JP6770522B2 - 全身性エリテマトーデスを予防し、及び/又は、治療するためのptgdr−1及び/又はptgdr−2アンタゴニスト - Google Patents

全身性エリテマトーデスを予防し、及び/又は、治療するためのptgdr−1及び/又はptgdr−2アンタゴニスト Download PDF

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Description

本発明は、SLEを予防し、及び/又は、治療するのに使用するための、PTGDR−1アンタゴニスト、PTGDR−2アンタゴニスト、二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニスト、又は、PTGDR−1アンタゴニストとPTGDR−2アンタゴニストとの組み合わせ、ならびに、それらを含有する医薬組成物に関する。
全身性エリテマトーデス(SLE)は、種々の臓器、例えば、関節及び皮膚に影響を及ぼすおそれがあり、腎臓の合併症(ループス腎炎、LN)が制御されないと死に至る、多因子性自己免疫疾患である。B細胞疾患であると考えた場合、自然免疫系及び適応免疫系の両方が、SLE中に調節不全であり、主に核内抗原(ANA)、例えば、二本鎖DNA(dsDNA)に対する自己抗体である主要なループス病原性因子の生成を協同して増幅する。その抗原及び補体因子に凝集すると、これらの自己抗体は、ターゲット臓器に沈着した場合、慢性炎症を媒介する循環性免疫複合体を形成するであろう。この疾患の紅斑は、通常、強力な免疫サプレッション処置及び高用量のコルチコステロイドにより抑制される。最近の臨床試験では、B細胞コンパートメントを直接ターゲッティングすることにより、SLEを有する対象における自己抗体生成を減少させるのが目的とされたが、十分な有効性を証明することができなかった。紅斑が発生するのを予防するための新たな治療戦略を開発することは、生物医学的コミュニティにおける大きな課題である。
好塩基球は、ほとんど表れない循環性白血球の1つであり、アレルギー性及び寄生虫性疾患におけるその関与が周知である。過去10年の間に、好塩基球について、その弱い存在にも関わらず、強力な免疫レギュラトリー機能を有することが示された。好塩基球が、形質細胞の生存及びin vivoでの抗体生成を支持することができ、一方で、一部のB細胞活性化因子、例えば、BAFF(B細胞活性化因子)、CD40L(CD40リガンド又はCD154)、インターロイキン(IL)−4及びIL−6を発現することができることが、以前に示された(Voehringer, D., Nat. Rev. Immunol. 13, 362-375 (2013);Charles, N. et al., Nat. Med. 16, 701-707 (2010))。この免疫モデュラトリーな役割は、T細胞及びB細胞の分化及び成熟に役立つことができる二次性リンパ性臓器(SLO)に蓄積するその能力に関連している(Charles, N. et al., Nat. Med. 16, 701-707 (2010);Leyva-Castillo, J.M., et al., Nat Commun 4, 2847 (2013);Otsuka, A., et al., Nat Commun 4, 1739 (2013))。SLOへの好塩基球蓄積をもたらすメカニズムは、ほとんど理解されていない。
C−X−Cモチーフリガンド12(CXCL12)は、骨髄からのストローマ細胞、腹腔、SLO、及び腎臓により主に分泌されるケモカインである。CXCL12は、C−X−Cモチーフレセプター4(CXCR4)とのその特異的な相互作用を介して、間葉系幹細胞、B細胞、及び好中球の生理学的分布をレギュレーションすることにより、ホメオスタシスケモカインとして機能する。CXCL12の過剰発現は、炎症組織において生じ、他の疾患の中でも、ガン及びループス腎炎の病因である(Wang, A., et al., J. Immunol. 182, 4448-4458 (2009);Balabanian, K., et al., J. Immunol. 170, 3392-3400 (2003);Hummel, S., Van Aken, H. & Zarbock, A.. Curr. Opin. Hematol. 21, 29-36 (2014))。
プロスタグランジンD(PGD)は、アラキドン酸から、シクロオキシゲナーゼ及び組織特異的PGDシンターゼ(PGDS)により生成される。PGDは、種々のホメオスタシス機能に寄与し、2つの公知のPGDレセプター(PTGDR):PTGDR−1(又は、DP、Dプロスタノイドレセプター)及びPTGDR−2(又は、DP−2、2型Tヘルパー(T2)細胞において発現される化学誘引物質レセプター類似分子であるCRTH2としても公知)とのその相互作用による、炎症の開始及び消散に関与する。好塩基球は、腹膜血中白血球の中でも、最高レベルに広範囲でのPTGDR−1を発現する。PTGDR−2発現は、より制限され、好塩基球、好酸球、及びT2 CD4T細胞の活性化及び化学遊走を媒介する。これらの2つのレセプターの作用は、競合的であるか、又は、協同的である場合がある。PGDは、アレルギー性及び肺性疾患、潰瘍性大腸炎、及び腎線維症に関与している。リポカリン型PGDS(L−PGDS)は、炎症している腎臓(Nagata, N., et al., FEBS J 276, 7146-7158 (2009))及び活動性LN患者の尿(Suzuki, M., et al., Pediatr. Res. 65, 530-536 (2009);Somparn, P., et al., J. Proteomics 75, 3240-3247 (2012))において、de novo発現されることが近年見出された。
しかしながら、PGD/PTGDR系は、SLEにおいて特徴付けられていない。
この観点において、国際公開公報第2009/085177号には、二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニストが開示されており、これらのアンタゴニストがSLEを含む疾患リストの予防及び/又は治療に有用である場合があることが示唆されている。しかしながら、この文献において具体的に評価された治療効果は、喘息に対してのみである。SLEの提案された予防及び/又は治療は、具体化されていない。
本発明者らにより、近年、好塩基球が、自発性マウスSLEモデル(Lyn−/−マウス)及び42名の患者の小さなコホートの両方において、SLOに蓄積することにより、LNの進行に関与したことが示された。同SLOにおいて、好塩基球は、自己反応性T細胞及びB細胞を、IgE及びIL−4依存性経路により支持する(Charles, N. et al., Nat. Med. 16, 701-707 (2010))。強力な好塩基球アクチベータ又は化学誘引物質の生成が、ループス発病中に調節不全になることが公知であるため(Pellefigues, C. & Charles, N., Curr. Opin. Immunol. 25, 704-711 (2013))、SLE中の好塩基球のSLOへのリクルートの基礎をなすメカニズムが調査された。
本発明者らにより、好塩基球がこの疾患の紅斑中に活性化される2つの新規な経路が特定された。
組織慢性炎症は、ループスの間に全身濃度が調節不全になる好塩基球活性化因子の分泌をもたらす。SLEを有する個体の新たなより大きいコホートにおいて、本発明者らにより、好塩基球減少がSLE患者に特徴的であり、疾患の活動性に関連したことが確認された。さらに、他の腎疾患と比較した場合、好塩基球減少は、ループス腎炎に特異的であった。この好塩基球減少は、好塩基球の一部の公知及び新たな活性化マーカーにおける特異的な発現パターンに関連した。実際には、タンパク質レベル及び好塩基球表面でのCXCR4発現は、活動性の患者において顕著に増大し、好塩基球減少に関連する。
本発明者らにより、疾患の活動性及び好塩基球減少が互いに、そして、PGD/PTGDR及びCXCL12/CXCR4系に密接に関連していたことが見出された。
活動性ループスの対象の好塩基球におけるその変化した発現パターンの他にも、CXCR4及びCD164により、SLE好塩基球のex vivoにおけるCXCL12媒介性遊走の劇的に増大した感受性がもたらされた。非滅菌腹膜炎患者において、本発明者らにより、遊走された好塩基球は、その「非遊走」血中好塩基球対照と比較して、CXCR4を劇的に過剰発現していたことが証明された。このことから、ヒトCXCR4好塩基球の血管外漏出及び遊走が、in vivoにおいて、CXCL12により誘引され、腹膜での好塩基球減少がもたらされた可能性があることが、強く示唆される。マウスでは、CXCL12により、注入部位及び対応する排出リンパ節において、CXCR4好塩基球の再分布が誘引された。このことから、in vivoにおいて、CXCL12に対する好塩基球の遊走能が証明される。ヒト及びマウスの両方におけるこれらの遊走能は、in vivo及びex vivoにおいて、PGD/PTGDR系により可能となった。
さらに、本発明者らにより、PGD合成が、SLE対象において増大し、好塩基球減少に関連したことが証明された。このPGD媒介性CXCR4依存性好塩基球遊走は、少なくとも部分的に、ex vivoにおける好塩基球自体によるその合成に基づくPGDの自己分泌作用によるものであった。これにより、CXCR4の外在化がもたらされる。特に、SLEを有する対象及びLyn−/−マウスの両方において、本発明者らにより、PGD(PGD/PTGDR系)が、ループス中に、SLOへのCXCR4依存性好塩基球リクルートを増大させたことが見出された。このことから、ループス傾向マウスにおいて、繰返しのPGD注入により観察された疾患の紅斑が説明される。これらのデータは、ループス発病中におけるPGDのCXCR4媒介性病因作用を強調している。このことから、推定の治療ターゲットとして、両方の系が特定される。
このため、本発明者らにより、PTGDR特異的アンタゴニストを使用して、SLE患者におけるこれらの系を変化させることが、Lyn−/−ループス様マウスモデルにおいて示された好塩基球依存性自己抗体生成及び腎臓炎症を打破するものであり、SLOへの好塩基球ホーミングを妨害することにより、SLE紅斑及び長期臓器傷害を制限するものであることが結論付けられた。
本発明者らにより、ループス様マウスモデルにおいてin vivoでPTGDRと拮抗することは、他の細胞種の割合に影響を及ぼすことなく、短命の形質細胞に影響を及びして、SLOへのCXCR4依存性好塩基球リクルートを妨害することが証明された。この処置により、短命の形質細胞数、腎臓の炎症、及び自己抗体力価を、ほんの10日において減少させるのが達成された。
定義
「ループス」又は「全身性エリテマトーデス」もしくは「SLE」という用語は、本明細書において、その通例の意味で使用され、自己抗体の存在、発疹、口内潰瘍、漿膜炎、神経障害、低血球数、関節痛、及び腫れにより特徴付けられる自己免疫障害を含む。診断に使用される検査は、抗体検査(例えば、抗核抗体(ANA)パネル、抗二本鎖DNA(dsDNA)、抗リン脂質抗体、抗Smith抗体);低白血球、ヘモグロビン、又は血小板を示すためのCBC;胸膜炎又は心膜炎を示す胸部X線;腎臓生検;尿中の血液、円柱、又はタンパク質を示す検尿を含む。
「ループス腎炎」は、全身性エリテマトーデス(SLE)により引き起こされる腎臓の炎症により特徴付けられる障害を意味する。ループス腎炎は、糸球体に沈着したIgM、IgG、及びIgA含有免疫複合体により特徴付けられる。これらの免疫複合体は、核コンポーネントに対する特異性を有する自己抗体(抗核抗体(ANA))又は核酸(例えば、二本鎖DNA(dsDNA))に対する特異性を有する自己抗体により形成される。
したがって、本明細書で使用する場合、全身性エリテマトーデス又は「SLE」の予防及び/又は治療は、ループス腎炎の予防及び/又は治療を包含する。
本発明の文脈において、「処置すること」又は「処置」という用語は、治療的使用(すなわち、所定の疾患を有する対象における)を指し、このような障害又は状態の1つ以上の兆候の進行を反転させ、緩和し、阻害することを意味する。したがって、処置は、疾患の完全な治癒をもたらす処置のみだけでなく、疾患の進行を遅らせ、及び/又は、対象の生存を伸ばす処置も意味する。
「予防すること」は、予防的使用(すなわち、所定の疾患の進行に感受性の対象における)を意味する。
「プロスタグランジンD2」又は「PGD」は、9α,15S−ジヒドロキシ−11−オキソ−プロスタ−5Z,13E−ジエン−1−オイック酸(IUPAC名)(CAS番号:41598−07−6)である。
「PTGDR−1」又は「DP」又は「Dプロスタノイドレセプター」は、プロスタグランジンD2用のレセプターであり、その活性は、アデニラートシクラーゼを刺激して、細胞内cAMPの増大をもたらすGタンパク質により主に媒介される。ヒトPTGDR−1タンパク質の例示的な配列は、UniProtデータベースにおいて、アクセッション番号Q13258(特に、Q13258-1:アイソフォーム1、2015年1月7日の登録バージョン133)で利用可能である。PTGDR−1をコードする完全なmRNA配列は、Genbankにおいて、アクセッション番号EF577397.1(リリース:122;発行日:2014年11月21日)で利用可能である。
「PTGDR−2」又は「2型Tヘルパー(TH2)細胞において発現された化学誘引物質レセプター類似分子」もしくは「CRTH2」又は「DP2」は、プロスタグランジンD2用のGタンパク質共役レセプターであり、CD4+エフェクターTヘルパー2(Th2)細胞において優先的に発現されている。ヒトPTGDR−2タンパク質の例示的な配列は、UniProtデータベースにおいて、アクセッション番号Q9Y5Y4(2015年1月7日の登録バージョン120)で利用可能である。PTGDR−2をコードする完全なmRNA配列は、Genbankにおいて、アクセッション番号AY507142.1(リリース:122;発行日:2014年11月21日)で利用可能である。
本明細書で使用する場合、「アンタゴニスト」という用語は、ターゲット及び/又はシグナル伝達経路の発現及び/又は生物学的活性を、部分的に又は完全に、ブロックし、阻害し、減少させ、又は中和する、任意の分子を意味する。
「PTGDR−1アンタゴニスト」は、PTGDR−1タンパク質の発現及び/又は生物学的活性を、部分的に又は完全に、ブロックし、阻害し、中和し、又は妨害する分子を意味する。これは、PGD/PTGDR−1相互作用を、ブロックし、阻害し、減少させ、又は妨害することを含むが、これらに限定されない。PTGDR−1アンタゴニストは、例えば、PGD中和抗体、すなわち、PGDに結合し、PGDがPTGDR−1に結合するのを妨害する抗体を含む。
「PTGDR−2アンタゴニスト」は、PTGDR−2タンパク質の発現及び/又は生物学的活性を、部分的に又は完全に、ブロックし、阻害し、中和し、又は妨害する分子を意味する。これは、PGD/PTGDR−2相互作用を、ブロックし、阻害し、減少させ、又は妨害することを含むが、これらに限定されない。PTGDR−2アンタゴニストは、例えば、PGD中和抗体、すなわち、PGDに結合し、PGDがPTGDR−2に結合するのを妨害する抗体を含む。
適切なアンタゴニスト分子は、具体的には、生体分子、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、抗体フラグメント、アプタマー、アンチセンス、干渉RNA、又は非生物学的な大型又は小型分子(10kDa未満)、特に、有機小分子を含むが、これらに限定されない。
アンタゴニストは、PTGDR−1又はPTGDR−2遺伝子発現の阻害剤であることができる。遺伝子発現の阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド及び干渉RNA(iRNA)を含む。
「iRNA」という用語は、二本鎖RNA、一本鎖RNA、単離されたRNA(部分的に精製されたRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、リコンビナントに生成されたRNA)、ならびに、付加、欠失、置換、及び/又は1つ以上のヌクレオチドの改変により天然のRNAとは異なる改変RNAを含む。このような改変は、非ヌクレオチド材料の、例えば、RNAの端部又は内部(RNAの1つ以上のヌクレオチドにおける)への付加を含むことができる。iRNA分子におけるヌクレオチドは、非標準的なヌクレオチドも含むことができる。同ヌクレオチドは、非天然ヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドを含む。まとめると、このような改変iRNA化合物は全て、天然RNAの類似体と呼ばれる。iRNAは、RNA干渉を媒介する能力を有する天然RNAに十分類似することのみを必要とする。本明細書で使用する場合、「RNA干渉を媒介する」という表現は、RNA干渉機構又はプロセスにより影響を受けるmRNAを区別する能力を意味し、これを示す。RNA干渉を媒介するRNAは、RNA干渉機構と相互作用し、これにより、この機構に特定のmRNAを分解させ、ターゲットタンパク質の発現を他の方法で減少させる。一実施態様において、iRNA分子は、その配列が対応する特定のmRNAを開裂させる。配列の完全な対応が存在することは必要なく、この対応は、iRNAがターゲットmRNAの開裂又は同mRNAの発現の欠損により、RNA干渉阻害させるのを可能にするのに十分である必要がある。iRNA分子は、RNA部分と一部の更なる部分、例えば、デオキシリボヌクレオチド部分とを含むことができる。RNA分子におけるヌクレオチドの総数は、RNA干渉の効果的な媒介体であるために、適切には、49個未満である。好ましいRNA分子では、ヌクレオチド数は、16〜29個、より好ましくは、18〜23個、及び最も好ましくは、21〜23個である。
上記されたように、iRNAという用語は、siRNA、shRNA、miRNA、dsRNA、及びin vivoにおいて開裂されてsiRNAを形成することができる他のRNA種を含むが、これらに限定されない。
「短干渉RNA」又は「siRNA」は、RNA二本鎖(二本鎖領域)を含み、1つ又は2つの一本鎖オーバーハングである3’又は5’オーバーハングを更に含むことができる。
「低分子ヘアピン型RNA(shRNA)」は、ターゲット遺伝子の一部に相補的な(ターゲット遺伝子の1つ以上の転写物に相補な)RNAセグメントを意味し、ステム−ループ(ヘアピン)構造を有する。
「マイクロRNA」又は「miRNA」は、約22のヌクレオチド長であり、内因的にコードされるRNAであり、同RNAは、転写後にターゲット遺伝子をレギュレーションし、一般的に、高い組織特異的又は発達段階特異的な方法で発現される。既存のmiRNA遺伝子の特徴に基づいて、人工のmiRNAを設計し、発現させることができる。miR−30(マイクロRNA30)アーキテクチャは、RNAポリメラーゼIIプロモーター系発現プラスミド(Zeng et al, 2005, Methods enzymol. 392:371-380)からmiRNA(又はsiRNA)を発現させるのに使用することができる。一部の例では、miRNA前駆分子は、2つ以上のステム−ループ構造を含むことができる。複数のステム−ループ構造は互いに、リンカー、例えば、核酸リンカー、miRNAフランキング配列、他の分子、又はそれらの幾つかの組み合わせを介して連結することができる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ターゲットRNAに、RNA−RNAもしくはRNA−DNA又はRNA−PNA(タンパク質核酸;Egholm et al, 1993 Nature 365, 566)相互作用により結合し、このターゲットRNAの活性を変化させる非酵素的核酸分子である。典型的には、アンチセンス分子は、ターゲット配列に対して、アンチセンス分子の連続的な配列に沿って相補である。加えて、アンチセンスDNAは、RNAを、DNA−RNA相互作用によりターゲットすることにより、二本鎖中のターゲットRNAを消化するRNaseHを活性化するのに使用することができる。
「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子、すなわち、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子の免疫学的に活性な部分を意味する。したがって、抗体という用語は、抗体分子全体のみではなく、抗体フラグメントならびに抗体及び抗体フラグメントの変異体(誘導体を含む)も包含する。特に、本発明の抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(例えば、キメラ、ヒト化、又はヒト抗体)、ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体のフラグメント、又はディアボディに相当することができる。
「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の一部、好ましくは、インタクトな抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体フラグメントの例は、Fv、Fab、F(ab’)、Fab’、Fd、dAb、dsFv、scFv、sc(Fv)、CDR、ディアボディ、及び抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体を含む。
「アプタマー」は、分子認識に関して抗体に対する代替を提供する分類の分子である。アプタマーは、任意の分類のターゲット分子を、高い親和性及び特異性で仮想的に認識する能力を有するオリゴヌクレオチド又はオリゴペプチド配列である。このようなリガンドは、Tuerk C. and Gold L., Science, 1990, 249(4968):505-10に記載された、ランダム配列ライブラリのSystematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment(SELEX)により単離することができる。ランダム配列ライブラリは、DNAのコンビナトリアル化学合成により得ることができる。このライブラリにおいて、各メンバーは、固有の配列の最終的に化学修飾された直線状オリゴマーである。この分類の分子の可能性ある修飾、使用、及び利点は、Jayasena S.D., Clin. Chem., 1999, 45(9):1628-50にレビューされている。ペプチドアプタマーは、プラットフォームタンパク質により提示される立体構造的に拘束された抗体可変領域、例えば、ツーハイブリッド法(Colas et al., Nature, 1996,380, 548-50)によりコンビナトリアルライブラリから選択されたE. coliチオレドキシンAからなる。
本願全体を通して、「含む(comprising)」という用語は、全ての具体的に言及された特徴と、任意の追加的な特定されていない特徴とを包含すると解釈されたい。本明細書で使用する場合、「含む」という用語の使用は、具体的に言及された特徴以外の特徴が存在しない(すなわち、「からなる」)実施態様も開示する。
さらに、不定冠詞「a」又は「an」は、複数系を除外するものではない。
本発明の説明
本発明は、SLEを予防し、及び/又は、治療するための方法に使用するためのPTGDR−1アンタゴニストに関する。また、本発明は、SLEを予防し、及び/又は、治療するための医薬を製造するための、PTGDR−1アンタゴニストの使用に関する。さらに、本発明は、SLEを予防し、及び/又は、治療するのを必要とする患者において、SLEを予防し、及び/又は、治療するための方法であって、前記患者にPTGDR−1アンタゴニストを投与することを含む、方法に関する。
別の態様によれば、本発明は、SLEを予防し、及び/又は、治療するための方法に使用するためのPTGDR−2アンタゴニストに関する。また、本発明は、SLEを予防し、及び/又は、治療するための医薬を製造するための、PTGDR−2アンタゴニストの使用に関する。さらに、本発明は、SLEを予防し、及び/又は、治療するのを必要とする患者において、SLEを予防し、及び/又は、治療するための方法であって、前記患者にPTGDR−2アンタゴニストを投与することを含む、方法に関する。
PTGDR−1アンタゴニスト
実施態様によれば、前記PTGDR−1アンタゴニストは、小分子(small molecule)アンタゴニストである。
数多くのPTGDR−1アンタゴニストが、当技術分野において説明されている。
前記小分子アンタゴニストは、特に、以下に開示された式I〜VIで表示される化合物からなる群より選択される。
(i)国際公開公報第03062200号に記載された式(I)

[式中、
nが、0又は1であり、mが、1、2、又は3であり、Rが、H、C〜Cアルキル、ハロゲン化C〜Cアルキル、又はシクロプロピルであり、Rが、4−クロロフェニル又は2,4,6−トリクロロフェニルである]
で表示される化合物及びその薬学的に許容し得る塩。
好ましくは、式Iで表示される化合物は、以下に示された立体配置を有する(すなわち、キラル中心がR配置を有する)。
特に、式I又はIIで表示される化合物は、ラロピプラント、すなわち、(−)−[4−(4−クロロベンジル)−7−フルオロ−5−(メタン−スルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル]酢酸:

及びその薬学的に許容し得る塩である。
ラロピプラントは、脂質代謝異常を処置するためのナイアシンにより誘引される潮紅を阻害することについて、FDAにより認可されている。
(ii)国際公開公報第0179169号に開示された化合物、すなわち、2−[(1R)−9−(4−クロロベンジル)−8−((R)−メチル−スルフィニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸もしくはその薬学的に許容し得る塩、又は、2−[(1R)−9−(4−クロロベンジル)−8−((S)−メチル−スルフィニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸もしくはその薬学的に許容し得る塩。
(iii)国際公開公報第0208186号に開示された化合物:

[式中、
R1、R2、及びR3が、それぞれ独立して、(1)水素及び(2)Rcからなる群より選択され、
R4及びR5が、それぞれ独立して、(1)H、(2)F、(3)CN、(4)C1〜6アルキル、(5)ORa、及び(6)S(O)C1〜6アルキルからなる群より選択され、そしてここで、前記アルキル基はそれぞれ、場合により、ハロゲンにより置換されており、又は、
同じ炭素原子上のR4及びR5が、オキソを表わし、又は、
同じ炭素原子上又は隣接する炭素原子上のR4及びR5がまとまって、3又は4員環を形成しており、同環が、0又は1つのN、S、又はOから選択されるヘテロ原子を含有し、場合により、F、CF、及びCHから選択される1つ又は2つの基により置換されており、
R6が、(1)H、(2)ORa及びハロゲンから独立して選択される1〜6個の基により場合により置換されているC1〜6アルキル、ならびに、(3)1〜4個のハロゲンにより場合により置換されているヘテロシクリルからなる群より選択され、又は、
隣接する炭素原子に付着しているR5及びR6が共に、3又は4員環を形成しており、同環が、0又は1つのN、S、又はOから選択されるヘテロ原子を含有し、F、CF、及びCHから選択される1つ又は2つの基により場合により置換されており、
Xが、C=O、SO、及びC1〜4アルキルからなる群より選択され、そしてここで、前記アルキルが、場合により、1〜6個のハロゲンにより置換されており、
Arが、アリール又はヘテロアリールであり、それぞれ、場合により、Rcから独立して選択される1〜4個の基により置換されており、
Qが、(1)ハロゲン、(2)アリール、(3)ヘテロアリール、(4)OH、(5)OC1〜6アルキル、(6)COOH、(7)CONRaRb、(8)C(O)NSOR7、(9)テトラゾリルから独立して選択される1〜6個の基により場合により置換されているC1〜6アルキルであり、そしてここで、アリール、ヘテロアリール、及びアルキルがそれぞれ、場合により、ハロゲン、CF、及びCOOHから独立して選択される1〜6個の基により置換されており、
Q及びR6が共に、3又は4員環を形成しており、同環が、場合により、N、S、又はOから選択されるヘテロ原子を含有し、場合により、(1)ハロゲン、(2)オキソ、(3)ORa、(4)COOH、(5)C(O)NHSOR7、及び(6)テトラゾリルから独立して選択される1つ又は2つの基により置換されており、
R7が、(1)1〜6個のハロゲンで場合により置換されているC1〜6アルキル、(2)アリール、及び(3)ヘテロアリールからなる群より選択され、そしてここで、前記アリール及びヘテロアリールが、場合により、ハロゲン、OC1〜5アルキル、C1〜5アルキルにより置換されており、そしてここで、前記アルキルが、場合により、1〜6個のハロゲンにより置換されており、
Ra及びRbが、ハロゲン及び1〜6個のハロゲンで場合により置換されているC1〜6アルキルから独立して選択され、
Rcが、(1)ハロゲン、(2)CN、(3)ハロゲン、NRaRb、C(O)Ra、C(ORa)RaRb、及びORaから独立して選択される、1〜6個の基で場合により置換されているC1〜6アルキル、(4)ハロゲン及びORaから独立して選択される、1〜6個の基で場合により置換されているC2〜6アルケニル、(5)ヘテロシクリル、(6)アリール、(7)ヘテロアリール、(8)C(O)Ra、(9)C(ORa)RaRb、(10)C(O)ORa、(11)CONRaRb、(12)OCONRaRb、(13)S(O)R7、(14)NRaC(O)OC1〜6アルキル(式中、アルキルが、場合により、1〜6個のハロゲンにより置換されている)、及び(15)S(O)NRaRbであり、そしてここで、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールが、場合により、ハロゲンから独立して選択される1〜4個の基により置換されており、nが、0、1、又は2である]
ならびに、その薬学的に許容し得る塩、水和物、及びエステル。
(iv)国際公開公報第03062200号に開示された化合物:

[式中、
nが、0又は1であり、mが、1、2、又は3であり、Rが、H、C〜Cアルキル、ハロゲン化C〜Cアルキル、又はシクロプロピルであり、Rが、4−クロロフェニル又は2,4,6−トリクロロフェニルである]
及びその薬学的に許容し得る塩。
特に、式IVで表示される化合物は、(−)−[4−(4−クロロベンジル)−7−フルオロ−5−(メタンスルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル]酢酸:すなわち、

又はその薬学的に許容し得る塩である。
(v)国際公開公報第2004103970号に開示された化合物:

[式中、
mが、1又は2であり、Rが、1〜5個のハロゲン原子で場合により置換されているC〜Cアルキルである]
及びその薬学的に許容し得る塩。
前記式Vで表示される化合物は、特に、
[(3R)−4−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−7−フルオロ−5−(メチルスルホニル)−1,2,3,4−テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール−3−イル]酢酸及びその薬学的に許容し得る塩、
[(1R)−9−[(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸及びその薬学的に許容し得る塩、
[(1R)−9−[(1R)−1−(4−クロロフェニル)−2−フルオロエチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸及びその薬学的に許容し得る塩、ならびに、
[(1R)−9−[(1R)−1−(4−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]−6−フルオロ−8−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]酢酸及びその薬学的に許容し得る塩
からなる群より選択される。
(vi)欧州特許第2762141号に記載された、[2−(オキサゾール−2−イル)−5−(4−{4−[(プロパン−2−イル)オキシ]フェニルスルホニル}ピペラジン−1−イル)フェノキシ]酢酸

又はその薬学的に許容し得る塩。この化合物は、公知の方法、例えば、国際公開公報第2007/037187号又は同第2008/123349号に記載された方法に基づいて合成することができる。
例示的なPTGDR−1アンタゴニストは、国際公開公報第97/00853号、同第98/25919号、同第01/66520号、同第02/094830号、同第03/022814号、同第03/078409号、及び同第2004/103370号;欧州特許出願公開公報第945450号、同第944614号、及び同第1305286号;ならびに米国特許出願公開公報第20040220237号、同第20070244107号、及び同第20080194600号において、PGD2拮抗活性を有すると記載された化合物を含むが、これらに限定されない。これらの文献は全て、その全体が参照により組み入れられる。
他の実施態様によれば、PTGDR−1アンタゴニストは、生体分子アンタゴニストである。
例えば、前記PTGDR−1アンタゴニストは、PTGDR−1に対する、抗体、好ましくは、モノクローナル抗体もしくは抗体フラグメント、又はアプタマーである。ポリクローナル又はモノクローナル抗体を製造する方法は、当業者に容易に利用可能である。
前記PTGDR−1アンタゴニストは、PTGDR−1発現を阻害する、アンチセンス又は干渉RNAであることもできる。
実施態様において、前記PTGDR−1アンタゴニストは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、国際公開公報第02/081628号に開示された、配列番号:4415〜配列番号:5483の内の1つを含むか、又は、からなるアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
PTGDR−2アンタゴニスト
実施態様によれば、前記PTGDR−2アンタゴニストは、小分子(small molecule)アンタゴニストである。
数多くのPTGDR−1アンタゴニストが、当技術分野において説明されている。
一部の実施態様では、PTGDR−2アンタゴニストは、下記からなる群より選択される。
(i)国際公開公報第2013088109号に開示された化合物:

[式中、
R1が、C1〜C6アルキルであり、
R2が、ハロゲンであり、
R3が、ハロ、OH、CN、R6、COR6、CH2R6、OR6、SR6、SOR6、又はSOYR6から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されている、アリール又はヘテロアリールであり、
R6が、C1〜C6アルキル、C3〜C8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、それらのいずれかが、ハロ、OH、CN、NO2、C1〜C6アルキル、又はO(C1〜C6アルキル)から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていることができ、
Yが、NH又は直鎖もしくは分岐C1〜C4アルキレン鎖であり、
R4が、H又はC1〜C4アルキルであり、
R5が、水素、C1〜C6アルキル、アリール、(CH2)OC(=O)C1〜C6アルキル、((CH2)O)CH2CH2X、(CH2)N(R7)、又はCH((CH2)O(C=O)R8)であり、
mが、1又は2であり、
nが、1〜4であり、
Xが、OR7又はN(R7)2であり、
R7が、水素又はメチルであり、
R8が、C1〜C8アルキルである]
又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、溶媒和物、又は錯体。
(ii)欧州特許第0242518号に記載されたシクロアルカノ(1,2−b)インドール−スルホンアミド

[式中、
R1が、H、フッ素、メチル、メトキシ、ベンジルオキシ、又はヒドロキシルであり、
R2が、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はメトキシにより置換されているフェニルであり、
Yが、0又は1である]
又はその薬学的に許容し得る塩。
特に、式VIIIで表示される化合物は、下記からなる群から選択される。
−欧州特許第1051398号に記載された、ラマトロバン((R)−3−[[(4−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−カルバゾール−9−プロパン酸):

又はその熱力学的に安定な形態、
−及び、ラマトロバンの類似物、特に、TM30642(3−{3−[(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−メチル−アミノ]1,2,3,4−テトラヒドロ−カルバゾール−9−イル}−プロピオン酸):

TM30643([3−(4−フルオロ−ベンゼンスルホニルアミノ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−カルバゾール−9−イル]−酢酸):

TM30089(CAY10471とも呼ばれる)(CAS 627865−18−3:2−[3−[(4−フルオロフェニル)スルホニル−メチルアミノ]−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−9−イル]酢酸):
(iii)OC000549(5−フルオロ−2−メチル−3−(2−キノリニルメチル)−1H−インドール−1−酢酸)
(iv)セチピプラント
AZD1981(4−(アセチルアミノ)−3−[(4−クロロフェニル)チオ]−2−メチル−1H−インドール−1−酢酸)。
更なるPTGDR−2アンタゴニストは、下記公報:欧州特許第1,170,594号、同第1,435,356号、国際公開公報第2003/066046号、同第2003/066047号、同第2003/097042号、同第2003/097598号、同第2003/101961号、同第2003/101981号、同第2004/007451号、同第2004/032848号、同第2004/035543号、同第2004/106302号、同第2005/019171号、同第2005/054232号、同第2005/018529号、同第2005/040112号、ドイツ国特許第2,407,318号、国際公開公報第2005/040114号、同第2005/044260号、同第2005/095397号、同第2005/100321号、同第2005/102338号、同第2005/123731号、同第2006/034419号、同第2006/095183号、同第2007/107772号、同第2008024746号、米国特許第7,405,215号に見出すことができる。これらの文献はそれぞれ、その全体が参照により組み入れられる。
他の実施態様によれば、PTGDR−2アンタゴニストは、生体分子アンタゴニストである。
例えば、前記PTGDR−2アンタゴニストは、PTGDR−2に対する、抗体、好ましくは、モノクローナル抗体もしくは抗体フラグメント、又はアプタマーである。実施態様において、前記PTGDR−2アンタゴニストは、例えば、国際公開公報第2014144865号に記載された、PTGDR−2発現細胞を枯渇させる抗体である。
前記PTGDR−2アンタゴニストは、PTGDR−2発現を阻害する、アンチセンス又は干渉RNAであることもできる。
二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニスト
本明細書で使用する場合、二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニストは、PTGDR−1及びPTGDR−2それぞれに対するアンタゴニスト活性の比が1:10〜10:1、特に、1:50〜50:1、好ましくは、1:100〜100:1、更に好ましくは、1:250〜250:1である、アンタゴニストである。
本発明の枠組みにおいて使用することができる二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニストは、例えば、国際公開公報第2009/085177号に記載された化合物:

[式中、
R1が、アルキル又はシクロアルキルであり、R2が、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又はシクロアルキルであり、Xが、クロロ又はフルオロである]
及びその薬学的に許容し得る塩を含む。
好ましくは、前記式VIで表示される化合物は、AMG853(2−(4−(4−(tert−ブチルカルバモイル)−2−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニルスルホンアミド)フェノキシ)−5−クロロ−2−フルオロフェニル)酢酸):

である。
AMG853及びこの化合物を調製する方法は、Liu et al., ACS Med Chem Lett. 2011 Mar 2;2(5):326-30にも記載されている。
ただし、ある実施態様では、式VIで表示される二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニストは、本発明の範囲から除外される。
PTGDR−1及び/又はPTGDR−2に対する分子のアンタゴニスト活性の特徴決定は、例えば、Liu et al., ACS Med Chem Lett. 2011 Mar 2;2(5):326-30に記載された方法により行うことができる。これらの方法は、下記を含む。
(i)PTGDR−1及び/又はPTGDR−2に対する分子のIC50を決定すること。これは、例えば、ヒトPTGDR−1又はPTGDR−2を安定して発現しているHEK−293細胞において行うことができる。結合を測定するために、検出可能にラベルされたPGD、例えば、[H]−PGDを、HEK−293(PTGDR−1又はPTGDR−2)細胞と共に、アッセイされる分子の増大する濃度の存在下においてインキュベーションする。インキュベーション後、細胞を洗浄し、細胞に結合した状態のラベルされたPGD量を、適切な方法(例えば、[H]−PGDの場合には、シンチレーションカウント)により測定する。[H]−PGDの結合の50%阻害を達成するのに必要とされる化合物濃度(IC50)を決定した。結合バッファーは、0.5% BSA(バッファー結合)又は50% ヒト血漿(血漿結合)のいずれかを含有する。
(ii)PTGDR−1に対する分子の親和性を決定すること。これを、例えば、クエン酸デキストロースバキュテナー管に吸引された全血において、試験分子又はDMSOで処理し、ついで、PGDの用量応答により刺激することで行うことができる。ついで、細胞を溶解し、cAMPを、競合的ELISAを使用して測定する。DMSOのみを含有するサンプルと、試験分子を含有するサンプルとにおけるPGDに対する用量応答の比較を、Schild式(Schild HO. PA2, a new scale for the measurement of drug antagonism. Brit J Pharmacol 1947;2:189-206)を使用するKを決定するのに使用する。
(i)PTGDR−2に対する分子の親和性を決定すること。これを、例えば、クエン酸デキストロース抗凝固管に吸引された全血において、試験分子又はDMSOで処理し、ついで、PGDの用量応答により刺激することで行うことができる。蛍光色素コンジュゲート抗体を使用して、PTGDR−2陽性顆粒球をラベルする。PTGDR−2レセプターの内部移行を、フローサイトメトリーによりモニターする。Kを、Schild式を使用して決定する。
単独又は組み合わせでの処置
両PTGDRが協同する可能性があるため、PTGDR−1及びPTGDR−2の両方を拮抗することは、ループスを治療し、及び/又は、予防するのに有利な治療法である。さらに、これにより、2つのPGDレセプターの一方のみをターゲットにする場合、ブロックされないPTGDRによる、好塩基球及び他の細胞におけるPGD作用の増強の何らかのリスクが避けられるべきである。
実施態様によれば、前記PTGDR−1(又はPTGDR−2アンタゴニスト)は、二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニストである。
別の実施態様によれば、前記PTGDR−1アンタゴニストは、二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニストではない。前記実施態様では、PTGDR−1アンタゴニストは、SLEの予防及び/もしくは治療のための唯一の活性成分(単独処置)として、又は、SLEの予防及び/もしくは治療のための少なくとも(二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニストではない)PTGDR−2アンタゴニストとの組み合わせにおいてのいずれかで使用される。
別の実施態様によれば、前記PTGDR−2アンタゴニストは、二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニストではない。前記実施態様では、PTGDR−2アンタゴニストは、SLEの予防及び/もしくは治療のための唯一の活性成分(単独処置)として、又は、SLEの予防及び/もしくは治療のための少なくとも(二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニストではない)PTGDR−1アンタゴニストとの組み合わせにおいてのいずれかで使用される。
加えて、実施態様において、PTGDR−1アンタゴニスト、PTGDR−2アンタゴニスト、又はPTGDR−1アンタゴニストとPTGDR−2アンタゴニストとの組み合わせが、ループスを処置するための任意の他の標準的な治療との組み合わせで使用される。ループスの処置に有用な治療剤は、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、ヒドロキシクロロキン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノラール酸モフェチル(MMF)(ColleCept(登録商標))、ベリムマブ、デヒドロエピアンドロステロン、及びリツキシマブを含むが、これらに限定されない。
PTGDR−1及び/又はPTGDR−2アンタゴニストと、場合により更に、ループスの処置のための標準的な治療剤とは、前記PTGDR−1及び/又はPTGDR−2アンタゴニストならびに、場合により更に、ループスの処置のための標準的な治療剤と、少なくとも1つの担体、賦形剤、又は希釈剤とを含む、1つ以上の医薬組成物に配合される。
「薬学的に」又は「薬学的に許容し得る」は、哺乳類、特に、ヒトに適切に投与された場合、有害なアレルギー性又は他の望ましくない反応を生じない分子実体及び成分を意味する。薬学的に許容し得る担体、賦形剤、又は希釈剤は、任意の種類の、無毒性の固体、半固体、又は液体の充填材、希釈剤、カプセル化材料、又は配合助剤を意味する。
本発明の組成物に使用することができる薬学的に許容し得る担体及び賦形剤は、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化薬剤送達システム(SEDDS)、例えば、d−a−トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシナート、薬学的な投与形態に使用される界面活性剤、例えば、Tween又は他の類似するポリマー性送達マトリックス、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、バッファー物質、例えば、ホスファート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば、硫酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリラート、ロウ、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂を含むが、これらに限定されない。
当業者に理解されるように、医薬組成物は、意図された投与経路に適合するように安定的に配合される。適切な投与経路の例は、局所経路、経口経路、鼻内経路、眼内経路、非経口経路(例えば、筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内、又は局所注入を含む)を含む。組成物が消化管及び腸の酵素から活性原理を保護することができる経口投与に適した形態にあるという条件で、経口経路を使用することができる。
好ましくは、本医薬組成物は、注射剤について薬学的に許容し得る担体を含有する。本医薬組成物は、特に、無菌で、等張性の生理食塩水(リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、もしくは塩化マグネシウム等、又は、このような塩の混合物)、又は、滅菌水又は生理食塩水を適切に加えることにより注射用溶質を形成することができる乾燥、特に、凍結乾燥された組成物であることができる。
組み合わせ治療のために、(i)PTGDR−1アンタゴニスト及びPTGDR−2アンタゴニスト、(ii)PTGDR−1アンタゴニスト及びループスの処置のための標準的な治療剤、(iii)PTGDR−2アンタゴニスト及びループスの処置のための標準的な治療剤、又は(iv)PTGDR−1アンタゴニスト、PTGDR−2アンタゴニスト、及びループスの処置のための標準的な治療剤が、1つの医薬組成物に配合され、又は、前記PTGDR−1アンタゴニスト、PTGDR−2アンタゴニスト、及びループスの処置のための標準的な治療剤が、同時使用、別々の使用、又は間隔を空けた使用のために、別々の医薬組成物に配合される。
このため、本発明は、SLEを予防し、及び/又は、治療するための方法に使用するための、PTGDR−1アンタゴニスト及びPTGDR−2アンタゴニスト;又は二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニスト;PTGDR−1アンタゴニスト及びループスの処置のための標準的な治療剤;PTGDR−2アンタゴニスト及びループスの処置のための標準的な治療剤;PTGDR−1アンタゴニスト、PTGDR−2アンタゴニスト、及びループスの処置のための標準的な治療剤;又は二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニスト及びループスの処置のための標準的な治療剤を含む医薬組成物も提供する。
したがって、SLEを予防し、及び/又は、治療するのを必要とする患者において、SLEを予防し、及び/又は、治療するための方法であって、前記患者に、PTGDR−1アンタゴニスト及びPTGDR−2アンタゴニスト又は二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニストを投与することを含む、方法が提供される。前記方法の実施態様において、ループスの処置のための標準的な治療剤を、PTGDR−1アンタゴニスト及びPTGDR−2アンタゴニスト又は二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニストと共に投与する更なる工程である。SLEを予防し、及び/又は、治療するのを必要とする患者において、SLEを予防し、及び/又は、治療するための方法であって、前記患者に、PTGDR−1アンタゴニスト又はPTGDR−2アンタゴニストと、ループスの処置のための標準的な治療剤とを投与することを含む、方法も、本発明の一部を構成する。
また、本発明は、SLEを予防し、及び/又は、治療するための方法において、同時使用、別々の使用、又は間隔を空けた使用のために、組み合わせられた調製物として使用するための、PTGDR−1アンタゴニスト及びPTGDR−2アンタゴニスト;又は二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニスト;PTGDR−1アンタゴニスト及びループスの処置のための標準的な治療剤;PTGDR−2アンタゴニスト及びループスの処置のための標準的な治療剤;PTGDR−1アンタゴニスト、PTGDR−2アンタゴニスト、及びループスの処置のための標準的な治療剤;又は二重PTGDR−1/PTGDR−2アンタゴニスト及びループスの処置のための標準的な治療剤に関する。
本発明のSLEを予防し、及び/又は、治療する方法は、好ましくは、有効量のPTGDR−1及び/もしくはPTGDR−2アンタゴニストならびに/又はループスの処置のための標準的な治療剤を使用する。
「有効量」という表現は、所定の疾患を予防し、及び/又は、治療するのに十分な量を意味することを意図している。この量は、利用される治療剤の有効性、使用される任意の担体の性質、疾患の重症度、及び患者の年齢により変動するであろうことが理解されるであろう。任意の所定の組成物に適切な量の決定は、適切な治療レベルを評価するのに設計された一連の標準的な試験から、当業者の範囲内である。
本発明によれば、PTGDR−1アンタゴニスト及び/又はPTGDR−2アンタゴニストは、二次性リンパ性臓器への好塩基球ホーミングを妨害する。
本発明の枠組みにおいて、PTGDR−1アンタゴニスト及び/又はPTGDR−2アンタゴニストは、自己抗体力価の増大及び/又はSLE紅斑の発生を予防し、これらの程度を制限し、これらを減少させる。代替的に又は更に、PTGDR−1アンタゴニスト及び/又はPTGDR−2アンタゴニストは、特に、腎臓、心臓、肺、及び脳に対する臓器傷害の発生も予防し、この程度を制限し、これを減少させる。実施態様において、PTGDR−1アンタゴニスト及び/又はPTGDR−2アンタゴニストは、ループス腎炎の発生を予防し、この程度を制限し、これを減少させる。
本発明は、下記図面及び実施例を考慮して更に例示されるであろう。
ヒト血中好塩基球ゲーティング戦略及びSLE疾患活動性の関数における活性化状態 (a)対照(CT、n=100)と比較した、無症状、中程度、又は活動性SLE(それぞれ、n=60/40/82)を有する対象からの血中好塩基球における、CD203cレベルのフローサイトメトリー分析。(b)対照(CT、n=90)と比較した、無症状、中程度、又は活動性SLE(それぞれ、n=43/33/66)を有する対象からの血中好塩基球における、CD62Lレベルのフローサイトメトリー分析。(c)対照(CT、n=12)と比較した、無症状、中程度、又は活動性SLE(それぞれ、n=14/6/12)を有する対象からの血中好塩基球における、CD63レベルのフローサイトメトリー分析。(a〜c)データを、対照の平均に対して正規化し、任意単位において、平均+s.e.m.として表現する。統計学的分析は、マン−ホイットニー検定によった。NS:有意差なし、:P<0.05、**:P<0.01、***:P<0.001。 好塩基球減少及び好塩基球活性化状態は、疾患の活動性と相関し、他の活動性腎疾患の中でも、ループス腎炎に特異的である。 (a)オンライン法で定義された、健康な対照(CT)及び無症状、中程度、又は活動性SLEを有する対象(それぞれ、n=87/58/38/84)からのフローサイトメトリーにより決定された、1μLあたりの血中好塩基球。(b)線形目盛で示された、血中好塩基球数とSLEDAIとの間の標本相関(r=−0.3629、p<0.0001)。(c)健康な対照(CT)及び無症状、中程度、又は活動性SLEを有する対象(それぞれ、n=96/60/40/84)からのフローサイトメトリーにより決定された、血中HLA−DR好塩基球の割合。(d)SLE患者(n=184)対対照(n=97)におけるHLA−DR好塩基球の割合(太線、AUC=0.9091)及びSLE患者(n=123)対対照(n=39)におけるdsDNA特異的IgG力価(破線、AUC=0.8384)の受信者動作特性(ROC)分析。(e)健康な対照と比較した、下記の活動性腎疾患:IgA−N:IgA腎症;HSP:ヘノッホ−シェーンライン紫斑病腎症、DN:糖尿病性腎症;MN:膜性腎症、OGN:他の糸球体腎症;NGKD:非糸球体腎疾患;aLN:活動性ループス腎炎を有する対象からの(a)におけるのと同じ、1μLあたりの血中好塩基球(それぞれ、n=40/20/39/22/42/46/81/87)。(f)対照(n=96)と比較した、(e)におけるのと同じ活動性腎疾患を有する患者(それぞれ、n=40/20/39/21/51/47/77)における血中HLA−DR好塩基球の割合。(a、c、e、f)データを、平均+s.e.m.として表現する。統計学的分析は、マン−ホイットニー検定によった。健康な対照の中央値に対する比較を、各バーの上方に示し、示された場合、対応するバーに示す。NS:有意差なし、:P<0.05、**:P<0.01、***:P<0.001、****:P<0.0001。 PGD/PTGDR及びCXCL12/CXCR4系は、SLE患者特異的好塩基球表現型に寄与する。 (a)健康な対照(CT)及び無症状、中程度、又は活動性SLEを有する対象(それぞれ、n=71/48/31/60)からの血中好塩基球におけるPTGDR−2(CRTH2)レベルのフローサイトメトリー分析。(b)EIAにより測定された、対照及び無症状、中程度、又は活動性SLEを有する個体(それぞれ、n=29/31/19/37)からの血漿中の11β−プロスタグランジンFα(11β−PGFα)レベル。(c)低い(n=51)又は高い(n=34)11β−PGFα血漿レベル(それぞれ、CT力価平均+2標準偏差を下回る又は上回る力価)に基づいて分類されたSLEを有する対象における血液1μlあたりの血中好塩基球。(d)CT及び無症状、中程度、又は活動性SLEを有する対象(それぞれ、n=66/32/20/51)からの血中好塩基球におけるCXCR4レベルのフローサイトメトリー分析。(e)ELISAにより測定された、対照及び無症状、中程度、又は活動性SLEを有する個体(それぞれ、n=63/43/29/59)からの血漿中のCXCL12レベル。(f)CT及び無症状、中程度、又は活動性SLEを有する対象(それぞれ、n=33/15/7/26)からの血中好塩基球におけるCD164レベルのフローサイトメトリー分析。(a、d、f)データを、CT値の平均に対して正規化し、任意単位として表現する。(a〜f)統計学的分析は、マン−ホイットニー検定によった。健康な対照の中央値に対する比較を、各バーの上方に示し、示された場合、対応するバーに示す。データを、平均+s.e.m.として表現する。NS:有意差なし、:P<0.05、**:P<0.01、***:P<0.001、****:P<0.0001。 血漿11β−PGF2α及びCXCL12の力価、好塩基球CXCR4及びCD164の発現レベル、ならびに、ループス特異的好塩基球減少間の関連 (a)対数目盛で示された、血液1mLあたりの血中好塩基球数と、11β−PGF2α血漿レベルとの間の標本相関(r=−0.2585、P=0.0169、n=85)。(b)対数目盛で示された、血液1mLあたりの血中好塩基球数と、好塩基球における相対的なCXCR4レベル(図2dにおいて定義)との間の標本相関(r=−0.4692、P<0.0001、n=101)。(c)低い又は高いCXCL12血漿レベル(それぞれ、対照力価平均+2標準偏差を下回る又は上回る力価)に基づいて分類された活動性SLEを有する患者における血液1μlあたりの血中好塩基球。データを、平均+s.e.m.として表現する。統計学的分析は、マン−ホイットニー検定によった。:P<0.05。(d)対数目盛で示された、血液1mLあたりの血中好塩基球数と、好塩基球における相対的なCD164レベル(図2fにおいて定義)との間の標本相関(r=−0.4165、P=0.0029、n=49)。 ex vivo及びin vivoにおけるCXCR4媒介性好塩基球遊走は、PGDにより向上される。 (a)健康な対照(CT、n=6)及びSLE患者(n=6)からのヒト血中好塩基球の、CXCL12勾配に対する遊走アッセイ法。(b)IL−3、CCL3、CCL5、CXCL2、及びPGD2勾配に対する、健康な対照(対照、それぞれ、n=8/4/3/4/7)及びSLE患者(SLE、それぞれ、n=6/3/6/3/5)からのヒト血中好塩基球の遊走アッセイ法。(c)ELISAにより測定され、対照の平均値(n=38)に対して正規化された、無症状、中程度、又は活動性SLE個体(それぞれ、n=41/29/51)からの血漿中の相対的なdsDNA特異的IgEレベル。(a〜c)統計学的分析は、CTと比較して、マン−ホイットニー検定によった。(d)PGD、マウス抗ヒトIgE、又はIL−3を含まず(−)又は含んだ(+)、18時間のインキュベーション後の血中好塩基球におけるCXCR4発現レベルを、フローサイトメトリーにより評価した。(e)CXCL12勾配に対して(d)におけるのと同様に刺激されたヒト血中好塩基球の遊走アッセイ法。(d、e)統計学的分析は、対応のあるスチューデントt検定によった。(f)腹膜透析を受けている患者及び非殺菌腹膜炎を処置されている患者(n=6)からの腹膜及び血中好塩基球間の示された好塩基球マーカーの発現レベル変動を、フローサイトメトリーにより評価した。統計学的分析は、理論値0と比較した、1サンプルのt検定によった。(a、b、e)本方法で記載された補正された遊走。(a〜f)データを、平均+s.e.m.として表現する。NS:有意差なし、#:P=0.06、:P<0.05、**:P<0.01、***:P<0.001、****:P<0.0001。 最適以下のIgE媒介性好塩基球活性化により、ヒト好塩基球における増大したPTGDR−2発現がもたらされる。 PGD、マウス抗ヒトIgE、又はIL−3を含まず(−)又は含んだ(+)、18時間のインキュベーション後の、健康なドナーからの血中好塩基球におけるPTGDR−2(CRTH2)発現レベル(オンライン法において定義)。統計学的分析は、対応のあるスチューデントt検定によった。 PGDは、ループス傾向マウスに生じているSLOへのCXCL12依存性好塩基球ホーミングを向上させるのに十分である。 (a)WT全体又はLyn−/−脾細胞からの好塩基球のCXCL12に対するex vivo遊走。(b)加齢のWT(n=16)及びLyn−/−(n=14)動物における示されたコンパートメントからの好塩基球でのCXCR4発現レベル。データを、WT血中好塩基球のCXCR4の平均発現レベルに対して正規化する。統計学的分析を、対応する遺伝子型の血液コンパートメントに対する1つの所定のコンパートメントについての値と比較して、各バーの上方に直接載せた。各コンパートメントについての両遺伝子型間の統計学的分析も示す。(c)PBS又はCXCL12の腹腔内(ip)注入後24時間での、定常状態(−)値(それぞれ、n=13/15/5)と比較した、若いWTマウスにおける腹膜あたりの好塩基球数。(d)PBS注入マウスの平均値に対して正規化された、PBS又はPGD ip注入後24時間での、若いLyn−/−マウスの腸間膜リンパ節(mLN)からの好塩基球におけるCXCR4発現レベル。(e)示された化合物のip注入後24時間での若いLyn−/−マウスのmLNにおける好塩基球数。(f)示された化合物と共に24時間ex vivoでインキュベーションされ、対照の平均値に対して正規化された15週齢WTマウスからの脾臓好塩基球におけるCXCR4発現レベル。(a〜f)データを、平均±s.e.m.として表現する。好塩基球数及びCXCR4発現を、フローサイトメトリーにより評価した。統計学的分析は、ウェルチ補正を使用する対応のないt検定(a〜e)及び対応のあるスチューデントt検定(f)によった。NS:有意差なし、#:P=0.058、:P<0.05、**:P<0.01、***:P<0.001、****:P<0.0001。 マウスへのCXCL12又はPGD2のip注入により、SLO及び腹膜におけるCXCR4依存性好塩基球蓄積が誘引される。 (a)PBS(n=13)又はCXCL12(n=15)の腹腔内(ip)注入後24時間での、定常状態(−)値(n=5)と比較した、若いWTマウスの腸間膜リンパ節(mLN)中の生きたCD45+細胞における好塩基球の割合(×10)。(b)示された化合物のip注入後24時間での若いLyn−/−マウスの脾臓における好塩基球数。(c)示された化合物のip注入後24時間でのLyn−/−マウスの腹膜における好塩基球数。データを、平均±s.e.m.として表現する。統計学的分析は、ウェルチ補正を使用する対応のないスチューデントt検定によった。NS:有意差なし、:P<0.05、**:P<0.01、***:P<0.001。 cAMP及びPTGDR特異的アゴニストは、ex vivoにおけるマウス脾臓好塩基球によるCXCR4発現に作用する。 (a〜b)フローサイトメトリーにより決定された、示された濃度のN6,2’−O−ジブチリル−アデノシン 3’:5’−サイクリック一リン酸(db−cAMP)又は1μM PGDを含まず(−)又は含んで(+)、4時間インキュベーションされた脾細胞中の、好塩基球(CD19TCRβCD3CD49bFcεRIαCD123CD45loとして定義)及びT細胞(CD45CD3TCRβ細胞として定義)における相対的なCXCR4発現レベル。統計学的分析は、対応のあるスチューデントt検定によった。NS:有意差なし、:P<0.05、**:P<0.01、***:P<0.001。(c)フローサイトメトリーにより決定された、示された濃度(nM)の示された化合物:DK−PGD:13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGD(PTGDR−2特異的アゴニスト);BW245c:3−(3−シクロへキシル−3−ヒドロキシプロピル)−2,5−ジオキソ−(R,S)−(±)−4−イミダゾリンヘプタン酸(PTGDR−1特異的アゴニスト)を含まず(0)又は含んで、4時間インキュベーションされた脾臓好塩基球((a)において定義)における相対的なCXCR4発現レベル。統計学的分析は、2要因−ANOVA、続けて、テューキー多重比較検定によった。(a〜c)データを、対照の平均値に対して正規化する(群あたりに、n=4〜8)。データを、平均+s.e.m.として表現する。全ての実験を、8〜12週齢WTマウスからの脾細胞により実現した。 SLOへの好塩基球蓄積の妨害により、ループス様疾患活動性が弱められる。 (a、b)PBS(白丸)又はPGD単独(白四角)を10日にわたって注入された10〜12週齢Lyn−/−マウス、及び、PGD注入され、本方法で記載されたように好塩基球を枯渇され(MAR−1)(白菱形)又は枯渇されていない(IgG)(白三角)同マウスからの腸間膜(a)又は他の(子宮頸管、上腕、及び鼠径部)リンパ節(b)における、シングレットの生きたCD45+細胞の中での好塩基球(CD19TCRβCD49bFcεRIαCD123CD45lo)の割合。(c)(b)におけるのと同じマウスからのLN好塩基球におけるIA−IE発現レベル。NA:非該当。(d、e)(b)におけるのと同じマウスにおける脾臓(d)及びリンパ節(e)における、シングレットの生きたCD45細胞の中での短命の形質細胞CD19CD138の割合。(f)(b)で示されたマウスからの腎臓におけるC3及びIgG沈着についての代表的な免疫蛍光染色(スケールバー=1mm)ならびに、PBS(n=3)、PGD(n=4)、PGD+対照IgG(n=3)、及びPGD+MAR−1(n=3)注入マウスにおけるその対応する定量。(g)10日の期間にわたるPBS又はPGD処置の前後での、尿中アルブミン/クレアチニン比の増大 倍。(a〜e)好塩基球、形質細胞数、及びIA−IE発現レベルを、フローサイトメトリーにより評価した。(a〜g)データを、平均±s.e.m.として表現する。統計学的分析は、対応のないスチューデントt検定によった。#:P=0.0571、:P<0.05、**:P<0.01、***:P<0.001、****:P<0.0001。3つの独立した実験の内の1つの代表例を示す。 SLOにおける好塩基球蓄積の妨害により、ループス様疾患活動性が弱められる。 PTGDR−1及びPTGDR−2アンタゴニストで10日間処置された(n=8)又は処置されていない(媒体、n=9)、加齢のLyn−/−マウスからの腎臓におけるC3及びIgG沈着についての免疫蛍光染色の定量。 PTGDRをターゲッティングすることにより、SLOにおけるCXCR4媒介性好塩基球蓄積が妨害され、ループス様疾患活動性が弱められる。 (a〜h)オンライン法で記載されたように、PTGDR−1及びPTGDR−2アンタゴニストで10日間処置された又は処置されていない(媒体)、加齢の野生型(WT)及びLyn−/−マウスとの間の比較。(a、b、c)リンパ節(子宮頸管、腋の下、鼠径部、及び腸間膜)(a)及び脾臓(b)における生きたCD45細胞の中での好塩基球のフローサイトメトリー分析。(c)脾臓好塩基球におけるCXCR4発現レベル。(d)(a)におけるのと同じリンパ節における生きたCD45細胞の中での短命の形質細胞CD19CD138の割合を、フローサイトメトリーにより決定した。(e)ELISAにより測定された、示されたマウスからの血漿中のdsDNA特異的IgGの450nmでの光学密度(O.D.)値(×10)。(f)ELISAにより測定された、示されたマウスからの血漿中の総IgEレベル。(g、h)ELISAにより測定された、示されたマウスからの総腎臓タンパク質抽出物1mgあたりのIL−4(g)及びIL−1β(h)濃度(pg)。(a〜h)WT媒体、n=5;WT処置、n=4;Lyn−/−媒体、n=8;Lyn−/−処置、n=8。データを、平均±s.e.m.として表現する。統計学的分析は、対応のないスチューデントt検定によった。NS:有意差なし、:P<0.05、**:P<0.01。 PTGDRアンタゴニストによる処置により、SLOにおける好塩基球蓄積が特異的に減少し、短命の形質細胞数及び血清ANA力価の減少がもたらされる。 (a〜d)PTGDR−1及びPTGDR−2アンタゴニストで10日間処置された又は処置されていない(媒体)、加齢の野生型(WT)とLyn−/−マウスとの間の比較。(a、b)CD45+骨髄(BM)細胞(a)及び血中白血球(b)の中での好塩基球割合のフローサイトメトリー分析。(c)生きたCD45+細胞の中での短命の形質細胞CD19CD138のフローサイトメトリー分析。(d)ELISAにより測定された、示されたマウスからの血漿中の抗核抗体(ANA)レベル。(a〜d)WT媒体、n=5;WT処置、n=4;Lyn−/−媒体、n=8;Lyn−/−処置、n=8。データを、平均+s.e.m.として表現する。(a〜c)。統計学的分析は、対応のないスチューデントt検定によった。(d)統計学的分析は、マン−ホイットニー検定によった。NS:有意差なし、:P<0.05、**:P<0.01。 図面による概要 全身性エリテマトーデス(SLE)では、自己寛容の喪失により、自己反応性(AR)T及びB細胞の増殖が誘引される。自己反応性形質細胞は、核起源の自己抗原及び補体因子と結合して、循環性免疫複合体(CIC)を形成するであろう、自己反応性抗体を分泌する。これらのCIC又は自己反応性抗体のターゲット臓器への沈着は、局所病変、炎症(及びPGD生成)、及び臓器傷害に関連する。正常な好塩基球は、CICがFcレセプター(FcεRI及びFcγR)に結合することにより活性化されて、より多くのプロスタグランジンD(PGD)レセプター(PTGDR)及び活性化マーカー、例えば、CD203cを発現することができる。慢性的な炎症が定着すると、PGDを含む種々の炎症性メディエーターが血中に分泌される。PGDは、循環性好塩基球自体によるPGD生成を誘引して、PGDの自己分泌作用をもたらすのに十分である。これにより、CXCR4の表面発現の増大がもたらされ、CXCL12勾配に対する好塩基球感受性が可能となる。結果として、好塩基球は、SLOにより遊走するようになる。同SLOは、ループス発病中に、より多くのCXCL12を分泌するのが公知である。その点で、好塩基球は、自己反応性T及びB細胞を、活性化分子、例えば、mBAFF、MHC−IIのその発現又は種々のサイトカイン、例えば、IL−4及びIL−6の分泌により支援する。さらに、好塩基球は、自己反応性抗体生成及びB細胞のIgEクラススイッチを促進することができる。CIC及び自己反応性IgE力価が増大すると、臓器炎症、PGD及びCXCL12力価、ならびにSLOへの好塩基球ホーミングがターゲッティングされるであろう。好塩基球は、疾患の増幅ループを駆動させ、SLOへのそのリクルートを妨害することにより、自己抗体力価の上昇及びその後の紅斑が防止されるであろうことが推定される。
実施例1:材料及び方法
マウス
C57BL/6J野生型(WT)マウスを、Charles River Laboratories(L’Arbresle, France)から購入した。純粋なC57BL/6バックグラウンドのLyn−/−マウスを、当動物施設で飼育した。ループス様疾患研究のために、マウスを、処置及び分析前に、最大40週間成長させた。他のex vivo及びin vivo分析のために、特に断りない限り、若いマウスを、8〜12週齢とした。French and European guidelinesに遵守して使用し、地方倫理委員会及びフランス国政府の調査部門により、動物実験計画02484.01に基づいて承認された、特定の病原体フリー条件で、マウスを維持した。
患者
血液サンプルを、全身性エリテマトーデス(SLE)及び慢性腎疾患の長期前向き試験に登録された成人対象から収集した。この研究は、Comite Regional de Protection des Personnes(CRPP, Paris, France)により、参照ID−RCB 2014−A00809−38に基づいて承認された。入院患者の診断は、サンプル処理及びフローサイトメトリー分析時には、研究者には知らされていなかった。SLEサンプルを、入院患者及び外来患者から取得した。臨床データを、Comission Nationale de l’Informatique et des Libertes(CNIL)による承認後に収集した。全てのSLE対象は、American College of Rheumatology classification criteria for SLEを満たした。SLE及び健康な対照(HC)ドナーの特徴を、表1(以下)に示す。ループス活動性を、SELENA−SLEDAI(Safety of Estrogens in Lupus Erythematosus National Assessment - SLE Disease Activity Index)スコアにより評価した。SLEDAIスコアに基づいて、ループス活動性を、無症状(0〜1)、中程度(2〜4)、及び活動性(>4)として分類した。全てのサンプルを、ヘパリン採血管に収集し、4時間以内に処理した。書面でのインフォームドコンセントを、全ての対象から得た。活動性ループス腎炎の対象を、ISN/RPS分類(Weening, J.J., et al., J. Am. Soc. Nephrol. 15, 241-250 (2004))に基づいて、組織学的活動性分類III又はIV+/−V腎炎により定義した。
抗体及びフローサイトメトリー
全ての抗体は、商業的な供給元からとした。フローサイトメトリーの取得を、DIVAソフトウェアを使用するLSRII Fortessa(BD Biosciences)により行った。血液サンプル処理法は、以前に記載された通りとした(Charles, N. et al., Nat. Med. 16, 701-707 (2010))。マーカー発現レベルに関する全てのデータを、対象となる細胞上に示されたマーカーの幾何学的な平均蛍光強度(Geo MFI)と対応するアイソタイプ対照のGeo MFIとの間の比として表現する。データを、図中の凡例に示されたように、正規化し、又は、正規化しなかった。データ分析を、FlowJo v.X.0.7(Treestar)で実現した。
ケモカイン、サイトカイン、11β−PGF2α、及び免疫グロブリン測定アッセイ法
全ての商業的なアッセイ法を、製造メーカーの説明に従って行った。11β−プロスタグランジンF2α酵素免疫アッセイ法(EIA)キットを、Cayman Chemicals(Ann Arbor, MI)から得た。マウスANA酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)キットを、ADI(San Antonio, TX)から得た。ヒト及びマウスCXCL12 ELISAキットを、R&D Systems(Minneapolis, MN)から得た。腎臓中のサイトカイン含量の評価は、以前に記載された(Charles, N. et al., Nat. Med. 16, 701-707 (2010))。マウスIL4及びIL1β ELISAキットを、BioLegend(San Diego, CA)から得た。マウスIgE定量ELISAキットを、Bethyl Laboratories(Montgomery, TX)から得た。ヒト及びマウス抗dsDNA IgG及びIgEを、以前に記載されたように定量した(Charles, N. et al., Nat. Med. 16, 701-707 (2010))。吸光度を、Infinite 200 Proプレートリーダー(TECAN, Mannedorf, Switzerland)により評価した。
ヒト好塩基球の精製及び濃縮
ヒト好塩基球を、培養、刺激、及び化学遊走実験のために、ヒト好塩基球濃縮キット(Stemcell Technologies, Grenoble, France)によるネガティブ選択により、95%超に精製した。一部の化学遊走実験において、ヒト好塩基球を、PEコンジュゲート抗CD3、CD19、及びCD89(BioLegend)のカクテルを使用することによる、ヒトPEポジティブ選択キット(Stemcell Technologies)でのネガティブ選択により、3〜5%に濃縮した。これらのキットを、製造メーカーの説明に従って使用した。
イメージングフローサイトメトリー
十分なサンプルが収集されるまで、好塩基球を、上記されたように3〜5%に濃縮し、90% FCS 10% ジメチルスルホキシド中において、−80℃で凍結させた。解凍させた細胞を、製造メーカーの説明に従って、染色し、固定し(IC固定バッファー、eBioscience)、透過処理した(Wash Perm Buffer、BioLegend)。抗ヒトCXCR4又はそのアイソタイプ(BioLegend)を、細胞内染色に使用した。DAPIを、サイトメトリー分析前に加えた。好塩基球を、シングレット細胞/Focus high/DAPI high/PE-CD123FcεRIαCD303-としてゲーティングした。CXCR4発現を、各好塩基球について、平均好塩基球CXCR4 FMO(蛍光マイナス1)強度におけるそのCXCR4強度の幾何学的平均の比として決定した。内部移行スコアを、膜マーカーとしてFc□RI□染色を使用し、プローブとしてCXCR4染色を使用して決定した。各サンプルについて、外在化スコアは、[1−内部移行スコア]に相当する。全ての分析を、ImageStream X Mark IIイメージングフローサイトメトリー及びIDEAS v6ソフトウェア(AMNIS)を使用して行った。
好塩基球の培養及び刺激
ヒト好塩基球及びマウス脾細胞を、20% 熱不活性化ウシ胎児血清を加えた培養培地(Glutamax及び20mM HEPES、1mM ピルビン酸Na、非必須アミノ酸1×(全て、Life Technologies, Saint-Aubin, Franceから)100μg/ml ストレプトマイシン及び100U/ml ペニシリン(GE Healthcare, Velizy, France)、ならびに37.5μM β−メルカプトエタノール(Sigma-Aldrich, MO)を含むRPMI1640)中において、37℃及び5% COで培養した。遊走アッセイ法の前に18時間の長さの刺激を、培養培地中において、1mLあたりに1×10個の細胞で、1nM IL−3(Peprotech)、1μM プロスタグランジンD2(PGD)、1μM PTGDR−1特異的アゴニストであるBW245c、1μM PTGDR−2特異的アゴニストである13,14−ジヒドロ−15−ケトプロスタグランジンD(DK−PGD)(全て、Cayman chemicalsから)、又は5ng/mL 抗IgE(マウス抗ヒトIgE又はラット抗マウスIgE、両方とも、Thermo Scientificから)を加えることにより行った。全ての細胞を、任意の遊走アッセイ法前に、2回洗浄した。対照条件を、常に、刺激条件と同じ媒体濃度とした。
PTGDRアンタゴニスト、PGD、及びH−PGDS阻害剤によるCXCR4過剰発現モデュレーションについて、精製された好塩基球を、0.1% BSA+/−下記化合物:媒体(0.1‰ エタノール)、1μM PTGDR−1アンタゴニストであるラロピプラント、1μM PTGDR−2アンタゴニストであるCAY10471、1もしくは10μM PGD、1μM プロスタグランジンDシンターゼ(造血型)阻害剤I(カタログ#16256)(全て、Cayman chemicalsから)を含有するRPMI中に再懸濁させた。細胞を、37℃及び5% COにおいて、4時間インキュベーションした。示されたマーカーの表面発現を、フローサイトメトリーにより評価した。
好塩基球の遊走及びアポトーシスアッセイ法
遊走アッセイ法を、Transwell 5μmポリカーボネートパーミアブルサポート 6.5mmインサート(Corning, New York, NY)中の0.1% ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma-Aldrich)を加えた培養培地において、1×10個の精製された好塩基球又は2×10個の濃縮された好塩基球について、1mLあたりに1×10個の細胞で、37℃及び5% COにおいて、3時間行った。上側及び下側チャンバからの精製又は濃縮好塩基球を、アッセイ法の最後に計測した。好塩基球の含量及び表現型を、フローサイトメトリーにより、100個超の好塩基球を分析することで決定した。ヒト好塩基球の精製又は濃縮によっては、試験された全てのケモカインについての測定された遊走において何ら差異が示されなかった。遊走を、下側チャンバ中の好塩基球数と上側及び下側チャンバ中の好塩基球数との間の比として定義した。同時遊走を、下側チャンバに何らケモカインを含ませずに観察された遊走として定義した。補正された遊走を、特異的遊走と同時遊走との間の差として定義した。遊走アッセイ法について、下記濃度(最適であるとことが公知)を、各化合物について使用した。ヒトIL−3:300pM(Peprotech)、ヒトCCL3、CCL5、及びCXCL12:50nM;CXCL2(全て、BioLegendから)及びPGD(Cayman chemicals):100nM。ヒトCCL3、CCL5、及びCXCL2、及びPGDに対する遊走を、両チャンバ中に300pM IL−3の存在下において行った。IL−3による遊走は、ケモカインチズム(chemokinetism)を表わす。IL−3を、両チャンバに同じ濃度になるように加え、IL−3を含ませずに観察された同時遊走と比較した。IL−3又はPGD2(上記)との24時間のインキュベーションの好塩基球アポトーシスにおける効果を、BD BiosciencesからのFITCアネキシンVアポトーシス検出キットを使用することにより推定し、製造メーカーの説明に従って使用した。
in vivo実験
CXCL12誘引好塩基球in vivo遊走アッセイ法について、100ng マウスCXCL12を含有するPBS又はPBS単独 200μLを、8〜12週齢のWTマウスに腹腔内(ip)注入した。PGD誘引好塩基球in vivo遊走アッセイ法について、PBS単独(エタノール 2μLを含む)又はPBS±20nmole PGD±200μg AMD3100(全て、Cayman chemicals) 100μLを、8〜12週齢のLyn−/−マウスにおいて、ip注入した。全ての場合において、24時間後、マウスを安楽死させ、腹膜腔、血液、腸間膜リンパ節、及び脾臓を収集し、以前に記載されたように(Charles, N. et al., Nat. Med. 16, 701-707 (2010))、FACS分析用に調製した。PGD注入による疾患進行を促進させるために、12週齢のLyn−/−マウスに、PBS中の20nmole PGD又は媒体を、10日の間に2日毎に、合計6回の注入でip注入した。マウスを、最後の注入の翌日に分析した。PTGDRアンタゴニストによる処置について、加齢のWT及びLyn−/−マウスを、水道水中の経口用量5mg/kg ラロピプラント及びCAY10471(Cayman chemicals)又は当量のエタノール(媒体)により、1日2回、10日間処置した。ついで、マウスを安楽死させ、血液、血漿、脾臓、骨髄、腎臓、及びリンパ節(子宮頸管、上腕、鼠径部、及び腸間膜)を、以前に記載された(Charles, N. et al., Nat. Med. 16, 701-707 (2010))ように分析した。この処置により、種々の臓器における重量及び細胞数は影響を受けなかった。細胞生存率を、Ghost Dye Violet 510(Tonbo, San Diego, CA)の利用により評価した。
IgG及びC3の糸球体沈着及び腎機能の分析
C3及びIgG沈着の免疫蛍光分析用の腎臓調製物は、以前に記載された通りである(Charles, N et al. Nat. Med., 2010, 16, 701-707, 2159)。C3及びIgG沈着の定量を、ImageJソフトウェア(v1.49p, NIH, USA)を使用することにより実現した。少なくとも20個の糸球体を、腎臓あたりに定量した。腎機能の評価について、アルブミン/クレアチニン比(ACR)を決定した。尿を、各マウスから処置の前後に収集した。アルブミン濃度を、マウスアルブミンELISA(Bethyl laboratories, Montgomery, TX)により測定した。クレアチニンアッセイ法(R&D systems, Minneapolis, MN)を使用して、尿中クレアチニン濃度を決定した。結果を、処置前後のACR比に対応する増大倍率として表現する。
統計学的分析
適切な分析を行うために、分布を、サンプルサイズに応じて、ダゴスティーノ−パーソンオムニバス正規性検定又はコルモゴロフ−スミルノフ検定により評価した。3つ以上の群を比較した場合、一元配置分散分析(ANOVA)検定を、有意差(p<0.05)が達成された場合に、示されたポスト検定前に行った。全ての検定実行を、両側とした。統計を、GraphPad Prism V5及びV6(GraphPad)ならびにSTATA 12(Statacorp)ソフトウェアにより行った。
実施例2:結果
SLE及びループス腎炎特異的な好塩基球表現型
SLEを有する個体のコホート(n=188、表1)において、まず、SLE対象の好塩基球が、健康な対照(HC)の対象(n=98、図1a〜b、表1)(Charles, N. et al., Nat. Med. 16, 701-707 (2010))と比較して、増大したCD203c(好塩基球活性化マーカー)及びCD62L(L−セレクチン、白血球ローリングに関与)の発現により示された、活性化された表現型を有したことを確認した。
しかしながら、SLEでの好塩基球は、(そのCD63発現レベルにより測定された場合、図1c)脱顆粒化表現型を表わさなかった。好塩基球減少は、SLE疾患活動性インデックス(SLEDAI、American College of Rheumatology Ad Hoc Committee on Systemic Lupus Erythematosus Response, C. The American College of Rheumatology response criteria for systemic lupus erythematosus clinical trials: measures of overall disease activity. Arthritis Rheum. 50, 3418-3426 (2004))に関連する疾患の良好なマーカーであると考えられる(スピアーマンr係数=−0.3629、P<0.0001)(図2a、b)。一方、HLA−DR陽性好塩基球の割合は、SLE対象を健康な対照(HC)と区別する(DeLong法によるROC AUC比較(DeLong, E.R. et al., Biometrics 44, 837-845 (1988)):P=0.03)(図2c、d)のに、抗dsDNA IgG(ROC AUC=0.8384)より、良好であった(受信者動作特性(ROC)曲線下面積(AUC)=0.9091)。さらに、好塩基球減少及び高割合のHLA−DR好塩基球は、他の活動性腎疾患と比較して、活動性ループス腎炎に特異的なマーカーであった(図2e、f)。特に、これらのSLE特異的好塩基球パラメータは、血液収集時のSLE患者の処置及び性別とは独立していた(データを示さず)。要するに、これらのデータから、活性化好塩基球、末梢好塩基球減少、及び高割合のHLA−DR好塩基球は、活動性SLE個体のホールマークであることが確認された。さらに、データから、ループス環境は、(検出可能な脱顆粒化応答なしに)最適以下での好塩基球活性化及びSLOへの好塩基球の再分布を駆動させることが、強く示唆される。
SLE対象からの好塩基球におけるPGD/PTGDR及びCXCR4/CXCL12系
ループス発病中における好塩基球の活性化及びSLOへの再分布を解明するために、SLE対象からの好塩基球において、HCに対する、ループス又は慢性炎症性疾患を有する個体において調節不全になることが公知(Pellefigues, C. & Charles, N., Curr. Opin. Immunol. 25, 704-711 (2013))の化学遊走分子に対するレセプターの発現レベルを分析した。大部分のスクリーニングされたレセプター発現は、HC好塩基球において観察された発現とは有意には異ならなかった(表2)。特に、胸腺間質性リンパ球新生因子レセプター(TSLP−R)、IL−33レセプター(T1/ST2)、C−Cモチーフリガンドレセプター(CCR)4、CCR6、及びCCR7を、好塩基球において検出することができなかった(表2)。
しかしながら、PTGDR−2発現は、SLE個体からの好塩基球において増大していた(表2、図3a)。同様に、その血漿中のそのリガンド力価も増大していた(主な血漿PGD代謝物である11β−PGFαレベルで表現される)(図3b)。SLEを有する対象における11β−PGFα力価と血中好塩基球数との間の逆相関が見出された(スピアーマンr=−0.2585、P=0.0169)(データを示さず)。さらに、高レベルの11β−PGFαは、SLE対象における好塩基球減少が大きくなるのに関連していた(図3c)。まとめると、これらのデータから、PGD及びそのレセプターは、ループス中における好塩基球の活性化及び血管外漏出に関連していることが、強く示唆される。
CXCR4発現は、全てのSLE個体からの好塩基球において増大していたが、活動性SLE患者は、更により顕著な増大を示した(表2、図3d)。CXCL12血漿力価は、好塩基球においてそのレセプターと同じ増大パターンに従い、増大していた(図3e)。好塩基球CXCR4発現レベルは、SLE対象における血中好塩基球数と負に相関していた(スピアーマンr=−0.4692、P<0.0001)(図4b)。さらに、活動性SLE対象において、高いCXCL12力価は、よりはっきりした好塩基球減少に関連していた(図4c)。エンドリン(CD164)は、CXCR4に会合した場合、CXCL12に対する感受性を向上させる膜透過シアロムチンであり、ヒト好塩基球活性化マーカーとしても公知である。活動性SLE対象からの好塩基球におけるCD164レベルは、CXCR4と同じ発現パターンに従い、好塩基球減少と相関した(スピアーマンr=−0.4165、P=0.0029)。このことから、in vivoにおけるCXCL12に対するSLE好塩基球の感受性の増大が示唆される(図3f及び図4d)。好塩基球は、大部分は細胞内において、CXCR4を発現するのが公知である。イメージングフローサイトメトリーによる分析から、SLE患者の好塩基球は、増大したCXCR4含量を有し、HC好塩基球においてより外在化したことが示された(データを示さず)。
CXCL12は、腹膜透析中に最も過剰発現される遺伝子の1つとして説明されており、腹膜炎中にPGDと共に活発に分泌される。in vivoにおけるヒト好塩基球遊走を研究するために、同遊走を、非滅菌腹膜炎について処置された患者からの血液及び腹膜透析流体の両方において分析した。CXCR4発現は、その血液対照と比較して、炎症した腹膜にリクルートされたヒト好塩基球において、劇的に増大していた(データを示さず)。この好塩基球リクルートは、活動性の慢性特発性蕁麻疹において以前に示されたように(Jain, S. Dermatology research and practice 2014, 674709)、末梢好塩基球減少と関連していた(データを示さず)。このことから、ヒトCXCR4好塩基球は、in vivoにおいて、CXCL12及びPGD分泌炎症組織に遊走する可能性があり、末梢好塩基球減少は、この活発な好塩基球リクルートを反映していることが、強く示唆される。
要するに、これらのデータから、PGD/PTGDR及びCXCL12/CXCR4系の両方が、SLE紅斑中の好塩基球活性化経路として特定され、その関連する好塩基球減少を説明することができる。したがって、これらの系は、活動性ループスを有する個体におけるSLOへの記載された好塩基球蓄積に寄与する可能性がある。
PGD/PTGDR系は、ループス中のCXCR4依存性好塩基球遊走を向上させる。
上記知見の機能的な重要性を評価するために、HC及び活動性SLE対象から精製された好塩基球のex vivoにおける遊走アッセイ法を行った。SLE好塩基球は、CXCL12勾配に際立って引き寄せられた。一方、HC好塩基球は、引き寄せられなかった(図5a)。このことは、CXCR4及びCD164発現におけるその差異を反映している(図3d、f)。しかしながら、PGDを含めた、他の一般的な好塩基球化学誘引化合物については、差異は検出されなかった(図5b)。PGD力価がSLEにおける好塩基球減少に関連しており(図3c)、自己反応性IgEが活動性SLE対象に存在する(図5c及びDema, B., et al,. PLoS One 9, e90424 (2014))ため、次に、これらの因子が、好塩基球のCXCL12に対する遊走を増強するかどうかを調査した。精製されたヒト好塩基球の標準的な培養物では、IL−3の存在下において阻害される経路である細胞内CXCR4の外在化が誘引されるのが公知である。精製された好塩基球を1μM PGDで18時間プライミングすることにより、そのCXCR4発現及びそのCXCL12に対する遊走が増大され(図5d、e)、そのアポトーシスを誘引することなく(データを示さず)、PTGDR−2内部移行が誘引された(データを示さず)。このPGD2プライミングにより、好塩基球表面において、高親和性IgEレセプターアルファ鎖(FcεRIα)発現におけるわずかな増大が誘引された。この増大は、IgE依存性刺激に対するその感受性を増大させることができる(データを示さず)。最適以下での抗IgE刺激(MacGlashan, D., Jr., Clin. Exp. Allergy 40, 1365-1377 (2010))により、(i)好塩基球におけるCXCR4発現が増大される傾向にあり(図5d)(この増大により、CXCL12に対するその遊走が影響を受ける可能性があったが、統計学的な有意差は達成されなかった(図5e))、(ii)好塩基球におけるPTGDR−2発現レベルを向上させ(図6a)、(iii)好塩基球の脱顆粒化を誘引しなかった(データを示さず)。好塩基球に影響を有し、SLE中に調節不全になることが公知の他の試験化合物(CCL3、CXCL2、及びCCL5)によっては、PGD2により誘引されたように、ex vivoにおける向上したCXCR4外在化が誘引されなかった(データを示さず)。
CXCL12は、腹膜透析中に最も過剰発現される遺伝子の1つとして説明されており、腹膜炎中にPGDと共に活発に分泌される。in vivoにおけるヒト好塩基球遊走を研究するために、同遊走を、非滅菌腹膜炎について処置された患者からの血液及び腹膜透析流体の両方において分析した。CXCR4は、その血液対照と比較して、炎症した腹膜にリクルートされたヒト好塩基球において劇的に増大することが見出された(図5e)。この好塩基球リクルートは、活動性の慢性特発性蕁麻疹において以前に示されたように、末梢好塩基球減少に関連していた(補助的に図5b)。これにより、ヒトCXCR4好塩基球は、in vivoにおいて、CXCL12及びPGD分泌炎症組織に遊走する可能性があることが証明された。
次に、PGDがヒト好塩基球によりCXCR4外在化を誘引したメカニズムを研究した。PTGDR−1及びPTGDR−2は両方とも、一方、他方、又は両レセプターの拮抗により、CXCR4外在化のブロックがもたらされたため、協同的に関与した(データを示さず)。さらに、PTGDRをブロックすることにより、同時CXCR4外在化の減少がもたらされた。このことから、ヒト好塩基球のex vivo培養及び/又はPGD媒介性刺激のいずれかにより、ヒト好塩基球は、PGDを生成し、好酸球が有するのと同様の自己分泌作用を有するのがもたらされたことが示唆された。この仮説を確認するために、PTGDRアンタゴニストにより誘引される阻害と同じ、同時CXCR4外在化の阻害をもたらす、特異的H−PGDS阻害剤を使用し、PTGDR−2内部移行が減少した(データを示さず)。H−PGDS阻害剤作用が10倍高いPGD濃度によってのみ克服された(データを示さず)という事実と共に、ここでは、PGDにより、CXCR4外在化が好塩基球自体によるPGD生成を刺激することにより部分的にもたらされるという上記仮説が確認された。
要するに、これらのデータから、PGD/PTGDR系が、そのCXCR4の発現及び外在化の両方を増大させることにより、SLE患者の好塩基球のCXCL12感受性に直接影響を及ぼすこと、及び、ループス環境(自己反応性IgE、CXCL12、及びPGDを含む)が、好塩基球血管外漏出及び末梢好塩基球減少をもたらすこのクロストークを容易にすることが、強く示唆される。このため、PGDは、SLE個体において、SLOへのCXCR4依存性好塩基球遊走を可能にするのに必要とされる場合がある。実際に、PGD/PTGDR及びCXCL12/CXCR4系の両方が、ループス対象における好塩基球減少及び疾患活動性に関連していた(図3)。
Lyn−/−ループス傾向マウスにおけるCXCR4/CXCL12及びPGD/PTGDR系
加齢のLyn−/−マウスが、IgE、IL−4、及び好塩基球依存性ループス様腎炎に寄与する、好塩基球依存性T2バイアスに進行することが、以前に示されている(Charles, N. et al., Nat. Med. 16, 701-707 (2010);Charles, N., et al., Immunity 30, 533-543 (2009))。このループス様疾患モデルにおいて、SLOにおける好塩基球蓄積は、疾患の増幅ループをもたらす(Charles, N., et al., Immunity 30, 533-543 (2009))。
次に、このマウスモデルが、SLE対象と同様に、CXCL12/CXCR4及びPGD/PTGDR系の両方に関わっていたかどうかを評価した。ex vivo遊走アッセイ法において、Lyn−/−脾臓好塩基球は、CXCL12に対して遊走した。一方、そのWT対照は遊走しなかった(図7a)。これは、SLE対象とHCとの間で観察された差異(図5a)に類似している。CXCR4発現レベルは、加齢の動物におけるそのWT対照と比較して、血液、骨髄(BM)、及びSLOからのLyn−/−好塩基球において向上していた(図7b)。さらに、CXCR4発現は、その血液対照と比較して、SLOからのWT及びLyn−/−好塩基球において増大していた。このことから、これらの臓器におけるその蓄積におけるCXCR4の関与が示唆される(図7b)。WTマウスにおけるCXCL12腹腔内(ip)注入により、注入部位(図7c)及び排出腸間膜リンパ節(mLN)(図8a)へのin vivo好塩基球遊走が誘引された。
PGDのin vivoでのip注入により、ヒト好塩基球においてex vivoで増大され(図5d)、SLO及び腹膜においてその蓄積が促進された(図7e及び図8b、c)のと同様に、mLN Lyn−/−好塩基球におけるCXCR4発現が増大された(図7d)。さらに、Lyn−/−マウスにおけるPGDのin vivoでのip注入により、腹膜透析患者において観察された(データを示さず)ように、定常状態条件(データを示さず)と比較して、顕著であるが、一過性の末梢好塩基球減少がもたらされた。このPGD誘引好塩基球リクルートは、CXCR4の特異的アンタゴニストであるAMD3100との同時注入により、SLO及び腹膜の両方における好塩基球リクルートが完全に消滅された(図7e及び図8b、c)ことから、CXCL12/CXCR4系に厳密に依存していた。マウスにおいて、PGD誘引CXCR4アップレギュレーションは、ex vivoでの脾臓WT好塩基球におけるその特異的なアゴニスト(それぞれ、BW245c及びDK−PGD)の作用により示されたように、PTGDR−1及びPTGDR−2(CRTH2)の両方により同様に媒介された(図7f)。両アゴニストにより、T及びB細胞を含む他のWT脾細胞でのCXCR4発現における、顕著であるが、非常に低い増大が誘引された(データを示さず)。
PTGDR−1は、PGDによる結合に基づいて、サイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)生成を誘引するのが公知である。次に、ex vivoでのマウスWT脾臓好塩基球によるCXCR4外在化における膜透過性cAMP(N6,2’−O−ジブチリル−アデノシン 3’:5’−サイクリック一リン酸(db−cAMP))の作用を分析した。好塩基球は、db−cAMP曝露に基づいて、この化合物に対するT細胞(図9b)より100倍高い感受性で、CXCR4を外在化させた(図9a)。PGDは、PTGDR−1により十分なcAMPを誘引して、好塩基球において観察されたのとは異なり、これらの環境におけるT細胞によるCXCR4外在化をもたらすことが不可能であった(図9a、b)。H−PGDS阻害剤の存在下又は非存在下における各PTGDR特異的アゴニストの用量応答実験から、両PTGDRが、PTGDR−1媒介性cAMP生成における自己分泌法に機能するPTGDR−2誘引PGD合成により、好塩基球におけるCXCR4外在化を協同的に誘引することができたことが、再度示唆された(図9c)。
これらの結果から、加齢のLyn−/−マウスにおいて、SLE対象においてと同様に、PGDは、PTGDR−1及びPTGDR−2の両方の活性化によるそのCXCR4発現レベルをモデュレーションすることにより、炎症組織及びSLOにおけるin vivoでのCXCL12依存性好塩基球蓄積を増大させることが、強く示唆される。
PGDの慢性的な曝露により、好塩基球依存性的にループス様疾患の進行が促進される。
したがって、疾患の進行が始まる前のループス傾向マウスにおけるPGDのより慢性的な曝露により、SLOにおける好塩基球の慢性的な蓄積、自己反応性形質細胞数の増大、及び疾患の進行の促進がもたらされるべきである。この仮説を確かめるために、若い(12週齢)Lyn−/−マウスに、PGDを、10日にわたって2日毎に、繰返しip注入した。予想通りに、好塩基球は、そのCXCR4発現レベルを増大させ(データを示さず)、その増大したIA−IE発現により示された(図10c)ように活性化されたSLO全体に蓄積した(図10a、b)。これは、SLOにおけるCD19CD138形質細胞の向上した割合に関連した(図10d、e)。これにより、C3及びIgG沈着定量により示されたように(図10f)、腎臓における免疫複合体の増大された沈着がもたらされる。その結果として、ほぼ全てのPGD注入Lyn−/−マウスにおいて、そのPBS注入対照とは異なり、プロトコール終了時に、アルブミン尿が増大した(図10g)。分析された他の免疫細胞種は、そのCXCR4表面発現において、何ら顕著な増大を示さなかった(データを示さず)。重要なことに、このPGD誘引ループス様疾患促進は、好塩基球に依存性であった。プロトコール全体の間の抗体媒介性(MAR−1)好塩基球枯渇により、疾患進行におけるPGDの作用の完全な救済がもたらされたためである(図10b〜e)。これらの結果から、SLOにおけるCXCR4依存性好塩基球蓄積を可能にすることにより、PGDは、ループス様疾患及び自己抗体媒介性腎傷害に寄与することが確認された。
PGD系をターゲッティングすることにより、SLOにおけるCXCR4媒介性好塩基球蓄積が減少し、ループス様疾患が弱められる。
マウスのループスにおけるCXCL12/CXCR4系をターゲッティングすることは、既に記載されており、疾患活動性における幾らかの有効性が示されている(Balabanian, K., et al., J. Immunol. 170, 3392-3400 (2003)、Wang, A., et al., J. Immunol. 182, 4448-4458 (2009))。しかしながら、最初に抗HIV剤として開発された(AMD3100による)CXCR4拮抗は、造血幹細胞の放出を誘引し、ホメオスタシス機能を妨害するのが公知である(Devi, S. et al.. J. Exp. Med. 210, 2321-2336, (2013)、Hummel, S. et al., Curr. Opin. Hematol. 21, 29-36 (2014))。PGD/PTGDR系をブロックすることによりループス傾向Lyn−/−マウスからの好塩基球におけるCXCR4アップレギュレーションを妨害することは、SLOにおける自己抗体生成の好塩基球依存性増幅ループを無効にするのにより安全なアプローチであると考えられた。
ついで、加齢のLyn−/−及びWTマウスを、PTGDR−1及びPTGDR−2の両方の特異的アンタゴニストであるラロピプラント及びCAY10471それぞれによる、各用量5mg/kgで10日にわたる1日2回での、経口強制栄養により処置した。この処置により、脾臓好塩基球におけるCXCR4発現の低下(図12c)に関連する、Lyn−/−動物のSLOにおける好塩基球数の劇的な減少がもたらされた(図12a、b)。注目すべきことに、BM及び血中の好塩基球割合は、この処置により影響を受けなかった(図13a、b)。これらの結果により、PTGDRをターゲッティングすることによるSLOにおける好塩基球蓄積を無効にすることからなるアプローチが確かめられた。
予想通りに、好塩基球蓄積におけるこの減少は、CD19CD138短命の形質細胞数の有意な減少に関連していた(図12d及び図13c)。特に、分析された全ての他の免疫細胞集団(B細胞、好中球、Ly6C単球、及びLy6C単球)の割合は、そのCXCR4発現レベルが影響を受けた処置によっては、影響を受けないままであった(データを示さず)。SLOにおける好塩基球蓄積を無効にすることによるLyn−/−動物におけるPTGDR妨害により、総IgE血漿濃度(図12f)により測定されたように、その自己抗体力価(図12e及び図13d)及びそのT2バイアスが減少した。その結果として、この処置により、C3及びIgG沈着の腎臓含量(図11)ならびに炎症促進性サイトカインIL−4及びIL−1β(図12g、h)における有意な減少も可能となった。したがって、PTGDRアンタゴニストによる短期間処置により、ループス傾向動物において観察された疾患活動性の効果的な減弱が可能であった。
要するに、これらの結果から、PGD/PTGDR系を標的とすることが、SLEにおける価値のある新規な治療アプローチであることができることが示唆される。実際に、SLOへのCXCL12依存性好塩基球ホーミングを妨害することによるPTGDR妨害は、自己抗体生成の好塩基球依存性増幅ループを遮断し、SLEにおける紅斑及びその後の臓器傷害を効果的に予防することができる(図14)。

Claims (5)

  1. LEを予防し、及び/又は、治療するための医薬組成物であってラロピプラント及びCAY10471(TM30089)を含む、医薬組成物
  2. ラロピプラント及びCAY10471が、1つの医薬組成物に配合されている、請求項1記載の医薬組成物。
  3. ラロピプラント及びCAY10471が、同時使用、別々の使用、又は間隔を空けた使用のために、別々の医薬組成物に配合されている、請求項1記載の医薬組成物。
  4. ラロピプラント及びCAY10471が、二次性リンパ性臓器への好塩基球ホーミングを妨害する、請求項1〜のいずれか一項記載の医薬組成物
  5. ラロピプラント及びCAY10471が、自己抗体力価の増大ならびに/又はSLE紅斑及び/又は臓器傷害の発生を予防し、これらの程度を制限し、或いはこれらを減少させる、請求項1〜のいずれか一項記載の医薬組成物
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