JP6756139B2 - 減圧乾燥方法 - Google Patents
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Description
重合性化合物は、重合禁止剤を添加することで重合を防ぎながら乾燥が可能だが、重合禁止剤が重合性化合物やそれにより得られる重合体の性能に悪影響を及ぼす場合がある。
また、特許文献2には、縦なが型乾燥機に、少量の残存有機溶剤を含む粉粒体を仕込み、減圧下で該粉粒体を撹拌しながら、かつ該乾燥機底部より不活性ガスを導入し、該粉粒体より該有機溶剤を除去する、少量の残存有機溶剤を除去する方法が開示されている。
すなわち、本発明は以下によって達成される。
<1>
重合性官能基を有し常温で固体の化合物を、減圧下で、流動させながら空気と接触させて、該化合物を造粒させる、減圧乾燥方法。
<2>
前記空気の接触は、乾燥機内に前記化合物を投入し、空気を通気することにより行われ、該空気の流量が0.15〜60L/(min・kg)である、<1>に記載の減圧乾燥方法。
<3>
減圧度が10〜300Torrである、<1>又は<2>に記載の減圧乾燥方法。
<4>
乾燥における温度が15〜75℃である、<1>〜<3>のいずれか一項に記載の減圧乾燥方法。
本発明は、上記<1>〜<4>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項についても参考のため記載している。
重合性官能基を有し常温で固体の化合物を、減圧下で、流動させながら空気と接触させる、減圧乾燥方法。
(2)
前記空気の接触は、乾燥機内に前記化合物を投入し、空気を通気することにより行われ、該空気の流量が0.15〜60L/(min・kg)である、(1)に記載の減圧乾燥方法。
(3)
減圧度が10〜300Torrである、(1)又は(2)に記載の減圧乾燥方法。
(4)
乾燥における温度が15〜75℃である、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の減圧乾燥方法。
本発明の減圧乾燥方法は、重合性官能基を有し常温で固体の化合物(以下単に化合物と称する場合がある)を、減圧下で、流動させながら空気と接触させる。
常温で固体とは、本発明においては100℃以下で固体であるものを指し、好ましくは80℃以下で固体であることをいう。
重合性官能基を有し常温で固体の化合物は、分子量50〜10000であることが好ましく、100〜8000がより好ましい。
重合性官能基を有し常温で固体の化合物を以下に具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、化合物と空気の接触工程と減圧工程は、同時に行っても順次行っても構わない。さらには、化合物と空気の接触工程と減圧工程を交互に繰り返して行っても良い。
空気の導入方法はいかなる方法でも本発明は成立する。例えば減圧を解除するために取り付けられているバルブから空気を導入することができるが、化合物に応じてその他の方法を用いても構わない。
空気流量は0.15〜60L/(min・kg)であり、好ましくは0.3〜18L/(min・kg)で、さらに好ましくは0.6〜1.8L/(min・kg)である。空気流量がこの範囲であれば、化合物を十分に乾燥させることができ、かつ、空気中の酸素の重合禁止効果により、温度、衝撃、摩擦による重合を防ぐことができる。
乾燥時間は乾燥する化合物の性質や状態によって各々異なるが、好ましくは0.5〜120時間、より好ましくは1〜60時間、さらに好ましくは1〜24時間である。また、乾燥時に空気流量を増やすことにより、乾燥時間は短縮することが可能である。
これらの中でも好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、水であり、より好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エチルメチルケトン、アセトニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、トルエン、水である。
公知の方法で、酢酸エチルおよびアセトンを溶媒に用い4−[4−(アクリロイルオキシ)ブトキシ]ベンゾイックアシド(化合物No.1)を合成し、得られた反応液は水およびメタノールで晶析を行った。晶析液を減圧濾過し、得られたwet結晶の含溶媒率は45%であった。このwet結晶170.28gを2Lの二重円錐型フラスコに入れ、エバポレーターに設置し、30rpmで回転しながら、30℃の温浴で加温した。0.6L/(min・kg)の流量で空気を連続的に流し、乾燥を行った。3時間後に含溶媒率を測定したところ、0.1%だった。化合物の重合は確認されなかった。
実施例1において、空気流量を表1に示す条件にした以外は、実施例1と同様に操作を行った。
実施例1において、減圧度を表1に示す条件にした以外は、実施例1と同様に操作を行った。
実施例1において、温度を表1に示す条件にした以外は、実施例1と同様に操作を行った。
実施例1において、空気を流さず密閉で行った以外は、実施例1と同様に操作を行った。
実施例1において、気体の種類を表1に示すものにした以外は、実施例1と同様に操作を行った。
実施例1〜19、比較例1〜3の結果を表1に示す。
実施例1の化合物を表2に示すものに変更した以外は実施例1と同様に操作した。
実施例20、21の結果を表2に示す。
実施例1で得られた結晶の流動性を評価するために、ホソカワミクロン(株)製パウダーテスター(PT−S)で安息角および圧縮度を測定した。安息角は、結晶を堆積させるためのテーブルの上に漏斗をセットし、漏斗に結晶を入れ80秒間、振動させることでテーブルから溢れるまで堆積させた。堆積した結晶はPT−Sに搭載されている均等な面光源とカメラの間に置かれ、面光源の光がサンプルを遮った部分の稜線を角度として測定した。圧縮度の測定は、専用カップの上に漏斗をセットし、漏斗にサンプルを入れ80秒間、振動させることでカップから溢れるまで供給した。溢れた結晶をすり切り、結晶重量と体積からゆるみ嵩密度を算出した。ゆるみ嵩密度と同様の方法で結晶をカップに供給し、この状態で180回タッピングを行い、溢れた結晶をすり切り、結晶重量と体積から固め嵩密度を算出した。圧縮度は式2から算出した。
実施例1において、回転を行わず棚型乾燥にした以外は、実施例1と同様に操作を行い、安息角および圧縮度を測定した。
実施例22、比較例4の結果を表3に示す。
実施例1と同じ方法で、化合物と乾燥条件を表4に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に操作した。結果を表4に示す。
実施例1で得た化合物No.1のwet結晶(含溶媒率45%)56.82gを、振動乾燥機(製品名:まめかん、中央化工機(株)製)に入れ、30℃に加温した。30Torrの減圧下、振動しながら0.6L/(min・kg)の流量で空気を連続的に流し、乾燥を行った。化合物の重合は確認されなかった。
実施例25において、空気を流さず密閉で実施した以外は、実施例25と同様に乾燥した。
実施例25、比較例5の結果を表5に示す。
実施例1と同様にして得られた化合物No.1のwet結晶(含溶媒率45%)57kgを、2500Lのコニカルドライヤー(池袋琺瑯工業製)に入れ、外温30℃、30Torrの減圧下、3rpmで回転しながら空気を0.6L/(min・kg)の流量で連続的に流し、減圧乾燥を行った。空気の導入は、減圧解除用のバルブを開けることによって行った。10時間で含溶媒率は乾燥終点0.1%となった。化合物の重合は確認されなかった。
実施例1と同様にして得られた化合物No.1のwet結晶(含溶媒率45%)170kgを、2500Lのコニカルドライヤー(池袋琺瑯工業製)に入れ、外温30℃、30Torrの減圧下、3rpmで回転しながら空気を0.6L/(min・kg)の流量で連続的に流し、減圧乾燥を行った。空気の導入は、減圧解除用のバルブを開けることによって行った。30時間で含溶媒率は乾燥終点0.1%となった。化合物の重合は確認されなかった。
Claims (4)
- 重合性官能基を有し常温で固体の化合物を、減圧下で、流動させながら空気と接触させて、該化合物を造粒させる、減圧乾燥方法。
- 前記空気の接触は、乾燥機内に前記化合物を投入し、空気を通気することにより行われ、該空気の流量が0.15〜60L/(min・kg)である、請求項1に記載の減圧乾燥方法。
- 減圧度が10〜300Torrである、請求項1又は2に記載の減圧乾燥方法。
- 乾燥における温度が15〜75℃である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の減圧乾燥方法。
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