以下に、様々な実施態様について説明する。特定の実施態様は、包括的な説明として、又は本明細書で論じられるより広い態様への限定として意図されないことに留意されたい。特定の実施態様に関連して説明される一態様は、その実施態様に必ずしも限定されず、任意の他の実施態様で実施することができる。
要素を説明する文脈(特に、添付の特許請求の範囲の文脈において)における用語「ある(a)」、及び「ある(an)」、及び「その(the)」、並びに同様の指示対象の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を包含するものと解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中に別段の指示がない限り、範囲内の各別個の値を個別に指す簡略方法としての役目を果たすことを意図しており、そしてそれぞれの個別の値は、あたかも本明細書中に個別に列挙されているかのように、本明細書中に組み込まれる。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中で他に指示されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書で提供される任意の及びすべての例、又は例示的な用語(例えば、「など(such as」)の使用は、単に実施態様をよりよく示すことを意図しており、特に断らない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。明細書中の言語は、主張されていない要素を必須として示すものと解釈されるべきではない。
「含む(comprising)」という表現は、「含むが、これに限定されない(including, but not limited to)」を意味する。従って、他の記載されていない物質、添加剤、担体、又は工程が存在してもよい。特に、明記しない限り、「ある(a)」、又は「ある(an)」は一つ以上を意味する。
他に示されない限り、明細書、及び特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを表す、すべての数字は、すべての場合において「約(about)」という用語によって修飾されると理解されるべきである。従って、以下の明細書、及び添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは近似値である。各数値パラメータは、報告された有効数字の数と、通常の丸め技法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。温度、時間、量、及び濃度(範囲を含む)などの数値指定の前に使用される場合の用語「約(about)」は、(+)又は(−)10%、5%、又は1%、変化し得る近似を示す。
本明細書中で使用される場合、基の前に使用される場合、C1‐12、C1‐8、又はC1‐6などのCm‐nは、m〜n個の炭素原子を含む基を意味する。
用語「アルコキシ(alkoxy)」は、‐O‐アルキルを意味する。
本明細書で使用される場合、「ハロ(halo)」、「ハロゲン(halogen)」、又は「ハロゲン化物(halide)」さえも、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを意味することができる。
用語「アルキル(alkyl)」は、1〜12個の炭素原子(すなわち、C1‐C12アルキル)、1〜8個の炭素原子(すなわち、C1‐C8アルキル)、又は1〜4個の炭素原子を有する、一価飽和脂肪族ヒドロカルビル基を意味する。この用語は、例えば、直鎖及び分岐のヒドロカルビル基、例えば、メチル(CH3‐)、エチル(CH3CH2‐)、n‐プロピル(CH3CH2CH2‐)、イソプロピル((CH3)2CH‐)、n‐ブチル(CH3CH2CH2CH2‐)、イソブチル((CH3)2CHCH2‐)、sec‐ブチル((CH3)(CH3CH2)CH‐)、t‐ブチル((CH3)3C‐)、n‐ペンチル(CH3CH2CH2CH2CH2‐)、及びネオペンチル((CH3)3CCH2‐)を含む。アルキル基は、ハロゲン(例えば、‐F、‐Cl、‐Br、又は‐I)、アルコキシ、シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、又はシクロヘキシル)、アリール(例えば、フェニル)、又はヘテロアリール基で、任意に置換される。
フェニル基、又はフェノキシ基は、‐NO2、‐CN、ハロゲン(例えば、‐F、‐Cl、‐Br、又は‐I)、(C1‐C3)アルキル、ハロ(C1‐C3)アルキル、(C1‐C3)アルコキシ、及びハロ(C1‐C3)アルコキシからなる群から独立して選択される1個以上(例えば、2、3、4、又は5)の置換基で、任意に置換される。
「シクロアルキル(cycloalkyl)」は、1個以上の二重結合を任意に含む、飽和脂肪族環状炭化水素基を意味する。これは、単環式、二環式、多環式(例えば、三環式)、縮合、架橋、又はスピロであり得る。例えば、単環式(C3‐C6)シクロアルキルは、単環式環に配置された3〜6個の炭素原子を有する基を意味する。(C3‐C6)シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルキルは、ハロゲン(例えば、‐F、‐Cl、Br、又はI)、アルキル、アルコキシ、アリール(例えば、フェニル)、及びヘテロアリール基から独立して選択される1個以上(例えば、1、2、3、4、又は5)の置換基で、任意に置換される。
「アルコキシ(alkoxy)」は、‐O‐アルキルで表される、酸素結合原子を介して結合したアルキル基を意味する。例えば、「(C1‐C3)アルコキシ」には、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシが含まれる。
「ハロアルキル(haloalkyl)」は、1個以上(例えば、2、3、4、5、又は6)のハロゲン(‐F、‐Cl、‐Br、又は‐I)で置換されたアルキル基を意味する。
「ヘテロアリール(heteroaryl)」は、炭素、及び少なくとも1個(典型的には1〜4、より典型的には、1、又は2)のヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、又は硫黄)から選択される、5〜14個の環原子を有する芳香環基を意味する。「ヘテロアリール」は、単環式複素芳香環が1個以上の他の芳香環、又は複素芳香環に縮合している、単環式環、及び多環式環を含む。
5〜6員の単環式ヘテロアリール基の例は、フラニル(例えば、2‐フラニル、3‐フラニル)、イミダゾリル(例えば、N‐イミダゾリル、2‐イミダゾリル、4‐イミダゾリル、5‐イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例えば、3‐イソオキサゾリル、4‐イソオキサゾリル、5‐イソオキサゾリル)、オキサジアゾリル(例えば、2‐オキサジアゾリル、5‐オキサジアゾリル)、オキサゾリル(例えば、2‐オキサゾリル、4‐オキサゾリル、5‐オキサゾリル)、ピラゾリル(例えば、3‐ピラゾリル、4‐ピラゾリル)、ピロリル(例えば、1‐ピロリル、2‐ピロリル、3‐ピロリル)、ピリジル(例えば、2‐ピリジル、3‐ピリジル、4‐ピリジル)、ピリミジニル(例えば、2‐ピリミジニル、4‐ピリミジニル、5‐ピリミジニル)、ピリダジニル(例えば、3‐ピリダジニル)、チアゾリル(例えば、2‐チアゾリル、4‐チアゾリル、5‐チアゾリル)、トリアゾリル(例えば、2‐トリアゾリル、5‐トリアゾリル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾリル)、チエニル(例えば、2‐チエニル、3‐チエニル)、ピリミジニル、ピリジニル、及びピリダジニルが挙げられる。多環式芳香族ヘテロアリール基の例は、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、アクリジニル、又はベンゾイソオキサゾリルが含まれる。
用語「アリール(aryl)」は、6〜10個の環炭素原子を有する、一価の芳香単環、又は二環を意味する。アリールの例としては、フェニル、及びナフチルが挙げられる。縮合環は、結合点が芳香族炭素原子であるならば、芳香族であっても、なくてもよい。
置換基、及び変数の組み合わせは、安定な化合物の形成をもたらすもののみである。本明細書で使用される用語「安定な(stable)」は、製造を可能にするのに十分な安定性を有し、本明細書に詳述される目的のために有用であるのに十分な期間、化合物の完全性を維持する化合物を意味する。
本明細書で使用される用語「プロドラッグ(prodrug)」は、生物学的条件下(インビトロ、又はインビボ)で、加水分解、酸化、又は反応して、活性化合物を提供することができる化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例には、生体加水分解性アミド、生体加水分解性エステル、生体加水分解性カルバメート、生体加水分解性カーボネート、生体加水分解性ウレイド、及び生体加水分解性リン酸アナログ(例えば、一リン酸塩、二リン酸塩、又は三リン酸塩)などの生体加水分解性基を含む化合物の誘導体が、挙げられる。
本明細書で使用される場合、「水和物(hydrate)」は、水分子が、化合物の構造複合体の不可欠な部分として、特定の比で結合される化合物の形態である。
本明細書で使用される場合、「溶媒和物(solvate)」は、溶媒分子が、化合物の構造複合体の不可欠な部分として、特定の比で結合している化合物の形態である。
本明細書で使用される場合、「医薬的に許容される(pharmaceutically acceptable)」とは、一般的に安全であり、非毒性であり、生物学的にも他の点でも望ましくないものではない、医薬組成物を調製するのに有用であることを意味し、そして獣医学的用途、及びヒト医薬用途に有用であることを含む。
「医薬的に許容される塩(pharmaceutically acceptable salts)」、又は「その塩(salts thereof)」は、上記で定義したように医薬的に許容され、そして所望の薬理活性を有する塩を意味する。このような塩には、有機酸、及び無機酸、例えば、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、リン酸、酢酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、アスコルビン酸などと形成される酸付加塩が挙げられる。塩基付加塩は、有機塩基、及び無機塩基、例えば、ナトリウム、アンモニア、カリウム、カルシウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N‐メチルグルカミン、コリンなどで形成されてもよい。医薬的に許容される塩、又は本明細書の式のいずれかの化合物が含まれる。
本明細書で使用される場合、用語「医薬的に許容される塩(pharmaceutically acceptable salt)」は、構造に応じて、化合物の医薬的に許容される有機酸塩、無機酸塩、又は塩基塩を意味する。代表的な医薬的に許容される塩には、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、水溶性、及び不水溶性の塩、例えば、酢酸塩、アムソナート(4,4‐ジアミノスチルベン‐2,2‐ジスルホン酸塩)、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストラート(estolate)、エシレート(esylate)、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムケート(mucate)、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N‐メチルグルカミンアンモニウム塩、3‐ヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(1,1‐メテン‐ビス‐2‐ヒドロキシ‐3‐ナフトエ酸、エンボナート(einbonate))、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸塩、p‐トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、スラメート(suramate)、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド、及び吉草酸塩が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、「保護基(protecting group)」、又は「保護基(protective group)」は、当該技術分野で公知であり、そしてGreeneの、Protective Groups in Organic Synthesisに示されるように使用される。
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル保護基(hydroxyl protective group)」、「ヒドロキシル保護基(hydroxyl protecting group)」、又は「ヒドロキシル保護基(hydroxyl blocking group)」は、T.W.Greeneの、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,1991(以下、「Greene、Protective Groups in Organic Synthesis」)に記載されているような、アルコール、又はヒドロキシル保護基の一般的に理解されている定義を意味する。
本明細書で使用される場合、「酸保護基(acid protective group)」、「酸保護基(acid protecting group)」、又は「カルボン酸保護基(carboxylic acid blocking group)」は、T.W.Greeneの、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,1991(以下、「Greene、Protective Groups in Organic Synthesis」)に定義されるような、カルボン酸基のための保護の一般的に理解されている定義を意味する。
本明細書中で使用される場合、「アミン保護基(amine protective group)」、又は「アミン保護基(amine protecting group)」は、T.W.Greeneの、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,1991(以下、「Greene、Protective Groups in Organic Synthesis」)に定義されるような、アミノ基のための保護の一般的に理解されている定義を意味する。
本明細書で使用される場合、「アルコール保護基(alcohol protecting group)」、又は「アルコール保護基(alcohol protective group)」は、アルコール基が、分子の他の部分で起こっている反応に関与するのを防ぐ官能基である。適切なアルコール保護基は、当業者に周知であり、そして、T.W.Greeneの、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,Inc.1981に記載されており、その全教示は、参照により本明細書に組み込まれる。例示的なアルコール保護基は、限定されないが、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、p‐メトキシエトキシメチルエーテル、メトキシメチルエーテル、ジメトキシトリチル、p‐メトキシベンジルエーテル、トリチル、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBMDS)、tert‐ブチルジメチルシリルオキシメチル(TOM)、又はトリイソプロピルシリル(TIPS)エーテル)、テトラヒドロピラニル(THP)、メチルエーテル、及びエトキシエチルエーテル(EE)が挙げられる。いくつかの実施態様では、用語「ヒドロキシル保護基(hydroxyl protecting group)」、及び「アルコール保護基(alcohol protecting group)」は、交換可能に使用される。
本明細書で使用される場合、実質的に純粋な化合物、又は異性体は、得られる異性体混合物の90%、好ましくは、得られる異性体混合物の95%、又はより好ましくは、得られる異性体混合物の98%、更により好ましくは、得られる異性体混合物の99%、そして最も好ましくは、得られる異性体混合物の99%超である。
一態様では、プロスタサイクリン誘導体を調製するための方法が提供される。そのような誘導体は、いくつかの実施態様において、トレプロスチニル、及びベラプロストの誘導体を含んでもよい。本方法は、また、プロスタサイクリン誘導体の調製に有用な多くの中間体化合物の調製を含む。一態様では、本方法は、実質的に、異性体的に純粋な形態で、一般式(I)、式(II)、式(III)、及び式(IV)によって表される医薬化合物を生成することを提供する。本方法は、公知の合成方法よりも少ない工程で完了し、そして商業的に有用な量を調製するために行われてもよい。他の態様では、立体選択的、効率的、拡張可能、及び経済的である、プロスタサイクリン誘導体、例えば、ベラプロストの類似体を製造するための合成方法が提供される。他の態様では、実質的に異性体的に純粋な化合物、及び中間体は、上記方法によって製造される。ベラプロスト、及びその塩、例えば、ナトリウム塩は、肺高血圧症、慢性末梢血管疾患、及び動脈血栓症などの様々な状態の治療に効果的に使用される。従って、一態様では、本発明は、化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、これらの状態を治療する方法を含む。
一実施態様では、本発明は、新規中間体を使用して、ベラプロストを調製するための新規方法に関する。本方法は、標的化合物を製造するための、はるかに効率的で商業的に実行可能な方法である。他の実施態様では、ベラプロスト、及び他のプロスタサイクリン誘導体の合成に有用な新規合成中間体化合物が提供される。
一実施態様では、以下の式(I):
の化合物、その水和物、溶媒和物、プロドラッグ、又は医薬的に許容される塩の調製方法を提供し、本方法は、以下の工程:
(a)式(II)の置換ハロフェノールを、6‐オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサ‐2‐エンと反応させて、構造式(III)で表されるエーテル化合物を生成させ、
式中、Xは、F、Cl、Br、又はIであり;R1は、アルキル、シクロアルキル、又はTBDMSであり;そしてR2は、独立して、H、又はアルコール保護基である。
反応は、適切な触媒、及び溶媒の存在下で行われる。適切な触媒は、限定されないが、金属触媒、例えば、パラジウム触媒、例えば、PdCl2(PPh3)2、Pd(Ph3)4、PdCl2(dppf)2、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3などが挙げられる。一実施態様では、パラジウム触媒は、PdCl2(PPh3)2である。
適切な溶媒は、限定されないが、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノール、ケトン、例えば、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン(DCM)、二塩化エチレン、クロロホルム、エステル、例えば、酢酸エチル、酢酸n‐プロピル、酢酸n‐ブチル、酢酸t‐ブチル、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt‐ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、極性非プロトン性溶媒、例えば、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N‐メチルピロリドン、ニトリル、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、水;又はそれらの混合物が挙げられる。一実施態様では、溶媒は、THFである。
上記反応で使用される、6‐オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサ‐2‐エンは、以下のスキームに示すように、ジシクロペンタジエンから出発して得ることができる。
ジシクロペンタジエンダイマーを、適切な温度に加温し、そして蒸留して、ペンタジエンモノマーを得て、その後、これを過酢酸エポキシ化に供して、6‐オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサ‐2‐エンを得る。
(b)式(III)のエーテル化合物を、アセチル化して、式(IV)の化合物を形成させ、
式中、X、R1は、上で定義された通りであり;そしてR2は、アセチル基である。
適切なアセチル化方法は、当該技術分野で公知である。例えば、式(III)の化合物は、場合により適切な触媒の存在下で、適切なアセチル化剤、例えば、カルボン酸、又はカルボン酸無水物、例えば、プロピオン酸無水物、又は無水酢酸で処理することができる。本反応に適した触媒は、限定されないが、4‐ジメチルアミノピリジン(DMAP)、4‐ピロリジノピリジントリフルオロ酢酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、フッ化アルキルスルホン酸、酢酸、クエン酸、アスコルビン酸、テトラブチルアンモニウム炭酸水素ナトリウム、4‐(ジメチルアミノ)ピリジン、炭酸ナトリウム、ピリジン、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化コリン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸亜鉛、酢酸アンモニウムなどが挙げられる。
エーテル化合物(III)は、アセチル化の前に、適切な溶媒に溶解してもよい。適切な溶媒は、限定されないが、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノール、ケトン、例えば、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン(DCM)、二塩化エチレン、クロロホルム、エステル、例えば、酢酸エチル、酢酸n‐プロピル、酢酸n‐ブチル、酢酸t‐ブチル、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt‐ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、極性非プロトン性溶媒、例えば、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N‐メチルピロリドン、ニトリル、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、水;またはそれらの混合物が挙げられる。一実施態様では、溶媒は、DCMである。
(C)AIBNの存在下で、式(IV)の化合物を、アリルトリブチルスタンナンで、アリル化して、アリル化生成物(V)を生成させ、
式中、X、R1、及びR2は、上で定義された通りである。
アリル化反応は、当技術分野で公知の適切なアリル化試薬、例えば、アリルトリブチルスズ(アリル‐Bu3Sn)、臭化アリルマグネシウム(アリル‐MgBr);ハロゲン化アリル、例えば、塩化アリル、臭化アリル、又はヨウ化アリル;アリルトリハロシラン、例えば、アリルトリクロロシラン、アリルトリブロモシラン;カルボン酸アリル;アリルカーボネート;カルボン酸ジアリル;硫化ジアリル、又は金属アリル試薬など、又はそれらの組み合わせを使用して行うことができる。一実施態様では、アリル化剤は、アリルトリブチルスズである。一実施態様では、式(IV)のハロ化合物は、アリルトリブチルスズ、及びラジカル開始剤を使用して、ケック(Keck)ラジカルアリル化に供される。適切なラジカル開始剤は、当該分野で公知であり、限定されないが、アゾビス‐イソ‐ブチロニトリル(AIBN)、又は過酸化物、例えば、ジ‐tert‐ブチル、ジラウロイル、又はジベンゾイル過酸化物が挙げられる。アリル化反応には、本明細書に列挙されているような適切な溶媒を使用することができる。一実施態様では、炭化水素溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルベンゼン、又はハロゲン化炭化水素溶媒、例えば、ハロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが、アリル化反応のために使用される。
(d)式(V)の末端アルケン化合物を、分子間アリルアセトキシル化に供して、式(VI)の化合物を形成させ、
式中、R1、及びR2は、上で定義された通りである。
分子間アリルアセトキシル化反応は、Pd(II)触媒のような金属触媒の存在下、酢酸などのカルボン酸を用いて行うことができる。適切な金属触媒は、当該技術分野において公知であり、そしてPdCl2、Pd(OAc)2、Pd(OOCCF3)2、Pd(dba)2、PdBr2、Pd(OTf)2など、又はそれらの組み合わせが挙げられる。アリル化反応には、本明細書に列挙されているような適切な溶媒を使用することができる。一実施態様では、溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMA)である。
(e)式(VI)の化合物を、ジヒドロキシル化して、式(VII)の化合物を生成させ、
式中、R1、及びR2は、上で定義された通りである。
化合物(VI)の酢酸ブテニル側鎖は、酸化剤を用いて、触媒ジヒドロキシル化に供される。本方法で使用される触媒は、オスミウム触媒である。当該技術分野で公知の適切な酸化剤、又は酸素源は、ジヒドロキシル化過程で使用することができる。適切な酸化剤は、限定されないが、N‐メチルモルホリンN‐オキシド(NMO)、アミンオキシド(例えば、トリメチルアミンオキシド)、tert‐ブチルヒドロペルオキシド、過酸化水素、及び酸素+金属触媒(例えば、銅(Cu+‐Cu++/O2)、白金(Pt/O2)、パラジウム(Pd/O2)など、又はそれらの組む合わせが挙げられる。一実施態様では、N‐メチルモルホリンN‐オキシド(NMO)が、酸化剤として使用される。オスミウムは、他の供給源(例えば、三塩化オスミウム、三塩化オスミウム水和物)が使用し得るが、一般的に、オスミウム四酸化物(OsO4)の形態で、提供される。OsO4は、固体、又は溶液として添加することができる。一実施態様では、化合物(VI)は、N‐メチルモルホリンN‐オキシド(NMO)酸化剤、及びOsO4の触媒量を使用して、触媒ジヒドロキシル化に供される。ジヒドロキシル化反応には、本明細書に列挙されているような適切な溶媒を使用することができる。一実施形態では、溶媒は、アルコール、水、及び不活性溶媒の組み合わせである。一実施態様では、溶媒は、ブタノール、水、及びTHFの混合物を含む。
(f)ジヒドロキシ化合物(VII)を酸化させて、式(VIII)のアルデヒド化合物を生成させ、
式中、R1、及びR2は、上で定義された通りである。
ジヒドロキシ化合物(VII)を酸化に供して、式(VIII)のアルデヒド化合物を生成させる。この酸化反応には、当該技術分野で公知の適切な酸化条件、及び試薬を用いることができる。一実施態様では、ジヒドロキシ化合物は、過ヨウ素酸塩酸化に供される。酸化反応に使用される適切な過ヨウ素酸塩は、限定されないが、メタ過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸三ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、パラ過ヨウ素酸ナトリウムなど、及びこれらの組み合わせが挙げられる。一実施態様では、ジヒドロキシ化合物は、メタ過ヨウ素酸ナトリウムを用いて酸化される。本明細書に列挙したもののような適切な溶媒が、酸化反応に用いられてもよい。一実施態様では、溶媒は、水と有機溶媒との組み合わせである。一実施態様では、溶媒は、水とジクロロエタンとの混合物を含む。
(g)式(VIII)のアルデヒド化合物を還元し、そしてアセチル基を除去して、式(IX)のジオール化合物を得て、
式中、R1は、上で定義した通りである。
アルデヒド化合物(VIII)の式(IX)のアルコールへの還元には、任意のアルカリ金属水素化ホウ素、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、又は水素化ホウ素リチウムを使用することができる。本明細書に列挙したもののような適切な溶媒を、酸化反応に用いることができる。一実施態様では、溶媒は、アルコール溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなど、又はそれらの組み合わせが挙げられる。一実施態様では、溶媒は、メタノールである。
アセチル基は、酸性、又は塩基性条件下で除去される。一実施態様では、式(IX)の化合物は、酸性条件下で脱アセチル化される。本目的のために任意の酸が使用されてもよい。例示的な酸は、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、酢酸、硝酸、及び過塩素酸が挙げられる。一実施態様では、酸は、硫酸である。得られたエステルジオール化合物(IX)は、ベラプロストの製造に使用できる重要な中間体である。
(h)式(IX)のジオールを、式(VIIIA)の保護されたアルデヒドに変換し、
式中、R6は、アルコール保護基である。
ジオールは、第1級アルコールにおいて、適切な保護基、例えば、トリチルエーテルで選択的に保護され、続いて、第2級アルコール基を、本明細書で定義される適切なアルコール保護基で保護され得る。一実施態様では、第2級アルコール保護基は、TBDMSである。二重アルコールで保護された化合物は、次に、Et2AlClのような適切な脱保護剤で、トリチル基の選択的脱保護に供して、アルコール中間体を得、これをさらに、スワーン酸化に供して、式(VIIIA)の保護されたアルデヒド中間体を得る。
(i)式(VIIIA)の保護されたアルデヒドを、式(X)のホスホネートと反応させて、式(I)の化合物を得、
式中、R3は、1〜4の炭素原子を有する、直鎖、又は分岐のアルキル基であり;R6は、アルコール保護基であり、そしてR1は、上で定義された通りである。
式(VIIIA)のアルデヒド化合物、及び式(X)のホスホネートを、Chem.Rev.,volume74,page87(1974)に記載されたような、ウィッティヒ‐ホーナー‐エモンズ反応において反応させて、ベラプロストを得る。ケト‐ホスホネート側鎖(X)を、コアベラプロストアルデヒド類似体(VIIIA)にカップリングする方法は、本発明の譲受人に譲渡されたWO2012/174407に記載されており、その内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
一実施態様では、ベラプロストを調製する方法は、以下のスキームIに示される通りである。
ジオールエステル(IX)から出発して、ベラプロストは、以下のスキームにより調製することができる。
上記スキームに示されるように、ジオール(1)は、トリチルエーテル(2)で、第一級アルコールで、位置選択的に保護され、続いて、第二級アルコール(3)で、TBDMSエーテルで、保護される。トリチルエーテル(3)の化学選択的脱保護は、Et2AlClを用いて達成され、アルコール中間体(4)を得る。アルコール中間体(4)は、スワーン酸化して、アルデヒド中間体(5)を得、これを、純粋なホスホネート側鎖と、弱塩基LiOH・H2Oの存在下、ホーナー‐ワズワース‐エモンス(HWE)カップリングして、エノン中間体(6)を提供する。
次に、以下のスキームを用いて、エノン中間体(6)は、ベラプロストに変換することができる。
上記スキームに示されるように、ベラプロストは、2つの可能な経路を介して、エナン中間体(6)から調製することができる。1つの経路は、エナン(6)のTBDMS基を開裂し、ケト‐アルコールを得、そしてそれは、結晶化されて、ジアステレオマーとして純粋なケト‐アルコール(8)を得ることを含む。これは、不斉CBS還元に供されて(工程8→9)、エステル(9)としてのベラプロストの最後から2番目の中間体を得る。他の実施態様では、エノン中間体(6)の還元工程は、最初に実施されて(工程6→7)、中間体(7)を得て、そしてそれは、続いて、TBDMS基の開裂に供して、エステル(9)としてベラプロストの最後から2番目の中間体を得て、そしてそれは、結晶化により精製される。ケトン(6、及び8)は、コーリー試薬、すなわち、CBS還元を用いて、不斉還元に供される。最後に、エステル(9)は、塩基を用いて加水分解され、続いて、カリウム塩を形成させて、カリウム塩の形態の単一異性体として、ベラプロストを得る。
式(X)のホスホネート化合物は、以下のスキームIIに示されるように、(1S,2S)‐プソイドエフェドリン、又は(1R,2R)‐プソイドエフェドリンから出発して、調製することができる。スキームIIにおいて、R3は、1〜4個の炭素原子を有する、直鎖、又は分岐のアルキル基である。
スキームIIに示されるように、(1R,2R)‐プソイドエフェドリン(XI)は、塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下、塩化プロピオニルで処理され、N‐メチルプロピオンアミド化合物(XII)を形成し、そしてそれは、次に、ハロブチン(halobutyne)、例えば、1‐クロロ‐2‐ブチン、1‐ブロモ‐2‐ブチン、1‐ヨード‐2‐ブチンで、アルカリ金属アミド塩基、例えば、LiN(SiMe3)2、NaN(SiMe3)2、KN(SiMe3)2など、又はそれらの組み合わせの存在下、処理され、共役生成物(XIII)を得る。ジアステレオマー共役生成物(XIII)は、触媒、例えば、4‐ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下、無水酢酸で処理され、アセチル化生成物(XIV)を得る。アセチル化生成物(XVI)は、酸、例えば、硫酸で処理され、アミン生成物(XVI)、及び酸生成物(XVII)を得、これらは、塩化オキサリル機構を用いて、酸塩化物(XVIII)に変換される。酸塩化物は、N,O‐ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩で処理され、対応する、N‐メトキシ‐N‐メチルアミン化合物(XIV)を得、ジメチルメチルホスホネートリチウム塩でさらに処理され、ジメチルメチルホスホネートと、アルキルリチウム、例えば、n‐ブチルリチウム、又はメチルリチウムとを反応させることにより、生成され得、ホスホネート化合物(X)の生成をもたらす。
あるいは、式(X)のホスホネート化合物は、一般的に、以下のスキームIIIに示されるように、調製することができる。スキームIIIにおいて、R3は、1〜4個の炭素原子を有する、直鎖、又は分岐のアルキル基である。
スキームIIIに示されるように、ジエチルメチルマロン酸塩(XXI)は、ハロブチン、例えば、1‐クロロ‐2‐ブチン、1‐ブロモ‐2‐ブチン、1‐ヨード‐2‐ブチンで、アルカリ金属アミド塩基、例えば、LiN(SiMe3)2、NaN(SiMe3)2、KN(SiMe3)2など、又はそれらの組み合わせの存在下、処理され、共役生成物(XXII)を得る。共役生成物(XXII)は、塩化リチウムで処理され、エチル2‐メチルヘキサ‐4‐イノエート(XXIII)を得る。化合物(XXIII)は、N,O‐ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させて、対応する、N‐メトキシ‐N‐メチルアミン化合物(XIX)を得、ジメチルメチルホスホネートリチウム塩でさらに処理され、ジメチルメチルホスホネートと、アルキルリチウム、例えば、n‐ブチルリチウム、又はメチルリチウムとを反応させることにより生成し得、ホスホネート化合物(X)の生成をもたらす。
一実施態様では、ホスホネート化合物(X)、例えば、(S)‐ジメチル‐(3‐メチル‐2‐オキソヘプタ‐5‐イン‐1‐イル)ホスホネート(8)は、以下のスキームIVに従って、(1R,2R)‐プソイドエフェドリンから出発することで調製することができる。
スキーム(IV)に示されるように、ジクロロメタン中のトリエチルアミンの存在下、0℃で、塩化プロピオニル(2)で、(1R,2R)‐プソイドエフェドリン(1)のプロピオニル化を行って、(1R,2R)‐プソイドエフェドリンプロピオンアミドを、高収率で得ることができる。アミド(3)は、また、商業的にも入手可能であるが、少量である。−78℃のテトラヒドロフラン中の添加剤としてのリチウムジイソプロピルアミド(LDA)、及び無水塩化リチウムの存在下、1‐ブロモ‐2‐ブチン、及びヨウ化ナトリウムからのインサイチュ生成1‐ヨード-2-ブチンを用いたアミド(3)のジアステレオ選択的アルキル化は、92%収率、及び97.6%(de)で、(1R,2R)-プソイドエフェドリンメチルヘキシンアミド(methylhexynamide)を得た。キラル純度を高めるための種々の溶媒によるメチルヘキシンアミドの結晶化は、成功しなかった。結晶性メチルヘキシンアミドを得るために、室温で、高収率で、無水酢酸、及び4-(ジメチルアミノ)ピリジンを、ジクロロメタン中で用いて、対応するアセテート(5)に誘導体化する。アセテート(5)は、ヘプタンから、白色の四角い結晶として結晶化される。結晶性アセテート(5)のジアステレオマー純度は、99.4%(de)である。酢酸エステル(5)は、1,4‐ジオキサン中の9Nの硫酸で加水分解して、キラルカルボン酸(6)、及びプソイドエフェドリン(7)を、再生キラル補助剤として得、これらは、単純な抽出単離法により、回収することができる。ジクロロメタン中のピリジンの存在下、0℃で、酸(6)は、塩化オキサリル、及びN,O‐ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩を用いて、ワインレブアミド(7)に変換される。キラルHPLCで測定したところ、アミド(7)のキラル純度は、99.9%であった。アミド(7)は、テトラヒドロフラン中のジメチルメチルホスホネートのリチウム塩で、−78℃で処理され、99.8%のキラル純度を有する、キラルケトホスホネート(8)を得る。(参考文献:D Lucet,T.L.Gall,C.Mioskowski,O.Ploux,及びA.Marquet,Tetrahedron Asymmetry,1996,7,985‐988)。
あるいは、ホスホネート化合物(X)、例えば、(S)‐ジメチル‐(3‐メチル‐2‐オキソヘプタ‐5‐イン‐1‐イル)ホスホネート(8)は、以下のスキームVに従って、(1S,2S)‐プソイドエフェドリンから開始して調製することができる。
(S)‐3‐メチル‐2‐オキソヘプタ‐5‐イニルホスホン酸ジメチルエステル(8)は、参考文献:A.GMyers,B.H.Yang,H.Chen,L.McKinstry,D.J.Kopecky及びJ.L.Gleason,J.Am.Chem.Soc.1997,119,6496‐6511に示されたように、(1R,2R)‐プソイドエフェドリン(1)のエナンチオマー、(1S,2S)‐プソイドエフェドリン(9)を用いて、合成することができる。トリエチルアミンの存在下、(1S,2S)‐プソイドエフェドリン(9)の、4‐ヘキシノイルクロリドでのアシル化により、カルボキシアミド(11)が得られる。ジイソプロピルアミド(LDA)、及び無水塩化リチウムの存在下での、テトラヒドロフラン中のカルボキシイミド(11)ヨウ化メチルのジアステレオ選択的メチル化により、(1S,2S)プソイドエフェドリンメチルヘキシンアミド(12)が得られる。4‐(ジメチルアミノ)ピリジンの存在下での、無水酢酸によるアミド(12)のアセチル化、続いての酸加水分解により、同じカルボン酸、(S)‐2‐メチル‐4‐ヘクス‐4‐イン酸(6)が得られる。N‐アシル基、ハロゲン化アルキル、及びプソイドエフェドリン補助(1R,2R、又は1S,2S)の立体配置を適切に選択することにより、(S)‐2‐メチル‐ヘクス-4-イン酸(6)を合成することができる。キラルに富んだ酸(6)は、ベラプロスト(314d)の単一異性体の合成のために、所望のケトホスホネート側鎖に変換される。
(S)-ジメチル‐(3‐メチル‐2‐オキソヘプタ‐5‐イン‐1‐イル)‐ホスホネート(8)のキラル純度を決定するために、対応するラセミケトホスホネート、すなわち、ラセミジメチル‐(3‐メチル‐2‐オキソヘプト‐5‐イン‐1‐イル)ホスホネート(20)を、下記スキームVIに示されるように合成する。
室温で、N,N‐ジメチルホルムアミド中の炭酸カリウムの存在下、又は室温で、テトラヒドロフラン中のカリウムtert‐ブトキシドの存在下、1‐ブロモ‐2‐ブチン(15)を用いた、ジエチルメチルマロン酸塩(14)のアルキル化により、ジエチルメチル‐(2‐ブチニル)マロン酸塩(16)を、定量的収率で得た。ジメチルスルホキシド中の塩化リチウムを用いた、マロン酸塩(16)の180℃での脱カルボエトキシル化は、ラセミエチル2‐メチル‐ヘキサ‐4‐イノエート(17)を、良好な収率で与えた。ラセミエステル(17)は、−78℃で、イソプロピルマグネシウムクロリド、及びN,O‐ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩を、テトラヒドロフラン中で用いて、ワインレブアミド(18)に変換される。ラセミアミド(18)は、−78℃で、テトラヒドロフラン中のジメチルメチルホスホネートのリチウム誘導体で処理され、ラセミジメチル‐(3‐メチル‐2‐オキソヘプタ‐5‐イン‐1‐イル)‐ホスホネート(20)を得る。ケトホスホネート(20)は、また、テトラヒドロフラン中の、対応するマロン酸(19)、及び1,1’‐カルボニルジイミダゾール(CDI)、及びジメチルメチルホスホネートのリチウム塩を介して、ジエチルメチル‐(2‐ブチニル)マロン酸塩(18)から得られる。
(1R,2R)‐プソイドエフェドリンメチルヘキシンアミドアセテート(5)のジアステレオマー純度を決定するために、対応するラセミアセテート(23)を、以下のスキームVIIに示すように合成する。
ラセミエチル2‐メチル‐ヘキサ‐4‐イノエート(17)は、エタノール水溶液中で、水酸化カリウムで加水分解して、ラセミ2‐メチルヘクス‐4‐イン酸(21)を得る。カルボン酸(21)は、塩化オキサリルを用いて、酸塩化物に変換され、続いて、(1R,2R)‐プソイドエフェドリン(1)をアシル化して、プソイドエフェドリンメチルヘキシンアミド(22)のジアステレオマー混合物を良好な収率で得る。4‐(ジメチルアミノ)ピリジンの存在下での、無水酢酸によるアミド(22)のアセチル化は、プソイドエフェドリンメチルヘキシンアミドアセテート(23)のジアステレオマー混合物を、非常に良好な収率で与えた。
本明細書に記載の反応では、適切な溶媒は、限定されないが、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノール、ケトン、例えば、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン(DCM)、二塩化エチレン、クロロホルム、エステル、例えば、酢酸エチル、酢酸n‐プロピル、酢酸n‐ブチル、酢酸t‐ブチル、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt‐ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、極性非プロトン性溶媒、例えば、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N‐メチルピロリドン、ニトリル、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、水;又はそれらの混合物が挙げられる。一実施態様では、溶媒は、THFである。
本明細書に記載の反応では、反応に適した温度は、約500℃未満、約300℃未満、約200℃未満、約100℃未満、約80℃未満、約60℃未満、約40℃未満、約20℃未満、約0℃未満、約−10℃未満、又は任意の他の適切な温度である。いくつかの実施態様では、反応温度は室温である。適切な反応時間は、温度、及び他の条件に依存し、そして約30時間未満、約20時間未満、約10時間未満、約5時間未満、約2時間未満、約1時間未満、又は任意の他の適切な時間であってもよい。より長い時間も適切であり得る。
本発明の一実施態様は、以下の構造式(XV):
(式中、
Xは、F、I、Cl。又はBrであり;
R1は、アルキル、シクロアルキル、又はTBDMSであり;及び
R2は、独立して、H又はアルコール保護基である)
で表されるベラプロストの新規合成中間体、及びそれらの調製方法に関する。
いくつかの実施態様では、Xは、Br、Cl、又はIである。いくつかの実施態様では、R1は、メチル、又はエチルである。いくつかの実施態様では、R2は、H、THP、又はTBDMSである。
いくつかの実施態様では、式(XV)の化合物は、以下の式(XVA):
(式中、R1は、メチル、又はエチル基である)
を有する。
本発明の他の実施態様は、以下の構造式(XVI):
(式中、
R1は、メチル、又はエチルであり;
R2は、独立して、H、又はアルコール保護基であり;及び
R4は、CH(OH)CH2OH、又はCH=CH2である)
によって表されるベラプロストの新規合成中間体、及びそれらの調製方法に関する。
本発明のさらに他の実施態様は、下記の構造式(XVII):
(式中、R5は、H、又はアセチル基である)
で表されるベラプロストの新規合成中間体、及びそれらの調製方法に関する。
式(XV)、(XVI)、又は(XVII)の新規化合物を製造するための適切な方法は、本明細書に記載の通りである。
上記の化合物、及び方法では、Xは、ハロゲンを表す。いくつかの実施態様では、Xは、F、Cl、Br、又はIである。いくつかの実施態様では、Xは、Fである。いくつかの実施態様では、XはClである。いくつかの実施態様では、Xは、Brである。いくつかの実施態様では、Xは、Iである。
いくつかの実施態様では、R1は、Hである。いくつかの実施態様では、R1は、アルキル基である。いくつかの実施態様では、R1は、C1-6アルキル基である。他の実施態様では、R1は、酸保護基である。適切なカルボン酸保護基R1は、当該技術分野において公知であり、そしてカルボン酸基をブロック、又は保護するために、一般的に使用されるカルボン酸基のエステル誘導体を含み、一方、反応は、化合物上の他の官能基で行われる。カルボキシレート基の保護のための例示的な基は、アリル、メチル、エチル、ニトロベンジル、ジニトロベンジル、テトラヒドロピラニル、メトキシベンジル、ジメトキシベンジル、トリメトキシベンジル、トリメチルベンジル、ペンタメチルベンジル、メチレンジオキシベンジル、ベンズヒドリル、4,4’ジメトキシベンズヒドリル、2,2’4,4’‐テトラメトキシベンズヒドリル、t‐ブチル、t‐アミル、トリチル、4メトキシトリチル、4,4’‐ジメトキシトリチル、4,4’,4’’‐トリメトキシトリチル、2‐フェニル‐プロパ‐2‐イル、トリメチルシリル、t‐ブチルジメチルシリル、フェナシル、2,2,2‐トリクロロエチル、b‐(トリ‐メチルシリル)エチル、b(ジ(n‐ブチル)メチルシリル)エチル、p‐トルエンスルホニルエチル、4‐ニトロベンジルスルホニルエチル、シンナミル、1‐(トリメチルシリルメチル)プロパ‐1‐エン‐3‐イルなどの部分が挙げられる。いくつかの実施態様では、R1は、ベンジル、tert‐ブチル、ジメトキシベンジル、ニトロベンジル、又はジニトロベンジル基である。
いくつかの実施態様では、R2は、Hである。いくつかの実施態様では、R2は、アセチル基である。他の実施態様では、R2は、アルコール保護基である。ヒドロキシル基の保護のための適切な基は、当該技術分野において公知であり、限定されないが、メチル、t‐ブチル、テトラヒドロピラニル、ベンジル、メトキシベンジル、ニトロベンジル、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリメチルシリル(TMS)、tert‐メチルジメチルシリル基、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、アリル、トリチル、エトキシエチル、1‐メチル‐1‐メトキシエチル、テトラヒドロピラニル、又はテトラヒドロチオピラニル基が挙げられる。一実施態様では、アルコール保護基は、テトラヒドロピラニル(THP)である。一実施態様では、アルコール保護基は、tert‐ブチルジオメチルシリル(TBDMS)である。
いくつかの実施態様では、R3は、Hである。いくつかの実施態様では、R3は、1〜4個の炭素原子を有する、直鎖、又は分岐のアルキル基である。いくつかの実施態様では、R3は、メチル、エチル、又はイソプロピル基である。いくつかの実施態様では、R3は、メチル基である。
いくつかの実施態様では、R4は、CH(OH)CH2OH、又はCH=CH2である。いくつかの実施態様では、R4は、CH(OH)CH2OHである。他の実施態様では、R4は、CH=CH2である。
いくつかの実施態様では、R5は、Hである。いくつかの実施態様では、R5は、アセチル基である。他の実施態様では、R5は、ヒドロキシル保護基である。
他の実施態様は、式IX:
のラセミベラプロストエステルジオールの代替的な調製方法を提供し、そして以下の工程:
(i)式(II)の置換されたハロフェノールを、6‐オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサ‐2‐エンと反応させて、構造式(III)で表されるエーテル化合物を形成させる
(式中、Xは、F、Cl、Br、又はIであり;R1は、アルキル、シクロアルキル、又はTBDMSであり;そしてR2は、独立して、H、又はアルコール保護基である)
ことを含む。
本反応は、適切な触媒、及び溶媒の存在下、行われる。適切な触媒は、限定されないが、金属触媒、例えば、パラジウム触媒、例えば、PdCl2(PPh3)2、Pd(Ph3)4、及びPdCl2(dppf)2、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3が挙げられる。一実施態様では、パラジウム触媒は、PdCl2(PPh3)2である。
適切な溶媒は、限定されないが、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノール、ケトン、例えば、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン(DCM)、二塩化エチレン、クロロホルム、エステル、例えば、酢酸エチル、酢酸n‐プロピル、酢酸n‐ブチル、酢酸t‐ブチル、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt‐ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、極性非プロトン性溶媒、例えば、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N‐メチルピロリドン、ニトリル、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、水;又はそれらの混合物が挙げられる。一実施態様では、溶媒は、THFである。
(ii)AIBNの存在下で、式(III)の化合物を、アリルトリブチルスタンナンでアリル化して、アリル化生成物(VA)を生成させ、
式中、X、R1、及びR2は、上で定義される通りである。
アリル化反応は、例えば、当該技術分野において公知の適切なアリル化試薬、例えば、アリルトリブチルスズ(アリル‐Bu3Sn)、臭化アリルマグネシウム(アリル‐MgBr);ハロゲン化アリル、例えば、塩化アリル、臭化アリル、又はヨウ化アリル;アリルトリハロシラン、例えば、アリルトリクロロシラン、アリルトリブロモシラン;カルボン酸アリル;アリルカーボネート;カルボン酸ジアリル;硫化ジアリル、又は金属アリル試薬など、又はそれらの組み合わせを使用して行うことができる。一実施態様では、アリル化剤は、アリルトリブチルスズである。一実施態様では、式(IV)のハロ化合物は、アリルトリブチルスズ、及びラジカル開始剤を使用して、ケック(Keck)ラジカルアリル化に供される。適切なラジカル開始剤は、当該技術分野で公知であり、限定されないが、アゾビス‐イソ‐ブチロニトリル(AIBN)、又は過酸化物、例えば、ジ‐tert‐ブチル、ジラウロイル、又はジベンゾイル過酸化物が挙げられる。アリル化反応には、本明細書に列挙されているような適切な溶媒を使用することができる。一実施態様では、炭化水素溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルベンゼン、又はハロゲン化炭化水素溶媒、例えば、ハロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが、アリル化反応のために使用される。一実施態様では、溶媒は、トルエンである。
(iii)式(VA)の末端アルケン化合物を、末端オレフィン異性化に供して、式(VIA)の化合物を形成させ、
式中、R1、及びR2は、上で定義された通りである。
末端オレフィン異性化反応は、遷移金属触媒、例えば、ルテニウム、イリジウム、コバルト、ロジウム、オスミウム、白金、ニッケル、鉄など、又はそれらの組み合わせの水素化物、及びカルボニル水素化物錯体を使用して、穏やかな条件下で行うことができる。一実施態様では、触媒は、水素化ルテニウム錯体である。一実施態様では、遷移金属触媒は、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)である。異性化反応には、本明細書に列挙したような適切な溶媒を使用することができる。一実施態様では、炭化水素溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルベンゼン、又はハロゲン化炭化水素溶媒、例えば、ハロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが、アリル化反応に使用される。一実施態様では、溶媒は、トルエンである。
(iv)式(VIA)の化合物を、オゾン分解し、そして還元して、式(IX)のジオールを提供し、
式中、R1は、上で定義された通りである。
アルケニルヒドロキシ化合物(VIA)は、オゾン分解され、アルデヒド中間体を形成し、これをさらに、インサイチュで、還元して、ジオール化合物(IX)を得る。適切なオゾン分解条件、及び当該技術分野で公知の試薬を、反応に使用することができる。一実施態様では、オゾンガスは、アルケニルヒドロキシ化合物を含有する溶液に、吹き込まれる。オゾン分解反応のために、本明細書に列挙されているような適切な溶媒を使用することができる。一実施態様では、溶媒は、1つ以上の有機溶媒の組み合わせである。一実施態様では、溶媒は、無水メタノールとジクロロメタンの混合物を含む。いくつかの実施態様では、溶液は、適切な温度で、オゾンガスをバブリングする前に、冷却される。一実施態様では、溶液は、オゾンガスを適切な温度でバブリングする前に、−78℃に冷却される。
当該技術分野において公知の適切な還元反応条件、及び試薬は、オゾニド中間体のジオール化合物(IX)への、インサイチュでの還元のために、使用することができる。任意のアルカリ金属水素化ホウ素、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、又は水素化ホウ素リチウムは、還元反応に使用することができる。本明細書に列挙されているような適切な溶媒を、還元反応に使用することができる。
得られたジオール(IX)は、本明細書に記載の方法を用いて、式Iのベラプロストに変換することができる。一実施態様では、ラジカル環化によるラセミベラプロストエステルジオールの代替的な合成方法は、以下のスキームIXに示される通りである。
スキームI、及びスキームIXで説明したように、ベラプロストは、2‐ハロフェノール‐6‐カルボアルコキシ‐プロパンを、シクロペンタジエンモノエポキシド、又は4‐ヒドロキシシクロペンテノンとカップリングさせて、ベラプロストのコア三環式化合物を得ることによって、合成することができる。従って、一実施態様は、以下の式II:
の化合物の調製方法を提供し、以下の工程:
(i)式(XXV)のα‐テトラロンを酸化して、構造式(XXVI)で表されるベンゾラクトンを形成させる。
適切な酸化反応条件、及び当該技術分野において公知の試薬は、α‐テトラロン化合物を、ベンゾラクトン(XXVI)に酸化するために、使用することができる。一実施態様では、酸化は、適切な過酸での、α‐テトラロン化合物のバイヤービリガー酸化を含む。一実施態様では、過酸は、3‐ハロペル安息香酸である。本明細書に列挙したもののような好適な溶媒を酸化反応に用いることができる。
(ii)式(XXVI)のベンゾラクトンを加水分解して、構造式(XXVII)で表される化合物を得る。
ベンゾールラクトンは、当技術分野で公知の触媒、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムアルコキシド、又はカリウムアルコキシドのような塩基触媒の存在下で、適切な試薬を用いて加水分解することができる。一実施態様では、塩基は、ナトリウムメトキシドである。本明細書に列挙したもののような適切な溶媒を、酸化反応に用いることができる。一実施態様では、溶媒は、アルコール溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなど、又はそれらの組み合わせが挙げられる。一実施態様では、溶媒は、メタノールである。
(iii)式(XXVII)の化合物をハロゲン化して、構造式(II)で表される化合物を得、式中、X、及びR1は、上で定義された通りである。
化合物(XXVII)の位置選択的o‐ハロゲン化は、適切なハロゲン化試薬、及び条件を用いて行うことができる。一実施態様では、オルトハロゲン化は、N‐ハロスクシンイミド、例えば、N‐クロロスクシンイミド、又はN‐ブロモスクシンイミドを、第二級アミンの存在下で使用して、実施することができる。適切な第二級アミンには、例えば、ジアルキルアミンが含まれる。いくつかの実施態様では、第二級アミンは、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、モルホリン、及びピペリジンなど、又はそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。本明細書に列挙したもののような適切な溶媒を、ハロゲン化反応に使用することができる。
ハロ化合物、例えば、ブロモフェノール‐6‐カルボメトキシ‐プロパンは、以下のスキームXに示されるように、3つの工程で、α‐テトラロンから合成されてもよい。
室温で、ジクロロメタン中の3‐クロロ過安息香酸を用いた、α‐テトラロン(1)のバイヤービリガー酸化は、良好な収率で、ベンゾラクトン(3)を生成することができる。室温で、メタノール中のナトリウムメトキシド(4)を用いた、ベンゾラクトン(3)の開環は、メチル4‐(2‐ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)を、定量的収率で得ることができる。
ジイソプロピルアミンの存在下での、N‐ブロモスクシンイミド(NBS)を用いた、4‐(2‐ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)の位置選択的オルト‐臭素化(オルト‐臭素化のための参照:M.Dindarouglu,A.Falk及びH.G.Schmalz,Synthesis,2013,45,527‐535)は、分離できない2,4‐ジブロモフェノール‐6‐カルボメトキシプロパン(11)(7〜10%)と共に、所望の2‐ブロモフェノール‐6‐カルボメトキシプロパン(8)(90〜93%)を生成した(スキームIX)。2‐ブロモ化合物の純度を向上させるために、種々の溶媒(THF、DMF、CCl4、トルエン、CH2Cl2、及びDME)、及び温度(−78℃〜室温)での、N‐ブロモスクシンイミド(NBS)、及び臭素による、4‐(2‐ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)の位置選択的臭素化は、以下のスキームXIに従って、検討した。
THF中のNBSを用いた、4‐(2‐ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)の臭素化は、2‐ブロモ、2,4‐ジブロモ置換生成物、及び未知の不純物の混合物(1H NMRによる)を生じ、DMFにおいて、所望する生成物を生成せず、出発物質のみである(TLCによる)。1,2‐ジメトキシエタン(DME)における、化合物(5)のNBS反応は、2‐ブロモ、4‐ブロモ、2,4‐ジブロモ置換副産物、及び出発物質の混合物を生じる。0℃〜室温で、CCl4、トルエン中で反応を行う場合、2‐ブロモ化合物(8)が、主生成物であり(85〜89%)、そして4‐ブロモ(10)(5〜7%)、及び2,4‐ブロモ(11)(5〜7%)が、副生成物である。ジクロロメタン中で、0℃で、2‐ブロモ(72.1%)、4‐ブロモ(6.8%)、及び2,4‐ジブロモ化合物(21.1%)の混合物は形成され、そして室温で、反応が行われる場合、さらに多くの4‐ブロモ、及び2,4‐ブロモ化合物が観察される(エントリー6、表1)。しかしながら、ジイソプロピルアミン(DIPA)の存在下、トルエン、CCl4、及びCH2Cl2中で、0℃で、臭素化が行われる場合、2‐ブロモの収率は、92〜97%に改善される。CH2Cl2、及びCCl4における、より低い温度(−78℃、及び−18℃〜0℃)での、化合物(5)の臭素化は、所望の2‐ブロモ化合物の収率(84〜85%)を改善せず、2,4‐ジブロモ化合物(14から15%)が、形成された(表1)。フェノール化合物(5)の臭素化反応は、2,4‐ジブロモ化合物の形成を避けるために、数滴のシクロヘキセン(エントリー18)、及び1.0mLのシクロヘキセン(エントリー19)を用いて行う。結果を以下の表1に示す。
表1:様々な溶媒中のN‐ブロモスクシンイミド(NBS)を用いた4‐(2‐ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)の臭素化
注:2‐ブロモ、4‐ブロモ、及び2,4‐ジブロモ化合物のパーセント比は、未反応の出発物質(すべての場合において3〜8%、エントリー22における17%を除く)を用いずに、再計算した。2.0当量のNBSを用いて、出発物質が残っていなかった(エントリー11)。
c=水性ワークアップを伴う、又は伴わない粗生成物;
p=酢酸エチル、及びヘキサンの勾配を用いる、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製;
r=−40℃で、シクロペンタン、及び酢酸エチル(比率:100:1)から再結晶化。
メチル4‐(2‐ヒドロキシプルテニル(hydroxypltenyl))ブタノエート(5)の臭素化は、臭素を用いて行うこともできる。0℃で、様々な溶媒(CCl4、及びCH2Cl2)中で、臭素分子を有する化合物(5)の臭素化は、所望しない4‐ブロモフェノール‐6‐カルボメトキシプロパン(10)(91〜97%)、及び非常に少ない2‐ブロモ化合物(3〜8%)のみを生成する(エントリー1及び3、表2)。2当量の臭素を用いて、4‐ブロモ、及び2,4‐ジブロモ化合物の混合物(それぞれ、26.4、及び73.6%)が、観察される(エントリー2)。ジエチルエーテル中で反応が行われる場合、2‐ブロモ、4‐ブロモ化合物、及び大量の未反応出発物質の混合物が、得られる(エントリー4)。
表2:様々な溶媒中の臭素を用いたメチル4‐(2‐ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)の臭素化
注:2‐ブロモ、4‐ブロモ、及び2,4‐ジブロモ化合物のパーセント比は、未反応出発物質(5%、エントリー1、及び28%、エントリー4)なしで再計算した。2.0当量のNBSを用いて、出発物質が残っていなかった(エントリー2)。
ジイソプロピルアミンの存在下での、NBSによる、4‐(2‐ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)の臭素化は、所望の2‐ブロモフェノール‐6‐カルボメトキシプロパン(8)を提供するが、臭素を用いると、所望しない4‐ブロモフェノール‐6‐カルボメトキシプロパン(10)のみである。これらの結果に基づいて、化合物(5)の臭素化を、ジイソプロピルアミンの存在下、ジクロロメタン中0℃で、NBSを用いて、7.1gスケールで実施し、86.8%の2‐ブロモ化合物(8)を生成した。カラムクロマトグラフィーによる2‐ブロモ、及び2,4‐ジブロモ化合物の分離は、これらの化合物のTLCにおける近いRfに起因して、困難であり得る。シクロペンタン/酢酸エチル(比率:100:1)による、粗ブロモ化合物の結晶化は、純度を、94%に改善し、そして61.1%を得た(エントリー1、表3)。同様の反応条件下で、粗フェノール化合物(5)(37.94g)を、NBS臭素化すると、67.0%の2‐ブロモ、及び21.1%の2,4‐ジブロモ化合物が、得られるのみである(エントリー2)。粗ブロモ化合物を、−40℃で、シクロペンタン/酢酸エチル(比率:100:1)から再結晶して、所望の2‐ブロモ化合物(8)を、純度95.1%、及び収率22.5%で得る(エントリー2)。同様の反応条件下で、純粋なフェノール化合物(5)(30.0g)を、NBS‐臭素化に使用して、88.7%の2‐ブロモ、及び6.9%の2,4‐ジブロモ化合物を得る(エントリー3)。粗ブロモ化合物の再結晶により、2‐ブロモ化合物(8)が、94.75%の純度で得られる。化合物のさらなる再結晶により、純粋な2‐ブロモ化合物(8)が、97.1%、及び61.4%の収率で得られる(エントリー3)。
表3:2‐ブロモフェノール‐6‐カルボメトキシプロパンのHPLC
上記の手順に従って、2‐ブロモフェノール‐6‐カルボメトキシプロパン(8)は、96〜97%の純度で、3工程で、α‐テトラロン(1)から合成され、そして2%未満の2,4‐ジブロモ‐6‐カルボメトキシプロパン(11)を有する。
2,4‐ジブロモフェノール‐6‐カルボメトキシプロパン(11)は、下記スキームXIIに従って、ベラプロストのラジカル環化合成のための基準不純物マーカーとして、合成することができる。
2‐ブロモフェノール‐6‐カルボメトキシプロパン(8)(純度90%)は、ジクロロメタン中の臭素を用いて、0℃で、室温で、臭素化して、2,4‐ジブロモフェノール‐6‐カルボメトキシプロパン(11)を得る。粗ジブロモ化合物は、ヘキサン、及び酢酸エチルから再結晶して、47.1%の収率で、HPLCで93.7%の純度を有する、2,4‐ジブロモ化合物を得る。
本明細書に記載される方法により調製されたベラプロストは、当業界において公知の方法を用いて、その医薬的に許容できる塩に転換され得る。塩は、ベラプロストの単離の前又は後、生成され得る。従って、1つの実施形態によれば、式(I)の化合物の塩は、その化合物と種々の塩基との反応により調製され得る。例えば、ベラプロストのナトリウム塩は、それと水酸化ナトリウムとを反応することにより調製され得る。本明細書において使用される場合、「医薬的に許容できる塩(pharmaceutically acceptable salt)」とは、医薬組成物の調製において有用であり、そして一般的に、安全で、非毒性であり、そして生物学的にも、又は他方では、所望しない医薬用途でもない塩を言及する。
酸性基、例えばカルボン酸を有する化合物は、医薬的に許容できる塩基と共に医薬的に許容できる塩を形成できる。適切な医薬的に許容できる塩基性塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム及びカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム及びカルシウム塩)、及びアミン含有化合物、例えばトリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、コリン、グルコサミン、エチレンジアミン、L−リシン及びL−アルギニンにより形成される塩を包含する。
1つの実施形態によれば、本明細書に記載される方法に従って調製されたベラプロストは、少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、 99.9%又は100%のキラル純度を有する。
本明細書に記載される方法により調製されたベラプロストは、対象、例えばその必要なヒトへの投与によって、多くの状態を治療するための医薬製剤に使用され得る。例えば、ベラプロストは、そのベラプロストが効果的であることが知られている状態の治療のために使用され得る。ベラプロストが効果的であることが知られている状態は、肺高血圧(例えば、原発性及び続発性肺高血圧、及び肺動脈性高血圧)、末梢血管疾患、重度の間欠性跛行、致命的な四肢虚血、虚血性病変、喘息、肺線維症、糖尿病性神経障害性足潰瘍、間質性肺疾患を包含するが、但しそれらだけには制限されない。
本発明はまた、本明細書に記載される方法により調製されたベラプロストを含む医薬製剤も包含する。医薬製剤は、ベラプロスト、及び医薬的に許容できる担体又は賦形剤を含むことができる。用語「医薬(pharmaceutical)」とは、形容詞として本明細書において使用される場合、受容哺乳類に対して実質的に非毒性であることを意味する。「医薬製剤(pharmaceutical formulation)」とは、担体、希釈剤、賦形剤及び活性成分が製剤中の他の成分と適合でき、そしてその受容体に対して非毒性であるべきであることを意味する。
本明細書に記載される方法により調製されたベラプロストは、投与の前、処方され得る。処方の選択は、有効量の決定に関与する同じ要因を考慮して、主治医により決定されるべきである。
ベラプロストの経口投与のための液体剤形は、投与の前、処方され得る、溶液、エマルジョン、懸濁液、シロップ及びエリキシルを包含する。
そのような製剤中の全活性成分は、製剤の0.1重量%〜99.9重量%である。ベラプロストは、1又は2以上の追加の活性成分と共に、又は単一の活性成分として配合され得る。
本発明の医薬製剤は、良く知られ、且つ容易に入手できる成分を用いて、当業界において公知の方法により調製される。例えば、単独で、又は他の活性成分と組合してのペラプロストは、一般的な賦形剤、希釈剤又は担体と共に製剤化され、そして錠剤、カプセル、懸濁液、溶液、注射剤、エアロゾル、粉末、等に形成される。
非経口投与のための本発明の医薬製剤は、減菌水溶液又は非水溶液、分散液、懸濁液又はエマルジョン、並びに、使用の直前、減菌溶液又は懸濁液中に再構成される減菌粉末を含む。適切な水性及び非水性担体、希釈剤、溶媒又はビークルの例は、水、生理食塩水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)及び同様のもの)、及びそれらの適切な混合物、植物油(例えば、オリーブオイル)、及び注入用有機エステル、例えばオレイン酸エチルを包含する。適切な流動性は、例えば被覆材料、例えばレシチンの使用により、分散液及び懸濁液の場合、適切な粒度の維持により、及び界面活性剤の使用により、維持される。
非経口製剤はまた、アジュバント、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤、例えば分散剤を含むことができる。微生物の作用の防止は、抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェニルソルビン酸、等の包含により保証される。等張剤、例えば糖、塩化ナトリウム、等を含むこともまた、所望される。注入可能製剤は、例えば細菌保持フィルターを用いての濾過により、又は製造時点で、又は投与直前で、それらの混合の前、混合物中の成分の事前減菌(デュアルチャンバーシリンジパッケージの例におけるように)により、減菌される。
経口投与のための固体剤形は、カプセル、錠剤、ピル、粉末及び顆粒を包含する。そのような固体剤形の場合、ベラプロストは、少なくとも1つの不活性医薬担体、例えばクエン酸ナトリウム、又はリン酸二カルシウム、及び/又は(a)充填剤又は増量剤、例えば澱粉、糖、例えばラクトース及びグルコース、マンニトール、及びケイ酸、(b)結合剤、例えばカルボキシメチル−セルロース及び他のセルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリ(ビニルピロリジン)、スクロース及びアカシア、(c)保湿剤、例えばグリセロール、(d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、ポテト又はタピオカ澱粉、アルギン酸、ケイ酸塩及び炭酸ナトリウム、(e)保湿剤、例えばグリセロール、(f)溶液遅延剤、例えばパラフィン、(g)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物、(h)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びグリセリンモノステアレート、(i)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイト粘土、及び(j)湿潤剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリ(エチレングリコール)、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物と共に混合される。カプセル、錠剤及びピルの場合、剤形はまた、緩衝剤も含むことができる。
類似型の固体製剤はまた、賦形剤、例えばラクトース、及び高分子量ポリ(エチレングリコール)、等を用いる充填ソフト又はハードゼラチンカプセルも含むことができる。固体剤形、例えば錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル及び顆粒はまた、被膜又はシェル、例えば腸溶性被膜、又は医薬品製剤業界において良く知られている他の被膜により調製され得る。被膜は、乳化剤、又は消化管の特定部分で活性成分を放出する剤を、例えば胃において活性成分を放出するための酸可溶性被膜、又は腸管において活性成分の放出のための塩基可溶性被膜として含むことができる。活性成分はまた、徐放性被膜中にマイクロカプセル化され得、そしてそのマイクロカプセルは、カプセル製剤のピルの一部を構成する。
ベラプロストの経口投与のための液体剤形は、投与前に特定の多形形態から製剤化され得る、溶液、エマルジョン、懸濁液、シロップ及びエリキシルを包含する。活性成分の他に、液体製剤は、当業界において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば水又は他の医薬溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、挽いたナッツ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリ(エチレングリコール)、ソルビトールの脂肪酸エステル、及びそれらの混合物を包含する。不活性希釈剤の他に、液体経口製剤はまた、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、及び甘味剤、着香剤、及び芳香剤を含むことができる。液体懸濁液は、活性成分の他に、懸濁剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト粘土、寒天、トラガント、及びそれらの混合物を含むことができる。
本発明は上記実施形態に関して記載されて来たが、前述の記載及び実施例は単なる例示を意図し、そして本発明の範囲を制限するものではないことが理解されるべきである。本発明の範囲内の他の側面、利点及び修飾は、本発明に関連する当業者に明らかであろう。
本明細書に引用される全ての特許、特許出現、出版物及び参考文献は、あたかも個々に参照により組込まれているかのように、その全体が参照に組み込まれる。本発明はさらに、次の実施例により説明されるが、それらに限定されるものではない。
実施例1.ホスホネート化合物(X)の調製
ケトホスホネート中間体(X)、すなわち(S)−ジメチル−(3−メチル−2−オキソヘプト−5−イン−1−イル)ホスホネート(8)を、次の通りに合成することができる。
(A)N−((1R,2R)−l−ヒドロキシ−l−フェニルプロパン−2−イル)− N− メチルプロピオンアミド (3) の合成
無水ジクロロメタン(70ml)中、(1R、2R)−2−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−1−オール[(1R、2R)−プソイドエフェドリン](10.19g、16.67mモル)の溶液に、トリエチルアミン(8.74g、86.37mモル)を、室温で添加した。その透明な溶液を、0℃に冷却し、そして次に、無水ジクロロメタン(20ml)中、塩化プロピオニル(6.85g、74.03mモル)の溶液を、アルゴン下で10分間にわたって添加した。その反応混合物を、0℃で2時間、攪拌した。その反応混合物を、水により急冷し、そして次に、真空化でジクロロメタンを除去した。水性残渣を、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)により抽出した。組合された有機抽出物を、水、10%塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリウム、ブラインにより洗浄し、Na2SO4下で乾燥し、そして真空下で濃縮し、プロピオンアミド(3)を、白色固形物(13.52g、99%)として得た。(1R、2R)−プソイドエフェドリンプロピオンアミド、又はN−((1R,2R)−l−ヒドロキシ−l−フェニルプロパン−2−イル)− N− メチルプロピオンアミド (3)はまた、少量で商業的にも入手可能である。
(B)(5)− N−(7R,2R)−l−ヒドロキシ−l−フェニルプロパン−2−イル)− N,2−ジメチルヘキサ−4−インアミド (4) の合成
−78℃で、アルゴン下での無水塩化リチウム(18.09g、426.75mモル)及びジイソプロピルアミン(16.18g、159.90mモル)の懸濁液に、ヘキサン中、n−ブチルリチウム(1.6M)(93.3ml、149.26mモル)を添加した。得られる懸濁液を、−78℃で15分、0℃で5分、攪拌し、そして次に、−78℃に冷却した。次に、無水テトラビドロフラン(100ml)中、プロピオンアミド(3)(15.73g、71.08mモル)の氷冷却溶液を、前記懸濁液に、15分間にわたって添加した。完全な添加の後、反応混合物を、−78℃で2時間、0℃に冷却した。別のフラスコにおいて、テトラヒドロフラン中、1−ヨード−2−ブチンを、無水テトラヒドロフラン(50ml)中、1−プロモ−2−ブチン(18.90g、142.11mモル)及びヨウ化ナトリウム(21.31g、42.17mモル)の混合物を、周囲温度で、アルゴン下で2時間、攪拌することにより、その場で調製した。その混合物を濾過し、そして濾液を、反応混合物に、0℃で15分間にわたって、ゆっくり添加した。完全な添加の後、反応混合物を、0℃で1時間、攪拌した。反応混合物を、飽和塩化アンモニウムにより、0℃で急冷した。有機層を分離し、そして水性層を、酢酸エチルにより抽出した。組合された有機抽出物を、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、粘性の液体を得た。ヘキサン中、酢酸エチル(10−50%)の混合物を用いての粗生成物のクロマトグラフィー処理により、純粋なメチルヘキシンアミド(4)を、淡黄色の粘性液体として得た(12.36g、63.6%及びキラル純度、97.6%)。FT-IR (ATR) v, 3436 (w), 1636 (s), 1063 (s) cm-1; 1H NMR, (3:2回転異性体比, (アセトン-d6, 300 MHz): δ 7.38 (m, 5H), 4.91, 4.57, 4.58 (br d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.13, 3.98 (two m, 1H), 3.70, 3.66 (two m, 1H), 2.93, 2.86 (two s, 3H), 1.02, 1.00 (two d, J= 7.4 Hz, 3H), 0.96, 0.86 (two d, J= 6.9 Hz, 3H); 13C NMR (アセトン-d6, 75 MHz): δ 173.06, 172.79, 139.54, 139.24, 128.63, 128.42, 128.37, 128.12, 127.98, 82.12, 81.85, 80.78, 80.69, 75.20, 74.92, 56.30, 55.61, 55.53, 26.67, 26.03, 15.14, 13.80, 9.15, 8.84, 2.44; MS (ESI, 75 eV) m/z: 296.27 (M+Na)+; C17H23N2についての計算値: C, 74.69; H, 8.56, N, 5.12; 実測値: C, 74.38; H, 8.56; N, 5.09。
(C)(7R,2R)−2−((S)− N,2−ジメチルヘキサ−4−インアミド)−l−フェニルプロピルアセテート (5) の合成
無水ジクロロメタン(300ml)中、メチルヘキシンアミド(4)(21.8g、79.75mモル)の溶液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)(19.49g、159.53mモル)、続いて無水酢酸(16.28g、159.31mモル)を、周囲温度で、アルゴン下で添加した。その反応混合物を、周囲温度で一晩、攪拌した。その混合物を真空下で蒸発し、ジクロロメタンを除去し、そして残渣を水及び酢酸エチルにより処理した。有機層を分離し、そして水性層を、酢酸エチルにより抽出した。組合された有機抽出物を、水、飽和炭酸水素ナトリウム、水、0.1Nの塩酸、水、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、淡黄色の粘性液体を得た。粗生成物を、ヘプタンにより2度、結晶化し、純粋なメチルヘキシンアミドアセテート(5)を、白色結晶として得た(18.14g、72.1%、キラル純度。99.7%)(mp 78-79 ℃; HPLC,キラル純度, 99.71% (99.13% de); FT-IR (ATR) v, 1734 (s), 1627 (s), 1244 (s), 1023 (s) cm-1; 1H NMR, (2: 1回転異性体比, (アセトン-d6, 300 MHz): δ 7.37 (m, 5H), 5.82 (two merged d, 1H), 5.17, 4.38 (two m, 1H), 2.99, 2.77 (two s, 3H), 2.88 (m, 1H), 2.37-2.09 (m, 2H), 2.01, 2.97 (two s,3H), 1.74, 1.70 (two t, J = 2.5 Hz, 3H), 1.11, 1.03 (two d, J = 3.3 Hz, J = 6.9 Hz, 3H), 1.08, 0.92 (two d, J= 3.0 Hz, J= 7.1 Hz, 3H); 13C NMR (acetone-d6, 75 MHz): δ 174.98, 174.91, 169.25, 169.03, 138.83, 138.38, 128.66, 128.47, 128.22, 127.55, 127.42, 77.72, 77.34, 75.84, 55.29, 51.37, 35.97, 35.79, 26.74, 23.12, 22.92, 20.22, 20.09, 17.21, 16.76, 14.92, 13.73, 2.62, 2.40; MS (ESI, 75 eV) m/z: 338.0 (M+Na)+; Ci9H25N203についての計算値: C, 72.35; H, 7.99, N, 4.44; 実測値: C, 72.51; H, 7.88; N, 4.55。
(D)(S)−2−メチルヘキサ−4−イノシン酸 (6) の合成
1、4−ジオキサン(80ml)中、(1R、2R)−プソイドエフェドリンメチルヘキシンアミドアセテート(5)(18.0g、57.07mモル)の溶液に、9Nの硫酸(80ml)を、周囲温度で添加した。その反応混合物を、2時間、加熱還流した。反応混合物を、室温に冷却し、そして水を添加した。その混合物を、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)により抽出した。MTBE抽出物を、水、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、(S)−2−メチルヘキシ−4−イノシン酸(6)を、透明無色の液体として得た(7.2g、定量的、キラル純度、98.63%)。FT-IR (ATR) v, 1702 (s) cm-1; 1H NMR, (CDC13, 300 MHz): δ 11.36 (br s, 1H), 2.62 (m, 1H), 2.52-2.26 (m, 2H), 1.76 (t, J = 2.7 Hz, 3H), 1.26 (d, J = 6.9 Hz, 3H); 13C NMR (CDC13, 75 MHz): 5 181.56, 76.75, 75.83, 39.05, 22.72, 16.16, 3.44。
(E)(S)− N−メトキシ− N,2−ジメチルヘキサ−4−インアミド (7) の合成
無水ジクロロメタン(40ml)中、(S)−2−メチルヘキシ−4−イノシン酸(6)(7.1g、56.28mモル)の溶液に、ジクロロメタン中、塩化オキサリル(2.0M)(34.0ml、68.00mモル)、続けて無水N,N−ジメチルホルムアミド(0.021g、0.29mモル)を添加した。反応混合物を、周囲温度で2時間、アルゴン下で攪拌し、そして次に、0℃に冷却した。この冷溶液を、カニューレを通して、無水ジクロロメタン(90ml)中、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(8.23g、84.38mモル)及びピリジン(13.35g、13.65mモル)の透明溶液中に、0℃で、アルゴン下でトランスファーした。反応混合物を、0℃で1時間、攪拌した。反応混合物を、飽和塩化アンモニウムにより、0℃で急冷し、そして次に、真空下でジクロロメタンを除去した。残渣を、水及びtert−ブチルメチルエーテル(MTBE)と共に攪拌した。有機層を分離し、そして水性層をMTBEにより抽出した。組合されたMTBE抽出物を、水、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、黄色の液体(9.35g)を得た。ヘキサン中、酢酸エチル(5−30%)の混合物を用いての粗生成物のクロマトグラフィー処理により、純粋な(S)−N−メトキシ−N、2−ジメチルヘキシ−4−インアミド(7)を、淡黄色の液体として得た(7.90g、82.9%及びキラル純度、99.7%)。FT-IR (ATR) v, 1659 (s) cm-1; 1H NMR, CDCI3, 300 MHz): δ 3.69, (s, 3H), 3.17 (s, 3H), 3.01 (m, 1H), 2.42, 2.18 (two m, 2H), 1.73 (t, J= 2.5 Hz, 3H), 1.14 (d, J= 6.9 Hz, 3H); 13C NMR (CDC13, 75 MHz): δ 176.52, 77.23, 76.72, 61.62, 35.61, 32.26, 23.06. 17.06, 3.57; MS (ESI, 75 eV) m/z: 170.15 (M+H)+, 192.16 (M+Na)+。
(F)(S)−ジメチル (3−メチル−2−オキソヘプト−5−イン−l−イル) ホスホネート(8) の合成
アルゴン下で、−78℃での無水テトラヒドロフラン(120ml)中、ジメチルエチルホスホネート(14.30g、115.25mモル)の溶液に、ヘキサン中、n−ブチルリチウムの溶液(1.6M)(58ml、92.80mモル)を、20分間にわたって添加した。反応混合物を、−78℃で15分間、攪拌し、そして次に、無水テトラヒドロフラン(50ml)中、(S)−N−メトキシ−N、2−ジメチルヘキシ−4−インアミド(7)(7.80、40.09mモル)の溶液を、30分間にわたって添加した。反応を−78℃で3時間、攪拌した。反応混合物を、飽和塩化アンモニウム(120ml)により−78℃で急冷し、そして次に、その混合物を室温に温めた。その混合物を真空下で蒸発し、テトラヒドロフランを除去した。残渣を水により処理し、そして次に、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)により抽出した。組合されたMTBE抽出物を、水、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、液体(12.78g)を得た。ヘキサン中、酢酸エチル(20−90%)の混合物を用いての粗生成物のクロマトグラフィー処理により、純粋な(S)−3−メチル−2−オキソ−ヘプト−5−イニルホスホン酸ジメチルエステル(8)を、淡黄色の液体として得た(9.55g、98.2%、キラル純度、99.14%)。FT-IR (ATR) v, 1711 (m), 1252 (m), 1016 (s) cm-1; 1H NMR, CDC13, 300 MHz): δ 3.78, 3.75 (two s, 2 x 3H), 3.21, 3.13 (dd, J= 7.1 Hz, J = 22.3 Hz, 3H), 2.88 (m, 1H), 2.41-2.21 (m, 2H), 1.73 (t, J= 2.5 Hz, 3H), 1.15 (d, 3H); 13C NMR (CDC13, 75 MHz): δ 204.48, 204.39, 77.74, 76.07, 53.18, 53.13, 53.09, 53.05, 46.56, 40.97, 39.25, 22.30, 15.85, 3.53; MS (ESI, 75 eV) m/z: 232.9 (M+H)+, 254.9 (M+Na)+。
(G)ジエチル メチル−(2−ブチニル)マロネート (16) の合成
水性N,N−ジメチルホルムアミド(60ml)中、ジエチルメチルマロネート(14)(10.15g、58.27mモル)の溶液に、粉末化された炭酸カリウム(12.08g、87.40モル)、続いてN,N−ジメチルホルムアミド(15ml)中、1−ブロモ−2−ブチン(15)(8.52g、64.06mモル)を添加した。反応混合物を、室温で一晩、窒素下で攪拌した。21時間後、反応混合物を、tlc(EtOAc/ヘキサン、1:4)により調べた。反応は完全ではなく、追加の粉末炭酸カリウム(4.03g、29.16mモル)(合計量は、16.11g、116.56mモルであった)及び1−ブロモ−2−ブチン(15)(2.33g、17.52mモル)(合計量は、10.85、81.58mモルであった)を添加した。反応混合物を、室温で3時間、攪拌し、そしてtlc(EtUAc/ヘキサン、1:4)により調べ、そしていくらかの出発材料が残存した。反応を室温で攪拌し続けた。68時間後、反応をtlcにより調べ、そして完結したことを見出した。反応混合物を、氷水(100ml)中に注ぎ、そして15分間、攪拌した。混合物を、tert−ブチルエーテル(MTBE)により抽出した。組合されたMTBE抽出物を、飽和塩化アンモニウム、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして濾液を真空下で濃縮し、ジエチルメチル−(2−ブチニル)マロネート(16)を、淡黄色の液体として得た(13.66g、104%)。粗生成物を、スペクトルデータ(1H NMR)により特徴づけ、そしてさらに精製しないで、次の工程に使用した。
0℃で(氷/水浴)、アルゴン下での無水テトラヒドロフラン(15ml)中、ジエチルメチルマロネート(14)(1.04g、5.97mモル)の溶液に、粉末tert−ブトキシド(0.81g、7.22mモル)を添加し、続いて無水テトラヒドロフラン(5ml)中、1−ブロモ−2−ブチン(15)(0.95g、7.14mモル)を滴下した。完全な添加の後、反応混合物を、0℃で30分間、攪拌した。反応混合物を、tlc(EtOAc/ヘキサン、1:4)により調べ、そして完全であることを見出した。混合物を、ブライン(15ml)により急冷し、そして層を分離した。水性層を、酢酸エチルにより抽出した。組合された有機層を、ブライン(1×10ml)により洗浄し、濾過し、そして濾液を真空下で濃縮し、ジエチルメチル−(2−ブチニル)マロネート(16)を、無色の液体として得た(1.36g、100%)。生成物を、スペクトルデータ(1H NMR)により特徴づけ、そしてさらなる精製なしで、工程に使用した。
結論として、方法Bは、方法Aよりも良好であった。方法Bにおいては、1−ブロモ−2−ブチン(15)によるジエチルメチルマロネート(14)のC−アルキル化が、方法Aにおいてよりも早く、そして単純な水性後処理により、純粋なジエチルメチル−(2−ブチニル)マロネート(16)を得た。
(H)ラセミ 性 エチル 2−メチルヘキサ−4−イノエート (17) の合成
無水ジメチルスルホキシド(30ml)中、ジエチルメチル−(2−ブチニル)マロネート(16)(粗、13.65g、13.1gとして計算された、57.90mモル)の溶液に、塩化リチウム(2.94g、69.35mモル)及び水(0.5ml)を添加した。反応混合物を、アルゴン下で2.5時間、180℃に添加した。2.5時間後、反応混合物を、tlc(EtOAc/ヘキサン、1:4)により調べ、そして完全であることを見出した。混合物を、氷/水(150ml)中に注ぎ、そして次に、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)により抽出した。組合されたMTBE抽出物を、水、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして濾液を真空下で濃縮し、暗黄色の液体(6.30g)を得た。ヘキサン中、酢酸エチル(5−15%)を用いて、シリカゲル中の粗生成物(210g)のクロマトグラフィー処理により、ラセミ性エチル2−メチルヘキシ−4−イノエート(17)を、淡黄色の液体(5.76g、64.5%)として得た。純粋な生成物を、スペクトルデータ(1H−NMR)により特徴づけた。
(I)ラセミ 性 N−メトキシ− N,2−ジメチルヘキサ−4−インアミド (18) の合成
無水テトラヒドロフラン(15ml)中、ラセミ性エチル2−メチル−ヘキシ−4−イノエート(17)(1.09g、7.07mモル)の溶液に、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(1.07g、10.97mモル)を、アルゴン下で添加した。この混合物の懸濁液に、テトラヒドロフラン中、塩化イソプロピルマグネシウム(2.0M、11.0ml、22.0mモル)を、−20℃で、アルゴン下で、30分にわたって添加した。完全な添加の後、反応混合物を、−20℃で30分間、攪拌し、そしてtlc(EtOac/ヘキサン、1:1)により調べた。反応混合物を、室温に暖め、そして飽和塩化アンモニウム溶液(10ml)により急冷した。その混合物を、酢酸エチル(15ml)及び水(10ml)により希釈した。有機層を分離し、そして水性層を酢酸エチルにより抽出した。組合された酢酸エチルを、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、淡黄色の液体(1.20g)を得た。粗生成物(18)を、スペクトルデータ(1H NMR)により特徴づけ、そしてさらに精製しないで、次の工程に使用した。
(J)ラセミ 性 ジメチル−(3−メチル−2−オキソヘプト−5−イン−l−イル)−ホスホネート(20) の合成
アルゴン下で−78℃での無水テトラヒドロフラン(20ml)中、ジメチルメチルホスホネート(2.20g、17.73mモル)の溶液に、ヘキサン中、n−ブチルリチウムの溶液(1.6M)(8.9ml、14.24mモル)を、20分間にわたって、ゆっくり添加した。反応混合物を、−78℃で15分間、攪拌し、そして次に、無水テトラヒドロフラン(10ml)中、ラセミ性N−メトキシ−N、2−ジメチルヘキシ−4−インアミド(18)(1.20g、7.09mモル)の溶液を、15分間にわたって添加した。反応を−78℃で2時間、攪拌し、そしてtlc(EtOAc/ヘキサン、7:3)により調べた。反応混合物を、飽和塩化アンモニウム(10ml)により、−78℃で急冷し、そして次に、その混合物を室温に暖めた。その混合物を分離し、そして水性層を酢酸エチルにより抽出した。組合された酢酸エチル抽出物を、水、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、淡黄色の液体(2.16g)を得た。ヘキサン中、酢酸エチルの混合物(20−90%)を用いて、シリカゲル(90.8g)における粗生成物のクロマトグラフィー処理により、純粋なラセミ 性 ジメチル−(3−メチル−2−オキソヘプト−5−イン−l−イル)−ホスホネート(20)を、淡黄色の液体として得た(1.24g、75.1%)。純粋な生成物を、スペクトルデータ(1H NMR、13C NMR)により特徴づけ、そして純度をHPLCにより特徴づけた。
(K)メチル−(2−ブチニル)マロン酸(19)の合成
エチルアルコール(2.5ml)中、ジエチルメチル−(2−ブチニル)マロネート(16)(0.76g、3.36mモル)の溶液に、水(5ml)中、水酸化カリウム(0.48g、8.55mモル)の溶液を、室温でゆっくり添加した。その反応混合物を、2.5時間、軽く加熱還流し、そしてtlc(EtOAc/ヘキサン、1:4及びEtOAc、100%)により調べた。反応が完結し、そしてその混合物を室温に冷却した。エチルアルコールを、混合物から真空下で除去し、そして残渣を水(5ml)により処理し、そして次に、希塩酸によりpH1−2まで酸性化した。その混合物を塩化ナトリウムにより飽和化し、そして次に、tert−ブチルエチルエーテル(MTBE)により抽出した。組合されてMTBE抽出物を、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、白色固形物(0.42g、79.2%)を得た。生成物を、スペクトルデータ(1H NMR)により特徴づけ、そして精製しないで次の工程に使用した。
(L)ラセミ 性 ジメチル−(3−メチル−2−オキソヘプト−5−イン−l−イル)−ホスホネート(20) の合成
無水テトラヒドロフラン(5ml)中、メチル−(2−ブチニル)マロン酸(19)(0.41g、2.59mモル)の溶液に、1,1′−カルボニルジイミダゾール(0.44g、2.71mモル)を、室温で、アルゴン下で添加した。反応混合物を、室温で30分間、攪拌した。その間、ジメチルメチルホスホネートのリチウム誘導体を、テトラヒドロフラン(8ml)中、ジメチルメチルホスホネート(0.80g、6.45mモル)の溶液に、ヘキサン中、n−ブチルリチウムの溶液(1.6mモル)(3.2ml、5.12mモル)を、78℃で、15分間にわたって添加することにより調製し、そして−78℃で15分間、その混合物を攪拌した。この溶液に、上記混合物を、−78℃で5分間にわたって添加した。反応混合物を、この温度で30分間、攪拌し、そしてtlc(EtOAc、100%)により調べた。混合物を、室温に一晩、温めた。混合物を、飽和塩化アンモニウム(15ml)により急冷し、そして酢酸エチルにより抽出した。組合された酢酸エチル抽出物を、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、黄色の液体(0.56g)を得た。粗生成物ンスペクトルデータ(1H NMR)は、所望のラセミ 性 ジメチル−(3−メチル−2−オキソヘプト−5−イン−l−イル)−ホスホネート(20)及びいくらかのジメチルメチルホスホネートを示した。
(M)ラセミ 性 2−メチルヘキサ−4−イノシン酸 (21) の合成
エタノール(50ml)中、ラセミ性エチル2−メトキシ−ヘキサ−4−イノエート(17)(5.62g、36.44mモル)の溶液に、水(10ml)中、水酸化カリウム(4.10g、73.07mモル)の溶液を添加した。その反応混合物を軽く、3時間、加熱還流し、そしてtlc(EtOAc/ヘキサン、1−9及び3:7)により調べた。反応混合物を、室温に1時間にわたって冷却した。混合物を真空下で蒸発し、エタノールを除去した。水性残渣を、水(50ml)により希釈し、そして2Nの塩酸によりpH1−2に酸性化した。その混合物を、塩化ナトリウムにより飽和化し、そして次に、MTBEにより抽出した。組合されたMTBE抽出物を、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、ラセミ性2−メチルヘキシ−4−イノシン酸(21)を、淡黄色の液体として得た(4.48、96.5%)。1H NMRスペクトルは、構造と一致し、そしてさらなる精製を伴わないで次の工程に使用した。
(N)プソイドエフェドリンメチルヘキシンアミドのジアステレオマー混合物(22)の合成
無水ジクロロメタン(10ml)中、(1R、2R)−プソイドエフェドリン(1)(0.33g、2.00mモル)の溶液に、トリエチルアミン(0.29g、2.86mモル)を室温で添加した。その透明な溶液を0℃に冷却し、そして次に、新しく調製されたラセミ性2−メチルヘキサ−4−イノシン酸塩化物(ジクロロメタン(5ml)中、ラセミ性2−メチルヘキサ−4−イノシン酸(21)(0.30g、2.38mモル)及び塩化オキサリンジクロロメタン(2.0M、1.20ml、2.40モル)及びN,N−ジメチルホルムアミド(1滴)から(室温で1時間))の溶液をアルゴン下で5分間にわたって添加した。反応混合物を、0℃で30分間、攪拌し、そしてtlc(EtOAc/ヘキサン、7:3)により調べた。反応を完結し、そしてその混合物を水(5ml)により急冷し、そしてジクロロメタンを真空下で除去した。水性残渣を、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)により抽出した。組合されたMTBE抽出物を、水、10%塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリウム、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、淡黄色の粘性液体(0.59g)を得た。粗生成物を、スペクトルデータ(IR、1H NMR)に特徴づけられた。種々の溶媒中、粗生成物の試みられた結晶化は、成功しなかった。ヘキサン中、酢酸エチルの混合物(10−40%)を用いての、シリカゲル(22.9g)中、粗生成物のクロマトグラフィー処理により、プソイドエフェドリンメチル−ヘキシンアミドの純粋ジアステレオマー混合物(22)を、無色の粘性液体(0.34g)として得た。その純粋な生成物を、スペクトルデータ(1H NMR)により、そしてジアステレオマー純度をHPLCにより特徴づけた。
(O)プソイドエフェドリン メチルヘキシンアミド アセテートのジアステレオマー混合物(23)の合成
無水ジクロロメタン(3ml)中、プソイドエフェドリンメチル−ヘキシンアミドのジアステレオマー混合物(22)(0.09g、0.329mモル)の溶液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)(0.06g、0.491mモル)、続いて無水酢酸(0.05g、049mモル)を、周囲温度で、アルゴン下で添加した。反応混合物を、室温で2時間、攪拌した。2時間後、反応は完結した(tlc、EtOAc/ヘキサン、1:1)。その混合物を真空下で蒸発し、ジクロロメタンを除去し、そして残渣を、水(5ml)及びtert−ブチルメチルエーテル(MTBE)(10ml)により処理した。有機層を分離し、そして水性層をMTBEにより抽出した。組合された有機抽出物を、水、飽和炭酸水素ナトリウム、水、0.1Nの塩酸、水、ブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、プソイドエフェドリン メチルヘキシンアミド アセテートのジアステレオマー混合物(23)の合成を、無色の粘性液体(0.8g、77%)として得た。生成物を、スペクトルデータにより、及びジアステレオマーの純度をHPLCにより特徴づけた。
実施例2.ベラプロスト(I)の調製
ベラプロストを、次のスキームVIIIに従って、1,3−シクロペンタジエンから出発して調製することができる。
(A)シクロペンタジエンモノエポキシド(2)の合成:
ジクロロメタン(45ml)中、乾燥された炭酸ナトリウム(8.19g、77.1mモル)の懸濁液に、1,3−シクロペンタジエン(3,4g、51.4mモル)を添加し、そして−5℃で攪拌した。この混合物に、酢酸ナトリウム(0.25g、3.1mモル)及び過酢酸(酢酸中、39%)(10ml)の溶液を、0.5時間にわたってゆっくり添加し、そして室温で攪拌した。1.5時間後、反応混合物を、セライトを通して濾過し、そして濾液を、44℃で600mmHgの圧力下で、回転蒸発器上で蒸発し、最大量のジクロロメタンを除去し、シクロペンタジエンモノエポキシド(2)(2.95g、70%、NMRに基づいて計算された)を得た。その粗生成物を、次の工程のために、そのまま使用した。
(B)プロモフェニルヒドロキシシクロペンテニルエーテル(4)の合成:
無水テトラヒドロフラン(15ml)中、メチル4−(3−ブロモ−2−ヒドロキシフェニル)ブタノエート(3)(0.5g、1.83mモル)の溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.4g、0.05mモル)を添加し、そして0℃で、アルゴン下で攪拌した。この混合物に、シクロペンタジエンモノエポキシド(2)(0.52g、5.49mモル)を、注射器を用いて、ゆっくり添加した。添加の後、反応混合物を、周囲温度にした。反応を4時間、攪拌し、そして反応の進行を、TLC(酢酸エチル:ヘキサン、1;1)によりモニターした。反応が完結すると、それを飽和塩化アンモニウム溶液(30ml)により処理し、そして酢酸エチル(2×30ml)により抽出し。組合された酢酸エチル抽出物を、飽和塩化ナトリウム溶液(1×30ml)により洗浄し、無水酢酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮し、粗生成物(4)(0.8g)を、粘性液体として得た。粗生成物を、別の2つの類似するバッチ(2×0.5g)と共に組合し、そして230−400のメッシュシリカゲルを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、そしてヘキサン中、酢酸エチル勾配溶媒(0−50%)により溶出した。所望する化合物(TLCによる)を含む画分を、真空下で蒸発し、純粋なブロモフェニルヒドロキシシクロペンテニルエーテル(4)(1.2g、61.5%)を得た。その化合物を、13C NMR、1H NMR及びMSにより特徴づけた。
(C)アリルヒドロキシシクロペンタベンゾフラン(5)の合成:
無水トルエン(12ml)中、ブロモフェニルヒドロキシシクロペンテニルエーテル(4)(1.05g、2.95mモル)の溶液に、アリルトリブチルスタンナン(1.89g、5.90mモル)及びアゾビスイソブチロニトリル(0.05g、0.29mモル)を、周囲温度で添加した。この反応混合物を、3時間、加熱還流し、この間、アゾビスイソブチロニトリル(0.3g、1.76mモル)を、3回に分けて添加した。反応の進行を、TLC(酢酸エチル:ヘキサン、1:1)によりモニターした。この段階で、反応は完結し、そして反応混合物を、真空化で蒸発し、粗生成物を、粘性液体(3.1g)として得た。粗生成物を、230−400メッシュシリカゲルを用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製し、そしてヘキサン中、酢酸エチル勾配溶媒(0−50%)により溶出した。所望する化合物を含む画分(tlcによる)を、真空下で蒸発し、アリルヒドロキシシクロペンタベンゾフラン(5)(0.24g、26.2%)を得た。化合物を、1H NMRにより特徴づけた。
(D)アリルアセトキシシクロペンタベンゾフラン(6)の合成:
無水ジクロロメタン(10ml)中、アリルヒドロキシシクロペンタベンゾフラン(5)(0.24g、0.77mモル)の溶液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.14g、1.15mモル)及び無水酢酸(0.12g、1.15mモル)を、0℃で添加した。反応の進行を、TLC(酢酸エチル:ヘキサン、1:4)によりモニターした。1時間後、反応は完結し、そしてその混合物を真空下で蒸発し、粗生成物(0.4g)を、粘性液体として得た。その粗生成物を、230−400メッシュシリカゲルを用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製し、そしてヘキサン中、酢酸エチルの勾配溶媒(0−22%)により溶出した。所望する化合物を含む画分(TLCによる)を、真空下で蒸発し、アリルアセトキシシクロペンタベンゾフラン(6)(0.25g、92.6%)を得た。化合物を、キラルHPLC及び1H NMRにより特徴づけた。
(E)ジアセトキシ シクロペンタベンゾフラン アルケン (7) の合成:
N,N−ジメチルアセトアミド(48ml)中、アリルアセトキシシクロペンタベンゾフラン(6)(2.8g、7.81mモル)の溶液に、高圧反応容器において、塩化パラジウム(II)(0.03g、0.15mモル)、無水酢酸ナトリウム(0.13g、1.56mモル)、酢酸(9ml)及びモレキュラーシーブ3A°(1.8g)を添加した。この混合物を真空脱気し、そして酸素により置換した。この操作を、5度、実施し、システムからの大気の完全な除去を確かめ、そして次に、温度を、酸素圧を60psiで維持しながら、80℃に高めた。反応温度が80℃に達した後、酸素圧を90piに高めた。反応の進行を、TLC(酢酸エチル:ヘキサン、2:3)によりモニターした。48時間後、いくらかの出発材料が、TLCに基づいて観察され、主要は生成物であった。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(70ml)により0℃で処理し、そしてtert−ブチルメチルエーテル(2×50ml)により抽出した。組合されたtert−ブチルメチルエーテル抽出物を、飽和塩化ナトリウム溶液(1×50ml)により洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮し、粗生成物(4.1g)を、粘性液体として得た。粗生成物を、230−400メッシュシリカゲルを用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製し、そしてヘキサン中、酢酸エチルの勾配溶媒(0−30%)により溶出した。所望する化合物を含む画分(TLCによる)を、真空下で蒸発し、ジアセトキシ シクロペンタベンゾフラン アルケン (7)(1.07g、33.0%)を得た。化合物を、1H NMRにより特徴づけた。
(F)ジアセトキシ シクロペンタベンゾフラン ジオール (8) の合成:
tert−ブタノール(10ml)、テトラヒドロフラン(3ml)及び水(1ml)の混合液中、ジアセトキシ シクロペンタベンゾフラン アルケン (7)(0.25g、0.60mモル)の溶液に、4−メチルモルホリンN−オキシド(0.07g、0.61mモル)及び四酸化オスミウム(0.01g、0.06mモル)を、室温で、アルゴン下で添加した。反応フラスコを、アルミニウム箔により被覆し、光から保護した。この反応混合物を、2.5時間、攪拌し、そして反応の進行を、TLC(酢酸エチル:ヘキサン、1:1)によりモニターした。2.5時間後、四酸化オスミウムの別の一部(0.01g、0.06mモル)を添加し、そしてさらに2時間、攪拌し、そして反応を完結した。この段階で、反応混合物を、10%チオ硫酸ナトリウム(10ml)により処理し、そして真空下で蒸発し、有機揮発物を除去した。残る残渣を、ジクロロメタン(2×20ml)により抽出した。組合されたジクロロメタン抽出物を、飽和塩化ナトリウム溶液(1×20ml)により洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で蒸発し、粗生成物(0.3g)を、粘性液体として得た。粗生成物を、230−400メッシュシリカゲルを用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製し、そしてヘキサン中、酢酸エチルの勾配溶媒(0−100%)により溶出した。所望する化合物を含む画分(TLCによる)を、真空下で蒸発し、ジアセトキシ シクロペンタベンゾフラン ジオール (8)(0.22g、81.4%)を得た。化合物を、1H NMRにより特徴づけた。
(G)アセトキシ シクロペンタベンゾフラン アルデヒド (9) の合成:
1、2−ジクロロエタン(5ml)及び水(5ml)の混合液中、ジアセトキシ シクロペンタベンゾフラン ジオール (8)(0.18g、0.42mモル)の溶液に、過ヨウ素酸ナトリウム(0.17g、0.83mモル)を、周囲温度で、アルゴン下で添加した。その混合物を、一晩、攪拌し、そして反応の進行を、TLC(酢酸エチル:ヘキサン、1:1)によりモニターした。24時間後、反応は完結した。反応混合物を、ジクロロメタン(2×20ml)により抽出した。組合されたジクロロメタン抽出物を、飽和塩化ナトリウム溶液(30ml)により洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮し、粗アセトキシ シクロペンタベンゾフラン アルデヒド (9)(0.15g)を、粘性液体として得た。その粗生成物を、1H NMRにより特徴づけ、そしてさらに精製しないで、次の工程にそのまま使用した。
アセトキシシクロベンゾフランアルコール(10)の合成:
無水メタノール(10ml)中、アセトキシ シクロペンタベンゾフラン アルデヒド (9)(0.15g、0.43mモル)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.02g、0.43mモル)を、−10℃で、アルゴン下で添加した。反応を1.5時間、攪拌し、そして反応の進行を、TLC(酢酸エチル:ヘキサン、7:3)によりモニターした。1.5時間後、反応は完結した。反応混合物を、10%HCl溶液により処理し、そして有機揮発物を真空下で蒸発し、残渣をジクロロメタン(2×20ml)により抽出した。組合されたジクロロメタン抽出物を、飽和塩化ナトリウム溶液(20ml)により洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮し、粗生成物(0.2g)を、粘性液体として得た。粗生成物(1.6g)を、230−400メッシュシリカゲルを用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製し、そしてヘキサン中、酢酸エチルの勾配溶媒(0−80%)により溶出した。所望する化合物を含む画分(TLCによる)を、真空下で蒸発し、アセトキシシクロペンタベンゾフランアルコール(10)(0.08g、3.2%)を、粘性液体として得た。化合物を、1H NMRにより特徴づけた。
(H)ベラプロストメチルエステルジオール(11)の合成:
無水エタノール(5ml)中、アセトキシシクロペンタベンゾフランアルコール(10)(0.08g、0.23mモル)の溶液に、無水メタノール(5ml)中、濃硫酸(0.1ml)の溶液を、アルゴン下で添加した。その反応混合物を一晩、攪拌し、そして反応の進行をTLC(ジクロロメタン:メタノール、9:1)によりモニターした。24時間後、反応は完結した。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液により処理し、そして有機揮発物を真空下で蒸発した。残渣を、ジクロロメタン(1×20ml)により抽出し、そして有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム溶液(50ml)により洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮し、粗ラセミ性ベラプロストジオール(11)(0.6g)を、白色粉末として得た。粗生成物を、230−400メッシュシリカゲルを用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製し、そしてヘキサン中、酢酸エチルの勾配溶媒(0−100%)により溶出した。所望する化合物を含む画分(TLCによる)を、真空下で蒸発し、ベラプロストメチルエステルジオール(11)(0.05g、72.2%)を、白色粉末として得た。化合物を、1H NMR、13C NMR及びキラルHPLCにより特徴づけた。
前記ジオール(11)を、次の手順に従って、ベラプロストに転換することができる:
(I)トリチルエーテル(2)の合成:
磁気攪拌棒及びアルゴン出入口アダプターを備えた、500mlの二口丸底フラスコを、ジクロロメタン(200ml)中、エステルジオール(11)(10.00g)の溶液により充填した。この溶液に、トリエチルアミン(13.21g)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(4.0g)及びDMF(20ml)を、周囲温度で、アルゴン下で添加した。この混合物に、塩化トリチル(27.30g)を添加した。この混合物を、透明な溶液を得るまで、攪拌した。反応を、周囲温度で約31時間、攪拌した。約31時間後、反応の進行をTLCによりモニターした。混合物を、飽和塩化アンモニウム(200ml)により洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮し、粗生成物(2)を、粘性油状物として得た。別の10gバッチからの粗生成物を組合し、そして230−400メッシュシリカゲルを用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製し、そしてヘキサン中、酢酸エチルの勾配溶媒(5−50%)により溶出した。所望する化合物を含む画分(TLCによる)を真空下で蒸発し、トリチルエーテル(2)(2つの10gバッチから、33.82g、94.6%)を得た。化合物をスペクトルデータにより特徴づけた。
磁気攪拌棒及びアルゴン出入口アダプターを備えた、1000mlの二口丸底フラスコを、無水ジクロロメタン(600ml)中、トリチルエーテル(2)(39.50g)の溶液により充填した。この溶液に、2,6−ルチジン(18.51g)を、周囲温度で、アルゴン下で添加した。その混合物を−15℃に冷却し、そしてTBDMSトリフレート(22.84g)を、温度を−10℃以下に維持しながら、少しずつ添加した。反応を約1時間、攪拌し、そして反応の進行をTLCによりモニターした。この段階で、反応は完結した。この反応混合物に、ヘキサン(600ml)を添加し、そして温度を周囲温度に上げた。この混合物を、230−400メッシュシリカゲル(384g)のパッドに通し、そしてヘキサン中、酢酸エチルの勾配溶媒(5−15%)により溶出した。所望する化合物を含む画分を、真空下で蒸発し、シリルエーテル(3)(47.70g、99.6%)を得た。化合物を、スペクトルデータにより特徴づけた。
(K)トリチルエーテル(3)の選択的脱保護を通してのアルコール(4)の合成:
磁気攪拌棒及びアルゴン出入口アダプターを備えた、500mlのニロ丸底フラスコを、無水ジクロロメタン(175ml)中、トリチルオキシ−TBDMSエーテル(3)(14.58g)の溶液により充填した。この溶液に、塩化ジエチルアルミニウム(22.00ml、ジクロロメタン中、1M、1.0当量)を、周囲温度で、アルゴン下で添加した。反応を約3時間、攪拌し、そして反応の進行をTLCによりモニターした。この段階で、反応は完全ではなく、そして追加の1当量の塩化ジエチルアルミニウム(22.00ml、ジクロロメタン中、1M、1.0当量)を、周囲温度で添加し、そして反応混合物を、さらに3時間、攪拌し、この間、進行をTLCによりモニターした。合計6時間後、反応混合物ha、いくらかの出発材料の存在を示し、そして別の0.5当量の塩化ジエチルアルミニウム(11.00ml、ヘプタン中、1M、0.5当量)を、周囲温度で添加し、そして反応混合物をさらに1時間、攪拌し、そして反応の進行をTLCによりモニターした。この段階で、反応は完結であり、そして反応混合物を0℃に冷却した。反応混合物に、飽和炭酸水素ナトリウム(240ml)を添加した。温度が周囲温度に上昇した場合、化合物をジクロロメタンにより抽出した。組合されたジクロロメタン抽出物を、ブラインにより洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして真空下で蒸発し、粗生成物を、粘性油状物(14.01g)として得た。この粗化合物を、230−400メッシュシリカゲル(197g)のパッドに通し、そしてヘキサン中、酢酸エチルの勾配溶媒(10−50%)により溶出した。所望する化合物を含む画分を、真空下で蒸発し、ヒドロキシ−シリルエーテル(4)(8.54g、92.3%)を得た。化合物を、スペクトルデータにより特徴づけた。
(L)アルデヒド(5)の介在を通してのエノン6の側鎖カップリング合成:
ジクロロメタン(60ml)中、塩化オキサリル(23.00ml)の冷却され(−78℃)、そして攪拌された溶液に、ジクロロメタン(35ml)中、ジメチルスルホキシド(4.33ml)の溶液を、アルゴン下でゆっくり添加した。−78〜−70℃での45分間の攪拌の後、ジクロロメタン(60ml)中、アルコール(4)(8.54g)の溶液を、−65℃以下の温度を維持しながら、この反応混合物に添加した。−65℃での60分間の攪拌の後、反応混合物の温度を、−45℃〜−40℃に上げ、そしてこの温度で60分間、攪拌した。この反応混合物を−65℃に冷却し、そしてトリエチルアミン(14.15ml)のゆっくりした添加により急冷した。反応混合物を−65℃で、さらに30分間、攪拌し、そして反応の完結をTLCにより調べた。反応混合物の温度を周囲に上げ、そして水(60ml)を添加した。その二相混合物を、室温で5分間、攪拌し、この後、有機相を分離し、そして水性相をジクロロメタン(2×75ml)により抽出し、有機相への生成物の完全な抽出を確かめた。組合された有機抽出物を、ブライン(100ml)により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして真空下で蒸発し、粗アルデヒド(9.77g)を得た。別の磁気攪拌棒及びアルゴン出入口アダプターを備えた、500mlのニロ丸底フラスコにおいて、MTBE(175ml)中、ホスホネート側鎖(8.50g)の溶液を充填した。これに、LiOH・H2O(1.86g)を添加し、そしてその混合物を約1時間、攪拌した。約1時間後、MTBE(175ml)中、粗アルデヒド(5)の溶液を、10分間にわたってゆっくり添加し、そして反応の完結まで、攪拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。反応の完結の後、反応混合物を、水(175ml)の添加により急冷し、そしてその混合物を15分間、攪拌した。有機層を分離し、そして水性層を酢酸エチル(3×70ml)により抽出した。組合された有機抽出物を、水(70ml)、ブライン(30ml)により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして真空下で蒸発し、エノン中間体(6)(11.22g)の粗粘性液体を得た。この粗エノン中間体(6)を、230−400メッシュシリカゲル(328g)のパッドに通し、そしてヘキサン中、酢酸エチルの勾配溶媒(2−20%)により溶出した。所望する化合物を含む画分を真空下で蒸発し、エノン(6)(組合された2つのバッチから、19.42g、80%)を得た。純粋な化合物を、スペクトルデータにより特徴づけた。
磁気攪拌棒、熱電対及びアルゴン出入口アダプターを備えた、100mlの三ロ丸底フラスコを、エノン化合物(6)(0.11g)及び無水トルエン(5.0ml)により充填した。(R)−(+)−2−メチルCBSオキサザボロリジンの溶液(トルエン中、1.0M)(0.43ml)を、周囲温度で、アルゴン下で添加した。その混合物を、−40℃に冷却し(ドライアイス/アセトン浴)、そしてボラン−メチルスルフィド錯体(0.32ml)を、温度を−40〜−30℃に維持しながら、ゆっくり添加した。添加の完結の後、反応混合物を、−30℃〜−25℃で1〜2時間、攪拌した。反応の進行を、TLCによりモニターした。反応混合物を、−15℃〜−10℃の温度を維持しながら、2〜3分間にわたってのメタノール(2.0ml)のゆっくりした添加により、注意して急冷した。反応混合物を室温に暖め、そして攪拌をさらに20〜30分間、続けた。この段階で、飽和塩化アンモニウム水溶液(5.0ml)を、攪拌下で添加し、有機層を分離し、水性層を酢酸エチル(2×15ml)により抽出した。組合された有機層を、ブライン(10ml)により洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮し、粗アルコール(7)(0.27g)を得た。この粗アルコール(7)を、230−400メッシュシリカゲル(22.5g)のパッドに通し、そしてヘキサン中、酢酸エチルの勾配溶媒(0−12%)により溶出した。所望する化合物を含む画分を真空下で蒸発し、純粋アルコール(7)(0.096g、87.2%)を得た。化合物を、スペクトルデータにより特徴づけた。
(N)ベラプロストエステルジオール(9)を得るためのTBDMS脱保護:
メタノール(50ml)中、TBDMS保護エーテル(7)(2.67g)の溶液に、10%水性HCl(10.00ml)を、室温で添加した。反応混合物を、反応完結まで、周囲温度で攪拌した。約1時間後、反応混合物を、その完結について、TLCにより調べた。この段階で、反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム(10ml)により、pH7−8まで中和し、そして真空下で濃縮し、メタノールを除去した。反応混合物を、水(10ml)により希釈し、そして次に、その混合物を、酢酸エチル(3×30ml)により抽出した。組合された酢酸エチル抽出物を、ブライン(15ml)により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、ベラプロストエステル(9)を、粗淡黄色の粘性液体(2.31g)として得た。その粗生成物を、ヘキサン中、酢酸エチルの勾配溶媒(0−90%)を用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製した。所望する化合物を含む画分を真空下で濃縮し、ベラプロストエステル(9)(0.26g)を得、これを酢酸エチル及びシクロペンタン混合物を用いて結晶化し、96.24%のキラル純度(HPLCによる)を有するエステルを得た;mp82−83℃(分解);計算値:C=72.79;H−7.82:実測値:C=72.86;H=7.41。化合物を、スペクトルデータにより特徴づけた。
(O)ケト−アルコール(8)を得るためにエノン6のTBDMS脱保護
メタノール(10ml)中、エノン(6)(0.450g)の溶液に、10%水性HCl(0.90ml)を、周囲温度で添加した。反応混合物を、反応完結まで、周囲温度で攪拌した。約3時間後、反応混合物を、その完結についてTLCにより調べた。この段階で、反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウムによりpH7−8まで中和し、そして真空下で濃縮し、メタノールを除去した。反応塊状物を、水(10ml)により希釈し、そしてその混合物を、酢酸エチル(2×15ml)により抽出した。組合された酢酸エチル抽出物を、ブライン(10ml)により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、ケトアルコール(8)を、粗淡黄色の粘性液体(0.400g)として得た。粗生成物を、酢酸エチル及びヘキサン混合物を用いて結晶化し、純粋な結晶性ケト−アルコール(8)(0.210g、60%;mp75−76℃)を得;この化合物をスペクトルデータにより特徴づけた。
(P)ベラプロストエステル(9)へのケト−アルコール(8)のキラル還元:
磁気攪拌棒、熱電対及びアルゴン出入口アダプターを備えた、100mlの三ロ丸底フラスコを、ケト−アルコール(8)(3.25g)及び無水トルエン(100ml)により充填した。(R)−(+)−2−ブチルCBSオキサザボロリジンの溶液(トルエン中、1.0M)(23.8ml)を、室温で、アルゴン下で添加した。その混合物を、−15℃に冷却し(ドライアイス/アセトン浴)、そしてカテコールボラン(23.8ml)を、温度を−15℃〜−10℃に維持しながら、ゆっくり添加した。完全な添加の後、反応混合物を、温度をゆっくり周囲温度に上げながら、1〜2時間、攪拌した。反応の進行を、TLCによりモニターした。反応混合物を、温度を−15℃〜−10℃に維持しながら、10分間にわたってメタノール(50ml)をゆっくり添加することにより、注意して急冷した。反応混合物を室温に暖め、そして攪拌をさらに20〜30分、続けた。この段階で、飽和塩化アンモニウム水溶液(10ml)を、攪拌下で添加した。有機層を分離し、そして水性層を酢酸エチル(3×50ml)により抽出した。組合された有機層を、ブライン(15ml)により洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮し、粗ベラプロストエステル(9)を得た。粗生成物を、ヘキサン中、酢酸エチルの勾配溶媒(0−90%)を用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製した。所望する化合物を含む画分を真空下で蒸発し、ベラプロストエステル(9)(2.53g、77%)を得た。小サンプルを、酢酸エチル及びヘキサン混合物を用いて結晶化し、分析的に純粋なベラプロストエステルジオール(mp65−76℃)を得た。化合物を、スペクトルデータにより特徴づけた。
メタノール(10ml)中、ベラプロストエステル(9)(0.700g)の溶液に、水酸化ナトリウムの溶液(2.0mlの水中、0.815g)を室温で添加した。反応混合物を室温で約16時間、攪拌し、そして反応の進行をTLCによりモニターした。反応混合物を真空下で濃縮し、メタノールを除去し、そして水(10ml)により希釈した。この混合物を、10%塩酸溶液により、pH2−3に酸性化した。この混合物を、酢酸エチル(2×10ml)により抽出した。組合された酢酸エチル抽出物を、ブライン(1×10ml)により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、ベラプロスト(314d)の所望する立体異性体を、泡状固体(0.700g)として得た。この酸を、カリウム塩形成のために、そのまま使用した。
(R)ベラプロスト(314d)(10)のカリウム塩の合成:
手順A:
磁気攪拌棒及び温度計を備えた、100mlの二口丸底フラスコを、ベラプロスト(314d)(0.500g)及び酢酸エチル(15ml)により充填した。この混合物を75−80℃に暖め、透明な溶液を得た。この透明な溶液に、エタノール(3.0ml)中、水酸化カリウム(0.066g)を添加し、そして75−80℃で数分間、攪拌し、そしてその混合物を、周囲温度に、約2時間にわたって冷却した。周囲温度で、沈殿した生成物を、濾過により単離し、そしてエタノールにより洗浄した。生成物を、ブフナー漏斗からガラス皿に、ヒュームフード下での一晩の空気乾燥のために移し、ベラプロスト(0.420g)の自由流動性白色固体塩を得;固体をエタノール及び水から結晶化し、ベラプロストカリウム塩の純粋な立体異性体を得;キラルHPLCによりキラル純度99.6%;mp 270−272℃ (分解); 計算値: C = 66.03; H = 6.70; 実測値c = 65.82; H ==6.67。化合物を、スペクトルデータにより特徴づけた。
手順B:
磁気攪拌棒及び温度計を備えた、100mlの二ロ丸底フラスコを、ベラプロスト(314d)(0.490g)及びエチルアルコール(18ml)により充填した。この透明な溶液に、水(0.5ml)中、水酸化カリウム(0.064g)を添加し、そしてその混合物を78−80℃に暖め、透明な液体を得た。これを78−80℃で数分間、攪拌し、次にその混合物を、周囲温度に、約2時間にわたって冷却した。周囲温度で、沈殿した生成物を、濾過により単離し、そしてエタノールにより洗浄した。生成物を、ブフナー漏斗からガラス皿に、ヒュームフード下での一晩の空気乾燥のために移し、ベラプロスト(0.314g)の自由流動性白色固体塩を得た。
実施例3.ラジカル環化によるラセミ性ベラプロストエステルジオール(11)の合成
(A)アリルヒドロキシシクロペンタベンゾフラン(5)の合成
コンデンサー、滴下漏斗及び隔膜を備えた、250mlの三口丸底フラスコを、無水トルエン(7ml)中、ブロモフェニルヒドロキシシクロペンテニルエーテル(4)(4.3g、12.10mモル)の溶液により充填した。これに、アリルトリブチルスタンナン(24.4g、72.63mモル)を添加し、そしてアルゴン下で110℃に加熱した。トルエン(14ml)中、AIBN(1.0g、6.05mモル)の溶液を、20分間にわたって滴下し、そして加熱を還流温度で続けた。AIBN溶液の完全な添加の後、反応混合物を10分間、加熱還流した。反応の進行を、TLCによりモニターした。この段階で、反応は完結し、そして反応混合物を周囲温度に冷却した。この反応混合物を、精製のために、シリカ充填カラム上に直接的に負荷した。所望する化合物を含む画分(TLCにより調べられた)を組合し、そして真空下で蒸発し、アリルヒドロキシシクロペンタベンゾフラン(5)(2.27g、59.5%)を得た。化合物を、1H NMRにより特徴づけた。
(B)アルケニルヒドロキシシクロペンタベンゾフラン(6)の合成:
コンデンサーを備えた、100mlの単口丸底フラスコを、無水トルエン(30ml)中、アリルヒドロキシシクロペンタベンゾフラン(5)(2.2g、6.95mモル)の溶液により充填した。これに、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)(0.33g、0.34mモル)を添加し、そしてアルゴン下で110℃で加熱還流した。反応の進行を、1H NMRによりモニターした。2.5時間後、反応は完結し、次に反応混合物を周囲温度に冷却し、そして精製のために、シリカ充填カラム上に直接的に負荷した。所望する化合物を含む画分(TLCにより調べられた、45%酢酸エチル:ヘキサン)を組合し、そして真空下で蒸発し、アルケニルヒドロキシシクロペンタベンゾフラン(6)(1.836g、83.5%)を得た。化合物を、1H NMRにより特徴づけた。
(C)アルケニルヒドロキシシクロペンタベンゾフラン(6)の合成:
オゾンバブラーを備えた、100mlの一口丸底フラスコを、無水メタノール(30ml)及び無水ジクロロメタン(10ml)中、アルケニルヒドロキシシクロペンタベンゾフラン(6)(1.8g、5.69mモル)の溶液により充填し、そしてこれを、−78℃に冷却した。次に、オゾンガスを、Wedeco GSO 10シリーズのオゾン発生器を用いて、15分間、前記溶液中に吹き込んだ。出発材料の完全な転換を示すTLCにより、反応の進行をモニターした。この段階で、反応混合物の温度を、−20℃に高め、そしてアルゴンガスにより5分間、フラッシュした。
オゾニド中間体に、−20℃で水素化ホウ素ナトリウム(0.43g、11.38mモル)を添加し、そして2時間アルゴン下で攪拌し、この間、反応混合物は周囲温度に維持された。反応の進行をTLCによりモニターした。反応の完結後、それを氷酢酸(3ml)により冷却し、そして有機揮発物を真空下で蒸発した。残渣をエチル(2×30ml)と水(30ml)との間に分けた。組合された有機層を、ブライン(30ml)により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして真空下で蒸発し、粗生成物を得た。これを、精製のために、シリカ充填カラム上に負荷した。所望する化合物を含む画分(TLCにより調べられた)を、組合し、そして真空下で蒸発し、ベラプロストエステルジオール(1.5g、86.2%)を得た。この化合物を、1H NMR及びキラルHPLCにより特徴づけた。
実施例4.2−ブロモフェノール−6−カルボメトキシプロパン(8)の合成:
(A)ベンゾラクトン(3)の合成
ジクロロメタン(500ml)中、α−テトラロン(1)(30.69g、209.93mモル)の溶液に、室温で、アルゴン下で3−クロロ過安息香酸(2)(約77%、57.5g、252.15mモル)を添加した。その反応混合物を室温で攪拌した。反応を、tlc(EtOAc/ヘキサン、1:4)によりモニターした。93時間後、反応混合物を濾過し、3−クロロ安息香酸(固体)を除き、そして固形物をジクロロメタンにより洗浄した。ジクロロメタン濾液を、亜硫酸水素ナトリウムの10%水溶液(1×100ml)、炭酸ナトリウムの10%水溶液(3×100ml)、ブライン(1×50ml)により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、粗ベンゾラクトン(3)を、淡黄色の液体(33.80g)として得た。粗化合物は、いくらかの出発材料を含み(1H NMR及びtlcによれば、約10%)、そしてさらなる精製のために次の工程で使用した。
(B)メチル4−(2−ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)の合成:
メタノール(350ml)中、粗ベンゾラクトン(3)(33.80g、208.41mモル)の溶液に、固形ナトリウムメトキシド(4)(13.51g、250.09mモル)を、周囲温度で、アルゴン下で、少しずつ添加した。反応混合物を、1時間、攪拌し、そしてtlc(EtOAc/ヘキサン、1:4)により調べた。その混合物を、3Nの塩酸(100ml)により、pH1−2まで酸性化した。混合物を真空下で蒸発し、メタノールを除去し、そして水性残渣を水(100ml)により希釈した。その混合物を、酢酸エチル(3×75ml)により抽出した。組合された酢酸エチル混合物を、水(2×100ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×30ml)、ブライン(1×25ml)により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、粗メチル4−(2−ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)を、淡褐色の液体(36.34g)として得た。粗生成物を、二段階で、ヘキサン中、酢酸エチルを用いて、シリカゲル(392.4g)上でクロマトグラフィー処理し、純粋化合物を、淡琥珀色の液体(30.6g、75.1%)として得た、スペクトルデータ(IR、1H NMR、13C NMR、MS)により特徴づけた。
(C)種々の溶媒中、N−ブロモスクシンイミド(NBS)及び臭素によるメチル4−(2−ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)の位置選択的臭素化:
(i)種々の溶媒中、N−ブロモスクシンイミド及びジイソプロピルアミンによるメチル4−(2−ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)の臭素化:
溶媒(3.0−10.0ml)中、メチル4−(2−ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)(0.50−2.5mモル、1.0当量)の溶液に、ジイソプロピルアミン(0.50−2.5mモル、1.0当量又は未満、及びいくらかの場合は、ジイソポウロピルアミンを伴わない)を添加した。この透明な溶液にN−ブロモスクシンイミド(0.50−2.mモル、0.90−1.0当量)を、0℃で、室温又は−78℃で、アルゴン下で、一度に添加した。反応混合物を、適切な温度で30分〜3時間、攪拌し、そして反応をtlc(EtOAc/ヘキサン、1:4)によりモニターした。反応混合物を、真空下で水性処理することなく、直接的に蒸発し、粗生成物を得るか、又は水性処理を伴って蒸発し、粗生成物を得た。粗生成物の1H NMR及びHPLCを取り、そして結果を集計した(表1を参照のこと)。
(ii)種々の溶媒中、臭素によるメチル4−(2−ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)の臭素化:
溶媒CH2Cl2、CCl4又はEt2O(1.0−5.0ml)中、メチル4−(2−ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)(0.25−3.7mモル、1.0当量)の溶液に、CH2Cl2、CCl4又はEt2O中、臭素(0.25−7.4mモル)の溶液を、0℃〜5℃(氷/水浴)で、アルゴン下で、添加した。反応混合物(赤褐色〜淡黄色)を30分間、攪拌した。そしてtlc(EtOAc/ヘキサン、1:4)により調べた。反応混合物を、水性処理を伴わないで、真空下で、蒸発し、粗ブロモ化合物を淡黄色の粘性液体として得た。粗生成物の1H NMR及びHPLCを行い、そして結果を集計した(表2を参照のこと)。
(D)2−ブロモフェノール−6−カルボメトキシプロパン(8)の合成:
無水ジクロロメタン(750ml)中、メチル4−(2−ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)(30.0g、154.46mモル)の溶液に、ジイソプロピルアミン(7)(15.63g、154.46mモル)を、室温で、アルゴン下で添加した。透明な溶液を、5℃(内部反応温度)(氷/水浴)に冷却し、そして次に、N−ブロモスクシンイミド(NBS)(6)(27.4g、154.45mモル)を、一度に添加した(わずかな発熱性、内部温度は10℃に高められた)。明るい黄色の反応混合物を、5℃で2時間、攪拌し、そしてtlc(EtOAc/ヘキサン、1:4)により調べた。反応混合物はほとんど無色に、又はわずかな淡黄色になった。混合物を、水(200ml)により急冷した。
有機層(ジクロロメタン)を分離し、そして真空下で蒸発し、ジクロロメタンを除去した。残渣をMTBE(300ml)に溶解し、そして次に、水(2×150ml)、2Hの塩酸(1×25ml)、水(2×150ml)、ブライン(1×25ml)により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で蒸発し、##上##を、淡黄色の粘性液体(41.50g)として得た。粗生成物のHPLCは、それぞれ、88.7%、0.1%、0.1%、6.9%及び3.7%で、2−ブロモ、4−ブロモ、2,4−ジブロモ化合物、及び出発材料を示した。シクロペンタンからの粗生成物の結晶化により、94.7%の純度の2−ブロモ化合物と共に、オフホワイト結晶を得た。さらなる結晶化により、97.1%の純粋2−ブロモ化合物(8)を、白色結晶(mp31−32℃)(15.91g、61.4%の収率)として得、そしてスペクトルデータ(IR、1H NMR、13C NMR,MS)により特徴づけた。
(E)2,4−ジブロモフェノール−6−カルボメトキシプロパン(11)の合成:
ジクロロメタン(50ml)中、2−ブロモフェノール−6−カルボメトキシプロパン(8)(4.68g、17.13mモル)の溶液を、ジクロロメタン(10ml)中、臭素(4.1g、25.65mモル)の溶液を、0℃〜5℃(氷/水浴)で、アルゴン下で添加した。反応混合物(淡臭素色)を、この温度で2時間、及び室温で一晩攪拌した。16時間後、反応混合物を、tlc(EtOAc/ヘキサン、1:4)により調べた。反応混合物を、チオ硫酸ナトリウム5%溶液(50ml)により処理し、そして次に、層を分離した。ジクロロメタン層を、水(1×50ml)、飽和炭酸水素ナトリウム(1×30ml)、水(1×50ml)、ブライン(1×15ml)により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、淡黄色の粘性液体(5.78g)を得た。粗生成物を、ヘキサン及び酢酸エチルから−18℃で再結晶化し、純粋な2,4‐ジブロモフェノール‐6‐カルボメトキシプロパン(11)を、オフホワイト色の固体(2.84g、47.1%、mp 55−57℃、純度93.7%(HPLCによる)として得、そしてスペクトルデータ(1R、1H NMR及び13C NMR)により特徴づけた。
実施例5.2−ブロモフェノール−6−カルボメトキシプロパン(8)の大規模合成:
(A)ベンゾラクトン(3)の合成:
ジクロロメタン(1700ml)中、α−テトラロン(1)(102.58g、701.69mモル)の溶液に、3−クロロ過安息香酸(2)(約77%、192.0g、842.06mモル)を、室温で、アルゴン下で、添加した(わずかな吸熱反応が、3−クロロ過安息香酸の添加の間、観察された)。反応混合物を、室温で染色し、そしてtlc(EtOAc/ヘキサン、1:4)によりモニターした。140時間後、非常にわずかな出発材料が残存した。反応混合物を濾過し、3−クロロ−安息香酸(固体)を除去し、そしてジクロロメタンにより洗浄した。ジクロロメタン濾液を、亜硫酸水素ナトリウムの10%水溶液(1×300ml)、炭酸ナトリウムの10%水溶液(1×1000ml)、ブライン(1×50ml)により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、粗ベンゾラクトン(3)を、淡黄色の液体(122.6g)として得た。いくらかの出発材料(1H NMR及びtlcによれば、約5%)を含む粗化合物を、さらに精製しないで、次の工程で使用した。
(B)メチル4−(2−ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)の合成
メタノール(1000ml)中、粗ベンゾラクトン(3)(122.6g、粗生成物は113.80g、701.69mモルとして計算された)の溶液に、固形ナトリウムメトキシド(4)(45.5g、842.28mモル)を少しずつ(わずかに発熱性)、室温で、アルゴン下で添加した。反応混合物を、室温で1時間、攪拌し、そしてtlc(EtOAc/ヘキサン、1:4)により調べた。その混合物を、3Nの塩酸(30ml)により、pH1−2に酸性化した。その混合物を真空下で蒸発し、メタノールを除去し、そして水性残渣を水(300ml)により希釈した。混合物を、酢酸エチル(3×150ml)により抽出した。組合された酢酸エチルを、水(2×100ml)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×40ml、ブライン(1×30ml)により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過した、そして真空下で濃縮し、粗メチル4‐(2‐ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)を、淡褐色の液体(126.11g)として得た。ヘキサン中、酢酸エチル(2−15%)を用いてのシリカゲル(398.11g)上での粗生成物の濾過型クロマトグラフィー処理により、メチル4‐(2‐ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)を、淡琥珀色の液体(2工程で、119.3g、87.3%)(HPLCによる純度95.44%)として得、そしてこれを、1H NMRスペクトルにより特徴づけた。
(C)2−ブロモフェノール−6−カルボメトキシプロパン(8)の合成
無水ジクロロメタン(2955ml)中、メチル4‐(2‐ヒドロキシフェニル)ブタノエート(5)(118.2g、608.59mモル)の溶液に、ジメソプロピルアミン(7)(61.58g、608.56mモル)を、室温で、アルゴン下で添加した。その透明な溶液を、5℃(内部反応温度)(ドライアイス/アセトン、制御された浴温度)に冷却し、そして次に、N−プロモスクシンイミド(NBS)(6)(108.32g、608.57mモル)を、一度に添加した(わずかに発熱性、内部温度を10℃に高めた)。淡黄色の反応混合物を、5〜10℃で2時間、攪拌し、そしてtlc(EtOAc/ヘキサン、1:4)により調べた。反応混合物はほとんど無色か又はわずかに薄い黄色になった。混合物を、水(1000ml)により急冷した。有機層(ジクロロメタン)を分離し、そして真空下で蒸発し、ジクロロメタンを除去した。有機化合物を含む残渣(ジクロロメタン蒸発後に得られた)を、MTBE(750ml)に溶解し、そして水(2×150ml)、2Nの塩酸(1×30ml)、水(2×150ml)、ブライン(1×25ml)により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、2‐ブロモフェノール‐6‐カルボメトキシプロパンを、薄い黄色の粘性液体(162.8g)として得た。粗生成物は、90%の2−ブロモ化合物及び10%の2.4−ジブロモ化合物(HPLCによれば)を含んだ。−40℃でのシクロペンタン(1600ml)及び酢酸エチル(16ml)からの粗生成物の再結晶化により、オフホワイト色の結晶(81.68%)を得、ここで2−ブロモ化合物は97.4%の純度及び2,4−ジブロモ化合物は1.94%の純度を有した。母液残渣(85.4g)を、−40℃でシクロペンタン及び酢酸エチルにより3度、再結晶化し、オフホワイト色の結晶(26.89g)を得た。(2−ブロモ化合物は96.6%の純度及び2,4−ジブロモ化合物は1.99%の純度を有した)。2‐ブロモフェノール‐6‐カルボメトキシプロパン(8)の組合された総重量は、108.6gであった(三段階で56.6%)。化合物を、1H NMRスペクトルにより特徴づけた。
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書に特異的に開示されない、何れかの要素または複数の要素、制限又は複数の制限の不在下では適切に実施され得る。従って、例えば、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」等は、広範に且つ制限なく読まれるであろう。さらに、本明細書に使用される用語及び表現は、説明のためであって、制限のための用語として使用され、そしてそのような用語及び表現の使用には、示される特徴又はその一部の任意の等価物を排除する意図はないが、しかし請求される技術の範囲内で種々の修飾が可能であることが認識される。さらに、語句「〜から実質的に成る(consisting essentially of )」とは、特別に引用されるそれらの要素、及び請求される技術の基本的且つ新規の特性に実質的に影響を及ぼさないそれらの追加の要素を含むことが理解されるであろう。語句「〜から成る(consisting of)」とは、指定されていない何れの要素も除去する。
本開示は、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるものではない。多くの修飾及び変更は、当業者に明らかであるように、その精神及び範囲から逸脱することなく行われ得る。本明細書に列挙されるそれらの方法の他に、本開示の範囲内の機能的に等価の方法及び組成物は、上記の記載から当業者に明らかであろう。そのような修飾及び変更は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲と、そのような特許請求の範囲が権利を与えられている同等物の全範囲とによってのみ限定されるものである。この開示は、もちろん変化し得る。特定の方法、試薬化合物、組成物又は生物学的にシステムに限定されないことが理解されるべきである。本明細書に使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことも理解される。
さらに、本開示の特徴又は側面がマーカッシュ群に関して記載されている場合、当業者は、本開示がまた、マーアッシュ群のメンバーの任意の個々のメンバー又はサブグループに関しても記載されることを認識するであろう。
当業者により理解されるように、任意の目的及びすべての目的のために、特に表面による説明を提供する観点から、本明細書に開示されるすべての範囲はまた、任意の及びすべての部分範囲及びその部分範囲の組み合わせも包含する。列挙された範囲は、十分に記載され、同じ範囲を少なくとも2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1、等に分解できると用意に認識され得る。非制限的な例として、本明細書に論じられる各範囲は、下3分の1、中3分の1、及び上3分の1、等に分解され得る。津業者に理解されるであろうように、すべての用語、例えば「〜まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「〜より大きな(greater than)」、「〜より小さな(less than)」等は、引用される数を包含し、そして続いて上述されたように、部分範囲に分解され得る範囲を言及する。最終的に、当業者により理解されるであろうように、範囲は各個々のメンバーを包含する。
全ての出版物、特許出願、発行された特許及び本明細書に言及される他の文書は、各個々の出版物、特許出願、発行された特許又は文書が、その全体が参照により組込まれるように具体的且つ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組込まれるテキストに含まれる定義は、本開示における定義と矛盾する範囲で除外される。
特定の実施形態が例示され、そして記載されて来たが、変更及び修飾が、添付の特許請求の範囲に定義されるような範囲な側面において技術から逸脱することなく、当業者により行われ得ることが理解されるべきである。