JP6752307B2 - グレーン処理 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、モルト及びグレーン蒸留からのアルコール製造及び/又は燃料アルコール製造から誘導されるものを含む、使用済固体(1つ以上)材料からバイオガス及び/又はメタンを製造する方法を提供する。また、モルト及びグレーン蒸留からのアルコール製造及び/又は燃料アルコール製造から誘導されるような固体(1つ以上)材料からバイオガス及び/又はメタンを製造するシステムが提供される。
発明の背景
トウモロコシサイレージ又は牧草サイレージのようなエネルギー作物の嫌気性消化からのバイオガスの製造は、ヨーロッパでは確立した慣例である。ドイツだけで、バイオガスを製造するために主にエネルギー作物に関して作動させている嫌気性消化装置が7,000を超えている。典型的には、エネルギー作物は8〜15%(無水ベース)の間のタンパク質濃度を有し、それが嫌気性消化に適している。嫌気性消化のこの方法によって製造されるバイオガスは、典型的には、ガスエンジン及び廃熱ボイラを介して電気、水蒸気及び熱水を生成するために用いられる。これらの装置の多くは、大規模で、毎時20と40MWの間の電気を生成することができる。ヨーロッパも英国もグリーン電力価格に関する国庫補助はエネルギー作物のバイオガスへの変換に現実的な商業提案をしている。
そのような消化装置がエネルギー作物廃棄材料の消化のために使われてきたが、蒸留酒製造所及び他の供給源からの廃棄物にはほとんど注目されていない。更に、蒸留酒製造所を含む一部の産業は、固体と液体の廃棄材料を有し、固体と液体の双方の廃棄材料を処理することができることが望ましい。
国際公開第2102/001417号パンフレットには、種々の最初の蒸留酒製造所及び/又は醸造所の副産物からブタノール又はアセトンを製造する方法が記載されているが、記載されている出発材料からバイオガス及び/又はメタンを製造する方法については示唆していない。しかしながら、この特許出願は、搾りかすと組み合わせて用いられるポットエールが銅の阻害量を含有し得るように希釈されなければならないことを教示している。更に、この特許出願は、炭水化物源が加水分解及び/又は酵素を適用することによって前処理する必要があり得ることを教示している。更に、搾りかすがポットエールと組み合わせて温浸されるときに、この特許出願は搾りかすを最初に酸及び酵素で前処理することを教示している。従って、炭水化物、及び搾りかす、特にポットエールと共発酵するために教示された方法は、非常に複雑且つ労働集約的である。
本発明の目的は、上述した欠点の一つを取り除き且つ/又は軽減することである。
発明の概要
本発明は、バイオガス/メタン及び必要により他の商業的に有用な生成物を製造するためにモルト/グレーン蒸留プロセスからの廃棄物を活用することに本発明者らが行った研究に基づいている。特に、本発明者らは、種々の蒸留プロセスの間に得られる多くの使用済固体及び必要により液体副産物を活用することができた。
従って、第1の態様において、バイオガス及び/又はメタンを製造する方法であって:
(a) 1つ以上の固体の使用済穀物生成物を含むスラリーを準備する工程;
(b) バイオガス及び液体残存物(digestate)を得るためにスラリーをpH 6.6〜7.6のpHでメタン生成を含む嫌気性消化に供し、更に必要によりメタンを得るためにバイオガスを処理してもよい工程
を含む、前記方法が提供される。
本発明が連続又は半連続方法で行われ得ることは理解されるであろう。すなわち、新たなスラリー材料が連続して添加され温浸されてもよく、又はバッチのスラリーが特定の時点で添加されてもよい。
固体使用済穀物生成物(1つ以上)は、典型的には、モルト及び/又はグレーン蒸留、又は他の材料の蒸留の製造から、又は燃料アルコール製造を含む他のプロセスから得られる固体材料を含んでいる。グレーン蒸留酒製造所からの使用済グレーン、搾りかす、ビールの醸造かす、トウモロコシ等を含む種々の使用済穀物固体材料が用いられ得る。使用済穀物に加えて、かなり多くのタンパク性物質、例えば発酵プロセスの間に増えた酵母があってもよい。実際に、タンパク質性物質、例えば炭水化物が豊富である使用済材料に加えて存在する酵母を有することは望ましい場合がある。このような使用済固体材料は、比較的に高タンパク価を有し得る。例えば、搾りかすは約22%の無水ベースタンパク質であり、VitagoldRTM(使用済グレーン材料、下記を参照のこと)は44%までのタンパク質を有し得る。
グレーン蒸留酒製造所の使用済穀物固体は、使用済ウォッシュから得られる。このことは、連続蒸留プラントの洗浄カラムの底を出るか或いはマッシュプロセスにおいて全てのグレーンからウォッシュポットスチル蒸留後に残った残留物である典型的には約5%の全懸濁固形物を含む使用済穀物と酵母スラリーである。使用済ウォッシュ中の懸濁固形物のパーセントは、具体的な蒸留酒製造所が使っている初期比重によって定量される。
使用済ウォッシュ材料は、可溶性固体成分、典型的には約4%を有する。初期比重が高いほど、懸濁した及び可溶性の固体濃度が大きい。5%懸濁固形物及び4%可溶性固形物を含む使用済ウォッシュ材料は、65度の初期比重で作動させているグレーン蒸留酒製造所には典型的である。
上で詳述された数字は、蒸留に送られる9.0%のアルコール容積/容積ウォッシュで作動させているグレーン蒸留酒製造所に基づくものである。しかしながら、ウォッシュ強度が高い場合には、使用済ウォッシュ中の懸濁した及び可溶性の画分もまたそうなるであろう。
本発明者らは、このような出発材料を含むスラリーを嫌気的に温浸することが可能であることを示した。任意の具体的な材料及びそのタンパク質/炭水化物/脂肪量によっては、嫌気性消化に最適なレベルの消化性基質を与えるために出発材料の混合物を準備することが可能である。しかしながら、スラリーの内容物が効率的な嫌気性消化及び必要により高程度の重炭酸アルカリ度をもつ液体残存物の生成に適していることを確実にするために注意を払わなければならない。例えば、本発明者らは、スラリー中の固形物がかなり多くのタンパク質(>20%の無水ベースタンパク質)を含むときに、より多くの微量栄養素又は拮抗物質の添加ができるだけ短い時間で嫌気性プロセスとバイオガス生成を容易にするために必要とされ得ることを見出した。更に、嫌気性プロセスの間に、例えば酸性供給原料が活用されるときに製造される任意の酸性生成物を中和するために、高緩衝能、又は嫌気性消化装置における高レベルの重炭酸アルカリ度を中和することを必要とする場合がある。
本発明の特に好ましい実施態様において、高重炭酸アルカリ度又は緩衝能は、国際公開第2013104911号パンフレットに記載されているように、他の嫌気性消化プロセスから得られるスターター培養物を活用することによって与えることができる(最初は優先権出願の明細書に補遺として添付された)。国際出願第2013104911号パンフレットに記載されているプロセス(1つ以上)から得られる適切なスターター培養物/スラリー(典型的には3〜10容積/容積%の消化装置、例えば4〜7容積/容積%)は、本願明細書に記載されている材料の嫌気性消化に適している微生物(メタン生成菌を含む)の反応混液だけでなく、高緩衝能を含むものである。高緩衝能だけでなく微生物の反応混液を含むスターター培養物を与えることによって、本発明者らはプロセスの追加のpH調節が必要とされなくてもよいことを見出した。従って、スターター培養物をスラリーへ添加することにより、必要とされる6.6〜7.6のpHが達成されているか、又は必要なpH範囲に達するために最初pH調節が必要とされ得るが、その後に更なる追加のpH調節が必要とされないことになる。理論によって縛られたくないが、高緩衝能が嫌気性プロセスを開始するのに充分であり、一旦開始されるとプロセスは自律的であると考えられる。すなわち、一旦開始されると、嫌気性プロセスは、更なるスラリーの添加が嫌気性プロセスを阻害せず又は損なわないように更なる重炭酸アルカリ度又は緩衝能を生成し続ける。本発明者らは、一旦開始されると、バイオガスと液体残存物が取り出されるのにつれて新たなスラリーをプロセスに連続して再導入することができることを見出した。従って、本発明は、連続プロセスとして提供され得る。
本発明者らによって見出されたように、個別には蒸留/醸造プロセスからの或る固体廃棄物は、嫌気性消化に最適な出発供給源でなくてもよく、改善された消化性材料を与えるために蒸留/醸造プロセスからの固体廃棄物と第2の又は更なる固体廃棄物とを混合することが望ましい場合がある。例えば、グレーン蒸留酒製造所から使用済グレーンと他の蒸留酒製造所/醸造固体廃棄物又はサイレージのような農業廃棄物とを混合することが望ましい場合がある。更に、サイレージは嫌気性消化装置においてのみ用いられてきたが、本発明の使用済穀物材料との組み合わせは嫌気性プロセス自体及び/又は嫌気性消化後に生じる次の固体材料の点で有利であり得る。
グレーン蒸留酒製造所の使用済穀物及び使用済酵母の固形物(懸濁固形物)は連続又はポットスチル蒸留後に使用済ウォッシュから機械的手段によって取り出される。グレーン蒸留から回収された使用済グレーンと酵母の乾燥物質含有量は、典型的には、用いられる機械的分離装置を受けやすい28%と40%の間の乾燥固形分の範囲になる。使用済ウォッシュからの使用済酵母と使用済グレーンの固形物の分離に典型的な機械的装置は以下のものである:
(a) フィルター、メンブラン又はベルトプレス。
(b) デカンタ型遠心分離機。
使用済ウォッシュスラリーからの全懸濁固形物の操作効率及び回収パーセントは、デカンタ型遠心分離機の70%からフィルタープレスの98%の範囲になる。回収された使用済グレーンの水分含量は、回収に用いられる機械的装置のタイプによっても変動する。例えば、デカンタ型遠心分離機は、約28%の乾燥物質で使用済ウォッシュから懸濁固形物を回収するが、フィルターは、40%までの乾燥物質で使用済ウォッシュから懸濁固形物を回収し得る。
通常は、グレーン蒸留酒製造所については、固体副産物は湿潤固体であるか、又は固体副産物は最初の機械的分離後に(蒸発された)濃縮可溶性画分と合せられ、乾燥され得る。生成物は、一般用語蒸留酒製造業者乾燥グレーンを有する。
商品名は、グレーン蒸留酒製造所からの湿潤固体及び乾燥した副産物に対して存在する。このような1つの湿潤固体材料は、主に小麦からスピリットアルコールの製造において生成されるVitagoldRTMである。グレーンをモルト及び水と圧力釜型操作で混合して、穀物から糖を放出させる。次に、酵母を添加して、糖をアルコールに発酵させる。次に、アルコールをなおその場ですべての固形物と高温で混合物から蒸留させる。次に、固形物を加圧して、過剰の水分を抽出して、VitagoldRTMと呼ばれる脆い湿性の供給物が残る。VitagoldRTMに対して同様の他の材料が使われてもよい。それ故、本発明は、使用済酵母と組み合わせてもよい使用済湿潤固体及び乾燥した穀物生成物にまで及ぶ。
湿潤及び乾燥生成物の組成は、一般に、38〜44%の無水ベースタンパク質の典型的な範囲を有するタンパク質が高く、これはエネルギー作物からの廃棄材料に関して予想され得るよりもかなり高い。機械的手段によって回収される酵母画分は、高タンパク質含有量の主な理由である。非発酵性炭水化物及び油もまた、固体副産物画分の製造において鍵となる高分子成分である。
搾りかすは、スコッチモルトウイスキーとアイリッシュモルトウイスキー双方他の地理的位置で製造されモルトウイスキーのために行われるマッシングプロセスの後に残存する使用済穀物固形残留物や、麦芽マッシュのビールマッシングの後に残存する使用済穀物固形残留物である。高分子レベルの搾りかすの主な成分は、油及びタンパク質と共に非発酵性炭水化物、例えばヘミセルロースやセルロースである。更に、搾りかすの全体的な組成は時間が経つにつれて比較的に一定になるようであり、これは潜在的には嫌気性消化に適切な基質である。高分子製造を与えるC:N:P比もまた、嫌気性消化に許容できる範囲になるようである。典型的には、搾りかすは、高水分含有量、例えば75%〜80質量/質量%を有し、現実は酸性、典型的にはpH 4.0〜5.5である。また、固体である搾りかすは、それを短時間で直接容易に消化可能にしない。固形物は嫌気的に温浸され得るが、商業的に実行可能であるために、消化、それ故、バイオガス生成ができる限り短時間で生じることは重要である。驚くべきことに、本発明者らは酵素の使用、例えばセルラーゼやヘミセルラーゼが搾りかす及び他の使用済穀物材料の消化を改善しないことを見出し、このように、本発明は、実質的に特に添加された酵素、例えばヘミセルラーゼやセルラーゼの存在しないときに行われ得る。このことは、もちろん、スターター培養物及び/又は液体残存物中に天然に存在し得る酵素を除外しない。
典型的には、固体生成物(1つ以上)搾りかすの水分含量及び灰分を第一に測定する。固体生成物出発材料については、任意のバイオガス又はメタン収量の結果は、揮発性乾燥固形物トン当たり×m3(バイオガス又はメタン)によって表されることを必要とする。
スラリーは、固体(1つ以上)と液体(1つ以上)とを混合して、質量/質量に基づき20%までの乾燥固形物を有するスラリーを生成することによって供給されるが、典型的にはスラリーは15%まで、典型的には12%まで、10%以下の低い合計固形物を有する。1つ以上の液体には、使用済ポットエール、又はモルトウイスキー蒸留プロセス後に残存する希釈されたポットエールシロップ、水及び/又は必要によりスラリー望ましいpHに維持するために高緩衝能を有してもよい液体が含まれてもよい。例えば、スラリーのpHは、pH 3.5と8.0の間にあり得る。望ましくは、スラリーは高アルカリ度(典型的には重炭酸アルカリ度)、能力を有し得るが、これは重要ではない。特に好ましい液体は、国際出願第2013104911号パンフレットに記載されているようにプロセスから可溶性廃棄物の嫌気性消化から得られる残存物であってもよく、又は液体残存物であり、ここで、大部分の懸濁固形物は、本発明に従って得られるように、取り出されており、これが再循環され、新たな使用済穀物生成物(1つ以上)を有するスラリーを形成するために用いられている。
更なる態様において、実質的に水溶液、又は水と油の二相系の消化及び1以上の固体の使用済生成物の消化のシステムが提供され、システムは、高レベルの重炭酸アルカリ度を有するバイオガス及び液体残存物を生成するように、前記実質的に水溶液又は水と油の二相系を嫌気的に処理するための第1の嫌気性反応器及び1つ以上の固体使用済生成物(本明細書に定義されている)を嫌気的に温浸するための第2の嫌気性消化装置を備え、前記1つ以上の固体使用済生成物及び前記第1の嫌気性反応器からの前記液体残存物を含むスラリーの形で消化装置に供給される。
第1の嫌気性反応器からの液体残存物は、高レベルの重炭酸アルカリ度が第2の嫌気性消化装置において蓄積するような時間まで、第2の嫌気性消化の始動でスラリーを形成するために用いられてもよく、そこで第2の嫌気性消化装置からの液体残存物は、第2の嫌気性消化装置への導入のための新たなスラリーを作るために再循環され得る。
ポットエールは、スコッチモルトウイスキー又はアイリッシュモルトウイスキーの製造においてウォッシュ蒸留の後に残った残留物である。この流れは、ウォッシュスチルを充填するために用いられる最初のウォッシュ(ビール)の約2/3を表す。ポットエール組成物は、可溶性固形物及び使用済酵母が優位を占めた懸濁固形物から構成されている。ポットエールシロップから誘導される可溶性固形物は、多少の油、有機酸、微量エタノール及びタンパク質と共に非発酵性炭水化物が優位を占めている。ポットエールの全固形物成分は、一般的には質量/質量に基づいて約4.5%である(全固形物 = 可溶性固形物 + 懸濁固形物)。
ポットエールの化学的酸素要求量は、典型的には、9%アルコール容積/容積ウォッシュと作動させている蒸留酒製造所に対して1リットルにつき60,000〜65,000mgの範囲にある(典型的なモルト蒸留酒製造所に対して)。最後に、ポットエールCODは、任意の個々のモルト蒸留酒製造所が作動させるビール強度によって定量される。ビール強度が高いと、ポットエールのCOD濃度が高くなる。モルト蒸留のビール強度は、11%アルコール容積/容積程度であってもよく、その結果としてポットエールのCODの濃度が高くなり得る。
ポットエールシロップは、簡単には、蒸発器内で濃縮されたポットエールである。最初の4.5%全固形物は、ポットエールシロップの粘度とプロセスで用いられる蒸発器のタイプを受けやすい35と45%の間の乾燥固形物に濃縮され得る。
蒸発させた画分は、汚れた凝縮物として知られ、微量エタノールや酢酸のようなポットエールの揮発性成分の一部を含有する。蒸発させた画分又は汚れた凝縮物は知られているように、CODが低く(典型的には1,000〜2,000mg/リットル)、通常は生物学的処理プラント内で処理されて、このCODを取り出す。モルト蒸留酒製造所から得られるポットエールシロップと同様の材料は、グレーン又は他の穀物蒸留酒製造所からも得ることができる。このような材料は、典型的には当該技術において既知のようにデカンタ軽相又は薄い蒸留廃液の蒸発を通して、濃縮することによって得ることができる。このような濃縮した材料もまた、本発明に従って用いることができる。
45%の乾燥固形物のポットエールシロップの化学的酸素要求量は、典型的には1リットルにつき580,000〜630,000mgの範囲にある。(ポットエールの蒸発装置増加濃度×10マイナス汚れた凝縮物に対するいくつかのCODの損失に基づく)。汚れた凝縮物に対するCOD損失は、微量エタノール及び酢酸である。しかしながら、タンパク質濃度は、約32〜37%で比較的高い。
有利には、本発明者らは、適切なスラリー材料の生成においてポットエールシロップ又は他の濃縮シロップを使うことができ、消化装置のコスト及び物理的サイズを節約することを見出した。シロップを作る前のポットエールの量は非常に実質的であり、これがスラリーを作るのに使われる場合には、温浸されることを必要とする容積は極めて大きくなるので、より多くの消化装置が必要となり、それ故、コストが増大する。しかしながら、蒸留から受け取られるポットエールの代わりに希釈されたポットエールシロップを使うことによって必要とされる容積を減少させることにより、コスト節約が実現され得る。本発明者らは、直接単一の消化装置へ、単一の蒸留酒製造所から得られる量で、搾りかすと合わせた45%の乾燥固形物でポットエールシロップを送ることができた。他の蒸留酒製造所から誘導され得るより多くのポットエールシロップを活用することもまた可能であり、必要とされ得る消化装置の数を減らすことによってコストが節約される。例えば、これは、搾りかすの1つと35日保持時間によるポットエールシロップの2つの蒸留酒製造所の等価なモルト蒸留酒製造所比であり得る。ポットエールシロップの使用が望まれ得るが、ポットエールシロップの化学組成及び特に高タンパク質及びカリウムレベルは消化プロセスを最適に進行することから阻害することになる。しかしながら、本発明者らは、搾りかす又は希釈されたポットエールシロップを有する他の使用済穀物材料の消化をうまく行った。理論で縛られることを望まないが、ポットエールシロップ及び搾りかすの消化は、双方とも高タンパク質レベルを有するが、アンモニア及びその結果としてアンモニアイオンの製造につながることができ、これがおそらく阻害するらしい。しかしながら、嫌気性プロセスに対する阻害剤として作用することができると予想された高いカリウムレベルは、実際には相殺する働きをするか、又はアンモニウムイオンの作用に対抗することができ、嫌気性プロセスは非常に充分に続けることができる。従って、ポットエール又はポットエールシロップと合せた使用済グレーン材料の効率的な嫌気性消化は、全く予想外である。更に、ポットエール又は他のシロップを使うことによって、消化装置自体から及び/又は他の嫌気性消化装置からの液体残存物が、最初スラリーを望ましい固形物に作るために使用し得る。有利には、これによって、スラリーを望ましいpHにする働きもしつつ、高重炭酸アルカリ度をスラリーに与えることができる。
しかしながら、スラリー中のポットエール/ポットエールシロップのような液体(1つ以上)から誘導される任意の追加の酸性の影響は、考慮されなければならない。上記のように、嫌気性プロセスのpHが望ましいpH範囲の間になければならないので、pH調整は必要に応じて必要とされ得る。残渣の重炭酸アルカリ度は、また、炭酸カルシウムのように1リットルにつき3,000mgを超えて1リットルにつき9,000mgまで、理想的には4,000と5,000mg/lとの間に残存しなければならない。ポットエールシロップ中の酸性レベルは非常に可変的であり得るものであり、高重炭酸アルカリ度を有する残存物を使うときでさえも、記載されるように、アルカリによるわずかなpH調整が消化装置における効率的な嫌気発酵に必要とされる必要なpH及び重炭酸アルカリ度条件を満たすことを必要とし得る。
この用語高レベル重炭酸アルカリ度は、mgl-1の炭酸カルシウムによって表される、少なくとも3000mgl-1(典型的には4000〜5000mgl-1)であることに関係があると理解され、以下の通り算出され得る:
重炭酸アルカリ度(mgl-1炭酸カルシウムとして) = 全アルカリ度(mgl-1 CaCO3 ) - 全揮発性脂肪酸(ppm )×0.71
全アルカリ度は、0.1N塩酸を用いてpH 4.0に滴定によって定量され得る。全揮発性脂肪酸は、ガスクロマトグラフィーによって定量され得る。
スラリーを形成するために用いられる1つ以上の液体が高(例えば重炭酸塩)アルカリ度能力を有する液体を含む場合、必要なpH範囲で有り得るように、嫌気性消化装置においてpHを調整することが必要でなくてもよい。しかしながら、嫌気性消化装置内の混合物がpH 6.6〜7.6、より好ましくはpH 7.0〜7.4の望ましいpH範囲の中にない場合には、pHは適切なアルカリ性材料、例えば石灰(すなわち酸化カルシウム又は水酸化物カルシウム、又は重炭酸ナトリウム)の添加によって調整され得る。望ましくは、このような調整は、重炭酸アルカリ度の増大が嫌気性プロセスの間に生じ得るように嫌気性消化の開始時に必要とされ得るだけであり、望ましいpHレベルは自然に達成した。すなわち、本発明者らは、最初の始動後、pHが調整されることを必要としてもよく且つ/又は他の嫌気性プロセスから重炭酸アルカリ度が高い液体残存物が使われ得る場合、嫌気性消化装置における混合物がそれ自体高レベルの重炭酸アルカリ度を増大し得ることを見出した。一旦このことが生じると、消化装置から得られる液体残存物はそれ自体高レベルの重炭酸アルカリ度を有し且つ更にpH調整を必要としなくてもよい新たなスラリーを作るために使用し得る。
嫌気性消化は、典型的には、共生して作用する中温性の酸生成及びメタン生成の細菌によって行われて、典型的にはメタン及び二酸化炭素を含むバイオガスを生成する。嫌気性消化を行うための微生物のスターター培養物は、通例の嫌気性プロセス、例えば下水スラッジ処理を作動させている供給業者から商業的に入手し得る。プロセス条件の適用時に、微生物の培養物が適応され、有利な条件を見つける生物体が悪い条件を見つけるものを犠牲にして発育する。
或いは、酸生成及びメタン生成の細菌は、生物体の適切な混合物が嫌気性プロセスの間に発育した他の嫌気性プロセスから得ることができる。このような一プロセスが国際公開第2013104911号パンフレットに記載されており、例えば、蒸留酒製造所から可溶性廃棄物を嫌気的に温浸する本発明者らによって開発されたプロセスが記載され且つ時間が経つにつれて調整された中温性のメタン生成スラッジブランケットを生成している。このスラッジブランケットの試料は、本発明の嫌気性プロセスに用いるためのスターター培養物として用い得る。
スラリーの適切な加熱は、30℃〜40℃、典型的には36〜38℃の間の中温性の酸生成及びメタン生成の細菌によってスラリーを中温菌の嫌気性消化に望ましい温度で維持するために準備され得るが、典型的にはこれは温暖な及び暖かい気候帯には必要とされなくてもよく、又はその年の寒い月にのみ必要とされ得る。
典型的には嫌気性消化相におけるスラリーの平均保持時間(スラリー中固形物材料の少なくとも75%の消化を得るために)は、30〜70日間、例えば30〜45日間、特に32〜37日間程度である。しかしながら、本発明者らは、本発明に従って行われた場合、かなりの量[約50%]の全バイオガス製造がスラリー添加の3〜7日以内に生じ、そのように非常に短い平均スラリー保持期間、例えば15日未満、12日未満、10日未満、又は8日未満でさえ適切で且つ商業的に実行可能であり得ることを見出した。しかしながら、望ましくは、保持期間は、VSS 1トンにつき1m3未満のメタンの残留メタン含有量を有する嫌気性残存物が残留ガス試験により1日につき得られるようなものであり得る。
好ましくは、固形物材料又はスラリーは、嫌気性消化の前に、粒子径を減少させ、表面サイズ面積を増加し、且つ/又はスラリー中の固形物の可溶化を援助するために粉砕又は他の適切な摩砕又は均質化プロセスに供される。望ましくは、スラリー中の固形物粒子/材料は、0.5mm未満、好ましくは0.2mm未満の平均最大径/軸を有しなければならない。スラリー中に存在する最初の固体材料の一部が嫌気性消化の前に可溶化され且つ嫌気的に温浸されることができることが理解される。しかしながら、スラリー中に存在する固形物の更なる可溶化は、嫌気性消化の間に生じる。理論で縛られることを望まないが、嫌気性消化を行う細菌がスラリー中に存在する固形物の更なる分解及び可溶化を容易にする酵素、例えばセルラーゼやヘミセルラーゼを放出すると考えられる。このことは、外因性酵素の添加が一般的には必要とされず、本発明において必要でない理由であり得る。有利には他の嫌気性消化プロセスからの高重炭酸アルカリ度を有する液体残存物及び/又は本明細書に記載されているプロセスから得られる液体残存物が使われるときに、このことは上記の酵素が存在するように固体(固形物)材料の急速な可溶化を容易にし得る。
後で詳しく述べるように、微量栄養素レベル及び微量栄養素の嫌気性消化プロセスへの添加のモニタリングもまた、本発明に従って行われ得る。このことは、スラリー中の懸濁固形物がかなりの(例えば無水ベースで>20%のタンパク質)量を含むときに特に重要であり得る。上記のように、アンモニア及びアンモニウムイオンがタンパク質材料から生成され得ることが予想される場合があり、このことをモニタリングすることができ、拮抗的な材料、例えばカルシウムイオン又はマグネシウムイオンがアンモニア/アンモニウムイオンのありそうな阻害作用を相殺するために与えられてもよい。
選択できる「酸生成」相は、pH6.6〜7.6の嫌気性消化の前に使うことができる。このような相は、典型的には3.5〜5の範囲にある酸性pHで行われる。3.5〜4.2の範囲にあるpHが酸生成/酢酸生成を起こさせるのに援助することが見出され、それによって、増加しているレベルのVFAが6.6〜7.6の次の嫌気性段階に進められる。しかしながら、実際には、pH6.6〜7.6の嫌気性段階がVFAを処理することができることがわかった。すなわち酢酸又は他の小さい鎖のカルボン酸を生成するために酢酸生成が生じる。従って、有利には、本発明の一部の実施態様において、酸生成相は使われない。このような酸生成段階が行われる場合には、pHが作られているか又はpH6.6〜7.6に調整される前のスラリーで行われることが理解されるであろう。
必要とされる場合には、スラリーは酸生成反応器内で処理される前に必要に応じて酸性pHに調整されてもよい。一般に、酸生成反応器が使われる場合、酸生成プロセスは約24時間のみ(再循環なしで)の典型的な液圧保持時間によって比較的に急速である。典型的には、酸生成段階は、酸生成反応器内の混合によって行われる。
嫌気性段階の前に行われる任意の酸生成段階に対して、適切な微生物が、これらの生物体、例えば取り出されたCOD 1kgにつき0.15kgまでの急速な発育を引き起こし得る環境において、特にアルコール性飲料プロセスの原料として企図される(栄養分に富んだ)水性流出物流において遍在して見つけることができる。
典型的には、嫌気性プロセスは、メタン生成及び酸生成微生物の混合物を含む封入タンク又はラグーンにおいて行われる。好ましい実施態様において、タンク又はラグーンは、嫌気性プロセスの大部分が行われる第1の部分及び第1の部分の最初の嫌気性消化後の残存物液体を保持し且つ更なる嫌気性消化が生じる別個の「保持」部分を備えている。望ましくは、第1の部分の平均保持時間は、30〜40日間の間、例えば32〜37日間の間、典型的には約35日間である。
有利には、嫌気性及び/又は保持部分からの液体残存物は再循環されず、液体残存物のいくらか/一部以外は新たな固体材料を含む更なるスラリーを形成するために用いられる。嫌気性消化後に得られる液体残存物は、望ましい高(重炭酸)アルカリ度を有することが予想されるので、更なるスラリーに正しいpHと緩衝能を与え得る。
嫌気性消化の間に生じる高重重炭酸アルカリ度レベルは、嫌気性反応器においてプロピオン酸のような阻害レベルの副産物の蓄積を減少させることも予想される。高プロピオン酸レベル(及びアンモニア及びH2Sのような他の望ましくない化学種のレベル)によって、バイオガスの品質のかなりの低下及びCOD分解の減少が生じる。
更また、嫌気性プロセスの間に生じる自然の高重炭酸アルカリ度については、第1の部分における混合物は、存在するアルカリ性のリザーバが非常に大きいことから、望ましいpH(pH 6.6〜7.6、好ましくはpH 7.2〜7.4)を容易に維持する。これにより、アルカリ性を加えたpHを連続して調整する要求が回避され得る。pHの調整は、上記の酸生成反応器からの排出量が低pH、例えば約3.5を有し得るように選択できる酸生成段階を作動させるときに必要とされ得る。
嫌気性部分と保持部分は、バイオガス及び液体残存物を生成する。生成されるバイオガス(一般的にはメタン及び二酸化炭素であるが、少量の他の気体、例えば硫化水素を含めてもよい)は、例えば発熱用燃料として用いることがき、又はガスエンジンに用いて、電気や熱を供給することができる。或いは、バイオガスは、ガスグリッドに直接供給され得るメタン(> 98%)を提供するために、二酸化炭素、水、硫化水素等の量を減少させるために「浄化」され得る。このような「浄化」プロセスは、当該技術において周知であり、ガス洗浄が含まれる(例えばKapdy, S.S. et al , Renewable Energy (2004) p 1-8を参照のこと)。
液体残存物には、典型的には、亜リン酸、窒素及びカリウムが含まれ、これらは様々な形態で存在してもよく、スツルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)を含めてもよい。しかしながら、液体残存物は、新たな固体材料を有するスラリーを形成するために用いられるだけでなく、農業に用いるために更に処理されてもよい。嫌気性消化後の液体流出物の処理には、例えば噴霧乾燥による、液体肥料として用いるための濃縮物への蒸発又は固体生成物への蒸発が含まれてもよい。
上記のように、嫌気性消化の間に微量栄養素を添加することが望ましい場合があり、特にコバルト、ニッケル、及び鉄の1つ以上を含む少なくとも1つの金属塩もまたかなりの利点を生じ得る。セレンもまた添加微量栄養素として使われる。他の微量栄養素、例えばビタミン、例えばリボフラビン、ビタミンB12が適切であり得る。有利には、コバルト、ニッケル及び鉄の各々の塩が添加され、セレンもまた必要に応じて添加される。典型的には、金属塩は、塩化物又は硫酸塩の形で供給される。
バイオマスの維持及びプロセス排出量の品質の改善は、微量栄養素含有量をモニタし(好ましくは正確な分析法、例えばICP - 誘導結合プラズマ質量分析-測定によって)且つ測定量の微量栄養素を添加することによって達成されることがわかった。モニタリング及び/又は微量栄養素の添加は共に、所望により自動的に行われてもよい。モニタリングは微量栄養素の過量を回避することができ、その一部は超過した場合に嫌気性微生物に阻害性/毒性である。
嫌気性消化の他のモニタリング、例えば、酸化-還元電位プローブ(ORPプローブ)を用いて、メタン生成段階の範囲内で酸化還元電位を測定することも有利であり得る。この測定は、プロセスが嫌気性方法で正しく動作させていることを指示する。典型的には、測定が-350mV〜-530mVの程度である場合には、プロセスは好ましい状態で作動している。測定がこのような値から移動する場合には、メタンの製造のために好ましくない状態が存在する。
微量栄養素含有量の測定が関係する限り、メタン生成段階自体から(手動で又は自動的に)試料を得た後になされてもよい。有利には及び好都合には、メタン生成段階の微量栄養素の含有量のモニタリングは、嫌気性段階自体の含有量を試料採取することから定量されないが、プロセスへの又は嫌気性段階への投入量で、更に、嫌気性段階からの排出量で微量栄養素濃度を測定し且つ2つの結果を効率的に動作させているプロセスにおける微生物の予想される発育の理解と共に比較することによって定量される。
嫌気性プロセスを作動させるときに、投入量及び排出量の測定された微量栄養素のレベルが含有量に匹敵し得ることがあり得るとしても、供給量の微量栄養素が微生物に容易に生物学的に利用可能でなく、微生物が発育するのにつれて微量栄養素を消費することが予想され、液体排出量に見られる量を減少させることが示される。このために補助剤として微量栄養素を、典型的には毎日又はたびたびでなくモニタリング結果に応答して規則的に添加することが有益であることがわかった。円滑な処理プロセス及び比較的に一貫した供給については、モニタリング工程はしばしば行われる必要はなく、毎日又は他の規則的(例えば毎週)に添加すると微量栄養素レベルが望ましい濃度の範囲内に保たれる。
微量栄養素の典型的細胞内「標的」量、例えば微生物の健康な培養を維持するために必要とされる金属は、嫌気性プロセスのための文献に見られ得る。例えば、鉄 - 1,800mg kg-1。ニッケル - 100mg kg-1及びコバルト - 75mg kg-1。(スラッジの乾燥質量に基づく)。セレンに対しては、少量、典型的には50mg kg-1未満が示されている。
図1は、麦芽蒸留プロセスを示す概略図であり、搾りかす及び他の廃棄材料が本発明において誘導され用いられてもよい。 図2は、グレーン蒸留プロセスを示す概略図であり、固体廃棄物が本発明において誘導され用いられてもよい。 図3は、蒸留プロセスにおけるポットスチル全グレーンを示す概略図であり、固体廃棄物が本発明において誘導され用いられてもよい。 図4は、本発明の固体(固形物)消化プロセスを示す概略図である。 図5は、本発明のプロセスによって行われる経時バイオガス製造の結果を示すグラフである。
詳細な説明
本発明は、ここで、一例として及び添付の図面に対して更に記載される。
図1は、麦芽蒸留プロセスを示す概略図である。図に示されるように大麦麦芽(10)は最初に粉砕(12)された後、粉砕された大麦麦芽がマッシングプロセス(14)に供される。マッシング後、搾りかす(16)を取り出し、得られた液体を発酵(16)に供する。発酵後、得られた液体を蒸留し(18)、更なる蒸留のためにローワイン画分(20)を分離する。スチル内に残存する液体は、微量の使用済穀物固形物及び酵母が含まれるポットエール(22)であり、可溶性固形物又は懸濁固形物の形であってもよい。搾りかすを含むスラリーを形成するためにポットエール(22)が直接用いられてもよく、又はポットエールシロップ(26)及び汚れた凝縮物(28)を作るために、蒸発プロセス(24)に供されてもよく、これらは更に処理され得る。ポットエールシロップ(26)は、スラリー容器(28)内で、搾りかすを含むスラリーを形成するために使用し得る。得られたスラリーは、最初の酸生成プロセスに、又は直接嫌気性プロセスに供され、バイオガス及び液体残存物を作ることができる。
図2は、グレーン蒸留プロセスの要点を示す概略図である。スペントウォッシュには、使用済穀物及び酵母を含む可溶性画分及び懸濁固形物が含まれる。懸濁固形物は、デカント、フィルタープレス、メンブランプレス、ベルトプレス等によって回収されてもよく、使用済グレーン及び酵母を含む固形物材料は本発明に用いてもよい。
図3は、蒸留プロセスにおいてポットスチル全粒の要点を示す概略図である。ポットスチル蒸留後、ポットエールが取り出され、このポットエールには、可溶性の溶解固形物並びに微量の使用済穀物固形物及び酵母を含む懸濁固形物が含まれる。上記のグレーン蒸留プロセスのように、懸濁固形物はデカント、フィルタープレス、メンブランプレス、ベルトプレス等によって回収されてもよく、使用済グレーン及び酵母を含む固形物材料は本発明に用いられてもよい。
図4は、本発明のプロセス一例を示す概略図である。搾りかす(17)は、最初にスラリー容器(28)内で高重炭酸アルカリ度嫌気性残存物(嫌気性反応器又は消化装置からの流出液流、例えば添付図面を参照のこと)、ポットエール(22)及び/又はポットエールシロップ(26)と混合されて、質量/質量に基づいて12%までの乾燥固形物スラリーを生成する。次に、スラリー化した搾りかすは、機械的手段(42)によって粒子径の減少を受けて、嫌気性消化装置における表面積及び可溶化速度を増大する。
高重炭酸アルカリ度残存物とは、炭酸カルシウムとして表される1リットル当たり4,000と5,000mgの間の重炭酸アルカリ度を有する残存物を意味する。
粒子径減少の後、スラリー化した搾りかすは消化装置容器(44)へ移され、飢餓嫌気性スラッジ(国際公開第2013104911号パンフレットに記載されているプロセスに従って調製した調整スラッジから取り出した)が添加されて、バイオガス及び液体残存物への嫌気性変換プロセスを始める。消化装置の容器(44)は閉じられ、変形可能な内部ガスフード(46)を含有しており、それがバイオガス製造及びスラリーからの放出時に容器内で膨張する。
飢餓嫌気性スラッジは、蒸留酒製造所使用済可溶物に使用している既存の嫌気性反応器から取り出した。スラッジの添加速度は、典型的には消化装置の全使用容積の5%である。スラッジ乾燥固形物は、各実験に対して測定され、約3%の乾燥固形物であることがわかった。
操作は、実験の間、摂氏37度 +/- 2Cに維持された消化装置において中温性条件下で行われる。放出するガスの一部は、消化装置の容器(44)内でスラリーの混合を容易にするために再循環される(50)。
嫌気性消化プロセス実験は、典型的には35日間行われ、揮発性乾燥物質1トン当たりのバイオガス及びメタン双方の収量が算出される。
集められたガスは、脱硫タワー(50)へ送られて、硫化水素を除去した後、集められたガスを用いて電気を生成するためにガスエンジンを動かすか、又は更に、例えば、二酸化炭素を除去し且つ全国送電網に直接供給され得るクリーンメタンを供給するために清浄にされるか、又はスクラブ塔に代わるものとして、いくらかの酸素が消化装置のヘッドスペースに導入されて、H2Sと反応するとともに元素の硫黄を生成する。
嫌気性消化後に残存している液体残留物は、全残存物として知られ、全残存物容器(56)へ移され得る。この全残存物は、更に機械的手段又はろ過(58)によって固体繊維流(60)と液体(62)に分離されてもよく、それの一部(64)(重炭酸アルカリ度が高い)は逆に再循環されて、新規なスラリーを形成する。
大部分である分離した液体残存物の残部は、肥料として土地への適用のために望ましいレベルのNa、K、Pを有する溶液を供給するために濃縮され得る。例えば、固体繊維部分は、土壌改良剤として土地へ適用され得る。
ろ過が用いられる場合、部分的な懸濁固形物分離に続いて限外ろ過及び逆浸透が行われる。保持流れは、ろ過によってこれらの画分を濃縮する結果としてN:P:Kがより豊富である。
或いは、蒸発量もまた選択である。ここで、残存物のpHはpH約5に調整されて、蒸発器プロセスの溶液中のアンモニウムを保持しなければならず、さもなければ、これは汚れた凝縮物画分へのアンモニアとして失われる。
バイオガス及びメタン双方の総量が正確に測定され得る、目盛をつけた水柱収集容器につながっているガスチューブを有する10リットルのガラス消化装置の容器を用いて同様の小規模実験を行った。収量決定のための実験研究は、典型的には、嫌気性変換プロセスの内部化学を調べるために用いられる同じ基質に作動させる第3の消化装置を有する二つの消化装置において繰り返した。これらの実験は収量を確実にするために繰り返され、ガス生成速度は再現され得る。
本発明は、以下の態様も好ましい。〔1〕 バイオガス及び/又はメタンを製造する方法であって:
(a) 1つ以上の固体使用済穀物生成物を含むスラリーを準備する工程;
(b) バイオガス及び液体残存物を得るために、スラリーをpH 6.6〜7.6のpHでメタン生成を含む嫌気性消化に供する工程
を含む、前記方法。
〔2〕 95%を超える純度でメタンを得るためにバイオガスを処理することを更に含む、〔1〕に記載の方法。
〔3〕 スラリーの50%、60%、70%、80%又は90%を超える固形物(液体の質量/固形物の乾燥質量に基づく)が使用済穀物と酵母を3:1〜1:3の比で含む材料から誘導されている、〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕 スラリーが、更に、サイレージを無水ベースで全固形物の20%までの量で含んでいる、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の方法。
〔5〕 スラリーが、最初に、質量/質量に基づいて20%まで、15%まで、12%まで、又は10%までの乾燥固形物含量を含んでいる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の方法。
〔6〕 スラリーが、使用済ポットエール、ポットエールシロップ、水及び/又は嫌気性消化装置を望ましいpHに維持するための高緩衝能を有する液体を含んでいる、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔7〕 嫌気性消化装置を望ましいpHに維持するための高緩衝能を有する液体が高重炭酸アルカリ度を有している、〔6〕に記載の方法。
〔8〕 方法の間、スラリーの重炭酸アルカリ度が、1リットルにつき少なくとも3,000mgである、〔7〕に記載の方法。
〔9〕 高緩衝能を有する液体が、可溶性廃棄物の嫌気性消化から得られる液体残存物及び/又は〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の方法から得られる液体残存物である、〔6〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の方法。
〔10〕 pHが7.0〜7.4である、〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の方法。
〔11〕 液体残存物を再循環して、新たな使用済固体穀物生成物(1つ以上)を有するスラリーを形成し且つ/又は農業に用いるために更に処理される、〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の方法。
〔12〕 メタン生成が、30℃〜40℃の間の中温性の酸生成細菌及びメタン生成細菌による嫌気性消化を含んでいる、〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の方法。
〔13〕 嫌気性消化が、35〜45日間の平均保持時間を有する、〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の方法。
〔14〕 嫌気性消化を行うための微生物のスターター培養物が、廃棄物下水スラッジ処理プラントから、又は可溶性蒸留所廃棄物の嫌気性消化から得られる調整された微生物集団から得られる、〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の方法。
〔15〕 スラリーが、嫌気性消化の前に、粒子径を減少させ、表面サイズ面積を増大させ、且つ/又はスラリー中の固形物の可溶化を助けるために、粉砕又は他の適切な摩砕又は均質化プロセスに供される、〔1〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の方法。
〔16〕 1つ以上の微量栄養素レベルをモニタリングする工程及び前記1つ以上の微量栄養素を必要に応じて嫌気性消化プロセスに添加する工程を更に含む、〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の方法。
〔17〕 嫌気性消化の前に酸生成相を更に含む、〔1〕〜〔16〕のいずれか1項に記載の方法。
〔18〕 酸生成相が、約24時間(再循環なしで)のみの平均液圧保持時間を有する、〔17〕に記載の方法。
〔19〕 液体残存物が、180日間までの期間貯蔵される、〔1〕〜〔18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔20〕 液体残存物の少なくとも一部が、液体肥料としての使用に適するように液体残存物を濃縮するために蒸発に供される、〔1〕〜〔19〕のいずれか1項に記載の方法。
〔21〕 液体残存物の少なくとも一部が、固体肥料としての使用に適する固体生成物を形成するために蒸発に供される、〔1〕〜〔19〕のいずれか1項に記載の方法。
〔22〕 バイオガスの一部が、嫌気性消化装置に通気するために用いられる、〔1〕〜〔21〕のいずれか1項に記載の方法。
〔23〕 図2に対して本明細書に実質的に記載され且つ図2において示されている嫌気性消化システム。
実験
実験プロトコールの鍵となる工程は次の通りである:
1. 実験室嫌気性試験のためのグレーン蒸留使用済固形物調製
(a) 使用済穀物固形物及び酵母を含む蒸留所使用済グレーンの試料を、デカンタ型遠心分離機又はフィルタープレス又はメンブランプレスによって、蒸留所使用済ウォッシュ分離の重相から回収する。
(b) 使用済グレーン試料について水分含量及び灰分を調べる。
(c) 次に、揮発性懸濁固形物無水ベースパーセントを算出する。
(d) 蒸留所使用済グレーン試料を既存の可溶性流れ嫌気性反応器からの残存物又は重炭酸アルカリ度が豊富である嫌気性消化装置からの液体流れを用いて12%〜20%の乾燥固形物スラリーにし、7.2〜7.4の範囲にある自然のスラリーpHを得る。残存物又は液体の重炭酸アルカリ度が炭酸カルシウムとして表される4,000〜5,000mg/リットルの範囲になければならないことに留意されたい。
(e) 或いは、残存物又は液体が利用できない場合には、試料を水で12%〜20%の乾燥固形物スラリーにし、石灰又は重炭酸ナトリウムによってpH調整をpH 7.2〜7.4にしてもよい。
2. グレーン蒸留使用済固形物の粉砕
(a) 次に、スティックブレンダーを用いてスラリーを粉砕して、存在する固形物の粒子径を減少させる。
(b) スティックブレンダーを用いた粒子径減少は、1試料につき5分間行われる。
3. 嫌気性スラッジ
(a) 嫌気性スラッジを既存の嫌気性反応器から試料採取し、周囲条件下で1週間貯蔵する。貯蔵相の目的は、スラッジを飢餓させることである。
(b) これは、使用済グレーン固形物スラリーに添加されるシードスラッジである。
(c) シードスラッジ乾燥固形物を測定し、典型的には無水ベースで5%の懸濁固形物である。
4. 嫌気性発酵 - バイオガス容積及びメタン濃度
(a) 所定の量の蒸留所使用済穀物固形物スラリー及びスラッジを10リットルのガラス嫌気性消化装置に添加する。
(b) 10リットルのガラス消化装置を摂氏37度の制御温度で作動させる水浴内に置く。
(c) バイオガス容積が毎日測定され得るように消化装置ガス収集ヘッドスペースを順次目盛をつけた水柱に接続する。
(d)消化装置からの接続を追加し、バイオガスの二酸化炭素及びメタン含有量を決定する。
(e) 全バイオガス容積及びガス組成は別にして、この方法もまたガス生成及びメタン生成の速度を決定させる。
5. 嫌気性発酵時間
(a) 嫌気性発酵を35日間行う。
6. バイオガス及びメタン収量の評価
(a) 収集された全バイオガス容積は、「1トンの揮発性乾燥固形物当たりのx m3バイオガス」として表される。
(b)測定された全メタン容積は、「1トンの揮発性物乾燥固形物当たりのY m3メタン」として表される。
7. 全残存物
(a) 全残存物のN:P:K値を35日間の嫌気性発酵後に測定する。
バイオガス容積及びガス品質(加算平均60%のメタン、40%の二酸化炭素及び微量H2S 典型的には300〜700 ppmH2S)を、実験の期間を通して毎日測定した。第3の消化装置を用いて、可溶性COD、VFA、重炭酸アルカリ度及びpHによって内部化学を定量した。35日間の嫌気性発酵後、全残存物を収集し、全固形分と全懸濁固形分双方を測定した。更に、可溶性N:P:Kレベルも測定した。
全バイオガス、メタン、二酸化炭素及びH2Sのためのガス測定を24時間毎にとった。揮発性脂肪酸は、第3の消化装置から24時間毎に測定した。35日間を通して非常に低濃度のVFAが見られ、バイオガスへの変換が、基質が利用できるのにつれて、すなわち搾りかす基質が可溶化するのにつれて急速であることを意味する。第3の消化装置のpHもまた24時間毎に測定し、pH 7.2と7.4の間に一貫してあることがわかった。
重炭酸アルカリ度もまた24時間毎に測定し、35日間にわたって少しの増大がわかった。35日間の終りまでの残存物は、典型的には、炭酸カルシウムとして1リットルにつき4,500〜5,000mgの重炭酸アルカリ度を示した。
また、可溶性化学的酸素要求量を24時間毎に測定した。1リットルCOD当たり1,000mg未満が読み取られた。また、このことは、基質が利用できるようになるとすぐにバイオガスに変換することを意味する。
ガス生成速度及び搾りかすから全体のバイオガスとメタンの収量は、微量栄養素の非常に少ない添加から利益を得る。塩化物の形のコバルト、ニッケル及び鉄の非常に少量(5ppmまで)による補足は、約10%だけ全体のメタン収量のためになることがわかった。
嫌気性消化の35日間後、実験を停止し、残存物の肥料N:P:K値を測定する。残存物中の潜在的毒性元素、潜在的病原菌及び残留メタン生成もまた測定した。英国においてはこれらのパラメータに特定の限度を有する実施コードがある。これは、PAS 110 - 供給源分離生物分解性材料の嫌気性消化から誘導された全残存物、分離された液体及び分離された繊維規格として知られている。搾りかす残存物が、すべての場合に限度を満たすことがわかった。
搾りかすに対しては搾りかす揮発性乾燥物質1トン当たり710〜750m3のバイオガスの典型的なバイオガス収量範囲が消化装置において35日間後に得られる(図3を参照のこと)。35日後のメタン収量範囲は、揮発性搾りかす乾燥固形物1トンにつき410と450m3メタンの間にある。バイオガス組成は、典型的には約60%のメタン及び40%の二酸化炭素である。
35日間にわたる搾りかすの可溶化は、最初の乾燥物質の約70〜80%と等しい。
重炭酸塩アルカリ度が高い残存物がスラリー調製の供給源として用いられるときの可溶化及びバイオガスへの変換の速度は、急速である。全バイオガスの約30%は、最初の48時間以内に生成される。従って、バイオガス生成及び固体可溶化を考慮するためにより短いスラリー保持時間が最適化され得る。
本発明者らは本発明の多くの生成物の消化を行い、結果を以下の表に示す。わかるように、種々の出発材料が本発明に従って温浸されている。
試験した嫌気性消化基質 - 研究室及びプラント消化装置

Figure 0006752307

Claims (18)

  1. バイオガス及び/又はメタンを製造する方法であって:
    (a)醸造、蒸留又は燃料アルコール生成から得られる1つ以上の固体使用済穀物生成物を含むスラリーを用意する工程、ここで、前記スラリーは前記1つ以上の固体使用済穀物生成物を1種以上の液体と混合することにより形成され、前記スラリーは12%〜20%の初期乾燥固体含量を有し、且つ、前記1種以上の液体は前記スラリーを所望のpHに維持するために炭酸カルシウムのmg/lで表すと少なくとも3000mg/lという高い重炭酸塩緩衝能を有する液体を含む;及び
    (b)バイオガス及び液体残存物を得るために、メタン生成微生物及び酸生成微生物の混合物を含む封入タンク又はラグーン中で、前記スラリーをpH6.6〜7.6のpHでメタン生成を含む嫌気性消化に供する工程、
    を含む、前記方法。
  2. 前記1種以上の液体が、炭酸カルシウムのmg/lで表すと少なくとも3000mg/lという高い重炭酸塩緩衝能を有し、且つ
    前記1つ以上の固体使用済穀物生成物が、前記1つ以上の固体使用済穀物生成物が酸生成微生物による酸生成に供される前であって且つメタン生成微生物によるメタン生成に供される前に、前記1種以上の液体と混合される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記1つ以上の使用済穀物生成物は、グレーン蒸留酒製造所からの使用済グレーン、搾りかす、ビールの醸造かす及び/又はトウモロコシを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. スラリーの固形物の50%超過(固形物の乾燥質量に基づく)が使用済穀物と酵母を3:1〜1:3の比で含む材料由来である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. スラリーが、更に、サイレージを無水ベースで全固形物の20%までの量で含んでいる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 1種以上の液体が、使用済ポットエール、ポットエールシロップ、及び/又は水を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 高緩衝能を有する前記液体が、可溶性廃棄物の嫌気性消化から得られる更なる液体残存物及び/又は請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法から得られる前記液体残存物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. pHが7.0〜7.4である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 液体残存物は、農業に用いるために更に処理される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記嫌気性消化が、30℃〜40℃の間での中温性の酸生成細菌及びメタン生成細菌による嫌気性消化を含んでおり、且つ、中温性の酸生成細菌による酸生成及びメタン生成細菌によるメタン生成が同一の封入タンク又はラグーンで行われる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 嫌気性消化を行うための微生物のスターター培養物が、廃棄物下水スラッジ処理プラントから、又は可溶性蒸留所廃棄物の嫌気性消化から得られる調整された微生物集団から得られる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. スラリーが、嫌気性消化の前に、粒子径を減少させ、表面サイズ面積を増大させ、且つ/又はスラリー中の固形物の可溶化を助けるために、粉砕又は他の適切な摩砕又は均質化プロセスに供される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 1つ以上の微量栄養素レベルをモニタリングする工程及び前記1つ以上の微量栄養素を必要に応じて嫌気性消化プロセスに添加する工程を更に含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 酸生成段階が嫌気性消化の前に行われない、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 液体残存物の少なくとも一部が、液体肥料としての使用に適するように液体残存物を濃縮するため或いは固体肥料としての使用に適する固体生成物を形成するために、蒸発に供される、請求項9に記載の方法。
  16. バイオガスの一部が、前記スラリーを嫌気性消化に供する工程において、前記スラリーに通気するために用いられる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. バイオガス及び/又はメタンを製造する方法であって、下記工程(a)〜(b):
    (a)スコッチモルトウイスキー、アイリッシュモルトウイスキー又は他の地理的位置で製造されるモルトウイスキーのために行われるマッシングプロセスの後に残存する使用済穀物固形残留物、或いはビールのためのマッシングプロセスの後に残存する使用済穀物固形残留物を含むスラリーを用意する工程、ここで前記スラリーは前記使用済穀物固形残留物を1種以上の液体と混合することにより形成され、前記スラリーは12%〜20%の初期乾燥固体含量を有し、且つ、前記1種以上の液体は前記スラリーを所望のpHに維持するために炭酸カルシウムのmg/lで表すと少なくとも3000mg/lという高い重炭酸塩緩衝能を有する液体を含む;及び
    (b)バイオガス及び/又はメタンと液体残存物とを得るために、メタン生成微生物及び酸生成微生物の混合物を含む封入タンク又はラグーン中で、前記スラリーをpH6.6〜7.6のpHでのメタン生成を含む嫌気性消化に供する工程、
    を含む、前記方法。
  18. 前記1種以上の液体が、炭酸カルシウムのmg/lで表すと少なくとも3000mg/lという高い重炭酸塩緩衝能を有し、且つ
    前記使用済穀物固形残留物が、前記使用済穀物固形残留物が酸生成微生物による酸生成に供される前であって且つメタン生成微生物によるメタン生成に供される前に、前記1種以上の液体と混合される、請求項17に記載の方法。
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