以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る照明装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、以下の各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
(実施の形態)
本実施の形態において、簡易な構成により発光素子の劣化を抑制する照明装置1について説明する。この照明装置1は、例えば、図11に示されるように、道路を照明する道路照明、又は、街路又は路地を照明する街路灯として用いられる照明装置である。照明装置1の配光特性は、光を照射する対象となる道路又は街路等の形状に適合するように予め定められている。
図1は、本実施の形態に係る照明装置1の外観を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る照明装置1の分解斜視図である。これらの図を参照しながら照明装置1について説明する。なお、以降の説明において、参照する図に示されたXYZ軸を用いて説明することがある。
照明装置1は、光源が出射する光をZ軸プラス方向に照射する照明装置である。照明装置1は、電力を供給され、供給された電力により光源が発光することで光を出射する。照明装置1は、配光レンズ(以降、単にレンズともいう)により照射対象に応じた配光特性を実現する。例えば、Y軸方向に長い長尺形状のレンズを採用すると、Y軸方向に長い長尺形状の照射対象(例えば、道路又は街路)を照明するのに適した配光特性を有する。
照明装置1は、前部カバー10と、レンズシート12と、基板14と、発光素子15と、基台16と、後部カバー18とを備える。
前部カバー10は、後述するレンズシート12及び基板14等を照明装置1の光の照射方向側から覆う、照明装置1の筐体の一部であるカバー部材である。前部カバー10の材質は、樹脂又は軽量の金属である。
レンズシート12は、発光素子15が出射する光の配光特性を変化させるレンズ13を有するシート体である。より具体的には、レンズシート12は、複数のレンズ13を有し、レンズシート12と基板14とが重ねて配置されるときに、複数のレンズ13のそれぞれが基板14に配置された発光素子15それぞれを覆う位置に配置される。レンズシート12が有するレンズ13それぞれのサイズ及び形状は、照明装置1が有する配光特性を達成するように定められたものである。レンズシート12の材質は、透光性を有する樹脂(アクリル樹脂等)又はガラスである。なお、レンズシート12が有する複数のレンズ13は、サイズが大きいほど、高い精度での配光制御を実現し得る。
レンズシート12は、固定部材11により基台16に固定される。レンズシート12は、固定部材11が挿通される貫通孔(以降、単に孔ともいう)を複数有し、固定部材11により基板14とともに基台16に固定される。固定部材11は、固定部材11の挿入方向に直交する断面の形状が例えば略円形状であり、その具体例はネジである。固定部材11としてのネジは、基台16に形成されたネジ穴に螺合されることで、レンズシート12と基板14とを共締めする。
なお、レンズシート12は、単一のシート体であってもよいし、複数のシート体が並べて配置されたものであってもよい。
発光素子15は、電力を供給されると発光する素子であり、照明装置1の光源としての機能を有する。発光素子15は、より具体的にはLEDである。発光素子15は、発光により熱を発し、また、高温下で発光性能が劣化する性質を有する。発光素子15は、基板14上に配列されている。基板14上の発光素子15の配置などについては後で詳しく説明する。
基板14は、発光素子15が配置される板体である。基板14は、外部からの電力を受け、電力を発光素子15それぞれに供給する回路を有する。基板14は、固定部材11により基台16に固定される。基板14は、固定部材11が挿通される孔を複数有し、固定部材11によりレンズシート12とともに基台16に固定される。基板14の材質は、例えば、熱伝導度が比較的高い金属、例えば、アルミニウムである。
なお、基板14は、単一の基板であってもよいし、複数の基板が並べて配置されたものであってもよい。並べて配置された複数の基板により基板14が構成される場合には、複数の基板それぞれにレンズシートが配置される結果、この配置された複数のレンズシートがレンズシート12を構成するようにしてもよい。このようにすると、照明装置1が、汎用の基板及びレンズシート、又は、他の用途に向けて設計された基板及びレンズシートを用いて低コストに構成され得る利点がある。
基台16は、前部カバー10及び後部カバー18からなる筐体に固定され、レンズシート12及び基板14を支持する支持台として機能する板体である。基台16の表(おもて)面(Z軸プラス方向側の面)には、レンズシート12及び基板14が固定される。基台16の裏面(Z軸マイナス方向側の面)には、発光素子15が発光により発する熱を放熱する放熱板(不図示)等が固定される。
後部カバー18は、レンズシート12及び基板14等を、照明装置1の光の照射方向の反対側から覆う、照明装置1の筐体の一部であるカバー部材である。後部カバー18の材質は、前部カバー10と同じものを採用し得る。
図3は、本実施の形態に係る照明装置1の上面図である。図3は、照明装置1をZ軸プラス方向から見た図である。
上記のとおり発光素子15は発光により熱を発し、また、高温下において発光性能が劣化する。よって、発光により発する熱を適切に放熱することで高温化を抑制することが望まれる。そこで、発光素子15は、発光により発する熱を適切に放熱することができるように配置されている。
図3に示されるように、レンズを有するレンズシート12、及び、複数の発光素子15を有する基板14が基台16に固定されている。ここで、複数の発光素子は、基板の中央部分に配置された発光素子による単位面積当たりの消費電力が、基板の周辺部分に配置された発光素子による単位面積当たりの消費電力より小さいという特徴を有する。ここで、「単位面積」とは、各発光素子が配置されている基板における単位面積を意味する。これにより、発光素子15による発光により発する熱を適切に放熱することができる。以降で図4及び図5を参照しながら詳しく説明する。なお、単位面積当たりの消費電力は、単位面積当たりの発熱量に比例する量であるので、上記特徴は、基板の中央部分に配置された発光素子による単位面積当たりの発熱量が、基板の周辺部分に配置された発光素子による単位面積当たりの発熱量より小さいという特徴であるともいえる。以降において、発光素子による発熱量に着目して説明するが、発光素子の消費電力についても同様の説明が成立する。
図4は、本実施の形態に係る基板14上の発光素子15の配置を示す模式図である。図4において、基板14は、連結された複数の基板21、22及び23により構成されている。ここで、基板21は、基板14のうちの中央部分に配置された基板である。また、基板22及び23は、基板14のうちの周辺部分に配置された基板である。基板21、22及び23は、それぞれ、第一基板、第二基板及び第三基板に相当する。
基板21、22及び23には、それぞれ、発光素子26、27及び28が配置されている。ここで、発光素子26による単位面積当たりの発熱量は、発光素子27による単位面積当たりの発熱量、及び、発光素子28による単位面積当たりの発熱量より小さい。ここで、発光素子26は第一発光素子に相当し、発光素子27及び28それぞれは第二発光素子に相当する。
単位面積あたりの発熱量の大小は、発光素子の種別、規格、又は、配置における個数密度等に起因して生ずる。例えば、発光素子が配置される個数密度を相対的に小さくすることで、発光素子26による単位面積当たりの発熱量を、発光素子27又は28による単位面積当たりの発熱量より小さくすることができる。また、発光素子の種別又は規格により発光素子の発熱量が異なる。よって、発熱量が比較的小さい種別又は規格の発光素子を発光素子26として用いることで、発光素子26による単位面積当たりの発熱量を、発光素子27又は28による単位面積当たりの発熱量より小さくすることができる。
なお、発光素子の単位面積当たりの発熱量は、断熱容器内において気体中又は液体中で発光素子を発光させたときの気体又は液体の温度上昇に基づいて計測され得る。また、発光素子の仕様等の情報からも算出され得る。
図5は、本実施の形態に係るレンズシート12のレンズ13の配置を示す模式図である。図5は、発光素子の個数密度の大小により、発光素子26による単位面積当たりの発熱量を、発光素子27又は28による単位面積当たりの発熱量より小さくする場合において、レンズ13の配光制御の精度を向上し得る構成を示している。
図5に示されるように、複数のレンズ13について、基板の中央部分に配置された発光素子に配置されたレンズ13は、基板の周辺部分に配置された発光素子に配置されたレンズ13よりサイズが大きいという特徴を有する。
レンズシート12は、連結された複数のレンズシート31、32及び33により構成されている。ここで、レンズシート31は、基板の中央部分に配置された発光素子を覆う位置に配置されるレンズ36を有するレンズシートである。また、レンズシート32及び33は、それぞれ、基板の周辺部分に配置された発光素子に配置されるレンズ37及び38を有するレンズシートである。
レンズシート31のレンズ36のサイズは、レンズシート32のレンズ37、及び、レンズシート33のレンズ38のいずれよりも大きい。これにより、基板14の中央部分に配置された発光素子の配光制御の精度を高くすることができる。
なお、以降の説明では、基板22と基板23とには同一種別の発光素子が配置されており、レンズシート32とレンズシート33とには、同一形状かつ同一サイズのレンズが配置されているとして説明する。
次に、基板14に配置される回路について説明する。この回路は、複数の発光素子15それぞれの発光輝度の変動を抑制することができる。なお、ここでは、定電流制御された電源装置が出力する直流電流が照明装置1に提供されるものとする。
図6は、本実施の形態に係る発光素子の電気的接続を示す回路図である。
図6に示されるように、照明装置1は、複数の第一発光素子のうちの一部の第一発光素子と、複数の第二発光素子の一部の第二発光素子とが直列に接続された回路を複数備える。すなわち、照明装置1は、発光素子15の概ね半数が接続された回路41と、基板14に配置された発光素子15のうち回路41に接続されていない発光素子15が接続された回路42とを備える。なお、第一発光素子としての発光素子26による単位面積当たりの発熱量は、第二発光素子としての発光素子27による単位面積当たりの発熱量、及び、第二発光素子としての発光素子28による単位面積当たりの発熱量より小さいことは、前述のとおりである。
具体的には、回路41には、基板21に配置された発光素子26のうち、基板21の半分(図6ではY軸マイナス方向側の半分)の領域に配置された発光素子26Aと、基板22に配置された発光素子27とが直列に接続されている。また、回路42には、基板21に配置された発光素子26のうち、上記半分を除く残部(図6ではY軸プラス方向側の半分)の領域に配置された発光素子26Bと、基板23に配置された発光素子28とが直列に接続されている。また、回路41と回路42とは並列に接続されている。このような回路構成により、回路41及び回路42は、ともに、定電流を出力する外部電源に接続され、外部電源からの電力供給を受ける。
発光素子としてのLEDは、発光により熱を発し、温度が上昇すると内部抵抗が低下する性質を有する。そのため、発光開始のすぐ後と、発光開始後ある程度の時間が経過して温度が上昇したときとでは、内部抵抗が異なる。回路41及び回路42のように並列接続された2つの回路で抵抗が異なると、それぞれの回路に流れる電流値が異なり、その結果、各回路に接続された発光素子の発光輝度が異なる。ここで、発光素子26Aと発光素子26Bとは、同種別の発光素子であり、同数配置されているとする。また、発光素子23と発光素子27とは、同種別の発光素子であり、同数配置されているとする。
図6のように回路41及び42を構成することで、回路41に接続される発光素子全体による発熱量と、回路42に接続される発光素子全体による発熱量とは、略同じになる。回路41に接続される発光素子の種別ごとの個数と、回路42に接続される発光素子の種別ごとの個数とがそれぞれ略同じになるからである。よって、回路41及び42とは、同じ条件で温度上昇し、温度に対する発光輝度の振る舞いも同じになる。よって、温度上昇に伴う回路41及び42の輝度の変化が生じることを抑制することができる。
上記のように、回路41に接続された発光素子により占める領域(第一領域ともいう)と、回路42に接続された発光素子により占める領域(第二領域ともいう)とが対称的に配置されていると、上記輝度の変化の抑制効果を向上することができる利点がある。より具体的には、基板14のX軸方向の中心を通るY軸に平行な直線Lに対して線対称になるように、又は、基板14のXY平面上での中心の点Pを中心に点対称となるように、第一領域及び第二領域が配置されていてもよい。このようにすれば、第一領域及び第二領域における単位面積当たりの発熱量の差をより小さくすることができ、その結果、輝度に差が生じることを抑制することができる。
次に、レンズシート12及び基板14が有する、固定部材11が挿通される孔について説明する。
上記のとおり、レンズシート12及び基板14は、固定部材11により基台16に対して固定される。発光素子15が発光により発する熱により、レンズシート12、基板14及び基台16のそれぞれの形状又はサイズが熱伸縮により変化する。よって、固定部材11による固定に遊び(余裕)がないとレンズシート12、基板14及び基台16に応力が加わり、位置ずれ、歪み若しくは反りなどの変形、又は、破損等が生じ得る。また、上記位置ずれ、変形又は破損等の発生は、レンズシート12に顕著に生じ得る。レンズシート12の材質が樹脂等であり、基板14及び基台16の材質が金属等であることから、レンズシート12の方が熱伸縮による変形量が大きくかつ強度が小さいからである。
そこで、レンズシート12の破損を抑制する技術について以下で説明する。
図7は、本実施の形態に係るレンズシート12の孔の配置及びサイズを示す模式図である。
図7において、レンズシート12は、レンズシート12を基台16に固定する固定部材11が挿通される孔を複数有する。そして、複数の孔のうちの第一孔の幅と、当該第一孔に挿入される固定部材11の幅との差は、全方向において、第一孔よりレンズシート12の中央部に近い位置に位置する第二孔の幅と、当該第二孔に挿入される固定部材11の幅との差より大きい。
レンズシート31は、孔51、52及び53を有する。孔51、52及び53それぞれについて、レンズシート31の中央部21Cと当該孔との距離は、孔51が最も短く、孔53が最も長く、孔52が孔51と53との間の距離を有する(図7)。このとき、孔51、52及び53それぞれについて、当該孔と当該孔に挿通される固定部材11との隙間61、62及び63について、図8及び図9に示す例を参照しながら説明する。
図8は、本実施の形態に係るレンズシート12の孔の幅と固定部材11の幅との第一の説明図である。図8は、各孔に挿通される固定部材11が同じ幅を有する場合における、レンズシート31のシート面における、孔51、52及び53と固定部材11との断面を示している。
図8において、各孔は、固定部材11としてのネジの断面形状である略円形状に対応して丸孔であり、各孔の幅(つまり径)は、レンズシート12の中央部と当該孔との距離が大きいほど大きい。より具体的には、固定部材11の径と、孔51、52及び53それぞれの径とには差があり、この差が、当該孔とレンズシート12の中央部との距離が大きいほど大きいということもできる。ここで、上記差とは、固定部材11と、孔51、52及び53とを、同一の点を中心として配置した場合における、固定部材11と孔51、52及び53との径の差異のことである。
なお、このことは、固定部材11と孔51、52及び53とで形成される隙間61、62及び63について以下のように表現することもできる。すなわち、隙間61、62及び63のうち、隙間61が最も小さく(図8の(a))、隙間63が最も大きく(図8の(c))、隙間62は、隙間61と63との間の大きさを有する(図8の(b))。このように、レンズシート12は、レンズシート12の中央部と当該孔との距離が大きいほど大きい隙間を有する。
このようにすることで、孔と固定部材11との幅の差異を、レンズシート12の中央部と当該孔との距離が大きいほど大きくすることができる。
図9は、本実施の形態に係るレンズシート12の孔の幅と固定部材11の幅との第二の説明図である。図9は、レンズシート12の各孔の幅が同じである場合における、レンズシート31のシート面における、孔51、52及び53と固定部材11との断面を示している。
図9において、各孔は上記と同様に丸孔であり、固定部材11の幅(つまり径)が、レンズシート12の中央部と当該孔との距離が大きいほど小さい。より具体的には、固定部材11の径と、孔51、52及び53それぞれの径との差が、当該孔とレンズシート12の中央部との距離が大きいほど大きい。
なお、このことは、固定部材11と孔51、52及び53とで形成される隙間64、65及び66について以下のように表現することもできる。すなわち、隙間64、65及び66のうち、隙間64が最も小さく(図9の(a))、隙間66が最も大きく(図9の(c))、隙間65は、隙間64と66との間の大きさを有する(図9の(b))。このように、レンズシート12は、レンズシート12の中央部と当該孔との距離が大きいほど大きい隙間を有する。
上記のように、孔と固定部材11と幅の差異を設けることで、熱によるレンズシート12の伸縮が生じた場合に、伸縮によるレンズシート12の部分的な移動を許容し、レンズシート12の位置ずれ、変形又は破損などの発生を抑制することができる。
また、孔と固定部材11との幅の差異により隙間が全周に亘って形成されていることで、レンズシート12の位置ずれ、変形又は破損などの発生をより一層抑制することができる。一般に樹脂等の熱伸縮性には製造時の異方性に起因する方向依存性があるが、レンズシート12として成型された後に、熱伸縮性の方向依存性を知ることは困難である。また、レンズシート12として基台16に固定された後に、発光素子15が発光により発する熱によるレンズシート12の熱伸縮が生ずるが、この熱伸縮による変形量は、レンズシート12内における位置ごとの温度変化量に応じて異なる。これによってもレンズシート12の熱伸縮量の方向依存性が生ずる。よって、レンズシート12の熱伸縮の方向、及び、伸縮量の影響がどの程度であるかは不明であることが多い。そこで、孔の形状を丸孔とし、全周に亘って孔と固定部材11と径の差異を設けることで、どの方向に熱伸縮してもレンズシート12の位置ずれ、変形又は破損などの発生を抑制することができる利点がある。
なお、上記の観点に着目すると、照明装置1が複数のレンズシートを備える場合に、本発明の効果がより顕著に現れる。その理由について以下に説明する。照明装置1が1枚だけのレンズシートを備える場合は、その1枚のレンズシートの中心部が相対的に高温になり、周辺部が相対的に低温になるので、温度の高低の分布が対称的になりやすい。これに対し、照明装置1が複数のレンズシートを備える場合には、レンズシートの端が照明装置1の中心部に近い位置に配置されることがあり、その場合、レンズシートそれぞれにおける温度の高低の分布が非対称的になり、レンズシートの熱伸縮性の方向依存性が顕著になる。このような場合に、本発明のレンズシート12によれば、レンズシート12の位置ずれ、変形又は破損などの発生を抑制することができる。
なお、上記では、図8及び図9を参照しながら、各孔に挿通される固定部材11の径が同じ場合と、孔の径が同じ場合のそれぞれについて説明したが、各孔に挿通される固定部材11の径と孔の径との両方が孔それぞれについて異なるものであってもよい。
なお、上記説明は、レンズシート12のうち、基板の中央部分に配置されるレンズシート31だけでなく、基板の周辺部分に配置されるレンズシート32及び33についても成立する。具体的には、レンズシート32の孔54及び55について、レンズシート32の中央部22Cからの距離は、孔54の方が小さい。よって、孔54の径を相対的に小さくし、孔55の径を相対的に大きくすることで上記と同様の効果を奏する。レンズシート33と中央部23Cについても同様である。
なお、レンズシートのY軸方向の端部に配置される孔に着目すると、レンズシートのY軸方向の長さが長いほど、孔の径が大きいということもできる。具体的には、図7において、レンズシート31とレンズシート32とのY軸方向の長さを比較すると、レンズシート31の方が長い。この場合、レンズシート31のY軸方向の端部の孔53の径を、レンズシート32のY軸方向の端部の孔54の径より大きくする。より広く表現すれば、複数のレンズシートのうちの第一レンズシートが有する孔(第一孔ともいう)の幅と、当該第一孔に挿入される固定部材11の幅との差は、全方向において、複数のレンズシートのうちの第二レンズシートが有する孔(第二孔ともいう)の幅と、当該第二孔に挿入される固定部材11の幅との差より大きく、第一孔と第一レンズシートの中央部との距離は、第二孔と第二レンズシートの中央部との距離より大きいともいえる。これにより、Y軸方向にサイズが大きいレンズシートの熱による位置ずれ、変形又は破損を回避することができる。
次に、基板14が有する固定部材11が挿通される孔について説明する。
図10は、本実施の形態に係る基板14の孔を示す模式図である。
基板14は、発光素子15が発光により発する熱を効率よく伝導させるため、金属等が用いられる。また、基板14と同様、基台16も熱伝導を良くするため金属等が用いられる。そのため、基板14と基台16とは、温度変化によって同じ程度に熱伸縮する傾向がある。よって、基板14の、基台16に対する熱による位置ずれ、変形又は破損が生じる可能性は比較的小さい。
そこで、図10に示されるように、基板14の孔の径は、基板14における位置に関わらず略同一としてもよい。これにより、基板14全体にわたって径が略同一であることにより基板全体の位置ずれを防止する効果が得られる。
また、基板14の孔の径は、レンズシート12での最も小さい孔、つまり孔54の径と同じにしてもよい。このようにすることで、基台16に対して基板14を固定し、基板14の基台16に対する位置ずれを防止することができる。
以上のように、本実施の形態に係る照明装置は、基板の中央部分の発光素子による発熱量を小さく抑えることで発光素子の高温化を抑制するとともに、基板の周辺部分の発光素子による発光量を、中央部分の発光素子による発光量より大きくし、照明装置全体として発光量を低下させずに維持する。その結果、照明装置の発光量を維持しながら発光素子の劣化を抑え、設計寿命を長くすることができる。その際、発光に必要のない構成を追加することがなく、製造コストの上昇がなく維持される。このように、本発明に係る照明装置は、簡易な構成により発光素子の劣化を抑制することができる。
また、照明装置の基板は、並べて配置された複数の基板により構成される。基板には、一般に、発光素子とともに発光素子の発光に必要な部材(例えば回路又はレンズ等)が配置されるものであり、これらの配置には予め設計が必要である。複数の基板を並べて配置する構成とすることで、汎用の基板、他の用途に向けて製造された基板を用いて照明装置が低コストに構成され得る。
また、照明装置が定電流で駆動される場合に、複数の回路それぞれにほぼ同じ電流値の電流が流れるようになる。そして、一の回路における発光素子による温度上昇幅及び内部抵抗の変化と、他の回路における発光素子による温度上昇幅及び内部抵抗の変化との差が、中央部分と周辺部分とでそれぞれ個別に回路を形成する場合と比べて抑制される。その結果、回路ごとの輝度の差異が生ずることを抑制することができる。
また、照明装置は、発光素子の配置が線対称又は点対称であることにより、照明装置中心付近において発光素子の発熱量を小さく維持しながら、輝度の変化の抑制効果を向上することができる。照明装置の温度上昇によって各回路の抵抗に差が生じると、各回路に流れる電流値の比が変化する。各回路が線対称または点対象に構成されていれば、各発光素子に温度上昇による抵抗の変化が生じても、各回路で同様に抵抗値が変化するので各回路に流れる電流値の比が変化しにくい。その結果、輝度の変化の抑制効果を向上することができる。
また、照明装置は、基板の中央部分及び周辺部分のいずれの発光素子も過度に温度上昇することを抑制しながら、高精度の配光制御を実現する。具体的には、放熱性が相対的に高く、温度が上がりにくい周辺部分では温度がそれほど問題にならないので、発光量を大きくするために単位面積当たりの発光素子数を多くする。一方、放熱性が相対的に低く、温度が上がりやすいことにより発光素子の劣化が問題となり得る中央部分では、光量を犠牲にして温度が上がらないように単位面積当たりの発光素子数を少なくする。これらにより、中央部分及び周辺部分のいずれの発光素子も過度に温度上昇することを抑制することができる。
加えて、照明装置のカバーによって外部への光の照射が遮られる割合が低い中央部分の発光素子に、相対的に大きなレンズを適用することによって、外部に放出されるより多くの光に対し大きなレンズによる高精度な配光制御をすることができる。これにより、照明装置内の限られたスペースで効率的に、照明装置全体としての高精度な配光制御をすることができる。
以上、本発明の実施の形態に係る照明装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。