以下、添付図面を参照して、本願の開示する便座装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、実施形態に係る便座装置が設置されたトイレルームを模式的に示す斜視図である。図1に示すように、トイレルーム100には、トイレ装置1が設置される。トイレ装置1は、洋式大便器(以下「便器」と記載する)10と、貯水タンク15と、便座装置20とを備える。
なお、本願明細書においては、便器10の前に立った使用者からみて手前側を「前方」とし、奥側を「後方」とする。また、便器10の前に立った使用者からみて右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。また、便器10の前に立った使用者からみて上方を「上方」とし、下方を「下方」とする。
便器10は、貯水タンク15に貯留された水で洗浄を行うロータンク式であるが、これに限定されるものではなく、たとえばフラッシュバルブ式であってもよい。また、図1に示す例では、床置き式の便器10を示したが、これに限られず、壁掛け式などであってもよい。
便座装置20は、便器10の上部に設けられる。図2は、便座装置20の模式分解斜視図である。図2に示すように、便座装置20は、本体部21と、便座22と、便蓋23とを備える。便座22および便蓋23はともに、本体部21に開閉可能に取り付けられる。
本体部21は、ケース部24と、ノズルユニット25と、フィルタ部材60とを備える。ケース部24は、ケースプレート24aと、ケースプレート24aに取り付けられるケースカバー24bとを備え、ノズルユニット25などを収容する。
ノズルユニット25は、洗浄ノズル25aを備える。洗浄ノズル25aは、図示しない電動モータなどの駆動源の駆動により、ケース部24に対して進退可能に構成される。また、洗浄ノズル25aは、図示しない水道管などの水源に接続される。そして、洗浄ノズル25aは、ケース部24に対して進出した位置にあるときに、水源からの水を使用者の身体へ噴出させて局部を洗浄する。
このように、便座装置20は、使用者の局部を洗浄する機能を有する衛生洗浄装置である。なお、上記では、便座装置20は、衛生洗浄機能を有するようにしたが、これに限られず、衛生洗浄機能を有していなくてもよい。また、便座装置20は、便座22に座った使用者のおしりなどに温風を吹き付けて乾燥させる乾燥機能や、便座22の着座面を適温に温める便座暖房機能などを有していてもよい。
フィルタ部材60は、後述する第1、第2脱臭装置30,40および換気装置50(図3参照)用のフィルタを有する部材である。なお、フィルタ部材60の構成については、後に詳しく説明する。フィルタ部材60は、ケース部24に対してケース部24の側面側から中心方向へ向けて着脱自在とされる、具体的には、ケース部24の右側面側から、左右方向の中心線Cの方向へ向けて着脱自在とされる。
図3は、便座装置20をケースカバー24bを取り除いて示す模式平面図である。なお、図3においては、便器10を想像線で示した。また、図3では、図の簡略化のため、ノズルユニット25など一部の部品の図示を省略した。
図3に示すように、ケースプレート24aは、便器10のボウル部11の後方に設けられる。詳しくは、ケースプレート24aは、平面視において、ボウル部11の後方側の内周縁11aの一部と重なるようにして、便器10に設けられる。
また、便座装置20はさらに、第1脱臭装置30と、第2脱臭装置40と、換気装置50とを備える。第1脱臭装置30は、便器10内の空気を吸引して脱臭する装置である。また、第2脱臭装置40は、トイレルーム100(図1参照)内の空気を吸引して脱臭する装置である。また、換気装置50は、トイレルーム100(図1参照)内の空気を吸引し、吸引した空気をケース部24へ供給してケース部24内を換気する装置である。
以下、各装置30,40,50について詳しく説明する。第1、第2脱臭装置30,40および換気装置50は、ケース部24に収容される。また、第1、第2脱臭装置30,40および換気装置50は、平面視において、ケース部24の中心線Cよりも側面側、正確には右側面側に寄せて配置され、ケースプレート24aに取り付けられる。
具体的には、第2脱臭装置40および換気装置50は、ケース部24の右側面に近接して配置される。また、第2脱臭装置40は、換気装置50の後方に隣接して配置される。第1脱臭装置30は、第2脱臭装置40および換気装置50の左側方に隣接して配置される。
第1脱臭装置30は、便器脱臭ファン31と、第1吸気路32と、第1排気路33と、第1脱臭部34とを備える。便器脱臭ファン31は、空気を下方(図3紙面奥側)から吸引して後方へ送出するファンである。なお、各装置30,40,50における空気の流れについては後述する。
便器脱臭ファン31としては、たとえばシロッコファンを用いることができるが、これに限定されるものではなく、ターボファンなどその種類のファンであってもよい。なお、便器脱臭ファン31は、第1送風部の一例である。
第1吸気路32は、便器脱臭ファン31の吸気側に接続され、便器脱臭ファン31によって吸引される空気が流れる。
図4は、図3で取り除かれたケースカバー24bに加え、第1、第2脱臭装置30,40および換気装置50も取り除かれた便座装置20を示す模式平面図である。また、図5は、図3のV−V線図である。
図4,5に示すように、ケースプレート24aにおいて、第1吸気路32(図3参照)と対応する位置には、第1吸気口261が形成される。第1吸気口261は、開口であり、図5に想像線で示す便器10の上面10aよりも上方に離間して位置される。これにより、第1吸気口261の下方には、隙間36が形成される。
ケースプレート24aの底面24a1において、第1吸気口261と対応する位置には、開口部27が形成される。開口部27は、便器10のボウル部11を臨む位置に形成される開口である。従って、図5に示すように、第1吸気路32は、下方にあるボウル部11内の空間と、開口部27、隙間36および第1吸気口261を介して連通することとなる。
第1排気路33は、図3に示すように、便器脱臭ファン31の排気側に接続され、便器脱臭ファン31から送出された空気(排気)が流れる。なお、第1排気路33の下流側には、排気部材80が設けられるが、かかる排気部材80については図10,11を用いて後述する。
第1脱臭部34は、図3に破線で示すように、第1排気路33の途中に設けられる。第1脱臭部34としては、たとえば活性炭を使った触媒を利用して脱臭する部材を用いることができるが、これに限定されるものではない。
次に、第2脱臭装置40について説明する。図6は、図3のVI−VI線図である。図3,6に示すように、第2脱臭装置40は、室内脱臭ファン41と、第2吸気路42(図6参照)と、第2排気路43(図3参照)と、第2脱臭部44(図3参照)とを備える。
室内脱臭ファン41は、便器脱臭ファン31と同様、空気を下方(図3紙面奥側)から吸引して後方へ送出するファンである。室内脱臭ファン41としては、たとえばシロッコファンを用いることができるが、これに限られず、ターボファンなどその種類のファンであってもよい。なお、室内脱臭ファン41は、第2送風部の一例である。
第2吸気路42は、図6に示すように、室内脱臭ファン41の吸気側に接続され、室内脱臭ファン41によって吸引される空気が流れる。また、ケースプレート24aにおいて、第2吸気路42と対応する位置には、図4,6に示すように、第2吸気口262が形成される。
第2吸気口262は、開口であり、図6に想像線で示す便器10の上面10aよりも上方に離間して位置される。これにより、第2吸気口262の下方には、トイレルーム100(図1参照)の空間と連通する隙間46が形成される。従って、第2吸気路42は、下方にある第2吸気口262および隙間46を介してトイレルーム100の空間と連通することとなる。
第2排気路43は、図3に示すように、室内脱臭ファン41の排気側に接続され、室内脱臭ファン41から送出された空気(排気)が流れる。なお、第2排気路43の下流側には、後述する排気部材80が設けられる。
第2脱臭部44は、図3に破線で示すように、第2排気路43の途中に設けられる。第2脱臭部44としては、たとえばセラミックスを含む多孔質構造の脱臭フィルタを用いることができる。
かかる脱臭フィルタは、たとえば殺菌水が噴霧されることで脱臭を行う。すなわち、図示は省略するが、便座装置20は、洗浄水が貯留された容器内に一対の電極が配置された電解槽を備え、電極に直流電流を通電して洗浄水を電気分解させることで、殺菌水を生成する。なお、生成される殺菌水は、たとえば次亜塩素酸を含む液である。そして、殺菌水が脱臭フィルタに噴霧され、殺菌水を含んだ脱臭フィルタ内を空気が通過するとき、次亜塩素酸によって悪臭成分が分解されて取り除かれる。
次に、換気装置50について説明する。換気装置50は、図5に示すように、換気ファン51と、第3吸気路52とを備える。
換気ファン51は、空気を下方から吸引して上方へ送出するファンである。換気ファン51としては、たとえばプロペラファンを用いることができるが、これに限られず、シロッコファンなどその他の種類のファンであってもよい。なお、換気ファン51は、第3送風部の一例である。
第3吸気路52は、図5に示すように、換気ファン51の吸気側に接続され、換気ファン51によって吸引される空気が流れる。また、ケースプレート24aにおいて、第3吸気路52と対応する位置には、図4,5に示すように、第3吸気口263が形成される。
第3吸気口263は、開口であり、図5に想像線で示す便器10の上面10aよりも上方に離間して位置される。これにより、第3吸気口263の下方には、トイレルーム100(図1参照)の空間と連通する隙間56が形成される。従って、第3吸気路52は、下方にある第3吸気口263および隙間56を介してトイレルーム100の空間と連通することとなる。
なお、換気装置50は、排気路を備えず、換気ファン51は、吸引した空気をケース部24内へ直接排気するように構成されるが、これに限られず、換気ファン51の排気側に排気路を接続し、ケース部24内の所定の位置で排気するようにしてもよい。
上記したように、本実施形態に係る便座装置20にあっては、互いに異なる機能を有する3つのファン31,41,51が搭載される。かかるファン31,41,51の上流側には、埃や紙粉などの粉塵が吸引されることを防止するフィルタが設けられる。そのため、たとえば仮に、3つのファン31,41,51に対して、別体のフィルタをそれぞれ設けるように構成すると、部品点数が増加してしまう。
そこで、本実施形態に係る便座装置20にあっては、搭載されるファン31,41,51が増えた場合であっても、部品点数の増加を招くことなく、フィルタを設けることができる構成とした。以下、その構成について詳説する。
便座装置20は、上記したように、ケース部24に対して着脱自在に取り付けられるフィルタ部材60を備える(図2参照)。具体的には、ケース部24にはフィルタ部材60を挿入可能な空間が形成される。この空間は、図5,6に示すように、ケース部24において、第1吸気口261、第2吸気口262および第3吸気口263と、ケースプレート24aの底面24a1との間の空間であり、フィルタ部材60は、かかる空間に挿入されることで、ケース部24に取り付けられる。
図7は、ケース部24から取り外されたフィルタ部材60を上方から見たときの斜視図であり、図8は、フィルタ部材60を下方から見たときの斜視図である。
図7,8に示すように、フィルタ部材60は、第1フィルタ611と、第2フィルタ612と、第3フィルタ613とを備えた、平板状の部材である。
第1フィルタ611は、便器脱臭ファン31用のフィルタである。また、第2フィルタ612は室内脱臭ファン41用のフィルタ、第3フィルタ613は換気ファン51用のフィルタである。
このように、フィルタ部材60は、機能の異なるファン31,41,51にそれぞれ対応する第1〜第3フィルタ611〜613を有している。言い換えると、第1〜第3フィルタ611〜613は、一つの部材であるフィルタ部材60に形成される。
これにより、本実施形態に係る便座装置20にあっては、搭載されるファン31,41,51が増えた場合であっても、部品点数の増加を招くことなく、フィルタ611〜613を設けることができる。
また、第1〜第3フィルタ611〜613は、後述するように、粉塵を捕集する。そのため、使用者は、フィルタ部材60をケース部24から取り外し、フィルタ611〜613に付着した粉塵を洗い流すフィルタ洗浄などのメンテナンスを行う。本実施形態においては、上記のように、フィルタ611〜613が一つの部材たるフィルタ部材60に形成されるため、使用者は1回の洗浄作業で、フィルタ611〜613をきれいにすることが可能となり、よってメンテナンスの負担を軽減することができる。
第1〜第3フィルタ611〜613について、さらに詳しく説明すると、第1フィルタ611は、図4,5に示すように、フィルタ部材60がケース部24に取り付けられた状態において、第1吸気口261と対応するように位置される。
従って、便器脱臭ファン31が作動して空気を吸引すると、空気の流れは、矢印A1(図5参照)で示すように、便器10のボウル部11内の空気が、開口部27、隙間36を通って第1フィルタ611を通過する。これにより、第1フィルタ611は、通過する空気に含まれる粉塵などを捕集することができ、よって下流側に配置される便器脱臭ファン31に粉塵が吸引されることを防止することができる。
続いて、第1フィルタ611を通過した空気は、第1吸気口261から第1吸気路32を経て、便器脱臭ファン31に吸引される。そして、便器脱臭ファン31の排気側から送出された空気は、図3に矢印A2で示すように、第1脱臭部34で脱臭された後、第1排気路33および排気部材80を介して便座装置20の外部へ排出される。
また、第2フィルタ612は、図4,6に示すように、フィルタ部材60がケース部24に取り付けられた状態において、第2吸気口262と対応するように位置される。従って、室内脱臭ファン41が作動して空気を吸引すると、空気の流れは、図6に矢印B1で示すように、トイレルーム100(図1参照)内の空気が、隙間46を通って第2フィルタ612を通過する。これにより、第2フィルタ612は、通過する空気に含まれる粉塵を捕集することができ、よって下流側に配置される室内脱臭ファン41に粉塵が吸引されることを防止することができる。
次に、第2フィルタ612を通過した空気は、第2吸気口262から第2吸気路42を通って、室内脱臭ファン41に吸引される。そして、室内脱臭ファン41の排気側から送出された空気は、図3に矢印B2で示すように、第2脱臭部44で脱臭された後、第2排気路43および排気部材80を介して便座装置20の外部へ排出される。
第3フィルタ613は、図4,5に示すように、フィルタ部材60がケース部24に取り付けられた状態において、第3吸気口263と対応するように位置される。従って、換気ファン51が作動して空気を吸引すると、空気の流れは、図5に矢印C1で示すように、トイレルーム100(図1参照)内の空気が、隙間56を通って第3フィルタ613を通過する。これにより、第3フィルタ613は、通過する空気に含まれる粉塵を捕集することができ、よって下流側に配置される換気ファン51に粉塵が吸引されることを防止することができる。
続いて、第3フィルタ613を通過した空気は、第3吸気口263から第3吸気路52を経て、換気ファン51に吸引される。そして、換気ファン51の排気側から送出された空気は、図3,5に矢印C2で示すように、ケース部24内へ供給され、ケース部24内が換気される。
このように、フィルタ部材60において、第1〜第3フィルタ611〜613はいずれも下方から上方へ向けて空気が通過する。従って、本実施形態では、フィルタ部材60の下面60b(図8参照)が空気の流れ方向における上流側の面、上面60a(図7参照)が下流側の面となる。
ここで、フィルタ部材60における第1〜第3フィルタ611〜613の位置関係について図4を参照しつつ説明する。なお、図4では、フィルタ部材60においてケースプレート24aで隠れる外形部分を破線で示した。
図4に示すように、フィルタ部材60は、ケース部24に取り付けられた状態において第1フィルタ611が、第2フィルタ612および第3フィルタ613よりもケース部24の中心(言い換えると左右方向の中心線C)に近い位置となるように形成される。
これにより、便器脱臭ファン31用のフィルタである第1フィルタ611は、便器10の中心に寄って配置されることとなる。従って、本実施形態に係る便座装置20にあっては、第1フィルタ611が便器10の端部に配置される場合に比べて、便器10内(ボウル部11内)の空気を効率よく吸引して脱臭することができる。
上記した第1〜第3フィルタ611〜613は、たとえばメッシュ形状のフィルタとされるが、図示の形状は例示であって限定されるものではない。
また、フィルタ部材60において、第1〜第3フィルタ611〜613の目の粗さは、たとえば対応するファン31,41,51の風量に応じて設定される。すなわち、ファンの風量が大きいと、吸引される空気に含まれる粉塵の量も増えるため、フィルタの目を細かくして、粉塵を確実に捕集することが望ましい。
そこで、本実施形態に係るフィルタ部材60は、便器脱臭ファン31、室内脱臭ファン41、換気ファン51のうち、風量が大きいファンに対応するフィルタの目の粗さが、他のフィルタの目の粗さよりも細かくなるように形成されるようにした。
具体的に説明すると、本実施形態において、風量の大きさは、大きい順に、便器脱臭ファン31、室内脱臭ファン41、換気ファン51の順となる。従って、フィルタ部材60は、第1フィルタ611の目の粗さが、他の第2、第3フィルタ612,613の粗さよりも細かくなるように形成される。これにより、風量が比較的大きい便器脱臭ファン31に対応する第1フィルタ611において、粉塵を確実に捕集することができる。
また、フィルタ部材60は、風量の大きさに基づき、第2フィルタ612の目の粗さが、第3フィルタ613の目の粗さよりも細かくなるように形成されるが、これに限られず、第2、第3フィルタ612,613の目の粗さが同じであってもよい。
上記したように、フィルタの目の粗さを細かくすると、単位面積当たりで通過する空気の量が減少する。そこで、本実施形態に係るフィルタ部材60は、目の粗さが細かい第1フィルタ611の面積が、他の第2、第3フィルタ612,613の面積よりも大きくなるように形成される。これにより、便器脱臭ファン31においては、第1フィルタ611の目を細かくした場合であっても、所望の風量を確保することができる。
また、第1〜第3フィルタ611〜613の面積は、上記した目の粗さや所望する風量などに基づいて、大きい順に、第1フィルタ611、第2フィルタ612、第3フィルタ613の順となる。
なお、上記では、第1〜第3フィルタ611〜613の目の粗さや面積を互いに異なるようにしたが、これに限定されるものではなく、たとえば一部または全部のフィルタの粗さや面積を同じにしてもよい。また、上記した、ファンの風量の大きさ、フィルタの目の粗さや面積は、例示であって限定されるものではない。
フィルタ部材60の説明を続けると、図7,8に示すように、フィルタ部材60はさらに、壁部62と、取手部63と、係止爪64と、ストッパ部65とを備える。図9は、図7のIX−IX線断面図である。
図8,9に示すように、壁部62は、フィルタ部材60の下面60b側に形成される。かかる下面60bは、上記したように、フィルタ部材60の空気の流れ方向における上流側の面であることから(図5,6参照)、言い換えると、壁部62は、フィルタ部材60の空気の流れ方向における上流側に形成される。
図8に示すように、壁部62は、第1壁部62aと、第2壁部62bと、第3壁部62cとを備える。第1壁部62aは、後述する取手部63を除いて、フィルタ部材60の周縁に沿って形成される。第2壁部62bは、第1フィルタ611と、第2、第3フィルタ612,613との間に形成される。また、第3壁部62cは、第2フィルタ612と第3フィルタ613との間に形成される。
第1〜第3壁部62a〜62cのそれぞれの下面60bからの高さは、同じまたは略同じとされる。そして、壁部62は、図5,6に示すように、フィルタ部材60がケース部24に取り付けられた状態において、先端(下端)がケースプレート24aの底面24a1に当接または近接するように形成される。
従って、フィルタ部材60の下面60b側にあっては、ケース部24に取り付けられた状態において、第1フィルタ611の上流側の空間が第1壁部62aと第2壁部62bとによって囲まれることとなる(囲まれた空間は上記した隙間36と略同じである)。また、第2フィルタ612の上流側の空間は、第1壁部62aと第2壁部62bと第3壁部62cとによって囲まれる(囲まれた空間は隙間46と略同じである)。また、第3フィルタ613の上流側の空間は、第1壁部62aと第2壁部62bと第3壁部62cとによって囲まれる(囲まれた空間は隙間56と略同じである)。
このように、フィルタ部材60の下面60b側は、壁部62によって、フィルタ611,612,613ごとの空間(隙間36,46,56)に区切られる。そのため、ファン31,41,51が作動すると、壁部62は、フィルタ部材60の下面60b側において、空気の流路(矢印A1,B1,C1参照)をファン31,41,51ごとに区画することとなる。
これにより、たとえば便器10内の空気とトイレルーム100内の空気とが、フィルタ部材60の下面60b側において混合してしまうことを抑制することができる。従って、便器10内の空気は便器脱臭ファン31によって、トイレルーム100内の空気は室内脱臭ファン41または換気ファン51によって確実に吸引され、結果として脱臭や換気を適切に行うことができる。
また、フィルタ部材60は、壁部62を備えることから、粉塵がファン31,41,51に吸引されることを、より効果的に抑制することができる。すなわち、図9に示すように、第1フィルタ611等の上流側の面(下面60b)には、捕集した粉塵Dが付着する。ここで、たとえば仮に、壁部62を備えていないフィルタ部材60の場合、使用者がケース部24から取り外そうとすると、第1フィルタ611の下面60bがケース部24と擦れて粉塵Dが剥がれ落ち、剥がれ落ちた粉塵Dを便器脱臭ファン31が吸い込んでしまうおそれがある。
そこで、本実施形態に係るフィルタ部材60にあっては、壁部62を備えるようにした。これにより、フィルタ部材60がケース部24から取り外される際、壁部62がケース部24と擦れることとなる。すなわち、粉塵Dが付着した第1フィルタ611の下面60bは、ケース部24と擦れないため、粉塵Dが剥がれ落ちることがなく、よって粉塵Dが便器脱臭ファン31などに吸引されることを、より効果的に抑制することができる。
取手部63は、フィルタ部材60がケース部24に取り付けられた状態で、ケース部24の側面側、具体的には右側面側に近い周縁に沿って形成される。また、取手部63は、壁部62と同様に、フィルタ部材60の下面60b側に突出するように形成される。これにより、使用者は、取手部63をつまむことで、フィルタ部材60をケース部24に対して容易に着脱することが可能になる。
また、図9に示すように、取手部63は、下面60bからの高さH2が、壁部62の高さH1よりも低くなるように形成される。これにより、図5,6に示すように、取手部63の下方において、取手部63から便器10の上面10aまでの距離を、取手部63の高さH2が壁部62の高さH1以上の場合に比べて大きく取ることができる。これにより、トイレルーム100の空気を、矢印B1,C1に示すように、隙間46,56へスムーズに流すことができる。
係止爪64は、フィルタ部材60の中央付近に形成される。係止爪64としては、たとえばスナップフィットを用いることができるが、これに限定されるものではない。また、係止爪64は、図9に示すように、フィルタ部材60において、空気の流れ方向において下流側に向けて(図9で下方から上方へ向けて)突出するように形成される。
一方、ケース部24は、図9に想像線で示すように、フィルタ部材60が取り付けられた状態において、フィルタ部材60の下流側の面(上面60a)と対向する位置に、係止爪64と係止可能な係止部28が形成される。
これにより、係止爪64は、フィルタ部材60がケース部24に取り付けられた状態において、係止部28と係止することから、フィルタ部材60がケース部24から抜け落ちたりすることを防止することができる。
また、本実施形態にあっては、係止爪64および係止部28を上記のように構成したことから、粉塵Dがファン31,41,51に吸引されることを、より一層効果的に抑制することができる。
すなわち、たとえば仮に、係止爪64が、フィルタ部材60の上流側に向けて(図9で上方から下方へ向けて)突出するように形成されると、係止部28は、フィルタ部材60の上流側の面(下面60b)と対向する位置に形成されることとなる。このような場合、使用者がケース部24からフィルタ部材60を取り外そうとすると、粉塵Dが付着した第1フィルタ611の下面60bが係止部28と接触して粉塵Dが剥がれ落ち、剥がれ落ちた粉塵Dを便器脱臭ファン31が吸い込んでしまうおそれがある。
そこで、本実施形態にあっては、係止爪64および係止部28を上記のように構成したことから、第1フィルタ611の下面60bが係止部28と接触することはなく、よって粉塵Dが便器脱臭ファン31などに吸引されることを、より一層効果的に抑制することができる。
ストッパ部65は、フィルタ部材60の下面60b側の周縁のうち、取手部63に近接した位置に形成される。一方、ケース部24には、フィルタ部材60が取り付けられた状態において、ストッパ部65が当接する位置に当接部24a2が形成される。
これにより、フィルタ部材60は、ケース部24に取り付けられる際、ストッパ部65が当接部24a2と当接することで、それ以上の移動が規制されることとなる。これにより、フィルタ部材60がケース部24に対して奥まで入り込んでしまうことを防止することができる。
次に、排気部材80について図10,11を参照して説明する。図10は、便座装置20を後方から見たときの模式斜視図である。また、図11は、排気部材80の拡大斜視図である。なお、図11は、排気部材80をケース部24への取り付け側である裏面側から見たときの斜視図である。
図10,11に示すように、排気部材80は、第1排気口811と、第2排気口812と、壁部82と、係止爪83とを備え、ケース部24に対して着脱自在とされる。
第1排気口811は、第1排気路33の下流側に対応する位置で、ケース部24に取り付けられる。すなわち、第1排気口811は、第1脱臭装置30の下流側に位置されて便器脱臭ファン31から第1脱臭装置30、第1排気路33を介して流れる空気を排出する。
第2排気口812は、第2排気路43の下流側に対応する位置で、ケース部24に取り付けられる。すなわち、第2排気口812は、第2脱臭装置40の下流側に位置されて室内脱臭ファン41から第2脱臭装置40、第2排気路43を介して流れる空気を排出する。
このように、排気部材80は、排出する空気の異なる第1、第2排気口811,812を有している。言い換えると、第1、第2排気口811,812は、一つの部材である排気部材80に形成される。
これにより、便座装置20にあっては、装置外へ排気するファン31,41が増えた場合であっても、部品点数の増加を招くことなく、排気口811,812を設けることができる。
また、使用者は、排気部材80をケース部24から取り外し、排気口811,812等に付着した粉塵を洗い流すメンテナンスを行う。本実施形態においては、上記のように、排気口811,812が一つの部材たる排気部材80に形成されるため、使用者は1回の洗浄作業で、排気口811,812をきれいにすることが可能となり、よってメンテナンスの負担を軽減することができる。
壁部82は、図11に示すように、排気部材80の空気の流れ方向における上流側となる裏面80a側に形成されるとともに、第2排気口812の上流側を囲むようにして形成される。また、排気部材80は、ケース部24に取り付けられた状態において、壁部82の先端が第2排気路43の出口部分に当接あるいは近接するように形成される。
これにより、排気部材80の上流側において、第1排気路33からの排気流路と第2排気路43からの排気流路とが壁部82によって区画されることとなる。これにより、第1排気路33からの排気を第1排気口811を介して、第2排気路43からの排気を第2排気口812を介して、混合させることなく確実に便座装置20外へ排出させることができる。
なお、上記では、壁部82は、第2排気口812を囲むようにしたが、これに限られない。すなわち、壁部82によって排気流路を区画できればよく、たとえば第1排気口811の上流側を囲むように形成したり、第1排気口811と第2排気口812との間に設けたりしてもよい。
係止爪83は、排気部材80の周縁の適宜位置に形成される。係止爪83としては、たとえばスナップフィットを用いることができるが、これに限定されるものではない。一方、ケース部24は、係止爪83と対応する位置に、係止爪83と係止可能な係止部29が形成される。
これにより、係止爪83は、排気部材80がケース部24に取り付けられた状態において、係止部29と係止することが可能となり、よって排気部材80がケース部24から脱落することを防止することができる。
上述してきたように、実施形態に係る便座装置20は、便器脱臭ファン31(第1送風部の一例)と、室内脱臭ファン41(第2送風部の一例)と、換気ファン51(第3送風部の一例)と、フィルタ部材60とを備える。便器脱臭ファン31は、便器10内の空気を吸引して第1脱臭装置30へ送出する。室内脱臭ファン41は、トイレルーム100内の空気を吸引して第2脱臭装置40へ送出する。換気ファン51は、トイレルーム100内の空気を吸引してケース部24内へ送出し、ケース部24内を換気する。フィルタ部材60は、便器脱臭ファン31の上流側に位置される第1フィルタ611と、室内脱臭ファン41の上流側に位置される第2フィルタ612と、換気ファン51の上流側に位置される第3フィルタ613とを有する。これにより、便座装置20において、搭載されるファンが増えた場合であっても、部品点数の増加を招くことなく、フィルタを設けることができる。
なお、上記した実施形態にあっては、フィルタ部材60において、第1〜第3フィルタ611〜613が形成される位置などを具体的に示したが、あくまでも例示であって限定されるものではない。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。