JP6761308B2 - コアシェル構造を有するポリマー微粒子含有軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物 - Google Patents

コアシェル構造を有するポリマー微粒子含有軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物 Download PDF

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Description

本発明は、硬化前は低粘度ながら硬化後には機械物性に優れる軟質ポリウレタンフォームとなる、ポリオールとポリイソシアネートを主成分とする軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物、及び、該組成物を反応して得られる軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものである。
ポリオールとポリイソシアネートを主原料として反応させ、その際に発生する二酸化炭素を利用して発泡させた軟質ポリウレタンフォームは、車両用シート、家具、寝具、生活用品等のクッション材等、多岐の用途に使用されている。
軟質ポリウレタンフォームの重要な要求特性として硬さがあり、フォームの硬さを調節する為に、特許文献1に記載されている様に、ポリマーポリオールと呼ばれる平均粒子径1μm程度のポリマー微粒子を含有するポリオールが使用されるのが一般的である。ポリマーポリオールは、ポリオール中でビニルモノマーを重合して得ることができるが、従来の製法では、小粒子径化が困難であり、仮に小粒子径化できても組成物の粘度は著しく高くなり、取り扱い難いものになる場合があった。
特許文献1に記載されている様に、フォームの硬さを調節する為には、ポリマーポリオールのポリマー粒子濃度を高くすることが通常だが、粒子濃度を高くすると、ポリマーポリオールの粘度が高くなり、組成物の作業性が低下する場合がある。
一方、特許文献2には、水酸基価が高いポリオールを用いた硬質のポリウレタンにコアシェル構造を有する有機微粒子を添加して靭性を改善する技術が開示されている。
WO2001−009242号パンフレット WO2014−196607号パンフレット
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、硬化前の組成物が低粘度で、機械物性に優れる軟質ポリウレタンフォームを提供することにある。
本発明者は、このような問題を解決するために鋭意検討した結果、平均水酸基価が5〜150mgKOH/gであるポリオール(A)、ポリマー微粒子(B)、水(C)、触媒(D)、整泡剤(E)、および、ポリイソシアネート(F)、からなる軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物において、ポリマー微粒子(B)をコア層およびシェル層の少なくとも2層を有するコアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)とすることにより前記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本願発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 平均水酸基価が5〜150mgKOH/gであるポリオール(A)、ポリマー微粒子(B)、水(C)、触媒(D)、整泡剤(E)、および、ポリイソシアネート(F)、からなる軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物であって、
(B)成分が、コア層およびシェル層の少なくとも2層を有するコアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
[2] 下記数式(1)より計算した(B)成分のコア層のガラス転移温度(Tg)が0℃より大きいことを特徴とする[1]に記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
1/Tg=Σ(Mi/Tgi) (1)
(式中、Miは(B)成分のコア層を構成する非架橋性単量体i成分の重量分率、Tgiは非架橋性単量体iのホモポリマーのガラス転移温度(K)を表す。)
[3] (A)成分が、ポリエーテルポリオールである[1]または[2]に記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
[4] ポリエーテルポリオールがポリオキシプロピレンポリオールである[3]に記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
[5] (B)成分のコア層が、(メタ)アクリレート系重合体であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
[6] (B)成分のコア層が、非架橋性単量体80〜99質量%、および、架橋性単量体20〜1質量%からなる単量体混合物を重合して得られる重合体であることを特徴とする[1]から[5]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
[7] (B)成分のシェル層が、(メタ)アクリレート系重合体であることを特徴とする[1]から[6]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
[8] (B)成分のシェル層が、水酸基を有することを特徴とする[1]から[7]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
[9] (B)成分のシェル層中の水酸基の含有量が、0.05〜3.5mmol/gであることを特徴とする[1]から[8]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
[10] (B)成分が、水酸基を有するモノマー成分を、コア層にグラフト重合してなるシェル層を有することを特徴とする[1]から[9]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
[11] (B)成分が、該硬化性組成物中で1次粒子の状態で分散していることを特徴とする[1]から[10]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
また、本発明の要旨は、以下の通りである。
[12] 平均水酸基価が5〜150mgKOH/gであるポリオール(A)、ポリマー微粒子(B)、水(C)、触媒(D)、整泡剤(E)、および、ポリイソシアネート(F)、からなる硬化性組成物を反応させて得られる軟質ポリウレタンフォームの製造方法であって、
(B)成分が、コア層およびシェル層の少なくとも2層を有するコアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
[13]下記数式(1)より計算した(B)成分のコア層のガラス転移温度(Tg)が0℃より大きいことを特徴とする[12]に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
1/Tg=Σ(Mi/Tgi) (1)
(式中、Miは(B)成分のコア層を構成する非架橋性単量体i成分の重量分率、Tgiは非架橋性単量体iのホモポリマーのガラス転移温度(K)を表す。)
本発明の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物は、硬化前の組成物が低粘度で、硬化して得られる発泡体の硬度が優れる。
以下、本発明について詳述する。
本発明の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物は、平均水酸基価が5〜150mgKOH/gであるポリオール(A)、コアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)、水(C)、触媒(D)、整泡剤(E)、および、ポリイソシアネート(F)を含有する。
また、本発明は、平均水酸基価が5〜150mgKOH/gであるポリオール(A)、コアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)、水(C)、触媒(D)、整泡剤(E)、および、ポリイソシアネート(F)、からなる硬化性組成物を反応させて得られる軟質ポリウレタンフォーム(発泡体)の製造方法に関する。
<ポリオール(A)>
本発明の硬化性組成物では、ポリオール(A)を使用する。ポリオール(A)は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。ポリオール(A)の平均水酸基価は、5〜150mgKOH/gであり、6〜100mgKOH/gである事が好ましく、8〜80mgKOH/gである事がより好ましく、10〜60mgKOH/gである事が更に好ましく、15〜50mgKOH/gである事が特に好ましい。平均水酸基価が、1mgKOH/g未満では、硬化性組成物の粘度が高くなる場合があり、また、得られる発泡体の硬さが不十分となる場合がある。150mgKOH/gより大きいと、得られる発泡体の柔軟性や伸びが低くなる場合がある。
(A)成分は、末端に活性水素を2個以上有する化合物であり、分子量50〜20,000程度の2官能以上のポリオールであり、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類等を挙げることができる。
脂肪族アルコールは、二価アルコール、三価以上のアルコール(三価アルコール、四価アルコール等)のいずれであってもよく、二価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール類(特に炭素数が1〜6程度のアルキレングリコール類)、このアルキレングリコール類の2分子以上(例えば、2〜6分子程度)の脱水縮合物(ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等)等が挙げられる。三価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール等(特に炭素数が3〜10程度の三価アルコール)が挙げられる。四価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等が挙げられる。また、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類や、単糖、オリゴ糖、多糖等の糖類が挙げられる。
芳香族アルコールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール類;ジヒドロキシビフェニル等のビフェニル類;ハイドロキノン、フェノールホルムアルデヒド縮合物等の多価フェノール類;ナフタレンジオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA等のジオール類;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール類;単糖、オリゴ糖、多糖等の糖類;ソルビトール;アンモニア、エチレンジアミン、尿素、モノメチルジエタノールアミン、モノエチルジエタノールアミン等のアミン類;などの1種又は2種以上の活性水素を含有する開始剤の存在下、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等を開環重合して得られるランダム又はブロック共重合体等、及びこれらの混合物等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えばマレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、アゼライン酸等の多塩基酸およびその酸無水物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等の多価アルコールとを、エステル化触媒の存在下、150〜270℃の温度範囲で重縮合させて得られる重合体が挙げられる。更に、ε−カプロラクトン、バレロラクトン等の開環重合物やポリカーボネートジオールやヒマシ油等の活性水素を2個以上有する活性水素化合物等が挙げられる。
ポリオレフィン型ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールやその水添物等が挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートやヒドロキシブチル(メタ)アクリレートやビニルフェノール等の水酸基含有モノマーと、n−ブチル(メタ)アクリレートや2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の汎用モノマーとの共重合体、及びその混合物等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエーテルポリオールは、硬化性組成物の粘度が低く作業性に優れ、得られる発泡体の機械強度に優れることから好ましい。主鎖骨格がポリオキシプロピレンであるポリオキシプロピレンポリオールは、組成物の粘度が低く、発泡体の機械強度に優れることからより好ましい。主鎖骨格がポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン共重合体は、後述の(B)成分との組合せで組成物の粘度が低く作業性に優れる為、更に好ましい。主鎖骨格の主成分がポリオキシプロピレンでその末端のみエチレンオキシドで変性したEO変性ポリオキシプロピレンポリオールは、水酸基が一級水酸基となり、得られる硬化性組成物の硬化速度が速く、特に好ましい。
これらのポリオールの中でも水酸基を一分子中に3個以上有する3官能以上の多官能ポリオールは、硬化に際し反応性が高く、得られる発泡体が高硬度である点から好ましい。
前記の3官能以上の多官能ポリオールの含有量は、(A)成分の全量に基づいて、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、50質量%以上が特に好ましい。5質量%未満では、得られる発泡体の硬度が低下する場合がある。また、硬化速度が遅い場合がある。
本発明の(A)成分の数平均分子量は、GPCにおけるポリスチレン換算において、500〜20000であることが好ましく、1000〜15000がより好ましく、2000〜10000が更に好ましく、3000〜7000が特に好ましい。500未満では、得られる発泡体の伸びや強度が不十分な場合がある。20000より大きいと、硬化性組成物の粘度が高くなり、作業性が低下する場合がある。
なお、水酸基価は、JIS K 1557−1の規格に基づいた測定方法により得られる。
本発明の硬化性組成物中の構成成分としての(A)成分の含有量は、該硬化性組成物の全量の10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、25質量%以上が特に好ましい。10質量%未満では、得られる発泡体の伸びや柔軟性が不十分な場合がある。また、該硬化性組成物から無機成分を除いた全質量に対して、(A)成分の含有量は、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、35質量%以上が更に好ましく、40質量%以上が特に好ましい。25質量%未満では、得られる発泡体の伸びや柔軟性が不十分な場合がある。
<ポリマー微粒子(B)>
本発明の硬化性組成物は、コア層およびシェル層の少なくとも2層を有するコアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)を使用する。(B)成分の添加により、得られる発泡体は硬度に優れる。
得られる硬化性組成物の取扱いやすさと、得られる発泡体の硬度改良効果のバランスから、(A)成分100質量部に対して、(B)成分は2〜70質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましく、10〜40質量部が更に好ましく、15〜30質量部が特に好ましい。
ポリマー微粒子の粒子径は特に限定されないが、工業的生産性、及び、硬化性組成物の粘度を考慮すると、体積平均粒子径(Mv)は10〜2000nmが好ましく、50〜800nmがより好ましく、100〜600nmが更に好ましく、200〜400nmが特に好ましい。なお、ポリマー微粒子の体積平均粒子径(Mv)は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
(B)成分の粒子径の個数分布において、極大値が2個以上存在することが好ましく、製造時の手間やコストの観点から、極大値が2〜3個存在することがより好ましく、極大値が2個存在することが更に好ましい。特に、体積平均粒子径が10nm以上150nm未満のポリマー微粒子10〜90質量%と、体積平均粒子径が150nm以上2000nm以下のポリマー微粒子90〜10質量%を含むことが好ましい。
(B)成分は硬化性組成物中で1次粒子の状態で分散していることが好ましい。本発明における、「ポリマー微粒子が硬化性組成物中で1次粒子の状態で分散している」(以下、一次分散とも呼ぶ。)とは、ポリマー微粒子同士が実質的に独立して(接触なく)分散していることで、その分散状態は、例えば、硬化性組成物の一部をメチルエチルケトンのような溶剤に溶解し、これをレーザー光散乱による粒子径測定装置等により、その粒子径を測定することにより確認できる。
また、ポリマー微粒子の「安定な分散」とは、ポリマー微粒子が、連続層中で凝集したり、分離したり、沈殿したりすることなく、定常的に通常の条件下にて、長期間に渡って、分散している状態を意味し、また、ポリマー微粒子の連続層中での分布も実質的に変化せず、また、これらの組成物を危険がない範囲で加熱することで粘度を下げて攪拌したりしても、「安定な分散」を保持できることが好ましい。
(B)成分は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
ポリマー微粒子の構造は、コア層およびシェル層の少なくとも2層を有するコアシェル構造を有することが必須であるが、コア層を被覆する中間層と、この中間層をさらに被覆するシェル層とから構成される3層以上の構造を有することも可能である。
以下、各層について具体的に説明する。
≪コア層≫
本発明のコア層は、非架橋性単量体と必要により架橋性単量体を含有する単量体混合物を、乳化重合、懸濁重合、及び、マイクロサスペンジョン重合よりなる群から選択される1種以上の方法で重合して得られる重合体である。
コア層は、本発明の硬化性組成物を硬化して得られる発泡体の硬度を高める為に、下記数式(1)よりケルビン温度で算出し、セルシウス温度に換算したガラス転移温度(Tg)が0℃より大きいことが好ましい。
1/Tg=Σ(Mi/Tgi) (1)
(式中、Miは(B)成分のコア層を構成する非架橋性単量体i成分の重量分率、Tgiは非架橋性単量体iのホモポリマーのガラス転移温度(K)を表す。)
なお、非架橋性単量体のホモポリマーのガラス転移温度は、例えば、J.Brandrup著の「ポリマーハンドブック第4版(POLYMER HANDBOOK Fourth Edition)」等の文献やカタログにより確認することができる。
数式(1)より計算した(B)成分のコア層のガラス転移温度の上限は特に制限されないが、入手性の点から300℃以下であることが好ましい。コア層のガラス転移温度は、15〜200℃がより好ましく、30〜150℃が更に好ましく、50〜110℃が特に好ましい。
コア層は、(メタ)アクリレート系モノマーを主成分として用いて重合した(メタ)アクリレート系重合体が、硬化性組成物の粘度が低いことから好ましい。
前記非架橋性単量体の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環含有(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアルキル(メタ)アクリレートなどのグリシジル(メタ)アクリレート類;アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、2−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6―トリメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−ヒトロキシスチレンなどのビニルアレーン類;ビニルベンゾエート、ビニルシクロヘキサノエート等のビニルエステル類;アクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン等のアクリルアミド類;アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアン類;塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのアルケン類;1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどの共役ジエン類;などが挙げられる。これらのモノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、入手性の観点から、炭素数1〜4のアルキルメタクリレート類、炭素数1〜8のアルキルアクリレート類、ビニルアレーン類、ビニルシアン類、が好ましく、炭素数1〜4のアルキルメタクリレート類および/または炭素数1〜8のアルキルアクリレート類、がより好ましく、メチルメタクリレートおよび/またはブチルアクリレート、が更に好ましい。非架橋性単量体として、炭素数1〜4のアルキルメタクリレート類20〜100質量%と炭素数1〜8のアルキルアクリレート類80〜0質量%からなる単量体混合物が好ましく、炭素数1〜4のアルキルメタクリレート類40〜100質量%と炭素数1〜8のアルキルアクリレート類60〜0質量%からなる単量体混合物がより好ましく、炭素数1〜4のアルキルメタクリレート類60〜100質量%と炭素数1〜8のアルキルアクリレート類40〜0質量%からなる単量体混合物が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキルメタクリレート類80〜100質量%と炭素数1〜8のアルキルアクリレート類20〜0質量%からなる単量体混合物が特に好ましい。
前記非架橋性単量体の中でも、得られる重合体のTgが高いことから、炭素数1〜4のアルキルメタクリレート類、ビニルアレーン類、ビニルシアン類、が好ましい。メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、は入手性が高く重合体のTgが高いため特に好ましい。
ポリマー微粒子の硬化性組成物中での分散安定性を保持する観点から、コア層は、架橋構造が導入されていることが好ましい。また、架橋構造を導入すると、本発明の硬化性組成物の粘度が低くなり、硬化して得た発泡体は硬度が高くなる傾向があるため好ましい。架橋構造の導入方法としては、一般的に用いられる手法を採用することができる。例えば、非架橋性単量体と、多官能性モノマーやメルカプト基含有化合物等の架橋性単量体とを共重合する方法などが挙げられる。
コア層は、非架橋性単量体のみを重合した架橋構造を有さないポリマーでもよいが、非架橋性単量体80〜99質量%、および、架橋性単量体20〜1質量%からなる単量体混合物を重合して得られる架橋構造を有する重合体が好ましい。非架橋性単量体90〜98質量%、および、架橋性単量体10〜2質量%からなる単量体混合物がより好ましく、非架橋性単量体94〜97質量%、および、架橋性単量体6〜3質量%からなる単量体混合物が更に好ましい。
なお、コア層が架橋ポリマーである場合、そのゲル含量は、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。なお、本明細書でいうゲル含量とは、凝固、乾燥により得られたクラム0.5gをトルエン100gに浸漬し、23℃で24時間静置した後に不溶分と可溶分を分別したときの、不溶分と可溶分の合計量に対する不溶分の比率を意味する。
前記多官能性モノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、アリルアルキル(メタ)アクリレート等のアリルアルキル(メタ)アクリレート類;アリルオキシアルキル(メタ)アクリレート類;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート類;1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン系モノマー類;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、等が挙げられる。特に好ましくはアリルメタアクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、及びジビニルベンゼンである。多官能性モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、コア層の体積平均粒子径は0.03〜2μmが好ましいが、0.05〜1μmがさらに好ましい。体積平均粒子径が0.03μm未満のものを安定的に得ることは難しい場合が多く、2μmを超えると硬化性組成物を硬化して得られる発泡体の強度が低下する場合がある。なお体積平均粒子径は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
コア層は、ポリマー微粒子全体を100質量%として40〜97質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜93質量%が更に好ましく、80〜90質量%が特に好ましい。コア層が40質量%未満では得られる発泡体の機械強度が低下する場合がある。コア層が97質量%よりも大きいとポリマー微粒子が凝集し易くなり、硬化性組成物が高粘度となり取り扱い難い場合がある。
本発明において、コア層は単層構造であることが多いが、多層構造であってもよい。また、コア層が多層構造の場合は、各層のポリマー組成が各々相違していてもよい。
≪中間層≫
本発明では、必要により、中間層を形成させてもよい。特に、中間層として、以下の表面架橋層を形成させてもよい。
前記表面架橋層は、同一分子内にラジカル性二重結合を2以上有する多官能性モノマー30〜100質量%、及びその他のビニルモノマー0〜70質量%からなる表面架橋層成分を重合してなる中間層重合体からなり、本発明の硬化性組成物の粘度を低下させる効果、ポリマー微粒子(B)の(A)成分への分散性を向上させる効果を有する。また、コア層の架橋密度を上げたりシェル層のグラフト効率を高める効果も有する。
前記多官能性モノマーの具体例としては、上述の多官能性モノマーと同じモノマーが例示されるが、好ましくはアリルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートである。
≪シェル層≫
ポリマー微粒子の最も外側に存在するシェル層は、シェル形成用単量体を重合したものであるが、本発明に係る、ポリマー微粒子(B)と(A)成分との相溶性を向上させ、本発明の硬化性組成物、又はその発泡体中においてポリマー微粒子が一次粒子の状態で分散することを可能にする役割を担うシェルポリマーからなる。
このようなシェル重合体は、好ましくは前記コア層にグラフトしている。より正確には、シェル層の形成に用いる単量体成分が、コア層を形成するコアポリマーにグラフト重合して、実質的にシェルポリマー層とゴムコアとが化学結合していることが好ましい。即ち、好ましくは、シェルポリマーは、コアポリマーの存在下に前記シェル形成用単量体をグラフト重合させることで形成され、このようにすることで、このコアポリマーにグラフト重合されており、コアポリマーの一部又は全体を覆っている。この重合操作は、水性のポリマーラテックス状態で調製され存在するコアポリマーのラテックスに対して、シェル重合体の構成成分であるモノマーを加えて重合させることで実施できる。
シェル層形成用モノマーとしては、(B)成分の硬化性組成物中での相溶性及び分散性の点から、例えば、芳香族ビニルモノマー、ビニルシアンモノマー、(メタ)アクリレートモノマー、水酸基含有モノマーが好ましく、(メタ)アクリレートモノマー、水酸基含有モノマーがより好ましい。シェル層は、(メタ)アクリレート系モノマーを主成分として用いて重合した(メタ)アクリレート系重合体が、硬化性組成物の粘度が低いことから好ましい。
本発明の硬化性組成物、又はその発泡体中において(B)成分が凝集せずに良好な分散状態を維持するために、更に、(A)成分あるいは(F)成分と(B)成分とを化学結合させる観点から、シェル層形成用モノマーとして、エポキシ基、オキセタン基、水酸基、アミノ基、イミド基、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、環状エステル、環状アミド、ベンズオキサジン基、及びシアン酸エステル基からなる群から選ばれる1種以上を含有する反応性基含有モノマーを含有することが好ましい。特に、(B)成分は、水酸基を有するモノマー成分を、コア層にグラフト重合してなるシェル層を有することが好ましい。
また、シェル層形成用モノマーとして、二重結合を2個以上有する多官能性モノマーを使用すると、硬化性組成物中においてポリマー微粒子の膨潤を防止し、また、硬化性組成物の粘度が低く取扱い性がよくなる傾向がある為好ましい。
多官能性モノマーをシェル層形成用モノマーとして使用する場合、シェル形成用モノマー100質量%中に、1〜20質量%含まれていることが好ましく、より好ましくは、5〜15質量%である。
前記芳香族ビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
前記ビニルシアンモノマーの具体例としては、アクリロニトリル、又はメタクリロニトリル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記エポキシ基を有するモノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記水酸基を有するモノマーの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ直鎖アルキル(メタ)アクリレート(特に、ヒドロキシ直鎖C1−6アルキル(メタ)アクリレート);カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート;α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル等のヒドロキシ分岐アルキル(メタ)アクリレート、二価カルボン酸(フタル酸等)と二価アルコール(プロピレングリコール等)とから得られるポリエステルジオール(特に飽和ポリエステルジオール)のモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
前記二重結合を2個以上有する多官能性モノマーの具体例としては、上述の多官能性モノマーと同じモノマーが例示されるが、好ましくはアリルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートである。
これらのモノマー成分は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シェル層は、上記モノマー成分の他に、他のモノマー成分を含んで形成されてもよい。他のモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリルアミド誘導体、マレイミド誘導体、ビニルエーテル等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド誘導体は、例えば(メタ)アクリルアミド(N−置換物を含む)等が挙げられる。マレイミド誘導体には、例えばマレイン酸イミド(N−置換物を含む)等が挙げられる。ビニルエーテルとしては、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等が挙げられる。
(B)成分のシェル層中の水酸基の含有量は、0.05〜3.5mmol/gが好ましく、0.1〜2.0mmol/gがより好ましく、0.2〜1.5mmol/gが更に好ましく、0.3〜1.2mmol/gが特に好ましい。シェル層中の水酸基の含有量が、0.05mmol/g未満であると、ポリオールに対する相溶性が不十分で硬化性組成物の粘度が高くなる場合がある。また、硬化性組成物を硬化して得られる発泡体の硬度が低下する場合がある。シェル層中の水酸基の含有量が、3.5mmol/gを超えると、重合系が不安定となり、凝集・凝固が起こる場合がある。
シェル層のグラフト率は、70%以上(より好ましくは80%以上、さらには90%以上)であることが好ましい。グラフト率が70%未満の場合には、液状樹脂組成物の粘度が上昇する場合がある。なお、本明細書において、グラフト率の算出方法は下記の通りである。
先ず、ポリマー微粒子を含有する水性ラテックスを凝固・脱水し、最後に乾燥してポリマー微粒子のパウダーを得た。次いで、ポリマー微粒子のパウダー2gをメチルエチルケトン(MEK)100gに23℃で24時間浸漬した後にMEK可溶分をMEK不溶分と分離し、さらにMEK可溶分からメタノール不溶分を分離した。そして、MEK不溶分とメタノール不溶分との合計量に対するMEK不溶分の比率を求めることによって算出した。
≪ポリマー微粒子の製造方法≫
(コア層の製造方法)
本発明で用いるポリマー微粒子のコア層は、コア層形成用モノマーを、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合から選択される1種以上の方法で重合することで得られ、例えばWO2005/028546号公報に記載の方法を用いることができる。
(シェル層および中間層の形成方法)
中間層もまた、中間層形成用モノマーを、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合から選択される1種以上の方法で重合することで得られる。コア層をエマルジョンとして得た場合には、中間層用モノマーの重合は乳化重合法により行うことが好ましい。
シェル層もまた、シェル層形成用モノマーを、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合から選択される1種以上の方法で重合することで得られる。コア層、または、コア層を中間層で被覆して構成されるポリマー微粒子前駆体をエマルジョンとして得た場合には、シェル層形成用モノマーの重合は乳化重合法により行うことが好ましく、例えば、WO2005/028546号公報に記載の方法に従って製造することができる。
乳化重合において用いることができる乳化剤(分散剤)としては、ジオクチルスルホコハク酸やドデシルベンゼンスルホン酸などに代表されるアルキルまたはアリールスルホン酸、アルキルまたはアリールエーテルスルホン酸、ドデシル硫酸に代表されるアルキルまたはアリール硫酸、アルキルまたはアリールエーテル硫酸、アルキルまたはアリール置換燐酸、アルキルまたはアリールエーテル置換燐酸、ドデシルザルコシン酸に代表されるN−アルキルまたはアリールザルコシン酸、オレイン酸やステアリン酸などに代表されるアルキルまたはアリールカルボン酸、アルキルまたはアリールエーテルカルボン酸などの各種の酸類、これら酸類のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩などのアニオン性乳化剤(分散剤);アルキルまたはアリール置換ポリエチレングリコールなどの非イオン性乳化剤(分散剤);ポリビニルアルコール、アルキル置換セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸誘導体などの分散剤が挙げられる。これらの乳化剤(分散剤)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー微粒子の水性ラテックスの分散安定性に支障を来さない限り、乳化剤(分散剤)の使用量は少なくすることが好ましい。また、乳化剤(分散剤)は、その水溶性が高いほど好ましい。水溶性が高いと、乳化剤(分散剤)の水洗除去が容易になり、最終的に得られる発泡体への悪影響を容易に防止できる。
乳化重合法を採用する場合には、公知の開始剤、すなわち2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどを熱分解型開始剤として用いることができる。
また、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラメンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキサイドなどの有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物といった過酸化物と、必要に応じてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、グルコースなどの還元剤、および必要に応じて硫酸鉄(II)などの遷移金属塩、さらに必要に応じてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなどのキレート剤、さらに必要に応じてピロリン酸ナトリウムなどのリン含有化合物などを併用したレドックス型開始剤を使用することもできる。
レドックス型開始剤系を用いた場合には、前記過酸化物が実質的に熱分解しない低い温度でも重合を行うことができ、重合温度を広い範囲で設定できるようになり好ましい。中でもクメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物をレドックス型開始剤として用いることが好ましい。前記開始剤の使用量、レドックス型開始剤を用いる場合には前記還元剤・遷移金属塩・キレート剤などの使用量は公知の範囲で用いることができる。また二重結合を2以上有するモノマーを重合するに際しては公知の連鎖移動剤を公知の範囲で用いることができる。追加的に界面活性剤を用いることができるが、これも公知の範囲である。
重合に際しての重合温度、圧力、脱酸素などの条件は、公知の範囲のものが適用できる。
<水(C)>
本発明の硬化性組成物には(C)成分として水を使用する。後述のポリイソシアネート(F)のイソシアネート基と水との反応で発生する炭酸ガスを発泡剤として用いることができる。
水(C)の使用量は、ポリオール(A)100質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましく、1〜6質量部がより好ましく、1.5〜5質量部が更に好ましく、2〜4質量部が特に好ましい。0.5質量部以上であると経済的に有効な発泡倍率を有する軟質ポリウレタンフォームとなる。10質量部以下であると発泡安定性に優れた軟質ポリウレタンフォームとなる。
また、イソシアネート基と水との反応で発生する炭酸ガス以外に、付加的に少量のフロンや炭化水素類等の低沸点有機化合物を発泡剤として用いる事も可能であり、ガスローディング装置を用いて原液中に空気、窒素ガス、二酸化炭素ガス等を混入溶解させて発泡成形することも可能である。
<触媒(D)>
本発明の硬化性組成物には(D)成分としてポリオール(A)とポリイソシアネート(F)、あるいは、水(C)とポリイソシアネート(F)との反応を加速する触媒を使用する。
触媒としては、特に限定されず、通常使用されるウレタン化反応を促進する触媒が挙げられる。具体例としては、2−エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレート、等の有機錫化合物;ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−エチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などのアミン類等が挙げられる。また、DBUのオクチル酸塩など、前記アミン類とカルボン酸やフェノール類などの有機酸との塩は、潜在硬化性触媒として有効である。更に、WO2014−196607号パンフレットの[0121]段落に記載の各種の触媒が挙げられる。触媒は、単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
触媒(D)の使用量は、ポリオール(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましく、0.1〜3質量部が更に好ましく、0.2〜1.5質量部が特に好ましい。0.01質量部以上であると有効な硬化速度を有する軟質ポリウレタンフォームとなる。10質量部以下であると有効な可使時間を有する取扱い性に優れた軟質ポリウレタンフォームとなる。
<整泡剤(E)>
本発明の硬化性組成物には(E)成分として整泡剤を使用する。整泡剤としては、シリコーン系整泡剤、フッ素系整泡剤等が挙げられる。これらのうちでも、シリコーン系整泡剤が好ましい。シリコーン系整泡剤のうち、ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンコポリマーを主成分とするシリコーン整泡剤が好ましい。整泡剤はポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンコポリマー単独であってもよく、これに他の併用成分を含んでいてもよい。含んでいてもよい他の併用成分としては、ポリアルキルメチルシロキサン、グリコール類およびポリオキシアルキレン化合物等が例示できる。
市販の整泡剤の具体例としては、例えば、特開2013−127011号公報の[0064]段落に記載の各種の整泡剤が挙げられる。整泡剤は、単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
整泡剤(E)の使用量は、ポリオール(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましく、0.5〜2質量部が特に好ましい。0.1質量部以上であると発泡安定性に優れた軟質ポリウレタンフォームとなる。10質量部以下であると通気性が十分確保された軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。
<ポリイソシアネート(F)>
本発明の硬化性組成物では、ポリイソシアネート(F)を使用する。ポリイソシアネート(F)はポリオール(A)との反応でポリウレタンを生成し、また、水(C)との反応で炭酸ガスを生成する成分である。ポリイソシアネート(F)は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
ポリイソシアネート(F)としては、従来公知のポリイソシアネート化合物が用いられる。従来公知のポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環式ポリイソシアネート化合物、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物等を用いることができる。
脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環式ポリイソシアネート化合物、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物の具体例としては、例えば、WO2014−196607号パンフレットの、それぞれ、[0042]、[0043]、[0044]、[0045]の各段落に記載の各種の化合物が挙げられる。
更に、ポリイソシアネート化合物として、前記の各種のポリイソシアネート化合物を用いて得た、アロファネート変性体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体を挙げることができる。
これらの中でも、芳香族ポリイソシアネート化合物や芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物は、得られる発泡体の硬さに優れることから好ましい。特に、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが好ましい。
これらポリイソシアネート化合物の使用に際し、黄変性が問題になる場合には、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族のポリイソシアネートを使用するのが好ましい。特に、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および、これらのイソシアヌレート変性体が好ましい。
また、ポリイソシアネートとして、ヌレート変性ポリイソシアネート、カルボジイミド変性ポリイソシアネート、プレポリマー変性ポリイソシアネート(ポリイソシアネートと上記ポリオールとから得られる、イソシアネート基を分子末端に有するプレポリマー)、ウレトジオン変性ポリイソシアネート等の変性ポリイソシアネートを用いることもできる。
本発明では、NCOインデックスが、好ましくは0.70〜1.30、より好ましくは0.80〜1.20、さらに好ましくは0.90〜1.10、特に好ましくは0.94〜1.08となるように、上述のポリオール組成物とポリイソシアネートと任意成分とを混合することが望ましい。NCOインデックスが前記範囲であると、発泡体として適度な硬度および機械強度を有し、しかも適度な反発弾性、伸び率および成形性を有するポリウレタンフォームを得ることができる。なお、NCOインデックスとは、硬化性組成物中に含まれるポリイソシアネート(F)のイソシアネート基の全モル数を、硬化性組成物中に含まれる活性水素(ポリオールの水酸基、架橋剤などのアミノ基および水などのイソシアネート基と反応する基)の全モル数で割った値を意味する。
ポリイソシアネート(F)の使用量は、ポリオール(A)100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、20〜75質量部がより好ましく、30〜50質量部が特に好ましい。ポリイソシアネート(F)の使用量が前記範囲であると、発泡体として適度な発泡倍率、硬度および機械強度を有するポリウレタンフォームを得ることができる。
<その他の配合成分>
本発明では、必要に応じて、その他の配合成分を使用することができる。その他の配合成分としては、充填材、顔料、難燃剤、顔料分散剤、可塑剤、溶剤、粘着性付与剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、鎖延長剤、架橋剤、セル連通化剤、加水分解安定剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、離型剤、帯電防止剤、滑剤、低収縮剤、等が挙げられる。
充填材、顔料、難燃剤、顔料分散剤、可塑剤、溶剤、粘着性付与剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤の具体例としては、例えば、WO2014−196607号パンフレットの、それぞれ、[0123]、[0124]、[0126]〜[0127]、[0132]、[0134]、[0136]、[0139]、[0141]、[0147]、[0149]、[0151]、[0153]の各段落に記載の各種の化合物が挙げられる。
<硬化性組成物の製法>
本発明の硬化性組成物は、(A)成分および(F)成分を主成分とする硬化性組成物中に、ポリマー微粒子(B)を含有する組成物であり、好ましくは、ポリマー微粒子(B)が1次粒子の状態で分散した組成物である。
(A)成分あるいは(F)成分中に、ポリマー微粒子(B)を1次粒子の状態で分散させた組成物を得る方法は、種々の方法が利用できるが、例えば水性ラテックス状態で得られたポリマー微粒子を(A)成分と接触させた後、水等の不要な成分を除去する方法、ポリマー微粒子を一旦有機溶剤に抽出後に(A)成分と混合してから有機溶剤を除去する方法等が挙げられるが、国際公開WO2009/14037に記載の方法を利用することが好ましい。その具体的な製造方法は、順に、ポリマー微粒子(B)を含有する水性ラテックス(詳細には、乳化重合によってポリマー微粒子を製造した後の反応混合物)を、20℃における水に対する溶解度が5質量%以上40質量%以下の有機溶媒と混合した後、さらに過剰の水と混合して、ポリマー微粒子を凝集させる第1工程と、凝集したポリマー微粒子(B)を液相から分離・回収した後、再度有機溶媒と混合して、ポリマー微粒子(B)の有機溶媒溶液を得る第2工程と、有機溶媒溶液をさらに(A)成分と混合した後、前記有機溶媒を留去する第3工程とを含んで調製されることが好ましい。
(A)成分は、23℃で液状であると、前記第3工程が容易となる為、好ましい。「23℃で液状」とは、軟化点が23℃以下であることを意味し、23℃で流動性を示すものである。
上記の工程を経て得た、(A)成分にポリマー微粒子(B)が1次粒子の状態で分散した組成物に、更に(A)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、及び、前記<その他の配合成分>、の各成分を、必要により更に追加混合する事により、ポリマー微粒子(C)が1次粒子の状態で分散した本発明の硬化性組成物が得られる。硬化性組成物の保存安定性の観点から、(F)成分以外の全原料を混合した第1液と、(F)成分からなる第2液として、別々の容器に保管し、使用直前に混合して使用する2液型硬化性組成物が好ましい。場合によっては、(D)成分を別成分とする3液以上の多液型硬化性組成物であってもよい。
各成分を混合する際は、通常使用される混合機などを用いて公知の方法で製造される。各種原料をプロペラ型/櫂型などの攪拌羽根の付いた混合槽、プラネタリーミキサー、ニーダー、ホーバルトミキサー、ハイスピードミキサー、ラインミキサー、ロールミル、サンドミル、アトライター、2軸ミキサーなどの混合機を用いて、必要ならば減圧下で均一に分散することにより得ることができる。混合物の粘度は、塗工方法に合わせて設計される。
<軟質ポリウレタンフォームの製造方法>
本発明の軟質ウレタンフォームの製造方法は、平均水酸基価が5〜150mgKOH/gであるポリオール(A)、コアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)、水(C)、触媒(D)、整泡剤(E)、および、ポリイソシアネート(F)、からなる硬化性組成物を反応させる発泡工程を有する。
発泡工程の方法としては、密閉された金型内で、本発明の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物を発泡成形する方法(モールド法)、開放系で前記硬化性組成物を発泡させる方法(スラブ法)が挙げられる。
モールド法としては、硬化性組成物を直接密閉された金型内に直接注入する方法(反応射出成形法)、または硬化性組成物を開放状態の金型内に注入した後に密閉する方法が好ましい。後者の方法としては、低圧発泡機または高圧発泡機を用いて反応性混合物を金型に注入する方法が好ましい。
発泡工程に用いる硬化性組成物の温度は10〜40℃が好ましい。該温度が10℃以上であれば、反応性混合物の粘度が高くなりすぎず、液の混合性が良好となる。該温度が40℃以下であれば、反応性が高くなりすぎず、成形性等が良好となる。
金型温度は、10℃〜80℃が好ましく、30℃〜70℃が特に好ましい。
硬化時間は、1〜20分が好ましく、3〜10分がより好ましく、3〜8分が特に好ましい。硬化時間が1分以上であれば、十分に硬化が進行する。硬化時間が20分以下であれば、生産性が良好となる。
スラブ法としては、ワンショット法、セミプレポリマー法およびプレポリマー法等の公知の方法が挙げられる。軟質フォームの製造には、公知の製造装置を用いることができる。
<軟質ポリウレタンフォーム>
前記発泡工程を経由して、軟質ポリウレタンフォーム(発泡体)が得られる。本発明の硬化性組成物は、ポリマー微粒子が一次粒子の状態で分散していることから、これを発泡することによって、ポリマー微粒子が均一に分散した発泡体を容易に得ることができる。また、ポリマー微粒子が膨潤し難く、硬化性組成物の粘性が低いことから、発泡体を作業性よく得ることができる。
本発明の硬化性組成物を硬化して得られる発泡体は、所謂ポリウレタンであり、重合体の主鎖骨格にウレタン結合を有する材料である。側鎖にウレタン結合を有する材料とは、本質的に異なる。
<用途>
本発明の製造方法により製造される軟質ポリウレタンフォームは、自動車の内装材(シートクッション、シートバックレスト、ヘッドレスト、アームレスト等。)、鉄道車両の内装材、寝具用および家具用クッション(マットレス、ソファー、イス用クッション)等に利用できる。特に、硬度および機械特性に優れることから、自動車用シートクッションまたは家具用クッションとして好適である。
以下、実施例および比較例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更して実施することが可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお下記実施例および比較例において「部」および「%」とあるのは、質量部または質量%を意味する。
評価方法
先ず、実施例および比較例によって製造した軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物、及び、該硬化性組成物を発泡・硬化させて得られる軟質ポリウレタンフォームの評価方法について、以下説明する。
[1]平均粒子径の測定
水性ラテックスに分散しているポリマー微粒子の体積平均粒子径(Mv)は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定した。脱イオン水で希釈したものを測定試料として用いた。測定は、水の屈折率、およびそれぞれのポリマー微粒子の屈折率を入力し、計測時間600秒、Signal Levelが0.6〜0.8の範囲内になるように試料濃度を調整して行った。
[2](B)成分のコア層のガラス転移温度の計算
軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物中の(B)成分のコア層のガラス転移温度は、数式(1)よりケルビン温度(K)で計算し、セルシウス温度(℃)へ換算した。その際に用いた各非架橋性単量体のホモポリマーのTgは次の値を使用した:メチルメタクリレート 378K、ブチルアクリレート 218K、ブチルメタクリレート 293K。
1/Tg=Σ(Mi/Tgi) (1)
(式中、Miは(B)成分のコア層を構成する非架橋性単量体i成分の重量分率、Tgiは非架橋性単量体iのホモポリマーのガラス転移温度(K)を表す。)
[3]粘度の測定
ポリオール(A)中にポリマー微粒子(B)が分散した分散物(M)の粘度は、BROOKFIELD社製デジタル粘度計DV−II+Pro型を用いて測定した。スピンドルCPE−41またはCPE−52を使用し、25℃で、Shear Rate(ずり速度)が10(s−1)における粘度を測定した。
[4]発泡体の25%圧縮時の応力の測定
硬化性組成物を発泡・硬化させて得られた軟質ポリウレタンフォームを、厚み20mm;縦25mm;横25mmの寸法に切断し、この縦横の中央に、直径16.5mmの円柱状の加圧板を用いて発泡体を毎分100mmの速さで押し込み、厚み方向に5mm(つまり25%)圧縮し、20秒静止した時の力(kgf)を測定した。
[5]発泡体の最大引張応力(引張強度)の測定
硬化性組成物を発泡・硬化させて得られた軟質ポリウレタンフォームを、厚み5mmのシート状に切断し、このシート状発泡体をJIS K−6251の3号ダンベル型に打ち抜いて、23℃にて引っ張り速度200mm/分で引張り試験を行い、最大引張応力(MPa)を測定した。
1.ポリマー微粒子の調製
製造例1−1;コアシェルポリマーラテックス(L−1)の調製
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、モノマーと乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水193質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.006質量部、硫酸第一鉄・7水和塩(FE)0.0015質量部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.6質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDS)0.01質量部を仕込み、窒素気流中で撹拌しながら60℃に昇温した。次にコア層用モノマー(メチルメタクリレート(MMA)72質量部、ブチルアクリレート(BA)15質量部、アリルメタクリレート(ALMA)4質量部)、及び、クメンハイドロパーオキサイド(CHP)0.13質量部の混合物を3時間要して滴下した。また、前記のモノマー混合物の添加とともに、SDSの5質量%水溶液20質量部を3時間にわたり連続的に追加した。モノマー混合物添加終了から1時間撹拌を続けて重合を完結し、アクリルポリマー微粒子を含むラテックスを得た。引き続き、そこに、グラフトモノマー(MMA2質量部、BA8質量部、スチレン(St)2質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)1質量部)、及び、CHP0.07質量部の混合物を120分間かけて連続的に添加した。添加終了後、CHP0.07質量部を添加し、さらに2時間撹拌を続けて重合を完結させ、コアシェルポリマー微粒子を含むラテックス(L−1)を得た。モノマー成分の重合転化率は99%以上であった。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマー微粒子の体積平均粒子径は0.31μmであった。
製造例1−2;コアシェルポリマーラテックス(L−2)の調製
製造例1−1において、コア層用モノマーとして<MMA72質量部、BA15質量部、ALMA4質量部>の代わりに<MMA42質量部、B45質量部、ALMA4質量部>を用いたこと以外は製造例1−1と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−2)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.39μmであった。
製造例1−3;コアシェルポリマーラテックス(L−3)の調製
製造例1−1において、コア層用モノマーとして<MMA72質量部、BA15質量部、ALMA4質量部>の代わりに<MMA27質量部、B60質量部、ALMA4質量部>を用いたこと以外は製造例1−1と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−3)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.29μmであった。
製造例1−4;コアシェルポリマーラテックス(L−4)の調製
製造例1−1において、コア層用モノマーとして<MMA72質量部、BA15質量部、ALMA4質量部>の代わりに<MMA57質量部、BA30質量部、ALMA4質量部>を用いたこと以外は製造例1−1と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−4)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.35μmであった。
製造例1−5;コアシェルポリマーラテックス(L−5)の調製
製造例1−1において、コア層用モノマーとして<MMA72質量部、BA15質量部、ALMA4質量部>の代わりに<MMA57質量部、ブチルメタクリレート(BMA)30質量部、ALMA4質量部>を用いたこと以外は製造例1−1と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−5)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.35μmであった。
製造例1−6;コアシェルポリマーラテックス(L−6)の調製
製造例1−1において、最初に仕込むSDSを0.01質量部の代わりに0.4質量部とし、コア層用モノマーとして<MMA72質量部、BA15質量部、ALMA4質量部>の代わりに<MMA57質量部、BA30質量部、ALMA4質量部>を用いたこと以外は製造例1−1と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−6)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.10μmであった。
製造例1−7;コアシェルポリマーラテックス(L−7)の調製
製造例1−1において、コア層用モノマーとして<MMA72質量部、BA15質量部、ALMA4質量部>の代わりに<MMA87質量部、ALMA4質量部>を用い、グラフトモノマーとして<MMA2質量部、BA8質量部、St2質量部、4HBA1質量部>の代わりに<MMA3質量部、BA8質量部、St2質量部>を用いたこと以外は製造例1−1と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−7)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.32μmであった。
製造例1−8;コアシェルポリマーラテックス(L−8)の調製
製造例1−1において、コア層用モノマーとして<MMA72質量部、BA15質量部、ALMA4質量部>の代わりに<MMA87質量部、ALMA4質量部>を用いたこと以外は製造例1−1と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−7)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.29μmであった。
製造例1−9;コアシェルポリマーラテックス(L−9)の調製
製造例1−1において、コア層用モノマーとして<MMA72質量部、BA15質量部、ALMA4質量部>の代わりに<MMA87質量部、ALMA4質量部>を用い、グラフトモノマーとして<MMA2質量部、BA8質量部、St2質量部、4HBA1質量部>の代わりに<MMA1質量部、BA8質量部、St2質量部、4HBA2質量部>を用いたこと以外は製造例1−1と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−9)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.29μmであった。
製造例1−10;コアシェル構造を有さないポリマーラテックス(L−10)の調製
製造例1−1において、コア層用モノマーとして<MMA72質量部、BA15質量部、ALMA4質量部>の代わりに<MMA87質量部、ALMA4質量部>を用い、グラフトモノマーを用いないこと以外は製造例1−1と同様にして、コアシェルポリマー構造を有さないポリマー微粒子のラテックス(L−10)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェル構造を有さないポリマーの体積平均粒子径は0.28μmであった。
2.ポリオール(A)中にポリマー微粒子(B)が分散した分散物の調製
製造例2−1;分散物(M−1)の調製
25℃の1L混合槽にメチルエチルケトン(MEK)132gを導入し、撹拌しながら、それぞれ前記製造例1−1で得られたコアシェルポリマーラテックス(L−1)を132g(ポリマー微粒子40g相当)投入した。均一に混合後、水200gを80g/分の供給速度で投入した。供給終了後、速やかに撹拌を停止したところ、浮上性の凝集体および有機溶媒を一部含む水相からなるスラリー液を得た。次に、一部の水相を含む凝集体を残し、水相360gを槽下部の払い出し口より排出させた。得られた凝集体にMEK150gを追加して均一に混合し、コアシェルポリマーを均一に分散した分散体を得た。この分散体に、(A)成分である3官能ポリエーテルポリオール(A−1:三洋化成製、サンニックス FA−703、水酸基価:33mgKOH/g)60gを混合した。この混合物から、回転式の蒸発装置で、MEKを除去した。このようにして、(A)成分にポリマー微粒子が分散した分散物(M−1)を得た。
製造例2−2〜10;分散物(M−2〜10)の調製
製造例2−1において、コアシェルポリマーラテックスとして(L−1)の代わりに、それぞれ前記製造例1−2〜10で得られた(L−2〜10)を用いたこと以外は製造例2−1と同様にして、(A)成分にポリマー微粒子が分散した分散物(M−2〜10)を得た。
製造例2−1〜10で得たポリマー微粒子が分散した分散物(M−1〜10)に関し、表1に、「分散物(M)中の(B)成分の含有量(質量%)」、「(B)成分のコア層の組成(質量部)」、「(B)成分のシェル層の組成(質量部)」、「(B)成分の粒子径(μm)」「(B)成分のコア層のTg(℃)」、「(B)成分のシェル層中の水酸基の含有量(mmol/g)」、「分散物(M)の25℃での粘度(Pa・s)」を記載する。
Figure 0006761308
なお、ポリマー微粒子として、コアシェルポリマー構造を有さないポリマー微粒子をポリオール(A)中に分散した分散物(M−10)は、コアシェルポリマー微粒子をポリオール(A)中に分散した分散物(M−1〜9)と比較して、非常に高粘度であり、取り扱い難いものであった。
(実施例1〜3、比較例1)
表2に示す処方にしたがって、(A)成分であるサンニックス FA−703(A−1:三洋化成製、3官能ポリエーテルポリオール、水酸基価:33mgKOH/g)、前記製造例2−1〜3で得られた分散物(M−1〜3)、(C)成分である水、(D)成分であるネオスタンU-28(日東化成製、2−エチルヘキサン酸スズ(II))およびDABCO 33−LV(Air Products製、33%のトリエチレンジアミンと67%のジプロピレングリコールの混合物)、(E)成分であるSH−190(東レ・ダウコーニング製、軟質フォーム用シリコーン整泡剤)、をそれぞれ計量しよく混合した。最後に、表2に示す処方にしたがって(F)成分であるTDI(F−1:トリレン−2,4−ジイソシアネート)を計量し、25℃でよく混合したところ、いずれの場合も発泡して硬化し、軟質の発泡体が得られた。
得られた発泡体を23℃で一週間放置後、発泡体の密度を測定した。更に、前記の試験方法に従って、発泡体物性(25%圧縮時の応力、引張強度)を測定した。試験結果を表2に示す。
Figure 0006761308
表1と表2から、本発明の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物は、小粒子径のポリマー微粒子を含有するにもかかわらず、比較的低粘度で取り扱い易く、発泡硬化して得られる軟質発泡体は、圧縮時の応力が高く、硬さが優れることが判る。
(実施例4〜9、比較例2〜4)
表3に示す処方にしたがって、(A)成分であるサンニックス FA−703またはサンニックス FA−728R(三洋化成製、ポリマーポリオール、水酸基価:27mgKOH/g)、前記製造例2−4〜10で得られた分散物(M−4〜10)、(C)成分である水、(D)成分であるネオスタンU-28およびDABCO 33−LV、(E)成分であるSH−190、をそれぞれ計量しよく混合した。最後に、表3に示す処方にしたがって(F)成分であるTDIを計量し、25℃でよく混合したところ、いずれの場合も発泡して硬化し、軟質の発泡体が得られた。
得られた発泡体を23℃で一週間放置後、発泡体の密度を測定した。更に、前記の試験方法に従って、発泡体物性(25%圧縮時の応力)を測定した。試験結果を表3に示す。
なお、比較例2の発泡体は、発泡硬化時に発泡体に亀裂が多く生じた為、発泡体物性の測定ができなかった。
Figure 0006761308
表1と表3から、本発明の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物は、コアシェル構造を有するポリマー微粒子を含有することにより、比較的低粘度で取り扱い易く、発泡硬化して得られる軟質発泡体は、圧縮時の応力が高く、硬さが優れることが判る。

Claims (13)

  1. 平均水酸基価が5〜150mgKOH/gであるポリオール(A)、ポリマー微粒子(B)、水(C)、触媒(D)、整泡剤(E)、および、ポリイソシアネート(F)、からなる軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物であって、
    (B)成分が、コア層およびシェル層の少なくとも2層を有するコアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
  2. 下記数式(1)より計算した(B)成分のコア層のガラス転移温度(Tg)が0℃より大きいことを特徴とする請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
    1/Tg=Σ(Mi/Tgi) (1)
    (式中、Miは(B)成分のコア層を構成する非架橋性単量体i成分の重量分率、Tgiは非架橋性単量体iのホモポリマーのガラス転移温度(K)を表す。)
  3. (A)成分が、ポリエーテルポリオールである請求項1または2に記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
  4. ポリエーテルポリオールがポリオキシプロピレンポリオールである請求項3に記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
  5. (B)成分のコア層が、(メタ)アクリレート系重合体であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
  6. (B)成分のコア層が、非架橋性単量体80〜99質量%、および、架橋性単量体20〜1質量%からなる単量体混合物を重合して得られる重合体であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
  7. (B)成分のシェル層が、(メタ)アクリレート系重合体であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
  8. (B)成分のシェル層が、水酸基を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
  9. (B)成分のシェル層中の水酸基の含有量が、0.05〜3.5mmol/gであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
  10. (B)成分が、水酸基を有するモノマー成分を、コア層にグラフト重合してなるシェル層を有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
  11. (B)成分が、該硬化性組成物中で1次粒子の状態で分散していることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム用硬化性組成物。
  12. 平均水酸基価が5〜150mgKOH/gであるポリオール(A)、ポリマー微粒子(B)、水(C)、触媒(D)、整泡剤(E)、および、ポリイソシアネート(F)、からなる硬化性組成物を反応させて得られる軟質ポリウレタンフォームの製造方法であって、(B)成分が、コア層およびシェル層の少なくとも2層を有するコアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  13. 下記数式(1)より計算した(B)成分のコア層のガラス転移温度(Tg)が0℃より大きいことを特徴とする請求項12に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
    1/Tg=Σ(Mi/Tgi) (1)
    (式中、Miは(B)成分のコア層を構成する非架橋性単量体i成分の重量分率、Tgiは非架橋性単量体iのホモポリマーのガラス転移温度(K)を表す。)
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