JP6758763B2 - センサにおける結露対策構造 - Google Patents

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Description

本発明は、センサにおける結露対策構造に関する。
特許文献1には、回転速度の検出に用いられる電磁センサが開示されている。
特開平08−334524号公報
図3は、従来例に係る回転センサ100を説明する図であり、(a)は、回転センサ100を端子140aに沿って切断した断面図であり、(b)は、(a)におけるA-A断面図であり、(c)は、(b)におけるB−B断面図である。
図3に示すように、例えば車両用の自動変速機に用いられるセンサには、ギヤなどの回転を検出する回転センサ100がある。
この回転センサ100の本体部110は、有底筒状のケース部120と、ケース部120の開口を封止するカバー部130と、を組み付けて形成されており、本体部110の内部に、センサ素子2の収容空間Sが形成されている。
この回転センサ100のカバー部130は、外部のハーネス(図示せず)が接続されるコネクタ部135と、このコネクタ部135を支持する基部131と、ケース部120の開口120aに挿入される挿入部132を有しており、この挿入部132の先端に、基板6の支持部133が設けられている。
カバー部130には、金属製の端子140(140a〜140c)が埋め込まれており、これら端子140(140a〜140c)の一端部141と他端部142は、コネクタ部135内と、ケース部120の収容空間S内で、それぞれ露出している。
そして、収容空間S内において、各端子140(140a〜140c)の他端部142は、支持部133に付設された基板6に半田付けされている。
ここで、端子140(140a〜140c)の一端部141は、変速機ケース90の外部に位置しており、変速機ケース90の外部環境の温度が低い場合には、コネクタ部135側の一端部141が、熱伝導により冷やされて低温になることがある。
そうすると、変速機ケース90内に位置する他端部142まで熱が伝わって、端子140(140a〜140c)の他端部142側もまた低温になる場合がある。
ここで、端子140(140a〜140c)の一端部141と他端部142の間の領域の総てが、カバー部130の内部に埋め込まれていると、端子140(140a〜140c)の他端部142が、一端部141側から伝わった熱で冷やされてしまう。
そうすると、ケース部120の収容空間S内の空気が、低温になった他端部142と、基板6との接続部に結露Wが生じてしまう。
そのため、従来の回転センサ100では、端子140(140a〜140c)を、収容空間S内に露出させる露出穴134が支持部133に設けられており、基板6ではなく露出穴134内で結露Wを生じさせるようにしたものがある。
しかし、1つの露出穴134に複数の端子140(140a〜140c)が露出していると、端子140(140a〜140c)同士が結露Wを介して短絡して、端子140(140a〜140c)に電蝕が生じることがあり、電蝕の対策が求められている。
本発明は、
センサ素子の収容空間を内部に有する本体部と、
一端部と他端部との間の領域が前記本体部に埋め込まれた複数の端子と、
前記端子各々の一端部を外部に向けて露出させたコネクタ部と、を有し、
前記本体部における前記端子の各々が埋め込まれた領域に、前記端子を前記収容空間に露出させる露出穴が設けられたセンサにおける結露対策構造であって、
前記複数の端子のうちの少なくとも一つを、前記露出穴で露出させると共に、露出させた端子に隣接する他の端子を防水被膜で被覆し、
前記露出穴で露出させた端子は、グランド端子である構成とした。

本発明によれば、結露による端子同士の短絡が阻止されて、端子の電蝕が防止される。
実施の形態にかかる回転センサを説明する図である。 実施の形態にかかる回転センサを説明する図である。 従来例にかかる回転センサを説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を、自動変速機の変速機ケース90に取り付けられてギヤGの回転を検出する回転センサ1の場合を例に挙げて説明する。
図1は、回転センサ1を説明する断面図であり、(a)は、端子7aに沿って回転センサ1を切断した断面図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面図であり、(c)は、(a)におけるB−B断面図である。なお、図1の(a)、(b)では、ギヤGを仮想線で示している。
図2は、回転センサ1の要部を説明する図であり、(a)は、露出穴531周りの拡大図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面図であり、(c)、(d)は、変形例にかかる結露対策構造を説明する図である。
なお、図2の(a)では、端子7aにおける露出領域73の部分に、端子7aを示すハッチングとは異なるハッチングを付している。
回転センサ1は、センサ素子2の収容空間Sが内部に形成された本体部3を有しており、この本体部3は、有底円筒形状のケース部4と、ケース部4の開口41aを封止するカバー部5とを組み付けて形成される。
ケース部4は、筒状の周壁部41と、周壁部41の一端を封止する底壁部42と、を有しており、周壁部41と底壁部42は、樹脂材料(例えば、ナイロン)で一体に形成されている。
ケース部4の底壁部42側は、回転センサ1を変速機ケース90に取り付ける際に、変速機ケース90の挿入孔91に挿入される。そして、回転センサ1が変速機ケース90に取り付けられると、ケース部4の底壁部42が、回転の検出対象物であるギヤGの近傍で、ギヤGに対向配置される。
また、周壁部41の開口41a側の外周には、シールリング45が外嵌して取り付けられており、このシールリング45は、回転センサ1を変速機ケース90に取り付けた際に、挿入孔91の内周に圧接して、周壁部41の外周と挿入孔91の内周との隙間を封止するようになっている。
ケース部4の開口41aには、カバー部5の基部51から延びる嵌合部52が内嵌しており、ケース部4の開口41aが嵌合部52により封止されている。
ケース部4では、この嵌合部52と、底壁部42と、周壁部41で囲まれた空間が、センサ素子2の収容空間Sとなっており、この収容空間Sでは、センサ素子2が搭載された基板6が、嵌合部52に付設された支持部53で支持されている。
嵌合部52における支持部53の反対側には、変速機ケース90の挿入孔91よりも外径が大きい基部51が位置しており、この基部51には、連結部54とコネクタ部55とが設けられている。
実施の形態では、ケース部4を構成する基部51と、嵌合部52と、支持部53と、連結部54と、コネクタ部55とが、樹脂材料(例えば、ナイロン)で一体に形成されている。
連結部54は、基部51の外周から外方に延出して設けられており、この連結部54の先端側には、ボルトBを挿通させる挿通孔541が、連結部54を厚み方向に貫通して設けられている。
変速機ケース90では、挿通孔541に対向する位置にボルト孔92が設けられており、挿通孔541を挿通させたボルトBを、ボルト孔92に螺入することで、回転センサ1が変速機ケース90に固定されている。
コネクタ部55は、基部51の外周から外方に延出して設けられており、図1の(a)の場合には、連結部54から離れる方向に延出している。
このコネクタ部55では、外部に開口する周壁部551の内側で、複数の金属製の端子7(7a〜7c)の一端部71が、外部に向けて露出している。
これら複数の端子7(7a〜7c)は、カバー部5の基部51内で屈曲したのち、嵌合部52と支持部53の内部を、前記した収容空間Sに向けて直線状に延びている。
端子7(7a〜7c)の他端部72側は、嵌合部52の先の支持部53で再び屈曲して、他端部72を、支持部53における基板6との対向面から突出させている。
支持部53から突出する端子7(7a〜7c)の他端部72は、基板6を貫通して、基板6の裏面に半田付けされている。
この状態で、基板6は、支持部53で支持されていると共に、センサ素子2を、底壁部42の近傍に位置させている。
端子7(7a〜7c)は、一端部71と他端部72の間の領域が、カバー部5内に埋め込まれており、これら端子7(7a〜7c)は、カバー部5を樹脂成型する際に、インサート成型によりカバー部5と一体に形成されるようになっている。
支持部53には、端子7aを収容空間Sに露出させるための露出穴531が設けられている。
実施の形態では、合計3本の端子7(グランド端子、電源端子、出力端子)が、カバー部5に埋め込まれている。そして、これら3本の端子のうちのグランド端子(端子7a)のみが収容空間Sに露出すると共に、残りの端子(端子7b、7c)が樹脂材料で被覆されたままとなるように、露出穴531の位置と大きさが決定されている(図2の(a)参照)。
そのため、他の端子7b、7c(電源端子、出力端子)は、他端部72のみが収容空間Sに露出しており、一端部71と他端部72との間の領域は、収容空間Sに露出しないようになっている。
かかる構成の回転センサ1での作用を説明する。
端子7(7a〜7c)の一端部71は、変速機ケース90の外部に位置しており、他端部72は、ケース部4の収容空間S内に位置している。
収容空間Sが内部に形成されたケース部4は、変速機ケース90の内部に位置しており、変速機ケース90の外部よりも温度が高い環境下に位置している。
ここで、変速機ケース90の外部環境の温度が低いために、端子7の一端部71が冷やされた場合には、端子7の他端部72のほうが一端部71よりも温度が高いので、熱が一端部71側から他端部72側に伝わって、他端部72もまた冷やされることになる。
ここで、一端部71を外部に露出させた端子7a(グランド端子)は、収容空間Sに露出させた他端部72よりも一端部71側の領域(露出領域73)が、露出穴531を介して収容空間Sに露出している。
そのため、外気で冷やされた一端部71から他端部72に向けて熱が伝わる過程で、他端部72よりも先に露出穴531内に位置する露出領域73が冷やされることになる。
この露出領域73は、露出穴531を介して収容空間Sに露出しており、収容空間S内の空気(変速機ケース90の外部に比べて暖かい空気)に含まれる水分が、この露出穴531内に露出する露出領域73に触れて冷やされることで、露出穴531内に結露Wが発生することになる(図2の(b)参照)。
そのため、端子7aの他端部72と基板6との接続部よりも先に、露出穴531内で結露Wが生じることで、接続部での結露を防ぐことができるようになっている。
さらに、端子7aに隣接する他の端子7b、7cは、カバー部5を構成する樹脂材料(例えば、ナイロン)で覆われており、この樹脂材料の被膜は防水被膜として機能する。
そのため、露出穴531内で露出する端子7aの領域(露出領域73)に生じた結露Wを介して、端子7aが他の端子7b、7cと短絡することがない。よって、短絡に起因する電蝕を好適に防止できる。
これに対して、図3の(c)に示すように、端子140a〜140cの総てが、露出穴134で露出している従来例にかかるセンサの場合には、一つの端子に生じた結露Wと、他の端子に生じた結露Wとが接することで、端子同士が短絡してしまうので(図3の(c)参照)、短絡に起因する電蝕を防止できないようになっている。
実施の形態では、本体部3の支持部53における端子7(7a〜7c)の各々が埋め込まれた領域に設けた露出穴531と、一端部71と他端部72の間の領域がカバー部5内に埋め込まれた他の端子7a、7b、7cと、露出穴531を介して収容空間Sに露出する端子7aの露出領域73と、から発明における結露対策構造10を構成している。
以上の通り、実施の形態では
(1)センサ素子2の収容空間Sを内部に有する本体部3と、
一端部71と他端部72との間の領域が本体部3に埋め込まれた複数の金属製の端子7(7a〜7c)と、
端子7(7a〜7c)各々の一端部71を外部に向けて露出させたコネクタ部55と、を有し、
本体部3の支持部53における端子7(7a〜7c)の各々が埋め込まれた領域に、端子7(7a〜7c)を収容空間Sに露出させる露出穴531が設けられた回転センサ1における結露対策構造10において、
複数の端子7(7a〜7c)のうちの少なくとも一つの端子7aを、露出穴531で露出させると共に、露出させた端子7aに隣接する他の端子7b、7cを防水被膜で被覆した構成とした。
このように構成すると、一端部71を外部に露出させた端子7aは、収容空間Sに露出させた他端部72よりも一端部71側の領域(露出領域73)が、露出穴531を介して収容空間Sに露出している。
そのため、外気で冷やされた一端部71から、冷やされてない他端部72に向けて熱が伝わる過程で、他端部72よりも先に露出穴531内に位置する露出領域73が冷やされることになる。
この露出領域73は、露出穴531を介して収容空間Sに露出しており、収容空間S内の空気に含まれる水分が、この露出穴531内に露出する露出領域73で冷やされて、露出穴531内に結露することになる。
すなわち、端子7aでは、露出領域73と、他端部72(基板6との接続部)との温度差によって、露出領域73に優先的に結露Wを生じさせて、他端部72(基板6との接続部)での結露を防ぐことができる。
また、支持部53における露出穴531が設けられた領域では、端子7aのみが露出しており、他の端子7b、7cは、カバー部5を構成する樹脂材料で被覆されている。
そのため、端子7aのみに優先的に結露Wを生じさせることができると共に、端子7aの露出領域73に生じた結露Wを介して、端子7aが他の端子7b、7cと短絡することがないので、短絡に起因する端子の電蝕を好適に防止できる。
これにより、回転センサ1が出力するパルス信号に、電蝕に起因する抜け(パルス信号の抜け)が発生することを防止できるので、ギヤG(回転体)の回転を適切に検出できる。
(2)防水被膜は、カバー部5を構成する樹脂材料からなる絶縁被膜(樹脂製の絶縁被膜)である構成とした。
このように構成すると、支持部53における露出穴531が設けられた領域では、結露Wを生じさせる端子7aを除いた他の端子7b、7cが絶縁被膜で覆われる。
これにより、端子7aの露出領域73に生じた結露Wを介して、端子7aが他の端子7b、7cと短絡することがなく、短絡に起因する端子の電蝕を好適に防止できる。
(3)各端子7(7a〜7c)の他端部72は、収容空間S内で、センサ素子2が設けられた基板6に接続されている構成とした。
このように構成すると、露出穴531内に位置する端子7aの露出領域73に結露Wを生じさせて、各端子7(7a〜7c)の他端部72と基板6との接続部での結露を防ぐことができるので、基板6や、基板6に搭載されたセンサ素子2などの電子部品に結露の影響が及ぶことを好適に防止できる。
(4)露出穴531で露出させた端子7aは、グランド端子である構成とした。
このように構成すると、グランド端子は、回転センサ1の信号の出力に直接関与しない端子であるので、回転センサ1での回転体の回転の検出に及ぶ影響を抑制できる。
(5)センサは、回転体の回転を検出する回転センサである構成とした。
このように構成すると、各端子7(7a〜7c)の他端部72と基板6との接続部での結露を防ぐことができるので、基板6に搭載されたセンサ素子2からの出力信号を適切に取り出すことができ、回転体の回転を適切に検出できる。
(6)回転センサ1では、露出穴531を有する支持部53のほうが、コネクタ部55が配置される変速機ケース90の外部よりも高い温度の環境下に配置される構成とした。
このように構成すると、各端子7(7a〜7c)は、温度が高い環境下にある支持部53内に位置する領域のほうが、コネクタ部55内に位置する領域よりも、結露が生じやすい。そのため、支持部53に露出穴531を設けて、端子7における露出穴531に露出する露出領域73に結露Wを生じさせるようにすることで、端子7の他端部72と基板6との接続部に結露が生じることを好適に防止できる。
前記した実施の形態では、カバー部5内に合計3本の端子(グランド端子、電源端子、出力端子)が設けられており、これら3本の端子のうちのグランド端子が、露出穴531を介して収容空間Sに露出している場合を例示した。
本願発明は、この態様に限定されるものではなく、電源端子や出力端子が、露出穴531を介して収容空間Sに露出している構成としても良い。
さらに、収容空間Sに露出させる端子の数は、1本に限定されるものではなく、図2の(c)に示すように、二つの端子を収容空間Sに露出させた構成としても良い。
この場合には、収容空間Sに露出させた端子7a、7cに隣接する他の端子7bが、樹脂被膜で覆われるようにすることで、端子同士の短絡と、電蝕を好適に防止できる。
また、前記した実施の形態では、カバー部5の支持部53内で並んだ3つの端子7a、7b、7cのうち、端に位置する端子7aを収容空間Sに露出させた構成としたが、図2の(d)に示すように、真ん中に位置する端子7bを、収容空間Sに露出させる構成としても良い。
さらに、実施の形態では、カバー部5内に埋め込まれた端子の総数が3本である場合を例示したが、端子の総数は、必ずしも3本である必要は無い。
センサの仕様などに応じて、適宜増減可能である。この場合には、収容空間Sに露出させた端子に近接、隣接する他の端子を樹脂材料で被覆することで、収容空間Sに露出させた端子に生じた結露を介して、端子同士が短絡して、電蝕することを好適に防止できる。
実施の形態では、本発明に係る結露対策構造を、回転センサに適用した場合を例示した。本願発明は、この態様に限定されるものではなく、端子の長手方向の一端部と他端部との間で温度差が生じる環境下で使用される他のセンサにも適用可能である。
1 回転センサ
2 センサ素子
3 本体部
4 ケース部
41 周壁部
41a 開口
42 底壁部
45 シールリング
5 カバー部
51 基部
52 嵌合部
53 支持部
531 露出穴
54 連結部
541 挿通孔
55 コネクタ部
551 周壁部
6 基板
7(7a〜7c)端子
71 一端部
72 他端部
73 露出領域
90 変速機ケース
91 挿入孔
92 ボルト孔
10 結露対策構造
B ボルト
G ギヤ
S 収容空間
W 結露

Claims (4)

  1. センサ素子の収容空間を内部に有する本体部と、
    一端部と他端部との間の領域が前記本体部に埋め込まれた複数の端子と、
    前記端子各々の一端部を外部に向けて露出させたコネクタ部と、を有し、
    前記本体部における前記端子の各々が埋め込まれた領域に、前記端子を前記収容空間に露出させる露出穴が設けられたセンサであって、
    前記複数の端子のうちの少なくとも一つを、前記露出穴で露出させると共に、露出させた端子に隣接する他の端子を防水被膜で被覆し、
    前記露出穴で露出させた端子は、グランド端子であることを特徴とするセンサにおける結露対策構造。
  2. 前記防水被膜は、樹脂被膜であることを特徴とする請求項1に記載のセンサにおける結露対策構造。
  3. 前記端子各々の他端部は、前記収容空間内で、前記センサ素子が設けられた基板に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサにおける結露対策構造。
  4. 前記センサは、回転体の回転を検出する回転センサであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のセンサにおける結露対策構造。
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