JP6764358B2 - 内燃機関の点火コイル - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の点火コイルに関する。
典型的な内燃機関用の点火コイルとして、コイル部分をエンジンのプラグホール内に収容させる「ペン型」及びコイル部分をプラグホールの上に配置させる「矩形型」がある。ペン型の点火コイルは省スペース化に適している一方で、コイルの構造がプラグホールの形状や大きさにより制限される。近年のエンジンの高性能化及び低燃費化により、点火コイルにはこれまでより高い出力電圧が求められている。形状に自由度があり、高出力電圧化への対応が容易な矩形型の点火コイルが、近年広く使用されている。
矩形型の点火コイルの製造においては、一次コイルと二次コイルと鉄心とを備えたコイル体及び一次コイルの電流制御を行うイグナイタが用意される。この点火コイルでは、上面が開口した箱状のケースに、コイル体とイグナイタとが収容される。図6に、従来の点火コイル2において、イグナイタ4がケース6に収容された様子が示されている。この図では、ケース6の断面とイグナイタ4とが示されている。イグナイタ4は、箱状の素子内蔵部8と複数の端子10とを備えている。イグナイタ4は、その素子内蔵部8が端子10の下側に位置するように、ケース6に格納されている。
コイル体とイグナイタ4とをケース6に収容したときにケース6の内部に生じる隙間は、熱硬化性樹脂からなる隙間充填物で埋められる。高電圧が発生する二次コイルは、この隙間充填物により、外部と絶縁されている。矩形型の点火コイルの一例が、特開2014−179459公報に開示されている。
特開2014−179459公報
エンジンの小型化及び軽量化への要求の高まりに伴い、点火コイルにさらなる小型化及び軽量化が求められる。特にプラグホールの上にコイル部分が配置される矩形型の点火コイルに対して、この要求は強い。一方で、点火コイルには、高出力電圧化に伴い優れた絶縁性能が求められる。小型化及び軽量化と、優れた絶縁性能とを実現するために、ケースの内部の隙間を、隙間充填物により、隅々まで確実に埋めることが大きな課題となっている。
本発明の目的は、小型化、軽量化及び良好な絶縁性が達成された矩形型の点火コイルの提供である。
本発明に係る点火コイルは、コイルを内蔵したコイル体と、イグナイタと、このコイル体及びこのイグナイタを収容し上面が開口しているケースと、このケース内部の隙間を埋める熱硬化性樹脂からなる隙間充填物とを備えている。上記イグナイタは、箱状の素子内蔵部と、この素子内蔵部の下面から下側に突出した複数の端子とを備えている。上記ケースは、底面側の角のうち上記イグナイタに近接する二つの角の部分に窪みを有している。上記二つの窪みの間において、上記ケースの内部に上記イグナイタの端子が位置している。
好ましくは、上記イグナイタの端子部分の幅Wtは、上記素子内蔵部の幅Wbより小さい。上記二つの窪みの間における上記ケースの内側の幅Wcは、上記幅Wbより小さい。
好ましくは、上記ケースは、基部と、上記イグナイタの近傍においてこの基部から上方に突出する樹脂注入用囲みとを備えている。
好ましくは、上記隙間充填物の材質は、エポキシ樹脂である。
本発明に係る点火コイルでは、イグナイタの端子は、素子内蔵部の下面から下側に突出するように、ケースに格納されている。すなわち、図6に示される従来の点火コイルとは異なり、素子内蔵部は、イグナイタの端子の上側に位置している。点火コイルの製造においては、隙間充填物は、イグナイタの上方から流し込まれる。この点火コイルでは、端子と比べて体積が大きい素子内蔵部がケースの上方に位置しているため、ケースの上方においてイグナイタとケースとの隙間は小さい。隙間充填物を流し込んだとき、隙間充填物の液面は、従来と比べて上昇する。さらに、この点火コイルでは、ケースは、底面側の角のうちイグナイタに近接する二つの角の部分に窪みを有しており、これらの窪みの間において、ケースの内部にイグナイタの端子が位置している。この窪みは、ケースのイグナイタ近傍での容積を小さくする。隙間充填物を流し込んだとき、隙間充填物の液面は上昇する。素子内蔵部を端子の上側に位置させること、及びケースに上記二つの窪みを設けてこの間に端子を位置させることの組み合わせにより、この点火コイルでは、隙間充填物の液面が効果的に上昇する。これは、液状の隙間充填物が、ケース内の隙間に流れ込む圧力を増加させる。この点火コイルでは、小型化されたケースにおいても、その内部の隙間を、隙間充填物により効率的にかつ隅々まで埋めることができる。さらに、隙間充填物内にボイドが残留することが抑制される。これにより、この点火コイルでは、小型化及び軽量化が達成されたうえで、高耐圧かつ高品質な絶縁性能が実現されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る点火コイルが示された斜視図である。 図2は、図1の点火コイルの分解斜視図である。 図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。 図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。 図5は、本発明の他の実施形態に係る点火コイルが示された斜視図である。 図6は、従来の点火コイルの一部が示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に、本発明の一実施形態に係る点火コイル20が示されている。この点火コイル20は、矩形型である。図1において矢印Xはこの点火コイル20の前方を表す。この逆が後方である。矢印Yはこの点火コイル20の右方向を表す。この逆が左方向である。矢印Zはこの点火コイル20の上方向を表す。この逆が下方向である。図2は、図1の点火コイル20の分解斜視図である。図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。上記矢印X、Y及びZは、図2−4においても同じ意味を表す。この点火コイル20は、本体22、コネクタ部24、フランジ部26及び高電圧出力部28を備える。
本体22は、点火コイル20の中央に位置する。本体22は、箱状を呈する。図1−4に示されるように、この点火コイル20の本体22は、ケース32、コイル体34、イグナイタ36及び隙間充填物38を備えている。なお、図2では、隙間充填物38は省略されている。図4では、ケース32の断面とイグナイタ36のみが示されている。
図2に示されるように、ケース32は、中身が空洞の箱状を呈する。ケース32は、上面が開口している。ケース32の前面40からコネクタ部24が延びており、ケース32の後面からフランジ部26が延びており、ケース32の底面から高電圧出力部28が延びている。この実施形態では、ケース32は、コネクタ部24、フランジ部26及び高電圧出力部28と一体として形成されている。
図2及び4に示されるように、ケース32は、底面側の角のうちイグナイタ36に近接する二つの角の部分に窪み42を有する。すなわち、ケース32は、その前方の左下側の角の部分及びその前方の右下側の角の部分に、窪み42を有する。これらの二つの窪み42の間の部分(ここでは、ケース前下部分44と称される)において、ケース32の幅はその上側部分の幅よりも狭くなっている。ケース32は、樹脂からなる。ケース32の好ましい材質として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)及びPET(ポリエチレンテレフタレート)が例示される。
図2及び3に示されるように、コイル体34は、ケース32の中に収容される。コイル体34は、一次コイル46、ボビン48、二次コイル50、I字鉄心52、外周鉄心54及びキャップ56を備える。一次コイル46は、一次ワイヤ58を巻回すことで形成されている。図3には、巻回された一次ワイヤ58の断面が示されている。一次コイル46の外側にボビン48が設けられている。二次コイル50は、ボビン48の外側に二次ワイヤ60を巻回すことで形成されている。典型的には、二次ワイヤ60の巻き数は、一次ワイヤ58の巻き数の100倍以上である。後述するとおり、二次コイル50では、高電圧が発生する。一次ワイヤ58及び二次ワイヤ60の典型的な材質は銅(Cu)である。
図3で示されるように、I字鉄心52は、一次コイル46の中央を前後に貫通している。外周鉄心54は、I字鉄心52の一方の端から、上記二次コイル50の上側を通り、I字鉄心52のもう一方の端まで至っている。I字鉄心52と外周鉄心54とで、鉄心のループを形成している。I字鉄心52及び外周鉄心54は、典型的には珪素鋼よりなる。キャップ56は、外周鉄心54の上面に被せられている。キャップ56は、外周鉄心54が外部に露出するのを防止する。キャップ56は、樹脂からなる。キャップ56の好ましい材質として、PBT、PPS及びPETが例示される。
図2−4に示されるように、イグナイタ36は、ケース32の中に収容される。図2及び3で示されるように、イグナイタ36は、コイル体34とコネクタ部24との間に位置する。イグナイタ36は、素子内蔵部62と複数の端子64とを備えている。この実施形態では、イグナイタ36は、6本の端子64を備えている。素子内蔵部62は、箱状を呈する。それぞれの端子64は、素子内蔵部62の下面から下側に突出している。換言すれば、イグナイタ36は、素子内蔵部62が端子64の上側に位置するように、ケース32に格納される。いくつかの端子64は、後述するコネクタ端子66と電気的に接続されている。いくつかの端子64は、一次コイル46と電気的に接続されている。
この明細書では、全ての端子64を囲む矩形の領域(最も左側に位置する端子64の左端、最も右側に位置する端子64の右端、端子64の上端、及び最も長い端子64の下端を囲む矩形の領域)は、イグナイタ36の端子部分70と称される。図4で示されるように、この点火コイル20では、イグナイタ36に近接する、ケースの32の二つの角の部分に設けられた窪み42の間に、イグナイタ36の端子部分70が位置する。前方の左下側の角の部分の窪み42と、右下側の角の部分の窪み42との間に、イグナイタ36の端子部分70が位置する。すなわち、ケース前下部分44の内側に、イグナイタ36の端子部分70が位置する。
図4において、両矢印Wbは、イグナイタ36の素子内蔵部62の幅を示す。両矢印Wtは、イグナイタ36の端子部分70の幅を示す。詳細には幅Wtは、最も左側に位置する端子64の左端と、最も右側に位置する端子64の右端との幅である。図で示されるように、幅Wtは幅Wbよりも小さい。
図4において、両矢印Wcは、ケース前下部分44の内側の幅を表す。この点火コイル20では、幅Wcは、端子部分70の幅Wtに対応した幅となっている。この点火コイル20では、幅Wcは幅Wbより小さい。この点火コイル20では、素子内蔵部62より幅の小さい端子部分70がケース前下部分44の内側に位置しているため、幅Wcも幅Wbより小さくなっている。
隙間充填物38は、ケース32にコイル体34及びイグナイタ36を収容したとき、ケース32内部に生じる隙間を埋める。隙間充填物38は、熱硬化性樹脂からなる。図3で示されるように、隙間充填物38は、ケース32の内壁とコイル体34及びイグナイタ36との隙間を埋める。さらに隙間充填物38は、コイル体34の内部において、二次コイル50と外周鉄心54との隙間も埋める。隙間充填物38は、高電圧が発生する二次コイル50を、他の部材から絶縁する。このため、隙間充填物38の材質として、絶縁性能に優れた熱硬化性樹脂が選択される。また、ケース32内の隙間の隅々まで樹脂で埋めるために、隙間充填物38の材質として、粘度が低い熱硬化性樹脂が選択される。
コネクタ部24は、本体22の前方に位置する。コネクタ部24は、筒部72と、筒部72の根元において筒部72の上下左右に位置する4つの羽根部74とを備えている。図1及び2では、筒部72の上と左に位置する羽根部74とが示されている。コネクタ部24はその前方が開口されている。図3に示されるように、コネクタ部24は、内側にコネクタ端子66を備えている。図示されないが、複数のコネクタ端子66が、左右方向に並列されている。点火コイル20が車両に装着されたとき、コネクタ端子66は車の制御装置(ECU)に接続される。前述のとおり、コネクタ端子66は、イグナイタ36の端子64とも接続される。
フランジ部26は、本体22の後方に位置する。フランジ部26には、上下に貫通する孔76が設けられている。図示されないが、ボルトをこの孔76とエンジンに設けられた孔に通すことにより、点火コイル20はエンジンに固定される。フランジ部26により、点火コイル20はエンジンに堅固に固定される。
高電圧出力部28は、本体22の下側に位置する。図示されないが、高電圧出力部28は、その内部に高電圧端子を備える。この高電圧端子は、二次コイル50の端子と接続されている。図示されないが、点火コイル20が車両に装着されたとき、高電圧出力部28はプラグホールに挿入される。高電圧端子は点火プラグと接続される。
この点火コイル20の動作は以下の通りである。車の制御装置からの制御信号がコネクタ端子66を介して、イグナイタ36に送られる。イグナイタ36は、一次コイル46の電流の導通及び切断を制御するスイッチである。制御信号に従って、イグナイタ36は一次コイル46の電流を導通させまたは切断する。前述のとおり、二次ワイヤ60の巻き数は一次ワイヤ58の巻き数の100倍以上であるため、一次コイル46の電流の変化により、二次コイル50に数十kVの高電圧が発生する。二次コイル50で発生した高電圧は、高電圧出力部28を通して点火プラグに引加される。これにてガソリンが点火される。制御装置は、点火プラグを通して、ガソリンに点火するタイミングを制御している。
この点火コイル20の製造では、ケース32、コイル体34及びイグナイタ36が準備される。図2に示されるように、このケース32は、コネクタ部24、フランジ部26及び高電圧出力部28と一体として形成されている。図2に示されるように、ケース32の内部に、コイル体34及びイグナイタ36が収容される。コイル体34及びイグナイタ36は、ケース32内部の所定の位置にセットされる。イグナイタ36は、その端子部分70が、ケース前下部分44の内側に位置するように、セットされる。イグナイタ36の端子64が、コネクタ端子66及び一次コイル46と接続される。液状の隙間充填物38が、ケース32の内部に充填される。隙間充填物38は、ケース32の前側部分の上側(すなわち、イグナイタ36の上部)から流し込まれる。隙間充填物38の液面が、所定の高さとなるまで隙間充填物38は流し込まれる。この後、この隙間充填物38は、加熱され硬化される。これにて点火コイル20が得られる。
以下、本発明の作用効果が説明される。
本発明に係る点火コイル20では、イグナイタ36の端子64は、素子内蔵部62の下面から下側に突出するように、ケース32に格納されている。すなわち、図6に示される従来の点火コイル2とは異なり、素子内蔵部62は、イグナイタ36の端子64の上側に位置している。点火コイル20の製造においては、隙間充填物38は、イグナイタ36の上方から流し込まれる。この点火コイル20では、端子64と比べて体積が大きい素子内蔵部62がケース32の上方に位置しているため、ケースの上方においてイグナイタ36とケース32との隙間は小さい。隙間充填物38を流し込んだとき、隙間充填物38の液面は、従来と比べて上昇する。
さらに、この点火コイル20では、ケース32は、底面側の角のうちイグナイタ36に近接する二つの角の部分に窪み42を有しており、これらの窪み42の間において、ケース32の内部にイグナイタ36の端子64が位置している。この窪み42は、ケース32のイグナイタ近傍での容積を小さくする。隙間充填物38を流し込んだとき、隙間充填物38の液面は、さらに上昇する。素子内蔵部62を端子64の上側に位置させること、及びケース32に上記二つの窪み42を設けてこの間に端子64を位置させることの組み合わせにより、この点火コイル20では、隙間充填物38の液面が効果的に上昇する。これは、液状の隙間充填物38が、ケース32内の隙間に流れ込む圧力を増加させる。この点火コイル20では、小型化されたケース32においても、その内部の隙間を、隙間充填物38により効率的にかつ隅々まで埋めることができる。さらに、隙間充填物38内にボイドが残留することが抑制される。これにより、この点火コイル20では、小型化及び軽量化が達成されたうえで、高耐圧かつ高品質な絶縁性能が実現されている。
前述のとおり、従来の点火コイル2では、イグナイタ4は、素子内蔵部8が端子10の下側に位置するようにケース6に格納されている。ケース前下部分14の内側には、イグナイタ4の素子内蔵部8が存在する。このため、図6で示されるように、ケース前下部分14の内側の幅Wcは、素子内蔵部8の幅Wb以下にはできなかった。
この点火コイル20では、イグナイタ36の端子部分70は、素子内蔵部62の下側に位置している。イグナイタ36の端子部分70の幅Wtは、素子内蔵部62の幅Wbより小さい。この点火コイル20では、幅の小さな端子部分70が、ケース前下部分44の内側に位置する。これにより、この点火コイル20では、ケース前下部分44の内側の幅Wcは、素子内蔵部62の幅Wbより小さくされている。この点火コイル20では、従来の点火コイル2と比べて、ケース前下部分44の幅は小さい。これは、隙間充填物38を流し込んだときの隙間充填物38の液面をさらに上昇させる。これは、液状の隙間充填物38が、ケース32内の隙間に流れ込む圧力をさらに増加させる。この点火コイル20では、ケース32内部の隙間を、隙間充填物38により効率的にかつ隅々まで埋めることができる。
上記の通り、この点火コイル20では、従来の点火コイル2と比べて、ケース前下部分44の幅は小さい。これは、点火コイル20の小型化及び軽量化に寄与する。この点火コイル20では、従来の点火コイル2と比べて小型化及び軽量化が実現されている。
隙間充填物38の材質としてはエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、高い絶縁性能を有する。エポキシ樹脂は、小さな体積で二次コイル50の高電圧部分の絶縁を可能とする。これは、点火コイル20の小型化に貢献する。これにより、小型化と優れた絶縁性能とが実現されている。さらに、硬化前のエポキシ樹脂の粘度は低い。ケース32内の隙間の隅々まで隙間充填物38を行き渡らせることができる。隙間充填物38内にボイドが残留することが抑制される。これにより、この点火コイル20では、高耐圧かつ高品質な絶縁性能が実現されている。
図5に、本発明の他の実施形態に係る点火コイル80が示されている。図5において矢印Xはこの点火コイル80の前方を表す。この逆が後方である。矢印Yはこの点火コイル80の右方向を表す。この逆が左方向である。矢印Zはこの点火コイル80の上方向を表す。この逆が下方向である。この点火コイル80は、矩形型である。この点火コイル80は、本体82、コネクタ部84、フランジ部86及び高電圧出力部88を備える。本体82は、ケース92と、コイル体94と、図示されないイグナイタと、隙間充填物98とを備える。この点火コイル80は、ケース92を除いて、図1の点火コイル80と同じである。
図5に示される通り、このケース92は、基部100とこの基部100から上方に突出する樹脂注入用囲み102とを備える。図5において、二点鎖線Mは、基部100と樹脂注入用囲み102との境界を表す。この二点鎖線Mは、樹脂注入用囲み102を有さない図1の点火コイル20のケース32の上端の位置に相当する。図5に示されるとおり、この樹脂注入用囲み102は、ケース92の前方(すなわち、図示されないイグナイタの近傍)に位置している。この樹脂注入用囲み102は、隙間充填物98を注入するためのスペースを形成する。この樹脂注入用囲み102は、基部100の一方の側面104(コネクタ部84の左右の羽根部106の端から前後方向に延びる面)の前側部分の上から、基部100の前面108(コネクタ部84の筒部110及び羽根部106が延びている面)の上を通り、基部100のもう一方の側面の前側部分の上にまで至っている。
前述のとおり、隙間充填物98は、イグナイタの上方から流し込まれる。イグナイタの近傍に樹脂注入用囲み102を設けることにより、隙間充填物98を流し込むときの液面の高さを高くすることができる。これは、液状の隙間充填物98が、ケース92内の隙間に流れ込む圧力を増加させる。この点火コイル80では、ケース92内部の隙間を、隙間充填物98により効率的にかつ隅々まで埋めることができる。さらに、隙間充填物98内にボイドが残留することが抑制される。これにより、この点火コイル80では、高耐圧かつ高品質な絶縁性能が実現されている。
図5において、両矢印Hは、樹脂注入用囲み102の高さを表す。高さHは、2mm以上が好ましい。高さHを2mm以上とすることで、隙間充填物98を流し込むときの液面の高さを効果的に高くすることができる。この点火コイル80では、ケース92内部の隙間を、隙間充填物98により、さらに効率的にかつ隅々まで埋めることができる。樹脂内にボイドが残留することがより効果的に抑制される。これにより、この点火コイル80では、高耐圧かつ高品質な絶縁性能が実現されている。高さHは5mm以下が好ましい。高さHを5mm以下とすることで、この樹脂注入用囲み102は、この点火コイル80の使用時に邪魔になり難い。さらにこの樹脂注入用囲み102による質量の増加が抑制されている。
図5において、両矢印Lは、前後方向に計測した、樹脂注入用囲み102の前端から後端までの長さを表す。長さLは、2mm以上が好ましい。長さLを2mm以上とすることで、隙間充填物98を流し込むときの液面の高さを効果的に高くすることができる。この点火コイル80では、ケース92内部の隙間を、隙間充填物98により、さらに効率的にかつ隅々まで埋めることができる。樹脂内にボイドが残留することがより効果的に抑制される。これにより、この点火コイル80では、高耐圧かつ高品質な絶縁性能が実現されている。長さLは10mm以下が好ましい。長さLを10mm以下とすることで、この樹脂注入用囲み102は、この点火コイル80の使用時に邪魔になり難い。さらにこの樹脂注入用囲み102による質量の増加が抑制されている。
以上説明されたとおり、本発明によれば、小型化、軽量化及び良好な絶縁性が達成された点火コイルが得られる。このことから、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された点火コイルは、種々の内燃機関に使用される。
2、20、80・・・点火コイル
4、36・・・イグナイタ
6、32、92・・・ケース
8、62・・・素子内蔵部
10、64・・・端子
12、42・・・窪み
14、44・・・ケース前下部分
22、82・・・本体
24、84・・・コネクタ部
26、86・・・フランジ部
28、88・・・高電圧出力部
34、94・・・コイル体
38、98・・・隙間充填物
40・・・ケースの前面
46・・・一次コイル
48・・・ボビン
50・・・二次コイル
52・・・I字鉄心
54・・・外周鉄心
56・・・キャップ
58・・・一次ワイヤ
60・・・二次ワイヤ
62・・・二次ワイヤ
66・・・コネクタ端子
70・・・端子部分
72、110・・・筒部
74、106・・・羽根部
76・・・孔
100・・・基部
102・・・樹脂注入用囲み
104・・・側面
108・・・前面

Claims (4)

  1. コイルを内蔵したコイル体と、イグナイタと、このコイル体及びこのイグナイタを収容し上面が開口しているケースと、このケース内部の隙間を埋める熱硬化性樹脂からなる隙間充填物とを備えており、
    上記イグナイタが、箱状の素子内蔵部と、この素子内蔵部の下面から下側に突出した複数の端子とを備えており、
    上記ケースが、底面側の角のうち上記イグナイタに近接する二つの角の部分に窪みを有しており、
    上記二つの窪みの間において、上記ケースの内部に上記イグナイタの端子が位置している内燃機関用の点火コイル。
  2. 上記イグナイタの端子部分の幅Wtが、上記素子内蔵部の幅Wbより小さく、
    上記二つの窪みの間における上記ケースの内側の幅Wcが、上記幅Wbより小さい請求項1に記載の点火コイル。
  3. 上記ケースが、基部と、上記イグナイタの近傍においてこの基部から上方に突出する樹脂注入用囲みとを備えている請求項1又は2に記載の点火コイル。
  4. 上記隙間充填物の材質が、エポキシ樹脂である請求項1から3のいずれかに記載の点火コイル。
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