JP6757363B2 - 有機el表示パネルの製造方法及び封止層形成装置 - Google Patents

有機el表示パネルの製造方法及び封止層形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機EL表示パネルの製造方法、有機EL表示パネルの封止層を形成する封止層形成装置に関する。
有機EL表示パネルでは、二次元上に配設された複数の有機EL素子の全体を水分やガス等による劣化から保護するため、封止層が設けられる。
従来、封止層は窒化シリコン(SiN)などで形成されており、形成方法として、通常プラズマCVD(Plasma−Enhanced Chemical Vapor Deposition)が用いられる。窒化シリコン膜の成膜に当たり、膜密度を高めて封止性を高めると、封止層の曲げに対する耐性が極めて小さくなるため、亀裂が生じて被覆性が低下する場合がある。
そこで、例えば、窒化シリコン膜の上に有機膜を形成することにより、窒化シリコン膜の被覆性低下を防ぎ、被覆性の向上を図ることが考えられる。
ところで、最近では有機EL表示パネルの大型化が進んでおり、このようなサイズの大型化における効率の良い有機膜の成膜方法として、樹脂材料を含むインク(溶液)をインクジェット装置等を使用して塗布するウエットプロセスが提案されている。
このようなインクジェット装置においては、インク室内に何らかの原因で気泡が存在すると、インク滴を吐出するために発生された圧力が、この気泡によって吸収されてしまい、インクの吐出不良が発生することがあった。これにより、基板上に滴下されるインクの塗布量が変動して、有機膜がうまく成膜できない場合がある。
気泡の発生原因としては、例えば、局所的な圧力低下あるいは温度上昇等によりインク中の溶存気体の溶解度が低下し、過飽和になった溶存気体が気泡となって現れるというものがあった。
上記のような問題を回避するため、インク中に含まれている気体を除く脱気装置を備え、脱気後のインクを液滴吐出ヘッドに供給して塗布する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
最近では、この脱気装置としては、中空糸膜からなるフィルターに溶液を通過させ気泡や溶存気体を除去する構成が使用される場合が多い。中空糸膜を用いた脱気装置は効率的に溶存気体を除去できるからである。
特開2003−282246号公報
しかしながら、上記中空糸膜型の脱気装置を一定の期間使用していると、中空糸膜に損傷が生じ、インク詰まりやインク漏れなどのトラブルが発生した。
本発明は、中空糸膜などのフィルターを採用した脱気装置を使用しても溶液漏れなどのトラブルが発生しない有機EL表示パネルの製造方法及び有機EL表示パネルの封止層の形成装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板上に複数の有機EL素子を形成する工程と、有機絶縁材料に導電物質を添加した封止用の溶液を、気体のみを通過させるフィルターを用いて脱気する工程と、前記有機EL素子の上に、脱気された前記封止用の溶液を塗布して封止層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
上記態様によれば、脱気工程において、溶液とフィルターとの間に摩擦帯電が生じても、溶液中の導電物質によりフィルターに発生した電荷が逃がされ、フィルターに蓄積した静電気によりスパークが発生してフィルターが損傷するおそれがなくなる。
実施の形態に係る有機EL素子1の構成を模式的に示す断面図である。 第2封止層を形成するための封止層形成装置におけるインク供給部の構成を模式的に示す概略図である。 (a)、(b)は、封止層形成装置における脱気装置の原理を説明するための図である。 脱気装置の構成を示す概略断面図である。 封止層形成装置におけるインクジェット装置の構成を示す図である。 実施の形態に係る有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、基板上にTFT層が形成された状態、(b)は、基板上に層間絶縁層が形成された状態、(c)は、層間絶縁層上に画素電極材料が形成された状態、(d)は、画素電極材料上に正孔注入層材料が形成された状態、(e)は、画素電極層と正孔注入層が形成された状態を示す。 実施の形態に係る有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、層間絶縁層および画素電極、正孔注入層上に隔壁材料層が形成された状態、(b)は、隔壁層が形成された状態、(c)は、正孔注入層上に正孔輸送層が形成された状態、(d)は、正孔注入層上に発光層が形成された状態を示す。 実施の形態に係る有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、発光層および隔壁層上に電子輸送層が形成された状態、(b)は電子輸送層上に電子注入層が形成された状態、(c)は、電子注入層上に対向電極が形成された状態、(d)は、対向電極上に第1封止層が形成された状態を示す。 実施の形態に係る有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、第1封止層上に第2封止層を形成する様子を示し、(b)は、第1封止層上に第2封止層が形成された状態を示す。 実施の形態に係る有機EL表示パネルの製造過程を示すフローチャートである。 実施の形態に係る有機EL表示パネルを備えた有機EL表示装置の構成を示すブロック図である。
<本開示の一態様に至った経緯>
本発明者は、脱気装置に損傷が発生する原因について鋭意検討を行った。すると、中空糸膜の壁面の一部が溶融して破損しており、当該破損が、有機絶縁材料のインクと中空糸膜などのフィルターの内壁面との間に生ずる摩擦帯電に起因していることが分かった。
すなわち、中空糸膜などのフィルターの材料として、有機溶媒に対する耐性を有するフッソ樹脂などが使用される場合が多く、このフッソ樹脂は帯電列のなかでも特に帯電しやすい材料である。インクがフィルター中を流れる際に中空糸の内壁面と溶液の摩擦により静電気が発生し(摩擦帯電)、インクとして使用していた有機材料が絶縁性であるため、フィルターの内壁面に静電気が徐々に蓄積し、やがてスパークが発生して、そのときに発生する熱により、中空糸膜が溶融したものと考えられる。
本発明者は、脱気処理において中空糸膜などのフィルターを使用した場合でも溶液漏れ等のトラブルが発生しない表示パネルの製造方法について鋭意検討を行い、本発明の一態様に至ったものである。
<本発明を実施するための形態の概要>
本発明を実施するための形態の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板上に複数の有機EL素子を形成する工程と、有機絶縁材料に導電物質を添加した封止用の溶液を、気体のみを通過させるフィルターを用いて脱気する工程と、前記有機EL素子の上に、脱気された前記封止用の溶液を塗布して封止層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
上記態様によれば、脱気工程において、溶液とフィルターとの摩擦帯電により静電気が発生しても、溶液中の導電物質により電荷が逃がされるので、スパークが発生してフィルターが損傷するおそれがなくなる。
ここで、「脱気」とは、溶液に含まれる気体の少なくとも一部、又は全部を除去することを意味する。
前記有機絶縁材料に導電物質を添加した封止用の溶液の導電率は、1.0×10-12[S/m]より大きく、1.0[S/m]以下であることが望ましい。
これにより、脱気工程におけるスパークの発生を効果的に防止することができる。
また、前記フィルターは、フッ素系樹脂からなる中空糸膜で構成されていることとしてもよい。
フッ素系樹脂は、有機溶媒に対する耐性が良好であり、これにより中空糸膜のフィルターを形成することにより、長寿命で効率的な脱気が可能となり、生産性が向上する。
また、前記導電物質は、イオン液体であることとしてもよい。
イオン液体は、熱安定性、不揮発性が高く、また、樹脂との相溶性を調整することにより樹脂の透明性を維持することが可能であり、少量の添加でも優れた帯電防止の効果を得ることができる。
また、前記有機絶縁材料は、紫外線硬化樹脂もしくは熱硬化樹脂であることとしてもよい。これらの硬化樹脂は、紫外線の照射もしくは加熱により短時間で硬化するので生産性の向上に資する。
本発明を実施するための形態の一態様は、基板上に形成された複数の有機EL素子の上に封止層を形成する封止層形成装置であって、有機絶縁材料に導電物質を添加した封止用の溶液を貯留するタンクと、前記タンク内の封止用の溶液を脱気する脱気手段と、脱気された封止用の溶液を有機EL素子の上に塗布する塗布手段とを備えることを特徴とする。
前記有機絶縁材料に導電物質を添加した封止用の溶液の導電率は、1.0×10-12[S/m]より大きく、1.0[S/m]以下である。
これにより、脱気手段におけるスパークの発生を効果的に防止することができる。
ここで、前記脱気手段は、前記封止用の溶液をフッ素系樹脂からなる中空糸膜からなるフィルターを通過させて脱気する構成であることとしてもよい。
また、前記導電物質は、イオン液体であるとしてもよい。
また、前記塗布手段は、インクジェット装置であるとしてもよい。
インクジェット装置は、大型の有機EL表示パネルであっても、必要な範囲に正確かつ均一に封止用の溶液を塗布することができ、溶液の無駄が生じないので、生産性に優れている。
本発明を実施するための形態の一態様に係る有機EL表示パネルは、基板と、前記基板上に形成された複数の有機EL素子と、前記有機EL素子の上方に形成された封止層と、を備え、前記封止層は、有機絶縁材料に導電物質が散在していることを特徴とする。
ここで、前記有機絶縁材料に導電物質が散在してなる封止層の導電率は、1.0×10-12[S/m]よりを大きく、1.0[S/m]以下である。
<実施の形態>
以下、実施の形態に係る有機EL素子について説明する。なお、以下の説明は、本発明の一態様に係る構成及び作用・効果を説明するための例示であって、本発明の本質的部分以外は以下の形態に限定されない。
1.有機EL素子の構成
図1は、本実施の形態に係る有機EL表示パネル510(図11参照)の部分断面図である。有機EL表示パネル510は、3つの色(赤色、緑色、青色)を発光する3種類有機EL素子で構成される画素を複数備えている。図1では、その1つの画素の断面を示している。
有機EL表示パネル510において、各有機EL素子は、前方(図1における上方)に光を出射するいわゆるトップエミッション型である。
各色の有機EL素子は、ほぼ同様の構成を有するので、区別しないときは、有機EL素子1として説明する。
図1に示すように、有機EL素子1は、基板11、層間絶縁層12、画素電極13、隔壁層14、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17、電子輸送層18、電子注入層19、対向電極20、および、封止層23からなり、封止層23は第1、第2封止層21、22の2層構造となっている。
なお、基板11、層間絶縁層12、電子輸送層18、電子注入層19、対向電極20、および、封止層23は、画素ごとに形成されているのではなく、有機EL表示パネル510が備える複数の有機EL素子1に共通して形成されている。
(1)基板
基板11は、絶縁材料である基材111と、TFT(Thin Film Transistor)層112とを含む。TFT層112には、画素ごとに駆動回路が形成されている。基材111は、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素などの半導体基板、プラスチック基板等を採用することができる。
プラスチック材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうち1種、または2種以上を積層した積層体を用いることができる。
(2)層間絶縁層
層間絶縁層12は、基板11上に形成されている。層間絶縁層12は、樹脂材料からなり、TFT層112の上面の段差を平坦化するためのものである。樹脂材料としては、例えば、ポジ型の感光性材料が挙げられる。また、このような感光性材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。また、図1の断面図には示されていないが、層間絶縁層12には、画素ごとにコンタクトホールが形成されている。
(3)画素電極
画素電極13は、光反射性の金属材料からなる金属層を含み、層間絶縁層12上に形成されている。画素電極13は、画素ごとに設けられ、コンタクトホール(不図示)を通じてTFT層112と電気的に接続されている。
本実施形態においては、画素電極13は、陽極として機能する。
光反射性を具備する金属材料の具体例としては、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、アルミニウム合金、Mo(モリブデン)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、MoW(モリブデンとタングステンの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などが挙げられる。
画素電極13は、金属層単独で構成してもよいが、金属層の上に、ITO(酸化インジウム錫)やIZO(酸化インジウム亜鉛)のような金属酸化物からなる層を積層した積層構造としてもよい。
(4)隔壁層
隔壁層14は、画素電極13と正孔注入層15の上面の一部の領域を露出させ、その周辺の領域を被覆した状態で正孔注入層15上に形成されている。正孔注入層15上面において隔壁層14で被覆されていない領域(以下、「開口部」という)は、サブピクセルに対応している。すなわち、隔壁層14は、サブピクセルごとに設けられた開口部14aを有する。
本実施の形態においては、隔壁層14は、画素電極13が形成されていない部分においては、層間絶縁層12上に形成されている。すなわち、画素電極13が形成されていない部分においては、隔壁層14の底面は層間絶縁層12の上面と接している。
隔壁層14は、例えば、絶縁性の有機材料(例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂等)からなる。隔壁層14は、発光層17を塗布法で形成する場合には塗布されたインクがあふれ出ないようにするための構造物として機能し、発光層17を蒸着法で形成する場合には蒸着マスクを載置するための構造物として機能する。本実施の形態では、隔壁層14は、樹脂材料からなり、隔壁層14の材料としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。本実施の形態においては、フェノール系樹脂が用いられている。
(5)正孔注入層
正孔注入層15は、画素電極13から発光層17への正孔の注入を促進させる目的で、画素電極13上に設けられている。正孔注入層15は、例えば、Ag(銀)、Mo(モリブデン)、Cr(クロム)、V(バナジウム)、W(タングステン)、Ni(ニッケル)、Ir(イリジウム)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる層である。
上記のうち、酸化金属からなる正孔注入層15は、正孔を安定的に、または、正孔の生成を補助して、発光層17に対し正孔を注入する機能を有し、大きな仕事関数を有する。
本実施の形態では、正孔注入層15は、酸化タングステンからなる。正孔注入層15を遷移金属の酸化物で形成すると、複数の酸化数を取るため、複数の準位を取ることができ、その結果、正孔注入が容易になり、駆動電圧の低減に寄与する。
(6)正孔輸送層
正孔輸送層16は、親水基を備えない高分子化合物を用い開口部14a内に形成されている。例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいは、ポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物であって、親水基を備えないものなどを用いることができる。
正孔輸送層16は、正孔注入層15から注入された正孔を発光層17へ輸送する機能を有する。
(7)発光層
発光層17は、開口部14a内に形成されており、正孔と電子の再結合により、R、G、Bの各色の光を出射する機能を有する。有機発光層の材料としては、公知の材料を利用することができる。具体的には、例えば、特許公開公報(特開平5−163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
(8)電子輸送層
電子輸送層18は、対向電極20からの電子を発光層17へ輸送する機能を有する。電子輸送層18は、電子輸送性が高い有機材料からなり、アルカリ金属、および、アルカリ土類金属を含まない。
電子輸送層18に用いられる有機材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。
(9)電子注入層
電子注入層19は、対向電極20から供給される電子を発光層17側へと注入する機能を有する。電子注入層19は、例えば、電子輸送性が高い有機材料に、アルカリ金属、または、アルカリ土類金属から選択されるドープ金属がドープされて形成されている。実施の形態では、Baがドープされている。
アルカリ金属に該当する金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)であり、アルカリ土類金属に該当する金属は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)である。
電子注入層19に用いられる有機材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。
(10)対向電極
対向電極20は、透光性の導電性材料からなり、電子注入層19上に形成されている。対向電極20は、陰極として機能する。
対向電極20の材料としては、例えば、ITOやIZOなどを用いることができる。あるいは、対向電極20の材料として、銀、銀合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属を用いてもよい。この場合、対向電極20は透光性を有する必要があるため、膜厚は、約20nm以下の薄膜として形成される。
(11)封止層
封止層23は、正孔輸送層16、発光層17、電子輸送層18、電子注入層19などの有機層が水分に晒されたり、空気に晒されたりして劣化するのを防止するために設けられるものであり、本実施形態では、封止層23は、第1封止層21と第2封止層22の2層構造となっている。
第1封止層21は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの透光性材料を用いて形成される。
第2封止層22は、例えば、紫外線硬化樹脂からなり、内部にイオン液体の成分が散在している。この第2封止層22を設けることにより、第1封止層21を補強すると共に、万一、第1封止層21に亀裂などが発生しても内部の有機機能層が外気に直接触れるのを防止する。
なお、本実施の形態においては、有機EL表示パネル510がトップエミッション型であるため、第2封止層22も光透過性の樹脂材料で形成されることが必要となる。
(12)その他
図1には示されてないが、第2封止層22を介してカラーフィルタや上部基板を貼り合せてもよい。上部基板を貼り合せることによって、正孔輸送層16、発光層17、電子輸送層18、電子注入層19を水分および空気などからさらに保護できる。
2.封止層形成装置
以下、実施の形態の有機EL表示パネルの第2封止層をウエットプロセスで形成する封止層形成装置の構成について説明する。
封止層形成装置は、インク供給部1100とインクジェット装置1200とからなる。
(1)インク供給部1100
図2は、インク供給部1100の構成を示す概略図である。
同図に示すようにインク供給部1100は、供給タンク110と、脱気装置160、搬送ポンプ171、172および真空ポンプ173とからなる。
供給タンク110には、第2封止層22の材料として、紫外線(UV)硬化樹脂に、導電物質としてイオン液体を加えたインクが貯留される。
紫外線硬化樹脂は、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、エポキシアクリレートなど既存のものであれば、特に種類を問わないが、トップエミッション型の有機EL表示パネルにあっては、光透過性に優れているものが望ましいことはいうまでもない。
イオン液体は、常温で液体の塩である。イオン液体の構造を最適化し、樹脂との相溶性を調整することにより、樹脂の透明性を維持できると共に、少量添加で優れた帯電防止の効果を得ることできる。また、耐熱性に優れ、ポリカーボネート等の樹脂への練りこみにも適用可能である。
イオン液体のカチオンとしては、アンモニア系、ホスホニウム系、スルホニウム系、イミダゾリウム系、ピリジン系の有機物などがあり、アニオンとしては、AlCl4 -、I-、BF4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、NbF6-、CF3SO3 -、C(CF3SO23 -、C37CO2 -、C49SO3 -、N(CF3SO22 -、N(C25SO22 -、N(CF3SO2)(CF3CO)-、などがあり、市販されているものも多い。
もっとも、イオン液体はこれだけに限らず、有機絶縁材料に添加して導電性を付与するものであれば、どのようなものでもよい。
供給タンク110に貯留されたインクは、搬送ポンプ171、172によって脱気装置160内を循環し、脱気処理がなされる。
脱気処理後の供給タンク110内のインクは、インクジェット装置1200(図5)のインクジェットヘッド301に供給され、第1封止層21上に吐出されて第2封止層22を形成する。
(2)脱気装置
図3は、本実施形態における脱気装置160における脱気の原理を示す図である。
脱気装置160内には図3(a)のような中空糸膜161の束(中空糸膜束)162が内蔵されている。中空糸膜161は、気体は透過するが液体は透過しない中空糸状のフィルター膜である。
中空糸膜161の素材として、例えば、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1などのポリオレフィン系樹脂、ポリジメチルシロキサンその共重合体などのシリコン系樹脂、PTFE、PFAなどのフッ素系樹脂などが挙げられるが、特に、インクの有機溶媒に対する耐性に優れたフッ素系樹脂が望ましい。
なお、中空糸膜161の膜形状(側壁の形状)としては、例えば、多孔質膜、微多孔膜、多孔質を有さない均質膜(非多孔膜)が挙げられる。
図3(b)に示すように中空糸膜161内にインクを通過させて、中空糸膜161の周囲を真空もしくは真空近くに減圧すると、中空糸膜161の側壁からインク内の気泡や溶存気体のみが抜け出て、脱気処理がなされる。
図4は、脱気装置160の構成の一例を示す概略断面図である。
同図に示すように脱気装置160は、複数本の中空糸膜161が束ねられた中空糸膜束162と、中空糸膜束162を収容するハウジング163とを備えている。
ハウジング163は、円筒部164の上下の開口部に、第1蓋部165と第2蓋部166とを気密に取着してなる。
ハウジング163内の空間は、第1封止部167と第2封止部168によって3つの密閉空間163A〜163Cに分けられ、中空糸膜束162の両端部が、それぞれ第1封止部167と第2封止部168によって保持される。第1封止部167、第2封止部168は、樹脂により形成されている。封止に用いる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、紫外線硬化樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
円筒部164の側面には、空間163B内の空気を抜くための吸引口1641が設けられ、第1蓋部165にはインクの供給口1651が設けられ、第2蓋部166にはインクの排出口1661が設けられている。
搬送ポンプ171(図2参照)により搬送されたインクは、供給口1651から第1蓋部165内の空間163A内に流入し、中空糸膜束162内を流れて第2蓋部166内の空間163C内に流出し、排出口1661から排出され、搬送ポンプ172により供給タンク110に戻される。
真空ポンプ173により吸引口1641を介して円筒部164内の空間163Bが減圧されているので、中空糸膜束162を流れるインク中の気泡もしくは溶存気体が、空間163B内に抜け出ることにより脱気処理がなされる。
なお、脱気処理により、インクに含まれる溶存気体が全部除去されるのが望ましいが、インクジェット方式による封止層形成工程の過程で、成膜に影響しない程度であれば、一部残存しても構わない。
インクが、紫外線硬化樹脂などの有機絶縁材料のみからなっていれば、インクが中空糸膜161内を流れる際に、中空糸膜161の内壁とインクとの摩擦により静電気が発生し、中空糸膜161の側壁の内面に電荷が蓄積されて高電位となり、これがスパークして中空糸膜161が損傷していたが、本実施形態のようにインクにイオン液体を少量添加することにより、発生した静電気がイオン液体を介して除去され、スパークが生じるそれがなくなった。これにより脱気装置160の長寿命化が可能になった。
なお、紫外線硬化樹脂に添加するイオン液体の量は少量でよく、上記中空糸膜161の内壁に蓄積した静電気を除去するのに必要な量さえあればよい。
具体的には、有機絶縁材料にイオン液体を添加した封止用のインクの導電率は、1.0×10-12[S/m]より大きく、1.0[S/m]以下であることが望ましい。
インクの導電率が、1.0×10-12[S/m]以下であると、放電効果が十分得られなくなり、長時間の連続使用により、やはり中空糸膜161に徐々に静電気が蓄積され、スパークが発生するおそれがあるからである。
また、(ア)トップエミッション型の場合、設計上、封止層には、最低でも85%の光透過性があることが望ましく、インクの導電率を高めるため、添加する導電物質(イオン液体)の量が多すぎると、硬化後に封止層が上記光透過率を下回るおそれがあること、(イ)第2封止層22の導電率が高すぎると、もし、第2封止層22が基板の周縁部に配された配線に接触すると、意図しない導通が生じて、印加電圧の低下や発光輝度の低下などの不都合が生じるおそれがあること、などの観点から、インクの導電率は、1.0[S/m]以下であることが望ましい。
さらにインクの導電率を、1.0×10-10[S/m]以上、1.0×10-7[S/m]以下とすることがより望ましい。
インクが上記の導電率の範囲内となるように、有機絶縁材料の種類、イオン液体の電荷数などの条件を考慮して、実験などにより具体的なイオン液体の添加量が決定される。
(3)インクジェット装置
図5は、本実施形態に係るインクジェット装置1200の主要構成を示す図である。
同図に示すように、インクジェット装置1200は、インクジェットテーブル200、ヘッド部300で構成される。
(3−1)インクジェットテーブル
図5に示すように、インクジェットテーブル200は、いわゆるガントリー式の動作テーブルであり、基台のテーブルの上をガントリー部(移動架台)が一対のガイドシャフトに沿って移動可能に配されている。
具体的構成として、板状の基台201には、その上面の四隅に柱状のスタンド202A、202B、203A、203Bが立設されている。これらのスタンド202A、202B、203A、203Bに囲まれた内側領域には、塗布対象となる基板を載置するための固定ステージSTと、塗布直前にインクを吐出させることにより吐出特性を安定化させるために用いるインクパン(皿状容器)IPがそれぞれ配設されている。
スタンド202A、202Bおよびスタンド203A、203Bは、ガイドシャフト204A、204Bを、基台201の長手(Y)方向に沿って平行に保持している。
また、ガントリー部210は、リニアモータ205、206を介してガイドシャフト204A、204Bに保持されている。
この構成により、インクジェット装置1200の駆動時において、一対のリニアモータ205、206が駆動されることで、ガントリー部210がガイドシャフト204A、204Bの長手方向(Y軸方向)に沿ってスライド自在に往復運動する。
ガントリー部210には、L字型の台座からなる移動体(キャリッジ)220が配設される。移動体220にはサーボモータ221が配設され、当該モータの駆動軸の先端に不図示のギヤが取着されている。ギヤはガントリー部210の長手方向(X方向)に沿って形成されたガイド溝211に形成された微小ピッチのラックと噛合しており、サーボモータ221が駆動すると、移動体220はいわゆるピニオンラック機構によって、X軸方向に沿って往復自在に精密に移動する。
移動体220には、ヘッド部300が装着されており、移動体220をガントリー部210に対して固定した状態でガントリー部210をガイドシャフト204A、204Bの長手方向に沿って移動させることによって、また、ガントリー部210を停止させた状態で移動体220をガントリー部210の長手方向に沿って移動させることによって、塗布対象基板に対してヘッド部300を走査させることができる。ヘッド部300の主走査方向は行(Y軸)方向であり、副走査方向は列(X軸)方向である。
なお、リニアモータ205、206、サーボモータ221はそれぞれ不図示の制御部によって駆動制御される。
(3−2)ヘッド部
ヘッド部300は、公知のピエゾ方式を採用し、インクジェットヘッド301及び本体部302で構成されている。インクジェットヘッド301は本体部302を介して移動体220に固定されている。本体部302はサーボモータを内蔵しており、インクジェットヘッド301を上下方向(Z軸方向)に移動させる。
インクジェットヘッド301は固定ステージSTに対向する面(吐出面)に複数のノズル3011(図5では不図示。図7(c)等参照)を備えており、これらのノズル3011はインクジェットヘッド301の長手方向に沿って列状に配置されている。インクジェットヘッド301に供給されたインクは、各ノズル3011から液滴として塗布対象基板に対して吐出される。
各ノズル3011における液滴の吐出動作は、各ノズル3011が備えるピエゾ素子(圧電素子)に与えられる駆動電圧によって制御される。不図示の制御部から、各ピエゾ素子に与える駆動信号を制御することにより、各ノズル3011からそれぞれ液滴吐出を行わせる。
以上の構成を有する封止層形成装置を用い、ウエットプロセスにより第2封止層の形成を行う。なお、この封止層形成装置は、インクを交換することにより、正孔注入層や発光層などの有機機能層の形成にも用いることができる。
4.有機EL素子の製造方法
以下、有機EL素子1の製造方法について、図面を用いて説明する。図6(a)〜(e)、図7(a)〜(d)、図8(a)〜(d)および図9(a)、(b)は、有機EL素子1の製造における各工程での状態を示す模式断面図である。図10は、有機EL素子1の製造方法を示すフローチャートである。
(1)基板11の形成
まず、図6(a)に示すように、基材111上にTFT層112を成膜して基板11を形成する(図10のステップS1)。TFT層112は、公知のTFTの製造方法により成膜することができる。
次に、図6(b)に示すように、基板11上に層間絶縁層12を形成する(図10のステップS2)。層間絶縁層12は、例えば、プラズマCVD法、スパッタリング法などを用いて積層形成することができる。
次に、層間絶縁層12における、TFT層のソース電極上の個所にドライエッチング法を行い、コンタクトホール(不図示)を形成する。コンタクトホールは、その底部にソース電極の表面が露出するように形成される。
次に、コンタクトホールの内壁に沿って接続電極層を形成する。接続電極層の上部は、その一部が層間絶縁層12上に配される。接続電極層の形成は、例えば、スパッタリング法を用いることができ、金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法およびウェットエッチング法を用いパターニングすることがなされる。
(2)画素電極13、正孔注入層15の形成
次に、図6(c)に示すように、層間絶縁層12上に画素電極材料層1300を形成する(図10のステップS3)。画素電極材料層1300は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
次に、図6(d)に示すように、画素電極材料層1300上に正孔注入材料層1500を形成する(図10のステップS4)。正孔注入材料層1500は、例えば、反応性スパッタ法などを用いて形成することができる。
そして、図6(e)に示すように、画素電極材料層1300と正孔注入材料層1500とをエッチングによりパターニングして、サブピクセルごとに区画された複数の画素電極13と正孔注入層15とを形成する(図10のステップS5)。
なお、画素電極13、正孔注入層15の形成方法は上述の方法に限られず、例えば、画素電極材料層1300をパターニングして画素電極13を形成してから、正孔注入層15を形成してもよい。
(3)隔壁層14の形成
次に、図7(a)に示すように、正孔注入層15および層間絶縁層12上に、隔壁層14の材料である隔壁層用樹脂を塗布し、隔壁材料層1400を形成する。隔壁材料層1400は、隔壁層用樹脂であるフェノール樹脂を溶媒(例えば、乳酸エチルとGBLの混合溶媒)に溶解させた溶液を正孔注入層15上および層間絶縁層12上にスピンコート法などを用いて一様に塗布することにより形成される。
そして、隔壁材料層1400にパターン露光と現像を行うことで隔壁層14を形成し(図7(b),図10のステップS6)、隔壁層14を焼成する(図10のステップS7)。これにより、発光層17の形成領域となる開口部14aが規定される。隔壁層14の焼成は、例えば、150℃以上210℃以下の温度で60分間行う。
また、隔壁層14の形成工程においては、さらに、隔壁層14の表面を所定のアルカリ性溶液や水、有機溶媒等によって表面処理するか、プラズマ処理を施すこととしてもよい。これは、開口部14aに塗布するインク(溶液)に対する隔壁層14の接触角を調節する目的で、もしくは、表面に撥水性を付与する目的で行われる。
(4)正孔輸送層16の形成
次に、図7(c)に示すように、隔壁層14が規定する開口部14aに対し、正孔輸送層16の構成材料を含むインクを、インクジェットヘッド301のノズル3011から吐出して開口部14a内の正孔注入層15上に塗布し、焼成(乾燥)を行って、正孔輸送層16を形成する(図10のステップS8)。
(5)発光層17の形成
次に、図7(d)に示すように、発光層17の構成材料を含むインクを、インクジェットヘッド301のノズル3011から吐出して開口部14a内の正孔輸送層16上に塗布し、焼成(乾燥)を行って発光層17を形成する(図10のステップS9)。
(6)電子輸送層18の形成
次に、図8(a)に示すように、発光層17および隔壁層14上に、電子輸送層18を形成する(図10のステップS10)。電子輸送層18は、例えば、電子輸送性の有機材料を蒸着法により各サブピクセルに共通して成膜することにより形成される。
(7)電子注入層19の形成
次に、図8(b)に示すように、電子輸送層18上に、電子注入層19を形成する(図10のステップS11)。電子注入層19は、例えば、電子輸送性の有機材料とドープ金属を共蒸着法により各サブピクセルに共通して成膜することにより形成される。
(8)対向電極20の形成
次に、図8(c)に示すように、電子注入層19上に、対向電極20を形成する(図10のステップS12)。対向電極20は、ITO、IZO、銀、アルミニウム等を、スパッタリング法、真空蒸着法により成膜することにより形成される。
(9)第1封止層21の形成
次に、図8(d)に示すように、対向電極20上に、第1封止層21を形成する(図10のステップS13)。第1封止層21は、SiON、SiN等を、スパッタリング法、CVD法などにより成膜することにより形成することができる。
(10)第2封止層22の形成
次に、図9(a)に示すように、前述した導電率の範囲内に設定された紫外線硬化樹脂とイオン液体を含むインクを上記脱気装置160で脱気処理した後、インクジェット装置1200におけるインクジェットヘッド301のノズル3011から吐出して第1封止層21上に塗布した後、紫外線を照射して硬化させて第2封止層22を形成する(図10のステップS14)。
なお、硬化後の第2封止層22の導電率は、硬化前のインクの導電率と同じであり、1.0×10-12[S/m]より大きく、1.0[S/m]以下となる。
これにより、図9(b)に示すように有機EL表示パネルが完成する。
5.有機EL表示装置の全体構成
図11は、有機EL表示パネル510を備えた有機EL表示装置500の構成を示す模式ブロック図である。
図11に示すように、有機EL表示装置500は、有機EL表示パネル510と、これに接続された駆動制御部520とを含む構成である。駆動制御部520は、4つの駆動回路521〜524と、制御回路525とから構成されている。
なお、有機EL表示パネル510に対する駆動制御部520の配置については、これに限られない。
<効果>
上記実施形態で説明した通り、第2封止層を絶縁性の有機材料からなるインクを塗布して形成する場合において、当該インクにイオン液体を添加して、所定範囲内の導電率に調整することにより脱気装置における中空糸膜の帯電を除去することができるので、中空糸膜におけるスパークが生じなくなり、脱気装置の破壊を防止することができる。また、帯電によって第2封止層を絶縁性の有機材料からなるインクの一部が予期しない硬化反応を起こし、装置中に固化異物が発生したり、装置配管が詰まるトラブルにつながる事を抑制することができる。これらにより良質の有機EL表示パネルの生産性を向上させることができる。 <変形例>
以上、本開示に係る有機発光パネルおよび表示装置について、実施の形態および変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態および変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
(1)上記実施形態では、第2封止層22を形成するためのインクとして、紫外線硬化樹脂に、導電物質としてイオン液体を添加したものを使用したが、これに限られない。
例えば、紫外線硬化樹脂に代えて、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)などの熱硬化樹脂を用いても構わない。トップエミッション型の有機EL表示パネルにあっては、光透過性に優れているものが望ましいことはいうまでもない。
また、他の有機絶縁材料であっても使用可能であるが、紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂に比べて硬化するまでに時間を要するので、生産性の観点からすれば、紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂の方が望ましい。
(2)上記実施形態では、紫外線硬化樹脂に添加する導電物質として、イオン液体を用いたが、これだけに限らず、有機絶縁材料に添加して導電性を付与するものであれば、どのようなものでもよい。例えば、銀などの金属からなる導電性微粒子を添加するようにしても構わない。もちろん導電性微粒子の大きさは、インクジェット装置1200のノズル3011を十分通過する大きさ以下である必要がある。なお、紫外線硬化樹脂の硬化後に第2封止層22中に導電性微粒子が残存するが、少量であれば、光透過性にほとんど影響しない。
なお、イオン液体以外の導電物質を添加する場合においても、インクの導電率が上記実施の形態で説明した導電率の範囲内に収まることが望ましいことはいうまでもない。
(3)上記実施の形態においては、陰極が対向電極であり、かつ、トップエミッション型の有機EL表示装置であるとした。しかしながら、例えば、陽極が対向電極であり、陰極が画素電極であってもよい。また、例えば、ボトムエミッション型の有機EL表示装置であってもよい。
(4)また、上記実施の形態においては、電子輸送層18や電子注入層19、正孔注入層15や正孔輸送層16を必須構成であるとしたが、これに限られない。例えば、電子輸送層18を有しない有機EL素子や、正孔輸送層16を有しない有機EL素子であってもよい。また、例えば、正孔注入層15と正孔輸送層16とに替えて、単一層の正孔注入輸送層を有していてもよい。また、例えば、発光層17と電子輸送層18との間に、アルカリ金属からなる中間層を備えてもよい。
(5)また、上記実施形態では、圧電体素子の体積変化によってインクを吐出させるピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いたインクジェット装置を用いて説明したが、電気熱変換体によってインクを吐出させるサーマルインクジェット方式を用いても良い。また、インクを連続的に基板上に吐出するディスペンサー方式の塗布装置でも使用可能である。
(6)また、表示装置に限られず、有機EL照明装置のようなパネル型の照明装置であってもよい。
本発明は、インクジェット装置などを利用した有機EL表示パネルの製造方法等に適用される。
1 有機EL素子
11 基板
12 層間絶縁層
13 画素電極
14 隔壁層
14a 開口部
15 正孔注入層
16 正孔輸送層
17 発光層
18 電子輸送層
19 電子注入層
20 対向電極
21 第1封止層
22 第2封止層
23 封止層
110 供給タンク
111 基材
112 TFT層
160 脱気装置
161 中空糸膜
162 中空糸膜束
163 ハウジング
171、172 搬送ポンプ
173 真空ポンプ
200 インクジェットテーブル
210 ガントリー部
220 移動体
300 ヘッド部
301 インクジェットヘッド
500 有機EL表示装置
510 有機EL表示パネル
1100 インク供給部
1200 インクジェット装置

Claims (12)

  1. 基板を準備する工程と、
    前記基板上に複数の有機EL素子を形成する工程と、
    有機絶縁材料に導電物質を添加した封止用の溶液を、気体のみを通過させるフィルターを用いて脱気する工程と、
    前記有機EL素子の上に、脱気された前記封止用の溶液を塗布して封止層を形成する工程と、
    を含む
    ことを特徴とする有機EL表示パネルの製造方法。
  2. 前記有機絶縁材料に導電物質を添加した封止用の溶液の導電率は、1.0×10-12[S/m]より大きく、1.0[S/m]以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  3. 前記フィルターは、フッ素系樹脂からなる中空糸膜で構成されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  4. 前記導電物質は、イオン液体である
    ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  5. 前記有機絶縁材料は、紫外線硬化樹脂もしくは熱硬化樹脂である
    ことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  6. 基板上に形成された複数の有機EL素子の上に封止層を形成する封止層形成装置であって、
    有機絶縁材料に導電物質を添加した封止用の溶液を貯留するタンクと、
    前記タンク内の封止用の溶液を脱気する脱気手段と、
    脱気された封止用の溶液を有機EL素子の上に塗布する塗布手段と、
    を備えることを特徴とする封止層形成装置。
  7. 前記有機絶縁材料に導電物質を添加した封止用の溶液の導電率は、1.0×10-12[S/m]より大きく、1.0[S/m]以下である
    ことを特徴とする請求項6に記載の封止層形成装置。
  8. 前記脱気手段は、前記封止用の溶液をフッ素系樹脂からなる中空糸膜からなるフィルターを通過させて脱気する構成である
    ことを特徴とする請求項6または7に記載の封止層形成装置。
  9. 前記導電物質は、イオン液体であることを特徴とする請求項6から8までのいずれかに記載の封止層形成装置。
  10. 前記塗布手段は、インクジェット装置である
    ことを特徴とする請求項6から9までのいずれかに記載の封止層形成装置。
  11. 基板と、
    前記基板上に形成された複数の有機EL素子と、
    前記有機EL素子の上方に形成された封止層と、
    を備え、
    前記封止層は、有機絶縁材料に導電物質が散在している
    ことを特徴とする有機EL表示パネル。
  12. 前記有機絶縁材料に導電物質が散在してなる封止層の導電率は、1.0×10-12[S/m]よりを大きく、1.0[S/m]以下である
    ことを特徴とする請求項11に記載の有機EL表示パネル。
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