まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機を正面から見た正面図である。図2は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、以下において、図1の手前側をパチンコ遊技機1の前方(前面、正面)側、奥側を背面(後方)側とし、パチンコ遊技機1を前面側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、該パチンコ遊技機1にて遊技を行う遊技者と対向する対向面である。
図1は、本実施例におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(以下、遊技機と略記する場合がある)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤2(ゲージ盤ともいう)と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレール2bによって囲まれた正面視略円形状の遊技領域10が形成されている。この遊技領域10には、遊技媒体としての遊技球が打球発射装置(図示略)から発射されて打ち込まれる。また、遊技機用枠3には、ガラス窓50aを有するガラス扉枠50が左側辺を中心として回動可能に設けられ、該ガラス扉枠50により遊技領域10を開閉できるようになっており、ガラス扉枠50を閉鎖したときにガラス窓50aを通して遊技領域10を透視できるようになっている。
図1に示すように、遊技盤2は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等の透光性を有する合成樹脂材にて正面視略四角形状に形成され、前面である遊技盤面に障害釘(図示略)やガイドレール2b等が設けられた盤面板(図示略)と、該盤面板の背面側に一体的に取付けられるスペーサ部材(図示略)と、から主に構成されている。
尚、本実施例では、遊技盤2が透光性を有する合成樹脂材にて形成されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ベニヤ板等の非透光性部材にて形成されていてもよい。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域10の右側下部位置)には、第1特別図柄表示器4Aと、第2特別図柄表示器4Bとが設けられている。第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、変動表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(変動表示または可変表示ともいう)される。以下では、第1特別図柄表示器4Aにおいて変動表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示器4Bにおいて変動表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
遊技盤2における遊技領域10の中央付近には、演出表示装置5が設けられている。演出表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示器4Aによる第1特図の変動表示や第2特別図柄表示器4Bによる第2特図の変動表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の変動表示部となる演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である演出図柄が変動表示される。この演出図柄の変動表示も、変動表示ゲームに含まれる。
このように、演出表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の演出図柄の変動表示を行い、変動表示結果となる確定演出図柄(最終停止図柄)を導出表示する。
演出表示装置5は、遊技盤2よりも背面側に配設され、該遊技盤2に形成された開口2cを通して視認できるようになっている。尚、遊技盤2における開口2cには枠状のセンター飾り枠51が設けられている。また、遊技盤2と演出表示装置5との間には、動作可能に設けられた第1可動体300、第2可動体400、及び第3可動体500が設けられている。
演出表示装置5の表示領域の下部の左右2箇所には、第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uが設定されている。第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uでは、特図ゲームに対応した変動表示の保留記憶数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。
ここで、特図ゲームに対応した変動表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや演出図柄の変動表示といった変動表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく変動表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、変動表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する変動表示の保留が行われる。
第1特別図柄表示器4A及び第2特別図柄表示器4Bの上方位置には、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示し、第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。
演出表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aが設けられ、演出表示装置5の右側下方には、普通可変入賞球装置6Bが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の球受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図2に示す普通電動役物用となるソレノイド81によって、遊技領域10に突出する突出位置となる閉鎖状態と遊技領域10から退避する退避位置となる開放状態とに変化する可動板を有する普通電動役物を備え、始動領域(第2始動領域)としての第2始動入賞口を形成する。
第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第1始動口スイッチ22Aによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。また、第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第2始動口スイッチ22Bによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。
図1に示すように、普通入賞球装置6Aの右方位置には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、図2に示すソレノイド82によって開閉駆動される大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できない(または通過(進入)しにくい)遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。
大入賞口を通過(進入)した遊技球が図2に示すカウントスイッチ23によって検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。従って、特別可変入賞球装置7において大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第2保留表示器25Bの右方位置には、普通図柄表示器20が設けられている。普通図柄表示器20の右方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート41を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、遊技領域10の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L,8Rが設けられており、さらに遊技領域10の周辺部には、演出用LED9が設けられている。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域10に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。
遊技領域10の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、発射装置(図示略)へと供給可能に保持(貯留)する上皿90(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿90から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿91が設けられている。下皿91を形成する部材に取付けられたスティックコントローラ31Aの傾倒操作はコントローラセンサユニット35Aにて検出され、上皿90を形成する部材に設けられたプッシュボタン31Bに対してなされた押下動作はプッシュセンサ35Bにて検出される。
次に、パチンコ遊技機1の回路構成について説明する。パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、LED制御基板14、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15、払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の変動表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の変動表示を制御することといった、所定の表示図柄の変動表示を制御する機能も備えている。また、主基板11には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100や、スイッチ回路110、ソレノイド回路111などが搭載されている。
図2に示すように、主基板11には、通過ゲート41を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23からの検出信号を伝送する配線が接続されている。また、第1特別図柄表示器4A、第2特別図柄表示器4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば、演出図柄の変動時間及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを示す変動パターン指定コマンド等が含まれている。
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM101(ReadOnlyMemory101)と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM102(RandomAccessMemory102)と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU103(CentralProcessingUnit103)と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O105(Input/Outputport105)と、を備えて構成される。一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。
図2に示すように、演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、演出表示装置5、スピーカ8L,8R及び演出用LED9、第1可動体300、第2可動体400及び第3可動体500に設けられる図示しない第1演出用モータ310、第2演出用モータ410、第3演出用モータ510、図示しないソレノイド、センサ、発光ダイオード(LED)といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路や、スティックコントローラ31A、プッシュボタン31Bといった電気部品の動作を検出するための各種回路が搭載されている。
演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、演出表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。一例として、演出制御基板12では、演出制御用CPU120がROM121から読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。また、ROM121には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。
次に、パチンコ遊技機1における遊技の進行を概略的に説明する。パチンコ遊技機1では、遊技領域10に設けられた通過ゲート41を遊技球が通過したことに基づいて、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。普通図柄の変動を開始させた後、普図変動時間となる所定時間が経過し、普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図はずれ」となる。特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となり、普通可変入賞球装置6Bの可動板が遊技領域10から退避する開放制御が行われ、所定時間が経過すると遊技領域10に突出する閉鎖位置に戻る通常開放制御が行われる。
遊技球が第1始動入賞口に入賞したことなどにより第1始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示器4Aによる特図ゲームが開始される。また、遊技球が第2始動入賞口に入賞したことなどにより第2始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームが開始される。
特図ゲームでは、特別図柄の変動表示を開始させた後、変動表示時間が経過すると確定特別図柄(特図表示結果)を導出表示する。このとき、特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「はずれ」となる。特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置7の大入賞口扉が、所定の上限時間(例えば29秒間や0.1秒間)が経過するまでの期間あるいは所定個数(例えば9個)の入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を開放状態とする。これにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって有利な第1の状態(開放状態)とするラウンドが実行される。
ラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤2の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって不利な第2の状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。大入賞口の開放サイクルであるラウンドは、その実行回数が所定の上限回数(例えば「16」など)に達するまで、繰り返し実行可能となっている。
演出表示装置5の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rでは、特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。リーチ状態とは、演出表示装置5の表示領域にて停止表示された演出図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない演出図柄については変動が継続している表示状態、あるいは、全部または一部の演出図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の通常大当り組合せ(「非確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「非確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時間短縮制御(時短制御)が行われる。時短制御が行われることにより、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示時間(特図変動時間)は、通常状態に比べて短縮される。尚、時短制御では、普通図柄の当選頻度が高められて、普通可変入賞球装置6Bへの入賞頻度が高められる、いわゆる電チューサポートが実施される。時短制御は、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば100回)の特図ゲームが実行されることと、変動表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに、終了すればよい。
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の確変大当り組合せ(「確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時短制御とともに確率変動制御(確変制御)が行われる。この確変制御が行われることにより、各回の特図ゲームにおいて変動表示結果が「大当り」となる確率は、通常状態に比べて高くなるように向上する。確変制御は、大当り遊技状態の終了後に変動表示結果が「大当り」となって再び大当り遊技状態に制御されるという条件が成立したとき、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば時短回数と同じ100回)の特図ゲームが実行されたとき、大当り遊技状態の終了後に特図ゲームが開始されるごとに実行される確変転落抽選にて確変制御を終了させる「確変転落あり」の決定がなされたとき、などに終了すればよい。
時短制御が行われるときには、普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、変動表示結果が「普図当り」となったことに基づく普通可変入賞球装置6Bにおける可動板の移動制御を行う移動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その移動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御(電チューサポート制御、高開放制御)が行われる。これにより、第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に変動表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理において遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、スイッチ処理、メイン側エラー処理、情報出力処理、遊技用乱数更新処理、特別図柄プロセス処理、普通図柄プロセス処理、コマンド制御処理を実行する。
特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部(図示略)に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7における大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために各種の処理が選択されて実行される。
特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、第1始動入賞や第2始動入賞があったか否かを判定し、入賞があった場合には、特図表示結果判定用、大当り種別判定用、変動パターン判定用などの乱数値をそれぞれ抽出して、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部における空きエントリの最上位に格納(記憶)する始動入賞処理を実行する。
また、CPU103は、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部に記憶されている保留データの有無などに基づいて特図ゲームを開始するか否かの判定や、特図表示結果判定用の乱数値を示す数値データに基づき、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する特別図柄通常処理を実行する。つまり、CPU103は、特図ゲームの変動表示を開始するときに、始動入賞が発生したときに記憶した乱数値に基づいて、当該変動表示の表示結果として大当り表示結果を導出表示するか否かを決定(抽選)する処理を実行する。
次いで、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する変動パターン設定処理、特別図柄を変動させるための設定や特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理を行う特別図柄変動処理、特別図柄の変動を停止させて確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う特別図柄停止処理を行う。また、変動表示結果が「大当り」となった場合は、大当り遊技状態において大入賞口を開閉させる処理を行う大当り開放前処理、大当り開放中処理、大当り開放後処理、大当り終了処理を行う。
次に、演出制御基板12の動作を説明する。先ず、演出制御用CPU120は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理においてタイマ割込が発生すると、コマンド解析処理、演出制御プロセス処理、演出用乱数更新処理を実行する。
演出制御プロセス処理では、演出表示装置5の第1保留記憶表示エリア5D及び第2保留記憶表示エリア5Uでの保留記憶表示を、保留記憶バッファの記憶内容に応じた表示に更新する保留表示更新処理を実行する。次いで、演出制御プロセスフラグの値に応じて、遊技制御用マイクロコンピュータ100から変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する変動パターン指定コマンド受信待ち処理、演出図柄の変動が開始されるように制御する演出図柄変動開始処理、演出図柄変動開始処理にてセットされたプロセスデータに応じて変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミング等の制御や変動時間の終了を監視するとともに、演出表示装置5の表示制御、スピーカ8L,8Rからの音出力、演出用LED9の発光及び第1演出用モータ310、第2演出用モータ410、第3演出用モータ510の駆動制御等を行う演出図柄変動中処理、演出図柄の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う演出図柄変動停止処理を行う。
大当り表示処理においては、変動時間の終了後、演出表示装置5に大当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。大当り遊技中処理においては、大当り遊技中の制御を行う。大当り終了演出処理においては、演出表示装置5において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。
このように演出制御用CPU120は、遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信された演出制御コマンド(制御情報)に基づいて、演出図柄の変動表示制御や予告演出といった遊技に関連する各種演出を実行可能とされている。
尚、演出制御用CPU120が演出図柄の変動表示中において実行する予告演出としては、例えば、大当りの可能性を示唆する大当り予告演出や、リーチになるか否かを示唆するリーチ予告、停止図柄を予告する停止図柄予告、遊技状態が確率変動状態であるか否か(潜伏しているか否か)を予告する潜伏予告といったように、変動表示開始時やリーチ成立時において実行される複数の予告を含む。
本実施例では、以下に説明する第1可動体300、第2可動体400及び第3可動体500による可動体演出や、第1可動体300、第2可動体400及び第3可動体500とスピーカ8L,8R、及び演出用LED9等とによる複合演出や、遊技者がスティックコントローラ31Aまたはプッシュボタン31Bを操作したことを条件に実行される操作演出といった各種演出が各種予告として実行可能とされている。
次に、図3〜図8に基づいて、図3は、第1可動体の構造を示す背面図である。図4は、第2可動体及び第3可動体の構造を示す背面図である。図5は、(A)は第1可動体が第1退避位置にあるときの各可動体の状態を示す説明図、(B)は第1可動体が中間位置にあるときの各可動体の状態を示す説明図である。図6は、第1可動体が第1演出位置にあるときの各可動体の状態を示す説明図である。図7は、(A)〜(D)は第1可動体が第1退避位置から第1演出位置に移動する流れを示す説明図である。図8は、(A)(B)は第1可動体が第1演出位置から第1退避位置に移動する流れを示す説明図である。
先ず、第1可動体300の構造について図3、図5、及び図6に基づいて説明する。図3、図5、及び図6に示されるように、第1可動体300は、演出表示装置5の下方に配置されている。この第1可動体300は、遊技盤2と演出表示装置5との間に固定的に設置されるベース部材301と、ベース部材301に対して移動可能に取付けられる第1可動部302と、第1可動部302に対して動作可能に設けられる第2可動部303と、第1可動部302をベース部材301に対して移動させる駆動機構304と、から主に構成されている。
ベース部材301は、その上端が演出表示装置5に向けて傾斜するように配設されている。つまり、ベース部材301は、演出表示装置5の画面(表示部)に対し斜めに交差する方向に傾斜している。また、ベース部材301の背面には、上下方向に延びる凹溝301aが形成されている。
駆動機構304は、ベース部材301に取付けられる第1演出用モータ310と、第1演出用モータ310の駆動軸に固定される第1ギヤ311と、第1ギヤ311に噛合する第2ギヤ312と、第2ギヤ312に噛合するラックギヤ313と、を備えている。ラックギヤ313の前面には、ベース部材301の凹溝301aに嵌合する凸条部313aを備えている。
すなわち、第1演出用モータ310を動作させると、第1ギヤ311及び第2ギヤ312が回動し、ラックギヤ313に駆動力を伝える。ラックギヤ313は、凸条部313aと凹溝301aとによりガイドされて動作するようになり、これにより第1可動部302及び第2可動部303が動作する。詳しくは、ベース部材301は、演出表示装置5の画面(表示部)に対し斜めに交差する方向に傾斜しているため、第1可動部302及び第2可動部303は、演出表示装置5の画面(表示部)に対し斜めに交差する方向に移動するようになる。
第1可動部302は、正面視台形を成し、ラックギヤ313の上端部に固定されており、第1可動部302の背面側中央部には、後述するバネ305の一端を固定する固定部302aが背面側に突出して形成されている。尚、第1可動部302は、非透光性の樹脂等の部材により構成されている。
第2可動部303は、その装飾部分が正面視略三角形を成し、該装飾部分の下端部には下方に延びる延設片303aが固着されている。この延設片303aは、上方から見て前方側に開口する略コ字形状を成しており、第1可動部302の固定部302aに外嵌されているとともに、延設片303aの開口側端部が第1可動部302の背面に形成された上下に延びる図示しない溝部に対して摺動可能に係合されており、第1可動部302と第2可動部303との離脱が防止されている。また、延設片303aの内部には、固定部302aの上面と第2可動部303の底面との間に固定されたバネ305が収納されている。尚、第2可動部303の装飾部分は、ゴム等の弾性部材(非透光性部材)により構成されている。
この第1可動部302及び第2可動部303は、例えば、剣を模して構成されており、第1可動部302は、剣の根元部分を構成し、第2可動部303は、剣先部分を構成している。すなわち、第1可動体300は、第2可動部303が第1可動部302に対して突出した第1状態(剣全体を構成した状態)と、第2可動部303が第1可動部302に対して収納された第2状態(剣先が引っ込んだ状態)と、に変化できる。
図3(A)及び図5(A)に示すように、通常状態において、第1可動体300は、第1可動部302及び第2可動部303が下方側に引き下げられた第1退避位置に配置されている。この第1退避位置は、第1可動体300の可動範囲における最下点の位置である。このときには、第1可動部302は、遊技者(前方側)から上端側の一部が視認可能となっており、他の部分が視認困難または視認不能となっている(図1参照)。
また、第2可動部303は、バネ305の付勢力により第1可動体300の上方側へ押し上げられており、第2可動部303の装飾部分のほとんどが遊技者(前方側)から視認可能となっている。つまり、第1可動部302に対し第2可動部303が突出する第1状態となっている。
図3(B)及び図5(B)に示すように、図3(A)及び図5(A)の状態から第1演出用モータ310が駆動すると、第1可動体300は、第1可動部302及び第2可動部303が前記第1退避位置よりも演出表示装置5に近づきながら上方側に押し上げられた位置である中間位置に配置される。この中間位置は、第2可動部303の上端部(先端部)が後述する保護部503に当接したときの位置である。また、第1可動体300が中間位置にあるときには、第1可動部302に対し第2可動部303が突出する第1状態が保たれている。
図3(C)及び図6に示すように、図3(B)及び図5(B)の状態から第1演出用モータ310がさらに駆動すると、第1可動体300は、第1可動部302及び第2可動部303が前記中間位置よりも演出表示装置5に近づきながら上方側に押し上げられた位置である第1演出位置に配置される。この第1演出位置は、第1可動体300の可動範囲における最上点の位置である。
第1可動体300が中間位置から第1演出位置に移動する際には、第2可動部303の上端部(先端部)が保護部503に当接しているため、第2可動部303の演出表示装置5に向けての移動が規制され、第1可動部302のみが第1演出位置側へ移動することとなる。つまり、第1可動体300が第1演出位置に移動するときには、第2可動部303が保護部503に当接した状態で第1可動部302のみが第1演出位置側へ移動することにより、第1可動部302に対し第2可動部303が収納される第2状態となる。すなわち、第1可動体300が第1演出位置にあるときには、第2可動部303が遊技者(前方側)から視認困難となっており、第1可動部302のみが遊技者(前方側)から視認可能となっている(図1参照)。
つまり、第1退避位置は、遊技者から見て最も手前側の位置であり、第1演出位置は、第1退避位置よりも演出表示装置5に近く遊技者から見て最も遠い位置であり、中間位置は、第1退避位置と第1演出位置との間の位置である。
次いで、第2可動体400及び第3可動体500の構造について図4に基づいて説明する。図4に示すように、第2可動体400及び第3可動体500は、前後方向に離間して配置されている。第2可動体400は、第3可動体500の前方に配置されており、上下に移動可能な移動体401と、移動体401を移動させる移動機構402と、を備えている。尚、移動機構402は、左右に配置されているが、同一構成のため、右側の移動機構402のみ説明し、左側の移動機構402の説明を省略する。
移動機構402は、第2演出用モータ410と、第2演出用モータ410の駆動軸に固定される第1ギヤ411と、第1ギヤ411に噛合する第2ギヤ412と、第2ギヤ412から下方に延びる回動軸413と、を備えている。この回動軸413の周面には、凹状の溝部413aが螺旋状に形成されているとともに、回動軸413の下端部には軸受部材414が配置されている。
移動体401は、装飾部403と、装飾部403の側方から延びるアーム404L,404Rと、を備えている。この装飾部403は、例えば、非透光性部材により構成されており、アーム404L,404Rは、透明なアクリル樹脂等の透光性部材により構成されている。
アーム404L,404Rの端部には、回動軸413が挿通される貫通孔を備える取付部405が形成されており、取付部405における貫通孔の内周面には、溝部413aに係合する図示しない突部が形成されている。すなわち、第2演出用モータ410が駆動すると第1ギヤ411及び第2ギヤ412を介して回動軸413が回動し、移動体401が上下に移動するようになっている。
詳しくは、移動体401は、演出表示装置5の上方に退避する第2退避位置(図4(A)及び図5(A)参照)と、演出表示装置5の前面に進出する第2演出位置(図4(B)及び図5(B)参照)と、の間で移動できるようになっている。尚、アーム404L,404Rは、透明なアクリル樹脂等の透光性部材により細く構成されているため、移動体401が第2退避位置または第2演出位置のいずれの位置にあってもアーム404L,404Rが遊技者から目立たないようになっている。
第3可動体500は、第2可動体400の後方に下方にずれて配置されており、上下に移動可能な移動体501と、移動体501を移動させる移動機構502と、を備えている。尚、移動機構502は、左右に配置されているが、同一構成のため、左側の移動機構502のみ説明し、右側の移動機構502の説明を省略する。
移動機構502は、第3演出用モータ510と、第3演出用モータ510の駆動軸に固定される第1ギヤ511と、第1ギヤ511に噛合する第2ギヤ512と、第2ギヤ512から下方に延びる回動軸513と、を備えている。この回動軸513の周面には、凹状の溝部513aが螺旋状に形成されているとともに、回動軸513の下端部には軸受部材514が配置されている。
移動体501は、保護部503と、保護部503の側方から延びるアーム504L,504Rと、を備えている。この保護部503及びアーム504L,504Rは、例えば、透明なアクリル樹脂等の透光性部材により構成されている。
アーム504L,504Rの端部には、回動軸513が挿通される貫通孔を備える取付部505が形成されており、取付部405における貫通孔の内周面には、溝部513aに係合する図示しない突部が形成されている。すなわち、第3演出用モータ510が駆動すると第1ギヤ511及び第2ギヤ512を介して回動軸513が回動し、移動体501が上下に移動するようになっている。
詳しくは、移動体501は、演出表示装置5の上方に退避する第3退避位置(図4(A)及び図5(A)参照)と、演出表示装置5の前面に進出する第3演出位置(図4(B)及び図5(B)参照)と、の間で移動できるようになっている。尚、移動体501が第3退避位置にあるときには、第2退避位置にある移動体401により該移動体501が遊技者側から視認困難となっている(図1参照)とともに、移動体501が第3演出位置にあるときには、第2演出位置にある移動体401よりも下方側に配置されるため、遊技者側から視認可能となっている。また、アーム504L,504Rは、透明なアクリル樹脂等の透光性部材により細く構成されているため、移動体501が第2退避位置または第2演出位置のいずれの位置にあってもアーム504L,504Rが遊技者から目立たないようになっている。
次に、各可動体の関係性について図5及び図6に基づいて説明する。図5(A)に示すように、第1可動体300が第1退避位置に配置され、第2可動体400の移動体401が第2退避位置に配置され、第3可動体500の移動体501が第3退避位置に配置されている状態では、第1可動体300における第2可動部303の先端部と第3可動体500の保護部503の前面とは、寸法L1分前後に離間しているとともに、第1可動部302から第2可動部303が突出する第1状態となっている。
図5(B)に示すように、第1可動体300が中間位置に配置されているときには、第2可動体400の移動体401が第2演出位置に配置され、第3可動体500の移動体501は、第3演出位置に配置されている。このとき、第1可動体300における第2可動部303の先端部が第3可動体500の保護部503の前面に当接する。尚、第2可動部303の先端部が第3可動体500の保護部503に当接可能であれば、第1可動体300と第2可動体400と第3可動体500との動作タイミングは同時であってもよいし、第2可動体400及び第3可動体500を先に動作させた後、第1可動体300を動作させる等、種々に変更可能である。
図6に示すように、第1可動体300が第1演出位置に配置されているときには、第2可動体400の移動体401及び第3可動体500の移動体501は、第2演出位置及び第3演出位置に配置された状態が維持されている。このとき、第1可動部302のみが第2可動部303の演出表示装置5に向けて移動し、第1可動部302に対し第2可動部303が収納される第2状態となる。
次いで、第1可動体300、第2可動体400、第3可動体500、及び演出表示装置5を用いた複合演出の一例について説明する。先ず、図7(A)に示すように、例えば、所定の変動表示中においてリーチ状態が成立した状態において、第1可動体300が第1退避位置、第2可動体400が第2退避位置、第3可動体500が第3退避位置にそれぞれ配置されている。
そして、リーチ状態が成立した後にスーパーリーチ演出に発展し、該スーパーリーチ演出の実行中における所定タイミングにおいて複合演出の開始条件が成立して複合演出が実行された場合、図7(B)に示すように、第1可動体300が第1退避位置から第1演出位置へ移動を開始するとともに、第2可動体400が第2演出位置に、第3可動体500が第3演出位置にそれぞれ移動を開始する。尚、複合演出の開始条件は、スティックコントローラ31Aの操作受付期間中に該スティックコントローラ31Aを操作することや、該スティックコントローラ31Aの操作受付期間が終了すること等により成立するようにしてもよい。
図7(C)に示すように、第2可動体400が第2演出位置に到達し、続いて第3可動体500が第3演出位置に到達する。その後、第1可動体300が中間位置に到達し、第1可動体300における第2可動部303の先端部が第3可動体500の保護部503の前面に当接する。このとき、保護部503は、透光性部材により構成されていることから、遊技者からは第2可動部303の先端部が演出表示装置5に直接当接したように見せることができる。また、第2可動部303の先端部と第3可動体500の保護部503とが当接した際には、演出表示装置5のスーパーリーチ演出中の画面上に第1可動体300の動作(遊技者から第2可動部303の先端部が演出表示装置5に当接するように見える動作)に合わせた第1エフェクト画像Aを表示する。
次いで、図7(D)に示すように、第1可動体300が第1演出位置に到達すると、第1可動体300は、第1可動部302に対し第2可動部303が突出する第1状態から第1可動部302に対し第2可動部303が収納される第2状態となる。つまり、第2可動部303が第1可動部302の背後に隠れ遊技者から視認不能となるとともに、第1可動部302が演出表示装置5に近接することから、演出表示装置5に剣先部分である第2可動部303が刺し込まれたような演出を行うことができる。
また、第1可動体300の第1状態から第2状態への変化に応じて、演出表示装置5の画面上に第1エフェクト画像Aとは異なる第2エフェクト画像Bを表示する。第2エフェクト画像Bは、保護部503と対応する位置に、例えば、ヒビが形成されるような画像を表示させる第1表示部を有しており、第1可動体300の動作(遊技者から第2可動部303が演出表示装置5に刺し込まれたように見える動作)に合わせた画像となっている。
次いで、図8(A)に示すように、第1可動体300を第1退避位置に戻すように動作させるとともに、第2可動体400を第2退避位置に、第3可動体500が第3退避位置に戻すように動作させる。この動作に応じて、演出表示装置5の画面上に第2エフェクト画像Bとは異なる第3エフェクト画像Cを表示する。第3エフェクト画像Cは、保護部503と対応する位置が例えば、割れるような画像を表示させる第2表示部を有しており、第1可動体300の動作(遊技者から第2可動部303が演出表示装置5から引き抜かれたように見える動作)に合わせた画像となっている。つまり、第1可動部302及び第2可動部303の動作に対応した画像を表示することができる。
続いて、図8(B)に示すように、第1可動体300が第1退避位置に、第2可動体400が第2退避位置に、第3可動体500が第3退避位置に戻るとともに、演出表示装置5の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rに演出図柄を揃え、「大当り」を示す第4エフェクト画像Dの表示を行う。
以上説明したように、演出表示装置5と、第1退避位置と遊技者側から見て該第1退避位置より演出表示装置5に近い第1演出位置との間で移動可能な第1可動体300と、を備え、第1可動体300は、第1可動部302と第1可動部302に対し動作可能に設けられた第2可動部303とを有し、第1可動部302に対し第2可動部303の少なくとも一部が突出する第1状態と、第1可動部302に対する第2可動部303の突出量が該第1状態よりも小さい第2状態と、に変化可能であり、第1退避位置から第1演出位置まで移動する場合、該第1演出位置に到達する前に第2可動部303が保護部503に当接し、第2可動部303が保護部503に当接した状態で第1可動部302が第1演出位置側へ移動することにより第1状態から第2状態へ変化する。
これによれば、第1可動体300が第1演出位置へ向けて移動することにより第1可動部302と第2可動部303とが演出表示装置5に近づくとともに、さらに第1演出位置側へ移動することにより第1可動部302が移動して第1状態から第2状態へ変化するため、演出効果が向上する。
具体的には、第1可動体300は、第1退避位置において第1状態となっている。第1可動体300は、第1退避位置から演出表示装置5に近い第1演出位置に移動する途中の中間位置にて保護部503に当接する。これにより第2可動部303の演出表示装置5側への移動が規制されるとともに、第1可動部302のみが演出表示装置5側に移動するため、第1演出位置において第1可動体300が第2状態となる。すなわち、第1可動体300が第1退避位置から第1演出位置へ向けて移動することにより、第1可動部302の背後に第2可動部303が隠れ遊技者から視認不能となるとともに、第1可動部302が演出表示装置5に近接することから、演出表示装置5に剣先部分である第2可動部303が刺し込まれたような演出を行うことができる。
尚、本実施例では、所定部として上下に動作する保護部503を用いる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定部は、例えば、常に演出表示装置5の前面側に固定的に配設されるアクリル板などであってもよい。また、演出表示装置5の表示画面または該表示画面の保護パネル層などを所定部とし、第2可動部303が直接演出表示装置5に当接するようにしてもよいし、演出表示装置5とは別個に設けられる可動役物や装飾部材などの構造物を所定部としてもよい。つまり、所定部は、第1可動体が第1演出位置に到達する前に第2可動部が当接し、表示手段側への移動を規制するものであればよい。言い換えれば、第1可動体300は、演出表示装置5における演出図柄表示エリア5Cに向けて移動することに限られず、少なくとも可動体の一部が演出表示装置5側に近づくように移動するようになっていれば自由に設定することができる。
尚、本実施例においては、第1可動体300の第2状態では、第1可動部302に対し第2可動部303が完全に突出していない状態(突出量が0%となる状態)となる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1可動体の第2状態は、第1可動部に対する第2可動部の突出量(突出領域)が第1可動体の第1状態よりも小さければ、第1可動部に対して第2可動部が突出していてもよい。また、第1可動体の第1状態における第2可動部の突出量の大きさは自由に設定することができる。
また、本実施例では、第1可動体300が演出表示装置5に向けて先細りとなる略三角形状に構成されていることで、遊技者に対し奥行き感を与えることができるため、第2状態に変化することであたかも第2可動部303が表示画面に刺さったかのように見せることができる。
また、第1可動体300は、第1状態において第2可動部303が遊技者から視認可能となり、第2状態において第2可動部303が第1可動部302により被覆されて遊技者から視認困難または不能となるため、第2状態に変化することで第1可動体300が変形したように見せることができる。
具体的には、第2可動部303は、第1可動部302の背面側に配置され、第1可動部302は、非透光性部材により構成されており、第2状態において第2可動部303が第1可動部302の背後に移動することより、第2可動部303が遊技者から視認不能となり、第2可動部303が演出表示装置5に表示された演出画像に刺し込まれたような演出を行うことができる。
尚、前記実施例において、第1可動体300が第2状態にあっては、第1可動部302が非透光性部材により構成されていることにより第2可動部303が遊技者から視認困難となる形態を例示したが、本発明は、これに限定されるものではなく、第1可動部302を透光性部材により構成し、第1可動体300の第2状態において第2可動部303が遊技者から視認可能となっていてもよい。
また、第1可動体300は、演出表示装置5の表示部(画面)に対し斜めに交差する方向へ移動するため、第2可動部303が遊技者から視認し難くなることを抑制できる。詳しくは、第1可動体300は、垂直に配置される演出表示装置5の画面に対し斜めに交差する方向へ移動するため、演出表示装置5の画面に対し直角に移動する可動体に比べ、第1状態の第2可動部303が遊技者から視認しやすくなっている。
尚、前記実施例では、第1可動体300が演出表示装置5の表示部に対し斜めに交差する方向へ移動する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、演出表示装置5の画面に対し直交する方向に移動するようになっていてもよい。
また、第1可動体300は、演出表示装置5の前方側下方に配置され、演出表示装置5に向けて斜めに進退移動していたが、演出表示装置5の上方位置、左右位置、斜めの位置から演出表示装置5に向けて進退移動するようになっていてもよい。
また、保護部503は、演出表示装置5と第1可動体300との間に配置される透光性部材であるため、演出表示装置5の視認性を妨げることがないように演出表示装置5を保護することができる。すなわち、保護部503が第3演出位置(演出表示装置5の前面側)に配置されても、保護部503を介して演出表示装置5を視認することができるとともに、第1可動体300の第2可動部303が演出表示装置5の表示画面に直接当接しないため、演出表示装置5に傷が付くことが防止される。
尚、前記実施例では、保護部503(所定部)が透光性部材により構成される形態について例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、演出表示装置5の一部を隠すように非透光性部材により構成されていてもよい。
また、第2可動部303における少なくとも保護部503との当接部(第2可動部303の装飾部分)は、弾性部材により形成されているため、第2可動部303と保護部503との当接による保護部503の破損を抑制できる。
尚、前記実施例では、第2可動部303の装飾部分の全体がゴム等の弾性部材により構成されていたが、少なくとも第2可動部と所定部との当接箇所が弾性部材により構成されていればよい。
また、演出制御用CPU120は、演出表示装置5に第1可動部302及び第2可動部303の動作に対応した第2エフェクト画像B及び第3エフェクト画像Cを表示可能であるため、遊技の興趣を向上させることができる。詳しくは、演出表示装置5は、第1可動体300が第1状態から第2状態へと変形した際に、保護部503と対応する位置にヒビが形成されるような画像(第2エフェクト画像B)を表示するとともに、第1可動体300が第2状態から第1状態へと変形した際に、保護部503と対応する位置が割れるような画像(第3エフェクト画像C)を表示する。つまり、第2可動部303が演出表示装置5に刺し込まれる演出のときと、第2可動部303が演出表示装置5から抜かれる演出のときとで異なる画像を表示できるため、遊技の興趣が向上する。
尚、本実施例では、第1可動体300が第1状態から第2状態となる変形(剣先部分である第2可動部303が演出表示装置5に刺し込まれる演出)を1回行う形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1可動体300が第1状態と第2状態との変化を複数回繰り返すことにより、興趣を向上させるような演出を行ってもよい。また、演出制御用CPU120は、演出表示装置5に第1状態と第2状態との変化に応じて画像を変化させることで、演出効果をより高めることができる。
また、演出表示装置5は、第1可動体300の変化に対応したエフェクト表示(第1エフェクト画像A〜第4エフェクト画像D)が可能であるため、第1可動体300の動作に対する演出効果が向上する。詳しくは、第1可動体300及び演出表示装置5を用いた複合演出において、第1可動体300の動作態様に応じて異なる第1エフェクト画像A〜第4エフェクト画像Dが表示されるため、演出効果が向上する。
また、前記実施例では、第3可動体500が第3演出位置に移動したときに、演出表示装置5の表示画面における保護部503に対応する位置に表示する演出画像として第2エフェクト画像Bを適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2エフェクト画像B以外の画像(例えば、図柄やキャラクタや背景画像など任意の画像)を表示可能である。また、演出表示装置5の表示画面における保護部503に対応する位置に表示する演出画像に剣先(第2可動部303)が刺さるような演出を実行するものに限らず、例えば、演出画像を第2可動部が貫いたり衝突したりするような演出を実行してもよい。
尚、前記実施例では、第1可動体300全体が演出表示装置5に対し斜め方向に交差する方向へ移動する形態について例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも第2可動部303の一部が演出表示装置5の方向に移動可能であればよい。例えば、上下方向に移動する動作部に第1可動部及び第2可動部が演出表示装置5側に傾くように取付けられ、動作部が演出表示装置5の前に突出したときに、所定部に第2可動部が当接し第2可動部の突出量が小さくなる(第2状態となる)ようになっていてもよい。
また、前記実施例では、第1可動部302に対し第2可動部303が同一方向に移動することで第1状態から第2状態に変形する形態について例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1可動部に対し、第2可動部が回動可能に取付けられ、第1可動部が演出表示装置側に移動することに伴って、第2可動部が所定部に当接し第1可動部の移動方向とは異なる方向に回動することで第1状態から第2状態に変形するようになっていてもよい。
尚、第2可動部は、1つの部材から構成されることに限られず、例えば、第1可動体の移動方向に対してテレスコピック状に伸縮可能となるように複数の部材から構成されていてもよい。また、第2可動部は、1つの第1可動体に複数設けられていてもよい。また、可動体は、遊技機に対して複数設置されていてもよい。
また、前記実施例では、第1可動体300は、演出表示装置5よりも前方側に配置される形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、演出表示装置5の背面側に設けられ、前面側に向けて動作するようになっていてもよい。
また、前記実施例では、表示手段として演出表示装置5を適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示手段を複数設けてもよい。また、この場合、各表示手段に対応した可動体を設けて上記複合演出と同様の演出を実行可能としてもよい。
また、前記実施例では、第1可動体300が第1演出位置へ移動したときに第2可動部303が保護部503に当接することで第1可動体300が第1状態から第2状態へ変化する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2可動部303が保護部503に近接することで第1可動体300が第1状態から第2状態へ変化するようにしてもよい。この場合、第1可動部に対し第2可動部を動作させる駆動源や連動機構等を設ければよい。
また、前記実施例では、第1可動体300は、第1退避位置及び中間位置で第1状態であり、第1演出位置に移動することで第2状態に変化する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1退避位置で第2状態であり、中間位置で第1状態になって第1演出位置で第2状態に変化するようにしてもよい。
また、前記実施例では、スーパーリーチ演出の実行中に複合演出を実行する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スーパーリーチ以外の演出(例えば、図柄の変動表示中において実行する予告演出、リーチ予告、停止図柄予告、昇格演出、再変動演出、擬似連演出、ラウンド継続演出など)において実行するようにしてもよい。
また、前記実施例では、第1可動体300が第1状態から第2状態へ変化する際における第1可動部302に対する第2可動部303の突出量の変化を常に一定とした形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1可動部302に対する第2可動部303の突出量の変化度合いを複数設定してもよい。例えば、第1可動体300が第1状態から第2状態へ変化することで第1可動部302に対する第2可動部303の突出量が0%になる場合と20%になる場合とがあるようにしてもよい。つまり、中間位置からの第1可動部302の移動量を変化させるようにすればよい。
また、この場合、例えば、大当り予告演出において複合演出を実行する場合、特別図柄の変動表示結果が大当りとなるときには、はずれとなるときよりも高い割合で第1可動部302に対する第2可動部303の突出量が小さくなるようにすればよい。このようにすることで、第1可動体300の動きに注目させることができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。尚、これら封入式遊技機においては遊技球ではなく得点やポイントが遊技者に付与されるので、これら付与される得点やポイントが遊技価値に該当する。
また、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機が適用されていたが、例えば遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な変動表示装置に変動表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該変動表示装置に導出された変動表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンにも適用可能である。
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状の遊技球(パチンコ球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えば、メダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。