JP6761169B2 - コンクリート杭 - Google Patents
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Description
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、曲げ耐力及び剪断耐力が従来よりも改善されたコンクリート杭を提供することにある。
コンクリートを含み、中空部を有する円筒形状の杭本体部と、
前記杭本体部の中空部に配置され、前記杭本体部の内周面に沿って前記杭本体部の軸線の周りを螺旋状に延びる螺旋部材と、
を備え、
前記螺旋部材は、前記杭本体部の径方向外側に向かって付勢するように前記杭本体部の内周面に弾性的に接触している。
そして、上記構成(1)によれば、螺旋部材が杭本体部の内周面に接触しているので、螺旋部材によって、杭本体部の内周面から杭本体部の一部が剥落することが抑制される。この結果として、上記構成(1)によれば、曲げ耐力及び剪断耐力を従来よりも改善することができる。
更に、上記構成(1)によれば、螺旋部材が、杭本体部の径方向外側に向かって付勢するように杭本体部の内周面に弾性的に接触している。このため、杭本体部が変形したときでも杭本体部の内周面と螺旋部材との間に隙間が生じることが抑制され、螺旋部材によって、杭本体部の一部が剥落することを確実に抑制することができる。この結果として、上記構成(1)によれば、曲げ耐力及び剪断耐力を従来よりも改善することができる。
前記杭本体部の外周面を覆う外殻鋼管を更に備える。
前記螺旋部材は、金属によって構成されている。
前記螺旋部材は、中空のチューブによって構成され、
前記チューブ内に、コンクリート、モルタル、グラウト、水、油、金属線、又は、繊維が充填されている。
螺旋部材に水等を充填することにより、螺旋部材の剛性を高めることができ、簡単な構成にて、杭本体部の一部が剥落することを抑制することができる。
前記螺旋部材の螺旋のピッチを決定するピッチ決定部材を更に備える。
前記螺旋部材と前記杭本体部の内周面との間に配置された金属製の剥落抑制壁を更に備え、
前記剥落抑制壁は、前記杭本体部の内周面に接するように前記杭本体部の内周面に沿って湾曲し、
前記螺旋部材は前記剥落抑制壁の内周面に接している。
(7)本発明の少なくとも一実施形態に係るコンクリート杭は、
コンクリートを含み、中空部を有する円筒形状の杭本体部と、
前記杭本体部の中空部に配置され、前記杭本体部の内周面に沿って前記杭本体部の軸線の周りを螺旋状に延びる螺旋部材と、
前記螺旋部材と前記杭本体部の内周面との間に配置された金属製の剥落抑制壁と、
を備え、
前記剥落抑制壁は、前記杭本体部の内周面に接するように前記杭本体部の内周面に沿って湾曲し、
前記螺旋部材は前記剥落抑制壁の内周面に接している。
上記構成(7)によれば、螺旋部材が杭本体部の中空部に配置されており、杭本体部に曲げモーメントや剪断力が作用して杭本体部が変形したときに、螺旋部材によって、杭本体部の内周面から杭本体部の一部が剥落することが抑制される。この結果として、上記構成(7)によれば、曲げ耐力及び剪断耐力を従来よりも改善することができる。
そして、上記構成(7)によれば、剥落抑制壁によって、より広範囲に渡って、杭本体部の内周面を覆うことができ、杭本体部の一部が剥落することを抑制することができる。この際、螺旋部材によって、剥落抑制壁が杭本体部の内周面から離れることを抑制することができるので、杭本体部の一部が剥落することを確実に抑制することができる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、本発明の第1実施形態に係る外殻鋼管付きコンクリート杭(以下、SC杭とも称する)1aの構成を概略的示す縦断面図である。図2は、図1中のII−II線に沿う概略的な断面図である。図3は、SC杭1aに適用された螺旋部材3aを概略的に示す斜視図である。
杭本体部5は、コンクリートによって構成されている。杭本体部5は、円筒形状を有し、軸線方向に延びる中空部11を有する。中空部11は、円柱形状の空洞であり、杭本体部5を貫通している。
上記構成によれば、螺旋部材3aが杭本体部5の内周面13に接触しているので、螺旋部材3aによって、杭本体部5の内周面13から杭本体部5の一部が剥落することが抑制される。この結果として、上記構成によれば、曲げ耐力及び剪断耐力を従来よりも向上させることができる。
上記構成によれば、螺旋部材3aが、杭本体部5の径方向外側に向かって付勢するように杭本体部5の内周面13に弾性的に接触しているので、杭本体部5が変形したときでも杭本体部5の内周面13と螺旋部材3aとの間に隙間が生じることが抑制される。この結果として、螺旋部材3aによって、杭本体部5の一部が剥落することを確実に抑制することができ、曲げ耐力及び剪断耐力を従来よりも向上させることができる。
なお、螺旋部材3aが杭本体部5の内周面に弾性的に接触している場合、螺旋部材3aは、自由状態では、杭本体部5の内周面13の直径又は曲率半径よりも大きい直径又は曲率半径を有する。
螺旋部材3aの直径が杭本体部5の内周面13の直径よりも大きい場合、螺旋部材3aを中空部11の内部に配置するには、螺旋部材3aの軸線の周りにて螺旋部材3aを巻くか、螺旋部材3aの軸線方向に螺旋部材3aを引っ張ることによって、螺旋部材3aの直径を小さくし、その状態で螺旋部材3aを中空部11に挿入すればよい。
上記構成によれば、螺旋部材3aが金属によって構成されているので、簡単な構成にて、杭本体部5の一部が剥落することを抑制することができる。
好ましくは、螺旋部材3aの螺旋のピッチP(中心間距離)は、50mm以上300mm以下である。
図4は、図3の螺旋部材3aの変形例として、中空の螺旋部材3bを概略的に示す斜視図である。
なお、第2実施形態以降の説明では、先行する実施形態と異なる構成について主に説明し、先行する実施形態にて説明した構成と同一又は類似の形状又は機能を有する構成については、図中に同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
上記構成によれば、螺旋部材3bに液体を充填することで、螺旋部材3bの剛性を高めることができる。この結果として、螺旋部材3bによって、簡単な構成にて、杭本体部5の一部が剥落することを抑制することができる。
なお、螺旋部材3bの内部には、液体に代えて、硬化性材料、例えばセメント、モルタル又はグラウト等が充填されてもよい。あるいは、螺旋部材3bの内部には、液体に代えて、金属製の線材、例えばピアノ線が挿入されていてもよい。またあるいは、螺旋部材3bの内部には、繊維等が充填されていてもよい。
上記構成によれば、複数の環状部19に螺旋部材3bを挿通することで、螺旋部材3bのピッチPが過大になることを抑制することができ、螺旋部材3bによって、杭本体部5の一部が剥落することを抑制することができる。
なお、図5では、2つのピッチ決定部材15が、杭本体部5の直径方向に相互に離間するように配置されているが、ピッチ決定部材15の数は、2つに限定されることはなく、1つであっても、3つ以上であってもよい。
図6及び図7は、螺旋部材3a,3bに代えて使用可能な螺旋部材3cを概略的に示す斜視図である。図6及び図7に示したように、螺旋部材3cは、螺旋状に延びる金属製の板によって構成されている点において、螺旋部材3a,3bと異なっている。
なお、図7の螺旋部材3cは、螺旋の軸線方向に伸張した状態を示しており、螺旋状に延びる隙間21を有している。これに対し、図6の螺旋部材3cは、螺旋の軸線方向に収縮した状態を示しており、図7に示したような螺旋状の隙間21を有していない。
図6に示した状態の螺旋部材3cであれば、杭本体部5の内周面13を隙間無く覆うことができる。この結果として、螺旋部材3cによって、杭本体部5の一部が剥落することを確実に抑制することができる。
図8は、本発明の第4実施形態に係るSC杭1bの構成を概略的示す縦断面図である。図9は、図8中のIX−IX線に沿う概略的な断面図である。図10は、SC杭1bに適用された剥落抑制壁23を概略的に示す斜視図である。
図8及び図9に示したように、SC杭1bは、金属製の剥落抑制壁23を更に備えている。剥落抑制壁23は、例えば、一般構造用圧延鋼材によって構成されている。なお、剥落抑制壁23の材料は、一般構造用圧延鋼材に限定されることはなく、形状記憶合金や超弾性合金であってもよい。
剥落抑制壁23は、螺旋部材3aと杭本体部5の内周面13との間に挟まれた状態で配置されている。剥落抑制壁23は、杭本体部5の内周面13に接するように杭本体部5の内周面13に沿って湾曲している。
より具体的には、剥落抑制壁23は、金属製の板を湾曲させるか、若しくは、金属製の管を軸線方向に切断することにより略筒状に形成されている。このため、剥落抑制壁23は中空部11の一部を占めているが、剥落抑制壁23の内側には、中空部11の残部が存在している。これにより、杭本体部5の径方向にて剥落抑制壁23の内側に、螺旋部材3aを配置可能である。
このように、剥落抑制壁23が、杭本体部5の径方向外側に向かって付勢するように杭本体部5の内周面13に弾性的に接触している場合、杭本体部5が変形したときでも杭本体部5の内周面13と剥落抑制壁23との間に隙間が生じることが抑制される。この結果として、剥落抑制壁23によって、杭本体部5の一部が剥落することを確実に抑制することができ、曲げ耐力及び剪断耐力を従来よりも向上させることができる。
なお、剥落抑制壁23が杭本体部5の内周面に弾性的に接触している場合、剥落抑制壁23は、自由状態では、杭本体部5の内周面13の直径又は曲率半径よりも大きい直径又は曲率半径を有する。
上記構成によれば、第1側縁部25と第2側縁部27が相互に重なり合っているので、剥落抑制壁23によって、杭本体部5の内周面13を隙間無く覆うことができる。
図11は、第5実施形態に係るプレストレストコンクリート杭(以下、PC杭とも称する)1cの概略的な縦断面図である。PC杭1cは、外殻鋼管7を有しておらず、端板9,9間に渡って設けられた複数のPC鋼棒29を有する点において、SC杭1aと異なっている。
PC杭1cにおいても、螺旋部材3aが杭本体部5の中空部11に配置されている。このため、杭本体部5に曲げモーメントや剪断力が作用して杭本体部5が変形したときに、杭本体部5の内周面13から杭本体部5の一部が剥落することが抑制される。この結果として、PC杭1cによれば、曲げ耐力及び剪断耐力を従来のPC杭よりも向上させることができる。
つまり、本発明は、SC杭に好適であるが、PC杭、高強度プレストレストコンクリート杭(PHC杭)、鉄筋コンクリート杭(RC杭)等、コンクリートを含み、中空部を有する円筒形状の杭本体部を有する既製のコンクリート杭全般に適用可能である。
最後に、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
1d プレストレストコンクリート杭(PC杭)
3a,3b,3c 螺旋部材
5 杭本体部
7 外殻鋼管
9 端板
11 中空部
13 内周面
15 ピッチ決定部材
17 延在部
19 環状部
21 隙間
23 剥落抑制壁
25 第1側縁部
27 第2側縁部
29 PC鋼棒
Claims (7)
- コンクリートを含み、中空部を有する円筒形状の杭本体部と、
前記杭本体部の中空部に配置され、前記杭本体部の内周面に沿って前記杭本体部の軸線の周りを螺旋状に延びる螺旋部材と、
を備え、
前記螺旋部材は、前記杭本体部の径方向外側に向かって付勢するように前記杭本体部の内周面に弾性的に接触している
ことを特徴とするコンクリート杭。 - 前記杭本体部の外周面を覆う外殻鋼管を更に備える
ことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート杭。 - 前記螺旋部材は、金属によって構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート杭。 - 前記螺旋部材は、中空のチューブによって構成され、
前記チューブ内に、コンクリート、モルタル、グラウト、水、油、金属線、又は、繊維が充填されている
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のコンクリート杭。 - 前記螺旋部材の螺旋のピッチを決定するピッチ決定部材を更に備える
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のコンクリート杭。 - 前記螺旋部材と前記杭本体部の内周面との間に配置された金属製の剥落抑制壁を更に備え、
前記剥落抑制壁は、前記杭本体部の内周面に接するように前記杭本体部の内周面に沿って湾曲し、
前記螺旋部材は前記剥落抑制壁の内周面に接している
ことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート杭。 - コンクリートを含み、中空部を有する円筒形状の杭本体部と、
前記杭本体部の中空部に配置され、前記杭本体部の内周面に沿って前記杭本体部の軸線の周りを螺旋状に延びる螺旋部材と、
前記螺旋部材と前記杭本体部の内周面との間に配置された金属製の剥落抑制壁と、
を備え、
前記剥落抑制壁は、前記杭本体部の内周面に接するように前記杭本体部の内周面に沿って湾曲し、
前記螺旋部材は前記剥落抑制壁の内周面に接している
ことを特徴とするコンクリート杭。
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