JP5314557B2 - 磁気エンコーダおよびその製造方法、回転検出装置 - Google Patents
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Description
1回転あたりの磁極対数が異なる磁気ドラムと、複数の磁気センサとを使用して絶対角度を演算する技術が開示されている(特許文献3)。
前記特許文献1,2における磁気センサを使用して、異なる2つの磁気エンコーダの位相差に基づいて絶対角度を検出する角度検出装置が開示されている(特許文献4)。
また、多磁極着磁した磁気エンコーダを製造する方法等が開示されている(特許文献5)。
特許文献3で使用する2つの磁気エンコーダを近接配置すると、互いの磁気パターンが干渉して角度検出精度が悪化する。その結果、絶対角度を算出するための位相差が正確に求められず、絶対角度を算出する誤差が増大する。
また、それぞれの磁気エンコーダに着磁された信号を合わせることが難しいため、絶対角度検出の演算回路に伝相調整工程や、位相ずれの補正値を設定する必要がある。
複数のセンサ素子間隔を大きくして構成すると上記の問題は解決できるが、半導体チップ面積が大きくなり、製造コストの増加になる。
また、それぞれの磁気エンコーダトラックに着磁された信号を容易に合わせることができるため、例えば、補正値を設定したり、複数のセンサ素子間隔を大きく構成する等の対策を講じる必要がなくなる。よって、製造コストの低減を図ることが可能となる。
この場合、芯金本体のトラック形成筒部の外周面に、スペーサ部材の円筒部の内周面を圧入嵌合させることで、芯金本体およびスペーサ部材を組立て、ラジアルタイプの磁気エンコーダを実現することができる。
この場合、芯金本体のトラック形成部の段差部にスペーサ部材の円筒部を嵌合させることで、芯金本体およびスペーサ部材を組立て、アキシアルタイプの磁気エンコーダを実現することができる。
前記磁気エンコーダトラックは、等ピッチの着磁パターンで磁極が交互に繰り返す回転検出用トラックを含むものであっても良い。
前記磁気エンコーダトラックは、回転検出用トラックに加えて形成されるトラックの一つが、前記回転検出用の等ピッチの着磁パターンとは磁極間隔が異なる等ピッチの着磁パターンで形成されるものであっても良い。
前記磁気エンコーダトラックは、回転検出用トラックに加えて形成されるトラックの一つが、前記回転検出用の等ピッチの着磁パターンと同じ磁極数で且つ位相関係がずれたパターンで形成されるものであっても良い。
このような複雑な着磁パターンであっても精度良く着磁可能となる。
磁気センサをこのような構成にすると、磁気エンコーダの磁界分布をオン・オフ信号としてではなく、アナログ電圧による正弦波状の信号としてより細かく検出でき、精度の良い絶対角度検出が可能となる。
磁気センサをこのようにラインセンサで構成した場合、磁界パターンの歪みやノイズの影響が低減されて、より高い精度で磁気エンコーダの位相を検出し得る。
この発明の実施形態に係る磁気エンコーダは、例えば、各種モータの回転制御に用いられる回転検出装置等に適用される。ただし、各種モータの回転制御用に限定されるものではない。以下の説明は、磁気エンコーダの製造方法についての説明をも含む。
図1に示すように、磁気エンコーダ1は、芯金2と、複列(この例では2列)の環状の磁気エンコーダトラック3,4とを備えている。前記芯金2は、芯金本体5と、スペーサ部材6とでなる。ラジアルタイプの磁気エンコーダ1の場合、芯金本体5およびスペーサ部材6は、それぞれ軸方向に平行な軸心L1を有する筒状である。芯金本体5は、2列以上の環状の磁気エンコーダトラック3,4を並べて形成可能なトラック形成部7を有する。芯金本体5は、前記トラック形成部7を成すトラック形成筒部と、このトラック形成筒部に環状段差部9を介して続く取付筒部10とを有する。芯金本体5は、例えば、厚みが0.5mm以下の薄肉状の軸受鋼、鋼管、その他鋼等から成るパイプ材からなる。このパイプ材を例えばプレス加工機等を用いて絞り加工することで、トラック形成部7、環状段差部9、および取付筒部10が形成される。
磁気エンコーダ1の製造方法は、芯金本体5とスペーサ部材6とでなる芯金2を組み立てる組立過程と、この組立過程の後、トラック形成部7における各磁気エンコーダトラック形成領域に、スペーサ部11で互いに仕切られて並ぶ未着磁の磁気エンコーダトラックを設けるトラック形成過程と、このトラック形成過程の後、各列の磁気エンコーダトラックを個別に着磁する着磁過程とを含む。
次に、図2(C)に示すように、芯金2のトラック形成部7における各磁気エンコーダトラック形成領域に、スペーサ部11で互いに仕切られて軸方向に隣り合って並ぶ環状の未着磁の磁気エンコーダトラック3A,4Aを形成する。この後、各列の磁気エンコーダトラック3A,4Aを個別に着磁する。
スピンドルの回転に同期して励磁コイル17への通電方向を切り替えて制御することで、回転を停止せずに着磁することも可能である。
図4(B)のパターン例は、1列の磁気エンコーダトラック3に、互いに異なる磁極を等ピッチで交互に着磁して回転検出用トラックとしている。他の1列の磁気エンコーダトラック4には、互いに異なる磁極を等ピッチで交互に、かつ前記回転検出用トラックとは磁極数を異ならせて着磁して、別の回転検出用トラックとしたものである。
図4(D)のパターン例では、アキシアルタイプの磁気エンコーダトラック3(4)の各磁極対Aにおいて、図4(C)の例と同様なパターンを形成するために、そのN磁極の幅とS磁極の幅とがトラック外周半部つまり径方向内外で互いに異なるように着磁したものである。
また、それぞれの磁気エンコーダトラック3,4に着磁された信号を容易に合わせることができるため、例えば、補正値を設定したり、複数のセンサ素子間隔を大きく構成する等の対策を講じる必要がなくなる。よって、製造コストの低減を図ることが可能となる。
この構成によると、位置決め手段18により、芯金本体5とスペーサ部材6との位置決めがし易くなり、位置決め手段が設けられていないものより、芯金2の組立精度を上げることができる。最大径筒部20側に配置した磁気エンコーダトラック3を、トラック形成筒部8側に配置した磁気エンコーダトラック4よりも肉厚を小さくし、2列の磁気エンコーダトラック3,4について磁界の強さに差を設けることもできる。
芯金本体5は、この内径側板部22の内周側端部から円筒状に延びる円筒部23を有する。この円筒部23の内周面を、例えば、回転部材14の外周面に圧入嵌合させて取り付け可能である。回転部材14の端面に内径側板部22を固定する場合等において、円筒部23を省略しても良い。前記トラック形成部7に円筒状の段差部7aを設けてこの段差部7aにスペーサ部11を径方向に嵌合固定させている。また、芯金本体5のトラック形成部7の正面側にスペーサ部材6の重なり部12を重ねている。よって、スペーサ部11に互いに仕切られた2列の磁気エンコーダトラック3,4が径方向内外に並べて配置される。
図9(B)に示すアキシアルタイプの磁気エンコーダ1は、図9(A)の構成の段差部21および内径側板部22が省略され、トラック形成部7の内周側端部から円筒部23が円筒状に続く。なお、図9(A)、(B)の構成において、スペーサ部材6のうち軸方向を向く板状の重なり部12を省略しても良い。これらの場合、段差部7aに対するスペーサ部11の径方向の嵌合部が、芯金本体5に固定される重なり部に相当する。
図10(A)に示すように、トラック形成筒部8を取付筒部10よりも小径とし、環状段差部9を、取付対象である回転部材14の端面に当接させる構成にしても良い。また、図10(B)に示すように、トラック形成筒部8と取付筒部10との間の環状段差部を省略し、回転部材14の外径面に設けた環状の切欠き部14aに、取付筒部10の内周面を圧入嵌合する構成にしても良い。
磁気センサ24A,24Bをこのような構成とすると、磁気エンコーダトラック4,3の磁界分布をオン・オフ信号としてではなく、アナログ電圧による正弦波状の信号としてより細かく検出でき、精度の良い絶対角度検出が可能となる。
磁気センサ24A,24Bをこのようにラインセンサで構成した場合、磁界パターンの歪みやノイズの影響が低減されて、より高い精度で磁気エンコーダトラック4,3の位相を検出することが可能である。
また、スペーサ部材6のうち重なり部12を図1のものより軸方向左側に延ばし、この延ばした端部から径方向内方にフランジ状に延びる位置決め手段を設けても良い。この位置決め手段を、芯金本体5の環状段差部9に当接させることで、芯金本体5とスペーサ部材6とを軸方向に位置決めしても良い。この場合、図6のものより、芯金本体の構造を簡単化できる。その他芯金本体5およびスペーサ部材6に、係合部および被係合部からなる位置決め手段を設けても良い。
2…芯金
3,4…磁気エンコーダトラック
5…芯金本体
6…スペーサ部材
7…トラック形成部
7a…段差部
8…トラック形成筒部
9…環状段差部
10…取付筒部
11…スペーサ部
12…重なり部
18…位置決め手段
21…段差部
22…内径側板部
24A,24B…磁気センサ
25…回転検出装置
Claims (15)
- 2列以上の環状の磁気エンコーダトラックを並べて形成可能なトラック形成部を有する芯金本体と、この芯金本体の前記トラック形成部における個々の磁気エンコーダトラックの形成領域間に立ち上がって介在するスペーサ部およびこのスペーサ部の基端に設けられて前記トラック形成部に重なる重なり部を有しこの重なり部で前記芯金本体に固定されたスペーサ部材とでなる芯金を設け、この芯金の前記トラック形成部における前記各磁気エンコーダトラック形成領域に、前記スペーサ部で互いに仕切られた磁気エンコーダトラックを設けたことを特徴とする磁気エンコーダ。
- 請求項1において、前記芯金本体およびスペーサ部材は、それぞれ軸方向に平行な軸心を有する筒状であって、前記芯金本体は、トラック形成部を成すトラック形成筒部と、このトラック形成筒部に連なり取付対象に取り付けられる取付筒部とを有し、前記スペーサ部材は、前記重なり部を成す円筒部と、この円筒部の端部から径方向外方にフランジ状に延びる前記スペーサ部とを有し、前記芯金本体のトラック形成筒部の外周面に、前記スペーサ部材の円筒部の内周面を圧入嵌合させた磁気エンコーダ。
- 請求項1において、前記芯金本体は軸方向を向く板状であり、前記スペーサ部材は、スペーサ部が筒状で重なり部が軸方向を向く板状であり、前記芯金本体は、磁気エンコーダトラックが正面に形成されたトラック形成部を有し、このトラック形成部に円筒状の段差部を設けてこの段差部にスペーサ部材の円筒部を嵌合させ、前記芯金本体のトラック形成部の正面側に、スペーサ部材の重なり部を重ねた磁気エンコーダ。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記スペーサ部材を、スペーサ部と重なり部とで断面L字状に形成した磁気エンコーダ。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記スペーサ部材の中間部を断面略U字状の折り重ね状態に曲げ形成した前記スペーサ部とし、このスペーサ部の略U字状の両基端から互いに離隔する方向に延びる前記重なり部とした磁気エンコーダ。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記芯金本体およびスペーサ部材のいずれか一方に、これら芯金本体とスペーサ部材とを位置決めする位置決め手段を設け、この位置決め手段は、トラック形成部に重なり部を重ねた状態で、スペーサ部材を芯金本体に対して相対的に規制し位置決めするものである磁気エンコーダ。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記スペーサ部材に、隣接する磁気エンコーダトラックを接続する貫通孔を設けた磁気エンコーダ。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記磁気エンコーダトラックは、ゴムまたはプラスチックに磁性粉を混合させた材質から成る磁気エンコーダ。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記磁気エンコーダトラックは、等ピッチの着磁パターンで磁極が交互に繰り返す回転検出用トラックを含む磁気エンコーダ。
- 請求項9において、前記磁気エンコーダトラックは、回転検出用トラックに加えて形成されるトラックの一つが、一回転に一回または数回の繰り返しパターンを設けて、回転の基準位置を示すZ相信号を生成するものである磁気エンコーダ。
- 請求項9において、前記磁気エンコーダトラックは、回転検出用トラックに加えて形成されるトラックの一つが、前記回転検出用の等ピッチの着磁パターンとは磁極間隔が異なる等ピッチの着磁パターンで形成されるものである磁気エンコーダ。
- 請求項9において、前記磁気エンコーダトラックは、回転検出用トラックに加えて形成されるトラックの一つが、前記回転検出用の等ピッチの着磁パターンと同じ磁極数で且つ位相関係がずれたパターンで形成されるものである磁気エンコーダ。
- 請求項1ないし請求項12のいずれか1項の磁気エンコーダと、この磁気エンコーダの磁界を検出する磁気センサとを備えた回転検出装置において、
前記磁気センサが、互いに磁極ピッチ内でずれた位置に配置された複数のセンサ素子を有し、sinおよびcosの2相の信号出力を得られるものであって、磁極内における位置を逓倍して検出するものである回転検出装置。 - 請求項1ないし請求項12のいずれか1項の磁気エンコーダと、この磁気エンコーダの磁界を検出する磁気センサとを備えた回転検出装置において、
前記磁気センサが、磁気エンコーダの磁極の並び方向に沿ってセンサ素子が並ぶラインセンサで構成され、sin,cosの2相の信号出力を演算によって生成して、磁極内における位置を検出するものである回転検出装置。 - 芯金と、この芯金に形成した複列の磁気エンコーダトラックとを備えた磁気エンコーダの製造方法であって、
2列以上の環状の磁気エンコーダトラックを並べて形成可能なトラック形成部を有する芯金本体と、この芯金本体の前記トラック形成部における個々の磁気エンコーダトラックの形成領域間に立ち上がって介在するスペーサ部およびこのスペーサ部の基端に設けられて前記トラック形成部に重なる重なり部を有しこの重なり部で前記芯金本体に固定されたスペーサ部材とでなる芯金を組み立てる組立過程と、
この組立過程の後、前記トラック形成部における前記各磁気エンコーダトラック形成領域に、前記スペーサ部で互いに仕切られて並ぶ未着磁の磁気エンコーダトラックを設けるトラック形成過程と、
このトラック形成過程の後、各列の磁気エンコーダトラックを個別に着磁する着磁過程と、
を含む磁気エンコーダの製造方法。
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