JP6772460B2 - シートモールディングコンパウンドおよびその成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、曲げ強さ等の機械物性に優れる成形品が得られるシートモールディングコンパウンド及びその成形品に関する。
炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維にて強化した繊維強化プラスチックは、軽量でありながら耐熱性や機械強度に優れる特徴が注目され、自動車や航空機の筐体或いは各種部材をはじめ、様々な構造体用途での利用が拡大している。このFRPの成形方法としては、生産性が良く、種々の形状に対応可能なため、シートモールディングコンパウンド(SMC)として加工し、オートクレーブ成形、プレス成形等の手法により、硬化、成形させる方法がしばしば用いられる。
強化繊維として炭素繊維のみを用いた場合、ガラス繊維のみを使用したSMCよりも、高剛性でかつ軽量性に優れた成形品を得ることができるが、炭素繊維は価格が高いため、コストアップに繋がり、用途拡大が制限されていた。また、炭素繊維は一般に12000本(12K)、24000本(24K)、50000本(50K)などのような炭素繊維束として販売されている。このような形態の炭素繊維束をカッティングしてSMCの強化繊維として用いた場合、炭素繊維の均一分散が悪く、剛性、強度が期待したほど上がらない欠点があった。
また、低コスト化および強度改善を図るために、炭素繊維トウとガラス繊維ストランドと樹脂組成物とからなるSMCが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、得られる成形品の物性は、炭素繊維のみを使用した場合より向上せず、かつ生産工程が複雑になるため、低コスト化が不十分であった。そこで、低コストで、曲げ特性等の機械物性に優れる成形品が得られるSMCが求められていた。
特許公開2014−19707号公報
本発明が解決しようとする課題は、低コストで、曲げ強さ、曲げ弾性率、耐湿熱性及び耐熱性等の機械物性に優れる成形品が得られるシートモールディングコンパウンド及びその成形品を提供することである。
本発明者等は、水酸基価が100〜300のビニルエステル樹脂(A)と、増粘剤(B)と、炭素繊維(C)と、ガラス繊維(D)とを含有するシートモールディングコンパウンドから、低コストで、曲げ強さ等の機械物性に優れる成形品を得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、水酸基価が100〜300のビニルエステル樹脂(A)と、増粘剤(B)と、炭素繊維(C)と、ガラス繊維(D)とを含有することを特徴とするシートモールディングコンパウンド及びその成形品に関する。
本発明のシートモールディングコンパウンドから得られる成形品は、低コスト、かつ、曲げ強さ等の機械物性に優れることから、自動車部品、OA機器等の筐体、航空機部品、船体部品、鉄道車両用部品、医療機器、車椅子、介護用ロボットまたは補助部品、住宅設備部材等に好適に用いることができる。
本発明のシートモールディングコンパウンド(以下、「SMC」と略記する。)は、水酸基価が100〜300のビニルエステル樹脂(A)と、増粘剤(B)と、炭素繊維(C)と、ガラス繊維(D)とを含有するものである。
前記ビニルエステル樹脂(A)は、水酸基価が100〜300の範囲であるが、100未満の場合は、SMCの増粘が不十分となるため成形が困難となり、300より大きい場合は、樹脂粘度が高く繊維への樹脂の均一含浸が困難となる。また、SMCの成形性がより向上することから、110〜200の範囲が好ましい。
前記ビニルエステル樹脂(A)の数平均分子量は、成形流動性がより向上することから、400〜2000が好ましい。400未満では増粘剤を使用しても粘度の増加が不十分で成形時に強化繊維と樹脂成分の分離が発生する可能性がある。また、2000を超える場合は増粘剤を使用したときの粘度増加が大きく、成形流動性が低下する可能性がある。
前記ビニルエステル樹脂(A)は、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸無水物とを反応させて得たものを使用することができる。
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスクレゾールフルオレン型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、オキゾドリドン変性エポキシ樹脂、これらの樹脂の臭素化エポキシ樹脂等のフェノールのグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、3,4−エポキシー6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、トリグリシジル−p一アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリンなどのグリシジルアミン、1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、より機械強度及び耐熱性に優れる成形品が得られることから、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。なお、これらのエポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記ビニルエステル樹脂(A)は、スチレン等の反応性希釈剤に溶解しているものを使用してもよい。本発明において、ビニルエステル樹脂(A)が反応性希釈剤に溶解している場合は、反応性希釈剤を含めたものをビニルエステル樹脂(A)とする。
前記増粘剤(B)としては、例えば、液状MDI等のポリイソシアネート化合物;酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等の金属酸化物や金属水酸化物、アクリル樹脂系微粒子などが挙げられるが、これらの中でも、ポリイソシアネート化合物、アクリル樹脂系微粒子が好ましい。これらの増粘剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
前記ポリイソシアネート化合物の添加量としては、成形流動性がより向上することから、イソシアネート基(NCO)と前記ビニルエステル樹脂(A)の水酸基(OH)との当量比(NCO/OH)が0.1〜1の範囲が好ましく、0.1〜0.5の範囲がより好ましい。
また、前記アクリル樹脂系微粒子としては、ポリメチルメタクリレート又はメチルメタクリレートを主成分とする粉末状のものが挙げられ、例えば、日本ゼオン株式会社製の「F303」(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等を使用できる。
前記アクリル樹脂系微粒子の添加量としては、前記ビニルエステル樹脂(A)100質量部に対し、1〜150質量部の範囲であることが好ましく、10〜40質量部の範囲がより好ましい。これは、1質量部未満であれば、増粘が不足し、ベタツキなど取り扱い性に問題が生じる可能性があり、また、150質量部を超える場合は、添加直後から粘度が高くなり混練困難となるか、あるいは混練できる場合でも、増粘後に不溶分として該重合体が残り、成形品の質感を損なうといった問題が生じる可能性があるためである。
前記炭素繊維(C)はとしては、例えば、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、レーヨン系などの各種のものが挙げられるが、これらの中でも、容易に高強度の炭素繊維が得られることから、ポリアクリロニトリル系のものが好ましい。また、これらの炭素繊維(C)は単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記炭素繊維(C)の形状としては、所定の長さにカットした炭素繊維が用いられる。炭素繊維の長さとしては6〜100mmが好ましく、成形性、成形品表面性、機械的特性がより向上することから、10〜50mmにカットした炭素繊維がより好ましい。
前記炭素繊維(C)の目付けとしては特に制限されるものではないが、生産性の点から、1.6〜5g/mが好ましい。
前記炭素繊維(C)は、成形品の機械的物性および成形時流動性がより向上することから、SMC中の体積比率が10〜40体積%の範囲が好ましく、15〜35体積%の範囲がより好ましい。
前記ガラス繊維(D)はとしては、例えば、Eガラス、Cガラス、Tガラス、ARガラス等が挙げられる。また、これらのガラス繊維(D)は単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記ガラス繊維(D)の形状としては、6〜100mmにカットされたチョップドガラス繊維が用いられる。ガラス繊維の長さとしては、成形性、機械的特性、成形品外観がより向上することから10〜50mmが好ましい。
前記炭素繊維(D)の目付けとしては特に制限されるものではないが、生産性の点から、1〜6g/mが好ましい。
前記ガラス繊維(D)は、成形品の機械的物性および成形時流動性がより向上することから、SMC中の体積比率が10〜40体積%の範囲が好ましく、15〜35体積%の範囲がより好ましい。
またSMC中の前記炭素繊維(C)と前記ガラス繊維(D)との体積比[(C)/(D)]は10/90〜70/30の範囲が好ましく、20/80〜60/40の範囲がより好ましい。繊維中の炭素繊維の比率が70体積%を超えると、剛性は高いが、靭性が低下し強度が低下する可能性がある。また繊維中の炭素繊維の比率が10体積%未満では強度は高いが、剛性が低下する可能性がある。
さらにSMC中の繊維成分の体積比率は、剛性と強度をより高く保つ上で、40〜60体積%が好ましく、45〜55体積%がより好ましい。40体積%未満では剛性と強度が共に不十分となる可能性があり、60体積%を超えると、樹脂未含浸部分が多くなり、強度が低下し、また成形品外観が悪くなる可能性がある。
また、SMC中のこれらの繊維成分は、前記炭素繊維(C)からなる炭素繊維層と前記ガラス繊維(D)からなるガラス繊維層とからなる2層以上の層構造を有することができる。特に成形品の曲げ弾性率、曲げ強さがより向上することから、前記ガラス繊維(D)からなる層を炭素繊維(C)からなる層で挟み込んだ3層(炭素繊維層/ガラス繊維層/炭素繊維層)構造であることがより好ましい。
本発明のSMCは、前記ビニルエステル樹脂(A)、前記増粘剤(B)、前記炭素繊維(C)、前記ガラス繊維(D)以外の成分として、重合開始剤、重合禁止剤、充填剤、離型剤、顔料、減粘剤、老化防止剤、可塑剤、難燃剤、抗菌剤、安定剤、補強材、光硬化剤等を含有することができる。
前記重合開始剤としては、特に限定されないが、有機過酸化物が好ましく、例えば、ジアシルパーオキサイド化合物、パーオキシエステル化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、ケトンパーオキサイド化合物、アルキルパーエステル化合物、パーカーボネート化合物等が挙げられ、成形条件に応じて適宜選択できる。これらの重合開始剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。有機過酸化物の添加量は、硬化性と成形流動性のバランスから、樹脂成分に対して0.5〜2.0質量%が好ましい。
前記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、トルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ナフテン酸銅、塩化銅等が挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
前記充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルク、カオリン、クレー、セライト、アスベスト、バーライト、バライタ、シリカ、ケイ砂、ドロマイト石灰石、石こう、アルミニウム微粉、中空バルーン、アルミナ、ガラス粉、水酸化アルミニウム、寒水石、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、二酸化モリブデン、鉄粉、ガラスビーズ、平板状ガラスなどが挙げられる。これらの充填材は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
本発明のSMCの製造方法としては、通常のロール、インターミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、押し出し機などの混合機を用いて、前記ビニルエステル樹脂(A)、前記増粘剤(B)、重合開始剤等を含む樹脂コンパウンドの各成分を混合分散し、上下に設置されたキャリアフィルムに均一な厚さになるように塗布し、前記炭素繊維(C)及び前記ガラス繊維(D)を、前記上下に設置されたキャリアフィルムの樹脂コンパウンドに挟み込み、次いで、全体を含浸ロールの間に通して、圧力を加えて繊維補強材に樹脂コンパウンドを含浸させた後、ロール状に巻き取るか又はつづら折りに畳んでSMCが得られる。この際、25〜50℃の温度で熟成することが好ましい。キャリアフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を用いることができる。
本発明の成形品は前記SMCより得られるが、例えば、SMCを所定量計量し、予め110〜180℃に加熱した金型に投入し、圧縮成形機にて型締めを行い、成形材料を賦型させ、0.1〜20MPaの成形圧力を保持することによって、成形材料を硬化させ、その後成形品を取り出し成形品を得る製造方法が用いられる。この場合シェアエッジを有する金型内で金型温度120〜160℃にて、成形品の厚さ1mm当たり1〜2分間という規定の時間、1〜10MPaの成形圧力を保持し、加熱圧縮成形する製造方法が好ましい。
本発明のSMCから得られる成形品は、低コスト、かつ、曲げ強さ等の機械物性に優れることから、自動車部品、OA機器等の筐体、航空機部品、船体部品、住宅設備部材等に好適に用いることができる。
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。水酸基価は、JIS試験方法K 0070−1992に準拠して測定したものである。また、平均分子量は、下記のGPC測定条件で測定したものである。
[GPC測定条件]
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度4mg/mLのテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
(合成例1:ビニルエステル樹脂(A−1)の合成)
窒素および空気導入管を設けた2Lの4つ口フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量251)3000g、メタクリル酸1029g、ハイドロキノン1.1gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここに2−メチルイミダゾール1.5gを入れ、105℃に昇温して10時間反応させ、ビニルエステル樹脂(A−1’)を得た。次に、このビニルエステル樹脂(A−1’)にスチレンを加え、スチレン含有量30質量%のビニルエステル樹脂(A−1)を作成した。このビニルエステル樹脂(A−1)の水酸基価は155、水酸基当量は362であった。
(合成例2:ビニルエステル樹脂(A−2)の合成)
窒素および空気導入管を設けた2Lの4つ口フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量485)3000g、メタクリル酸532g、ハイドロキノン1.1gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここに2−メチルイミダゾール1.5gを入れ、105℃に昇温して10時間反応させ、ビニルエステル樹脂(A−2’)を得た。次に、このビニルエステル樹脂(A−2’)にスチレンを加え、スチレン含有量45質量%のビニルエステル樹脂(A−2)を作成した。このビニルエステル樹脂(A−2)の水酸基価および水酸基当量は155、364であった。
(合成例3:ビニルエステル樹脂(RA−1)の合成)
窒素および空気導入管を設けた2Lの4つ口フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190)3000g、メタクリル酸1312g、ハイドロキノン1.1gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここに2−メチルイミダゾール1.5gを入れ、105℃に昇温して10時間反応させ、ビニルエステル樹脂(RA−1’)を得た。次に、このビニルエステル樹脂(RA−1’)にスチレンを加え、スチレン含有量55質量%のビニルエステル樹脂(RA−1)を作成した。このビニルエステル(RA−1)の水酸基価は92、水酸基当量は609であった。
(実施例1:SMC(1)の製造及び評価)
合成例1で得られたビニルエステル樹脂(A−1)89質量部、液状MDI(日本ポリウレタン株式会社製「ミリオネートMTL」10質量部、有機過酸化物(化薬アクゾ株式会社製「カヤブチルZ」1質量部を混合し、樹脂組成物(X−1)を得た。
この樹脂組成物(X−1)37質量部を上下に設置された2枚のポリプロピレン製キャリアフィルム上に均一な厚さになるように塗布し、その上に炭素繊維(Zoltek製「Panex35」、目付け3.8g/m)28質量部、ガラス繊維(日東紡株式会社製「PB−549」、目付け4.8g/m)35質量部を散布し、前記上下に設置されたキャリアフィルム上の樹脂組成物(X−1)の間に挟み込み、全体を含浸ロールの間に通して圧力を加えて樹脂組成物(X−1)を炭素繊維及びガラス繊維に含浸させた後、45℃で12時間養生し、炭素繊維含有率が27体積%、ガラス繊維含有率が24体積%であるSMC(1)を製造した。このSMC(1)におけるモル比(NCO/OH)は0.28であった。
[成形品の作製]
上記で得られたSMC(1)を金型投影面積の70%に切断して、プレス成形用金型に投入し、金型温度140℃、圧力11MPa、時間300秒で成形し、厚さ2mmの平板状の成形品(1)を得た。
[成形品の曲げ強度及び曲げ弾性率]
上記で得られた成形品(1)から切り出した試験片(1)(長さ100mm×幅15mm×厚み2mm)について、JIS K7074に準拠し、株式会社島津製作所製「オートグラフAG−I」を使用して三点曲げ試験(支点間距離80mm)を行い、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
[耐湿熱性]
上記で得られた試験片(1)をプレッシャークッカー試験機(タバイエスペック製「EHS211」、試験条件:121℃、0.11MPa)にて48時間処理した後、上記と同様に曲げ強さを測定し、初期値に対する保持率で評価した。
[耐熱性]
上記で得られた試験片(1)を120℃の熱風乾燥機中で、500時間放置した後、上記と同様に曲げ強さを測定し、初期値に対する保存率で耐熱性を評価した。
(実施例2:SMC(2)の製造)
実施例1で用いたビニルエステル樹脂(A−1)89質量部を、ビニルエステル樹脂(A−2)91質量部に変更し、液状MDIの量を10質量部から8質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、炭素繊維含有率27体積%、ガラス繊維含有率24体積%であるSMC(2)を製造した。このSMC(2)におけるモル比(NCO/OH)は0.22であった。
(実施例3:SMC(3)の製造)
実施例1で用いたビニルエステル樹脂(A−1)89質量部を、ビニルエステル樹脂(A−2)89質量部に変更し、液状MDIを、アクリル樹脂系微粒子(日本ゼオン株式会社製「F303」、ポリメタクリル酸メチル樹脂)10質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、炭素繊維含有率27体積%、ガラス繊維含有率24体積%であるSMC(3)を製造した。
(実施例4:SMC(4)の製造)
実施例2で用いた炭素繊維28質量部及びガラス繊維35質量部を、炭素繊維26質量部及びガラス繊維33質量部に変更した以外は、実施例2と同様に操作することにより、炭素繊維含有率25体積%、ガラス繊維含有率が22体積%であるSMC(4)を製造した。このSMC(4)におけるモル比(NCO/OH)は0.22であった。
(実施例5:SMC(5)の製造)
実施例2で用いた炭素繊維28質量部及びガラス繊維35質量部を、炭素繊維29質量部及びガラス繊維37質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、炭素繊維含有率28体積%、ガラス繊維含有率が25体積%であるSMC(5)を製造した。このSMC(5)におけるモル比(NCO/OH)は0.22であった。
(実施例6:SMC(6)の製造)
合成例2で得られたビニルエステル樹脂(A−2)91質量部、液状MDI(日本ポリウレタン株式会社製「ミリオネートMTL」8質量部、有機過酸化物(化薬アクゾ株式会社製「カヤブチルZ」1質量部を混合し、樹脂組成物(X−6)を得た。
この樹脂組成物(X−6)37質量部を上下に設置された2枚のポリプロピレン製キャリアフィルム上に均一な厚さになるように塗布し、その上に炭素繊維(Zoltek製「Panex35」、目付け3.8g/m)14質量部を均一に散布した後、その上にガラス繊維(日東紡株式会社製「PB−549」、目付け4.8g/m)35質量部を均一に散布し、更にその上に炭素繊維(Zoltek製「Panex35」、目付け3.8g/m)14質量部を均一に散布し、前記上下に設置されたキャリアフィルム上の樹脂組成物(X−6)の間に挟み込み、全体を含浸ロールの間に通して圧力を加えて樹脂組成物(X−6)を炭素繊維及びガラス繊維に含浸させた後、45℃で12時間養生し、炭素繊維含有率が27体積%、ガラス繊維含有率が24体積%であるSMC(6)を製造した。このSMC(6)におけるモル比(NCO/OH)は0.22であった。また、繊維の積層構成はガラス繊維層を炭素繊維層で挟み込んだ3層(炭素繊維層/ガラス繊維層/炭素繊維層)構造であった。
(SMC(1)〜(6)の評価)
実施例1で用いたSMC(1)を、上記で得られたSMC(2)〜(6)に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、成形品(2)〜(6)を作製して、成形品の曲げ強さ、曲げ弾性率、耐湿熱性、及び耐熱性を評価した。
(比較例1:SMC(R1)の製造)
実施例1で用いたビニルエステル樹脂(A−1)89質量部を、ビニルエステル樹脂(RA−1)89質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、炭素繊維含有率27体積%、ガラス繊維含有率24体積%であるSMC(R1)を製造した。このSMC(R1)におけるモル比(NCO/OH)は0.48であった。
(比較例2:SMC(R2)の製造)
実施例1で用いたビニルエステル樹脂(A−1)89質量部を、ビニルエステル樹脂(RA−1)74質量部に変更し、液状MDIの量を10質量部から25質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、炭素繊維含有率27体積%、ガラス繊維含有率24体積%であるSMC(R2)を製造した。このSMC(R2)におけるモル比(NCO/OH)は1.45であった。
(比較例3:SMC(R3)の製造)
実施例2で用いた炭素繊維28質量部及びガラス繊維35質量部を、炭素繊維57質量部のみに変更した以外は、実施例2と同様に操作することにより、炭素繊維含有率49体積%であるSMC(R3)を製造した。このSMC(R3)におけるモル比(NCO/OH)は0.22であった。
(比較例4:SMC(R4)の製造)
実施例2で用いた炭素繊維28質量部及びガラス繊維35質量部を、ガラス繊維65質量部のみに変更した以外は、実施例2と同様に操作することにより、炭素繊維含有率49体積%であるSMC(R4)を製造した。このSMC(R4)におけるモル比(NCO/OH)は0.22であった。
(SMC(R1)〜(R4)の評価)
実施例1で用いたSMC(1)を、上記で得られたSMC(R1)〜(R4)に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、成形品(R1)〜(R4)を作製して、成形品の曲げ強さ、曲げ弾性率、耐湿熱性、及び耐熱性を評価した。
上記で得られたSMC(1)〜(6)の組成及び評価結果を表1に示す。
Figure 0006772460
上記で得られたSMC(R1)〜(R4)の組成及び評価結果を表2に示す。
Figure 0006772460
実施例1〜6のSMC(1)〜(6)から得られた成形品は、優れた曲げ強さ、曲げ弾性率、耐湿熱性及び耐熱性を有することが分かった。
比較例1は、ビニルエステル樹脂の水酸基価が本発明の下限である100未満の例であり、当量比(NCO/OH)が低い例であるが、増粘が不十分であり成形ができなかった。
比較例2は、ビニルエステル樹脂の水酸基価が本発明の下限である100未満であり、当量比(NCO/OH)が高い例であるが、耐湿熱性及び耐熱性が不十分であることが確認された。
比較例3は、ガラス繊維を有さない例であるが、得られた成形品の曲げ強さが不十分であることが確認された。
比較例4は、ガラス繊維を有さない例であるが、得られた成形品の曲げ弾性率が不十分であることが確認された。

Claims (5)

  1. 水酸基価が100〜300のビニルエステル樹脂(A)と、増粘剤(B)と、炭素繊維(C)と、ガラス繊維(D)とを含有するシートモールディングコンパウンドであって、前記炭素繊維(C)からなる炭素繊維層と前記ガラス繊維(D)からなるガラス繊維層とからなる2層以上の層構造を有することを特徴とするシートモールディングコンパウンド。
  2. 前記増粘剤(B)が、ポリイソシアネート化合物又はアクリル樹脂系微粒子から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のシートモールディングコンパウンド。
  3. 前記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基(NCO)と前記ビニルエステル樹脂(A)の水酸基(OH)との当量比(NCO/OH)が0.1〜1である請求項2記載のシートモールディングコンパウンド。
  4. シートモールディングコンパウンド中の前記炭素繊維(C)の体積比率が10〜40体積%であり、前記ガラス繊維(D)の体積比率が10〜40体積%である請求項1〜3いずれか1項記載のシートモールディングコンパウンド。
  5. 請求項1〜いずれか1項記載のシートモールディングコンパウンドの成形品。
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