JP4024472B2 - 多極磁化環状体の着磁装置 - Google Patents

多極磁化環状体の着磁装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転センサとなる磁気エンコーダの磁気スケールや、モータのロータ等となる多極磁化環状体を製造するに際して、その着磁を行う多極磁化環状体の着磁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
円筒状等の環状の磁性部材を周方向に順次着磁するインデックス着磁においては、従来、図14に示すような方法が採られている。すなわち、ヨーク81の磁気ギャップを形成する対向端部81a,81bを、磁性部材80の表面に近接させ、コイル82で励磁することにより、磁性部材80に磁束を通し、磁性部材80を着磁する方法である。このとき、磁性部材80は回転させ、コイル82の励磁電流を、回転速度に応じたパルス電流とすることにより、周方向の各部に順次着磁する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この方法で着磁された磁性部材80は、高精度である反面、表層しか着磁できないため、着磁強度、つまり着磁された各電極N,Sの磁力が弱いという欠点がある。
【0004】
この発明の目的は、狭ピッチの着磁が、高精度、高強度に行える多極磁化環状体の着磁装置を提供することである。この発明の他の目的は、広い着磁ピッチに対しても、着磁ヨークを交換することなく、着磁電流の制御によって高精度に着磁できるようにすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の多極磁化環状体の着磁装置は、環状の磁性部材(W)を周方向に沿って順次着磁し、多数の磁極が周方向に並ぶ多極磁化環状体とする多極磁化環状体の着磁装置において、上記磁性部材(W)を保持して回転させるスピンドル装置(1)と、このスピンドル装置(1)に保持された磁性部材(W)の表裏にそれぞれ対面するように一対の対向端部(9a,9b)が配置され上記磁性部材(W)に磁束を貫通させる着磁ヨーク(9)と、この着磁ヨーク(9)を直交する3軸方向に位置決めする位置決め手段(4)と、上記スピンドル装置(1)を回転駆動するモータ(2)と、このモータ(2)の回転速度を検出するエンコーダ(7)と、このエンコーダ(7)の検出信号によって上記モータ(2)の回転速度を制御する回転速度制御手段(17)と、上記磁性部材(W)の着磁強度を検出し、この検出信号により上記着磁ヨーク(9)による着磁力を制御する着磁制御手段(14)とを備え、上記エンコーダ(7)の原点信号に基づいて、上記着磁制御手段(14)により、着磁開始位置と着磁電流を制御するようにし、上記磁性部材を着磁する電源を、N極用とS極用とに個別に設けたことを特徴とする。
この構成の着磁装置によると、上記磁性部材(W)をスピンドル装置(1)で保持して回転させながら、磁性部材(W)の表裏に一対の対向端部(9a,9b)がそれぞれ対面する着磁ヨーク(9)により上記磁性部材(W)に磁束を貫通させて着磁を行うようにする。上記回転および着磁に際して、上記スピンドル装置(1)を回転駆動するモータ(2)の回転速度および原点位置をエンコーダ(7)により検出し、その検出信号によって上記モータ(2)の回転速度と着磁開始位置を制御する。この場合に、上記磁性部材(W)の着磁強度を磁気センサ(8)によって検出し、その検出信号によって、上記着磁ヨーク(9)に磁束を与える着磁電流を着磁制御手段(14)により制御する。
【0010】
この発明装置において、上記磁性部材(W)の表裏に対面させる着磁ヨーク(9)の対向端部(9a,9b)を尖塔形状としても良い。
このように、着磁ヨーク(9)の磁性部材(W)に対面する端部(9a,9b)を尖塔形状とすることにより、より一層狭ピッチで着磁することができる。
【0011】
記磁性部材(W)を着磁する電源(5)を、N極用とS極用とに個別に設けた。
このように、N極用の電源とS極用の電源(5n,5s)を別個に持つことにより、各極の着磁電流の微調整が可能になる。そのため、N極とS極の着磁強度を揃えることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。図1は、この多極磁化環状体の着磁装置の概念構成を示す。この着磁装置は、着磁対象となる磁性部材Wを保持して回転させるスピンドル装置1と、その回転駆動用のモータ2と、着磁ヘッド3と、この着磁ヘッド3を直交する3軸方向に位置決めする位置決め手段4と、着磁電源5と、制御手段6とを備える。モータ2は、エンコーダ7を有する。また、スピンドル装置1に保持された磁性部材Wの磁気を検出する磁気センサ8が設けられている。
磁性部材Wは、着磁によって、磁気エンコーダの磁気スケール、またはモータのロータ等の多極磁化環状体とする部材であり、同図(B)に一部を拡大して示すように、環状の磁性体からなる。この例では、磁性部材Wは、着磁により、ラジアル型の回転式磁気エンコーダの磁気スケールとされる。
【0013】
着磁ヘッド3は、着磁ヨーク9と励磁コイル10とでなる。着磁ヨーク9は、同図(B)に拡大して示すように、磁気ギャップを形成する一対の対向端部9a,9bを有し、着磁のための磁束aを磁性部材Wに貫通させるものである。これら対向端部9a,9bは、磁性部材Wの外周面および内周面からなる表裏にそれぞれ対面するものであり、磁性部材Wの円周方向に対して先端側が次第に幅狭となる尖塔形状とされている。対向端部9a,9bは、面取を施すことにより尖塔形状としてもよい。この対向端部9a,9bの先端の円周方向幅は、例えば0.5mm程度とされる。対向端部9a,9bの磁性部材Wの軸方向に対する幅は、一定幅とされている。
なお、磁性部材Wを、アキシアル型の磁気エンコーダの磁気スケールとする場合は、対向端部9a,9bは環状の磁性部材Wの両側の幅面からなる表裏にそれぞれ対面させる。その場合に、対向端部9a,9bは、磁性部材Wの円周方向に対して先端側が次第に幅狭となる尖塔形状とするが、磁性部材Wの半径方向に対する幅は、一定幅とされる。
【0014】
図2に拡大して示すように、スピンドル装置1は、ハウジング11に主軸12を回転自在に支持したものであり、主軸12の先端に、磁性部材Wを主軸12と同心に保持するチャック13を有している。スピンドル装置1は、回転振れや速度むらが少なく、かつインデックス精度に優れものが好ましく、例えば、静圧気体軸受(図示せず)により主軸12を回転自在に支持する静圧気体軸受スピンドル装置が使用される。チャック13は、磁性部材Wを内外の周面から挟み込むように保持するものとされる。チャック13は、磁性部材Wの外径振れが最小となるように、磁性部材Wを保持できるものが好ましい。
【0015】
モータ2は、回転精度に優れたものが必要であり、ブラシレスモータ等が用いられる。モータ2は、高精度な割出精度を確保するために、内蔵のエンコーダ7は、例えば(10万パルス)/(1回転)以上を実現するものとされる。
磁性部材Wの磁極数に対して、1000倍以上の分割数を持つエンコーダ7を持つモータ2であれば、着磁ピッチ誤差は±0.1%程度となる。エンコーダ7には、速度を示すパルスの他に原点信号となるパルスを出力するものが用いられる。
【0016】
位置決め手段4は、着磁ヘッド3を直交する3軸方向(X軸,Y軸,Z軸の方向)に位置決めする手段であり、いわゆるX,Y,Zテーブルが用いられる。位置決め手段4は、固定基台4a上にX軸テーブル4xを前後方向(X軸方向)に進退自在に設置し、Xテーブル4xにY軸テーブル4yを左右方向(Y軸方向)に進退自在に設置し、Y軸テーブル4y上にZ軸テーブル4zを上下移動自在に設置し、Z軸テーブル4zに着磁ヘッド3を搭載している。各軸のテーブル4x〜4zは、それぞれサーボモータなどの駆動源(図示せず)により進退駆動される。
【0017】
図1において、着磁電源5は、着磁ヨーク9の励磁コイル10に着磁電流を与える手段である。着磁電源5は、磁性部材WをN極に着磁する電流を与えるN極電源5nと、S極に着磁する電流を与えるN極電源5sとが個別に設けられ、切替器5aにより、両電源5n,5sと励磁コイル10との接続の切替えが行われる。着磁電源5は、付属のコントローラとして、着磁制御手段14を有していて、着磁制御手段14により、N,S各極の電源5n,5sのパルス電流として供給する電流供給タイミング,電流の強さ、およびパルス幅の制御と、切替器5aの切替制御とが行われる。着磁制御手段14は、マイクロコンピュータやその他の電子機器で構成される。
【0018】
制御手段6は、着磁電源5と、スピンドル装置1と、位置決め手段4とを制御する手段であり、着磁電源5に備えられた上記の着磁制御手段14と、その上位制御手段となる全体制御手段15とを備える。全体制御手段15は、パーソナルコンピュータ等からなる。全体制御手段15の一部として、または全体制御手段15の下位の制御手段として、スピンドル装置1のモータ2を制御するサーボコントローラ16が設けられている。サーボコントローラ16は、モータ2のエンコーダ7の検出信号によって、速度フィードバックを行う回転速度制御手段17を有している。サーボコントローラ16は、いわゆるソフトウェアサーボとされる。
制御手段6は、上記各手段の他に、位置決め手段4の各軸の駆動源(図示せず)を制御する手段(図示せず)を有している。制御手段6の詳細な機能は、以下の着磁方法の説明と共に説明する。
【0019】
つぎに、着磁方法を説明する。磁性部材Wをスピンドル装置1で保持して回転させながら、磁性部材Wの表裏に対面する着磁ヨーク9により、図1(B)のように磁性部材Wに磁束aを通して着磁を行う。このとき、着磁電流のオンオフおよび方向の切換を行うことにより、磁性部材WにN極とS極とが交互に周方向に並ぶように順次着磁を行い、多極着磁を実現する。
磁性部材Wの表裏に対面する着磁ヨーク9により、磁性部材Wに磁束を表裏に貫通させて着磁を行うため、磁性部材Wをその厚みの全体にわたるように深部まで着磁することができ、着磁強度を強くできる。また、着磁のためのヨーク9の磁気ギャップが磁性部材Wの円周方向ではなく、半径方向となるため、狭ピッチで着磁できる。着磁ヨーク9の対向端部9a,9bは尖塔形状とされているため、より一層、狭ピッチで着磁することができる。
着磁は、磁性部材Wを何回転も回転させながら、繰り返し行う。この場合に、スピンドル装置1の主軸2が一定速度(例えば10rpm)になってから、着磁を行う。着磁の始めは、着磁電流を次第に増加して、一定電流になってから複数回転(例えば5回転)着磁を繰り返し、終了時は電流を減少させて行く。この電流の増減過程は、電流をピークで見ると、台形とされる。
【0020】
上記の着磁過程において、スピンドル装置1を回転駆動するモータ2の回転速度および原点位置をエンコーダ7により検出し、その回転速度の検出信号によって、モータ2の回転速度を回転速度制御手段17で制御すると共に、着磁開始位置を、着磁電源5の着磁電流の供給タイミングによって制御する。また、着磁と共に、その着磁された磁性部材Wの各磁極の着磁強度を磁気センサ8によって検出し、その検出信号によって、着磁電流の強さを着磁制御手段14により制御する。着磁制御手段14は、磁気センサ8により、着磁強度の他に着磁ピッチ精度も検出し、磁性部材Wの回転の2周目以降の着磁ピッチの制御に反映させる。
【0021】
このように、磁気センサ8を用いるため、着磁と同時に着磁結果を検査することができる。すなわち、着磁ヨーク9で着磁を行っているときに、その磁性部材Wの着磁済み部分の磁気を検出し、その検出結果を検査することができる。磁気センサ8による磁気の検出は、着磁強度と着磁ピッチとについて行われる。このように、着磁と同時に着磁結果を検査できるため、着磁の後に品質管理のための着磁強度と着磁ピッチの検査を行うことが省略でき、サイクルタイムの短縮に繋がる。例えば、出荷保証データとなる着磁強度と着磁ピッチのデータを、着磁時に得ることができる。
【0022】
磁気センサ8による検出の結果、N極とS極の着磁強度がアンバランスとなった場合は、各極を着磁するときの着磁電流を調整することにより、アンバランスを緩和することができる。
着磁ピッチが不良である場合には、円周方向の着磁開始位置をずらして着磁すれば、良品となる場合があり、良品率を向上させることができる。この様子を、図4,図5と共に説明する。図4は、着磁された磁性部材Wの磁束分布を示したものである。同図から、円周方向で、磁束のベクトル、強度も異なっていることが分かる。この実施形態ではこの点に着目し、図5に示すように、原点信号(図5(A))に対する着磁指令信号(同図(C))のずれ量Δを変化させる。これにより、1回目の着磁で不良であった磁性部材Wが、位置をずらせて着磁した2回目では良品となる場合があり、良品率を向上させることができる。
このとき、着磁開始位置と測定開始位置を一致させるように、ソフトウェアで補正するようにすれば、不良原因の調査に役立てることができる。
【0023】
磁性部材Wを回転させるスピンドル装置1は、モータ2のエンコーダ7により原点信号が得られるため、この原点信号に基づいて、着磁開始位置を任意にコントロールすることができる。すなわち、原点信号(図5(A)のパルス信号)の立ち上がりを、電気回路(図示せず)でチェックすることより、着磁制御手段14は、まず原点位置であることを認識する。原点位置からどれくらい遅れた位置(ずれ量Δ)から着磁を開始するかは、着磁よりも前に予めフソトウェア等により着磁制御手段14に設定しておく。そうすると、遅れ量をエンコーダパルス数(例えば、図5では3個)に換算することができる。そして、原点信号が立ち上がった後に、3個経ったら着磁指令信号(図5(C))を出すようにする。このようにして、着磁開始位置を任意にコントロールすることができる。
また、原点信号の立ち上がりの確認後、エンコーダパルスの立ち上がりをカウントし始め、同じパルス数で着磁開始信号と測定開始信号を出すと、着磁開始位置と測定開始位置を一致させることができる。
【0024】
着磁指令信号は、着磁制御手段14が出力する信号であり、各極電源5n,5sは、この着磁指令信号の立ち上がりに応答して、図5(D),図6(D)に示すように所定電流値に達すると即座に低減するステップ応答の着磁電流を出力する。
図6を参考にしながら、着磁電流の制御について説明する。磁性部材Wを数十rpmの回転速度で回転させながら、原点信号とエンコーダパルス信号を参照して、ある一定間隔(磁極数に基づく間隔)で着磁指令を出すと、これに呼応して励磁コイル10に着磁電流が流れ、着磁ヨーク9に磁束が流れ、磁性部材Wが着磁されることになる。
【0025】
このように着磁電流を制御して着磁を行う場合に、ヨーク9の対向端部9a,9bの先端が狭まっていると、上記のように狭ピッチで着磁することが容易になる。しかし、着磁幅が大きくなると、着磁間隔の広がりのため、図7に示すように着磁強度が低下するという問題が生じる。
これに対して、図8に示すように、同極の着磁を細かい間隔で複数回ずつ連続して行う動作を繰り返せば、例えばN極の着磁を連続して3回、S極の着磁を連続して行う動作を繰り返せば、上記の課題が解決され、着磁幅が大きくても、着磁強度を確保することができる。例えば、磁極幅が2mmを超える場合に、このような同極の着磁を連続して行うことが効果的である。
【0026】
また、着磁電源5として、図1に示すように、N極の電源5nとS極の電源5sとを別個に設けておくと、それぞれの電源5n,5sの着磁電流を個別に微調整することができ、両極N,Sの着磁強度を極力同じにすることができる。
具体的には、図6で説明したようにしてエンコーダパルス信号の立ち上がり数をカウントし始め、例えば、いずれか一方の磁極(N極)の着磁となる奇数番目(1個目、3個目、5個目…)の着磁電流を大きくし、他方の磁極(S極)の着磁となる偶数番目は着磁電流を小さくすることにより、N極とS極の着磁強度を揃えることができる。
例えば、上記のように磁気センサ8による検出の結果、N極とS極の着磁強度がアンバランスとなった場合に、各極の着磁電流を上記のように調整することにより、アンバランスを緩和することができる。
【0027】
上記構成の着磁装置において、図9に示すように、着磁する磁性部材Wが円筒部Waから鍔部Wbが突出した断面L字状の形状である場合、着磁ヨーク9の対向端部9a,9bは、非対称形状にすることが好ましい。すなわち、対向端部9a,9bのうち、磁性部材Wの鍔の突出しない周面に対面する端部9aが、磁性部材Wの円筒部Waの全幅に対面するものとする。背面側のヨーク端部9bは、鍔部9bに干渉しないように幅狭のものとする。この場合、対向端部9a,9bは、図1(B)の例のように尖塔形状とする。
このように、磁性部材Wの鍔の突出しない周面に対面する端部9aが、磁性部材Wの円筒部Waの全幅に対面するものであれば、背面側の端部9bが幅狭であっても、所望の強度が得られることが、磁場解析の結果、分かった。これは、鍔部Wbを通って磁束が進むためである。
【0028】
磁性部材Wがこのような断面L字状のものである場合に、図10のように、着磁面の背面側のヨーク端部9bが鍔部Wbに干渉しないように、軸方向にオフセットさせても良く、従来はこのようにオフセットさせていた。しかし、このようにオフセットさせた場合は、磁性部材Wの着磁面の全面をヨーク端部9aが覆っていないため、着磁強度が弱くなる。
このような着磁強度の課題が、図9の例のように、一対の対向端部9a,9bの幅を非対称とすることで、つまり段付きとすることで改善される。図11は、図10に示す通常のヨーク9を用いた場合と、図9に示す段付きのヨーク9を用いた場合との軸方向着磁強度分布を比較して示すグラフである。同図から、図9の段付きヨークが優れていることが分かる。
【0029】
なお、上記実施形態は、ラジアル型の多極磁化環状体の着磁の場合につき説明したが、この発明は、磁性部材Wを、アキシアル型の磁気エンコーダの磁気スケール等のように、アキシアル型の多極磁化環状体とする場合にも適用することができる。図12,図13は、その着磁装置の一例を示す。この実施形態の着磁装置は、着磁ヨーク9を、対向端部9a,9bが磁性部材Wの両側の幅面である表裏面に対面するものとし、またスピンドル装置1におけるチャック13を、上記のような着磁ヨーク9の配置が可能となるように磁性部材Wを把持するものとする。その他の構成は上記実施形態と同じであるため、上記実施形態と対応する部分には同一符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0030】
【発明の効果】
の発明の多極磁化環状体の着磁装置によると、環状の磁性部材を周方向に沿って順次着磁し、多数の磁極が周方向に並ぶ多極磁化環状体とする多極磁化環状体の着磁装置において、上記磁性部材を保持して回転させるスピンドル装置と、このスピンドル装置に保持された磁性部材の表裏にそれぞれ対面するように一対の対向端部が配置され上記磁性部材に磁束を貫通させる着磁ヨークと、この着磁ヨークを直交する3軸方向に位置決めする位置決め手段と、上記スピンドル装置を回転駆動するモータと、このモータの回転速度を検出するエンコーダと、このエンコーダの検出信号によって上記モータの回転速度を制御する回転速度制御手段と、上記磁性部材の着磁強度を検出し、この検出信号により上記着磁ヨークによる着磁力を制御する着磁制御手段とを備え、上記エンコーダの原点信号に基づいて、上記着磁制御手段により、着磁開始位置と着磁電流を制御するようにし、上記磁性部材を着磁する電源を、N極用とS極用とに個別に設けたため、狭ピッチの着磁が、高精度、高強度に行える。
磁性部材の表裏に対面させるヨークの対向端部を尖塔形状とした場合は、より一層、狭ピッチで着磁することができる。
磁性部材を着磁する電源を、N極用とS極用とに個別に設けたため、各極の着磁電流の微調整が可能で、N,S両極の着磁強度を高精度に揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の一実施形態にかかる多極磁化環状体の着磁装置の概念構成を示すブロック図、(B)はその着磁ヨークの対向端部の水平断面図である。
【図2】同着磁装置の機構部分の拡大破断正面図である。
【図3】同着磁装置の機構部分の平面図である。
【図4】着磁された磁性部材の磁束分布を示す説明図である。
【図5】原点検出から遅らせて着磁開始を行う場合の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】着磁指令信号と着磁電流およびエンコーダパルスの関係を示すタイミングチャートである。
【図7】磁極幅と着磁強度の関係を示すグラフである。
【図8】同極の着磁を繰り返す場合の各信号の関係を示すタイミングチャートである。
【図9】同着磁装置の着磁ヨークの変形例を示す部分破断正面図である。
【図10】同着磁装置の着磁ヨークの他の変形例を示す部分破断正面図である。
【図11】図9,図10の各着磁ヨークを用いた場合の着磁強度を比較して示すグラフである。
【図12】この発明の他の実施形態にかかる同着磁装置の機構部分の拡大破断正面図である。
【図13】同着磁装置の機構部分の平面図である。
【図14】従来例の説明図である。
【符号の説明】
1…スピンドル装置
2…モータ
3…着磁ヘッド
4…位置決め手段
5…着磁電源
5n…N極電源
5s…S極電源
6…制御手段
7…エンコーダ
8…磁気センサ
9…着磁ヨーク
9a,9b…対向端部
10…励磁コイル
14…着磁制御手段
15…全体制御手段
17…回転速度制御手段
W…磁性部材

Claims (6)

  1. 環状の磁性部材を周方向に沿って順次着磁し、多数の磁極が周方向に並ぶ多極磁化環状体とする多極磁化環状体の着磁装置において、
    上記磁性部材を保持して回転させるスピンドル装置と、このスピンドル装置に保持された磁性部材の表裏にそれぞれ対面するように一対の対向端部が配置され上記磁性部材に磁束を貫通させる着磁ヨークと、この着磁ヨークを直交する3軸方向に位置決めする位置決め手段と、上記スピンドル装置を回転駆動するモータと、このモータの回転速度を検出するエンコーダと、このエンコーダの検出信号によって上記モータの回転速度を制御する回転速度制御手段と、上記磁性部材の着磁強度を検出し、この検出信号により上記着磁ヨークによる着磁力を制御する着磁制御手段とを備え、上記エンコーダの原点信号に基づいて、上記着磁制御手段により、着磁開始位置と着磁電流を制御するようにし、上記磁性部材を着磁する電源を、N極用とS極用とに個別に設け、上記着磁制御手段により、一方の磁極の着磁となる奇数番目の着磁電流を大きくし、他方の磁極の着磁となる偶数番目は着磁電流を小さくすることにより、N極とS極の着磁強度を揃えることを特徴とする多極磁化環状体の着磁装置。
  2. 環状の磁性部材を周方向に沿って順次着磁し、多数の磁極が周方向に並ぶ多極磁化環状体とする多極磁化環状体の着磁装置において、
    上記磁性部材を保持して回転させるスピンドル装置と、このスピンドル装置に保持された磁性部材の表裏にそれぞれ対面するように一対の対向端部が配置され上記磁性部材に磁束を貫通させる着磁ヨークと、この着磁ヨークを直交する3軸方向に位置決めする位置決め手段と、上記スピンドル装置を回転駆動するモータと、このモータの回転速度を検出するエンコーダと、このエンコーダの検出信号によって上記モータの回転速度を制御する回転速度制御手段と、上記磁性部材の着磁強度を検出し、この検出信号により上記着磁ヨークによる着磁力を制御する着磁制御手段とを備え、上記エンコーダの原点信号に基づいて、上記着磁制御手段により、着磁開始位置と着磁電流を制御するようにし、上記磁性部材を着磁する電源を、N極用とS極用とに個別に設け、上記磁性部材が円筒部から鍔部が突出した断面L字状の形状であり、上記着磁ヨークの対向端部のうち、磁性部材の鍔の突出しない周面に対面する端部が、磁性部材の円筒部の全幅に対面し、背面側のヨーク端部は、鍔部に干渉しないように幅狭のものとする非対称形状にすることを特徴とする多極磁化環状体の着磁装置。
  3. 上記磁性部材が円筒部から鍔部が突出した断面L字状の形状であり、上記着磁ヨークの対向端部のうち、磁性部材の鍔の突出しない周面に対面する端部が、磁性部材の円筒部の全幅に対面し、背面側のヨーク端部は、鍔部に干渉しないように幅狭のものとする非対称形状にする請求項1に記載の多極磁化環状体の着磁装置。
  4. 上記磁性部材の表裏に対面させる上記着磁ヨークの対向端部を、それぞれ尖塔形状とした請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の多極磁化環状体の着磁装置。
  5. 上記N極,S極用の両電源と、上記着磁ヨークに巻かれたコイルとの接続の切替えを行う切替器を備え、上記着磁制御手段により、N,S各極の電源のパルス電流として供給する電流供給タイミング,電流の強さ、およびパルス幅の制御と、切替器の切替制御とが行われる請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の多極磁化環状体の着磁装置。
  6. 上記着磁制御手段により、一方の極の着磁を複数回連続して行い、他方の極の着磁を複数回連続して行う動作を繰り返す請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の多極磁化環状体の着磁装置。
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