JP6764952B2 - 樹脂成形品 - Google Patents
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Description
本願は、2017年01月31日に、日本に出願された特願2017−015478号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
(1)本発明の態様に係る樹脂成形品は、金属フレークが添加された樹脂材からなる樹脂成形品において、意匠面を形成する平坦部を備え、前記平坦部は、前記意匠面と反対側の裏面に、前記意匠面と反対側に突出する突部を備え、前記裏面における前記突部の周囲には、前記裏面の基準面に対し、前記突部に近付くほど前記基準面から離間するように肉厚となる駄肉部が形成されていて、前記駄肉部は、段差部を備えている。
(6)上記(1)から(5)の何れか一項に記載の樹脂成形品では、前記段差部のピッチは、アルミフレークの粒径以上としてもよい。
また、駄肉部に段差部を設けることで、駄肉部に沿って流れる金属フレークの向きが拡散しやすくなり、突部の根元で金属フレークの向きの変化が集中し難くなる。このため、意匠面に金属フレークの向きの変化によるウェルドラインが生じ難くなり、意匠面の外観性を向上させることができる。
図1、図2に示すように、樹脂成形品10は、金属フレークとしてのアルミフレーク(金属フレーク)12が添加された樹脂材からなる。例えば、樹脂成形品10は、金型のキャビティ52内で矢印X方向に流動した溶融樹脂14と、キャビティ52内で矢印Y方向に流動した溶融樹脂16と、がウェルド部18にて会合して形成されている(図2参照)。
アルミフレーク12は、ウェルド部18の意匠面24側では、長手方向が水平部20の延在方向Lと略平行となるように(水平部20の厚さ方向Tと略直交するように)配向する。
水平部20は、その厚さ方向Tに沿って切り出したとき、意匠面24側と裏面26側とでアルミフレーク12の姿勢が相違する部位(本発明の実施形態ではウェルド部18)を有している。
図3A〜図3Dに示すように、水平部20の裏面26側の突部1は、裏面26の平面視で種々形状をなす形態がある。具体的に、図3Aでは、裏面26の平面視でU字形状(やぐら形状)のリブ1aとされ、図3Bでは、互いに平行な一対のリブ1bとされ、図3Cでは、裏面26の平面視で+字形状のリブ1cとされ、図3Dでは、リブを含む円筒形状のボス1dとされる。以下、突部1をリブ1と称することがある。
図4に示すように、樹脂成形品10を成形するべく金型のキャビティ52内に溶融樹脂14,16を充填した際、水平部20の裏面26側を流れる溶融樹脂14,16の一部は、突部1用の成形空間に流れ込む。突部1用の成形空間に流れ込む溶融樹脂14,16のアルミフレーク12は、長手方向が裏面26と略直交するように配向する。
また、アルミフレーク12の粒径が大きいほど、着色に用いる顔料を隠ぺいしなくなるため、顔料による発色がよくなり、配向抑制効果が大きくなる。すなわち、樹脂自体に色をつける場合に顔料を使うと、顔料の粒子をアルミフレーク12が覆うが、アルミフレーク12の粒径が大きいと顔料の周辺を埋め尽くさなくなるため、顔料による発色がよくなる。
図2に示す射出成形装置30は、固定型としての凹型32と、可動型としての凸型34とを有する。
第1ヒータ44は、垂直壁40に平行に延在するように配置される。第2ヒータ46は、第1ヒータ44に対して直交する方向に延在するとともに、傾斜壁42に近接するように配置される。
凸型34は、凹部38に指向して突出した凸部50を有する。凸型34は、凹型32に指向して接近し、いわゆる型閉じがなされる。このとき、凸型34の凸部50が凹型32の凹部38内に進入し、凸部50および凹部38の間にキャビティ52が形成される。凸部50は、突部1成形用の凹部58を有している。
まず、可動プラテン48に設けられた上記変位機構の作用下に、凸型34を凹型32に対して接近させる。これにより型閉じがなされ、凹部38と凸部50とでキャビティ52が形成される。
この状態で、キャビティ52内で溶融樹脂14,16同士が会合する。このとき、溶融樹脂14,16の流動方向先端において、アルミフレーク12は、流動方向に対して傾斜した姿勢が保たれている。この時点で、ウェルド部18の意匠面24側は未硬化である。これは、溶融樹脂14,16の凹型32に臨む表層部が、第1ヒータ44及び第2ヒータ46によって加熱されているからである。一方、ウェルド部18の裏面26側では、凸型34に熱が奪取されることにより、他の部位に比して短時間で硬化が進行する。すなわち、スキン層が形成される。
すなわち、凹部38側の表層、及び内部に含まれるアルミフレーク12の姿勢が、長手方向が流動方向に沿うように矯正される。これにより、ウェルド部18の意匠面24側において、アルミフレーク12の長手方向を意匠面24に沿う方向に略合致させることができる。
この状態で、第1ヒータ44及び第2ヒータ46が停止されると、溶融樹脂14,16の熱が凹型32にも奪取されるようになる。その結果、凹型32に接触する表層から内部にかけて、溶融樹脂14,16の硬化が進行する。溶融樹脂14,16の硬化が終了することで、ウェルド部18を有する樹脂成形品10(図1参照)が得られる。
この構成によれば、突部1の根元に、突部1に近付くほど肉厚となる隆起部5を設けることで、突部1に流れ込むアルミフレーク12の向きの変化が穏やかになる。また、突部1の根元が意匠面24から離間するため、アルミフレーク12の向きの変化部分が意匠面24に透け難くなる。したがって、意匠面24にアルミフレーク12の向きの変化によるウェルドラインが生じ難くなり、意匠面24の外観性を向上させることができる。
この構成によれば、隆起部5の角度θを制限し、突部1の根元の周囲で隆起部5の肉厚の増加を制限して、意匠面24にヒケが生じることを抑止することができる。
この構成によれば、突部1の根元の周囲では、アルミフレーク12が長手方向を隆起部5に沿わせ、その後、アルミフレーク12が突部1に流れ込むので、アルミフレーク12の向きの変化が穏やかになる。このため、意匠面24にアルミフレーク12の向きの変化によるウェルドラインが生じ難くなり、意匠面24の外観性を向上させることができる。
この構成によれば、アルミフレーク12がアクリル樹脂等によって予め樹脂コーティングされた態様をなすことで、ABS等の溶融樹脂14,16との親和性が高まり、アルミフレーク12の流動性が向上する。したがって、突部1の根元の隆起部5によってアルミフレーク12の向きをコントロールしやすくなる。このため、意匠面24にアルミフレーク12の向きの変化によるウェルドラインが生じ難くなり、意匠面24の外観性を向上させることができる。また、図7に示すように、意匠面24の外観性合格の範囲を拡大することができるので、リブ形状の自由度を高めることができる。
この構成によれば、隆起部5に段差部3aを設けることで、隆起部5に沿って流れるアルミフレーク12の向きが拡散しやすくなり、突部1の根元でアルミフレーク12の向きの変化が集中し難くなる。このため、意匠面24にアルミフレーク12の向きの変化によるウェルドラインが生じ難くなり、意匠面24の外観性を向上させることができる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
3a 段差部
5 隆起部(駄肉部)
10 樹脂成形品
12 アルミフレーク(金属フレーク)
20 水平部(平坦部)
24 意匠面
26 裏面
26a 基準面
θ 傾斜角度
Claims (6)
- 金属フレークが添加された樹脂材からなる樹脂成形品において、
意匠面を形成する平坦部を備え、
前記平坦部は、前記意匠面と反対側の裏面に、前記意匠面と反対側に突出する突部を備え、
前記裏面における前記突部の周囲には、前記裏面の基準面に対し、前記突部に近付くほど前記基準面から離間するように肉厚となる駄肉部が形成されていて、
前記駄肉部は、段差部を備えている樹脂成形品。 - 前記駄肉部の前記基準面に対する傾斜角度は、前記意匠面にヒケを生じさせない上限角度以下に設定されている請求項1に記載の樹脂成形品。
- 前記駄肉部では、前記金属フレークが長手方向を前記駄肉部に沿わせて配置されている請求項1又は2に記載の樹脂成形品。
- 前記金属フレークは、表面に樹脂層を備えている請求項1から3の何れか一項に記載の樹脂成形品。
- 隆起部の傾斜面は、前記段差部を複数並べた波形とする請求項1から4の何れか一項に記載の樹脂成形品。
- 前記段差部のピッチは、アルミフレークの粒径以上とする請求項1から5の何れか一項に記載の樹脂成形品。
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