JP6767785B2 - 木造建築用連結金物 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、木造建築物における土台と柱や、柱と梁等、木製の構造部材を相互に連結するための木造建築用連結金物に関する。
従来、木造建築物において、木製の構造部材を連結する際、耐震性等に優れた連結を可能にするための種々の連結金物が使用されている。
特開2012−21303号公報 特開2003−336321号公報 特開平11−269989号公報 特開平11−1966号公報
木造建築において土台と柱や、柱と梁等、相互に直交して接合される第1構造部材と第2構造部材を連結金物により連結して成る構造体は、一般的に、連結金物の降伏応力を高めるのが良いと考えられている。
しかしながら、木造建築における構造体は、所定以上の応力が加えられると、木質の構造部材に割裂が生じるので、脆性的な破壊を招来する。従って、地震等が発生したときは、連結金物が全体的に高強度とされている場合でも、脆性的な破壊が瞬時に生じるおそれがある。
上記特許文献2〜4に示されるように、梁等の第1構造部材には受溝が形成され、柱等の第2構造部材には受孔が穿孔され、相互に受溝と受孔を突き合わせた状態で接合されるように構成されており、連結金物は、板状の第1固着部を前記受溝に挿入した状態でドリフトピンを貫通させることにより第1構造部材に固着され、筒状の第2固着部を前記受孔に挿入した状態でドリフトピンを貫通させることにより第2構造部材に固着されるように構成されている。第1固着部のドリフトピンが固着された個所と第2固着部のドリフトピンが固着された個所の間の部位は、中間連結部を構成している。
地震時に第1構造部材と第2構造部材が相互に離反方向の力を受けると、連結金物は、主として前記中間連結部に張力が集中する。中間連結部は、引張応力に耐えるように剛性を高く構成すれば、耐震性に優れたものとなるが、降伏点を越えると瞬時に破断する場合があるので、脆性的な破壊を生じる危険がある。
そこで、特許文献1によれば、金属板の内部を切り抜くことにより窓を設け、変形しやすく形成した連結金物が提案されており、地震時に早期に塑性変形を引き起こさせることができるため、エネルギー吸収による制震性が向上すると説明されている。
しかしながら、特許文献1の連結金物は、金属板の窓を囲む額縁状の枠板を塑性変形させる構成であるため、塑性変形によるエネルギーの吸収は可能であるとしても、塑性変形が進行して限界に至ると、枠板の全体が瞬時に破断し、第1構造部材と第2構造部材の連結状態が失われるので、極めて危険な事態を招来するおそれがある。
このため、本発明は、塑性変形によるエネルギー吸収ではなく、部分的ないし段階的な破断によるエネルギー吸収を目的とするものであり、中間連結部に複数の張力受部を並列して形成すると共に、少なくとも1つの張力受部により高強度部を構成する反面、少なくとも別の1つの張力受部により低強度部を構成し、これにより、低強度部は早めに破断させられるが、その時点において、高強度部は破断しておらず、中間連結部による連結状態を持続可能とするように構成した連結金物を提供するものである。
そこで、本発明が上記課題を解決するための手段として構成したところは、木造建築物のX方向に接合状態で連結される第1構造部材と第2構造部材に関して、第1構造部材に固着される第1固着部と、第2構造部材に固着される第2固着部と、前記第1固着部と第2固着部の間に位置する中間連結部を備えた連結金物であり、前記中間連結部は、所定肉厚Tの金属板により、X方向に平行して並列された複数の張力受部を形成しており、少なくとも1つの張力受部は、X方向に向けて前記肉厚Tを保持する高強度部を構成し、少なくとも別の1つの張力受部は、X方向に交差する溝部を設けることにより薄肉部を形成した低強度部を構成して成る点にある。
この際、前記溝部は、溝底にアール面を形成することが好ましい。また、前記高強度部の幅W1と前記低強度部の幅W2は、W1>W2に形成することが好ましい。
好ましい実施形態において、第1構造部材及び第2構造部材は、それぞれ受溝又は受孔から成る嵌入部を形成し、相互に嵌入部を突き合わせた状態で接合され、前記第1固着部及び第2固着部は、それぞれ第1構造部材及び第2構造部材の嵌入部に埋入された状態で該嵌入部を横断するピンにより固着され、前記中間連結部を構成する張力受部は、前記嵌入部の内部に埋入状態で拘束され、前記低強度部の溝部を前記嵌入部の内部に位置する部位に設けている。
前記連結金物は、一対の金物構成体を合掌状態で結合することにより構成され、重合された金物構成体の平板部により、前記張力受部を備えた中間連結部を形成しており、前記低強度部は、重合された平板部の重合対向面に前記溝部を設けることが好ましい。
本発明によれば、木造建築物の第1構成部材と第2構成部材を接合状態で連結金物1により連結した状態で、地震等により両構成部材を相互に引き離す方向のエネルギーが作用し、第1固着部2と第2固着部3の間隔距離が広げられるとき、中間連結部4に生じる張力を並列した張力受部9、9により受止めつつ、エネルギー増大により前記間隔距離が更に広げられたときに、溝部11の薄肉部12が破断を開始し、低強度部13を分断することによりエネルギーを吸収する。この時点では、中間連結部4は、低強度部13が分断された後も、高強度部10により依然として連結機能を持続しているので、脆性的な破壊が瞬時に生じることを防止する。そして、更にエネルギーの増大により高強度部10が破断するような事態が発生したとしても、時間的に前後する段階的な破断によるエネルギー吸収が可能であるから、木造建築物の構造部材の接合部における脆性的な破壊を遅延させることができるという効果がある。
木造建築物における構造部材の連結例と連結金物の使用例を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る連結金物を示す斜視図である。 第1実施形態に係る連結金物に関して、(A)は縦断面図、(B)は一部を破断した状態で示す斜視図、(C)及び(D)は溝部の構成例を示す断面拡大図である。 第1実施形態に係る連結金物の製造方法に関して、金属板を一体成形することにより形成された左右対称形の金物構成体を示す斜視図である。 第1実施形態に係る連結金物の製造方法に関して、左右対称形の金物構成体を中央連結部で折曲する方法を示す斜視図である。 第1実施形態に係る連結金物の断面を示しており、(A)は図3(A)のA−A線断面図、(B)はその部分拡大図、(C)は図3(A)のB−B線断面図、(D)はその部分拡大図である。 第1実施形態に係る連結金物の作用を示しており、(A)は引張荷重が作用する前の状態を示す正面図、(B)は引張荷重が作用した状態を示す正面図、(C)は張力受部のうち低強度部が破断した状態を示す正面図である。 第1実施形態に係る連結金物における溝部に関する設計変更例を示しており、(A)は平板部の分解状態を示す斜視図、(B)は平板部の重合状態を示す斜視図である。 本発明の別の実施形態を示しており、(A)は第2実施形態に係る連結金物を示す斜視図、(B)は第3実施形態に係る連結金物を示す斜視図である。 低強度部における溝部の別の設計変形例を示しており、(A)は第1変形例の斜視図、(B)は第2変形例の斜視図、(C)は第3変形例の斜視図である。
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
(連結金物の第1実施形態)
図1ないし図8は、本発明の第1実施形態に係る連結金物を示している。図2に示すように、連結金物1は、鋼板等の鉄板を素材として形成され、相互に直交するX方向とY方向とZ方向に関して、X方向に平板状の第1固着部2と筒状の第2固着部3を配置すると共に、第1固着部2と第2固着部3の間に位置して平板状の中間連結部4を連設しており、平板状の第1固着部2にY方向に貫通する孔5を貫設し、筒状の第2固着部3にY方向に貫通する横孔6とZ方向に貫通する縦孔7を貫設している。
図示実施形態の場合、平板状の第1固着部2は、図示の上下方向(Z方向)に複数(図例では3個)の孔5を列設し、該孔の上下に位置して、上縁部及び下縁部を切欠することにより係止凹部8を形成している。中間連結部4は、第1固着部2の上下縁部からX方向に延びる複数個(図例では2個)が延設されており、第2固着部3は、それぞれの中間連結部4から更にX方向に向けて延びる円筒体により構成されている。尚、孔5の個数や、中間連結部4及び第2固着部3の個数及び本数は、図例に限定されるものではなく、それぞれ、少なくとも1個以上であれば良い。
図2及び図3に示すように、前記中間連結部4は、所定肉厚Tの金属板により、X方向に平行して並列された複数の張力受部9、9を形成しており、少なくとも1つの張力受部9は、X方向に向けて前記肉厚Tを保持する高強度部10を構成し、少なくとも別の1つの張力受部9は、X方向に交差する溝部11を設けることにより薄肉部12を形成した低強度部13を構成している。この際、溝部11の溝底には、図示のようにアール面を形成することが好ましく、高強度部10の幅W1と低強度部13の幅W2は、W1>W2に形成することが好ましい。図示実施形態の場合、並列空間部14を介して高強度部10と低強度部13が並設され、低強度部13の幅W2の全幅にわたり溝部11が形成されている。
従って、高強度部10は、中間連結部4を構成する金属板の肉厚Tを選択すると共に、前記幅W1を選択することにより、引張荷重に対する強度を決定することができる。そして、低強度部13は、前記幅W2と溝部11の深さを選択することにより、引張荷重に対する薄肉部12の強度を決定することが可能である。この際、溝部11の溝底を断面V形とするときは、溝底に位置する薄肉部12が線状に形成され、引張荷重を受けたとき容易に破断してしまうので、図3(C)や図3(D)に示すように、薄肉部12の厚さ(t)に加えて、溝底に形成したアール面11aにより、薄肉部12にX方向の幅(w)を持たせ、これにより、該薄肉部12の靱性を確保することが好ましい。
第1実施形態の場合、前記連結金物1は、一対の金物構成体1A、1Bを合掌状態で結合することにより形成されており、金物構成体1A、1Bは、後述するように折曲された1枚の金属板により一体成形され、前記第1固着部2を構成するための板状部2A、2Bと、前記中間連結部4、4を構成するための平板部4A、4Bと、前記第2固着部3、3を構成するための半割筒状の半筒部3A、3Bを形成している。そこで、後述するように、一対の金物構成体1A、1Bの前記板状部2A、2B及び平板部4A、4Bを相互に重ね合わせることにより前記平板状の第1固着部2及び中間連結部4が形成されると共に、前記半筒部3A、3Bを相互に合掌することにより前記筒状の第2固着部3が形成される。
このため、第1実施形態において、中間連結部4は、2枚の平板部4A、4Bを重ね合わせることにより形成されているので、各平板部に設けられた複数の張力受部9と、該張力受部により構成される高強度部10及び低強度部13も、二重に重ねられた構成とされている。この際、重ね合わせられた低強度部13、13は、重合対向面に前記溝部11、11を設けている。従って、溝部11は、低強度部13の内側面に位置させられており、外側面には現われない。
一対の金物構成体1A、1Bは、図4及び図5に示すように、1枚の金属板により一体成形され、該金属板の中央連結部15の左右に対称形に形成された半製品1Mを構成しており、該半製品1Mに基づいて連結金物1が製造される。このような半製品1Mは、1枚の金属板を抜型等により輪郭形成することにより、前記板状部2A、2Bと平板部4A、4Bが形成されると共に、プレスにより前記半筒部3A、3Bが形成される。
この際、板状部2A、2Bには、前記孔5を構成するための片側孔5A、5Bが形成され、平板部4A、4Bには、前記並列空間部14が形成され、これにより引張受部9、9を並設すると共に、1つの引張受部9に前記溝部11が形成される。また、半筒部3A、3Bには、前記横孔6を構成するための片側横孔6A、6Bが形成され、前記縦孔7を構成するための半円孔7A、7Bが形成される。尚、前記プレスに際して、半筒部7A、7Bから平板部4A、4Bに向けて該半筒部の溝部を次第に浅くするテーパ壁16を形成することが好ましい。
そこで、図5に示すように前記中央連結部15を折曲線Uに沿って折曲し、該折曲線Uに対して左右線対称形状に形成された一対の金物構成体1A、1Bを合掌させ、これにより、図2に示すような連結金物1が提供される。この際、折曲線Uに沿って、中央連結部15の上下方向中央にスリット17が形成されると共に、上下端に切欠き部18が形成されており、これによりスリット17の上下に残存した折曲用連結部15、15aにより金属構成体1A、1Bが連結されている。従って、折曲線Uに沿って折曲用連結部15、15aを折曲することにより、金物構成体1A、1Bが合掌される。
金物構成体1A、1Bを合掌させることにより形成された連結金物1は、中間連結部4が2枚重ねとされた張力受部9、9により構成され、図6(A)(B)に示すように、低強度部13、13に設けられた溝部11、11を対向状態で突き合せている。
折曲用連結部15a、15aの折曲の結果、図6(C)(D)に示すように、スリット17の両側縁17a、17aが合致させられ、該両側縁17a、17aから突出した状態で折曲用連結部17aが好適に折返しされている。つまり、分厚い鋼板を折曲する場合、仮にスリットが形成されていないときは、完全な折返し重合状態に折曲することが困難であり、折曲対向面に隙間を生じてしまうのに対して、図示のようにスリット17を設けた結果、板状部2A、2B及び平板部4A、4Bが相互に隙間なく重ね合わせられ、更に、半筒部3A、3Bの対向する縁を好適に衝合させることが可能である。
その結果、相互に隙間なく重ね合わせられた2枚の板状部2A、2B及び平板部4A、4Bにより高剛性とされた第1固着部2と中間連結部4が形成され、相互に対向縁を衝合させられた半筒部3A、3Bにより円筒形とされた第2固着部3が形成される。
図1に例示するように、前記連結金物1は、木造建築における土台と柱や、柱と梁等、交差する第1構造物と第2構造物を接合状態で連結するために使用される。
例えば、土台19と柱20の間においては、連結金物1は、縦向き姿勢で使用され、平板状の第1固着部2を上向きとして柱20(第1構造部材)の柱脚に固着され、筒状の第2固着部3を下向きとして土台19(第2構造部材)に固着される。第1固着部2は、柱20の下端面に形成した受溝21aに差し込まれ、該受溝21aを横断して柱20に貫通して形成された孔にドリフトピン22aを打ち込むことにより固着される。第2固着部3は、土台19に穿設された受孔23aに挿入され、該受孔23aを横断して土台19に貫通して形成された孔にドリフトピン24aを打ち込むことにより固着される。図例の場合、ドリフトピン24aは、第2固着部3の横孔6に挿通される。
土台19と大引き25の間においては、連結金物1は、横向き姿勢で使用される。平板状の第1固着部2は、大引き25(第1構造部材)の端面に形成した受溝21bに差し込まれ、ドリフトピン22bを打ち込むことにより固着される。筒状の第2固着部3は、土台19(第2構造部材)の側面に穿設された受孔23bに挿入され、ドリフトピン24bを打ち込むことにより固着される。図例の場合、ドリフトピン24bは、第2固着部3の縦孔7に挿通される。
柱20と梁26の間においては、連結金物1は、横向き姿勢で使用される。平板状の第1固着部2は、梁26(第1構造部材)の端面に形成した受溝21cに差し込まれ、ドリフトピン22cを打ち込むことにより固着される。予め受溝21cに先行ピン27を打ち込んでおけば、第1固着部2の係止凹部8を該先行ピン27に係止させることにより、連結金物1を預け置くことができる。筒状の第2固着部3は、柱20(第2構造部材)の側面に穿設された受孔23cに挿入され、ドリフトピン24cを打ち込むことにより固着される。図例の場合、ドリフトピン24cは、第2固着部3の横孔6に挿通される。
柱20の柱頭と大梁28の間においては、連結金物1は、縦向き姿勢で使用され、平板状の第1固着部2を下向きとして柱20(第1構造部材)の柱頭に固着され、筒状の第2固着部3を上向きとして大梁28(第2構造部材)に固着される。第1固着部2は、柱20の上端面に形成した受溝21dに差し込まれ、ドリフトピン22dを打ち込むことにより固着される。第2固着部3は、大梁28の下面に穿設された受孔23dに挿入され、ドリフトピン24dを打ち込むことにより固着される。図例の場合、ドリフトピン24dは、第2固着部3の横孔6に挿通される。
このように、連結金物1は、第2固着部3が相互に交差する横孔6と縦孔7を設けているので、連結すべき構造部材の交差方向に応じて、横孔6と縦孔7を選択することが可能であり、ドリフトピンの打ち込み方向が異なる場合でも、孔6、7を選択することにより、自在に適用できるという利点がある。
連結金物1は、木造建築物の接合状態で連結される第1構造部材と第2構造部材を連結した状態で、上下左右に作用する荷重や負荷を好適に支持することができる。図2に示すX方向、Y方向、Z方向のうち、第1固着部2と第2固着部3は、Z方向に関して相互に反対方向の荷重を受ける場合や、Y方向に関して相互に反対方向の荷重を受ける場合、中間連結部4に剪断力が作用するが、該中間連結部4は、2枚重ねの平板部4A、4Bにより構成されているので、強固に耐えることができ、万一、一方の平板部4Aが破断しても、他方の平板部4Bが残存することにより構造部材の連結状態を維持するので、建築物の倒壊等が防止される。
図7(A)に示すように、第1構造部材と第2構造部材の接合面Qを中心として、第1固着部2は、第1構造部材の受溝21に挿入されると共にドリフトピン22により固着され、第2固着部3は、第2構造部材の受孔23に挿入された状態でドリフトピン24により固着されており、中間連結部4は、第1固着部2と共に第1構造部材の受溝21に挿入され、受溝21の両側壁によりY方向に拘束された状態で埋入されている。この際、中間連結部4に設けられた低強度部13の溝部11は、前記接合面Qから離隔した受溝の内部に位置する部位に設けられている。従って、中間連結部4が接合面Qを中心とするY方向の剪断力を受けたとき、溝部11は、剪断応力の集中を受けないように受溝21の奥深い位置に配置されている。
ところで、X方向に関して、第1構成部材と第2構成部材を相互に引き離す方向のエネルギーが作用すると、第1構成部材のドリフトピン22と第2構成部材のドリフトピン24が離反方向に移動しながら孔5、6に喰い込むので、図7(A)(B)に示すように、両ピンの間隔が距離L1から距離L2へと広げられる。その間、中間連結部4に生じる張力は、張力受部9、9により受止められている。
しかしながら、離反方向のエネルギーが増大することにより両ピンの間隔が距離L2を超えると、溝部11の薄肉部12が破断を開始し、図7(C)に示すように、低強度部13が分断され、これによりエネルギーを吸収する。
中間連結部4は、低強度部13が分断された後も、高強度部10により依然として連結機能を持続しているので、脆性的な破壊が瞬時に生じることはない。
従って、その後、更にエネルギーの増大により高強度部10が破断するような事態が発生したとしても、時間的に前後する段階的な破断によるエネルギー吸収が可能であり、木造建築物の構造部材の接合部における脆性的な破壊を遅延させることができる。
(溝部に関する設計変更例)
第1実施形態の連結金物1は、中間連結部4を2枚重ねの平板部4A、4Bにより構成しているので、図8に示すような設計変更例が可能である。一方の平板部4Aは、高強度部10Aと低強度部13Aを並列し、他方の平板部4Bは、高強度部10Bと低強度部13Bを並列しており、両者が重ね合わされることにより中間連結部4を構成しており、この点は、上述した構成と同様であるが、一方の低強度部13Aに形成した溝部11Aと、他方の低強度部13Bに形成した溝部11Bは、X方向に位置をずらせて配置されている。
このように構成した設計変更例によれば、地震により第1構造部材と第2構造部材に対して離反方向のエネルギーが作用したとき、通常はX方向のみならずY方向及びZ方向が加味された複合的なエネルギーが作用するので、2枚重ねとされた低強度部13A、13Bが同時に破断することはなく、位置をずらせた溝部11A、11Bに起因して、何れか一方の低強度部が先に破断し、他方の低強度部が後に破断するので、時間的に前後する段階的な破断によるエネルギー吸収のために適したものとなる。
更に、図示のように溝部11A、11Bの位置をずらせる他、相互に溝部の深さを相違させ、深い溝を形成した低強度部を先に破断させ、浅い溝を形成した低強度部を後に破断させるように構成することも可能である。
(連結金物の別の実施形態)
図9は、本発明の連結金物1の別の実施形態を示しており、図9(A)は第2実施形態を示し、9(B)は第3実施形態を示しており、何れの実施形態においても、連結金物1は、1枚の鋼板等の平板体により構成され、平板体の両端部のうち、一端部に孔5Aを設けた第1固着部2を形成し、他端部に孔6Aを設けた第2固着部3を構成し、両固着部2、3の間に位置して中間連結部4を形成している。
このような平板体から成る連結金物1により木造建築物の第1構造部材と第2構造部材を接合状態で連結する場合、第1構造部材及び第2構造部材には受溝から成る嵌入部が形成されており、それぞれの嵌入部に第1固着部2と第2固着部3を挿入し、前記孔5A、6Aにドリフトピンが打ち込まれる。
図9(A)に示す第2実施形態の場合、中間連結部4は、3本の張力受部9を並列して形成しており、中央部の張力受部9により高強度部10を構成し、上下に位置する張力受部9、9により低強度部13、13を構成している。このため、低強度部13、13は、それぞれ幅方向に溝部11を設けている。尚、上下に位置する低強度部13、13の溝部11、11は、相互に位置をずらせて配置したり、溝深さが異なるように形成したりしても良い。
図9(B)に示す第3実施形態の場合、中間連結部4は、3本の張力受部9を並列して形成しており、上下に位置する張力受部9、9により高強度部10を構成し、中央部の張力受部9により低強度部13を構成している。このため、低強度部13は、幅方向に溝部11を設けている。
(溝部に関する設計変更例)
図10は、1枚の金属板から成る低強度部13に形成される溝部11の設計変更例を示している。これらの設計変更例によれば、溝部11の形態を相違させることにより、吸収すべきエネルギーの強弱、つまり、低強度部13の破断強度を所望のものとするように構成することが可能となる。
図10(A)に示す第1変形例は、低強度部13の表裏面に対向して溝部11、11を形成している。図10(B)に示す第2変形例は、低強度部13の表裏面に形成した溝部11、11をX方向に位置ずれするように配置し、一方の溝部を深く形成し、他方の溝を浅く形成している。図10(C)に示す第3変形例は、低強度部13の表面にだけ溝部11を形成し、該溝部11を低強度部13の幅方向に傾斜させている。
(その他の構成)
本発明の連結金物1における中間連結部4を構成する高強度部10と、溝部11を設けた低強度部13は、上述したような構成を任意に組み合わせ、或いは、設計的な変更を加えることが可能である。
また、本発明は、連結金物1の形式を問うものではなく、木造建築物の接合状態で連結される第1構造部材と第2構造部材を連結するための金物に広く適用することができるものである。
1 連結金物
1M 半製品
1A、1B 金物構成体
2 第1固着部
2A、2B 板状部
3 第2固着部
3A、3B 半筒部
4 中間連結部
4A、4B 平板部
5 孔
5A、5B 片側孔
6 横孔
6A、6B 片側横孔
7 縦孔
7A、7B 半円孔
8 係止凹部
9 張力受部
10 高強度部
11 溝部
11a アール面
12 薄肉部
13 低強度部
14 並列空間部
15 中央連結部
15a 折曲用連結部
16 テーパ壁
17 スリット
18 切欠き部
19 土台
20 柱
21、21a、21b、21c、21d 受溝(嵌入部)
22、22a、22b、22c、22d ドリフトピン
23、23a、23b、23c、23d 受孔(嵌入部)
24、24a、24b、24c、24d ドリフトピン
25 大引き
26 梁
27 先行ピン
28 大梁

Claims (5)

  1. 木造建築物のX方向に接合状態で連結される第1構造部材と第2構造部材に関して、第1構造部材に固着される第1固着部(2)と、第2構造部材に固着される第2固着部(3)と、前記第1固着部と第2固着部の間に位置する中間連結部(4)を備えた連結金物であり、
    前記中間連結部(4)は、所定肉厚Tの金属板により、X方向に平行して並列された複数の張力受部(9)を形成しており、
    少なくとも1つの張力受部(9)は、X方向に向けて前記肉厚Tを保持する高強度部(10)を構成し、少なくとも別の1つの張力受部(9)は、X方向に交差する溝部(11)を設けることにより薄肉部(12)を形成した低強度部(13)を構成して成ることを特徴とする木造建築用連結金物。
  2. 前記溝部(11)の溝底にアール面(11a)を形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の木造建築用連結金物。
  3. 前記高強度部(10)の幅W1と前記低強度部(13)の幅W2をW1>W2に形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の木造建築用連結金物。
  4. 第1構造部材及び第2構造部材は、それぞれ受溝又は受孔から成る嵌入部を形成し、相互に嵌入部を突き合わせた状態で接合され、
    前記第1固着部(2)及び第2固着部(3)は、それぞれ第1構造部材及び第2構造部材の嵌入部に埋入された状態で該嵌入部を横断するピンにより固着され、
    前記中間連結部(4)を構成する張力受部(9)は、前記嵌入部の内部に埋入状態で拘束され、前記低強度部(13)の溝部(11)を前記嵌入部の内部に位置する部位に設けて成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の木造建築用連結金物。
  5. 前記連結金物は、一対の金物構成体(1A,1B)を合掌状態で結合することにより構成され、重合された金物構成体の平板部(4A,4B)により、前記張力受部を備えた中間連結部(4)を形成しており、
    前記低強度部(13)は、重合された平板部の重合対向面に前記溝部(11,11)を設けて成ることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の木造建築用連結金物。
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