JP6782544B2 - ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維複合体およびポリカーボネート樹脂複合材料 - Google Patents

ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維複合体およびポリカーボネート樹脂複合材料 Download PDF

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本発明は、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維複合体およびそれを構成要素として含むポリカーボネート樹脂複合材料に関するものである。
ポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下、PPTAと記すことがある。)繊維は、紡糸時にポリマー溶解の溶媒として濃硫酸を用い液晶状態とした後、口金によるせん断を与えて結晶化度の高い糸に形成される。溶媒である濃硫酸は、紡糸直後に水洗およびアルカリにより中和処理され、200℃以上で乾燥・熱処理された後、フィラメントとして巻き取られて製造されることが知られている(特許文献1)。
PPTA繊維は、高強度、高弾性率、高耐熱性、非導電性、錆びないなどの高い機能性と、有機繊維特有のしなやかさと、軽量性を併せ持った合成繊維である。これらの特長から、自動車や自動二輪、および自転車用のタイヤ、自動車用歯付きベルト、コンベヤ等のゴム補強材料、あるいは、光ファイバーケーブルの補強やロープとして利用されている。さらに、防弾チョッキや、刃物に対して切れにくい性質を利用した作業用手袋や作業服などの防護衣料、燃え難さを利用した消防服への応用も行われている。
ところが、PPTA繊維は化学的に安定であるため、各種樹脂との接着性が良くないという問題点を有している。そこで、アラミド繊維と樹脂との接着性を改善するため、アラミド繊維を、ポリアミン化合物とグリシジルエーテル型エポキシ樹脂とのアダクトで被覆する方法(特許文献2)や、ビカット軟化点が40℃以上の炭素2〜4のオレフィン系共重合体で被覆する方法(特許文献3)が知られている。
特許文献4には、水分率30質量%のPPTA繊維に、オリゴマー(分子量10,000未満)程度のウレタンフォーマとシランカップリング剤(Siと親油性基を有するシラン化合物)の水溶液を付与した後、熱処理して得た単糸をナイロン樹脂に付着させ、ナイロン樹脂複合材料を得る方法が提案されている。また、特許文献5には、水分率30質量%のPPTA繊維に、ウレタンバインダーあるいはブタジエン−無水マレイン酸コポリマーとシランカップリング剤の水溶液を付与した後、熱処理して得た単糸をナイロン樹脂に付着させ、ナイロン樹脂複合材料を得る方法が提案されている。
米国特許第3,767,756号明細書 特公平1−12864号公報 特開平4−50377号公報 特開2004−91540号公報 特開2002−194669号公報
しかしながら、特許文献2および特許文献3に記載された方法は、アダクトやオレフィン系共重合体をアラミド繊維と反応させる方法ではなく、アダクトやオレフィン系共重合体の溶液をアラミド繊維表面に塗布、または該溶液に繊維を浸漬して絞った後、乾燥する方法であるため、被覆が均一でないという問題点がある。
特許文献4および特許文献5に記載された方法は、ウレタンバインダーあるいはブタジエン−無水マレイン酸コポリマーをシランカップリング剤と共に水に溶解させた水溶液をPPTA繊維に付着させた後、熱処理しているが、ウレタンバインダーは、ブタジエン−マレイン酸コポリマーに比べて界面特性を改善する効果が劣っている。シランカップリング剤を併用しないポリマーの界面特性改善効果については全く報告されていない。また、複合化させるマトリックス樹脂としてナイロン樹脂が開示されているだけである。
各種マトリックス樹脂の中でも、とりわけポリカーボネート樹脂は、卓越した耐衝撃性を有しており、ガラス転移点が高く荷重たわみ温度が高いため、高強度、高弾性率、高耐熱性、非導電性、錆びないなどの高い機能性としなやかさと軽量性を併せ持ったアラミド繊維と複合化することにより、従来には無い高機能複合材料となり得る可能性がある。
本発明の目的は、ポリカーボネート樹脂と親和性があるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維複合体、およびそれを構成要素として含むポリカーボネート樹脂複合材料を提供することにある。
本発明者は、ポリカーボネート樹脂と親和性があるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維複合体に関し鋭意検討を行った結果、水分量が15質量%未満になった履歴を有しない水分量15〜200質量%に調整されたポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維骨格内に、シランカップリング剤を用いることなく、樹脂分散液を浸透させることにより、ポリカーボネート樹脂と親和性がある繊維複合体が得られることを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は以下の通りである。
(1)水分量が15質量%未満になった履歴を有しない水分量15〜200質量%に調整されたポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維骨格内に、ポリカーボネート系ウレタン樹脂分散液(ただし、シランカップリング剤を含まない。)を、上記繊維の水分量を0質量%に換算したときの繊維質量に対して、固形分として0.1質量%以上10.0質量%以下浸透させたことを特徴とするポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維複合体を構成要素として含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂複合材料。
本発明によれば、従来のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維複合体と比較してポリカーボネート樹脂との接着性が向上する。
それにより、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維本来の高ヤング率を保持しながら、接着強度が高く、ポリカーボネート樹脂等の補強用として有用な繊維複合体を提供できる。
本発明のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維複合体は、優れた耐熱性を持ち、ポリカーボネート樹脂等のエンジニアリングプラスチックと複合化する際に被る高温における強力低下が少ないため、引張強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率が高く、摩擦摩耗性に優れるポリカーボネート樹脂複合材料を提供することが可能となる。
本発明におけるポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)とは、テレフタル酸とパラフェニレンジアミンを重縮合して得られる重合体であるが、少量のジカルボン酸およびジアミンを共重合したものも使用でき、重合体または共重合体の分子量は通常20,000〜25,000が好ましい。
通常のPPTA繊維は、PPTAを濃硫酸に溶解し、その粘調な溶液を紡糸口金から押し出し、空気中または水中に紡出することによりフィラメント状にした後、水酸化ナトリウム水溶液で中和し、最終的には120〜500℃の乾燥・熱処理をして得られる。
本発明において、水分量15〜200質量%に調整されたPPTA繊維は、例えば、以下のようにして得ることができる。すなわち、PPTAを濃硫酸に溶解して18〜20質量%の粘調な溶液とし、これを紡糸口金から吐出して、わずかの間空気中に紡出後、水中へ紡糸し(この時、口金吐出時のせん断速度を25,000〜50,000sec−1にするのが好ましい。)、水洗中和処理を経た後、得られた原糸を100〜160℃で、好ましくは5〜20秒間乾燥する。水分率が15質量%未満では、樹脂分散液を均一に繊維骨格内に浸透させることが困難となり、一方、水分率が200質量%を超えると、浸透させた樹脂分散液が巻き取り工程までにガイド等に接触した際に水分と共に脱落する恐れがあり、また、繊維の巻き取り工程が難しくなる。PPTA繊維の水分率は、樹脂分散液のPPTA繊維骨格内への浸透性、PPTA繊維の水分調整の容易性および生産効率等の観点より、好ましくは15〜100質量%、より好ましくは20〜50質量%、特に好ましくは35〜50質量%である。
本発明のPPTA繊維複合体は、温度100〜160℃で熱処理条件などを変更しながら、PPTA繊維の結晶サイズが50オングストローム未満の状態を保ち、かつ、水分率が15〜200重量%の状態を保つようなPPTA繊維とし、該PPTA繊維骨格内に樹脂分散液を浸透させることによって得られる。PPTA繊維の結晶サイズが50オングストローム以上になると、樹脂を繊維骨格内に浸透させることが難しくなる。
また、PPTA繊維は、紡出後水分率が15質量%未満に乾燥された履歴を持たないことが望ましい。常に水分率が15質量%以上に調整されたPPTA繊維を用いることにより、樹脂分散液が浸透し易い状態を保持することができるからである。
上記の水分量15〜200質量%に調整されたPPTA繊維骨格内に浸透させる樹脂分散液は、シランカップリング剤を含まないものである。アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤を含有する場合、PPTA繊維骨格内にわずかに存在する官能基と優先的に反応し、分散液中の樹脂との親和性を阻害するからである。樹脂分散液を浸透させたPPTA繊維複合体を、例えば、巻き取り工程でボビンに巻き取り、その後ボビンから巻き出し、熱処理して水分を除去し、水分率を15質量%未満とすることにより、本発明のPPTA繊維複合体を得ることができる。
樹脂分散液は、PPTA繊維の水分量を0%に換算した繊維質量に対して、固形分として0.1〜10.0質量%、より好ましくは0.2〜5.0質量%浸透させるのがよい。浸透させる量が少ないと接着性付与効果が充分発揮されなくなる。
水分量が15質量%未満になった履歴を有しない水分量15〜200質量%に調整されたPPTA繊維骨格内に浸透させる樹脂としてはウレタン樹脂等を挙げることができる。
前記のウレタン樹脂としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系のいずれであってもよい。なかでも、耐水性、耐候性、耐熱性に優れている点より、ポリカーボネート系ウレタン樹脂が好ましい。これらのウレタン樹脂は、PPTA繊維骨格内への浸透が容易な分散液(エマルジョン)として用いられる。ウレタン樹脂分散液は、界面活性剤を乳化剤に用いて強制乳化した乳化型エマルジョン、あるいは、ウレタン樹脂中に親水基を導入した自己乳化型エマルジョンのいずれであってもよい。
前記のポリカーボネート系ウレタン樹脂は、ポリカーボネートポリオール、有機ジイソシアネート等を原料として合成される。
前記のポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリ(テトラメチレンカーボネートジオール)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネートジオール)等が挙げられる。
前記の有機ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートまたはこれらの混合物、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメチル−ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジクロル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等、および、それらの変性物等から選択される1種または2種以上の混合物が挙げられる。
また、ポリカーボネート系ウレタン樹脂は、前記のポリカーボネートポリオール、前記の有機ジイソシアネート、および、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸等のカルボン酸含有ポリオールを原料として合成されるものでもよい。
前記の自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョンの場合、PPTA繊維の表面官能基との反応性が良好なカルボン酸基あるいはスルホン酸基を導入したアニオン性自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン、あるいは、pH安定性に優れる非イオン性自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョンが好ましい。これらのうち、カルボン酸トリエチルアミン塩等のカルボン酸基を導入した自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョンがより好ましい。
本発明では、樹脂分散液中における樹脂濃度は、特に限定されるものではないが、好適には、樹脂濃度30〜50質量%程度の分散液が用いられる。樹脂粒子径としては、粒子径が小さいものが好ましく、20〜200nm(2〜20Å)程度のものが好ましい。また、樹脂分散液の溶媒としては、水または水性溶媒が好ましく、特に水が好ましい。
本発明において樹脂分散液は、水分量15〜200質量%に調整されたPPTA繊維骨格内に浸透させる場合、油剤に含ませて用いてもよいし、油剤と別工程で用いてもよい。油剤としては、PPTA繊維に用いられる一般的な油剤、例えば、炭素数18以下の低分子量脂肪酸エステル、ポリエーテル、鉱物油等が挙げられる。樹脂を油剤に含ませて用いる場合は、上記油剤中に約20〜60質量%含有させることが好ましく、より好ましくは30〜50質量%である。
樹脂分散液および当該樹脂分散液を含む油剤をPPTA繊維に付与する方法は、特に限定されず、従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、浸漬給油法、スプレー給油法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法等の方法でPPTA繊維に付与される。
樹脂分散液を浸透させたPPTA繊維複合体は、そのまま連続的に、もしくは一旦巻き取り工程でボビンに巻き取った後、巻き取ったPPTA繊維複合体をボビンから巻き出して、熱処理することにより、水分率を15質量%未満、より好ましくは10質量%未満とする。熱処理の条件は特に限定されない。例えば80〜300℃、好ましくは100〜250℃で熱処理をした場合、水分率を15質量%未満にすることができる。この熱処理により、PPTAの結晶サイズが拡大し、結晶間間隙を狭くすることにより樹脂をPPTA繊維骨格内に固定することができる。
PPTA繊維の表面官能基としては、大部分がアミド基であるが、僅かではあるがアミド基の加水分解によりアミン基、カルボキシル基が存在する。水分量が15〜200質量%に調整されたPPTA繊維骨格内に、カーボネート結合を有する樹脂を浸透させると、PPTA繊維骨格内に反応性官能基が導入されることで、PPTA繊維の表面官能基と反応し得る状態になる。反応は、非加熱下および/または加熱下で行われる。反応速度は、導入する樹脂の種類、導入後の乾燥条件によって異なるが、通常、非加熱条件下では反応しないことが多く、加熱することで反応が進行しやすくなる。
また、ポリカーボネート系ウレタン樹脂はブロック共重合体であり、ハードセグメントを構成するウレタン結合がPPTA繊維と親和性があり、また、ソフトセグメントを構成するカーボネート結合がポリカーボネート樹脂との親和性向上あるいは成形時の熱処理によりエステル交換反応が進行するものと推察される。
本発明で得られるPPTA繊維複合体は、ポリカーボネート樹脂との複合材料として好適に用いられる。その他、ゴム材料やポリカーボネート樹脂以外の樹脂材料の補強用としても有用である。
ゴム補強用に使用する場合は、本発明のPPTA繊維複合体に、公知のレゾルシンホルマリンラテックス(RFL)による浸漬処理を施す。例えば、ゴムラテックス100質量部に対してレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物を2〜20質量部含有させた混合物を、固形分濃度で5〜25質量%程度含有するRFL処理液に、PPTA繊維複合体を浸漬するなどして、PPTA繊維複合体に混合物を付着させた後、100〜260℃で熱処理する方法が挙げられる。
ゴムラテックスとしては、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン系ゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴムラテックス、クロロプレン系ゴムラテックス、クロロスルホン化ポリエチレンゴムラテックス、アクリレート系ゴムラテックスおよび天然ゴムラテックスなどが挙げられ、レゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物としては、レゾルシン−ホルムアルデヒドを酸触媒またはアルカリ触媒下で縮合させて得られたノボラック型縮合物などが挙げられる。処理液には、ブロックドポリイソシアネート化合物、エチレンイミン化合物、ポリイソシアネートとエチレンイミンとの反応物などから選ばれた1種以上の化合物が混合されていてもよい。
本発明のPPTA繊維複合体は、PPTA繊維骨格内に樹脂分散液を浸透させているので、RFL処理液の付着性がよい上に、RFL高温処理を行ったときコードの強力低下が生じにくいという利点を有している。また、本発明のPPTA繊維複合体にRFLによる浸漬処理を施して0.1〜5mmにカットしたフロック状の短繊維複合体は、ゴムベルトに使用される補強材としても有用である。
本発明のPPTA繊維複合体に、RFL処理を施さずに0.1〜5mmにカットしたフロック状の短繊維複合体は、歯車に使用される紙、織物、編物、不織布に有用である。
そのほか、本発明のPPTA繊維複合体は、その優れた性質を利用して、紙、織物、編み物、不織布などの布帛、さらにプリント配線板用シート状物などに有用である。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中における各測定値は次の方法にしたがった。なお、実施例2は本発明の参考例である。
(1)水分率(質量%)
試料約5gの質量を測定し、105℃×4時間処理を行い、24℃、55%RHで5分間放置した後、再度質量を測定する。ここで使う水分率は、[乾燥前質量−乾燥後質量]/[乾燥後質量]×100で得られるドライベース水分率である。
(2)繊維への樹脂付着量(質量%)
樹脂ディスパージョンを処理する前の繊維を、あらかじめ決められた長さでサンプリングし、105℃、4時間処理を行い、24℃、55%RHで5分間放置した後の質量を測定する。次に、樹脂ディスパージョン処理後の繊維を、同じ長さでサンプリングし、同じく105℃、4時間処理した後の質量を測定する。ここで使う繊維への樹脂付着量は、[処理後の質量−処理前の質量]/[処理前の質量]}×100で得られる。
(3)剥離荷重(N)
引張試験機を用い、板状樹脂サンプルが水平方向にスムーズに動くように設計された治具に、樹脂表面上に端部から20mm程度が貼り付いていない長繊維を貼り付けた樹脂シートを設置し、貼り付いていない端部を垂直方向に移動するチャックにはさみ、チャックを上方に移動させた時の荷重を測定し、剥離荷重とした。
(実施例1)
通常の方法で得られたPPTA(分子量約20,000)1kgを4kgの濃硫酸に溶解し、直径0.1mmのホールを1,000個有する口金からせん断速度30,000sec−1となるよう吐出し、4℃の水中に紡糸した後、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液で、10℃×15秒の条件で中和処理し、その後、110℃×15秒間の低温乾燥をして、水分率35質量%のPPTA繊維(水分率0質量%換算のとき繊度1,670dtex)になるように調整した。更に、このPPTA繊維を、ポリカーボネートポリオールを共重合したポリカーボネート系ウレタン樹脂ディスパージョン(マイケルマン社製U2−04)ディップ浴に通し、ロールで絞り、付着量を調整し、105℃、4時間乾燥させることにより、水分率0質量%換算としたときの繊維に対し4.3質量%(樹脂換算)の樹脂を、浸透させたPPTA繊維複合体を製造した。
得られたPPTA繊維複合体に2.08回/インチの片撚りを加えた。
たて方向に1mm間隔で長さ265mm以上になるように、7本のPPTA繊維複合体を引き揃えた後、繊維端部となる部分を決め、端部から繊維引き揃え方向に対し長さ20mm、厚み0.1mmの離形フィルムを乗せ、更に繊維引き揃え方向に対し長さ265mm、厚さ4mmのポリカーボネート製シートを乗せ、加熱プレス成形機にて3.8mmのスペーサーを用い、10MPaの荷重下250℃にて15分間処理し樹脂を溶融させた後、引き続き、常温、10MPaの条件下で、金型ごと50℃で冷却固化させることにより、3.8mm厚のポリカーボネート樹脂シート上にPPTA繊維複合体を貼り付けたシートを得た。このシート試験片におけるPPTA繊維複合体の剥離荷重は34Nであった。
(実施例2)
実施例1で得た水分率35質量%のPPTA繊維をディップするディップ液に、ポリエーテル系ウレタン樹脂ディスパージョン(竹本油脂(株)製TKF−945)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、PPTA繊維複合体を貼り付けたシートを得た。このシート試験片におけるPPTA繊維複合体の剥離荷重は22Nであった。
(比較例1)
実施例1で得た水分率35質量%の処理前のPPTA繊維にディップ液を通すことなく、乾燥させたこと以外は、実施例1と同様の方法で、樹脂付着のないPPTA繊維を貼り付けたシートを得た。このシート試験片におけるPPTA繊維の剥離荷重は17Nであった。
(比較例2)
実施例1で得た水分率35質量%の処理前のPPTA繊維に通すディップ液にアミノプロピルトリメトキシシランを使用し乾燥させたこと以外は、実施例1と同様の方法でPTA繊維複合体を貼り付けたシートを得た。このシート試験片におけるPPTA繊維の剥離荷重は18Nであった。
Figure 0006782544
表1の結果から、ポリカーボネート系ウレタン樹脂ディスパージョンを付着させた本実施例1のPPTA繊維複合体は、付着させていないPPTA繊維(比較例1)に比べて、ポリカーボネート樹脂に対する接着性が画期的に大きくなることが認められた。また、ポリエーテル系ウレタン樹脂ディスパージョンを付着させた本実施例2のPPTA繊維複合体は、比較例1よりもポリカーボネート樹脂に対する接着性が向上することが認められた。
本発明のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維複合体は、ポリカーボネート樹脂複合材料等として各種産業用資材に有用である。

Claims (1)

  1. 水分量が15質量%未満になった履歴を有しない水分量15〜200質量%に調整されたポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維骨格内に、ポリカーボネート系ウレタン樹脂分散液(ただし、シランカップリング剤を含まない。)を、上記繊維の水分量を0質量%に換算したときの繊維質量に対して、固形分として0.1質量%以上10.0質量%以下浸透させたことを特徴とするポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維複合体を構成要素として含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂複合材料
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