JP6754932B2 - 幹細胞を検出するための方法及びキット - Google Patents

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Description

本発明は、幹細胞を検出するための方法及びキットに関する。より詳しくは、細胞の培養上清又は溶解物に含まれるポドカリキシンをレクチン−抗体サンドイッチ法により検出することによって幹細胞を検出する方法等に関する。
人工多能性幹細胞(iPS細胞)及び胚性幹細胞(ES細胞)等の多分化能幹細胞(以下、単に「幹細胞」とも称する)を用いる再生医療技術の課題のひとつは、幹細胞を所望のタイプの細胞に分化させた後に患者の体内に移植する際に、幹細胞が未分化状態のまま残存し、分化した細胞とともに患者の体内に移植され、患者の体内で腫瘍化又は癌化する危険を如何に防止するかである。
造腫瘍性を持つおそれのある未分化な幹細胞の混入を評価するために利用可能な技術として、特許文献1には、幹細胞に特異的な糖鎖を、当該糖鎖に結合性を有するレクチンを用いて検出することにより、細胞の分化状態を判定する方法が開示されている。この方法は、BC2LCNレクチンと称されるレクチンの組換えタンパク(rBC2LCNレクチン)を用いて、「Fucα1−2Galβ1−3GlcNAc」及び/又は「Fucα1−2Galβ1−3GalNAc」の糖鎖構造を有する未分化糖鎖マーカーを検出するものである。なお、rBC2LCNレクチンは、グラム陰性細菌(Burkholderia cenocepacia)由来のBC2L−Cタンパク質のN末端ドメインに対応したBC2LCNレクチン(GenBank Accession No. YP_002232818)を形質転換大腸菌で発現させた組換えタンパクであり、上記糖鎖構造を認識するものである。
また、特許文献2には、幹細胞の培養上清中の上記糖鎖を、rBC2LCNレクチンを用いて検出することにより、分化誘導処理後に残存する未分化な幹細胞を検出する方法が開示されている。特許文献2は、「Fucα1−2Galβ1−3GlcNAc」及び/又は「Fucα1−2Galβ1−3GalNAc」の糖鎖構造を有する未分化糖鎖マーカーとして、複合糖質であるポドカリキシン(Podocalyxin)を同定している。
国際公開第2013/128914号 国際公開第2013/065302号 国際公開第2012/147992号
J. Am. Soc. Nephrol., 2009, Vol.20, No.8, p.1669-1676. Structure, 2010, Vol.18, No.1, p.59-72. Glycobiology, 2013, Vol.23, No.3, p.322-336. J. Biol. Chem., 2011, Vol.286, No.23, p.20345-20353. Stem Cells, 2007, Vol.25, p.723-730. Cancer Research, 1999, Vol.59, p.4715-4719. Glycobiology, 2011, Vol.21, No.9, p.1125-1130. Scientific Reports, 2014, Vol.4, p.4069.
上記特許文献2には、好適な一実施形態として、幹細胞の培養上清中の未分化糖鎖マーカーを、基板に固定化したレクチン(rBC2LCNレクチン)により捕捉して、レクチンと未分化糖鎖マーカーの複合体を形成させ、この複合体にラベル化した他のレクチン又は抗体を反応させることにより未分化糖鎖マーカーの検出を行う「サンドイッチ法」が開示されている。
特許文献2は、rBC2LCNレクチンとの組み合わせで「レクチン−レクチンサンドイッチ法」に供することが可能なレクチンとしてSRL、CGL2、ABA、XCLと称される4つのレクチンを挙げている。
本発明は、「Fucα1−2Galβ1−3GlcNAc」及び/又は「Fucα1−2Galβ1−3GalNAc」の糖鎖構造を有する未分化糖鎖マーカー(ポドカリキシン)に基づいて幹細胞を検出する方法において、レクチンと抗体との組み合わせによる、高感度な「レクチン−抗体サンドイッチ法」を提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本発明は、以下の[1]〜[17]を提供する。
[1]細胞の培養上清又は溶解物に含まれるポドカリキシンを検出することにより、幹細胞を検出する方法であって、
前記培養上清又は溶解物と、下記(式1):
(R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
又は下記(式2):
(R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
で表される糖鎖に結合性を有するレクチンと、ケラタン硫酸に結合性を有する抗体と、を接触させて、前記レクチンとポドカリキシンと前記抗体とから構成される複合体を形成させる手順と、
前記複合体を検出する手順と、を含む方法。
[2]前記抗体が、低硫酸化ケラタン硫酸に結合性を有する抗体である、[1]の方法。[3]前記抗体が、Gal−GlcNAc(6S)又はそのタンデムリピートをエピトープに含む、[1]又は[2]の方法。
[4]前記抗体が、ハイブリドーマR−10G(寄託番号:FERM BP−11301)が産生する抗体又は該抗体と競合する抗体である、[1]〜[3]のいずれかの方法。[5]前記細胞が、血清含有培地で培養された細胞である、[1]〜[4]のいずれかの方法。
[6]前記レクチンが、
配列番号1に示されるアミノ酸配列を含んでなるタンパク質、又は
当該アミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を含んでなり、前記(式1)又は(式2)で表される糖鎖に結合性を有するタンパク質である、[1]〜[5]のいずれかの方法。
[7]前記培養上清又は溶解物と前記レクチンとを接触させて、該レクチンと前記培養上清又は溶解物に含まれるポドカリキシンとから構成される第一の複合体を形成させる手順と、
第一の複合体と前記抗体とを接触させて、前記レクチンとポドカリキシンと該抗体とから構成される第二の複合体を形成させる手順と、を含む、[1]〜[6]の方法。
[8]前記レクチンが不溶性担体に結合される、[7]の方法。
[9]細胞の培養上清又は溶解物に含まれる下記(式1):
(R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
又は下記(式2):
(R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
で表される糖鎖を検出することにより、幹細胞を検出する方法であって、
前記培養上清又は溶解物と、前記糖鎖に結合性を有するレクチンと、ケラタン硫酸に結合性を有する抗体と、を接触させて、前記レクチンと前記糖鎖と前記抗体とを含んでなる複合体を形成させる手順と、
前記複合体を検出する手順と、を含む方法。
[10]前記複合体の有無又は検出量に基づいて前記細胞に含まれる幹細胞の有無又は存在量を判定する手順をさらに含む、[1]〜[9]のいずれかの方法。
[11]前記複合体の有無又は検出量に基づいて前記細胞の分化状態を判定する手順をさらに含む、[1]〜[9]のいずれかの方法。
[12]細胞の培養上清又は溶解物に含まれるポドカリキシンを検出する方法であって、前記培養上清又は溶解物と、下記(式1):
(R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
又は下記(式2):
(R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
で表される糖鎖に結合性を有するレクチンと、ケラタン硫酸に結合性を有する抗体と、を接触させて、前記レクチンとポドカリキシンと前記抗体とから構成される複合体を形成させる手順と、
前記複合体を検出する手順と、を含む方法。
[13]細胞の培養上清又は溶解物に含まれるポドカリキシンを検出することにより、該細胞に含まれる幹細胞を検出するためのキットであって、
下記(式1):
(R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
又は下記(式2):
(R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
で表される糖鎖に結合性を有するレクチンと、
ケラタン硫酸に結合性を有する抗体と、を含むキット。
[14]前記抗体が、低硫酸化ケラタン硫酸に結合性を有する抗体である、[13]のキット。
[15]前記抗体が、Gal−GlcNAc(6S)又はそのタンデムリピートをエピトープに含む、[13]又は[14]のキット。
[16]前記抗体が、ハイブリドーマR−10G(寄託番号:FERM BP−11301)が産生する抗体又は該抗体と競合する抗体である、[13]〜[15]のいずれかのキット。
[17]前記レクチンが不溶性担体に結合されている、[13]〜[16]のいずれかのキット。
ポドカリキシン(Podocalyxin)は、1型膜貫通型糖タンパク質で、上皮性糸球体細胞(足細胞)から同定され、糸球体の機能及び形態の保持において重要な役割をしているほか、種々の癌の発達にも関係していることが知られている(非特許文献1参照)。本発明において「ポドカリキシン」の用語は、上記(式1)及び/又は(式2)の糖鎖構造を有する限りにおいて、ポドカリキシンの全長タンパク質及びその部分断片のいずれをも包含するものとする。
また、本発明において「糖鎖」とは、単糖がグリコシド結合によって鎖状(直鎖あるいは樹状に分枝した分岐鎖)につながった構造を有する一群の化合物を意味する。糖鎖を構成する単糖としては、グルコース(Glc),ガラクトース(Gal),マンノース等のヘキソース;L−フコース(Fuc)等のデオキシキソース;N−アセチルグルコサミン(GlcNAc),N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)等のヘキソサミン;N−アセチルノイラミン酸,N−グリコリルノイラミン酸等のシアル酸;キシロ−ス,L−アラビノース等のペントース等が挙げられる。「糖鎖」を構成する単糖の数は、特に限定されず、2〜数万程度である。
本発明において「レクチン」とは、糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカン、グリコペプチド、リポ多糖、ペプチドグリカン、及びステロイド化合物等の配糖体などの複合糖質に結合した糖鎖の部分構造あるいは全体構造を認識し、結合するタンパク質を意味する。
本発明により、「Fucα1−2Galβ1−3GlcNAc」及び/又は「Fucα1−2Galβ1−3GalNAc」の糖鎖構造を有する未分化糖鎖マーカー(ポドカリキシン)に基づいて幹細胞を検出する方法において、レクチンと抗体との組み合わせによる、高感度な「レクチン−抗体サンドイッチ法」が提供される。
本発明に係るレクチン−抗体サンドイッチ法による幹細胞の検出方法を、従来技術に係るレクチン−レクチンサンドイッチ法と比較して、評価した結果を示すグラフである(試験例1)。 本発明に係るレクチン−抗体サンドイッチ法による幹細胞の検出方法を、種々の抗体を用いたレクチン−抗体サンドイッチ法と比較して、評価した結果を示すグラフである(試験例1)。 本発明に係るレクチン−抗体サンドイッチ法による幹細胞の検出方法を評価した結果を示すグラフである(試験例1)。 本発明に係るレクチン−抗体サンドイッチ法により、異なる種類の培地で培養した幹細胞の検出を行った結果(StemSure hPSC培地Δ)を示すグラフである(試験例2)。 本発明に係るレクチン−抗体サンドイッチ法により、異なる種類の培地で培養した幹細胞の検出を行った結果(mTeSR1培地)を示すグラフである(試験例2)。 本発明に係るレクチン−抗体サンドイッチ法により、異なる種類の培地で培養した幹細胞の検出を行った結果(MEF−CM)を示すグラフである(試験例2)。 本発明に係るレクチン−抗体サンドイッチ法により、異なる種類の培地で培養した幹細胞の検出を行った結果(TeSR−E8培地)を示すグラフである(試験例2)。 本発明に係るレクチン−抗体サンドイッチ法による幹細胞の検出方法を評価した結果を示すグラフである(試験例3)。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
1.幹細胞の検出方法
本発明に係る幹細胞の検出方法は、細胞の培養上清又は溶解物に含まれる下記(式1):
(R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
又は下記(式2):
(R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
で表される糖鎖を検出することにより、幹細胞の検出を行うものである。
具体的には、前記培養上清又は溶解物と、前記糖鎖に結合性を有するレクチンと、ケラタン硫酸に結合性を有する抗体と、を接触させて、前記レクチンと前記糖鎖と前記抗体とを含んでなる複合体を形成させる手順と、前記複合体を検出する手順と、により、幹細胞の検出を行う。
(式1)及び(式2)で表される糖鎖構造は、未分化細胞の細胞表面及び培養上清中に特異的に存在し、ポドカリキシンに由来することが明らかにされている(特許文献1,2参照)。よって、本発明に係る幹細胞の検出方法は、さらに具体的には、細胞の培養上清又は溶解物に含まれるポドカリキシンを検出することにより、幹細胞を検出する方法であって、前記培養上清又は溶解物と、(式1)又は(式2)で表される糖鎖に結合性を有するレクチンと、ケラタン硫酸に結合性を有する抗体と、を接触させて、前記レクチンとポドカリキシンと前記抗体とから構成される複合体を形成させる手順と、前記複合体を検出する手順と、を含む方法である。
[糖鎖構造]
上記(式1)は、「Fucα1−2Galβ1−3GlcNAc」の糖鎖構造を表す。GlcNAcの4位の位置の水酸基は、単糖(好ましくはフコース)又は分岐した若しくは分岐していないオリゴ糖鎖(好ましくは2〜5の糖からなる糖鎖)で置換されていてもよい。また、当該糖鎖構造は、幹細胞表面では、膜構成成分として、GlcNAcの1位の位置で糖タンパク質、糖脂質及び糖類などの非還元末端に結合している糖鎖であるから、GlcNAcの1位の位置に、OH基、又は他の糖類、タンパク質、脂質、若しくはその他の分子の非還元末端が結合していてもよい。
上記(式2)は、「Fucα1−2Galβ1−3GalNAc」の糖鎖構造を表す。GalNAcの1位の位置の水酸基は、単糖(好ましくはフコース)又は分岐した若しくは分岐していないオリゴ糖鎖(好ましくは2〜5の糖からなる糖鎖)で置換されていてもよい。また、当該糖鎖構造は、幹細胞表面では、膜構成成分として、GalNAcの1位の位置で糖タンパク質、糖脂質及び糖類などの非還元末端に結合している糖鎖であるから、GalNAcの1位の位置に、OH基、又は他の糖類、タンパク質、脂質、若しくはその他の分子の非還元末端が結合していてもよい。
[レクチン]
(式1)又は(式2)で表される糖鎖に結合性を有するレクチンには、BC2LCNレクチン又はその改変体が好ましく用いられる。BC2LCNレクチンのアミノ酸配列を配列番号1に示す。レクチンには、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含んでなるタンパク質に加えて、当該アミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を含んでなり、(式1)又は(式2)で表される糖鎖に結合性を有するタンパク質(BC2LCNレクチン改変体)も好ましく用いられる。さらに、これらのレクチンに加えて、(式1)及び/又は(式2)で表される糖鎖を認識するレクチンであれば特に限定されることなく用いられ得る。
BC2LCNレクチンは、グラム陰性細菌(Burkholderia cenocepacia)由来のBC2L−Cタンパク質のN末端ドメインである(非特許文献2参照)。(式1)又は(式2)で表される糖鎖に結合性を有するレクチンには、このBC2LCNレクチンを大腸菌で発現させた組換えタンパク質(rBC2LCNレクチン)を好適に用いることができる。rBC2LCNレクチンは、形質転換細菌によって大量生産可能である。具体的には、配列番号1のアミノ酸配列をコードするBC2LCN遺伝子を発現ベクターに組み込んで宿主細胞に導入し発現させ、必要に応じてタンパク質の精製を行うことによってrBC2LCNレクチンを調製する。
BC2LCNレクチン及びrBC2LCNレクチン並びにこれらの改変体は、(式1)又は(式2)で表される糖鎖への結合を有する限り、配列番号1のアミノ酸配列の全長を含むことを要せず、また配列番号1において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、付加されていてもよい。ここで、数個とは20個以下、好ましくは10個以下、より好ましくは5個以下の自然数を表す。
[抗体]
ケラタン硫酸に結合性を有する抗体には、ハイブリドーマR−10G(寄託番号:FERM BP−11301)が産生するIgG抗体が好ましく用いられる。ハイブリドーマR−10Gが産生する抗体(以下、「R−10G抗体」とも称する)は、特許文献3に記載されている。R−10G抗体は、ヒトiPS細胞を免疫原として作製したハイブリドーマを、ヒトiPS細胞陽性かつヒト胎児性癌細胞陰性を指標としてスクリーニングして得られたモノクロナール抗体である。R−10G抗体のエピトープは、硫酸化度の低いケラタン硫酸であり(硫酸化度の高いケラタン硫酸には反応しない)、当該エピトープのポリペプチド部分は、ポドカリキシンであることが明らかにされている(非特許文献3参照)。また、非特許文献3によれば、R−10G抗体のエピトープには、「Gal−GlcNAc(6S)」又はそのタンデムリピートが含まれるとされている。R−10G抗体は、特許文献3に記載の方法に従って調製することもできるが、市販のもの(例えば、コスモ・バイオ株式会社、RIT−M001)を用いてもよい。
なお、ケラタン硫酸は、「Gal−GlcNAc(6S)」の繰り返し構造を含み、「Gal−GlcNAc(6S)」中のGalが硫酸化部位となる。上記硫酸化度は、このGalの硫酸化の度合いを意味するものである。
ケラタン硫酸に結合性を有する抗体には、R−10G抗体に加えて、該抗体と競合する抗体も用いることができる。R−10G抗体と競合する抗体とは、ケラタン硫酸との結合においてR−10G抗体と競合する抗体、すなわちR−10G抗体が結合するエピトープに結合することができる抗体を意味する。R−10G抗体と競合する抗体は、従来公知の競合的結合アッセイを用いて、R−10G抗体のポドカリキシンへの結合に対して候補抗体が競合する(すなわち、候補抗体がR−10G抗体とポドカリキシンとの結合を妨げる)ことを確認することによって取得できる。この競合的結合アッセイによれば、R−10G抗体の具体的なエピトープが決定されていなくても競合抗体を取得することができるが、競合抗体は、低硫酸化ケラタン硫酸をエピトープとし、特にGal−GlcNAc(6S)又はそのタンデムリピートをエピトープに含む抗体であることが好ましい。
さらに、ケラタン硫酸に結合性を有する抗体には、R−10G抗体及び該抗体と競合する抗体に加えて、ケラタン硫酸、好ましくは低硫酸化ケラタン硫酸を認識する抗体であれば特に限定されることなく用いられ得る。
ここで、本発明において「抗体」の用語には、「抗体の機能性断片」も含まれるものとする。「抗体の機能性断片」とは、抗原との結合活性を有する抗体の部分断片を意味しており、Fab、F(ab')2、scFv等を含む。また、F(ab')2を還元条件下で処理した抗体の可変領域の一価の断片であるFab'も抗体の機能性断片に含まれる。ただし抗原との結合能を有している限りこれらの分子に限定されない。機能性断片には、抗体タンパク質の全長分子を適当な酵素で処理したもののみならず、遺伝子工学的に改変された抗体遺伝子を用いて適当な宿主細胞において産生されたタンパク質も含まれる。
[幹細胞]
「幹細胞」は、一般に、未分化状態を保持したまま増殖できる「自己再生能」と、三胚葉系列すべてに分化できる「分化多能性」とを有する未分化細胞と定義されている。本発明に係る検出方法が検出の対象とする幹細胞(多分化能幹細胞)は、自己再生能及び分化多能性を有する未分化細胞であって、少なくとも多能性幹細胞(pluripotent stem cell)及び複能性幹細胞(multipotent stem cell)を包含する。幹細胞としては、特に、胚性幹細胞(Embryonic stem cell:ES細胞)及び体細胞に初期化因子を導入して得られる誘導性多能性幹細胞(induced pluripotent cell:iPS細胞)等の多能性幹細胞が挙げられる。なお、複能性幹細胞は、間葉系幹細胞、造血系幹細胞、神経系幹細胞、骨髄幹細胞及び生殖幹細胞等の体性幹細胞等を含む。本発明において、単に「細胞」と記載する場合は、幹細胞と分化細胞(体細胞)の両方を含む意味で用いるものとする。
細胞の由来種は特に限定されず、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラットなどであってよい。
[培養上清・溶解物]
(式1)及び/又は(式2)で表される糖鎖構造は、未分化細胞の細胞表面及び培養上清中に特異的に存在することが明らかとなっているため(特許文献1,2参照)、本発明に係る幹細胞の検出方法において、幹細胞の検出のために用いられるサンプルは、細胞の溶解物であっても培養上清であってもよい。
細胞の培養上清及び溶解物は、従来公知の手法に従って調製することができる。溶解物は、物理的に細胞を破砕する方法又は化学的に細胞を可溶化させる方法により調製できる。タンパク質が熱変性を起こさない、タンパク質が失活しない、タンパク質の回収率がよい、操作が簡便である等の点から、界面活性剤を用いて細胞を可溶化させる方法が好ましい。
例えば、5×106〜5×107細胞の細胞ペレットに、界面活性剤を含有する細胞溶解剤を添加し、細胞を懸濁させた後1〜10分間氷上で反応させる。その後20,000×gで15分間程度遠心処理し、得られた上清を細胞ライセートとして用いればよい。
細胞溶解剤には、通常この分野で用いられる細胞溶解剤としての界面活性剤を添加した、適当な塩(KCl、NaCl等)やDTT等の還元剤を含む緩衝液が用いられる。緩衝液としては、pH 5.0〜10.0、好ましくはpH 7.0〜8.0の中性付近に緩衝作用を有する、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液等が好ましい。また、緩衝液中の緩衝剤濃度は、通常10〜500 mM、好ましくは10〜100 mMの範囲から適宜選択される。塩の濃度は、通常100〜200 mMである。界面活性剤は、細胞の種類や使用する緩衝液のpHや塩濃度、等の条件に従って適宜選択すればよい。例えばNP-40、ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテル(和光純薬工業株式会社)、TritonX-100、ジギトニン等が挙げられる。濃度は、緩衝液全量に対して通常0.01〜1.0%程度とされる。
培養上清及び溶解物は血清を含有していてもよい。本発明に係る幹細胞の検出方法によれば、血清含有培地で培養された細胞の培養上清及び溶解物を用いた場合にも、幹細胞の存在を高感度に検出することが可能である(試験例1参照)。
培地には、従来、幹細胞の未分化維持及び分化誘導のために用いられている培地を用いればよい。例えば、StemSure(登録商標)hPSC medium(和光純薬工業株式会社)、Nutristem(登録商標)(Biological Industries Ltd)、ReproFF(ReproCELL)、TeSRTM−E8TM(STEMCELL Technologies)、Essential 8TM Medium(LifeTechnologies)、StemPro(登録商標)hESC SFM(LifeTechnologies)及びmTeSR1(STEMCELL Technologies)等を用いることができる。
血清は、特に限定されず、例えば、仔牛血清(CS)、牛胎児血清(FBS)、ヒト由来血清、牛由来血清、羊由来血清、ヤギ由来血清、サル由来血清、馬由来血清、ラット由来血清、マウス由来血清、ウサギ由来血清、ハムスター由来血清、モルモット由来血清、豚由来血清、鳥(鶏)由来血清、犬由来血清、猫由来血清等が用いられる。培養上清及び溶解物中の血清濃度は、培地への血清の添加濃度に応じて変化し得る。通常の幹細胞の維持培養又は分化培養における、培地への血清の添加濃度は、0.5〜20%(v/v)程度である。
培養上清及び溶解物は、精製工程を経ることなくそのまま、又は希釈して、あるいは予め抗体やレクチン等で濃縮して用いることができる。
本発明に係る幹細胞の検出方法は高感度であるため、培養上清で0.1〜10μl程度の量で、ピコモーラー(pM)又はナノモーラー(nM)レベルの(式1)及び(式2)で表される糖鎖を検出することができる。
[レクチン−抗体サンドイッチ法]
本発明に係る幹細胞の検出方法の手順には、培養上清又は溶解物(以下「培養上清等」とも称する)とレクチンとケラタン硫酸に結合性を有する抗体とを接触させてレクチンとポドカリキシンと抗体とから構成される複合体を形成させる複合体形成手順と、複合体を検出する検出手順と、が含まれる。以下、rBC2LCNレクチン及びR−10G抗体を用いる場合を例に具体的に説明する。
複合体形成手順では、rBC2LCNレクチンとR−10G抗体を同時に培養上清等と接触させてもよいが、培養上清等とrBC2LCNレクチンとを接触させた後にR−10G抗体を反応させることがより好ましい。すなわち、複合体形成手順は、培養上清等とレクチンとを接触させて、rBC2LCNレクチンと培養上清等に含まれるポドカリキシンとから構成される第一の複合体を形成させる第一手順と、第一の複合体とR−10G抗体とを接触させて、rBC2LCNレクチンとポドカリキシンとR−10G抗体とから構成される第二の複合体を形成させる第二手順と、からなることが好ましい。
複合体形成手順は、B/F分離を行わないホモジニアスな方法で行ってもよいが、不溶性担体を用いてB/F分離を行うヘテロジニアスな方法で行うことがより好ましい。
培養上清等の量、及びこれらと反応させるレクチン及び抗体の量(濃度)は、細胞の種類、要求される測定感度、用いる測定方法や測定装置などに応じて適宜設定される。
不溶性担体を用いてB/F分離を行う方法は、例えば、不溶性担体に結合したrBC2LCNレクチンと、不溶性担体に結合していないR−10G抗体と、培養上清等とを接触させて複合体を形成させることにより行われる。より具体的には、B/F分離を行う方法は、培養上清等と、不溶性担体に結合したrBC2LCNレクチンとを接触させて、rBC2LCNレクチンとポドカリキシンとから構成される第一の複合体を得る第一手順と、第一の複合体と遊離のR−10G抗体とを接触させて、rBC2LCNレクチンとポドカリキシンとR−10G抗体とから構成される第二の複合体を得る第二手順と、によって行われる。
B/F分離のための不溶性担体には、スライドグラス、ELISAプレート(マイクロプレート)、磁気ビーズ、フィルター、フィルム、メンブレンなど、通常のタンパク質固定化法に用いられる基材を使用できる。基材の材料には、通常、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリスチレン又はポリウレタンなどが用いられる。
レクチンを不溶性担体に固定化させる方法は、特に限定されず、化学的結合法(共有結合により固定化する方法)、物理的に吸着させる方法などの公知の方法を適用できる。アビジン−ビオチン反応のような非常に強固な結合反応を利用してレクチンを不溶性担体に固定化することも可能である。この場合、レクチンにビオチンを結合したビオチン化レクチンを、ストレプトアビジンをコーティングしたストレプトアビジンプレートに固定化すればよい。また、この分野で通常使用される各種リンカーを介して、レクチンを不溶性担体に固定化させてもよい。
不溶性担体を用いてB/F分離を行う方法では、培養上清等と不溶性担体に固定化されたrBC2LCNレクチンとを反応させる第一手順の後、第一の複合体と遊離のR−10G抗体とを反応させる第二手順を行う前に、固相表面上から不要な物質を除去するための洗浄手順を含んでもよい。また、第二手順の後、検出手順を行う前にも、洗浄手順を含んでもよい。洗浄手順によって、固相表面上から試料中の夾雑物や未反応のR−10G抗体を除去し、第二の複合体のみを固相表面上に分離できる。
B/F分離を行わない方法では、rBC2LCNレクチンとポドカリキシンとR−10G抗体との複合体を分離するための方法として、例えばクロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法、電気泳動法、キャピラリー電気泳動法、キャピラリーチップ電気泳動法、例えばLiBASys(島津製作所株式会社製)等の自動免疫分析装置を用いた方法等を適用できる。
検出手順は、標識物質を用いてrBC2LCNレクチンとポドカリキシンとR−10G抗体とから構成される第二の複合体を検出することにより行うことができる。標識物質としては、例えば、通常の免疫測定法等において用いられる酵素類、放射性同位元素、蛍光性物質、発光性物質、DNA、RNA、補酵素又は補酵素と特異的に結合するもの(ビオチン、アビジン)、タグ、紫外部〜赤外部に吸収を有する物質、発色性微粒子、蛍光性微粒子、金属性微粒子、磁性物質、スピンラベル化剤としての性質を有する物質など、通常この分野で用いられている標識物質が挙げられる。
標識物質をrBC2LCNレクチン及び/又はR−10G抗体、好ましくはR−10G抗体に結合させるには、例えば、通常の免疫測定法等において行われている標識方法を適宜利用して行えばよい。また、1個又は数個のアミノ酸を介して、又は1個又は数個のアミノ酸とリンカーを介して、抗体に標識物質を結合させる方法も採用できる。さらに、標識物質をタンパク質に結合させるキットも各種市販されているので、それらを用い、キットに添付の取扱説明書に従って標識を行ってもよい。
例えば、不溶性担体に固定化したrBC2LCNレクチンと、標識物質として西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を標識した遊離のR−10G抗体とを用いてB/F分離を行う方法は、概略以下の通りである。
培養上清等を、rBC2LCNレクチンを固定化した不溶性担体に接触させ、4〜40℃で3分〜20時間、反応を行って、固相表面上にrBC2LCNレクチンとポドカリキシンとの第一の複合体を生成させる。次に、HRPで標識したR−10G抗体を含有する溶液を固相表面上に加え4〜40℃で3分〜16時間反応させて、固定化rBC2LCNレクチン−ポドカリキシン−標識R−10G抗体の第二の複合体を生成させる。続いて、適当な濃度のTMB(3,3'5,5'-テトラメチルベンジジン)溶液を添加し、一定時間反応させる。その後、1M硫酸等の反応停止液を加えて反応を停止させ、450nmの吸光度を測定する。得られた測定値と、予め濃度既知のポドカリキシンの溶液について同様の測定を行って得た検量線とから、培養上清等中のポドカリキシン(あるいは、ポドカリキシン上の(式1)又は(式2)で表される糖鎖)の量を求めることができる。
また、例えばAlexa Fluor-488 tetrafluorophenyl ester等で標識したrBC2LCNレクチンと、例えばAlexa Fluor-647 succinimidyl ester等で標識したR−10G抗体を用い、公知の蛍光相互相関分光法(Fluorescence Correlation Spectroscopy, FCCS)に従って(式1)又は上記(式2)で表される糖鎖を測定することもできる。
また、「rBC2LCNレクチン−ポドカリキシン−R−10G抗体」の複合体の検出は、標識物質を用いることなく、例えば複合体に由来する性質を利用して測定する方法、具体的には表面プラズモン共鳴などのホモジニアスイムノアッセイ系等の方法によっても行うことが可能である。
なお、本発明に係るレクチン‐抗体サンドイッチ法は、用手法に限らず、自動分析装置を用いた測定系に適用して容易かつ迅速に測定を行うこともできる。用手法又は自動分析装置を用いて測定を行う場合の試薬類等の組み合わせなどについては、特に制限はなく、適用する自動分析装置の環境や機種に合わせて、あるいは他の要因を考慮に入れて最もよいと思われる試薬類等の組み合わせを選択して用いればよい。さらに、本発明に係るレクチン‐抗体サンドイッチ法は、Micro−TAS(Micro-Total Analysis Systems:μ-TAS、μ総合分析システム)への応用も可能である。
[応用]
(式1)及び(式2)で表される糖鎖構造は、未分化細胞の細胞表面及び培養上清中に特異的に存在することから、本発明に係る検出方法により、細胞の培養上清等に含まれるポドカリキシン上の当該糖鎖を検出することで、細胞中に存在する幹細胞の有無を検出することができる。また、当該糖鎖を定量的に検出すれば、細胞中の幹細胞の存在量を判定することもできる。
例えば、未分化状態を維持する培養(維持培養)を行っている幹細胞の培養上清等をマイクロピペットなどで一定量採取し、本発明に係る検出方法により、ポドカリキシン上の(式1)及び/又は(式2)で表される糖鎖の検出を行う。糖鎖が検出されれば、細胞が未分化状態を維持していることを確認でき、これにより分化細胞の混入のない高品質な幹細胞を取得することが可能となる。あるいは、糖鎖の定量値に基づいて、全細胞のうちどの程度の割合の細胞が未分化状態を維持しているか(逆に、どの程度の割合が分化しているか)を判定することもできる。
培養上清等を一定量採取する手段としては、手作業でも良いが、自動培養装置などにより自動的に採取することもできる。
また、例えば、幹細胞の分化誘導を行った後、細胞の培養上清等をマイクロピペットなどで一定量採取し、本発明に係る検出方法により、ポドカリキシン上の(式1)及び/又は(式2)で表される糖鎖の検出を行う。糖鎖が検出されれば、細胞中に未分化状態の幹細胞が残存していることを確認できる。逆に、糖鎖が検出されなくなれば(バックグラウンド値と同レベルになれば)、細胞が全て分化してことを確認でき、これにより未分化細胞の混入のおそれのない分化細胞を取得することが可能となる。あるいは、糖鎖の定量値に基づいて、全細胞のうちどの程度の割合が分化しているか(逆に、どの程度の細胞が未分化状態にとどまっているか)を判定することもできる。
本発明に係る検出方法に細胞の培養上清を供する場合には、(式1)又は(式2)の糖鎖が検出可能量分泌された後の培養上清を用いるとされる必要がある。交換後、培養液中に検出可能量の糖鎖が出現するまでに要する時間は、細胞の種類や培養条件によって異なり適宜設定され得るが、例えば18〜30時間程度とされる。通常は24時間程度毎に培地交換を行うので、その際に廃棄する培養上清の一部を利用することが好ましい。
ここで、幹細胞を分化誘導する方法としては、どのような手法であってもよい。例えば、幹細胞をレチノイン酸存在下で培養して神経系細胞に分化する方法、増殖をストップさせたNIH3T3細胞表面を土台として表皮細胞を形成させる方法などの手法を適用できる。
2.幹細胞の検出キット
本発明に係る幹細胞の検出キットは、上記の幹細胞検出方法に用いられるものであって、下記(式1):
(R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
又は下記(式2):
(R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
で表される糖鎖に結合性を有するレクチンと、ケラタン硫酸に結合性を有する抗体と、を含む。
キットの構成の好ましい態様と具体例は、上記の幹細胞検出方法において説明した通りである。具体的には、ケラタン硫酸に結合性を有する抗体は、特に低硫酸化ケラタン硫酸に結合性を有する抗体であることが好ましい。また、該抗体は、Gal−GlcNAc(6S)又はそのタンデムリピートをエピトープに含むことが好ましい。具体的には、ハイブリドーマR−10G(寄託番号:FERM BP−11301)が産生する抗体又は該抗体と競合する抗体が用いられ得る。
また、キットに含まれる試薬中には、通常この分野で用いられる試薬類、例えば緩衝剤、反応促進剤、糖類、タンパク質、塩類、界面活性剤等の安定化剤、防腐剤等であって、共存する試薬等の安定性を阻害したりせず、ポドカリキシンとレクチン及び抗体との反応を阻害しないものが含まれていてもよい。また、その濃度も、通常この分野で通常用いられる濃度範囲から適宜選択すればよい。さらに、キットは、ポドカリキシンについて検量線を作成するために用いられる標準品を含んでいてもよい。
本発明に係る幹細胞の検出キットにおいて、(式1)又は(式2)で表される糖鎖に結合性を有するレクチンは、不溶性担体に結合されていることが好ましい。ケラタン硫酸に結合性を有する抗体は予め標識されていることが好ましいが、ユーザが用時に抗体の標識を行うための試薬がキットに含まれていてもよい。
本発明における用語や概念は、当該分野において慣用的に使用される用語の意味に基づくものであり、本発明を実施するために使用する様々な技術は、特にその出典を明示した技術を除いては、公知の文献等に基づいて当業者であれば容易かつ確実に実施可能である。
また、各種の分析などは、使用した分析機器又は試薬、キットの取り扱い説明書、カタログなどに記載の方法を準用して行った。
なお、本明細書中に引用した技術文献、特許公報及び特許出願明細書中の記載内容は、本発明の記載内容として参照されるものとする。
[試験例1:レクチン−抗体サンドイッチ法による幹細胞の検出]
本発明に係るレクチン−抗体サンドイッチ法による幹細胞の検出方法を評価するため、iPS細胞の培養上清の希釈溶液を用いてポドカリキシンの定量的な測定を行った。測定は、マイクロプレートを用いたELISA検出系で行った。
ストレプトアビジンプレート(住友ベークライト株式会社)のウェルにビオチン化rBC2LCNレクチン(0.5μg当量)を加え、37度で1時間、固定化した。リコンビナントレクチンの作成は、非特許文献4に記載の方法に従った。ウェルを緩衝液(1%TritonX−100、リン酸緩衝液)で洗浄後、mTeSR1培地で24時間培養したiPS細胞(201B7株)の培養上清を培地(2%FBS、DMEM)で段階希釈した溶液50μlをウェルに添加し、37℃で1時間反応させた。iPS細胞(201B7株)は、理化学研究所バイオリソースセンターから分譲を受けた。
ウェルを緩衝液で洗浄後、ペルオキシダーゼを標識したR10G抗体(0.1μg/ml)をウェルに添加し、37℃で1時間反応させた。ウェルを緩衝液で洗浄後、基質溶液(TMB、和光純薬株式会社)100μlをウェルに添加し、室温で30分反応を行った。1M硫酸をウェルに添加して反応を停止させた後、各ウェルの吸光度(450nm)を測定した。比較のため、R10G抗体にかえて、rABAレクチン(Agaricus bisporus由来、特許文献2参照)、抗SSEA3抗体、抗SSEA4抗体、抗Tra−1−60抗体、抗Tra−1−81抗体、抗ポドカリキシン抗体を同濃度で用いた。
(1)R10G抗体:低硫酸化ケラタン抗体(コスモ・バイオ株式会社、RIT−M001)。ポドカリキシン上の硫酸化度の低いケラタン硫酸(低硫酸化ケラタン硫酸)を認識する。
(2)rABAレクチン:アミノ酸配列を配列番号2に示す(RCSB Protein Data Bank Accession No. 1Y2Vも参照)。
(3)抗SSEA3抗体:ラットモノクローナルIgM抗体(Millipore、MAB4303)。ヒトEC細胞(Tetracarcinoma stem cell)、ヒトEG細胞(Embryonic germ cell)及びヒトES細胞の表面に発現するSSEA3抗原(Stage-specific embryonic antigen 3)を認識する。
(4)抗SSEA4抗体:マウスモノクローナルIgG抗体(Millipore、MAB4304)。ヒトEC細胞、ヒトEG細胞及びヒトES細胞の表面に発現するSSEA4抗原(Stage-specific embryonic antigen 4)を認識する。
(5)抗Tra−1−60抗体:マウスモノクローナルIgM抗体(Millipore、MAB4360)。ポドカリキシン上のケラタン硫酸を認識する(非特許文献5,6参照)。
(6)抗Tra−1−81抗体:マウスモノクローナルIgM抗体(Millipore、MAB4381)。ポドカリキシン上のケラタン硫酸を認識する(非特許文献5,6参照)。
(7)抗ポドカリキシン抗体:ヤギポリクローナルIgG抗体(R&D System。AF1658)。ヒトポドカリキシンを認識する。
結果を図1及び図2に示す。rABAレクチンを用いた場合には、希釈倍率40倍(図中、dilution factor:0.025)以下の高希釈溶液を用いた場合にバックグランドの影響が顕著で、定量性の低下が生じた(線形回帰直線の決定係数:0.6387)。その原因として、培地中の血清成分と、rBC2LCNレクチン及びrABAレクチンとの非特異的な結合によるバックグランドの上昇が考えられた。
一方、R10G抗体を用いた場合には、いずれの希釈倍率においても上記のような非特異的な結合によるバックグランドの上昇はみられず、高精度な定量測定が可能であった(線形回帰直線の決定係数:0.9988)。
また、抗SSEA3抗体及び抗SSEA4抗体は、抗原との反応性の欠如のため、測定は不能であった(図2参照)。ポドカリキシン上のケラタン硫酸を認識する抗Tra−1−60抗体及び抗Tra−1−81抗体を用いた場合にも、抗原にほとんど結合しないか全く結合せず、測定は不能であった(図2参照)。その原因として、以下が考えられた。
抗Tra−1−60抗体及び抗Tra−1−81抗体は、いずれもポドカリキシン上のケラタン硫酸をエピトープとする抗体であるが、「Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAc」をエピトープに含むとされており(非特許文献7参照)、「Gal−GlcNAc(6S)」又はそのタンデムリピートをエピトープに含むとされるR−10G抗体とはエピトープが異なる。
抗Tra−1−60抗体及び抗Tra−1−81抗体は、高硫酸化ケラタン硫酸をエピトープとするとされており、低硫酸化ケラタン硫酸をエピトープとするR−10G抗体とはエピトープが異なる。
抗Tra−1−60抗体及び抗Tra−1−81抗体は、IgG抗体であるR−10G抗体とは異なり、IgM抗体である。
さらに、抗ポドカリキシン抗体(R&D System。AF1658)を用いた場合にも、測定は不能であった。その原因として、同抗体は、ミエローマ細胞で発現させたリコンビナントポドカリキシンを抗原に用いて調製されたものであるため、幹細胞に発現するポドカリキシンに対して十分な反応性を有さなかったことが考えられる。幹細胞での発現に由来する、ポドカリキシンの特異的な構造(例えば、(式1)及び(式2)の糖鎖構造)によって、同抗体のエピトープへの結合が阻害された可能性が考えられる。
図3に、iPS細胞の培養時の血清濃度を2%から1%、5%、10%又は20%に変更した以外は上記と同様にして、培養上清希釈溶液を用いたポドカリキシンの定量測定を行った結果を示す。血清濃度1%〜20%の範囲において良好な定量性が確認できた。
[試験例2:レクチン−抗体サンドイッチ法による幹細胞の検出下限量の算出]
異なる種類の培地で培養したiPS細胞(201B7株)の培養上清の希釈溶液を用いてポドカリキシンの定量的な測定を行った。培地には以下の4種類を用いた。各培地でiPS細胞(201B7株)を24時間培養後、回収した培養上清をそれぞれの培地で希釈し、希釈溶液を得た。
StemSure hPSC培地Δ(和光純薬工業株式会社)
mTeSR1培地(STEMCELL Technologies)
MEF−CM(Mouse Embryonic Fibroblast−conditioned Medium、マウス胚性繊維芽細胞を培養した培養上清)
TeSR−E8培地(STEMCELL Technologies)
ストレプトアビジンプレートのウェルにビオチン化rBC2LCNレクチン(0.3μg/ml)を加え、室温(20℃〜25℃)で1時間、固定化した。ウェルを緩衝液(1%TritonX−100、リン酸緩衝液)で洗浄後、培養上清の希釈溶液50μlをウェルに添加し、室温で1時間反応させた。
ウェルを緩衝液で洗浄後、ペルオキシダーゼを標識したR10G抗体(0.5μg/ml)をウェルに添加し、室温で1時間反応させた。ウェルを緩衝液で洗浄後、基質溶液(TMB)50μlをウェルに添加し、室温で30分反応させた。0.5M硫酸をウェルに添加して反応を停止させた後、各ウェルの吸光度(450nm−650nm)を測定した。
結果を図4〜図7に示す。図中、横軸は、培養上清の希釈倍率を示し、培地1mlあたりの培養細胞数が10,000個となる培養条件で得られた培養上清の希釈倍率を「培地1mlあたりの培養細胞相当数」で示す。すなわち、「10×10cells/ml」が希釈なしを意味し、例えば「5.0×10cells/ml」は2倍希釈、「2.5×10cells/ml」は4倍希釈、「1.25×10cells/ml」は8倍希釈を意味する。図中、線形回帰直線及び回帰式は、決定係数(R2乗)が最も良好な(1.0に近い)ときの直線及び式である。
4種類の培地のいずれを用いた場合も、高希釈倍率においても良好な定量性が得られた。本発明に係るレクチン−抗体サンドイッチ法が、培地の種類の影響を受けないことが確認できた。
回帰式に基づき、検出下限値となる希釈倍率を求め、検出下限値を「培地1mlあたりの培養細胞相当数」で算出した結果を「表1」に示す。検出下限値は、培地のみの吸光度(吸光度の平均値に標準偏差の3.3倍を加算した値)を算出し、当該吸光度を示す希釈倍率を回帰式から求めた。
検出下限の「培地1mlあたりの培養細胞相当数」は、27〜321cell/mlであった。従来技術に係るrBC2LCNレクチンとrABAレクチンを組み合せた「レクチン−レクチンサンドイッチ法」での検出下限は、623〜4,753cell/mlと報告されている(非特許文献8参照)。rBC2LCNレクチンと低硫酸化ケラタン抗体R10G抗体を組み合わせた本発明に係る「レクチン−抗体サンドイッチ法」は、従来の「レクチン−レクチンサンドイッチ法」に比して、幹細胞を一層高感度に検出できることが明らかとなった。
[試験例3:レクチン−抗体サンドイッチ法による幹細胞の検出2]
本発明に係るレクチン−抗体サンドイッチ法による幹細胞の検出方法を評価するため、iPS細胞の培養上清の希釈溶液を用いてポドカリキシンの定量的な測定を行った。測定は、スライドガラスを用いたアレイ検出系で行った。
非接触型スポッター(MicroSys4000;Genomic Solutions)を用いて、rBC2LCNレクチンをエポキシ活性化スライドグラスに固定化した。試験例1と同様にして調製した培養上清の希釈溶液を、rBC2LCNレクチンを固定化したスライドグラスに滴下し、20℃で一晩反応させた。洗浄後、R10G抗体(1μg/mL)を滴下し、20℃で1時間反応させた。次に、Cy3標識抗マウスIgG抗体(JacksonImmunoResearch、1μg/mL)を滴下し、20℃で1時間反応させた。洗浄後、エバネッセント波励起蛍光型スキャナー(Bio−REX Scan 200、Rexxam)でスキャンした。
結果を図8に示す。図中、横軸は、図1〜4と同様に、培養上清の希釈倍率を「培地1mlあたりの培養細胞相当数」で示す。図中、線形回帰直線及び回帰式は、決定係数(R2乗)が最も良好な(1.0に近い)ときの直線及び式である。
いずれの希釈倍率においても非特異的な結合によるバックグランドはみられず、高精度な定量測定が可能であった(線形回帰直線の決定係数:0.9997)。
試験例1〜3の結果から、rBC2LCNレクチンに低硫酸化ケラタン抗体R10G抗体を組み合わせたレクチン−抗体サンドイッチ法によれば、血清含有培地で培養された細胞の培養上清を用いた場合にも、ポドカリキシンを高精度に検出することができ、高感度な幹細胞検出が可能となることが明らかとなった。なお、mTeSR1培地で24時間培養したiPS細胞(201B7株)より、市販のキット(CelLytic MEM Protein Extraction Kit, Sigma-Aldrich)を用いて得られた水溶性分画を用いて同様の試験を行った場合も、培養上清を用いた場合と同様の結果が得られた。
配列番号1:BC2LCNレクチンのアミノ酸配列
配列番号2:ABAレクチンのアミノ酸配列

Claims (12)

  1. 細胞の培養上清又は溶解物に含まれるポドカリキシンを検出することにより、幹細胞を検出する方法であって、
    血清成分を含む、培養上清又は溶解物と、下記(式1):
    (R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
    又は下記(式2):
    (R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
    で表される糖鎖に結合性を有するレクチンと、ハイブリドーマR−10G(寄託番号:FERM BP−11301)が産生する抗体又は該抗体と競合する抗体と、を接触させて、前記レクチンとポドカリキシンと前記抗体とから構成される複合体を形成させる手順と、
    前記複合体を検出する手順と、を含む方法。
  2. 前記抗体が、Gal−GlcNAc(6S)又はそのタンデムリピートをエピトープに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記レクチンが、
    配列番号1に示されるアミノ酸配列を含んでなるタンパク質、又は
    当該アミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、もしくは付加されたアミノ酸配列を含んでなり、前記(式1)又は(式2)で表される糖鎖に結合性を有するタンパク質である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記培養上清又は溶解物と前記レクチンとを接触させて、該レクチンと前記培養上清又は溶解物に含まれるポドカリキシンとから構成される第一の複合体を形成させる手順と、
    第一の複合体と前記抗体とを接触させて、前記レクチンとポドカリキシンと該抗体とから構成される第二の複合体を形成させる手順と、を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記レクチンが不溶性担体に結合される、請求項記載の方法。
  6. 細胞の培養上清又は溶解物に含まれる下記(式1):
    (R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
    又は下記(式2):
    (R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
    で表される糖鎖を検出することにより、幹細胞を検出する方法であって、
    血清成分を含む、培養上清又は溶解物と、前記糖鎖に結合性を有するレクチンと、ハイブリドーマR−10G(寄託番号:FERM BP−11301)が産生する抗体又は該抗体と競合する抗体と、を接触させて、前記レクチンと前記糖鎖と前記抗体とを含んでなる複合体を形成させる手順と、
    前記複合体を検出する手順と、を含む方法。
  7. 前記複合体の有無又は検出量に基づいて前記細胞に含まれる幹細胞の有無又は存在量を判定する手順をさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記複合体の有無又は検出量に基づいて前記細胞の分化状態を判定する手順をさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. 細胞の培養上清又は溶解物に含まれるポドカリキシンを検出する方法であって、
    血清成分を含む、培養上清又は溶解物と、下記(式1):
    (R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
    又は下記(式2):
    (R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
    で表される糖鎖に結合性を有するレクチンと、ハイブリドーマR−10G(寄託番号:FERM BP−11301)が産生する抗体又は該抗体と競合する抗体と、を接触させて、前記レクチンとポドカリキシンと前記抗体とから構成される複合体を形成させる手順と、
    前記複合体を検出する手順と、を含む方法。
  10. 血清成分を含む、細胞の培養上清又は溶解物に含まれるポドカリキシンを検出することにより、幹細胞を検出するためのキットであって、
    下記(式1):
    (R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
    又は下記(式2):
    (R1はOH基、若しくは任意の糖鎖を表す。R2はOH基、又は任意の糖鎖、タンパク質、脂質、若しくは他の分子を表す。)
    で表される糖鎖に結合性を有するレクチンと、ハイブリドーマR−10G(寄託番号:FERM BP−11301)が産生する抗体又は該抗体と競合する抗体と、を含むキット。
  11. 前記抗体が、Gal−GlcNAc(6S)又はそのタンデムリピートをエピトープに含む、請求項10に記載のキット。
  12. 前記レクチンが不溶性担体に結合されている、請求項10又は11に記載のキット。
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