JP6776195B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、保護機能を搭載した半導体駆動装置を用いた電力変換装置に関する。
インバータをはじめとする電力変換装置は、半導体パワーモジュール(以下、「モジュール」と略記することがある)のスイッチング動作によって電力変換を実現している。その半導体パワーモジュールにおける半導体スイッチング素子の代表例として、MOSFETやIGBTをはじめとする電圧駆動型半導体素子が広く用いられている。特に、高速のスイッチングが可能で大電力を制御できるIGBTは、家電用の小容量インバータから鉄道用等の大容量インバータまで幅広い分野で使われている。
半導体パワーモジュールでは、一般的に、半導体スイッチング素子とダイオードの逆並列接続回路(「アーム」と称する)が使用される。アームを、正極端子と交流端子の間に接続したものを上アーム、交流端子と負極端子の間に接続したものを下アームと称する。一組の上アームと下アームによって、一相分の交流電力を出力することができる。したがって三相交流を出力するためには3組の上下アームが必要となる。
このような半導体スイッチング素子を制御するためには、半導体スイッチング素子に駆動信号を与える半導体駆動装置が必要となる。一般に、電圧駆動型の半導体スイッチング素子のための半導体駆動装置は、半導体スイッチング素子のゲートに電圧を印加することにより、半導体スイッチング素子の導通状態(オン状態)を制御する機能を有する。
半導体スイッチング素子をインバータなどに使う場合には、アーム短絡や負荷短絡による素子破損を防止するために、短絡保護機能を有することが多い。アーム短絡とは、上下アームの半導体スイッチング素子が同時にオンしてしまい、電源のプラスとマイナスが短絡する現象である。また、負荷短絡は、インバータなどに接続された負荷が短絡し、オンしている半導体スイッチング素子を介して電源のプラスとマイナスが短絡される現象である。これらの短絡が起きると、半導体スイッチング素子には過大な電流が流れ半導体スイッチング素子が破壊に至る。
このような短絡は、短絡が発生した際の半導体パワーモジュールの導通状態によって、一般にTypeI〜TypeIIIの3つの短絡モードに分類される(非特許文献1)。
TypeI短絡は、自アーム素子がターンオンする際に短絡が生じるものである。一例としてインバータの上下アームを考えると、自アームがターンオフ中に対アーム素子が破壊して導通状態のままとなり、その状態で自アームがターンオンする状況で発生する。TypeI短絡時には、短絡によって自アームのコレクタ電流はIGBTの飽和電流まで増加し、一方で、コレクタ−エミッタ間電圧は、主回路の寄生インダクタンスと主電流の増加率の積によって発生する起電圧で変動する。この時、帰還容量を介してコレクタからゲートに変位電流が流れる。このため、ゲート電圧は一時的に電源電圧程度まで上昇する。
TypeII短絡では、自アームのIGBTがゲートオン状態にあり、コレクタ電流が流れている期間に、オフ中の対アーム素子が突然破壊して短絡する場合がある。このTypeII短絡では、ゲートオン状態で短絡するため、その電流変化率は素子特性で制限されるTypeI短絡よりも大きく、主回路の寄生インダクタンスによって制限されている。
その結果、コレクタ電流は急激に増大し、TypeI短絡よりも激しい短絡となる。さらにTypeII短絡では、コレクタ−エミッタ間電圧が急激に増加するため、帰還容量を介してゲートに変位電流が流入することでゲート電圧が上昇し、飽和電流はさらに増加する。
TypeIII短絡では、TypeII短絡と同様に、自アームのIGBTのゲートがオンしている状態で短絡するモードであるが、IGBTに逆並列接続されたダイオードが導通している状態で短絡する点がTypeII短絡と異なる。
一例として、自アームのダイオードが還流電流を流しており、かつ自アームのIGBTのゲートがオンしている状態で、オフ中の対アームが突然破壊して短絡する場合がある。この場合も、ゲートオン状態で短絡するため、その電流変化率はTypeII短絡と同様に大きくなり、激しい短絡となる。
対アーム素子の破壊や誤点弧によって短絡が発生した場合に、自アーム素子を二次被害から保護するために、半導体駆動装置には短絡保護回路を設けることが望ましい。一般に短絡保護回路は、半導体スイッチング素子の電流や電圧を観測して、それらが予め決められた値を超えた場合に、半導体スイッチング素子の電流を制限または遮断する措置を講ずることによって半導体スイッチング素子を保護するものである。
過電流保護回路においては、半導体パワーモジュールにおける半導体スイッチング素子に流れる電流を検出する電流検出手段が必要である。
一般に、電気鉄道等で用いる高電圧のインバータに短絡検出手段を用いる場合には、ノイズによる誤検知、すなわち短絡していないのに短絡したものと誤って検知してインバータを停止させてしまう事象が発生することがある。このような事象を回避するため、一般に、ローパスフィルタによるスイッチング時に発生する高周波ノイズ除去や、ハイパスフィルタによる低周波ノイズ除去が行われる。また、スイッチング動作のターンオン時に発生するリカバリ電流による誤検知を避けるために、過電流保護回路は、フィルタリング時間を設けて、即ち短絡が一定期間継続したことを検出して、保護動作を開始する機能を持つ。
ところで、電力変換装置は、例えば電気鉄道車両では車両床下の限られた空間に、電気自動車ではボンネット内の限られた空間に、他の機器と一緒に設置されるため、その半導体パワーモジュールの小型化が要求されている。半導体パワーモジュールを小型化すると、主電流が流れる主端子、半導体駆動装置を接続する制御端子、過電流などの異常状態を検知するための電圧信号を出力する検出端子を構成する導体や、端子間やこれら端子と半導体スイッチング素子間を接続するための配線導体が近接配置される。そのため、これら端子(導体)および配線導体に流れる主電流により発生する磁束が、各端子および各配線導体の相互間で、影響を及ぼし合う。
これに対し、特許文献1においては、上述したような磁束の影響に対応するために、各端子および各配線導体の相互間に発生する相互インダクタンスを考慮して半導体スイッチング素子に流れる電流を検出する技術が開示されている。
特開2016−66974号公報
上述のように半導体パワーモジュールの小型化のために、いわゆる2in1構成を有するモジュールがある。2in1とは、1個の半導体パワーモジュールがIGBT(またはパワーMOSFETなど)とダイオードの逆並列回路からなるアームを2個備えており、2個のアームがモジュール内において直列接続され、一組の上下アーム直列回路を構成している。特許文献1によれば、上アームのエミッタ信号端子と上アームのエミッタ主端子間の配線に発生する電圧を検出することによって、上アームに流れる電流を検出することができる。また、下アームのエミッタ信号端子と下アームのエミッタ主端子間の配線に発生する電圧を検出することによって、下アームに流れる電流を検出することができる。
図1に、一般的な2in1モジュールを用いた半導体パワーモジュールの主回路の等価回路図を示す。図1では、モジュール内の配線(導体)間で作用する相互インダクタンスを模式的に表している。図1に示すように、IGBTとダイオードの逆並列回路からなる上アーム10と下アーム20が直列に接続されている。上アーム10のゲート信号端子Gに不図示の半導体駆動装置からゲート電圧が供給され、下アーム20のゲート信号端子Gに不図示の半導体駆動装置からゲート電圧が供給される。
上アーム10と下アーム20からなる半導体パワーモジュールは、正極端子Pと上アーム10のコレクタとの間の配線導体の自己インダクタンスL1、上アーム10のエミッタ信号端子Sと上アーム10と下アーム20の接続中点との間の配線導体の自己インダクタンスL2を有する。また、上アーム10と下アーム20の接続中点と下アーム20のコレクタとの間の自己インダクタンスL3、下アーム20のエミッタ信号端子Sと負極端子Nとの間の配線導体の自己インダクタンスL4を有する。さらに、上アーム10と下アーム20の接続中点と交流端子ACとの間の配線導体の自己インダクタンスL5を有する。
上記のような2in1モジュールにおいては、例えば負極端子Nと下アーム20のエミッタ信号端子S間の配線に発生する電圧は、配線導体の自己インダクタンスL4の他に、L1−L4間相互インダクタンスM14、L2−L4間相互インダクタンスM24、L3−L4間相互インダクタンスM34、L4−L5間相互インダクタンスM45の影響を受ける。また、上アーム10の電流変化率dI/dt、下アーム20の電流変化率dI/dt、及び交流端子ACの配線の電流変化率dIAC/dtとしたとき、自己インダクタンスL4に発生する電圧VL4は、VL4=(M14+M24)・dI/dt+(L4+M34)・dI/dt+M45・dIAC/dtと表すことができる。
短絡時やスイッチング動作のターンオン・ターンオフ時には、上アーム10と下アーム20に変化率が逆向きで、同じ大きさ(変化率)の電流変化が生じ、dIAC=0、dI/dt=dI/dtとなるため、VL4=(M14+M24+M34+L4)・dI(又はdI)/dtである。上アーム10のエミッタ側配線に発生する電圧VL2も同様に、VL2=(M12+M23+M24+L2)・dI(又はdI)/dtとなる。相互インダクタンスを加味した、配線導体に発生する実効的なインダクタンス値は、事前の計算や測定によって求められ定数として扱うことができる。したがって、短絡やスイッチング動作のターンオン・ターンオフの事象においては、配線に発生する電圧を測定することで各アームの電流変化率dI/dtを検出することができ、さらに検出したdI/dtの積分によって電流を検出することができる。
しかしながら、2in1モジュール内の片側のアームのみに電流が流れる導通状態、もしくは還流状態においては、交流端子ACの配線導体の電流変化率と電流が流れるアームの電流変化率が等しい一方、電流が流れないアームにおいては電流変化率dI/dtはゼロとなる。例として上アーム10に並列に負荷インダクタンスを接続してダブルパルス・スイッチングを実施した際の主回路の等価回路と電流波形の模式図を、図2及び図3に示す。
図2は、半導体パワーモジュールの上アーム10に並列に負荷インダクタンスL6を接続した場合の主回路の等価回路を示す。また、図3は、図2の等価回路における上アーム10及び下アーム20の電流波形を示す。
図2に示すように、正極端子Pと交流端子ACに負荷インダクタンスL6が接続されている。また、図3において、下アーム指令の時間変化(1)、下アームゲート電圧の時間変化(2)、上アーム電流の時間変化(3)、下アーム電流の時間変化(4)を示している。例えば、図3の(1)に示すように、下アーム20にターンオン指令及びターンオフ指令を半導体駆動装置に入力すると、半導体駆動装置から図3の(2)に示すようなゲート電圧がゲート信号端子Gに供給される。ターンオン指令の所定時間後に閾値電圧Vth以上となり、ターンオフ指令の所定時間後に閾値電圧Vth以下となる。なお、ここでは、都合により下アーム20に対する指令及びゲート電圧のみ説明している。
このような状況、例えば下アーム20のみ導通もしくは還流している状態では、下アーム20のエミッタ側配線に発生する電圧VL4は、VL4=(L4+M34+M45)・dI/dtとなる(図3の(4))。また下アーム20に電流が流れておらず、上アーム10のみ導通もしくは還流している状態では、VL4=(M14+M24+M45)・dI/dtとなり、自アームに電流が流れていなくても電圧が発生することがわかる。そして、このとき上アーム10及び下アーム20それぞれにI/dt及びdI/dtが小さく変化している(図3の(3),(4))。上記のように自アームのみが導通もしくは還流している状態(モード1)と、対アームのみが導通もしくは還流している状態(モード2)と、短絡もしくはターンオン・ターンオフ(モード3)の3つの動作モードで配線に作用する実効的なインダクタンス値がそれぞれ異なる。
導通中や還流中の電流も含めて正確に電流を検出するためには、上記3つの動作モードそれぞれの実効的なインダクタンス値に対応した電流検出回路が必要になるが、部品点数の増加と回路構成が複雑化するという問題がある。
また、自アームまたは対アームの導通中もしくは還流中の影響を排除するために、電流検出回路の動作期間をゲートがオンする前後だけに限定するという対策も考えられるが、それでは導通中や還流中の対アーム破壊によって発生するTypeII短絡やTypeIII短絡に対応することができない。
本発明は、上述した状況に鑑みて創案されたものであり、2in1モジュールを構成する半導体スイッチング素子に流れる電流を精度良く検出できる短絡保護機能を有する半導体駆動装置を用いた電力変換装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の電力変換装置の一態様は、半導体パワーモジュールと、半導体パワーモジュールを駆動する半導体駆動装置と、を備える。
半導体パワーモジュールは、一対の直流端子となる第1の主端子および第2の主端子と、第1の主電極および第2の主電極を有し、第1の主電極が第1の主端子と電気的に接続される第1の半導体スイッチング素子と、第3の主電極および第4の主電極を有し、第4の主電極が第2の主端子と電気的に接続される第2の半導体スイッチング素子と、を備える。また、半導体パワーモジュールは、電気的に直列に接続された第1の半導体スイッチング素子の第2の主電極と第2の半導体スイッチング素子の第3の主電極との接続点に電気的に接続される交流端子を備える。さらに、半導体パワーモジュールは、第2の主電極の電位を検出する第1の信号端子と、第1の半導体スイッチング素子と第2の半導体スイッチング素子の接続点の電位を検出する第2の信号端子と、第4の主電極の電位を検出する第3の信号端子と、第2の主端子の電位を検出する第4の信号端子と、を備える。
また、半導体駆動装置は、第1の半導体駆動装置と第2の半導体駆動装置から構成される。第1の半導体駆動装置は、第1の半導体スイッチング素子にゲート駆動信号を供給する第1のゲート電圧制御回路と、第2の信号端子で検出された第1の検出電圧が所定値未満であるときにゼロ値を出力し、第1の検出電圧が所定値を超えるときに当該第1の検出電圧を出力する第1のフィルタと、第1のフィルタの出力を積分した出力値を出力する第1の積分回路と、を備え、第1の積分回路の出力に基づいて、第1の半導体スイッチング素子の過電流保護を行う。
同様に、第2の半導体駆動装置は、第2の半導体スイッチング素子にゲート駆動信号を供給する第2のゲート電圧制御回路と、第4の信号端子で検出された第2の検出電圧が所定値未満であるときにゼロ値を出力し、第2の検出電圧が所定値を超えるときに当該第2の検出電圧を出力する第2のフィルタと、第2のフィルタの出力を積分した出力値を出力する第3の積分回路と、を備え、第3の積分回路の出力に基づいて、第2の半導体スイッチング素子の過電流保護を行う。
本発明の少なくとも一態様によれば、2in1モジュールの短絡電流やスイッチング電流を精度良く検出することができ、それゆえ、確実に短絡電流を遮断することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
一般的な2in1モジュールを用いた半導体パワーモジュールの主回路の等価回路図である。 半導体パワーモジュールの上アームに並列に負荷インダクタンスを接続した場合の主回路の等価回路図である。 図2の等価回路における上アーム及び下アームの電流波形を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体パワーモジュールと半導体駆動装置の基本構成例を示すブロック図である。 第2の信号端子と第1の積分回路の間にフィルタを設けていない場合(従来例)における、半導体パワーモジュールの電流検出信号を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体パワーモジュールの電流検出信号を示す説明図である。 第2の信号端子と第1の積分回路の間にハイパスフィルタを設けた場合(比較例)における、半導体パワーモジュールの電流検出信号を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の具体例を示す等価回路図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の具体例の変形例を示す等価回路図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の他の具体例を示す等価回路図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成例を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の具体例を示す等価回路図である。 本発明の第3の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成例を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の具体例を示す等価回路図である。 ゲート電圧低減時のゲート電圧の時間変化の例を示す模式波形図である。 ゲート電圧低減時のアーム電流の時間変化の例を示す模式波形図である。 本発明の第4の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成例を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の具体例を示す等価回路図である。 本発明の第5の実施形態に係る電力変換装置の基本構成例を示す回路図である。
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。説明は下記の順序で行う。添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
1.第1の実施形態(低レベルの検出電圧をカットするフィルタを備える例)
2.第2の実施形態(ゲート電圧比較回路と時定数切替回路を備える例)
3.第3の実施形態(ゲート電圧低減回路を備える例)
4.第4の実施形態(ゲート電圧調整回路としてツェナー・ダイオードを用いた例)
5.第5の実施形態(半導体駆動装置を電力変換装置に適用した例)
<1.第1の実施形態>
[電力変換装置の機能構成]
図4は、本発明の第1の実施形態に係る2in1構成の半導体パワーモジュールと半導体駆動装置の(短絡保護機能の)基本構成例を示すブロック図である。なお、第1の実施形態では、半導体スイッチング素子としてIGBTを例にとって説明するが、それに限定されるものではなく、その他一般の半導体スイッチング素子にも適用できるものである。
図4に示す半導体パワーモジュールは、直列に接続された上アーム10と下アーム20による上下アームで構成されている。上アーム10(パワー半導体素子の例)は、第1の半導体スイッチング素子であるIGBT11とダイオード12の逆並列回路からなり、下アーム20(パワー半導体素子の例)は、第2の半導体スイッチング素子であるIGBT21とダイオード22の逆並列回路からなる。上アーム10と下アーム20からなる半導体パワーモジュールは、正極端子として第1の主端子1、負極端子として第2の主端子2、及び交流端子3を有する。
IGBT11は、第1の主電極13(コレクタ)および第2の主電極14(エミッタ)を有し、第1の主電極13が第1の主端子1と電気的に接続される。また、IGBT21は、第3の主電極23(コレクタ)および第4の主電極24(エミッタ)を有し、第4の主電極24が第2の主端子2と電気的に接続される。IGBT11とIGBT21は、第2の主電極14と第3の主電極23とが導体によって電気的に接続されることにより、直列に接続される。交流端子3は、IGBT11とIGBT21の直列接続点に電気的に接続される。
また、IGBT11に関して、第1のゲート信号端子4、第2の主電極14の電位を検出するエミッタ信号端子としての第1の信号端子5、及び配線寄生インダクタンスと半導体パワーモジュールに流れる電流の変化率に応じて出力される第1の検出電圧(交流端子3の電位)を検出する第2の信号端子6を備える。また、IGBT21に関して、第2のゲート信号端子7、第4の主電極24の電位を検出するエミッタ信号端子として第3の信号端子8、及び配線寄生インダクタンスと半導体パワーモジュールに流れる電流の変化率に応じて出力される第2の検出電圧(第2の主端子2の電位)を検出する第4の信号端子9を備える。第1の信号端子5と第3の信号端子8は接地されている。
上アーム10と下アーム20からなる半導体パワーモジュールは、第1の主端子1と上アーム10のコレクタとの間の配線導体の自己インダクタンスL1、上アーム10のエミッタ信号端子Sと上アーム10と下アーム20の接続中点との間の配線導体の自己インダクタンスL2を有する。また、上アーム10と下アーム20の接続中点と下アーム20のコレクタとの間の自己インダクタンスL3、下アーム20のエミッタ信号端子Sと第2の主端子2との間の配線導体の自己インダクタンスL4を有する。さらに、上アーム10と下アーム20の接続中点と交流端子3との間の配線導体の自己インダクタンスL5を有する。
上アーム10の第1のゲート信号端子4に第1の半導体駆動装置30からゲート駆動信号(ゲート電圧)が供給され、下アーム20の第2のゲート信号端子7に第2の半導体駆動装置50からゲート駆動信号(ゲート電圧)が供給される。
(第1の半導体駆動装置)
第1の半導体駆動装置30は、第1のゲート駆動指令部31、第1のゲート電圧制御回路32、第1のフィルタ33、第1の積分回路34、第1のスイッチ35、第1の出力比較回路36、第2の積分回路37、及び第1の遮断指令部38を備える。
第1のゲート駆動指令部31は、上位の論理部から入力される駆動指令入力信号SINに基づいて、第1のゲート電圧制御回路32に駆動指令を出力する。
第1のゲート電圧制御回路32は、第1のゲート駆動指令部31から入力された駆動指令に基づいて、IGBT11にゲート駆動信号(ゲート電圧)を供給する。
第1のフィルタ33は、第2の信号端子6と電気的に接続されている。第1のフィルタ33は、第2の信号端子6に発生する微小な信号を除去するために、所定値より絶対値が小さい第1の検出電圧をフィルタリングする。即ち、第1のフィルタ33は、第1の信号端子5と第2の信号端子6との間に出力された第1の検出電圧が第1の所定値未満であるときにゼロ値を第1の積分回路34に出力し、第1の検出電圧が第1の所定値以上であるのときに第1の検出電圧を第1の積分回路34に出力する。本実施形態では、第1のフィルタ33は、短絡やターンオン・ターンオフ時以外に第2の信号端子6で検出された電位(第1の検出電圧)が所定値以上であるか否かを判定する。
第1の積分回路34は、第1のフィルタ33を通過した信号を積分してIGBT11のコレクターエミッタ間に流れる電流を検出する。
第1のスイッチ35は、所定の期間中のみ第1の積分回路34を動作させ、それ以外の期間は第1の積分回路34の出力値をリセットする。例えば第1のスイッチ35は、短絡やターンオン・ターンオフ時以外では第1の積分回路34の出力をリセットしてゼロ値に保つ。
第1の出力比較回路36は、第1の積分回路34の出力が所定の値より大きくなると、IGBT11が過電流状態であると判定し、判定結果に応じた信号を第2の積分回路37に出力する。
第2の積分回路37は、第1の出力比較回路36から出力された信号を積分し、IGBT11が過電流状態である期間を検出する。第2の積分回路37は、積分結果を第1の遮断指令部38に出力する。第2の積分回路37を設けることにより過電流状態の判定精度が上がるが、第2の積分回路37がなくても過電流保護機能を実現することは可能である。
第1の遮断指令部38は、第2の積分回路37の出力値によってIGBT11が短絡状態であると判定された場合に電流遮断指令を出力する。
(第2の半導体駆動装置)
第2の半導体駆動装置50は、第2のゲート駆動指令部51、第2のゲート電圧制御回路52、第2のフィルタ53、第3の積分回路54、第2のスイッチ55、第2の出力比較回路56、第4の積分回路57、及び第2の遮断指令部58を備える。これら第2のゲート駆動指令部51、第2のゲート電圧制御回路52、第2のフィルタ53、第3の積分回路54、第2のスイッチ55、第2の出力比較回路56、第4の積分回路57、及び第2の遮断指令部58は、第1の半導体駆動装置30の各部と同様の機能を有している。
第2のゲート駆動指令部51は、上位の論理部から入力される駆動指令入力信号SINに基づいて、第2のゲート電圧制御回路52に駆動指令を出力する。なお、この第2のゲート駆動指令部51に入力される駆動指令入力信号SINは、第1のゲート駆動指令部31の駆動指令入力信号SINとは独立した異なる信号である。
第2のゲート電圧制御回路52は、第2のゲート駆動指令部51から入力された駆動指令に基づいて、IGBT11にゲート駆動信号(ゲート電圧)を供給する。
第2のフィルタ53は、第4の信号端子9と電気的に接続されている。第2のフィルタ53は、第4の信号端子9に発生する微小な信号を除去するために、所定値より絶対値が小さい第2の検出電圧をフィルタリングする。即ち、第2のフィルタ53は、第3の信号端子8と第4の信号端子9との間に出力された第2の検出電圧が第2の所定値未満であるときにゼロ値を第3の積分回路54に出力し、第2の検出電圧が第2の所定値以上であるときに第2の検出電圧を第3の積分回路54に出力する。本実施形態では、第2のフィルタ53は、短絡やターンオン・ターンオフ時以外に第4の信号端子9で検出された電位(第2の検出電圧)が所定値以上であるか否かを判定する。第1の所定値と第2の所定値は同じとしてもよい。
第3の積分回路54は、第2のフィルタ53を通過した信号を積分してIGBT21のコレクターエミッタ間に流れる電流を検出する。
第2のスイッチ55は、所定の期間中のみ第3の積分回路54を動作させ、それ以外の期間は第3の積分回路54の出力値をリセットする。例えば第2のスイッチ55は、短絡やターンオン・ターンオフ時以外では第3の積分回路54の出力をリセットしてゼロ値に保つ。第2のスイッチ55のリセット期間の定義は、第1のスイッチ35と同様である。
第2の出力比較回路56は、第3の積分回路54の出力が所定の値より大きくなると、IGBT21が過電流状態であると判定し、判定結果に応じた信号を第4の積分回路57に出力する。
第4の積分回路57は、第2の出力比較回路56から出力された信号を積分し、IGBT21が過電流状態である期間を検出する。第4の積分回路57は、積分結果を第2の遮断指令部58に出力する。第2の積分回路37と同様に、第4の積分回路57を設けることにより過電流状態の判定精度が上がるが、第4の積分回路57がなくても過電流保護機能を実現することは可能である。
第2の遮断指令部58は、第4の積分回路57の出力値によってIGBT21が短絡状態であると判定された場合に電流遮断指令を出力する。
なお、本発明に係る半導体駆動装置は、基本構成要素であるIGBT(半導体スイッチング素子)が並列に多数個存在する場合(一例として図19参照)にも適用できることは勿論である。
[半導体駆動装置の動作]
次に、第1の半導体駆動装置30及び第2の半導体駆動装置50の動作を説明する。第1の半導体駆動装置30及び第2の半導体駆動装置50の動作は基本的に同じであるため、以下では第1の半導体駆動装置30の動作を中心に説明する。
上位の論理部から第1の半導体駆動装置30の第1のゲート駆動指令部31に駆動指令入力信号SINが入力されると、第1のゲート駆動指令部31は、IGBT11を好適に駆動するための信号を処理する。その結果に基づき、第1のゲート電圧制御回路32は、IGBT11の第1のゲート信号端子4にゲート駆動信号としての電圧を印加し、半導体パワーモジュールの動作を制御する。
また、上位の論理部から第2の半導体駆動装置50の第2のゲート駆動指令部51に駆動指令入力信号SINが入力されると、第2のゲート駆動指令部51は、IGBT21を好適に駆動するための信号を処理する。その結果に基づき、第2のゲート電圧制御回路52は、IGBT21の第2のゲート信号端子7にゲート駆動信号としての電圧を印加し、半導体パワーモジュールの動作を制御する。
ここで、仮にIGBT11がオンのときにIGBT21が破壊し、短絡状態(TypeII短絡)が発生したと仮定する。このとき、IGBT11のコレクタ−エミッタ間に流れるアーム電流I(コレクタ電流)は増加し、アーム電流Iは過電流状態となる。また、IGBT11の主電流が流れる導体の自己インダクタンスと近接した導体との間に発生する相互インダクタンスの値と、アーム電流Iの増加率とに応じて、第2の信号端子6に第1の検出電圧が発生する。
短絡時の電流増加率は大きく第1の検出電圧は十分大きいため、第1の検出電圧は第1のフィルタ33を通過して第1の積分回路34に入力され、第1の積分回路34の出力からアーム電流Iの電流値を検出することができる。なお、このとき第1の積分回路34の出力をリセットする第1のスイッチ35の機能はオフ状態であるため、アーム電流Iを検出できなくなる懸念は無い。
さらに、第1の積分回路34の出力値を第1の出力比較回路36に入力することによって過電流状態の判定が行われ、過電流状態である場合に第1の出力比較回路36から第2の積分回路37へ信号が出力される。またその後、第1の出力比較回路36の出力を第2の積分回路37により積分し、積分値が所定値に到達した場合、即ち過電流状態が所定の期間継続された場合のみ第2の積分回路37から第1の遮断指令部38へ信号が出力される。そして、第1の遮断指令部38から第1のゲート電圧制御回路32に遮断指令が出力される。
このように過電流状態が所定の期間継続された場合のみ遮断指令が出力されるため、ノイズ等による誤遮断のリスクが低減される。このとき第2の積分回路37は時間フィルタとしての機能を持つ。過電流状態が一定期間継続すると、第1の遮断指令部38から第1のゲート電圧制御回路32にアーム電流Iを緩やかに低減して遮断する指令が出され、第1の半導体駆動装置30は電流を安全に遮断することができる。
次に、通常のスイッチング動作時の第1の検出電圧について説明する。例として上アーム10(IGBT11)のターンオンの動作に着目する。
自アーム(上アーム10)のゲートがオフしている期間は対アーム(下アーム20)で電流が還流しており、還流電流は寄生抵抗などにより緩やかに減少している。ここで対アーム側の配線導体と自アームの配線導体が近接しており、対アームの配線導体による相互インダクタンスが無視できないほど大きい。そのため、自アームに電流が流れていない状況であっても、対アームを流れる電流の変化率と対アーム側の配線導体との相互インダクタンスに応じて、IGBT11の第2の信号端子6に微小な検出電圧が発生する。
次に、自アーム(上アーム10)のゲートがオンしてターンオンしている最中は、自アームの配線導体、対アーム(下アーム20)の配線導体ともに同じ方向かつ同じ大きさの電流変化が生じており、電流変化率は大きいため。そのため、第2の信号端子6に配線導体の自己インダクタンスと、自アームの配線導体と対アームの配線導体の相互インダクタンスに応じた大きな検出電圧が発生する。
次に、自アーム(上アーム10)のターンオンが完了し、自アームの導通状態になると導通電流の変化率と、配線の自己インダクタンスと、自アーム配線導体の相互インダクタンスに応じて第2の信号端子6に微小な検出電圧が発生する。
既述のようにスイッチング時においては、対アーム還流中(モード2)、ターンオン・ターンオフ中(モード3)、自アーム導通中(モード1)の3つの動作モードにおいて電流の流れる経路が異なることに起因して、配線導体に作用する相互インダクタンスが異なる。そのため、3つの動作モードでの検出電圧を同じ定数で積分すると電流検出の精度が低下する。この問題は、各動作モードで積分回路の回路定数を各動作モードで変更すれば回避できるが、半導体駆動装置の部品点数の大幅な増加や回路構成の複雑化といった問題がある。本実施形態は簡便な回路構成により、上記の課題を解決することができる。
上述した第1の本実施形態では、自アーム導通中および対アーム導通中に発生する検出電圧信号が微小であることに着目し、検出信号の絶対値が所定の値より小さい場合に検出信号を通さない機能を持つ第1のフィルタ33(及び第2のフィルタ53)を備える構成としている。このような構成により、自アーム導通中および対アーム導通中の検出信号は第1の積分回路34(及び第3の積分回路54)に入力されず、大きな電流変化率によって大きな検出信号が出力されるターンオン・ターンオフ時または短絡時の検出信号のみを精度よく検出することができる。また、第1の実施形態では、第1のスイッチ35(及び第2のスイッチ55)により、第1の積分回路34(及び第3の積分回路54)の出力は自アームのゲートオン指令が出ていない時はリセットすることができるため、さらに電流の誤検知のリスクを低減させることができる。
[第1の実施形態による効果]
上述した第1の実施形態では、上アーム10における第2の信号端子6と第1の積分回路34の間に、所定の値より電圧が小さい信号をカットする第1のフィルタ33が設けられている。それにより、ターンオン中・ターンオフ中、または短絡中に第2の信号端子6に発生する大きな電圧信号のみを検出できるため、ターンオン・ターンオフ電流や短絡電流を精度よく検出することができる。したがって、半導体駆動装置の部品点数の大幅な増加や回路構成の複雑化を伴うことなく、2in1モジュールを構成するIGBT(半導体スイッチング素子)に流れる電流(短絡電流やスイッチング電流)を精度良く検出することができる。それにより確実に短絡電流を遮断することができ、それゆえ半導体パワーモジュールを確実に過電流から保護することが可能となる。また、本実施形態では電流の検出精度が上がるので、短絡保護のマージンを小さく抑えることが可能になる。
図5〜図7に、下アーム20のスイッチングにおけるターンオン時の電流(1)と、第2の信号端子6に発生する第1の検出電圧(積分回路入力電圧)(2)と、電流検出値としての積分回路出力(3)の時間変化をそれぞれ示す。図5〜図7において、下アーム20の電流をIで示している。
(従来例の電流検出信号)
図5は、第2の信号端子6と第1の積分回路34の間にフィルタを設けていない場合(従来例)における、半導体パワーモジュールの電流検出信号を示す。ターンオン前の上アーム10還流中は下アーム20に電流は流れていないが、図5の(1)に示すように上アーム10の第2の信号端子6には、上アーム10の還流電流の緩やかな電流変化率と、配線の自己インダクタンスと自アーム配線導体との相互インダクタンスに応じた低レベルの電圧が検出される。この検出された信号が、第1の検出電圧VD1として第1の積分回路34に入力される(図5の(2))。
次に、下アーム20がターンオン動作を開始すると、下アーム20を流れる電流が急激に上昇するとともに上アーム10の還流電流は急激に減少する(図5の(1))。この時、上下アームの電流変化率は逆向きで大きさが共に等しい。したがって、第2の信号端子6には、電流の変化率と、配線の自己インダクタンスと自アーム配線導体との相互インダクタンス、並びに配線の自己インダクタンスと対アーム配線導体との相互インダクタンスに応じた電圧が検出される(図5の(2))。
次に、ターンオン動作が完了し下アーム20が導通状態になると、上アーム10に電流が流れていないため、第2の信号端子6には導通電流の変化率と、配線の自己インダクタンスと自アーム配線導体との相互インダクタンスに応じた低レベルの電圧が検出される(図5の(2))。したがって、上アーム10還流中、ターンオン中、下アーム20導通中に発生する電圧を同じ回路定数で積分動作すると、図5の(3)に示すように、上アーム10還流中や下アーム20導通中に下アーム20の電流Iと積分回路出力Inとの誤差が大きくなり、電流検出精度が低下してしまう。例えば上アーム10還流中の下アーム20の電流Iと積分回路出力Inとの誤差e1のためにターンオン中の積分回路出力Inの値が下がり、誤差e2となって表れている。
(第1の実施形態に係る電流検出信号)
図6は、第1の実施形態に係る半導体パワーモジュールの電流検出信号を示す。第1のフィルタ33によって、上アーム10還流中及び下アーム20導通中における破線で示す小さな電圧値の第1の検出電圧はカットされ(ゼロ値とされ)、第1の積分回路34に入力されない(図6の(2))。図6の(2)に示す所定値Drを超える部分が、第1の積分回路34の動作範囲である。所定値Drを超える部分とは、所定値Drの絶対値を超える部分であり、図6の(2)に示すターンオン期間のグラフでは、所定値Drより下側の部分が該当する。そのため、第1のフィルタ33は、ターンオン中の所定値Drを超える検出信号(第1の検出電圧VLCF)のみを第1の積分回路34に入力し、ターンオン電流を精度良く検出することができる。
これにより、図6の(3)に示すように、上アーム10還流中およびターンオン中は、下アーム20の電流Iと積分回路出力Inとの誤差がほとんど発生しない。また、下アーム20導通中においても、下アーム20の電流Iと積分回路出力ILCFとの間に、下アーム20の導通電流の緩やかな電流変化率に伴うわずかな誤差が発生する程度である。このように、第1の実施形態では、下アーム20の電流Iと積分回路出力ILCFとの誤差が少なく、図5の従来例よりも電流検出精度が向上する。
(ハイパスフィルタを用いた場合の電流検出信号)
また比較のために、図7に、第2の信号端子6と第1の積分回路34の間にハイパスフィルタを設けた場合(比較例)における、半導体パワーモジュールの電流検出信号を示す。上アーム10還流中や自アーム(下アーム20)導通中に発生する検出信号は、一般的にターンオン・ターンオフ、もしくは短絡中に発生する検出信号より周波数が低いため、ハイパスフィルタによって上アーム10還流中、下アーム20導通中の検出信号(第1の検出電圧VHPF)をフィルタリングすることは容易に想像できる。
しかし、上アーム10還流状態からターンオンへ移行する期間(一点鎖線で示す部分)と、ターンオンから下アーム20導通状態に移行する期間(一点鎖線で示す部分)においては、上アーム10還流による検出電圧や下アーム20還流による検出電圧に周波数が高い成分が含まれる(図7の(2))。この高い周波数の検出電圧がターンオン中の検出信号と共に第1の積分回路34に入力されるため、その分だけ第1の検出電圧VHPFが高い値となり、電流検出の精度が低下してしまう(図7の(3))。図7の(3)に示すように、下アーム20の電流Iと積分回路出力IHPFとの誤差e3が大きなものになる。つまり、積分回路の積分対象が電圧レベルであるところで、ハイパスフィルタで周波数弁別すると、ノイズ(所望より低電圧かつハイパスフィルタのカットオフ周波数より高周波)をも含めて積分してしまう虞がある。
[第1の実施形態の一具体例]
次に、第1の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の具体例について図8を参照して説明する。以下では、第1の半導体駆動装置30について説明するが、第2の半導体駆動装置50についても同様の構成である。
図8は、第1の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の具体例を示す等価回路図である。本実施形態では、第1の半導体駆動装置30の第1のフィルタ33に、一例としてnチャネル型のMOSFET33aを用いた例を示す。MOSFET33aのドレインが第1の積分回路34の入力端に接続され、ソースが抵抗R4を介して第2の信号端子6と接続されている。第1の信号端子5と第2の信号端子6の間に抵抗R2,R3,R4が直列に接続されており、第1のフィルタ33のゲートが抵抗R2と抵抗R3の接続中点と接続されている。MOSFET33aのドレイン−ソース間にダイオード33bが逆方向に接続されている。MOSFET33aのゲート電圧は、第1の信号端子5と第2の信号端子6間に得られる第1の検出電圧を抵抗分圧することによって生成される。第1の検出電圧が所定値より大きくなれば、MOSFET33aがオンして、第1の検出電圧の信号が第1の積分回路34に入力される。
また、第1の出力比較回路36として、コンパレータ36aが用いられる。コンパレータ36aは、非反転入力端子に入力された第1の積分回路34の積分値と、反転入力端子に入力された基準電圧Vrefを比較し、第1の積分回路34の積分値が基準電圧Vrefよりも大きい場合に、第2の積分回路37に信号を出力する。
第2の積分回路37として、コンデンサ37bや抵抗37a等の受動素子を用いたフィルタ回路を示す。第2の積分回路37は、積分値が電圧Vmを超えると、第1の遮断指令部38に信号を出力する。なお、第2の積分回路37は、オペアンプを用いたフィルタ回路を使用しても差し支えない。
第1のスイッチ35の一例として、第1のゲート駆動指令部31から出力されるゲート駆動指令信号に応じてオン・オフするpチャネル型のMOSFET35aを用いることができる。MOSFET35aのドレインは第1の積分回路34の出力端子に接続され、ソースが第1の信号端子5に接続されている。MOSFET35aのドレイン−ソース間にダイオード35bが逆方向に接続されている。第1のゲート電圧制御回路32の入力端子とMOSFET35aのゲートとの間には、ダイオード35cと抵抗35dの並列回路が接続されている。第1のゲート電圧制御回路32の入力端子には、抵抗R1を介して電源電圧Vpが供給される。
本実施形態では、第1のスイッチ35は、第1の半導体駆動装置30(第1のゲート駆動指令部31)がオン指令を出してからIGBT11(図4参照)のゲート電圧が閾値電圧Vth(図3の(2)参照)に到達するまでの間に第1の積分回路34の動作を開始させる(第1のスイッチ35オフ)。また第1のゲート駆動指令部31がオフ指令を出し、かつIGBT11のゲート電圧が閾値電圧Vthを下回ってから第1の積分回路34の出力値をリセットする(第1のスイッチ35オン)。ゲート駆動指令信号のオン指令期間中は、第1のスイッチ35をオフして第1の積分回路34を導通させることにより、TypeI〜IIIの短絡を検知することができる。
また、本実施形態においては、第1のスイッチ35のゲート配線に抵抗35dとダイオード35cを並列に接続することで、ゲート駆動指令に対して第1のスイッチ35の動作遅延に異方性を持たせている。この第1のスイッチ35の動作遅延に異方性があるために、第1の積分回路34の動作期間を調整することができる。
[第1の実施形態の具体例の変形例]
図9は、第1の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の具体例の変形例を示す等価回路図である。図8と同様に、第1の半導体駆動装置30´の第1のスイッチ35がIGBT11(図4参照)のゲート電圧に応じてオン・オフする構成である。第1の半導体駆動装置30´が図8に示す第1の半導体駆動装置30と異なる点は、第1のスイッチ35のダイオード35cと抵抗35dとの並列回路が、第1のゲート電圧制御回路32の出力端子側に接続されている点である。第2の半導体駆動装置50´についても、同様に構成する。
[第1の実施形態の他の具体例]
図10は、第1の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の他の具体例を示す等価回路図である。図10において、第1の半導体駆動装置30−1の第1のフィルタ33−1を、ダイオード33cとダイオード33dを逆方向に並列接続した双方向ダイオードで構成する例を示す。ダイオード33c,33dの立ち上がり電圧よりも小さい電圧は通さないため、第1のフィルタ33−1は電圧カットフィルタとして機能する。第1の検出電圧を抵抗分圧(抵抗R3,R4)を用いて調整することによって、除去する電圧の閾値を調整することができる。第2の半導体駆動装置50−1の第2のフィルタ53−1についても同様に構成する。
<2.第2の実施形態>
[半導体駆動装置の機能構成]
次に、第2の実施形態に係る半導体駆動装置について図11及び図12を参照して説明する。
図11は、第2の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成例を示すブロック図である。以下では、第1の半導体駆動装置30Aについて説明するが、第2の半導体駆動装置50Aについても同様の構成である。
第2の実施形態に係る第1の半導体駆動装置30Aと図4に示した第1の半導体駆動装置30との異なる点は、過ゲート電圧状態を監視し、過ゲート電圧状態と判定されると第2の積分回路37の時定数を短くする点である。
第1の半導体駆動装置30Aは、第1の半導体駆動装置30と比較して、さらに第1のゲート電圧比較回路40と、第1の時定数切替回路41を備える。第1のゲート電圧比較回路40と第1の時定数切替回路41の直列回路が、IGBT11のゲートと第2の積分回路37の間に接続される。
第1のゲート電圧比較回路40は、過ゲート電圧状態を監視して過ゲート電圧状態か否かを判定し、判定結果を第1の時定数切替回路41に出力する。
第1の時定数切替回路41は、第1のゲート電圧比較回路40で過ゲート電圧状態であると判定された場合に、第2の積分回路37の時定数を短くする処理を行い、過電流状態と判定されてから電流遮断指令が出されるまでの遅延を縮小する。
また第2の半導体駆動装置50Aは、第1の半導体駆動装置30Aと同様に、第2のゲート電圧比較回路60と、第2の時定数切替回路61を備える。第2のゲート電圧比較回路60と第2の時定数切替回路61の機能は、第1のゲート電圧比較回路40と第1の時定数切替回路41と同じであるため、詳細な説明を省略する。
TypeII及びTypeIII短絡は、短絡開始時に帰還容量を介してIGBT11のゲートに電流が流れ込んで過ゲート電圧状態になることが特徴である。そこで、第1の実施形態で示した第1の出力比較回路36による過電流状態の判定と共に、第1のゲート電圧比較回路40によって過ゲート電圧状態を判定することによって、TypeII及びTypeIII短絡を検知することができる。
一般的に、TypeII及びTypeIIIの短絡は、TypeI短絡と比較して激しい短絡であるため、TypeI短絡より高速に電流を遮断する必要がある。第2の実施形態に示すように、過ゲート電圧状態と判定された場合に第1の時定数切替回路41によって電流遮断指令の遅延を縮小すれば、TypeII及びTypeIIIの短絡時に高速で電流を遮断できる。したがって、TypeIIやTypeIIIの短絡であっても電流を安全に遮断することができる。
[第2の実施形態の具体例]
次に、第2の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の具体例について図12を参照して説明する。以下では、第1の半導体駆動装置30Aについて説明するが、第2の半導体駆動装置50Aについても同様の構成である。
図12は、第2の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の具体例を示す等価回路図である。本実施形態では、第1の半導体駆動装置30Aの第1のゲート電圧比較回路40として、コンパレータ40aを用いる。コンパレータ40aは、非反転入力端子に入力された第1のゲート信号端子4で検出されるゲート電圧と、反転入力端子に入力された電源電圧Vpを比較し、ゲート電圧が電源電圧Vpよりも大きい場合に、第1の時定数切替回路41に駆動信号を出力する。
第1の時定数切替回路41に、一例としてpチャネル型のMOSFET41aを用いた例を示す。MOSFET41aのドレインが第2の積分回路37の抵抗37aと第2の遮断指令部58の入力端子との間に接続され、ソースが第2の積分回路37のコンデンサ37cと接続されている。MOSFET41aのゲートは、第1のゲート電圧比較回路40のコンパレータ40aの出力端子に接続されている。コンパレータ40aからMOSFET41aのゲートに駆動信号を入力されると、MOSFET41aがオンする。それにより、第2の積分回路37では、抵抗37aとコンデンサ37bに、コンデンサ37cを加えてフィルタ回路が構成される。それにより、第2の積分回路37のCR回路の時定数が小さくなり、第1の出力比較回路36で過電流状態と判定されてから電流遮断指令が出されるまでの遅延(積分期間)が縮小される。第2の積分回路37は、積分値が電圧Vmを超えると、第1の遮断指令部38に信号を出力する。
<3.第3の実施形態>
[半導体駆動装置の機能構成]
次に、第3の実施形態に係る半導体駆動装置について図13〜図16を参照して説明する。
図13は、第3の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成例を示すブロック図である。以下では、第1の半導体駆動装置30Bについて説明するが、第2の半導体駆動装置50Bについても同様の構成である。
第3の実施形態に係る第1の半導体駆動装置30Bと図4に示した第1の半導体駆動装置30との異なる点は、第1の出力比較回路36によって過電流状態と判定された場合に、IGBT11のゲート電圧を、アーム電流(コレクタ電流)が遮断しない程度に低減する点である。
第1の半導体駆動装置30Bは、第1の半導体駆動装置30と比較して、さらに第1のゲート電圧低減回路42を備える。第1のゲート電圧低減回路42は、IGBT11の第1のゲート信号端子4と第1の出力比較回路36の出力端子との間に接続される。
飽和電流が大きく、短絡耐量が小さい半導体スイッチング素子の短絡保護を行うには、一般的には第2の積分回路37の時定数を小さくして高速で遮断することが必要である。しかし、第2の積分回路37の時定数を小さくするとノイズによる誤検知により、誤って半導体パワーモジュールを含むシステム(電力変換装置及びこれを含むシステムなど)を遮断してしまうリスクが大きくなるという問題がある。
上記構成の第3の実施形態によれば、第1の出力比較回路36において上アーム10(IGBT11)が過電流であると判定された場合に、IGBT11のゲート電圧を低減して飽和電流を抑制することによって、IGBT11の短絡耐量が向上する。そのため、第2の積分回路37の時定数を小さくしなくても安全に上アーム10の電流を小さくすることができる。
[第3の実施形態の具体例]
図14は、第3の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の具体例を示す等価回路図である。以下では、第1の半導体駆動装置30Bについて説明するが、第2の半導体駆動装置50Bについても同様の構成である。
本実施形態では、第1の半導体駆動装置30Bの第1のゲート電圧低減回路42は、MOSFET42aを用いて構成される。MOSFET41aのドレインが抵抗42dを介して第1のゲート信号端子4に接続され、ソースが抵抗42cを介して電圧Vmの電源と接続されている。電圧Vmは電源電圧Vpよりも小さい。MOSFET41aのゲートは、ダイオード42eと抵抗42fの並列回路を介して、第1の出力比較回路36のコンパレータ36aの出力端子側と接続さている。ダイオード42eは、第1の出力比較回路36からMOSFET41aに向かって順方向となるように接続されている。
MOSFET42aのゲート配線に抵抗42fとダイオード42eを並列接続することで、上アーム10が過電流状態になったら速やかにゲート電圧を低減できる一方で、過電流状態が解消されても一定期間は第1のゲート電圧低減回路42がオンしている状態を保持できる。本実施形態におけるゲート電圧低減機能によって、電流が一時的に振動する場合にも回路の発振を防止できるため、安全に電流を遮断することができる。
なお、第2の半導体駆動装置50Bは、第1の半導体駆動装置30Bと同様に、第2のゲート電圧低減回路62を備える。第2のゲート電圧低減回路62の機能は、第1のゲート電圧低減回路42と同じであるため、詳細な説明を省略する。
[ゲート電圧低減機能による発振防止]
次に、本実施形態に係るゲート電圧低減機能による発振防止について図15及び図16を参照して説明する。図15は、ゲート電圧低減時のゲート電圧の時間変化の例を示す模式波形図である。図16は、ゲート電圧低減時のアーム電流の時間変化の例を示す模式波形図である。
図15に示すように、第1のゲート電圧低減回路42によりIGBT11のゲートに供給するゲート電圧を低減すると、配線のインダクタ成分によってゲート電圧に揺らぎが生じる。ゲート電圧に揺らぎが生じると、配線導体の電流が変化するためアーム電流に揺らぎが生じる。このアーム電流の揺らぎの大きさによっては第1の出力比較回路36が過電流状態と判定して、第1の出力比較回路36から第2の積分回路37へ信号が出力され(図16の矢印参照)、第1の遮断指令部38で電流遮断信号が出力されることになる。そして、電流遮断即ちゲート電圧を低減すると、アーム電流がまた変化して第1の出力比較回路36がオンするという事象を繰り返す発振状態となる恐れがある。本実施形態は、ダイオード42eに抵抗42fを並列接続することで、第1のゲート電圧低減回路42がオンしている状態を一定期間保持し、電流が一時的に振動する場合にも回路の発振を防止する。
<4.第4の実施形態>
[半導体駆動装置の機能構成]
次に、第4の実施形態に係る半導体駆動装置について図17及び図18を参照して説明する。
図17は、第4の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成例を示すブロック図である。以下に、第1の半導体駆動装置30Cについて説明するが、第2の半導体駆動装置50Cについても同様の構成である。
第4の実施形態に係る第1の半導体駆動装置30Cと図4に示した第1の半導体駆動装置30との異なる点は、第1の検出電圧が所定の値より大きい場合に、IGBT11のゲート電圧を制御する点である
第1の半導体駆動装置30Cは、第1の半導体駆動装置30と比較して、第1のゲート電圧調整回路43を備える。第1のゲート電圧調整回路43は、IGBT11の第1のゲート信号端子4と、抵抗R3と抵抗R4の接続点との間に接続される。
TypeIIやTypeIIIの短絡では短絡開始時の電流増加率は、主回路のインダクタンスのみに制限され、非常に大きくなるため、激しい短絡となる。また、その際に第2の信号端子6に非常に大きな電圧が印加される。例えば急激にIGBTのエミッタ側の電流が増加する場合は、第2の信号端子6に大きな負の電圧が発生し、逆に、急激にIGBTのエミッタ側の電流が減少する場合は、第2の信号端子6に大きな正の電圧が発生する。
[第4の実施形態の具体例]
図18は、第4の実施形態に係る半導体駆動装置の基本構成の具体例を示す等価回路図である。以下では、第1の半導体駆動装置30Cについて説明するが、第2の半導体駆動装置50Cについても同様の構成である。
本実施形態では、第1の半導体駆動装置30Cの第1のゲート電圧調整回路43は、一例としてツェナー・ダイオード43a,43b(定電圧ダイオード)を用いている。IGBT11の第1のゲート信号端子4と、抵抗R3と抵抗R4の接続点との間に、ツェナー・ダイオード43aとツェナー・ダイオード43bが逆方向に直列接続される。電圧をクランプできるものであれば、ツェナー・ダイオードに限らず、他のダイオードでもよい。
なお、第2の半導体駆動装置50Cは、第1の半導体駆動装置30Cと同様に、第2のゲート電圧調整回路63を備える。第2のゲート電圧調整回路63の機能は、第1のゲート電圧調整回路43と同じであるため、詳細な説明を省略する。
上記構成の第4の実施形態によれば、第1の実施形態により得られる効果の他に、次のような効果がある。急激にIGBT11の電流が増加し、第2の信号端子6に大きな負の電圧が印加されると、ツェナー・ダイオード43bのクランプ動作によってゲート電圧が低減され、電流の上昇を抑制できる。また逆に、急激にIGBT11の電流が減少し、第2の信号端子6に大きな正の電圧が印加されると、ツェナー・ダイオード43aのクランプ動作によってゲート電圧が上昇し、電流の減少率が抑制され、電流減少時に発生するサージ電圧を低減することができる。
例えば、第1のゲート信号端子4と第2の信号端子6の両端電圧が30Vになると電流が流れる構成の場合には、第1のゲート信号端子4の電位が+15V、第2の信号端子6の電位が−15Vになると両端電圧が30Vとなり、第1のゲート信号端子4からツェナー・ダイオード43a,43bを介して第2の信号端子6へ電流が流れ、ゲート電圧が低減される。
<5.第5の実施形態>
次に、第5の実施形態として、上述した第1の実施形態から第4の実施形態を用いた電力変換装置について図19を参照して説明する。
図19は、第5の実施形態に係る電力変換装置の基本構成例を示した回路図である。
図19に示す電力変換装置70は、上述した第1の実施形態から第4の実施形態のいずれかに係る半導体駆動装置を、電力変換装置70における半導体スイッチング素子の駆動装置として適用したものである。
図19に示すように、電力変換装置70は、2in1構成の半導体パワーモジュール74〜76、半導体駆動装置77〜82、及び、これら半導体駆動装置77〜82に対してスイッチング動作の制御信号である駆動指令信号を発生する上位論理部72を備えて構成されている。なお、第5の実施形態に係る電力変換装置70は、直流電源73の直流電力を交流電力に変換するインバータ装置である。
また、第5の実施形態では、半導体パワーモジュール74〜76にIGBTを用いているが、これに限定されるものではなく、MOSFETなど他の半導体スイッチング素子を用いて構成することもできる。
電力変換装置70は、直流電源73の正負の端子間に、2個の半導体スイッチング素子(IGBT)の極性を揃えて直列に接続した上アーム10及び下アーム20からなる半導体パワーモジュールが3組接続されている。また、各半導体スイッチング素子のエミッタ−コレクタ間には、負荷電流を還流させるダイオードが逆極性かつ並列にそれぞれ接続されている。また、直列接続されたIGBT11(上アーム10)とIGBT21(下アーム20)の接続点はそれぞれ交流の出力端子(図4の交流端子3に相当)となり、負荷である三相交流モーターMに接続されている。
そして電力変換装置70は、上位論理部72によって半導体駆動装置77〜82を介して、それぞれ半導体スイッチング素子のスイッチング動作を制御して、交流端子3u,3v,3wに接続された三相交流モーターMに交流電力を供給する。
ここで電力変換装置70は、上位論理部72によって各半導体スイッチング素子に対する駆動指令信号を発生し、この半導体駆動装置77〜82を介して、この駆動指令信号を半導体スイッチング素子のゲート信号端子に送信することで電力変換動作を行う。
なお、第5の実施形態では、本発明の半導体駆動装置を電力変換装置に適用した例として、直流を交流に変換するインバータ装置を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではない。本発明の半導体駆動装置は、直流−直流コンバーター装置や交流−直流コンバーター装置など、他の電力変換装置に適用することもできる。
さらに、本発明は上述した各実施形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成に置き換えることは可能である。また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1…第1の主端子(正極端子)、 2…第2の主端子(負極端子)、 3…交流端子、 4…第1のゲート信号端子(ゲート)、 5…第1の信号端子(エミッタ信号端子)、 6…第2の信号端子、 7…第2のゲート信号端子(ゲート)、 8…第3の信号端子(エミッタ信号端子)、 9…第4の信号端子、 10…上アーム、 11…IGBT(第1の半導体スイッチング素子)、 12…ダイオード、 13…第1の主電極(コレクタ)、 14…第2の主電極(エミッタ)、 20…下アーム、 21…IGBT(第2の半導体スイッチング素子)、 22…ダイオード、 23…第3の主電極(コレクタ)、 24…第4の主電極(エミッタ)、 30,30−1,30A,30B,30C…第1の半導体駆動装置、 31…第1のゲート駆動指令部、 32…第1のゲート電圧制御回路、 33,33−1…第1のフィルタ、 34…第1の積分回路、 35…第1のスイッチ、 36…第1の出力比較回路、 37…第2の積分回路、 38…第1の遮断指令部、 40…第1のゲート電圧比較回路、 41…第1の時定数切替回路、 42…第1のゲート電圧低減回路、 43…第1のゲート電圧調整回路、 50,50−1,50A,50B,50C…第2の半導体駆動装置、 51…第2のゲート駆動指令部、 52…第2のゲート電圧制御回路、 53,53−1…第2のフィルタ、 54…第3の積分回路、 55…第2のスイッチ、 56…第2の出力比較回路、 57…第4の積分回路、 58…第2の遮断指令部、 60…第2のゲート電圧比較回路、 61…第2の時定数切替回路、 62…第2のゲート電圧低減回路、 63…第2のゲート電圧調整回路、 70…電力変換装置、 72…上位論理部、 73…直流電源、 74〜76…半導体パワーモジュール、 77〜82…半導体駆動装置、 SIN…駆動指令入力信号

Claims (8)

  1. 半導体パワーモジュールと、前記半導体パワーモジュールを駆動する半導体駆動装置と、を備え、
    前記半導体パワーモジュールは、
    一対の直流端子となる第1の主端子および第2の主端子と、
    第1の主電極および第2の主電極を有し、前記第1の主電極が前記第1の主端子と電気的に接続される第1の半導体スイッチング素子と、
    第3の主電極および第4の主電極を有し、前記第4の主電極が前記第2の主端子と電気的に接続される第2の半導体スイッチング素子と、
    電気的に直列に接続された前記第1の半導体スイッチング素子の第2の主電極と前記第2の半導体スイッチング素子の第3の主電極との接続点に電気的に接続される交流端子と、
    前記第2の主電極の電位を検出する第1の信号端子と、前記第1の半導体スイッチング素子と前記第2の半導体スイッチング素子の接続点の電位を検出する第2の信号端子と、
    前記第4の主電極の電位を検出する第3の信号端子と、前記第2の主端子の電位を検出する第4の信号端子と、を備え、
    前記半導体駆動装置は、第1の半導体駆動装置と第2の半導体駆動装置から構成され、
    前記第1の半導体駆動装置は、
    前記第1の半導体スイッチング素子にゲート駆動信号を供給する第1のゲート電圧制御回路と、
    前記第2の信号端子で検出された第1の検出電圧が所定値未満であるときにゼロ値を出力し、前記第1の検出電圧が前記所定値を超えるときに当該第1の検出電圧を出力する第1のフィルタと、
    前記第1のフィルタの出力を積分した出力値を出力する第1の積分回路と、を備え、
    前記第1の積分回路の出力に基づいて、前記第1の半導体スイッチング素子の過電流保護を行い、
    前記第2の半導体駆動装置は、
    前記第2の半導体スイッチング素子にゲート駆動信号を供給する第2のゲート電圧制御回路と、
    前記第4の信号端子で検出された第2の検出電圧が所定値未満であるときにゼロ値を出力し、前記第2の検出電圧が前記所定値を超えるときに当該第2の検出電圧を出力する第2のフィルタと、
    前記第2のフィルタの出力を積分した出力値を出力する第3の積分回路と、を備え、
    前記第3の積分回路の出力に基づいて、前記第2の半導体スイッチング素子の過電流保護を行う
    電力変換装置。
  2. 前記第1の半導体駆動装置は、更に、
    前記第1の積分回路の出力値を所定値と比較して過電流状態であるか否かを判定する第1の出力比較回路と、
    前記第1の出力比較回路の比較結果に基づいて、前記第1のゲート電圧制御回路に電流遮断指令を出す第1の遮断指令部と、を備え、
    前記第2の半導体駆動装置は、更に、
    前記第3の積分回路の出力値を所定値と比較して過電流状態であるか否かを判定する第2の出力比較回路と、
    前記第2の出力比較回路の比較結果に基づいて、前記第2のゲート電圧制御回路に電流遮断指令を出す第2の遮断指令部と、を備える
    請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記第1の半導体駆動装置は、更に、前記第1の出力比較回路の出力値を積分し、積分値を出力する第2の積分回路、を備え、
    前記第1の遮断指令部は、前記第2の積分回路の積分値が所定値に到達した場合に前記電流遮断指令を出し、
    前記第2の半導体駆動装置は、更に、前記第2の出力比較回路の出力値を積分し、積分値を出力する第4の積分回路、を備え、
    前記第2の遮断指令部は、前記第4の積分回路の積分値が所定値に到達した場合に前記電流遮断指令を出す
    請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記第1の半導体駆動装置は、更に、
    所定期間中のみ前記第1の積分回路を動作させ、それ以外の期間は前記第1の積分回路の出力値をリセットする第1のスイッチ、を備え、
    前記第2の半導体駆動装置は、更に、
    所定期間中のみ前記第3の積分回路を動作させ、それ以外の期間は前記第3の積分回路の出力値をリセットする第2のスイッチ、を備える
    請求項1に記載の電力変換装置。
  5. 前記第1のスイッチは、前記第1の半導体駆動装置がオン指令を出してから前記第1の半導体スイッチング素子のゲート電圧が閾値電圧に到達するまでの間に前記第1の積分回路の動作を開始させ、また前記第1の半導体駆動装置がオフ指令を出し、かつ前記第1の半導体スイッチング素子のゲート電圧が閾値電圧を下回ってから前記第1の積分回路の出力値をリセットし、
    前記第2のスイッチは、前記第2の半導体駆動装置がオン指令を出してから前記第2の半導体スイッチング素子のゲート電圧が閾値電圧に到達するまでの間に前記第3の積分回路の動作を開始させ、また前記第2の半導体駆動装置がオフ指令を出し、かつ前記第2の半導体スイッチング素子のゲート電圧が閾値電圧を下回ってから前記第3の積分回路の出力値をリセットする
    請求項4に記載の電力変換装置。
  6. 前記第1の半導体駆動装置は、更に、
    前記第1の半導体スイッチング素子のゲート電圧が所定値を超える過ゲート電圧状態であるか否かを判定する第1のゲート電圧比較回路と、
    前記第1のゲート電圧比較回路が前記過ゲート電圧状態であると判定した場合に、前記第2の積分回路の時定数を小さくする第1の時定数切替回路と、を備え、
    前記第2の半導体駆動装置は、更に、
    前記第2の半導体スイッチング素子のゲート電圧が所定値を超える過ゲート電圧状態であるか否かを判定する第2のゲート電圧比較回路と、
    前記第2のゲート電圧比較回路が前記過ゲート電圧状態であると判定した場合に、前記第4の積分回路の時定数を小さくする第2の時定数切替回路と、を備える
    請求項3に記載の電力変換装置。
  7. 前記第1の半導体駆動装置は、更に、
    前記第1の出力比較回路によって前記過電流状態であると判定された場合に、前記第1の半導体スイッチング素子のゲート電圧を、前記第1の主電極と前記第2の主電極の間に流れる電流が遮断されない程度に低減する第1のゲート電圧低減回路、を備え、
    前記第2の半導体駆動装置は、更に、
    前記第2の出力比較回路によって前記過電流状態であると判定された場合に、前記第2の半導体スイッチング素子のゲート電圧を、前記第3の主電極と前記第4の主電極の間に流れる電流が遮断されない程度に低減する第2のゲート電圧低減回路、を備える
    請求項2に記載の電力変換装置。
  8. 前記第1の半導体駆動装置は、更に、
    前記第1の検出電圧が所定値を超えた場合に前記第1の半導体スイッチング素子のゲート電圧を低減する第1のゲート電圧調整回路、を備え、
    前記第2の半導体駆動装置は、更に、
    前記第2の検出電圧が所定値を超えた場合に前記第2の半導体スイッチング素子のゲート電圧を低減する第2のゲート電圧調整回路、を備える
    請求項1に記載の電力変換装置。
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