JP6768589B2 - 励磁装置および無励磁作動ブレーキ - Google Patents
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Description
電磁ブレーキには、例えば特許文献1に開示されているように、励磁作動ブレーキ(図1)と無励磁作動ブレーキ(図2)とがある。励磁作動ブレーキは、励磁コイルが通電されることにより制動が行われ、励磁コイルの通電が断たれることにより制動が解除されるものである。無励磁作動ブレーキは、励磁コイルが通電されることにより制動が解除され、励磁コイルの通電が断たれることにより制動状態になるものである。
特許文献2に開示された励磁装置は、励磁コイルが巻回されたコイルボビンと、このコイルボビンの中空部に嵌合された内極部材と、コイルボビンおよび内極部材が内部に嵌合された外極部材とを有している。
コイルボビンは、円筒部と、この円筒部の両端部に設けられた一対のフランジ部とからなる断面形状が溝形状の環状部材である。一対のフランジ部のうち、一方のフランジ部は、内極部材の円板部に沿って成型されており、この円板部密着している。他方のフランジ部は、アーマチュアと隙間をおいて対向するもので、一方のフランジ部と平行になる姿勢を自らの剛性で維持している。
このコイルボビンの環状凹部(コイル巻きスペース)に励磁コイルが直接巻き付けられている。
特許文献3記載の励磁装置に用いられているコイルボビンの他方のフランジ部を内極部材にインサート成型するためには、他方のフランジ部を一方のフランジ部とは反対側から囲むような治具やスライド型が必要になる。このため、他方のフランジ部の成型作業に手間がかかる。このような成型作業を実施する成型装置は構造が複雑になる。
インサート成型されるコイルボビンの肉厚寸法が大きくなると、コイルを巻き付けるスペースが狭くなり、励磁コイルの巻き数が少なくなる。励磁コイルの巻き数が少ないと、アーマチュアの磁気吸引力は低下する。このため、小型の励磁装置およびこの励磁装置を備えた電磁連結装置の開発が困難である。
また、コイルボビンを使用する従来の励磁装置と較べると、コイルボビンの設置スペースにも励磁コイルを巻くことができるから、励磁コイルの巻き数が多くなる。
したがって、本発明によれば、簡単に製造できるとともにコイルスペースを十分に確保できる小型の励磁装置を提供することができる。
以下、本発明に係る励磁装置および無励磁作動ブレーキの一実施の形態を図1および図2によって詳細に説明する。
図1に示す無励磁作動ブレーキ1は、本発明に係る励磁装置2を使用して動作するもので、図1において左側となる一方側の端部がサーボモータ3のリアハウジング3aに装着されている。以下においては、無励磁作動ブレーキ1に対してリアハウジング3aが位置する方向(図1においては左方)を一方といい、この方向とは反対の方向を他方という。
この無励磁作動ブレーキ1は、サーボモータ3への通電が断たれたときにモータ軸4を制動し、モータ軸4を静止した状態に保持する。
内極部材6は、モータ軸4が挿通される貫通孔11が形成された筒部5と、この筒部5の一方の端部から径方向の外側に向けて延びる第1のフランジ部12と、筒部5の他方の端部から径方向の外側に向けて延びる第2のフランジ部13とによって構成されている。第1のフランジ部12と第2のフランジ部13を軸線方向から見た形状は円形である。第1のフランジ部12は、後述する外極部材7に嵌合する形状に形成されている。
第2のフランジ部13の外周部であって、環状凹部14とは反対側に位置する端面22はテーパー状に形成されている。このテーパーの形状は、第2のフランジ部13の厚みが径方向内側で相対的に厚くなり、かつ径方向外側で相対的に薄くなる形状である。なお、この端面22は、図示してはいないが、テーパー状の他に、階段状に形成することもできる。この場合、段数は1段でもよいし、複数段でもよい。
外極部材7の他方の端部には、制動ばね25を保持するためのばね孔26と、ねじ孔27とが形成されている。ねじ孔27には、後述するブレーキ構成部品を支持する支持ボルト28が螺着される。制動ばね25は、後述するアーマチュア16を励磁装置2から離間する方向へ押圧するためのものである。
支持ボルト28が支持するブレーキ構成部品とは、励磁装置2の内磁極面17および外磁極面23に隣接して位置するアーマチュア16と、このアーマチュア16の他方の端面と対向するブレーキディスク31と、このブレーキディスク31の他方の端面と対向するサイドプレート32と、モータ軸4の軸端部に固定されたハブ33などである。
ハブ33は、非磁性材によって形成され、サイドプレート32を貫通し、サイドプレート32より他方側に突出している。また、ハブ33は、軸心部にモータ軸4が貫通しており、サイドプレート32から突出した突出側端部において、複数の無頭ねじ37によってモータ軸4に固定されている。
したがって、この実施の形態によれば、簡単に製造できるとともにコイルスペースを十分に確保できる小型の励磁装置を提供することができる。
このため、外極部材7から第2のフランジ部13の外周部への磁束Φの短絡による損失を減らすことができ、アーマチュア16を吸引する吸引力の低下を防ぐことができる。
本発明に係る励磁装置および無励磁作動ブレーキは、図3に示すように構成することができる。図3において、図1および図2によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図3に示す無励磁作動ブレーキ41は、図1に示した無励磁作動ブレーキ1とは、励磁装置42の一部と制動ばね43とが異なるだけで、その他の構成は同一のものである。
励磁装置42の内極部材44は、第2のフランジ部13からアーマチュア16側に延設された延設部45を有している。この延設部45は円筒状に形成されている。この実施の形態による内極部材44の内磁極面17は、この延設部45の先端面によって形成されている。
なお、図示してはいないが、この実施の形態を採る場合であっても、内磁極面17が外磁極面23よりアーマチュア16とは反対側に偏って位置する「アンダーカット」の構成を採ることができる。
また、第2のフランジ部13が制動ばね43のばね受け部材として機能するから、外極部材7に制動ばねが保持される場合と較べて外磁極面23の面積が大きくなる。このため、アーマチュア16を吸引する吸引力がより一層大きくなるから、小型であるだけでなく、通電時に確実に非制動状態になる無励磁作動ブレーキを提供することができる。
本発明に係る励磁装置および無励磁作動ブレーキは、図4に示すように構成することができる。図4において、図1および図2によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図4に示す無励磁作動ブレーキ51は、図1に示した無励磁作動ブレーキ1とは、励磁装置52の一部と制動ばね53とが異なるだけで、その他の構成は同一のものである。
この実施の形態による内極部材54の内磁極面17は、この延設部55の先端面によって形成されている。
なお、図示してはいないが、この実施の形態を採る場合であっても、内磁極面17が外磁極面23よりアーマチュア16とは反対側に偏って位置する「アンダーカット」の構成を採ることができる。
また、第2のフランジ部13が制動ばね53のばね受け部材として機能するから、外極部材7に制動ばねが保持される場合と較べて外磁極面23の面積が大きくなる。このため、アーマチュア16を吸引する吸引力がより一層大きくなる。
さらに、制動ばね53として円錐コイルばねが用いられているから、径が一定の圧縮コイルばねを使用する場合と較べると軸線方向に小型になる。
したがって、この実施の形態によれば、更なる小型化が可能になるとともに、通電時に確実に非制動状態になる無励磁作動ブレーキを提供することができる。
Claims (4)
- 筒状に形成された外極部材と、
筒状に形成されて前記外極部材の中空部内に嵌入され、径方向の外側に向けて開放される環状凹部を有する内極部材と、
前記環状凹部の壁面に形成された絶縁被膜と、
前記環状凹部内に多条に直巻きされた励磁コイルとを備え、
前記内極部材は、
軸線方向に延びる筒部と、
前記筒部の一方の端部から径方向の外側に延び、前記外極部材の一方の端部内に嵌合した第1のフランジ部と、
前記筒部の他方の端部から径方向の外側に延びる第2のフランジ部とを有し、
前記第2のフランジ部と前記外極部材の他方の端部との間に断磁部が形成され、
前記環状凹部は、前記筒部と、前記第1のフランジ部および前記第2のフランジ部とによって形成されていることを特徴とする励磁装置。 - 請求項1記載の励磁装置において、
前記第2のフランジ部における前記環状凹部とは反対側の端面は、この第2のフランジ部の厚みが径方向内側で相対的に厚くなり、かつ径方向外側で相対的に薄くなる形状に形成されていることを特徴とする励磁装置。 - 請求項1または請求項2記載の励磁装置と、
前記外極部材の他方の端面からなる外磁極面および前記第2のフランジ部の他方の端面からなる内磁極面に一方の端面が対向し、軸線方向にのみ移動可能なアーマチュアと、
前記アーマチュアの他方の端面と対向する摩擦面を有し、被制動軸と一体に回転する被制動部材と、
前記アーマチュアを前記被制動部材に押圧する制動ばねとを備えた無励磁作動ブレーキ。 - 請求項3記載の無励磁作動ブレーキにおいて、
さらに、前記励磁装置の前記内極部材に設けられ、前記第2のフランジ部からアーマチュア側に延設された筒状の延設部と、
前記内極部材の前記第2のフランジ部および前記延設部と前記外極部材とによって囲まれて形成されたばね収容空間とを備え、
前記制動ばねは、前記ばね収容空間に収容されていることを特徴とする無励磁作動ブレーキ。
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