JP5286247B2 - インクジェット記録用処理液、該処理液を用いるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録用処理液、該処理液を用いるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、インクを用紙等の記録媒体に向けて吐出することにより該記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法に使用可能なインクジェット記録用処理液、該処理液を用いるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
従来、例えば他の機器から伝送されてきた画像情報に基づき、インクジェット記録ヘッドのインク吐出口(ノズル)から、少なくとも水及び着色剤を含んだインクを、PPC用紙等の記録媒体に向けて吐出することにより、該記録媒体にインクを付着させて画像を形成するインクジェット記録装置が知られている。このインクジェット記録装置は、一般に、記録媒体を搬送するための搬送ベルトと、この搬送ベルトに対向して配置されたインクジェット記録ヘッドとを備えている。そして、搬送ベルトの走行により記録媒体を搬送しつつ、この記録媒体に向けて、インクジェット記録ヘッドに多数配列されたインク吐出口からインクを吐出することにより、記録媒体に画像が形成される。インクが付着され、画像が形成された記録媒体は、排出ローラにより搬送ベルトから排出される。
このようなインクジェット記録装置において、例えば75〜200枚/分というような大量高速印刷を行うためには、インクを吐出する記録ヘッドの駆動周波数を上げることの他に、記録媒体の幅と同じかそれ以上の長さを有する長尺なライン型インクジェット記録ヘッドを用いることが提案されている。つまり、記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と直行する方向に走査させつつインクを吐出するシリアル型記録ヘッドに代えて、長尺なライン型記録ヘッドを記録媒体の幅方向に延びるように装置本体に固定したまま記録媒体の全幅に亘ってインクを同時一斉に吐出するのである。これにより、シリアル型記録ヘッドに比べて格段の高速処理化が実現する。
しかし、インクジェット記録装置の高速処理化が図られると、インクが記録媒体に吐出されてから排出ローラが記録媒体と接触するまでの時間が短くなり、インクの乾燥が不十分なうちに排出ローラが記録媒体と接触し、ローラ表面にインクが付着する可能性が大きくなる。その結果、記録媒体に形成された画像の濃度が低下したり、画像に欠けや乱れが生じたり、ローラに記録媒体が巻き付く等の問題が起こり得る。
さらに、ローラ表面に付着したインクが記録媒体の非印字部(インクが付着されていない記録媒体の部分:例えば記録媒体の周縁部や側縁部等)に転写されて記録媒体を汚してしまったり、複数枚の記録媒体に連続印刷する場合は、ローラ表面に付着したインクが後続の記録媒体に版画のように転写されて複数枚の記録媒体を汚してしまうという問題も併発する可能性がある。
これらの問題に対処するために、特許文献1、2には、次のような技術が開示されている。すなわち、記録媒体にインクを付着させた後、透明な被膜を形成し得るポリマーを含有するオーバーコート液(処理液)を付着させるのである。これにより、記録媒体に付着したインクの表面をオーバーコート液のポリマーの被膜で被覆して、排出ローラ表面へのインクの付着を抑制することが期待される。また、特許文献3には、記録媒体の表面にサチンホワイトや硫酸カルシウムを主成分とする下塗り層が形成されたインクジェット用塗工紙が開示されている。
特開2002−144551号公報(段落0014) 特開2003−53942号公報(段落0027) 特開2004−262232号公報(段落0017)
しかしながら、前記特許文献1、2に開示されているオーバーコート液のポリマーとして挙げられている一般的なアクリルエマルションやウレタンエマルションは、樹脂被膜の造膜性や乾燥性に劣り、排出ローラ表面へのインクの付着を十分に抑制することができなかった。そして、この傾向は、例えば75枚/分というような高速印刷においても、また200枚/分というようなさらなる高速印刷(超高速印刷)においても顕著であった。
本発明は、記録媒体にインクを付着させた後、該インクを樹脂被膜で被覆するための処理液(オーバーコート液)を記録媒体に付着させるインクジェット記録方法における前記のような問題に対処するもので、たとえ75〜200枚/分というような大量高速印刷においても、排出ローラ表面へのインクの付着を十分に抑制することができる処理液の提供を課題とする。
すなわち、本発明の一局面は、記録媒体にインクを付着させた後、該インクを樹脂被膜で被覆するための処理液を記録媒体に付着させるインクジェット記録方法に用いる処理液であって、ガラス転移温度が40〜70℃のアクリル樹脂のエマルションと、ガラス転移温度が−20〜30℃のアクリル樹脂のエマルションと、薄片状の無機フィラーとを含有するインクジェット記録用処理液である。
このインクジェット記録用処理液によれば、ガラス転移温度が−20℃以上かつ30℃以下と相対的に低いアクリル樹脂(以下「低Tg樹脂」という場合がある)によって優れた造膜性が確保され、ガラス転移温度が40℃以上かつ70℃以下と相対的に高いアクリル樹脂(以下「高Tg樹脂」という場合がある)によって優れた乾燥性(速乾性)が確保される。そして、このような2種類のアクリル樹脂の被膜で先に記録媒体に付着したインクの表面を被覆することにより、排出ローラ表面へのインクの付着が十分に抑制される。
また、アクリル樹脂は、透明な被膜を形成するので、この透明な樹脂被膜によって画像に光沢が付与され、美粧性に優れた画像が得られる利点もある。さらに、低Tg樹脂によって樹脂被膜に柔軟性や耐衝撃性が付与されるという利点もある。
加えて、薄片状の無機フィラーの存在により、インクを被覆する樹脂被膜の造膜性及び乾燥性(速乾性)がより一層向上する。つまり、薄片状の無機フィラーが、記録媒体表面のインク付着部(便宜上、本明細書中で「印字部」と記すことがある)の凹凸(記録媒体の表面の粗度に起因する凹凸や、インク中の顔料粒子に起因する凹凸等)を橋渡しして、印字部の表面平滑性を実現し、樹脂被膜の造膜性に寄与する。また、無機フィラーは一般にチキソ性が高い。したがって、このようなチキソ性の高い無機フィラーを処理液中に添加しておくことにより、記録媒体への付着の際には処理液の粘度が下がって処理液が記録媒体で広がり易くなるため処理液が印字部の凹凸を埋め、印字部の表面平滑性を向上させ、樹脂被膜の造膜性に寄与する。さらに、無機フィラーは一般に吸湿性が高い。したがって、このような吸湿性の高い無機フィラーを処理液中に添加しておくことにより、処理液中の固形分濃度が上がり、樹脂被膜の乾燥性(速乾性)に寄与する。
なお、チキソ性とは、いわゆるチキソトロピー性のことで、例えば回転粘度計で粘度を評価した場合に、回転数が高くなる(歪速度が高い変位)と粘性が低くなり、回転数が低くなる(歪速度が低い変位)と粘性が高くなる性質のことである。インクジェット記録用処理液では、記録媒体への付着の際には粘度が十分に低く塗工が容易である一方で、付着後に静置して造膜及び乾燥させる際には粘度が十分に高く自然流延しないという性質が求められる。したがって、無機フィラーの存在により処理液にチキソ性が付与されることは、これらの点で有利に働く。
また、薄片状には、扁平状、フレーク状、鱗片状等が含まれる。
前記エマルションに含まれる前記アクリル樹脂の処理液全体における総含有量(含有率)は、5〜10質量%であることが好ましい。樹脂の含有量が過度に少ないと、記録媒体に付着したインクの被覆効果が不足し、ひいてはインクの排出ローラ表面への付着を十分に抑制できなくなる。樹脂の含有量が過度に多いと、造膜性と乾燥性との良好な均衡が崩れ、造膜性のみが相対的に向上し、速乾性が相対的に低下する。
前記2つのアクリル樹脂のガラス転移温度の差は、20〜70℃であることが好ましい。これにより、各アクリル樹脂の特性が明瞭に切り分けられ、低Tg樹脂による優れた造膜性の確保と、高Tg樹脂による優れた速乾性の確保とが、共に良好に実現する。
前記薄片状無機フィラーの処理液全体における総含有量(含有率)は、2〜35質量%であることが好ましい。無機フィラーの含有量が過度に少ないと、樹脂被膜の造膜性及び乾燥性(速乾性)が不足する可能性がある。無機フィラーの含有量が過度に多いと、樹脂被膜の主たる構成成分であるアクリル樹脂の被膜中に占める構成比率が低下するために、樹脂被膜の形成がやや不十分となり、インクの排出ローラ表面への付着が十分に抑制されなくなる可能性がある。
本発明の他の一局面は、記録媒体にインクを付着させた後、該インクを樹脂被膜で被覆するための処理液を記録媒体に付着させるインクジェット記録方法であって、記録媒体を印字前に予め加温すると共に、ガラス転移温度が40〜70℃のアクリル樹脂のエマルションと、ガラス転移温度が−20〜30℃のアクリル樹脂のエマルションと、薄片状の無機フィラーとを含有する処理液を用いるインクジェット記録方法である。
また、本発明のさらに他の一局面は、記録媒体にインクを付着させた後、該インクを樹脂被膜で被覆するための処理液を記録媒体に付着させるインクジェット記録装置であって、記録媒体の搬送経路上に、記録媒体にインクを付着させるためのインク付着手段と、記録媒体に処理液を付着させるための処理液付着手段とが、記録媒体の搬送方向の上流側からこの順に配置され、前記処理液付着手段が、ガラス転移温度が40〜70℃のアクリル樹脂のエマルションと、ガラス転移温度が−20〜30℃のアクリル樹脂のエマルションと、薄片状の無機フィラーとを含有する処理液を用いると共に、記録媒体を印字前に予め加温する加温手段がインク付着手段よりも記録媒体の搬送方向の上流側に備えられているインクジェット記録装置である。
これらのインクジェット記録方法又はインクジェット記録装置によっても、ガラス転移温度が−20℃以上かつ30℃以下と相対的に低いアクリル樹脂(低Tg樹脂)によって優れた造膜性が確保され、ガラス転移温度が40℃以上かつ70℃以下と相対的に高いアクリル樹脂(高Tg樹脂)によって優れた乾燥性(速乾性)が確保される。そして、このような2種類のアクリル樹脂の被膜で先に記録媒体に付着したインクの表面を被覆することにより、排出ローラ表面へのインクの付着が十分に抑制される。また、アクリル樹脂の透明な被膜によって画像に光沢が付与され、美粧性に優れた画像が得られる利点、さらに、低Tg樹脂によって樹脂被膜に柔軟性や耐衝撃性が付与されるという利点もある。加えて、薄片状の無機フィラーの存在により、インクを被覆する樹脂被膜の造膜性及び乾燥性(速乾性)がより一層向上する。さらに、記録媒体を印字前に予め加温しておくことにより、処理液を記録媒体に付着させた際の処理液の乾燥性(速乾性)がさらに向上する。なお、加温温度は、処理液の乾燥性の観点から、例えば50〜90℃程度、さらには70〜80℃程度が好ましい。
前記インクジェット記録装置のインク付着手段は、ライン型インクジェット記録ヘッドであることが好ましい。75〜200枚/分というような大量高速印刷が容易に実現できるからであり、その場合においても、排出ローラ表面へのインクの付着が十分に抑制される。
本発明に係る処理液は、ガラス転移温度が相違する2種類のアクリル樹脂の併用と、薄片状無機フィラーの添加とによって、記録媒体に付着したインクの表面を被覆するアクリル樹脂の被膜が優れた造膜性と優れた乾燥性(速乾性)とを具備することとなり、通常印刷はもとより、大量高速印刷においても、排出ローラ表面へのインクの付着を十分に抑制することができる。
本発明に係るインクジェット記録方法を実行するのに好適なインクジェット記録装置の概略構成図である。 前記インクジェット記録装置のインクジェット記録ヘッドに設けられたドット形成部の拡大縦断面図である。
[オーバーコート液]
本発明に係るインクジェット記録用オーバーコート液(処理液)は、先に記録媒体に付着したインクの表面を樹脂被膜で被覆するためのものであり、基本的構成として、ガラス転移温度が40℃以上かつ70℃以下のアクリル樹脂(高Tg樹脂)のエマルションと、ガラス転移温度が−20℃以上かつ30℃以下のアクリル樹脂(低Tg樹脂)のエマルションとを含有する。また、薄片状の無機フィラーが添加されている。その場合に、これらの2つのアクリル樹脂のガラス転移温度の差は、20℃以上かつ70℃以下に設定されている。また、前記エマルションに含まれる前記アクリル樹脂のオーバーコート液全体における含有率は、5〜10質量%であることが好ましい。前記薄片状無機フィラーのオーバーコート液全体における含有率は、2〜35質量%であることが好ましい。
本発明のオーバーコート液で溶媒として用いられる水は、イオン交換水が好ましい。そして、水に、低Tg樹脂及び高Tg樹脂をポリマーとして含ませてエマルションとし、本発明のオーバーコート液とする。あるいは、低Tg樹脂のエマルション及び高Tg樹脂のエマルションを水で希釈して本発明のオーバーコート液としてもよい。エマルション中のポリマー粒子の平均粒子径は、例えば50〜500μm程度、さらには80〜300μm程度であることが、造膜性等の点から好ましい。
本発明のオーバーコート液では、ガラス転移温度が相対的に低い低Tg樹脂と、ガラス転移温度が相対的に高い高Tg樹脂とを両方用いる。これにより、低Tg樹脂の特性と高Tg樹脂の特性とを両方具備する樹脂被膜が確実に得られる。
その場合に、低Tg樹脂のガラス転移温度は、−20℃以上かつ30℃以下である。このようにガラス転移温度が相対的に低いアクリル樹脂によって優れた造膜性が確保される。そのような観点からは、低Tg樹脂のガラス転移温度は、より好ましくは、−16℃以上、さらに好ましくは、−12℃以上である。また、より好ましくは、24℃以下、さらに好ましくは、19℃以下である。低Tg樹脂のガラス転移温度が過度に低いと、水分量が相対的に多い状態で造膜し、速乾性が低下する可能性がある。低Tg樹脂のガラス転移温度が過度に高いと、造膜性が不足する可能性がある。
一方、高Tg樹脂のガラス転移温度は、40℃以上かつ70℃以下である。このようにガラス転移温度が相対的に高いアクリル樹脂によって優れた乾燥性(速乾性)が確保される。そのような観点からは、高Tg樹脂のガラス転移温度は、より好ましくは、45℃以上、さらに好ましくは、50℃以上である。また、より好ましくは、65℃以下、さらに好ましくは、60℃以下である。高Tg樹脂のガラス転移温度が過度に低いと、速乾性が不足する可能性がある。高Tg樹脂のガラス転移温度が過度に高いと、造膜性が低下する可能性がある。
アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸エチレングリコール、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸エチレングリコール、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のアクリル系モノマーの単独重合体(ホモポリマー)又は共重合体(コポリマー)が挙げられる。
アクリル樹脂のガラス転移温度は、例えば、モノマーの種類やモノマーの種類の数あるいは分子量等を選定することにより調整することができる。
本発明のオーバーコート液では、低Tg樹脂のガラス転移温度と高Tg樹脂のガラス転移温度との差が20℃以上かつ70℃以下に設定される。
例えば、低Tg樹脂のガラス転移温度が−20℃である場合、高Tg樹脂のガラス転移温度は0℃〜50℃の範囲内から選定される。ここで、高Tg樹脂のガラス転移温度は40℃〜70℃であるから、結局、高Tg樹脂のガラス転移温度は40℃〜50℃の範囲内から選定されることになる。低Tg樹脂のガラス転移温度が30℃である場合は、高Tg樹脂のガラス転移温度は50℃〜100℃の範囲内から選定される。ここで、高Tg樹脂のガラス転移温度は40℃〜70℃であるから、結局、高Tg樹脂のガラス転移温度は50℃〜70℃の範囲内から選定されることになる。
同様に、高Tg樹脂のガラス転移温度が40℃である場合、低Tg樹脂のガラス転移温度は−30℃〜20℃の範囲内から選定される。ここで、低Tg樹脂のガラス転移温度は−20℃〜30℃であるから、結局、低Tg樹脂のガラス転移温度は−20℃〜20℃の範囲内から選定されることになる。高Tg樹脂のガラス転移温度が70℃である場合、低Tg樹脂のガラス転移温度は0℃〜50℃の範囲内から選定される。ここで、低Tg樹脂のガラス転移温度は−20℃〜30℃であるから、結局、低Tg樹脂のガラス転移温度は0℃〜30℃の範囲内から選定されることになる。
このように、いずれの場合も、低Tg樹脂のガラス転移温度と高Tg樹脂のガラス転移温度との差が少なくとも20℃あるから、低Tg樹脂の特性と高Tg樹脂の特性とが明瞭に切り分けられ、低Tg樹脂による優れた造膜性の確保と、高Tg樹脂による優れた速乾性の確保とが、共に良好に実現する。
本発明のオーバーコート液では、このようにガラス転移温度が相違する2種類のアクリル樹脂の被膜で先に記録媒体に付着したインクの表面を被覆することにより、排出ローラ(符号8:図1参照)表面へのインクの付着が十分に抑制される。
本発明のオーバーコート液では、アクリル樹脂が透明な被膜を形成するので、この透明な樹脂被膜によって画像に光沢が付与され、美粧性に優れた画像が得られる利点もある。さらに、低Tg樹脂によって樹脂被膜に柔軟性や耐衝撃性が付与されるという利点もある。
本発明のオーバーコート液で使用し得る低Tg樹脂のエマルションとしては、例えば、BASFジャパン社製の「ジョンクリルPDX−6102B」(固形分:24.5(質量%)、粘度:7,000(mPa・s)未満、ガラス転移温度:19℃)、JSR社製の「AE945H」(固形分:51(質量%)、粘度:120(mPa・s)、ガラス転移温度:−16℃)、日進化学工業社製の「2641」(固形分:40(質量%)、粘度:40(mPa・s)、ガラス転移温度:30℃)等が挙げられる。一方、本発明のオーバーコート液で使用し得る高Tg樹脂のエマルションとしては、例えば、BASFジャパン社製の「ジョンクリルJDX−6500」(固形分:29.5(質量%)、粘度:80(mPa・s)、ガラス転移温度:65℃)、JSR社製の「AE116」(固形分:40(質量%)、粘度:30(mPa・s)、ガラス転移温度:50℃)、日進化学工業社製の「2685」(固形分:30(質量%)、粘度:100(mPa・s)、ガラス転移温度:50℃)等が挙げられる。
本発明のオーバーコート液では、前記エマルションに含まれる前記アクリル樹脂(すなわち低Tg樹脂及び高Tg樹脂)のオーバーコート液全体における総含有量(含有率)は、5〜10質量%であることが好ましい。樹脂の含有量が過度に少ないと、記録媒体に付着したインクの被覆効果が不足し、ひいてはインクの排出ローラ表面への付着を十分に抑制できなくなる。樹脂の含有量が過度に多いと、造膜性と乾燥性との良好な均衡が崩れ、造膜性のみが相対的に向上し、速乾性が相対的に低下する。
本発明のオーバーコート液では、前記エマルションに含まれる低Tg樹脂と高Tg樹脂との質量比は、一般に、5:5が好ましいが、例えば造膜性と速乾性のいずれを重視するかに応じて、1:9〜9:1、より好ましくは3:7〜7:3等の範囲内で任意に変更してもよい。
本発明のオーバーコート液では、エマルションに含まれるポリマー、すなわち、低Tg樹脂及び高Tg樹脂は、コアシェル型のポリマーであってもよい。コアシェル型のポリマーとは、同一ミセル内の中心部分(コア部)と外殻部分(シェル部)とで異なる樹脂成分が存在するポリマーをいう。そのようなコアシェル型のポリマーの場合、ある樹脂成分で成る第1のアクリル樹脂の周囲に、例えば乳化基が組み込まれた他の樹脂成分で成る第2のアクリル樹脂が存在し、この第2のアクリル樹脂がミセルの外側に配置されて乳化剤として作用し、ポリマー自体がソープフリーの自己乳化型のコアシェル構造を呈することとなる。このようなコアシェル型のポリマーのエマルションは、公知のシード乳化重合法や、多段階乳化重合法等により製造することができる。また、コア部とシェル部の質量比は、一般に、2:8〜8:2が好ましく、3:7〜7:3がより好ましい。そして、このようなコアシェル型ポリマーの場合、コア部を構成する樹脂成分のガラス転移温度と、シェル部を構成する樹脂成分のガラス転移温度との平均値を、その樹脂全体としてのガラス転移温度とすることができる。その際、コア部を構成する樹脂成分とシェル部を構成する樹脂成分との質量比に応じて、コア部を構成する樹脂成分のガラス転移温度及びシェル部を構成する樹脂成分のガラス転移温度に重み付けを行って、平均値を算出してもよい。
本発明に係るインクジェット記録用オーバーコート液(処理液)は、以上のような高Tg樹脂エマルションと低Tg樹脂エマルションとを併用することに加えて、薄片状の無機フィラーを含有する。薄片状の無機フィラーの存在により、インクを被覆する樹脂被膜の造膜性及び乾燥性(速乾性)がより一層向上する。つまり、薄片状の無機フィラーが、記録媒体表面のインク付着部(便宜上、本明細書中で「印字部」と記すことがある)の凹凸(記録媒体の表面の粗度に起因する凹凸や、インク中の顔料粒子に起因する凹凸等)を橋渡しして、印字部の表面平滑性を実現し、樹脂被膜の造膜性に寄与する。また、無機フィラーは一般にチキソ性が高い。したがって、このようなチキソ性の高い無機フィラーを処理液中に添加しておくことにより、記録媒体への付着の際には処理液の粘度が下がって処理液が記録媒体で広がり易くなるため処理液が印字部の凹凸を埋め、印字部の表面平滑性を向上させ、樹脂被膜の造膜性に寄与する。さらに、無機フィラーは一般に吸湿性が高い。したがって、このような吸湿性の高い無機フィラーを処理液中に添加しておくことにより、処理液中の固形分濃度が上がり、樹脂被膜の乾燥性(速乾性)に寄与する。
なお、チキソ性とは、いわゆるチキソトロピー性のことで、例えば回転粘度計で粘度を評価した場合に、回転数が高くなる(歪速度が高い変位)と粘性が低くなり、回転数が低くなる(歪速度が低い変位)と粘性が高くなる性質のことである。インクジェット記録用処理液では、記録媒体への付着の際には粘度が充分に低く塗工が容易である一方で、付着後に静置して造膜及び乾燥させる際には粘度が充分に高く自然流延しないという性質が求められる。したがって、無機フィラーの存在により処理液にチキソ性が付与されることは、これらの点で有利に働く。
本発明で使用可能な無機フィラーとしては、例えば、マイカ、タルク、カオリン、鉄粉、亜鉛華、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化カルシウム、クレイ等が挙げられ、これらの薄片状(扁平状、フレーク状、鱗片状等を含む)の形状のものである。必要に応じて、これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、形状が例えば粒状等であると、前述の印字部の凹凸の橋渡し効果が十分に得られず、造膜性の向上に十分寄与しなくなる。
薄片状無機フィラーのオーバーコート液全体における総含有量(含有率)は、好ましくは2〜35質量%、より好ましくは15〜35質量%、さらに好ましくは15〜30質量%である。無機フィラーの含有量が過度に少ないと、樹脂被膜の造膜性及び乾燥性(速乾性)が不足する可能性がある。無機フィラーの含有量が過度に多いと、樹脂被膜の主たる構成成分であるアクリル樹脂の被膜中に占める構成比率が低下するために、樹脂被膜の形成がやや不十分となり、インクの排出ローラ表面への付着が十分に抑制されなくなる可能性がある。
本発明のオーバーコート液は、必要に応じて、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤等の種々の添加剤を含有してもよい。また、記録媒体上で成膜してインクを被覆した樹脂被膜の保護や該樹脂被膜の排出ローラに対する離型性促進等のために、例えばポリエチレンワックス等のワックス類を含有してもよい。
湿潤剤あるいは粘度調整剤としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、へキシレングリコール、オクタンジオール、チオジグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールトリメチロールプロパン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン等が挙げられる。必要に応じて、これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの湿潤剤あるいは粘度調整剤のオーバーコート液中における含有量は、その種類等に応じて様々に変化するが、例えば、オーバーコート液をヘッドから吐出する場合におけるヘッドの吐出不良を回避する観点等から、オーバーコート液中においてそれぞれ1〜10質量%の範囲内である。
レベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤等が挙げられる。必要に応じて、これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのレベリング剤のオーバーコート液中における含有量は、その種類等に応じて様々に変化するが、例えば、オーバーコート液中においてそれぞれ0.2〜3質量%の範囲内である。
消泡剤としては、例えば、シリコン系エマルション、ポリエーテル系変性シリコンエマルション、ポリオレフィン−ポリエーテル変性エマルション等が挙げられる。必要に応じて、これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
総じて、一般に、以上の添加剤のオーバーコート液中における含有量は、その種類等に応じて様々に変化するが、例えば、オーバーコート液中においてそれぞれ0.1〜20質量%の範囲内とする。
本発明のオーバーコート液は、以上の原料を、例えばプロペラ式撹拌機等を用いて、十分に攪拌し、混合した後、濾過等することにより調製することができる。
本発明のオーバーコート液の記録媒体に対する付着量は、オーバーコート液中の樹脂(すなわち低Tg樹脂及び高Tg樹脂:ポリマー)の含有量等に応じて変化させてよいが、例えば、オーバーコート液中のアクリル樹脂の総含有量が5〜10質量%の範囲内にある場合は、オーバーコート液を記録媒体1cm当たり0.1〜2.0mgの範囲内、好ましくは0.3〜1.5mgの範囲内、より好ましくは0.5〜1.2mgの範囲内で付着させる。オーバーコート液の付着量が過度に少ないと、記録媒体に付着したインクの被覆効果が不足し、ひいてはインクの排出ローラ表面への付着を抑制できなくなる可能性がある。オーバーコート液の付着量が過度に多いと、コックリング(記録媒体である用紙の表面がオーバーコート液によって凸凹した波打ち状になる現象)や、カール(記録媒体である用紙がオーバーコート液によって曲成する現象)が起き易くなる。
[インク]
本発明で使用可能なインクは、従来より、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置に使用されているインクジェット記録用インクを特に制限なく用いることができる。そのようなインクは、少なくとも水及び着色剤を含む。その他、必要に応じて、着色剤である顔料を分散させるための高分子分散剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤等の種々の添加剤を含有してもよい。
本発明で使用可能な着色剤は、従来より周知で汎用されている顔料を特に制限なく用いることができる。本発明で使用可能な顔料としては、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、フタロシアニンブルー、イソインドリノン、キナクリドン、ジオキサジンバイオレット、ベリノン・ベタリン等の有機顔料や、カーボンブラック、二酸化チタン等の無機顔料といった着色剤顔料成分、あるいは、白土、タルク、クレー、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、シリカ、カオリン、水酸化アルミニウム等の体質顔料等が挙げられる。
より具体的に示すと、イエロー(Y)インク用顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG),3,12(ジスアゾイエローAAA),13,14,17,23,24,34,35,37,42(黄色酸化鉄),53,55,74,81,83(ジスアゾイエローHR),95,97,98,100,101,104,108,109,110,117,120,128,138,150,153等が挙げられる。必要に応じて、これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
マゼンタ(M)インク用顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,5,17,22(ブリリアントファーストスカーレット),23,31,38,48:2(パーマネントレッド2B(Ba)),48:2(パーマネントレッド2B(Ca)),48:3(パーマネントレッド2B(Sr)),48:4(パーマネントレッド2B(Mn)),49:1,52:2,53:1,57:1(ブリリアントカーミン6B),60:1,63:1,63:2,64:1,81(ローダミン6Gレーキ),83,88,92,101(べんがら),104,105,106,108(カドミウムレッド),112,114,122(ジメチルキナクリドン),123,146,149,166,168,170,172,177,178,179,185,190,193,209,219等が挙げられる。必要に応じて、これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シアン(C)インク用顔料としては、C.I.ピグメントブルー1,2,15(銅フタロシアニンブルーR),15:1,15:2,15:3(フタロシアニンブルーG),15:4,15:6(フタロシアニンブルーE),16,17:1,56,60,63等が挙げられる。必要に応じて、これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
黒(K)インク用顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類や、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、あるいは、銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属酸化物類等が挙げられる。必要に応じて、これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの顔料のインク中における含有量は、その種類や使用目的等に応じて様々に変化するが、例えば、着色力とインクの粘性(顔料の含有量が高くなるほどインクの粘性が高くなってインクジェットヘッドのノズルから吐出され難くなる)とのバランスから、インク中において0.1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。
顔料粒子の平均粒子径は、30〜300nmが好ましく、50〜150nmがより好ましく、100nm程度がさらに好ましい。顔料粒子の平均粒子径は、例えば動的光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所社製の「LB−550」)や、粒度分布測定装置(シスメックス社製の「ゼータサイザーナノ」)等を用いて測定することができる。
本発明で使用可能な高分子分散剤としては、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等の水溶性樹脂が挙げられる。必要に応じて、これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの高分子分散剤のインク中における含有量は、一般に、0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜8質量%、さらに好ましくは1.0〜6質量%である。
湿潤剤あるいは粘度調整剤としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、へキシレングリコール、オクタンジオール、チオジグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールトリメチロールプロパン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン等が挙げられる。必要に応じて、これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの湿潤剤あるいは粘度調整剤のインク中における含有量は、その種類等に応じて様々に変化するが、例えば、ヘッドの吐出不良を回避する観点等から、インク中においてそれぞれ1〜10質量%の範囲内である。
レベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤等が挙げられる。必要に応じて、これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのレベリング剤のインク中における含有量は、その種類等に応じて様々に変化するが、例えば、インク中においてそれぞれ0.2〜3質量%の範囲内である。
総じて、一般に、以上の添加剤のインク中における含有量は、その種類等に応じて様々に変化するが、例えば、インク中においてそれぞれ0.1〜20質量%の範囲内とする。
本発明で使用可能なインクは、以上の原料を、例えば湿式のメディア型分散機やプロペラ式撹拌機等を用いて(その他、ボールミル、サンドミル、ロールミル、アジテータ、超音波ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等も用いることができる)、十分に攪拌し、混合し、分散させた後、遠心分離や濾過等することにより調製することができる。
湿式のメディア型分散機としては、例えば、メディア径が0.2〜1.0mmのジルコニアビーズを使用した場合でも、各メディアに最適な分散エネルギーを与える機構を備えた湿式分散機が好ましい。例えば、浅田鉄工社製の「ナノグレンミル」、三井鉱山社製の「MSCミル」、シンマルエンタープライゼス社製の「ダイノミル」等が好ましく使用可能である。そして、分散処理後の液を遠心分離して異物やゴミ等の粗大粒子を除去し、濾過して微小粒子を除去し、最終的にインクを得ることができる。
なお、インクを調製するために、予め、高濃度の顔料分散液(インク中の顔料濃度の数倍の顔料濃度の液)を調製しておいてもよい。
[インクジェット記録装置]
次に、本発明のオーバーコート液を用いて本発明のインクジェット記録方法を実行するのに好適なインクジェット記録装置の具体的構成の1例を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、他の機器から伝送されてきた画像情報に基づき、インクジェット記録用インクを用いて記録媒体に画像を形成するインクジェットプリンタである。
インクジェット記録装置1は、給紙カセット9に例えばPPC用紙等の記録媒体Xを積層状態で収容する用紙収納部を備えている。記録媒体Xは、給紙ローラ2の回転によって最上位にあるものから1枚ずつ繰り出され、搬送ローラ対3…3によって用紙搬送部に供給される。
給紙カセット9は、ヒータを備えるヒータ付き給紙カセットである。すなわち、給紙カセット9は、収容している記録媒体Xを印字前に予め加温しておくことができる。
記録媒体Xを印字前に予め加温しておくことにより、オーバーコート液(処理液)を記録媒体Xに付着させた際のオーバーコート液の乾燥性(速乾性)がより一層向上することとなる。加温温度は、オーバーコート液の乾燥性の観点から、例えば50〜90℃程度が好ましく、70〜80℃程度がより好ましい。加温の方法は特に限定されない。
用紙搬送部は、一対のローラ間に水平に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト7を備えている。搬送ローラ対3…3によって供給された記録媒体Xは、搬送ベルト7の走行によって記録面を上に向けて画像形成部に搬送される。
画像形成部は、搬送ベルト7の上方において、該搬送ベルト7によって搬送される記録媒体Xの幅と同じかそれ以上の長さを有する長尺なライン型のインクジェット記録ヘッド5(インク付着手段)を備えている。この記録ヘッド5は、記録媒体Xの搬送方向と直交する方向にわたって当該インクジェット記録装置1の本体に固定されている。記録ヘッド5は、後述するように、搬送ベルト7ないし記録媒体Xと対向する下面にドット形成部のインク吐出口(ノズル)が多数配列されており、記録媒体Xの全幅に亘ってインクを同時一斉に吐出することにより、記録媒体Xに画像を高速で形成することができる。記録ヘッド5は、その下面(ノズル面)と搬送ベルト7上の記録媒体Xとの距離が約1mmになるように配置されている。
搬送ベルト7の上方において、インクジェット記録ヘッド5よりも記録媒体Xの搬送方向の上流側に、搬送ベルト7によって搬送される記録媒体Xの先端を検知するための記録媒体検知センサ4が備えられている。このセンサ4の検知時刻を基準としてインクジェット記録ヘッド5にインク吐出指令が出力される。また、次に説明するオーバーコート液吐出用ヘッド6にオーバーコート液吐出指令が出力される。
搬送ベルト7の上方において、インクジェット記録ヘッド5よりも記録媒体Xの搬送方向の下流側に、オーバーコート液吐出用ヘッド6(オーバーコート液付着手段)が備えられている。このオーバーコート液吐出用ヘッド6は、オーバーコート液を収容し、オーバーコート液を記録媒体Xに吐出して付着させるためのものであって、インクジェット記録ヘッド5とほぼ同様の構成である。すなわち、オーバーコート液吐出用ヘッド6は、搬送ベルト7によって搬送される記録媒体Xの幅と同じかそれ以上の長さを有する長尺なライン型のヘッドである。このオーバーコート液吐出用ヘッド6は、記録媒体Xの搬送方向と直交する方向にわたって当該インクジェット記録装置1の本体に固定されている。オーバーコート液吐出用ヘッド6は、搬送ベルト7ないし記録媒体Xと対向する下面にオーバーコート液吐出口(ノズル)が多数配列されており、記録媒体Xの全幅に亘ってオーバーコート液を同時一斉に吐出することにより、記録媒体Xにオーバーコート液を高速で付着させることができる。オーバーコート液吐出用ヘッド6は、その下面(ノズル面)と搬送ベルト7上の記録媒体Xとの距離が約1mmになるように配置されている。
搬送ベルト7によって搬送されている途中に、インクジェット記録ヘッド5によってインクが付着され、その後、オーバーコート液吐出用ヘッド6によってオーバーコート液が付着された記録媒体Xは、引き続き搬送ベルト7によって搬送され、搬送ベルト7の終端部で上下一対の排出ローラ8,8に受け渡されて、搬送ベルト7から排出される。オーバーコート液が付着されない場合においてインクの乾燥が不十分なときは、この排出ローラ8の表面にインクが付着することになる。
図2は、前記インクジェット記録装置1のインクジェット記録ヘッド5に多数配列されたドット形成部50のうちの1つを拡大して示す縦断面図である。なお、オーバーコート液吐出用ヘッド6もこれに準じて同様の構成を有するのでその説明は省略する。
この記録ヘッド5は、記録媒体Xの搬送方向と直交する方向に延びる長尺なライン型のインクジェット記録ヘッド5である。詳しくは図示しないが、この記録ヘッド5は、3つのサブヘッド(分割ヘッド)が、記録媒体Xの搬送方向と直交する方向に順に連結された構造を有している。そして、各サブヘッドは、その下面(ノズル面)に、平面視で台形状の吐出口集合エリアが、記録媒体Xの搬送方向と直交する方向に順に4つ(台形の上底と下底とが交互に逆向きになるように)配置された構造を有している。そして、各吐出口集合エリアにおいて、図2に示すドット形成部50及びノズル(インク吐出口)53が記録媒体Xの搬送方向に4列に並んでいる。同一列内の隣接するノズル53,53間のピッチを150dpiとし、隣接する列間でノズル53の位置を記録媒体Xの搬送方向と直交する方向に4分の1ピッチづつずらすことにより、600dpiの画像の形成が実現されている。1列当たりのドット形成部50及びノズル53の数を166個としているので、1つの吐出口集合エリア全体(4列)では664個のノズル53が配列されている。したがって、記録ヘッド5の全体では、7968個(664個×4×3)のノズル53が設けられている。
ドット形成部50は、平面視で長円形状の加圧室52を備え、この加圧室52の一端部が、ノズル流路54を介して、記録ヘッド5の下面に形成されたノズル53と連通し、他端部が、絞り通路55を介して、インク共通供給路56と連通している。ノズル53は、上側開口53bの径が下側開口53aの径よりも大きい逆円錐台形状である。
ドット形成部50は、加圧室52が形成された第1基板51aと、ノズル流路54の上部54a及び絞り通路55が形成された第2基板51bと、ノズル流路54の下部54b及びインク共通供給路56が形成された第3基板51cと、ノズル53が形成された第4基板51dとが積層された構成である。積層された第1〜第4基板51a〜51dによって当該記録ヘッド5の基板51が提供されている。
基板51の上面には、共通電極57を内部に有する薄板状の圧電素子58と、各ドット形成部50の加圧室52に対応する個別電極59とが積層された構成の圧電アクチュエータACが備えられている。この圧電アクチュエータACの駆動によって加圧室52内のインクに圧力波が伝達され、この圧力波によってノズル流路54及びノズル53内のインクが振動して、インクがノズル53の下側開口53aから記録媒体Xに向けて吐出される。
ここで、このドット形成部50の仕様に関し、好ましい具体的数値の1例を以下に示す。
・加圧室52の面積:0.2mm
・加圧室52の幅:200μm
・加圧室52の深さ:100μm
・ノズル53の長さ:30μm
・ノズル53の下側開口53aの半径:10μm
・ノズル流路54の直径:200μm
・ノズル流路54の長さ:800μm
・絞り通路55の直径:30μm
・絞り通路55の長さ:40μm
なお、図1に例示したインクジェット記録装置1は、単一の記録ヘッド5を有し、画像を単色で形成するものであったが、これに限らず、例えば、Y(イエロー)インク、M(マゼンタ)インク、C(シアン)インク、K(黒)インク毎に個別の記録ヘッド5を記録媒体Xの搬送方向に複数(4本)並べ、画像をフルカラーで形成するものでもよい。
また、インクジェット記録装置1は、所望の高速処理化が実現するのであれば、ライン型記録ヘッドではなく、シリアル型記録ヘッド(記録ヘッドが走査するもの)を備えるものでもよい。
そして、インクジェット記録装置1のインク付着手段が、ライン型インクジェット記録ヘッド5であることから、例えば75〜200枚/分というような大量高速印刷が容易に実現できる。そして、その場合においても、排出ローラ8の表面へのインクの付着が十分に抑制される。
[インクジェット記録方法]
以上のような構成のインクジェット記録装置1を用い、ヒータ付き給紙カセット9に記録媒体Xを収容し、記録ヘッド5にインクを収容し、吐出用ヘッド6に本発明のオーバーコート液を収容することにより、記録媒体Xを印字前に予め加温しておき、加温した記録媒体Xを搬送ベルト7によって搬送しつつ、該記録媒体Xの記録面に、インクを記録ヘッド5から吐出して付着させ、その後、該記録媒体Xの記録面に、インクを2種類のアクリル樹脂と薄片状の無機フィラーとを含有する被膜で被覆するためのオーバーコート液を吐出用ヘッド6から吐出して付着させるインクジェット記録方法を実行することができる。
本発明のインクジェット記録方法は、予め加温した記録媒体Xにインクを付着させるインク付着工程と、このインク付着工程の後、インクを付着させた記録媒体Xにオーバーコート液を付着させるオーバーコート液付着工程とを有する限り、前記のような構成のインクジェット記録装置1を用いなくても構わない。また、オーバーコート液吐出用ヘッド6を用いる代わりに、オーバーコート液付着手段の他の態様として、例えばロールコータ等を用いて、オーバーコート液を記録媒体Xに塗布して付着させることもできる。ただし、インクジェット記録装置1のオーバーコート液付着手段が、ライン型インクジェット記録ヘッド5と同様の構成の長尺なライン型のオーバーコート液吐出用ヘッド6であることから、例えば75〜200枚/分というような大量高速印刷にも容易に対応でき、その場合においても、排出ローラ8の表面へのインクの付着を十分に抑制することが可能となる。さらに、記録媒体Xを印字前に予め加温する手段としては、前記のようなヒータ付き給紙カセット9に限らず、加温手段がインクジェット記録ヘッド5、ひいてはオーバーコート液吐出用ヘッド6よりも記録媒体Xの搬送方向の上流側にあればよく、例えばヒータ等を搬送ベルト7の始端部の上方に配置してもよい。
以下、本発明の実施例を比較例及び参考例と共に挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
[オーバーコート液の調製]
表1に示す配合(質量%)で、実施例1〜8及び比較例1〜4のオーバーコート液(処理液)を調製した。すなわち、イオン交換水に、原料を添加し、セントラル科学貿易社製のプロペラ式撹拌機「ポリミックススターラーPX−SR90E」を用いて、500rpmの回転数で、30分間、常温で十分に撹拌し、混合した後、孔径5μmのフィルターで加圧濾過して微小粒子を除去することにより、インクジェット記録用オーバーコート液(処理液)を得た。
表1に記載の各原料は次の通り。
・高Tg樹脂エマルション:BASFジャパン社製のアクリルエマルション「ジョンクリルJDX−6500」
・低Tg樹脂エマルション:BASFジャパン社製のアクリルエマルション「ジョンクリルPDX−6102B」
・薄片状マイカ:山口雲母工業所社製の工業用乾式粉砕雲母粉「SJシリーズ」の「SJ−005」
・薄片状タルク:日本タルク社製の「MICRO ACE(登録商標)シリーズ」の「SG−95」
・粒状カオリン:竹原化学工業社製の「カオリンクレー」
・レベリング剤:エアプロダクツ社製の「サーフィノール465」
・ポリエチレンワックス:三井化学社製の「ケミパール」
・消泡剤:サンノプコ社製のポリエーテル変性シリコンエマルション「デフォーマー1312」
[インクの準備]
セイコーエプソン社製の「フォトブラックICBK39A」を準備した。
[評価試験]
図1及び図2に示した構造のインクジェット記録装置1(京セラミタ社製の実験機)の記録ヘッド5に前記インクを収容し、オーバーコート液吐出用ヘッド6に前記オーバーコート液を収容した。各ヘッド5,6のノズル下面から出ている余剰液をワイプブレードで掻き取った。各ヘッド5,6のノズル面と搬送ベルト7上の記録媒体Xとの距離が1mmになるように各ヘッド5,6の位置を調整して各ヘッド5,6を固定した。記録媒体XとしてA4サイズのPPC用紙(富士ゼロックス社製の「V938」)を用い、ヒータ付き給紙カセット9に積層状態で収容した。ヒータの加温温度を80℃に設定し、記録媒体Xをカセット9に収容してから6時間経過した後、該記録媒体Xに対して、温度20℃、湿度65%の常温常湿環境下、30mm×30mmの領域に、インクを記録ヘッド5から最大濃度で均一に付着させ、その後、同領域に、オーバーコート液を吐出用ヘッド6から記録媒体1cm当たり0.8mgの量で均一に付着させて、10枚連続印刷した。印刷速度は、駆動周波数26.7kHz(200枚/分)の超高速印刷モードで行った。
(インク汚れ評価)
インク及び/又はオーバーコート液が排出ローラ8の表面に付着していないかどうか、及び記録媒体Xの非印字部にインクが付着していないかどうかを、目視で確認し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。なお、表1において、参考例1は、オーバーコート液を使用せず、かつ用紙の予備加温を実行したもの、参考例2は、オーバーコート液を使用せず、かつ用紙の予備加温を実行しなかったものである。
○:排出ローラ8の表面にも、記録媒体Xの非印字部にも、インク及び/又はオーバーコート液の汚れがない。
△:排出ローラ8の表面にはインク及び/又はオーバーコート液の汚れがあるが、記録媒体Xの非印字部にはインク及び/又はオーバーコート液の汚れがない。
×:排出ローラ8の表面にも、記録媒体Xの非印字部にも、インク及び/又はオーバーコート液の汚れがある。
(光沢評価)
堀場製作所社製の光沢計「グロスチェッカIG−320」を用い、記録媒体Xの印字部(インクを付着させた記録媒体の部分)の光沢度と非印字部の光沢度とを測定し、その差を求めて、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:光沢度の差が10以上である。
△:光沢度の差が10未満かつ5以上である。
×:光沢度の差が5未満である。
Figure 0005286247
表1から明らかなように、実施例1〜8は、印刷速度が200枚/分という超高速印刷において、インク汚れ評価及び光沢評価が共に良好であった。これは、実施例1〜6のオーバーコート液は、ガラス転移温度が−20℃〜30℃と相対的に低いアクリル樹脂(低Tg樹脂)のエマルションと、ガラス転移温度が40℃〜70℃と相対的に高いアクリル樹脂(高Tg樹脂)のエマルションと、薄片状の無機フィラーとを含有する結果、樹脂被膜の造膜性や乾燥性に優れ、記録媒体に付着したインクが短時間のうちに樹脂被膜で十分に被覆されて、インクの排出ローラ8表面への付着が十分に抑制されたからと考察される。また、アクリル樹脂の透明な被膜によって画像に光沢が付与されたからと考察される。なお、実施例7,8が実施例1〜6に比べて若干評価結果が劣る理由は、無機フィラーの含有量が実施例1〜6に比べて多いため、樹脂被膜の主たる構成成分であるアクリル樹脂の被膜中に占める構成比率が低下して、樹脂被膜の形成が若干不十分となり、インクの排出ローラ8表面への付着が十分に抑制されなかったからではないかと考察される。
一方、比較例1〜4は、インク汚れ評価、光沢評価、あるいはそのいずれにも劣っていた。これは、比較例1〜3では、無機フィラーがカオリンではあるが粒状なので、印字部の凹凸の橋渡し効果が十分に得られず、造膜性の向上に十分寄与しなかったからと考察される。比較例4では、無機フィラーが添加されていないので、樹脂被膜の造膜性及び乾燥性(速乾性)が向上しなかったからと考察される。
なお、表1に示した実験例以外にも、例えば、高Tg樹脂エマルションとして、JSR社製のアクリルエマルション「AE116」や日進化学工業社製のアクリルエマルション「2685」を用い、低Tg樹脂エマルションとして、JSR社製のアクリルエマルション「AE945H」や日進化学工業社製のアクリルエマルション「2641」を用い、無機フィラーとして、薄片状あるいは粒状のその他の無機フィラーをいろいろに組み合わせて用いて、同様の評価を行ったが、結果は同様であった。
以上、具体例を挙げて詳細に説明したように、本発明は、インクが付着され、情報が記録された記録媒体を排出ローラで排出するインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置において、高速処理でありながら、記録媒体に付着されてからの時間の経過が短く、乾燥が不十分なインクが、排出ローラや記録媒体の非印字部に付着して汚染を引き起こすという問題を解決できるという顕著な利点を有するものである。
1 インクジェット記録装置
5 ライン型インクジェット記録ヘッド(インク付着手段)
6 オーバーコート液吐出用ヘッド(処理液付着手段)
7 搬送ベルト
8 排出ローラ
9 ヒータ付き給紙カセット(加温手段)
X 記録媒体

Claims (7)

  1. 記録媒体にインクを付着させた後、該インクを樹脂被膜で被覆するための処理液を記録媒体に付着させるインクジェット記録方法に用いる処理液であって、ガラス転移温度が40〜70℃のアクリル樹脂のエマルションと、ガラス転移温度が−20〜30℃のアクリル樹脂のエマルションと、薄片状の無機フィラーとを含有するインクジェット記録用処理液。
  2. 前記エマルションに含まれる前記アクリル樹脂の処理液全体における総含有量が5〜10質量%である請求項1に記載のインクジェット記録用処理液。
  3. 前記2つのアクリル樹脂のガラス転移温度の差が20〜70℃である請求項1又は2に記載のインクジェット記録用処理液。
  4. 前記無機フィラーの処理液全体における総含有量が2〜35質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用処理液。
  5. 記録媒体にインクを付着させた後、該インクを樹脂被膜で被覆するための処理液を記録媒体に付着させるインクジェット記録方法であって、記録媒体を印字前に予め加温すると共に、ガラス転移温度が40〜70℃のアクリル樹脂のエマルションと、ガラス転移温度が−20〜30℃のアクリル樹脂のエマルションと、薄片状の無機フィラーとを含有する処理液を用いるインクジェット記録方法。
  6. 記録媒体にインクを付着させた後、該インクを樹脂被膜で被覆するための処理液を記録媒体に付着させるインクジェット記録装置であって、記録媒体の搬送経路上に、記録媒体にインクを付着させるためのインク付着手段と、記録媒体に処理液を付着させるための処理液付着手段とが、記録媒体の搬送方向の上流側からこの順に配置され、前記処理液付着手段が、ガラス転移温度が40〜70℃のアクリル樹脂のエマルションと、ガラス転移温度が−20〜30℃のアクリル樹脂のエマルションと、薄片状の無機フィラーとを含有する処理液を用いると共に、記録媒体を印字前に予め加温する加温手段がインク付着手段よりも記録媒体の搬送方向の上流側に備えられているインクジェット記録装置。
  7. 前記インク付着手段は、ライン型インクジェット記録ヘッドである請求項6に記載のインクジェット記録装置。
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