JP3970687B2 - 磁気エンコーダの着磁装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車輪軸受等に用いられる磁気エンコーダの着磁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輪軸受等に用いられ車輪回転数の検出などに用いられる磁気エンコーダとして、磁性部材を環状部材に円周状に形成し、その磁性部材を周方向に多極磁化したものが用いられている。この磁気エンコーダによる回転数の検出は、磁気エンコーダを回転体と共に回転させ、磁性部材に近接対峙させた磁気センサにより磁性部材の回転を検出することにより行われる。
従来、このような磁気エンコーダにおける磁性部材の着磁方法として、一発着磁方法とインデックス着磁方法とがある。
【0003】
図6は、磁気エンコーダを一発着磁する方法を示す。着磁前の磁気エンコーダ80として、金属環からなる環状部材81の外周面に磁性部材82を設けたものが準備される。この磁気エンコーダ80における磁性部材82の表面に励磁コイル83の各周の巻き線が対向するように、励磁コイル83を支持する着磁ヨーク84が配置される。この状態で、励磁コイル83に所定方向に電流を流すことにより、磁性部材82が着磁されて周方向に多極磁化される。
【0004】
図7は、磁気エンコーダ80の磁性部材82をインデックス着磁する方法を示す図である。この場合も、着磁前の磁気エンコーダ80として、金属環からなる環状部材81の外周面に磁性部材82を設けたものが準備される。この磁気エンコーダ80における磁性部材82の外周面に、励磁コイル93を巻き付けた着磁ヨーク94の一対の対向端部94a,94bが近接配置される。この状態で、励磁コイル93に電流を流すことにより、着磁ヨーク94内を所定方向に通る磁束aが発生し、対向端部94a,94b間を通る磁束aによって磁性部材82が着磁されてN極およびS極の一対の磁極が得られる。この後、磁気エンコーダ80を所定角度回転させて上記着磁を行うという工程を繰り返すことにより、磁性部材82の全周が周方向に多極磁化される。なお、この方法を、以下この明細書において表層着磁法と呼ぶ。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図6に示す一発着磁法の場合、一般的には着磁強度は大きいものの、磁極の配列ピッチが狭ピッチ(約1.5mmの磁極幅以下)になると、着磁ヨーク84に励磁コイル83を巻くスペースがなくなる。そのため着磁強度が不十分となったり、磁極1個ずつの製作精度や励磁コイル83の巻き方による着磁むらが大きくなるという問題点があった。
【0006】
これに対して、図7に示す表層着磁法では、着磁ヨーク94の対向端部94a,94bが一対であるため、着磁前の磁気エンコーダ80を回転させるスピンドルの割出し精度さえ確保すれば、着磁ピッチ精度は良好になる。しかし、この着磁方法では、磁性部材82の表層しか着磁することができないため、着磁強度が小さいという問題点があった。
【0007】
特に、近年、磁性部材82としてフェライト磁石の替わりに磁束密度の大きい希土類磁石が採用される傾向にあり、従来に増して着磁の際に高磁界を印加しないと十分な着磁強度を得ることができず、その面からも高磁界が可能な着磁方法が望まれている。
【0008】
この発明の目的は、磁気エンコーダの磁性部材を希土類磁石とした場合でも、一発着磁法で着磁した場合と同程度に大きい着磁強度が得られ、かつ表層着磁法で着磁した場合と同程度に着磁ピッチ誤差を小さくできる磁気エンコーダの着磁装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の磁気エンコーダの着磁装置は、環状の磁性部材または磁性部材を環状部材に円周状に設けた複合部材からなる未着磁の磁気エンコーダに、円周方向に並ぶ多数の磁極を着磁する装置である。
この発明装置は、上記磁気エンコーダを保持して回転させる保持回転装置と、この保持回転装置に保持された磁気エンコーダの片面に一端が対峙し、他端が上記磁気エンコーダの円周部分を挟む反対側の片面に対し、磁束をこの磁気エンコーダに貫通させる着磁ヨークと、この着磁ヨークを直交する3軸方向に位置決めする位置決め手段と、上記保持回転装置を回転駆動するモータと、上記保持回転装置の回転角を検出するエンコーダと、着磁ヨークに巻かれたコイルに電流の充電・放電を行うコンデンサを含む電源装置とを備え、上記電源装置は、上記コイルに切替器を介して互いに切替可能に接続されてそれぞれ上記磁気エンコーダの磁性部材をN極に着磁する電流を与えるN極電源、および上記磁気エンコーダの磁性部材をS極に着磁する電流を与えるS極電源を有し、上記コンデンサとして、上記N極電源と切替器との間に接続されて上記磁性部材の一部にN極の着磁を行わせる電流を一旦蓄える第1のコンデンサと、上記S極電源と切替器との間に接続されて上記磁性部材の一部にS極の着磁を行わせる電流を一旦蓄える第2のコンデンサとを有し、これら二個のコンデンサにおける電流の充電・放電をそれぞれ制御する二個のスイッチを設けたことを特徴とする
この構成の着磁装置によると、着磁ヨークの一端および他端を上記の配置とすることにより、磁気回路的に着磁ヨークは磁気エンコーダを含んで閉じた配置となり、着磁ヨークで挟み込まれた部分において、磁気エンコーダの磁性部材を磁束が貫通して着磁が行われる。このように磁束を貫通させて着磁するため、着磁強度を強くすることができる。励磁コイルに流す励磁電流は、コンデンサに充電したものを使用するため、短時間で大電流が流せるようになる。また、着磁ヨークは、上記のように一端および他端を配置できるものであれば良く、スペース上の制限がなくて、着磁ヨークに励磁コイルを巻回するスペースを十分確保できる。そのため、着磁電流として大電流を流せるような大きなコイル径の励磁コイルを選択できたり、励磁コイルの巻数を多くすることができる。これらのため、磁気エンコーダの磁性部材を希土類磁石とした場合でも、一発着磁法で着磁した場合と同程度、もしくはそれ以上に大きい着磁強度が得られる。したがって、磁気エンコーダの磁性部材が希土類磁石の磁石である場合でも、一発着磁法で着磁した場合と同程度もしくはそれ以上に大きい着磁強度が得られ、かつ表層着磁法で着磁した場合と同程度に着磁ピッチ誤差を小さくできる。特に、着磁ヨークに巻回された励磁コイルに流す励磁電流は、コンデンサに充電したものを使用するため、短時間で大電流が流せるようになり、より着磁強度を強くすることができる。
【0013】
また、電流の充電・放電を行うコンデンサとして、上記N極電源と切替器との間に接続されて上記磁性部材の一部にN極の着磁を行わせる電流を一旦蓄える第1のコンデンサと、上記S極電源と切替器との間に接続されて上記磁性部材の一部にS極の着磁を行わせる電流を一旦蓄える第2のコンデンサとを有するため、励磁電流を充電する時間を待つ必要がなくなり、サイクルタイムの短縮が期待できる。なお、さらに着磁電源を、磁性部材をN極に着磁する電流を与えるN極電源、磁性部材をS極に着磁する電流を与えるS極電源として複数持つことにより、着磁条件を変えることで、N極とS極とが同一着磁強度となるように制御することが容易となる。
この発明の他の発明に係る磁気エンコーダの着磁装置は、環状の磁性部材または磁性部材を環状部材に円周状に設けた複合部材からなる未着磁の磁気エンコーダに、円周方向に並ぶ多数の磁極を着磁する磁気エンコーダの着磁装置において、上記磁気エンコーダを磁性体からなる回転部材で保持して前記回転部材と共に回転させる保持回転装置と、この保持回転装置に保持された磁気エンコーダの外周面に一端が対峙し、他端が上記回転部材に対峙し、磁束をこの磁気エンコーダに貫通させる着磁ヨークと、この着磁ヨークを直交する3軸方向に位置決めする位置決め手段と、上記保持回転装置を回転駆動するモータと、上記保持回転装置の回転角を検出するエンコーダと、着磁ヨークに巻かれたコイルに対して電流の充電・放電を行うコンデンサを含む電源装置とを備え、上記電源装置は、上記コイルに切替器を介して互いに切替可能に接続されてそれぞれ上記磁気エンコーダの磁性部材をN極に着磁する電流を与えるN極電源、および上記磁気エンコーダの磁性部材をS極に着磁する電流を与えるS極電源を有し、上記コンデンサとして、上記N極電源と切替器との間に接続されて上記磁性部材の一部にN極の着磁を行わせる電流を一旦蓄える第1のコンデンサと、上記S極電源と切替器との間に接続されて上記磁性部材の一部にS極の着磁を行わせる電流を一旦蓄える第2のコンデンサとを有し、これら二個のコンデンサにおける電流の充電・放電をそれぞれ制御する二個のスイッチを設けたことを特徴とする。この構成の着磁装置によると、前記と同様の作用、効果を奏する。
この発明において、上記電源装置は着磁制御手段を有し、この着磁制御手段により、N,Sの各極電源のパルス電流として供給する電流供給タイミング、電流の強さの制御、切替器、および二個のスイッチの切替制御が行われるものであっても良い。
【0014】
この発明装置において、上記着磁ヨークに冷却手段が設けられたものとしても良い。このように冷却手段を設けることより、着磁ヨークの温度上昇を防ぐことができ、連続した着磁が可能となる。
特に、複数個の着磁電源を交互に使用すれば、着磁時間の短縮にも繋がり、また着磁ヨークの設計の自由度が高いために、ヨーク内に冷却水を流すことも可能となり、高温となることが防げて、連続した着磁が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図3と共に説明する。図1は、この磁気エンコーダの着磁装置の概念構成を示す。この着磁装置は、着磁対象となる未着磁の磁気エンコーダ60を回転部材52を介して回転させる保持回転装置1と、その回転駆動用のモータ2と、着磁ヘッド3と、この着磁ヘッド3を直交する3軸方向に位置決めする位置決め手段4と、着磁電源装置5と、制御手段6とを備える。モータ2は、エンコーダ7を有する。また、保持回転装置1に保持された磁気エンコーダ60の磁気を検出する磁気センサ8が設けられている。
【0016】
着磁ヘッド3は、図2に要部を拡大して示すように、着磁ヨーク9と励磁コイル10とでなる。励磁コイル10は着磁ヨーク9の外周に巻かれている。着磁ヨーク9は、着磁のための磁束aを磁気エンコーダ60に貫通させるものであり、歯形とされた一対の端部である一端9aおよび他端9bを有する。その一端9aは磁気エンコーダ60の表面である外周面に、他端9bは磁気エンコーダ60の裏面である内周面にそれぞれ対面するように対向配置される。着磁ヨーク9の両端9a,9bと、磁気エンコーダ60の表裏面との間には隙間を持たせてある。着磁前の磁気エンコーダ60は、芯金からなる環状部材61の外周に磁性部材62を円周状に設けた複合部材とされる。磁性部材62は、磁性体粉を混入したゴムまたはプラスチックからなる。磁気エンコーダ60は、環状の磁性部材だけの単体からなるもの、例えば磁性体の焼結合金からなるものであっても良い。
【0017】
図1に示すように、保持回転装置1は、ハウジング11に主軸12を回転自在に支持したものであり、回転振れが少なく、かつインデックス精度に優れたものが好ましい。
【0018】
位置決め手段4は、着磁ヘッド3を直交する3軸方向(X軸,Y軸,Z軸の方向)に位置調整可能に位置決めする手段であり、いわゆるX,Y,Zテーブルが用いられる。位置決め手段4は、固定基台4a上にX軸テーブル4xを前後方向(X軸方向)に進退自在に設置し、Xテーブル4xにY軸テーブル4yを左右方向(Y軸方向)に進退自在に設置し、Y軸テーブル4y上にZ軸テーブル4zを上下移動自在に設置し、Z軸テーブル4zに着磁ヘッド3を搭載している。各軸のテーブル4x〜4zは、例えばサーボモータなどの駆動源(図示せず)によりそれぞれ進退駆動される。なお、テーブル4x〜4zは、手動で進退させるものであっても良い。
【0019】
着磁電源装置5は着磁ヘッド3の励磁コイル10に着磁電流を与える手段である。着磁電源装置5には、磁気エンコーダ60の外周側部材である磁性部材62をN極に着磁する電流を与えるN極電源5nと、S極に着磁する電流を与えるS極電源5sとが個別に設けられ、切替器5aにより、両電源5n,5sと励磁コイル10との接続の切替えが行われる。また、着磁電源装置5には、励磁コイル10に流す電流を一旦蓄える一対のコンデンサ5c,5eと、これらコンデンサ5c,5eでの励磁電流の充電・放電を制御するスイッチ5b,5dとが含まれている。
【0020】
着磁電源装置5は、付属のコントローラとして、着磁制御手段14を有していて、着磁制御手段14によりN,Sの各極電源5n,5sのパルス電流として供給する電流供給タイミング,電流の強さの制御、および切替器5a,スイッチ5b,5dの切替制御が行われる。着磁制御手段14は、マイクロコンピュータやその他の電子機器で構成される。
【0021】
制御手段6は、着磁電源装置5と、保持回転装置1と、位置決め手段4とを制御する手段であり、着磁電源装置5に備えられた上記の着磁制御手段14と、その上位制御手段となる全体制御手段15とを備える。全体制御手段15は、パーソナルコンピュータ等からなる。制御手段6は、上記各手段の他に、位置決め手段4の各軸の駆動源(図示せず)を制御する手段(図示せず)を有している。
【0022】
つぎに、着磁方法を説明する。先ず着磁対象の磁気エンコーダ60を保持回転装置1で保持し、任意の回転角度に位置決めする。その後、スイッチ5bを開にして、コンデンサ5cに蓄えられた励磁電流を励磁コイル10に流す。これにより、磁気エンコーダ60の表裏に両端9a,9bの対面する着磁ヨーク9が励磁され、図3のように磁束aが磁気エンコーダ60の表裏を貫通することで、磁気エンコーダ60における磁性部材62の一部にN極の着磁が行われる。
次のS極の着磁では、先ず磁気エンコーダ60の磁極ピッチに相当する回転角度だけ磁気エンコーダ60を回転させて位置決めする。この位置決め状態で、切替器5aをS極側にし、スイッチ5dを開にしてコンデンサ5eに蓄えられた励磁電流を励磁コイル10に流すことにより、磁気エンコーダ60における磁性部材62の前記N極の着磁部に隣接する部分にS極の着磁が行われる。
【0023】
このとき、コンデンサ5cへの充電は、切替器5aをN極側に対して開、スイッチ5bを閉として行われるが、他方のコンデンサ5eが放電動作を行っているときに行うものとすれば、着磁時間を短縮することができ、サイクルタイムの短縮が期待できる。
【0024】
磁気エンコーダ60の周方向に沿っての多極着磁は、磁気エンコーダ60の磁極ピッチに相当する回転角度だけ磁気エンコーダ60を順次回転させて行われ、次々に上記着磁動作を繰り返すことにより多極着磁が完了する。また、1回転の間にn回の着磁を行う場合に、少なくとも(n+1)回以上の着磁動作を行えば、初回の着磁位置も上書きされることになるので、着磁ピッチ精度の向上が期待できる。
【0025】
この着磁装置では、励磁コイル10が巻かれて着磁ヘッド3を構成する着磁ヨーク9は、その一端9aが磁気エンコーダ60の表面である外周面に、他端9bが磁気エンコーダ60の裏面である内周面にそれぞれ対面するように対向配置され、着磁のための磁束aを磁気エンコーダ60に貫通させるようにしているので、従来例の場合に比べて、励磁コイル10の巻回スペースについて自由度が大きくなると共に、線径の大きい励磁コイル10の選定やターン数の増加が期待できる。そのため、磁気エンコーダ60の磁性部材62が希土類磁石のように着磁の際に高磁界が要求されるものであっても着磁が可能となり、着磁強度も高めることができる。
また、着磁ヨーク9の設計に関しても自由度が高いため、着磁ヨーク9に冷却水を循環させて冷却する冷却手段を設けることも可能となり、着磁ヨーク9の温度上昇を防ぐことができ、連続した着磁が可能となる。
【0026】
また、この着磁装置では、着磁ヨーク9に巻かれた励磁コイル10に流す着磁電流として、コンデンサ5c,5dに充電したものを使用するようにしているので、短時間に大電流を流すことができる。
【0027】
さらに、この着磁装置では、N極電源5nとS極電源5sを別々に持っているので、N極とS極の着磁強度を調整して同一着磁強度となるように制御することが可能である
【0028】
上記の着磁過程において、保持回転装置1を回転駆動するモータ2の原点位置はエンコーダ7により検出され、そのエンコーダ信号に基づき、着磁開始位置が、着磁電源装置5の着磁電流の供給タイミングによって制御される。また、着磁と共に、その着磁された磁気エンコーダ60の各磁極の着磁強度が磁気センサ8によって検出され、その検出信号に基づき、着磁電流の強さが着磁制御手段14により制御される。
【0029】
このように、磁気センサ8を用いているため、着磁と同時に着磁結果を検査することもできる。すなわち、着磁ヨーク9で着磁を行っているときに、磁気エンコーダ60の着磁済み部分の磁気を磁気センサ8で検出し、その検出結果を検査することができる。このように、着磁と同時に着磁結果を検査できるため、着磁の後に品質管理のための着磁強度の検査を行うことが省略でき、サイクルタイムの短縮に繋がる。例えば、出荷保証データとなる着磁強度のデータを、着磁時に得ることができる。
【0030】
図4および図5は、この発明の他の実施形態にかかる着磁装置および着磁方法を示す。この実施形態では、着磁ヨーク9の一端9aを磁気エンコーダ60の外周面に、他端9bを保持回転装置1における磁性体からなる回転部材52の外周面にそれぞれ対峙させることで、着磁ヨーク9の磁束aが閉回路を形成するようにしている。そのため、着磁ヨーク9が磁気エンコーダ60に対してはその片面(外周面)にのみ対峙する方法でありながら、磁束の流れを閉回路とでき、着磁強度を強くすることができる。
【0031】
図5に着磁ヨーク9の拡大図を示すように、この実施形態では、着磁ヨーク9と磁気エンコーダ60の間、および着磁ヨーク9と回転部材52との間に隙間を持たせている。ただし、位置決め後、静止した状態で着磁する場合には、着磁ヨーク9の隙間をゼロとすることも可能であり、着磁強度を高めることができ、着磁ピッチ精度の向上も望める。なお、回転する場合には、着磁ヘッド3を退避させることにより、磁気エンコーダ60を傷つけることが回避できる。
【0032】
なお、この発明の着磁方法,着磁装置で着磁された磁気エンコーダは、例えば車輪用軸受(図示せず)における回転側の部材に取付けられる。
【0033】
【発明の効果】
の発明の着磁装置は、磁気エンコーダを保持して回転させる保持回転装置と、この保持回転装置に保持された磁気エンコーダの片面に一端が対峙し、他端が上記磁気エンコーダの円周部分を挟む反対側の片面に対し、磁束をこの磁気エンコーダに貫通させる着磁ヨークと、この着磁ヨークを直交する3軸方向に位置決めする位置決め手段と、上記保持回転装置を回転駆動するモータと、上記保持回転装置の回転角を検出するエンコーダと、着磁ヨークに巻かれたコイルに電流の充電・放電を行うコンデンサを含む電源装置とを備え、上記電源装置は、上記コイルに切替器を介して互いに切替可能に接続されてそれぞれ上記磁気エンコーダの磁性部材をN極に着磁する電流を与えるN極電源、および上記磁気エンコーダの磁性部材をS極に着磁する電流を与えるS極電源を有し、上記コンデンサとして、上記N極電源と切替器との間に接続されて上記磁性部材の一部にN極の着磁を行わせる電流を一旦蓄える第1のコンデンサと、上記S極電源と切替器との間に接続されて上記磁性部材の一部にS極の着磁を行わせる電流を一旦蓄える第2のコンデンサとを有し、これら二個のコンデンサにおける電流の充電・放電をそれぞれ制御する二個のスイッチを設けたため、磁気エンコーダの磁性部材を希土類磁石とした場合でも、一発着磁法で着磁した場合と同程度もしくはそれ以上に大きい着磁強度が得られ、かつ表層着磁法で着磁した場合と同程度に着磁ピッチ誤差を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる磁気エンコーダの着磁装置の概念構成を示す断面図である。
【図2】同着磁装置における着磁ヘッドの部分拡大図である。
【図3】着磁ヨークの両端と磁気エンコーダとの位置関係を示す説明図である。
【図4】この発明の他の実施形態にかかる磁気エンコーダの着磁装置の概念構成を示す断面図である。
【図5】同着磁装置における着磁ヘッドの部分拡大図である。
【図6】従来例の説明図である。
【図7】他の従来例の説明図である。
【符号の説明】
1…保持回転装置
2…モータ
3…着磁ヘッド
4…位置決め手段
5…着磁電源
5n…N極電源
5s…S極電源
5a…切替器
5c,5e…コンデンサ
5b,5d…スイッチ
6…制御手段
7…エンコーダ
8…磁気センサ
9…着磁ヨーク
9a…着磁ヨークの一端
9b…着磁ヨークの他端
10…励磁コイル
14…着磁制御手段
60…磁気エンコーダ
61…環状部材
62…磁性部材

Claims (4)

  1. 環状の磁性部材または磁性部材を環状部材に円周状に設けた複合部材からなる未着磁の磁気エンコーダに、円周方向に並ぶ多数の磁極を着磁する磁気エンコーダの着磁装置において、
    上記磁気エンコーダを保持して回転させる保持回転装置と、この保持回転装置に保持された磁気エンコーダの片面に一端が対峙し、他端が上記磁気エンコーダの円周部分を挟む反対側の片面に対し、磁束をこの磁気エンコーダに貫通させる着磁ヨークと、この着磁ヨークを直交する3軸方向に位置決めする位置決め手段と、上記保持回転装置を回転駆動するモータと、上記保持回転装置の回転角を検出するエンコーダと、着磁ヨークに巻かれたコイルに対して電流の充電・放電を行うコンデンサを含む電源装置とを備え、上記電源装置は、上記コイルに切替器を介して互いに切替可能に接続されてそれぞれ上記磁気エンコーダの磁性部材をN極に着磁する電流を与えるN極電源、および上記磁気エンコーダの磁性部材をS極に着磁する電流を与えるS極電源を有し、上記コンデンサとして、上記N極電源と切替器との間に接続されて上記磁性部材の一部にN極の着磁を行わせる電流を一旦蓄える第1のコンデンサと、上記S極電源と切替器との間に接続されて上記磁性部材の一部にS極の着磁を行わせる電流を一旦蓄える第2のコンデンサとを有し、これら二個のコンデンサにおける電流の充電・放電をそれぞれ制御する二個のスイッチを設けたことを特徴とする磁気エンコーダの着磁装置。
  2. 環状の磁性部材または磁性部材を環状部材に円周状に設けた複合部材からなる未着磁の磁気エンコーダに、円周方向に並ぶ多数の磁極を着磁する磁気エンコーダの着磁装置において、
    上記磁気エンコーダを磁性体からなる回転部材で保持して前記回転部材と共に回転させる保持回転装置と、この保持回転装置に保持された磁気エンコーダの外周面に一端が対峙し、他端が上記回転部材に対し、磁束をこの磁気エンコーダに貫通させる着磁ヨークと、この着磁ヨークを直交する3軸方向に位置決めする位置決め手段と、上記保持回転装置を回転駆動するモータと、上記保持回転装置の回転角を検出するエンコーダと、着磁ヨークに巻かれたコイルに対して電流の充電・放電を行うコンデンサを含む電源装置とを備え、上記電源装置は、上記コイルに切替器を介して互いに切替可能に接続されてそれぞれ上記磁気エンコーダの磁性部材をN極に着磁する電流を与えるN極電源、および上記磁気エンコーダの磁性部材をS極に着磁する電流を与えるS極電源を有し、上記コンデンサとして、上記N極電源と切替器との間に接続されて上記磁性部材の一部にN極の着磁を行わせる電流を一旦蓄える第1のコンデンサと、上記S極電源と切替器との間に接続されて上記磁性部材の一部にS極の着磁を行わせる電流を一旦蓄える第2のコンデンサとを有し、これら二個のコンデンサにおける電流の充電・放電をそれぞれ制御する二個のスイッチを設けたことを特徴とする磁気エンコーダの着磁装置。
  3. 請求項1または請求項2において、上記電源装置は着磁制御手段を有し、この着磁制御手段により、N,Sの各極電源のパルス電流として供給する電流供給タイミング、電流の強さの制御、切替器、および二個のスイッチの切替制御が行われる磁気エンコーダの着磁装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、上記着磁ヨークに冷却手段が設けられている磁気エンコーダの着磁装置。
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