JP6783267B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は反応性シリル基を有する重合体を含む硬化性組成物に関する。
反応性シリル基を有する重合体を含む硬化性組成物は、空気中の水分により室温で硬化可能であり、硬化後の硬化物はゴム弾性を有し、被着体に対する接着性も優れているためにシーリング材用途に使用されている。
反応性シリル基を有する重合体として反応性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体が使用されるが、長期耐久性能やガラスに対する長期接着性能が不十分であった。このような性能を改善するために、オキシアルキレン系重合体にアクリル系重合体をブレンドする技術が提案されている。
特許文献1において、(A)架橋しうる珪素含有官能基を有し(1)炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位および(2)炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位からなるアクリル系重合体ならびに(B)珪素含有官能基を有するオキシアルキレン系重合体を含む硬化性組成物が提案されている。
特許文献2において、架橋性官能基を有する数平均分子量10000以上のポリエーテル系重合体(I)、および、前記ポリエーテル系重合体(I)と相溶し、架橋性官能基を重合体末端に少なくとも1個有するビニル系重合体(II)からなる硬化性組成物であって、前記ビニル系重合体として(b1)アルキル基が炭素数1〜3であるアクリル酸アルキル、(b2)アルキル基が炭素数4〜7であるアクリル酸アルキルおよび(b3)アルキル基が炭素数8〜20であるアクリル酸アルキルを共重合して得られたアクリル系重合体を使用することが提案されている。
特許文献3において、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位とアルキル基の炭素数が10以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位とを有するアクリル系重合体(B)と、加水分解によりシラノール化合物を生成するケイ素化合物(C)とを含むシーラント用硬化性組成物が提案されている。
特公平7−42376号 特許第4829107号 特許第3878808号
しかしながら、オキシアルキレン系重合体にアクリル系重合体をブレンドする技術を用いても、得られる性能は必ずしも十分でない。例えば、長期耐久性能が不十分な場合があり、また、作業性およびガラスに対するノンプライマー接着性等にも課題があった。シーリング材として要求される性能は、伸び物性、耐久性、耐候性、接着性(耐光接着性、ノンプライマー接着性)、タック性、作業性などがあるが、これらの性能はトレードオフの関係にあり、いずれかの性質を向上させようと思えば、他の性質が低下するという問題がある。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、シーリング材用途において、各種性能の改善された硬化性組成物を提供することにある。
本願発明者らは、従来使用されていたブチルアクリレートなどのアクリルポリマーではなくブチル基に加えて特定の鎖長の炭化水素基を有するアクリルポリマーと、少なくとも2種の特定のオキシアルキレン重合体とを組み合わせることで、上記課題を解決できることを見い出し、本願発明を完成するにいたった。すなわち、本発明は、
(A)反応性シリル基を少なくとも2個有するアクリル系重合体;
(B)反応性シリル基を少なくとも2個有するオキシアルキレン系重合体;および
(C)反応性シリル基を1個のみ有するオキシアルキレン系重合体
を含み、アクリル系重合体(A)は
(a1)式:CH=CX−C(=O)−O−A
[式中、Xは、水素原子またはメチル基であり、
は、炭素数1〜3の炭化水素基である。]
で示される(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位;
(a2)式:CH=CX−C(=O)−O−A
[式中、Xは、水素原子またはメチル基であり、
は、炭素数4〜7の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基である。]
で示される(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位;および
(a3)式:CH=CX−C(=O)−O−A
[式中、Xは、水素原子またはメチル基であり、
は、炭素数8〜40の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基である。]
で示される(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位
を有する硬化性組成物を提供する。
本発明によれば、シーリング材用途において所望の性質が改善された硬化性組成物を提供する。本発明によれば、伸び物性、耐久性、耐候性、接着性、タック性および作業性を良好に併せ持つ硬化性組成物またはシーリング材を提供可能である。
<硬化性組成物中の成分>
〔(A)反応性シリル基を少なくとも2個有するアクリル系重合体〕
本発明における硬化性組成物は、1分子内に反応性シリル基を少なくとも2個有するアクリル系重合体(A)を含む。
アクリル系重合体(A)は、
(a1)式:CH=CX−C(=O)−O−A
[式中、Xは、水素原子またはメチル基であり、
は、水素原子または炭素数1〜3の炭化水素基である。]
で示される(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位を有する。
繰り返し単位(a1)におけるA1は水素原子または、飽和または不飽和の炭化水素基であり、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは飽和の脂肪族炭化水素基である。A1は直鎖、分岐または環状の脂肪族炭化水素基であってよく、好ましくは直鎖である。A1の炭素数は、例えば1または2である。
アクリル系重合体(A)は
(a2)式:CH=CX−C(=O)−O−A
[式中、Xは、水素原子またはメチル基であり、
は、炭素数4〜7の炭化水素基である。]
で示される(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位を有する。
繰り返し単位(a2)におけるAは飽和または不飽和の炭化水素基であり、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは飽和の脂肪族炭化水素基である。Aは直鎖、分岐または環状の脂肪族炭化水素基であり、好ましくは直鎖である。Aの炭素数は4〜6であってよく、例えば4または5である。
アクリル系重合体(A)は、
(a3)式:CH=CX−C(=O)−O−A
[式中、Xは、水素原子またはメチル基であり、
は、炭素数8〜40の炭化水素基である。]
で示される(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位を有する。
繰り返し単位(a3)におけるAは飽和または不飽和の炭化水素基であり、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは飽和の脂肪族炭化水素基である。Xは好ましくは、水素原子である。Aは直鎖、分岐または環状の脂肪族炭化水素基であり、好ましくは直鎖である。Aの炭素数は10〜30であってよく、例えば12〜25、好ましくは14〜24、より好ましくは16〜22である。
炭素数の偶奇性効果発現の観点からAの炭素数は上記炭素数の範囲において偶数であることが好ましい。Aは不飽和の直鎖炭化水素基であって、かつ、Aの炭素数が偶数であることが好ましい。
繰り返し単位(a3)の好ましい具体例は、アクリル酸ドコシル、アクリル酸イコシル、アクリル酸ステアリルまたはアクリル酸パルミチルから誘導された繰り返し単位である。
アクリル系重合体(A)における繰り返し単位(a1)の量は、アクリル系重合体(A)に対して、3〜20重量%であってよく、例えば4〜15重量%であり、好ましくは5〜12重量%である。
アクリル系重合体(A)における繰り返し単位(a2)の量は、アクリル系重合体(A)に対して、65〜80重量%であってよく、例えば65〜77重量%であり、好ましくは69〜75重量%である。
アクリル系重合体(A)における繰り返し単位(a3)の量は、アクリル系重合体(A)に対して、5〜32重量%であってよく、例えば10〜30重量%であり、好ましくは13〜25重量%である。
アクリル系重合体(A)における繰り返し単位(a1)の量は、繰り返し単位(a2)に対して例えば1〜50重量%であり、好ましくは5.5重量%以上、より好ましくは10.5重量%以上、さらに好ましくは11.5〜27.5重量%である。アクリル系重合体(A)における繰り返し単位(a3)の量は、繰り返し単位(a2)に対して、3〜50重量%であり、好ましくは19.9〜29.9重量%である。
アクリル系重合体(A)において、繰り返し単位(a1)、繰り返し単位(a2)および繰り返し単位(a3)の量は上記範囲の組合せであってよく、例えば、繰り返し単位(a1)の量が繰り返し単位(a2)に対して例えば1〜50重量%であり、かつ、繰り返し単位(a3)の量が繰り返し単位(a2)に対して、3〜50重量%である。
アクリル系重合体(A)中、上記繰り返し単位(a1)〜(a3)がアクリル系重合体(A)に対して75重量%以上であってよく、90重量%以上が好ましく、例えば95重量%以上である。アクリル系重合体(A)における、繰り返し単位(a1)〜(a3)以外の構造は、(メタ)アクリレートエステル単量体以外の重合性単量体(例えば、反応性シリル基を含有する単量体)などから誘導された繰り返し単位であってよい。
アクリル系重合体の組成、特に、繰り返し単位(a2)に対する繰り返し単位(a1)および/または繰り返し単位(a3)の比率を上記範囲にすることにより、組成物中におけるアクリル系重合体(A)の相溶性を高めることができ、シーリング材としての初期物性を向上させることができる。これにより、優れた耐久性も付与することができる。
アクリル系重合体(A)における反応性シリル基はケイ素原子およびそれと結合した反応性基を有する基であり、公知の反応性シリル基であってよい。反応性基は水酸基、加水分解性基などであってよい。加水分解性基はアルコキシ基、アミド基またはアミノオキシ基であってよく、アルコキシ基が好ましい。炭素数の少ないアルコキシ基の方が反応性が高く、目的や用途に応じて選択できるが、アルコキシ基の炭素数は1〜6であってよく、好ましくは1〜3、より好ましくは1または2である。
反応性シリル基は
式:−Si(R)3-n(Y)n
[式中、Rは炭素数1から30の炭化水素基または−OSi(R’)で示されるオルガノシロキシ基であり、R’は炭素数1から30の炭化水素基、Yは水酸基または加水分解性基、nは1〜3の整数である。R、R’またはYが複数個存在するときそれらは同一または異なる。]
で表される基であってよい。
Rは炭素数1〜10のアルキル基であってよく、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基である。
Yは加水分解性基であることが好ましい。
nは2または3であることが好ましい。
アクリル系重合体(A)は、反応性シリル基を少なくとも2個、好ましくは2〜5個、より好ましくは2または3個有する。
反応性シリル基は分子内において末端または内部に位置しており、末端に位置していることが好ましい。
反応性シリル基を分子内へ導入する方法は特に限定されず公知の方法であってよい。例えば重合体の両末端の官能基に対して反応性シリル基を有する化合物を反応させることにより導入することができる。反応性シリル基を有する重合性単量体を共重合させることにより導入することもできる。
アクリル系重合体(A)のポリスチレン換算重量平均分子量は3000〜300000であり、好ましくは10000〜100000、より好ましくは15000〜45000である。
アクリル系重合体(A)の製造方法は特に限定されず、公知の方法、例えば特許第4829107号に記載の方法を参照できる。例えば上記の単量体(a1)〜(a3)をラジカル重合により重合し、得られた重合体中に存在する官能基に対して、反応性シリル基を有する化合物を反応させることでアクリル系重合体(A)を得る。アクリル系重合体(A)はリビングラジカル重合により製造されていてもよい。アクリル系重合体(A)はランダム共重合体またはブロック共重合体であってよい。
〔(B)反応性シリル基を少なくとも2個有するオキシアルキレン系重合体〕
本発明における硬化性組成物は、1分子内に反応性シリル基を少なくとも2個有するオキシアルキレン系重合体(B)を含む。
オキシアルキレン系重合体(B)は、アルキレンオキシドから誘導された繰り返し単位から主になる。アルキレンオキシドは例えばプロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシドなどであり、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドが好ましい。オキシアルキレン系重合体(B)が有するアルキレンオキシドから誘導された繰り返し単位は1種または複数種であってもよい。オキシアルキレン系重合体(B)はアルキレンオキシドから誘導された繰り返し単位以外の構造、例えば、フェニレンオキシドから誘導された繰り返し単位などを有していてもよいが、アルキレンオキシドから誘導された繰り返し単位が、オキシアルキレン系重合体(B)の75重量%以上であることが好ましく、好ましくは90重量%以上である。
オキシアルキレン系重合体(B)は、直鎖状または分岐鎖状であってよい。
オキシアルキレン系重合体(B)における反応性シリル基の種類は、上述のアクリル系重合体(A)についての説明における反応性シリル基の種類と同様であってよい。
オキシアルキレン系重合体(B)は、反応性シリル基を少なくとも2個、好ましくは2〜5個、より好ましくは2または3個(特に2個)有する。反応性シリル基を3個有する場合、反応性シリル基を2個有する場合よりも、接着性が向上し得る。
反応性シリル基は分子内において末端または内部に位置しており、末端に位置していることが好ましい。
シリル基を分子内に導入方法は特に限定されず公知の方法であってよい。例えば重合体の両末端の官能基に対して反応性シリル基を有する化合物を反応させることにより導入することができる。
オキシアルキレン系重合体(B)のポリスチレン換算重量平均分子量は3000〜300000であり、好ましくは10000〜100000、より好ましくは15000〜45000である。
オキシアルキレン系重合体(B)の製造方法は特に限定されず、公知の方法、例えば特開2005−336401に記載の方法を参照できる。オキシアルキレン系重合体の製造方法は、例えば、アルキレンオキシドを重合する工程および反応性シリル基を分子内に導入する工程を含む。例えば、アニオン重合により、アルキレンオキシドを重合し、得られた重合体の両末端に存在する水酸基などの官能基に対して、反応性シリル基を含有する化合物を反応させることでオキシアルキレン系重合体(B)を得ることができる。
オキシアルキレン系重合体(B)として例えばカネカ製S303H、カネカ製S815、カネカ製SAX220などが使用できる。
〔(C)反応性シリル基を1個のみ有するオキシアルキレン系重合体〕
本発明における硬化性組成物は、1分子内に反応性シリル基を1個のみ有するオキシアルキレン系重合体(C)を含む。
オキシアルキレン系重合体(C)は、アルキレンオキシドから誘導された繰り返し単位を有する。アルキレンオキシドは例えばプロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシドなどであり、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドが好ましい。オキシアルキレン系重合体(C)が有するアルキレンオキシドから誘導された繰り返し単位は1種または複数種であってもよい。オキシアルキレン系重合体(C)はアルキレンオキシドから誘導された繰り返し単位以外の構造、例えば、フェニレンオキシドから誘導された繰り返し単位などを有していてもよいが、アルキレンオキシドから誘導された繰り返し単位が、オキシアルキレン系重合体(C)の75重量%以上であることが好ましく、好ましくは90重量%以上である。
オキシアルキレン系重合体(C)は、直鎖状または分岐鎖状であってよい。
オキシアルキレン系重合体(C)における反応性シリル基の種類は、上述のアクリル系重合体(A)または(B)についての説明における反応性シリル基の種類と同様であってよい。
反応性シリル基は分子内において末端または内部に位置しており、末端に位置していることが好ましい。
シリル基を分子内に導入する方法は特に限定されず公知の方法であってよい。例えば重合体の片末端の官能基に対して反応性シリル基を有する化合物を反応させることにより導入することができる。
オキシアルキレン系重合体(C)のポリスチレン換算重量平均分子量は1000〜300000であり、好ましくは2000〜50000、より好ましくは3000〜15000である。
オキシアルキレン系重合体(C)のポリスチレン換算重量平均分子量は、アクリル系重合体(A)のポリスチレン換算重量平均分子量に対して、5〜95%であってよく、例えば、10〜50%である。
オキシアルキレン系重合体(C)のポリスチレン換算重量平均分子量の比率は、オキシアルキレン系重合体(B)のポリスチレン換算重量平均分子量に対して、5〜95%であってよく、例えば、10〜50%である。
アクリル系重合体(A)、オキシアルキレン系重合体(B)およびオキシアルキレン系重合体(C)のポリスチレン換算重量平均分子量の比率は上記範囲内であってよく、例えば、オキシアルキレン系重合体(C)のポリスチレン換算重量平均分子量の比率は、アクリル系重合体(A)のポリスチレン換算重量平均分子量に対して、5〜95%、かつ、オキシアルキレン系重合体(B)のポリスチレン換算重量平均分子量に対して、5〜95%である。
オキシアルキレン系重合体(C)の製造方法は特に限定されず、公知の方法、例えば特開2005−336401に記載の方法を参照できる。オキシアルキレン系重合体の製造方法は、例えば、アルキレンオキシドを重合する工程および反応性シリル基を分子内に導入する工程を含む。例えば、アニオン重合により、アルキレンオキシドを重合し、得られた重合体の片末端に存在する水酸基などの官能基に対して、反応性シリル基を含有する化合物を反応させることでオキシアルキレン系重合体(C)を得ることができる。
オキシアルキレン系重合体(C)として例えばカネカ製S1000Nなどが使用できる。
〔硬化触媒〕
本発明における硬化性組成物は硬化触媒を含んでいてよい。硬化触媒は公知の硬化触媒であってよく、例えばジオクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビスエトキシシリケート、ジオクチル錫オキサイドなどの錫系硬化触媒やテトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネートおよびこれらの部分加水分解縮合物、チタンジイソプロピルビスアセチルアセテート、チタンジイソプロピルビスエチルアセトアセテートなどのチタン系硬化触媒などであってよい。
上記触媒は単独で用いてもよいが、ラウリルアミンなどのアミンとの反応物または混合物であってよい。アミンは上記触媒と組み合わせることが公知なアミン化合物であってよく、アミン化合物の例としては、ラウリルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族第一アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジオクチルアミン、ジラウリルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン等の脂肪族第二アミン類;トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族第三アミン類;トリアリルアミン、オレイルアミン、等の脂肪族不飽和アミン類;ラウリルアニリン、ステアリルアニリン、トリフェニルアミン等の芳香族アミン類等のアミン系化合物が挙げられる。
〔可塑剤〕
本発明における硬化性組成物は可塑剤を含むことが好ましい。可塑剤の例としては、ポリアルキレンエーテル類、フタル酸ジエステル類、エポキシ化ヘキサヒドロフタル酸ジエステル類、アルキレンジカルボン酸ジエステル類、アルキルベンゼン類、ひまし油類、リン酸エステル類、エポキシ化大豆油類等が挙げられる。
可塑剤はエポキシ可塑剤を含むことが好ましく、エポキシ可塑剤と非エポキシ化可塑剤を組合わせて用いてもよい。エポキシ可塑剤はα−オレフィン系エポキシ可塑剤であることが好ましい。α−オレフィン系エポキシ可塑剤の具体例としては、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、4,5−エポキシヘキサヒドロフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)等が挙げられる。
〔充填材〕
本発明における硬化性組成物は充填材を含んでいてよい。充填材は常温で固体の粒子であり、公知の充填剤であってよい。充填剤の例としては、表面未処理炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウム、例えば脂肪酸処理炭酸カルシウム等、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、カーボンブラック、タルク、マイカ、クレーや、ガラスビーズ、マイクロバルーン、シラスバルーン、ガラスバルーン、シリカバルーン、プラスチックバルーン、有機粉体コーティングプラスチックバルーンなどのバルーン類、プラスチック粒子、ガラス繊維、金属繊維などの無機繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などの有機繊維、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、グラファイト、針状結晶性炭酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、二ホウ化チタン、クリソタイル、ワラストナイト等の針状結晶性フィラー、アルミフレーク、アルミ粉、鉄粉などが挙げられる。
炭酸カルシウムは、脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル等の有機物や各種界面活性剤、および、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等の各種カップリング剤などの表面処理剤により表面処理されてある表面処理炭酸カルシウムであってよく、表面未処理の重質炭酸カルシウムまたは軽質炭酸カルシウムと組み合わせて用いてもよい。
〔その他の成分〕
その他の成分の例としては、着色剤、有機溶剤(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、リグロイン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、ヘプタンや、イソパラフィン系高沸点溶剤など)、安定剤(アルコキシシリル基含有重合体を主成分とする硬化性組成物においては、メタノール、エタノールなど)、密着剤(ケイ酸エステル、アミノシラン、メルカプトシラン、エポキシシランなどのシランカップリング剤、エポキシ化合物、アクリルオリゴマーなど)、老化防止剤(ヒンダードフェノール類、メルカプタン類、スルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、チオアルデヒド類など)、水分保給剤(水、無機塩類の水和物など)、紫外線吸収剤・光安定剤(ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類など)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール類など)、揺変剤(コロイダルシリカ、有機ベントナイト、脂肪酸アマイド、水添ひまし油など)等が挙げられる。
<硬化性組成物>
本発明における硬化性組成物において、アクリル系重合体(A)の量は重合体(A)〜(C)の合計に対して、好ましくは45〜85重量%であり、より好ましくは50〜80重量%、さらに好ましくは55〜75重量%である。
本発明における硬化性組成物において、オキシアルキレン系重合体(B)の量は好ましくは重合体(A)〜(C)の合計に対して3〜40重量%であり、より好ましくは4〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。
本発明における硬化性組成物において、オキシアルキレン系重合体(C)の量は好ましくは重合体(A)〜(C)の合計に対して1〜30重量%であり、より好ましくは7.5〜25重量%、さらに好ましくは8〜20重量%である。
本発明における硬化性組成物において、オキシアルキレン系重合体(C)の量がオキシアルキレン系重合体(B)に対して5〜70重量%であることが好ましく、10〜60重量%であることがより好ましく、20〜45重量%であることがさらに好ましい。オキシアルキレン系重合体(C)の量がオキシアルキレン系重合体(B)に対して25重量%以上であることが好ましい。
アクリル系重合体(A)を含むことで、得られるシーリング材はタック性、伸び物性および耐久性が悪くなるが、耐候性は優れる。一方で、オキシアルキレン系重合体(B)を含むことで、得られるシーリング材は耐候性が悪くなるが、伸び物性は優れる。本願発明における組成物において、重合体(A)〜(B)の量が上記範囲で存在することにより、耐候性と、タック性、伸び物性および耐久性とを特に好適に両立することができる。さらに、本願発明における組成物において、オキシアルキレン系重合体(C)が上記範囲で存在することにより、組成物の粘度および架橋密度が好適となり、作業性および物性が特に向上する。
本発明における硬化性組成物において、硬化触媒、可塑剤、充填剤、その他の成分の量は用途目的に応じて適宜設定されてよいが、例えば、硬化触媒は硬化性組成物に対して0.01〜12重量%、充填剤は1〜75重量%、可塑剤は1〜50重量%、その他の成分は0.01〜50重量%である。
<硬化>
本発明における硬化性組成物の硬化は公知の方法により行われる。例えば、空気中の水分により硬化が開始する。
本発明における硬化性組成物は、上記配合成分を一括混合した一液型、あるいは重合体含有組成物と硬化触媒含有硬化剤との二液型、またはさらに着色剤と可塑剤などからなるトナーを別の1成分とした三液型として使用できる。
以下に実施例および比較例をあげて、本発明をより具体的に説明する。試験方法は次のとおりである。
(伸び物性)
伸び物性の評価をJIS A1439:2016に準拠して引張接着性試験に準拠して行った。伸び物性の評価基準は次のとおりである。
Figure 0006783267
(耐久性)
JIS A 1439:2016に準拠して耐久性の評価を行った。耐久性の評価基準は次のとおりである。但し、試験条件は、圧縮加熱目地幅8.4mm、変形率-30%、温度100度、引張冷却の目地幅15.6mm、変形率+30%、目地幅の拡大・縮小8.4-15.6mm、変形率±30%とした。
Figure 0006783267
(耐候性)
陽極酸化アルミ板(JIS A 6063S)にシーリング材(硬化性組成物)を厚み5mm×幅40mm×長さ40mmに打設し、23℃・50%RH×7日+50℃×7日の養生を行った。養生後、メタリングウェザーメーター(岩崎電気(株)製SUV−W261)に設置した。運転条件はランプ照射2時間後120秒散水の繰り返し、ブラックパネル温度60℃に設定した。表面クラック発生時間を目視にて確認し、耐候性を評価した。耐候性の評価基準は次のとおりである。
Figure 0006783267
(耐光接着性)
JIS A 1439:2016 5.7 高温及び湿潤状態でのガラス越しの人工光暴露後の接着性試験に準拠して耐光接着性の評価を行った。耐光接着性の評価基準は次のとおりである。
Figure 0006783267
(ノンプライマー接着性)
JASS8 防水工事(2014年度版)、4.4材料 解説図4.10「簡易接着性試験方法」に準拠してガラスに対するノンプライマー接着性の評価を行った。ノンプライマー接着性の評価基準は次のとおりである。
Figure 0006783267
(タック性)
タック性の評価基準は次のとおりである。
Figure 0006783267
(作業性)
JIS A 1439:2016 5.1 スランプ試験に準拠して作業性の評価を行った。作業性の評価基準は次のとおりである。
Figure 0006783267
実施例または比較例において使用した成分は次のとおりである。
Figure 0006783267
Figure 0006783267
[実施例1]
可塑剤、充填材、添加剤および硬化触媒を除く、下記表10の実施例1に示す量の成分をプラネタリーミキサーにて20分撹拌した後、80℃で30分間撹拌した。次に、60℃まで冷却後、真空減圧下50℃以下で15分撹拌をして、主剤を得た。別に、可塑剤、充填材、添加剤および硬化触媒を室温にて混合することにより硬化剤を得た。主剤および硬化剤を混合させることにより硬化性組成物を得た。この組成物を必要形状にヘラで仕上げて、23℃・50%RH×7日間+50℃×7日間硬化させて硬化物を得た。得られた硬化性組成物および硬化物に対して上記試験を行った。結果を表10に示す。
[実施例2〜13、比較例1〜4]
実施例1において、組成を表10に示すとおりに代えること以外は実施例1と同様にして硬化性組成物と硬化物を得た。得られた硬化性組成物および硬化物に対して上記試験を行った。結果を表10に示す。
Figure 0006783267
本発明における硬化性組成物は、シーリング材や接着剤として有用であり、特に耐久性や耐候性が要求される用途や、作業性が要求される用途に有用である。

Claims (14)

  1. (A)反応性シリル基を少なくとも2個有するアクリル系重合体;
    (B)反応性シリル基を少なくとも2個有するオキシアルキレン系重合体;および
    (C)反応性シリル基を1個のみ有するオキシアルキレン系重合体
    を含み、
    重合体(A)は
    (a1)式:CH=CX−C(=O)−O−A
    [式中、Xは、水素原子またはメチル基であり、
    は、水素原子または炭素数1〜3の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基である。]
    で示される(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位;
    (a2)式:CH=CX−C(=O)−O−A
    [式中、Xは、水素原子またはメチル基であり、
    は、炭素数4〜7の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基である。]
    で示される(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位;および
    (a3)式:CH=CX−C(=O)−O−A
    [式中、Xは、水素原子またはメチル基であり、
    は、炭素数8〜40の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基である。]
    で示される(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位
    を有し、
    アクリル系重合体(A)の量が重合体(A)〜(C)の合計に対して45〜85重量%であり、
    アクリル系重合体(A)は分子の末端に反応性シリル基を有しており、
    オキシアルキレン系重合体(B)およびオキシアルキレン系重合体(C)は、
    式:−Si(R)3−n(Y)
    [式中、Rは炭素数1から30の炭化水素基であり、Yは炭素数1〜6のアルコキシ基、nは2であり、RまたはYが複数個存在するときそれらは同一または異なる。]
    で表される反応性シリル基を有し、
    オキシアルキレン系重合体(C)のポリスチレン換算重量平均分子量は、オキシアルキレン系重合体(B)のポリスチレン換算重量平均分子量に対して、10〜50%である、硬化性組成物。
  2. オキシアルキレン系重合体(B)の量が重合体(A)〜(C)の合計に対して3〜40重量%である請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. オキシアルキレン系重合体(C)の量がオキシアルキレン系重合体(B)の量に対して5〜70重量%である請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. オキシアルキレン系重合体(C)のポリスチレン換算重量平均分子量は、アクリル系重合体(A)のポリスチレン換算重量平均分子量に対して、5〜95%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. アクリル系重合体(A)において、繰り返し単位(a1)の量が繰り返し単位(a2)に対して1〜50重量%であり、かつ、繰り返し単位(a3)の量が繰り返し単位(a2)に対して、3〜50重量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. アクリル系重合体(A)において、繰り返し単位(a1)の量が繰り返し単位(a2)に対して5.5重量%以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. アクリル系重合体(A)において、繰り返し単位(a3)の量が繰り返し単位(a2)に対して19.9〜29.9重量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. アクリル系重合体(A)において、繰り返し単位(a3)のAが直鎖の飽和の脂肪族炭化水素基である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  9. の炭素数が偶数である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  10. エポキシ可塑剤を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  11. エポキシ可塑剤がα−オレフィン系エポキシ可塑剤である請求項10に記載の硬化性組成物。
  12. アクリル系重合体(A)における繰り返し単位(a2)の量は、アクリル系重合体(A)に対して、69〜75重量%である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  13. 錫系硬化触媒を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  14. アクリル系重合体(A)は、
    式:−Si(R)3−n(Y)
    [式中、Rは炭素数1から30の炭化水素基であり、Yは炭素数1〜6のアルコキシ基、nは2であり、RまたはYが複数個存在するときそれらは同一または異なる。]
    で表される反応性シリル基を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
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