JP6767747B2 - 感光性組成物、硬化膜の製造方法、遮光膜、カラーフィルタおよび固体撮像素子 - Google Patents

感光性組成物、硬化膜の製造方法、遮光膜、カラーフィルタおよび固体撮像素子 Download PDF

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Description

本発明は、感光性組成物、硬化膜の製造方法、遮光膜、カラーフィルタおよび固体撮像素子に関する。
カラーフィルタは、固体撮像素子や画像表示装置に不可欠な構成部品である。
また、固体撮像素子や画像表示装置は、可視光の反射によるノイズの発生が生じる場合がある。そこで、固体撮像素子や画像表示装置に遮光膜を設けて、ノイズの発生の抑制を図ることも行われている。
このようなカラーフィルタや遮光膜となる硬化膜を形成する方法として、例えば、特許文献1には、着色剤、溶剤、光重合開始剤、重合性化合物などを含有するネガ型に構成された着色剤含有硬化性組成物を塗布して、これを露光して形成する方法が開示されている。
特開2007−58085号公報
近年、遮光膜のさらなる性能の向上が求められており、具体的には、アンダーカット(すなわち、遮光膜の下部が削れる現象)の発生が抑制された形状の遮光膜を形成することが要求される。アンダーカットは、遮光膜の剥がれや欠けなどの原因となるためである。
しかしながら、本発明者が、特許文献1に記載されているような一般的なネガ型に構成された感光性組成物(着色剤、溶剤、光重合開始剤および重合性化合物を含むもの)を用いて塗膜を作製し、この塗膜をパターン状に露光した後に現像を行って、硬化膜を作製したところ、硬化膜のアンダーカットの発生を十分に抑制できないことがわかった。
このようなアンダーカットの発生の原因としては、露光時における光が塗膜の下部に十分に届かず、硬化膜の下部が硬化しないことによって、硬化膜の下部が現像時に欠けてしまうことが挙げられる。
そこで、本発明は、アンダーカットの発生が抑制された硬化膜を作製できる感光性組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、硬化膜の製造方法、遮光膜、カラーフィルタおよび固体撮像素子を提供することも目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、光重合開始剤と、重合性化合物と、酸の作用により分解して極性基を生じる樹脂および塩基の作用により分解して極性基を生じる樹脂の少なくとも一方と、を含有する感光性組成物を用いることで、作製される硬化膜のアンダーカットを抑制できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1]
光重合開始剤と、
重合性化合物と、
酸の作用により分解して極性基を生じる樹脂および塩基の作用により分解して極性基を生じる樹脂の少なくとも一方と、
を含有する、感光性組成物。
[2]
酸発生剤および塩基発生剤の少なくとも一方を含有する、上記[1]に記載の感光性組成物。
[3]
さらに、着色剤を含有する、上記[1]または[2]に記載の感光性組成物。
[4]
さらに、アルカリ可溶性樹脂を含有する、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の感光性組成物。
[5]
ネガ型の現像に使用される、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の感光性組成物。
[6]
上記感光性組成物を用いて得られる塗膜に活性光線又は放射線を照射することにより露光して、膜厚1μmの硬化膜を作製した際に、
上記硬化膜の光学濃度が、365nm〜436nmの波長領域で1.0以上である、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の感光性組成物。
[7]
上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の感光性組成物を硬化してなる遮光膜。
[8]
上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の感光性組成物を硬化してなるカラーフィルタ。
[9]
上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の感光性組成物を硬化してなる硬化膜を有する固体撮像素子。
[10]
上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の感光性組成物を用いて塗膜を形成する工程と、
上記塗膜に活性光線又は放射線を照射することにより露光する工程と、
上記露光後の塗膜を現像して硬化膜を形成する工程と、
を含む、硬化膜の製造方法。
以下に示すように、本発明によれば、アンダーカットの発生が抑制された硬化膜を作製できる感光性組成物を提供することができる。また、本発明によれば、硬化膜の製造方法、遮光膜、カラーフィルタおよび固体撮像素子を提供することもできる。
第1実施形態の固体撮像装置を示す斜視図である。 第1実施形態の固体撮像装置の分解斜視図である。 第1実施形態の固体撮像装置を示す断面図である。 第2実施形態の固体撮像装置を示す断面図である。 第3実施形態の固体撮像装置を示す断面図である。 第4実施形態の固体撮像装置を示す断面図である。 アンダーカットの評価試験における測定箇所を説明するための硬化膜の断面模式図である。
以下に、本発明の感光性組成物(以後、単に「組成物」「本発明の組成物」とも称する)、上記感光性組成物を用いた硬化膜の製造方法、上記感光性組成物を硬化してなる遮光膜およびカラーフィルタ、ならびに、上記感光性組成物を硬化してなる硬化膜を有する固体撮像素子の好適態様について詳述する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタアクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリル及びメタアクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”は、アクリロイル及びメタクリロイルを表し、“(メタ)アクリルアミド”は、アクリルアミド及びメタアクリルアミドを表す。
本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマー及びポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。
本明細書中において、重合性化合物とは、重合性基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性基とは、重合反応に関与する基をいう。
本明細書中における「放射線」は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[感光性組成物]
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤と、重合性化合物と、酸の作用により分解して極性基を生じる樹脂および塩基の作用により分解して極性基を生じる樹脂の少なくとも一方と、を含有する。
本発明の感光性組成物によれば、アンダーカットの発生が抑制された硬化膜を作製できる。この理由の詳細は未だ明らかになっていないが、概ね以下の理由によるものと推測される。
ネガ型の感光性組成物を用いて基材上に塗膜を形成し、この塗膜をパターン状に露光した後に現像を行って、パターン状の硬化膜を作製した場合、露光時の光が塗膜の下部に十分に届かず、硬化膜の下部が硬化しないことがある。その結果、硬化膜の側面の下部が現像時に削れてしまって、硬化膜の側面の下部におけるパターン欠けが顕著になる傾向にある。すなわち、パターン状の硬化膜は逆テーパー状になってしまい、硬化膜の剥がれなどの原因になる場合がある。
このような問題に対して、本発明者が検討したところ、ネガ型の硬化膜の作製に主に使用される組成物(具体的には光重合開始剤および重合性化合物など)に、ポジ型の硬化膜の作製に使用される樹脂を加えることで、アンダーカットの発生を抑制できることを見出した。
具体的には、ポジ型の硬化膜の作製に使用される成分である、酸の作用により分解して極性基を生じる樹脂(以下、「酸分解性樹脂」ともいう。)および/または塩基の作用により分解して極性基を生じる樹脂(以下、「塩基分解性樹脂」ともいう。)を用いると、これらの樹脂は現像時に流失せずに、硬化膜中に残留することになる。その結果、パターン状の硬化膜のアンダーカットが抑制されたと推測される。
このような効果は、酸分解性樹脂および塩基分解性樹脂が有する酸もしくは塩基を触媒として脱保護反応する、という作用により発現すると推測される。
以下、本発明の感光性組成物に含まれる成分および含まれ得る成分について説明する。
<光重合開始剤>
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤としては、重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、光重合開始剤は、約300nm〜800nm(330nm〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。
また、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
さらに好ましくは、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が特に好ましい。
特に、本発明の感光性組成物をネガ型の現像に使用し、固体撮像素子のカラーフィルタの作製に使用する場合には、微細なパターンをシャープな形状で形成する必要があるために、硬化性とともに未露光部に残渣がなく現像されることが重要である。このような観点からは、光重合開始剤としてはオキシム化合物を使用することが特に好ましい。特に、固体撮像素子において微細なパターンを形成する場合、硬化用露光にステッパー露光を用いるが、この露光機はハロゲンにより損傷される場合があり、光重合開始剤の添加量も低く抑える必要があるため、これらの点を考慮すれば、固体撮像素子の如き微細パターンを形成するには光重合開始剤としては、オキシム化合物を用いるのが特に好ましい。また、オキシム化合物を用いることにより、色移り性をより良化できる。
本発明に用いられる光重合開始剤の具体例としては、例えば、特開2013−29760号公報の段落0265〜0268を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
光重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959,IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤として、365nm又は405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179公報に記載の化合物も用いることができる。また、アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
光重合開始剤として、より好ましくはオキシム化合物が挙げられる。オキシム開始剤の具体例としては、特開2001−233842号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物、特開2006−342166号公報記載の化合物を用いることができる。
本発明における光重合開始剤として好適に用いられるオキシム誘導体等のオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
オキシム化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)も好適に用いられる。また、TRONLY TR−PBG−304、TRONLY TR−PBG−309、TRONLY TR−PBG−305(常州強力電子新材料有限公司社(CHANGZHOU TRONLY NEW ELECTRONIC MATERIALS CO.,LTD)製)、アデカアークルズNCI−831およびアデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)も用いることができる。
また上記記載以外のオキシム化合物として、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許第7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025号公報及び米国特許公開2009−292039号記載の化合物、国際公開特許2009−131189号公報に記載のケトオキシム化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114号公報記載の化合物、などを用いてもよい。
好ましくは、例えば、特開2013−29760号公報の段落0274〜0275を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
具体的には、オキシム化合物としては、下記式(OX−1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシムのN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
一般式(OX−1)中、RおよびBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。
一般式(OX−1)中、Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
一般式(OX−1)中、Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
一般式(OX−1)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、アルキニレン基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
本発明は、光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014−137466号公報記載の化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれることとする。
本発明は、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報記載の化合物、特表2014−500852号公報記載の化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報記載の化合物(C−3)などが挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれることとする。
本発明は、光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム開始剤を用いることもできる。ニトロ基を有するオキシム開始剤の具体例としては、特開2013−114249号公報の段落0031〜0047、特開2014−137466号公報の段落0008〜0012、0070〜0079に記載されている化合物や、アデカアークルズNCI−831((株)ADEKA製)が挙げられる。
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであり、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることが好ましく、365nm及び405nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数の測定は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary−5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用しても良い。
光重合開始剤の含有量は、感光性組成物の全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%がさらに好ましい。この範囲であることで、より良好な感度とパターン形成性が得られる。
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
<重合性化合物>
本発明の組成物は、重合性化合物を含有する。
重合性化合物は、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましい。特に、重合性化合物中にはエチレン性不飽和基が2個以上10個以下含まれることが好ましく、いわゆる多官能重合性化合物であることが好ましい。
少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートを挙げることができる。さらに、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)および一般式(2)としてその具体例と共に記載の多官能アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も用いることができる。
なかでも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびこれらのアクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介してジペンタエリスリトールに連結している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
また、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、および特公平2−16765号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、および特公昭62−39418号の各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、および特開平1−105238号の各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(商品名、日本製紙ケミカル(株)製)、UA−7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA−40H(商品名、日本化薬(株)製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(商品名、共栄社化学(株)製)などが挙げられる。
また、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適であり、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシ基含有3官能アクリレートであるTO−756、およびカルボキシ基含有5官能アクリレートであるTO−1382などが挙げられる。本発明に用いられる重合性化合物としては、4官能以上のアクリレート化合物がより好ましい。4官能以上のアクリレート化合物として、例えばKAYARD DPHA(商品名、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2種以上の重合性化合物を組み合わせて用いる場合、その組み合わせ態様は、組成物に要求される物性等に応じて適宜設定することができる。重合性化合物の好適な組み合わせ態様の一つとしては、例えば、上述した多官能のアクリレート化合物から選択した2種以上の重合性化合物を組み合わせる態様が挙げられ、その一例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびペンタエリスリトールトリアクリレートの組み合わせが挙げられる。
重合性化合物の含有量は、本発明の感光性組成物中の全固形分に対して、3質量%〜55質量%となるように含有されることが好ましく、7質量%〜50質量%がより好ましい。
<酸分解性樹脂および塩基分解性樹脂>
本発明の組成物は、酸分解性樹脂および塩基分解性樹脂の少なくとも一方を含有する。
酸分解性樹脂および塩基分解性樹脂の含有量の合計は、感光性組成物の全固形分を基準として、1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましく、15〜25質量%以下であることが特に好ましい。酸分解性樹脂および塩基分解性樹脂の含有量の合計は、酸分解性樹脂および塩基分解性樹脂のうち一方のみを含有する場合には、含有する一方のみの含有量を表す。
上記含有量の合計が15質量%以上であることで、硬化膜のアンダーカットの発生をより抑制できる。上記含有量の合計が25質量%以下であることで、所望のパターンが形成しやすくなる傾向にある。
以下、各樹脂について詳細に説明する。
〔酸分解性樹脂〕
酸分解性樹脂(以下、「樹脂(A)」ともいう)は、酸の作用により極性が変化する樹脂であり、酸の作用により、有機溶剤系現像液に対する溶解度が減少し、また、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂である。
樹脂(A)は、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、極性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有することが好ましい。
酸分解性基は、極性基を酸の作用により分解し脱離する基で保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、有機溶剤を含む現像液中で難溶化又は不溶化する基であれば特に限定されないが、フェノール性水酸基、カルボキシ基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(従来レジストの現像液として用いられている、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、又はアルコール性水酸基等が挙げられる。
なお、アルコール性水酸基とは、炭化水素基に結合した水酸基であって、芳香環上に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)以外の水酸基をいい、水酸基としてα位がフッ素原子などの電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、フッ素化アルコール基(ヘキサフルオロイソプロパノール基など))は除くものとする。アルコール性水酸基としては、pKaが12以上且つ20以下の水酸基であることが好ましい。
好ましい極性基としては、カルボキシ基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらの基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
36〜R39、R01及びR02のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。
36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよい。炭素数は3〜20のものが好ましい。
36〜R39、R01及びR02のアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
36〜R39、R01及びR02のアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましい。
36〜R39、R01及びR02のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましい。
36とR37とが結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環若しくは多環)であることが好ましい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基がより好ましく、炭素数5の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
(酸分解性基を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
樹脂(A)は、一形態において、酸分解性基を有する繰り返し単位として、酸によって分解しカルボキシ基を生じる繰り返し単位(AI)(以下、「繰り返し単位(AI)」とも言う。)を含有することが好ましく、下記一般式(aI)または(aI’)で表される繰り返し単位を有することがより好ましい。
一般式(aI)及び(aI’)に於いて、
Xaは、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx〜Rxは、それぞれ独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Rx〜Rxの2つが結合して環構造を形成してもよい。また、この環構造は、環中に酸素原子等のヘテロ原子を含有してもよい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基、フェニレン基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
一般式(aI)中のTは、有機溶剤系現像液に対するレジストの不溶化の観点から、単結合又は−COO−Rt−基が好ましく、−COO−Rt−基がより好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH−基、−(CH−基、−(CH−基がより好ましい。
一般式(aI’)中のTは、単結合が好ましい。
a1のアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。
a1のアルキル基は、炭素数1〜4のものが好ましく、メチル基であることが好ましい。
a1は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
Rx、Rx及びRxのアルキル基としては、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
Rx、Rx及びRxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx、Rx及びRxの2つが結合して形成する環構造としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環などの単環のシクロアルカン環、ノルボルナン環、テトラシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、アダマンタン環などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5又は6の単環のシクロアルカン環が特に好ましい。
Rx、Rx及びRxは、各々独立に、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることがより好ましい。
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、シクロアルキル基(炭素数3〜8)、ハロゲン原子、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。なかでも、酸分解前後での有機溶剤を含有する現像液に対する溶解コントラストをより向上させる観点から、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有さない置換基であることがより好ましく(例えば、水酸基で置換されたアルキル基などではないことがより好ましく)、水素原子及び炭素原子のみからなる基であることが更に好ましく、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基であることが特に好ましい。
以下に酸分解性基を有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
具体例中、Rxは、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。Rxa、Rxbはそれぞれアルキル基(例えば炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基で、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基など)を表す。Xa1は、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。Zは、置換基を表し、複数存在する場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。pは0又は正の整数を表す。Zの具体例及び好ましい例は、Rx〜Rxなどの各基が有し得る置換基の具体例及び好ましい例と同様である。
下記具体例において、Xaは、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
樹脂(A)は、一形態において、酸分解性基を有する繰り返し単位として、酸により分解する部位の炭素数の合計が4〜9個である繰り返し単位を含有することが好ましい。より好ましくは、上掲の一般式(aI)において、−C(Rx)(Rx)(Rx)部分の炭素数が4〜9個である態様である。
更に好ましくは、一般式(aI)においてRx、Rx及びRxの全てがメチル基またはエチル基である態様か、あるいは、下記一般式(aII)で表される態様である。
一般式(aII)中、
31は、水素原子又はアルキル基を表す。
32は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表す。
33は、R32が結合している炭素原子とともに単環の脂環炭化水素構造を形成するのに必要な原子団を表す。脂環炭化水素構造は、環を構成する炭素原子の一部が、ヘテロ原子、又は、ヘテロ原子を有する基で置換されていてもよい。
ここで、R32とR33が有する炭素原子の合計は8以下である。
31のアルキル基は、置換基を有していてもよく、この置換基としてはフッ素原子、水酸基などが挙げられる。
31は、好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
32は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又は、イソプロピル基であることが好ましく、メチル基、又は、エチル基であることがより好ましい。
33が炭素原子とともに形成する単環の脂環炭化水素構造は、3〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
33が炭素原子とともに形成する単環の脂環炭化水素構造において、環を構成し得るヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子等が挙げられ、ヘテロ原子を有する基としては、カルボニル基等が挙げられる。ただし、ヘテロ原子を有する基は、エステル基(エステル結合)ではないことが好ましい。
33が炭素原子とともに形成する単環の脂環炭化水素構造は、炭素原子と水素原子とのみから形成されることが好ましい。
また、樹脂(A)は、他の形態において、酸分解性基を有する繰り返し単位として、酸により分解する部位の炭素数が10〜20個であり、多環構造を含む酸分解部位を有する繰り返し単位(aIII)を含んでいてもよい。
この酸分解部位の炭素数が10〜20個であり、且つ酸分解部位に多環構造を含む繰り返し単位(aIII)としては、上掲の一般式(aI)において、Rx、Rx及びRxの1つがアダマンタン骨格を有する基であり、残りの2つが直鎖または分岐のアルキル基である態様、または、一般式(aI)において、Rx、Rx及びRxのうち2つが結合してアダマンタン構造を形成し、残りの1つが直鎖または分岐のアルキル基である態様が好ましい。
また、樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位として、以下で表されるような、酸の作用により分解し、アルコール性水酸基を生じる繰り返し単位を有していてもよい。
下記具体例中、Xaは、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。
樹脂(A)に含有され得る酸分解性基を有する繰り返し単位は、1種類であってもよいし、2種類以上を併用してもよい。
樹脂(A)が2種以上の酸分解性基を有する繰り返し単位を含有する場合、例えば、上述した一般式(aI)においてRx、Rx及びRxの全てがメチル基またはエチル基である態様、あるいは、上述した一般式(aII)で表される態様の繰り返し単位と、上述した酸分解部位の炭素数が10〜20個であり、且つ酸分解部位に多環構造を含む繰り返し単位(aIII)で表される繰り返し単位との組み合わせが好ましい。
酸分解性基を有する繰り返し単位の総量は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して30〜80モル%が好ましく、40〜75モル%が更に好ましく、45〜70モル%が特に好ましく、50〜70モル%が最も好ましい。
一般式(aI)で表される繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して30〜80モル%が好ましく、40〜75モル%が更に好ましく、45〜70モル%が特に好ましく、50〜70モル%が最も好ましい。
また、繰り返し単位(aIII)が酸分解性基を有する全繰り返し単位に占める割合は、3〜50モル%が好ましく、5〜40モル%が更に好ましく、5〜30モル%以下が最も好ましい。
(ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を含有していてもよい。
ラクトン構造又はスルトン構造としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造又は5〜7員環スルトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、又は、5〜7員環スルトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、がより好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−21)のいずれかで表されるラクトン構造、又は、下記一般式(SL1−1)〜(SL1−3)のいずれかで表されるスルトン構造、を有する繰り返し単位を有することが更に好ましい。また、ラクトン構造又はスルトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)、(LC1−17)であり、特に好ましいラクトン構造は(LC1−4)である。このような特定のラクトン構造を用いることでLER、現像欠陥が良好になる。
ラクトン構造部分又はスルトン構造部分は、置換基(Rb)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基である。nは、0〜4の整数を表す。nが2以上の時、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位は、通常、光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90%以上のものが好ましく、より好ましくは95%以上である。
ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(III)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
上記一般式(III)中、
Aは、エステル結合(−COO−で表される基)又はアミド結合(−CONH−で表される基)を表す。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合
又はウレア結合
を表す。ここで、Rは、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表す。
は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基を表す。
nは、−R−Z−で表される構造の繰り返し数であり、0〜5の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。nが0である場合、−R−Z−は存在せず、単結合となる。
は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
のアルキレン基、シクロアルキレン基は置換基を有してよい。
Zは好ましくは、エーテル結合、エステル結合であり、特に好ましくはエステル結合である。
のアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
のアルキレン基、シクロアルキレン基、Rにおけるアルキル基は、各々置換されていてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子やメルカプト基、水酸基、アルコキシ基が挙げられる。
は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましい。
における好ましい鎖状アルキレン基としては炭素数が1〜10の鎖状のアルキレンが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。好ましいシクロアルキレン基としては、炭素数3〜20のシクロアルキレン基であり、例えば、シクロヘキシレン基、シクロペンチレン基、ノルボルニレン基、アダマンチレン基等が挙げられる。本発明の効果を発現するためには鎖状アルキレン基がより好ましく、メチレン基が特に好ましい。
で表されるラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基は、ラクトン構造又はスルトン構造を有していれば限定されるものではなく、具体例として一般式(LC1−1)〜(LC1−21)及び、(SL1−1)〜(SL1−3)の内のいずれかで表されるラクトン構造又はスルトン構造が挙げられ、これらのうち(LC1−4)で表される構造が特に好ましい。また、(LC1−1)〜(LC1−21)におけるnは2以下のものがより好ましい。
また、Rは無置換のラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基、或いはメチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を置換基として有するラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基が好ましく、シアノ基を置換基として有するラクトン構造(シアノラクトン)を有する1価の有機基がより好ましい。
以下にラクトン構造又はスルトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の効果を高めるために、2種以上のラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を併用することも可能である。
樹脂(A)がラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を含有する場合、ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、5〜60モル%が好ましく、より好ましくは5〜55モル%、更に好ましくは10〜50モル%である。
(環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位)
また、樹脂(A)は、環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位を有していてもよい。
環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(A−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(A−1)中、
は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、nが2以上の場合は各々独立して、置換基を表す。
Aは、単結合、又は2価の連結基を表す。
Zは、式中の−O−C(=O)−O−で表される基と共に単環又は多環構造を形成する原子団を表す。
nは0以上の整数を表す。
一般式(A−1)について詳細に説明する。
で表されるアルキル基は、フッ素原子等の置換基を有していてもよい。R は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。
で表される置換基は、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基である。好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、炭素数1〜5の直鎖状アルキル基;炭素数3〜5の分岐状アルキル基等を挙げることができる。アルキル基はヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。
nは置換基数を表す0以上の整数である。nは、例えば、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0である。
Aにより表される2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合、又はその組み合わせ等が挙げられる。アルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましい。
本発明の一形態において、Aは、単結合、アルキレン基であることが好ましい。
Zにより表される、−O−C(=O)−O−を含む単環としては、例えば、下記一般式(a)で表される環状炭酸エステルにおいて、n=2〜4である5〜7員環が挙げられ、5員環又は6員環(n=2又は3)であることが好ましく、5員環(n=2)であることがより好ましい。
Zにより表される、−O−C(=O)−O−を含む多環としては、例えば、下記一般式
(a)で表される環状炭酸エステルが1又は2以上の他の環構造と共に縮合環を形成している構造や、スピロ環を形成している構造が挙げられる。縮合環又はスピロ環を形成し得る「他の環構造」としては、脂環式炭化水素基であってもよいし、芳香族炭化水素基であってもよいし、複素環であってもよい。
樹脂(A)には、一般式(A−1)で表される繰り返し単位のうちの1種が単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
樹脂(A)において、環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位(好ましくは、一般式(A−1)で表される繰り返し単位)の含有率は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、3〜80モル%であることが好ましく、3〜60モル%であることが更に好ましく、3〜30モル%であることが特に好ましく、10〜15モル%であることが最も好ましい。このような含有率とすることによって、レジストとしての現像性、低欠陥性、低LWR、低PEB温度依存性、プロファイル等を向上させることができる。
以下に、一般式(A−1)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
なお、以下の具体例中のR は、一般式(A−1)におけるR と同義である。
(水酸基、シアノ基又はカルボニル基を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、水酸基、シアノ基又はカルボニル基を有する繰り返し単位を有していてもよい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。
水酸基、シアノ基又はカルボニル基を有する繰り返し単位は、水酸基、シアノ基又はカルボニル基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましく、酸分解性基を有さないことが好ましい。
また、水酸基、シアノ基又はカルボニル基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位は、酸分解性基を有する繰り返し単位とは異なることが好ましい(すなわち、酸に対して安定な繰り返し単位であることが好ましい)。
水酸基、シアノ基又はカルボニル基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアダマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。
より好ましくは、下記一般式(AIIa)〜(AIIe)のいずれかで表される繰り返し単位を挙げることができる。
式中、Rは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、又は、トリフルオロメチル基を表す。
Abは、単結合、又は2価の連結基を表す。
Abにより表される2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合、又はその組み合わせ等が挙げられる。アルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
本発明の一形態において、Abは、単結合、又は、アルキレン基であることが好ましい。
Rpは、水素原子、ヒドロキシル基、又は、ヒドロキシアルキル基を表す。複数のRpは、同一でも異なっていてもよいが、複数のRpの内の少なくとも1つは、ヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基を表す。
樹脂(A)は、水酸基、シアノ基又はカルボニル基を有する繰り返し単位を含有していても、含有していなくてもよいが、樹脂(A)が水酸基、シアノ基又はカルボニル基を有する繰り返し単位を含有する場合、水酸基、シアノ基又はカルボニル基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは3〜30モル%、更に好ましくは5〜25モル%である。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
その他、国際公開2011/122336号明細書の〔0011〕以降に記載のモノマー又はこれに対応する繰り返し単位なども適宜使用可能である。
(酸基を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、酸基を有する繰り返し単位を有してもよい。酸基としてはカルボキシ基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビススルホニルイミド基、ナフトール構造、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール基(例えばヘキサフロロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシ基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。酸基を有する繰り返し単位を含有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。酸基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接酸基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖に酸基が結合している繰り返し単位、更には酸基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
樹脂(A)は、酸基を有する繰り返し単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、酸基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、25モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。樹脂(A)が酸基を有する繰り返し単位を含有する場合、樹脂(A)における酸基を有する繰り返し単位の含有量は、通常、1モル%以上である。
酸基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、RxはH、CH、CHOH又はCFを表す。
(極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位)
本発明における樹脂(A)は、更に極性基(例えば、酸基、ヒドロキシル基、シアノ基)を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有することができる。これにより、液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できるとともに、有機溶剤を含む現像液を用いた現像の際に樹脂の溶解性を適切に調整することができる。このような繰り返し単位としては、一般式(IV)で表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(IV)中、Rは少なくとも1つの環状構造を有し、極性基を有さない炭化水素基を表す。
Raは、水素原子、アルキル基又は−CH−O−Ra基を表す。式中、Raは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、たとえば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基などの炭素数3〜12のシクロアルキル基、シクロへキセニル基など炭素数3〜12のシクロアルケニル基が挙げられる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素数3〜7の単環式炭化水素基であり、より好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
多環式炭化水素基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基などが含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)などの2環式炭化水素環及び、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環などの3環式炭化水素環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環などの4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン環などの5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
好ましい架橋環式炭化水素環として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基などが挙げられる。
樹脂(A)は、極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、この繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜50モル%が好ましく、より好ましくは5〜50モル%であり、さらに好ましくは5〜20モル%である。
極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、又はCFを表す。
(芳香環を有する繰り返し単位)
本発明の感活性組成物に、KrFエキシマレーザー光、電子線、X線又は波長50nm以下の高エネルギー光線(例えば、EUV(Extreme ultraviolet))を照射する場合には、樹脂(A)は、ヒドロキシスチレン繰り返し単位に代表されるような、芳香環を有する単位を有することが好ましい。
芳香環を有する繰り返し単位としては、特に限定されず、また、前述の各繰り返し単位に関する説明でも例示しているが、スチレン単位、ヒドロキシスチレン単位、フェニル(メタ)アクリレート単位、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート単位などが挙げられる。樹脂(A)としては、より具体的には、ヒドロキシスチレン系繰り返し単位と、酸分解性基によって保護されたヒドロキシスチレン系繰り返し単位とを有する樹脂、上記芳香環を有する繰り返し単位と、(メタ)アクリル酸のカルボン酸部位が酸分解性基によって保護された繰り返し単位を有する樹脂、などが挙げられる。なお、特にEUV露光の際は、一般に高感度が要求される為、樹脂(A)は、酸分解しやすい保護基を含有する繰り返し単位を含むことが好ましい。その繰り返し単位として具体的には、前述の酸で脱離する基として説明した構造のうち、−C(R36)(R37)(OR39)または−C(R01)(R02)(OR39)で表されるもの(俗にアセタール型保護基と言われる構造)が好ましく挙げられる。
また、樹脂(A)は、一形態において、後述する酸発生剤に対応する構造が担持された態様であってもよい。このような態様として具体的には、特開2011−248019号公報に記載の構造(特に、段落0164から段落0191に記載の構造、段落0555の実施例で記載されている樹脂に含まれる構造)、特開2013−80002号公報の段落0023〜段落0210に説明されている繰り返し単位(R)などが挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。樹脂(A)が酸発生剤に対応する構造を担持している態様であっても、本発明の感光性組成物は、更に、樹脂(A)に担持されていない酸発生剤を含んでもよい。
酸発生剤に対応する構造を有する繰り返し単位として、以下のような繰り返し単位が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明の感光性組成物に用いられる樹脂(A)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更に感光性組成物の一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、本発明の感光性組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
本発明の感光性組成物に用いられる樹脂(A)において、各繰り返し構造単位の含有モル比は感光性組成物のドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更には感光性組成物の一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
本発明の感光性組成物が、ArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から本発明の感光性組成物に用いられる樹脂(A)は実質的には芳香環を有さない(具体的には、樹脂中、芳香族基を有する繰り返し単位の比率が好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、理想的には0モル%、すなわち、芳香族基を有さない)ことが好ましく、樹脂(A)は単環又は多環の脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
本発明における樹脂(A)の形態としては、ランダム型、ブロック型、クシ型、スター型のいずれの形態でもよい。樹脂(A)は、例えば、各構造に対応する不飽和モノマーのラジカル、カチオン、又はアニオン重合により合成することができる。また各構造の前駆体に相当する不飽和モノマーを用いて重合した後に、高分子反応を行うことにより目的とする樹脂を得ることも可能である。
本発明の感光性組成物が、疎水性樹脂を含んでいる場合、樹脂(A)は、疎水性樹脂との相溶性の観点から、フッ素原子及びケイ素原子を含有しない(具体的には、樹脂中、フッ素原子またはケイ素原子を有する繰り返し単位の比率が、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、理想的には0モル%)ことが好ましい。
本発明の感光性組成物に用いられる樹脂(A)として好ましくは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができるが、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50モル%以下であることが好ましい。
本発明における樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合、リビングラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合など、高分子合成の分野において慣用される方法によって)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、更には後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の感光性組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは本発明の感光性組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシ基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、更に好ましくは60〜100℃である。
反応終了後、室温まで放冷し、精製する。精製は、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外ろ過等の溶液状態での精製方法や、樹脂溶液を貧溶媒へ滴下することで樹脂を貧溶媒中に凝固させることにより残留単量体等を除去する再沈殿法やろ別した樹脂スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法等の通常の方法を適用できる。
例えば、上記樹脂が難溶或いは不溶の溶媒(貧溶媒)を、この反応溶液の10倍以下の体積量、好ましくは10〜5倍の体積量で、接触させることにより樹脂を固体として析出させる。
ポリマー溶液からの沈殿又は再沈殿操作の際に用いる溶媒(沈殿又は再沈殿溶媒)としては、このポリマーの貧溶媒であればよく、ポリマーの種類に応じて、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アルコール、カルボン酸、水、これらの溶媒を含む混合溶媒等の中から適宜選択して使用できる。これらの中でも、沈殿又は再沈殿溶媒として、少なくともアルコール(特に、メタノールなど)又は水を含む溶媒が好ましい。
沈殿又は再沈殿溶媒の使用量は、効率や収率等を考慮して適宜選択できるが、一般には、ポリマー溶液100質量部に対して、100〜10000質量部、好ましくは200〜2000質量部、更に好ましくは300〜1000質量部である。
沈殿又は再沈殿する際の温度としては、効率や操作性を考慮して適宜選択できるが、通常0〜50℃程度、好ましくは室温付近(例えば20〜35℃程度)である。沈殿又は再沈殿操作は、攪拌槽などの慣用の混合容器を用い、バッチ式、連続式等の公知の方法により行うことができる。
沈殿又は再沈殿したポリマーは、通常、濾過、遠心分離等の慣用の固液分離に付し、乾燥して使用に供される。濾過は、耐溶剤性の濾材を用い、好ましくは加圧下で行われる。乾燥は、常圧又は減圧下(好ましくは減圧下)、30〜100℃程度、好ましくは30〜50℃程度の温度で行われる。
なお、一度、樹脂を析出させて、分離した後に、再び溶媒に溶解させ、この樹脂が難溶或いは不溶の溶媒と接触させてもよい。即ち、上記ラジカル重合反応終了後、このポリマーが難溶或いは不溶の溶媒を接触させ、樹脂を析出させ(工程a)、樹脂を溶液から分離し(工程b)、改めて溶媒に溶解させ樹脂溶液Aを調製(工程c)、その後、この樹脂溶液Aに、この樹脂が難溶或いは不溶の溶媒を、樹脂溶液Aの10倍未満の体積量(好ましくは5倍以下の体積量)で、接触させることにより樹脂固体を析出させ(工程d)、析出した樹脂を分離する(工程e)ことを含む方法でもよい。
また、感光性組成物の調製後に樹脂が凝集することなどを抑制する為に、例えば、特開2009−037108号公報に記載のように、合成された樹脂を溶剤に溶解して溶液とし、その溶液を30℃〜90℃程度で30分〜4時間程度加熱するような工程を加えてもよい。
これら精製工程により、未反応の低分子成分(モノマー、オリゴマー)をできるだけ少なくすることが好ましい。
本発明における樹脂(A)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、6000〜50000が好ましく、8000〜30000が更に好ましく、10000〜25000が最も好ましい。この分子量範囲にすることで、有機系現像液に対する溶解度が適切な数値となることが期待できる。
分散度(分子量分布)は、通常1.0〜3.0であり、好ましくは1.0〜2.6、更に好ましくは1.0〜2.0、特に好ましくは1.4〜2.0の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、かつ、レジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
樹脂(A)の含有量は、感光性組成物の全固形分を基準として、1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましく、15〜25質量%であることが特に好ましい。15質量%以上であることで、硬化膜のアンダーカットの発生をより抑制できる。25質量%以下であることで、パターン状の硬化膜を作製する際の現像性がより向上する傾向にある。
また、本発明において、樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
以下、樹脂(A)の具体例(繰り返し単位の組成比はモル比である)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下では、後述する、酸発生剤に対応する構造が樹脂(A)に担持されている場合の態様も例示している。
以下に例示する樹脂は、特に、EUV露光または電子線露光の際に、好適に用いることができる樹脂の例である。
〔塩基分解性樹脂〕
塩基分解性樹脂は、塩基の作用により分解可能な樹脂である。塩基分解性樹脂は、公知のものを使用できるが、樹脂の末端や側鎖などに加水分解性を有する樹脂、または、塩基の共役酸のpKaが6以上で分解する樹脂であることが好ましい。
このような塩基分解性樹脂のうち、樹脂の末端や側鎖などに加水分解性を有する樹脂としては、これに限定されないが、例えば、特開2000−10270号公報、特開2004−250650号公報、特開2006−25437号公報、特開2008−274119号公報に記載の樹脂が挙げられる。
また、塩基の共役酸のpKaが6以上で分解する樹脂としては、以下のポリウレタン樹脂を好ましく用いることができる。
塩基分解性樹脂としては、後述の塩基発生剤から発生する塩基による分解性の観点から、塩基の共役酸のpKaが6以上で分解するポリウレタン樹脂が好ましく、8以上で分解するポリウレタン樹脂がより好ましい。
上記のようなポリウレタン樹脂の中でも、分解性と安定性の両立の観点から、下記一般式(I)〜(II)で表されるジオールモノマーから合成されるポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
一般式(I)中、Arは置換されていてもよい2価の芳香族基を表す。
一般式(II)中、Aは2価の連結基、Rは水素原子又は1価の置換基を表す。
一般式(I)のジオールによって形成されるポリウレタン樹脂は、芳香族基にウレタン結合が隣接する為、ウレタン結合が塩基によって分解されやすくなっていると推定される。
また、一般式(II)のジオールによって形成されるポリウレタン樹脂は、ウレタン結合の隣に2級または3級炭素を有し、この2級または3級炭素の水素原子を塩基が引き抜くことによって、ウレタン結合の分解が促進されるものと推定される。
さらに、一般式(II)のジオールモノマーは、下記一般式(III)の化合物であることが好ましい。また、下記一般式(IV)の化合物も好ましい。
一般式(III)中、R〜Rは、水素原子または一価の置換基を表し、少なくとも1つは電子求引性基であることが好ましく、R〜Rのハメット置換基定数σmの総和が+0.01〜+0.7であることがさらに好ましい。
一般式(IV)中、R〜Rは水素原子または一価の置換基であり、Lは2価の連結基である。特にR、RおよびLのハメット置換基定数σmの総和が+0.01〜+0.7であることがさらに好ましい。
以下、一般式(I)で表されるジオールモノマーの具体例を例示するが、これらに限定されるものではない。
一般式(II)または(III)で表されるジオールモノマーの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
一般式(IV)で表されるジオールモノマーの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
本発明における塩基により分解可能であるポリウレタン樹脂は、下記一般式(1)で表されるジイソシアネート化合物の少なくとも1種と、一般式(2)で表されるジオール化合物の少なくとも1種と、の反応生成物で表される構造単位を基本骨格とするポリウレタン樹脂である。なお、とくに好ましいジオール化合物については、前述のとおりである。
OCN−X−NCO (1)
HO−Y−OH (2)
一般式(1)および(2)中、X、Yは、それぞれ独立に2価の有機残基を表す。
ポリウレタン樹脂は、通常、種々のジイソシアネート化合物およびジオール化合物と組み合わされて合成される。
ポリウレタン樹脂の製造においては、上述した一般式(I)〜(IV)で表されるジオール以外にも、従来公知の他のジイソシアネート化合物及び他のジオール化合物類を、本発明の効果を損なわない範囲において制限なく使用できる。具体的には、「高分子データハンドブック−基礎編−(高分子学会編、培風館、1986)」記載の化合物が挙げられる。このような他のジイソソアネート化合物、他のジオール化合物類は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
他のジイソシアネート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(または2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
他のジオール化合物類の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、trans−2−ブテン−1,4−ジオール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、4−メチルカテコール、4−t−ブチルカテコール、4−アセチルカテコール、3−メトキシカテコール、4−フェニルカテコール、4−メチルレゾルシン、4−エチルレゾルシン、4−t−ブチルレゾルシン、4−ヘキシルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、4−ベンジルレゾルシン、4−アセチルレゾルシン、4−カルボメトキシレゾルシン、2−メチルレゾルシン、5−メチルレゾルシン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノン、テトラクロロハイドロキノン、メチルカルボアミノハイドロキノン、メチルウレイドハイドロキノン、メチルチオハイドロキノン、ベンゾノルボルネン−3,6−ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、3,3’−ジクロロビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−チオジフェノール、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,4−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,4−ビス(2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルアミン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシアントラキノン、2−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシフェネチルアルコール、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、レゾルシンモノ−2−ヒドロキシエチルエーテルや、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、平均分子量1000のポリエチレングリコール、平均分子量1500のポリエチレングリコール、平均分子量2000のポリエチレングリコール、平均分子量3000のポリエチレングリコール、平均分子量7500のポリエチレングリコール、平均分子量400のポリプロピレングリコール、平均分子量700のポリプロピレングリコール、平均分子量1000のポリプロピレングリコール、平均分子量2000のポリプロピレングリコール、平均分子量3000のポリプロピレングリコール、平均分子量4000のポリプロピレングリコール、三洋化成工業(株)製PTMG650、PTMG1000、PTMG20000、PTMG3000、ニューポールPE−61、ニューポールPE−62、ニューポールPE−64、ニューポールPE−68、ニューポールPE−71、ニューポールPE−74、ニューポールPE−75、ニューポールPE−78、ニューポールPE−108、ニューポールPE−128、ニューポールBPE−20、ニューポールBPE−20F、ニューポールBPE−20NK、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−20G、ニューポールBPE−40、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180、ニューポールBP−2P、ニューポールBPE−23P、ニューポールBPE−3P、ニューポールBPE−5P、ニューポール50HB−100、ニューポール50HB−260、ニューポール50HB−400、ニューポール50HB−660、ニューポール50HB−2000、ニューポール50HB−5100等のポリエーテルジオール化合物、さらにポリエステルジオール化合物やポリカーボネートジオール化合物が挙げられる。
また、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエリア)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等のカルボキシ基を含有するジオール化合物と組み合わせて用いることもできる。
さらに、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、プロパン−1,2−ジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、4−アミノ−2,2−6,6−テトラメチルピペリジン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、リジン、L−シスチン、イソホロンジアミン等のような脂肪族ジアミン化合物;o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、ベンジジン、o−ジトルイジン、o−ジアニシジン、4−ニトロ−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメトキシ−p−フェニレンジアミン、ビス−(4−アミノフェニル)スルホン、4−カルボキシ−o−フェニレンジアミン、3−カルボキシ−m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、1,8−ナフタレンジアミン等のような芳香族ジアミン化合物;2−アミノイミダゾール、3−アミノトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、4−アミノピラゾール、2−アミノベンズイミダゾール、2−アミノ−5−カルボキシ−トリアゾール、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,6−ジアミノピリジン、L−ヒスチジン、DL−トリプトファン、アデニン等のような複素環アミン化合物;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−3−プロパノール、2−アミノエトキシエタノール、2−アミノチオエトキシエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−アミノフェノール、4−メチル−2−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−メトキシ−3−アミノフェノール、4−ヒドロキシベンジルアミン、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノサリチル酸、4−ヒドロキシ−N−フェニルグリシン、2−アミノベンジルアルコール、4−アミノフェネチルアルコール、2−カルボキシ−5−アミノ−1−ナフトール、L−チロシン等のようなアミノアルコールまたはアミノフェノール化合物も使用しうる。
また、ポリマー合成において、未反応の末端イソシアネート基をラジカル重合性基含有アルコール化合物でキャッピングし、反応を停止させたウレタンポリマーは、耐刷性をさらに向上させるのでより好ましい。ラジカル重合性基含有アルコール化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル
(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
本発明における塩基分解性樹脂は、単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。さらに、従来公知の高分子バインダーを1種以上添加して、混合物として用いてもよい。混合物として用いる場合には、添加する高分子バインダーは、樹脂成分の総質量に対し1〜60質量%、好ましくは1〜40質量%、さらに好ましくは1〜20質量%の範囲で用いられる。添加高分子バインダーとしては、従来公知のものを制限なく使用でき、具体的には、本業界においてよく使用されるアクリル主鎖バインダー、ウレタンバインダー、アセタール変性ポリビニルアルコール系樹脂(ブチラール樹脂など)等が好ましく用いられる。
本発明におけるポリウレタン樹脂の質量平均分子量としては、レーザー分解性、安定性、耐刷性の観点から、5000〜500000が好ましく、より好ましくは8000〜300000であり、最も好ましくは10000〜150000である。
以下に、本発明で用いられる塩基により分解可能であるポリウレタン樹脂の具体例を例示するが、本発明は下記例に限定されない。なお、下記例中、それぞれの繰り返し単位の数値はモル%であり、nは繰り返し単位の繰り返し数である。
塩基分解性樹脂の含有量は、感光性組成物の全固形分を基準として、1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましく、15〜25質量%であることが特に好ましい。15質量%以上であることで、硬化膜のアンダーカットの発生をより抑制できる。25質量%以下であることで、所望のパターンが得られやすくなるという利点がある。
本発明における塩基により分解可能であるポリウレタン樹脂の合成方法としては特に限定されず、例えば、特開2008−81720号公報を参照にして行うことができる。
<酸発生剤および塩基発生剤>
本発明の組成物は、酸発生剤および塩基発生剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。これにより、硬化膜の反射率を低減する(低反射化する)ことができるため、硬化膜を遮光膜としてより好適に使用することができる。
このように低反射化できる理由の詳細は未だ明らかになっていない部分もあるが、露光部分における酸分解性樹脂および塩基分解性樹脂の現像が促進されて、これらが露光部分から取り除かれることで、表面が減膜して荒れることによるものと推測される。
上述した酸分解性樹脂を用いる場合には、酸発生剤および塩基発生剤のうち、酸発生剤を用いることが好ましい。また、上述した塩基分解性樹脂を用いる場合には、酸発生剤および塩基発生剤のうち、塩基発生剤を用いることが好ましい。
酸発生剤および塩基発生剤の含有量の合計は、感光性組成物の全固形分を基準として、0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがより好ましく、1.5〜5質量%であることがさらに好ましい。酸発生剤および塩基発生剤の含有量の合計は、酸発生剤および塩基発生剤のうち一方のみを含有する場合には、含有する一方のみの含有量を表す。
上記含有量の合計が1.5質量%以上であることで、硬化膜をより低反射化することができる。上記含有量の合計が5質量%以下であることで、現像溶解性(アルカリ濃度に対する溶解度)が向上したり、硬化部分における膜の減膜を抑制できたりする。
〔酸発生剤〕
酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」ともいう。)である。
酸発生剤は、低分子化合物の形態であってもよく、重合体の一部に組み込まれた形態であっても良い。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用してもよい。
酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量が3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましい。
酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、上述した酸分解性樹脂の一部に組み込まれてもよく、酸分解性樹脂とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
本発明において、酸発生剤は、低分子化合物の形態であることが好ましい。本発明の一態様において、酸発生剤としては、下記一般式(ZI)、(ZII)又は(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
なお、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくとも1つと、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
は、非求核性アニオン(求核反応を起こす能力が著しく低いアニオン)を表す。
としては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなど)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなど)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等を挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
上記で挙げたアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。この具体例としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を有していてもよい。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
その他のZとしては、例えば、弗素化燐(例えば、PF )、弗素化硼素(例えば、BF )、弗素化アンチモン(例えば、SbF )等を挙げることができる。
としては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。
本発明の一形態において、Zとしてのアニオンに含まれるフッ素原子数は2又は3であることが好ましい。
酸強度の観点からは、発生酸のpKaが−1以下であることが、感度向上のために好ましい。
201、R202及びR203の有機基としては、アリール基(炭素数6〜15が好ましい)、直鎖又は分岐のアルキル基(炭素数1〜10が好ましい)、シクロアルキル基(炭素数3〜15が好ましい)などが挙げられる。
201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、3つ全てがアリール基であることがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの他に、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基も可能である。
201、R202及びR203としてのこれらアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は更に置換基を有していてもよい。その置換基としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、R201、R202及びR203から選ばれる2つが、単結合又は連結基を介して結合していてもよい。連結基としてはアルキレン基(炭素数1〜3が好ましい)、−O−,−S−,−CO−,−SO−などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
201、R202及びR203のうち少なくとも1つがアリール基でない場合の好ましい構造としては、特開2004−233661号公報の段落0046,0047、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046、米国特許出願公開第2003/0224288A1号明細書に式(I−1)〜(I−70)として例示されている化合物、米国特許出願公開第2003/0077540A1号明細書に式(IA−1)〜(IA−54)、式(IB−1)〜(IB−24)として例示されている化合物等のカチオン構造を挙げることができる。
一般式(ZI)で表される化合物の更に好ましい例として、以下に説明する一般式(ZI−3)又は(ZI−4)で表される化合物を挙げることができる。先ず、一般式(ZI-3)で表される化合物について説明する。
上記一般式(ZI−3)中、
は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又はアルケニル基を表し、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、RとRが互いに連結して環を形成してもよく、
とRは、互いに連結して環を形成してもよく、
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルコキシカルボニルシクロアルキル基を表し、RとRが互いに連結して環を形成してもよく、この環構造は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケトン基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
は、非求核性アニオンを表す。
としてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。具体的には分岐アルキル基を挙げることができる。Rのアルキル基は置換基を有していてもよい。
としてのシクロアルキル基は、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、環内に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい。Rのシクロアルキル基は置換基を有していてもよい。
としてのアルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基である。Rのアルコキシ基は置換基を有していてもよい。
としてのシクロアルコキシ基は、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルコキシ基である。Rのシクロアルコキシ基は置換基を有していてもよい。
としてのアリール基は、好ましくは炭素数6〜14のアリール基である。Rのアリール基は置換基を有していてもよい。
としてのアルケニル基は、ビニル基、アリル基が挙げられる。
及びRは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表し、RとRが互いに連結して環を形成してもよい。但し、R及びRのうち少なくとも1つは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。R、Rについてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基の具体例及び好ましい例としては、Rについて前述した具体例及び好ましい例と同様のものが挙げられる。RとRが互いに連結して環を形成する場合、R及びRに含まれる環の形成に寄与する炭素原子の数の合計は、4〜7であることが好ましく、4又は5であることが特に好ましい。
とRは、互いに連結して環を形成してもよい。RとRが互いに連結して環を形成する場合、Rがアリール基(好ましくは置換基を有してもよいフェニル基又はナフチル基)であり、Rが炭素数1〜4のアルキレン基(好ましくはメチレン基又はエチレン基)であることが好ましく、好ましい置換基としては、上述したRとしてのアリール基が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。RとRが互いに連結して環を形成する場合における他の形態として、Rがビニル基であり、Rが炭素数1〜4のアルキレン基であることも好ましい。
及びRにより表されるアルキル基は、好ましくは炭素数1〜15のアルキル基である。
及びRにより表されるシクロアルキル基は、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基である。
及びRにより表されるアルケニル基は、好ましくは、2〜30のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、及びスチリル基を挙げることができる。
及びRにより表されるアリール基としては、例えば、炭素数6〜20のアリール基であり、好ましくは、フェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくは、フェニル基である。
及びRにより表される2-オキソアルキル基及びアルコキシカルボニルアルキル基のアルキル基部分としては、例えば、先にR及びRとして列挙したものが挙げられる。
及びRにより表される2-オキソシクロアルキル基及びアルコキシカルボニルシクロアルキル基のシクロアルキル基部分としては、例えば、先にR及びRyとして列挙したものが挙げられる。
は、例えば、前述の一般式(ZI)におけるZとして列挙したものが挙げられる。
一般式(ZI−3)で表される化合物は、好ましくは、以下の一般式(ZI−3a)及び(ZI−3b)で表される化合物である。
一般式(ZI−3a)及び(ZI−3b)において、R、R及びRは、上記一般式(ZI−3)で定義した通りである。
Yは、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を表し、酸素原子又は窒素原子であることが好ましい。m、n、p及びqは整数を意味し、0〜3であることが好ましく、12であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。SとYを連結するアルキレン基は置換基を有してもよく、好ましい置換基としてはアルキル基が挙げられる。
は、Yが窒素原子である場合には1価の有機基を表し、Yが酸素原子又は硫黄原子である場合には存在しない。Rは、電子求引性基を含む基であることが好ましく、下記一般式(ZI−3a−1)〜(ZI−3a−4)で表される基であることが特に好ましい。
上記(ZI−3a−1)〜(ZI−3a−3)において、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、好ましくはアルキル基である。Rについてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基の具体例及び好ましい例としては、上記一般式(ZI−3)におけるRについて前述した具体例及び好ましい例と同様のものが挙げられる。
上記(ZI−3a−1)〜(ZI−3a−4)において、*は一般式(ZI−3a)で表される化合物中のYとしての窒素原子に接続する結合手を表す。
Yが窒素原子である場合、Rは、−SO−Rで表される基であることが特に好ましい。Rは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、好ましくはアルキル基である。Rについてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基の具体例及び好ましい例としては、Rについて前述した具体例及び好ましい例と同様のものが挙げられる。
は、例えば、前述の一般式(ZI)におけるZとして列挙したものが挙げられる。
一般式(ZI−3)で表される化合物のカチオン部分の具体例を以下に挙げる。
次に、一般式(ZI−4)で表される化合物について説明する。
一般式(ZI−4)中、
13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は複数存在する場合は各々独立して、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよく、環を構成する原子として、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子などのヘテロ原子を含んでも良い。これらの基は置換基を有してもよい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZと同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
一般式(ZI−4)において、R13、R14及びR15のアルキル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましい。
13、R14及びR15のシクロアルキル基としては、単環若しくは多環のシクロアルキル基が挙げられる。
13及びR14のアルコキシ基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましい。
13及びR14のアルコキシカルボニル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数2〜11のものが好ましい。
13及びR14のシクロアルキル基を有する基としては、単環若しくは多環のシクロアルキル基を有する基が挙げられる。これら基は、置換基を更に有していてもよい。
14のアルキルカルボニル基のアルキル基としては、上述したR13〜R15としてのアルキル基と同様の具体例が挙げられる。
14のアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基としては、直鎖状、分岐状、環状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましい。
上記各基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
2個のR15が互いに結合して形成してもよい環構造としては、2個のR15が一般式(ZI−4)中の硫黄原子と共に形成する5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環又は2,5−ジヒドロチオフェン環)が挙げられ、アリール基又はシクロアルキル基と縮環していてもよい。この2価のR15は置換基を有してもよく、置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。環構造に対する置換基は、複数個存在してもよく、また、それらが互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(ZI−4)におけるR15としては、メチル基、エチル基、ナフチル基、及び2個のR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基等が好ましく、2個のR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基が特に好ましい。
13及びR14が有し得る置換基としては、水酸基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)が好ましい。
lとしては、0又は1が好ましく、1がより好ましい。
rとしては、0〜2が好ましい。
以上説明した一般式(ZI−3)又は(ZI−4)で表される化合物が有するカチオン構造の具体例としては、上述した、特開2004−233661号公報、特開2003−35948号公報、米国特許出願公開第2003/0224288A1号明細書、米国特許出願公開第2003/0077540A1号明細書に例示されている化合物等のカチオン構造の他、例えば、特開2011−53360号公報の段落0046、0047、0072〜0077、0107〜0110に例示されている化学構造等におけるカチオン構造、特開2011−53430号公報の段落0135〜0137、0151、0196〜0199に例示されている化学構造等におけるカチオン構造などが挙げられる。
一般式(ZII)、(ZIII)中、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基としては、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基と同様である。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としても、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよいものが挙げられる。
は、例えば、前述の一般式(ZI)におけるZとして列挙したものが挙げられる。
次に、非求核性アニオンZの好ましい構造について説明する。
非求核性アニオンZは、一般式(2)で表されるスルホン酸アニオンであることが好ましい。
一般式(2)中、
Xfは、各々独立に、フッ素原子、又は少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
及びRは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、複数存在する場合のR及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、二価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Aは、環状構造を含む有機基を表す。
xは、1〜20の整数を表す。yは、0〜10の整数を表す。zは、0〜10の整数を表す。
一般式(2)のアニオンについて、更に詳しく説明する。
Xfは、上記の通り、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基であり、フッ素原子で置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。また、Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfとして、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。具体的には、フッ素原子またはCFが好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
及びRは、上記の通り、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、アルキル基は、炭素数1〜4のものが好ましい。更に好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。R及びRの少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基の具体例としては、CFが好ましい。
Lは、2価の連結基を表し、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−N(Ri)−(式中、Riは水素原子又はアルキルを表す)、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜10)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜6)又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基などが挙げられ、−COO−、−OCO−、−CO−、−SO−、−CON(Ri)−、−SON(Ri)−、−CON(Ri)−アルキレン基−、−N(Ri)CO−アルキレン基−、−COO−アルキレン基−又は−OCO−アルキレン基−であることが好ましく、−COO−、−OCO−、−SO−、−CON(Ri)−又は−SON(Ri)−であることがより好ましい。複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Riとしてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。具体的には直鎖アルキル基、分岐アルキル基を挙げることができる。置換基を有するアルキル基としては、シアノメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
Aの環状構造を含む有機基としては、環状構造を有するものであれば特に限定されず、脂環基、アリール基、複素環基(芳香属性を有するものだけでなく、芳香族性を有さないものも含み、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環構造も含む。)等が挙げられる。
脂環基としては、単環でも多環でもよい。また、ピペリジン基、デカヒドロキノリン基、デカヒドロイソキノリン基等の窒素原子含有脂環基も好ましい。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基、デカヒドロキノリン基、デカヒドロイソキノリン基といった炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性を抑制でき、露光ラチチュード向上の観点から好ましい。
アリール基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環、アントラセン環が挙げられる。中でも193nmにおける光吸光度の観点から低吸光度のナフタレンが好ましい。
複素環基としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環が挙げられる。中でもフラン環、チオフェン環、ピリジン環が好ましい。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよく、この置換基としては、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、炭素数1〜12が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、スルホン酸エステル基、シアノ基等が挙げられる。
なお、環状構造を含む有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
xは1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、1が特に好ましい。yは0〜4が好ましく、0又は1がより好ましく、0が更に好ましい。zは0〜8が好ましく、0〜4がより好ましく、1が更に好ましい。
また、本発明の一形態において、一般式(2)で表されるアニオンに含まれるフッ素原子数は2又は3であることが好ましい。これにより、本発明の効果を更に高めることができる。
一般式(2)で表されるスルホン酸アニオン構造の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
としては、下記一般式(B−1)で表されるスルホン酸アニオンも好ましい。
上記一般式(B−1)中、
b1は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基(CF)を表す。
nは0〜4の整数を表す。
nは0〜3の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
b1は単結合、アルキレン基、エーテル結合、エステル結合(−OCO−若しくは−COO−)、スルホン酸エステル結合(−OSO−若しくは−SO−)、又はそれらの組み合わせを表す。
b1はエステル結合(−OCO−若しくは−COO−)又はスルホン酸エステル結合(−OSO−若しくは−SO−)であることが好ましく、エステル結合(−OCO−若しくは−COO−)であることがより好ましい。
b2は炭素数6以上の有機基を表す。
b2についての炭素数6以上の有機基としては、嵩高い基であることが好ましく、炭素数6以上の、アルキル基、脂環基、アリール基、複素環基などが挙げられる。
b2についての炭素数6以上のアルキル基としては、直鎖状であっても分岐状であってもよく、炭素数6〜20の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、例えば、直鎖又は分岐ヘキシル基、直鎖又は分岐ヘプチル基、直鎖又は分岐オクチル基などが挙げられる。嵩高さの観点から分岐アルキル基であることが好ましい。
b2についての炭素数6以上の脂環基としては、単環式であってもよく、多環式であってもよい。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの炭素数7以上の嵩高い構造を有する脂環基が、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性の抑制及びMEEF(Mask Error Enhancement Factor)の向上の観点から好ましい。
b2についての炭素数6以上のアリール基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基及びアントリル基が挙げられる。中でも、193nmにおける光吸光度が比較的低いナフチル基が好ましい。
b2についての炭素数6以上の複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよいが、多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、及びジベンゾチオフェン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環、及びデカヒドロイソキノリン環が挙げられる。
上記Rb2についての炭素数6以上の置換基は、更に置換基を有していてもよい。この更なる置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐のいずれであっても良く、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであっても良く、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、及びスルホン酸エステル基が挙げられる。なお、上述の脂環基、アリール基、又は複素環基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
一般式(B−1)で表されるスルホン酸アニオン構造の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。なお、下記具体例には、上述した一般式(2)で表されるスルホン酸アニオンに該当するものも含まれている。
としては、下記一般式(A−I)で表されるスルホン酸アニオンも好ましい。
一般式(A−I)中、
は、アルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アリール基、又は、ヘテロアリール基である。
は、2価の連結基である。
Rfは、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基である。
及びnは、それぞれ独立して、0又は1である。
上記Rで表されるアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
また、上記アルキル基は置換基(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、置換基を有するアルキル基としては、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
上記Rで表されるアルキル基は、メチル基、エチル基又はトリフルオロメチル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
上記Rで表される1価の脂環式炭化水素基は、炭素数が5以上であることが好ましい。また、この1価の脂環式炭化水素基は炭素数が20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。上記1価の脂環式炭化水素基は、単環の脂環式炭化水素基であっても、多環の脂環式炭化水素基であってもよい。脂環式炭化水素基の−CH−の一部が、−O−や−C(=O)−と置換されていてもよい。
単環の脂環式炭化水素基としては、炭素数5〜12のものが好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基が好ましい。
多環の脂環式炭化水素基としては、炭素数10〜20のものが好ましく、ノルボルニル基、アダマンチル基、ノルアダマンチル基が好ましい。
上記Rで表されるアリール基は、炭素数が6以上であることが好ましい。また、このアリール基は炭素数が20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。
上記Rで表されるヘテロアリール基は、炭素数が2以上であることが好ましい。また、このヘテロアリール基は炭素数が20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。
上記アリール基、ヘテロアリール基は、単環式アリール基、単環式ヘテロアリール基であっても、多環式アリール基、多環式ヘテロアリール基であってもよい。
単環式のアリール基としては、フェニル基等が挙げられる。
多環式のアリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
単環式のヘテロアリール基としては、ピリジル基、チエニル基、フラニル基等が挙げられる。
多環式のヘテロアリール基としては、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。
上記Rとしての1価の脂環式炭化水素基、アリール基、及び、ヘテロアリール基は、更に置換基を有していてもよく、このような更なる置換基としては、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシロキシ基、カルボキシ基が挙げられる。
は、シクロヘキシル基、又は、アダマンチル基であることが特に好ましい。
上記Rで表される2価の連結基としては、特に限定されないが、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S―、−SO−、−SO−、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜30のアルキレン基)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜30のシクロアルキレン基)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜30のアルケニレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基)、ヘテロアリーレン基(好ましくは炭素数2〜30のヘテロアリーレン基)、及び、これらの2種以上が組み合わされた基を挙げることができる。上記のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基は、置換基を更に有していても良く、そのような置換基の具体例は、Rとしての1価の脂環式炭化水素基、アリール基、及び、ヘテロアリール基が更に有していてもよい置換基について前述したものと同様である。
上記Rで表される2価の連結基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基が好ましく、アルキレン基がより好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基が更に好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基が特に好ましい。
Rfは、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基である。このアルキル基の炭素数は、1〜30であることが好ましく、1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。また、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Rfは、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。より具体的には、Rfはフッ素原子又はCFであることが好ましい。
は1であることが好ましい。
は1であることが好ましい。
上記一般式(A−I)で表されるスルホン酸アニオンの好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例には、上述した一般式(2)で表されるスルホン酸アニオンに該当するものも含まれている。
非求核性アニオンZ-は、一般式(2’)で表されるジスルホニルイミド酸アニオンであってもよい。
一般式(2’)中、
Xfは、上記一般式(2)で定義した通りであり、好ましい例も同様である。一般式(2’)において、2つのXfは互いに連結して環構造を形成してもよい。
についてのジスルホニルイミド酸アニオンとしては、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンであることが好ましい。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおける2つのアルキル基が互いに連結してアルキレン基(好ましくは炭素数2〜4)を成し、イミド基及び2つのスルホニル基とともに環を形成していてもよい。ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンが形成していてもよい上記の環構造としては、5〜7員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。
これらのアルキル基、及び2つのアルキル基が互いに連結して成すアルキレン基が有し得る置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
酸発生剤として、更に、下記一般式(ZV)で表される化合物も挙げられる。
一般式(ZV)中、
208はアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
208のアリール基の具体例としては、上記一般式(ZI)におけるR201〜R203としてのアリール基の具体例と同様のものを挙げることができる。
208のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例としては、それぞれ、上記一般式(ZI)におけるR201〜R203としてのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例と同様のものを挙げることができる。
Aのアルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基を、Aのアルケニレン基としては、炭素数2〜12のアルケニレン基を、Aのアリーレン基としては、炭素数6〜10のアリーレン基を、それぞれ挙げることができる。
酸発生剤の例を以下に挙げる。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
酸発生剤の含有量は、感光性組成物の全固形分を基準として、1〜10質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましく、3〜5質量%であることがさらに好ましい。上記含有量が3質量%以上であることで、硬化膜をより低反射化することができる。上記含有量が5質量%以下であることで、残膜率が向上する傾向にある。
〔塩基発生剤〕
塩基発生剤は、活性光線又は放射線の照射により塩基を発生する化合物(以下、「光塩基発生剤」ともいう。)である。
塩基発生剤は、これに限定されないが、例えば、カルバメート類、アミド類、アミン類、イミド類、オキシムエステル類、αコバルト錯体類、イミダゾール類等が挙げられる。
具体的には、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカーバメート、1−(2−ニトロフェニル)エチルシクロヘキシルカーバメート、2,6−ジニトロベンジルシクロヘキシルカーバメート、1−(2,6−ジニトロフェニル)エチルシクロヘキシルカーバメート、1−(3,5−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチルシクロヘキシルカーバメート、1−ベンゾイル−1−フェニルメチルシクロヘキシルカーバメート、2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルシクロヘキシルカーバメート、1,2,3−ベンゼントリイルトリス(シクロヘキシルカーバメート)、α−(シクロヘキシルカーバモイルオキシイミノ)−α−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル、N−(シクロヘキシルカーバモイルオキシ)スクシンイミド、トリフェニルメタノール、o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン−1,6−ジアミン、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(3−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−クロロ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(5−メチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4,5−ジメチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール等、N−(2−メチル−2−フェニルプロピオニルオキシ)−N−シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
中でも、硬化性、貯蔵安定性のバランスの点で、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカーバメート、トリフェニルメタノール、o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン−1,6−ジアミン、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(3−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−クロロ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(5−メチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4,5−ジメチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール等が好ましい。
光塩基発生剤としては、例えば、下記一般式(PBG−2)〜(PBG−5)で表される化合物群、ニフェジピン類等の非イオン性の光塩基発生剤、下記一般式(PBG−6)、下記一般式(PBG−7)で表される4級アンモニウム塩等のイオン性の光塩基発生剤なども用いることができる。
(R−OCO−NH)−R ・・・(PBG−2)
ここで、式中、Rは炭素数1〜30の1価の有機基を示し、側鎖にメトキシ基又はニトロ基を有する芳香族環を含んでいてもよく、Rは炭素数1〜20の1〜4価の有機基を示し、mは1〜4の整数である。
(RC=N−OCO)−R …(PBG−3)
ここで、式中、R及びmは上記一般式(PBG−2)におけるものと同義であり、R及びRは各々独立に炭素数1〜30の1価の有機基を示し、互いに結合して環状構造を形成してもよい。
−OCO−NR ・・・(PBG−4)
ここで、式中、Rは上記一般式(PBG−2)におけるものと同義であり、R及びRは各々独立に炭素数1〜30の1価の有機基を示し、互いに結合して環状構造を形成してもよく、いずれか一方が水素原子であってもよい。
−CO−R−NR ・・・(PBG−5)
ここで、式中、R及びRは上記一般式(PBG−4)におけるものと同義であり、Rは炭素数1〜30の1価の有機基を示し、側鎖にアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキル置換アミノ基又はアルキルチオ基を有する芳香族環を含んでいてもよく、Rは炭素数1〜30の2価の有機基を示す。
ここで、一般式(PBG−6)中、R10は炭素数1〜30の1価の有機基を示し、R11及びR12は各々独立に炭素数1〜30の1価の有機基又は水素原子を示し、Xは、下記一般式(6A)、(6B)、(6C)、(6D)、(6E)及び(6F)(以下、「(6A)〜(6F)」のように表記する。)のいずれかで表される1価の基を示し、Zはアンモニウム塩の対イオンを示し、tは1〜3の整数であり、p及びqは0〜2の整数であり、t+p+q=3である。
ここで、一般式(6A)〜(6F)中、R13、R14、R15及びR16は各々独立に炭素数1〜30の1価の有機基を示し、R17、R18及びR19は各々独立に炭素数1〜30の2価の有機基又は単結合を示し、R20及びR21は各々独立に炭素数1〜30の3価の有機基を示す。
ここで、一般式(PBG−7)中、R10、R11及びR12、Z、t、p及びqは上記一般式(PBG−6)におけるものと同様であり、Xは下記一般式(7A)〜(7D)のいずれかで表される2価の基を示す。
ここで、一般式(7A)〜(7D)中、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20及びR21は、上記一般式(6A)〜(6F)におけるものと同義である。
塩基発生剤は、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
塩基発生剤の含有量は、感光性組成物の全固形分を基準として、1〜10質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましく、3〜5質量%であることがさらに好ましい。上記含有量が3質量%以上であることで、硬化膜をより低反射化することができる。上記含有量が5質量%以下であることで、残膜率が向上する傾向にある。
<着色剤>
本発明の組成物は、着色剤を含有することが好ましい。
着色剤は、各種公知の着色顔料および着色染料を用いることができる。
着色染料としては、例えば、カラーフィルタ製造に用いる場合であれば、カラーフィルタの色画素を形成するR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)等の有彩色系の染料(有彩色染料)の他、特開2014−42375の段落0027〜0200に記載の着色剤を用いることもできる。また、ブラックマトリクス形成用もしくは遮光性膜系形成用に一般に用いられている黒色系染料(黒色染料)を用いることができる。
着色顔料としては、例えば、カラーフィルタ製造に用いる場合であれば、カラーフィルタの色画素を形成するR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)等の有彩色系の顔料(有彩色顔料)、およびブラックマトリクス形成用、もしくは遮光性膜系形成用に一般に用いられている黒色系顔料(黒色顔料)を用いることができる。
有彩色系の顔料としては、従来公知の種々の無機顔料または有機顔料を用いることができる。また、無機顔料であれ有機顔料であれ、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、なるべく細かいものの使用が好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、上記顔料の平均一次粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。
なお、顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)を用いて測定できる。透過型電子顕微鏡としては、例えば、日立ハイテクノロジーズ社製の透過型顕微鏡HT7700を用いることができる。
透過型電子顕微鏡を用いて得た粒子像の最大長(Dmax:粒子画像の輪郭上の2点における最大長さ)、および最大長垂直長(DV−max:最大長に平行な2本の直線で画像を挟んだ時、2直線間を垂直に結ぶ最短の長さ)を測長し、その相乗平均値(Dmax×DV−max)1/2を粒子径とした。この方法で100個の粒子の粒子径を測定し、その算術平均値を平均粒子径として、顔料の平均一次粒子径とした。本明細書の実施例における「平均一次粒子径」も上記の算術平均値と同じである。
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および上記金属の複合酸化物を挙げることができる。
〔顔料〕
顔料としては、従来公知の種々の無機顔料または有機顔料を挙げることができる。
無機顔料としては、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物や、上記金属の複合酸化物を挙げることができる。
有機顔料として、以下のものを挙げることができる。但し本発明は、これらに限定されるものではない。
カラーインデックス(C.I.)ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214等、
C.I.ピグメントオレンジ 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等、
C.I.ピグメントレッド 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279
C.I.ピグメントグリーン 7,10,36,37,58,59
C.I.ピグメントバイオレット 1,19,23,27,32,37,42
C.I.ピグメントブルー 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80
これら有機顔料は、単独もしくは色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。
(黒色顔料)
本発明では、顔料として黒色顔料を用いることもできる。以下、黒色顔料についてさらに詳しく説明する。
黒色顔料は、各種公知の黒色顔料を用いることができる。特に、少量で高い光学濃度を実現できる観点から、カーボンブラック、チタンブラック、酸化チタン、酸化鉄、酸化マンガン、グラファイト等が好ましく、なかでも、カーボンブラック、チタンブラックのうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、特に露光による硬化効率に関わる開始剤の光吸収波長領域の吸収が少ない観点からチタンブラックが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、市販品である、C.I.ピグメントブラック 1等の有機顔料C.I.ピグメントブラック 7等の無機顔料があげられるがこれらに限定されるものではない。
(その他の顔料)
本発明では、顔料として黒色顔料として記載した顔料以外で赤外線吸収性を有する顔料を用いることもできる。
赤外線吸収性を有する顔料としては、タングステン化合物、金属ホウ化物等が好ましく、なかでも、赤外領域の波長における遮光性に優れる点から、タングステン化合物が好ましい。特に露光による硬化効率に関わる開始剤の光吸収波長領域と、可視光領域の透光性に優れる観点からタングステン化合物が好ましい。
これらの顔料は、2種以上併用してもよく、また、後述する染料と併用してもよい。色味の調整や、所望の波長領域の遮光性を高めるため、例えば、黒色、または赤外線遮光性を有する顔料に上述した赤色、緑色、黄色、オレンジ色、紫色、およびブルーなどの有彩色顔料もしくは後述する染料を混ぜる態様が挙げられる。黒色、または赤外線遮光性を有する顔料に赤色顔料もしくは染料と、紫色顔料もしくは染料とを含むことが好ましく、黒色、または赤外線遮光性を有する顔料に赤色顔料を含むことが特に好ましい。
黒色顔料は、チタンブラックを含有することが好ましい。
チタンブラックとは、チタン原子を含有する黒色粒子である。好ましくは低次酸化チタンや酸窒化チタン等である。特に限定されないが、酸窒化チタンとしては、WO2008/123097号公報、特開2009−58946号公報、特開2010−14848号公報、特開2010−97210号公報、および、特開2011−227467号公報に記載の酸窒化チタンが用いられ、また、特開2010−95716号公報に記載されているような酸窒化チタンと炭化チタンの混合物なども使用できる。また、チタンブラック粒子は、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能である。酸化珪素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、または、酸化ジルコニウムで被覆することが可能であり、また、特開2007−302836号公報に表されるような撥水性物質での処理も可能である。
チタンブラックは、典型的には、チタンブラック粒子であり、個々の粒子の一次粒径および平均一次粒径のいずれもが小さいものであることが好ましい。
具体的には、平均一次粒径で10nm〜45nmの範囲のものが好ましい。
チタンブラックの比表面積は特に制限されないが、チタンブラックを撥水化剤で表面処理した後の撥水性が所定の性能となるために、BET(Brunauer, Emmett, Teller)法にて測定した値が5m2/g以上150m2/g以下であることが好ましく、20m2/g以上120m2/g以下であることがより好ましい。
チタンブラックの市販品の例としては、チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C、13R、13R−N、13M−T(商品名:三菱マテリアル(株)製)、ティラック(Tilack)D(商品名:赤穂化成(株)製)などが挙げられる。
さらに、チタンブラックを、チタンブラックおよびSi原子を含む被分散体として含有することも好ましい。
この形態において、チタンブラックは、組成物中において被分散体として含有されるものであり、被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)が質量換算で0.05以上が好ましく、0.05〜0.5がより好ましく、0.07〜0.4がさらに好ましい。
ここで、上記被分散体は、チタンブラックが一次粒子の状態であるもの、凝集体(二次粒子)の状態であるものの双方を包含する。
被分散体のSi/Tiを変更する(例えば、0.05以上とする)ためには、以下のような手段を用いることができる。
先ず、酸化チタンとシリカ粒子とを分散機を用いて分散することにより分散物を得て、この分散物を高温(例えば、850〜1000℃)にて還元処理することにより、チタンブラック粒子を主成分とし、SiとTiとを含有する被分散体を得ることができる。上記還元処理は、アンモニアなどの還元性ガスの雰囲気下で行うこともできる。
酸化チタンとしては、TTO−51N(商品名:石原産業製)などが挙げられる。
シリカ粒子の市販品としては、AEROSIL(登録商標)90、130、150、200、255、300、380(商品名:エボニック製)などが挙げられる。
酸化チタンとシリカ粒子との分散は、分散剤を用いてもよい。分散剤としては、後述する分散剤の欄で説明するものが挙げられる。
上記の分散は溶剤中で行ってもよい。溶剤としては、水、有機溶剤が挙げられる。後述する有機溶剤の欄で説明するものが挙げられる。
Si/Tiが、例えば、0.05以上等に調整されたチタンブラックは、例えば、特開2008−266045号公報の段落番号〔0005〕および段落番号〔0016〕〜〔0021〕に記載の方法により作製することができる。
チタンブラックおよびSi原子を含む被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)を好適な範囲(例えば0.05以上)に調整することで、この被分散体を含む組成物を用いて遮光膜を形成した際に、遮光膜の形成領域外における組成物由来の残渣物が低減される。なお、残渣物は、チタンブラック粒子、樹脂成分等の組成物に由来する成分を含むものである。
残渣物が低減される理由は未だ明確ではないが、上記のような被分散体は小粒径となる傾向があり(例えば、粒径が30nm以下)、さらに、この被分散体のSi原子が含まれる成分が増すことにより、膜全体の下地との吸着性が低減され、これが、遮光膜の形成における未硬化の組成物(特に、チタンブラック)の現像除去性の向上に寄与すると推測している。
また、チタンブラックは、紫外光から赤外光までの広範囲に亘る波長領域の光に対する遮光性に優れることから、上記したチタンブラックおよびSi原子を含む被分散体(好ましくはSi/Tiが質量換算で0.05以上であるもの)を用いて形成された遮光膜は優れた遮光性を発揮する。
なお、被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)は、例えば、特開2013−249417号公報の段落0033に記載の方法(1−1)または方法(1−2)を用いて測定できる。
また、組成物を硬化して得られた遮光膜に含有される被分散体について、その被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)が0.05以上か否かを判断するには、特開2013−249417号公報の段落0035に記載の方法(2)を用いる。
チタンブラックおよびSi原子を含む被分散体において、チタンブラックは、上記したものを使用できる。
また、この被分散体においては、チタンブラックと共に、分散性、着色性等を調整する目的で、Cu、Fe、Mn、V、Ni等の複合酸化物、酸化コバルト、酸化鉄、カーボンブラック、アニリンブラック等からなる黒色顔料を、1種または2種以上を組み合わせて、被分散体として併用してもよい。
この場合、全被分散体中の50質量%以上をチタンブラックからなる被分散体が占めることが好ましい。
また、この被分散体においては、遮光性の調整等を目的として、本発明の効果を損なわない限りにおいて、チタンブラックと共に、他の着色剤(有機顔料や染料など)を所望により併用してもよい。
以下、被分散体にSi原子を導入する際に用いられる材料について述べる。被分散体にSi原子を導入する際には、シリカなどのSi含有物質を用いればよい。
用いうるシリカとしては、沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、合成シリカなどを挙げることができ、これらを適宜選択して使用すればよい。
さらに、シリカ粒子の粒径が遮光膜を形成した際に膜厚よりも小さい粒径であると遮光性がより優れるため、シリカ粒子として微粒子タイプのシリカを用いることが好ましい。なお、微粒子タイプのシリカの例としては、例えば、特開2013−249417号公報の段落0039に記載のシリカが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、顔料としては、タングステン化合物、金属ホウ化物も使用できる。
以下に、タングステン化合物、および金属ホウ化物について詳述する。
本発明の感光性組成物は、タングステン化合物、および/または金属ホウ化物を使用できる。
タングステン化合物、および金属ホウ化物は、赤外線(波長が約800〜1200nmの光)に対しては吸収が高く(すなわち、赤外線に対する遮光性(遮蔽性)が高く)、可視光に対しては吸収が低い赤外線遮蔽材である。このため、本発明の感光性組成物は、タングステン化合物、および/または金属ホウ化物を含有することで、赤外領域における遮光性が高く、可視光領域における透光性が高いパターンを形成できる。
また、タングステン化合物、および金属ホウ化物は、画像形成に用いられる、高圧水銀灯、KrF、ArFなどの露光に用いられる可視域より短波の光に対しても吸収が小さい。このため、後述する重合性化合物、アルカリ可溶性樹脂、および光重合開始剤と組み合わされることにより、優れたパターンが得られると共に、パターン形成において、現像残渣をより抑制できる。
タングステン化合物としては、酸化タングステン系化合物、ホウ化タングステン系化合物、硫化タングステン系化合物などを挙げることができ、下記一般式(組成式)(I)で表される酸化タングステン系化合物が好ましい。
・・・(I)
Mは金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0
Mの金属としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Sn、Pb、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Biなどが挙げられるが、アルカリ金属であることが好ましい。Mの金属は1種でも2種以上でもよい。
Mはアルカリ金属であることが好ましく、RbまたはCsであることがより好ましく、Csであることがさらに好ましい。
x/yが0.001以上であることにより、赤外線を十分に遮蔽することができ、1.1以下であることにより、タングステン化合物中に不純物相が生成されることをより確実に回避することできる。
z/yが2.2以上であることにより、材料としての化学的安定性をより向上させることができ、3.0以下であることにより赤外線を十分に遮蔽することができる。
上記一般式(I)で表される酸化タングステン系化合物の具体例としては、Cs0.33WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Ba0.33WOなどを挙げることができ、Cs0.33WOまたはRb0.33WOであることが好ましく、Cs0.33WOであることがより好ましい。
タングステン化合物は微粒子であることが好ましい。タングステン微粒子の平均粒子径は、800nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましい。平均粒子径がこのような範囲であることによって、タングステン微粒子が光散乱によって可視光を遮断しにくくなることから、可視光領域における透光性をより確実にすることができる。光散乱を回避する観点からは、平均粒子径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、タングステン微粒子の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
また、タングステン化合物は2種以上を使用することが可能である。
タングステン化合物は市販品として入手可能であるが、タングステン化合物が、例えば酸化タングステン系化合物である場合、酸化タングステン系化合物は、タングステン化合物を不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気中で熱処理する方法により得ることができる(特許第4096205号公報を参照)。
また、酸化タングステン系化合物は、例えば、住友金属鉱山株式会社製のYMF−02などのタングステン微粒子の分散物としても、入手可能である。
また、金属ホウ化物としては、ホウ化ランタン(LaB)、ホウ化プラセオジウム(PrB)、ホウ化ネオジウム(NdB)、ホウ化セリウム(CeB)、ホウ化イットリウム(YB)、ホウ化チタン(TiB)、ホウ化ジルコニウム(ZrB)、ホウ化ハフニウム(HfB)、ホウ化バナジウム(VB)、ホウ化タンタル(TaB)、ホウ化クロム(CrB、CrB)、ホウ化モリブデン(MoB、Mo、MoB)、ホウ化タングステン(W)などの1種または2種以上を挙げることができ、ホウ化ランタン(LaB)であることが好ましい。
金属ホウ化物は微粒子であることが好ましい。金属ホウ化物微粒子の平均粒子径は、800nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。平均粒子径がこのような範囲であることによって、金属ホウ化物微粒子が光散乱によって可視光を遮断しにくくなることから、可視光領域における透光性をより確実にすることができる。光散乱を回避する観点からは、平均粒子径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、金属ホウ化物微粒子の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
また、金属ホウ化物は2種以上を使用することが可能である。
金属ホウ化物は市販品として入手可能であり、例えば、住友金属鉱山株式会社製のKHF−7等の金属ホウ化物微粒子の分散物としても、入手可能である。
〔染料〕
染料としては、例えば特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許4808501号明細書、米国特許5667920号明細書、米国特許505950号明細書、米国特許5667920号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報等に開示されている色素を使用できる。化学構造として区分すると、ピラゾールアゾ化合物、ピロメテン化合物、アニリノアゾ化合物、トリフェニルメタン化合物、アントラキノン化合物、ベンジリデン化合物、オキソノール化合物、ピラゾロトリアゾールアゾ化合物、ピリドンアゾ化合物、シアニン化合物、フェノチアジン化合物、ピロロピラゾールアゾメチン化合物等を使用できる。また、染料としては色素多量体を用いてもよい。色素多量体としては、特開2011−213925号公報、特開2013−041097号公報に記載されている化合物が挙げられる。
また、本発明では、着色剤として、波長800〜900nmの範囲に吸収極大を有する着色剤を用いることができる。
このような分光特性を有する着色剤としては、例えば、ピロロピロール化合物、銅化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、イミニウム化合物、チオール錯体系化合物、遷移金属酸化物系化合物、スクアリリウム化合物、ナフタロシアニン化合物、クオタリレン化合物、ジチオール金属錯体系化合物、クロコニウム化合物等が挙げられる。
フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、イミニウム化合物、シアニン化合物、スクアリウム化合物およびクロコニウム化合物は、特開2010−111750号公報の段落0010〜0081に開示の化合物を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。シアニン化合物は、例えば、「機能性色素、大河原信/松岡賢/北尾悌次郎/平嶋恒亮・著、講談社サイエンティフィック」を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
上記分光特性を有する着色剤として、特開平07−164729号公報の段落0004〜0016に開示の化合物や、特開2002−146254号公報の段落0027〜0062に開示の化合物、特開2011−164583号公報の段落0034〜0067に開示のCuおよび/またはPを含む酸化物の結晶子からなり数平均凝集粒子径が5〜200nmである近赤外線吸収粒子を使用することもできる。
本発明において、波長800〜900nmの範囲に吸収極大を有する着色剤は、ピロロピロール化合物が好ましい。ピロロピロール化合物は、顔料であってもよく、染料であってもよいが、耐熱性に優れた膜を形成できる感光性組成物が得られやすいという理由から顔料が好ましい。
ピロロピロール化合物の詳細については、特開2009−263614号公報の段落番号0017〜0047の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれることする。また、その具体例としては、特開2009−263614号公報の段落番号0049〜0058に記載の化合物などが挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれることする。
また、国際公開第2014/142144号の段落0027〜0200に記載の染料多量体や、特開2011−242752号公報の段落0018〜0078の染料多量体も好的に用いることができる。
さらに、本発明の感光性組成物は、必要に応じて体質顔料を含んでいてもよい。このような体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ白、グロス白、チタンホワイト、ハイドロタルサイト等を挙げることができる。これらの体質顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。体質顔料の使用量は、着色剤100質量部に対して、通常、0〜100質量部、好ましくは5〜50質量部、さらに好ましくは10〜40質量部である。本発明において、着色剤および体質顔料は、場合により、それらの表面をポリマーで改質して使用することができる。
また、黒色顔料、または可視光領域の波長の光の透過性に優れ、赤外線領域の波長の光を遮光する機能に優れる顔料に加えて、必要に応じて赤色、青色、黄色、緑色、紫色等の着色有機顔料、もしくは染料を含んでいてもよい。着色有機顔料、もしくは染料と黒色顔料、または可視光領域の波長の光の透過性に優れ、赤外線領域の波長の光を遮光する機能に優れる顔料とを併用する場合としては、赤色顔料、もしくは染料を黒色顔料、または可視光領域の波長の光の透過性に優れ、赤外線領域の波長の光を遮光する機能に優れる顔料に対して1〜40質量%用いることが好ましく、赤色、もしくは染料としてはピグメントレッド254であることが好ましい。
組成物中における着色剤(特に好ましくは黒色顔料)の含有量は、組成物中の全固形分に対して、20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、35〜60質量%がさらに好ましい。
〔分散剤〕
本発明の組成物は、分散剤を含有することが好ましい。分散剤は、上述したチタンブラックなどの着色顔料の分散性向上に寄与する。
分散剤としては、例えば、公知の顔料分散剤を適宜選択して用いることができる。なかでも、高分子化合物が好ましい。
分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、および、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、および、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子化合物は、その構造からさらに直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、およびブロック型高分子に分類することができる。
高分子化合物は、黒色顔料等の着色剤および所望により併用する顔料等の被分散体の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
一方で、チタンブラックや、上記したチタンブラックおよびSi原子を含む被分散体の表面を改質することにより、これらに対する高分子化合物の吸着性を促進させることもできる。
高分子化合物は、グラフト鎖を有する構造単位を有することが好ましい。なお、本明細書において、「構造単位」とは「繰り返し単位」と同義である。
このようなグラフト鎖を有する構造単位を有する高分子化合物は、グラフト鎖によって溶剤との親和性を有するために、黒色顔料等の着色顔料の分散性、および、経時後の分散安定性に優れるものである。また、組成物においては、グラフト鎖の存在により重合性化合物またはその他の併用可能な樹脂などとの親和性を有するので、アルカリ現像で残渣を生じにくくなる。
グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり分散性は向上するが、一方グラフト鎖が長すぎると黒色顔料等の着色顔料への吸着力が低下して分散性は低下する傾向となる。このため、グラフト鎖は、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるものが好ましく、水素原子を除いた原子数が50〜2000であるものがより好ましく、水素原子を除いた原子数が60〜500であるものがさらに好ましい。
ここで、グラフト鎖とは、共重合体の主鎖の根元(主鎖から枝分かれしている基において主鎖に結合する原子)から、主鎖から枝分かれしている基の末端までを示す。
グラフト鎖は、ポリマー構造を有することが好ましく、このようなポリマー構造としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート構造(例えば、ポリ(メタ)アクリル構造)、ポリエステル構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造、ポリアミド構造、および、ポリエーテル構造などを挙げることができる。
グラフト鎖と溶剤との相互作用性を向上させ、それにより分散性を高めるために、グラフト鎖は、ポリエステル構造、ポリエーテル構造およびポリ(メタ)アクリレート構造からなる群から選ばれた少なくとも1種を有するグラフト鎖であることが好ましく、ポリエステル構造およびポリエーテル構造の少なくともいずれかを有するグラフト鎖であることがより好ましい。
このようなポリマー構造をグラフト鎖として有するマクロモノマーの構造としては、特に限定されないが、好ましくは、反応性二重結合性基を有するマクロモノマーを好適に使用することができる。
高分子化合物が有するグラフト鎖を有する構造単位に対応し、高分子化合物の合成に好適に用いられる市販のマクロモノマーとしては、AA−6(商品名、東亜合成(株))、AA−10(商品名、東亜合成(株)製)、AB−6(商品名、東亜合成(株)製)、AS−6(商品名、東亜合成(株))、AN−6(商品名、東亜合成(株)製)、AW−6(商品名、東亜合成(株)製)、AA−714(商品名、東亜合成(株)製)、AY−707(商品名、東亜合成(株)製)、AY−714(商品名、東亜合成(株)製)、AK−5(商品名、東亜合成(株)製)、AK−30(商品名、東亜合成(株)製)、AK−32(商品名、東亜合成(株)製)、ブレンマーPP−100(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−500(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−800(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−1000(商品名、日油(株)製)、ブレンマー55−PET−800(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPME−4000(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPSE−400(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPSE−1300(商品名、日油(株)製)、ブレンマー43PAPE−600B(商品名、日油(株)製)などが用いられる。このなかでも、好ましくは、AA−6(商品名、東亜合成(株)製)、AA−10(商品名、東亜合成(株))、AB−6(商品名、東亜合成(株)製)、AS−6(商品名、東亜合成(株))、AN−6(商品名、東亜合成(株)製)、ブレンマーPME−4000(商品名、日油(株)製)などが用いられる。
高分子化合物は、グラフト鎖を有する構造単位として、下記式(1)〜式(4)のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましく、下記式(1A)、下記式(2A)、下記式(3A)、下記式(3B)、および下記(4)のいずれかで表される構造単位を含むことがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、W、W、W、およびWはそれぞれ独立に酸素原子またはNHを表す。W、W、W、およびWは酸素原子であることが好ましい。
式(1)〜式(4)において、X、X、X、X、およびXは、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。X、X、X、X、およびXとしては、合成上の制約の観点からは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)〜式(4)において、Y、Y、Y、およびYは、それぞれ独立に、2価の連結基を表し、連結基は特に構造上制約されない。Y、Y、Y、およびYで表される2価の連結基として、具体的には、下記の(Y−1)〜(Y−21)の連結基などが例として挙げられる。下記に示した構造において、A、Bはそれぞれ、式(1)〜式(4)における左末端基、右末端基との結合部位を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)または(Y−13)であることがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、Z、Z、Z、およびZは、それぞれ独立に1価の有機基を表す。有機基の構造は、特に限定されないが、具体的には、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、およびアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、Z、Z、Z、およびZで表される有機基としては、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有するものが好ましく、各々独立に炭素数5から24のアルキル基またはアルコキシ基が好ましく、その中でも、特に各々独立に炭素数5から24の分岐アルキル基、炭素数5から24の環状アルキル基、または、炭素数5から24のアルコキシ基が好ましい。なお、アルコキシ基中に含まれるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
式(1)〜式(4)において、n、m、p、およびqは、それぞれ独立に、1から500の整数である。
また、式(1)および式(2)において、jおよびkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(1)および式(2)におけるjおよびkは、分散安定性、現像性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
式(3)中、Rは分岐もしくは直鎖のアルキレン基を表し、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数2または3のアルキレン基がより好ましい。pが2〜500のとき、複数存在するRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
式(4)中、Rは水素原子または1価の有機基を表し、この1価の有機基としては特に構造上限定はされない。Rとして好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基が挙げられ、さらに好ましくは、水素原子、またはアルキル基である。Rがアルキル基である場合、アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、または炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。式(4)において、qが2〜500のとき、グラフト共重合体中に複数存在するXおよびRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
また、高分子化合物は、2種以上の構造が異なる、グラフト鎖を有する構造単位を有することができる。即ち、高分子化合物の分子中に、互いに構造の異なる式(1)〜式(4)で示される構造単位を含んでいてもよく、また、式(1)〜式(4)においてn、m、p、およびqがそれぞれ2以上の整数を表す場合、式(1)および式(2)においては、側鎖中にjおよびkが互いに異なる構造を含んでいてもよく、式(3)および式(4)においては、分子内に複数存在するR、RおよびXは互いに同じであっても異なっていてもよい。
式(1)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(1A)で表される構造単位であることがより好ましい。
また、式(2)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(2A)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(1A)中、X、Y、Zおよびnは、式(1)におけるX、Y、Zおよびnと同義であり、好ましい範囲も同様である。式(2A)中、X、Y、Zおよびmは、式(2)におけるX、Y、Zおよびmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、式(3)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(3A)または式(3B)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(3A)または(3B)中、X、Y、Zおよびpは、式(3)におけるX、Y、Zおよびpと同義であり、好ましい範囲も同様である。
高分子化合物は、グラフト鎖を有する構造単位として、式(1A)で表される構造単位を有することがより好ましい。
高分子化合物において、グラフト鎖を有する構造単位(例えば、上記式(1)〜式(4)で表される構造単位)は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対し2〜90%の範囲で含まれることが好ましく、5〜30%の範囲で含まれることがより好ましい。グラフト鎖を有する構造単位が、この範囲内で含まれると黒色顔料等の着色顔料(特に、チタンブラック粒子)の分散性が高く、硬化膜を形成する際の現像性が良好である。
また、高分子化合物は、グラフト鎖を有する構造単位とは異なる(すなわち、グラフト鎖を有する構造単位には相当しない)疎水性構造単位を有することが好ましい。ただし、本発明において、疎水性構造単位は、酸基(例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等)を有さない構造単位である。
疎水性構造単位は、好ましくは、ClogP値が1.2以上の化合物(モノマー)に由来する(対応する)構造単位であり、より好ましくは、ClogP値が1.2〜8の化合物に由来する構造単位である。これにより、本発明の効果をより確実に発現することができる。
ClogP値は、Daylight Chemical Information System, Inc.から入手できるプログラム“CLOGP”で計算された値である。このプログラムは、Hansch, Leoのフラグメントアプローチ(下記文献参照)により算出される“計算logP”の値を提供する。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、化学構造を部分構造(フラグメント)に分割し、そのフラグメントに対して割り当てられたlogP寄与分を合計することにより化合物のlogP値を推算している。その詳細は以下の文献に記載されている。本発明では、プログラムCLOGP v4.82により計算したClogP値を用いる。
A. J. Leo, Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C. Hansch, P. G. Sammnens, J. B. Taylor and C. A. Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990 C. Hansch & A. J. Leo. SUbstituent Constants For Correlation Analysis in Chemistry and Biology. John Wiley & Sons. A.J. Leo. Calculating logPoct from structure. Chem. Rev., 93, 1281−1306, 1993.
logPは、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある有機化合物が油(一般的には1−オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値であり、以下の式で示される。
logP=log(Coil/Cwater)
式中、Coilは油相中の化合物のモル濃度を、Cwaterは水相中の化合物のモル濃度を表す。
logPの値が0をはさんでプラスに大きくなると油溶性が増し、マイナスで絶対値が大きくなると水溶性が増すことを意味し、有機化合物の水溶性と負の相関があり、有機化合物の親疎水性を見積るパラメータとして広く利用されている。
高分子化合物は、疎水性構造単位として、下記一般式(i)〜(iii)表される単量体に由来の構造単位から選択された1種以上の構造単位を有することが好ましい。
上記式(i)〜(iii)中、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、または炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
、R、およびRは、より好ましくは水素原子、または炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、水素原子またはメチル基である。RおよびRは、水素原子であることが特に好ましい。
Xは、酸素原子(−O−)またはイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
Lは、単結合または2価の連結基である。2価の連結基としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、置換アリーレン基)、2価の複素環基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基または複素環基)、カルボニル基(−CO−)、または、これらの組合せ等が挙げられる。
2価の脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基であっても飽和脂肪族基であってもよいが、飽和脂肪族基であることが好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、芳香族基および複素環基等が挙げられる。
2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基および複素環基等が挙げられる。
2価の複素環基は、複素環として5員環または6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基または複素環基)、脂肪族基、芳香族基、または、複素環基が挙げられる。
Lは、単結合、アルキレン基またはオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造またはオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lは、オキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としては、ポリオキシエチレン構造またはポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
Zとしては、脂肪族基(例えば、アルキル基、置換アルキル基、不飽和アルキル基、置換不飽和アルキル基、)、芳香族基(例えば、アリール基、置換アリール基、アリーレン基、置換アリーレン基)、複素環基、または、これらの組み合わせが挙げられる。これらの基には、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基または複素環基)、カルボニル基(−CO−)が含まれていてもよい。
脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。脂肪族基には、さらに環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基、ビフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基などが含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)などの2環式炭化水素環、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環などの3環式炭化水素環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環などの4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン環などの5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、芳香族基および複素環基が挙げられる。ただし、脂肪族基は、置換基として酸基を有さない。
芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基および複素環基が挙げられる。ただし、芳香族基は、置換基として酸基を有さない。
複素環基は、複素環として5員環または6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基または複素環基)、脂肪族基、芳香族基および複素環基が挙げられる。ただし、複素環基は、置換基として酸基を有さない。
上記式(iii)中、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、または炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、Z、またはL−Zを表す。ここでLおよびZは、上記におけるものと同義である。R、R、およびRとしては、水素原子、または炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明においては、上記一般式(i)で表される単量体として、R、R、およびRが水素原子またはメチル基であって、Lが単結合またはアルキレン基もしくはオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子またはイミノ基であって、Zが脂肪族基、複素環基または芳香族基である化合物が好ましい。
また、上記一般式(ii)で表される単量体として、Rが水素原子またはメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zが脂肪族基、複素環基または芳香族基である化合物が好ましい。また、上記一般式(iii)で表される単量体として、R、R、およびRが水素原子またはメチル基であって、Zが脂肪族基、複素環基または芳香族基である化合物が好ましい。
式(i)〜(iii)で表される代表的な化合物の例としては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類などから選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。
なお、式(i)〜(iii)で表される代表的な化合物の例としては、特開2013−249417号公報の段落0089〜0093に記載の化合物を参照でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
高分子化合物において、疎水性構造単位は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対し10〜90%の範囲で含まれることが好ましく、20〜80%の範囲で含まれることがより好ましい。含有量が上記範囲において十分なパターン形成が得られる。
高分子化合物は、黒色顔料等の着色顔料(特に、チタンブラック)と相互作用を形成しうる官能基を導入することができる。ここで、高分子化合物は、黒色顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位をさらに有することが好ましい。
この黒色顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基としては、例えば、酸基、塩基性基、配位性基、反応性を有する官能基等が挙げられる。
高分子化合物が、酸基、塩基性基、配位性基、または、反応性を有する官能基を有する場合、それぞれ、酸基を有する構造単位、塩基性基を有する構造単位、配位性基を有する構造単位、または、反応性を有する構造単位を有することが好ましい。
特に、高分子化合物が、さらに、酸基として、カルボン酸基などのアルカリ可溶性基を有することで、高分子化合物に、アルカリ現像によるパターン形成のための現像性を付与することができる。
すなわち、高分子化合物にアルカリ可溶性基を導入することで、本発明の組成物は、黒色顔料等の着色顔料の分散に寄与する分散剤としての高分子化合物がアルカリ可溶性を有することになる。このような高分子化合物を含有する組成物は、露光部の遮光性に優れたものとなり、且つ、未露光部のアルカリ現像性が向上される。
また、高分子化合物が酸基を有する構造単位を有することにより、高分子化合物が溶剤となじみやすくなり、塗布性も向上する傾向となる。
これは、酸基を有する構造単位における酸基が黒色顔料等の着色顔料と相互作用しやすく、高分子化合物が黒色顔料等の着色顔料を安定的に分散すると共に、黒色顔料等の着色顔料を分散する高分子化合物の粘度が低くなっており、高分子化合物自体も安定的に分散されやすいためであると推測される。
ただし、酸基としてのアルカリ可溶性基を有する構造単位は、上記したグラフト鎖を有する構造単位と同一の構造単位であっても、異なる構造単位であってもよいが、酸基としてのアルカリ可溶性基を有する構造単位は、上記した疎水性構造単位とは異なる構造単位である(すなわち、上記した疎水性構造単位には相当しない)。
黒色顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基である酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、または、フェノール性水酸基などがあり、好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、および、リン酸基のうち少なくとも1種であり、特に好ましいものは、黒色顔料等の着色顔料への吸着力が良好で、且つ、その分散性が高いカルボン酸基である。
すなわち、高分子化合物は、カルボン酸基、スルホン酸基、および、リン酸基のうち少なくとも1種を有する構造単位をさらに有することが好ましい。
高分子化合物は、酸基を有する構造単位を1種または2種以上有してもよい。
高分子化合物は、酸基を有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、酸基を有する構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは5〜80%であり、より好ましくは、アルカリ現像による画像強度のダメージ抑制という観点から、10〜60%である。
黒色顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基である塩基性基としては、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、N原子を含むヘテロ環、アミド基などがあり、特に好ましいものは、黒色顔料等の着色顔料への吸着力が良好で、且つ、その分散性が高い第3級アミノ基である。高分子化合物は、これらの塩基性基を1種或いは2種以上、有することができる。
高分子化合物は、塩基性基を有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、塩基性基を有する構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは0.01%以上50%以下であり、より好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、0.01%以上30%以下である。
黒色顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基である配位性基、および反応性を有する官能基としては、例えば、アセチルアセトキシ基、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、酸無水物、酸塩化物などが挙げられる。特に好ましいものは、黒色顔料等の着色顔料への吸着力が良好で分散性が高いアセチルアセトキシ基である。高分子化合物は、これらの基を1種または2種以上有してもよい。
高分子化合物は、配位性基を有する構造単位、または、反応性を有する官能基を有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、これらの構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは10%以上80%以下であり、より好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、20%以上60%以下である。
本発明における高分子化合物が、グラフト鎖以外に、黒色顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する場合、上述したような、各種の黒色顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基を含有していればよく、これらの官能基がどのように導入されているかは特に限定はされないが、高分子化合物は、下記一般式(iv)〜(vi)で表される単量体に由来の構造単位から選択された1種以上の構造単位を有することが好ましい。
一般式(iv)〜一般式(vi)中、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、または炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
一般式(iv)〜一般式(vi)中、R11、R12、およびR13は、より好ましくは、それぞれ独立に水素原子、または炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基である。一般式(iv)中、R12およびR13は、それぞれ水素原子であることが特に好ましい。
一般式(iv)中のXは、酸素原子(−O−)またはイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
また、一般式(v)中のYは、メチン基または窒素原子を表す。
また、一般式(iv)〜一般式(v)中のLは、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基の例としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、および置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、および置換アリーレン基)、2価の複素環基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ結合(−NR31’−、ここでR31’は脂肪族基、芳香族基または複素環基)、カルボニル結合(−CO−)、または、これらの組合せ等が挙げられる。
2価の脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基および複素環基が挙げられる。
2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜10が最も好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基および複素環基を挙げられる。
2価の複素環基は、複素環として5員環または6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環のうち1つ以上が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基または複素環基)、脂肪族基、芳香族基および複素環基を挙げられる。
は、単結合、アルキレン基またはオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造またはオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lは、オキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としては、ポリオキシエチレン構造またはポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
一般式(iv)〜一般式(vi)中、Zは、グラフト鎖以外に黒色顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基を表し、カルボン酸基、第三級アミノ基であることが好ましく、カルボン酸基であることがより好ましい。
一般式(vi)中、R14、R15、およびR16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、−Z、またはL−Zを表す。ここでLおよびZは、上記におけるLおよびZと同義であり、好ましい例も同様である。R14、R15、およびR16としては、それぞれ独立に水素原子、または炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明においては、一般式(iv)で表される単量体として、R11、R12、およびR13がそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であって、Lがアルキレン基またはオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子またはイミノ基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
また、一般式(v)で表される単量体として、R11が水素原子またはメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸基であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。
さらに、一般式(vi)で表される単量体として、R14、R15、およびR16がそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であって、Lが単結合またはアルキレン基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
以下に、一般式(iv)〜一般式(vi)で表される単量体(化合物)の代表的な例を示す。
単量体の例としては、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、分子内に付加重合性二重結合および水酸基を有する化合物(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)とコハク酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合および水酸基を有する化合物とフタル酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合および水酸基を有する化合物とテトラヒドロキシフタル酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合および水酸基を有する化合物と無水トリメリット酸との反応物、分子内に付加重合性二重結合および水酸基を有する化合物とピロメリット酸無水物との反応物、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸オリゴマー、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、4−ビニル安息香酸、ビニルフェノール、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミドなどが挙げられる。
黒色顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位の含有量は、黒色顔料等の着色顔料との相互作用、分散安定性、および現像液への浸透性の観点から、高分子化合物の全質量に対して、0.05質量%〜90質量%が好ましく、1.0質量%〜80質量%がより好ましく、10質量%〜70質量%がさらに好ましい。
さらに、高分子化合物は、画像強度などの諸性能を向上する目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、グラフト鎖を有する構造単位、疎水性構造単位、および、黒色顔料等の着色顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位とは異なる、種々の機能を有する他の構造単位(例えば、分散物に用いられる分散媒との親和性を有する官能基などを有する構造単位)をさらに有していてもよい。
このような、他の構造単位としては、例えば、アクリロニトリル類、メタクリロニトリル類などから選ばれるラジカル重合性化合物に由来の構造単位が挙げられる。
高分子化合物は、これらの他の構造単位を1種或いは2種以上用いることができ、その含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは0%以上80%以下であり、特に好ましくは、10%以上60%以下である。含有量が上記範囲において、十分なパターン形成性が維持される。
高分子化合物の酸価は、0mgKOH/g以上160mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは10mgKOH/g以上140mgKOH/g以下の範囲であり、さらに好ましくは20mgKOH/g以上120mgKOH/g以下の範囲である。
高分子化合物の酸価が160mgKOH/g以下であれば、硬化膜を形成する際の現像時におけるパターン剥離がより効果的に抑えられる。また、高分子化合物の酸価が10mgKOH/g以上であればアルカリ現像性がより良好となる。また、高分子化合物の酸価が20mgKOH/g以上であれば、黒色顔料等の着色顔料(特に、チタンブラック)や、チタンブラックおよびSi原子を含む被分散体の沈降をより抑制でき、粗大粒子数をより少なくすることができ、組成物の経時安定性をより向上できる。
本発明において、高分子化合物の酸価は、例えば、高分子化合物中における酸基の平均含有量から算出することができる。また、高分子化合物の構成成分である酸基を含有する構造単位の含有量を変化させることで所望の酸価を有する樹脂を得ることができる。
本発明における高分子化合物の重量平均分子量は、硬化膜を形成する際において、現像時のパターン剥離抑制と現像性の観点から、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によるポリスチレン換算値として、4,000以上300,000以下であることが好ましく、5,000以上200,000以下であることがより好ましく、6,000以上100,000以下であることがさらに好ましく、10,000以上50,000以下であることが特に好ましい。
GPC法は、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる方法に基づく。
高分子化合物は、公知の方法に基づいて合成でき、高分子化合物を合成する際に用いられる溶剤としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶剤は単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
本発明に用いうる高分子化合物の具体例としては、楠木化成社製「DA−7301」、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、111(リン酸系分散剤)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170、190(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、日本ルーブリゾール(株)製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、12000、17000、20000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト共重合体)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000E等、信越化学工業(株)製、オルガノシロキサンポリマーKP341、裕商(株)製「W001:カチオン系界面活性剤」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、「W004、W005、W017」等のアニオン系界面活性剤、森下産業(株)製「EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ(株)製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」等の高分子分散剤、(株)ADEKA製「アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123」、および三洋化成(株)製「イオネット(商品名)S−20」等が挙げられる。また、アクリベースFFS−6752、アクリベースFFS−187、アクリキュア−RD−F8、サイクロマーPを用いることもできる。
また、両性樹脂の市販品としては、例えば、ビックケミー社製のDISPERBYK−130、DISPERBYK−140、DISPERBYK−142、DISPERBYK−145、DISPERBYK−180、DISPERBYK−187、DISPERBYK−191、DISPERBYK−2001、DISPERBYK−2010、DISPERBYK−2012、DISPERBYK−2025、BYK−9076、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB881等が挙げられる。
これらの高分子化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、高分子化合物の具体例の例としては、特開2013−249417号公報の段落0127〜0129に記載の高分子化合物を参照でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、分散剤としては、上述した高分子化合物以外に、特開2010−106268号公報の段落0037〜0115(対応するUS2011/0124824の段落0075〜0133欄)のグラフト共重合体が使用でき、これらの内容は援用でき、本明細書に組み込まれる。
また、上記以外にも、特開2011−153283号公報の段落0028〜0084(対応するUS2011/0279759の段落0075〜0133欄)の酸性基が連結基を介して結合してなる側鎖構造を有する構成成分を含む高分子化合物が使用でき、これらの内容は援用でき、本明細書に組み込まれる。
本発明の組成物における分散剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましい。
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明の組成物は、前述した酸の作用により分解して極性基を生じる樹脂および塩基の作用により分解して極性基を生じる樹脂以外に、アルカリ可溶性樹脂(アルカリ可溶性を促進する基を有する樹脂)を含有することが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような線状有機ポリマーとしては、公知のものを任意に使用することができる。好ましくは、水現像または弱アルカリ水現像を可能とするために、水または弱アルカリ水に可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有する樹脂の中から適宜選択することができる。耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられるが、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましいものとして挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、カルボキシ基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解もしくはハーフエステル化もしくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸および酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシ基を有するモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーの例としては、無水マレイン酸等が挙げられる。また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体も例として挙げられる。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
また、欧州特許第993966号、欧州特許第1204000号、特開2001−318463号等の各公報に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
さらに、この他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また、硬化皮膜の強度を上げるために、アルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
特に、これらの中でも、〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体、および〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
市販品としては、例えばアクリベースFF−187、FF−426(藤倉化成社製)、アクリキュアRD−F8(日本触媒(株))、ダイセルオルネクス(株)製サイクロマーP(ACA)230AAなどが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類およびその量、溶剤の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
また、アルカリ可溶性樹脂として、グラフト鎖を有する構造単位と、酸基(アルカリ可溶性基)を有する構造単位と、を有するポリマーを使用することも好ましい。
グラフト鎖を有する構造単位の定義は、上述した分散剤が有するグラフト鎖を有する構造単位と同義であり、また好適範囲も同様である。
酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、または、フェノール性水酸基などがあり、好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、および、リン酸基のうち少なくとも1種であり、特に好ましいものは、カルボン酸基である。
酸基を有する構造単位としては、下記一般式(vii)〜一般式(ix)で表さる単量体に由来の構造単位から選択された1種以上の構造単位を有することが好ましい。
一般式(vii)〜一般式(ix)中、R21、R22、およびR23は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、または炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
一般式(vii)〜一般式(ix)中、R21、R22、およびR23は、より好ましくは、それぞれ独立に水素原子、または炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基である。一般式(vii)中、R21およびR23は、それぞれ水素原子であることが特に好ましい。
一般式(vii)中のXは、酸素原子(−O−)またはイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
また、一般式(viii)中のYは、メチン基または窒素原子を表す。
また、一般式(vii)〜一般式(ix)中のLは、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基の例としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、および置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、および置換アリーレン基)、2価の複素環基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ結合(−NR41’−、ここでR41’は脂肪族基、芳香族基または複素環基)、カルボニル結合(−CO−)、または、これらの組合せ等が挙げられる。
2価の脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、芳香族基および複素環基が挙げられる。
2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜10が最も好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基および複素環基を挙げられる。
2価の複素環基は、複素環として5員環または6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環のうち1つ以上が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R42、ここでR42は脂肪族基、芳香族基または複素環基)、脂肪族基、芳香族基および複素環基を挙げられる。
は、単結合、アルキレン基またはオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造またはオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lは、オキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としては、ポリオキシエチレン構造またはポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
一般式(vii)〜一般式(ix)中、Zは、酸基であり、カルボン酸基であることが好ましい。
一般式(ix)中、R24、R25、およびR26は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、−Z、またはL−Zを表す。ここでLおよびZは、上記におけるLおよびZと同義であり、好ましい例も同様である。R24、R25、およびR26としては、それぞれ独立に水素原子、または炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明においては、一般式(vii)で表される単量体として、R21、R22、およびR23がそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であって、Lがアルキレン基またはオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子またはイミノ基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
また、一般式(vii)で表される単量体として、R21が水素原子またはメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸基であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。
さらに、一般式(ix)で表される単量体として、R24、R25、およびR26がそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
上記アルカリ可溶性樹脂は、上述したグラフト鎖を有する構造単位を有する顔料分散剤と同様の方法により合成することができ、また、その好ましい酸価、重量平均分子量も同じである。
上記アルカリ可溶性樹脂は、酸基を有する構造単位を1種または2種以上有してもよい。
酸基を有する構造単位の含有量は、質量換算で、上記アルカリ可溶性樹脂の総質量に対して、好ましくは5〜95%であり、より好ましくは、アルカリ現像による画像強度のダメージ抑制という観点から、10〜90%である。
本発明の組成物におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.3〜25質量%であることがより好ましい。
<その他任意成分>
本発明の組成物中には、上述した各主成分以外の他の成分が含まれていてもよい。
以下、各種任意成分の一例について詳述する。
〔溶剤〕
本発明の組成物は、溶剤を含有してもよい。
溶剤としては、水または有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤を2種以上組み合わせて用いる場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートからなる群から選択される2種以上で構成される。
本発明の組成物に含まれる溶剤の量としては、組成物の全質量に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜85質量%であることがより好ましい。
〔シランカップリング剤〕
シランカップリング剤とは、分子中に加水分解性基とそれ以外の官能基を有する化合物である。なお、アルコキシ基等の加水分解性基は、珪素原子に結合している。
加水分解性基とは、珪素原子に直結し、加水分解反応および/または縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基が挙げられる。加水分解性基が炭素原子を有する場合、その炭素数は6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。特に、炭素数4以下のアルコキシ基または炭素数4以下のアルケニルオキシ基が好ましい。
また、シランカップリング剤は基板と硬化膜間の密着性を向上させるため、フッ素原子および珪素原子(ただし、加水分解性基が結合した珪素原子は除く)を含まないことが好ましく、フッ素原子、珪素原子(ただし、加水分解性基が結合した珪素原子は除く)、珪素原子で置換されたアルキレン基、炭素数8以上の直鎖アルキル基、および、炭素数3以上の分鎖アルキル基は含まないことが望ましい。
シランカップリング剤は、以下の式(Z)で表される基を有することが好ましい。*は結合位置を表す。
式(Z) *−Si−(RZ1
式(Z)中、RZ1は加水分解性基を表し、その定義は上述の通りである。
シランカップリング剤は、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、および、オキセタニル基からなる群から選択される1種以上の硬化性官能基を有することが好ましい。硬化性官能基は、直接、珪素原子に結合してもよく、連結基を介して珪素原子に結合していてもよい。
なお、上記シランカップリング剤に含まれる硬化性官能基の好適態様としては、ラジカル重合性基も挙げられる。
シランカップリング剤の分子量は特に制限されず、取り扱い性の点から、100〜1000の場合が多く、本発明の効果がより優れる点で、270以上が好ましく、270〜1000がより好ましい。
シランカップリング剤の好適態様の一つとしては、式(W)で表されるシランカップリング剤Xが挙げられる。
式(W) RZ2−Lz−Si−(RZ1
z1は、加水分解性基を表し、定義は上述の通りである。
z2は、硬化性官能基を表し、定義は上述のとおりであり、好適範囲も上述の通りである。
Lzは、単結合または2価の連結基を表す。Lzが2価の連結基を表す場合、2価の連結基としては、ハロゲン原子が置換していてもよいアルキレン基、ハロゲン原子が置換していてもよいアリーレン基、−NR12−、−CONR12−、−CO−、−CO−、SONR12−、−O−、−S−、−SO−、または、これらの組み合わせが挙げられる。なかでも、炭素数2〜10のハロゲン原子が置換していてもよいアルキレン基および炭素数6〜12のハロゲン原子が置換していてもよいアリーレン基からなる群から選択される少なくとも1種、または、これらの基と−NR12−、−CONR12−、−CO−、−CO−、SONR12−、−O−、−S−、およびSO−からなる群から選択される少なくとも1種の基との組み合わせからなる基が好ましく、炭素数2〜10のハロゲン原子が置換していてもよいアルキレン基、−CO−、−O−、−CO−、−CONR12−、または、これらの基の組み合わせからなる基がより好ましい。ここで、上記R12は、水素原子またはメチル基を表す。
シランカップリング剤Xとしては、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル−メチルジメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−602)、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−603)、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBE−602)、γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−903)、γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBE−903)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−503)、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−4803)などが挙げられる。
シランカップリング剤の他の好適態様としては、分子内に少なくとも珪素原子と窒素原子と硬化性官能基とを有し、かつ、珪素原子に結合した加水分解性基を有するシランカップリング剤Yが挙げられる。
このシランカップリング剤Yは、分子内に少なくとも1つの珪素原子を有すればよく、珪素原子は、以下の原子、置換基と結合できる。それらは同じ原子、置換基であっても異なっていてもよい。結合しうる原子、置換基は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1から20のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキル基および/またはアリール基で置換可能なアミノ基、シリル基、炭素数1から20のアルコキシ基、アリーロキシ基などが挙げられる。これらの置換基はさらに、シリル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、チオアルコキシ基、アルキル基および/またはアリール基で置換可能なアミノ基、ハロゲン原子、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、アミド基、ウレア基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、カルボキシ基、またはその塩、スルホ基、またはその塩などで置換されていてもよい。
なお、珪素原子には少なくとも一つの加水分解性基が結合している。加水分解性基の定義は、上述の通りである。
シランカップリング剤Yには、式(Z)で表される基が含まれていてもよい。
シランカップリング剤Yは、分子内に窒素原子を少なくとも1つ以上有し、窒素原子は、2級アミノ基或いは3級アミノ基の形態で存在することが好ましく、即ち、窒素原子は置換基として少なくとも1つの有機基を有することが好ましい。なお、アミノ基の構造としては、含窒素ヘテロ環の部分構造の形態で分子内に存在してもよく、アニリンなど置換アミノ基として存在していてもよい。
ここで、有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または、これらの組み合わせなどが挙げられる。これらはさらに置換基を有してもよく、導入可能な置換基としては、シリル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、アミド基、ウレア基、アルキレンオキシ基アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、カルボキシ基、またはその塩、スルホ基などが挙げられる。
また、窒素原子は、任意の有機連結基を介して硬化性官能基と結合していることが好ましい。好ましい有機連結基としては、上述の窒素原子およびそれに結合する有機基に導入可能な置換基を挙げることができる。
シランカップリング剤Yに含まれる硬化性官能基の定義は、上述の通りであり、好適範囲も上述の通りである。
シランカップリング剤Yには、硬化性官能基は一分子中に少なくとも一つ以上有していればよいが、硬化性官能基を2以上有する態様をとることも可能であり、感度、安定性の観点からは、硬化性官能基を2〜20有することが好ましく、4〜15有することがさらに好ましく、最も好ましくは分子内に硬化性官能基を6〜10有する態様である。
シランカップリング剤Xおよびシランカップリング剤Yの分子量は特に制限されないが、上述した範囲(270以上が好ましい)が挙げられる。
本発明の組成物中におけるシランカップリング剤の含有量は、組成物中の全固形分に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、1.0〜6質量%がさらに好ましい。
本発明の組成物は、シランカップリング剤を1種単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。組成物がシランカップリング剤を2種以上含む場合は、その合計が上記範囲内であればよい。
〔重合禁止剤〕
本発明の組成物は、前記組成物の製造中または保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、重合禁止剤を含有することが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、および、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
本発明の組成物が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.005質量%〜5質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。本発明の組成物は、重合禁止剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
〔紫外線吸収剤〕
本発明の組成物には、紫外線吸収剤が含まれていてもよい。これにより、パターンの形状をより優れた(精細な)ものにすることができる。
紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、トリアジン系の紫外線吸収剤を使用することができる。これらの具体例としては、特開2012−068418号公報の段落0137〜0142(対応するUS2012/0068292の段落0251〜0254)の化合物が使用でき、これらの内容が援用でき、本明細書に組み込まれる。
他にジエチルアミノ−フェニルスルホニル系紫外線吸収剤(大東化学製、商品名:UV−503)なども好適に用いられる。
紫外線吸収剤としては、特開2012−32556号公報の段落0134〜0148に例示される化合物が挙げられる。
本発明の組成物は、紫外線吸収剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.001〜15質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。本発明の組成物は、紫外線吸収剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
〔顔料誘導体〕
本発明の組成物は、顔料誘導体を含有することができる。顔料誘導体としては、例えば、有機顔料の一部分を、酸性基、塩基性基又はフタルイミドメチル基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。
顔料誘導体を構成するための有機顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料等が挙げられる。
また、顔料誘導体が有する酸性基としては、スルホン酸基、カルボン酸基及びその4級アンモニウム塩基が好ましく、カルボン酸基及びスルホン酸基がさらに好ましく、スルホン酸基が特に好ましい。顔料誘導体が有する塩基性基としては、アミノ基が好ましく、特に三級アミノ基が好ましい。
顔料誘導体の具体例としては、例えば下記化合物が挙げられる。また、特開2011−252065号公報の段落0162〜0183の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の組成物が顔料誘導体を含有する場合、顔料誘導体の含有量は、着色剤の全質量に対し、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がさらに好ましい。本発明の組成物は、顔料誘導体を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
〔界面活性剤〕
本発明の組成物は、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
本発明の組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上し、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。即ち、フッ素系界面活性剤を含有する組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力が低下して、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行うことができる。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3〜40質量%が好適であり、より好ましくは5〜30質量%であり、特に好ましくは7〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、RS−72−K(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015−117327号公報の段落0015〜0158に記載の化合物を用いることもできる。フッ素系界面活性剤としてブロックポリマーを用いることもでき、具体例としては、例えば特開2011−89090号公報に記載された化合物が挙げられる。
フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができ、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜50,000であり、例えば、14,000である。
また、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体をフッ素系界面活性剤として用いることもできる。具体例としては、特開2010−164965号公報0050〜0090段落および0289〜0295段落に記載された化合物、例えばDIC社製のメガファックRS−101、RS−102、RS−718K、RS−72−K等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。また、和光純薬工業社製の、NCW−101、NCW−1001、NCW−1002を使用することもできる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)、サンデットBL(三洋化成(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF−4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4460、TSF−4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP341、KF6001、KF6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。界面活性剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、0.005〜1.0質量%がより好ましい。
上記成分以外にも、本発明の組成物には、以下の成分をさらに添加してもよい。例えば、増感剤、共増感剤、架橋剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤、希釈剤、感脂化剤などが挙げられ、さらに基板表面への密着促進剤およびその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)等の公知の添加剤を必要に応じて加えてもよい。
これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183〜0228(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の[0237]〜[0309])、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0102、段落番号0103〜0104、段落番号0107〜0109、特開2013−195480号公報の段落番号0159〜0184等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明の組成物の固形分濃度は5〜50質量%であることが好ましく、形成される硬化膜の厚みおよび遮光性のバランスの点で、15〜40質量%であることがより好ましい。
<比率>
本発明の組成物において、上記重合性化合物およびアルカリ可溶性樹脂の含有量の合計Xに対する、上記酸分解性樹脂および塩基分解性樹脂の含有量の合計Yの比率(Y/X)が、0.05〜19であることが好ましく、0.1〜9であることがより好ましく、0.25〜4であることがさらに好ましい。なお、上記合計Yは、酸分解性樹脂および塩基分解性樹脂のうち一方のみを含有する場合には、含有する一方のみの含有量を表す。また、合計Xは、本発明の組成物がアルカリ可溶性樹脂しない場合には、重合性化合物の含有量を意味する。
上記比率(Y/X)が0.25以上であることで、得られる硬化膜のアンダーカットの発生をより抑制できたり、硬化膜を低反射化できるという利点がある。上記比率(Y/X)が4以下であることで、所望のパターンが得られやすくなるという利点がある。
また、現像液中のアルカリ成分の濃度が0.1〜0.5質量%の範囲にある現像液を使用した場合には、上記比率(Y/X)が0.42〜1.5であることが好ましく、0.66〜1.5であることがより好ましい。これにより、上述した効果が一層発揮される。
現像液中のアルカリ成分の濃度が高くなるにつれて、上記比率(Y/X)の好適な値は大きくなり、現像液中のアルカリ成分の濃度が1.0〜2.38質量%の範囲にある場合には、上記比率(Y/X)は、1.5〜9の範囲にあることが好ましく、2.33〜9の範囲にあることがより好ましい。この範囲にあることで、良好な形状のパターンを得ることができ、かつ、硬化膜の表面荒れによる低反射化が可能になる。
<組成物の特性など>
上記感光性組成物は、ネガ型の現像に使用されてもよいし、ポジ型の現像に使用されてもよいが、アンダーカットの発生を抑制する効果がより顕著になるという点から、ネガ型の現像に使用されることが好ましい。
上記感光性組成物を用いて得られる塗膜に活性光線又は放射線を照射することにより露光して、膜厚1μmの硬化膜を作製した際に、上記露光した際の活性光線又は放射線の波長における上記硬化膜の光学濃度(OD)が、365nm〜436nmの波長領域で1.0以上という高い値であっても、アンダーカットの発生を十分に抑制することができる。
ここで、硬化膜の光学濃度が高いと、硬化膜の表面からの距離に応じて対数的に膜内に光が届きにくくなる。通常、ネガ型の感光性組成物は、活性光線によりラジカル発生がして、モノマーが重合することにより硬化する。この場合、膜内に光が届かない、または、膜内に光が届きにくい、とは、モノマーが重合しにくいということである。そのため、膜内のモノマーが重合していない領域にアルカリ現像液が浸透すると、その領域の感光性組成物が流れやすくなり、アンダーカットの原因となりやすい。
本発明の感光性組成物は、上述した成分を含有するため、得られる硬化膜のOD値が高い場合であっても、アンダーカットの発生を抑制できる効果を十分に発揮できる。
なお、硬化膜の作製方法の詳細は、後述する通りである。また、光学濃度は、分光光度計(例えば、日立ハイテクノロジー製分光器UV4100(商品名))を用いて測定できる。
<組成物の調製方法>
本発明の組成物は、上述した各種成分を公知の混合方法(例えば、攪拌機、ホモジナイザー、高圧乳化装置、湿式粉砕機、湿式分散機)により混合して調製することができる。
また、本発明の組成物は、ネガ型組成物(光重合開始剤と重合性化合物とを主体とするもの)を調製し、ポジ型組成物(酸分解性樹脂および塩基分解性樹脂の少なくとも一方を主体とし、必要に応じて酸発生剤および塩基発生剤の少なくとも一方を含むもの)を調製し、これらの組成物を混合して調製されたものであってもよい。
本発明の組成物は、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタで濾過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)、ナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.1〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜2.5μm程度、より好ましくは0.2〜1.5μm程度、さらに好ましくは0.3〜0.7μmである。この範囲とすることにより、顔料のろ過詰まりを抑えつつ、顔料に含まれる不純物や凝集物など、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、または、大きい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)または株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。第2のフィルタの孔径は、0.2〜10.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜7.0μm程度、さらに好ましくは0.3〜6.0μm程度である。
[硬化膜およびその製造方法]
本発明の硬化膜の製造方法は、上記感光性組成物を用いて塗膜を形成する工程(以下、単に「塗膜形成工程」ともいう。)と、上記塗膜に活性光線又は放射線を照射することにより露光する工程(以下、単に「露光工程」ともいう。)と、上記露光後の塗膜を現像して硬化膜を形成する工程(以下、単に「現像工程」ともいう。)と、を含む。このようにして、本発明の硬化膜が得られる。
本発明の硬化膜は、上述した感光性組成物を用いて得られたものであるため、アンダーカットの発生が抑制されたものとなる。
以下、各工程について詳細に説明する。
<塗膜形成工程>
塗膜形成工程は、上記感光性組成物を用いて塗膜を形成する工程である。塗膜は、例えば、基板上に本発明の組成物を塗布することで形成される。
基板の種類は特に制限されないが、固体撮像装置内に硬化膜を配置する場合は、例えば、固体撮像装置内の各種部材(例えば、赤外光カットフィルタ、固体撮像素子の外周部、ウェハーレベルレンズ外周部、固体撮像素子裏面など)などが挙げられる。
基板上への本発明の組成物の塗布方法としては、スピンコート、スリット塗布、インクジェット法、スプレー塗布、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができるが、スピンコートが特に好ましい。
基板上に塗布された組成物は、通常、70〜110℃で2〜4分程度の条件下で乾燥され、組成物層が形成される。
<露光工程>
露光工程は、上記塗膜に活性光線又は放射線を照射することにより露光する工程である。露光工程では、例えば、マスクを介して、上記塗膜に活性光線又は放射線を照射することにより露光してもよい。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられ、光源としては高圧水銀灯が好まれる。照射強度は5mJ/cm以上1500mJ/cm以下が好ましく、10mJ/cm以上1000mJ/cm以下がより好ましい。
<現像工程>
現像工程は、上記露光後の塗膜を現像して硬化膜を形成する工程である。現像工程では、露光工程における光未照射部分を現像液に溶出させる(ネガ型の現像)であってもよいし、露光工程における光照射部分を現像液に溶出させる(ポジ型の現像)であってもよい。
現像液としては有機溶剤を含む現像液(以下、「有機系現像液」ともいう)、および、アルカリ化合物を含む現像液(以下、「アルカリ現像液」ともいう)のいずれも用いることができる。ネガ型の現像の場合はアルカリ現像液、ポジ型の現像の場合は有機系現像液を用いることが好ましいが、アルカリ現像液で現像する工程、および、有機系現像液で現像する工程を併用してもよい。これに限定はされないが、本発明におけるバインダーポリマーを用いる場合には、本発明の効果が顕著に得られる他、現像後の残渣低減と精密な露光パターンの再現性の観点から、アルカリ現像液で現像する工程を用いることが好ましい。
(有機系現像液で現像する工程(有機現像))
有機系現像液で現像する工程を説明する。
有機溶剤を含む現像液の蒸気圧(混合溶媒である場合は全体としての蒸気圧)は、20℃において、5kPa以下が好ましく、3kPa以下がより好ましく、2kPa以下がさらに好ましい。有機溶剤の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基板上または現像カップ内での蒸発が抑制され、ウェハ面内の温度均一性が向上し、結果としてウェハ面内の寸法均一性が良化する。
有機系現像液に含有される有機溶剤としては、種々の有機溶剤が広く使用され、特に限定されないが、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などの溶剤が挙げられる。
本発明において、エステル系溶剤とは分子内にエステル基を有する溶剤のことである。
ケトン系溶剤とは分子内にケトン基を有する溶剤のことである。
アルコール系溶剤とは分子内にアルコール性水酸基を有する溶剤のことである。
アミド系溶剤とは分子内にアミド基を有する溶剤のことである。
エーテル系溶剤とは分子内にエーテル結合を有する溶剤のことである。これらの中には、1分子内に上記官能基を複数種類有する溶剤も存在するが、その場合は、その溶剤の有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中の、アルコール系溶剤及びエーテル系溶剤に該当するものとする。
炭化水素系溶剤とは置換基を有さない炭化水素溶剤のことである。
以下、有機溶剤の具体例を説明する。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、ブタン酸ブチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、イソ酪酸イソブチル、プロピオン酸ブチル等を挙げることができる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノールなどのアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(別名:1−メトキシ−2−プロパノール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノールなどのグリコールエーテル系溶剤;等を挙げることができる。
エーテル系溶剤としては、例えば、上記グリコールエーテル系溶剤、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が使用できる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
本発明においては、有機系現像液としては、残渣の発生をより低減できるという理由から、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤および炭化水素系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤を含む現像液が好ましく、ケトン系溶剤、エステル系溶剤およびエーテル系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤を含む現像液がより好ましい。
なお、有機系現像液に含有される有機溶剤は、1,1,1−トリクロロエタン等の有機塩素化合物を含まないこと(非有機塩素化合物であること)が好ましい。有機塩素化合物が着色剤に作用することで、得られる着色層の耐熱性が劣化する場合があるからである。
有機系現像液に用いられる有機溶剤は、複数種類を混合して使用してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合して使用してもよい。本発明の効果をより効果的に達成するためには、有機系現像液全体としての含水率が30質量%以下であることが好ましく、10質量%未満であることがより好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
有機系現像液における有機溶剤(複数種類を混合する場合は合計)の濃度は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上であり、特に好ましくは、実質的に有機溶剤のみからなる場合である。なお、実質的に有機溶剤のみからなる場合とは、微量の界面活性剤、酸化防止剤、塩基性化合物、安定剤、消泡剤などを含有する場合を含むものとする。
有機溶剤を含む現像液中における有機溶剤は、SP値(Solubility Parameter:溶解パラメータ)で規定することもできる。有機溶剤のSP値としては、例えば、「POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION Volume2」のVII/675〜714に記載のSP値(より具体的には、Table7に記載のSP値)を用いることができる。SP値としては、15.1〜18.9、又は、23.1〜42.0であることが好ましく、15.1〜18.0、又は、26.0〜42.0がより好ましく、15.1〜17.5、又は、30.0〜42.0が更に好ましく、15.7〜17.5、又は、30.0〜42.0が特に好ましい。
有機溶剤のSP値を18.9以下、及び、23.1以上とすることにより、有機溶剤と染料との相溶性が良好になりすぎることを抑制し、硬化部からの染料抜けが発生することを防止することができる。また、有機溶剤のSP値を15.1以上、及び、42.0以下とすることにより、有機溶剤と染料との親和性を向上させて現像性を良好にすることができる。
また、有機溶剤のSP値を15.7以上とすることにより、未露光部の現像性をより良好にすることができる。
また、有機溶剤を含む現像液中には、含窒素化合物を含有させてもよい。含窒素化合物としては、例えば、特開2013−011833号公報の段落[0042]〜[0063]の記載を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
処理方法(現像方法)としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができ、特に、パドル法が好ましい。
処理時間(現像時間)は、未露光部の着色層が十分に溶解する時間であれば特に制限はなく、通常は10秒〜300秒であり。好ましくは、20秒〜120秒である。
現像液の温度は0℃〜50℃が好ましく、15℃〜35℃が更に好ましい。
本発明の製造方法では、有機溶剤を含む現像液を用いて処理した後に、有機溶剤を含むリンス液を用いた洗浄(リンス処理)を行なってもよい。
リンス液の蒸気圧(混合溶媒である場合は全体としての蒸気圧)は、20℃において0.05kPa以上、5kPa以下が好ましく、0.1kPa以上、5kPa以下がより好ましく、0.12kPa以上、3kPa以下がさらに好ましい。リンス液の蒸気圧を0.05kPa以上、5kPa以下にすることにより、ウェハ面内の温度均一性が向上し、更にはリンス液の浸透に起因した膨潤が抑制され、ウェハ面内の寸法均一性が良化する。
リンス液としては、種々の有機溶剤が用いられるが、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤およびエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種の有機溶剤又は水を含有するリンス液を用いることが好ましい。
リンス処理については、例えば、特開2010−217884号公報の段落[0045]〜[0054]を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
(アルカリ現像液で現像する工程(アルカリ現像))
次に、アルカリ現像液で現像する工程を説明する。
アルカリ現像における現像方式は、デイップ方式、シャワー方式、スプレー方式、パドル方式などいずれでもよく、これにスウィング方式、スピン方式、超音波方式などを組み合わせてもよい。また、現像液に触れる前に、被現像面を予め水等で湿しておいて、現像むらを防ぐこともできる。
この工程で用いる現像液であるアルカリ水溶液としては、下地の撮像素子や回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は、例えば、20秒〜90秒である。より残渣を除去するため、近年では120秒〜180秒実施する場合もある。さらには、より残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返す場合もある。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.001〜5質量%、さらに好ましくは0.01〜5質量%であり、特に好ましくは0.01〜3質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
酸発生剤および/または塩基発生剤を含有する感光性組成物を用いて得られる膜を現像する際に、アルカリ剤の濃度が0.1質量%以上のアルカリ性水溶液を用いることで、得られる硬化膜をより低反射化できる。
なお、現像液には無機アルカリを用いてもよく、無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウムなどが好ましい。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
洗浄(リンス)の後、次いで、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜240℃、好ましくは200℃〜240℃の熱硬化処理を行う。
このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式またはバッチ式で行うことができる。
なお、塗膜形成工程、露光工程および現像工程の実施後に、必要により、形成されたパターン状の硬化膜を加熱および露光により硬化する硬化工程を実施してもよい。
本発明の組成物、および、本発明の硬化膜の製造方法において使用される各種材料(例えば、レジスト溶剤、現像液、リンス液、反射防止膜形成用組成物、トップコート形成用組成物など)は、金属等の不純物を含まないことが好ましい。これら材料に含まれる不純物の含有量としては、1ppm以下が好ましく、1ppb以下がより好ましく、100ppt以下が更に好ましく、10ppt以下が特に好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が最も好ましい。
各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルタを用いた濾過や、蒸留による精製工程(特に薄膜蒸留、分子蒸留等)を挙げることができる。蒸留による精製工程は例えば、「<工場操作シリーズ>増補・蒸留、1992年7月31日発行、化学工業社」や「化学工学ハンドブック、2004年9月30日発行、朝倉書店、95頁〜102頁」が挙げられる。フィルタ孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルタの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のフィルタが好ましい。フィルタは、これらの材質とイオン交換メディアを組み合わせた複合材料であってもよい。フィルタは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルタ濾過工程では、複数種類のフィルタを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルタを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルタを組み合わせて使用しても良い。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であっても良い。
また、各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルタ濾過を行う、装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルタ濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
フィルタ濾過の他、吸着材による不純物の除去を行っても良く、フィルタ濾過と吸着材を組み合わせて使用しても良い。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材を使用することができる。
<収容容器>
現像液及びリンス液に使用し得る有機溶剤(「有機系処理液」ともいう)としては、収容部を有する、化学増幅型又は非化学増幅型レジスト膜のパターニング用有機系処理液の収容容器に保存されたものを使用することが好ましい。この収容容器としては、例えば、収容部の、有機系処理液に接触する内壁が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及び、ポリエチレン−ポリプロピレン樹脂のいずれとも異なる樹脂、又は、防錆・金属溶出防止処理が施された金属から形成された、レジスト膜のパターニング用有機系処理液の収容容器であることが好ましい。この収容容器の上記収容部に、レジスト膜のパターニング用有機系処理液として使用される予定の有機溶剤を収容し、レジスト膜のパターニング時において、上記収容部から排出したものを使用することができる。
上記の収容容器が、更に、上記の収容部を密閉するためのシール部を有している場合、このシール部も、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及び、ポリエチレン−ポリプロピレン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂とは異なる樹脂、又は、防錆・金属溶出防止処理が施された金属から形成されることが好ましい。
ここで、シール部とは、収容部と外気とを遮断可能な部材を意味し、パッキンやOリングなどを好適に挙げることができる。
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及び、ポリエチレン−ポリプロピレン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂とは異なる樹脂は、パーフルオロ樹脂であることが好ましい。
パーフルオロ樹脂としては、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体樹脂(ETFE)、三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂(ECTFE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、三フッ化塩化エチレン共重合樹脂(PCTFE)、フッ化ビニル樹脂(PVF)等を挙げることができる。
特に好ましいパーフルオロ樹脂としては、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂を挙げることができる。
防錆・金属溶出防止処理が施された金属における金属としては、炭素鋼、合金鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、マンガン鋼等を挙げることができる。
防錆・金属溶出防止処理としては、皮膜技術を適用することが好ましい。
皮膜技術には、金属被覆(各種メッキ),無機被覆(各種化成処理,ガラス,コンクリート,セラミックスなど)および有機被覆(さび止め油,塗料,ゴム,プラスチックス)の3種に大別されている。
好ましい皮膜技術としては、錆止め油、錆止め剤、腐食抑制剤、キレート化合物、可剥性プラスチック、ライニング剤による表面処理が挙げられる。
中でも、各種のクロム酸塩、亜硝酸塩、ケイ酸塩、燐酸塩、オレイン酸、ダイマー酸、ナフテン酸等のカルボン酸、カルボン酸金属石鹸、スルホン酸塩、アミン塩、エステル(高級脂肪酸のグリセリンエステルや燐酸エステル)などの腐食抑制剤、エチレンジアンテトラ酢酸、グルコン酸、ニトリロトリ酢酸、ヒドロキシエチルエチオレンジアミン三作酸、ジエチレントリアミン五作酸などのキレート化合物及びフッ素樹脂ライニングが好ましい。特に好ましいのは、燐酸塩処理とフッ素樹脂ライニングである。
また、直接的な被覆処理と比較して、直接、錆を防ぐわけではないが、被覆処理による防錆期間の延長につながる処理方法として、防錆処理にかかる前の段階である「前処理」を採用することも好ましい。
このような前処理の具体例としては、金属表面に存在する塩化物や硫酸塩などの種々の腐食因子を、洗浄や研磨によって除去する処理を好適に挙げることができる。
収容容器としては具体的に以下を挙げることができる。
・Entegris社製 FluoroPurePFA複合ドラム(接液内面;PFA樹脂ライニング)
・JFE社製 鋼製ドラム缶(接液内面;燐酸亜鉛皮膜)
[遮光膜付き赤外光カットフィルタ、固体撮像素子、固体撮像装置]
着色剤として黒色顔料を用いた場合は、上述した硬化膜はいわゆる遮光膜として好適に適用できる。また、このような遮光膜は、固体撮像装置に好適に適用することができる。
以下では、まず、本発明の遮光膜を有する固体撮像装置の第1実施形態について詳述する。
図1および図2に示すように、固体撮像装置2は、固体撮像素子としてCMOSセンサ3と、このCMOSセンサ3が実装される回路基板4と、回路基板4を保持するセラミック製のセラミック基板5とを備えている。また、固体撮像装置2は、セラミック基板5に保持され、CMOSセンサ3に向かう赤外光(IR)をカットするIRカットフィルタ6と、撮影レンズ7と、この撮影レンズ7を保持するレンズホルダ8と、このレンズホルダ8を移動自在に保持する保持筒9とを備えている。また、CMOSセンサ3に代えて、CCDセンサや有機CMOSセンサを設けてもよい。
セラミック基板5は、CMOSセンサ3が挿入される開口5aが形成され、枠状となっており、CMOSセンサ3の側面を囲んでいる。この状態で、CMOSセンサ3が実装された回路基板4は、接着剤(例えば、エポキシ系接着剤、以下同様)によりセラミック基板5に固定されている。回路基板4には、各種回路パターンが形成されている。
IRカットフィルタ6は、板状のガラスや青ガラスに赤外光を反射する反射膜が形成され、この反射膜が形成された面が入射面6aとなる。IRカットフィルタ6は、開口5aよりも一回り大きいサイズで形成され、開口5aを覆うように接着剤によりセラミック基板5に固定されている。
撮影レンズ7の背後(図2および図3における下方)に、CMOSセンサ3が配され、撮影レンズ7とCMOSセンサ3との間に、IRカットフィルタ6が配されている。被写体光は、撮影レンズ7、IRカットフィルタ6を通ってCMOSセンサ3の受光面に入射する。このとき、赤外光は、IRカットフィルタ6によりカットされる。
回路基板4は、固体撮像装置2が搭載される電子機器(例えば、デジタルカメラ)に設けられた制御部に接続され、電子機器から固体撮像装置2に電力が供給される。CMOSセンサ3は、受光面上に多数のカラー画素が二次元に配列されており、各カラー画素は入射光を光電変換し、発生した信号電荷を蓄積する。
図2および図3に示すように、IRカットフィルタ6の入射面6aの端部には、全周に亘って上述した遮光膜(遮光層)11が配置されており、遮光膜付き赤外光カットフィルタが形成されている。撮影レンズ7から出射され、セラミック基板5の前面(図2および図3における上面)で反射した反射光R1が、装置内で反射や屈折を繰り返した後にCMOSセンサ3に入射した場合や、撮影レンズ7から出射されたレンズホルダ8の内壁面で反射した反射光R2が、CMOSセンサ3に入射した場合には、撮影画像でフレアが発生する原因となる。遮光膜11は、CMOSセンサ3に向かう反射光R1、R2等の有害光を遮光する。遮光膜11は、上述した硬化膜に相当する。なお、図2および図3では、遮光膜11の厚みを誇張して描いている。
図4に第2実施形態の固体撮像装置20を示す。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
固体撮像装置20は、CMOSセンサ3と、回路基板4と、セラミック基板5と、IRカットフィルタ6と、撮影レンズ7と、レンズホルダ8と、保持筒9とを備えている。IRカットフィルタ6の側端面に、全周に亘って上述した遮光膜(遮光層)21が形成されている。撮影レンズ7から出射され、セラミック基板5の前面で反射した反射光R3が、装置内で反射や屈折を繰り返した後にCMOSセンサ3に入射した場合には、撮影画像でフレアが発生する原因となる。遮光膜21は、CMOSセンサ3に向かう反射光R3等の有害光を遮光する。
図5に第3実施形態の固体撮像装置30を示す。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
固体撮像装置30は、CMOSセンサ3と、回路基板4と、セラミック基板5と、IRカットフィルタ6と、撮影レンズ7と、レンズホルダ8と、保持筒9とを備えている。IRカットフィルタ6の入射面6aの端部および側端面に、全周に亘って上述した遮光膜(遮光層)31が形成されている。すなわち、第1、第2実施形態を組み合わせたものとなっている。この実施形態では、第1、第2実施形態よりも遮光性能が高くなるので、フレアの発生が確実に抑制される。
図6に第4実施形態の固体撮像装置40を示す。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
固体撮像装置40は、CMOSセンサ3と、回路基板4と、セラミック基板5と、IRカットフィルタ6と、撮影レンズ7と、レンズホルダ8と、保持筒9とを備えている。IRカットフィルタ6の入射面6aの端部および側端面に、全周に亘って上述した遮光膜(遮光層)31が形成されている。
また、セラミック基板5の内壁面には、遮光膜(遮光層)41が形成されている。撮影レンズ7から出射され、IRカットフィルタ6を通過してセラミック基板5の内壁面で反射した反射光がCMOSセンサ3に入射した場合には、撮影画像のフレアが発生する原因となる。遮光膜41は、セラミック基板5の内壁面よりも遮光性能が高くなるので、フレアの発生が確実に抑制される。
[カラーフィルタ]
本発明の硬化膜は、カラーフィルタにも用いることができる。
カラーフィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補性金属酸化膜半導体)等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCDやCMOS等に好適である。カラーフィルタは、例えば、CCDまたはCMOSを構成する各画素の受光部と、集光するためのマイクロレンズと、の間に配置して用いることができる。
また、カラーフィルタは、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子用として好ましく用いることができる。有機EL素子としては、白色有機EL素子が好ましい。有機EL素子は、タンデム構造であることが好ましい。
有機EL素子のタンデム構造については、特開2003−45676号公報、三上明義監修、「有機EL技術開発の最前線−高輝度・高精度・長寿命化・ノウハウ集−」、技術情報協会、326−328ページ、2008年などに記載されている。
有機EL素子のタンデム構造としては、例えば、基板の一面において、光反射性を備えた下部電極と光透過性を備えた上部電極との間に有機EL層を設けた構造などが挙げられる。下部電極は、可視光の波長域において十分な反射率を有する材料により構成されていることが好ましい。
有機EL層は、複数の発光層を含み、それら複数の発光層が積層された積層構造(タンデム構造)を有していることが好ましい。有機EL層は、例えば、複数の発光層には、赤色発光層、緑色発光層および青色発光層を含むことができる。そして、複数の発光層と共に、それらは発光層を発光させるための複数の発光補助層を併せて有することが好ましい。
有機EL層は、例えば、発光層と発光補助層とが交互に積層する積層構造とすることができる。こうした構造の有機EL層を有する有機EL素子は、白色光を発光することができる。その場合、有機EL素子が発光する白色光のスペクトルは、青色領域(430nm−485nm)、緑色領域(530nm−580nm)および黄色領域(580nm−620nm)に強い極大発光ピークを有するものが好ましい。これらの発光ピークに加えさらに赤色領域(650nm−700nm)に極大発光ピークを有するものがより好ましい。白色光を発光する有機EL素子(白色有機EL素子)と、本発明のカラーフィルタとを組み合わせることにより、色再現性上優れた分光が得られ、より鮮明な映像や画像を表示可能である。
カラーフィルタにおける着色パターン(着色画素)の膜厚は、2.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.7μm以下がさらに好ましい。下限は、例えば0.1μm以上とすることができ、0.2μm以上とすることもできる。
また、着色パターン(着色画素)のサイズ(パターン幅)としては、2.5μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.7μm以下が特に好ましい。下限は、例えば0.1μm以上とすることができ、0.2μm以上とすることもできる。
[画像表示装置]
本発明の硬化膜(カラーフィルタ、遮光膜など)は、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの、画像表示装置に用いることができる。
表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
本発明におけるカラーフィルタは、カラーTFT(Thin Film Transistor)方式の液晶表示装置に用いてもよい。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。さらに、本発明はIPS(In Plane Switching)などの横電界駆動方式、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)などの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN(Super−Twist Nematic)、TN(Twisted Nematic)、VA(Vertical Alignment)、OCS(on−chip spacer)、FFS(fringe field switching)、および、R−OCB(Reflective Optically Compensated Bend)等にも適用できる。
また、本発明におけるカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color−filter On Array)方式にも供することが可能である。COA方式の液晶表示装置にあっては、カラーフィルタに対する要求特性は、前述のような通常の要求特性に加えて、層間絶縁膜に対する要求特性、すなわち低誘電率および剥離液耐性が必要とされることがある。本発明のカラーフィルタは、耐光性などに優れるので、解像度が高く長期耐久性に優れたCOA方式の液晶表示装置を提供することができる。なお、低誘電率の要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に樹脂被膜を設けてもよい。
これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページなどに記載されている。
また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は、各色画素に対して低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012−227478号公報、特開2014−179577号公報に記載の装置が挙げられる。
液晶表示装置は、本発明におけるカラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなど様々な部材から構成される。本発明のカラーフィルタは、これらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。これらの部材については、例えば、「'94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉(株)富士キメラ総研、2003年発行)」に記載されている。
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊ディスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木隆明)などに記載されている。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は、質量基準である。
[実施例1−1〜1−5、比較例1−1〜1−5]
<チタンブラックA−1の作製>
平均粒径15nmの酸化チタンMT−150A(商品名:テイカ(株)製)を100g、BET表面積300m/gのシリカ粒子AEROPERL(登録商標)300/30(エボニック製)を25g、及び、分散剤Disperbyk190(商品名:ビックケミー社製)を100g秤量し、イオン電気交換水71gを加えてKURABO製MAZERSTAR KK−400Wを使用して、公転回転数1360rpm、自転回転数1047rpmにて20分間処理することにより均一な混合物水溶液を得た。この水溶液を石英容器に充填し、小型ロータリーキルン(株式会社モトヤマ製)を用いて酸素雰囲気中で920℃に加熱した後、窒素で雰囲気を置換し、同温度でアンモニアガスを100mL/minで5時間流すことにより窒化還元処理を実施した。終了後回収した粉末を乳鉢で粉砕し、Si原子を含み、粉末状の比表面積73m/gのチタンブラックA−1〔チタンブラック粒子及びSi原子を含む被分散体〕を得た。
<黒色顔料分散液の調製>
下記組成1に示す成分を、攪拌機(IKA社製EUROSTAR)を使用して、15分間混合し、分散物aを得た。
なお、以下に記載の分散剤(高分子化合物(G1)。下記式参照。)は特開2013−249417号公報の記載を参照して合成した。また、高分子化合物(G1)の重量平均分子量は26000であり、酸価は120mgKOH/gであり、グラフト鎖の原子数(水素原子を除く)は100であった。
(組成1)
・上記チタンブラックA−1 ・・・25.0質量部
・高分子化合物(G1)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30質量%溶液
・・・25.0質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(溶剤)
・・・50.0質量部
得られた分散物aに対し、(株)シンマルエンタープライゼス製のNPM−Pilotを使用して下記条件にて分散処理を行い、黒色顔料分散物を得た。
(分散条件)
・ビーズ径:φ0.05mm、(ニッカトー製YTZ)
・ビーズ充填率:65体積%
・ミル周速:10m/sec
・セパレータ周速:13m/s
・分散処理する混合液量:15kg
・循環流量(ポンプ供給量):90kg/hour
・処理液温度:19〜21℃
・冷却水:水
・処理時間:22時間
<黒色顔料分散液Bの調製>
上記の黒色顔料分散液の調製において、チタンブラックA−1をカーボンブラック(カーボンブラックMA−100R(三菱化成工業(株)製))に変えた他は同様にして、黒色顔料分散液Bを得た。
<顔料分散液Cの調製>
C.I.Pigment Red 254を9.6部、C.I.Pigment Yellow 139を4.3部、分散剤(樹脂)(Disperbyk−161、BYKChemie社製)を6.8部、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と称する。)79.3部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合・分散して、分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、顔料分散液Cを得た。
<感光性組成物>
実施例および比較例の感光性組成物の調製にあたって、まず、ネガ型組成物とポジ型組成物とを作製した。その後、得られたネガ型組成物とポジ型組成物とを所定の割合で混合することで、実施例1−1〜1−3および比較例1−1〜1−3の感光性組成物を得た。
(ネガ型組成物N1の調製)
光重合開始剤(商品名「IRGACURE OXE−02」、BASF製)、重合性化合物(商品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬製)、PGMEA(溶剤)、アルカリ可溶性樹脂(商品名「アクリキュアRD−F8」、日本触媒製、40%PGMEA溶液)、重合禁止剤(商品名「p−メトキシフェノール」、三谷ケミー(株)製))、界面活性剤(商品名「パイオニンD−6315」、ノニオン系界面活性剤)、および上記の黒色顔料分散液を、第1表の配合割合で混合、攪拌して、ネガ型組成物N1を得た。
(ポジ型組成物P1の調製)
酸分解性樹脂(商品名「MWP−240」、和光純薬社製、ヒドロキシスチレン)、PGMEA(溶剤)、界面活性剤(商品名「パイオニンD−6315」、ノニオン系界面活性剤)、および上記の黒色顔料分散液を、第2表の配合割合で混合、攪拌して、ポジ型組成物P1を得た。
(ポジ型組成物P2の調製)
光酸発生剤(PAG−121、BASF製)を加え、各成分の配合量を第3表に示す通りにした以外は、第2表のポジ型組成物P1と同様にして、ポジ型組成物P2を得た。
(ポジ型組成物P3の調製)
酸分解性樹脂にかえて塩基分解性樹脂1(特開2011−197308のポリウレタン樹脂PU−1、重量平均分子量23000)を用い、各成分の配合量を第4表に示す通りにした以外は、第2表のポジ型組成物P1と同様にして、ポジ型組成物P3を得た。
また、塩基分解性樹脂1の構造は、以下の通りである。
(ポジ型組成物P4の調製)
塩基発生剤(2−ニトロベンジルシクロヘキシルカーバメート)を加え、各成分の配合量を第5表に示す通りにした以外は、第4表のポジ型組成物P3と同様にして、ポジ型組成物P4を得た。
また、塩基発生剤の構造は、以下の通りである。
(ポジ型組成物P5の調製)
塩基分解性樹脂1にかえて塩基分解性樹脂2(特開2011−197308のポリウレタン樹脂PU−2、重量平均分子量20000)を用い、各成分の配合量を第6表に示す通りにした以外は、第5表のポジ型組成物P4と同様にして、ポジ型組成物P5を得た。
また、塩基分解性樹脂2の構造は、以下の通りである。
(感光性組成物の調製)
上記のようにして得られたネガ型組成物とポジ型組成物とを、第7表〜第11表に記載の割合で混合することで、実施例1−1〜1−5および比較例1−1〜1−5の感光性組成物を得た。
<評価試験>
(アンダーカット)
実施例1−1〜1−5および比較例1−1〜1−5の感光性組成物をそれぞれ、8インチのシリコン基板にスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレート上で100℃にて2分間加熱、30秒の23℃の冷却をして塗布膜を得た。膜厚を2.0μmに設定した。
このときのOD(光学濃度)の設計値は、365nm〜436nmの波長領域において、「3」であった。
この塗布膜を100μm四方のパターン(レチクル上が開口したもの)のバイナリマスクを介して、照度10000w/m、Na/σ=0.63/0.65の光学係数を有するi線ステッパーを用い、500mJ/cmで露光した。
露光後の硬化膜に対し、現像液(TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)の水溶液)にて23℃での30秒および60秒間の少なくとも一方のパドル現像を行い、現像後の硬化膜をスピン(500rpm)させながらシャワーノズルから吐出させた純水によってリンス(水洗)を20秒間行った後、リンス後の硬化膜を2000rpmで30秒間スピンさせて乾燥することで、パターン状の硬化膜(黒色パターン)を得た。
なお、実施例1−1および比較例1−1については、TMAH濃度が0.285質量%の現像液を用いた。実施例1−2および比較例1−2については、TMAH濃度が0.02質量%の現像液を用いた。実施例1−3、比較例1−3、実施例1−4、比較例1−4、実施例1−5および比較例1−5については、TMAH濃度が2.38質量%の現像液を用いた。
このようにして得られたパターン状の硬化膜における断面を観察した。具体的には、シリコン基板を割り、割れた端面を走査型電子顕微鏡(商品名「S4800」、日立ハイテクノロジーズ社製)で、倍率30000で断面観察を行った。
図7は、アンダーカットの評価試験における測定箇所を説明するための硬化膜の断面模式図である。アンダーカットの評価試験は、基板100と平行な方向に最もせり出した硬化膜110の端部Bから、基板110と接触する硬化膜100の端部Aまでの長さl(基板と平行な方向における長さ)を測定し、得られた値に基づいて評価した。
評価基準は、以下の通りである。
A:アンダーカットが無い(0μm)
B:アンダーカットの長さが0μm超2.0μm未満
C:アンダーカットの長さが2.0μm以上5.0μm未満
D:アンダーカットの長さが5.0μm以上10μm未満
E:アンダーカットの長さが10μm以上
F:硬化膜が基板から剥がれて脱離した
(反射率)
アンダーカットの評価で使用した実施例の硬化膜のうち、60秒の現像を行って得られた硬化膜の一部について、400nm〜1200nmの範囲において変化させた波長の光を、硬化膜の表面に入射角度5°となるように入射して、633nmの反射率を反射率の代表値とした。装置は日立ハイテクノロジー製分光器UV4100(商品名)により測定した。
<評価結果>
評価結果を上記第7表〜第11表に示す。なお、各表の評価結果における「−」は、評価試験を実施していないことを示す。
第7表に示すように、光重合開始剤、重合性化合物および酸分解性樹脂を含有する実施例の感光性組成物によれば、酸分解性樹脂を含有しない比較例の感光性組成物と比べて、アンダーカットの抑制された硬化膜を形成できることが示された。第8表および第9表の評価結果についても、第7表における評価結果と同様の傾向が確認できた。また、酸分解性樹脂にかえて塩基分解性樹脂を用いた第10表および第11表についても、第7表における評価結果と同様の傾向が確認できた。
また、第7表において、実施例1−1Cと実施例1−1Eとの対比から、光酸発生剤を含有する感光性組成物によれば(実施例1−1E)、アルカリ濃度が0.1質量%以上の現像液を用いることで、硬化膜の反射率を低下できることが示された。さらに、硬化膜の表面状態をSEM(走査型電子顕微鏡、商品名「S9260A」、日立ハイテクノロジーズ社製)で確認したところ、光酸発生剤を含有する感光性組成物(実施例1−1E)を用いて得られた硬化膜は、光酸発生剤を含有しない感光性組成物(実施例1−1C)と比べて、その表面が荒れていることが確認できた。また、実施例1−1Dと実施例1−1Fと対比についても、実施例1−1Cと実施例1−1Eとの対比と同様の傾向が確認できた。
特に、アルカリ濃度の高い現像液を用いることで、硬化膜の反射率がより低下できることが示された。すなわち、第9表において、実施例1−3Bと実施例1−3Fとの対比から、光酸発生剤を含有する感光性組成物によれば(実施例1−3F)、アルカリ濃度が0.3質量%以上の現像液を用いることで、硬化膜の反射率をより低下できることが示された。さらに、硬化膜の表面状態をSEM(走査型電子顕微鏡、商品名「S9260A」、日立ハイテクノロジーズ社製)で確認したところ、光酸発生剤を含有する感光性組成物(実施例1−3F)を用いて得られた硬化膜は、光酸発生剤を含有しない感光性組成物(実施例1−3B)と比べて、その表面が荒れていることが確認できた。また、光酸発生剤にかえて塩基発生剤を用いた第10表〜第11表の評価結果についても、第9表における評価結果と同様の傾向が確認できた。
(光学濃度(OD))
実施例の感光性組成物を用いて、光学濃度を測定した。
具体的には、まず、実施例の感光性組成物を用いて、8インチのシリコン基板にスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレート上で100℃にて2分間加熱、30秒の23℃の冷却をして塗布膜を得た。このとき、得られた塗布膜の膜厚が1.0μmとなるように設定した。
この塗布膜を、キヤノン社製ステッパー FPA3000i5+を用いて、波長365nm、積算照射量1000mJ/cmの条件で露光して、硬化膜を作製した。得られた硬化膜に、365〜436nmの波長範囲の光を入射し、その透過率を日立ハイテクノロジー製分光器UV4100(商品名)により、光学濃度(OD)測定した。
その結果、実施例の感光性組成物を用いて得られた硬化膜は、いずれも、光学濃度が1.0以上であった。
実施例1−1の各例(実施例1−1A〜実施例1−1F)で使用したネガ組成物およびポジ組成物において、界面活性剤および/または重合禁止剤を加えなかったネガ組成物およびポジ組成物を調製した。
このネガ組成物およびポジ組成物を実施例1−1の各例と同様の割合で配合し、実施例1−1の各例と同様の方法にて硬化膜を作製して、上述したアンダーカットと反射率の評価試験を行ったところ、実施例1−1の各例の評価結果と同様の傾向になることが確認できた。
実施例1−1の各例(実施例1−1A〜実施例1−1F)で使用したネガ組成物N1の作製において、黒色顔料分散液を黒色顔料分散液Bに変えた他は同様にしてネガ組成物N1―1を作製した。
また、ポジ型組成物P1の作製において、黒色顔料分散液を黒色顔料分散液Bに変えた他は同様にしてネガ組成物P1―1を作製した。
また、ポジ型組成物P2の作製において、黒色顔料分散液を黒色顔料分散液Bに変えた他は同様にしてネガ組成物P2―1を作製した。
得られたネガ組成物N1−1をネガ組成物N1の代わりに用い、ポジ組成物P1―1をポジ組成物P1の変わりに用い、ポジ組成物P2−1をポジ組成物P2の変わりに用い、実施例1−1の各例と同様の割合で配合し、実施例1−1の各例と同様の方法にて硬化膜を作製して、上述したアンダーカットと反射率の評価試験を行ったところ、実施例1−1の各例の評価結果と同様の傾向になることが確認できた。
実施例1−1の各例(実施例1−1A〜実施例1−1F)で使用したネガ組成物N1の作製において、黒色顔料分散液を、42.5質量部の黒色顔料分散液と20.0質量部の黒色顔料分散液Bとの混合液に変えた他は同様にして、ネガ組成物N1−2を作製した。
また、ポジ型組成物P1の作製において、黒色顔料分散液を、32.5質量部の黒色顔料分散液と30.0質量部の黒色顔料分散液Bとの混合液に変えた他は同様にして、ネガ組成物P1−2を作製した。
また、ポジ型組成物P2の作製において、黒色顔料分散液を、32.5質量部の黒色顔料分散液と30.0質量部の黒色顔料分散液Bとの混合液に変えた他は同様にして、ネガ組成物P2−2を作製した。
得られたネガ組成物N1−2をネガ組成物N1の代わりに用い、ポジ組成物P1−2をポジ組成物P1の変わりに用い、ポジ組成物P2−2をポジ組成物P2の変わりに用い、実施例1−1の各例と同様の割合で配合し、実施例1−1の各例と同様の方法にて硬化膜を作製して、上述したアンダーカットと反射率の評価試験を行ったところ、実施例1−1の各例の評価結果と同様の傾向になることが確認できた。
実施例1−1の各例(実施例1−1A〜実施例1−1F)で使用したネガ組成物N1の作製において、黒色顔料分散液を、40.0質量部の黒色顔料分散液と22.5質量部の顔料分散液Cとの混合液に変えた他は同様にして、ネガ組成物N1−3を作製した。
また、ポジ型組成物P1の作製において、黒色顔料分散液を、42.5質量部の黒色顔料分散液と20.0質量部の顔料分散液Cとの混合液に変えた他は同様にして、ネガ組成物P1−3を作製した。
また、ポジ型組成物P2の作製において、黒色顔料分散液を、42.5質量部の黒色顔料分散液と20.0質量部の顔料分散液Cとの混合液に変えた他は同様にして、ネガ組成物P2−3を作製した。
得られたネガ組成物N1−3をネガ組成物N1の代わりに用い、ポジ組成物P1−3をポジ組成物P1の変わりに用い、ポジ組成物P2−3をポジ組成物P2の変わりに用い、実施例1−1の各例と同様の割合で配合し、実施例1−1の各例と同様の方法にて硬化膜を作製して、上述したアンダーカットと反射率の評価試験を行ったところ、実施例1−1の各例の評価結果と同様の傾向になることが確認できた。
実施例1−1の各例(実施例1−1A〜実施例1−1F)で使用したネガ組成物N1の作製において、黒色顔料分散液を、顔料分散液Cに変えた他は同様にしてネガ組成物N1−4を作製した。
また、ポジ型組成物P1の作製において、黒色顔料分散液を、顔料分散液Cに変えた他は同様にしてネガ組成物P1−4を作製した。
また、ポジ型組成物P2の作製において、黒色顔料分散液を、顔料分散液Cに変えた他は同様にしてネガ組成物P2−4を作製した。
得られたネガ組成物N1−4をネガ組成物N1の代わりに用い、ポジ組成物P1−4をポジ組成物P1の変わりに用い、ポジ組成物P2−4をポジ組成物P2の変わりに用い、実施例1−1の各例と同様の割合で配合し、実施例1−1の各例と同様の方法にて硬化膜を作製して、上述したアンダーカットの評価試験を行ったところ、実施例1−1の各例の評価結果と同等以上の傾向になることが確認できた。
これらの結果から、着色剤の種類によらず、本願所望の効果が得られることが分かった。また、着色剤の種類に影響を受けないことから、着色剤がなくとも、アンダーカットの抑制効果が得られるものと推測される。
実施例1−1の各例(実施例1−1A〜実施例1−1F)で使用したネガ組成物N1の作製において、PGMEAをシクロヘキサノン(東京化成工業(株)社製)に変えた他は同様にしてネガ組成物N1−5を作製した。
また、ポジ型組成物P1の作製において、PGMEAを3−エトキシプロピオン酸エチル(東京化成工業(株)社製)に変えた他は同様にしてネガ組成物P1−5を作製した。
得られたネガ組成物N1−5をネガ組成物N1の代わりに用い、ポジ組成物P1−5をポジ組成物P1の変わりに用い、実施例1−1の各例と同様の割合で配合し、実施例1−1の各例と同様の方法にて硬化膜を作製して、上述したアンダーカットと反射率の評価試験を行ったところ、実施例1−1の各例の評価結果と同等以上の傾向になることが確認できた。
これらの結果から、溶剤種類によらず、また溶剤を併用した場合であっても本願所望の効果が得られることが分かった。
実施例1−1の各例(実施例1−1A〜実施例1−1F)で使用したネガ組成物N1の作製において、アルカリ可溶性樹脂を用いず、その分をPGMEA(溶剤)に変更した他は同様にしてネガ組成物N1−6を作製した。
得られたネガ組成物N1−6をネガ組成物N1の代わりに用い、実施例1−1D及び実施例1−1Fの各例と同様の割合で配合し、同様の方法にて硬化膜を作製して、上述したアンダーカットと反射率の評価試験を行ったところ、実施例1−1D及び実施例1−1Fの評価結果と同様の傾向になる他、アルカリ可溶性樹脂を含有する方が優れることが確認できた。
この結果から、アルカリ可溶性樹脂を含有しない場合であっても、アルカリ可溶性樹脂を含有する場合と同様の傾向が得られることが分かった。
実施例1−1の各例(実施例1−1A〜実施例1−1F)で使用したネガ組成物N1の作製において、8.19質量部のKAYARAD DPHA(重合性化合物)を、4.19質量部のKAYARAD DPHAと4.00質量部のPET−30(ペンタエリスリトールトリアクリレート、日本化薬(株)製、重合性化合物)との混合物に変更した他は同様にして、ネガ組成物N1−7を作製した。
得られたネガ組成物N1−7をネガ組成物N1の代わりに用い、実施例1−1の各例と同様の割合で配合し、実施例1−1の各例と同様の方法にて硬化膜を作製して、上述したアンダーカットと反射率の評価試験を行ったところ、実施例1−1の各例の評価結果と同様の傾向になることが確認できた。
実施例1−1の各例(実施例1−1A〜実施例1−1F)で使用したネガ組成物N1の作製において、重合性化合物であるKAYARAD DPHAをPET−30に変更した他は同様にして、ネガ組成物N1−8を作製した。
得られたネガ組成物N1−8をネガ組成物N1の代わりに用い、実施例1−1の各例と同様の割合で配合し、実施例1−1の各例と同様の方法にて硬化膜を作製して、上述したアンダーカットと反射率の評価試験を行ったところ、実施例1−1の各例の評価結果と同様の傾向になることが確認できた。
これらの結果から、重合性化合物の種類によらず、また重合性組成物を併用した場合であっても、本願所望の効果が得られることが分かった。
実施例1−1の各例(実施例1−1A〜実施例1−1F)で使用した現像液(TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)の水溶液)を、酢酸ブチルに変えた他は同様にして、実施例1−1の各例と同様の方法にて硬化膜を作製して、上述したアンダーカットと反射率の評価試験を行ったところ、実施例1−1の各例の評価結果と同様の傾向になることが確認できた。反射率については、TMAHの水溶液がより優れることが確認された。
実施例1−1C〜実施例1−1Fの感光性組成物をそれぞれ、8インチのシリコン基板にスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレート上で100℃にて2分間加熱、30秒の23℃の冷却をして塗布膜を得た。膜厚を1.0μmに設定した。このときのOD(光学濃度)の設計値は、365nm〜436nmの波長領域において、「1.5」であった。塗布基板を、ArFエキシマレーザースキャナーとしてNA0.85のレンズが装備されたASML社製のPAS5500/1250iを用いて、ポジ型パターン形成用のマスクを介して、18mJ/cmで露光し、ポジ型パターンを形成した。その後120℃で、60秒間加熱した後、酢酸ブチルで30秒間現像を行い、次いで、1−ヘキサノールで30秒間リンスし、パターン状の硬化膜(黒色パターン)を得た。実施例1−1と同様の方法にてアンダーカットと反射率の評価試験を行ったところ、アンダーカット及び反射率については実施例1−1C〜実施例1−1Fの各例の評価結果と同様の傾向になることが確認できた他、ネガ型として用いた方がポジ型として用いるよりも優れることが分かった。
実施例1−1Cにおいて、着色剤の含有量が組成物中の全固形分に対して40%、35%、25%となるように、ネガ組成物N1およびポジ型組成物P1において黒色顔料分散液およびPGMEAの添加量を調整して、実施例1−1Cと同様の方法にて硬化膜を作製した。得られた硬化膜について、上述したアンダーカットと反射率の評価試験を行ったところ、アンダーカットについては、着色剤の含有量が40%、35%、25%のいずれの場合においても、実施例1−1Cの評価結果と同等になることが確認できた。一方、反射率については、着色剤の含有量が40%および35%であるものは、実施例1−1Cの評価結果と同等であり、着色剤の含有量が25%であるものよりも、より優れることが分かった。
[実施例G1−1、比較例G1−1]
<グリーン顔料分散液の調製>
下記組成の混合液を、0.3mm径のジルコニアビーズを使用して、ビーズミル(減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製))で、3時間、混合、分散して、グリーン顔料分散液を調製した。なお、グリーン顔料分散液の固形分濃度は31.76質量%であり、顔料濃度(固形分)は63%である。
(グリーン顔料分散液の組成)
・PG58(C.I.Pigment Green58、DIC社製、顔料)
13.25質量部
・PG7(C.I.Pigment Green7、DIC社製、顔料)
2.12質量部
・PY185(C.I.Pigment Yellow185、BASF社製、顔料)
2.10質量部
・PY139(C.I.Pigment Yellow139、BASF社製、顔料)
2.55質量部
・PGMEA(溶媒) 68.24質量部
・分散樹脂(富士ファインケミカルズ社製、下記式(D−G1)参照)
9.91質量部
・顔料誘導体(富士ファインケミカルズ社製、下記式(DG−2)参照)
1.83質量部
<感光性組成物>
(ネガ型組成物NG1の調製)
光重合開始剤(商品名「IRGACURE 369」、BASF製)、重合性化合物(商品名「NK エステルA−TMMT」、新中村化学社製)、PGMEA(溶剤)、アルカリ可溶性樹脂(商品名「アクリキュアRD−F8」、日本触媒製、40%PGMEA溶液)、重合禁止剤(商品名「p−メトキシフェノール」、三谷ケミー(株)製))、界面活性剤(商品名「パイオニンD−6315」、ノニオン系界面活性剤)、および上記のグリーン顔料分散液を、第12表の配合割合で混合、攪拌して、ネガ型組成物NG1を得た。
(ポジ型組成物PG1の調製)
酸分解性樹脂(商品名「MWP−240」、和光純薬社製、ヒドロキシスチレン)、PGMEA(溶剤)、界面活性剤(商品名「パイオニンD−6315」、ノニオン系界面活性剤)、および上記のグリーン顔料分散液を、第13表の配合割合で混合、攪拌して、ポジ型組成物PG1を得た。
(感光性組成物の調製)
上記のようにして得られたネガ型組成物とポジ型組成物とを、第14表に記載の割合で混合することで、実施例G1−1および比較例G1−1の感光性組成物を得た。
<評価試験>
実施例G1−1および比較例G1−1の感光性組成物について、上述した実施例1−1〜1−5および比較例1−1〜1−5の感光組成物を用いて行った評価試験方法と同様の方法によって、アンダーカットの評価試験を行った。なお、現像液にはTMAH濃度が0.285質量%のものを用いた。
<評価結果>
評価結果を上記第14表に示す。
第14表に示すように、光重合開始剤、重合性化合物および酸分解性樹脂を含有する実施例の感光性組成物によれば、酸分解性樹脂を含有しない比較例の感光性組成物と比べて、アンダーカットの抑制された硬化膜を形成できることが示された。
[遮光膜の作製(WLCSP用遮光膜)]
上記で作製した実施例1−3Fの感光性組成物を、8inchガラス基板にスピンコート法により1.5μm厚で塗布した後、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して外側1辺の長さ800μm、内側1辺の長さ400μm、の四角形のくり抜きパターン(線形部分200μm)をバイナリマスクを介して、露光量500mJ/cm、パターンピッチは1000μmでステップアンドリピート露光を行った。パターンはネガパターンであるので、パターン形成部が光照射部位である。
次いで、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38質量%水溶液を用い、23℃での60秒間のパドル現像を1回行い、ストレートリンスを使用してノズルをセンターに設置して、純水を吐出させながら500rpmで30秒のリンスを行い水洗し、その後2000rpmで20秒のスピンドライを行った。
次いで200℃のオーブンを用いて、1時間の熱処理(ポストベーク)を行うことにより、パターン状の硬化物(黒色パターン)を得た。
任意の2点(ウエハ中心1点、外周1点)の黒色パターンの断面観察をするためウエハをカットした。電子顕微鏡S4800(日立ハイテクノロジーズ社製)にてそれぞれの断面観察を行った。この時の断面観察における黒色パターンのアンダーカットは、それぞれ、0.3ミクロン/0.32ミクロンであり、矩形と判断できるパターン形状であった。
さらに、上記で使用した実施例1−3Fの感光性組成物を上記ステッパーにてパターン無しの全面露光を実施、上述と同じプロセスにて全面膜残しのパターン(黒色パターン)を得た。このパターンの一部を切り出し、反射率測定(日立ハイテクノロジー製の「UV4100」(商品名)使用、入射角度5°、波長633nm)を行ったところ、黒色パターンの反射率は、2.55%であった。
このようにして得られた黒色パターンは、WLCSP(wafer-level chip-scale package)構造のイメージセンサ上に形成されるガラス部位に設置される周縁遮光膜として、十分な遮光能と低反射率を実現し、さらにイメージセンサ用の開口部位の現像残渣もない良好なものであった。
[カラーフィルタの作製]
周縁遮光膜用途として実施例1−4Cの感光性組成物を準備した。
また、8インチ基板でイメージセンサを想定して構成されている半導体基板に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のパターンが順次形成されたカラーフィルタマトリックスを準備した。
R色、G色、B色はそれぞれSR−2000S、SG−2000S、SB−2000S(何れも富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を使用し、画素サイズを1.12μmセル、受光有効範囲を横700μm、縦500μmと想定して作製している。
次いで、上記半導体基板に実施例1−4Cの感光性組成物を膜厚1.5μm(プリベーク後の膜厚)でスピンコートし、RGBパターンが形成されている周縁部(横720μm、縦520μmの外周に横幅250μm、縦幅200μmの遮光膜が形成できるようなバイナリマスクを配置して、露光を行う)に、露光量500mJ/cm、上記半導体基板のチップ配列に沿うようにステップアンドリピート露光を行った。
水酸化テトラメチルアンモニウムの0.285質量%水溶液(現像液)と窒素との2流体スプレー(現像液流量300ml/min、窒素流量1000ml/min)ノズルを、ウエハ中心に1箇所、ウエハ中心とウエハエッジの中点に1箇所、の2点にノズル設定している。ウエハからのノズル先端までの距離は10mmで設定した。
現像は、上記現像液を2流体スプレーから吐出しながらウエハを回転させて、十分な現像液が吐出された後、ウエハを静止してパドル現像を10秒間行うという操作を2回行った後、ストレートリンスを使用してノズルをセンターに設置して、純水を吐出させながら500rpmで30秒のリンスを行い水洗し、その後2000rpmで20秒のスピンドライを行った。
次いで200℃のホットプレートを用いて、5分間の熱処理(ポストベーク)を行うことにより、イメージセンサ外周部に感光性組成物の硬化物からなる遮光パターン(周縁遮光膜)を得た。
上記遮光パターンが外周部に形成されたイメージセンサを固体撮像装置に適用したところ、優れた性能を発揮できることがわかった。
2,20,30,40 固体撮像装置
3 CMOSセンサ
4 回路基板
5 セラミック基板
5a 開口
5b 内壁面
6 IRカットフィルタ
7 撮影レンズ
8 レンズホルダ
9 保持筒
11,21,31,41 遮光膜(遮光層)
100 基板
110 硬化膜

Claims (15)

  1. 光重合開始剤と、
    重合性化合物と、
    塩基の作用により分解して極性基を生じる樹脂と、
    塩基発生剤と、
    アルカリ可溶性樹脂と、
    を含有する、感光性組成物。
    ただし、前記アルカリ可溶性樹脂は、前記塩基の作用により分解して極性基を生じる樹脂以外である。
  2. 前記塩基の作用により分解して極性基を生じる樹脂が、ポリウレタン樹脂である、請求項1に記載の感光性組成物。
  3. さらに、着色剤を含有する、請求項1または2に記載の感光性組成物。
  4. アルカリ成分の濃度が0.1〜0.5質量%の範囲にある現像液を使用した現像に用いる感光性組成物であって、
    光重合開始剤と、
    重合性化合物と、
    酸の作用により分解して極性基を生じる樹脂および塩基の作用により分解して極性基を生じる樹脂の少なくとも一方と、
    アルカリ可溶性樹脂と、
    着色剤と、
    を含有し、
    前記重合性化合物および前記アルカリ可溶性樹脂の含有量の合計Xに対する、前記酸の作用により分解して極性基を生じる樹脂および前記塩基の作用により分解して極性基を生じる樹脂の含有量の合計Yの比率が0.66〜1.5である、感光性組成物。
  5. 酸発生剤および塩基発生剤の少なくとも一方を含有する、請求項4に記載の感光性組成物。
  6. 前記着色剤が、チタンブラックまたはカーボンブラックである、請求項3〜5のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  7. 前記着色剤が、C.I.ピグメントグリーン 58を含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  8. 前記着色剤が、C.I.ピグメントグリーン 58およびC.I.ピグメントイエロー 185を含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  9. 前記光重合開始剤が、オキシム化合物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  10. ネガ型の現像に使用される、請求項1〜のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  11. 前記感光性組成物を用いて得られる塗膜に活性光線又は放射線を照射することにより露光して、膜厚1μmの硬化膜を作製した際に、
    前記硬化膜の光学濃度が、365nm〜436nmの波長領域で1.0以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の感光性組成物を硬化してなる遮光膜。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の感光性組成物を硬化してなるカラーフィルタ。
  14. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の感光性組成物を硬化してなる硬化膜を有する固体撮像素子。
  15. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いて塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜に活性光線又は放射線を照射することにより露光する工程と、
    前記露光後の塗膜を現像して硬化膜を形成する工程と、
    を含む、硬化膜の製造方法。
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