JP6784250B2 - インクジェット用コーティング組成物 - Google Patents
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Description
TI=(回転数6rpmにおける液温25℃での粘度)/(回転数60rpmにおける液温25℃での粘度)・・・(1)
本実施形態に係るコーティング組成物は、流動時間が27秒以上60秒以下である。
流動時間は、JIS(日本工業規格) K 5600−2−2に準拠してザーンカップを用いて測定される。ザーンカップ(熊谷理機株式会社製「No.5」オリフィス径5mm)は、カップと、柄と、つまみとを有する。カップは、底部にオリフィス(穴)を有する。柄は、湾曲部を備え、U字型の形状を有する。湾曲部は、接合用の穴を有する。カップの淵の2か所と、柄のU字形状の2か所の先端部とが回転可能に接合する。つまみはリング形状を有する。柄の湾曲部の穴と、リング状のつまみとが鎖のようにつながっている。測定方法は、次のように行われる。まず、ザーンカップのカップをコーティング組成物中に沈める。次いで、ザーンカップのつまみを指で持ちながら鉛直方向上側にザーンカップを持ち上げ、カップの底部がコーティング組成物の液面から離れたときから、オリフィスから流れ落ちるコーティング組成物の線状の液ダレが途切れるまでの時間を測定する。得られた時間(単位:秒)を流動時間とする。
本実施形態に係るコーティング組成物は、チキソトロピーインデックスTIが10以上30以下である。
TI=(回転数6rpmにおける液温25℃での粘度)/(回転数60rpmにおける液温25℃での粘度)・・・(1)
B型粘度計(東機産業株式会社製「TVB10」型粘度計)を用いて、回転数6rpm及び60rpmでのコーティング組成物の温度(液温)25℃でのコーティング組成物の粘度を測定する。B型粘度計は、TH1ローターを備える。数式(1)を用いて、得られた2つの粘度からチキソトロピーインデックスを算出する。
スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレン系モノマーとアクリル酸系モノマーとの共重合体である。なお、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
スチレン−アクリル酸系樹脂の酸価は、50mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることが好ましく、200mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがより好ましい。
スチレン−アクリル酸系樹脂の酸価は、JIS K0070−1992に準拠する方法で測定する。
スチレン−アクリル酸系樹脂の質量平均分子量(Mw)は、1,000以上17,000以下であることが好ましく、1,500以上3,000以下であることがより好ましい。
スチレン−アクリル酸系樹脂の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記条件で測定する。
<<調製条件>>
溶離液 :THF(テトラヒドロフラン)
溶液濃度:3.0mg/mL
前処理 :孔径0.45μmのフィルターによるろ過
注入量 :100μL
<<測定条件>>
装置 :HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム :TSKgel GMHXL(東ソー株式会社製)
カラム本数 :2本(直列接続)
カラム温度 :40℃
キャリア溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
キャリア流速:1mL/分
検出器 :RI(屈折率)検出器
検量線 :標準物質として標準ポリスチレンを用いて測定し作成された検量線
スチレン−アクリル酸系樹脂の固形分比は、コーティング組成物に含まれる水の質量に対して0.45以上0.65以下であることが好ましい。固形分比が0.45以上であると、ローラーに担持されたコート層に液たれが生じにくい。かかる場合、インク画像のにじみが生じにくく、記録媒体がカールしにくい。また、オーバーコート層の光沢性が更に向上する。一方、固形分比が0.65以下であると、コーティング組成物は適度な流動性及び粘着性を有する。かかる場合、塗工ムラが生じにくく、均一な膜厚のオーバーコート層を形成しやすい。
(個数平均粒子径)
ポリエチレン粒子の個数平均粒子径は、1.0μm以上4.0μm以下であることが好ましい。個数平均粒子径が1.0μm以上4.0μm以下であると、コーティング組成物の塗布膜が記録媒体の印刷層上に形成された場合に、記録媒体の表面の空隙を適度に隠蔽する傾向にある。このため、記録媒体の表面から内部へのコーティング組成物の浸透速度を適正な範囲に制御しやすい。その結果、均一で適切な膜厚のコーティング組成物の塗布膜を形成しやすくなり、光沢性及び耐摩耗性に優れるオーバーコート層を形成しやすくなる。
ポリエチレン粒子の個数平均粒子径は、湿式フロー式粒子径・形状分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)で得られる画像における、一次粒子の円相当径の個数平均値である。円相当径は、ポリエチレン粒子の投影面積と同一の面積を有する円の直径を示す。
ポリエチレン粒子の含有量は、コーティング組成物100質量部に対して0.40質量部以上1.60質量部以下であることが好ましい。含有量が0.40質量部以上1.60質量部以下であると、コーティング組成物の塗布膜が記録媒体の印刷層上に形成された場合に、記録媒体の表面の空隙を適度に隠蔽する傾向にある。このため、記録媒体の表面から内部へのコーティング組成物の浸透速度を適正な範囲に制御しやすい。その結果、均一で適切な膜厚のコーティング組成物の塗布膜を形成しやすくなり、光沢性及び耐摩耗性に優れるオーバーコート層を形成しやすくなる。
本明細書において、記録媒体は、例えば、インクジェット用の水性インクを吸収する。記録媒体としては、例えば、高吸収性記録媒体が挙げられる。詳しくは、高吸収性記録媒体とは、水の吸収係数Kaが0.5mL/(m2・ms1/2)以上3.0mL/(m2・ms1/2)以下である記録媒体である。水の吸収係数は、紙パルプ技術協会(Japan Technical Association of the Pulp and Paper Industry:JAPAN TAPPI)紙パルプ試験方法No.51の「紙及び板紙の液体吸収性試験方法」に記載されたブリストー法で算出される。高吸収性記録媒体は、インクジェット用の水性インクを吸収する性質が優れる。このため、本実施形態に係るコーティング組成物は、特に、高吸収性記録媒体上に形成されたインク層のオーバーコート層に対して、特に優れた光沢性及び耐摩耗性を付与することができる。
水性インクは、インクジェット用インクである。水性インクは、例えば、溶剤と、着色剤と、樹脂と、界面活性剤とを含む。
溶剤は、水を含む。溶剤は、水の他に、インクの乾燥速度及び記録媒体への浸透速度を制御する目的で、水酸基、カルボニル基又はエーテル基を有する化合物を含んでもよい。水酸基、カルボニル基又はエーテル基を有する化合物としては、例えば、グリセリン、グリコール、アルコール、ピロリドン又はグリコールエーテルが挙げられる。グリコールとしては、例えば、エチレングリコールが挙げられる。グリコールエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル又はジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルが挙げられる。インクの粘度を適切に調整する観点から、インクにおける水の量が、インクの全質量に対して20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
水性インクは、着色剤として顔料を含む。水性インクは、顔料分散体を含んでもよい。顔料分散体は、複数の顔料粒子を含む。複数の顔料粒子は、凝集を制御する目的で、顔料粒子の表面が樹脂で覆われてもよい。
顔料粒子は、実質的に顔料から構成される。インクの色濃度、色相又は安定性を向上させるためには、顔料粒子の体積中位径(D50)が30nm以上200nm以下であることが好ましい。水性インクにおける着色剤の含有量は、水性インクの全質量に対して2.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
樹脂は、水性インクの溶剤中に分散してもよい。このような樹脂を分散樹脂と記載することがある。また、樹脂は、顔料粒子同士の凝集を抑制する目的で、顔料粒子の表面を覆ってもよい。このような樹脂を被覆樹脂と記すことがある。樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸系樹脂が挙げられる。このスチレン−アクリル酸系樹脂としては、例えば、コーティング組成物に含まれるスチレン−アクリル酸系樹脂が挙げられる。
水性インクは、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤は、分子内に親水性基と、疎水性基とを有する化合物である。
(実施例1)
以下、実施例について説明する。分散機(プライミクス株式会社製「超高速乳化分散機 マルチ攪拌システム T.K.ロボミックス」)を用いてスチレン−アクリル酸系樹脂の分散液(BASF社製「ジョンクリル52J」)(98.0質量部)と、ポリエチレン粒子(三井化学株式会社製「ケミパールW400」)(1.0質量部)と、純水(1.0質量部)とを0.5時間混合し、分散した。そのようにして、コーティング組成物(A−1)を調製した。
コーティング組成物(A−2)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−4)を、以下の条件を変更した以外は、コーティング組成物(A−1)と同様の方法で調製した。詳しくは、スチレン−アクリル酸系樹脂の分散液(ジョンクリル52J)(98.0質量部)に代えて、表1に記載の種類及び含有量のスチレン−アクリル酸系樹脂の分散液を使用した。ポリエチレン粒子(ケミパールW401)(1.0質量部)を、表1に記載の種類及び含有量のポリエチレン粒子を使用した。純水(1.0質量部)を、表1に記載の純水の含有量に変更した。
コーティング組成物(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−4)について、実施形態で説明した方法及び条件で、流動時間を測定し、チキソトロピーインデックスTIを算出した。表1に流動時間及びチキソトロピーインデックスを示す。
<測定用試料の調製>
(印刷層の形成)
インクジェット方式の画像形成装置(セイコーエプソン株式会社製「カラリオ(登録商標)PX−045A」)を用いて、20cm×20cmのソリッド画像(画像濃度100%)を上質紙(Mondi社製「Copy Color 300」(坪量300g/m2、サイズA4))の表面に形成した。
フレキソコーター(株式会社ハママツ製「SP−5型」)を用いて、印刷速度40枚/分の条件で、印刷層を含む上質紙の表面全体にコーティング組成物(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−4)の何れかの塗布膜を形成した。乾燥機(東京理科器械株式会社製「真空定温乾燥器VOS−601SD)を用いて塗布膜を乾燥させてオーバーコート層を形成した。得られた印刷物をそれぞれ測定用試料(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−4)とした。
測定用試料(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−4)の光沢度は、ハンディー光沢計(島津製作所製「GI−300」)を用いて、入射/反射=60°/60°の条件の下、測定した。光沢度が20以上40以下である場合、光沢性に優れることを示す。得られた光沢度を表2に示す。
(評価用試料の調製)
測定用試料(A−1)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−4)を1日間静置して十分に乾燥させた。これらの測定用試料を学振型摩擦試験機(株式会社 安田精機製作所製「摩擦試験機II形」)に設置した。あて紙として上質紙を用いた。下記条件の下、測定用試料に形成されたオーバーコート層の表面を摩擦した。
荷重:500g
摩擦回数:50回(往復で1回)
A(良い):オーバーコート層及びインク層に全く傷が確認されない。
B(普通):オーバーコート層及びインク層に傷が確認されたが、実用上問題がない。
C(悪い):オーバーコート層及びインク層に傷が確認され、実用上問題がある。摩擦処理をしたインク層の全面積に対して、80%以上で傷がある。
Claims (5)
- 水性インクを用いてインクジェット方式により記録媒体上に形成されたインク層のオーバーコートに用いるインクジェット用コーティング組成物であって、
スチレン−アクリル酸系樹脂と、ポリエチレン粒子と、水とを含み、
JIS K 5600−2−2に準拠して測定されるザーンカップ5番での流動時間が27秒以上60秒以下であり、
数式(1)で表されるチキソトロピーインデックスTIが10以上30以下であり、
前記スチレン−アクリル酸系樹脂の固形分比は、前記水の質量に対して0.45以上0.65以下である、インクジェット用コーティング組成物。
TI=(回転数6rpmにおける25℃での粘度)/(回転数60rpmにおける25℃での粘度)・・・(1) - 前記スチレン−アクリル酸系樹脂の酸価は、50mgKOH/g以上500mgKOH/g以下である、請求項1に記載のインクジェット用コーティング組成物。
- 前記スチレン−アクリル酸系樹脂の質量平均分子量は、1,000以上17,000以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット用コーティング組成物。
- 前記ポリエチレン粒子の個数平均粒子径は、1μm以上4μm以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェット用コーティング組成物。
- 前記ポリエチレン粒子の含有量は、前記インクジェット用コーティング組成物100質量部に対して0.40質量部以上1.60質量部以下である、請求項1〜4の何れか一項に記載のインクジェット用コーティング組成物。
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