JPH10267052A - 無励磁作動型電磁クラッチ／ブレーキ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 永久磁石の磁極がインナーヨークの半径方向
に突出する先端部にラジアル方向に配列されるため、等
方向性の磁石に比較して価格が高く、 また永久磁石を固
定する方法として接着剤を用いるので位置合わせが必要
となり、 組み立て、調整のための工数により作業性が低
く、また接着剤が接着部分からはみ出るため、この部分
を除去する必要があるなどの不具合があり改善が要望さ
れていた。 【解決手段】 本発明では、 中空回転軸１の外周のロー
タ４とインナーヨーク６との間に軸方向の隙間ができる
ようにインナーヨーク６の寸法を設定し、この隙間に等
方向性のリング状永久磁石８を配置して、中空回転軸１
の外周の各関連部材を軸方向に挿入して組み立てるだけ
で、接着剤の使用及び位置合わせを不要にして上記の課
題を解決した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、主として永久磁石
の吸引力によって駆動側と被動側の回転体相互を動力的
に結合させ、あるいは前記駆動側の回転体に制動をか
け、その結合及び制動の解除を励磁コイルによる励磁に
よって行う所謂無励磁作動型電磁クラッチ／ブレーキの
改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の無励磁作動型電磁クラッチの一例
として、特願平８−１４３４９９号に開示された電磁ク
ラッチを、半体断面側面図である図３（Ａ）と図３
（Ｂ）を参照して説明する。この無励磁作動型電磁クラ
ッチは、電磁クラッチの固定側に励磁コイル７及びアウ
ターヨーク５が配せられ、電磁クラッチの回転側に中空
回転軸１、ロータ４及びインナーヨーク６′が配置さ
れ、インナーヨーク６′の被動側と反対の軸方向外端に
は半径方外方向に延びるフランジ６″を有し、前記固定
側のアウターヨーク５の内面と前記回転側のインナーヨ
ーク６′のフランジ６″の半径方向外端との間に、永久
磁石８′が配置され、インナーヨーク６′のフランジ
６″の半径方向外端面とアウターヨーク５の内面に磁気
空隙部が設定されたものである。また、アウターヨーク
５及びインナーヨーク６′の磁端部に配設されるロータ
４には、板ばね３ａにより軸方向に移動可能なアーマチ
ュア３を介して被動側の回転体であるギヤ２が回転自在
に連設される。尚、７ａはコイルボビン、７ｂは廻り止
め部である。

【０００３】次に、 この電磁クラッチ／ブレーキの作動
を説明する。図３（Ａ）に示すように、励磁コイル７に
電流が供給されていない時は、永久磁石８′から出てア
ウターヨーク５、アーマチュア３、インナーヨーク６′
を通って永久磁石８′に戻る経路で流れる磁束Φ₁を生
じる。これに基づいて電磁（磁気）吸引力がアウターヨ
ーク５、インナーヨーク６′の磁端部とアーマチュア３
との間に働くので、アーマチュア３はアウターヨーク５
とインナーヨーク６′側に引き付けられ、このアーマチ
ュア３とロータ４との接触摩擦によってアーマチュア
３、従ってこれに結合された被動体のギア２が回転され
る。即ち、励磁コイル７の通電がＯＦＦの状態では、永
久磁石８′による磁束Φ₁による吸引力が板ばね３ａの
力に打ち勝って、アーマチュア３がロータ４に吸着され
てギア２を回転させるようになっている。

【０００４】励磁コイル７に電流が供給されると、 図３
（Ｂ）に示すように、この電流によって生じる磁束Φ₂
が、永久磁石８′によって生じる磁束Φ₁を打ち消す方
向に発生し、且つ、この電流の大きさを漸次増大させて
ゆくと、アウターヨーク５、インナーヨーク６′の磁極
部とアーマチュア３間の電磁吸引力は次第に減少するの
で、それに応じて伝達トルクも漸減する。即ち、コイル
７に通電することにより、コイル７による磁束Φ₂が永
久磁石８′による磁束Φ₁を相殺させると、アーマチュ
ア３は板ばね３ａの力によりロータ４から離れてギャッ
プＧを生ずる位置になる。なお、上述の実施の形態はク
ラッチに本発明を実施した場合について説明したが、ブ
レーキに本発明を実施する場合については、図３
（Ａ）、図３（Ｂ）に示すギア２を固定体と考えればよ
い。従来技術によるこの無励磁作動型電磁クラッチ／ブ
レーキは、上述のように構成されているので、それまで
のようにアーマチュアを外周部材と内周部材との２部材
に分割して、それらの間に永久磁石を挟んだ後、両部材
を結合するという煩雑な作業を無くす効果が一応得られ
ていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、図３（Ａ）
の従来の無励磁作動型電磁クラッチには、下記の問題が
残されている。 （１）永久磁石の固定方法として接着剤を用いるので、
位置合わせが必要となり作業性が低く、また接着剤が接
着部分からはみ出るため、この除去が必要になる。 （２）永久磁石の磁極の配列がラジアル方向のため、等
方向性の磁石に比較して価格が高い。 などの不具合があり改善が要望されていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明では等方向性のリ
ング状永久磁石を、ロータとインナーヨークとの間に回
転軸の外周で軸方向の隙間ができるようにインナーヨー
クの寸法を設定し、接着剤の使用及び位置合わせを不要
とすることにより上記の課題を解決した。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１は本発明による無励磁作動型
電磁クラッチ／ブレーキの実施の形態の半体断面側面図
を示し、図１（Ａ）は通電しない状態を、図１（Ｂ）は
通電した場合を示し、図２は中空軸関連部材の分解図で
ある。なお、従来技術を示す図３（Ａ）及び図３（Ｂ）
と同じ部材には同じ符号を付し、異なる点のみを説明す
る。本発明のものでは、等方向性のリング状永久磁石８
は中空回転軸１の外周でロータ４の内面とインナーヨー
ク６の軸方向内方端との間に配置した点に構成上の特徴
がある。組み立てる際には、図２に示す中空回転軸１、
ギア２、 板ばね３ａ及びアーマチュア３とから成るサブ
組立体２ａを差し込み、次いで順にロータ４、永久磁石
８、インナーヨーク６とアウターヨーク５と励磁コイル
７とのサブ組立体５ａを差し込むだけでよい。なお、図
２に示すように中空回転軸１は、この例では３か所に軸
方向の溝１ａが設けられ、対応位置にあるロータ４の突
出部４ａ、永久磁石８の突出部８ａおよびインナーヨー
ク６の突出部６ａと係合し、 また中空回転軸１の肉厚部
１ｂは図示しない回転軸の平削り部と係合するようにな
っている。作動については図３（Ａ）、図３（Ｂ）の場
合と全く同様である。

【０００８】

【発明の効果】上記のように部材を組み込むだけでよい
ので、従来の位置合わせ、接着および接着剤のはみ出し
部の除去などの工程が廃止され、生産コストの低減が可
能な等方向性永久磁石を使用した無励磁作動型電磁クラ
ッチ／ブレーキを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による無励磁作動型電磁クラッチ／ブレ
ーキの実施の形態の半体断面側面図であり、同図（Ａ）
は通電しない状態、同図（Ｂ）は通電した状態を示す。

【図２】図１（Ａ）の中空回転軸関連部材の分解図であ
る。

【図３】従来の無励磁作動型電磁クラッチ／ブレーキの
一例を示す半体断面側面図であり、同図（Ａ）は通電し
ない状態、同図（Ｂ）は通電した状態を示す。

【符号の説明】

１：中空回転軸 １ａ：溝 １ｂ：肉厚部 ２：ギヤ ２ａ、５ａ：サブ組立体 ３：アーマチュア ３ａ：板ばね ４：ロータ ４ａ、６ａ、８ａ：突出部 ４ｅ、６ｅ：内端面 ５：アウターヨーク ６：インナーヨーク ６″：フランジ ７：励磁コイル ７ａ：コイルボビン ７ｂ：廻り止め部 ８：永久磁石 Ｇ：ギャップ Φ₁、Φ₂：磁束

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定側に励磁コイルとアウターヨークと
   が配置され、回転側に中空回転軸と、ロータと、 インナ
   ーヨークとが配置され、前記固定側のアウターヨークの
   内面と前記回転側のインナーヨークのフランジの半径方
   向外端との間に永久磁石が配置された無励磁作動型電磁
   クラッチにおいて、 前記永久磁石に代えて、 中空回転軸（１）の外周におい
   て、インナーヨーク（６）の軸方向の内端面（６ｅ）
   と、 これと対向するロータ（４）の軸方向の内端面（４
   ｅ）との間に永久磁石（８）が配置されていることを特
   徴とする無励磁作動型電磁クラッチ／ブレーキ。