1の接合層110bが、アルミニウム等に比べて熱膨張率がセラミックスに近い複合材料により形成された複合板115を含むため、第1の接合層110bで発生する熱膨張差による応力を低減させることができ、その結果、延性の高い純度99%以上のアルミニウムを用いずとも、主セラミックス板10と中間セラミックス板60との間の熱膨張差による応力を効果的に緩和することができる。さらに、第2の接合層120の温度が過度に高くなることを効果的に防止することができるため、第2の接合層120の材料として有機系接着剤を用いることができ、ベース板20の形成材料として冷媒流路21等の加工がしやすい金属を用いても、第2の接合層120によって中間セラミックス板60とベース板20との間の熱膨張差を緩和することができ、部材の割れや剥離等の発生を抑制することができる。
また、第3実施形態の静電チャック100bでは、複合材料におけるアルミニウム合金とセラミックスとの体積比率を調整することにより、複合板115の熱膨張率を主セラミックス板10や中間セラミックス板60の熱膨張率に近付けることができ、熱膨張差により発生する応力による剥離の発生を抑制することができる。特に、複合板115の形成材料として炭化ケイ素とアルミニウム合金とを含む複合材料が用いられると、複合板115の熱膨張率を主セラミックス板10や中間セラミックス板60の熱膨張率に容易に近付けることができるため、好ましい。
なお、第3実施形態の静電チャック100bの製造方法において、上述した第2実施形態と同様に、複合板115を、吸着面S1に略平行な方向(面方向)に並べられた複数のアルミニウム合金箔AFで上下から挟んだものを配置するものとしてもよい。すなわち、主セラミックス板10と複合板115との間と、中間セラミックス板60と複合板115との間とに、複数のアルミニウム合金箔AFが面方向に並べて配置されるとしてもよい。この状態で、真空チャンバー内において1〜10MPaの圧力下で500〜600℃に加熱すると、主セラミックス板10と複合板115とにより挟持された複数のアルミニウム合金箔AFが第1の接合機能層111となり、中間セラミックス板60と複合板115とにより挟持された複数のアルミニウム合金箔AFが第2の接合機能層112となり、その結果、主セラミックス板10と中間セラミックス板60とが、第1の接合機能層111と複合板115と第2の接合機能層112とから構成された第1の接合層110bによって接合(ろう付け)された積層体が作製される。このような製造方法によれば、主セラミックス板10や中間セラミックス板60の大きさに制限を設けることなく、複数のアルミニウム合金箔AFを用いて第1の接合機能層111や第2の接合機能層112を形成することができ、ひいては、静電チャック100bを製造することができる。
D.性能評価:
静電チャック100を対象に、以下に説明する性能評価を行った。図6は、性能評価に用いられた実施例および比較例の静電チャック100の概略構成を示す説明図である。また、図7は、性能評価の結果を示す説明図である。
性能評価では、実施例1〜5の静電チャック100および比較例1の静電チャック100Xが用いられた。図6および図7に示すように、実施例1,2の静電チャック100は、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成に該当するものである。すなわち、実施例1,2の静電チャック100は、アルミナにより形成された主セラミックス板10と、アルミニウム合金により形成された第1の接合層110と、アルミナにより形成された中間セラミックス板60と、シリコーン系樹脂を主成分とする有機系接着剤を含む第2の接合層120と、アルミニウム合金により形成されたベース板20とを備える。実施例1と実施例2とは、第1の接合層110の厚さのみが異なっている。具体的には、実施例1では、第1の接合層110の厚さが1mmであり、実施例2では、第1の接合層110の厚さが3mmである。なお、実施例1,2におけるその他の部材の厚さ同一である。具体的には、主セラミックス板10の厚さは4.5mmであり(ヒータ50より下の部分の厚さt1(図1参照)は3mmであり)、中間セラミックス板60の厚さは8mmであり、第2の接合層120の厚さは0.3mmである。なお、主セラミックス板10、中間セラミックス板60、第2の接合層120の厚さについては、他の実施例3〜5においても同一である。
また、実施例3の静電チャック100(100a)は、上述した第2実施形態の静電チャック100aの構成に該当するものである。すなわち、実施例3の静電チャック100は、実施例1の静電チャック100から、第1の接合層110の構成を、アルミニウム合金により形成された第1および第2の接合機能層111,112と、純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層113とを含む構成に変更したものである。なお、実施例3では、第1の接合層110の厚さは3mmであり、その内のアルミニウム層113の厚さは2.5mmである。
また、実施例4,5の静電チャック100(100b)は、上述した第3実施形態の静電チャック100bの構成に該当するものである。すなわち、実施例4,5の静電チャック100は、実施例1の静電チャック100から、第1の接合層110の構成を、アルミニウム合金により形成された第1および第2の接合機能層111,112と、炭化ケイ素とアルミニウム合金との複合材料により形成された複合板115とを含む構成に変更したものである。実施例4と実施例5とは、第1の接合層110の厚さのみが異なっている。具体的には、実施例4では、第1の接合層110の厚さが3mmであり、実施例5では、第1の接合層110の厚さが5mmである。
また、比較例1の静電チャック100Xは、アルミナにより形成された主セラミックス板10と、アルミニウム合金により形成されたベース板20とが、シリコーン系樹脂を主成分とする有機系接着剤を含む第2の接合層120によって接合された構成である。すなわち、比較例1の静電チャック100Xは、中間セラミックス板60や第1の接合層110を備えていない。比較例1において、主セラミックス板10の厚さは4.5mmであり(ヒータ50より下の部分の厚さt1は3mmであり)、第2の接合層120の厚さは0.3mmである。
図7に示すように、性能評価では、静電チャック100が熱サイクルにさらされたときの主セラミックス板10の吸着面S1の温度分布(各位置における温度の差)の変化について、評価を行った。熱サイクル環境を作るため、実施例または比較例の静電チャック100を評価用チャンバーに設置し、ベース板20の冷媒流路21に90℃の冷却媒体を供給しつつ、ヒータ50のオン・オフを交互に繰り返した。具体的には、放射温度計を用いて主セラミックス板10の吸着面S1における複数点の温度を測定し、各点での温度測定値の内の最高値(以下、「最高点温度Tmax」という)が260℃まで上昇するとヒータ50をオフ状態にし、吸着面S1の最高点温度Tmaxが120℃まで低下するとヒータ50をオン状態にする制御を繰り返した。熱サイクルを行う前の初期状態時と、熱サイクルをN回繰り返した時点とで、主セラミックス板10の吸着面S1の各点での温度測定値の内の最高値(最高点温度Tmax)と最低値(以下、「最低点温度Tmin」という)との差である温度差ΔTを算出した。そして、熱サイクルをN回繰り返した時点での温度差ΔT(以下、「サイクル後温度差ΔTN」という)と、初期状態時における温度差ΔT(以下、「初期温度差ΔT0」という)との差(ΔTN−ΔT0)を、N回の熱サイクル後の温度差変化量Ct(N)として算出した。なお、本性能評価では、N=100回および3000回について評価を行った。
図7に示すように、比較例1の静電チャック100では、装置上限の15kWの電力をヒータ50に印加しても、吸着面S1の温度は240℃までしか上昇しなかった。これは、比較例1では、中間セラミックス板60が設けられていないため、ヒータ50と冷媒流路21とに挟まれた部分の伝熱性が高く(すなわち、熱抵抗が低く)、冷媒流路21に供給される冷却媒体による主セラミックス板10の冷却効果が過大となったためであると考えられる。比較例1の静電チャック100において、吸着面S1の温度を260℃とするためには、ヒータ50の電源出力を増大させる必要がある。
また、比較例1の静電チャック100では、100回の熱サイクル後の温度差変化量Ct(100)が10℃より大きかったため、不合格と判定された。比較例1の静電チャック100Xでは、吸着面S1の温度が240℃までしか上昇しなかったにもかかわらず、第2の接合層120の温度が210℃まで達したため、第2の接合層120に含まれる有機系接着剤が分解されて第2の接合層120の接合面で剥離が発生し、該剥離箇所において局所的に冷却媒体による冷却効果が低下し、温度差変化量Ctが大きくなったものと考えられる。なお、比較例1の静電チャック100では、100回の熱サイクル後の温度差変化量Ct(100)が大きかったため、N=3000回の評価については実施しなかった。
これに対し、実施例1〜5の静電チャック100では、10kWの電力をヒータ50に印加することにより、吸着面S1の温度を260℃まで上昇させることができた。これは、実施例1〜5では、中間セラミックス板60が設けられているため、ヒータ50と冷媒流路21とに挟まれた部分の伝熱性が低く(すなわち、熱抵抗が高く)、冷媒流路21に供給される冷却媒体による主セラミックス板10の冷却効果が抑制されたためであると考えられる。
また、実施例1〜5の静電チャック100では、100回の熱サイクル後の温度差変化量Ct(100)が3℃未満であり、かつ、3000回の熱サイクル後の温度差変化量Ct(3000)も5℃未満であったため、合格と判定された。実施例1〜5の静電チャック100では、吸着面S1の温度を260℃にしても、第2の接合層120の温度が175℃以下に抑えられているため、第2の接合層120に含まれる有機系接着剤の分解による剥離の発生を抑制することができたものと考えられる。なお、実施例3〜5の静電チャック100では、3000回の熱サイクル後の温度差変化量Ct(3000)が3℃未満であり、熱サイクルに対する耐性が極めて高いことが確認された。
以上説明した性能評価により、静電チャック100を、セラミックスにより形成された主セラミックス板10と、金属により形成されたベース板20と、セラミックスにより形成された中間セラミックス板60と、金属を含み、主セラミックス板10と中間セラミックス板60とを接合する第1の接合層110と、有機系接着剤を含み、中間セラミックス板60とベース板20とを接合する第2の接合層120とを備えるように構成すれば、吸着面S1を高温(例えば260℃)にする場合であっても、ヒータ50への入力電力を抑制することができると共に、第1の接合層110や第2の接合層120の接合面で剥離が発生することを抑制することができることが確認された。
E.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における静電チャック100の構成は、あくまで例示であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、第1の接合層110がベース板20または導電性端子部材92と電気的に接続されることによりプラズマ励起用の電極として機能するとしているが、必ずしもこのような電気的接続がなされる必要は無い。また、上記実施形態では、主セラミックス板10の内部に一対の内部電極40が設けられた双極方式が採用されているが、主セラミックス板10の内部に1つの内部電極40が設けられた単極方式が採用されてもよい。
また、上記実施形態における静電チャック100を構成する各部材の形成材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。例えば、上記実施形態における静電チャック100では、中間セラミックス板60の熱伝導率は主セラミックス板10の熱伝導率よりも低いものであったが、中間セラミックス板60と主セラミックス板10とを同じ材料により形成し、熱伝導率を同じにしてもよい。また、上記実施形態における静電チャック100の製造方法はあくまで一例であり、種々変形可能である。
また、上記実施形態における静電チャック100の製造方法は、あくまで例示であり、種々変形可能である。例えば、上記第2および第3実施形態では、複数のアルミニウム合金箔AF(または他の金属ろう材箔、以下同様)をアルミニウム層113(または複合板115)の表面上に配置するとしているが、複数のアルミニウム合金箔AFを主セラミックス板10や中間セラミックス板60の表面上に配置するとしてもよい。また、上記第2および第3実施形態において、第1の接合機能層111と第2の接合機能層112との少なくとも一方に関し、複数のアルミニウム合金箔AFではなく、単一のアルミニウム合金箔AFから形成されるとしてもよい。
本発明は、静電引力を利用してウェハWを保持する静電チャック100に限らず、セラミックス板とベース板とを備え、セラミックス板の表面上に対象物を保持する他の保持装置(例えば、真空チャックやヒータ等)にも適用可能である。
10:主セラミックス板 20:ベース板 21:冷媒流路 22:貫通孔 24:絶縁部材 40:内部電極 50:ヒータ 60:中間セラミックス板 62:貫通孔 90:導電性端子部材 92:導電性端子部材 100:静電チャック 110:第1の接合層 111:第1の接合機能層 112:第2の接合機能層 113:アルミニウム層 115:複合板 120:第2の接合層 122:貫通孔

Claims (12)

  1. セラミックスにより形成され、第1の表面を有する板状であり、内部に発熱抵抗体により構成されたヒータを有する主セラミックス板と、
    前記主セラミックス板の前記第1の表面とは反対側に配置され、金属により形成された板状であり、内部に冷媒流路が形成されたベース板と、
    を備え、前記主セラミックス板の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、さらに、
    前記主セラミックス板と前記ベース板との間に配置され、セラミックスにより形成された板状の中間セラミックス板と、
    金属を含み、前記主セラミックス板と前記中間セラミックス板とを接合する第1の接合層と、
    有機系接着剤を含み、前記中間セラミックス板と前記ベース板とを接合する第2の接合層と、
    を備え
    前記第1の接合層は、前記ベース板と電気的に接続されていることを特徴とする、保持装置。
  2. 請求項1に記載の保持装置において、さらに、
    プラズマ励起電極用端子を備え、
    前記第1の接合層は、前記プラズマ励起電極用端子と電気的に接続されていることを特徴とする、保持装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の保持装置において、
    前記第1の接合層に含まれる金属の主成分は、アルミニウムであることを特徴とする、保持装置。
  4. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の保持装置において、
    前記第1の接合層は、
    純度99%以上のアルミニウムで形成されたアルミニウム層と、
    アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記主セラミックス板と前記アルミニウム層とを接合する第1の接合機能層と、
    アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記中間セラミックス板と前記アルミニウム層とを接合する第2の接合機能層と、
    を含むことを特徴とする、保持装置。
  5. 請求項に記載の保持装置において、
    前記第1の接合機能層と前記第2の接合機能層との少なくとも一方は、厚さが互いに異なる複数の部分を有することを特徴とする、保持装置。
  6. 請求項または請求項に記載の保持装置において、
    前記第1の接合機能層と前記第2の接合機能層との少なくとも一方には、純度99%以上のアルミニウムが入り込んだ貫通孔が存在することを特徴とする、保持装置。
  7. セラミックスにより形成され、第1の表面を有する板状であり、内部に発熱抵抗体により構成されたヒータを有する主セラミックス板と、
    前記主セラミックス板の前記第1の表面とは反対側に配置され、金属により形成された板状であり、内部に冷媒流路が形成されたベース板と、
    を備え、前記主セラミックス板の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、さらに、
    前記主セラミックス板と前記ベース板との間に配置され、セラミックスにより形成された板状の中間セラミックス板と、
    金属を含み、前記主セラミックス板と前記中間セラミックス板とを接合する第1の接合層と、
    有機系接着剤を含み、前記中間セラミックス板と前記ベース板とを接合する第2の接合層と、
    を備え、
    前記第1の接合層は、
    アルミニウム合金とセラミックスとの複合材料により形成された複合板と、
    アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記主セラミックス板と前記複合板とを接合する第1の接合機能層と、
    アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記中間セラミックス板と前記複合板とを接合する第2の接合機能層と、
    を含むことを特徴とする、保持装置。
  8. 請求項に記載の保持装置において、
    前記複合板の形成材料である前記複合材料は、アルミニウム合金と炭化ケイ素とを含むことを特徴とする、保持装置。
  9. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の保持装置において、
    前記主セラミックス板および前記中間セラミックス板は、それぞれ、各構成成分を酸化物換算した場合に、Alの含有率が90wt%以上であることを特徴とする、保持装置。
  10. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の保持装置において、
    前記主セラミックス板および前記中間セラミックス板は、それぞれ、主成分が同じであり、前記中間セラミックス板の熱伝導率は前記主セラミックス板の熱伝導率よりも低いことを特徴とする、保持装置。
  11. セラミックスにより形成され、第1の表面を有する板状であり、内部に発熱抵抗体により構成されたヒータを有する主セラミックス板と、
    前記主セラミックス板の前記第1の表面とは反対側に配置され、金属により形成された板状であり、内部に冷媒流路が形成されたベース板と、
    前記主セラミックス板と前記ベース板との間に配置され、セラミックスにより形成された板状の中間セラミックス板と、
    前記主セラミックス板と前記中間セラミックス板とを接合する第1の接合層であって、
    アルミニウムを含有するアルミニウム含有層と、
    アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記主セラミックス板と前記アルミニウム含有層とを接合する第1の接合機能層と、
    アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金により形成され、前記中間セラミックス板と前記アルミニウム含有層とを接合する第2の接合機能層と、
    を含む第1の接合層と、
    有機系接着剤を含み、前記中間セラミックス板と前記ベース板とを接合する第2の接合層と、
    を備え、前記主セラミックス板の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置の製造方法において、
    前記主セラミックス板と前記アルミニウム含有層との間と、前記中間セラミックス板と前記アルミニウム含有層との間と、の少なくとも一方に、複数のアルミニウム合金箔を、前記第1の表面に略平行な方向に並べて配置する工程と、
    前記主セラミックス板と前記中間セラミックス板との少なくとも一方と前記アルミニウム含有層とにより挟持された前記複数のアルミニウム合金箔を加熱することによって、前記第1の接合機能層と前記第2の接合機能層との少なくとも一方を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする、保持装置の製造方法。
  12. 請求項11に記載の保持装置の製造方法において、
    前記アルミニウム含有層は、純度99%以上のアルミニウムで形成されていることを特徴とする、保持装置の製造方法。
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