JP5631677B2 - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関用点火装置に関するものである。
従来より内燃機関用点火装置は、ケースのコイル収容部に鉄芯と1次コイル、2次コイルを備えて構成され、ケース内に絶縁性樹脂を充填することで各部材を絶縁、固定している。しかし、コイル収容部がエンジンのプラグホール内に挿入されるペン型の点火コイルでは、各部材の間隔が狭くなりモールド樹脂の充填性が悪くなることが知られている。そしてこのような状況においては例えば、特開平11−186080号公報(以下「特許文献1」)のような構成とすることが知られている。
上記特許文献1とする2次スプールの側面図を図7に示す。図7において特許文献1では、筒状のコイルケース内に、筒状のスプール210に巻回された巻線を収納し、絶縁性の充填材を充填してなる点火コイルにおいて、前記スプール210の外周面の少なくとも高圧端子側の部分に、前記充填材を充填するための充填溝310を軸方向に延びるように形成している。また、前記充填溝310は、少なくとも二次巻線のスプール210に形成されている。さらに、前記充填材310は、低線膨張係数の樹脂が用いられている。
また、前記スプール210内に棒状の中心コアを収納し、この中心コアの少なくとも上端にクッション部材を配置したものであって、前記クッション部材を非円形状に形成している点火装置が提案されている。
特開平11−186080号公報
しかしながら、上記従来の点火装置では次のような問題が生じている。即ち、特許文献1の点火コイルでは、ボビンの外周面の少なくとも高圧端子側の部分に、充填材を充填するための充填溝を軸方向に延びるように形成し、鉄芯の少なくとも上端に配置されたクッション部材を非円形状に形成することで、点火コイルの下端方向及び2次ボビンと鉄芯の隙間への樹脂の充填性を向上されているが、各部材の間隔が狭い部分は特許文献1のような構造とすることは困難であり、より間隔が狭くなり充填性が悪化する恐れがある。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、各部材の間隔が狭い部分が生じても、モールド樹脂の充填性を向上させた信頼性の高い点火装置を提供することを目標とする。
上記課題を解決するために本発明は次のような構成とする。即ち、請求項1の発明においては、鉄芯,前記鉄芯の外周に配置された1次ボビンに1次巻線が巻回された1次コイル,及び,前記1次ボビンの外周に配置された2次ボビンに2次巻線が巻回された2次コイル,の各々が同軸的に組立てられた点火コイルと、箱型の成形物に設けられた開口を有し且つ当該開口によって形成される面に対して軸を略平行とさせた状態で前記点火コイルが収容されているケースと、前記ケースに充填されたモールド樹脂と、を備える内燃機関用点火装置において、前記1次ボビンは、前記点火コイルの端に形成された多角形状のフランジと、当該フランジの各辺全てに形成された欠き部又は開口部から成る樹脂流入部と、を具備することを特徴とする内燃機関用点火装置とする。
上記構成においては、前記多角形状のフランジは、主たる辺によって四角形を成す構成としてもよいし、前記多角形状のフランジは、其の一辺が前記ケースの内側底面に対向して配置される構成としてもよい。また、前記樹脂流入部は、前記軸周りに略90度のアングルピッチを呈して配列される構成としてもよい。さらに、前記ケースは、其の内部に前記点火コイルが2個収容される構成としてもよい
上記の発明によって、1次コイル外周と2次コイル内周の間隔が狭くてもモールド樹脂の充填を確実に行うことができる信頼性の高い点火装置が実現できる。また、リーン燃焼や成層燃焼では空燃比にばらつきがあることや点火プラグのくすぶりによって起こるミスファイアを防ぐためにケース内に2個の点火コイルを備えて多重点火させる点火装置においては、限られた空間に取り付けるためにケースを小型化する必要が生じたり、各ボビンに巻き回される巻線が少なくすむことから各ボビンが小型になり、1次コイル外周と2次コイル内周の間隔がケース内に点火コイルを1つ有した点火装置よりも狭くなるため、上記構成によって同等以上の効果を得ることができる。
本発明の実施例とする点火装置の斜視図である。 図1の点火装置の矢印(A)方向から見たB−B断面図である。 本発明の実施例とする1次コイルと2次コイルの組み立て前の斜視図である。 本発明の実施例とする1次コイルと2次コイルの組み立て後の斜視図である。 図4の矢印(C)方向から見た図である。 本発明の変形例とする1次コイルの斜視図である。 特許文献1とする2次スプールの側面図である。
以下に本発明の実施の形態を示す実施例1及び実施例2を図1乃至図6に基づいて説明する。
本発明の実施例とする点火装置の斜視図を図1に、図1の点火装置の矢印(A)方向から見たB―B断面図を図2に、本発明の実施例とする1次コイルと2次コイルの組み立て前の斜視図を図3に、本発明の実施例とする1次コイルと2次コイルの組み立て後の斜視図を図4に、図4の矢印(C)方向から見た図を図5に、本発明の変形例とする1次コイルの斜視図を図6に示す。
図1乃至図6において、点火装置70の外形を形成するケース50は開口面を一面備える箱型とした一体成形で形成されている。また、当該ケース50には当該点火装置70を図示しないエンジンヘッドに取り付け固定するためのケース固定部52を当該ケース50の開口面と略垂直面の2箇所に形成している。さらに、当該ケース50の底面には、2次電圧を点火プラグに供給する高圧端子を備えるための高圧タワー54がエンジン上部に形成されたプラグホール内に向かって突出するように形成されている。
また、前記ケース50のコイル収容部には、第1の点火コイル80及び第2の点火コイル90を備え、当該第1の点火コイル80及び当該第2の点火コイル90はそれぞれ個別に複数の薄板を積層して構成された鉄芯30と、当該鉄芯30の外周に樹脂で形成された1次ボビン10の外周に1次巻線12を50ターン前後巻き回した1次コイル14と、当該1次コイル14の外周に樹脂で形成された2次ボビン20の外周に2次巻線22を3000ターン前後巻き回した2次コイル24とから構成されている。さらに、前記1次ボビン10の軸方向両端に前記1次巻線12の巻き崩れを防止するフランジ16を形成している。
また、前記フランジ16に前記1次コイル14外周と前記2次ボビン20内周間に充填するモールド樹脂60の充填性を向上させる為の樹脂流入部18を形成し、当該樹脂流入部18は一方向を開口した形状で形成され、前記フランジ16の外周に90度の間隔で4箇所形成されている。さらに、当該樹脂流入部18は前記1次ボビン10の両端の前記フランジ16に形成されている。
また、前記2次コイル24の低圧側に2次低圧端子46を備え、前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90の前記1次コイル14は当該2次低圧端子46と電気的に接続されている。さらに、前記2次コイル24の高圧側に2次高圧端子48を備え、前記ケース50内側底面に前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90のそれぞれにケース側2次高圧端子38を備え、前記第1の点火コイル80の当該2次高圧端子48及び当該ケース側2次高圧端子38を電気的に接続し、前記第2の点火コイル90の当該2次高圧端子48及び当該ケース側2次高圧端子38を電気的に接続している。
また、前記ケース50内には前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90への点火信号を供給するイグナイタ34を前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90のそれぞれに備え、当該イグナイタ34は前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90の前記1次コイル14と電気的に接続している。さらに、前記ケース50の側面にバッテリ及びECU、点火装置制御部から1次電圧若しくは点火信号を供給するコネクタ32を前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90のそれぞれに1つずつ備えている。
また、前記第1の点火コイル80側の前記コネクタ32は前記第1の点火コイル80の前記1次コイル14及び前記イグナイタ34と電気的に接続され、前記第2の点火コイル90側の前記コネクタ32は前記第2の点火コイル90の前記1次コイル14及び前記イグナイタ34と電気的に接続されている。さらに、前記ケース50の内側底面には、前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90のどちらか一方の2次電圧が他方の点火コイルに流れるのを阻止するためのダイオード群40を前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90のそれぞれに備えている。
また、前記ダイオード群40は3つのダイオードから構成されており、当該それぞれのダイオードはリード線44を備えており、当該リード線44を半田付けで接続することで当該それぞれのダイオードを電気的に接続している。さらに、前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90の前記ダイオード群40のアノード端子側の前記リード線44は1つに結合され、前記高圧端子と電気的に接続している。
また、前記第1の点火コイル80側の前記ダイオード群40のカソード端子側の前記リード線44は前記第1の点火コイル80側の前記ケース側2次高圧端子38と電気的に接続され、前記第2の点火コイル90側の前記ダイオード群40のカソード端子側の前記リード線44は前記第2の点火コイル90側の前記ケース側2次高圧端子38と電気的に接続されている。さらに、前記ケース50の内側底面には前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90の前記ダイオード群40を埋め込むための溝部56を形成している。
また、前記溝部56には前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90の前記ダイオード群40の前記リード線44を挟んで固定するための略U字型のリード線固定部58を形成し、前記ダイオード群40を構成するそれぞれのダイオードの両端に1箇所ずつ、合計で12箇所固定し、当該リード線固定部58の前記リード線44挿入口を面取りしている。さらに、前記溝部56は前記ダイオード群40及び当該リード線固定部58が前記ケース50の底面から出ない深さに形成されている。
また、前記ケース50の内側底面には外周溝57が形成され、当該外周溝57は前記ダイオード群40及び前記リード線固定部58を埋め込んだ前記溝部56及び前記ケース側2次高圧端子38、前記高圧端子、前記リード線44の外周全周を囲う如く形成されている。さらに、当該外周溝57は前記溝部56の幅の3分の1前後の幅で形成され、当該外周溝57は前記溝部56と等しい深さに形成されている。
また、前記ケース50内には前記第1の点火コイル80と前記第2の点火コイル90間に発生するクラックの波及を防ぐために前記第1の点火コイル80に第1の隔壁55aを形成し、前記第2の点火コイル90に第2の隔壁55bを形成している。さらに、当該第1の隔壁55a及び当該第2の隔壁55bは前記第1の点火コイル80と前記第2の点火コイル90とを結ぶ直線上に形成されている。
また、前記第1の隔壁55aは前記第1の点火コイル80の鉄芯クラックを封じ、前記第1の点火コイル80の前記鉄芯30の位置決めをするために前記第1の点火コイル80の前記鉄芯30の外周面に接する如く配置され、前記第2の隔壁55bは前記第2の点火コイル90の鉄芯クラックを封じ、前記第2の点火コイル90の前記鉄芯30の位置決めをするために前記第2の点火コイル90の前記鉄芯30の外周面に接する如く配置されている。さらに、前記第1の隔壁55a及び前記第2の隔壁55bは前記鉄芯30の前記ケース50底面からの垂直方向の高さと等しい高さに形成されている。
また、前記ケース50内には前記点火装置70の電気的絶縁及び各部材の物理的固定を実現する如く熱硬化性のモールド樹脂60が充填されている。さらに、前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90から出力される2次電圧は前記高圧端子から前記プラグホール内に収容された導電部材を介して前記点火プラグへ供給される。
なお、上記実施例1の変形例として、前記1次ボビン10と前記2次ボビン20のどちらか一方のボビンの内側に配置される方のボビンに前記樹脂流入部18を形成してもよい。また、前記フランジ16は前記1次ボビン10又は前記2次ボビン20の軸方向のどちらか一端のみに形成してもよい。さらに、前記樹脂流入部18の形状は例えば、曲線で構成された形状など設計事情によって任意に変更してもよいし、前記樹脂流入部18の形成位置及び個数は設計事情によって任意に変更してもよい。
また、前記樹脂流入部18は前記1次ボビン10又は前記2次ボビン20の軸方向両端に形成された前記フランジ16のどちらか一方に形成してもよい。さらに、前記フランジ16及び前記樹脂流入部18は設計事情によっては前記第1の点火コイル80もしくは前記第2の点火コイル90のどちらか一方に形成してもよい。
また、前記フランジ16の形状は前記1次巻線12又は前記2次巻線22の巻き崩れを防ぐことができる形状であれば任意に変更してもよい。さらに、前記樹脂流入部18の換わりに一方を覆ったスリット19を形成してもよいし、当該スリット19の形状及び個数、位置は設計事情によって任意に変更してもよい。
また、前記樹脂流入部18は前記1次コイル14と前記2次コイル24のうち、外側に配置されるコイルのボビンに形成してもよい。さらに、上記実施例1では、ケース50内に前記1次コイル14と前記2次コイル24と前記鉄芯30からなる点火コイルをそれぞれ2個ずつ備えた多重点火型の点火装置を用いたが、前記ケース50内に点火コイルを1つ備えた点火装置に実施してもよいし、前記ケース50内のコイル収容部を前記プラグホール内に挿入するペン型の点火装置に実施してもよい。
10:1次ボビン
12:1次巻線
14:1次コイル
16:フランジ
18:樹脂流入部
19:スリット
20:2次ボビン
22:2次巻線
24:2次コイル
30:鉄芯
32:コネクタ
34:イグナイタ
38:ケース側2次高圧端子
40:ダイオード群
44:リード線
46:2次低圧端子
48:2次高圧端子
50:ケース
52:ケース固定部
54:高圧タワー
55a:第1の隔壁
55b:第2の隔壁
56:溝部
57:外周溝
58:リード線固定部
60:モールド樹脂
70:点火装置
80:第1の点火コイル
90:第2の点火コイル

Claims (5)

  1. 鉄芯、前記鉄芯の外周に配置された1次ボビンに1次巻線が巻回された1次コイル,及び,前記1次ボビンの外周に配置された2次ボビンに2次巻線が巻回された2次コイル,の各々が同軸的に組立てられた点火コイルと、箱型の成形物に設けられた開口を有し且つ当該開口によって形成される面に対して軸を略平行とさせた状態で前記点火コイルが収容されているケースと、前記ケースに充填されたモールド樹脂と、を備える内燃機関用点火装置において、
    前記1次ボビンは、前記点火コイルの端に形成された多角形状のフランジと、当該フランジの各辺全てに形成された欠き部又は開口部から成る樹脂流入部と、を具備することを特徴とする内燃機関用点火装置。
  2. 前記多角形状のフランジは、主たる辺によって四角形を成すことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
  3. 前記多角形状のフランジは、其の一辺が前記ケースの内側底面に対向して配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関用点火装置。
  4. 前記樹脂流入部は、前記軸周りに略90度のアングルピッチを呈して配列されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の内燃機関用点火装置。
  5. 前記ケースは、其の内部に前記点火コイルが2個収容されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の内燃機関用点火装置。
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