JP5314556B2 - 磁気エンコーダおよびその製造方法、回転検出装置 - Google Patents
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Description
1回転あたりの磁極対数が異なる磁気ドラムと、複数の磁気センサとを使用して絶対角度を演算する技術が開示されている(特許文献3)。
前記特許文献1,2における磁気センサを使用して、異なる2つの磁気エンコーダの位相差に基づいて絶対角度を検出する角度検出装置が開示されている(特許文献4)。
また、多磁極着磁した磁気エンコーダを製造する方法等が開示されている(特許文献5)。
特許文献3で使用する2つの磁気エンコーダを近接配置すると、互いの磁気パターンが干渉して角度検出精度が悪化する。その結果、絶対角度を算出するための位相差が正確に求められず、絶対角度を算出する誤差が増大する。
また、それぞれの磁気エンコーダに着磁された信号を合わせることが難しいため、絶対角度検出の演算回路に位相調整工程や、位相ずれの補正値を設定する必要がある。
複数のセンサ素子間隔を大きくして構成すると上記の問題は解決できるが、半導体チップ面積が大きくなり、製造コストの増加になる。
この場合、軸方向先端側の芯金分割体における小径筒部の外周面に、軸方向基端側の芯金分割体における大径筒部の内周面を嵌合させることで、2個の芯金分割体を一体に組立て、ラジアルタイプの磁気エンコーダを実現することができる。
各芯金分割体における大径筒部の外周面に、それぞれ1列の磁気エンコーダトラックを形成し、複列の環状の磁気エンコーダトラックを、互いに軸方向に隣り合うように並べても良い。
この場合、小径側の芯金分割体における環状重なり部の外径側周縁部に、磁性体スペーサを一体に設け、大径側の芯金分割体の段差部に、磁性体スペーサの基端部を嵌合させることで、2個の芯金分割体を一体に組立て、アキシアルタイプの磁気エンコーダを実現することができる。このような嵌合構成を採用することで、2個の芯金分割体を容易に組み立てることができる。また、磁性体スペーサを芯金分割体に一体に設けることで、部品点数の低減を図ることができる。
この発明において、前記段差部に磁性体スペーサの基端部を嵌合させる嵌合構成に代えて、または前記嵌合構成と共に、前記大径側の芯金分割体における環状重なり部の内径側周縁部に、背面側へ延びる嵌合部を設け、且つ、前記小径側の芯金分割体における環状重なり部の内径側周縁部に、背面側へ延びて前記嵌合部に嵌合される被嵌合部を設けても良い。これら嵌合部および被嵌合部を採用する場合であっても、2個の芯金分割体を容易に組み立てることができる。
この場合、2個の芯金分割体の組立に起因して、磁気エンコーダトラック等が変形しても、隣り合う複列の磁気エンコーダトラックの被検出面を互いに同一面上に揃えるように加工し、その後、磁気エンコーダトラックを着磁し得る。このため、トラック間の同軸性を確保することができる。したがって、磁気エンコーダトラックに精度良く着磁することができる。
前記複列の磁気エンコーダトラックの被検出面を、切削加工面としても良い。
この場合、磁性体スペーサを別部材としているため、幅の狭い磁気エンコーダを実現できる。例えば、厚さ0.5mm程度の磁性鋼板を打ち抜き加工したものを用いることができる。このため、互いのトラック間に作用する磁気干渉を小さくすることができ、例えば、絶対角度検出の計算等を精度良くできる。
磁石部分が熱収縮した場合でも、2個の芯金分割体で磁性体スペーサの一部を挟み込んでいるため、この磁性体スペーサの固定を安定させて維持することができる。
前記係合部を凹み部に係合することで、芯金分割体の抜け防止を図り、組立て強度を上げることができる。これにより、より高速での回転も可能になる。
前記芯金分割体の端部を加工して前記磁性体スペーサを一体に設け、前記磁性体スペーサの厚みを、前記芯金分割体の端部以外の部分の厚みよりも薄くしても良い。この場合、磁性体スペーサの幅を抑えることができる。
前記磁気エンコーダトラックは、等ピッチの着磁パターンで磁極が交互に繰り返す回転検出用トラックを含むものであっても良い。
前記磁気エンコーダトラックは、回転検出用トラックに加えて形成されるトラックの一つが、前記回転検出用の等ピッチの着磁パターンとは磁極間隔が異なる等ピッチの着磁パターンで形成されるものであっても良い。
前記磁気エンコーダトラックは、回転検出用トラックに加えて形成されるトラックの一つが、前記回転検出用の等ピッチの着磁パターンと同じ磁極数で且つ位相関係がずれたパターンで形成されるものであっても良い。
このような複雑な着磁パターンであっても精度良く着磁可能となる。
前記磁気センサが、互いに磁極ピッチ内でずれた位置に配置された複数のセンサ素子を有し、sinおよびcosの2相の信号出力を得られるものであって、磁極内における位置を逓倍して検出するものである。
磁気センサをこのような構成にすると、磁気エンコーダの磁界分布をオン・オフ信号としてではなく、アナログ電圧による正弦波状の信号としてより細かく検出でき、精度の良い絶対角度検出が可能となる。
磁気センサをこのようにラインセンサで構成した場合、磁界パターンの歪みやノイズの影響が低減されて、より高い精度で磁気エンコーダの位相を検出し得る。
この発明の実施形態に係る磁気エンコーダは、例えば、各種モータの回転制御に用いられる回転検出装置等に適用される。ただし、各種モータの回転制御用に限定されるものではない。以下の説明は、磁気エンコーダの製造方法についての説明をも含む。
図1に示すように、磁気エンコーダ1は、芯金2と、複列の環状の磁気エンコーダトラック3,4と、磁性体スペーサ5とを備えている。芯金2は、互いに全周にわたって重なるつまり嵌合する環状重なり部6,7を有する2個の環状の芯金分割体2a,2bからなる。芯金2は、前記環状重なり部6,7における圧入状態の嵌合によって一体に組立ててなる。各芯金分割体2a,2bには、複列の環状の磁気エンコーダトラック3,4における片方の磁気エンコーダトラック3,4がそれぞれ形成され、且つ、磁気エンコーダトラック3,4が互いに隣り合うように並べて設けられる。これら磁気エンコーダトラック3,4は、未着磁の環状磁性体8,8に着磁して構成され、且つ隣合う列の磁気エンコーダトラック3,4の円周方向に沿う着磁パターンが互いに異なる。磁性体スペーサ5は、これら複列の環状の磁気エンコーダトラック3,4間に接触状態で介在させた環状の磁性体からなる。
図1に示すように、複列の磁気エンコーダトラック3,4は、2個の環状の芯金分割体2a,2bを一体に組立てた状態で、隣り合う複列の磁気エンコーダトラック3,4の被検出面3a,4aを切削加工したものである。
磁気エンコーダ1の製造方法は、この磁気エンコーダ1の構成部品を製造する過程である形成過程と、前記構成部品を組立て等する組立過程と、着磁過程とを含む。先ず形成過程において、図2(A)に示すように、前述の2個の芯金分割体2a,2bに、環状の未着磁の磁気エンコーダトラック3,4である環状磁性体3A,4Aを形成する。次に、組立過程において、図2(B)に示すように、環状磁性体3A,4Aが形成された2個の芯金分割体2a,2bを環状重なり部6,7で互いに嵌合させて一体に組立てる。これにより、2個の芯金分割体2a,2bの環状磁性体3A,4Aによって複列の隣り合って並ぶ環状の未着磁の磁気エンコーダトラック3,4とする。この組立過程において、2個の環状の芯金分割体2a,2bを一体に組立ておき、隣り合う複列の磁気エンコーダトラック3,4の被検出面3a,4aを揃えるように切削加工する。この切削加工時、磁性体スペーサ5の外周縁部を同時に切削加工する。このため、被検出面3a,4aおよび磁性体スペーサ5の外周縁部の径方向位置を揃わせ、対向する図示外の磁気センサとのギャップを精度良く管理することが可能となる。組立過程の後、着磁過程において、各列の磁気エンコーダトラック3,4を個別に着磁する。
スピンドルの回転に同期して励磁コイル15への通電方向を切り替えて制御することで、回転を停止せずに着磁することも可能である。
図4(B)のパターン例は、1列の磁気エンコーダトラック3に、互いに異なる磁極を等ピッチで交互に着磁して回転検出用トラックとしている。他の1列の磁気エンコーダトラック4には、互いに異なる磁極を等ピッチで交互に、かつ前記回転検出用トラックとは磁極数を異ならせて着磁して、別の回転検出用トラックとしたものである。
図4(D)のパターン例では、アキシアルタイプの環状磁性体での磁気エンコーダトラック3(4)の各磁極対Aにおいて、図4(C)の例と同様なパターンを形成するために、そのN磁極の幅とS磁極の幅とがトラック外周半部つまり径方向内外で互いに異なるように着磁したものである。
また、それぞれの磁気エンコーダトラック3,4の相対位相を合わせて着磁することができるため、例えば、補正値を設定したり、複数のセンサ素子間隔を大きく構成する等の対策を講じる必要がなくなる。よって、製造コストの低減を図ることが可能となる。
なお、凹み部16を、芯金分割体2bにおける大径筒部10の内周面に設け、この凹み部16に係合する係合部17を、芯金分割体2aの小径筒部11の外周面に設けても良い。逆に、凹み部16を、芯金分割体2aの小径筒部11の外周面に設け、この凹み部16に係合する係合部17を、芯金分割体2bにおける大径筒部10の内周面に設けても良い。このような凹み部16および係合部17は、プレス加工により容易に形成し得る。
芯金分割体2bのうち大径筒部10の先端部を曲げ加工して、前記磁性体スペーサ5の厚みt1を、前記芯金分割体2bの端部以外の部分の厚みt2よりも薄くしても良い。この場合、磁性体スペーサ5の幅を抑えることができる。なお、別部材である磁性体スペーサ5を、固着手段を用いて、芯金分割体2bの大径筒部10の先端部に一体に固着させても良い。
図7(B)に示すように、図7(A)の前記嵌合構成に代えて、または前記嵌合構成と共に、大径側の芯金分割体2aにおける環状重なり部6の内径側周縁部に、背面側へ延びる嵌合部6aを設け、且つ、小径側の芯金分割体2bにおける環状重なり部7の内径側周縁部に、背面側へ延びて前記嵌合部6aに嵌合される被嵌合部7aを設けても良い。これら嵌合部6aおよび被嵌合部7aを採用する場合であっても、2個の芯金分割体2a,2bを容易に組み立てることができる。図7(A)の嵌合構成と、嵌合部6aおよび被嵌合部7aの構成の両方を採用した場合、2個の芯金分割体2a,2bをより強固に組み立てることができる。
磁気センサ18A,18Bをこのような構成とすると、磁気エンコーダトラック4,3の磁界分布をオン・オフ信号としてではなく、アナログ電圧による正弦波状の信号としてより細かく検出でき、精度の良い絶対角度検出が可能となる。
磁気センサ18A,18Bをこのようにラインセンサで構成した場合、磁界パターンの歪みやノイズの影響が低減されて、より高い精度で磁気エンコーダトラック4,3の位相を検出することが可能である。
2…芯金
2a,2b…芯金分割体
2aa…トラック形成部
2ab…段差部
3,4…磁気エンコーダトラック
5…磁性体スペーサ
6,7…環状重なり部
6a…嵌合部
7a…被嵌合部
10…大径筒部
11…小径筒部
18A,18B…磁気センサ
19…回転検出装置
Claims (19)
- 互いに全周にわたって重ねる環状重なり部を有する2個の環状の芯金分割体からなり、前記環状重なり部で重ねて一体に組立ててなる芯金と、
前記各芯金分割体にそれぞれ形成され、且つ、互いに隣り合うように並べた複列の環状の磁気エンコーダトラックと、
これら複列の環状の磁気エンコーダトラック間に介在させた環状の磁性体からなる磁性体スペーサとを備えたことを特徴とする磁気エンコーダ。 - 請求項1において、前記2個の芯金分割体が、それぞれ軸方向に平行な軸心を有する筒状であって、各芯金分割体は、大径筒部と、この大径筒部に環状段差部を介して続く小径筒部とを有し、
軸方向先端側の芯金分割体における小径筒部の外周面に、軸方向基端側の芯金分割体における大径筒部の内周面を嵌合させた磁気エンコーダ。 - 請求項2において、各芯金分割体における大径筒部の外周面に、それぞれ1列の磁気エンコーダトラックを形成し、複列の環状の磁気エンコーダトラックを、互いに軸方向に隣り合うように並べた磁気エンコーダ。
- 請求項1において、前記2個の芯金分割体が、それぞれ軸方向を向く板状であって、互いに径が異なり、大径側の芯金分割体は前記磁気エンコーダトラックが正面に形成されたトラック形成部と、このトラック形成部の内径側へ段差部を介して続き前記トラック形成部よりも背面側に位置する環状重なり部とでなり、小径側の芯金分割体は、大径側の芯金分割体の前記環状重なり部の正面側に環状重なり部が重なり、この環状重なり部の外径側周縁部に前記磁性体スペーサが正面側へ延びて一体に設けられ、前記段差部にこの磁性体スペーサの基端部を嵌合させ、前記環状重なり部の正面に前記磁気エンコーダトラックが形成された磁気エンコーダ。
- 請求項4において、前記段差部に磁性体スペーサの基端部を嵌合させる嵌合構成に代えて、または前記嵌合構成と共に、
前記大径側の芯金分割体における環状重なり部の内径側周縁部に、背面側へ延びる嵌合部を設け、且つ、前記小径側の芯金分割体における環状重なり部の内径側周縁部に、背面側へ延びて前記嵌合部に嵌合される被嵌合部を設けた磁気エンコーダ。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記複列の磁気エンコーダトラックは、2個の環状の芯金分割体を一体に組立てた状態で、隣り合う複列の磁気エンコーダトラックの被検出面を互いに同一面上に揃うように加工したものである磁気エンコーダ。
- 請求項6において、前記複列の磁気エンコーダトラックの被検出面を、切削加工面とした磁気エンコーダ。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記芯金は、2個の芯金分割体で前記磁性体スペーサの一部を挟み込んで組立てた磁気エンコーダ。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記2個の芯金分割体のうちいずれか一方の芯金分割体に凹み部を設け、他方の芯金分割体に、前記凹み部に係合する係合部を設けた磁気エンコーダ。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、前記2個の芯金分割体のうち一つの芯金分割体に、前記磁性体スペーサを一体に設けた磁気エンコーダ。
- 請求項10において、前記芯金分割体の端部を加工して前記磁性体スペーサを一体に設け、前記磁性体スペーサの厚みを、前記芯金分割体の端部以外の部分の厚みよりも薄くした磁気エンコーダ。
- 請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、前記磁気エンコーダトラックは、ゴムまたはプラスチックに磁性粉を混合させた材質から成る磁気エンコーダ。
- 請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、前記磁気エンコーダトラックは、等ピッチの着磁パターンで磁極が交互に繰り返す回転検出用トラックを含む磁気エンコーダ。
- 請求項13において、前記磁気エンコーダトラックは、回転検出用トラックに加えて形成されるトラックの一つが、一回転に一回または数回の繰り返しパターンを設けて、回転の基準位置を示すZ相信号を生成するものである磁気エンコーダ。
- 請求項13において、前記磁気エンコーダトラックは、回転検出用トラックに加えて形成されるトラックの一つが、前記回転検出用の等ピッチの着磁パターンとは磁極間隔が異なる等ピッチの着磁パターンで形成されるものである磁気エンコーダ。
- 請求項13において、前記磁気エンコーダトラックは、回転検出用トラックに加えて形成されるトラックの一つが、前記回転検出用の等ピッチの着磁パターンと同じ磁極数で且つ位相関係がずれたパターンで形成されるものである磁気エンコーダ。
- 請求項1ないし請求項16のいずれか1項の磁気エンコーダと、この磁気エンコーダの磁界を検出する磁気センサとを備えた回転検出装置において、
前記磁気センサが、互いに磁極ピッチ内でずれた位置に配置された複数のセンサ素子を有し、sinおよびcosの2相の信号出力を得られるものであって、磁極内における位置を逓倍して検出するものである回転検出装置。 - 請求項1ないし請求項16のいずれか1項の磁気エンコーダと、この磁気エンコーダの磁界を検出する磁気センサとを備えた回転検出装置において、
前記磁気センサが、磁気エンコーダの磁極の並び方向に沿ってセンサ素子が並ぶラインセンサで構成され、sin,cosの2相の信号出力を演算によって生成して、磁極内における位置を検出するものである回転検出装置。 - 互いに全周にわたって重ねる環状重なり部を有する2個の芯金分割体に、環状の未着磁の磁気エンコーダトラックをそれぞれ環状磁性体として形成する形成過程と、
これら環状磁性体が形成された2個の芯金分割体を前記環状重なり部で重ねて一体に組立て、これら2個の芯金分割体の環状磁性体によって複列の隣り合って並ぶ環状の未着磁の磁気エンコーダトラックとする組立過程と、
この組立過程の後、各列の磁気エンコーダトラックを個別に着磁する着磁過程と、
を含む磁気エンコーダの製造方法。
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