JP2005047053A - 画像保護方法及びこれに用いる保護層形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】印画物の画像面上に高光沢調の保護層を形成し得る画像保護方法及び該方法を用いた保護層形成装置を提供すること。
【解決手段】保護層形成装置10は、印画物を走行させる手段と、走行させた印画物Pの画像面上にコート液を塗布してコート層Cを形成する塗布手段14と、湿潤状態にある該コート層Cの表面上に樹脂フィルムFを重ね合わせて積層シートPFとし、該コート層Cが乾燥した後、該積層シートPFから該樹脂フィルムFを剥離するフィルム接離手段15を備える。このフィルム接離手段15は、上記樹脂フィルムFを上記画像面上に供給するフィルム供給部150と、該フィルム供給部150に対して所定間隔を置いて設けられたフィルム回収部156とを備えており、これらの間には、湿潤状態にある上記コート層Cを乾燥させる乾燥手段16が設けられている。
【選択図】 図2
【解決手段】保護層形成装置10は、印画物を走行させる手段と、走行させた印画物Pの画像面上にコート液を塗布してコート層Cを形成する塗布手段14と、湿潤状態にある該コート層Cの表面上に樹脂フィルムFを重ね合わせて積層シートPFとし、該コート層Cが乾燥した後、該積層シートPFから該樹脂フィルムFを剥離するフィルム接離手段15を備える。このフィルム接離手段15は、上記樹脂フィルムFを上記画像面上に供給するフィルム供給部150と、該フィルム供給部150に対して所定間隔を置いて設けられたフィルム回収部156とを備えており、これらの間には、湿潤状態にある上記コート層Cを乾燥させる乾燥手段16が設けられている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方式などにより画像が形成された印画物の画像堅牢性や光沢感などを高めるための画像保護方法及び該方法に用いる保護層形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来から、記録物や写真などの印画物の画像面を樹脂を主体とする保護層で被覆して、画像の耐水性、耐候性、耐擦性、光沢度、画像濃度などを向上させる、いわゆるオーバーコート処理が知られている。特に、微細な吐出口からインクの液滴を吐出させて記録を行うインクジェット記録方式により作製された記録物は、画像の耐候性に乏しい場合が多く、この画像の高堅牢化のためには、オーバーコート処理が有効である。
【0003】
オーバーコート処理の一種として、ラミネートフィルムを画像面に貼り合わせる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしこの方法は、ラミネートフィルムを使用するため材料コストが高くなり、また、フィルムの供給、圧着、フィルム台紙の剥離などの工程が必要となるため、装置構成が複雑で大規模なものになり、さらに、各工程における処理を正確に行うには熟練を要するという欠点がある。またこの方法は、基本的に画像面の全面を保護層で被覆する場合にしか適用できず、画像面の所望部分を選択的に保護層で被覆するのは困難である。またこの方法は、画像面を厚いラミネートフィルムで被覆するため、画像に過剰な光沢感が付与されてしまい、画像本来の風合いや面質感が損なわれ画像品位が低下するおそれがある。
【0004】
そこで、ラミネートフィルムを使用せず、塗膜形成能を有するコート液を使用し、インクジェットヘッドやスプレーガンなどの塗布具を用いて、該コート液を画像面に塗布・乾燥して保護層を形成する方法(リキッドオーバーコート)が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
【0005】
しかしながら、上記のような従来のリキッドオーバーコート処理では、光沢感のある平滑な塗膜を形成することはできず、光沢感が抑えられたマット(艶消し)調の塗膜や、ラスター(半光沢)調の塗膜を形成することはできても、平滑で光沢感に優れる高光沢調の保護層を形成することはできなかった。
【0006】
画像面に光沢を付与する方法としては、例えば、インクジェット記録方式により得られた印画物の画像面上に、透明トナーを一様に付着せしめた後、圧力ローラで該印画物を厚み方向に圧縮処理して、画像の艶出しを行う方法が知られている(特許文献4参照)。しかしこの方法は、例えば印画物が市販のインクジェット記録用コート紙のように微細な空隙が無数に形成されたインク受容層(空隙型インク受容層)を有するものである場合、該インク受容層が圧力ロールによる圧縮処理により潰されてしまい、画像全体が潰れたような感じになったり、画像濃度が低下したりするおそれがある。
【0007】
従って、本発明の目的は、画像面上にコート液を塗布・乾燥して保護層を設けるリキッドオーバーコート処理において、光沢感に優れる保護層を形成し得る画像保護方法及びこれに用いる保護層形成装置を提供することにある。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−153677号公報
【特許文献2】
特開平10−250186号公報
【特許文献3】
特開2002−1942号公報
【特許文献4】
特開昭57−63264号公報
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像保護方法は、画像が形成された印画物の画像面上に、塗膜形成能を有するコート液を塗布し、乾燥させて、該画像面を被覆する保護層を形成する画像保護方法において、上記保護層が湿潤状態にある間に、該保護層の表面に平滑面を有する樹脂フィルムの該平滑面を重ね合わせ、乾燥させた後、該樹脂フィルムを剥離することにより、高光沢仕上げされた該保護層を形成することを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成する本発明の保護層形成装置は、上記画像保護方法に用いる保護層形成装置であって、印画物を走行させる手段と、走行させた該印画物の画像面上に上記コート液を塗布してコート層を形成する塗布手段と、湿潤状態にある該コート層の表面上に上記樹脂フィルムを重ね合わせて該印画物と該樹脂フィルムとの積層シートとし、該コート層が乾燥した後、該積層シートから該樹脂フィルムを剥離するフィルム接離手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
上記のような構成の本発明によれば、コート液を塗布して形成されたコート層が湿潤状態にある間に、その表面に平滑な樹脂フィルムを重ね合わせ、該コート層を乾燥させた後これを剥離することにより、該表面に該樹脂フィルムの平滑面を写し取るようにしたので、保護層の光沢感、光沢均一性を高めることができ、画像品位及び堅牢性に優れた高光沢調のオーバーコート印画物を供給することができる。また、このような樹脂フィルムを用いた光沢仕上げは、圧力ロールなどを用いるいわゆるドラムキャスト法による光沢仕上げに比して、比較的簡単な装置で安価に行うことができ、また、印画物に対するプレス圧が小さいので、画像の潰れや画像濃度の低下などを回避することができる。さらに、この光沢仕上げは、印画物の画像面の平滑性(光沢性)の影響を受けず、表面平滑性に劣る紙に対しても高光沢の保護層を形成することができるので、印画物のベースとして高価な光沢紙を使用する必要がなく、比較的安価に高光沢、高品位を実現できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の保護層形成装置の外観斜視図である。この保護層形成装置10は、印画物の画像面上に保護層を形成するためのもので、オーバーコート処理の対象である印画物Pは、ケース11の前面側に設けられた挿入口12から装置内部に挿入される。
【0014】
図2は、保護形成装置10の概要を示す断面構成図である。挿入口12から挿入された印画物Pは、給紙ローラ対13により塗布手段14へ送り出され、フィルム接離手段15を経た後、排紙ローラ対17により排紙口18から排出される。装置内部には、印画物を走行させる走行手段として、給紙ローラ対13及び排紙ローラ対17の他にも複数のローラあるいはローラ対が設けられており、これらのローラあるいはローラ対により、印画物Pは挿入口12から排紙口18まで搬送され、その間に所定のオーバーコート処理がなされる。以下、印画物Pに対するオーバーコート処理の手順に沿って、その搬送方向順に、保護形成装置10の各構成を説明する。
【0015】
塗布手段14は、いわゆるロールコーターであり、コート液貯留槽141と、多段ローラからなるコーティングローラ142と、バックアップローラ143とを備えている。コート液貯留槽141に貯留されているコート液は、コーティングローラ142を介して、バックアップローラ143上を走行中の印画物Pの画像面上に塗布される。コート液の塗布量は、少なくとも、画像面上に残留する顔料などの色材等が完全に隠れるような量とすることが好ましく、さらに、速やかな塗膜の形成、画像保護特性や光沢感の向上、過剰な光沢感の付与による画質低下の防止などを考慮すると、wet塗布量で好ましくは1〜50g/m2、さらに好ましくは2〜30g/m2である。dry塗布量(乾燥後の保護層の塗布量)としては、好ましくは1〜30g/m2、さらに好ましくは1〜20g/m2である。最終的に得られる保護層の厚みとしては、好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは1〜20μmである。このようにして画像面上にコート液が塗布され、コート層Cが形成された印画物Pは、該コート層Cが湿潤状態のままでフィルム接離手段15へ搬送される。
【0016】
フィルム接離手段15は、湿潤状態にあるコート層Cの表面上に樹脂フィルムFを重ね合わせて積層シートPFとした後、該積層シートPFから該樹脂フィルムFを剥離することにより光沢仕上げを行うもので、樹脂フィルムFを印画物Pの画像面上に供給するフィルム供給部150と、該フィルム供給部150に対して所定間隔を置いて設けられたフィルム回収部155とを備えている。
【0017】
フィルム供給部150は、長尺の樹脂フィルムFが巻回されたフィルム軸151と、繰り出された該樹脂フィルムFを印画物P上に重ね合わせるための重合ローラ対152とを備えている。一方、フィルム回収部155は、積層シートPFから樹脂フィルムFを剥離するための剥離ローラ対156と、剥離された樹脂フィルムFを巻回するフィルム軸157とを備えている。長尺の樹脂フィルムFは、その長さ方向の一端側がフィルム軸151に係着されて該フィルム軸151を回転中心とするフィルムロールを構成しており、その他端側は、所定のフィルム走行路を経由して、フィルム回収部155のフィルム軸157に係着されている。
【0018】
樹脂フィルムFとしては、表面が平滑なものであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミドなどの樹脂フィルムを用いることができる。さらにこれら樹脂フィルムに剥離性シリコーン加工を施した樹脂フィルム、あるいはフッ素樹脂フィルムなどを用いることもできる。
【0019】
また、フィルム供給部150とフィルム回収部155との間には、乾燥手段16が設けられており、湿潤状態にあるコート層Cを乾燥させるための乾燥ゾーンが形成されている。この乾燥手段16は、積層シートPFの搬送路(上記フィルム走行路)を挟んで相対向するように設けられた2つの送風ファン161、162を備えており、走行中の積層シートPFの表面側及び/又は裏面側から該積層シートPFに対して送風可能になしてある。
【0020】
また、上記乾燥ゾーンには、走行する積層シートPFを樹脂フィルムF側から押圧する押圧ローラ153と、該押圧ローラ153と対向するように配置された受けローラ154が設けられている。押圧ローラ153は、受けローラ154に対して上下動可能に設けられており、受けローラ154上を走行する積層シートPFを、樹脂フィルムF側から所定の圧力で押圧することができる。コート層Cの乾燥中にこのような押圧を施すことにより、コート層Cと樹脂フィルムFとの密着性が高まり、保護層の平滑性、光沢感を一層高めることが可能となる。
【0021】
ここで、湿潤状態にあるコート層Cが形成された印画物Pが塗布手段14から搬送されてくると、フィルム供給部150は、図示しないセンサによりその接近を検知し、樹脂フィルムFを繰り出して重合ローラ対152間にこれを挿入し、該コート層Cの表面上に重ね合わせて、積層シートPFとする。
【0022】
続いて、上記積層シートPFは、送風ファン161及び/又は162によるコート層Cの強制乾燥を受けながら、押圧ローラ153と受けローラ154との間を所定の圧力下で通過し、フィルム回収部155へ搬送される。剥離ローラ対156に到達する前までに、湿潤状態にあったコート層Cは完全に乾燥して硬化し、重ね合わされている樹脂フィルムFと接着した状態となる。
【0023】
フィルム回収部155では、剥離ローラ対156を起点として、上記積層シートPFから樹脂フィルムFを剥離し、フィルム軸157に巻回して回収する。一方、樹脂フィルムFを剥離された印画物Pは、排紙ローラ対17により排紙口18から排出される。このようにして、画像面が高光沢調の保護層で被覆されたオーバーコート印画物が得られる。尚、回収された樹脂フィルムFは複数回使用することが可能であり、樹脂フィルムFがフィルム軸151側からフィルム軸157側に完全に移行してしまった場合には、これをフィードバックしてフィルム軸151に再巻回させ、新たなオーバーコート処理に使用する。
【0024】
尚、本発明の画像保護方法は、保護層が湿潤状態にある間に、該保護層の表面に、平滑面を有する樹脂フィルムの該平滑面を重ね合わせ、乾燥させた後、該樹脂フィルムを剥離すればよく、上記のような装置を用いなくても実施できることは言う迄もない。少なくとも、コート液を塗布する道具(例えば、手塗り用のワイヤーバー)と、樹脂フィルムがあれば、手動で簡単に高光沢調の保護層を形成することが可能である。
【0025】
以下、本発明に係るコート液について説明する。
【0026】
上記コート液としては、ポリマー微粒子及び水を必須成分とする水性樹脂エマルジョンを用いることができる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水を用いることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理された水は、カビやバクテリアの発生を防止して長期保存を可能とする点で好ましい。
【0027】
上記ポリマー微粒子の形成材料となる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのうち、特に、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂は塗膜の耐擦性及び透明性に優れており、本発明で好ましく用いられる。
【0028】
上記ポリマー微粒子は、乳化剤、重合開始剤の存在下、ラジカル重合可能な単量体を水中で重合させる乳化重合法などの公知の重合法により製造することができる。ポリマー微粒子は、1種類の樹脂からなる単粒子構造のものでもよく、2種以上の樹脂が粒子中に相分離して存在するコアシェル構造のものでもよい。コアシェル構造には、シェル部がコア部を完全に被覆している形態、シェル部がコア部の一部を被覆している形態、シェル部を構成する樹脂の一部がコア部内にドメインなどを形成している形態、コア部とシェル部との間にこれらと組成の異なる樹脂層を1層以上有する3層以上の多層形態などがあるが、何れの形態のポリマー微粒子も本発明で用いることができる。
【0029】
上記ポリマー微粒子は、ガラス転移温度(Tg)が20〜150℃の範囲にあるものが好ましく、20〜100℃の範囲にあるものがさらに好ましい。Tgがこのような範囲にあるポリマー微粒子を用いることで、透明性が高く耐ブロッキング性に優れる保護層を形成することが可能となる。また、取扱性及び成膜性に優れるコート液とするためには、そのJIS−K6800による最低造膜温度(MFT)が20〜120℃、とりわけ20〜80℃の範囲にあることが好ましいところ、Tgがこのような範囲にあるポリマー微粒子を用いることで、これを達成することも可能となる。ポリマー微粒子のTgが20℃未満の場合には、コート液が使用前(塗布前)にゲル化するおそれがあり、また、保護層を介してのブロッキングが発生するおそれがある。一方、ポリマー微粒子のTgが150℃超の場合には、通常の乾燥条件ではなかなか塗膜が形成されず、装置の複雑化、大型化、処理効率の低下などを招くおそれがあり、また、保護層の透明性が低下して画質低下を招くおそれがある。尚、ここでいうTgは、重量平均Tgを意味し、例えばポリマー微粒子が2種以上の樹脂を含むコアシェル構造の場合は、各樹脂のTgにその含有率(重量%)を乗じた値の総和を意味する。
【0030】
また、上記ポリマー微粒子の平均粒子径は、1〜1000nmの範囲にあることが好ましく、1〜500nmの範囲にあることがさらに好ましい。ポリマー微粒子の平均粒子径がこのような範囲にあることで、コート液の塗布適性、取扱性を損なわずに、塗膜密度を高めることが可能となり、光沢感や画像保護特性等に優れた保護層を形成することができる。
【0031】
上記コート液には、取扱性、塗工性、レベリング性、画像面への浸透性などの改善のため、ポリマー微粒子及び水以外の成分として、グリセリン等の湿潤剤や、1,2−ヘキサンジオール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の浸透剤や、アニオン系、非イオン系、アセチレングリコ−ル系等の界面活性剤を適宜含有させることができる。特に、コート液の塗布手段として、インクジェットヘッドやスプレーなどのように、コート液を液滴状あるいは霧状にして塗布するノンインパクト型の塗布手段を用いる場合には、該塗布手段の吐出口の目詰まり防止などの観点から、これらの添加剤の1種又は2種以上を含有させることが好ましい。
【0032】
上記コート液に添加可能なその他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、消光剤、酸化防止剤、耐水化剤、防黴剤、防腐剤、増粘剤、流動性改良剤、pH調整剤、消泡剤、抑泡剤、帯電防止剤等が挙げられる。尚、添加剤を含有させる場合は、コート液中におけるポリマー微粒子の均一分散が阻害されないように留意する。
【0033】
以上のような成分を含有する上記コート液は、取扱性、塗被適性、画像面への浸透性、成膜性を高め、また、インクジェットヘッドやスプレーなどを塗布する場合に必要な吐出信頼性を高める観点から、液温20℃における粘度が2〜5mPa・s、表面張力が20〜38mN/m、pHが6.5〜11の範囲にあることが好ましい。これらの各物性値の調整は、上述した各成分の含有量を調整することにより行うことができる。
【0034】
本発明は、上記コート液が塗布可能な印画物、例えば、紙やフィルムなどに種々の記録方式により画像が形成された記録物や、銀塩写真などに対して適用することができ、印画物の画像面の平滑性(光沢性)の高低に拘わらず、画像面上に光沢感に優れた保護層を形成することができる。従って、本発明によれば、高価な光沢紙をわざわざ使用しなくても、比較的安価なマット紙や半光沢紙で高光沢、高品位の画像を実現できる。
【0035】
本発明は、印画物に対する上記樹脂フィルムのプレス圧が比較的小さいので、印画物が多孔質層を有していたり、嵩高なものであっても、そのような構造を大きく変化させることなく光沢仕上げを行うことが可能であることから、このような印画物に対して本発明は特に有効であり、画像潰れや画像濃度の低下などを招くおそれが少ない。本発明が有効に適用される印画物としては、例えば、公知のインクジェット記録用コート紙に画像が形成されたものが挙げられる。インクジェット記録用コート紙は、基材の片面又は両面に、コロイダルシリカや気相法シリカなどの多孔質顔料を含有するインク受容層(空隙型インク受容層)が設けられたものである。この空隙型インク受容層には微細な空隙が無数に設けられており、これによってインクジェット記録に必要な高度なインク吸収性が確保されている。また、インクジェット記録用コート紙を構成する上記基材が樹脂被覆紙からなる印画物、即ち、樹脂被覆紙上に形成された空隙型インク受容層を有する記録媒体の該インク受容層上に画像が形成された印画物は、耐水性に優れているので、上記コート液の塗布量が多くてもコックリング(皺あるいは波打ち)を起こしにくく、本発明が特に有効に適用できる印画物であるといえる。樹脂被覆紙は、紙の両面をポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂で被覆したもので、平滑性、耐水性に優れているため、高画質が要求されるインクジェット記録用コート紙のベース紙として用いられている。
【0036】
また本発明は、その画像が、顔料インクを用いてインクジェット記録方式により形成された印画物に対して有効である。一般に、インクジェット記録用の染料インクによる画像形成は、記録媒体上に付与された染料インク中の染料が該記録媒体の内部にまで浸透し、これにより記録媒体が染色されることによりなされるのに対し、インクジェット記録用の顔料インクによる画像形成は、記録媒体上に付与された顔料インク中の顔料が記録媒体上に留まり(顔料は染料に比べて粒径が大きく、記録媒体の内部に浸透しにくい)、この顔料自体の発色によりなされるものであるため、顔料インクによる画像は、染料インクによる画像に比して、画像濃度が不十分で入射光の乱反射による色見の相違が起こりやすく、また、顔料の記録媒体への定着性が不十分でわずかな摩擦でも顔料粒子が剥がれることがある。本発明の画像保護方法によれば、高光沢仕上げされた保護層の形成により、このような顔料インク画像の欠点を解消し、顔料系色材の特長である優れた耐光性、耐水性等を充分に活かした画像が得られる。
【0037】
本発明は、上記実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、コート液の塗布手段としては、上記のようなロールコーターに限定されず、リバースロールコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、バーコーター、スプレーガン、インクジェットヘッドなどを用いて行うこともできる。インクジェットヘッドには、主として液滴の吐出制御方式の違いから、ピエゾ素子などを用いる電気−機械変換方式を利用したものや、ヒータなどを用いる電気−熱変換方式を利用したものや、電極などの静電気力発生手段を利用したものなどがあるが、特に限定されず、いずれも使用することができる。
【0038】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何等制限されるものではない。
【0039】
〔実施例1〕
ポリオレフィン樹脂被覆紙上にインク受容層を設けた構成のインクジェット記録用コート紙(PM写真用紙〈光沢〉、セイコーエプソン(株)製)の被記録面に、顔料インクジェットプリンタ(PM4000PX、セイコーエプソン(株)製)を用いて、インク吐出量3.5mg/cm2で、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色カラーパッチ(画像)を形成し、印画物を作製した。
【0040】
そして、この印画物の画像面の全面に、下記のコート液(MFT約30℃)を、wet塗布量が10g/m2、dry塗布量が5g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布してコート層を形成した後、該コート層に厚み38μmの表面が平滑なPETフィルムを重ね合わせ、送風ファンを用いて該コート層を乾燥させた。その後、PETフィルムのみを剥離して、上記画像面の全面が厚み5μmの保護層で被覆されたオーバーコート印画物を得た。
(コート液の組成):アクリル樹脂エマルジョン(ボンコートEC−819、大日本インキ化学工業製、固形分濃度50%、MFT18℃、ポリマー微粒子のTg11℃、ポリマー微粒子の平均粒子径100nm、pH8〜9)47重量%と、アクリル樹脂エマルジョン(ボンコート9422、大日本インキ化学工業製、固形分濃度40%、MFT40℃、ポリマー微粒子のTg40℃、ポリマー微粒子の平均粒子径100nm、pH2〜3)53重量%との混合物。
【0041】
〔実施例2〕
実施例1で用いたコート液をスプレー缶に収容し、上記印画物の画像面の全面に、該コート液を実施例1と同じ塗布量でスプレー方式で塗布してコート層を形成した後、上記PETフィルムを重ね合わせ、60℃にセットした乾燥器内に入れてコート層を乾燥させた。その後、PETフィルムのみを剥離して、上記画像面の全面が厚み3μmの保護層で被覆されたオーバーコート印画物を得た。
【0042】
〔比較例1〕
実施例1において、PETフィルムとの重ね合わせを行わない以外は実施例1と同様にしてオーバーコート印画物を作製し、これを比較例1のサンプルとした。
【0043】
〔比較例2〕
実施例2において、PETフィルムとの重ね合わせを行わない以外は実施例2と同様にしてオーバーコート印画物を作製し、これを比較例2のサンプルとした。
【0044】
〔試験例〕
上記各オーバーコート印画物について、発色性、光沢感、光沢均一性、耐光性、耐ガス性をそれぞれ下記の評価方法により評価した。これらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0045】
〈発色性の評価方法〉
上記各オーバーコート印画物のYMCKの各カラーパッチについて、グレタグマクベス社製のスペクトロリーノSPM−50を用い、視野角2度、光源D50、フィルター無しの条件で反射光学濃度(OD値)を測定し、下記評価基準により評価した。
評価基準
A:YMCKの4色のOD値の合計が7.5を超える。発色性良好。
B:4色のOD値の合計が7.5〜6.0。実用上問題なし。
C:4色のOD値の合計が6.0未満(平均でOD値1.5未満)。実用に堪えない。
【0046】
〈光沢感の評価方法〉
上記各オーバーコート印画物の保護層の表面について、グロスメーターGM−3D(村上色彩技術研究所製)を用いて60度反射角の光沢度(%)を測定し、この光沢度が80%以上をA(光沢感良好)、60%以上80%未満をB(実用上問題なし)、60%未満をC(実用に堪えない)とした。
【0047】
〈光沢均一性の評価方法〉
上記各オーバーコート印画物のYMCKの各カラーパッチについて、OD値が1.0の部分及び最大濃度色部分の2箇所についての上記60度反射角の光沢度(%)を求めた。そして、これら8つの値から、同色間での光沢度差、OD値が1.0の部分間での光沢度差及び最大濃度色部分間での光沢度差をそれぞれ求め、これらの平均値を算出して、該平均値が10%未満をA(光沢均一性良好)、10%以上20%未満をB(実用上問題なし)、20%以上をC(実用に堪えない)とした。
【0048】
〈耐光性の評価方法〉
上記各オーバーコート印画物に対し、キセノンウェザオメーターCi35A(ATLAS社製)を用いて、340nmの放射エネルギー0.25W/m2、ブラックパネル温度63℃、50%RHの条件で、450kJ/m2の光暴露処理を行った。そして、色差計を用いて、光暴露処理前後の各サンプルのY,M,CのOD値1.0の印刷部分についての濃度低下率を求め、この値が3%未満をA(画像濃度の低下がほとんど観られず耐光性良好)、3%以上5%未満をB(実用上問題無し)、5%以上10%未満をC(実用限界)、10%以上をD(画像濃度の低下がひどく実用不可)とした。
【0049】
〈耐ガス性の評価方法〉
上記各オーバーコート印画物をガス導入口及び排出口の付いたガラス容器に入れ、ガス発生器にて発生させたオゾンガスを1ppmで100時間連続して該ガラス容器に導入してガス処理を行った。そして、色差計を用いて、ガス処理前後の各サンプルのY,M,CのOD値1.0の印刷部分についての濃度低下率を求め、この値が3%未満をA(画像濃度の低下がほとんど観られず耐ガス性良好)、3%以上5%未満をB(実用上問題無し)、5%以上10%未満をC(実用限界)、10%以上をD(画像濃度の低下がひどく実用不可)とした。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、画像面上にコート液を塗布・乾燥して保護層を設けるリキッドオーバーコート処理において、樹脂フィルムを用いて保護層の光沢仕上げをするようにしたので、所望の画像部位に対して比較的簡易な装置構成で簡便且つ安価に薄膜の保護層を形成できるというリキッドオーバーコート処理の長所を活かしつつ、高光沢で画像品位及び堅牢性に優れたオーバーコート印画物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保護層形成装置の一実施形態の外観斜視図である。
【図2】図1に示す保護層形成装置の概要を示す断面構成図である。
【符号の説明】
10…保護層形成装置
11…ケース
12…挿入口
13…給紙ローラ対
14…塗布手段
141…コート液貯留槽
142…コーティングローラ
143…バックアップローラ
15…フィルム接離手段
150…フィルム供給部
151…フィルム軸
152…重合ローラ対
153…押圧ローラ
154…受けローラ
155…フィルム回収部
156…剥離ローラ対
157…フィルム軸
16…乾燥手段
161、162…送風ファン
17…排紙ローラ対
18…排紙口
P…印画物
C…コート層
F…樹脂フィルム
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方式などにより画像が形成された印画物の画像堅牢性や光沢感などを高めるための画像保護方法及び該方法に用いる保護層形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来から、記録物や写真などの印画物の画像面を樹脂を主体とする保護層で被覆して、画像の耐水性、耐候性、耐擦性、光沢度、画像濃度などを向上させる、いわゆるオーバーコート処理が知られている。特に、微細な吐出口からインクの液滴を吐出させて記録を行うインクジェット記録方式により作製された記録物は、画像の耐候性に乏しい場合が多く、この画像の高堅牢化のためには、オーバーコート処理が有効である。
【0003】
オーバーコート処理の一種として、ラミネートフィルムを画像面に貼り合わせる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしこの方法は、ラミネートフィルムを使用するため材料コストが高くなり、また、フィルムの供給、圧着、フィルム台紙の剥離などの工程が必要となるため、装置構成が複雑で大規模なものになり、さらに、各工程における処理を正確に行うには熟練を要するという欠点がある。またこの方法は、基本的に画像面の全面を保護層で被覆する場合にしか適用できず、画像面の所望部分を選択的に保護層で被覆するのは困難である。またこの方法は、画像面を厚いラミネートフィルムで被覆するため、画像に過剰な光沢感が付与されてしまい、画像本来の風合いや面質感が損なわれ画像品位が低下するおそれがある。
【0004】
そこで、ラミネートフィルムを使用せず、塗膜形成能を有するコート液を使用し、インクジェットヘッドやスプレーガンなどの塗布具を用いて、該コート液を画像面に塗布・乾燥して保護層を形成する方法(リキッドオーバーコート)が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
【0005】
しかしながら、上記のような従来のリキッドオーバーコート処理では、光沢感のある平滑な塗膜を形成することはできず、光沢感が抑えられたマット(艶消し)調の塗膜や、ラスター(半光沢)調の塗膜を形成することはできても、平滑で光沢感に優れる高光沢調の保護層を形成することはできなかった。
【0006】
画像面に光沢を付与する方法としては、例えば、インクジェット記録方式により得られた印画物の画像面上に、透明トナーを一様に付着せしめた後、圧力ローラで該印画物を厚み方向に圧縮処理して、画像の艶出しを行う方法が知られている(特許文献4参照)。しかしこの方法は、例えば印画物が市販のインクジェット記録用コート紙のように微細な空隙が無数に形成されたインク受容層(空隙型インク受容層)を有するものである場合、該インク受容層が圧力ロールによる圧縮処理により潰されてしまい、画像全体が潰れたような感じになったり、画像濃度が低下したりするおそれがある。
【0007】
従って、本発明の目的は、画像面上にコート液を塗布・乾燥して保護層を設けるリキッドオーバーコート処理において、光沢感に優れる保護層を形成し得る画像保護方法及びこれに用いる保護層形成装置を提供することにある。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−153677号公報
【特許文献2】
特開平10−250186号公報
【特許文献3】
特開2002−1942号公報
【特許文献4】
特開昭57−63264号公報
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像保護方法は、画像が形成された印画物の画像面上に、塗膜形成能を有するコート液を塗布し、乾燥させて、該画像面を被覆する保護層を形成する画像保護方法において、上記保護層が湿潤状態にある間に、該保護層の表面に平滑面を有する樹脂フィルムの該平滑面を重ね合わせ、乾燥させた後、該樹脂フィルムを剥離することにより、高光沢仕上げされた該保護層を形成することを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成する本発明の保護層形成装置は、上記画像保護方法に用いる保護層形成装置であって、印画物を走行させる手段と、走行させた該印画物の画像面上に上記コート液を塗布してコート層を形成する塗布手段と、湿潤状態にある該コート層の表面上に上記樹脂フィルムを重ね合わせて該印画物と該樹脂フィルムとの積層シートとし、該コート層が乾燥した後、該積層シートから該樹脂フィルムを剥離するフィルム接離手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
上記のような構成の本発明によれば、コート液を塗布して形成されたコート層が湿潤状態にある間に、その表面に平滑な樹脂フィルムを重ね合わせ、該コート層を乾燥させた後これを剥離することにより、該表面に該樹脂フィルムの平滑面を写し取るようにしたので、保護層の光沢感、光沢均一性を高めることができ、画像品位及び堅牢性に優れた高光沢調のオーバーコート印画物を供給することができる。また、このような樹脂フィルムを用いた光沢仕上げは、圧力ロールなどを用いるいわゆるドラムキャスト法による光沢仕上げに比して、比較的簡単な装置で安価に行うことができ、また、印画物に対するプレス圧が小さいので、画像の潰れや画像濃度の低下などを回避することができる。さらに、この光沢仕上げは、印画物の画像面の平滑性(光沢性)の影響を受けず、表面平滑性に劣る紙に対しても高光沢の保護層を形成することができるので、印画物のベースとして高価な光沢紙を使用する必要がなく、比較的安価に高光沢、高品位を実現できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の保護層形成装置の外観斜視図である。この保護層形成装置10は、印画物の画像面上に保護層を形成するためのもので、オーバーコート処理の対象である印画物Pは、ケース11の前面側に設けられた挿入口12から装置内部に挿入される。
【0014】
図2は、保護形成装置10の概要を示す断面構成図である。挿入口12から挿入された印画物Pは、給紙ローラ対13により塗布手段14へ送り出され、フィルム接離手段15を経た後、排紙ローラ対17により排紙口18から排出される。装置内部には、印画物を走行させる走行手段として、給紙ローラ対13及び排紙ローラ対17の他にも複数のローラあるいはローラ対が設けられており、これらのローラあるいはローラ対により、印画物Pは挿入口12から排紙口18まで搬送され、その間に所定のオーバーコート処理がなされる。以下、印画物Pに対するオーバーコート処理の手順に沿って、その搬送方向順に、保護形成装置10の各構成を説明する。
【0015】
塗布手段14は、いわゆるロールコーターであり、コート液貯留槽141と、多段ローラからなるコーティングローラ142と、バックアップローラ143とを備えている。コート液貯留槽141に貯留されているコート液は、コーティングローラ142を介して、バックアップローラ143上を走行中の印画物Pの画像面上に塗布される。コート液の塗布量は、少なくとも、画像面上に残留する顔料などの色材等が完全に隠れるような量とすることが好ましく、さらに、速やかな塗膜の形成、画像保護特性や光沢感の向上、過剰な光沢感の付与による画質低下の防止などを考慮すると、wet塗布量で好ましくは1〜50g/m2、さらに好ましくは2〜30g/m2である。dry塗布量(乾燥後の保護層の塗布量)としては、好ましくは1〜30g/m2、さらに好ましくは1〜20g/m2である。最終的に得られる保護層の厚みとしては、好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは1〜20μmである。このようにして画像面上にコート液が塗布され、コート層Cが形成された印画物Pは、該コート層Cが湿潤状態のままでフィルム接離手段15へ搬送される。
【0016】
フィルム接離手段15は、湿潤状態にあるコート層Cの表面上に樹脂フィルムFを重ね合わせて積層シートPFとした後、該積層シートPFから該樹脂フィルムFを剥離することにより光沢仕上げを行うもので、樹脂フィルムFを印画物Pの画像面上に供給するフィルム供給部150と、該フィルム供給部150に対して所定間隔を置いて設けられたフィルム回収部155とを備えている。
【0017】
フィルム供給部150は、長尺の樹脂フィルムFが巻回されたフィルム軸151と、繰り出された該樹脂フィルムFを印画物P上に重ね合わせるための重合ローラ対152とを備えている。一方、フィルム回収部155は、積層シートPFから樹脂フィルムFを剥離するための剥離ローラ対156と、剥離された樹脂フィルムFを巻回するフィルム軸157とを備えている。長尺の樹脂フィルムFは、その長さ方向の一端側がフィルム軸151に係着されて該フィルム軸151を回転中心とするフィルムロールを構成しており、その他端側は、所定のフィルム走行路を経由して、フィルム回収部155のフィルム軸157に係着されている。
【0018】
樹脂フィルムFとしては、表面が平滑なものであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミドなどの樹脂フィルムを用いることができる。さらにこれら樹脂フィルムに剥離性シリコーン加工を施した樹脂フィルム、あるいはフッ素樹脂フィルムなどを用いることもできる。
【0019】
また、フィルム供給部150とフィルム回収部155との間には、乾燥手段16が設けられており、湿潤状態にあるコート層Cを乾燥させるための乾燥ゾーンが形成されている。この乾燥手段16は、積層シートPFの搬送路(上記フィルム走行路)を挟んで相対向するように設けられた2つの送風ファン161、162を備えており、走行中の積層シートPFの表面側及び/又は裏面側から該積層シートPFに対して送風可能になしてある。
【0020】
また、上記乾燥ゾーンには、走行する積層シートPFを樹脂フィルムF側から押圧する押圧ローラ153と、該押圧ローラ153と対向するように配置された受けローラ154が設けられている。押圧ローラ153は、受けローラ154に対して上下動可能に設けられており、受けローラ154上を走行する積層シートPFを、樹脂フィルムF側から所定の圧力で押圧することができる。コート層Cの乾燥中にこのような押圧を施すことにより、コート層Cと樹脂フィルムFとの密着性が高まり、保護層の平滑性、光沢感を一層高めることが可能となる。
【0021】
ここで、湿潤状態にあるコート層Cが形成された印画物Pが塗布手段14から搬送されてくると、フィルム供給部150は、図示しないセンサによりその接近を検知し、樹脂フィルムFを繰り出して重合ローラ対152間にこれを挿入し、該コート層Cの表面上に重ね合わせて、積層シートPFとする。
【0022】
続いて、上記積層シートPFは、送風ファン161及び/又は162によるコート層Cの強制乾燥を受けながら、押圧ローラ153と受けローラ154との間を所定の圧力下で通過し、フィルム回収部155へ搬送される。剥離ローラ対156に到達する前までに、湿潤状態にあったコート層Cは完全に乾燥して硬化し、重ね合わされている樹脂フィルムFと接着した状態となる。
【0023】
フィルム回収部155では、剥離ローラ対156を起点として、上記積層シートPFから樹脂フィルムFを剥離し、フィルム軸157に巻回して回収する。一方、樹脂フィルムFを剥離された印画物Pは、排紙ローラ対17により排紙口18から排出される。このようにして、画像面が高光沢調の保護層で被覆されたオーバーコート印画物が得られる。尚、回収された樹脂フィルムFは複数回使用することが可能であり、樹脂フィルムFがフィルム軸151側からフィルム軸157側に完全に移行してしまった場合には、これをフィードバックしてフィルム軸151に再巻回させ、新たなオーバーコート処理に使用する。
【0024】
尚、本発明の画像保護方法は、保護層が湿潤状態にある間に、該保護層の表面に、平滑面を有する樹脂フィルムの該平滑面を重ね合わせ、乾燥させた後、該樹脂フィルムを剥離すればよく、上記のような装置を用いなくても実施できることは言う迄もない。少なくとも、コート液を塗布する道具(例えば、手塗り用のワイヤーバー)と、樹脂フィルムがあれば、手動で簡単に高光沢調の保護層を形成することが可能である。
【0025】
以下、本発明に係るコート液について説明する。
【0026】
上記コート液としては、ポリマー微粒子及び水を必須成分とする水性樹脂エマルジョンを用いることができる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水を用いることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理された水は、カビやバクテリアの発生を防止して長期保存を可能とする点で好ましい。
【0027】
上記ポリマー微粒子の形成材料となる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのうち、特に、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂は塗膜の耐擦性及び透明性に優れており、本発明で好ましく用いられる。
【0028】
上記ポリマー微粒子は、乳化剤、重合開始剤の存在下、ラジカル重合可能な単量体を水中で重合させる乳化重合法などの公知の重合法により製造することができる。ポリマー微粒子は、1種類の樹脂からなる単粒子構造のものでもよく、2種以上の樹脂が粒子中に相分離して存在するコアシェル構造のものでもよい。コアシェル構造には、シェル部がコア部を完全に被覆している形態、シェル部がコア部の一部を被覆している形態、シェル部を構成する樹脂の一部がコア部内にドメインなどを形成している形態、コア部とシェル部との間にこれらと組成の異なる樹脂層を1層以上有する3層以上の多層形態などがあるが、何れの形態のポリマー微粒子も本発明で用いることができる。
【0029】
上記ポリマー微粒子は、ガラス転移温度(Tg)が20〜150℃の範囲にあるものが好ましく、20〜100℃の範囲にあるものがさらに好ましい。Tgがこのような範囲にあるポリマー微粒子を用いることで、透明性が高く耐ブロッキング性に優れる保護層を形成することが可能となる。また、取扱性及び成膜性に優れるコート液とするためには、そのJIS−K6800による最低造膜温度(MFT)が20〜120℃、とりわけ20〜80℃の範囲にあることが好ましいところ、Tgがこのような範囲にあるポリマー微粒子を用いることで、これを達成することも可能となる。ポリマー微粒子のTgが20℃未満の場合には、コート液が使用前(塗布前)にゲル化するおそれがあり、また、保護層を介してのブロッキングが発生するおそれがある。一方、ポリマー微粒子のTgが150℃超の場合には、通常の乾燥条件ではなかなか塗膜が形成されず、装置の複雑化、大型化、処理効率の低下などを招くおそれがあり、また、保護層の透明性が低下して画質低下を招くおそれがある。尚、ここでいうTgは、重量平均Tgを意味し、例えばポリマー微粒子が2種以上の樹脂を含むコアシェル構造の場合は、各樹脂のTgにその含有率(重量%)を乗じた値の総和を意味する。
【0030】
また、上記ポリマー微粒子の平均粒子径は、1〜1000nmの範囲にあることが好ましく、1〜500nmの範囲にあることがさらに好ましい。ポリマー微粒子の平均粒子径がこのような範囲にあることで、コート液の塗布適性、取扱性を損なわずに、塗膜密度を高めることが可能となり、光沢感や画像保護特性等に優れた保護層を形成することができる。
【0031】
上記コート液には、取扱性、塗工性、レベリング性、画像面への浸透性などの改善のため、ポリマー微粒子及び水以外の成分として、グリセリン等の湿潤剤や、1,2−ヘキサンジオール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の浸透剤や、アニオン系、非イオン系、アセチレングリコ−ル系等の界面活性剤を適宜含有させることができる。特に、コート液の塗布手段として、インクジェットヘッドやスプレーなどのように、コート液を液滴状あるいは霧状にして塗布するノンインパクト型の塗布手段を用いる場合には、該塗布手段の吐出口の目詰まり防止などの観点から、これらの添加剤の1種又は2種以上を含有させることが好ましい。
【0032】
上記コート液に添加可能なその他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、消光剤、酸化防止剤、耐水化剤、防黴剤、防腐剤、増粘剤、流動性改良剤、pH調整剤、消泡剤、抑泡剤、帯電防止剤等が挙げられる。尚、添加剤を含有させる場合は、コート液中におけるポリマー微粒子の均一分散が阻害されないように留意する。
【0033】
以上のような成分を含有する上記コート液は、取扱性、塗被適性、画像面への浸透性、成膜性を高め、また、インクジェットヘッドやスプレーなどを塗布する場合に必要な吐出信頼性を高める観点から、液温20℃における粘度が2〜5mPa・s、表面張力が20〜38mN/m、pHが6.5〜11の範囲にあることが好ましい。これらの各物性値の調整は、上述した各成分の含有量を調整することにより行うことができる。
【0034】
本発明は、上記コート液が塗布可能な印画物、例えば、紙やフィルムなどに種々の記録方式により画像が形成された記録物や、銀塩写真などに対して適用することができ、印画物の画像面の平滑性(光沢性)の高低に拘わらず、画像面上に光沢感に優れた保護層を形成することができる。従って、本発明によれば、高価な光沢紙をわざわざ使用しなくても、比較的安価なマット紙や半光沢紙で高光沢、高品位の画像を実現できる。
【0035】
本発明は、印画物に対する上記樹脂フィルムのプレス圧が比較的小さいので、印画物が多孔質層を有していたり、嵩高なものであっても、そのような構造を大きく変化させることなく光沢仕上げを行うことが可能であることから、このような印画物に対して本発明は特に有効であり、画像潰れや画像濃度の低下などを招くおそれが少ない。本発明が有効に適用される印画物としては、例えば、公知のインクジェット記録用コート紙に画像が形成されたものが挙げられる。インクジェット記録用コート紙は、基材の片面又は両面に、コロイダルシリカや気相法シリカなどの多孔質顔料を含有するインク受容層(空隙型インク受容層)が設けられたものである。この空隙型インク受容層には微細な空隙が無数に設けられており、これによってインクジェット記録に必要な高度なインク吸収性が確保されている。また、インクジェット記録用コート紙を構成する上記基材が樹脂被覆紙からなる印画物、即ち、樹脂被覆紙上に形成された空隙型インク受容層を有する記録媒体の該インク受容層上に画像が形成された印画物は、耐水性に優れているので、上記コート液の塗布量が多くてもコックリング(皺あるいは波打ち)を起こしにくく、本発明が特に有効に適用できる印画物であるといえる。樹脂被覆紙は、紙の両面をポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂で被覆したもので、平滑性、耐水性に優れているため、高画質が要求されるインクジェット記録用コート紙のベース紙として用いられている。
【0036】
また本発明は、その画像が、顔料インクを用いてインクジェット記録方式により形成された印画物に対して有効である。一般に、インクジェット記録用の染料インクによる画像形成は、記録媒体上に付与された染料インク中の染料が該記録媒体の内部にまで浸透し、これにより記録媒体が染色されることによりなされるのに対し、インクジェット記録用の顔料インクによる画像形成は、記録媒体上に付与された顔料インク中の顔料が記録媒体上に留まり(顔料は染料に比べて粒径が大きく、記録媒体の内部に浸透しにくい)、この顔料自体の発色によりなされるものであるため、顔料インクによる画像は、染料インクによる画像に比して、画像濃度が不十分で入射光の乱反射による色見の相違が起こりやすく、また、顔料の記録媒体への定着性が不十分でわずかな摩擦でも顔料粒子が剥がれることがある。本発明の画像保護方法によれば、高光沢仕上げされた保護層の形成により、このような顔料インク画像の欠点を解消し、顔料系色材の特長である優れた耐光性、耐水性等を充分に活かした画像が得られる。
【0037】
本発明は、上記実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、コート液の塗布手段としては、上記のようなロールコーターに限定されず、リバースロールコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、バーコーター、スプレーガン、インクジェットヘッドなどを用いて行うこともできる。インクジェットヘッドには、主として液滴の吐出制御方式の違いから、ピエゾ素子などを用いる電気−機械変換方式を利用したものや、ヒータなどを用いる電気−熱変換方式を利用したものや、電極などの静電気力発生手段を利用したものなどがあるが、特に限定されず、いずれも使用することができる。
【0038】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何等制限されるものではない。
【0039】
〔実施例1〕
ポリオレフィン樹脂被覆紙上にインク受容層を設けた構成のインクジェット記録用コート紙(PM写真用紙〈光沢〉、セイコーエプソン(株)製)の被記録面に、顔料インクジェットプリンタ(PM4000PX、セイコーエプソン(株)製)を用いて、インク吐出量3.5mg/cm2で、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色カラーパッチ(画像)を形成し、印画物を作製した。
【0040】
そして、この印画物の画像面の全面に、下記のコート液(MFT約30℃)を、wet塗布量が10g/m2、dry塗布量が5g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布してコート層を形成した後、該コート層に厚み38μmの表面が平滑なPETフィルムを重ね合わせ、送風ファンを用いて該コート層を乾燥させた。その後、PETフィルムのみを剥離して、上記画像面の全面が厚み5μmの保護層で被覆されたオーバーコート印画物を得た。
(コート液の組成):アクリル樹脂エマルジョン(ボンコートEC−819、大日本インキ化学工業製、固形分濃度50%、MFT18℃、ポリマー微粒子のTg11℃、ポリマー微粒子の平均粒子径100nm、pH8〜9)47重量%と、アクリル樹脂エマルジョン(ボンコート9422、大日本インキ化学工業製、固形分濃度40%、MFT40℃、ポリマー微粒子のTg40℃、ポリマー微粒子の平均粒子径100nm、pH2〜3)53重量%との混合物。
【0041】
〔実施例2〕
実施例1で用いたコート液をスプレー缶に収容し、上記印画物の画像面の全面に、該コート液を実施例1と同じ塗布量でスプレー方式で塗布してコート層を形成した後、上記PETフィルムを重ね合わせ、60℃にセットした乾燥器内に入れてコート層を乾燥させた。その後、PETフィルムのみを剥離して、上記画像面の全面が厚み3μmの保護層で被覆されたオーバーコート印画物を得た。
【0042】
〔比較例1〕
実施例1において、PETフィルムとの重ね合わせを行わない以外は実施例1と同様にしてオーバーコート印画物を作製し、これを比較例1のサンプルとした。
【0043】
〔比較例2〕
実施例2において、PETフィルムとの重ね合わせを行わない以外は実施例2と同様にしてオーバーコート印画物を作製し、これを比較例2のサンプルとした。
【0044】
〔試験例〕
上記各オーバーコート印画物について、発色性、光沢感、光沢均一性、耐光性、耐ガス性をそれぞれ下記の評価方法により評価した。これらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0045】
〈発色性の評価方法〉
上記各オーバーコート印画物のYMCKの各カラーパッチについて、グレタグマクベス社製のスペクトロリーノSPM−50を用い、視野角2度、光源D50、フィルター無しの条件で反射光学濃度(OD値)を測定し、下記評価基準により評価した。
評価基準
A:YMCKの4色のOD値の合計が7.5を超える。発色性良好。
B:4色のOD値の合計が7.5〜6.0。実用上問題なし。
C:4色のOD値の合計が6.0未満(平均でOD値1.5未満)。実用に堪えない。
【0046】
〈光沢感の評価方法〉
上記各オーバーコート印画物の保護層の表面について、グロスメーターGM−3D(村上色彩技術研究所製)を用いて60度反射角の光沢度(%)を測定し、この光沢度が80%以上をA(光沢感良好)、60%以上80%未満をB(実用上問題なし)、60%未満をC(実用に堪えない)とした。
【0047】
〈光沢均一性の評価方法〉
上記各オーバーコート印画物のYMCKの各カラーパッチについて、OD値が1.0の部分及び最大濃度色部分の2箇所についての上記60度反射角の光沢度(%)を求めた。そして、これら8つの値から、同色間での光沢度差、OD値が1.0の部分間での光沢度差及び最大濃度色部分間での光沢度差をそれぞれ求め、これらの平均値を算出して、該平均値が10%未満をA(光沢均一性良好)、10%以上20%未満をB(実用上問題なし)、20%以上をC(実用に堪えない)とした。
【0048】
〈耐光性の評価方法〉
上記各オーバーコート印画物に対し、キセノンウェザオメーターCi35A(ATLAS社製)を用いて、340nmの放射エネルギー0.25W/m2、ブラックパネル温度63℃、50%RHの条件で、450kJ/m2の光暴露処理を行った。そして、色差計を用いて、光暴露処理前後の各サンプルのY,M,CのOD値1.0の印刷部分についての濃度低下率を求め、この値が3%未満をA(画像濃度の低下がほとんど観られず耐光性良好)、3%以上5%未満をB(実用上問題無し)、5%以上10%未満をC(実用限界)、10%以上をD(画像濃度の低下がひどく実用不可)とした。
【0049】
〈耐ガス性の評価方法〉
上記各オーバーコート印画物をガス導入口及び排出口の付いたガラス容器に入れ、ガス発生器にて発生させたオゾンガスを1ppmで100時間連続して該ガラス容器に導入してガス処理を行った。そして、色差計を用いて、ガス処理前後の各サンプルのY,M,CのOD値1.0の印刷部分についての濃度低下率を求め、この値が3%未満をA(画像濃度の低下がほとんど観られず耐ガス性良好)、3%以上5%未満をB(実用上問題無し)、5%以上10%未満をC(実用限界)、10%以上をD(画像濃度の低下がひどく実用不可)とした。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、画像面上にコート液を塗布・乾燥して保護層を設けるリキッドオーバーコート処理において、樹脂フィルムを用いて保護層の光沢仕上げをするようにしたので、所望の画像部位に対して比較的簡易な装置構成で簡便且つ安価に薄膜の保護層を形成できるというリキッドオーバーコート処理の長所を活かしつつ、高光沢で画像品位及び堅牢性に優れたオーバーコート印画物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保護層形成装置の一実施形態の外観斜視図である。
【図2】図1に示す保護層形成装置の概要を示す断面構成図である。
【符号の説明】
10…保護層形成装置
11…ケース
12…挿入口
13…給紙ローラ対
14…塗布手段
141…コート液貯留槽
142…コーティングローラ
143…バックアップローラ
15…フィルム接離手段
150…フィルム供給部
151…フィルム軸
152…重合ローラ対
153…押圧ローラ
154…受けローラ
155…フィルム回収部
156…剥離ローラ対
157…フィルム軸
16…乾燥手段
161、162…送風ファン
17…排紙ローラ対
18…排紙口
P…印画物
C…コート層
F…樹脂フィルム
Claims (9)
- 画像が形成された印画物の画像面上に、塗膜形成能を有するコート液を塗布し、乾燥させて、該画像面を被覆する保護層を形成する画像保護方法において、
上記保護層が湿潤状態にある間に、該保護層の表面に平滑面を有する樹脂フィルムの該平滑面を重ね合わせ、乾燥させた後、該樹脂フィルムを剥離することにより、高光沢仕上げされた該保護層を形成することを特徴とする画像保護方法。 - 上記コート液がポリマー微粒子を含有し、該ポリマー微粒子のガラス転移温度が20〜150℃であることを特徴とする請求項1記載の画像保護方法。
- 上記印画物が、樹脂被覆紙上に形成された空隙型インク受容層を有する記録媒体の該インク受容層上に画像が形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の画像保護方法。
- 上記画像が、顔料インクを用いてインクジェット記録方式により形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像保護方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の画像保護方法に用いる保護層形成装置であって、
印画物を走行させる手段と、走行させた該印画物の画像面上に上記コート液を塗布してコート層を形成する塗布手段と、湿潤状態にある該コート層の表面上に上記樹脂フィルムを重ね合わせて該印画物と該樹脂フィルムとの積層シートとし、該コート層が乾燥した後、該積層シートから該樹脂フィルムを剥離するフィルム接離手段とを備えることを特徴とする保護層形成装置。 - 上記フィルム接離手段は、フィルム軸に巻回された上記樹脂フィルムを上記画像面上に供給して上記積層シートとするフィルム供給部と、該フィルム供給部に対して所定間隔を置いて設けられ、該積層シートから該樹脂フィルムを剥離して巻き取るフィルム回収部とを備え、該フィルム供給部と該フィルム回収部との間に、湿潤状態にある上記コート層を乾燥させる乾燥手段が設けられていることを特徴とする請求項5記載の保護層形成装置。
- 上記乾燥手段が、上記積層シートの少なくとも上記樹脂フィルム側から該積層シートに対し送風可能な送風ファンを備えることを特徴とする請求項6記載の保護層形成装置。
- 上記積層シートを上記樹脂フィルム側から押圧する押圧手段を備えることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の保護層形成装置。
- 上記塗布手段がインクジェットヘッドを具備し、該インクジェットヘッドの吐出口から上記コート液の液滴を吐出させることにより、上記画像面上に該コート液を塗布することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の保護層形成装置。
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JP2003203850A JP2005047053A (ja) | 2003-07-30 | 2003-07-30 | 画像保護方法及びこれに用いる保護層形成装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011105899A (ja) * | 2009-11-20 | 2011-06-02 | Kyocera Mita Corp | インクジェット記録用処理液、該処理液を用いるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 |
JP2011136479A (ja) * | 2009-12-28 | 2011-07-14 | Kyocera Mita Corp | インクジェット記録用処理液、該処理液を用いるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 |
US8052271B2 (en) | 2006-12-08 | 2011-11-08 | Canon Kabushiki Kaisha | Coating liquid, ink jet recording method and ink jet recording apparatus |
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2003
- 2003-07-30 JP JP2003203850A patent/JP2005047053A/ja not_active Withdrawn
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