JP6771901B2 - 磁気リニアエンコーダの着磁装置および製造方法 - Google Patents

磁気リニアエンコーダの着磁装置および製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、直線状の磁気トラックに所定の磁気パターンで着磁された磁気リニアエンコーダの着磁装置、および上記磁気リニアエンコーダの製造方法に関する。
特許文献1に、磁気リニアエンコーダで使用する磁気スケールの着磁方法が開示されている。この着磁方法は、着磁ヘッドを一方向に直線的に移動させながら着磁ヘッドのコイルに流す電流の方向を変えてN極とS極とを交互に着磁するもので、往復で着磁が行われる。復路の着磁電流は、往路の着磁電流よりも小さく設定される。
特開2000−337923号公報
特許文献1の着磁方法では、着磁電流を変えて2回重ね書きするように着磁している。着磁電流を細かく変えて着磁するには、磁気リニアエンコーダの延在方向に着磁ヘッドを複数回移動させることになる。この場合、移動方法を変える際に着磁ヘッドを一旦停止する必要があり、着磁に要する時間が長くなるという課題がある。さらに、延在方向の両端部での着磁ヘッドの停止に伴う加減速のため、着磁精度が低下する恐れがある。
また、上記の磁気リニアエンコーダの延在方向に着磁ヘッドを移動させる着磁方法では、円形状の磁気エンコーダを着磁する着磁装置は使えない。このため、着磁ヘッドが直線方向に移動可能なリニアエンコーダ専用の着磁装置を別途調達する必要がある。
この発明の目的は、着磁ヘッドとエンコーダ用磁性体との相対移動を途中で止めることなくエンコーダ用磁性体の未着磁の磁気トラックに連続して着磁することが可能で、円形状の磁気エンコーダの着磁に用いられる着磁装置を僅かに変更するだけで製作することができる磁気リニアエンコーダの着磁装置を提供することである。
この発明の他の目的は、上記磁気リニアエンコーダの製造方法を提供することである。
前提構成の磁気リニアエンコーダの着磁装置1A,1Bは、直線状の未着磁の磁気トラック11,51を有するエンコーダ用磁性体10A,10B,50に着磁して前記磁気トラック11,51に磁気パターンが形成された磁気リニアエンコーダEを得る着磁装置であって、
外周面の少なくとも一部に円筒面部2a,22a,32aを有し、この円筒面部2a,22a,32aに前記エンコーダ用磁性体10A,10B,50が巻かれることで前記磁気トラック11,51が円筒状に保持された状態で前記エンコーダ用磁性体10A,10Bを固定する固定部材2,22,32と、この固定部材2,22,32を把持して前記円筒面部2a,22a,32aの中心軸と一致する回転軸O回りに回転するチャック3と、磁気ギャップを介して磁気的に対向する一対の着磁ヘッド5a,5bを有し、前記チャック3と前記固定部材2,22,32とにより前記一対の着磁ヘッド5a,5bに対して定められた位置および姿勢に配置された前記エンコーダ用磁性体10A,10Bにおける前記未着磁の磁気トラック11,51を着磁する着磁ヨーク5と、この着磁ヨーク5に巻回された励磁コイル7と、流れ方向が交互に切り替わる着磁電流を前記励磁コイル7に供給する着磁電源8とを備えることを特徴とする。
この構成の着磁装置1A,1Bは、以下の順でエンコーダ用磁性体10A,10B,50の未着磁の磁気トラック11,51に着磁する。
まず、固定部材2,22,32の円筒面部2a,22a,32aにエンコーダ用磁性体10A,10B,50を巻いて固定し、エンコーダ用磁性体10A,10B,50の磁気トラック11,51を円筒状に保持する。そして、円筒状に保持された磁気トラック11,51が着磁ヨーク5の着磁ヘッド5a,5bに対して定められた位置および姿勢に配置されるように、チャック3で固定部材2,22,32を把持する。
この状態で、固定部材2,22,32の円筒面部2a,22a,32aの中心軸と一致する回転軸O回りに固定部材2,22,32を回転させつつ、着磁電源8により、流れ方向が交互に切り替わる着磁電流を励磁コイル7に供給する。これにより、一方の着磁ヘッド5a→磁気トラック11,51→他方の着磁ヘッド5bの順に磁束が流れる貫通磁束Mと、この逆の順に磁束が流れる貫通磁束Mとが交互に発生する。磁束が未着磁の磁気トラック11,51を通過する際に、磁気トラック11,51に含有されている磁性粉が励磁されて磁気トラック11,51が着磁される。磁気トラック11,51は回転軸O回りに回転しているため、周方向にN極およびS極が交互に並ぶ状態に着磁される。
着磁後、固定部材2,22,32からエンコーダ用磁性体10A,10B,50を外して、磁気トラック11,51が直線状になるように戻す。これにより、直線状の磁気トラック11´,51´にN極とS極とが交互に配置された磁気リニアエンコーダEが得られる。
このように、固定部材2,22,32の円筒面部2a,22a,32aに巻いた状態で固定されたエンコーダ用磁性体10A,10B,50を回転させながら磁気トラック11,51に着磁するため、着磁ヘッド5a,5bとエンコーダ用磁性体10A,10B,50との相対移動を途中で止めることなく、連続して着磁することができる。このため、着磁時間を短縮できる。また、連続して着磁するため、着磁電流を時間とともにきめ細かに制御することが可能である。これにより、着磁誤差の低減を図れる。さらに、着磁ヘッド5a,5bを停止させないので、着磁ヘッド5a,5bとエンコーダ用磁性体10A,10B,50との相対移動速度に変動よる着磁精度の低下を防ぐことができる。
加えて、未着磁の磁気トラック11,51を円筒状にして着磁するため、円形状の磁気エンコーダの着磁に用いられる着磁装置を僅かな変更するだけで使用することができる。具体的には、円形状の磁気エンコーダの着磁に用いられる着磁装置に対して、固定部材2,22,32を追加するだけで済む。
固定部材2,22,32にエンコーダ用磁性体10A,10B,50を固定する形態として、以下のものがある。
参考提案例における磁気リニアエンコーダの着磁装置1A,1Bは、前記前提構成において、次の参考固定形態を有する。この参考固定形態は、前記固定部材2の前記円筒面部2aの表面に接着層2bが形成されており、前記エンコーダ用磁性体10A,10B,50を、前記磁気トラック11,51が円筒状になる状態で、前記接着層2bの接着力によって前記固定部材2に固定する形態である。
このように接着層2bによりエンコーダ用磁性体10A,10B,50を固定すると、エンコーダ用磁性体10A,10B,50の広い範囲を固定部材2の円筒面部2aに固定することができるため、磁気トラック11,51を正確な円筒状に保持することができる。
この発明における磁気リニアエンコーダの着磁装置1A,1Bは、前記前提構成において、次の固定形態を有する。この固定形態は、前記固定部材22,32は外周面に切欠き部22d,32dを有し、前記エンコーダ用磁性体10A,10B,50の端部10aが前記切欠き部22d,32dに固定手段23,33によって固定される形態である。この場合、前記固定手段23,33が、前記固定部材22,32の前記円筒面部22a,32aに巻かれた前記エンコーダ用磁性体10A,10B,50の外周面と同一中心軸かつ同一半径の仮想の円筒Dの内側に位置する。
このように固定手段23,33を用いてエンコーダ用磁性体10A,10B,50を固定すると、エンコーダ用着磁体10A,10B,50の未着磁の磁気トラック11,51に着磁後、固定手段23,33によるエンコーダ用磁性体10A,10B,50の固定を解除することで、固定部材22,32からエンコーダ用着磁体10A,10B,50を容易に外すことができる。固定手段23,33を前記仮想の円筒Dの内側に位置させることにより、エンコーダ用磁性体10A,10B,50の磁気トラック11,51に着磁を行う際に固定部材22,32を回転させるとき、固定手段23,33が回転の邪魔にならない。このため、エンコーダ用磁性体10A,10B,50の磁気トラック11,51に着磁ヨーク5の着磁ヘッド5a,5bを接近させることができ、精度の良い着磁を行うことができる。
この固定形態において、前記固定部材32の前記円筒面部32aに巻かれた前記エンコーダ用磁性体10A,10B,50に対して円周方向の張力を付与する張力付与手段40が設けられていても良い。
この場合、張力付与手段40によってエンコーダ用磁性体10A,10B,50に円周方向の張力が与えられ、固定部材32の円筒面部32aにエンコーダ用磁性体10A,10B,50がしっかりと固定される。
この発明において、前記エンコーダ用磁性体50が、前記未着磁の磁気トラック51を互いに隣合う配置で複列有する場合、これら複列の磁気トラック51のうちの着磁対象の磁気トラック51だけに磁束が流れるように定められた範囲外の磁束の流れを遮蔽する磁気シールド60が設けられていると良い。
磁気シールド60が設けられていると、着磁対象の磁気トラック51に隣合う磁気トラック51に対して、着磁ヘッド5a,5bからの漏れ磁束の影響を与えないようにできる。
参考提案例における磁気リニアエンコーダの製造方法は、外周面の少なくとも一部に円筒面部2a,22a,32aを有する固定部材2,22,32の前記円筒面部2a,22a,32aに、直線状の未着磁の磁気トラック11,51を有するエンコーダ用磁性体10A,10B,50を巻いて固定する前処理過程と、
前記固定部材2,22,32を前記円筒面部2a,22a,32aの中心軸と一致する回転軸O回りに回転させながら、前記円筒面部2a,22a,32aに巻かれた前記エンコーダ用磁性体10A,10B,50の前記未着磁の磁気トラック11,51に着磁する着磁過程と、
前記磁気トラック11,51に着磁後、前記固定部材2,22,32から前記エンコーダ用磁性体10A,10B,50を外して、前記磁気トラック11,51が直線状になるように戻す後処理過程とを含み、
前記前処理過程では、前記固定部材の前記円筒面部の表面に形成されている接着層の接着力により、前記磁気トラックが円筒状に保持されるように、前記エンコーダ用磁性体を前記固定部材に固定する、
ことを特徴とする。
この製造方法によると、固定部材2,22,32の円筒面部2a,22a,32aに巻いて円筒状に保持されたエンコーダ用磁性体10A,10B,50を回転させながら磁気トラック11,51に着磁するため、着磁ヘッド5a,5bとエンコーダ用磁性体10A,10B,50との相対移動を途中で止めることなく、磁気トラックに11,51に連続して着磁することができる。このため、着磁時間を短縮できる。また、連続して着磁するため、着磁電流を時間とともにきめ細かに制御することが可能である。これにより、着磁誤差の低減を図れる。さらに、着磁ヘッド5a,5bを停止させないので、着磁ヘッド5a,5bとエンコーダ用磁性体10A,10B,50との相対移動速度に変動よる着磁精度の低下を防ぐことができる。磁気トラック11,51への着磁が終了後、固定部材2,22,32からエンコーダ用磁性体10A,10B,50を外して、磁気トラック11,51が直線状になるように戻すことにより、磁気リニアエンコーダEが得られる。
この発明の磁気リニアエンコーダの製造方法は、外周面の少なくとも一部に円筒面部2a,22a,32aを有する固定部材2,22,32の前記円筒面部2a,22a,32aに、直線状の未着磁の磁気トラック11,51を有するエンコーダ用磁性体10A,10B,50を巻いて固定する前処理過程と、
前記固定部材2,22,32を前記円筒面部2a,22a,32aの中心軸と一致する回転軸O回りに回転させながら、前記円筒面部2a,22a,32aに巻かれた前記エンコーダ用磁性体10A,10B,50の前記未着磁の磁気トラック11,51に着磁する着磁過程と、
前記磁気トラック11,51に着磁後、前記固定部材2,22,32から前記エンコーダ用磁性体10A,10B,50を外して、前記磁気トラック11,51が直線状になるように戻す後処理過程とを含み、
前記前処理過程では、前記固定部材2,22,32の外周面における円筒面を平面で切欠いた平面状の切欠き部22d,32dに、未着磁の前記エンコーダ用磁性体10A,10B,50の端部10aを固定手段23,33で固定し、このとき、前記固定手段23,33が、前記固定部材2,22,32の前記円筒面部2a,22a,32aに巻かれた前記エンコーダ用磁性体10A,10B,50の外周面と同一中心軸かつ同一半径の仮想の円筒Dの内側に位置するように、前記エンコーダ用磁性体10A,10B,50を前記固定部材2,22,32に固定する、
ことを特徴とする。
の発明の磁気リニアエンコーダの着磁装置は、直線状の未着磁の磁気トラックを有するエンコーダ用磁性体に着磁して前記磁気トラックに磁気パターンが形成された磁気リニアエンコーダを得る着磁装置であって、外周面の少なくとも一部に円筒面部を有し、この円筒面部に前記エンコーダ用磁性体が巻かれることで前記磁気トラックが円筒状に保持された状態で前記エンコーダ用磁性体を固定する固定部材と、この固定部材を把持して前記円筒面部の中心軸と一致する回転軸回りに回転するチャックと、磁気ギャップを介して磁気的に対向する一対の着磁ヘッドを有し、前記チャックと前記固定部材とにより前記一対の着磁ヘッドに対して定められた位置および姿勢に配置された前記エンコーダ用磁性体における前記未着磁の磁気トラックを着磁する着磁ヨークと、この着磁ヨークに巻回された励磁コイルと、流れ方向が交互に切り替わる着磁電流を前記励磁コイルに供給する着磁電源とを備え、前記固定部材は外周面に切欠き部を有し、前記エンコーダ用磁性体の端部が前記切欠き部に固定手段によって固定され、前記固定手段が、前記固定部材の前記円筒面部に巻かれた前記エンコーダ用磁性体の外周面と同一中心軸かつ同一半径の仮想の円筒の内側に位置するため、着磁ヘッドとエンコーダ用磁性体との相対移動を途中で止めることなくエンコーダ用磁性体の未着磁の磁気トラックに連続して着磁することが可能で、着磁時間を短縮できると共に、着磁精度を向上させることができ、かつ円形状の磁気エンコーダの着磁に用いられる着磁装置を僅かに変更するだけで製作することができる。
この発明の磁気リニアエンコーダの製造方法は、外周面の少なくとも一部に円筒面部を有する固定部材の前記円筒面部に、直線状の未着磁の磁気トラックを有するエンコーダ用磁性体を巻いて固定する前処理過程と、前記固定部材を前記円筒面部の中心軸と一致する回転軸回りに回転させながら、前記円筒面部に巻かれた前記エンコーダ用磁性体の前記未着磁の磁気トラックに着磁する着磁過程と、前記磁気トラックに着磁後、前記固定部材から前記エンコーダ用磁性体を外して、前記磁気トラックが直線状になるように戻す後処理過程とを含み、前記前処理過程では、前記固定部材の外周面における円筒面を平面で切欠いた平面状の切欠き部に、未着磁の前記エンコーダ用磁性体の端部を固定手段で固定し、このとき、前記固定手段が、前記固定部材の前記円筒面部に巻かれた前記エンコーダ用磁性体の外周面と同一中心軸かつ同一半径の仮想の円筒の内側に位置するように、前記エンコーダ用磁性体を前記固定部材に固定するため、着磁ヘッドとエンコーダ用磁性体との相対移動を途中で止めることなくエンコーダ用磁性体の未着磁の磁気トラックに連続して着磁することが可能で、着磁時間を短縮できると共に、着磁精度を向上させることができる。
参考提案例にかかる着磁装置の概略構成を示す断面図である。 同着磁装置の固定部材およびこの固定部材に巻かれたエンコーダ用磁性体の平面図である。 同着磁装置のチャックおよびこのチャックに把持された固定部材の平面図である。 図1のIV−IV断面図である。 (A),(B)は互いに異なるエンコーダ用磁性体の斜視図である。 図1に示す着磁装置で図5(A)のエンコーダ用磁性体の磁気トラックに着磁して得られる磁気リニアエンコーダの斜視図である。 着磁電流の時間変化を示すグラフである。 この発明の一実施形態に係る着磁装置における固定部材およびこの固定部材に巻かれたエンコーダ用磁性体の平面図である。 図8のIX−IX断面図である。 図8、図9の固定部材に巻かれた図5(A)のエンコーダ用磁性体の磁気トラックに着磁して得られる磁気リニアエンコーダの斜視図である。 さらに異なる固定部材の断面図である。 さらに異なる固定部材およびこの固定部材に巻かれたエンコーダ用磁性体の一部を断面で表した平面図である。 図12のXIII矢視図である。 図13のXIV−XIV断面図である。 この発明の異なる実施形態にかかる着磁装置の概略構成を示す断面図である。 さらに異なるエンコーダ用磁性体の斜視図である。 図15に示す着磁装置で図16のエンコーダ用磁性体の磁気トラックに着磁して得られる磁気リニアエンコーダの斜視図である。
参考提案例を図1ないし図4と共に説明する。
この磁気リニアエンコーダの着磁装置1Aは、例えば図6に示すような、N極およびS極が直線方向に交互に並ぶ単列の磁気トラック11´を有する磁気リニアエンコーダEを製造するために用いられる。磁気リニアエンコーダEは、図5(A)または図5(B)に示すエンコーダ用磁性体10A,10Bの未着磁の磁気トラック11を着磁して得られる。
図5(A)に示すエンコーダ用磁性体10Aは、芯金12の片面に未着磁の磁気トラック11が形成されている。未着磁の磁気トラック11は、例えば磁性粉を含むゴム等からなる磁性体の層である。図5(A)の例では、磁性体の層の全体が磁気トラック11となっているが、磁性体の層における幅方向の一部だけが磁気トラック11となっていても良い。磁性体の層である磁気トラック11を芯金12に接着する方法として、加硫接着または直接接着がある。前記芯金12は、例えば帯状の金属板からなる。具体的には、厚さ0.05mmから0.2mm程度の金属板等の磁性体からなる。芯金12は、溶製材や鋼材の加工品であってもよい。芯金12の厚さは薄いので、このエンコーダ用磁性体10Aは、厚さ方向の可撓性を有する。
図5(B)に示すエンコーダ用磁性体10Bは、芯金を有さず、例えば磁性粉を含むゴムシートを帯状に切断したものであり、全体が未着磁の磁気トラック11となっている。図5(B)の例では、全体が磁気トラック11となっているが、ゴムシートおける幅方向の一部だけが磁気トラック11となっていても良い。このエンコーダ用磁性体10Bも、厚さ方向の可撓性を有する。
前記磁気トラック11の材料としては、上述の磁性粉を含むゴムの他に、磁性粉を含むプラスチック、焼結体等を使用することができる。但し、可撓性を損なわないという条件を満たす必要がある。これらエンコーダ用磁性体10A,10Bの磁気トラック11を着磁することによって磁石となる。磁石の種類としては、フェライト磁石、ネオジム磁石、ボンド磁石等である。
図1において、この着磁装置1Aはインデックス方式の構成であって、固定部材2と、チャック3と、チャック回転機構4と、着磁ヨーク5と、着磁ヨーク移動機構6と、励磁コイル7と、着磁電源8とを備える。図1は、図5(A)に示すエンコーダ用磁性体10Aの未着磁の磁気トラック11に着磁する場合を示している。
固定部材2は、外周面の円筒面部にエンコーダ用磁性体10Aが巻かれることで、前記磁気トラック11が円筒状に保持された状態でエンコーダ用磁性体10Aを固定する。この参考提案例の固定部材2は、図2に示すように平面形状が円形で、外周面の全体が円筒面部2aとなっている。この円筒面部2aの表面には、エンコーダ用磁性体10Aを固定するための接着層2bが形成されている。接着層2bは、例えば円筒面部2aに両面テープを貼ることで形成されるが、他の手法であっても構わない。
固定部材2の中心部には、クランプ用孔2cが設けられている。図の例では、クランプ用孔2cは円形であるが、円形以外の形状であっても良い。固定部材2は、全体が磁性体からなっている。長手方向の寸法が長いエンコーダ用磁性体10Aを巻くことが可能とするために、固定部材2の円筒面部2aの外径はより大きい方が好ましい。
図1において、チャック3は、固定部材2を所定の姿勢で把持する。所定の姿勢とは、固定部材2に固定されたエンコーダ用磁性体10Aの磁気トラック11が、後述する着磁ヨーク5の着磁ヘッド5a,5bに対して定められた位置関係となる姿勢である。
チャック3は、上面中央部に凸部3aを有する。この凸部3aは、例えば図3に示すような爪式構造のクランプ機構3bの一部をなす。この例の場合、凸部3aは、円周方向に3分割された平面形状が扇形の爪3aaからなる。各爪3aaは、互いに連動して径方向に移動可能である。前記クランプ機構3bは、上記各爪3aaと、これら各爪3aaを径方向に移動させる開閉機構(図示せず)とで構成される。
チャック3のクランプ機構3bは、固定部材2の前記クランプ用孔2cに凸部3aを挿入し、各爪3aaを外径側に移動させてクランプ用孔2cの内周面に押し当てることで、固定部材2を把持する。クランプ機構3bは、これ以外の構造のものであっても良い。この例では、チャック3の全体が磁性体からなっている。
図1において、チャック回転機構4は、チャック3を回転軸O回りに回転させる機構である。回転軸Oは、固定部材2の円筒面部2aの中心軸を一致する。チャック回転機構4は、回転駆動源としてのモータ(図示せず)と、このモータが組み込まれたスピンドル装置(図示せず)とを含む。
着磁ヨーク5は、エンコーダ用磁性体10Aの未着磁の磁気トラック11を着磁するものであり、磁気ギャップを介して磁気的に対向する一対の着磁ヘッド5a,5bを有する。一方の着磁ヘッド5aは、固定部材2に固定されたエンコーダ用磁性体10Aの未着磁の磁気トラック11に、一定の隙間を介して対峙させられる。他方の着磁ヘッド5bは、チャック3の側面に一定の隙間を介して対峙させられる。図4に示すように、一方の着磁ヘッド5aは、平面視において先端に行く程に幅が狭まる尖塔形状である。
着磁ヨーク移動機構6は、図1の左右方向(X軸方向)、上下方向(Y軸方向)、および前後方向(Z軸方向)に移動可能なXYZステージ(図示せず)を有し、このXYZステージに着磁ヨーク5が搭載されている。着磁ヨーク移動機構6により着磁ヨーク5を左右方向、上下方向、および前後方向に適宜移動させることで、一対の着磁ヘッド5a,5bを、エンコーダ用磁性体10Aの未着磁の磁気トラック11、およびチャック3の側面にそれぞれ適正な位置関係で対峙させる。
この参考提案例では、着磁ヨーク5に2つの励磁コイル7,7が巻かれている。着磁電源8は、これら2つの励磁コイル7,7に、流れ方向が交互に切り替わる着磁電流を供給する。励磁コイル7,7に電流が流れると、着磁ヨーク5の一対の着磁ヘッド5a,5bにN極、S極に対応する磁力が発生する。
この着磁装置1Aを用いた磁気リニアエンコーダの製造方法を説明する。
製造方法は大きく分けて、固定部材2の円筒面部2aにエンコーダ用磁性体10Aを巻いて固定する前処理過程と、固定部材2の円筒面部2aに巻かれたエンコーダ用磁性体10Aの磁気トラック11に着磁する着磁過程と、磁気トラック11に着磁後、固定部材2からエンコーダ用磁性体10Aを外して、磁気トラック11´が直線状になるように戻す後処理過程とからなる。
<前処理過程>
前処理過程では、固定部材2の円筒面部2aの表面に形成されている接着層2bの接着力によって、磁気トラック11が円筒状に保持されるようにエンコーダ用磁性体10Aを固定部材2に固定する。このように接着層2bによりエンコーダ用磁性体10Aを固定する形態であると、エンコーダ用磁性体10Aの広い範囲を固定部材2の円筒面部2aに固定することができるため、磁気トラック11を正確な円筒状に保持することができる。
エンコーダ用磁性体10Aとしては、固定部材2の円筒面部2aの周長よりも短いものを使用する。これにより、固定部材2にエンコーダ用磁性体10Aを巻いた場合、図2に示すように、固定部材2の外周の一部にエンコーダ用磁性体10Aの巻残し部からなる隙間13が生じる。このような隙間13があると、そこに指等を入れることができるので、後述の後処理過程において、固定部材2からエンコーダ用磁性体10Aを外す作業が容易となる。
上記のようにエンコーダ用磁性体10Aが巻いた状態で固定された固定部材2を、チャック3で把持する。そして、着磁ヨーク移動機構6により着磁ヨーク5を左右方向、上下方向、および前後方向に適宜移動させることで、一方の着磁ヘッド5aをエンコーダ用磁性体10Aの未着磁の磁気トラック11に対峙させ、かつ他方の着磁ヘッド5bをチャック3の側面に対峙させる。これにより、着磁ヨーク5の一方の着磁ヘッド5aから、磁気トラック11、芯金12、固定部材2、およびチャック3を経由して、着磁ヨーク5の他方の着磁ヘッド5bに戻る磁気ループLが形成される。
<着磁過程>
着磁過程では、固定部材2を把持したチャック3を回転軸O回りに回転させながら、着磁電源8により励磁コイル7,7に着磁電流を流す。図7に着磁電流シーケンスの一例を示す。着磁電流は、制御装置(図示せず)の制御により、短い周期で流れ方向が正逆交互に切り替わる。
励磁コイル7,7に着磁電流を流すことにより、磁気ループLに沿う図1の右回りの磁束の流れと左回りの磁束の流れとが繰り返され、一方の着磁ヘッド5a→磁気トラック11→芯金12→固定部材2→チャック3→他方の着磁ヘッド5bの順に磁束が流れる貫通磁束Mと、この逆の順に磁束が流れる貫通磁束Mとが交互に発生する。磁束が未着磁の磁気トラック11を通過する際に、磁気トラック11に含有されている磁性粉が励磁されて磁気トラック11が着磁される。磁気トラック11は回転軸O回りに回転しているため、周方向にN極およびS極が交互に並ぶ状態に着磁される。
この着磁装置1Aの場合、芯金12、固定部材2、およびチャック3が磁性体からなるため、これらが磁性体でない場合と比べて貫通磁束Mがより強くなり、十分な着磁強度が得られる。なお、芯金12、およびチャック3が非磁性体であっても、貫通磁束Mが多少弱くなり、着磁強度が若干弱くなるものの、着磁は可能である。
なお、他方の着磁ヘッド5bとチャック3の側面との隙間は、一方の着磁ヘッド5aと磁気トラック11との隙間と同程度であっても良いが、一方の着磁ヘッド5aと磁気トラック11との隙間よりも大きく設定してあっても良い。他方の着磁ヘッド5bとチャック3の側面との隙間を大きく設定することにより、他方の着磁ヘッド5bとチャック3間の磁気抵抗が大きくなり、前記磁気ループLの形成が弱まるが、その場合でも前記貫通磁束Mが発生するため、磁気トラック11への着磁が可能である。また、他方の着磁ヘッド5bをチャック3の側面から遠く離れた位置に配置した構成としても良い。
<後処理過程>
後処理過程では、固定部材2からエンコーダ用磁性体10Aを外して、着磁後の磁気トラック11´が直線状になるように戻す。これにより、直線状の磁気トラック11´にN極とS極とが交互に配置された磁気リニアエンコーダE(図6)が得られる。
この磁気リニアエンコーダの製造方法によると、インデックス方式の着磁装置1Aを使用して、固定部材2の円筒面部2aに巻いた状態で固定されたエンコーダ用磁性体10Aを回転させながら磁気トラック11に着磁するため、着磁ヘッド5a,5bとエンコーダ用磁性体10Aとの相対移動を途中で止めることなく、連続して磁気トラック11に着磁することができる。このため、着磁時間を短縮できる。また、往復着磁のように途中で着磁ヘッド5a,5bを停止させることなく、連続して着磁するため、図7に示すように、着磁電流を時間とともにきめ細かに制御することも可能である。これにより、着磁誤差の低減を図れる。さらに、着磁ヘッド5a,5bを停止させないので、着磁ヘッド5a,5bとエンコーダ用磁性体10Aとの相対移動速度の変動による着磁精度の低下を防ぐことができる。
加えて、未着磁の磁気トラック11を円筒状にして着磁するため、円形状の磁気エンコーダの着磁に用いられる着磁装置を僅かな変更を加えるだけで使用することができる。具体的には、円形状の磁気エンコーダの着磁に用いられる着磁装置に対して、固定部材2を追加するだけで済む。
図8、図9に、この発明の一実施形態に係る磁気リニアエンコーダの着磁装置における固定形態を示す。この実施形態は、前記参考提案例と比べて固定部材に対するエンコーダ用磁性体の固定形態が異なる。図8は固定部材およびこの固定部材に巻かれたエンコーダ用磁性体の平面図、図9は図8のIX−IX断面図である。
図8に示すように、この実施形態の固定部材22は、外周面に、円筒面部22aとは別に、2つの切欠き部22d,22dを有する。各切欠き部22dは平面状であり、2つの切欠き部22d,22dは互いに繋がっている。つまり、この固定部材22は、円柱の一部を、この円柱の中心軸つまり円筒面部2aの中心軸Cと平行で互いに交差する2つの平面で切り欠いた形状である。固定部材22の中心部には、前記実施形態のものと同様のクランプ用孔22cが設けられている。
図8、図9の例では、前記参考提案例と同様に、図5(A)に示すエンコーダ用磁性体10Aの未着磁の磁気トラック11に着磁する場合を示している。エンコーダ用磁性体10Aは、固定部材22の円筒面部22aに巻かれ、両端部10a,10aが切欠き部22d,22dに固定手段23,23でそれぞれ固定される。固定手段23は、エンコーダ用磁性体10Aの端部10aを押える押え部材24と、この押え部材24を固定部材22に固定するボルト25とでなる。固定手段23の押え部材24およびボルト25は、固定部材22の円筒面部22aに巻かれたエンコーダ用磁性体10Aの外周面と同一中心軸かつ同一半径の仮想の円筒Dの内側に位置している。
このように固定手段23を用いてエンコーダ用磁性体10Aを固定する形態であると、エンコーダ用磁性体10Aの磁気トラック11に着磁後、固定手段23によるエンコーダ用磁性体10Aの固定を解除することで、固定部材22からエンコーダ用着磁体10Aを容易に外すことができる。固定手段23を前記仮想の円筒Dの内側に位置させることにより、磁気トラック11に着磁を行うにあたって固定部材22を回転させるとき、固定手段23が回転の邪魔にならない。このため、エンコーダ用磁性体10Aの磁気トラック11に着磁ヨーク5の着磁ヘッド5aを接近させることができ、精度の良い着磁を行うことができる。
着磁装置としては、固定部材2,22が異なる点を除けば図1の参考提案例のものと同じ着磁装置1Aが使用される。図8、図9の固定部材22を用いた着磁装置1Aでエンコーダ用磁性体10Aの磁気トラック11に着磁する場合、固定部材22の切欠き部22d,22dに接する端部10aの磁気トラック11には着磁されないので、着磁後の磁気リニアエンコーダEは図10のようになる。すなわち、磁気リニアエンコーダEの磁気トラック11´の両端部10aに、未着磁の部分が残る。磁気リニアエンコーダEはこのまま使用することも可能であるが、磁気リニアエンコーダEにおける磁気トラック11が未着磁の部分を切断により除去して使用してもよい。
図11は、図8、図9の固定部材の改良例を示す。この固定部材22は、円筒面部22aの軸方向両端縁にリブ26が設けられている。リブ26が設けられていることにより、固定部材22の円筒面部22aにエンコーダ用磁性体10Aを巻いたときに、エンコーダ用磁性体10Aが円筒面部22aから軸方向に外れないようにできる。
図12〜図14に、固定手段を用いてエンコーダ用磁性体を固定する形態の改良例を示す。図12は固定部材およびこの固定部材に巻かれたエンコーダ用磁性体の一部を断面で表した平面図、図13は図12のXIII矢視図、図14は図13のXIV−XIV断面図である。
図12に示すように、この例の固定部材32は、外周面に、円筒面部32aとは別に、1つの切欠き部32dを有する。切欠き部32dの側面は、平面状である。つまり、この固定部材32は、円柱の一部を、この円柱の中心軸つまり円筒面部2aの中心軸Cと平行な1つの平面で切り欠いた形状である。長手方向の寸法が長いエンコーダ用磁性体10A,10Bを巻くことが可能とするために、切欠き部32dとして切り欠かれる部分の周長は、円筒面部32aの周長に比べてなるべく短いのが好ましい。固定部材32の中心部には、前記参考提案例のものと同様のクランプ用孔32cが設けられている。
図の例では、前記参考提案例と同様に、図5(A)に示すエンコーダ用磁性体10Aの未着磁の磁気トラック11に着磁する場合を示している。エンコーダ用磁性体10Aは、固定部材32の円筒面部32aに巻かれ、両端部10a,10aが切欠き部32dに固定手段33,33でそれぞれ固定される。固定手段33は、エンコーダ用磁性体10Aの端部10aを押える押え部材34と、この押え部材34を固定部材32に固定するボルト35とでなる。固定手段33の押え部材34およびボルト35は、固定部材32の円筒面部32aに巻かれたエンコーダ用磁性体10Aの外周面と同一中心軸かつ同一半径の仮想の円筒Dの内側に位置している
前記押え部材34には、固定部材33の内径側に突出する固定ピン36が固定支持されており、この固定ピン36が、エンコーダ用磁性体10Aの端部10aに開けられたピン孔37に挿通されている。固定ピン36と固定部材33とが互いに干渉しないように、固定部材33の切欠き部32dに、ピン孔37からのピン36の突出部が配置される凹部38が設けられている。
また、この固定形態では、固定部材32の円筒面部32aに巻かれたエンコーダ用磁性体10Aに対して円周方向の張力を付与する張力付与手段40(図14)が設けられている。張力付与手段40は、以下の構成である。
すなわち、図14に示すように、片方の押え部材34(図14の左側の押え部材)の上下2箇所に、紙面の左右方向に貫通する貫通孔41が設けられ、他方の押え部材34(図14の右側の押え部材)の上下2箇所に、前記貫通孔41と同軸のタップ孔42が設けられている。左側から貫通孔41に挿通した張力付与ボルト43をタップ孔42に螺合させ、その張力付与ボルト43を締め付けることで、一対の押え部材34が互いに引き寄せられて、エンコーダ用磁性体10Aに円周方向の張力が与えられる。これにより、固定部材32の円筒面部32aにエンコーダ用磁性体10Aがしっかりと固定される。
図15はこの発明の異なる実施形態を示す。この磁気リニアエンコーダの着磁装置1Bは、例えば図17に示すような、磁気トラック51´が複列に並ぶ磁気リニアエンコーダEを製造するために用いられる。図16に示すように、エンコーダ用磁性体50は、複列の未着磁の磁気トラック51を有し、これら磁気トラック51を着磁することで、図17の磁気リニアエンコーダEが得られる。図17に示すエンコーダ用磁性体50は芯金52を有するが、芯金52は無くても良い。
図15において、着磁ヨーク5の一方の着磁ヘッド5aが、固定部材2に固定されたエンコーダ用磁性体50の複列の未着磁の磁気トラック51,51のうちの着磁対象となる磁気トラック51に一定の隙間を介して対峙させられ、他方の着磁ヘッド5bが、チャック3の側面に一定の隙間を介して対峙させられる。図15は、着磁ヘッド5aが、エンコーダ用磁性体50の下側の磁気トラック51に対峙している状態を示している。着磁ヨーク移動機構6により着磁ヨーク5の上下方向位置を切り替えることで、着磁ヘッド5aが下側の磁気トラック51に対峙する状態と、上側の磁気トラック51に対峙する状態とに切り替えることができる。
この着磁装置1Bには、複列の磁気トラック51,51のうちの着磁対象の磁気リニアトラック51だけに磁束が流れるように定められた範囲外の磁束の流れを遮蔽する磁気シールド60が設けられている。磁気シールド60は、中央部に貫通孔61を有し、この貫通孔61に一方の着磁ヘッド5aが挿通される。磁気シールド60の断面形状は、縦断面および横断面共に、貫通孔61に近づくに従い厚みが連続的に薄くなる形状、つまりナイフエッジ形状である。磁気シールド60は、支持部材62の先端に支持されている。支持部材62の基端は、着磁ヨーク5における他方の着磁ヘッド5bに比較的近い位置に固定されている。
この着磁装置1Bも、前記着磁装置1Aと同様に、固定部材2の円筒面部2aにエンコーダ用磁性体50を巻いた状態で固定し、固定部材2を把持したチャック3を回転軸O回りに回転させながら、着磁電源8により励磁コイル7,7に着磁電流を流すことで、エンコーダ用磁性体50の片方の磁気トラック51に着磁する。次いで、着磁ヨーク移動機構6により着磁ヨーク5の上下方向位置を切り替えて、もう片方の磁気トラック51にも着磁する。その後、固定部材2からエンコーダ用磁性体50を外して、磁気トラック51,51が直線状になるように戻すことにより、複列の磁気トラック51´,51´がそれぞれ着磁された磁気リニアエンコーダE(図17)が得られる。
例えば、複列の磁気トラック51´,51´はそれぞれ長手方向の着磁幅が異なるように着磁される。このように磁気トラック51´,51´が着磁された磁気リニアエンコーダEに磁気センサ(図示せず)を対峙させ、その磁気センサを用いて磁気位相を検出することにより、絶対位置を検出することができる。
接着層2bでエンコーダ用磁性体10Aを固定する固定部材2(図2)を使用すれば、図17のように、磁気トラック51´,51´の末端まで着磁することができる。固定手段23,33でエンコーダ用磁性体10Aを固定する固定部材2(図8、図12)を使用すれば、磁気トラック51´,51´の端部に未着磁の部分が残る(図示せず)。この未着磁の部分は切断して、磁気リニアエンコーダEを使用してもよい
この着磁装置1Bの構成によると、磁気シールド60が設けられているため、一方の着磁ヘッド5aからチャック3へ向かう磁束の流れ、またはその逆方向の磁束の流れのうちの定められた範囲外の磁束の流れが遮蔽される。これにより、着磁される磁気トラック51に隣合う磁気トラック51に対して、一方の着磁ヘッド5aからの漏れ磁束の影響を与えないようにできる。磁気シールド60に流れた漏れ磁束は、支持部材62を通って他方の着磁ヘッド5bに逃がされる。
以上、実施例に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1A,1B…着磁装置
2…固定部材
2a…円筒面部
2b…接着
…チャック
5…着磁ヨーク
5a,5b…着磁ヘッド
7…励磁コイル
8…着磁電源
10A,10B…エンコーダ用磁性体
11…未着磁の磁気トラック
11´…着磁された磁気トラック
22…固定部材
22a…円筒面部
22d…切欠き部
23…固定手段
32…固定部材
32a…円筒面部
32d…切欠き部
33…固定手段
40…張力付与手段
50…エンコーダ用磁性体
51…未着磁の磁気トラック
51´…着磁された磁気トラック
60…磁気シールド
E…磁気リニアエンコーダ
D…仮想の円筒
O…回転軸

Claims (4)

  1. 直線状の未着磁の磁気トラックを有するエンコーダ用磁性体に着磁して前記磁気トラックに磁気パターンが形成された磁気リニアエンコーダを得る着磁装置であって、
    外周面の少なくとも一部に円筒面部を有し、この円筒面部に前記エンコーダ用磁性体が巻かれることで前記磁気トラックが円筒状に保持された状態で前記エンコーダ用磁性体を固定する固定部材と、この固定部材を把持して前記円筒面部の中心軸と一致する回転軸回りに回転するチャックと、磁気ギャップを介して磁気的に対向する一対の着磁ヘッドを有し、前記チャックと前記固定部材とにより前記一対の着磁ヘッドに対して定められた位置および姿勢に配置された前記エンコーダ用磁性体における前記未着磁の磁気トラックを着磁する着磁ヨークと、この着磁ヨークに巻回された励磁コイルと、流れ方向が交互に切り替わる着磁電流を前記励磁コイルに供給する着磁電源とを備え、前記固定部材は外周面に切欠き部を有し、前記エンコーダ用磁性体の端部が前記切欠き部に固定手段によって固定され、前記固定手段が、前記固定部材の前記円筒面部に巻かれた前記エンコーダ用磁性体の外周面と同一中心軸かつ同一半径の仮想の円筒の内側に位置する磁気リニアエンコーダの着磁装置。
  2. 直線状の未着磁の磁気トラックを有するエンコーダ用磁性体に着磁して前記磁気トラックに磁気パターンが形成された磁気リニアエンコーダを得る着磁装置であって、
    外周面の少なくとも一部に円筒面部を有し、この円筒面部に前記エンコーダ用磁性体が巻かれることで前記磁気トラックが円筒状に保持された状態で前記エンコーダ用磁性体を固定する固定部材と、この固定部材を把持して前記円筒面部の中心軸と一致する回転軸回りに回転するチャックと、磁気ギャップを介して磁気的に対向する一対の着磁ヘッドを有し、前記チャックと前記固定部材とにより前記一対の着磁ヘッドに対して定められた位置および姿勢に配置された前記エンコーダ用磁性体における前記未着磁の磁気トラックを着磁する着磁ヨークと、この着磁ヨークに巻回された励磁コイルと、流れ方向が交互に切り替わる着磁電流を前記励磁コイルに供給する着磁電源とを備え、前記固定部材は外周面に切欠き部を有し、前記エンコーダ用磁性体の端部が前記切欠き部に固定手段によって固定され、前記固定手段が、前記固定部材の前記円筒面部に巻かれた前記エンコーダ用磁性体の外周面と同一中心軸かつ同一半径の仮想の円筒の内側に位置し、
    前記固定部材の前記円筒面部に巻かれた前記エンコーダ用磁性体に対して円周方向の張力を付与する張力付与手段が設けられた磁気リニアエンコーダの着磁装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の磁気リニアエンコーダの着磁装置において、前記エンコーダ用磁性体は、前記未着磁の磁気トラックを互いに隣合う配置で複列有し、これら複列の磁気トラックのうちの着磁対象の磁気トラックだけに磁束が流れるように定められた範囲外の磁束の流れを遮蔽する磁気シールドが設けられた磁気リニアエンコーダの着磁装置。
  4. 外周面の少なくとも一部に円筒面部を有する固定部材の前記円筒面部に、直線状の未着磁の磁気トラックを有するエンコーダ用磁性体を巻いて固定する前処理過程と、
    前記固定部材を前記円筒面部の中心軸と一致する回転軸回りに回転させながら、前記円筒面部に巻かれた前記エンコーダ用磁性体の前記未着磁の磁気トラックに着磁する着磁過程と、
    前記磁気トラックに着磁後、前記固定部材から前記エンコーダ用磁性体を外して、前記磁気トラックが直線状になるように戻す後処理過程とを含み、
    前記前処理過程では、前記固定部材の外周面における円筒面を平面で切欠いた平面状の切欠き部に、未着磁の前記エンコーダ用磁性体の端部を固定手段で固定し、このとき、前記固定手段が、前記固定部材の前記円筒面部に巻かれた前記エンコーダ用磁性体の外周面と同一中心軸かつ同一半径の仮想の円筒の内側に位置するように、前記エンコーダ用磁性体を前記固定部材に固定する、
    ことを特徴とする磁気リニアエンコーダの製造方法。
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