JP6755694B2 - エンジンの始動装置 - Google Patents

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Description

この発明は、セルスタータとリコイルスタータとを組み合わせて一体的に構成したエンジンの始動装置に関する。
エンジンの始動装置として、例えば、セルモータによってエンジンのクランクシャフトに回転を与えるセルスタータや、ロープなどを人力で牽引することでクランクシャフトに回転を与えるリコイルスタータなどが使用されている。
作業性の面から言えばセルスタータの方が便利であるが、セルスタータは長時間放置するとバッテリが枯渇して作動しなくなる可能性がある。こうした場合でも使用できるようにしたエンジンの始動装置として、特許文献1には、セルスタータとリコイルスタータとを組み合わせて一体的に構成したエンジンの始動装置が開示されている。このような始動装置によれば、仮にバッテリが枯渇してセルスタータが使用できなくなっても、リコイルスタータを使用してエンジンを始動することができる。
特開昭63−285263号公報
しかし、上記した特許文献1記載のエンジンの始動装置では、セルスタータとリコイルスタータとが、いずれもロータギアという同一部材に動力を伝達し、このロータギアを介して、エンジンのクランクシャフトに接続された駆動プーリに回転力が伝達されるようになっていた。このため、ロータギアが何らかの理由で破損してしまうと、セルスタータもリコイルスタータもどちらも使用できなくなってしまうという問題があった。
また、2つの始動系が同一経路で駆動プーリに回転力を伝達するため、これら2つの始動系が互いに干渉しないように動力伝達をオンオフする機構が必要となる。すなわち、リコイルによってロータギアが回転しているときには、ワンウェイクラッチによりロータギアの回転がモータ側に伝達されないように遮断し、一方、モータによってロータギアが回転しているときには、ラチェットによりロータギアの回転がリコイル側に伝達されないように遮断しなければならない。更に、上記した機構とは別に、エンジンが始動した後に、エンジンの回転力がロータギア側に伝達されないように遮断するためのラチェットも設けなければならない。このように、構造が複雑となり、製造コストが上昇したり、メンテナンスが困難になったりといった問題があった。
そこで、本発明は、セルスタータとリコイルスタータとを組み合わせて一体的に構成したエンジンの始動装置において、一方の始動系を構成する部品が破損しても他方の始動系が影響を受けにくく、構造もシンプルとすることができるエンジンの始動装置を提供することを課題とする。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
請求項1記載の発明は、セルスタータとリコイルスタータとを組み合わせて一体的に構成したエンジンの始動装置であって、セルモータと、リコイルロープが巻回されたロープリールと、エンジンのクランクシャフトに接続された駆動プーリと、前記駆動プーリに前記セルモータの回転力を伝達するための第1伝達機構と、前記駆動プーリに前記ロープリールの回転力を伝達するための第2伝達機構と、を備え、前記第1伝達機構及び前記第2伝達機構は、一方向への回転力のみを前記駆動プーリに伝達するワンウェイの伝達機構であり、それぞれ独立した経路で前記駆動プーリに回転力を伝達するものであり、前記第1伝達機構は、前記セルモータによって回転するドライブギアと、前記ドライブギアと別部材または一部材で形成され、前記ドライブギアと一体的に回転する回転軸部材と、を備え、前記回転軸部材の外周に装着されて前記回転軸部材を回転可能に支持する中央軸支持部が、前記ロープリールを回転可能に支持する筒状の突起部の内部に着脱可能に挿入されることで、前記回転軸部材は、前記ロープリールを貫通しており、前記ロープリールは、前記回転軸部材の周囲を回転するように取り付けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記回転軸部材が、ワンウェイクラッチを介して、前記駆動プーリと接続されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記回転軸部材は、前記駆動プーリの回転に連動して揺動する遠心ラチェットを介して、前記駆動プーリと接続可能であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、駆動プーリにセルモータの回転力を伝達するための第1伝達機構と、駆動プーリにロープリールの回転力を伝達するための第2伝達機構と、を備え、第1伝達機構及び第2伝達機構は、一方向への回転力のみを駆動プーリに伝達するワンウェイの伝達機構であり、それぞれ独立した経路で駆動プーリに回転力を伝達する。このような構成によれば、それぞれの伝達機構が駆動プーリに回転力を伝達する経路において共通の部品を使用していないので、共通の部品が破損して2つの伝達機構が同時に使用できなくなるという問題が発生しない。すなわち、一方の始動系を構成する部品が破損しても他方の始動系が影響を受けにくい。
また、このような構成によれば、これら2つのワンウェイの伝達機構によって、2つの始動系が互いに回転力を伝達しないようにすることができる。また、エンジンが始動した後には、これら2つのワンウェイの伝達機構によって、エンジンの回転力がスタータ側に伝達されないように遮断される。このように、従来は少なくとも3つ必要であったワンウェイ機構を2つにすることができるので、構造をシンプルにすることができる。
また、第1伝達機構は、駆動プーリの回転軸と同軸で回転可能な第1係合部材を備え、第2伝達機構は、駆動プーリの回転軸と同軸で回転可能な第2係合部材を備え、第1係合部材および第2係合部材は、それぞれ駆動プーリに対して動力を伝達および遮断可能に形成されていてもよい。このような構成によれば、駆動プーリと、駆動プーリに係合する第1係合部材および第2係合部材とが、同軸で回転するので、構造をシンプルにして小型化することができる。
また、第1伝達機構及び第2伝達機構は、一方が駆動プーリの筒状の端面に係合して動力を伝達し、他方が駆動プーリの内側に取り付けられたワンウェイクラッチにより動力を伝達してもよい。このような構成によれば、ラチェット等を使用しないでワンウェイ機構を構成できるので、ラチェットを揺動させるためのスペースが不要であり、機械を小型化することができる。
始動装置の断面図である。 リコイルカムが駆動プーリに係合した状態の、始動装置の断面図である。 リコイルカムの作動を説明するための分解斜視図である。 リコイルカムの作動を説明するための斜視図であって、(a)リコイルカムが駆動プーリに係合していない状態の図、(b)リコイルカムが駆動プーリに係合した状態の図である。 セルスタータ単体で使用する場合の始動装置の断面図である。 リコイルスタータ単体で使用する場合の始動装置の断面図である。 変形例1に係る始動装置の断面図である。 変形例1に係るA−A断面図であって、(a)遠心ラチェットが係合した状態の図、(b)遠心ラチェットが係合していない状態の図である。 変形例2に係る始動装置の断面図である。 変形例3に係る始動装置の断面図である。
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
本実施形態に係るエンジンの始動装置は、セルスタータとリコイルスタータとを組み合わせて一体的に構成したものであって、リコイルによる始動系とモータによる始動系との2つの始動系のいずれかを使用してエンジンのクランクシャフト50に回転を与えることができるようになっている。
このエンジンの始動装置は、図1に示すように、駆動プーリ10と、アウターケース11と、カバー12と、セルモータ13と、第1伝達機構20と、リコイルケース30と、リコイルカバー31と、ロープリール32と、リコイルロープ33と、リコイルスプリング34と、第2伝達機構40と、を備える。
駆動プーリ10は、エンジンのクランクシャフト50に固定された筒状部材であり、クランクシャフト50と同軸で回転可能となっている。この駆動プーリ10が始動装置によって回転すると、駆動プーリ10に接続されたクランクシャフト50も駆動プーリ10と一体的に回転し、この回転力を使用してエンジンが始動できるようになっている。この駆動プーリ10は、筒状の端面10aにおいて後述する第1伝達機構20に係合する。第1伝達機構20に係合する駆動プーリ10の端面10aは、図3に示すように、周方向に一定間隔で傾斜面10bと係合面10cとが交互に連続して形成されている。傾斜面10bは、駆動プーリ10の軸に対して傾斜した面であり、後述するリコイルカム41を摺動させるためのものである。係合面10cは、駆動プーリ10の軸に対して平行な面であり、後述するリコイルカム41を係合させるためのものである。
アウターケース11は、後述するドライブギア21やロープリール32を収容するためのケースであり、略円形の底盤部11aと、底盤部11aの端縁から立設する周壁部11bと、底盤部11aの中心に突出する突起部11cと、を備える。突起部11cは、駆動プーリ10の回転軸と同軸に設けられており、後述する回転軸部材22(ドライブギア21)の回転軸を形成している。具体的には、この突起部11cの外周には、後述する回転軸部材22が装着されており、この回転軸部材22がピン11dによって回転自在に取り付けられている。なお、アウターケース11の底盤部11aには、突起部11cから偏心した位置に、後述するセルモータ13を取り付けるためのモータ取付孔11eが貫通形成されている。
カバー12は、アウターケース11に固定されて、モータによる始動系を収容するための収容区間を形成するためのものである。すなわち、カバー12とアウターケース11とで形成される空間にモータによる始動系を収容するようになっており、これにより、図5に示すように、セルスタータをリコイルスタータから切り離して単体で使用できるようになっている。このカバー12は、アウターケース11の底盤部11aに対して平行に設けられたカバー部12aと、カバー部12aの端部に挿通孔を備えて形成されたモータ軸支持部12bと、カバー部12aの中央に筒状に形成された中央軸支持部12cと、を備える。カバー部12aは、モータによる始動系を覆うためのものである。モータ軸支持部12bは、後述するセルモータ13の出力軸13aの先端を回転可能に支持するものである。中央軸支持部12cは、後述する回転軸部材22の外周に装着され、回転軸部材22を回転可能に支持するものである。
セルモータ13は、図示しないバッテリを駆動源として作動するものであり、アウターケース11のモータ取付孔11eに対して、アウターケース11の外側から装着されている。このセルモータ13は、モータ取付孔11eからアウターケース11の内部に突出する出力軸13aを備える。この出力軸13aには出力ギア13bが固定されており、この出力ギア13bは後述するドライブギア21に噛合している。これらのギアを介してセルモータ13の回転力が後述する第1伝達機構20に伝達される。なお、出力ギア13bはドライブギア21よりも小径であり、ドライブギア21によってセルモータ13の回転が減速されるようになっている。このため、減速機構によって十分なトルクが得られるようになっており、セルモータ13やバッテリを小型化できるようになっている。
第1伝達機構20は、セルモータ13の回転力を駆動プーリ10に伝達するためのものであり、図1に示すように、ドライブギア21と、回転軸部材22と、ワンウェイクラッチ23と、を備える。
ドライブギア21は、セルモータ13の出力ギア13bに噛合する歯車であり、後述する回転軸部材22に固定されている。このドライブギア21は、回転軸部材22を中心に回転可能となっている。
回転軸部材22は、アウターケース11の突起部11cに対して回転可能に取り付けられた筒状部材である。この回転軸部材22は、ドライブギア21が回転したときに一体的に回転する。なお、本実施形態においてはドライブギア21と回転軸部材22とを別部材で構成しているが、これらを一部材で形成してもよい。
ワンウェイクラッチ23は、駆動プーリ10の回転軸と同軸で回転可能な第1係合部材として機能するものであり、駆動プーリ10の内側に取り付けられている。このワンウェイクラッチ23は、駆動プーリ10の内周面に固定された外輪23aと、回転軸部材22の外周に固定された内輪23bと、を備える。外輪23aと内輪23bとが互いに所定方向に回転したときには、外輪23aと内輪23bとの間に設けられた係合機構が噛み合い、相互にトルクが伝達できるようになっている。一方で、外輪23aと内輪23bとが互いに所定方向とは反対方向に回転したときには、外輪23aと内輪23bとの間に設けられた係合機構が噛み合わず、相互にトルクが伝達されないようになっている。このため、このワンウェイクラッチ23は、セルモータ13が所定方向に回転したときには、駆動プーリ10に対して動力を伝達し、逆にセルモータ13が停止している状態で駆動プーリ10が所定方向に回転したときには、動力を遮断するように形成されている。このようにワンウェイクラッチ23を備えることで、第1伝達機構20は一方向への回転力のみを駆動プーリ10に伝達するワンウェイの伝達機構となっている。
リコイルケース30は、後述するロープリール32を収容するためのケースであり、カバー12に対して固定されている。このリコイルケース30は、略円形の底盤部30aと、底盤部30aの端縁から立設する周壁部30bと、底盤部30aの中心に突出する突起部30cと、を備える。突起部30cは、駆動プーリ10の回転軸と同軸に設けられた筒状部であり、中央にカバー12の中央軸支持部12cが挿入されている。この突起部30cは、後述するロープリール32の回転軸を形成する。具体的には、この突起部30cの外周には、後述するロープリール32が回転自在に取り付けられている。これにより、駆動プーリ10、ドライブギア21、回転軸部材22、ロープリール32が、すべて同軸で回転可能となっている。
リコイルカバー31は、リコイルケース30に固定されて、リコイルによる始動系を収容するための収容区間を形成するためのものである。すなわち、このリコイルカバー31とリコイルケース30とで形成される空間にリコイルによる始動系を収容するようになっており、これにより、図6に示すように、リコイルスタータをセルスタータから切り離した場合でも、リコイルスタータを単体で使用できるようになっている。なお、このようにリコイルスタータとセルスタータとを分離できるように、カバー12とリコイルケース30とは、ボルトナットなどの固定手段によって互いに着脱可能に形成されている。
このリコイルカバー31は、リコイルケース30の底盤部30aに対して平行に設けられてロープリール32を覆うカバー部31aと、カバー部31aの上面に突出形成されたリブ31bと、を備える。リブ31bは、後述するフリクションスプリング42を係合させるためのものであり、図4に示すように2箇所に設けられており、この2つのリブ31bの間にフリクションスプリング42の突出部42bが挿入されている。
ロープリール32は、リコイルケース30に回転可能に取り付けられた部材であり、図1及び図3に示すように、リコイルケース30の突起部30cの外周に装着された筒状の軸部32aと、ロープリール32の外周部に形成されてリコイルロープ33が巻回されたロープ溝32bと、後述するリコイルカム41の外周突起41aに臨むように軸部32aの周囲に形成された案内部と、を備える。案内部は、複数の傾斜部32cと複数の突当部32dとが、軸部32aを中心とする周方向に、所定間隔で交互に連続するように配置されて構成されている。傾斜部32cは、ロープリール32の軸に対して傾斜した面を形成しており、後述する外周突起41aに対して摺動可能に当接する。突当部32dは、ロープリール32の軸に対して平行な面を形成しており、後述する外周突起41aに係合可能となっている。
リコイルロープ33は、ロープリール32のロープ溝32bに巻回されるロープであり、特に図示しないが、一端がロープリール32に固定され、他端が牽引可能にリコイルケース30の外部に引き出されている。この引き出されたリコイルロープ33を使用者が牽引すると、ロープリール32が回転を開始するようになっている。
リコイルスプリング34は、ロープリール32を初期位置へと付勢するためのゼンマイバネである。このリコイルスプリング34は、リコイルロープ33が牽引されてロープリール32が回転したときに付勢力を蓄積し、リコイルロープ33を巻き取る方向にロープリール32を付勢する。このため、使用者がリコイルロープ33を牽引した後にリコイルロープ33から手を離すと、このリコイルスプリング34によってロープリール32が逆回転を開始し、自動的にリコイルロープ33が巻き取られるようになっている。
第2伝達機構40は、ロープリール32の回転力を駆動プーリ10に伝達するためのものであり、図1に示すように、リコイルカム41と、フリクションスプリング42と、リタンスプリング43と、を備える。
リコイルカム41は、駆動プーリ10の回転軸と同軸で回転可能な第2係合部材として機能するものであり、駆動プーリ10の筒状の端面10aに係合して動力を伝達可能となっている。このリコイルカム41は、図3に示すような筒状であり、外周方向に突出形成された外周突起41aと、駆動プーリ10の端面10aに臨む傾斜面41bと、駆動プーリ10の係合面10cに係合可能な係合面41cと、を備える。このリコイルカム41は、ロープリール32の軸部32aの外周に装着されており、軸部32aに対して軸方向に摺動可能かつ回転可能となっている。このリコイルカム41は、通常時においては、リタンスプリング43によって駆動プーリ10から離れる方向に付勢されており(図4(a)参照)、リコイルカム41と駆動プーリ10とが係合しないようになっている。このため、リコイルカム41と駆動プーリ10との間で相互にトルクが伝達されないようになっている。一方、ロープリール32が回転すると、リコイルカム41が駆動プーリ10に接触する方向に移動し(図4(b)参照)、リコイルカム41と駆動プーリ10とが係合する。このため、リコイルカム41と駆動プーリ10との間で相互にトルクが伝達できるようになっている。これにより、このリコイルカム41は、リコイルロープ33が引かれてロープリール32が所定方向に回転したときには、駆動プーリ10に対して動力を伝達し、リコイルスプリング34の付勢力によってリコイルロープ33を巻き取る方向にロープリール32が回転しているときや、ロープリール32が停止している状態で駆動プーリ10が所定方向に回転したときには、動力を遮断するように形成されている。このようにリコイルカム41を備えることで、第2伝達機構40は一方向への回転力のみを駆動プーリ10に伝達するワンウェイの伝達機構となっている。
フリクションスプリング42は、図4に示すような部材であり、リコイルカム41の外周に取り付けられる抱込部42aと、抱込部42aから外側へ突出した突出部42bと、を備える。抱込部42aは、リコイルカム41を抱き込むように取り付けられ、リコイルカム41の外周面との間に所定の摩擦力が生じるようになっている。この摩擦力により、フリクションスプリング42とリコイルカム41とが相互に容易に回転しないようになっている。なお、特に図示しないが、リコイルカム41の外周に溝を形成し、この溝にフリクションスプリング42を取り付けてもよい。
次に、上記した第1伝達機構20を使用したセルスタータの作動について説明する。
駆動プーリ10及びロープリール32が停止した状態において、スタートボタン(図示せず)が押されてセルモータ13が作動を開始すると、セルモータ13の出力軸13aに取り付けられた出力ギア13bが回転する。出力ギア13bが回転すると、出力ギア13bに噛合するドライブギア21が回転し、ドライブギア21に固定された回転軸部材22も回転する。回転軸部材22が回転すると、この回転はワンウェイクラッチ23を介して駆動プーリ10に伝達される。これにより、駆動プーリ10に接続されたクランクシャフト50に対して、エンジンの始動に必要な回転が与えられる。
エンジンが始動した後にスタートボタンが放されると、セルモータ13の作動が停止する。このとき、エンジンの駆動力によって駆動プーリ10が回転するが、この回転はワンウェイクラッチ23によって遮断されて、回転軸部材22へは伝達されない。
次に、上記した第2伝達機構40を使用したリコイルスタータの作動について説明する。
駆動プーリ10及びロープリール32が停止した状態では、図1及び図4(a)に示すように、リタンスプリング43によってリコイルカム41がロープリール32に押し付けられている。この押し付ける力により、リコイルカム41の外周突起41aが、ロープリール32の傾斜部32cの最も低い位置に臨むように押し下げられている。
この状態でリコイルロープ33が牽引されてロープリール32が回転を開始すると、ロープリール32とリコイルカム41とが相対的に回転することになる。すなわち、フリクションスプリング42はリブ31bによって回り止めされており、回転できない。フリクションスプリング42が回転できないので、フリクションスプリング42との間に摩擦力が生じるリコイルカム41も、回転を抑止される。このような作用により、リコイルカム41が回転してもリコイルカム41は回転しないので、ロープリール32とリコイルカム41とが相対的に回転することになる。
ロープリール32とリコイルカム41とが相対的に回転すると、ロープリール32の傾斜部32cに沿ってリコイルカム41の外周突起41aが摺動する。そして、外周突起41aが突当部32dの一方の側面(傾斜部32cの最高部に臨む面)に当接する位置まで、ロープリール32とリコイルカム41とが相対的に回転する。これにより、図2及び図4(b)に示すように、リタンスプリング43の付勢力に抗してリコイルカム41が軸部32aに沿って摺動し、リコイルカム41が駆動プーリ10に接触する位置まで押し上げられる。
このように外周突起41aが突当部32dの一方の側面に当接した状態で、更にロープリール32が回転すると、フリクションスプリング42との間の摩擦力に打ち勝って、リコイルカム41がロープリール32と一体的に回転する。リコイルカム41が回転することで、リコイルカム41の係合面41cと駆動プーリ10の係合面10cとが係合し、駆動プーリ10がリコイルカム41と一体的に回転する。このような動作により、駆動プーリ10へと動力が伝達され、クランクシャフト50に対してエンジンの始動に必要な回転が与えられる。
なお、リコイルロープ33から手を離すと、リコイルスプリング34に蓄えられた付勢力によって自動的にロープリール32が逆回転を始め、リコイルロープ33が巻き取られる。このとき、フリクションスプリング42との間の摩擦力によってリコイルカム41が回転を抑止されるので、ロープリール32とリコイルカム41とが相対的に回転する。ロープリール32とリコイルカム41とが相対的に回転することで、ロープリール32の傾斜部32cに沿ってリコイルカム41の外周突起41aが摺動する。そして、外周突起41aが突当部32dの他方の側面(傾斜部32cの最底部に臨む面)に当接する位置まで、ロープリール32とリコイルカム41とが相対的に回転する。これにより、図1及び図4(a)に示すように、リコイルカム41が最も駆動プーリ10から離れた位置まで押し下げられる。
このように外周突起41aが突当部32dの他方の側面に当接した状態で、更にロープリール32が回転すると、フリクションスプリング42との間の摩擦力に打ち勝って、リコイルカム41がロープリール32と一体的に回転する。このとき、リコイルカム41は最も駆動プーリ10から離れた位置まで押し下げられているため、駆動プーリ10との間の動力伝達は遮断されている。よって、リコイルカム41が始動方向とは逆方向に回転しているときに、リコイルカム41の回転が駆動プーリ10に伝達されることはない。また、リコイルスタータによってエンジンが始動した場合に、駆動プーリ10の回転がリコイルカム41に伝達されることもない。
以上説明したように、本実施形態は、駆動プーリ10にセルモータ13の回転力を伝達するための第1伝達機構20と、駆動プーリ10にロープリール32の回転力を伝達するための第2伝達機構40と、を備え、第1伝達機構20及び第2伝達機構40は、一方向への回転力のみを駆動プーリ10に伝達するワンウェイの伝達機構であり、それぞれ独立した経路で駆動プーリ10に回転力を伝達する。このような構成によれば、それぞれの伝達機構が駆動プーリ10に回転力を伝達する経路において共通の部品を使用していないので、共通の部品が破損して2つの伝達機構が同時に使用できなくなるという問題が発生しない。すなわち、一方の始動系を構成する部品が破損しても他方の始動系が影響を受けにくい。
また、このような構成によれば、これら2つのワンウェイの伝達機構によって、2つの始動系が互いに回転力を伝達しないようにすることができる。また、エンジンが始動した後には、これら2つのワンウェイの伝達機構によって、エンジンの回転力がスタータ側に伝達されないように遮断される。このように、従来は少なくとも3つ必要であったワンウェイ機構を2つにすることができるので、構造をシンプルにすることができる。
また、第1伝達機構20は、駆動プーリ10の回転軸と同軸で回転可能な第1係合部材23を備え、第2伝達機構40は、駆動プーリ10の回転軸と同軸で回転可能な第2係合部材41を備え、第1係合部材23および第2係合部材41は、それぞれ駆動プーリ10に対して動力を伝達および遮断可能に形成されている。このような構成によれば、駆動プーリ10と、駆動プーリ10に係合する第1係合部材23および第2係合部材41とが、同軸で回転するので、構造をシンプルにして小型化することができる。
また、第1伝達機構20及び第2伝達機構40は、一方が駆動プーリ10の筒状の端面10aに係合して動力を伝達し、他方が駆動プーリ10の内側に取り付けられたワンウェイクラッチ23により動力を伝達する。このような構成によれば、ラチェット等を使用しないでワンウェイ機構を構成できるので、ラチェットを揺動させるためのスペースが不要であり、機械を小型化することができる。
なお、上記した実施形態においては、ワンウェイの伝達機構としてワンウェイクラッチ23とリコイルカム41とを使用したが、他の伝達機構を使用してもよい。
例えば、図7に示すように、第2伝達機構40が、リコイルカム41、フリクションスプリング42、リタンスプリング43の代わりに、遠心ラチェット44で構成されるようにしてもよい。遠心ラチェット44は、駆動プーリ10の内周面に取り付けられ、駆動プーリ10に中心に対して偏心した位置に設けられた軸部44aを中心に揺動可能となっている。なお、図8に示すように、ロープリール32には、遠心ラチェット44に係合するラチェット係合部32eが設けられている。
この遠心ラチェット44は、駆動プーリ10が回転していない状態においては、図8(a)に示すように、ラチェット付勢部材45によって付勢されて、ロープリール32のラチェット係合部32eに係合しており、動力伝達が可能となっている。このため、リコイルロープ33が牽引されてロープリール32が回転を開始すると、ロープリール32の回転が駆動プーリ10に伝達されるようになっている。
そして、エンジンが始動して、エンジンの駆動力によって駆動プーリ10が回転すると、遠心ラチェット44に遠心力が働き、図8(b)に示すように、ラチェット付勢部材45の付勢力に抗して遠心ラチェット44が揺動し、遠心ラチェット44とラチェット係合部32eとの係合が解除される。よって、この駆動プーリ10の回転はロープリール32へは伝達されない。
その他の変形例として、例えば図9に示すように、第1伝達機構20が、ワンウェイクラッチ23の代わりに、遠心ラチェット24を備えるようにしてもよい。この遠心ラチェット24は、駆動プーリ10の内周面に取り付けられ、駆動プーリ10に中心に対して偏心した位置に設けられた軸部24aを中心に揺動可能となっている。なお、回転軸部材22(またはドライブギア21)には、遠心ラチェット24に係合するラチェット係合部(図示せず)が設けられている。
この遠心ラチェット24は、駆動プーリ10が回転していない状態においては、図8(a)と同様に、回転軸部材22(またはドライブギア21)のラチェット係合部に係合しており、動力伝達が可能となっている。このため、セルモータ13が作動して回転軸部材22(またはドライブギア21)が回転を開始すると、回転軸部材22(またはドライブギア21)の回転が駆動プーリ10に伝達されるようになっている。
そして、エンジンが始動して、エンジンの駆動力によって駆動プーリ10が回転すると、遠心ラチェット24に遠心力が働き、図8(b)と同様に、遠心ラチェット24とラチェット係合部との係合が解除される。よって、この駆動プーリ10の回転は回転軸部材22(またはドライブギア21)へは伝達されない。
その他の変形例として、例えば図10に示すように、第1伝達機構20及び第2伝達機構40が、いずれも遠心ラチェット24,44で構成されるようにしてもよい。
10 駆動プーリ
10a 端面
10b 傾斜面
10c 係合面
11 アウターケース
11a 底盤部
11b 周壁部
11c 突起部
11d ピン
11e モータ取付孔
12 カバー
12a カバー部
12b モータ軸支持部
12c 中央軸支持部
13 セルモータ
13a 出力軸
13b 出力ギア
20 第1伝達機構
21 ドライブギア
22 回転軸部材
23 ワンウェイクラッチ(第1係合部材)
23a 外輪
23b 内輪
24 遠心ラチェット
24a 軸部
30 リコイルケース
30a 底盤部
30b 周壁部
30c 突起部
31 リコイルカバー
31a カバー部
31b リブ
32 ロープリール
32a 軸部
32b ロープ溝
32c 傾斜部
32d 突当部
32e ラチェット係合部
33 リコイルロープ
34 リコイルスプリング
40 第2伝達機構
41 リコイルカム(第2係合部材)
41a 外周突起
41b 傾斜面
41c 係合面
42 フリクションスプリング
42a 抱込部
42b 突出部
43 リタンスプリング
44 遠心ラチェット
44a 軸部
45 ラチェット付勢部材
50 クランクシャフト

Claims (3)

  1. セルスタータとリコイルスタータとを組み合わせて一体的に構成したエンジンの始動装置であって、
    セルモータと、
    リコイルロープが巻回されたロープリールと、
    エンジンのクランクシャフトに接続された駆動プーリと、
    前記駆動プーリに前記セルモータの回転力を伝達するための第1伝達機構と、
    前記駆動プーリに前記ロープリールの回転力を伝達するための第2伝達機構と、
    を備え、
    前記第1伝達機構及び前記第2伝達機構は、一方向への回転力のみを前記駆動プーリに伝達するワンウェイの伝達機構であり、それぞれ独立した経路で前記駆動プーリに回転力を伝達するものであり、
    前記第1伝達機構は、前記セルモータによって回転するドライブギアと、前記ドライブギアと別部材または一部材で形成され、前記ドライブギアと一体的に回転する回転軸部材と、を備え、
    前記回転軸部材の外周に装着されて前記回転軸部材を回転可能に支持する中央軸支持部が、前記ロープリールを回転可能に支持する筒状の突起部の内部に着脱可能に挿入されることで、前記回転軸部材は、前記ロープリールを貫通しており、前記ロープリールは、前記回転軸部材の周囲を回転するように取り付けられていることを特徴とする、エンジンの始動装置。
  2. 前記回転軸部材が、ワンウェイクラッチを介して、前記駆動プーリと接続されていることを特徴とする、請求項1記載のエンジンの始動装置。
  3. 前記回転軸部材は、前記駆動プーリの回転に連動して揺動する遠心ラチェットを介して、前記駆動プーリと接続可能であることを特徴とする、請求項1記載のエンジンの始動装置。
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