JP6783196B2 - 伝熱シート製品 - Google Patents

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本発明は、フッ素系化合物の硬化物で構成されたマトリクスバインダー内に熱伝導性フィラーが設けられた伝熱シートを用いた伝熱シート製品に関する。
電子機器等の内部に発生する熱を外部に放熱する手段として、フッ素系化合物の硬化物で構成されたマトリクスバインダー内に熱伝導性フィラーが設けられた伝熱シートを用いることが知られている。例えば、特許文献1には、(A1)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にヒドロシリル基を1〜2個有する化合物であって、ヒドロシリル基を2個有する分子の含有率が60〜100モル%であるフッ素系化合物と、(B1)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にアルケニル基を1〜2個有する化合物であって、アルケニル基を2個有する分子の含有率が60〜100モル%であるフッ素系化合物と、(A2)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にヒドロシリル基を1〜2個有する化合物であって、ヒドロシリル基を2個有する分子の含有率が0〜40モル%であるフッ素系化合物と、(B2)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にアルケニル基を1〜2個有する化合物であって、アルケニル基を2個有する分子の含有率が0〜40モル%であるフッ素系化合物と、(C)熱伝導性フィラーとを含む熱伝導性樹脂組成物の硬化物で構成された伝熱シートが開示されている。
特開2013−194117号公報
特許文献1に開示された伝熱シートでは、低硬度化は図られるものの、分子内にヒドロシリル基やアルケニル基を有さない又は1個しか有さないフッ素系化合物を多く含み、それらにより硬化反応が阻害されるので、未反応のフッ素系化合物が多く残存することとなるため、表面に粘着性が発現し、また、高温になったときに、それらが飛散して質量が減じるという問題がある。
本発明の課題は、表面の粘着性及び高温になったときの加熱減量が抑制される伝熱シートを用いた伝熱シート製品を提供することである。
本発明は、フッ素系化合物の硬化物で構成されたマトリクスバインダーと、前記マトリクスバインダー内に設けられた熱伝導性フィラーとを備えた伝熱シートの一方側の面に離形シートが貼設された伝熱シート製品であって、前記フッ素系化合物は、第1フッ素系化合物と、第2フッ素系化合物とを含有し、前記第1フッ素系化合物は、分子内にパーフルオロアルキルエーテル構造を含み且つ分子内にアルケニル基を2個以上有し、前記第2フッ素系化合物は、分子内にヒドロシリル基を2個以上有し、前記フッ素系化合物における前記第1及び第2フッ素系化合物の含有量が80質量%よりも多い。
本発明によれば、マトリクスバインダーを形成する硬化前のフッ素系化合物が、分子内にパーフルオロアルキルエーテル構造を含むとともに、分子内にアルケニル基を2個以上有する第1フッ素系化合物と、分子内にヒドロシリル基を2個以上有する第2フッ素系化合物とを含有し、且つフッ素系化合物におけるそれらの第1及び第2フッ素系化合物の含有量が80質量%よりも多いので、フッ素系化合物の硬化反応の反応性が高くなるため、未反応のフッ素系化合物の残存量が少なくなり、その結果、表面の粘着性及び高温になったときの加熱減量を抑制することができる。
実施形態に係る伝熱シート製品の断面図である。
以下、実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る伝熱シート製品Sの断面を示す。この伝熱シート製品Sは、例えば半導体製造装置やパワーデバイス等において用いられるものである。
実施形態に係る伝熱シート製品Sは、伝熱シート10の一方側の面に離形シート20が貼設された構成を有する。
伝熱シート10は、フッ素系化合物の硬化物で構成されたマトリクスバインダー11と、そのマトリクスバインダー11内に設けられた熱伝導性フィラー12とを備える。伝熱シート10の厚さは、例えば100μm以上1000μm以下である。
マトリクスバインダー11を形成する硬化前のフッ素系化合物は、分子内にパーフルオロアルキルエーテル構造を含むとともに、分子内にアルケニル基を2個以上有する第1フッ素系化合物と、分子内にヒドロシリル基を2個以上有する第2フッ素系化合物とを含有する。
第1フッ素系化合物は、直鎖状分子であることが好ましい。第1フッ素系化合物が分子内に有するアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられる。アルケニル基は、これらのうちのビニル基が好ましい。第1フッ素系化合物は、これらのうちの1種又は2種以上のアルケニル基を分子内に2個以上有する単一の化合物で構成されていてもよく、また、これらのうちの1種又は2種以上のアルケニル基を分子内に2個以上有する複数の化合物で構成されていてもよい。第1フッ素系化合物が分子内に有するアルケニル基の個数は2個以上であるが、好ましくは3個以上4個以下である。
第2フッ素系化合物は、分子内に、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、パーフルオロオキシアルキル基、及びパーフルオロオキシアルキレン基のうちの1種又は2種以上を1個又は2個以上有していてもよい。第2フッ素系化合物が分子内に有するヒドロシリル基は2個以上であるが、好ましくは3個以上4個以下である。
フッ素系化合物における第1及び第2フッ素系化合物の含有量は80質量%よりも多く、好ましくは90質量%以上100質量%未満、より好ましくは100質量%である。フッ素系化合物における第1及び第2フッ素系化合物のそれぞれの含有量は、未反応のアルケニル基及びヒドロキシル基を低減する観点から、第1フッ素系化合物中のアルケニル基の全モル数の第2フッ素系化合物中のヒドロキシル基の全モル数に対する比が0.9以上1.1以下となるように設定されていることが好ましい。
フッ素系化合物は、第1及び第2フッ素系化合物以外に、後述の表面の粘着性及び高温になったときの加熱減量の抑制の作用効果を損なわない範囲で、分子内にパーフルオロアルキルエーテル構造を含まないフッ素系化合物、分子内にアルケニル基を有さない又は1個しか有さないフッ素系化合物、分子内にヒドロシリル基を有さない又は1個しか有さないフッ素系化合物を含有していてもよい。
熱伝導性フィラー12としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム、シリカ等が挙げられる。熱伝導性フィラー12は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましく、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素を用いることがより好ましい。
熱伝導フィラーの形状は、例えば、球状、多面体状、鱗片状、多面体状、顆粒状等が挙げられる。熱伝導フィラーは、これらのうちの1種又は2種以上の形状のものを含んでいることが好ましく、充填率を高めることができるという観点から、球状や多面体状のものを含んでいることがより好ましく、製造時のキャスト製膜性を向上させる観点から、球状のような丸みを有するものを含んでいることがより好ましい。
熱伝導フィラーの平均粒径(d50)は、好ましくは伝熱シート10の厚さの80%以下であり、具体的には、好ましくは0.1μm以上200μm以下である。熱伝導フィラーの平均粒径(d50)は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(例えば島津製作所社製のSALD-2300)を用いたレーザー回折光散乱法により求められる。
熱伝導フィラーは、製造時の流動性を高めてキャスト製膜性を向上させる観点から、体積基準の粒度分布において、平均粒径(d50)の前後にそれぞれ少なくとも1つのピークを有することが好ましい。このような構成は、粒径の異なる単分散の熱伝導フィラーを混合することにより得ることができる。例えば粒径が2.5μmの熱伝導フィラーと粒径が25μmの熱伝導フィラーとを混合し、混合後の平均粒径(d50)をそれらの中間値とすることができる。
伝熱シート10における熱伝導フィラーの含有量は、マトリクスバインダー11の100質量部(硬化前のフッ素系化合物の100質量部)に対して、好ましくは100質量部以上400質量部以下である。
伝熱シート10を空気中において250℃で5時間加熱した後の下記式に基づいて算出される加熱減量率は、好ましくは1.1%以下、より好ましくは1.0%以下、更に好ましくは0.90%以下である。また、伝熱シート10を空気中において240℃で95時間加熱した後の下記式に基づいて算出される加熱減量率は、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、更に好ましくは1.1%以下である。
加熱減量率(%)=[(加熱前質量−加熱後質量)/加熱前質量]×100
伝熱シート10の表面の硬さは、好ましくは5以上、60以下、より好ましくは5以上50以下、更に好ましくは5以上40以下である。伝熱シート10の表面の硬さは、JISK6253に基づいて、タイプAデュロメータを用いて測定されるものである。
伝熱シート10の熱伝導率は、好ましくは2.0W/m・K以下、より好ましくは1.5W/m・K以下、更に好ましくは1.0W/m・K以下である。伝熱シート10の熱伝導率は、熱拡散率、比重、及び比熱の積である。
伝熱シート10に、反応ガスとしてO及びCFを用い、それらの流量をそれぞれ500ml/min及び10ml/min、並びに反応圧力を40Pa及びラジカル照射時間を1時間として行うOリッチ条件と、反応ガスとしてO及びCFを用い、それらの流量をそれぞれ100ml/min及び410ml/min、並びに反応圧力を100Pa及びラジカル照射時間を1時間として行うCFリッチ条件とでラジカルを照射した後の下記式に基づいて算出されるラジカル照射減量率は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.7%以下、更に好ましくは0.5%以下である。
ラジカル照射減量率(%)=[(照射前質量−照射後質量)/照射前質量]×100
離形シート20としては、例えば、ポリ4−メチル・1−ペンテン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)等の樹脂フィルムが挙げられる。離形シート20は、製造時の加熱に対する形状安定性の観点から、これらのうちポリ4−メチル・1−ペンテン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルサルフォンを用いることが好ましく、ポリ4−メチル・1−ペンテン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレンを用いることがより好ましい。離形シート20は、これらの樹脂フィルムの積層体であってもよい。離形シート20の伝熱シート10側表面には、シリコーン系界面活性剤や非シリコーン系離型剤による表面処理が施されていてもよい。離形シート20の厚さは、好ましくは25μm以上200μm以下である。
実施形態に係る伝熱シート製品Sは、第1及び第2フッ素系化合物を混合して撹拌することにより液状のフッ素系化合物を調製し、そこに更に熱伝導フィラーを投入して混練することにより液状組成物を作製し、その液状組成物を離形シート20上にキャストして製膜した後、加熱してフッ素系化合物を硬化させることにより製造することができる。このとき、伝熱シート10の伝熱性を高める観点から、キャスト前の液状組成物には脱泡処理を施すことが好ましい。
フッ素系化合物の加熱硬化処理は、低温加熱の一次処理と一次処理の温度より高い高温加熱の二次処理とを含むことが好ましい。一次処理の加熱温度は、好ましくは100℃以上200℃以下であり、加熱時間は、好ましくは5分以上30分以下である。二次処理の加熱温度は、好ましくは150℃以上250℃以下であり、加熱時間は、好ましくは3時間以上10時間以下である。
実施形態に係る伝熱シート製品Sの伝熱シート10は、熱安定性が高く、長時間の加熱後でも表面の硬さが大きくなることなく、同等乃至むしろ低下する傾向があるので、伝熱シート10の表面の硬さを安定化させる観点から、フッ素系化合物の加熱硬化処理の後、更にエージング処理を施すことが好ましい。エージング処理の加熱温度は、好ましくは200℃以上250℃以下であり、加熱時間は、好ましくは1時間以上100時間以下である。エージング処理前後の伝熱シート10の表面の硬さの差は、好ましくは±10以下である。
なお、実施形態に係る伝熱シート製品Sは、液状組成物を離形シート20上にキャストして製膜した後にプレス成形することによっても製造することができる。
以上の構成の実施形態に係る伝熱シート製品Sによれば、伝熱シート10のマトリクスバインダー11を形成する硬化前のフッ素系化合物が、分子内にパーフルオロアルキルエーテル構造を含むとともに、分子内にアルケニル基を2個以上有する第1フッ素系化合物と、分子内にヒドロシリル基を2個以上有する第2フッ素系化合物とを含有し、且つフッ素系化合物におけるそれらの第1及び第2フッ素系化合物の含有量が80質量%よりも多いので、フッ素系化合物の硬化反応の反応性が高くなるため、未反応のフッ素系化合物の残存量が少なくなり、その結果、表面の粘着性及び高温になったときの加熱減量を抑制することができる。
(伝熱シート製品)
<実施例1>
分子内にパーフルオロアルキルエーテル構造を含むとともに、分子内にアルケニル基を2個以上有する第1フッ素系化合物(A1)と、分子内にヒドロシリル基を2個以上有する第2フッ素系化合物(A2)とを、(A1)中のアルケニル基の全モル数の(A2)中のヒドロキシル基の全モル数に対する比が1.0となるように混合して撹拌することにより液状のフッ素系化合物を調製し、そこに更に酸化アルミニウムの熱伝導フィラー(平均粒径(d50):12μm)を、フッ素系化合物100質量部に対して200質量部投入して混練することにより液状組成物を得た。
次いで、得られた液状組成物をポリテトラフルオロエチレン製の離形シート上にキャストして厚さ600μmに製膜し、それを真空チャンバに入れて温度:25℃及び圧力:−760mmHgの下での5分間の脱泡処理を3回施した。
そして、離形シート上に液状組成物を製膜して脱泡処理を施したものを加熱炉に入れて、加熱温度:150℃及び加熱時間:10分の一次処理、並びに加熱温度:200℃及び加熱時間:4時間の二次処理からなる加熱硬化処理を施してフッ素系化合物を硬化させることにより伝熱シート製品を作製した。これを実施例1とした。
<実施例2>
熱伝導フィラーの投入量を、フッ素系化合物100質量部に対して300質量部としたことを除いて実施例1と同一構成の伝熱シート製品を作製した。これを実施例2とした。
<実施例3>
加熱温度240℃及び加熱時間95時間のエージング処理を施したことを除いて実施例1と同一構成の伝熱シート製品を作製した。これを実施例3とした。
<比較例1>
液状のフッ素系化合物として、分子内にパーフルオロアルキルエーテル構造を含むとともに、分子内にアルケニル基を2個以上有する第1フッ素系化合物(A1)と、分子内にヒドロシリル基を2個以上有する第2フッ素系化合物(A2)と、分子内にアルケニル基を有さない又は1個しか有さないフッ素系化合物(B1)と、分子内にヒドロシリル基を有さない又は1個しか有さないフッ素系化合物(B2)とを、((A1)+(A2)):((B1)+(B2))=1:1(質量比)であり、並びに(A1)中のアルケニル基の全モル数の(A2)中のヒドロキシル基の全モル数に対する比が1.0及び(B1)中のアルケニル基の全モル数の(B2)中のヒドロキシル基の全モル数に対する比が1.0となるように混合して撹拌して調製したものを用いたことを除いて実施例1と同一構成の伝熱シート製品を作製した。これを比較例とした。
<比較例2>
液状のフッ素系化合物として、分子内にアルケニル基を有さない又は1個しか有さないフッ素系化合物(B1)と、分子内にヒドロシリル基を有さない又は1個しか有さないフッ素系化合物(B2)とを、(B1)中のアルケニル基の全モル数の(B2)中のヒドロキシル基の全モル数に対する比が1.0となるように混合して撹拌して調製したものを用いたことを除いて実施例1と同一構成の伝熱シート製品を作製した。
(試験方法)
<粘着性>
実施例1〜3及び比較例1〜2のそれぞれについて、伝熱シートの表面の粘着性を、粘着性が認められないものをA及び粘着性が認められるものをBと触感評価した。
<加熱減量率>
実施例1〜3及び比較例1及び2のそれぞれについて、空気中において240℃で95時間加熱した後の加熱減量率を下記式に基づいて算出した。また、空気中において240℃で95時間加熱した後の加熱減量率を同様にして算出した。
加熱減量率(%)=[(加熱前質量−加熱後質量)/加熱前質量]×100
<表面の硬さ>
実施例1〜3のそれぞれについて、離形シートを剥離して厚さが約1mmとなるように積層し、タイプAの押針を装着したマイクロゴム硬度計(高分子計器社製 MD−1)を用いてノーマルモードで伝熱シートの表面の硬さを測定した(JISK6253に基づくタイプAデュロメータによる測定に相当)。また、240℃で95時間の熱処理を施した後の表面の硬さも測定した。測定は任意の5点で行い、それらの測定値の平均を算出した。
<熱伝導度>
実施例1〜3のそれぞれについて、熱拡散率、比重、及び比熱の積を伝熱シートの厚さ方向の熱伝導度として算出した。なお、熱拡散率は、10mm角に切り出した伝熱シートを試料とし、キセノンフラッシュアナライザ(NETZSCH社製 LFA467)を用いてレーザーフラッシュ法により求めた。比重は、自動比重測定装置(METTLERTOLEDO社製 SGM−7)を用いてアルキメデス法により求めた。比熱は、示差走査熱量計(日立ハイテクサイエンス社製 DSC7020)を用いて求めた。
<ラジカル照射減量率>
実施例1について、耐ラジカル試験装置にセットし、反応ガスとしてO及びCFを用い、それらの流量をそれぞれ500ml/min及び10ml/min、並びに反応圧力を40Pa及びラジカル照射時間を1時間として行うOリッチ条件と、反応ガスとしてO及びCFを用い、それらの流量をそれぞれ100ml/min及び410ml/min、並びに反応圧力を100Pa及びラジカル照射時間を1時間として行うCFリッチ条件とで、ラジカル照射後のラジカル照射減量率を下記式に基づいて算出した。
ラジカル照射減量率(%)=[(照射前質量−照射後質量)/照射前質量]×100
<固着性>
実施例1について、伝熱シート側に長さ50mm、幅25mm、及び厚さ2mmのアルマイト処理基材に積層し、アルマイト処理基材を伝熱シートに29.4Nの荷重を負荷しながらローラーで押し付けて密着させた後に離形シートを剥離することにより3個の試験片を準備した。3個の試験片のうちの一つには熱処理を施さず、一つには200℃で126時間の熱処理を施し、残りの一つには200℃で294時間の熱処理を施した。そして、アルマイト処理基材から伝熱シートを180°方向に剥離し、剥離面を目視で観察して伝熱シートの固着の有無を確認した。そして、伝熱シートの固着性を、固着が認められないものをA及び固着が認められるものをBと評価した。
(試験結果)
表1は、試験結果を示す。
Figure 0006783196
表1によれば、実施例1〜3では、表面の粘着性が認められないのに対し、比較例1〜2では、それが認められることが分かる。また、実施例1〜3では、加熱減量率が小さいのに対し、比較例1〜2では、それが大きいことが分かる。これは、実施例1〜3では、フッ素系化合物における分子内に硬化反応に関与する官能基を2個以上有する第1及び第2フッ素系化合物の含有量が100質量%(80質量%より多い)であるので、未反応のフッ素系化合物の残存が少ないのに対し、比較例1〜2では、フッ素系化合物における分子内に硬化反応に関与する官能基を有さない又は1個しか有さない第1及び第2フッ素系化合物の含有量が50質量%あるので、未反応のフッ素系化合物が多く残存するためであると考えられる。
実施例1〜3の表面の硬さ及び熱伝導度については、半導体製造装置やパワーデバイス等の用途に十分に適用できるものであることが分かる。表面の硬さについては、熱処理後に上昇することなく、実施例1及び2では逆に僅かに低下し、エージング処理を施した実施例3では変化がなく、極めて熱安定性が高いことが分かる。また、実施例1のラジカル照射減量についても、半導体製造装置やパワーデバイス等の用途に十分に適用できるものであることが分かる。
実施例1の固着性については、熱処理前も後も固着が認められず、したがって、伝熱シートの固着が残存することなく、製品交換を行うことができることが期待される。
本発明は、フッ素系化合物の硬化物で構成されたマトリクスバインダー内に熱伝導性フィラーが設けられた伝熱シートを用いた伝熱シート製品の技術分野について有用である。
S 伝熱シート製品
10 伝熱シート
11 マトリクスバインダー
12 熱伝導性フィラー
20 離形シート

Claims (4)

  1. フッ素系化合物の硬化物で構成されたマトリクスバインダーと、前記マトリクスバインダー内に設けられた熱伝導性フィラーと、を備えた伝熱シートの一方側の面に離形シートが貼設された伝熱シート製品であって、
    前記フッ素系化合物は、第1フッ素系化合物と、第2フッ素系化合物とを含有し、
    前記第1フッ素系化合物は、分子内にパーフルオロアルキルエーテル構造を含み且つ分子内にアルケニル基を2個以上有し、
    前記第2フッ素系化合物は、分子内にヒドロシリル基を2個以上有し、
    記フッ素系化合物における前記第1及び第2フッ素系化合物の含有量が80質量%よりも多い伝熱シート製品
  2. 請求項1に記載された伝熱シート製品において、
    前記伝熱シートは、JIS K6253に基づいて、タイプAデュロメータを用いて測定される表面の硬さが60以下である伝熱シート製品
  3. 請求項1又は2に記載された伝熱シート製品において、
    前記伝熱シートは、空気中において240℃で95時間加熱した後の加熱減量が1.1質量%以下である伝熱シート製品
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された伝熱シート製品において、
    前記離形シートがポリ4−メチル・1−ペンテンの樹脂フィルムである伝熱シート製品。
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