JP6780836B2 - スペーサ - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路(ウォータジャケット)に挿入されて用いられるスペーサに関する。
前記内燃機関のウォータジャケットには、流通する冷却水の流れ(流量、流速等)を規制するためのスペーサが開口部から挿入されて配置される。スペーサを開口部よりウォータジャケット内に挿入する際、挿入荷重をなくして組付け性を向上することが望まれる。特許文献1,2には、ウォータジャケットに挿入する前は、厚みが小さく、挿入後は、厚みが大きくなって、ウォータジャケット内の所定の位置に固定され、冷却水の流れの規制がなされるようにしたスペーサが開示されている。
これら特許文献に開示されたスペーサをウォータジャケットに挿入する際の挿入荷重をなくして組付け性を向上させる構成は、概ね以下のように大別される。
a)発泡ゴムをバインダー(水溶性物質)によって圧縮状態に固定し、ウォータジャケット内を流通する冷却水(不凍液:LLC)によってバインダーが溶け、非圧縮の状態に戻るように構成されたスペーサ(特許文献1)。
b)発泡ゴムをバインダー(熱可塑性物質)によって圧縮状態に固定し、前記冷却水の温度によってバインダーが軟化、或いは、融解して、非圧縮の状態に戻るように構成されたスペーサ(特許文献1)。
c)エラストマーに吸水性高分子材料を配合し、前記冷却水を吸収して膨張させるように構成したスペーサ(特許文献2)。
d)ばね部材によって支持させ、挿入前は、ばね部材を圧縮させておき、挿入後ばね部材を復元させるように構成したスペーサ(特許文献1)。
他方、特許文献3には、複数のシリンダボア(気筒)の全周を取り囲むスペーサの長手方向(シリンダボアの配列方向)両端部に、弾性体で構成される固定部材を設け、この固定部材をウォータジャケットの内側壁面に圧接することによってスペーサを高い強度でウォータジャケット内に固定することが開示されている。
特許第3967636号公報 特許第4465313号公報 特許第5064470号公報
ところで、特許文献1,2に開示された前記a)〜d)のように構成されるスペーサは、それぞれ以下のような課題を内包する。
a),b)の場合、製造工程で発泡ゴムをバインダーの溶液やエマルジョン中に含浸させる必要があるため、含浸液の管理や、環境への配慮が必要である。また、LLC中にバインダー成分が混入し、LLCの成分に影響を及ぼす場合がある。
c)の場合、水膨潤性エラストマーの膨張方向を規制するため、芯材に水膨潤性エラストマーを一体加工する必要があり、製造上複雑な工程が必要とされる。また、LLC中に吸水性高分子材料が流出し、LLCの成分に影響を及ぼす場合がある。
d)の場合、ばね部材の圧縮・復元作用を用いるため、ばね部材を圧縮状態に維持し、また、この圧縮状態を解放するための機械的な機構を組み込む必要があり、構造的に複雑となる。
さらに、特許文献3に開示されたスペーサは、長手方向の両端部に弾性材からなる固定部材が設けられているため、ウォータジャケットへの挿入時に荷重がかかり、組付けの作業性が悪いという難点がある。
本発明は、前記に鑑みなされたもので、簡易に作製可能で、冷却水や環境に対して悪影響を及ぼさない新規なスペーサを提供することを目的としている。
本発明に係るスペーサは、内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路に、その開口部から挿入されて配置されるスペーサであって、前記冷却水流路に配置可能な形状に形成された樹脂製のスペーサ本体と、前記スペーサ本体に固着され、当該スペーサ本体を前記冷却水流路の所定位置に位置決めする固定部とを備え、前記固定部は、冷却水と接触することによって圧縮された状態から復元可能なセルロース系スポンジを含んで構成され、前記セルロース系スポンジは、多孔質の素材であり、セルロース分子間が水素結合して圧縮状態に維持され、前記冷却水と接触することによって水分子が前記セルロース分子間の水素結合を解離して前記圧縮状態から復元する特性を有することを特徴とする。
本発明に係るスペーサによれば、当該スペーサを冷却水流路に配置する際、固定部を圧縮状態にしておけば、荷重が作用しない状態で冷却水流路への挿入が可能となる。これによって、スペーサのシリンダブロックに対する組付け性が向上する。そして、セルロース系スポンジで構成される固定部は、冷却水流路に冷却水が流通した際に冷却水に接触して圧縮状態から復元することにより、スペーサ本体を冷却水流路内の所定位置に位置決めする機能を発揮する。さらに、セルロース系スポンジは、加圧した状態で乾燥させるとセルロース分子間が水素結合して圧縮状態に維持される一方、この状態から冷却水に晒されると水分子がセルロース分子間の水素結合を解離して圧縮状態から復元する特性を有する。したがって、バインダー溶液やエマルジョン等を使用せずに固定部を圧縮状態に保つことができるため、固定部の加工工程を簡素化することができ、また、冷却水や環境に対する悪影響も生じる懸念がない。
本発明に係るスペーサにおいて、前記スペーサ本体及び圧縮された状態における前記固定部の厚みの総和は、前記冷却水流路の幅より小さいものとしても良い。
これによれば、当該スペーサを冷却水流路内に挿入する際に、より確実に荷重を受けないようにすることができる。
本発明に係るスペーサにおいて、圧縮された状態から復元した前記固定部の表面が、前記冷却水流路の対向壁面に当接するように設定されているものとしても良い。
これによれば、固定部が冷却水に接触して復元した際は、固定部が冷却水流路の対向壁面に当接するから、当該スペーサが冷却水流路内の所定位置に確実に位置決めされた状態で固定される。
本発明に係るスペーサにおいて、前記固定部は、前記スペーサ本体における前記冷却水流路の両壁面に対向する面のいずれか一方の面に固着され、前記スペーサ本体の前記固定部が固着された面とは反対側の面には、樹脂製の突部が設けられていることを特徴とするものとしても良い。
これによれば、固定部を構成するセルロース系スポンジが冷却水に接触して復元した際、固定部の表面及び突部の端面が冷却水流路の両壁面のそれぞれに当接し易くなる。したがって、当該スペーサを冷却水流路の幅方向の所定の位置に位置決めする機能が的確に発揮される。
本発明に係るスペーサにおいて、前記固定部は、前記スペーサ本体における前記冷却水流路の両壁面に対向する両面に固着されているものとしても良い。
これによれば、固定部を構成するセルロース系スポンジが冷却水に接触して復元した際、スペーサ本体の両面に固着された固定部が冷却水流路の両壁面のそれぞれに当接し易くなる。したがって、当該スペーサを冷却水流路の幅方向の所定の位置に位置決めする機能が的確に発揮される。
本発明に係るスペーサにおいて、前記スペーサ本体は、前記シリンダブロックの気筒を取り囲むように形成され、前記固定部は、当該スペーサ本体にインサート成型で複数固着され、当該複数の固定部のうち少なくとも2つの固定部は、前記気筒の回りの180度対向位置に対称に位置付けられているものとしても良い。
これによれば、固定部を構成するセルロース系スポンジが冷却水に接触して復元した際、180度対向位置の固定部が、冷却水流路のそれぞれの対向壁面に当接し易くなり、固定部に交差する方向における当該スペーサの位置決め機能が的確に発揮される。
本発明に係るスペーサによれば、簡易に作製可能で、冷却水や環境に対して悪影響を及ぼすことがない。
本発明に係るスペーサの一実施形態を示し、内燃機関におけるシリンダブロックのウォータジャケットに挿入した状態を示す概略的平面図である。 図1におけるX−X線矢視部を模式的に示す拡大縦断面図である。 同実施形態のスペーサを内燃機関のウォータジャケットに組付ける過程を模式的に示す図であり、(a)は当該スペーサをウォータジャケットに挿入した状態を示し、(b)はウォータジャケット内に冷却水が流通した時の当該スペーサの状態を示す図である。 本発明に係るスペーサの他の実施形態を示し、当該スペーサをウォータジャケットに挿入しウォータジャケット内に冷却水が流通した時の状態を模式的に示す横断平面図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。 本発明に係るスペーサのさらに他の実施形態を示す図4と同様図である。
以下に本発明の実施の形態について、図1〜図19を参照して説明する。図1〜図3は、本発明に係るスペーサの一実施形態を示し、図1は、同実施形態のスペーサを内燃機関におけるシリンダブロックのウォータジャケットに挿入した状態を示している。図1に示すシリンダブロック1は、3気筒の自動車用エンジン(内燃機関)を構成するものであり、3個のシリンダボア(気筒)2…が隣接状態で直列に連なるように設けられている。1a…は、シリンダヘッド9(図2参照)をシリンダブロック1に合体締結させるためのボルト(不図示)用挿通孔である。3個のシリンダボア2…の周囲には、オープンデッキタイプの溝形状のウォータジャケット(冷却水流路)3が一連に形成されている。シリンダブロック1には、このウォータジャケット3に通じる冷却水(不凍液も含む)導入口4と冷却水排出口5とが設けられている。冷却水排出口5は、不図示のラジエータに配管接続され、ラジエータのアウトレット側は、ウォータポンプ(不図示)を介して冷却水導入口4に配管接続される。これによって、ウォータジャケット3とラジエータとの間で冷却水が循環するように構成される。なお、シリンダヘッド9にもウォータジャケット(不図示)が設けられる場合は、シリンダブロック1のウォータジャケット3と、シリンダヘッド9のウォータジャケットとが連通するよう構成される。この場合は、シリンダブロック1には、前記冷却水排出口5がなくても良く、シリンダヘッド9に冷却水排出口が設けられ、これにラジエータに通じる配管が接続される。
ウォータジャケット3における隣接するシリンダボア2,2間の部分には、互いに接近して対をなすくびれ部3a…が形成されている。くびれ部3a…の溝幅は、ウォータジャケット3の他の円弧部3bの溝幅より大とされている。そして、ウォータジャケット3の両壁面は、シリンダボア2側の内壁面3cと、シリンダボア2とは反対側の内壁面3dとにより構成される。本実施形態のスペーサ6は、図1に示すように、ウォータジャケット3内に、その開口部30から挿入されて配置可能な筒状の形状とされたスペーサ本体7と、このスペーサ本体7に固着された固定部8とを備えている。スペーサ本体7は、剛性を有し、図例では、硬質合成樹脂の成型体からなる。また、本実施形態の固定部8は、冷却水と接触することによって圧縮された状態から復元可能なセルロース系スポンジによって構成されている。セルロース系スポンジとは、パルプ由来のセルロースと、補強繊維として加えられた天然繊維(例えば、綿等)とからなる天然素材である。なお、セルロースは、親水基(OH)を有しており、化学的に水分になじみ易い性質を有する。また、セルロース系スポンジは、多孔質の素材である。セルロース系スポンジは、前記従来例の発泡ゴムのようにバインダーを用いることなく、加圧した状態で乾燥させるとセルロース分子間が水素結合して圧縮状態に維持される一方、この状態から冷却水に晒されると水分子がセルロース分子間の水素結合を解離して圧縮状態から復元する特性を有する。
本実施形態のスペーサ6は、前記スペーサ本体7と、該スペーサ本体7の内面(シリンダボア2側の面)7aであって、ウォータジャケット3の前記円弧部3bに相当する部位に一体とされた前記固定部8…とを備えている。図例では、6個の固定部8…が設けられ、これらの固定部8…は2個ずつ対をなし、これら各対は直列的に連なる3個のシリンダボア2…回りの180度対向位置に対称になるように設けられている。このようなスペーサ6は、以下の要領で製造される。即ち、市場で入手可能な発泡状態のセルロース系スポンジのマット状原材を厚み方向に圧縮して乾燥し、シート状体となす。具体例としては、セルロース系スポンジの原材をプレスローラにて加圧及び加熱することで、シート状となす。そして、セルロース系スポンジのシート状体を所定形状に裁断する一方、スペーサ本体7は、射出成型によって別個に作製する。その後接着剤によって固定部8をスペーサ本体7の所定位置に固着させるか、スペーサ本体7の対応箇所を熱溶融させ、この部位に固定部8を熱溶着させるようにしても良い。或いは、スペーサ本体7と圧縮されたシート状のセルロース系スポンジとをインサート成型によって一体に作製することも可能である。
このようにして得られたスペーサ6は、スペーサ本体7と、スペーサ本体7におけるウォータジャケット3の両壁面3c,3dに対向する面の一方の面である内面7aの前記所定位置に固着一体とされた6個の固定部8…とによって構成される。この場合、固定部8…を構成するセルロース系スポンジは、未だ圧縮前の状態に復元しておらず、スペーサ本体7の内面7aに沿うように固着されている。また、スペーサ本体7及び固定部8の厚みの総和dは、固定部(セルロース系スポンジ)8が圧縮された状態で、ウォータジャケット3の幅Dよりも小さく設定される(図3(a)参照)。そして、スペーサ6は、ウォータジャケット3の開口部30から挿入されてウォータジャケット3内に配置される。この挿入の際には、前記厚みの総和dがウォータジャケット3の幅Dよりも小さくされていることにより、当該スペーサ6の挿入荷重を小さくすることができる。冷却水がウォータジャケット3に冷却水導入口4から導入されてウォータジャケット3内を流通すると、各固定部8のセルロース系スポンジが冷却水に晒され、水分子がセルロース分子間の水素結合を解離して圧縮状態から復元する。この復元によって、固定部8…の表面(スペーサ本体7に固着されている面8bとは反対側の面、以下同様)8a…が、ウォータジャケット3内のシリンダボア壁2a側壁面3cに当接する。図2において、2点鎖線で示す固定部8は、セルロース系スポンジが圧縮された状態を示し、実線で示す固定部8は、セルロース系スポンジが復元した状態を示す。
なお、以下では、ウォータジャケット3の両壁面3c,3dのうち、シリンダボア壁2a側の壁面3cを内側壁面と言い、その反対側の壁面3dを外側壁面と言う。
図2は、スペーサ6がシリンダブロック1のウォータジャケット3内に配置され、シリンダブロック1の上面にシリンダヘッド9が、シリンダブロック1の下面にオイルパン10がそれぞれ一体に締結された状態を示している。さらに、図2は、シリンダボア2とオイルパン10間にピストン11が組み込まれた状態を示している。シリンダヘッド9は、シリンダヘッドガスケット9aを介してウォータジャケット3の開口部30が閉塞されるようにシリンダブロック1に一体に締結される。この締結状態では、シリンダボア2の上側開口部上に燃焼室9bが位置付けられる。シリンダボア2内には、複数(図例では、3個)のピストンリング11a,11b,11cを有するピストン11が、シリンダボア壁2aの内面を摺接してその軸方向に沿って往復動可能に設けられる。このピストン11の往復動は、コンロッド11d及びクランクピン11eを介してクランクシャフト11fの軸回転運動(1点鎖線)に変換される。図2は、ピストン11が上死点にある状態を示している。そして、固定部8は、スペーサ6がウォータジャケット3内に配置された状態で、スペーサ本体7のシリンダボア2側であって、ピストン11が上死点にあるときに最も燃焼室9bに近いピストンリング11aの位置よりウォータジャケット3の深さ方向に沿ってクランクシャフト11f側に位置するように設けられている。
前記のように構成されるエンジン(内燃機関)が作動すると、燃焼室9bによる熱によってシリンダボア壁2aが加熱される。シリンダボア壁2aの温度が高くなり過ぎると、ピストンリング11a,b,cに付着するオイルの粘性が下がり、これによってオイルが流出して、ピストン11の前記シリンダボア2内での前記往復摺接運動が円滑になされなくなる。然るに、ウォータジャケット3内には、前記冷却水が流通しているから、シリンダボア壁2aの過熱が抑制され、前記オイルの流出を抑えて、ピストン11の円滑な往復動が維持される。そして、ウォータジャケット3内には、固定部8を備えたスペーサ6が配置されているから、ウォータジャケット3内を流通する冷却水の流れ(流量、流速等)を堰き止めるよう規制し、シリンダボア壁2aの温度が適正にコントロールされる。特に、固定部8は、スペーサ本体7に対して前記のような位置関係となるように設けられているから、燃焼室9bの近い側では、冷却水の流量が大となり、燃焼室9bに近い側のシリンダボア壁2aの過熱が効果的に抑制される。また、固定部8の存在により、ウォータジャケット3内での冷却水の流通が規制され、オイルパン10側のシリンダボア壁2aの過冷却も抑制される。即ち、シリンダボア壁2aにおいて高温になり易い側の冷却性を上げる一方、シリンダボア壁2aにおいて高温になり難い側の冷却性を下げることができ、シリンダボア壁2aを適正に冷却することができる。
図3(a)(b)は、本実施形態のスペーサ6をウォータジャケット3に組付ける過程を模式的に示している。図3(a)は、前記のように作製されたスペーサ6を、ウォータジャケット3内にその開口部30から挿入して配置した状態を示している。スペーサ本体7及び固定部8の厚みの総和dが、前記のように設定されているから、固定部8がウォータジャケット3の開口部30の縁部や内側壁面3c或いは外側壁面3dに干渉することなく、荷重が作用しない状態でスペーサ6のウォータジャケット3内への挿入が可能とされる。そして、図3(b)に示すように、シリンダブロック1にシリンダヘッド9が締結一体とされ、ウォータジャケット3に冷却水wが流通すると、前記のとおり固定部8を構成するセルロース系スポンジが圧縮状態から復元し、固定部8の表面8aがウォータジャケット3の内側壁面3cに当接する。このように固定部8の表面8aが内側壁面3cに当接した状態では、エンジンの振動や水流によっても、スペーサ6の位置移動が抑制されウォータジャケット3内の所定位置にスペーサ6が安定的に固定される。また、化学薬品等を使用せずに固定部8を圧縮状態に保つことができるため、固定部8の加工工程を簡素化することができる。また、冷却水wや環境に対する悪影響も生じる懸念がなく、しかも、セルロース系スポンジは、天然素材からなるから、安価に入手することができる上に、自然環境に悪影響を及ぼすこともなく、廃棄処理等も焼却等によって容易に行うことができる。さらに、スペーサ本体7と固定部8とは面同士で結合されており、スペーサ本体7に対する固定部8の位置を安定させることができる。因みに、従来のようにバインダーを用いて発泡ゴムを固定する場合は、発泡ゴムの表面がバインダーで被覆されることになり、バインダーがスペーサ本体と発泡ゴムとの界面に存在する。このようなスペーサが冷却水に晒されると、スペーサ本体と発泡ゴムとの界面に介在するバインダーも冷却水に晒されて冷却水に溶け出し、スペーサ本体と発泡ゴムとの接着強度が低下する懸念がある。これに対して、セルロース系スポンジを用いる場合は、このような懸念が生じない。
なお、固定部8の表面8aにゴムシート等の保護材(不図示)を貼着しておけば、スペーサ6をウォータジャケット3内に挿入する際や、エンジンの作動時の振動等があった際にも、固定部8の表面8aの傷付きが防止される。
図4〜図20は、本発明に係るスペーサの他の実施形態を示す。以下、順次説明する。図4〜図14に示すスペーサ6は、スペーサ本体7が、図1に示すように隣接状態で直列に並ぶ3個のシリンダボア2…の回りを取り囲むように筒状に形成されている点で共通する。また、図15〜図20に示すスペーサ6は、スペーサ本体7が筒状ではなくウォータジャケット3内に部分的に配置されるいわゆる部分スペーサである点で共通する。
なお、図4〜図20では、便宜上ウォータジャケット3及びこれに挿入されるスペーサ6のみを図示し、シリンダブロック及びシリンダボア(気筒)の図示は、省略して簡略化している。また、図4〜図20では、固定部8はいずれもセルロース系スポンジが冷却水に接して、復元した状態を示している。
図4に示すスペーサ6においては、スペーサ本体7におけるシリンダボア2…(図1、図2参照、以下同様)の配列方向(長手方向)両端部の内面7a,7aに、一対の固定部8,8が3個のシリンダボア2…回りの180度対向位置に対称になるように固着されている。図4では、固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、一対の固定部8,8の表面8a,8aが、ウォータジャケット3の内側壁面3cに当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ本体7に対して、長手方向(シリンダボア2…の配列方向)に押し広げるような力が作用する。これによって、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。
図5に示すスペーサ6においては、前記内面7aとは反対側の面である外面(シリンダボア2とは、反対側の面)7b,7bに、一対の固定部8,8が3個のシリンダボア2…回りの180度対向位置に対称になるように固着されている。図5では、固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、一対の固定部8,8の表面8a,8aが、ウォータジャケット3の外側壁面3dに当接した状態を示している。このように、一対の固定部8,8がその対向するウォータジャケット3の外側壁面3dに当接することにより、スペーサ本体7に対して、長手方向両端部より圧縮するような力が作用する。これによって、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。
図6に示すスペーサ6においては、スペーサ本体7におけるシリンダボア2…の配列方向両端部のウォータジャケット3の内側壁面3c及び外側壁面3dに対向するスペーサ本体7の内面7a,7a及び外面7b,7bに、各一対の固定部8,8が3個のシリンダボア2…回りの180度対向位置に対称になるように固着されている。スペーサ本体7の両面に固着される固定部8,8は、スペーサ本体7を挟むように位置付けられている。図6では、固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、各一対の固定部8,8の表面8a,8aが、ウォータジャケット3の内側壁面3c及び外側壁面3dに当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ本体7を内外より挟むように位置付けられる固定部8,8が、ウォータジャケット3の内側壁面3c及び外側壁面3dに対して楔状に作用する。これによって、スペーサ6はウォータジャケット3における内側壁面3c及び外側壁面3d間の所定の位置に安定的に固定される。
図7に示すスペーサ6においては、スペーサ本体7の周方向の一箇所でウォータジャケット3の円弧部3bに対応する部位の内外両面7a,7bに固定部8,8がスペーサ本体7を挟むように固着されている。図7では、固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、一対の固定部8,8の表面8a,8aが、ウォータジャケット3の内側壁面3c及び外側壁面3dに当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ本体7を内外より挟むように位置付けられる固定部8,8が、ウォータジャケット3の内側壁面3c及び外側壁面3dに対して楔状に作用する。これによって、スペーサ6がウォータジャケット3における内側壁面3c及び外側壁面3d間の所定の位置に安定的に固定される。
図8に示すスペーサ6においては、スペーサ本体7におけるウォータジャケット3のくびれ部3a…に対応する部分の内面7aにその形状に沿うように4個の固定部8…が固着されている。図8では、各固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、各固定部8…の表面8a…がウォータジャケット3におけるくびれ部3a…の内側壁面3cに当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。特に、ウォータジャケット3のくびれ部3a…に固定部8…が位置することにより、V字状の固定部8…がくびれ部3a…によって拘束され、スペーサ6のウォータジャケット3内での安定的固定が効果的になされる。
図9に示すスペーサ6においては、スペーサ本体7におけるウォータジャケット3のくびれ部3a…に対応する部分の外面7bにその形状に沿うように4個の固定部8…が固着されている。図9では、各固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、各固定部8…の表面8a…が、ウォータジャケット3におけるくびれ部3a…の外側壁面3dに当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。特に、ウォータジャケット3のくびれ部3a…に固定部8…が位置することにより、V字状の固定部8…がくびれ部3a…によって拘束され、スペーサ6のウォータジャケット3内での安定的固定が効果的になされる。
図10に示すスペーサ6においては、スペーサ本体7におけるウォータジャケット3のくびれ部3a…に対応する部分の内外両面7a,7bにその形状に沿うように8個の固定部8…が固着されている。図10では、各固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、各固定部8の表面8aがウォータジャケット3におけるくびれ部3a…の内側壁面3c及び外側壁面3dに当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。特に、各くびれ部3a…に固定部8…がスペーサ本体7を内外両面から挟むように位置することにより、各くびれ部3aにおける一対の固定部8,8の楔的作用とも相俟ってスペーサ6のウォータジャケット3内での安定的固定が効果的になされる。
図11に示すスペーサ6においては、スペーサ本体7における左端のシリンダボア2に対応する部分の外面7bであって、当該シリンダボア2の回りの180度対向位置に対称に一対の固定部8,8が固着されている。図11では、各固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、各固定部8の表面8aが、ウォータジャケット3における円弧部3bの外側壁面3dに当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。
なお、本実施形態の固定部8の配置態様は、1個のシリンダボア2の回りを180度以上の範囲で取り囲む部分スペーサにも適用することができる。
図12に示すスペーサ6においては、スペーサ本体7における、シリンダボア2の配列方向の両端部の外面7b、及び、中央のシリンダボア2に対応する部分の前記配列方向に直交する部分の外面7bに、4個の固定部8…が固着されている。これら4個の固定部8…は、3個のシリンダボア2…の回りの180度対向位置に対称に位置付けられている。図12では、各固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、4個の固定部8…の各表面8aがウォータジャケット3における円弧部3bの外側壁面3dに当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。特に、4個の固定部8…が、スペーサ本体7における3個のシリンダボア2…の回りの180度対向位置の外面7bに対称に位置付けられているから、スペーサ本体7に対して内方に向け均等に圧縮するように作用して、その反力によってスペーサ6の安定的固定が効果的になされる。
図13に示すスペーサ6においては、スペーサ本体7における中央のシリンダボア2に対応する部分であってシリンダボア2…の配列方向に直交する部分の内面7aに、一対の固定部8,8がシリンダボア2…の回りの180度対向位置に対称に固着されている。図13では、各固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、各固定部8の各表面8aがウォータジャケット3における円弧部3bの内側壁面3cに当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。
図14に示すスペーサ6においては、図13に示す例に加えて、スペーサ本体7におけるシリンダボア2の配列方向の両端部の外面7bに、一対の固定部8,8が固着されている。そして都合4個の固定部8…が、シリンダボア2…の回りの180度対向位置に対称に位置付けられている。図14では、各固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、両端部の固定部8,8の表面8a,8aがウォータジャケット3における円弧部3bの内側壁面3cに、中央部の固定部8,8の表面8a,8aが同外側壁面3dにそれぞれ当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。
図15〜図20に示すスペーサ6は、前述のとおりスペーサ本体7が筒状ではなくウォータジャケット3内に部分的に配置されるいわゆる部分スペーサであることを示している。図15に示すスペーサ6においては、スペーサ本体7のシリンダボア2側に向く面である内面7a及びその反対側の面である外面7bのそれぞれの平面視して略中央に、各1個の固定部8が固着されている。図15では、各固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、スペーサ本体7の内外両面7a,7bに固着された固定部8,8の各表面8a,8aが、ウォータジャケット3における円弧部3bの内側壁面3c及び外側壁面3dに、それぞれ当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。
図16に示すスペーサ6においては、図15に示す例と同様のスペーサ本体7に、その周方向の両端部側の内外両面7a,7bに、各一対の固定部8,8が固着されている。図16では、各固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、スペーサ本体7の内外両面7a,7bに固着された各一対の固定部8,8の各表面8a,8aが、ウォータジャケット3における円弧部3bの内側壁面3c及び外側壁面3dに、それぞれ当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。
図17に示すスペーサ6においては、図15に示す例と同様のスペーサ本体7の外面7bに1個の固定部8が固着されている。図17では、各固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、スペーサ本体7の外面7bに固着された固定部8の表面8aが、ウォータジャケット3における円弧部3bの外側壁面3dに当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。この場合、スペーサ本体7の内面7aの曲率とウォータジャケット3の内壁面3cの曲率とを略同じとしておくことが望ましい。これによりスペーサ6がより安定的に固定される。
図18に示すスペーサ6においては、スペーサ本体7の一方の面である外面7bに1個の固定部8が固着され、この固定部8が固着される面7bとは反対側の面である内面7aに右端のシリンダボア2の中心側に向く2個の突部7c,7cが平面視して下駄刃状に設けられている。2個の突部7c,7cの突出高さは、略同じとされている。また、突部7c,7cは、スペーサ本体7の上下方向(ウォータジャケット3の深さ方向)に沿って延びるとともに、スペーサ本体7の上下方向と直交する断面形状が矩形状に形成されている。固定部8はウォータジャケット3の周方向に沿う方向において、2個の突部7c,7cの間に位置している。2個の突部7c,7cのそれぞれは、スペーサ本体7の上下方向と直交する方向において、その幅が、固定部8の幅より小さくなるように形成されている。図18では、固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、スペーサ本体7の外面7bに固着された固定部8の表面8aがウォータジャケット3における円弧部3bの外側壁面3dに当接し、且つ、2個の突部7c,7cの端面7ca,7caが同内側壁面3cに当接した状態を示している。このような状態では、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。
図19に示すスペーサ6においては、スペーサ本体7の一方の面である内面7aに1個の固定部8が固着され、この固定部8が固着される面7aとは反対側の面である外面7bに右端のシリンダボア2の遠心側に向く2個の突部7d,7dが平面視して下駄刃状に設けられている。2個の突部7d,7dの構成は図18の2個の突部7c,7cと同様である。図19では、固定部8を構成するセルロース系スポンジの復元により、スペーサ本体7の内面7aに固着された固定部8の表面8aがウォータジャケット3における円弧部3bの内側壁面3cに当接し、且つ、2個の突部7d,7dの端面7da,7daが同外側壁面3dに当接した状態を示している。このように、固定部8の表面8a及び突部7d,7dの端面7da,7daが対向するウォータジャケット3の内側壁面3c及び外側壁面3dにそれぞれ当接することにより、スペーサ6がウォータジャケット3内の所定の位置に安定的に固定される。
図20に示すスペーサ6においては、図19に示す例の突部7d,7dに代え、1個の突部7eが平面視して固定部8と重なる位置に設けられており、その他の構成は図19に示す例と同様である。つまり、突部7eは、スペーサ本体7又は外面7bに直交する方向において、固定部8と重なる位置に設けられている。この場合、固定部8を構成するセルロース系スポンジが復元したときに生じる復元反力は、スペーサ本体7より突部7eに伝わり易くなり、固定部8及び突部7eの端面7eaがそれぞれウォータジャケット3の内側壁面3c及び外側壁面3dに当接する力が大きくなる。したがって、スペーサ6がウォータジャケット3における内側壁面3c及び外側壁面3d間の所定の位置に安定的に固定される。
図18〜図20に示すスペーサ6は、部分スペーサであるが、固定部8がスペーサ本体7の内面7a及び外面7bのいずれか一方に固着されている場合であっても、突部7c,7d,7eが存在することで、スペーサ本体7がウォータジャケット3の内側壁面3c又は外側壁面3dのいずれかに当接することが回避されている。また、図18〜図20に示すスペーサ6は、固定部8及び突部7c,7d,7eによって、スペーサ本体7を位置決めする構造であるため、スペーサ本体の体積を減らすことができる。さらに、固定部8が固着される面とは反対側の面とウォータジャケット3の内側壁面3c及び外側壁面3dとの間に冷却水が流通する経路を容易に確保することができ、冷却水を循環させる際に生じる抵抗が増大することを抑制できる。なお、図18〜図20に示すスペーサ6における突部7c,7d,7eは、いずれもウォータジャケット3の上下方向に沿って延びるように形成されているものとしたが、これに限らず、例えば、ウォータジャケット3の周方向に沿って延びるように形成されたものでも良い。また、突部7c,7d,7eは、所定の方向に沿って連続的に延びる形状に限らず、部分的に突出するように形成されたものでも良い。
なお、セルロース系スポンジとして、種々の種類のものが挙げられるが、特に限定されない。例えば、気泡の大きさが非常に小さい微粒品、気泡の大きさが小程度の小粒品、気泡の大きさが中程度の中粒品のいずれを用いても良い。具体的には、気泡の大きさ(径)が0.1〜5mm程度のセルロース系スポンジを用いても良い。これらの気泡の大きさはセルロース系スポンジの作製過程で使用される結晶ぼう硝の粒度によって決定される。また、セルロース系スポンジは、セルロースと補強繊維とからなるものに限らず、セルロース単独で構成されるものであっても良い。また、セルロース系スポンジとは、セルロース自体からなるスポンジの他、圧縮状態を保持できる程度にセルロースの水酸基を残したセルロース誘導体、例えば、セルロースエ−テル類、セルロースエステル類等からなるスポンジ、或いは、これらの混合物からなるスポンジのいずれかから選ばれるものであっても良い。
また、スペーサ本体7が合成樹脂の成型体からなる例について述べたが、金属など、セルロース系スポンジより剛性を有するものであれば、他の材料からなるものであっても良い。また、スペーサ本体7に対する固定部8を固着させる位置(周方向の位置、ウォータジャケット3の深さ方向位置)や固定部8の数(周方向の数、ウォータジャケット3の深さ方向の数)は、ウォータジャケット3内におけるスペーサ6の安定性、或いは、ウォータジャケット3内を流通する冷却水の冷却機能等、求められる仕様に応じて適宜変更しても良い。また、図15〜図19に示すいわゆる部分スペーサ6は1個に限らず、固定安定性を勘案して、ウォータジャケット3の周方向の適所に複数配置することも可能である。さらにまた、本発明のスペーサが適用される内燃機関として、3気筒のエンジンを例示したが、これに限らず他の気筒数のエンジンにも適用可能である。また、本発明のスペーサは、クローズドデッキタイプのウォータジャケットを備えたエンジンにも適用可能である。
1 シリンダブロック
2 シリンダボア(気筒)
3 ウォータジャケット(冷却水流路)
3c ウォータジャケットの内側壁面(壁面)
3d ウォータジャケットの外側壁面(壁面)
30 開口部
6 スペーサ
7 スペーサ本体
7a 内面(一方の面、反対側の面)
7b 外面(反対側の面、一方の面)
7c,7d,7e 突部
7ca,7da,7ea 端面
8 固定部
8a 表面(スペーサ本体に固着された面とは反対側の面)
8b スペーサ本体に固着された面
d 圧縮された状態におけるスペーサの厚みの総和
D ウォータジャケット(冷却水流路)の幅
w 冷却水

Claims (6)

  1. 内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路に、その開口部から挿入されて配置されるスペーサであって、
    前記冷却水流路に配置可能な形状に形成された樹脂製のスペーサ本体と、
    前記スペーサ本体に固着され、当該スペーサ本体を前記冷却水流路の所定位置に位置決めする固定部とを備え、
    前記固定部は、冷却水と接触することによって圧縮された状態から復元可能なセルロース系スポンジを含んで構成され
    前記セルロース系スポンジは、多孔質の素材であり、セルロース分子間が水素結合して圧縮状態に維持され、前記冷却水と接触することによって水分子が前記セルロース分子間の水素結合を解離して前記圧縮状態から復元する特性を有することを特徴とするスペーサ。
  2. 請求項1に記載のスペーサにおいて、
    前記スペーサ本体及び圧縮された状態における前記固定部の厚みの総和は、前記冷却水流路の幅より小さいことを特徴とするスペーサ。
  3. 請求項1又は、請求項2に記載のスペーサにおいて、
    圧縮された状態から復元した前記固定部の表面が、前記冷却水流路の対向壁面に当接するように設定されていることを特徴とするスペーサ。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のスペーサにおいて、
    前記固定部は、前記スペーサ本体における前記冷却水流路の両壁面に対向する面のいずれか一方の面に固着され、
    前記スペーサ本体の前記固定部が固着された面とは、反対側の面には、樹脂製の突部が設けられていることを特徴とするスペーサ。
  5. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のスペーサにおいて、
    前記固定部は、前記スペーサ本体における前記冷却水流路の両壁面に対向する両面に固着されていることを特徴とするスペーサ。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のスペーサにおいて、
    前記スペーサ本体は、前記シリンダブロックの気筒を取り囲むように形成され、
    前記固定部は、当該スペーサ本体にインサート成型で複数固着され、当該複数の固定部のうち少なくとも2つの固定部は、前記気筒の回りの180度対向位置に対称に位置付けられていることを特徴とするスペーサ。
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