JP6779593B2 - 電極部材及び電極部材の作製方法 - Google Patents

電極部材及び電極部材の作製方法 Download PDF

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Description

本発明の一態様は、蓄電装置に用いることのできる電極部材及びその作製方法に関する。または、二次電池およびその作製方法に関する。特に、リチウムイオン二次電池の電極に関する。
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
充放電が可能な二次電池としては、ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池などが挙げられる。
これらの二次電池は、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末等に代表される携帯情報端末の電源として多く用いられている。中でも、リチウムイオン二次電池は、高容量、且つ小型化が図れるため開発が盛んに行われている。
リチウムイオン二次電池において、正極あるいは負極として機能する電極としては、リチウム金属、炭素系材料、合金系材料等が検討されている。また、特許文献1には、シリコンを含むウィスカー群を電極に用いるリチウムイオン二次電池が開示されている。
特開2012−18919号
二次電池の電極に用いられる活物質は、充電と放電とを繰り返し行うことによって膨張、収縮が繰り返され、その結果、活物質同士の接点が徐々に減少する場合がある。また膨張、収縮の繰り返しによって集電体と活物質との間で剥がれが生じる恐れもある。このように、活物質の膨張、収縮が繰り返されることにより、二次電池の充放電サイクル特性の劣化が生じてしまう。
本発明の一態様は、二次電池における充放電サイクル特性の劣化を抑制することを課題の一とする。または、負極における活物質の膨張、収縮に伴う不具合の発生を抑制することを課題の一とする。または、新規な電極部材を提供することを課題の一とする。または、新規な蓄電装置を提供することを課題の一とする。または、新規な二次電池を提供することを課題の一とする。
また、フレキシブルで曲げることのできる表示装置や電子機器に二次電池を適用することが望まれている。このとき、可撓性を有する部位(筐体の全部または一部)に二次電池を設け、その部位と共に二次電池を変形させる場合がある。しかしながら二次電池が曲げなどの変形を繰り返されると、二次電池内部の集電体と活物質との間で剥がれが生じ、二次電池の劣化が促進される恐れもある。
本発明の一態様は、電極の変形に伴う劣化を抑制することを課題の一とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様は、集電体と、活物質と、多孔質体と、を備え、多孔質体は、集電体の一表面に接し、且つ、内部に空間を複数有し、活物質は、多孔質体の空間内に位置し、空間の大きさが、活物質よりも大きい、電極部材である。
また、上記空間の大きさが、電気化学反応においてキャリアイオン種が含有しうる最大の組成の状態における活物質の大きさ以上であることが好ましい。
また、上記活物質は、融点が250℃以下の金属または合金を含むことが好ましい。特に、上記活物質は、スズまたはガリウムを含むことが好ましい。
また、上記多孔質体は、炭素繊維と樹脂を含むことが好ましい。また、上記多孔質体は、フレーク状または円盤状の金属粉末を含むことが好ましい。また、当該金属粉末は、銅を含んでいるとよい。
また、本発明の一態様は、上記本発明の一態様の電極部材を備える、二次電池である。
また、本発明の他の一態様は、繊維状の材料と、樹脂と、第1の金属及び第2の金属を含む合金と、を混合してスラリーを作製する第1の工程と、スラリーを集電体上に塗工した後に乾燥させる第2の工程と、合金から、第2の金属を脱離させる処理を行う第3の工程と、を有する、電極部材の作製方法である。
また、第2の金属にアルカリ金属を用い、第3の工程において、アルコールまたは水の少なくとも一方を用いて合金から第2の金属を脱離させることが好ましい。
または、第2の金属に第1の金属よりも標準電極電位が低い材料を用い、第3の工程において、電気化学反応により第2の金属を脱離させることが好ましい。
本発明によれば、二次電池における充放電サイクル特性の劣化を抑制することができる。または、負極における活物質の膨張、収縮に伴う不具合の発生を抑制することができる。または、電極の変形に伴う劣化を抑制することができる。
または、新規な部材を提供することができる。または、新規な電極を提供することができる。または、新規な蓄電装置を提供することができる。または、新規な電池を提供することができる。または、新規な二次電池を提供することができる。なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
実施の形態に係る、電極部材の断面構成例。 実施の形態に係る、電極部材の断面構成例。 実施の形態に係る、電極部材の断面構成例。 実施の形態に係る、電極部材の作製フローの例。 実施の形態に係る、電極部材の作製途中における断面構成例。 実施の形態に係る、電極部材の作製フローの例。 実施の形態に係る、コイン型の二次電池を説明する図。 実施の形態に係る、円筒型の二次電池を説明する図。 実施の形態に係る、薄型の二次電池を説明する図。 実施の形態に係る、薄型の二次電池を説明する図。 実施の形態に係る、薄型の二次電池を説明する図。 実施の形態に係る、角型の二次電池を説明する図。 実施の形態に係る、蓄電装置を説明する図。 実施の形態に係る、蓄電装置を説明する図。 実施の形態に係る、蓄電装置を説明する図。 実施の形態に係る、フレキシブルな二次電池を有する電子機器。 実施の形態に係る、二次電池を有する車両。 実施例に係る、電極部材の断面観察像。 実施の形態に係る、電極部材の作成フローの例。 実施の形態に係る、二次電池の駆動方法を説明する図。 実施の形態に係る、二次電池の充放電曲線の例。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の電極部材の構成例と、その作製方法の例について、図面を参照して説明する。
[構成例]
図1(A)は、本発明の一態様の電極部材100の断面概略図である。
電極部材100は、集電体101と、多孔質体102と、活物質103と、を備える。
多孔質体102は集電体101の一表面に接して設けられ、内部に空間110を複数有する。活物質103は多孔質体102の空間110内に位置している。
図1(B)は、図1(A)中に破線で示す領域Aを拡大した断面概略図である。
多孔質体102は、活物質103同士、または活物質103と集電体101とを結着させる骨格としての機能を有する。多孔質体102としては、導電性を示す導電助剤と樹脂を含むことが好ましい。例えば、複数の繊維状の導電助剤が、樹脂によって結着された構成とすることができる。当該樹脂は、導電助剤同士を結着させる程度の僅かな量であってもよく、導電助剤に対して樹脂の体積比率が小さいことが好ましい。また導電助剤により活物質103同士または活物質103と集電体101の電気的な接続を容易にし、電極の集電を保ちやすくすることができる。
多孔質体102に適用できる樹脂としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF:PolyVinylidene DiFluoride)の他、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等を用いることができる。
多孔質体102に適用できる導電助剤としては、例えば気相成長炭素繊維(VGCF:Vapor−Grown Carbon Fiber)などの繊維状の導電性材料を用いることが好ましい。VGCFの代表値は、繊維径150nm、繊維長10μm以上20μm以下、真密度2g/cm、比表面積13m/gである。なお、繊維径とは、SEMで観察して、二次元的に撮影された画像から繊維軸に対して垂直方向の断面を切断面とし、この切断面に外接する真円の径のことを指す。また、真密度とは、物質自身が占める体積だけを密度算定用の体積とする密度のことを指す。また、比表面積とは、対象物について単位質量あたりの表面積または単位体積あたりの表面積のことである。また、導電助剤として粒状の材料を用いることもできる。粒状の材料としては、代表的には直径3nm以上500nm以下のアセチレンブラックや、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックを用いることができる。
多孔質体102に用いることのできる繊維状の材料は、活物質103同士をつなぐ役目を果たし、電池の劣化を抑制する。また、繊維状の材料は多孔質体102の形状を維持する構造体、或いは緩衝材としても機能する。すなわち、繊維状の材料を用いることで活物質103の膨張、収縮が繰り返されたときや、二次電池を曲げたときなど、形状の変化が生じた場合であっても、集電体101と活物質103との間で剥がれが生じにくくなる。また、繊維状の材料に代えてアセチレンブラックや、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックを用いてもよいが、VGCFを用いると、多孔質体102の形状を維持するための強度を高められるため、より好ましい。多孔質体102の形状を維持するための強度を高めることができると、二次電池の曲げなどの変形による劣化を防止することができる。
多孔質体102は、多孔質体102に含まれる多孔質の材料本来が有する細孔と、細孔よりも大きい空間(空隙、孔隙、または空洞ともいうことができる)110を有する。
本明細書等において、細孔の大きさとは、多孔質の材料が有する複数の細孔の大きさの平均値を指す。例えば、細孔の大きさの指標としては、多孔質の材料が有する複数の細孔において、それぞれの細孔に内接する球の直径の平均値が挙げられる。または、当該細孔に内接する楕円体(球を含む)の体積の平均値が挙げられる。または、多孔質の材料の断面において、細孔に内接する円または楕円の面積の平均値が挙げられる。
また、本明細書等において、多孔質体102が有する空間110とは、多孔質体102に用いる多孔質の材料が有する細孔の大きさよりも大きい孔を指す。例えば、多孔質体102に含まれる孔に内接する球の直径が、多孔質体102に用いる多孔質の材料が有する細孔に内接する球の直径の平均値よりも大きい場合、その孔を空間110ということができる。または、孔に内接する楕円体(球を含む)の体積が、多孔質体102に用いる多孔質の材料が有する細孔に内接する楕円体(球を含む)の体積の平均値よりも大きい場合、その孔を空間110ということができる。または、多孔質体102の断面において、孔に内接する円または楕円の面積が、多孔質体102に用いる多孔質の材料が有する細孔に内接する円または楕円の面積の平均値よりも大きい場合、その孔を空間110ということができる。
活物質103は、多孔質体102が有する空間110の内部に位置する。活物質103は、少なくともその一部が多孔質体102に接している。したがって、活物質103と多孔質体102とは電気的に接続された状態である。
電極部材100は、活物質103の材料を変更することにより、正極または負極のいずれとしても機能させることができる。したがって、活物質103としては、正極に用いることのできる正極活物質、または負極に用いることのできる負極活物質のいずれを用いてもよい。以下では、活物質103として、負極に用いることのできる活物質を適用した場合について説明する。
活物質103としては、キャリアイオンとの合金化、脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な材料を用いることができる。例えば、C、Mg、Ca、Al、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、Hg及びIn等のうちの少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような材料は黒鉛と比べて容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと高い。このため、負極活物質にシリコンを用いることが好ましい。
また、活物質103として、低融点(例えば融点が250℃以下)の金属または合金を含む材料を用いることが好ましい。例えば、ガリウム(Ga)、水銀(Hg)、インジウム(In)、錫(Sn)等の低融点金属、またはこれら低融点金属を含む合金または化合物を用いることができる。例えば、In−Ga合金、In−Sn合金、Ga−Sn合金、In−Ga−Sn合金(ガリスタンともいう)等を用いてもよい。特に、ガリウムを含む材料を用いることが好ましい。
図1(B)に示すように、活物質103は多孔質体102に取り囲まれた構成を有している。したがって、活物質103が電極部材100から脱離してしまうことを抑制できるため、充放電サイクル特性における劣化を効果的に抑制することができる。特に、活物質103として例えば常温において液体であるガリウムを用いた場合であっても、多孔質体102によって活物質103を担持することができる。
空間110の大きさは、活物質103の大きさよりも大きいことが好ましい。より好ましくは空間110の大きさは、電気化学反応において活物質103にキャリアイオン種が含有しうる最大の組成の状態における活物質103の大きさと同等またはそれよりも大きいことが好ましい。または、空間110内において、キャリアイオン種が含有していない状態における活物質103と、多孔質体102との間に隙間が生じる程度の大きさの空間110を多孔質体102が有していることが好ましい。換言すると、空間110内において、キャリアイオン種が含有していない状態における活物質103が、空間110を占有しない、または空間110の周囲の細孔にまで広がって存在しないことが好ましい。
例えば、活物質103としてガリウムを用い、キャリアイオンとしてリチウムを用いた場合、電気化学反応においてリチウムが含有しうる最大の組成の状態は、LiGaとなる。このとき、ガリウムとリチウムの合金化により、その体積はガリウムに比べて約2.42倍に膨張する。そのため、空間110の大きさは、例えば未反応のガリウムの体積よりも大きいことが好ましく、当該ガリウムの体積の2.42倍よりも大きいことがより好ましい。
このような大きさの空間110を設けることで、活物質103がキャリアイオンとの合金化に伴って体積が膨張した場合であっても、多孔質体102と干渉し、多孔質体102が破壊されてしまう恐れがなくなる。そのため、充放電サイクル特性の劣化をより効果的に抑制することができる。
なお、図1(A)、(B)では、多孔質体102が有する複数の空間110において、一つの空間110に一つの活物質103が設けられている場合を示したが、一つの空間110に複数の活物質103が設けられていてもよい。例えば図2(A)には、一つの空間110に2つの活物質103が含まれている例を示している。
なお、図2(B)に示す活物質103aのように、活物質の大きさによっては、空間110内に位置する活物質103よりも大きさの小さい活物質103aが、多孔質体102の有する細孔の一つ、または複数の細孔に渡って位置している場合もある。このように、多孔質体102が有する空間110内に位置する活物質103だけでなく、細孔に位置する活物質103aを有していることで、電極として単位体積当たりの容量を高めることができる。
また、図3(A)に示すように、多孔質体102には、フレーク状または円盤状の金属粉末104を分散させることが好ましい。このような金属粉末104により、活物質103同士、または活物質103と集電体101の電気的な接続を容易にし、電極の集電を保ちやすくすることができる。
ここで、活物質103と金属粉末104の間には、これらの両方に接する合金を有することが好ましい。このとき、当該合金は、金属粉末104に含まれる金属と活物質103に含まれる金属の両方を含む合金であることが好ましい。また、同様に活物質103と集電体101の間には、この両方に接する合金を有することが好ましい。
また、活物質103は集電体101と合金化する材料を用いることが好ましい。このような材料を用いることで、集電体101と活物質103の間に、集電体101に含まれる金属と活物質103に含まれる金属の両方を含む合金を容易に形成することができる。例えば、集電体101と活物質103とを接触させることで、その接触界面近傍を合金化させることが好ましい。また、同様に金属粉末104は活物質103と合金化する材料を用いることで、これらの間に合金を容易に形成できる。
活物質103と集電体101との間に上述のような合金を有することで、集電体101と活物質103との密着性が向上し、活物質103の膨張または収縮が生じる場合や、電極部材100が変形する場合であっても、これらが剥離することを抑制することができる。
図3(B)は、図3(A)中の破線で示した領域Bを拡大した断面概略図である。図3(B)では、活物質103と金属粉末104とが接し、これらの間に合金105が形成されている場合を示している。
また、図3(C)は、図3(A)中の破線で示した領域Cを拡大した断面概略図である。図3(C)では、活物質103と集電体101とが接し、これらの間に合金106が形成されている場合を示している。
このような合金化は、例えばSEM(Scanning Electron Microscope)やSTEM(Scanning Transmission Electron Microscopy)等を用いた断面観察により、コントラストの違いとして観察することができる。また、X線回折(XRD:X−ray Diffraction)、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)などで合金の存在を確認することができる。例えば活物質103としてガリウムを用い、集電体101または金属粉末104として銅を用いた場合には、CuGa等の合金の存在を確認できる。
以上が構成例についての説明である。
[作製方法例1]
以下では、上記構成例で例示した電極部材100の作製方法の一例について説明する。図4は、以下で示す作製方法例に係るフローチャートである。
電極部材100を構成する材料を準備し、秤量する(S11)。ここでは、後の活物質となる第1の金属、第1の金属と合金化する第2の金属のほか、多孔質体102を構成する導電助剤や樹脂、金属粉末104などを秤量しておく。
第1の金属としては、上記活物質103に用いることのできる材料を用いることができる。
第2の金属は、第1の金属と合金化することが可能な金属を用いる。また、後の脱合金化処理により、除去(脱離)させることが容易な材料を用いることが好ましい。例えば第2の金属として、キャリアイオンに用いる金属を適用することもできる。例えば第2の金属として、アルカリ金属などを用いることができる。また例えば、標準電極電位が、第1の金属よりも小さい金属を用いることができる。例えば第1の金属としてガリウムを用いた場合、リチウムなどのキャリアイオンに適用することのできるアルカリ金属、またはガリウムよりも標準電極電位の低いアルミニウム等の金属を用いればよい。
第1の金属と第2の金属の配合比は、形成される合金の体積を考慮して適宜調整することが好ましい。具体的には、第1の金属がキャリアイオンに用いる金属を電気化学反応において最大の組成となるように含有した状態の体積密度に対して、第1の金属と第2の金属の合金の体積密度が同一またはそれ以上となるように、配合比を決定する。また第2の金属として、キャリアイオンに用いる金属を適用する場合には、電気化学反応においてキャリアイオン種の含有量が最大となるような組成に合わせて、第1の金属と第2の金属の配合比を調整する。
続いて、第1の金属と第2の金属を混合し、混練機等を用いて第1の混練を行う(S12)。ここで、混練を容易にするために溶媒などの液体を添加してもよい。また、合金化反応を促進させるために電解液を添加してもよい。例えば第2の金属としてリチウムを用いる場合には、LiPFなどの化合物を用いればよい。
この段階で、第1の金属と第2の金属とを合金化させることができる。
続いて、残存した溶媒や電解液などの有機物などを除去するための洗浄を行い(S13)、混練後の材料を乾燥させる(S14)。
続いて、混練後に乾燥させた材料に対し、多孔質体102を構成する導電助剤や樹脂、金属粉末104などを混合し、混練機等を用いて第2の混練を行い、第1のスラリーを作製する(S15)。このとき溶媒等を添加して、後の塗工の工程に適した粘度に調整することが好ましい。続いて、集電体101上に第1のスラリーを塗工する(S16)。その後、溶媒等を気化させて乾燥させる(S17)。
この段階における断面概略図を図5(A)、(B)に示す。図5(B)は図5(A)の破線で示した領域Dを拡大した断面概略図である。図5(A)、(B)に示すように、この段階では、第1の金属と第2の金属を含む合金113が、多孔質体102の内部に散在しているような形状となる。
続いて、脱合金化処理を行い、第2の金属を除去する(S18)。脱合金化処理としては、第2の金属のみを除去できる処理であれば特に限定されない。
例えば、第2の金属としてアルカリ金属を用いた場合では、アルコールまたは水等に含浸させることで、合金113から第2の金属を除去することができる。例えば第1の金属としてガリウムを用い、第2の金属としてリチウムを用いた場合において、脱合金化処理にアルコール(ROH)を用いた時の反応式(1)と、水を用いた時の反応式(2)とを以下にそれぞれ示す。
また、第2の金属として第1の金属よりも標準電極電位の低い材料を用いた場合には、自発的な電気化学反応を利用して合金113から第2の金属を脱離させることができる。
合金113から第2の金属を脱離、除去させることで、図1等に示すように合金113よりも体積が縮小した活物質103が生成される。同時に、多孔質体102の内部には合金113と同等の体積を有する空間110が複数生成される。その結果、多孔質体102の空間110内に活物質103が配置された構成を有する電極部材100を作製することができる。
なお、第2の金属として、電池のキャリアイオンに用いる金属と同じものを用いる場合には、上記脱合金化処理において、第2の金属を完全に脱離、除去しなくてもよい。活物質103内にキャリアイオンとして機能する第2の金属が残存して含まれる構成として電池を作製することで、電池内のキャリアイオンが予めドープされた(プレドープされたともいう)電池とすることができる。
また、上記乾燥工程(S17)よりも後で脱合金化処理(S18)よりも前に、塗工した層をプレスするプレス工程を設けてもよい。プレス処理を行うことで、多孔質体102の密度が高まり、電極として体積当たりの容量を高めることができる。また、脱合金化処理を施す前にプレスを行うことで、多孔質体102の密度が高まった後でも十分な大きさの空間を多孔質体102の内部に形成することができる。
以上が作製方法例についての説明である。
このように、本発明の一態様の電極部材を作製することができる。そして、本発明の一態様の電極部材を用いて、様々な蓄電装置を構成させることができる。蓄電装置の一例としては、電池、二次電池、リチウムイオン二次電池などがあげられる。さらに、蓄電装置の別の例として、キャパシタに適用することもできる。例えば、本発明の一態様の電極部材を負極に用い、これと電気二重層の正極とを組み合わせて、リチウムイオンキャパシタなどのようなキャパシタを構成することも可能である。
〔変形例〕
以下では、上記作製方法例とは一部が異なる電極部材の作製方法の一例について説明する。なお、上記と重複する部分については説明を省略し、相違点について説明する。以下では、多孔質体102の上層に、多孔質体102と同様の構造を有する被覆層を形成する点で、主に上記と相違している。
図6は、以下で示す作製方法例に係るフローチャートである。
S11乃至S17までは、上記作製方法例を援用できる。
上記とは別に、多孔質体102に用いることのできる材料(例えば導電助剤、樹脂等)を秤量する(S21)。続いて、秤量した材料を混合し、混練機等を用いて混練して第2のスラリーを作製する(S22)。このとき、上記と同様に塗工に適した粘度になるように、溶媒を添加して粘度を調整しておく。なお、当該第2のスラリーには金属粉末104を混合してもよい。
工程S17で乾燥を終えた集電体上に、上記混練を終えた第2のスラリーを塗工する(S31)。その後、溶媒を気化させて乾燥させる(S32)。
最後に、上記と同様の方法により、脱合金化処理を行う(S33)。
このような方法を用いることで、多孔質体102と同様の材料により多孔質体102を被覆する層(被覆層と呼ぶ)を形成することができる。当該被覆層を設けることで、多孔質体102からの活物質103の脱離をより効果的に抑制することができ、その結果、充放電サイクル特性の劣化を効果的に抑制することができる。
なお、脱合金化処理(S33)よりも前に、上述したプレス工程を行い、多孔質体102及び被覆層の密度を高めてもよい。またプレス工程は、乾燥工程(S17)の直後、乾燥工程(S32)の直後のいずれか一方、または両方の段階で行ってもよい。
以上が変形例についての説明である。
[作製方法例2]
以下では、上記作製方法例1とは一部が異なる電極部材の作製方法の一例について説明する。なお、上記と重複する部分については説明を省略する場合がある。特にここでは、作製工程において上記第2の金属を用いない方法について示す。
図19は、以下で示す作製方法例に係るフローチャートである。
まず、電極部材を構成する材料を準備し、秤量する(S41)。ここでは、後の活物質となる第1の金属、多孔質体102を構成する導電助剤や樹脂、金属粉末104等を秤量する。
続いて、第1の金属、多孔質体102を構成する導電助剤や樹脂、金属粉末104等を混合し、混練機等を用いて混練し、スラリーを作製する(S42)。このとき、溶媒等を添加して、後の塗工の工程に適した粘度に調整する。続いて、集電体101上にスラリーを塗工する(S43)。その後、溶媒を気化させるなどして乾燥させる(S44)。
この段階において、図5で例示した断面概略図における合金113が、第1の金属に置き換わった断面構造となる。すなわち、第1の金属が、多孔質体102の内部に散在し、空間110が形成されていないような断面形状となる。
またこの時、スラリーが塗工された集電体101に対して、プレス処理を行うことが好ましい。プレス処理により余分な空隙を低減して体積密度が高められ、電極部材の体積を縮小することができる。
続いて、スラリーが塗工された集電体101内の第1の金属の一部を溶解させる処理(溶解処理)を行う(S45)。
溶解処理は、集電体101や多孔質体102等を溶解しにくく、且つ第1の金属を溶解する液体を用いて行うことが好ましい。例えば、集電体の材料よりもイオン化傾向の大きい材料を含んだ液体を用いる。例えば、希釈した酸などを用いることができる。
例えば、第1の金属としてガリウムを用い、集電体101として銅を用いた場合では、溶解処理に用いる液体として、希釈した塩酸を用いることが好ましい。ここで、ガリウムと塩酸の反応式を以下に示す。
このような液体に、スラリーが塗工された集電体101を含浸させることにより、第1の金属の一部を溶解させることができる。含浸させる時間は、液体の濃度や温度に応じて適切な値に調整すればよい。溶液の濃度を低くし、時間により第1の金属が溶解する量を制御すると制御が容易となるため、第1の金属が溶解する割合のばらつきを抑制できる。例えば、濃度が1Mになるように希釈した塩酸を用い、室温にて13時間から14時間程度含浸させる。
集電体101や多孔質体102を溶解させることなく、第1の金属の一部を溶解させることにより、図1等に示すような多孔質体102と、多孔質体の内部に位置する第1の金属を主成分とした活物質103及び空間110と、を形成することができる。
その後、第1の金属を溶解させる液体を洗浄により除去し、乾燥させることで、電極部材を得ることができる。
このような方法を用いることにより、第2の金属を用いることなく電極部材を作製することができる。例えば第2の金属に用いることのできるアルカリ金属は反応性の高いものもあるため、このような方法を用いることで大気中であっても安全に電極部材を作製することができる。そのため電極部材の作製装置や作製環境を簡略化することができる。
以上が作製方法例2についての説明である。
[充電方法例]
以下では、サイクル特性を向上させる二次電池の充電方法の一例について説明する。
二次電池の充放電におけるサイクル特性を悪化させる一つの要因として、活物質の一部と集電体との電気的な接続が断たれ、活物質の一部が充放電に寄与しなくなる現象が挙げられる。特に、低融点金属材料を活物質に用いた場合においては、液体状態での表面張力が大きいため、電極部材の表面に活物質の一部が球状の形状で析出し、これが充放電に寄与しなくなる場合がある。
例えば、活物質としてガリウムを用い、キャリアイオンとしてリチウムを用いた場合においては、リチウム−ガリウム合金(LiGa)は固体であるため、以下のような不具合が生じる場合がある。例えば合金化反応によってリチウム−ガリウム合金が成長する過程で、隣接する結晶粒の間に存在する未反応のガリウムが、結晶粒の体積膨張によって押し出され、電極部材の表面に析出してしまう場合がある。これを抑制する方法として、リチウム−ガリウム合金を単結晶化させることで粒界を無くすか、反対に結晶粒のサイズを小さくして粒界を増やすことで、ガリウムの析出を抑えることができる。
結晶の形成過程は、まず結晶の種である結晶核が生成し、その結晶核から結晶成長が起こる。したがって、結晶核の数を多くすることにより、結晶粒のサイズを小さくすることができる。一方、結晶核の生成を抑制することで、単結晶に近づけることができる。結晶核の生成数は、例えば電極部材に流れる電流の大きさによって制御することができる。電流を多くするほど生成される結晶核の数を増大させることができる。
ここで、活物質にキャリアイオンを挿入するときを充電時とする。このとき、例えば充電反応の初期段階において、充電レートを例えば0.1C以上、好ましくは0.5C以上、より好ましくは1.0C以上となるように、電流密度を設定することが好ましい。このとき、図20に示すように、充電開始時刻T0から集電体に流す電流密度の制御方法として、上記充電レートである第1の期間T1と、通常使用時の充電レートである第2の期間T2とを設定し、第1の期間では、第2の期間よりも充電レートを高くするような制御方法を用いることが好ましい。
このような充電方法を用いることで、活物質の一部と集電体との電気的な接続が断たれてしまう現象の発生が抑制され、サイクル特性を向上させることができる。
[使用方法例]
以下では、サイクル特性を向上させることのできる、二次電池の使用方法の例について説明する。
活物質とキャリアイオンとの合金化反応により充放電を行う場合において、合金状態が複数存在する場合がある。このとき、組成に応じて電位が変化する場合がある。
図21(A)は、合金状態が複数存在する場合の、充放電曲線の模式図を示している。図中実線は合金化反応を示し、破線は脱合金化反応を示している。
活物質にガリウムを、キャリアイオンにリチウムを用いた場合では、大きく3種類の合金状態が存在する。そしてその反応過程において、充放電曲線には電位が一定な領域が3つみられる(領域A、B、C)。図21に示すように、挿入脱離反応が継続している期間は、電位が一定となる。
領域Aは、GaとLiGaとの間でリチウムの挿入脱離反応が継続している期間に対応する。領域Bは、LiGaとLiGaとの間でリチウムの挿入脱離反応が継続している期間に対応する。領域Cは、LiGaとLiGaとの間でリチウムの挿入脱離反応が継続している期間に対応する。
ここで、低融点材料を用いる場合に、使用温度によっては活物質が液体で存在する場合がある。一方で、活物質とキャリアイオンとが合金化することにより、融点が上昇し、同じ温度においても固体で存在しやすくなる。充放電を繰り返し行う際に、この活物質の液化と固化が繰り返される場合、活物質の形状が安定しないため特性にばらつきが生じてしまう場合がある。
例えば、活物質にガリウムを、キャリアイオンにリチウムを用いた場合では、ガリウム単体では室温で液体であるのに対し、ガリウムとリチウムの合金であるLiGa、LiGa、LiGa等ではガリウム単体よりも融点が高く、室温で固体となる。
そこで、脱合金化反応において、活物質からキャリアイオンを全て脱離させるのではなく、合金の状態を維持した状態で使用することにより、信頼性を向上させ、サイクル特性を向上させることができる。
例えば、図21(B)に示すように、脱合金化反応(破線)において、領域Bの後の電位上昇の途中で反応を停止することにより、集電体からキャリアイオンを完全に脱離させることを抑制できる。具体的には、ガリウム単体の状態となる反応の前に、反応を停止させることができる。このとき、電圧を常時、または一定期間ごとにモニターし、所定の電圧となったときに使用を停止する機構を充放電システムが備えることが好ましい。また、その後の合金化反応では、集電体とキャリアイオンとの反応が終了するまで合金化反応を進めることができる。
このように、複数の合金状態を経て充放電反応が生じる電極部材において、活物質とキャリアイオンの脱離反応時に、完全にキャリアイオンを脱離させないように使用することが好ましい。言い換えると、常に活物質がキャリアイオンとの合金状態を維持したままで使用することが好ましい。このような方法を用いることにより、信頼性の高い二次電池を実現できる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
[コイン型蓄電池]
図7(A)は、コイン型(単層偏平型)の蓄電池の外観図であり、図7(B)は、その断面図である。
コイン型の蓄電池300は、正極端子を兼ねた正極缶301と負極端子を兼ねた負極缶302とが、ポリプロピレン等で形成されたガスケット303で絶縁シールされている。正極304は、正極集電体305と、これと接するように設けられた正極活物質層306により形成される。正極活物質層306は、正極活物質の他、正極活物質の密着性を高めるための結着剤(バインダ)、正極活物質層の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。導電助剤としては、導電助剤としては比表面積が大きい材料が望ましく、アセチレンブラック(AB)等を用いることができる。また、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンといった炭素材料を用いることもできる。なお、グラフェンは薄片状であり、高い導電性を有するという優れた電気特性、及び柔軟性並びに機械的強度という優れた物理特性を有する。そのため、グラフェンを、導電助剤として用いることにより、活物質同士の接触点や、接触面積を増大させることができる。なお、本明細書において、グラフェンは、単層のグラフェン、又は2層以上100層以下の多層グラフェンを含む。単層グラフェンとは、π結合を有する1原子層の炭素分子のシートのことをいう。
また、負極307は、負極集電体308と、これに接するように設けられた負極活物質層309により形成される。負極活物質層309は、実施の形態1で例示した活物質103、多孔質体102等を含んで構成される。負極活物質層309は、負極活物質の密着性を高めるための結着剤(バインダ)、負極活物質層の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。正極活物質層306と負極活物質層309との間には、セパレータ310と、電解質(図示せず)とを有する。
負極活物質層309に用いる負極活物質としては、実施の形態1に示した材料(例えばガリウム)を用いる。負極集電体308として例えば銅を用い、銅とガリウムを合金化させる。合金化によって、集電体と活物質(ガリウム)との間の密着性が向上し、膨張または収縮による劣化を防止、または二次電池の曲げなどの変形による劣化を防止することができる。また負極活物質層309に含まれる多孔質体により、負極活物質を集電体表面上に確実に保持できるため、二次電池の特性劣化を抑制できる。
また、正極集電体305や負極集電体308などの集電体としては、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属、及びこれらの合金など、導電性の高く、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料を用いることができる。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。また、集電体は、箔状、板状(シート状)、網状、円柱状、コイル状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。集電体は、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
正極活物質層306に用いる正極活物質としては、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結晶構造、またはスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等がある。正極活物質として、例えばLiFeO、LiCoO、LiNiO、LiMn、V、Cr、MnO等の化合物を用いる。
または、複合材料(一般式LiMPO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMPOの代表例としては、LiFePO、LiNiPO、LiCoPO、LiMnPO、LiFeNiPO、LiFeCoPO、LiFeMnPO、LiNiCoPO、LiNiMnPO(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFeNiCoPO、LiFeNiMnPO、LiNiCoMnPO(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFeNiCoMnPO(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
または、一般式Li(2−j)MSiO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等の複合材料を用いることができる。一般式Li(2−j)MSiOの代表例としては、Li(2−j)FeSiO、Li(2−j)NiSiO、Li(2−j)CoSiO、Li(2−j)MnSiO、Li(2−j)FeNiSiO、Li(2−j)FeCoSiO、Li(2−j)FeMnSiO、Li(2−j)NiCoSiO、Li(2−j)NiMnSiO(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2−j)FeNiCoSiO、Li(2−j)FeNiMnSiO、Li(2−j)NiCoMnSiO(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li(2−j)FeNiCoMnSiO(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
また、正極活物質として、A(XO(A=Li、Na、Mg、M=Fe、Mn、Ti、V、Nb、Al、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナシコン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe(MnO、Fe(SO、LiFe(PO等がある。また、正極活物質として、LiMPOF、LiMP、LiMO(M=Fe、Mn)の一般式で表される化合物、NaFeF、FeF等のペロブスカイト型フッ化物、TiS、MoS等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO等の逆スピネル型の結晶構造を有する酸化物、バナジウム酸化物系(V、V13、LiV等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を用いることができる。
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、またはアルミニウムイオンの場合、正極活物質として、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、またはマグネシウム等)を用いてもよい。
セパレータ310は、セルロース(紙)、または空孔が設けられたポリプロピレン、ポリエチレン等の絶縁体を用いることができる。
電解液は、電解質として、キャリアイオンを有する材料を用いる。電解質の代表例としては、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等のリチウム塩がある。これらの電解質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、またはアルカリ土類金属イオンの場合、電解質として、上記リチウム塩において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、またはマグネシウム等)を用いてもよい。
また、電解液の溶媒としては、キャリアイオンが移動可能な材料を用いる。電解液の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等があり、これらの一つまたは複数を用いることができる。また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安全性が高まる。また、蓄電池の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、フッ素系ポリマー等がある。また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つまたは複数用いることで、蓄電池の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、蓄電池の破裂や発火などを防ぐことができる。なお、イオン液体は、流動状態にある塩であり、イオン移動度(伝導度)が高い。また、イオン液体は、カチオンとアニオンとを含む。イオン液体としては、エチルメチルイミダゾリウム(EMI)カチオンを含むイオン液体、またはN−メチル−N−プロピルピペリジニウム(PP13)カチオンを含むイオン液体などがある。
また、電解液の代わりに、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質や、PEO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いることができる。固体電解質を用いる場合には、セパレータやスペーサの設置が不要となる。また、電池全体を固体化できるため、漏液のおそれがなくなり安全性が飛躍的に向上する。
正極缶301、負極缶302には、電解液に対して耐腐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆することが好ましい。正極缶301は正極304と、負極缶302は負極307とそれぞれ電気的に接続する。なお、金属からなる正極缶301や、金属からなる負極缶302を使用する代わりに、樹脂材料を含む外装体を用いれば、可撓性を有するコイン型の蓄電池300も実現できる。ただし、樹脂材料を含む外装体を用いる場合、外部に接続を行う部分は導電材料とする。
これら負極307、正極304及びセパレータ310を電解質に含浸させ、図7(B)に示すように、正極缶301を下にして正極304、セパレータ310、負極307、負極缶302をこの順で積層し、正極缶301と負極缶302とをガスケット303を介して圧着してコイン型の蓄電池300を製造する。
ここで図7(C)を用いてバッテリーの充電時の電流の流れを説明する。リチウムを用いたバッテリーを一つの閉回路とみなした時、リチウムイオンの動きと電流の流れは同じ向きになる。なお、リチウムを用いたバッテリーでは、充電と放電でアノード(陽極)とカソード(陰極)が入れ替わり、酸化反応と還元反応とが入れ替わることになるため、反応電位が高い電極を正極と呼び、反応電位が低い電極を負極と呼ぶ。したがって、本明細書においては、充電中であっても、放電中であっても、逆パルス電流を流す場合であっても、充電電流を流す場合であっても、正極は「正極」または「+極(プラス極)」と呼び、負極は「負極」または「−極(マイナス極)」と呼ぶこととする。酸化反応や還元反応に関連したアノード(陽極)やカソード(陰極)という用語を用いると、充電時と放電時とでは、逆になってしまい、混乱を招く可能性がある。したがって、アノード(陽極)やカソード(陰極)という用語は、本明細書においては用いないこととする。仮にアノード(陽極)やカソード(陰極)という用語を用いる場合には、充電時か放電時かを明記し、正極(プラス極)と負極(マイナス極)のどちらに対応するものかも併記することとする。
図7(C)に示す蓄電池400は、正極402、負極404、電解液406、セパレータ408を有する。図7(C)に示す2つの端子には充電器が接続され、蓄電池400が充電される。蓄電池400の充電が進めば、電極間の電位差は大きくなる。図7(C)では、蓄電池400の外部の端子から、正極402の方へ流れ、蓄電池400の中において、正極402から負極404の方へ流れ、負極から蓄電池400の外部の端子の方へ流れる電流の向きを正の向きとしている。つまり、充電電流の流れる向きを電流の向きとしている。
[円筒型蓄電池]
次に、円筒型の蓄電池の一例について、図8を参照して説明する。円筒型の蓄電池600は図8(A)に示すように、上面に正極キャップ(電池蓋)601を有し、側面及び底面に電池缶(外装缶)602を有している。これら正極キャップと電池缶(外装缶)602とは、ガスケット(絶縁パッキン)610によって絶縁されている。
図8(B)は、円筒型の蓄電池の断面を模式的に示した図である。中空円柱状の電池缶602の内側には、帯状の正極604と負極606とがセパレータ605を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に捲回されている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶602には、電解液に対して耐腐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆することが好ましい。電池缶602の内側において、正極、負極及びセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板608、609により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶602の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。非水電解液は、コイン型の蓄電池と同様のものを用いることができる。なお、金属からなる電池缶602を使用する代わりに樹脂材料を含む外装体を用いれば、可撓性を有する円筒型の蓄電池も実現できる。ただし、樹脂材料を含む外装体を用いる場合、外部に接続を行う部分は導電材料とする。
正極604及び負極606は、上述したコイン型の蓄電池の正極及び負極と同様に製造すればよいが、円筒型の蓄電池に用いる正極及び負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成する点において異なる。正極604には正極端子(正極集電リード)603が接続され、負極606には負極端子(負極集電リード)607が接続される。正極端子603及び負極端子607は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子603は安全弁機構612に、負極端子607は電池缶602の底にそれぞれ抵抗溶接される。安全弁機構612は、PTC素子(Positive Temperature Coefficient)611を介して正極キャップ601と電気的に接続されている。安全弁機構612は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ601と正極604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子611は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO)系半導体セラミックス等を用いることができる。
[薄型蓄電池]
次に、薄型の蓄電池の一例について、図9(A)を参照して説明する。薄型の蓄電池は、可撓性を有する構成とすれば、可撓性を有する部位を少なくとも一部有する電子機器に実装すれば、電子機器の変形に合わせて蓄電池も曲げることもできる。
図9(A)に示す薄型の蓄電池500は、正極集電体501および正極活物質層502を有する正極503と、負極集電体504および負極活物質層505を有する負極506と、セパレータ507と、電解液508と、外装体509と、を有する。外装体509内に設けられた正極503と負極506との間にセパレータ507が設置されている。また、外装体509内は、電解液508で満たされている。
図9(A)に示す薄型の蓄電池500において、正極集電体501および負極集電体504は、外部との電気的接触を得る端子の役割も兼ねている。そのため、正極集電体501および負極集電体504の一部は、外装体509から外側に露出するように配置してもよい。また、正極集電体501および負極集電体504を、外装体509から外側に露出させず、リード電極を用いてそのリード電極と正極集電体501、或いは負極集電体504と超音波接合させてリード電極の一部を外側に露出するようにしてもよい。
薄型の蓄電池500において、外装体509には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のフィルムを用いることができる。例えば、樹脂膜と金属膜の積層を含むフィルムを用いればよい。少なくとも樹脂膜と金属薄膜の積層を含むフィルムは、高い水分バリア性を有し、軽量であり、放熱性にも優れているため、携帯する電子機器の蓄電池に適している。
また、薄型の蓄電池500の断面構造の一例を図9(B)に示す。図9(A)では簡略のため、2つの集電体、即ち一対の電極層で構成する例を示しているが、実際は、3つ以上の電極層で構成する。
図9(B)では、一例として、電極層数を16としている。なお、電極層数を16としても蓄電池500は、可撓性を有する。図9(B)では負極集電体504が8層と、正極集電体501が8層の合計16層の構造を示している。なお、図9(B)は負極の取り出し部の断面を示しており、8層の負極集電体504を超音波接合させている。例えば、超音波溶接機を用いて複数の電極層に対して超音波接合を行い、電気的に接続させる。また、超音波接合などの溶接に限定されず、ボルト止めにより集電体同士の電気的接続を行ってもよい。勿論、電極層数は16に限定されず、多くてもよいし、少なくてもよい。電極層数が多い場合には、より多くの容量を有する蓄電池とすることができる。また、電極層数が少ない場合には、薄型化でき、可撓性に優れた蓄電池とすることができる。
またセパレータ507を袋状に加工し、正極503または負極506のいずれか一方を包むように配置することが好ましい。例えば、図10(A)に示すように、正極503を挟むようにセパレータ507を2つ折りにし、正極503と重なる領域よりも外側で封止部510により封止することで、正極503をセパレータ507内に確実に担持することができる。そして、図10(B)に示すように、セパレータ507に包まれた正極503と負極506とを交互に積層し、これらを外装体509内に配置することで薄型の蓄電池500を形成するとよい。
なお、本実施の形態では、蓄電池として、コイン型、薄型及び円筒型の蓄電池を示したが、その他の封止型蓄電池、角型蓄電池等の様々な形状の蓄電池を用いることができる。また、正極、負極、及びセパレータが複数積層された構造、正極、負極、及びセパレータが捲回された構造であってもよい。
本実施の形態で示す蓄電池300、蓄電池500、蓄電池600の負極には、本発明の一態様に係る負極活物質層が用いられている。そのため、蓄電池300、蓄電池500、蓄電池600の放電容量を高めることができる。
薄型の蓄電池は図9に限定されず、他の例を図11に示す。図11(A)に示す捲回体993は、負極994と、正極995と、セパレータ996と、を有する。
捲回体993は、セパレータ996を挟んで負極994と、正極995とが重なり合って積層され、該積層シートを捲回したものである。この捲回体993を角型の封止容器などで覆うことにより角型の二次電池が作製される。
なお、負極994、正極995及びセパレータ996からなる積層の積層数は、必要な容量と素子体積に応じて適宜設計すればよい。負極994はリード電極997及びリード電極998の一方を介して負極集電体(図示せず)に接続され、正極995はリード電極997及びリード電極998の他方を介して正極集電体(図示せず)に接続される。
図11(B)及び(C)に示す蓄電装置980は、フィルム981と、凹部を有するフィルム982とを熱圧着などにより貼り合わせて形成される空間に上述した捲回体993を収納したものである。捲回体993は、リード電極997及びリード電極998を有し、フィルム981と、凹部を有するフィルム982との内部で電解液に含浸される。
フィルム981と、凹部を有するフィルム982は、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。フィルム981及び凹部を有するフィルム982の材料として樹脂材料を用いれば、外部から力が加わったときにフィルム981と、凹部を有するフィルム982を変形させることができ、可撓性を有する蓄電池を作製することができる。外部から力が加わったときにフィルム981及び凹部を有するフィルム982を変形させる場合においても集電体の一部を合金化させることによって集電体と接する活物質層との高い密着性が実現できる。
また、図11(B)及び(C)では2枚のフィルムを用いる例を示しているが、1枚のフィルムを折り曲げることによって空間を形成し、その空間に上述した捲回体993を収納してもよい。
また、薄型の蓄電池のみが可撓性を有する蓄電装置ではなく、外装体や、封止容器を樹脂材料などにすることによって可撓性を有する蓄電装置を作製することができる。ただし、外装体や、封止容器を樹脂材料にする場合、外部に接続を行う部分は導電材料とする。
例えば、可撓性を有する角型蓄電池の例を図12に示す。図12(A)の捲回体993は、図11(A)に示したものと同一であるため、詳細な説明は省略することとする。
図12(B)及び(C)に示す蓄電装置990は、外装体991の内部に上述した捲回体993を収納したものである。捲回体993は、リード電極997及びリード電極998を有し、外装体991、992の内部で電解液に含浸される。外装体991、992は、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。外装体991、992の材料として樹脂材料を用いれば、外部から力が加わったときに外装体991、992を変形させることができ、可撓性を有する角型蓄電池を作製することができる。外部から力が加わったときに外装体991、992を変形させる場合においても集電体の一部を合金化させることによって集電体と接する活物質層との高い密着性が実現できる。
また、蓄電装置(蓄電体)の構造例について、図13、図14、図15を用いて説明する。
図13(A)及び図13(B)は、蓄電装置の外観図を示す図である。蓄電装置は、回路基板900と、蓄電体913と、を有する。蓄電体913には、ラベル910が貼られている。さらに、図13(B)に示すように、蓄電装置は、端子951と、端子952と、を有し、ラベル910の裏にアンテナ914と、アンテナ915と、を有する。
回路基板900は、端子911と、回路912と、を有する。端子911は、端子951、端子952、アンテナ914、アンテナ915、及び回路912に接続される。なお、端子911を複数設けて、複数の端子911のそれぞれを、制御信号入力端子、電源端子などとしてもよい。
回路912は、回路基板900の裏面に設けられていてもよい。なお、アンテナ914及びアンテナ915は、コイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。また、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。又は、アンテナ914若しくはアンテナ915は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能することができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体として、アンテナ914若しくはアンテナ915を機能させてもよい。これにより、電磁界、磁界だけでなく、電界で電力のやり取りを行うこともできる。
アンテナ914の線幅は、アンテナ915の線幅よりも大きいことが好ましい。これにより、アンテナ914により受電する電力量を大きくできる。
蓄電装置は、アンテナ914及びアンテナ915と、蓄電体913との間に層916を有する。層916は、例えば蓄電体913による電磁界を遮蔽することができる機能を有する。層916としては、例えば磁性体を用いることができる。
なお、蓄電装置の構造は、図13に限定されない。
例えば、図14(A−1)及び図14(A−2)に示すように、図13(A)及び図13(B)に示す蓄電体913のうち、対向する一対の面のそれぞれにアンテナを設けてもよい。図14(A−1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図14(A−2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図13(A)及び図13(B)に示す蓄電装置と同じ部分については、図13(A)及び図13(B)に示す蓄電装置の説明を適宜援用できる。
図14(A−1)に示すように、蓄電体913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914が設けられ、図14(A−2)に示すように、蓄電体913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ915が設けられる。層917は、例えば蓄電体913による電磁界を遮蔽することができる機能を有する。層917としては、例えば磁性体を用いることができる。
上記構造にすることにより、アンテナ914及びアンテナ915の両方のサイズを大きくすることができる。
又は、図14(B−1)及び図14(B−2)に示すように、図13(A)及び図13(B)に示す蓄電体913のうち、対向する一対の面のそれぞれに別のアンテナを設けてもよい。図14(B−1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図14(B−2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図13(A)及び図13(B)に示す蓄電装置と同じ部分については、図13(A)及び図13(B)に示す蓄電装置の説明を適宜援用できる。
図14(B−1)に示すように、蓄電体913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914及びアンテナ915が設けられ、図14(B−2)に示すように、蓄電体913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ918が設けられる。アンテナ918は、例えば、外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ918には、例えばアンテナ914及びアンテナ915に適用可能な形状のアンテナを適用することができる。アンテナ918を介した蓄電装置と外部機器との通信方式としては、NFCなど、蓄電装置と外部機器の間で用いることができる応答方式などを適用することができる。
又は、図15(A)に示すように、図13(A)及び図13(B)に示す蓄電体913に表示装置920を設けてもよい。表示装置920は、端子919を介して端子911に電気的に接続される。なお、表示装置920が設けられる部分にラベル910を設けなくてもよい。なお、図13(A)及び図13(B)に示す蓄電装置と同じ部分については、図13(A)及び図13(B)に示す蓄電装置の説明を適宜援用できる。
表示装置920には、例えば充電中であるか否かを示す画像、蓄電量を示す画像などを表示してもよい。表示装置920としては、例えば電子ペーパー、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペーパーを用いることにより表示装置920の消費電力を低減することができる。
又は、図15(B)に示すように、図13(A)及び図13(B)に示す蓄電体913にセンサ921を設けてもよい。センサ921は、端子922を介して端子911に電気的に接続される。なお、センサ921は、ラベル910の裏側に設けられてもよい。なお、図13(A)及び図13(B)に示す蓄電装置と同じ部分については、図13(A)及び図13(B)に示す蓄電装置の説明を適宜援用できる。
センサ921としては、例えば、力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むものを用いることができる。センサ921を設けることにより、例えば、蓄電装置が置かれている環境を示すデータ(温度など)を検出し、回路912内のメモリに記憶しておくこともできる。
また、図9、図11、及び図12に示した可撓性を有する蓄電池を電子機器に実装する例を図16に示す。フレキシブルな形状を備える蓄電装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
また、フレキシブルな形状を備える蓄電装置を、家屋やビルの内壁または外壁や、自動車の内装または外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
図16(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、蓄電装置7407を有している。
図16(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機7400を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている蓄電装置7407も湾曲される。また、その時、曲げられた蓄電装置7407の状態を図16(C)に示す。蓄電装置7407は薄型の蓄電池である。蓄電装置7407は曲げられた状態で固定されている。なお、蓄電装置7407は集電体7409と電気的に接続されたリード電極7408を有している。例えば、集電体7409は銅箔であり、一部ガリウムと合金化させて、集電体7409と接する活物質層との密着性を向上し、蓄電装置7407が曲げられた状態での信頼性が高い構成となっている。
図16(D)は、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び蓄電装置7104を備える。また、図16(E)に曲げられた蓄電装置7104の状態を示す。蓄電装置7104は曲げられた状態で使用者の腕への装着時に、筐体が変形して蓄電装置7104の一部または全部の曲率が変化する。なお、曲線の任意の点における曲がり具合を相当する円の半径の値で表したものを曲率半径であり、曲率半径の逆数を曲率と呼ぶ。具体的には、曲率半径Rが40mm以上150mm以下の範囲内で筐体または蓄電装置7104の主表面の一部または全部が変化する。蓄電装置7104の主表面における曲率半径Rが40mm以上150mm以下の範囲であれば、高い信頼性を維持できる。なお、蓄電装置7104は集電体7106と電気的に接続されたリード電極7105を有している。例えば、集電体7106は銅箔であり、一部ガリウムと合金化させて、集電体7106と接する活物質層との密着性を向上し、蓄電装置7104が曲率を変化させて曲げられる回数が多くとも高い信頼性を維持できる構成となっている。
図16(F)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7200は、筐体7201、表示部7202、バンド7203、バックル7204、操作ボタン7205、入出力端子7206などを備える。
携帯情報端末7200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
表示部7202はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部7202はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部7202に表示されたアイコン7207に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
操作ボタン7205は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、携帯情報端末7200に組み込まれたオペレーションシステムにより、操作ボタン7205の機能を自由に設定することもできる。
また、携帯情報端末7200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。
また、携帯情報端末7200は入出力端子7206を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7206を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7206を介さずに無線給電により行ってもよい。
携帯情報端末7200の表示部7202には、本発明の一態様の電極部材を備える蓄電装置を有している。例えば、図16(E)に示した蓄電装置7104を、筐体7201の内部に湾曲した状態で、またはバンド7203の内部に湾曲可能な状態で組み込むことができる。
また、蓄電池を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、又はプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる。
図17において、本発明の一態様を用いた車両を例示する。図17(A)に示す自動車8100は、走行のための動力源として電気モーター8106を用いる電気自動車である。または、走行のための動力源として電気モーター8106とエンジンを適宜選択して用いることが可能なハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離の長い車両を実現することができる。また、自動車8100は蓄電装置を有する。蓄電装置は電気モーター8106を駆動するだけでなく、ヘッドライト8101やルームライト(図示せず)などの発光装置に電力を供給することができる。
また、蓄電装置は、自動車8100が有するスピードメーター、タコメーターなどの表示装置に電力を供給することができる。また、蓄電装置は、自動車8100が有するナビゲーションゲーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
図17(B)に示す自動車8200は、自動車8200が有する蓄電装置にプラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。図17(B)に、地上設置型の充電装置8021から自動車8200に搭載された蓄電装置に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充電方法やコネクタの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給により自動車8200に搭載された蓄電装置8024を充電することができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、2台の車両どうしで電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太陽電池を設け、停車時や走行時に蓄電装置の充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
本発明の一態様によれば、蓄電装置のサイクル特性が良好となり、信頼性を向上させることができる。また、本発明の一態様によれば、蓄電装置の特性を向上することができ、よって、蓄電装置自体を小型軽量化することができる。蓄電装置自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与するため、航続距離を向上させることができる。また、車両に搭載した蓄電装置を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施例では、本発明の一態様の電極部材を作製し、断面観察を行った。
[試料の作製]
粉末状のガリウム及びリチウムを、ガリウムとリチウムのモル比が1:2となるように秤量した。続いてこれにLiPFを濃度が1Mとなるように加えたプロピレンカーボネート(PC)を準備した。その後、これらを混合し乳鉢にて1時間混練した後に24時間静置させた。その後、LiPFとPCを除去するため、溶媒としてジメチルカーボネート(DMC)を用いて洗浄した後に、室温で1時間保持し乾燥させた。
続いて、VGCFとPVDFとを、LiGa:VGCF:PVDFの重量比が90:5:5となるように混合し、さらにNMP(N−メチルピロリドン)を添加し、乳鉢にて約30分間混練してスラリーを作製した。
続いて、当該スラリーを集電体である銅箔上に塗工し、ベルジャー内で50℃に保持して約2時間減圧乾燥を行った。
なお、以上の工程は全て不活性ガス(具体的にはアルゴン)雰囲気下にて行った。
その後、スラリーを塗工した集電体をプロパノール(CO)に含浸させた後、水(HO)を反応が終了するまで徐々に滴下し、Liの脱離を行った。
その後、集電体を25℃で2時間保持して乾燥させた後、100℃で10時間保持した。
以上の工程により、電極部材を得た。
[断面観察]
作製した電極部材について、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて断面観察を行った。
図18(A)、(B)は、それぞれ電極部材の異なる領域における断面観察像である。
図18(A)に示す断面観察像では、VGCFがPVDFによって架橋され、無数の細孔を有する多孔質体が集電体である銅箔(Cu)上に形成されていることが確認できる。また、当該多孔質体には、細孔よりも大きな空間が多数形成されていることが確認できる。また当該空間内には概略球形の形状のガリウム(Ga)が位置していることが分かる。ガリウムは極めて融点の低い材料であり、またその高い表面張力によって球形の形状となりやすいことが推察される。
図18(B)に示す上記とは他の領域における断面観察像では、主に2つのガリウムの断面が観察されている。いずれのガリウムも、多孔質体が有する空間内に位置し、多孔質体の一部に接して設けられていることが確認できる。なお、図18において、左側に観察されているガリウムの表面が合金化している様子が観察されているが、これは断面観察のための試料の加工時に集電体である銅箔に含まれる銅と合金化したものと推察される。
以上の結果から、本実施例で作製した電極部材は、多孔質体内部に形成された空間内に、空間の内壁に接してガリウムが位置していることが確認できた。また多孔質体の空間の大きさが、ガリウムよりも大きいことが確認できた。
100 電極部材
101 集電体
102 多孔質体
103 活物質
103a 活物質
104 金属粉末
105 合金
106 合金
110 空間
113 合金
300 蓄電池
301 正極缶
302 負極缶
303 ガスケット
304 正極
305 正極集電体
306 正極活物質層
307 負極
308 負極集電体
309 負極活物質層
310 セパレータ
400 蓄電池
402 正極
404 負極
406 電解液
408 セパレータ
500 蓄電池
501 正極集電体
502 正極活物質層
503 正極
504 負極集電体
505 負極活物質層
506 負極
507 セパレータ
508 電解液
509 外装体
510 封止部
600 蓄電池
601 正極キャップ
602 電池缶
603 正極端子
604 正極
605 セパレータ
606 負極
607 負極端子
608 絶縁板
609 絶縁板
611 PTC素子
612 安全弁機構
900 回路基板
910 ラベル
911 端子
912 回路
913 蓄電体
914 アンテナ
915 アンテナ
916 層
917 層
918 アンテナ
919 端子
920 表示装置
921 センサ
922 端子
951 端子
952 端子
980 蓄電装置
981 フィルム
982 フィルム
990 蓄電装置
991 外装体
992 外装体
993 捲回体
994 負極
995 正極
996 セパレータ
997 リード電極
998 リード電極
7100 携帯表示装置
7101 筐体
7102 表示部
7103 操作ボタン
7104 蓄電装置
7105 リード電極
7106 集電体
7200 携帯情報端末
7201 筐体
7202 表示部
7203 バンド
7204 バックル
7205 操作ボタン
7206 入出力端子
7207 アイコン
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7407 蓄電装置
7408 リード電極
7409 集電体
8021 充電装置
8022 ケーブル
8024 蓄電装置
8100 自動車
8101 ヘッドライト
8106 電気モーター
8200 自動車

Claims (7)

  1. 集電体と、正極活物質と、多孔質体と、を備え、
    前記多孔質体は、前記集電体の一表面に接し、且つ、内部に空間及び金属粉末を有し、
    前記正極活物質は、前記多孔質体の前記空間内に位置する領域を有し、
    前記正極活物質は、前記金属粉末と接する領域を有し、
    前記正極活物質は、粒状の形状を有し、
    前記金属粉末は、フレーク状または円盤状の形状を有する電極部材。
  2. 請求項1において、
    前記空間の大きさが、電気化学反応においてキャリアイオン種が含有しうる最大の組成の状態における前記正極活物質の大きさ以上である電極部材。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記正極活物質は、融点が250℃以下の金属または合金を含む電極部材。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    前記多孔質体は、炭素繊維と樹脂を含む電極部材。
  5. 第1の金属と、第2の金属と、電解液と、を混合し、前記第1の金属及び前記第2の金属の合金を含む第1の材料を作製する第1の工程と、
    前記第1の材料から前記電解液を除去し、乾燥させ、第2の材料を作製する第2の工程と、
    前記第2の材料と、繊維状の材料と、樹脂と、金属粉末と、を混合してスラリーを作製する第3の工程と、
    前記スラリーを集電体上に塗工した後に乾燥させる第4の工程と、
    前記合金から、前記第2の金属を脱離させる処理を行う第5の工程と、を有し、
    前記第2の金属は、アルカリ金属であり、
    前記第1の金属は、前記第2の金属と合金化することが可能な金属である電極部材の作製方法。
  6. 請求項5において、
    前記第5の工程において、アルコールまたは水の少なくとも一方を用いて、前記合金から前記第2の金属を脱離させる電極部材の作製方法。
  7. 請求項5において、
    前記第2の金属に前記第1の金属よりも標準電極電位が低い材料を用い、
    前記第5の工程において、電気化学反応により、前記合金から前記第2の金属を脱離させる電極部材の作製方法。
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