JP6769167B2 - ドアトリム及び車両用ドア - Google Patents

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Description

本発明は、ドアトリム、該ドアトリムを備えた車両用ドアに関する。
自動車等の車内に持ち込んだ傘を支持するための車両のドアが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された車両のドアは、その内側にドアトリムが張設されている。ドアトリムには、傘の中間部を支持するための傘支持枠と、傘の先端を支持するための受け皿状の傘受けと、が設けられている。傘支持枠は、コの字形に設けられており、その両脚部が、ドアトリムに設けられた一対の取付孔に挿入されてドアトリムに取り付けられている。
特開平08−276791号公報
しかしながら、従来の車両のドアにおいて、傘支持枠は、傘の径寸法に基づいて、車幅方向の寸法や車両前後方向の寸法が設計されているから、例えば、傘よりも小径な杖等の長尺物を傘支持枠に支持させた場合には、傘支持枠内で、長尺物が車両前後方向及び車幅方向に動いてしまう。即ち、従来の車両のドアは、傘よりも径寸法が小さい杖などの小径な長尺物を、車両前後方向及び車幅方向の移動を抑制しつつ、安定して支持することができなかった。
本発明は、径寸法の異なる長尺物であっても、安定的に保持することができるドアトリム及び車両用ドアを提供することを課題とする。
上述した課題を解決するための本発明は、パネル状のドアトリム本体と、該ドアトリム本体の下端部に設けられて、上方に開口して長尺物の先端を保持するためのホルダーと、を備えたドアトリムであって、前記ホルダーが、前記ドアトリム本体に対向する覆い板と、前記ドアトリム本体と前記覆い板との間に設けられかつ車両前後方向に対向する前方側壁部及び後方側壁部と、前記開口に対向する底壁と、を備え、前記前方側壁部及び前記後方側壁部が、下方に向かうにしたがって車両前後方向の一方に傾斜する一対の傾斜面を、車両前後方向に対向する位置に有し、前記前方側壁部と前記後方側壁部との間に、前記ドアトリム本体と前記覆い板とのうち一方から他方に向けて立設するリブが設けられ、前記リブは、前記前方側壁部に向かうに従って下方に傾斜していることを特徴とするドアトリムである。
本発明によれば、径寸法の異なる長尺物であっても、安定的に保持することができる。
本発明のドアトリムが適用された車両用ドアの一実施例を示す斜視図である。 図1に示された車両用ドアに、長尺物としての傘が保持された状態を示す平面図である。 図1中のI−I線に沿う断面図である。 図1に示された要部を拡大して示す図であり、(A)は、図1中のポケットを外した状態を示す平面図であり、(B)は、図1中のポケットを透過した状態を示す平面図である。 (A)は、図2中のII−II線に沿う断面図であり、(B)は、図2中のIIII−III線に沿う断面図である。 (A)は、図2中のIV−IV線に沿う断面図であり、(B)は、図2中のV−V線に沿う断面図である。 図1に示された車両用ドアの変形例を示す断面図である。
請求項1に記載された発明は、パネル状のドアトリム本体と、該ドアトリム本体の下端部に設けられて、上方に開口して長尺物の先端を保持するためのホルダーと、を備えたドアトリムであって、前記ホルダーが、前記ドアトリム本体に対向する覆い板と、前記ドアトリム本体と前記覆い板との間に設けられかつ車両前後方向に対向する前方側壁部及び後方側壁部と、前記開口に対向する底壁と、を備え、前記前方側壁部及び前記後方側壁部が、下方に向かうにしたがって車両前後方向の一方に傾斜する一対の傾斜面を、車両前後方向に対向する位置に有し、前記前方側壁部と前記後方側壁部との間に、前記ドアトリム本体と前記覆い板とのうち一方から他方に向けて立設するリブが設けられ、前記リブは、前記前方側壁部に向かうに従って下方に傾斜している。これによれば、傘よりも小径な杖等の長尺物を前方側壁部と後方側壁部との間に挿入した場合においても、傾斜面の傾斜に沿って、長尺物の先端が、車両前後方向の一方に誘導されるから、前方側壁部と後方側壁部との間で、長尺物の車両前後方向の移動が抑制される。従って、径寸法の異なる長尺物であっても、安定的に保持することができる。
本発明の一実施例にかかるドアトリムが適用された車両用ドアを図1〜図6を参照して説明する。図1は、本発明のドアトリム1が適用された車両用ドア2の一実施例を示す斜視図である。図1に示された車両用ドア2は、運転席から見て、右側に位置するドアである。なお、図1等に示す「前」は車両用ドア2を含む車両の進行方向であり、「後」は車両の後退方向であり、「右」「左」は、車幅方向であり、「上」「下」は、前後及び左右に直交する鉛直方向である。また、車室外側とは、車幅方向の一方側のことであり、車室内側とは、車幅方向の他方側のことである。
車両用ドア2は、図1に示すように、窓開口20が形成された車両外装部材である金属製のドアパネル3と、ドアパネル3の窓開口20の下方の車内側に取り付けられる車両内装部材である合成樹脂製のドアトリム1と、備えて構成されている。窓開口20には、図示しない窓ガラスが昇降可能に設けられている。窓ガラスは、降下時には、車両用ドア2のベルトライン2A(窓開口20を構成する窓枠3aの下端縁)よりも下方に収容される。
ドアパネル3は、図5(B)、図6(B)に示すように、インナパネル31と、インナパネル31の車室外側に固定された図示しないアウタパネルと、を備えている。インナパネル31及びアウタパネルは、例えば、板金をプレス成形して所要の形態に形成されたものであり、ドアパネル3は、インナパネル31にアウタパネルが組み付けられて構成されている。
ドアトリム1は、図1に示すように、ベルトライン2Aよりも下側に位置する台形状のドアトリム本体4と、前端部材5(遮蔽部材)と、後端部材6と、を有して構成されている。前端部材5は、ドアトリム本体4の前端部において、ベルトライン2Aより上方に延出されて平面視が三角形状に形成されている。後端部材6は、ドアトリム本体4の後端部において、ベルトライン2Aより上方に延出されて平面視が台形状に形成されている。前端部材5及び後端部材6は、ドアトリム本体4とは別部品である。さらに、図2にも示すように、ドアトリム1には、傘A(長尺物)を支持するための傘支持構造7が設けられている。傘支持構造7は、ドアトリム1の前端部において、ドアトリム本体4と前端部材5とに亘って設けられている。そして、傘Aは、軸が略上下方向に沿う格好で、傘支持構造7により支持される。前端部材5は、傘Aが、傘支持構造7に支持された状態で、傘Aの柄等を遮蔽するために設けられている。なお、本実施例において、前端部材5は、ドアトリム本体4とは、別部品(別体構成)であるが、前端部材5及びドアトリム本体4は、一体に設けられていてもよい。
ドアトリム本体4は、図1、図2に示すように、その表面から車室内側に張り出したアームレスト41と、車両用ドア2を開閉するための操作レバー42と、小物などを一時的に保持するためのポケット43と、を備えている。アームレスト41は、ドアトリム本体4の中央部よりやや上方側に、前後方向に延在して設けられている。操作レバー42は、アームレスト41の前端部の上方側に設けられている。なお、図2において、ポケット43を構成する覆い板44は省略されている。
さらに、ドアトリム本体4には、図4(A)(B)に示すように、ポケット43を構成する覆い板44に設けられた差込み爪(図示しない)を係止する爪受け部45が設けられている。爪受け部45は、ドアトリム本体4の適宜な場所に設けられている。図4(B)において、差込み爪は省略されている。
ポケット43は、図1、図4(A)(B)に示すように、上方に開口して、車両用ドア2の下端部において、前端から後端まで全長に設けられている。このポケット43は、ドアトリム本体4の下端部において、当該ドアトリム本体4と対向する位置に設けられた覆い板44(図1に示す)と、覆い板44からドアトリム本体4に向けて突出して設けられた差込み爪)と、を有している。そして、ポケット43は、差込み爪をドアトリム本体4の爪受け部45に係止させることで組み立てられている。
傘支持構造7は、図1に示すように、覆い板44の前端部(以下、板前端部44Aと記す)を有するとともに傘Aの先端を保持するための先端保持部8(ホルダー)と、傘Aの軸方向の中間部(先端部以外の部位)を保持するためのフック9と、を備えている。傘支持構造7において、ドアトリム本体4は、図4、図5に示すように、その前端部に、傘Aを設置するための設置面を有している。設置面は、前方に向かうにしたがって、車室内側に湾曲する前側湾曲面40aから構成されている。傘Aは、傘支持構造7に支持された状態で、前側湾曲面40aに設置される。これにより、傘Aの車幅方向の移動の抑制が図られる。
先端保持部8は、図4(A)(B)に示すように、板前端部44A(図4(B)に示す)と、ドアトリム本体4から板前端部44Aに向けて立設されかつ前後方向に対向する前方側壁部81及び仕切り部82(後方側壁部)と、底壁83と、を有して構成されている。底壁83は、ドアトリム本体4から板前端部44Aに向けて板状に立設するとともに前方側壁部81及び仕切り部82の下端に連続して設けられている。板前端部44Aには、図4(B)に示すように、その下方かつ前方側の隅部に、平面視が略長方形状の取出し孔46が形成されている。取出し孔46は、先端保持部8内の小物等を取り出すため又は、先端保持部8内を清掃するために用いられる。なお、本実施例では、前方側壁部81、仕切り部82及び底壁83は、ドアトリム本体4から板前端部44Aに向けて立設(突出)して設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。前方側壁部81、仕切り部82及び底壁83は、板前端部44Aからドアトリム本体4に向けて立設(突出)して設けられていてもよい。
このような先端保持部8は、図4(B)、図5(A)(B)に示すように、傘Aの先端が挿入可能なように、上方が開口する略筒状の空間を有して構成されている。この空間は、傘Aの先端部の前後方向及び左右方向(車幅方向)の移動を抑制するための空間である。また、空間は、図5(A)(B)に示すように、ドアトリム本体4における傘設置面である前側湾曲面40aと、前側湾曲面40aに対向する対向面44aと、前面81aと、後面82a(図5(A)に示す)と、底面83aと、を有して構成されている。前面81aは、前方側壁部81において仕切り部82側に位置し、後面82aは、仕切り部82において前方側壁部81側に位置し、底面83aは、底壁83において開口と対向する位置にある。
また、前側湾曲面40aは、図5(B)に示すように、上下の断面において、下方に向かうに従って、インナパネル31側(車室外側)に近付くように傾斜して設けられている。さらに、前側湾曲面40aには、その下端に、水滴を車室外側に排出するためにインナパネル31を貫通する排水孔40が形成されている。排水孔40から排出された水は、インナパネル31に形成された排出孔32を介して、車室外に排出されるようになっている。
前面81aは、図4(A)(B)に示すように、略上下方向に延在する前方側鉛直面81a1と、この前方側鉛直面81a1に連続し、下方に向かうに従って後方に傾斜する前方側傾斜面81a2(傾斜面)と、から構成されている。前方側鉛直面81a1は、前面81aの上端から略三分の一程度となる位置まで設けられている。
後面82aは、後方側第1鉛直面82a1と、後方側傾斜面82a2と、後方側第1水平面82a3と、後方側第2鉛直面82a4と、後方側第2水平面82a5と、後方側第3鉛直面82a6と、を備えて構成されている。後方側傾斜面82a2は、後方側第1鉛直面82a1の下端に連続されている。後方側第1水平面82a3は、後方側傾斜面82a2(傾斜面)の下端に連続されている。後方側第2鉛直面82a4は、後方側第1水平面82a3の後端に連続されている。後方側第2水平面82a5は、後方側第2鉛直面82a4の下端に連続されている。後方側第3鉛直面82a6は、後方側第2水平面82a5の前端に連続されている。後方側第1水平面82a3と後方側第2水平面82a5とは、上下に対向する位置にある。後方側第1鉛直面82a1は、前方側鉛直面81a1と対向する位置にありかつ略上下方向に延在して設けられている。後方側傾斜面82a2は、下方に向かうに従って後方に傾斜して設けられている。後方側第1水平面82a3は、略水平方向の後方に延在して設けられている。後方側第2鉛直面82a4は、略下方向に延在して設けられている。後方側第2水平面82a5は、略水平方向の前方に延在して設けられている。後方側第3鉛直面82a6は、略下方向に延在して設けられている。
後方側第1鉛直面82a1は、後面82aの上端から略三分の一程度となる位置まで設けられ、後方側傾斜面82a2は、その下端が、後面82aの上端から略三分の二程度となる位置まで設けられている。また、前方側傾斜面81a2と後方側傾斜面82a2は、前後方向に対向する位置に設けられ、前後方向の距離が、下方に向かうに従って小さくなるように形成されている。即ち、前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2は、「幅狭部」を形成する。この幅狭部は、前方側壁部81及び仕切り部82の上下方向の中間部に設けられている。さらに、後方側第1水平面82a3の前後の寸法は、後方側第2水平面82a5の前後の寸法の略2倍程度となるように形成されている。
底面83aは、底側前方面83a1と、この底側前方面83a1の後方側に連続される底側後方面83a2と、を有して構成されている。この底面83aの前後方向の距離(底側前方面83a1及び底側後方面83a2の前後方向の距離)は、前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2の間隔のうち、最も狭い部分の寸法より大きくなるように形成されている。また、底側前方面83a1及び底側後方面83a2は、その境界が底面83aの前後方向の略中心に位置するように設けられている。さらに、底側前方面83a1及び底側後方面83a2は、図4(A)(B)に示すように、その中心側の各端部が、その中心から離れた各端部よりも下方に位置するように傾斜して設けられている。
また、先端保持部8は、図4(A)(B)に示すように、後方側傾斜面82a2の上下の略中心に、前後方向に貫通する切欠き84を有している。図2において、切欠き84は省略されている。
さらに、先端保持部8は、図3、図4(B)に示すように、板前端部44Aから、ドアトリム本体4に向けて突出して設けられて、傘Aの車幅方向及び前後方向の移動を規制するためのリブ85を有している。リブ85は、仕切り部82に設けられた切欠き84の下端から、前方に向かうにしたがって、斜め下方に延在して設けられている。なお、本実施例では、リブ85は、板前端部44Aからドアトリム本体4に向けて突出して設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。リブは、ドアトリム本体4から板前端部44Aに向けて突出して設けられていてもよい。
また、先端保持部8において、ポケット43の取出し孔46は、図1、図4(B)に示すように、周縁の一部である一対の長辺46a、46aが、仕切り部82の後方側第1水平面82a3及び後方側第2水平面82a5それぞれと重なる位置にある。また、取出し孔46は、同図に示すように、周縁の一部である一対の短辺46b、46bのうち、後方側の短辺46bが、後方側第2鉛直面82a4と重なる位置にあり、前方側の短辺46bが、前方側傾斜面81a2よりも後方側に位置している。即ち、取出し孔46は、長辺46aの寸法が、底面83a(底壁83)の前後方向の寸法よりも大きくなるように形成されている。また、取出し孔46が形成された部分において、前方側壁部81と仕切り部82の対向寸法は、取出し孔46の長辺46aの寸法(車両前後方向の寸法)と略等しい寸法になるように形成されている。または、取出し孔46の長辺46aの寸法は、前方側壁部81と仕切り部82の対向寸法よりも僅かに大きくなるように形成されていてもよい。
このような先端保持部8は、前方側壁部81及び仕切り部82(後方側壁部)が、下方に向かうにしたがって前後方向の後方(一方)に傾斜する前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2(一対の傾斜面)を、前後方向に対向する位置に有している。これによれば、前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2の傾斜に沿って、傘Aの先端が後方に誘導されるから、前方側壁部81と仕切り部82との間で、長尺物の車両前後方向の移動が抑制される。一方、傘Aよりも小径な杖等の長尺物が、先端保持部8の上方から挿入された場合であっても、長尺物の先端が、前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2の傾斜に沿って、後方に誘導される。従って、径寸法の異なる長尺物であっても、前方側壁部81と仕切り部82との間において、車両前後方向の移動が抑制される。即ち、径寸法の異なる長尺物であっても、安定的に保持される。
フック9は、図3、図6(A)(B)に示すように、傘Aの軸方向の中間部(先端部以外の部位)を保持するためのものである。フック9は、図6(A)に示すように、略L字状に設けられ、ドアトリム本体4から突出するとともに後方に向けて延在して設けられている。即ち、フック9は、基端がドアトリム本体4に連続し、自由端である先端が基端の後方に延びている。また、フック9は、傘Aが後方側から差し込み可能なように、後方が開放されている。
このようなフック9は、傘Aを、軸が上下に延在する格好で、ドアトリム本体4との間において前方に押し込むことで当該傘Aを保持する。こうして、傘Aの中間部が、フック9に保持された状態で、傘Aの中間部の前方及び左右方向(車幅方向)の移動が制限される。
さらに、ポケット43には、図2に示すように、先端保持部8の後方に隣接する位置に、ドリンクホルダー10が設けられている。このドリンクホルダー10は、図4(B)に示すように、覆い板44の一部である板中央部44Bと、ドアトリム本体4の一部でありその上下方向を中心軸とするように湾曲する後側湾曲面40bと、一対の側方側壁部11と、下方側壁部12と、を有している。板中央部44Bは、板前端部44Aの後方側に位置している。一対の側方側壁部11は、後側湾曲面40bの前後方向の両端から立設され、下方側壁部12は、後側湾曲面40bの下端から立設されている。一対の側方側壁部11及び下方側壁部12は、仕切り部82の一部から構成され、上方が開口する略コ字状に設けられている。また、覆い板44の板前端部44Aに設けられたリブ85には、その後端に延長されて、後方に向かうにしたがって、上方に延在して設けられたリブ延長部85Aが設けられている。こうして、ドリンクホルダー10の下方に、水滴が浸入した場合には、水滴が、リブ延長部85Aの後端から切欠き84を貫通してリブ85の前端に向けて誘導される。さらに、リブ延長部85Aは、リブ85の補強のために、その一部が、覆い板44の差込み爪に連続されている。
上述した実施例によれば、先端保持部8は、前方側壁部81及び仕切り部82(後方側壁部)が、下方に向かうにしたがって車両前後方向の一方に傾斜する前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2(一対の傾斜面)を、車両前後方向に対向する位置に有している。これによれば、前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2の傾斜に沿って、傘Aの先端が後方に誘導されるから、前方側壁部81と仕切り部82との間で、長尺物の車両前後方向の移動が抑制される。一方、傘Aよりも小径な杖等の長尺物が、先端保持部8の上方から挿入された場合であっても、長尺物の先端が、前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2の傾斜に沿って、後方に誘導される。従って、径寸法の異なる長尺物であっても、前方側壁部81と仕切り部82との間において、車両前後方向の移動が抑制される。即ち、径寸法の異なる長尺物であっても、安定的に保持することができる。
また、前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2(一対の傾斜面)が形成された部分は、前方側壁部81及び仕切り部82(後方側壁部)との間隔が、下方に向かうに従って幅狭となる幅狭部を構成している。これによれば、前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2の傾斜に沿って、傘Aの先端が所定の場所に誘導されるから、前方側壁部81と仕切り部82との間で、長尺物の車両前後方向の移動を十分に抑制することができる。
さらに、底面83aの前後方向の距離(底側前方面83a1及び底側後方面83a2の前後方向の距離)は、前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2の間隔のうち、最も狭い部分の寸法より大きくなるように形成されている。これによれば、前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2が幅狭部を構成しているにも関わらず、底面83aの前後の距離が、幅狭部の最も小さい部分の寸法より大きくなるように形成されている。このため、例えば、先端が太い杖などの長尺物であっても、その先端を、底面83aを含む空間に収めて、安定的に保持することができる。
また、前方側壁部81と仕切り部82(後方側壁部)との間に、覆い板44(一方)からドアトリム本体4(他方)に向けて立設するリブ85が設けられ、リブ85は、前方側壁部81に向かうに従って下方に傾斜している。これによれば、リブ85が形成されていることにより、保持された傘Aの車幅方向及び前後方向の移動が抑制されつつ、濡れた傘Aを先端保持部8に保持した場合において、水滴を前方側壁部81側(前方側)へ誘導することができる。このように、リブ85が、水滴を前方側へ誘導することにより、排水孔40から車室外側(ドアパネル3側)へ排水される。即ち、リブ85により、水滴が前方側に誘導されるから、該水滴が車室内側に浸水することが抑制される。
また、仕切り部82(後方側壁部)には、車両前後方向に貫通する切欠き84が設けられ、リブ85は、切欠き84を貫通して設けられている。これによれば、仕切り部82の後方側に水滴が垂れた場合でも、切欠き84から前方側壁部81と仕切り部82との間に水滴が誘導される。
また、覆い板44には、底壁83の近傍に、取出し孔46(貫通孔)が形成されている。これによれば、取出し孔46から先端保持部8(ホルダー)の内部に手を入れることができ、物を落とした際や、先端保持部8内を清掃する際に活用することができる。
また、先端保持部8は、取出し孔46が形成された部分において、前方側壁部81と仕切り部82の対向寸法が、取出し孔46の長辺46aの寸法(車両前後方向の寸法)と略等しい寸法になるように形成されている。または、取出し孔46の長辺46aの寸法は、前方側壁部81と仕切り部82の対向寸法よりも僅かに大きくなるように形成されている。これによれば、取出し孔46から先端保持部8の内部に手を入れる際に、前方側壁部81や仕切り部82に阻まれることなく、底面83aに落下した物品を拾ったり、先端保持部8内を清掃することができる。
また、ドアトリム本体4の上端部には、昇降ガラスを突没させるベルトライン2Aが設けられ、ベルトライン2Aよりも上方に、傘Aや杖等の長尺物を視界から遮蔽するための前端部材5(遮蔽部材)が設けられている。これによれば、長尺物が、先端保持部8に保持された状態で、長尺物がベルトライン2Aから突出する長さであった場合においても、前端部材5が設けられているので、車室外側から見たときに、長尺物を視界から隠すことができる。従って、車両の外観を損ねることがない。
尚、以上に説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明のドアトリム1の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
例えば、先端保持部8(ホルダー)は、前方側壁部81及び仕切り部82(後方側壁部)が、前後方向の後方(一方)に向かうにしたがって下方に傾斜する前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2を、前後方向に対向する位置に有している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。前方側壁部81及び仕切り部82(後方側壁部)が、前後方向(車両前後方向)の下方に向かうにしたがって前方に傾斜する前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2(一対の傾斜面)を、前後方向に対向する位置に有していてもよい。
また、上述した実施例では、幅狭部は、前方側壁部81及び仕切り部82の上下方向の中間部に設けられている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。幅狭部は、前方側壁部81及び仕切り部82の上端部又は下端部に設けられていてもよい。即ち、幅狭部は、前方側壁部81及び仕切り部82のうち、上下方向の何れかの位置に設けられていればよい。
また、上述した実施例では、幅狭部を形成するように、前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2が、下方に向かうにしたがって幅狭となるように構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。前方側傾斜面81a2及び後方側傾斜面82a2は、前後方向の距離が一定になるように形成されていてもよい。即ち、前方側壁部81及び仕切り部82は、幅狭部を有していなくともよい。
また、上述した実施例では、フック9は、傘Aが後方側から差し込み可能なように、後方が開放されているが、本発明はこれに限定されるものではない。フック9は、傘Aが前方側から差し込み可能なように、前方が開放されていてもよい。
また、上述した実施例では、傘支持構造7が、運転席から見て、右側に位置するドアにある場合を一例として説明していたが、本発明はこれに限定されるものではない。傘支持構造7が、後部座席の左右に位置する車両用ドアの前方部分に設けられていてもよい。これによれば、側方側からの車両衝突時に、傘A等の長尺物が、乗員に危害を加える虞が少なく、また、車両用シートのサイドエアバックやカーテンエアバックの展開を阻害することを抑制できる。
さらに、図7に示すように、フック9の上方には、ドアトリム本体4から膨出する膨出部91が設けられていてもよい。即ち、ドアトリム本体4は、図7に示すように断面が、膨出部91を有する弓形に形成されていてもよい。これによれば、傘Aがフック9に保持された状態で、傘Aが、膨出部91により、フック9側(車室内側)に押されるから、傘Aの中間部は、フック9に押し付けられる。こうして、フック9により、傘Aの中間部を、安定的に保持することができる。
また、図7では、膨出部91は、フック9の上方に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。膨出部は、フック9の下方に設けられていてもよく、フック9を上下に挟む位置に一対設けられていてもよい。これによれば、傘Aの中間部が、フック9に保持された状態で、傘Aが、フック9の上下に位置する一対の膨出部91、91により、2箇所でフック9側(車室内側)に押されるから、傘Aの中間部は、安定的に保持される。
また、上述した各実施例は本発明の好ましい形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明のドアトリム及び車両用ドアの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
1 ドアトリム
2 車両用ドア
2A ベルトライン
3 ドアパネル
4 ドアトリム本体
5 前端部材(遮蔽部材)
44 覆い板
46 取出し孔(貫通孔)
8 先端保持部(ホルダー)
81 前方側壁部
81a2 前方側傾斜面(一対の傾斜面)
82 仕切り部(後方側壁部)
82a2 後方側傾斜面(一対の傾斜面)
83 底壁
84 切欠き
85 リブ
90 フック
91 膨出部

Claims (8)

  1. パネル状のドアトリム本体と、該ドアトリム本体の下端部に設けられて、上方に開口して長尺物の先端を保持するためのホルダーと、を備えたドアトリムであって、
    前記ホルダーが、前記ドアトリム本体に対向する覆い板と、前記ドアトリム本体と前記覆い板との間に設けられかつ車両前後方向に対向する前方側壁部及び後方側壁部と、前記開口に対向する底壁と、を備え、
    前記前方側壁部及び前記後方側壁部が、下方に向かうにしたがって車両前後方向の一方に傾斜する一対の傾斜面を、車両前後方向に対向する位置に有し
    前記前方側壁部と前記後方側壁部との間に、前記ドアトリム本体と前記覆い板とのうち一方から他方に向けて立設するリブが設けられ、
    前記リブは、前記前方側壁部に向かうに従って下方に傾斜していることを特徴とするドアトリム。
  2. 前記一対の傾斜面が形成された部分のうち少なくとも一部は、前記前方側壁部と前記後方側壁部との間隔が、下方に向かうに従って幅狭となる幅狭部を構成していることを特徴とする請求項1に記載のドアトリム。
  3. 前記底壁の車両前後方向の寸法が、前記一対の傾斜面の間隔のうち最も狭い部分の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のドアトリム。
  4. 前記ホルダーの上方には、前記長尺物の軸方向の先端部以外の部位を保持するためのフックが設けられ、
    前記フックは、基端が前記ドアトリム本体から突出し、自由端である先端が前記基端の前方又は後方に延び、
    前記フックの上方と下方とのうち少なくとも何れか一方に、前記ドアトリム本体から膨出して前記長尺物を前記フック側に押す膨出部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載のドアトリム。
  5. 前記後方側壁部には、車両前後方向に貫通する切欠きが設けられ、
    前記リブは、前記切欠きを貫通して設けられていることを特徴とする請求項請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載のドアトリム。
  6. 前記覆い板には、前記底壁の近傍に、矩形状の貫通孔が形成され、
    前記貫通孔の車両前後方向の寸法は、前記底壁の車両前後方向の寸法より大きいとともに、前記貫通孔が形成された部分において、前記前方側壁部と前記後方側壁部との対向寸法は、前記貫通孔の車両前後方向の寸法と略等しい、又は、前記前方側壁部と前記後方側壁部との対向寸法は、前記貫通孔の車両前後方向の寸法より小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項のうち何れか一項に記載のドアトリム。
  7. 前記ドアトリム本体の上端部には、昇降ガラスを突没させるベルトラインが設けられ、
    前記ベルトラインよりも上方に延出された遮蔽部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項のうち何れか一項に記載のドアトリム。
  8. 請求項1乃至請求項のうち何れか一項に記載のドアトリムと、
    該ドアトリムの車室外側に組み付けられるドアパネルと、を備えたことを特徴とする車両用ドア。
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