JP2020177796A - 自発光パネルおよびその製造方法、並びに自発光表示装置、電子機器 - Google Patents

自発光パネルおよびその製造方法、並びに自発光表示装置、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】製造コストの増加を抑制しつつ、表示面の見栄えがよく、かつ、光取り出し効率が改善された自発光パネルを提供する。【解決手段】基板11の上方に行列状に配された複数の画素電極13と、前記複数の画素電極13に対向して配された対向電極20と、前記複数の画素電極13と対向電極20の間に介在する発光層17と、前記対向電極20の上方に配され透光性の樹脂材料からなる第1封止層22と、前記第1封止層上に積層され透光性のガラス材料からなる第2封止層23と、を備え、前記第2封止層23の前記第1封止層22側の面には、前記発光層17に向けて膨出する複数の凸レンズ状部24が形成されており、かつ、前記第2封止層23の屈折率が前記第1封止層22の屈折率よりも高い。【選択図】図3

Description

本開示は、基板上方に複数の自発光素子を行列状に配してなる自発光パネル、及びその製造方法、並びに当該自発光パネルを画像表示部として用いた自発光表示装置、電子機器に関する。
近年、自発光型のディスプレイとして、基板上に行列方向に沿って有機EL素子を複数配列した有機ELパネルが、電子機器のディスプレイとして実用化されている。各有機EL素子は、陽極と陰極の一対の電極対の間に有機発光材料を含む発光層が配設された基本構造を有し、駆動時に一対の電極対間に電圧を印加し、陽極から発光層に注入される正孔と、陰極から発光層に注入される電子との再結合に伴って発光する電流駆動型の発光素子である。
このような有機EL素子にあっては、発光層から光が拡散して射出され、機能層や封止層を経由して外部に向けて進行するが、特に有機EL素子の最表面の封止層と外部の空気層との界面において全反射現象が生じやすく、かなりの量の光束が有機EL素子の外部に出射するに至らず、その結果、光の取り出し効率が悪くなるという問題があった。
これを解消するため、例えば、特許文献1においては、有機EL素子の光取り出し側にマイクロレンズを配するようにしている。
図20は、その構成を示す模式図である。同図に示すように特許文献1に係る有機EL素子では、基板711上にTFTなどの半導体からなる駆動回路の層712を形成し、その上に陰極713、発光層714、陽極715および封止層716を積層し、さらに封止層716の上面に半球状の微小な凸レンズ717を複数設けている。
このような構成によれば、例えば、発光層714から左斜め方向に射出された光L1は、凸レンズ717と外部の空気の界面で全反射することなく、外部に取り出されるので、光取り出し効率が向上する。
特開2004−39500号公報 特開2011−60552号公報
ところが、上記有機ELパネルを、テレビなどの画像表示デバイスとして使用するとき、画像表示面に凸レンズ717の凹凸が露出していては大変見栄えが悪い上に、ほこりなどがレンズとレンズの隙間に入り込んで溜まりやすく、清掃がしにくい。
特許文献2には、マイクロレンズの上方に隙間を介して透明な板状部材を配する構成が開示されている。しかし、最近では有機ELパネルの大型化の要請が強く、そのため板状部材のサイズも大型化しなければならないが、当該板状部材の中央部が撓まないようにするため、厚みを大きくして剛性を高める必要があり、製造コストの大幅な増加が避けられない。
上記と同様な課題は、発光層として有機EL素子を用いた有機ELパネル以外にも、発光層が無機材料からなる無機ELパネルや、発光層が、量子ドット発光素子(QLED:quantum dot-LED)からなる量子ドットパネルなど、およそ自発光素子を備えた自発光パネルについて共通に生じる課題である。
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものであって、製造コストの増加を抑制しつつ、表示面側が平坦で見栄えがよく、かつ、光取り出し効率が改善された自発光パネル、及びその製造方法、並びに当該自発光パネルを画像表示部として用いた自発光表示装置、電子機器を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る自発光パネルは、基板と、前記基板の上方に行列状に配された複数の光反射性の画素電極と、前記複数の画素電極に対向して配された対向電極と、前記複数の画素電極と対向電極の間に介在する発光層と、前記対向電極の上方に配され透光性の第1の材料からなる第1封止層と、前記第1封止層上に積層され透光性の第2の材料からなる第2封止層と、を備え、前記第2封止層は、その前記第1封止層側の面に、前記発光層に向けて膨出する複数の凸状部を含み、かつ、前記第2封止層の屈折率が前記第1封止層の屈折率よりも高いことを特徴とする。
また、本開示の別の態様に係る自発光パネルの製造方法は、基板を準備する第1工程と、前記基板上方に複数の画素電極を行列状に形成する第2工程と、前記画素電極の上方に発光層を形成する第3工程と、前記発光層の上方に前記複数の画素電極に対向する対向電極を形成する第4工程と、前記対向電極の上方に封止部を形成する第5工程と、を含み、前記封止部は、前記画素電極の上方に配され透光性の第1の材料からなる第1封止層と、前記第1封止層上に積層され、前記第1封止層よりも屈折率の大きなシート状の透光性の第2の材料からなる第2封止層とを有し、前記第2封止層の前記第1封止層側の面に、前記発光層に向けて膨出する複数の凸状部を含み、前記第5工程は、前記対向電極の上方に前記第1封止層の材料となる液状の第2の材料を塗布し、片面に前記複数の凸状部が形成されたシート状の第2封止層を、当該凸状部が前記発光層に対向するようにして前記液状の樹脂材料に貼り合わせた後、前記第1の材料を硬化させることを特徴とする。
上記態様に係る自発光パネルによれば、表面にマイクロレンズなどの凹凸がなくなって画像が見やすくなると共に清掃が容易であり、また、封止部の構成要素で光取り出し効率を向上させることができるので、別途透光性の平板状部材を自発光パネルより外側に配置するような場合に比べ、製造コストの増加を大幅に抑制できる。
本開示の態様に係る有機EL表示装置の全体構成を示すブロック図である。 上記有機EL表示装置における有機ELパネルの画像表示面の一部を拡大した模式平面図である。 図2のA−A線に沿った模式断面図である。 (a)は、第2封止層23を、その下面から見たときの形状を示す一部斜視図であり、(b)は、一つの凸レンズ状部の斜視図であり、(c)は、凸レンズ状部の横断面形状、(d)は、凸レンズ状部の縦断面図である。 平面視において、各凸レンズ状部と対応する副画素との位置関係を示す図である。 (a)〜(e)は、有機EL素子の製造過程を模式的に示す部分断面図である。 (a)〜(d)は、図6に続く有機EL素子の製造過程を模式的に示す部分断面図である。 (a)、(b)は、図7に続く有機EL素子の製造過程を模式的に示す部分断面図である。 (a)〜(d)は、図8に続く有機EL素子の製造過程を模式的に示す部分断面図である。 (a)〜(c)は、図9に続く有機EL素子の製造過程を模式的に示す部分断面図である。 有機EL素子の製造工程を示すフローチャートである。 (a)〜(c)は、平板状のガラスの片面に複数の凸レンズ状部を形成する工程を示す図である。 光取り出し効率を、光学シミュレーションで求めるための有機EL素子の積層モデルを示す図である。 (a)は、ガラス材料からなる第2封止層の内側に、有機EL素子構造体に対して膨出する凸レンズ状部を形成した場合における有機EL素子の積層構造を模式的に示す図であり、(b)は、(a)の場合において第1封止層22の屈折率(樹脂屈折率)と第2封止層の屈折率(ガラス屈折率)とを変化させたときの全光束量のシミュレーションの結果を、第2封止層に凸レンズ状部が形成されていない平板状のガラス材料であるときの全光束量を1とした場合の相対比で示すグラフである。 (a)は、図14(a)に対する比較例としてガラス材料からなる第2封止層の内側に、有機EL素子構造体に対して凹入する凹入部を形成した場合における有機EL素子の積層構造を模式的に示す図であり、(b)は、(a)の場合において第1封止層22の屈折率(樹脂屈折率)と第2封止層の屈折率(ガラス屈折率)とを変化させたときの全光束量のシミュレーションの結果を、第2封止層に凸レンズ状部が形成されていない平板状のガラス材料であるときの全光束量を1とした場合の相対比で示すグラフである。 本開示の別の態様に係る有機EL素子の積層構造を示す模式図である。 本開示のさらに別の態様に係る有機EL素子の積層構造を示す模式図である。 本開示の別の態様に係るボトムエミッション型の有機EL素子の積層構造を示す模式図である。 本開示係る有機EL表示装置を採用したテレビシステムの外観斜視図である。 従来の有機EL素子の構造を示す模式図である。
≪本開示の一態様の概要≫
(1)本開示の一態様に係る自発光パネルは、基板と、前記基板の上方に行列状に配された複数の光反射性の画素電極と、前記複数の画素電極に対向して配された対向電極と、前記複数の画素電極と対向電極の間に介在する発光層と、前記対向電極の上方に配され透光性の第1の材料からなる第1封止層と、前記第1封止層上に積層され透光性の第2の材料からなる第2封止層と、を備え、前記第2封止層は、その前記第1封止層側の面に、前記発光層に向けて膨出する複数の凸状部を含み、かつ、前記第2封止層の屈折率が前記第1封止層の屈折率よりも高い。
係る態様によれば、第2封止層の下側面に発光層へ向けて膨出する凸状部を設け、第2封止層の屈折率が第1封止層より高くなるようにしているので、これによりトップエミッション型の自発光パネルにおいて、発光層で発生した拡散光が全反射することを抑制して光取り出し効率の向上が望める。しかも、本来必要な封止層の一部を利用して光取り出し効率を改善しているので、製造コストの増加も可及的に抑えることができる。また、第2封止層の上側面には凸状部などの凹凸がなく平坦なので、見栄えがよく、清掃が容易である。
(2)本開示の一態様に係る自発光パネルは、基板と、前記基板の上方に行列状に配された複数の透光性の画素電極と、前記複数の画素電極に対向して配された光反射性の対向電極と、前記複数の画素電極と対向電極の間に介在する発光層と、前記画素電極の下方に配され透光性の第1の材料からなる第1封止層と、前記第1封止層下方に積層され透光性の第2の材料からなる第2封止層と、を備え、前記第2封止層は、その前記第1封止層側の面に、前記発光層に向けて膨出する複数の凸状部を含み、かつ、前記第2封止層の屈折率が前記第1封止層の屈折率よりも高い。
これにより、画像表示面が平坦で見栄えがよく、光取り出し効率の高いボトムエミッション型の自発光パネルを提供することができる。
(3)本開示の別の態様は、前記基板を平面視したときに、一の前記凸状部が、対応する一の前記画素電極と重なる前記発光層の領域を覆っている。
係る構成により、各画素電極に重なる発光層から発光された全光束に対して、凸状部による全反射抑制の効果が及ぶので、より光取り出し効率の向上の効果が得られる。
(4)また、本開示の別の態様は、前記凸状部の、前記基板に平行な少なくとも1つの方向に直交する断面における輪郭は、半円状である。
このように凸状部の、少なくとも一の方向に直交する断面の輪郭形状を半円状とすることにより、全反射する光束量をより効率的に低減させることができ、光取り出し効率の向上に資する。
(5)また、本開示の別の態様は、前記第1の材料は、樹脂であり、前記第2の材料は、ガラスである。
第2の材料がガラスであるため、特に封止性に優れる。
(6)また、本開示の別の態様は、前記第1封止層の屈折率は、1.3以上1.5以下の値であって、前記第2封止層の屈折率は、前記第1封止層の屈折率の値よりも大きく、最大で1.7の屈折率である。
このように第1封止層の屈折率と第2封止層の屈折率を上記範囲内に設定することにより、第2封止層における凸状部による光取り出し効率をより向上させることができる。
(7)また、本開示の別の態様は、前記基板の上方であって、前記複数の画素電極のうち行方向に隣接する画素電極間に、列方向に延在する隔壁が配されており、前記第2封止層下面の、前記隔壁の頂面に対向する部分であって、当該頂面の前記行方向における幅以内の領域には前記凸状部が形成されていない平坦部が前記隔壁の延在方向と平行に延在している。
このように、平面視において第2封止層下面の、隔壁の頂面の直上部分に平坦部が延在するため、その部分では全反射抑制機能が発揮されず、斜めに入射した光束が全反射しやすくなって外部に射出されない。これにより、一色の副画素から射出される光の拡散性が抑制されるので、コントラストが向上し表示画質が鮮明化する。
(8)また、本開示の別の態様は、前記対向電極と前記第1封止層との間には、無機材料からなる透光性の保護膜が形成されており、前記保護膜の上面の、前記第2封止層の各凸状部に対向する位置には、上方に膨出する別の凸状部が形成されており、前記保護膜の屈折率は前記第1封止層の屈折率よりも大きい。
これにより、第1封止層を挟んで、凸状部が対峙することになり、より全反射抑制機能が改善され、光取り出し効率が一層向上する。
(9)また、本開示の別の態様に係る自発光表示装置は、上記態様に係る自発光パネルと、前記自発光パネルを駆動して画像を表示させる駆動部とを備える。
(10)また、本開示の別の態様に係る電子機器は、上記態様において、画像表示部として上記自発光表示装置を備える。
(11)また、本開示の別の態様に係る自発光パネルの製造方法は、基板を準備する第1工程と、前記基板上方に複数の画素電極を行列状に形成する第2工程と、前記画素電極の上方に発光層を形成する第3工程と、前記発光層の上方に前記複数の画素電極に対向する対向電極を形成する第4工程と、前記対向電極の上方に封止部を形成する第5工程と、を含み、前記封止部は、前記画素電極の上方に配され透光性の第1の材料からなる第1封止層と、前記第1封止層上に積層され、前記第1封止層よりも屈折率の大きなシート状の透光性の第2の材料からなる第2封止層とを有し、前記第2封止層の前記第1封止層側の面に、前記発光層に向けて膨出する複数の凸状部を含み、前記第5工程は、前記対向電極の上方に前記第1封止層の材料となる液状の第2の材料を塗布し、片面に前記複数の凸状部が形成されたシート状の第2封止層を、当該凸状部が前記発光層に対向するようにして前記液状の樹脂材料に貼り合わせた後、前記第1の材料を硬化させることを特徴とする。
係る態様により、上述のように製造コストの増加を抑制しつつ、光取り出し効率が優れ、かつ、表示画面が見やすい自発光パネルの製造が可能となる。
なお、上記各開示の態様において「上」とは、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)を指すものではなく、自発光パネルの積層構造における積層順を基に、相対的な位置関係により規定されるものである。具体的には、自発光パネルにおいて、基板の主面に垂直な方向であって、基板から積層物側に向かう側を上方向とする。また、例えば「基板上」と表現した場合は、基板に直接接する領域のみを指すのではなく、積層物を介した基板の上方の領域も含めるものとする。また、例えば「基板の上方」と表現した場合、基板と間隔を空けた上方領域のみを指すのではなく、基板上の領域も含めるものとする。
また、本明細書において、「屈折率」は、真空における屈折率を「1」としたときの「絶対的屈折率」を意味する。
≪実施の形態≫
本開示の一態様に係る自発光パネルおよび自発光表示装置について、以下、有機ELパネルおよび当該有機ELパネルを組み込んだ有機EL表示装置を例にして、図面を参照しつつ説明する。なお、図面は、模式的なものを含んでおり、各部材の縮尺や縦横の比率などが実際とは異なる場合がある。
1.有機EL表示装置1の全体構成
図1は、有機EL表示装置1の全体構成を示すブロック図である。有機EL表示装置1は、例えば、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯端末、業務用ディスプレイ(電子看板、商業施設用大型スクリーン)などに用いられる表示装置である。
有機EL表示装置1は、有機ELパネル10と、これに電気的に接続された駆動制御部200とを備える。
有機ELパネル10は、本実施の形態では、例えば、上面が長方形状の画像表示面であるトップエミッション型の表示パネルである。有機ELパネル10では、画像表示面に沿って複数の有機EL素子(不図示)が配列され、各有機EL素子の発光を組み合わせて画像を表示する。なお、有機ELパネル10は、一例として、アクティブマトリクス方式を採用している。
駆動制御部200は、有機ELパネル10に接続された駆動回路210と、計算機などの外部装置又はアンテナなどの受信装置に接続された制御回路220とを有する。駆動回路210は、各有機EL素子に電力を供給する電源回路、各有機EL素子への供給電力を制御する電圧信号を印加する信号回路、一定の間隔ごとに電圧信号を印加する箇所を切り替える走査回路などを有する。
制御回路220は、外部装置や受信装置から入力された画像情報を含むデータに応じて、駆動回路210の動作を制御する。
なお、図1では、一例として、駆動回路210が有機ELパネル10の周囲に4つ配置されているが、駆動制御部200の構成はこれに限定されるものではなく、駆動回路210の数や位置は適宜変更可能である。また、以下では説明のため、図1に示すように、有機ELパネル10上面の長辺に沿った方向をX方向、有機ELパネル10上面の短辺に沿った方向をY方向とする。
2.有機ELパネル10の構成
(A)平面構成
図2は、有機ELパネル10の画像表示面の一部を拡大した模式平面図である。有機ELパネル10では、一例として、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)(以下、単にR、G、Bともいう。)にそれぞれ発光する副画素100R、100G、100Bが行列状に配列されている。副画素100R、100G、100Bは、X方向に交互に並び、X方向に並ぶ一組の副画素100R、100G、100Bが、一つの画素Pを構成している。画素Pでは、階調制御された副画素100R、100G、100Bの発光輝度を組み合わせることにより、フルカラーを表現することが可能である。
また、Y方向においては、副画素100R、副画素100G、副画素100Bのいずれかのみが並ぶことでそれぞれ副画素列CR、副画素列CG、副画素列CBが構成されている。これにより、有機ELパネル10全体として画素Pが、X方向及びY方向に沿った行列状に並び、この行列状に並ぶ画素Pの発色を組み合わせることにより、画像表示面に画像が表示される。
副画素100R、100G、100Bには、それぞれR、G、Bの色に発光する有機EL素子2(R)、2(G)、2(B)(図3参照)が配置されている。
また、本実施の形態に係る有機ELパネル10では、いわゆるラインバンク方式を採用している。すなわち、副画素列CR、CG、CBを1列ごとに仕切る隔壁(列バンク)14がX方向に間隔をおいて複数配置され、各副画素列CR、CG、CBでは、副画素100R、100G、100Bが、発光層を共有している。
ただし、各副画素列CR、CG、CBでは、副画素100R、100G、100B同士を絶縁する画素規制層(行バンク)141がY方向に間隔をおいて複数配置され、各副画素100R、100G、100Bは、独立して発光することができるようになっている。
なお、画素規制層141の高さは、発光層のインク塗布時における液面の高さよりも低い。図2では、隔壁14及び画素規制層141は点線で表されているが、これは、画素規制層141及び隔壁14が、画像表示面の表面に露出しておらず、画像表示面の内部に配置されているからである。
(B)断面構成
図3は、図2のA−A線に沿った模式断面図である。
有機ELパネル10において、一つの画素は、R、G、Bをそれぞれ発光する3つの副画素からなり、各副画素は、対応する色を発光する有機EL素子2(R)、2(G)、2(B)で構成される。
各発光色の有機EL素子2(R)、2(G)、2(B)は、基本的には、ほぼ同様の構成を有するので、これらを区別しないときは、単に「有機EL素子2」として説明する。
図3に示すように、有機EL素子2は、基板11、層間絶縁層12、画素電極(陽極)13、隔壁14、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17、電子輸送層18、電子注入層19、対向電極(陰極)20、保護膜21、第1封止層22、第2封止層23とからなる。第1封止層22と第2封止層23が、光取り出し効率を向上させる構造(以下、「光取り出し向上構造」という。)を兼ねている。詳しくは後述する。
基板11、層間絶縁層12、電子輸送層18、電子注入層19、対向電極20、保護膜21、および第1封止層22、第2封止層23は、副画素ごとに個別層として形成されてもよいが、有機ELパネル10が備える複数の有機EL素子2に共通して形成することにより、封止特性が向上させつつ、プロセスコストを低減させることができる。
(1)基板
基板11は、絶縁材料である基材111と、TFT(Thin Film Transistor)層112とを含む。TFT層112には、副画素ごとに駆動回路が形成されている。基材111は、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素などの半導体基板、プラスチック基板等を採用することができる。
プラスチック材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうち1種、または2種以上を積層した積層体を用いることができる。
(2)層間絶縁層
層間絶縁層12は、基板11上に形成されている。層間絶縁層12は、樹脂材料からなり、TFT層112の上面の段差を平坦化するためのものである。樹脂材料としては、例えば、ポジ型の感光性材料が挙げられる。また、このような感光性材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。また、図3の断面図には示されていないが、層間絶縁層12には、副画素ごとにコンタクトホールが形成されている。
(3)画素電極
画素電極13は、光反射性の金属材料からなる金属層を含み、層間絶縁層12上に形成されている。画素電極13は、副画素ごとに設けられ、コンタクトホール(不図示)を通じてTFT層112と電気的に接続されている。
本実施の形態においては、画素電極13は、陽極として機能する。
光反射性を具備する金属材料の具体例としては、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、アルミニウム合金、Mo(モリブデン)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、MoW(モリブデンとタングステンの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などが挙げられる。
画素電極13は、金属層単独で構成してもよいが、金属層の上に、ITO(酸化インジウム錫)やIZO(酸化インジウム亜鉛)のような金属酸化物からなる層を積層した積層構造としてもよい。
(4)隔壁・画素規制層
隔壁14は、基板11の上方に副画素ごとに配置された複数の画素電極13を、X方向(図2参照)において列毎に仕切るものであって、X方向に並ぶ副画素列CR、CG、CBの間においてY方向に延伸するラインバンク形状である。
この隔壁14には、電気絶縁性材料が用いられる。電気絶縁性材料の具体例として、例えば、絶縁性の有機材料(例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂等)が用いられる。
隔壁14は、発光層17を塗布法で形成する場合に塗布された各色のインクが溢れて混色しないようにするための構造物として機能する。
なお、樹脂材料を用いる際は、加工性の点から感光性を有することが好ましい。当該感光性は、ポジ型、ネガ型のいずれであってもよい。
隔壁14は、有機溶媒や熱に対する耐性を有することが好ましい。また、インクの流出を抑制するために、隔壁14の表面は、画素電極13もしくは塗布下地層(塗布したインクの直下の層)よりも高い撥液性を有することが好ましい。
画素電極13が形成されていない部分において、隔壁14の底面が層間絶縁層12の上面と接している。
画素規制層141は、電気絶縁性材料からなり、各副画素列においてY方向(図2)に隣接する画素電極13の端部を覆い、当該Y方向に隣接する画素電極13同士を仕切っている。
画素規制層141の膜厚は、画素電極13の膜厚よりも若干大きいが、画素規制層141の上面が塗布直後の発光材料のインクの液面よりも低くなるような厚みになるように設定されている。これにより、各副画素列CR、CG、CBにおける発光層17は、画素規制層141によっては仕切られず、発光層17を形成する際のインクの流動が妨げられない。そのため、各副画素列における発光層17の厚みを均一に揃えることを容易にする。
画素規制層141は、上記構造により、Y方向に隣接する画素電極13の電気絶縁性を向上しつつ、各副画素列CR、CG、CBにおける発光層17の段切れ抑制、画素電極13と対向電極20との間の電気絶縁性の向上などの役割を有する。
画素規制層141に用いられる電気絶縁性材料の具体例としては、上記隔壁14の材料として例示した樹脂材料や無機材料などが挙げられる。また、上層となる発光層17を形成する際、インクが濡れ広がりやすいように、画素規制層141の表面のインクに対する親液性が、隔壁14表面の親液性よりも大きいことが好ましい。
(5)正孔注入層
正孔注入層15は、画素電極13から発光層17への正孔の注入を促進させる目的で、画素電極13上に設けられている。正孔注入層15は、例えば、Ag(銀)、Mo(モリブデン)、Cr(クロム)、V(バナジウム)、W(タングステン)、Ni(ニッケル)、Ir(イリジウム)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる層である。例えばスパッタプロセスやウエットプロセスにより形成しても良いが、ウエットプロセスによって形成する方がコスト的なメリットが大きく、また、光共振器構造を構築する場合において、発光色毎の膜厚の調整が容易である。
上記のうち、酸化金属からなる正孔注入層15は、仕事関数が大きく、発光層17に対し安定的に正孔を注入する。
(6)正孔輸送層
正孔輸送層16は、正孔注入層15から注入された正孔を発光層17へ輸送する機能を有する。正孔輸送層16は、例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいは、ポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物であって、親水基を備えないものなどを用いて印刷装置などを用いたウエットプロセスにより形成される。これにより光共振器構造を構築するための発光色毎の膜厚の調整が容易となる。
(7)発光層
発光層17は、開口部14a内に形成されており、正孔と電子の再結合により、R、G、Bの各色の光を発光する機能を有する。なお、特に、発光色を特定して説明する必要があるときには、発光層17(R)、17(G)、17(B)と記す。
発光層17の材料としては、公知の材料を利用することができる。具体的には、例えば、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
(8)電子輸送層
電子輸送層18は、対向電極20からの電子を発光層17へ輸送する機能を有する。電子輸送層18は、電子輸送性が高い有機材料からなり、さらにアルカリ金属、および、アルカリ土類金属もしくは、それらの化合物や、例えば、Liq(リチウムキノラート錯体などを含有させても構わない。
電子輸送層18に用いられる有機材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。
(9)電子注入層
電子注入層19は、対向電極20から供給される電子を発光層17側へと注入する機能を有する。電子注入層19は、例えば、電子輸送性が高い有機材料に、アルカリ金属、または、アルカリ土類金属、ランタノイド金属から選択されるドープ金属がドープされて形成されている。
アルカリ金属に該当する金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)であり、アルカリ土類金属に該当する金属は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)であり、ランタノイド金属に該当する金属は、例えば、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などである。
本実施の形態では、バリウム(Ba)がドープされている。
また、電子注入層19に用いられる有機材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。
(10)対向電極
対向電極20は、透光性の導電性材料からなり、電子注入層19上に形成されている。対向電極20は、陰極として機能する。
対向電極20としては、例えば、金属薄膜または、ITOやIZOなどの透明導電膜を用いることができる。光共振器構造をより効果的に得るためには、対向電極20の材料として、アルミニウム、マグネシウム、銀、アルミニウム−リチウム合金、マグネシウム−銀合金等のうち少なくとも1つの材料からなる金属薄膜を形成するのが望ましい。この場合において、金属薄膜の膜厚は、5nm以上30nm以下とすることが望ましい。
また、ITOやIZOなどの透明導電膜と金属薄膜の積層物膜を対向電極とするようにしても構わない。
(11)保護膜
保護膜21は、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17、電子輸送層18、電子注入層19などの有機機能層が水分に晒されたり、空気に晒されたりして劣化するのを防止するために設けられるものである。保護膜21は、特に、有機ELパネル10の製造途中における有機機能層の劣化を防ぐという重要な役目を果たす。
後述するように、保護膜21は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの絶縁性を有する透光性材料をスパッタリングすることにより形成される。
(12)封止部(第1封止層、第2封止層)
保護膜21上に、さらに第1封止層22および第2封止層23を積層して封止部を形成することにより、有機ELパネル10における封止性を強化し、内部の有機機能層が、大気中の水分や酸素などにより劣化するのを阻止して長寿命化を図ると共に、第2封止層23の下面に凸レンズ状部24を副画素に対応して設けることにより、光取り出し効率を向上させる機能を有する。
第1封止層22は、透光性を有する紫外線硬化性樹脂材料からなる。紫外線硬化樹脂は、硬化速度が速く、作業時間を短縮できる。また、紫外線を照射しないと硬化しないので、塗布工程の制約が少なく、また低温硬化が可能であるという利点を有する。紫外線硬化樹脂として、例えば、アクリレート系樹脂やエポキシ系樹脂などが使用できる。
場合によっては、熱硬化性樹脂を使用してもよい。熱硬化性樹脂としては、UFユリア樹脂、MFメラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
第2封止層23は、透明なガラス材料で形成されており、その下面には、複数の凸レンズ状部24が、連続して形成されている。第2封止層23を形成するガラス材料は、第1封止層22を形成する樹脂材料より屈折率が大きくなるような種類のガラス材料と樹脂材料が選択されている。
図4(a)は、第2封止層23を下側の面から見たときの部分斜視図であり、図4(b)は、一つの凸レンズ状部24を取り出したときの拡大斜視図を示す。また、図4(c)は、図4(b)の凸レンズ状部24のX方向中央における横断面図であり、図4(d)は、凸レンズ状部24のY方向中央における縦断面図である。
図4(b)〜(d)に示すように、凸レンズ状部24は、X方向に伸びる蒲鉾形状になっており、X軸に垂直な平面での断面形状が、半円状であると共に、Y軸に垂直な平面による断面形状は、両肩部に丸みがついた矩形状になっている。
このような形状の凸レンズ状部24が、図4(a)に示すように第2封止層23の下面のXY方向に整列して複数並んで形成されている。凸レンズ状部24のX、Yそれぞれの方向におけるピッチは、図2に示した副画素のX、Yにおけるピッチと同じである。
図5は、図3の有機ELパネル10を平面視したときの各凸レンズ状部24と副画素との位置関係を示す透視図であり、1個の凸レンズ状部24で、1個の副画素全体を覆うように配置されている。
図3に戻り、例えば、発光層17(G)で発光した光は、第1封止層22を通過して、凸レンズ状部24との界面に至るが、凸レンズ状部24の形状が半円状であり外側に膨らむ曲面を有し、第2封止層23の屈折率が第1封止層22の屈折率よりも大きいので、丁度凸レンズと同様に、斜めに射出された光L2は、凸レンズ状部24の表面で全反せずに少し内側に屈折して進行する。そのため光L2は、第2封止層23の上面と外部の空気との界面において全反射せずに外部に取り出される。
これによって、内部で全反射されずに有機EL素子2から外部に取り出される光束が多くなり、光取り出し効率が改善される。これは、取りも直さず、所定の輝度を得るための駆動電流が低減することを意味し、有機ELパネル10のより低消費電力化が可能となる。
また、有機ELパネル10の表示面を平坦にして画面が大変見やすくなると共に、特に第2封止層23のガラス材料は、水分や空気を透過させないので、封止性を強化して、内部の有機機能層の劣化を防ぎ、製品の長寿命化が図れる。
3.有機ELパネル10の製造方法
以下、有機ELパネル10の製造方法について、図面を用いて説明する。
図6(a)〜(f)、図7(a)〜(d)、図8(a)、(b)、図9(a)〜(d)、および図10(a)〜(c)は、有機ELパネル10の製造における各工程での状態を示す模式断面図である。また、図11は、有機ELパネル10の製造工程を示すフローチャートである。
(1)基板準備工程
まず、図6(a)に示すように、基材111上にTFT層112を成膜して基板11を準備する(図11のステップS1)。TFT層112は、公知のTFTの製造方法により成膜することができる。
(2)層間絶縁層形成工程
次に、図6(b)に示すように、基板11上に、層間絶縁層12を形成する(図11のステップS2)。
具体的には、一定の流動性を有する樹脂材料を、例えば、ダイコート法により、基板11の上面に沿って、TFT層112による基板11上の凹凸を埋めるように塗布する。これにより、層間絶縁層12の上面は、基材111の上面に沿って平坦化した形状となる。
また、層間絶縁層12における、TFT素子の例えばソース電極上の個所にドライエッチング法を行い、コンタクトホール(不図示)を形成する。コンタクトホールは、その底部にソース電極の表面が露出するようにパターニングなどを用いて形成される。
次に、コンタクトホールの内壁に沿って接続電極層を形成する。接続電極層の上部は、その一部が層間絶縁層12上に配される。接続電極層の形成は、例えば、スパッタリング法を用いることができ、金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法およびウエットエッチング法を用いてパターニングすればよい。
(3)画素電極・正孔注入層の形成工程
次に、図6(c)に示すように、層間絶縁層12上に画素電極材料層130を形成する。画素電極材料層130は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
さらに、画素電極材料層130上に正孔注入材料層150を形成する(図6(d))。正孔注入材料層150は、例えば、反応性スパッタ法などを用いて形成することができる。
そして、図6(e)に示すように、画素電極材料層130と正孔注入材料層150とをエッチングによりパターニングして、副画素ごとに区画された複数の画素電極13と正孔注入層15とを形成する(図11のステップS3)。
なお、画素電極13、正孔注入層15の形成方法は上述の方法に限られず、例えば、画素電極材料層130をパターニングして画素電極13を形成してから、正孔注入層15を形成してもよい。
また、隔壁14を形成してから、正孔注入層15をウエットプロセスによって形成するようにしてもよい。
(4)隔壁・画素規制層形成工程
次に、隔壁14および画素規制層141を形成する(図11のステップS4)。
本実施の形態では、画素規制層141と隔壁14を別工程で形成するようにしている。
(4−1)画素規制層形成
まず、Y方向(図2)における画素電極列を副画素毎に仕切るため、X方向に伸びる画素規制層141を形成する。
図7(a)に示すように、画素電極13、正孔注入層15が形成された層間絶縁層12上に、画素規制層141の材料となる感光性の樹脂材料を一様に塗布して、形成すべき画素規制層141の高さと等しい膜厚の画素規制層材料層1410を形成する。
具体的な塗布方法として、例えばダイコート法やスリットコート法、スピンコート法などのウエットプロセスを用いることができる。塗布後には、例えば、真空乾燥及び60℃〜120℃程度の低温加熱乾燥(プリベーク)などを行って不要な溶媒を除去するとともに、画素規制層材料層1410を層間絶縁層12に定着させることが好ましい。
そして、フォトリソグラフィ法を用いて、画素規制層材料層1410をパターニングする。
例えば、画素規制層材料層1410がポジ型の感光性を有する場合は、画素規制層141として残す箇所を遮光し、除去する部分が透明なフォトマスク(不図示)を介して画素規制層材料層1410を露光する。
次に、現像を行い、画素規制層材料層1410の露光領域を除去することにより、画素規制層141を形成することができる。具体的な現像方法としては、例えば、基板11全体を、画素規制層材料層1410の露光により感光した部分を溶解させる有機溶媒やアルカリ液などの現像液に浸した後、純水などのリンス液で基板11を洗浄すればよい。
その後、所定温度で焼成(ポストベーク)することにより、層間絶縁層12上に、X方向に延伸する画素規制層141を形成することができる(図5(b))。
(4−2)隔壁形成
次に、Y方向に伸びる隔壁14を上記画素規制層141と同様にして形成する。
すなわち、上記画素電極13、正孔注入層15、画素規制層141が形成された層間絶縁層12上に、隔壁用の樹脂材料を、ダイコート法などを用いて塗布して、形成すべき隔壁14の高さと等しい膜厚の隔壁材料層140を形成し(図7(c))、フォトリソグラフィ法により隔壁材料層140にY方向に延在する隔壁14をパターニングした後、所定の温度で焼成して隔壁14を形成する(図7(d))。
なお、上記では、画素規制層141と隔壁14のそれぞれの材料層をウエットプロセスで形成した後にパターニングするようにしたが、いずれか一方または双方の材料層をドライプロセスで形成して、フォトリソグラフィ法とエッチング法により、パターニングするようにしてもよい。
(5)正孔輸送層形成工程
次に、図8(a)に示すように、隔壁14が規定する開口部14aに対し、正孔輸送層16の構成材料を含むインクを、印刷装置の塗布ヘッド301のノズル3011から吐出して開口部14a内の正孔注入層15上に塗布する。この際、正孔輸送層16のインクは、画素電極列の上方においてY方向(図2)に沿って延伸するように塗布される。その後、乾燥させて、正孔輸送層16を形成する(図11のステップS5)。
(6)発光層形成工程
次に、上記正孔輸送層16の上方に、発光層17を形成する(図11のステップS6)。
具体的には、図8(b)に示すように、各開口部14aに対応する発光色の発光材料を含むインクを、印刷装置の塗布ヘッド301のノズル3011から順次吐出して開口部14a内の正孔輸送層16上に塗布する。この際、インクを画素規制層141の上方においても連続するように塗布する。これにより、Y方向に沿ってインクが流動可能となり、インクの塗布むらを低減して、同一の副画素列における発光層17の膜厚を均一化することが可能となる。
そして、インク塗布後の基板11を真空乾燥室内に搬入して真空環境下で加熱することにより、インク中の有機溶媒を蒸発させる。これにより、発光層17を形成できる。
(7)電子輸送層形成工程
次に、図9(a)に示すように、発光層17および隔壁14上に、電子輸送層18を形成する(図11のステップS7)。電子輸送層18は、例えば、電子輸送性の有機材料を蒸着法により各副画素に共通して成膜することにより形成される。
(8)電子注入層形成工程
次に、図9(b)に示すように、電子輸送層18上に、電子注入層19を形成する(図11のステップS8)。電子注入層19は、例えば、電子輸送性の有機材料とドープ金属を共蒸着法により各副画素に共通して成膜することにより形成される。
(9)対向電極形成工程
次に、図9(c)に示すように、電子注入層19上に、対向電極20を形成する(図11のステップS9)。対向電極20は、ITO、IZO、銀、アルミニウム等を、スパッタリング法、真空蒸着法により成膜することにより形成される。
(10)保護膜形成工程
次に、図9(d)に示すように、対向電極20上に、保護膜21を形成する(図11のステップS10)。保護膜21は、SiON、SiN等を、スパッタリング法、CVD法などにより成膜することにより形成することができる。
(11)封止部形成工程
まず、図10(a)に示すように、保護膜21上に、液状(硬化前の流動性を有する状態)の紫外線硬化樹脂を塗布して所定の厚み(例えば、10μm)の樹脂材料層2201を形成する(図11のステップS11)。具体的な塗布方法として、例えばダイコート法やスリットコート法、スピンコート法などのウエットプロセスを用いることができる。
そして、図4(a)のように下面に複数の凸レンズ状部24が形成された第2封止層23を、凸レンズ状部24の形成された面が下方にし、各凸レンズ状部24が対応する副画素と一致するように位置合わせして(図5参照)、上記第1封止層22形成用の樹脂材料層2201の上面から圧着させる(図10(b)、図11のステップS12)。
この作業は、樹脂材料層2201の上面と第2封止層23の下面との間に空気の泡や異物などが混入しないように、真空圧着法により実行されるのが望ましい。
これにより流動状態の樹脂材料層2201の樹脂が、第2封止層23の凸レンズ状部24の湾曲形状に沿って変形して密着するので、第2封止層23の上方から紫外線を照射して、樹脂材料層2201を硬化させる(図10(c)、図11のステップS13)。
以上により、図3に示す有機ELパネル10が完成する。
なお、図12に、第2封止層23の下面に、行列状に並んだ複数の凸レンズ状部24を形成する方法の一例を示す。
まず、加熱プレート602上に第2封止層23の材料となるガラス基板2300を載置し、ガラス基板2300を数百℃に加熱して軟化させる(図12(a))。加熱プレート602の上方には、凸レンズ状部24のキャビティ605が形成された金型601が、例えば、油圧式アクチュエーター(不図示)のロッド603、604により保持されて待機しており、ガラス基板2300が目的の温度に達すると、金型601を下降させてガラス基板2300をプレス成型する。この作業は雰囲気を真空状態にして行うことにより、金型601とガラス基板2300との間に気体が残留しないようにするのが望ましい。
上記の各製造方法は、あくまで例示であり、適宜変更可能である。
4.有機EL素子の光取り出し効率の評価
次に、上記実施の形態により形成された有機EL素子について、青色発光の有機EL素子を例にして、その光取り出し効率について、光学シミュレーションを行った。
図13は、光学シミュレーションの対象となった有機EL素子のモデルにおける各層の膜厚を発光層17より上の層のみについて示す図である。
なお、図13において、上部機能層は、電子輸送層18、電子注入層19および対向電極(カソード電極)20を合わせたものであり、下部機能層は、画素電極(アノード電極)13と正孔注入層15、正孔輸送層16を合わせたものである。樹脂封止層の厚みは、第1封止層22の最薄部(凸レンズ状部24の頂点に対向する部分)の厚みを示しており、ガラスの厚みは、最厚部(凸レンズ状部24の頂点部分)における第2封止層23の厚みを示している。
なお、可視光波長範囲(およそ400nm〜700nm)に対して、各部の屈折率は以下のように設定している。
<保護膜> : 1.8〜2.0
<上部機能層> : カソード電極 0.13〜0.17
電子注入層 2.0〜2.2
電子輸送層 1.7〜2.0
<発光層> : 1.6〜2.0
<下部機能層> : アノード電極 0.5〜1.7
正孔注入層 2.1〜2.3
正孔輸送層 1.7〜1.9
そして、青色の発光波長を465nmとし、空気の屈折率は、真空と同じ1.0として、光取り出し効率をシミュレーションした。
図14(a)は、図3で示した本実施の形態の有機EL素子2の積層構造を模式的に示すものであり、層間絶縁層12から保護膜21に至るまでの構成は、有機EL構造体110として簡潔に示している。
図14(b)は、光取り出し効率のシミュレーション結果を示すグラフである。
図13のシミュレーションモデルについて、第1封止層22である封止樹脂層の屈折率をnc、第2封止層23であるガラスの屈折率をngとし、封止樹脂層の屈折率ncが、「1.3」、「1.4」、「1.5」のときにおいて、レンズ効果を生じるng>ncの条件の下で、ガラスの屈折率ngを変化させて、有機EL素子から射出される全光束量Maと、第2封止層23に凸レンズ状部24が形成されていない平板状のガラスが使用されている有機EL素子における全光束量Mbを、それぞれシミュレーションにより求めて、両者の比(全光量比h=Ma/Mb)を求めたものである。したがって、hの値が1を超えて大きければ大きいほど、光取り出し効率の改善の効果が認められることになる。
図14(b)においては、横軸がガラスの屈折率ngの値を示し、縦軸は、上記全光量比hを示す。また、実線の折れ線G1、破線の折れ線G2、一点鎖線の折れ線G3は、それぞれ、樹脂層の屈折率ncが「1.3」、「1.4」、「1.5」の場合における全光量比hの変化を示している。
図14(b)のグラフを見ても分かるように、ガラスの屈折率ng>樹脂の屈折率ncの関係が成立しても、必ずしも全光量比hが、「1」よりも大きくなるわけではない。これは、樹脂の屈折率ncやガラスの屈折率ngの大きさによっては、それぞれに隣接する層との界面(シミュレーションモデルにおいては、樹脂封止層と保護膜との界面、ガラスと空気層との界面)において全反射が起こりやすい条件なって、結果として有機EL素子外部に射出される全光束量が低減する場合もあるからであると考えられる。
今、平板状のガラスを第2封止層23として使用したときよりも5%以上全光束量が増加した場合(hが1.05以上)を光取り出し効率が改善されたと評価すると、図14(b)のシミュレーション結果から、hが1.05以上となる屈折率の条件は、図14(b)に示すように、樹脂屈折率ncが「1.3」の場合には、ガラス屈折率ngは、1.3<ng≦1.7であり、樹脂屈折率ncが「1.4」の場合、ガラス屈折率ngは、1.4<ng≦1.7であり、樹脂屈折率が、「1.5」の場合、ガラス屈折率ngは、1.5<ng≦1.7が望ましいことが分かる。 いずれも、ガラス屈折率の最大値が、「1.7」までとなっているは、これ以上大きくすると外部の空気層の屈折率「1.0」との差が大きくなり過ぎ、臨界角が小さくなって各ガラスと空気層との界面における全反射現象が増加するためであると考えられる。
なお、屈折率の値である、1.2、1.3、・・・1.7などは、単なる代表点に過ぎなく、実際には連続して変化させても、図14(b)のシミュレーション結果は成立する。
以上のシミュレーション結果から、h≧1.05を評価基準とした場合には、樹脂屈折率ncが、1.3以上1.5以下の場合に、ガラス屈折率ngは、その樹脂屈折率ncよりも大きい値であって、1.7以下であることが望ましいといえる。
上記光学シミュレーションは、青色の波長465nmを一例にして行ったが、可視光の波長の範囲内であれば、屈折率にほとんど差はないと解され、少なくとも青色波長域である450nmから480nm未満の波長については問題なく妥当する。
なお、透光性を有する樹脂材料として、屈折率が1.3〜1.5の範囲を含むものが存在し、また、透光性を有するガラス材料として屈折率が1.3〜1.7の範囲を含むものがガラスメーカーから市販されているので、上記の評価基準を満たす有機EL素子2の製造は十分可能である。
図15(a)、(b)は、それぞれ本実施形態の比較例に係る有機EL素子の構成と、その光取り出し効率の光学シミュレーションの結果を示すものである。
図15(a)に示すように、この比較例に係る有機EL素子は、第2封止層27の有機EL構造体110に対向する面が、凸レンズ状部24ではなく、凸レンズ状部24とほぼ同じ形状の凹入部271が形成されている点が異なる。第1封止層26の樹脂層の屈折率ncを第2封止層27の屈折率ngよりも大きく設定すれば、第1封止層26と第2封止層27の凹入部との界面で凸レンズ効果を発揮して、本実施の形態と同様な光取り出し効率の改善が見られると想像されるが、実際に光学シミュレーションを行ったところ、図15(b)のグラフに示すような結果となった(なお、本シミュレーションでは、ncとngの大小関係は限定せずに行った。)。
ほとんどの樹脂屈折率ncに対して、全光量比hが1以下であり、上記評価基準h≧1.05には及ばない。
比較例の場合にこのような結果になった理由として、次のようなことが考えられる。
(ア)第2封止層側に凹入形状を形成することにより、有機EL構造体110から出射された光束が、第2封止層のガラス層に至るまでの距離が長くなり、それだけ第1封止層26の樹脂層を進む距離が長くなる。一般に、樹脂材料の光透過率は、ガラスの光透過率よりも低いと考えられるので、光量が減衰するため。
(イ)隣接する凹入部271の縁に近い部分272における間隔が狭いので、一旦第1封止層26から第2封止層27に抜けた光束が、再度、隣の凹入部に進入して、外部に出られなくなってしまうため。
したがって、たとえ図20に示した従来の有機EL素子において、マイクロレンズ上に樹脂層を介してガラスシートを貼着させても、図15(a)の比較例と同様、光取り出し効率の改善はあまり期待できないと考えられる。
5.効果(まとめ)
以上、説明したように本表示の態様に係る有機EL素子によれば、封止層を樹脂材料からなる第1封止層に、ガラス基板の片面に加工して、複数の凸レンズ状部を行と列方向に配設してなる第2封止層を、各凸レンズ状部が最小単位画素(本実施の形態では、「副画素」)を一つずつ覆うようにして積層しており、第2封止層の屈折率が第1封止層の屈折率より高くなるようにしているので、発光層から第1封止層に入射した光束は、第2封止層の凸レンズ状部と第1封止層の界面で全反射せずに、入射角よりも小さい出射角で進行する。そのため、第2封止層と外部空気層の界面に入射する光束の入射角が臨界角以上となりにくく、外部に射出される光束が増えて、光取り出し効率が向上する。
また、板状の第2封止層本体と凸レンズ状部とは一体的に形成されているので、一旦下地層を形成してから凸レンズ状部をその上に形成するような手間は不要であるため製造コストの削減に資するし、第2封止層本体と凸レンズ状部との間に界面が存在しないので、界面通過時に光束が減少するようなおそれもなく 、この点でも光取り出し効率の向上に資する。第2封止層の表面側は凸レンズ状部が形成されていないので、汚れにくく、見栄えもよい。
≪変形例≫
以上、本開示の一態様として有機ELパネル及び有機ELパネルの製造方法について実施形態に基づき説明したが、本開示は、その本質的な特徴的構成要素を除き、以上の説明に何ら限定されるものではない。以下では、本開示の他の態様(変形例)について説明する。
(1)凸レンズ状部の形状の変形例
(1−1)上記実施の形態では、凸レンズ状部24は、副画素の形状が短辺と長辺を有する矩形状であるため、図4(b)〜(d)に示すように横断面が半円状で、全体として蒲鉾状のものを形成したが、多少断面形状が異なっていても外側に膨出した形状を有しており、第2封止層の屈折率が第1封止層の屈折よりも所定量大きく適切な関係にあれば、全反射する光束を減少させて光取り出し効率を向上させることが可能である。
また、凸レンズ状部を平面視した形状および大きさは、図5に示すように、一つの副画素の領域(平面視において画素電極と発光層が重なる領域)を完全に覆う形状・大きさを有することが望ましいが、必ずしも厳密には要求されない。
副画素の平面視における形状が別の形状であれば、凸レンズ状部24の平面視の形状も副画素の開口に合わせて別の形状を採用し得る。
また、副画素の開口の形状によっては、凸レンズ状部24を、完全な半球状にしたり、または、X、Yの両方向における横断面が、半円状もしくはそれに近い形状にすることも考えられる。これらの場合には、より全反射を防止する機能が増し、光取り出し効率のさらなる向上が望めると考えられる。
(1−2)上記実施の形態では、隣接する凸レンズ状部24同士の基端部が接していたが、図16の模式図に示すように有機EL構造体110の隔壁14の頂面の直上部分に、隣接する凸レンズ状部24の基端部に、上記隔壁14の頂面のX方向の幅と同じか、それよりもわずかに小さな幅の平坦部25を隔壁14の伸びる方向と平行に設けるようにしてもよい。
平坦部25には凸レンズの作用が働かないため、この部分に斜めから入射した光束は、全反射して第2封止層23を透過しない可能性が高くなり、これにより一つの副画素から発光された光束が必要以上に拡散して第2封止層23を透過するのを制限することができ、コントラストに優れた高品質の表示画面を提供することができると考えられる。
なお、隔壁14の直上のみならず、画素規制層141の直上にも同様な平坦部を形成するようにしても差し支えない。
(1−3)また、図17の模式図のように、保護膜28を上記実施形態よりも厚めに形成して、エッチングなどの手法により、第2封止層23の凸レンズ状部24に対向する上向きの凸状レンズ部29を形成してもよい。凸レンズ状部24と29のX方向における光軸は一致させる方が望ましいが、断面形状は、必ずしも上下対称である必要はない。
第2封止層23の屈折率ng、第1封止層22の屈折率nc、保護膜28の屈折率ndの関係は、nc<ng、nc<ndとなる。なお、屈折率ngとnd間の大小関係は特に問わない。本変形例によれば、全反射抑制の効果がさらに高められ、より一層光取り出し効率が向上すると考えられる。
(2)凸レンズ状部24の形成方法の変形例
上記実施の形態では、プレス法により、ガラス基板2300上に複数凸レンズ状部24を形成して、第2封止層23を製造したが(図12参照)、これに限定されるわけではない。
例えば、レーザーアブレーションを利用して微細加工して、凸レンズ状部24の部分を成形するようにパターニングすることも可能である。
(3)上記実施形態においては、第2封止層23として、ガラス材料を使用したが、透光性を有し、上記で説明した屈折率の条件を満たすならば樹脂材料を使用しても構わない。これによりフレキシブル性に優れた有機ELパネルを提供することができる。
(4)有機EL素子の積層構造の変形例
上記実施の形態では、有機EL素子の積層構成として、電子輸送層18や電子注入層19、正孔注入層15や正孔輸送層16を有する構成であるとしたが、これに限られない。例えば、正孔輸送層16を有しない有機EL素子であってもよい。また、例えば、正孔注入層15と正孔輸送層16とに替えて、単一層の正孔注入輸送層を有していてもよい。
また、発光層17と電子注入輸送層18との間に、別の機能層を介在させても構わない。当該機能層として、例えば、電子輸送性があり、かつ、正孔ブロック性を有する有機材料等からなる層(正孔ブロック層)や、あるいは、電子注入輸送層18から有機発光層17への電子注入性を改善するため、アルカリ金属のハロゲン化物(例えば、NaF)等を含む層を設けるようにしてもよい。
(5)上記実施の形態に係る有機ELパネル10では、図2に示すように、画素規制層141の延伸方向が有機ELパネル10の長軸X方向、隔壁14の延伸方向が有機ELパネル10の短軸Y方向であったが、画素規制層141と隔壁14の延伸方向は、逆であってもよい。
また、上記実施の形態に係る有機ELパネル10では、一例として画像表示面を長方形状としたが、画像表示面の形状に限定はなく、適宜変更可能である。
また、上記実施の形態に係る有機ELパネル10では、画素電極13を長方形平板状の部材としたが、これに限られない。
さらに、上記実施の形態においてはラインバンク方式の有機ELパネルについて説明したが、一つの副画素ごとにその四方を隔壁で囲むようにした、いわゆるピクセルバンク方式の有機ELパネルであっても構わない。
(6)上記実施の形態に係る有機ELパネル10では、R、G、B色にそれぞれ発光する副画素100R、100G、100Bが配列されていたが、副画素の発光色はこれに限られず、例えば、R、G、Bに加えて黄色(Y)の4色であってもよい。また、一つの画素Pにおいて、副画素は1色あたり1個に限られず、複数配置されてもよい。また、画素Pにおける副画素の配列は、図2に示すような、赤色、緑色、青色の順番に限られず、これらを入れ替えた順番であってもよい。
(7)また、上記実施の形態に係る有機ELパネル10は、アクティブマトリクス方式を採用したが、これに限られず、パッシブマトリクス方式を採用してもよい。また、トップエミッション型の有機ELパネルだけでなくボトムエミッション型の有機ELパネルにも適用可能である。
図18は、ボトムエミッション型の有機ELパネルにおける有機EL素子2‘の一態様を示す模式図であり、有機EL構造体の下方側(ボトム側)に、上方に向けて(発光層側に向けて)膨出する凸レンズ状部24を有する第2封止層を、第1封止層22を介して配するようにしている。そして、第2封止層23の下方に層間絶縁層12、基板11が配される構成となっている。
図18において、図3と共通の符号を付したものは、基本的に同じ構成を示しているので、説明を省略し、以下では、異なる点を中心に説明する。
<対向電極20>
対向電極20は、透光性を有する必要はなく、反射性を有する金属等で形成される。
<画素電極13>
画素電極13は、透光性を有する導電性材料で形成される。ITOやIZO、もしくは膜厚が透光性を有する範囲内(5nm以上30nm以下)の金属薄膜などからなる。ITOまたはIZOと金属薄膜を積層したものであってもよい。
<層間絶縁層12>
層間絶縁層12は、透光性を有する絶縁有機材料によって形成される。
<基板11>
ガラスシートまたは透光性の樹脂シートからなる基材111上にTFT層112を形成するが、TFT層112の駆動回路1121は、発光層17から出射される光束の進行をできるだけ妨げない位置(主に隔壁14の下方部分)に形成される。
なお、ボトムエミッション型の有機EL素子は、TFT層112の駆動回路1121があるため、トップエミッション型のものに比べて、開口率がやや劣るというデメリットがあるが、ボトム側においては、第1封止層22、第2封止層23に加えて基板11、層間絶縁層12などが封止の役目も果たすので、封止性が極めて高い。
したがって、画素電極13を陰極、対向電極20を陽極に設定して、水分や酸素と反応して劣化しやすい電子注入輸送層18、電子注入層19などを、発光層17よりも下方に配置させれば、製品寿命をより長くすることができるという利点がある。また、第2封止層23の外側が、層間絶縁層12に隣接するので、第2封止層23からいきなり外部の空気層に光束が射出されるよりも、有利な場合がある。例えば、層間絶縁層12および基板11の屈折率を第2封止層23よりも小さな屈折率の材料で形成すれば、光束L3が基板11から空気層に射出される際に、より全反射しにくくなり、光取り出し効率の更なる向上が望める場合がある。
(8)上記実施の形態で示した有機ELパネルは、図19に示すようにテレビ装置400の表示部401や、その他パーソナルコンピュータ、形態端末、業務用ディスプレイなど様々な電子機器の表示パネルとして用いることができる。
(9)上記実施形態では、自発光パネルとして、発光層として有機ELを使用した有機ELパネルについて説明したが、その他、発光層として無機ELを使用した無機ELパネルや、発光層に量子ドットを使用した量子ドットパネル(例えば、特開2010−199067号公報参照)などの自発光パネルについても、発光層の種類が異なるだけで、画素電極と対向電極との間に発光層を介在させるという構成において有機ELパネルと同じであり、光取り出し側に上記実施形態に係る封止部を設けることにより、光取り出し効率の向上を図ることができる。
≪補足≫
以上、本開示に係る自発光パネルおよびその製造方法並びに自発光表示装置、電子機器について、実施の形態および変形例に基づいて説明したが、本開示は、上記の実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態および変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
本開示に係る自発光パネルは、様々な電子機器に用いられる表示パネルに広く利用することができる。
1 有機EL表示装置
2 有機EL素子
10 有機ELパネル
11 基板
12 層間絶縁層
13 画素電極
14 隔壁
15 正孔注入層
16 正孔輸送層
17 発光層
18 電子輸送層
19 電子注入層
20 対向電極
21 保護膜
22 第1封止層
23 第2封止層
24 凸レンズ状部(凸状部)
100B、100G、100R 副画素
111 基材
112 TFT層

Claims (11)

  1. 基板と、
    前記基板の上方に行列状に配された複数の光反射性の画素電極と、
    前記複数の画素電極に対向して配された透光性の対向電極と、
    前記複数の画素電極と対向電極の間に介在する発光層と、
    前記対向電極の上方に配され透光性の第1の材料からなる第1封止層と、
    前記第1封止層上に積層され透光性の第2の材料からなる第2封止層と、
    を備え、
    前記第2封止層は、その前記第1封止層側の面に、前記発光層に向けて膨出する複数の凸状部を含み、かつ、前記第2封止層の屈折率が前記第1封止層の屈折率よりも高い
    ことを特徴とする自発光パネル。
  2. 基板と、
    前記基板の上方に行列状に配された複数の透光性の画素電極と、
    前記複数の画素電極に対向して配された光反射性の対向電極と、
    前記複数の画素電極と対向電極の間に介在する発光層と、
    前記画素電極の下方に配され透光性の第1の材料からなる第1封止層と、
    前記第1封止層下方に積層され透光性の第2の材料からなる第2封止層と、
    を備え、
    前記第2封止層は、その前記第1封止層側の面に、前記発光層に向けて膨出する複数の凸状部を含み、かつ、前記第2封止層の屈折率が前記第1封止層の屈折率よりも高い
    ことを特徴とする自発光パネル。
  3. 前記基板を平面視したときに、一の前記凸状部が、対応する一の前記画素電極と重なる前記発光層の領域を覆っている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の自発光パネル。
  4. 前記凸状部の、前記基板に平行な少なくとも1つの方向に直交する断面における輪郭は、半円状である
    ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の自発光パネル。
  5. 前記第1の材料は、樹脂であり、前記第2の材料は、ガラスである
    請求項1から4までのいずれかに記載の自発光パネル。
  6. 前記第1封止層の屈折率は、1.3以上1.5以下の値であって、前記第2封止層の屈折率は、前記第1封止層の屈折率の値よりも大きく、最大で1.7の屈折率である
    ことを特徴とする請求項1に記載の自発光パネル。
  7. 前記基板の上方であって、前記複数の画素電極のうち行方向に隣接する画素電極間に、列方向に延在する隔壁が配されており、
    前記第2封止層下面の、前記隔壁の頂面に対向する部分であって、当該頂面の前記行方向における幅以内の領域には前記凸状部が形成されていない平坦部が前記隔壁の延在方向と平行に延在している
    ことを特徴とする請求項1に記載の自発光パネル。
  8. 前記対向電極と前記第1封止層との間には、無機材料からなる透光性の保護膜が形成されており、前記保護膜の上面の、前記第2封止層の各凸状部に対向する位置には、上方に膨出する別の凸状部が形成されており、前記保護膜の屈折率は前記第1封止層の屈折率よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1に記載の自発光パネル。
  9. 請求項1から8までのいずれかに記載の自発光パネルと、
    前記自発光パネルを駆動して画像を表示させる駆動部と
    を備える自発光表示装置。
  10. 画像表示部として請求項9に記載の自発光表示装置を備えた
    電子機器。
  11. 基板を準備する第1工程と、
    前記基板上方に複数の画素電極を行列状に形成する第2工程と、
    前記画素電極の上方に発光層を形成する第3工程と、
    前記発光層の上方に前記複数の画素電極に共通して対向する対向電極を形成する第4工程と、
    前記対向電極の上方に封止部を形成する第5工程と、
    を含み、
    前記封止部は、前記画素電極の上方に配され透光性の樹脂材料からなる第1封止層と、前記第1封止層上に積層され、前記第1封止層よりも屈折率の大きなシート状の透光性のガラス材料からなる第2封止層とを有し、前記第2封止層の前記第1封止層側の面に、前記発光層に向けて膨出する複数の凸状部を含み、
    前記第5工程は、前記対向電極の上方に前記第1封止層の材料となる液状の樹脂材料を塗布し、片面に前記複数の凸状部が形成されたシート状のガラス材料を、当該凸状部が前記発光層に対向するようにして前記液状の樹脂材料に貼り合わせた後、前記有機材料を硬化させる
    ことを特徴とする自発光パネルの製造方法。
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