まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機を正面から見た正面図である。図2は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、以下において、図1の手前側をパチンコ遊技機1の前方(前面、正面)側、奥側を背面(後方)側とし、パチンコ遊技機1を前面側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、該パチンコ遊技機1にて遊技を行う遊技者と対向する対向面である。
図1は、本実施例におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(以下、遊技機と略記する場合がある)1は、大別して、遊技盤面2aを構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレール2bによって囲まれた正面視略円形状の遊技領域10が形成されている。この遊技領域10には、遊技媒体としての遊技球が打球発射装置(図示略)から発射されて打ち込まれる。また、遊技機用枠3には、ガラス窓50aを有するガラス扉枠50が左側辺を中心として回動可能に設けられ、該ガラス扉枠50により遊技領域10を開閉できるようになっており、ガラス扉枠50を閉鎖したときにガラス窓50aを通して遊技領域10を透視できるようになっている。
図1に示すように、遊技盤2は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等の透光性を有する合成樹脂材にて正面見略四角形状に形成され、前面である遊技盤面2aに障害釘(図示略)やガイドレール2b等が設けられた盤面板200(図14及び図15参照)と、該盤面板の背面側に一体的に取付けられるスペーサ部材250(図14及び図15参照)と、から主に構成されている。尚、遊技盤2はベニヤ板にて構成されていてもよい。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域10の右側下部位置)には、第1特別図柄表示器4Aと、第2特別図柄表示器4Bとが設けられている。第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、例えば7セグメントやドットマトリクスのLED(発光ダイオード)等から構成され、変動表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(変動表示または可変表示ともいう)される。以下では、第1特別図柄表示器4Aにおいて変動表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示器4Bにおいて変動表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
遊技盤2における遊技領域10の中央付近には、演出表示装置5(メイン液晶とも言う)が設けられている。演出表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示器4Aによる第1特図の変動表示や第2特別図柄表示器4Bによる第2特図の変動表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の変動表示部となる演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である演出図柄が変動表示される。この演出図柄の変動表示も、変動表示ゲームに含まれる。
このように、演出表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の演出図柄の変動表示を行い、変動表示結果となる確定演出図柄(最終停止図柄)を導出表示する。
演出表示装置5は、遊技盤2よりも背面側に配設され、該遊技盤2に形成された開口2cを通して視認できるようになっている。尚、遊技盤2における開口2cには枠状のセンター飾り枠51が設けられている。遊技盤2の背面と演出表示装置5との間には、演出表示装置5の上方に退避する待機位置と、演出表示装置5の前方の演出位置と、に動作可能な可動体(図示略)が設けられている。
演出表示装置5の表示領域の下部の左右2箇所には、第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uが設定されている。第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uでは、特図ゲームに対応した変動表示の保留記憶数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。
ここで、特図ゲームに対応した変動表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口61を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや演出図柄の変動表示といった変動表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく変動表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、変動表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する変動表示の保留が行われる。
第1特別図柄表示器4A及び第2特別図柄表示器4Bの右方位置には、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示し、第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。
演出表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aが設けられ、演出表示装置5の右側下方には、普通可変入賞球装置6Bが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の球受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図2に示す普通電動役物用となるソレノイド81によって、遊技領域10に突出する突出位置となる閉鎖状態と遊技領域10から退避する退避位置となる開放状態とに変化する可動板62を有する普通電動役物を備え、始動領域(第2始動領域)としての第2始動入賞口61を形成する。
第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第1始動口スイッチ22Aによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。また、第2始動入賞口61を通過(進入)した遊技球が第2始動口スイッチ22Bによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。
図1に示すように、普通入賞球装置6Aの右方位置には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、図2に示す大入賞口扉用となるソレノイド74によって開閉駆動される大入賞口扉7bによって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口7aを形成する。このように、特定領域としての大入賞口7aは、遊技球が通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できない(または通過(進入)しにくい)遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。
大入賞口7aを通過(進入)した遊技球が図2に示すカウントスイッチ23によって検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。したがって、特別可変入賞球装置7において大入賞口7aが開放状態となれば、その大入賞口7aに遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1の状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7において大入賞口7aが閉鎖状態となれば、大入賞口7aに遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2の状態となる。尚、普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B及び特別可変入賞球装置7は、遊技盤2における右側下部に固定される入賞ユニット500に組込まれている。
第2保留表示器25Bの右方位置には、普通図柄表示器20が設けられている。普通図柄表示器20の右方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート41を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、遊技領域10の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L,8Rが設けられており、更に遊技領域10の周辺部には、演出用LED9が設けられている。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域10に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。
遊技領域10の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、発射装置(図示略)へと供給可能に保持(貯留)する上皿90(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿90から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿91が設けられている。下皿91を形成する部材に取付けられたスティックコントローラ31Aの傾倒操作はコントローラセンサユニット35Aにて検出され、上皿90を形成する部材に設けられたプッシュボタン31Bに対してなされた押下動作はプッシュセンサ35Bにて検出される。
次に、パチンコ遊技機1の回路構成について説明する。パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、LED制御基板14、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15、払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の変動表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の変動表示を制御することといった、所定の表示図柄の変動表示を制御する機能も備えている。また、主基板11には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100や、スイッチ回路110、ソレノイド回路111などが搭載されている。
図2に示すように、主基板11には、通過ゲート41を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23からの検出信号を伝送する配線が接続されている。また、第1特別図柄表示器4A、第2特別図柄表示器4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば、演出図柄の変動時間及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを示す変動パターン指定コマンド等が含まれている。
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM101(ReadOnlyMemory101)と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM102(RandomAccessMemory102)と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU103(CentralProcessingUnit103)と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O105(Input/Outputport105)と、を備えて構成される。一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。
図2に示すように、演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、スピーカ8L,8R、演出用LED9、演出表示装置5といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路や、スティックコントローラ31A、プッシュボタン31Bといった電気部品の動作を検出するための各種回路が搭載されている。
演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、演出表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。一例として、演出制御基板12では、演出制御用CPU120がROM121から読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。また、ROM121には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。
次に、パチンコ遊技機1における遊技の進行を概略的に説明する。パチンコ遊技機1では、遊技領域10に設けられた通過ゲート41を遊技球が通過したことに基づいて、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。普通図柄の変動を開始させた後、普図変動時間となる所定時間が経過し、普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図はずれ」となる。特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となり、普通可変入賞球装置6Bの可動板62が遊技領域10から退避する開放制御が行われ、所定時間が経過すると遊技領域10に突出する閉鎖位置に戻る通常開放制御が行われる。
遊技球が第1始動入賞口に入賞したことなどにより第1始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示器4Aによる特図ゲームが開始される。また、遊技球が第2始動入賞口61に入賞したことなどにより第2始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームが開始される。
特図ゲームでは、特別図柄の変動表示を開始させた後、変動表示時間が経過すると確定特別図柄(特図表示結果)を導出表示する。このとき、特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「はずれ」となる。特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置7の大入賞口扉7bが、所定の上限時間(例えば29秒間や0.1秒間)が経過するまでの期間あるいは所定個数(例えば9個)の入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口7aを開放状態とする。これにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって有利な第1の状態(開放状態)とするラウンドが実行される。
ラウンドの実行中に大入賞口7aを開放状態とした大入賞口扉7bは、遊技盤2の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口7aを閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって不利な第2の状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。大入賞口7aの開放サイクルであるラウンドは、その実行回数が所定の上限回数(例えば「16」など)に達するまで、繰り返し実行可能となっている。
演出表示装置5の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rでは、特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。リーチ状態とは、演出表示装置5の表示領域にて停止表示された演出図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない演出図柄については変動が継続している表示状態、あるいは、全部または一部の演出図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の通常大当り組合せ(「非確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「非確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時間短縮制御(時短制御)が行われる。時短制御が行われることにより、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示時間(特図変動時間)は、通常状態に比べて短縮される。尚、時短制御では、普通図柄の当選頻度が高められて、普通可変入賞球装置6Bへの入賞頻度が高められる、いわゆる電チューサポートが実施される。時短制御は、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば100回)の特図ゲームが実行されることと、変動表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに、終了すればよい。
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の確変大当り組合せ(「確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時短制御とともに確率変動制御(確変制御)が行われる。この確変制御が行われることにより、各回の特図ゲームにおいて変動表示結果が「大当り」となる確率は、通常状態に比べて高くなるように向上する。確変制御は、大当り遊技状態の終了後に変動表示結果が「大当り」となって再び大当り遊技状態に制御されるという条件が成立したとき、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば時短回数と同じ100回)の特図ゲームが実行されたとき、大当り遊技状態の終了後に特図ゲームが開始されるごとに実行される確変転落抽選にて確変制御を終了させる「確変転落あり」の決定がなされたとき、などに終了すればよい。
時短制御が行われるときには、普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、変動表示結果が「普図当り」となったことに基づく普通可変入賞球装置6Bにおける可動板62の移動制御を行う移動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その移動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口61を通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御(電チューサポート制御、高開放制御)が行われる。これにより、第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に変動表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理において遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、スイッチ処理、メイン側エラー処理、情報出力処理、遊技用乱数更新処理、特別図柄プロセス処理、普通図柄プロセス処理、コマンド制御処理を実行する。
特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部(図示略)に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7における大入賞口7aの開閉動作設定などを、所定の手順で行うために各種の処理が選択されて実行される。
特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、第1始動入賞や第2始動入賞があったか否かを判定し、入賞があった場合には、特図表示結果判定用、大当り種別判定用、変動パターン判定用などの乱数値をそれぞれ抽出して、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部における空きエントリの最上位に格納(記憶)する始動入賞処理を実行する。
また、CPU103は、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部に記憶されている保留データの有無などに基づいて特図ゲームを開始するか否かの判定や、特図表示結果判定用の乱数値を示す数値データに基づき、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する特別図柄通常処理を実行する。つまり、CPU103は、特図ゲームの変動表示を開始するときに、始動入賞が発生したときに記憶した乱数値に基づいて、当該変動表示の表示結果として大当り表示結果を導出表示するか否かを決定(抽選)する処理を実行する。
次いで、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する変動パターン設定処理、特別図柄を変動させるための設定や特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理を行う特別図柄変動処理、特別図柄の変動を停止させて確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う特別図柄停止処理を行う。また、変動表示結果が「大当り」となった場合は、大当り遊技状態において大入賞口7aを開閉させる処理を行う大当り開放前処理、大当り開放中処理、大当り開放後処理、大当り終了処理を行う。
次に、演出制御基板12の動作を説明する。先ず、演出制御用CPU120は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理においてタイマ割込が発生すると、コマンド解析処理、演出制御プロセス処理、演出用乱数更新処理を実行する。
演出制御プロセス処理では、演出表示装置5の第1保留記憶表示エリア5D及び第2保留記憶表示エリア5Uでの保留記憶表示を、保留記憶バッファの記憶内容に応じた表示に更新する保留表示更新処理を実行する。次いで、演出制御プロセスフラグの値に応じて、遊技制御用マイクロコンピュータ100から変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する変動パターン指定コマンド受信待ち処理、演出図柄の変動が開始されるように制御する演出図柄変動開始処理、演出図柄変動開始処理にてセットされたプロセスデータに応じて変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミング等の制御や変動時間の終了を監視するとともに、演出表示装置5の表示制御、スピーカ8L,8Rからの音出力、演出用LED9の発光及び可動体(図示略)の駆動制御等を行う演出図柄変動中処理、演出図柄の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う演出図柄変動停止処理を行う。
大当り表示処理においては、変動時間の終了後、演出表示装置5に大当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。大当り遊技中処理においては、大当り遊技中の制御を行う。大当り終了演出処理においては、演出表示装置5において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。
このように演出制御用CPU120は、遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信された演出制御コマンド(制御情報)に基づいて、演出図柄の変動表示制御や予告演出といった遊技に関連する各種演出を実行可能とされている。
尚、演出制御用CPU120が演出図柄の変動表示中において実行する予告演出としては、例えば、大当りの可能性を示唆する大当り予告演出や、リーチになるか否かを示唆するリーチ予告、停止図柄を予告する停止図柄予告、遊技状態が確率変動状態であるか否か(潜伏しているか否か)を予告する潜伏予告といったように、変動表示開始時やリーチ成立時において実行される複数の予告を含む。
本実施例では、以下に説明する可動体(図示略)による演出や、可動体(図示略)、スピーカ8L,8R、及び演出用LED9等による複合演出や、遊技者がスティックコントローラ31Aまたはプッシュボタン31Bを操作したことを条件に実行される操作演出といった各種演出が各種予告として実行可能とされている。
次に、図3〜図7に基づいて、入賞ユニット500の構造について説明する。図3は、(A)は特別可変入賞球装置の進入口が閉鎖状態であるときの入賞ユニットを斜め前から見た状態を示す斜視図、(B)は特別可変入賞球装置の進入口が開放状態であるときの入賞ユニットを斜め前から見た状態を示す斜視図である。図4は、入賞ユニットの構造を斜め後から見た状態を示す斜視図である。図5は、大入賞口扉の周辺構造を示す分解斜視図である。図6は、(A)は大入賞口扉及び伝達部材の構造を斜め前から見た状態を示す斜視図、(B)は大入賞口扉及び伝達部材の構造を斜め後から見た状態を示す斜視図である。図7は、(A)は大入賞口扉の閉鎖状態を示す斜視図、(B)は大入賞口扉の開放状態を示す斜視図である。
図3及び図4に示すように、入賞ユニット500は、遊技盤2に形成された開口2d(図14及び図15参照)を閉鎖するように該遊技盤2の前面側から嵌合可能に形成されたベース部材501を有し、該ベース部材501の左側には、普通入賞球装置6Aが組付けられており、該ベース部材501の右側上部には、特別可変入賞球装置7が組付けられているとともに、その下方位置には、普通可変入賞球装置6Bが組付けられている。
ベース部材501は、遊技盤面2aに沿うように配置され、該ベース部材501の前面上部には、遊技球Pが進入可能な大きさを有する横長長方形状の大入賞口7aが設けられ、大入賞口扉7bにより開閉可能とされている。また、大入賞口7aの下方位置には、遊技領域10を流下してきた遊技球Pを右側から左側に向けて誘導する第1誘導通路502が、大入賞口7aの右側方から該大入賞口7aの左端部にかけて下方に傾斜するように延設されており、該第1誘導通路502の左側には、平面視略長方形をなす第2始動入賞口61が形成され、可動板62(図19及び図20参照)により開閉可能とされている。すなわち、第1誘導通路502は、大入賞口7aとは異なる第2始動入賞口61(本実施例における特定進入口)に遊技球Pを誘導可能に設けられている。また、第1誘導通路502の上方(大入賞口7aと第2始動入賞口61との間)には、遊技領域10を流下してきた遊技球Pを右側から左側に向けて誘導する第2誘導通路503が、大入賞口7aの右側方から該大入賞口7aの左右方向の略中央位置にかけて下方に傾斜するように延設されている。
大入賞口7aの周縁部における上縁部501aには、前方側に突出する突出部501Aが該大入賞口7aの上縁部501aに沿って延設されている。この突出部501Aは、上縁部501aの右端位置から左右方向の略中央位置よりもやや右側位置にかけて延設され、左右方向の幅寸法Lb1は、大入賞口7aの上縁部501aの左右方向の幅寸法Lb2よりも短寸に形成されている(Lb1<Lb2)。したがって、大入賞口7aの周縁部における上縁部501aには、突出部501Aが設けられる部分(図14参照)と、突出部501Aが設けられない部分(平坦部501B、図15参照)と、が形成される。つまり、大入賞口7aの上縁部501aにおいて突出部501Aと平坦部501Bとの間に前後方向に段差501bが形成される。
また、突出部501Aは、大入賞口7aの上縁部501aの右側に寄せて配設されている。具体的には、図1に示すように、本実施例では、遊技領域10は、該遊技領域10の略中央位置に配設された演出表示装置5の周囲を囲うセンター飾り枠51を挟んで左右に分かれており、遊技球Pは、演出表示装置5の左側の第1経路K1または右側の第2経路K2のいずれかを流下するようになっている。特別可変入賞球装置7は、遊技領域10における演出表示装置5の右下に配設されているため、操作ハンドルの操作により遊技球Pを強めに打ち出す(所謂右打ちする)ことにより第2経路K2を流下する遊技球Pが大入賞口7aに進入可能に設けられている。
第2経路K2を流下して演出表示装置5の右下方に設けられた構造物600に到達した遊技球Pの大半は、該構造物600の上面600a(図16(A)参照)に形成された誘導通路を左側に流下することにより、該構造物600の左斜め下方位置にある大入賞口7aに入賞(進入)可能に誘導されるようになっている。また、第2経路K2を流下する一部の遊技球Pは、構造物600の右側(構造物600とガイドレール2bとの間)を流下して第1誘導通路502または第2誘導通路503に右側方から進入することにより、第1誘導通路502及び第2誘導通路503の左斜め下方位置にある第2始動入賞口61に入賞(進入)可能に誘導されるようになっている。つまり、第2経路K2を流下する遊技球Pの大半は、大入賞口7aの右側方から入賞可能に誘導されるため、突出部501Aは、大入賞口7aの上縁部501aの左側よりも高い割合で遊技球Pが入賞する大入賞口7aの上縁部501aの右側に配設されている。
図3及び図4に示すように、特別可変入賞球装置7は、前面に大入賞口7aに連通する開口が形成された箱状の本体71にて構成されている。本体71は、ベース部材501に設けられた大入賞口7aの背面に固定される断面略上向きコ字状の基部71aと、基部71aにネジN1により固定される断面略下向きコ字状のカバー部71bと、から構成されている。本体71内には、大入賞口7aに進入した遊技球Pをカウントスイッチ23に向けて誘導する誘導壁部72a(図5参照)により区画された大入賞通路72が形成されるとともに、大入賞口7aを開閉する大入賞口扉7bの開閉駆動機構73が組付けられている。
図5に示すように、開閉駆動機構73は、基部71aの右側に固設されたソレノイド74と、ソレノイド74のプランジャ74aの先端に取付けられた連結部材75と、前後方向を向く回動軸76aを中心として基部71aに対して回動可能に設けられた駆動力伝達部材76と、大入賞口扉7bと、から構成されている。尚、ソレノイド74と連結部材75との間、つまりプランジャ74aの外周には、バネ77が配設されており、連結部材75を左側へ押圧する方向に付勢している。
駆動力伝達部材76は、後側に突出した連結軸76bを備え、該連結軸76bを連結部材75に形成された上下方向を向く長孔75aに挿入するとともに、前端に形成された二股状のキャッチ部76cを大入賞口扉7bに突設された連結軸78に係合することで、大入賞口扉7bと連結部材75とを連結している。
図5及び図6に示すように、大入賞口扉7bは、大入賞口7aを閉塞可能な大きさに形成された前壁部7cと、前壁部7cの左右両側に設けられる側面視略三角形状の側壁部7d,7eと、を備え、側壁部7d,7eの下辺には、左右方向を向く回動軸79L,79Rが左右側に突設されており、回動軸79L,79Rを中心として回動可能となるように基部71aに設けられている。また、前壁部7cの背面における左右両側には、該前壁部7cの背面上を転動する遊技球Pを該前壁部7cにおける左右方向の中央部に誘導する誘導部7f,7gが形成されている(図6(B)参照)。
また、右側の側壁部7eには、前述した連結軸78が左右方向を向いて右側に突出している。この連結軸78は、側面視略三角形状を成している。言い換えれば、連結軸78は、断面視形状が非円形をなす柱状に構成されている。尚、連結軸78の上側の周面78aは、緩やかな曲率で断面視円弧状を成す。
図7(A)に示すように、ソレノイド74がオフ状態(非励磁状態)のときには、バネ77の付勢力により連結部材75が左側へ押圧され、これにより駆動力伝達部材76が回動軸76aを中心として左側(正面視反時計回り)に傾動し、キャッチ部76cの上部が連結軸78の周面78a(図6参照)に接触して押し下げるため、大入賞口扉7bが回動軸79L,79Rを中心として後方向(右側面視時計回り)に回動し、前壁部7cが大入賞口7aを閉鎖する閉鎖位置に配置される。尚、キャッチ部76cの上部及び下部における連結軸78の周面78aとの接触部は、前後方向に向けて略水平に延設されている。
図7(B)に示すように、ソレノイド74がオン状態(励磁状態)のときには、バネ77の付勢力に抗してプランジャ74aが右側へ移動し、連結部材75が右側へ引っ張られ、これにより駆動力伝達部材76が回動軸76aを中心として右側(正面視時計回り)に傾動し、キャッチ部76cの上部が連結軸78の上側の周面78aから離間するため、大入賞口扉7bの重量バランスにより大入賞口扉7bが回動軸79L,79Rを中心として前方向(右側面視反時計回り)に回動し、前壁部7cが大入賞口7aを最大に開放する開放位置に配置される。詳しくは、大入賞口扉7bは、閉鎖位置において重心が回動軸79L,79Rよりも前方側に位置しているため、キャッチ部76cの上部と連結軸78の上側の周面78aとの接触が解除されると、回動軸79L,79Rを中心として前方向に回動するようになる。
尚、本実施例では、キャッチ部76cの上部と連結軸78の上側の周面78aとの接触を解除することにより大入賞口扉7bの重量バランスによって大入賞口扉7bが開放位置に配置される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、キャッチ部76cの下部が連結軸78の下側の周面を押し上げることにより大入賞口扉7bが開放位置に配置されるようになっていてもよい。
図4に戻って、普通可変入賞球装置6Bは、ベース部材501の背面側に固定されたソレノイド81と、ソレノイド81のプランジャ81aの先端に取付けられた連結部材63と、上下方向を向く回動軸64を中心としてベース部材501に対して回動可能に設けられた駆動力伝達部材65と、前述した可動板62と、から主に構成されている。詳しくは、ソレノイド81は、ベース部材501の背面側に固定される第1ベース部66上に固定され、駆動力伝達部材65及び可動板62は、ベース部材501の背面側に固定される第2ベース部67上に取付けられており、第1ベース部66及び第2ベース部67に渡って配置される第1カバー部68により可動板62の上方及びソレノイド81の側方が被覆され、第1カバー部68の上方にネジN2により固定される第2カバー部69によりソレノイド81及び駆動力伝達部材65の上方が被覆されている。尚、ソレノイド81と連結部材63との間、つまりプランジャ81aの外周には、図示しないバネが配設されており、連結部材75を後側へ押圧する方向に付勢している。
駆動力伝達部材65は、一端が連結部材63に対し回動可能に接続され、他端が可動板62に対し回動可能に接続されており、可動板62は、ベース部材501に設けられた壁部により前後方向に移動可能にガイドされている。この普通可変入賞球装置6Bは、ソレノイド81をオフ状態(非励磁状態)にすることにより、可動板62が前方側に移動して第2始動入賞口61を閉鎖する(図9(A)の二点鎖線部分参照)とともに、ソレノイド81をオン状態(励磁状態)にすることにより、可動板62が後方側に移動して第2始動入賞口61を開放する(図9(A)の点線部分参照)。
次に、大入賞口扉7bが開放位置から閉鎖位置に動作する形態を図8〜図13に基づいて説明する。図8は、(A)は従来の大入賞口扉が開放位置にあるときの状態を示す説明図、(B)は従来の大入賞口扉と突出部との間で球噛みが生じる可能性がある位置にあるときの状態を示す説明図である。図9は、(A)は従来の大入賞口扉と平坦部との間で球噛みが生じる可能性がある位置にあるときの状態を示す説明図、(B)は従来の大入賞口扉が閉塞位置に到達する直前の位置にある状態を示す説明図である。図10は、(A)は本実施例の大入賞口扉が開放位置にあるときの状態を示す説明図、(B)は本実施例の大入賞口扉と突出部との間で球噛みが生じる可能性がある位置にあるときの状態を示す説明図である。図11は、(A)は本実施例の大入賞口扉と平坦部との間で球噛みが生じる可能性がある位置にあるときの状態を示す説明図、(B)は本実施例の大入賞口扉が閉塞位置に到達する直前の位置にあるときの状態を示す説明図である。図12は、本実施例の大入賞口扉が閉鎖位置にあるときの状態を示す説明図である。図13は、(A)は従来の大入賞口扉の各位置でのモーメントアームの長さを示すグラフ、(B)は本実施例の大入賞口扉の各位置でのモーメントアームの長さを示すグラフである。尚、図8〜図12においては、回動軸79Rのみ図示して説明し、回動軸79Lの図示及び説明を省略する。
先ず、従来の大入賞口扉7b’が開放位置から閉鎖位置に動作する形態を説明する。尚、ここでいう従来の大入賞口扉7b’とは、連結軸78’の断面視形状が円形を成す円柱状に構成されているものを指し、従来の大入賞口扉7b’を本実施例における突出部501A及び平坦部501Bが形成された入賞ユニット500に適用した形態を説明する。
図8(A)及び図13(A)に示すように、大入賞口扉7b’が開放位置にあるとき(図13(A)におけるタイミングta1)には、連結軸78’の中心上部(接触点Pa1)にキャッチ部76cの上部が接触している。大入賞口扉7b’が開放位置にある状態から閉鎖位置に向けて回動させる際には、キャッチ部76cが接触点Pa1から垂直下方に力を与える(特に図8(A)の右図参照)。このときには、接触点Pa1に作用する力の作用線Eと、回動軸79Rの中心軸Cと、を結ぶ垂線の長さ、つまりモーメントアームの長さが寸法La1となっている。
図8(B)及び図13(A)に示すように、大入賞口扉7b’が該大入賞口扉7b’と突出部501Aとの間で遊技球Pの球噛みが生じる可能性がある位置にあるとき(図13(A)におけるタイミングta2)において、連結軸78’は、タイミングta1のときに比べて回動軸79Rを中心として右側面視時計回りに回動しているため、タイミングta2におけるキャッチ部76cと連結軸78’との接触点Pa2は、接触点Pa1に比べ連結軸78’の外周面に沿って右側面視反時計回り摺動するとともに、接触点Pa1よりも後方側に配置されることとなる。このときには、モーメントアームの長さは、寸法La1よりも長い寸法La2となっている(La1<La2)。
図9(A)及び図13(A)に示すように、大入賞口扉7b’が該大入賞口扉7b’と平坦部501Bとの間で球噛みが生じる可能性がある位置にあるとき(図13(A)におけるタイミングta3)におけるキャッチ部76cと連結軸78’との接触点Pa3は、接触点Pa1に比べ連結軸78’の外周面に沿って更に右側面視反時計回り摺動するとともに、接触点Pa1よりも後方側に配置されることとなる。このときには、モーメントアームの長さは、寸法La1よりも長い寸法La3となっている(La1<La3)。尚、接触点Pa3は、接触点Pa2に比べても連結軸78’の外周面に沿って更に右側面視反時計回り摺動するとともに、接触点Pa2よりも後方側に配置されており、モーメントアームの寸法La3は、寸法La2よりも長くなっている(La2<La3)。
図9(B)及び図13(A)に示すように、大入賞口扉7b’が閉塞位置に到達する直前の位置にあるとき(図13(A)におけるタイミングta4)におけるキャッチ部76cと連結軸78’との接触点Pa4は、接触点Pa1に比べ連結軸78’の外周面に沿って更に右側面視反時計回り摺動するとともに、接触点Pa1よりも後方側に配置されることとなる。このときには、モーメントアームの長さは、寸法La1よりも長い寸法La4となっている(La1<La4)。尚、接触点Pa4は、接触点Pa2,Pa3に比べても連結軸78’の外周面に沿って更に右側面視反時計回り摺動するとともに、接触点Pa2,Pa3よりも後方側に配置されており、モーメントアームの寸法La4は、寸法La2,La3よりも長くなっている(La2,La3<La4)。更に尚、大入賞口扉7b’が閉塞位置に到達する直前の位置にあるときには、流下する遊技球Pにより大入賞口扉7b’が開放位置方向に押し広げられて大入賞口扉7b’と平坦部501Bとの間で球噛みが生じる可能性がある。
このように、従来の大入賞口扉7b’が開放位置から閉鎖位置の直前の位置に動作する際には、連結軸78’の中心軸が回動軸79Rの中心軸Cと同じ高さに近づくように回動軸79Rを中心として右側面視時計回りに回動し、これに伴って接触点Pa2〜Pa4が漸次後方側(中心軸Cから離れる方向)に移動するため、漸次モーメントアームの長さが長くなる(La1<La2<La3<La4)。すなわち、大入賞口扉7b’が開放位置から閉鎖位置の直前の位置に向けて動作するにしたがって、大入賞口扉7b’のトルク(大入賞口扉7b’の閉まる力)が大きくなっている。
尚、図13(A)に示すように、従来の大入賞口扉7b’が閉鎖位置の直前の位置から閉鎖位置に向けて動作するとき(タイミングta5)には、連結軸78’の中心軸が回動軸79Rの中心軸Cの高さ位置よりも低い位置に配置されるため(図示略)、モーメントアームの長さがタイミングta4のときの寸法La4よりも短い寸法La5となる。
次いで、本実施例の大入賞口扉7bが開放位置から閉鎖位置に動作する形態を説明する。図10(A)及び図13(B)に示すように、大入賞口扉7bが開放位置にあるとき(図13(B)におけるタイミングt1)には、側面視略三角形状を成す連結軸78における後端側角部(接触点P1)にキャッチ部76cの上部が接触している。大入賞口扉7bが開放位置にある状態から閉鎖位置に向けて回動させる際には、キャッチ部76cが接触点P1から垂直下方に力を与える(特に図10(A)の右図参照)。このときには、接触点P1に作用する力の作用線Eと、回動軸79Rの中心軸Cと、を結ぶ垂線の長さ、つまりモーメントアームの長さが寸法L1となっている。
図10(B)及び図13(B)に示すように、大入賞口扉7bが該大入賞口扉7bと突出部501Aとの間で遊技球Pの球噛みが生じる可能性がある位置にあるとき(図13(B)におけるタイミングt2(第1特定位置))において、連結軸78は、タイミングt1のときに比べて回動軸79Rを中心として右側面視時計回りに回動しているため、タイミングt2におけるキャッチ部76cと連結軸78との接触点P2は、接触点P1に比べ連結軸78の上側の周面78aに沿って右側面視反時計回り摺動するとともに、接触点P1よりも前方側に配置されることとなる。このときには、モーメントアームの長さは、寸法L1よりも短い寸法L2となっている(L1>L2)。具体的には、図13(B)に示すように、モーメントアームの長さは、タイミングt1のときの寸法L1よりも一旦長くなった後、タイミングt2までに寸法L1よりも短くなるように変化する。
図11(A)及び図13(B)に示すように、大入賞口扉7bが該大入賞口扉7bと平坦部501Bとの間で球噛みが生じる可能性がある位置にあるとき(図13(B)におけるタイミングt3(第2特定位置))におけるキャッチ部76cと連結軸78との接触点P3は、接触点Pa1に比べ連結軸78の周面78aに沿って更に右側面視反時計回り摺動するとともに、接触点P1よりも前方側に配置されることとなる。このときには、モーメントアームの長さは、寸法L1よりも短い寸法L3となっている(L1>L3)。尚、接触点P3は、接触点P2に比べても連結軸78の周面78aに沿って更に右側面視反時計回り摺動するとともに、接触点P2よりも前方側に配置されており、モーメントアームの寸法L3は、寸法L2よりも短くなっている(L2>L3)。
図11(B)及び図13(B)に示すように、大入賞口扉7bが閉塞位置に到達する直前の位置にあるとき(図13(B)におけるタイミングt4(第3特定位置))におけるキャッチ部76cと連結軸78との接触点Pa4は、接触点P1に比べ連結軸78の外周面に沿って更に右側面視反時計回り摺動するとともに、接触点P1よりも前方側に配置されることとなる。このときには、モーメントアームの長さは、寸法L1よりも長い寸法L4となっている(L1>L4)。また、タイミングt4においては、連結軸78における前側角部にキャッチ部76cの上部が接触している。尚、接触点P4は、接触点P2,P3に比べても連結軸78の周面78aに沿って更に右側面視反時計回り摺動するとともに、接触点P2,P3よりも前方側に配置されており、モーメントアームの寸法L4は、寸法L2,L3よりも短くなっている(L2,L3>L4)。
このように、本実施例の大入賞口扉7bが開放位置から閉鎖位置の直前の位置に動作する際には、連結軸78の中心軸が回動軸79Rの中心軸Cと同じ高さに近づくように回動軸79Rを中心として右側面視時計回りに回動するが、これに伴って接触点P2〜P4が漸次前方側(中心軸Cに近づく方向)に移動するため、漸次モーメントアームの長さが短くなる(L1>L2>L3>L4)。すなわち、大入賞口扉7bが開放位置から閉鎖位置の直前の位置に向けて動作するにしたがって、大入賞口扉7bのトルク(大入賞口扉7bの閉まる力)が小さくなっている。尚、大入賞口扉7bが開放位置にあるとき(図10(A)参照)から閉鎖位置の直前の位置にあるとき(図11(B)参照)までの範囲が、大入賞口7aに遊技球Pが進入可能となっている。
図12及び図13(B)に示すように、大入賞口扉7bが閉鎖位置に動作したとき(タイミングt5)における接触点P5は、連結軸78における前側角部がキャッチ部76cの上部下面に沿って後方側に摺動し、タイミングt4に比べて後方側に配置されることとなるため、モーメントアームの長さがタイミングt4のときの寸法L4よりも長い寸法L5となる。これによれば、大入賞口扉7bが閉鎖位置にある状態から変化し難くなる(大入賞口扉7bが開放し難くなる)。
このように、本実施例の大入賞口扉7bは、大入賞口扉7bと突出部501Aまたは平坦部501Bとの間で球噛みが生じる可能性がある特定タイミング(タイミングt2,t3,t4)におけるモーメントアームの長さ(寸法L2,L3,L4)は、大入賞口扉7bが開放位置にある所定タイミング(タイミングt1)よりも短くなっている。つまり、特定タイミングにおける大入賞口扉7bの閉まる力は、所定タイミングにおける大入賞口扉7bの閉まる力よりも小さくなっており、従来の大入賞口扉7b’のように特定タイミングにおける大入賞口扉7b’の閉まる力が所定タイミングにおける大入賞口扉7b’の閉まる力よりも大きい形態に比べて球噛みが生じにくくなる。
次に、実際に球噛みが生じた場合の形態について図14〜図17に基づいて説明する。図14は、図3のA−A断面図である。図15は、図3のB−B断面図である。図16は、(A)は大入賞口扉と突出部との間で球噛みが生じた状態を示す正面図、(B)は大入賞口扉と突出部との間で球噛みが生じた状態を示す上面断面図、(C)はC−C断面図である。図17は、(A)は大入賞口扉と平坦部との間で球噛みが解消された状態を示す正面図、(B)は大入賞口扉と平坦部との間で球噛みが解消された状態を示す上面断面図、(C)はC’−C’断面図である。
図14、図15及び図17に示すように、特別可変入賞球装置7の本体71内には、基部71a、カバー部71b、誘導壁部72aにより区画された大入賞通路72が形成されており、大入賞口扉7bが開放位置にある場合、遊技球Pが大入賞口7aを介して大入賞通路72内に流入する(図17参照)。また、大入賞通路72の左側においては、カウントスイッチ23の前側、つまり、大入賞口7a側には基部71aの前壁部71cとカバー部71bの前壁部71dとが設けられており、大入賞口7aの左側から進入した遊技球Pがカウントスイッチ23の右側から流入するように誘導する。
一方、大入賞通路72の右側においては、後左側に傾斜する傾斜壁部72bが設けられており、大入賞口7aの一端側(右側)から流入した遊技球Pを、大入賞口7aの他端側(左側)のカウントスイッチ23へスムーズに誘導できるようにしている。すなわち、カウントスイッチ23から遠い大入賞口7aの右側から進入した遊技球Pがカウントスイッチ23に到達する時間が長くなり、例えば、大当り遊技状態の各ラウンドの終了条件となる所定個数目(例えば、9個目)の入賞が遅れて所謂オーバー入賞が発生しやすくなることで、出球数等が設計値と大きく異なってしまうこと等を抑制できる。
しかしこの場合、大入賞口7aの右側から進入した遊技球Pを素早く左側に誘導するために、傾斜壁部72bの前端を極力大入賞口7aに近づけること好ましいが、このようにすると、大入賞口7aの閉鎖時に傾斜壁部72bと大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まって閉鎖が遅れ、その間に余分な遊技球Pが進入しやすくなることがある。
そこで、本実施例では、大入賞口7aから進入した遊技球Pを検出するカウントスイッチ23に誘導する傾斜壁部72bを備え、突出部501Aは、傾斜壁部72bに対応する位置に設けられていることで、大入賞口扉7bと傾斜壁部72bとの間に遊技球Pが挟まることによって閉鎖されずに大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bの先端縁部7hとの間に隙間が生じている場合、突出部501Aにより遊技球Pがガラス窓50a側に弾かれることで、大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bの先端縁部7hとの間の隙間に進入しにくくなるため、余分な遊技球Pが進入することを抑制できる。
また、大入賞口扉7bは、閉鎖位置において、回動軸79L,79Rがある下縁部は大入賞口7aよりも後側に退避した位置にあり、上縁部(先端縁部7h)は大入賞口7aよりもやや前側に突出した位置にある。このようにすることで、閉鎖位置からより早く開放位置へ回動させることができる。例えば、右打ちした際に、大入賞口7aにおいて多くの遊技球Pが通過する右側上部には突出部501Aが形成されていることで、右斜め上方から流下してくる遊技球Pはガラス窓50a側に弾かれるため、閉鎖状態において閉鎖位置にある大入賞口扉7bの先端縁部7hに遊技球Pが接触して開放してしまうことを防止できる。
また、ベース部材501における大入賞口7aの下方には、前後に貫通する孔部501Cが形成されており、孔部501Cを閉塞するようにアクリルなどから形成される透光板504が取付けられており、透光板504の背面側には装飾装置505が配設されている。装飾装置505は、例えば、LED基板などを内蔵しており、該LED基板のLEDを発光させることにより遊技者側を装飾することができるようになっている。
図16(A)に示すように、入賞ユニット500の右側上方(遊技盤2)には、流下する遊技球Pを大入賞口7a側に誘導する構造物600や釘601A〜601Fが配設されている。具体的には、構造物600は、正面視三角形状を成し、上面600aが左斜め下方向に傾斜して形成されており、上面600aには、遊技球Pを大入賞口7a側に誘導する。釘601A,601Bは、大入賞口7aに向けて構造物600から左斜め下方向に遊技球Pを誘導するように並んで配設されている。つまり、構造物600及び釘601A,601Bは、遊技球Pを大入賞口7a側に誘導する誘導通路を構成する。
また、釘601Cは、突出部501Aの左右方向中央部から上方に離間して配設されており、釘601D〜601Fは、釘601Cから寸法Lc1ずつ左側に離間するように水平方向に並んで設けられている。遊技球Pの直径Dは約11mmとされており、寸法Lc1は、直径Dよりも幅広の約12mmとされている。尚、釘601Bと釘601Cとの間も寸法Lc1左右方向に離間している。したがって、遊技球Pは、釘601B〜601Fにおける隣接する釘同士の間を通過することができるようになっている。
第2経路K2を流下する遊技球Pの大半は、構造物600及び釘601A,601Bに誘導され、釘601Bと釘601Cとの間を通過して大入賞口7aの右側方(突出部501A側)から入賞可能に誘導され、構造物600よりも左側に流下した遊技球Pは、釘601B〜601Fにおける隣接する釘同士の間を通過して大入賞口7aの右端部よりも左側の位置から入賞可能に誘導される。つまり、大入賞口7aに向けて流下する遊技球Pは、大入賞口7aの左端部側よりも高い割合(例えば、約90%など)で右端部側から大入賞口7aへ入賞可能に流下する。
尚、本実施例では、大入賞口7aに進入する遊技球Pの約90%は右端部側から進入するが、中央や左端部側からも進入可能な形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記割合は種々に変更可能である。また、遊技球Pは100%の割合で大入賞口7aの右端部側(突出部501A側)から進入するようにしてもよい。
図16に示すように、大入賞口扉7bが閉鎖位置に移動するときに、タイミングによっては、右上方から落下してくる遊技球Pが大入賞口扉7bと突出部501Aとの間で挟持されてしまう(所謂球噛みが発生する)ことがある。特に、構造物600により誘導される遊技球Pの大半は、大入賞口7aの前右側を多く流下するようになっていることで、大入賞口扉7bと平坦部501Bとの間で挟持されることに比べて、大入賞口扉7bと突出部501Aとの間で挟持される可能性が高い。尚、以下では、大入賞口7aの右側に誘導される遊技球Pが大入賞口扉7bと突出部501Aとの間で挟持される形態を説明する。
遊技球Pは、大入賞口扉7bが該遊技球Pの中心よりも下側に当接した際(例えば、図16(C)に示すように、大入賞口扉7bと遊技球Pとの第1接触点と、突出部501Aと遊技球Pとの第2接触点とを結ぶ直線が遊技球Pの中心よりやや右側を通過する状態など、遊技球Pの半分が大入賞口扉7bと突出部501Aとの間に進入した状態)大入賞口扉7bと突出部501Aとの間で挟持されること(所謂球噛みが発生すること)がある。遊技球Pが大入賞口扉7bと突出部501Aとの間で挟持された状態において、遊技球Pは、その背面側が該遊技球Pの中心よりも上側の位置で突出部501Aの下縁部に接触しており、その前面側が該遊技球Pの中心よりも下側の位置で大入賞口扉7bの先端縁部7hに接触している。
図16(A)に示すように、遊技球Pは大入賞口7aの右斜め上方から左斜め下側に向けて流下してくる。つまり、大入賞口7aの上縁部501aに対し斜めに交差するように進入してくるため、流下する勢いにより、突出部501Aと大入賞口扉7bの先端縁部7hとに接触した状態を保ちながら、左側へ向けて転動する。
図17に示すように、遊技球Pが突出部501Aを越えて平坦部501B側に移動すると、遊技球Pは、大入賞口扉7bと突出部501Aとの間での狭持が解消される。具体的には、大入賞口扉7bと突出部501Aとの間に遊技球Pが挟まっても、該遊技球Pが左側に転動して突出部501Aがなくなったとき、遊技球Pと大入賞口扉7bとの接触状態は維持されるが、大入賞口7aの上縁部501aとの接触が解除された瞬間に遊技球Pは自重により大入賞口扉7bの背面に沿って後下方側に流下することになる。よって、大入賞口扉7bがさらに閉鎖位置側に回動しても、遊技球Pは上縁部501aの下方に流下してしまっているため、平坦部501Bとの間に遊技球Pが挟まることがないため、大入賞口扉7bと突出部501Aとの間での狭持が解消され、大入賞通路72内に流入し、カウントスイッチ23を通過するように誘導される。
次に、本発明の変形例1について図18に基づいて説明する。図18は、(A)は変形例1において大入賞口扉と突出部との間で球噛みが生じた状態を示す上面断面図、(B)は、は変形例1において大入賞口扉と平坦部との間で球噛みが解消された状態を示す上面断面図である。
図18に示すように、変形例1における突出部511Aは、該突出部511Aの先端縁部が右端部から左端部にかけて漸次後方側に傾斜している。よって、大入賞口扉7bと突出部511Aとの間で狭持された遊技球Pは、大入賞口扉7bと突出部511Aとの前後幅が大きくなる左側に向けて遊技球Pが流下しやすくなるため、大入賞口扉7bと突出部511Aとの間での遊技球Pの狭持を即座に解消することができる。このように、突出部511Aには、大入賞口扉7bの先端縁部7hとの間に挟まった遊技球Pの流下を促すための傾斜部が形成されているため、大入賞口7aに対し遊技球Pが進入する際における上縁部501aに対する傾斜角度が大きい場合でも、大入賞口7aの周縁部と大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まることを好適に防止できる。
尚、本変形例1では、突出部511Aにおける大入賞口扉7bの先端縁部7hとの間に挟まった遊技球Pの流下を促すための傾斜部が、突出部511Aの右端部から左端部にかけて漸次後方側に傾斜している形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定の方向に遊技球Pが流下しやすくなるように傾斜部が延設されていればよく、例えば、突出部の右端部から左端部にかけて低位となるように左右方向に傾斜していてもよい。
次に、本発明の変形例2について図19及び図20に基づいて説明する。図19は、(A)は変形例2における突出部及び可動部材を示す上面断面図、(B)はD−D断面図である。図20は、(A)は変形例2において可動部材と突出部との間で球噛みが生じた状態を示す上面断面図、(B)は変形例2において可動部材と平坦部との間で球噛みが解消された状態を示す上面断面図である。
図19に示されるように、本変形例2の可動部材は、第2始動入賞口61を開閉する可動板62である。可動板62は、前後にスライド移動することにより、遊技領域10に突出する突出位置となる閉鎖状態と遊技領域10から退避する退避位置となる開放状態とに変化する。また、可動板62の先端縁部62aは、右側から左側にかけて漸次後方側に傾斜して延設されている。
また、第2始動入賞口61の周縁部において、突出位置にある可動板62の先端縁部62aが対応する前縁部61aには、後方側に突出する突出部521Aが該前縁部61aに沿って左右方向に延設されている。また、突出部521Aは、その背面が右側から左側にかけて漸次前方側(可動板62から離れる方向に)に傾斜して延設されている。尚、第2始動入賞口61の前縁部61aは、第2始動入賞口61を通過した遊技球Pを第2始動口スイッチ22B(図2参照)に向けて誘導する誘導通路621を構成する誘導通路構成部材620の前壁部620aに設けられている。
図20(A)に示すように、可動板62が突出位置に移動するとき、タイミングによっては、右上方の第1誘導通路502または第2誘導通路503から第2始動入賞口61に落下してくる遊技球Pが可動板62と突出部521Aとの間で狭持されてしまうことがある。
図20(B)に示すように、可動板62と突出部521Aとの間で遊技球Pが狭持されたときには、遊技球Pが流下する勢いにより、前後が可動板62と突出部521Aとに接触した状態を保ちながら左側へ転動する。このとき、可動板62の先端縁部62aと突出部521Aの背面との間隔は、左側に向けて幅広となっているため、左側に向けて遊技球Pが転動しやすい。そして、遊技球Pが左側に転動する途中で突出部521Aがなくなる(遊技球Pが平坦部521Bに配置される)ため、突出部521Aと平坦部521Bとの段差521bを越えたときに、可動板62と突出部521Aとの間での遊技球Pの狭持が解消される。
このように、本実施例では、遊技球Pが進入可能な進入口として、大当り遊技状態において閉鎖状態から開放状態に変化可能な特別可変入賞球装置7の大入賞口7aを適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、進入口は、進入口を遊技球が進入し易い第1状態と進入不能または進入困難な第2状態とに変化させるための可動部材を有している可変入賞装置であれば、普通可変入賞球装置6Bの第2始動入賞口61や、始動入賞口以外の他の進入口(例えば、始動入賞に基づいて第2状態から第1状態に変化可能な可変入賞口や、演出球が進入可能な進入口)等にも適用可能である。
次に、本発明の変形例3について図21に基づいて説明する。図21は、(A)は変形例3において大入賞口扉が開放位置にあるときの状態を示す説明図、(B)変形例3において大入賞口扉と平坦部との間で球噛みが生じた状態を示す説明図である。
図21に示すように、本変形例3の大入賞口扉7bは、連結軸781が断面視形状が円形を成す円柱状に構成されている。また、連結軸781に駆動力を伝える伝達部材761は、側面視縦長矩形状に形成されており、連結軸781を挿入可能な縦長のスリット761aが形成されている。また、伝達部材761の背面側には、前後方向に動作するプランジャ741を有するソレノイド(図示略)が配設されており、プランジャ741は伝達部材761に接続されている。
図21(A)に示すように、大入賞口扉7bが開放位置にあるときには、連結軸781の中心軸から略水平方向前側に位置する部分(接触点P1’)にスリット761aの前辺が接触している。大入賞口扉7bが開放位置にある状態から閉鎖位置に向けて回動させる際には、伝達部材761により接触点P1’に水平方向後側に力を与える(特に図21(A)の右図参照)。このときには、接触点P1’に作用する力の作用線Eと、回動軸79Rの中心軸Cと、を結ぶ垂線の長さ、つまりモーメントアームの長さが寸法L1’となっている。
図21(B)に示すように、大入賞口扉7bが該大入賞口扉7bと突出部501Aとの間で遊技球Pの球噛みが生じる可能性がある位置にあるとき(図21(B)の左図における実線部分)において、連結軸781は、大入賞口扉7bが開放位置にあるときに比べて回動軸79Rを中心として右側面視時計回りに回動しているため、伝達部材761と連結軸781との接触点P3’は、接触点P1’に比べ下方側に配置されることとなる。このときには、モーメントアームの長さは、寸法L1’よりも短い寸法L3’となっている(L1’>L3’)。尚、大入賞口扉7bが閉鎖位置にあるとき(図21(B)の左図における二点鎖線部分)には、接触点が接触点P3’よりもさらに下方側に配置される。すなわち、大入賞口扉7bが開放位置から閉鎖位置の直前の位置に向けて動作するにしたがって、大入賞口扉7bのトルク(大入賞口扉7bの閉まる力)が小さくなっているため、大入賞口扉7bと大入賞口7aの上縁部501aとの間で遊技球Pが狭持されることを抑制できる。
このように、本発明は、被伝達部材に対して上下方向に力が作用することに限られず、大入賞口扉7bを回動軸79L,79Rを中心として回動させることができ、且つ球噛みが生じる特定タイミングでのモーメントアームが、大入賞口扉7bが開放位置にあるときのモーメントアームよりも短くなっているものであればよく、変形例3のように前後方向から力が作用してもよいし、斜め方向等に力が作用してもよく、自由に変更することができる。
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、遊技球Pが進入可能な進入口(例えば、大入賞口7a/第2始動入賞口61等)と、前記進入口を遊技球Pが進入し易い第1状態(例えば、図10(A)に示す開放状態/図21(A)に示す開放状態)と進入不能または進入困難な第2状態(例えば、図12に示す閉鎖状態)とに変化させるための可動部材(例えば、大入賞口扉7b/可動板62)と、前記進入口の周縁部において、前記進入口が前記第2状態に変化したときに前記可動部材の先端縁部(例えば、先端縁部7h/先端縁部62a)に対応する特定縁部(例えば、上縁部501a/前縁部61a)から突出する突出部(例えば、突出部501A/突出部511A/突出部521A)と、を備え、前記突出部は、前記特定縁部に沿って該特定縁部よりも短寸となるように設けられている(例えば、突出部501Aは、上縁部501aの右端位置から左右方向の略中央位置よりもやや右側位置にかけて延設され、左右方向の幅寸法Lb1は、大入賞口7aの上縁部501aの左右方向の幅寸法Lb2よりも短寸に形成されている(Lb1<Lb2)、図3参照)。
このようにすることで、突出部501Aと大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まっても突出部501Aが途中でなくなるので、大入賞口7aの周縁部と大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まることを好適に防止できる。具体的には、突出部501Aの幅寸法Lb1は、大入賞口7aの上縁部501aの左右方向の幅寸法Lb2より短寸であるため、大入賞口扉7bと突出部501Aとの間に遊技球Pが挟まっても、該遊技球Pが大入賞口7aに進入してきた勢いにより左側に転動する途中で突出部501Aがなくなる(遊技球Pが平坦部501Bに配置される)ので、突出部501Aと平坦部501Bとの段差501bを越えたときに、大入賞口扉7bと突出部501Aとの間での遊技球Pの狭持が解消され、且つ平坦部501Bと遊技球Pとの間で隙間が形成されることで該遊技球Pが落下するため、大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bとでの球噛みが解消される。球噛みが解消された遊技球Pは、大入賞口扉7bの背面に沿って後下方側に転動し、大入賞通路72内に流入する。
さらに、遊技球Pが突出部501Aと平坦部501Bとの段差501bを越えたときに、該遊技球Pが落下する前に大入賞口扉7bと平坦部501Bとの間に遊技球Pが挟まっても、遊技球Pが段差501bを越えたときに生じる衝撃により、大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bとでの球噛みが解消されやすくなる。
また、遊技球Pが大入賞口扉7bと平坦部501Bとの間で挟まれたとしても、遊技球Pが大入賞口扉7bの背面に沿って後下方側に転動することによって、大入賞口扉7bが遊技球Pの中心よりも上側に当接するようになり、大入賞口扉7bが該遊技球Pを上方から下方に向けて押し出すように作用するため、球噛みが生じない。
また、遊技球Pが大入賞口扉7bと突出部501Aとの間で狭持された状態にあっては、モーメントアームの長さが、開放位置における寸法L1よりも短い寸法L2(図10(B)参照)となっており、大入賞口扉7bの閉まる力(トルク)が小さくなっていることで、後続の遊技球Pが大入賞口扉7bに衝突することにより開放方向に回動しやすいため、後続の遊技球Pが衝突することにより大入賞口扉7bと突出部501Aとの間での球噛みが解消されやすくなる。
さらに、遊技球Pが大入賞口扉7bと突出部501Aとの間で狭持された状態にあっては、大入賞口扉7bと平坦部501Bとの間には、大入賞口扉7bと突出部501Aとの間よりも大きな隙間が形成されるため、後続の遊技球Pが大入賞口7aの左側から流入してきた場合に、後続の遊技球Pが大入賞口扉7bに衝突することにより該大入賞口扉7bが開放方向に回動するため、大入賞口扉7bと突出部501Aとの間での球噛みが解消されやすくなる。
尚、前記実施例では、左右方向に延びる回動軸79L,79Rを中心として回動する大入賞口扉7bを例示したが、本発明はこれに限定されるものでなく、大入賞口7aを第1状態と第2状態とに変化させることが可能であり、且つ第2状態のときに大入賞口扉7bの先端縁部7hが対応する(近接して向き合う)大入賞口7aの周縁部における特定縁部に突出部が設けられるものであればよく、例えば、大入賞口扉7bは、前後方向、上下方向、斜め方向に延びる回動軸を中心として回動するようになっていてもよい。
また、前記変形例2では、可動部材としての可動板62が遊技盤2側に設けられ、前方側に突出する突出位置と、後方側に退避する退避位置と、にスライド移動可能な形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、可動板62の先端縁部62aと対向する側に突出部が設けられていればよく、例えば、可動板62がガラス窓50a側に設けられ、後方側に突出する突出位置と、前方側に退避する退避位置と、にスライド移動可能となっていてもよいし、左右方向にスライド移動可能となっていてもよい。
また、大入賞口7aに向けて流下する遊技球Pは、大入賞口7aの上縁部501aの左側よりも高い割合で右側から大入賞口7aへ進入し、突出部501Aは、大入賞口7aの上縁部501aの右側に設けられている。このように遊技球Pが流入する頻度が高い大入賞口7aの上縁部501aの右側に突出部501Aを設けたことで、突出部501Aと大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まっても突出部501Aと平坦部501Bとの段差501bを越えたときに大入賞口扉7bと突出部501Aとの間での遊技球Pの狭持が解消されるようになるため、大入賞口7aの周縁部と大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まることを好適に防止できる。
また、大当り遊技状態以外では、大入賞口扉7bが閉鎖位置にある状態が維持されている。また、例えば、時短制御状態にあっては、右打ちすることにより第2経路K2を流下する遊技球Pが第2始動入賞口61に進入可能となっているとともに、前述のように第2経路K2を流下する遊技球Pの大半は、構造物600及び釘601A,601Bに誘導され、釘601Bと釘601Cとの間を通過して大入賞口7aの右側方を通過することとなる。本実施例では、大入賞口7aの上縁部501aの右側に突出部501Aが設けられていることから、遊技球Pが閉鎖位置にある大入賞口扉7bに接触することが阻害されるため、大入賞口7aが第1状態に変化してしまうことを抑制できる。
尚、前記実施例では、遊技球Pが流入する頻度が高い大入賞口7aの上縁部501aの右側に突出部501Aが設けられる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、大入賞口7aの上縁部501a(特定縁部)よりも短寸に設けられていれば、上縁部501aのいずれの位置(例えば、左右方向の中央位置や左端側など)に設けられていてもよい。さらに尚、突出部は特定縁部に沿って所定間隔離間して複数設けられていてもよい。この場合、隣接する突出部の間隔は、遊技球Pが突出部を越えたときに該突出部に隣接する突出部に干渉しない幅に設けられることが好ましい。
また、前記変形例2においては、突出部511Aには、大入賞口扉7bの先端縁部7hとの間に挟まった遊技球Pの流下を促すための傾斜部が形成されている。このようにすることで、大入賞口扉7bと突出部511Aとの間で狭持された遊技球Pは、大入賞口扉7bと突出部511Aとの前後幅が大きくなる左側に向けて遊技球Pが流下しやすくなるため、大入賞口扉7bと突出部511Aとの間での遊技球Pの狭持を即座に解消することができるので、大入賞口7aの周縁部と大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まることを好適に防止できる。
また、大入賞口7aから進入した遊技球Pを検出するカウントスイッチ23に誘導する傾斜壁部72bを備え、突出部501Aは、傾斜壁部72bに対応する位置に設けられている。このようにすることで、大入賞口扉7bと傾斜壁部72bとの間に遊技球Pが挟まることによって閉鎖されずに大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bの先端縁部7hとの間に隙間が生じている場合、突出部501Aにより遊技球Pがガラス窓50a側に弾かれることで、大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bの先端縁部7hとの間に進入されにくくなるため、余分な遊技球Pが進入することを抑制できる。
また、大入賞口7aは遊技盤面2aに沿うように形成され、大入賞口7aよりも下方に、大入賞口7aとは異なる第2始動入賞口61に遊技球Pを誘導可能に設けられる第1誘導通路502と、大入賞口7aと第1誘導通路502との間に、遊技球Pを誘導可能に設けられる第2誘導通路503と、を備え、第2誘導通路503は、突出部501Aに対応する位置に設けられている。このようにすることで、突出部501Aに衝突した遊技球Pが直接第1誘導通路502に落下することで、第2始動入賞口61への遊技球Pの進入に影響が及ぶことを回避できる。
具体的には、第2誘導通路503は、大入賞口7aの右側方から該大入賞口7aの左右方向の略中央位置にかけて下方に傾斜するように延設されており、突出部501Aに衝突した遊技球Pは、先ず突出部501Aに近い第2誘導通路503に落下して勢いが減衰され、該第2誘導通路503により第1誘導通路502または直接第2始動入賞口61に誘導することとなるため、例えば、突出部501Aに衝突した遊技球Pが直接第1誘導通路502に落下して跳ねることで第2始動入賞口61への遊技球Pの進入に影響が及ぶことを回避できる。また、突出部501Aに衝突した遊技球Pが直接第1誘導通路502または第2始動入賞口61に落下することで破損することが抑制される。
尚、前記実施例では、大入賞口7aと第1誘導通路502との間に第2誘導通路503が1つ設けられる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第2誘導通路が大入賞口7aと第1誘導通路502との間に複数設けられていてもよい。この場合、第2誘導通路を左下方向(第2始動入賞口61側)に向けて低位となるように階段状に配置されていてもよい。
また、前記実施例では、突出部501Aには、縦断面視において上方から下方に向けて漸次前側に傾斜する傾斜面が形成されることで、上方から流下してくる遊技球Pをスムーズにガラス窓50a側へ誘導できる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、突出部501Aの形状は任意に変形可能である。
また、駆動手段(例えば、ソレノイド74、連結部材75等)と、前記駆動手段の動力を大入賞口扉7bに伝達するために大入賞口扉7bに設けられた被伝達部(例えば、連結軸78/連結軸781)に接触して力を付与することが可能な伝達部材(例えば、キャッチ部76c/伝達部材761)と、を備え、大入賞口扉7bは、前記伝達部材により伝達された前記駆動手段の動力により、前記進入口が前記第1状態と前記第2状態とに変化するように回動軸79L,79Rを中心として回動可能であり、大入賞口扉7bの回動軸79L,79Rを中心とする回動に応じて、前記被伝達部と前記伝達部材との接触部(例えば、接触点P1〜P5/接触点P1’,P3’)は変位するものであり、前記進入口が前記第1状態から前記第2状態へ変化するときにおいて大入賞口扉7bと前記進入口の周縁部(例えば、上縁部501a)との間に遊技球Pが挟まる可能性がある特定位置(例えば、図10(B)に示す第1特定位置、図11(A)に示す第2特定位置、図11(B)に示す第3特定位置/図18(A)(B)に示す特定位置/図20(A)に示す特定位置/図21(B)に示す特定位置)に大入賞口扉7bがあるときには、該特定位置とは異なる所定位置(例えば、図10(A)に示す開放状態/図21(A)に示す開放状態)に大入賞口扉7bがあるときに比較して前記接触部に作用する力の作用線Eと回動軸79L,79Rとを結ぶ垂線の長さ(例えば、モーメントアームの寸法L2〜L4/モーメントアームの寸法L3’)が短くなる。
このようにすることで、大入賞口7aの上縁部501aとの間に遊技球Pが挟まる可能性がある特定位置に大入賞口扉7bがあるときには、該特定位置とは異なる所定位置に前記可動部材があるときに比較して接触点P2,P3,P4にそれぞれ作用する力の作用線Eと回動軸79L,79Rとを結ぶ垂線の長さ、つまり、モーメントアームの寸法L2,L3,L4が所定位置におけるモーメントアームの寸法L1よりも短くなる(L1>L2>L3>L4)ので、大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まることを好適に防止できる。具体的には、特定位置での大入賞口扉7bの閉まる力(トルク)が所定位置での大入賞口扉7bの閉まる力よりも小さくなるため、大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まりにくくなる。
また、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、遊技球Pが進入可能な進入口(例えば、大入賞口7a)と、前記進入口を遊技球Pが進入し易い第1状態(例えば、図10(A)に示す開放状態/図21(A)に示す開放状態)と進入不能または進入困難な第2状態(例えば、図12に示す閉鎖状態)とに変化させるための大入賞口扉7bと、駆動手段(例えば、ソレノイド74、連結部材75等)と、前記駆動手段の動力を大入賞口扉7bに伝達するために大入賞口扉7bに設けられた被伝達部(例えば、連結軸78/連結軸781)に接触して力を付与することが可能な伝達部材(例えば、キャッチ部76c/伝達部材761)と、を備え、大入賞口扉7bは、前記伝達部材により伝達された前記駆動手段の動力により、前記進入口が開放状態と閉鎖状態とに変化するように回動軸79L,79Rを中心として回動可能であり、大入賞口扉7bの回動軸79L,79Rを中心とする回動に応じて、前記被伝達部と前記伝達部材との接触部(例えば、接触点P1〜P5/接触点P1’,P3’)は変位するものであり、前記進入口が前記第1状態から前記第2状態へ変化するときにおいて大入賞口扉7bと前記進入口の周縁部(例えば、上縁部501a)との間に遊技球Pが挟まる可能性がある特定位置(例えば、図10(B)に示す第1特定位置、図11(A)に示す第2特定位置、図11(B)に示す第3特定位置/図18(A)(B)に示す特定位置/図20(A)に示す特定位置/図21(B)に示す特定位置)に大入賞口扉7bがあるときは、該特定位置とは異なる所定位置(例えば、図10(A)に示す開放状態/図21(A)に示す開放状態)に大入賞口扉7bがあるときと比較して前記接触部に作用する力の作用線Eと回動軸79L,79Rとを結ぶ垂線の長さ(例えば、モーメントアームの寸法L2〜L4/モーメントアームの寸法L3’)が短くなる。
このようにすることで、大入賞口7aの上縁部501aとの間に遊技球Pが挟まる可能性がある特定位置に大入賞口扉7bがあるときには、該特定位置とは異なる所定位置に前記可動部材があるときに比較して接触点P2,P3,P4にそれぞれ作用する力の作用線Eと回動軸79L,79Rとを結ぶ垂線の長さ、つまり、モーメントアームの寸法L2,L3,L4が所定位置におけるモーメントアームの寸法L1よりも短くなる(L1>L2>L3>L4)ので、大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まることを好適に防止できる。具体的には、特定位置での大入賞口扉7bの閉まる力(トルク)が所定位置での大入賞口扉7bの閉まる力よりも小さくなるため、大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まりにくくなる。
特に、タイミングt4(図11(B)参照)のときには、大入賞口扉7bが開放位置から閉鎖位置に回動する範囲においてモーメントアームの長さが最も短い寸法L4となっており、大入賞口扉7bの閉まる力が極めて小さいため、流下する遊技球Pにより大入賞口扉7bが開放位置方向に大きく押し広げられやすく、且つ大入賞口扉7bが開放位置方向に押し広げられた後、球噛みを生じさせることなく、そのまま大入賞通路72内に流入させることができる。
また、連結軸78は、断面視形状が非円形をなす柱状部であり、キャッチ部76cは連結軸78の周面78aに接触可能である。このようにすることで、大入賞口7aの周縁部と大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まることを好適に防止できる。具体的には、連結軸78の周面78aは、前後方向に緩やかな曲率で延びる断面視円弧状を成し、連結軸78が回動軸79L,79Rを中心として回動することで、接触点P1〜P5が変化するため、各タイミングでのモーメントアームの長さを変更できるようになっている。特に、大入賞口7aの周縁部との間に遊技球Pが挟まる可能性がある特定位置に大入賞口扉7bがあるときには、モーメントアームの寸法L2,L3,L4が所定位置に大入賞口扉7bがあるときのモーメントアームの寸法L1よりも短くなるようにできる。
尚、前記実施例では、連結軸78の周面78aの形状により大入賞口扉7bが特定位置にあるときのモーメントアームの寸法L2,L3,L4が所定タイミングにあるときのモーメントアームの寸法L1よりも短くなる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、伝達部材において被伝達部と接触可能な部位の形状により、特定位置に大入賞口扉7bがあるときには、該特定位置とは異なる所定位置に大入賞口扉7bがあるときに比較して前記垂線の長さが短くなるようにしてもよい。
具体的には、本発明の変形例3のように、連結軸781を挿入可能な縦長のスリット761aを有する伝達部材761を用いることにより、大入賞口扉7bが所定位置にあるとき(図21(A)参照)のモーメントアームの寸法L1’よりも、大入賞口扉7bが特定位置(図21(B)参照)にあるときのモーメントアームの寸法L3’を短くすることができる。
また、大入賞口7aが閉鎖状態に変化したとき(例えば、図12のとき)には、第1特定位置、第2特定位置、第3特定位置のいずれかに大入賞口扉7bがあるときに比較して前記垂線の長さが長くなる。このようにすることで、大入賞口扉7bが第1特定位置、第2特定位置、第3特定位置のいずれかにあるとき(図11(B)のとき)よりも閉鎖状態に変化したときの大入賞口扉7bの閉まる力が大きくなり、大入賞口7aが閉鎖状態に変化したら開放状態に変化し難くなるので、振動や不正な外力により開放状態に変化してしまうことを抑制できる。
また、大入賞口7aが開放状態に変化したときには、前記所定位置(例えば、図10(A)に示す開放位置/図21(A)に示す開放位置)に大入賞口扉7bがあるため、大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まることを好適に防止できる。具体的には、大入賞口7aの開口領域が大きく確保されるため、大入賞口7aが開放状態のときに、大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まることがない。
また、大入賞口7aの周縁部において、大入賞口7aが閉鎖状態に変化したときに大入賞口扉7bの先端縁部7hに対応する上縁部501aから突出する突出部501Aを備え、突出部501Aは、上縁部501aに沿って該上縁部501aよりも短寸となるように設けられている。このようにすることにより、突出部501Aと上縁部501aとの間に遊技球Pが挟まっても突出部501Aが途中でなくなるので、突出部501Aと平坦部501Bとの段差501bを越えたときに、大入賞口扉7bと突出部501Aとの間での遊技球Pの狭持が解消され、且つ平坦部501Bと遊技球Pとの間で隙間が形成されることで該遊技球Pが落下するため、大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bとでの球噛みが解消される。つまり、大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まることを好適に防止できる。
尚、前記実施例では、ソレノイド74、連結部材75、連結軸78、キャッチ部76c等からなる開閉駆動機構73を用いて大入賞口扉7bを動作させる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、大入賞口扉7bを回動可能に動作させることができるものであれば、大入賞口扉7bを動作させる機構は上記開閉駆動機構73に限定されるものではなく、自由に変更することができる。
また、前記実施例では、ソレノイド74の動力を大入賞口扉7bに伝達するために該大入賞口扉7bに設けられた被伝達部としての連結軸78に接触して力を付与することが可能な伝達部材として駆動力伝達部材76(キャッチ部76c)を適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、伝達部材を駆動力伝達部材76でなく連結部材75としてもよい。また、被伝達部を連結軸78ではない他の軸部としてもよい。
また、前記実施例では、特定位置とは異なる所定位置として、図10(A)に示す閉鎖位置とした形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定位置は、大入賞口7aの上縁部501aと大入賞口扉7bとの間に遊技球Pが挟まる可能性がある特定位置以外の位置であればよく、例えば、大入賞口7aが開放状態に変化したときの閉鎖位置を所定位置としてもよい。つまり、球噛みが発生する可能性がある第1特定位置から第3特定位置までの回動範囲外の任意の位置を所定位置としてもよい。
また、前記実施例では、大入賞口扉7bが開放位置から閉鎖位置の直前の位置に変化するまでモーメントアームの長さが漸次短くなるように変化する形態を例示したが、特定位置でのモーメントアームの長さが所定位置でのモーメントアームの長さより短くなっていればよく、第1特定位置から第3特定位置までの回動範囲におけるモーメントアームの長さや、第1特定位置から第3特定位置までの回動範囲外におけるモーメントアームの長さの変化は自由に設定してもよい。
また、前記実施例では、遊技球Pが進入可能な進入口の一例として、遊技盤面2aに沿うように形成された大入賞口7aを適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技球Pが進入可能な進入口は、上記大入賞口7aのように遊技盤面2aに沿うように形成されたものに限定されるものではなく、例えば、所謂チューリップ型の可変入賞装置のように、遊技盤面2aに突出するように設けた進入口形成部材に設けた進入口でもよく、この場合、可動部材を、進入口が遊技球が進入し易い第1状態と進入不能または進入困難な第2状態とに変化するように遊技盤面に直交する軸部を中心として回動可能に設け、この可動部材におけるモーメントアームの関係を前記実施例のようにすればよい。
また、前記実施例では、普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B及び特別可変入賞球装置7は、入賞ユニット500に組付けられた形態を例示したが、遊技盤2の所定位置に別々に設けられていてもよい。また、普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B及び特別可変入賞球装置7は、遊技盤2における右側下部に配設される形態を例示したが、遊技盤2におけるいずれの位置に設けられていてもよい。例えば、遊技盤2における左側下部や中央部、左側上部等自由に配設することができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機が適用されていたが、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。
また、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機が適用されていたが、例えば遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な変動表示装置に変動表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該変動表示装置に導出された変動表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンにも適用可能である。
また、パチンコ遊技機やスロットマシンにおいて、例えば、前記実施例に記載した大入賞口7aを有する特別可変入賞球装置7を、演出用に用いる演出球が進入可能な進入口を有する可変進入装置とし、該可変入賞装置に本発明を適用すればよい。