JP6749318B2 - 容器詰水素含有液状飲食品 - Google Patents

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Description

本発明は、液状飲食品の風味バランス調整方法に関し、特に、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることによって、接触直後から液状飲食品の風味を改善し、加熱殺菌後においても良好な風味バランスが持続し得る、液状飲食品の風味バランス調整方法に関するものである。さらに本発明は、液状飲食品の風味バランス調整剤、液状飲食品の製造方法、および当該製造法方法により製造された、風味バランスが調整された液状飲食品にも関する。
我国における飲料製品は、生活スタイルの変化や飲食に対する嗜好の多様化に応えるため、その種類は年々増加し続けている。特に、所定の容器中に封入され、そのままの状態で飲用可能な所謂RTD(Ready to Drink)形態の容器詰飲料が飲料製品全体でも主流となっている。更に、RTD形態の容器詰飲料は、紙製容器等が用いられ冷蔵保管が必要な所謂チルド製品と、缶やペットボトルといった常温で長期間の保存が可能な所謂ドライ製品とに分類されるが、圧倒的にドライ製品が大きな市場規模を有している。
ドライ製品に分類される容器詰飲料としては、コーヒー飲料、紅茶や緑茶といった茶系飲料、野菜果汁飲料、機能性飲料など非常に多種多様であり、一般的に数ヶ月間という長期の保存を可能とするため、容器充填後に加熱殺菌処理が行われている。従って、いずれの飲料カテゴリにおいても、高温での加熱殺菌による風味や呈味の劣化抑制という課題を常に有していた。
昨今の食と健康に対する意識の高まりもあって、身体に対する生理活性機能を備えた、所謂機能性飲食品に注目が集まっている。飲料製品もこの例外ではなく、既にトクホ飲料と称される製品が多種上市されており、これに加えて、昨今では、健康増進法等に定められた上記の特定保健用食品(トクホ)や、栄養機能食品の対象とは別に、一定の要件を備えることで食品への機能性表示が認められるという、新たな機能性飲料の制度にも期待が寄せられている。
生理活性機能を発揮する可能性がある成分の一つとして、近年注目されている物質の一つに水素がある。水素を高濃度で水に溶解させた、所謂「水素水」は、溶存水素の身体に対する具体的な挙動や、作用メカニズムの詳細については依然不明であるものの、分子状の水素が体内の活性酸素(酸素ラジカル)を除去する効果があるとされ、これによってさまざまな健康増進作用を促進するものとして期待されている。水素水は、缶やパウチ形態等の容器に封入された水素水製品として流通している。
水素水のように、水素自体の生理活性機能に着目した飲料に関しては、例えば、茶類、果実・野菜類等からなる機能性原料を水素水に配合した水素含有飲料に係る発明が提案されている(特許文献1参照)。また、水素を水に溶解させる方法として、ガス透過膜を介して原料水に所定圧に加圧した水素を溶解させる工程と、溶解後の水素水の水素濃度を測定する工程と、水素濃度が所定範囲になるように、加圧水素の圧力を調整する工程を備えた飲料用水素含有水の製造方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開2013−169153号公報 特許4573904号公報
このように、飲料用の水素含有水の製造方法については、既に複数の手法が提案されており、水素による生理活性機能が注目されるところではあったが、これら全ては、水素含有水に含まれている水素自体が身体に対して発揮しうる生理活性機能に着目したものである。これに対し、それ以外の新たな水素の機能、例えば、飲料製品そのものに対して作用し、特に飲食品が有する各風味成分のうち、当該飲食品として好ましい風味、例えば甘味や旨味のみを選択的に強調する一方で、苦味等の当該飲食品にとって好ましくない風味を抑制し、良好な風味バランスに調整しうるといった効果に関しては、現在まで有効な知見は開示されていなかった。
本発明は、液状飲食品の有する好ましい風味を向上させることができるとともに、好ましくない風味を低減または軽減することのできる液状飲食品の風味バランス調整方法、および液状飲食品の風味バランス調整剤を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下を提供する。
〔1〕液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることを特徴とする液状飲食品の風味バランス調整方法。
〔2〕前記風味バランス調整は、甘味向上、旨味向上、塩味(しおあじ)向上、キレの向上、香味向上、炭酸刺激のまろやかさ向上、苦味低減、渋味低減、雑味低減、酸味低減、畜肉臭低減、加熱臭低減、および植物由来不快臭軽減からなる群より選択される1または2以上である、〔1〕に記載の液状飲食品の風味バランス調整方法。
〔3〕前記液状飲食品は、野菜飲料、果実飲料、茶系飲料、コーヒー飲料、発泡性飲料、スープ飲料、またはスポーツ飲料である、〔1〕または〔2〕に記載の液状飲食品の風味バランス調製方法。
〔4〕前記液状飲食品は、中性ニンジンジュース、麹入り米飲料、ブラックコーヒー飲料、オレンジジュース、りんごジュース、トマトジュース、酸性ニンジンジュース、りんご果汁入り炭酸飲料、緑茶飲料、抹茶入り飲料、チキンコンソメスープ、コーンスープ、ビーフエキススープ、トマトスープ、またはスポーツ飲料である、〔1〕または〔2〕に記載の液状飲食品の風味バランス調整方法。
〔5〕前記液状飲食品原料に前記水素含有ガスを接触させた後、当該液状飲食品原料を他の原料とともに混合して液状飲食品の原液を調製する、〔1〕〜〔4〕に記載の液状飲食品の風味バランス調整方法。
〔6〕前記水素含有ガスを接触させる前記液状飲食品原料は、乳成分を含まない、〔5〕に記載の液状飲食品の風味バランス調整方法。
〔7〕前記液状飲食品における水素の濃度が3.0ppm以下である、〔1〕〜〔6〕に記載の液状飲食品の風味バランス調整方法。
〔8〕前記水素含有ガスにおける水素の濃度が3体積%以上である、〔1〕〜〔7〕に記載の液状飲食品の風味バランス調整方法。
〔9〕水素含有ガスを有効成分として含有することを特徴とする液状飲食品の風味バランス調整剤。
〔10〕前記水素含有ガスにおける水素の濃度が3体積%以上である、〔9〕に記載の液状飲食品の風味バランス調整剤。
〔11〕液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることを特徴とする液状飲食品の製造方法。
〔12〕前記液状飲食品原料に前記水素含有ガスを接触させた後、当該液状飲食品原料を他の原料とともに混合する、〔11〕に記載の液状飲食品の製造方法。
〔13〕前記水素含有ガスを接触させる前記液状飲食品原料は、乳成分を含まない、〔12〕に記載の液状飲食品の製造方法。
〔14〕〔11〕〜〔13〕に記載の製造方法により製造された、風味バランスが調整された液状飲食品。
〔15〕液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させて得られる、風味バランスが調整された液状飲食品。
〔16〕前記液状飲食品は、野菜飲料、果実飲料、茶系飲料、コーヒー飲料、発泡性飲料、スープ飲料、またはスポーツ飲料である、〔14〕または〔15〕に記載の液状飲食品。
〔17〕前記液状飲食品は、中性ニンジンジュース、麹入り米飲料、ブラックコーヒー飲料、オレンジジュース、りんごジュース、トマトジュース、酸性ニンジンジュース、りんご果汁入り炭酸飲料、緑茶飲料、抹茶入り飲料、チキンコンソメスープ、コーンスープ、ビーフエキススープ、トマトスープ、またはスポーツ飲料である、〔14〕または〔15〕に記載の液状飲食品。
〔18〕前記液状飲食品は、茶類、果実・野菜・植物類、糖・甘味料類、ポリフェノール類、ビタミン及び補酵素類、アミノ酸・タンパク質類、酸化還元酵素、クエン酸及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも一種の機能性原料が水素水に配合された水素含有飲料を除く、〔14〕〜〔17〕に記載の液状飲食品。
〔19〕前記液状飲食品における水素の濃度が3.0ppm以下である、〔14〕〜〔18〕に記載の液状飲食品。
〔20〕前記液状飲食品原料に前記水素含有ガスを接触させた後、当該液状飲食品原料を他の原料とともに混合して得られる、〔14〕〜〔19〕に記載の液状飲食品。
〔21〕前記水素含有ガスを接触させる前記液状飲食品原料は乳成分を含まない、〔20〕に記載の液状飲食品。
〔22〕水素を含有する液状飲食品であって、前記液状飲食品における水素の濃度が3.0ppm以下であることを特徴とする液状飲食品(乳成分を含有するものを除く)。
〔23〕水素を含有することを特徴とする液状飲食品(乳成分を含有するものを除き、かつ、茶類、果実・野菜・植物類、糖・甘味料類、ポリフェノール類、ビタミン及び補酵素類、アミノ酸・タンパク質類、酸化還元酵素、クエン酸及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも一種の機能性原料が水素水に配合された水素含有飲料を除く)。
〔24〕水素を含有する液状飲食品であって、前記液状飲食品は、中性ニンジンジュース、麹入り米飲料、ブラックコーヒー飲料、オレンジジュース、りんごジュース、トマトジュース、酸性ニンジンジュース、りんご果汁入り炭酸飲料、緑茶飲料、抹茶入り飲料、チキンコンソメスープ、コーンスープ、ビーフエキススープ、トマトスープ、またはスポーツ飲料であり、前記液状飲食品における水素の濃度が3.0ppm以下であることを特徴とする液状飲食品。
〔25〕水素を含有する液状飲食品であって、前記液状飲食品は、中性ニンジンジュース、麹入り米飲料、ブラックコーヒー飲料、オレンジジュース、りんごジュース、トマトジュース、酸性ニンジンジュース、りんご果汁入り炭酸飲料、緑茶飲料、抹茶入り飲料、チキンコンソメスープ、コーンスープ、ビーフエキススープ、トマトスープ、またはスポーツ飲料であることを特徴とする液状飲食品(茶類、果実・野菜・植物類、糖・甘味料類、ポリフェノール類、ビタミン及び補酵素類、アミノ酸・タンパク質類、酸化還元酵素、クエン酸及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも一種の機能性原料が水素水に配合された水素含有飲料を除く)。
〔26〕前記液状飲食品における溶存酸素濃度が4ppm以下である、〔22〕〜〔25〕に記載の液状飲食品。
〔27〕前記水素が過飽和水素水に由来する、〔22〕〜〔26〕に記載の液状飲食品。
〔28〕容器詰水素含有飲料であることを特徴とする、〔22〕〜〔27〕に記載の液状飲食品。
〔29〕加熱殺菌されている、〔28〕に記載の容器詰水素含有飲料。
〔30〕前記容器は、樹脂基材と、前記樹脂基材の少なくとも一方の面側に積層された無機物層と、前記樹脂基材および前記無機物層の間には存在しない金属層とを備えた可撓性を有する包装材料であって、前記金属層は、少なくともアルミニウムを含有し、前記無機物層は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、カルシウム酸化物、ケイ素窒化物、アルミニウム窒化物、ケイ素酸窒化物およびアルミニウム酸窒化物からなる群より選択される1種または2種以上で形成されることを特徴とする〔29〕に記載の容器詰水素含有飲料。
〔31〕前記無機物層は、前記樹脂基材の少なくとも一方の面側に形成された蒸着層であることを特徴とする〔30〕に記載の容器詰水素含有飲料。
〔32〕前記金属層の厚さは、5〜14μmであることを特徴とする〔30〕または〔31〕に記載の容器詰水素含有飲料。
〔33〕さらに紙基材を備えたことを特徴とする〔30〕〜〔32〕に記載の容器詰水素含有飲料。
〔34〕〔30〕〜〔33〕に記載の容器詰水素含有飲料に用いられる容器。
〔35〕前記水素ガス含有飲料用容器がパウチ形態であることを特徴とする〔30〕に記載の水素含有飲料用容器。
〔36〕前記容器が金属缶であることを特徴とする〔29〕に記載の容器詰水素含有飲料。
〔37〕前記容器の容量VL(mL)、前記容器中のヘッドスペースの体積Hv(mL)、及び前記ヘッドスペースの内圧Hp(MPa)が、下記式Iを満たす、〔36〕に記載の容器詰水素含有飲料。
0.0020≦(Hv/VL)×Hp≦0.0070 ・・・(I)
〔38〕前記ヘッドスペースの体積Hvが10.0〜20.0mLである、〔37〕に記載の容器詰水素含有飲料。
〔39〕前記ヘッドスペースの内圧Hpが0.060〜0.130MPaである、〔37〕または〔38〕に記載の容器詰水素含有飲料。
〔40〕前記容器詰水素含有飲料の内容量VLに対する前記ヘッドスペースの容積Hvの比Hv/VLが0.020〜0.050である、〔37〕〜〔39〕に記載の容器詰水素含有飲料。
〔41〕前記水素含有飲料の充填時における水素濃度(ppm)が1.5〜3.0ppmである、〔37〕〜〔40〕に記載の容器詰水素含有飲料。
本発明によれば、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることにより、液状飲食品の有する好ましい風味を向上させることができるとともに、好ましくない風味を低減または軽減することができる。
本発明の一実施形態に係る可撓性包装材料の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る可撓性包装材料の断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る液状飲食品の風味バランス調整方法は、液状飲食品原料に水素含有ガスを直接的に接触させるものである。
本知見に関する具体的なメカニズムは不明であるが、後述する実施例に示す通り、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることにより、例えば、甘味、旨味、塩味(しおあじ)、キレ、香味、および炭酸飲料における炭酸刺激のまろやかさ、といった好ましい風味を向上させることができる。また、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることにより、例えば、苦味、渋味、雑味、酸味、畜肉臭、加熱臭、および植物由来不快臭、といった好ましくない風味を低減または軽減することができる。ただし、本実施形態による風味バランスの調整は、上記作用に基づいて発揮される風味バランス調整作用に限定されるものではない。
本実施形態においては、後述する実施例に示す通り、対象とする液状飲食品またはその原料に水素含有ガスを直接的に接触させた直後より、液状飲食品(または液状飲食品原料)の風味バランスを顕著に改善することができる。本実施形態による効果とは、飲食品が有する風味の経時劣化を抑制するという作用効果とは異なるものである。即ち、製造直後の飲食品の風味そのもののバランスをより良好な状態に改善し、且つ水素接触後においても、これを保持することができるという効果を発揮するものである。
また、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させる方法としては、例えば、予め水に高濃度で水素を溶解させた高濃度水素水を、その他の原料液と共に混合する方法、または調製した原料液に直接水素ガスを吹き込む等の方法などが挙げられる。ここで、かかる原料液は、液状飲食品の原液(本実施形態においては、配合成分が概ね配合され、加熱殺菌、容器充填等の工程に付される直前の液をいう。)であってもよく、上記液状飲食品の原液に配合される前の液状飲食品原料であってもよい。
後者の場合、水素含有ガスを接触させた液状飲食品原料は、他の原料とともに混合して液状飲食品の原液を調製することとなる。この場合、調製される液状飲食品の原液や最終的に製造される液状飲食品においては、水素の濃度が検出限界以下になる可能性があるが、そのような場合であっても、本実施形態に係る風味バランス調整効果が奏される。
1.液状飲食品および液状飲食品原料
(液状飲食品)
本実施形態による風味バランス調整の対象となる液状飲食品は、液状の飲食品であれば特に限定されず、例えば、果実飲料、野菜飲料、炭酸飲料、茶飲料、コーヒー飲料、スープ飲料等が挙げられる。液状とするための溶媒は、水であることが好ましい。
(溶媒である水の種類)
液体溶媒が水である場合、飲用に適していれば、硬水、軟水の種類は問わないが、飲用に好適であるという点、および、容器詰飲料の製造過程においてコーヒー抽出液等と混合されることを考慮すると、硬度(カルシウム濃度(mg/L)×2.5+マグネシウム濃度(mg/L)×4.5の算出値)が120未満である水を使用することが望ましい。
(脱気処理)
本実施形態にあっては、水素含有ガスによる作用をより効果的に発揮させる観点から、液体溶媒として予め脱気処理された脱気水を用いることが望ましい。
(脱イオン処理)
水に対する脱イオン処理とは、水に含まれる水素イオンと水酸化物イオン以外の陽イオン、陰イオンを除去することを意味する。脱イオン処理により得られた水は一般的に純水と称され、特に理論上の水のイオン積(水素イオン濃度×水酸化物イオン濃度=1.0×10−14)、導電率5.5×10−8S/cmに近いものは超純水とも称する。本実施形態にあっては、特に脱イオン処理は必要としないが、脱イオン水を用いることを制限するものではない。
(液状飲食品原料)
本実施形態において、液状飲食品原料は、液状飲食品の原料となるもののうち水素含有ガスを接触させる対象となるものをいう(以下、「水素接触原料」ということがある)。本実施形態の液状飲食品原料(水素接触原料)には、液状飲食品に配合される成分のほか、液状飲食品の原液も含まれる。水素含有ガスを効率的に接触させる観点から、液状飲食品原料もまた水等の液体溶媒に溶解または懸濁した液状の組成物であることが好ましい。具体的な液状飲食品原料としては、植物汁、植物抽出液、旨味成分、ミネラル、甘味付与剤、香料、酸味料等が挙げられる。
(植物汁)
植物汁は、植物体に対し、搾汁、破砕、磨砕等の処理を行って得られるものであればよく、汁液からピューレ、ペースト等様々な形態をとることができる。ここで、本実施形態において用い得る植物体には、果実、野菜、穀類、いも類、豆類等だけでなく、藻類、きのこ類をも含まれる。
本実施形態において用い得る植物体(果実、野菜、穀類、いも類、豆類、藻類、きのこ類等)は、本実施形態の効果が発揮される限りにおいて特に限定されないが、以下のものを例示することができる。
果実の種類としては、リンゴ、イチゴ、キウイフルーツ、ブドウ、モモ、パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、プルーン、パパイヤ、パッションフルーツ、ウメ、ナシ、アンズ、ライチ、メロン、西洋ナシ、スモモ類、柑橘類果実類(オレンジ、温州ミカン、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、シークワーサー、タンジェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー等)等が挙げられる。
野菜の種類としては、トマト、ナス、カボチャ、ピーマン、ゴーヤ、ナーベラ、トウガン、オクラ、エダマメ、サヤエンドウ、サヤインゲン、ソラマメ、トウガラシ、トウモロコシ、キュウリ等の果菜類、ニンジン、ゴボウ、タマネギ、タケノコ、レンコン、カブ、ダイコン、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ラッキョウ、ニンニク、ショウガ等の根菜類、モロヘイヤ、アスパラガス、セロリ、ケール、チンゲンサイ、ホウレンソウ、コマツナ、キャベツ、レタス、ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワー、ミツバ、パセリ、ネギ、シュンギク、ニラ等の葉茎類等が挙げられる。
穀類の種類としては、コメ、オオムギ、コムギ、ハトムギ、ソバ、ライムギ、ヒエ、キビ等が挙げられる。
いも類の種類としては、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマイモ、キクイモ等が挙げられる。
豆類の種類としては、アズキ、ダイズ、ヒヨコマメ、リョクトウ、レンズマメ等が挙げられる。
きのこ類の種類としては、エノキタケ、キクラゲ、シイタケ、ブナシメジ、ホンシメジ、ナメコ、エリンギ、ヒラタケ、マイタケ、マッシュルーム、マツタケ等が挙げられる。
種実類の種類としては、アーモンド、カシューナッツ、クリ、ココナッツ、ゴマ、ピスタチオ、ピーナッツ、ひまわり種等が挙げられる。
藻類の種類としては、アオサ、アオノリ、コンブ、ヒジキ、ワカメ等が挙げられる。
上記の植物体(果実、野菜、穀類、いも類、豆類、藻類、きのこ類等)は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。得られる植物汁は、希釈や濃縮のないストレートタイプから、加水による希釈タイプ、あるいは濃縮タイプまで幅広く用いることができ、濃縮タイプを用いることによりストレート換算で100%以上の飲食品を作成することも可能である。
上記の植物体から得られる植物汁の液状飲食品への配合量は、対象となる液状飲食品の種類や用いる植物汁にもよるが、ストレート換算で0.3〜200質量%であることが好ましく、4〜111質量%であることがさらに好ましく、9〜100質量%であることが特に好ましい。
(植物抽出液)
植物抽出液は植物体から水等の溶媒により抽出されたものであればよく、具体例として焙煎コーヒー豆抽出液(以下コーヒー抽出液という);緑茶抽出液、紅茶抽出液、烏龍茶抽出液等の茶抽出液;麦抽出液その他穀類抽出液等を含む。これらの植物抽出液は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記の植物抽出液の液状飲食品への配合量は、対象となる液状飲食品の種類や用いる植物抽出液にもよるが、抽出原料の使用量に換算して0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましく、0.5〜5質量%であることが特に好ましい。
上記の植物汁や植物抽出液は、植物に由来する甘味、旨味、香味等を有しており、本実施形態の風味バランス調整方法の適用対象として特に好適である。
また、上記の植物汁や植物抽出液は、植物に由来すると考えられる苦味、渋味、雑味、酸味、植物由来不快臭等を有することがあり、また加熱殺菌したときに加熱臭を生じさせることがあるが、本実施形態によれば、これらの好ましくない風味を低減または軽減することができるため、かかる観点からも本実施形態の風味バランス調整方法の適用対象として特に好適である。
(旨味成分)
旨味成分は、液状飲食品に旨味を付与する成分であり、具体的には、前述した植物汁、植物抽出液のほか、コンソメ等の獣肉類や魚介類や野菜・果物類等のエキス;天然調味料又はその抽出物からなるだし汁;グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウムやグアニル酸ナトリウムやコハク酸ナトリウム等の旨味調味料;味噌、醤油、豆板醤、甜麺醤、魚醤、麹等の発酵調味料;などが挙げられる。これらの旨味成分は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記の旨味成分の液状飲食品への配合量は、対象となる液状飲食品の種類や用いる旨味成分にもよるが、0.001〜15質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがさらに好ましく、0.1〜5質量%であることが特に好ましい。
上記の旨味成分は、旨味を有する他、それぞれの成分に由来する甘味、塩味(しおあじ)、香味等を有することがあり、本実施形態の風味バランス調整方法の適用対象として特に好適である。
また、上記の旨味成分は、それぞれの成分に由来する苦味、渋味、雑味、酸味、畜肉臭等を有することがあり、また加熱殺菌したときに加熱臭を生じさせることがあるが、本実施形態によれば、これらの好ましくない風味を低減または軽減することができるため、かかる観点からも本実施形態の風味バランス調整方法の適用対象として特に好適である。
(ミネラル)
ミネラル分としては、例えば、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン、亜鉛等が挙げられる。これらは、無機塩として配合されてもよく、他の原料(例えば、前述した植物汁や植物抽出液等の水素接触原料)の含有成分として配合されてもよい。
これらのうち、液状飲食品におけるナトリウムの含有量は、0.1〜1000mg/100gであることが好ましく、1〜500mg/100gであることがさらに好ましく、40〜500mg/100gであることが特に好ましい。ナトリウムは塩味の要因となるものであるが、本実施形態においては、水素含有ガスの液状飲食品原料への接触により塩味の向上が認められるため、ナトリウムの含有量を少なくすることができる。なお、本明細書における「塩味」は、ナトリウムに由来する好ましい「しおあじ」を意味し、ナトリウム以外の金属塩に由来する不快な塩味(えんみ)とは異なるものである。
また、本実施形態による効果を発揮させやすくする観点から、液状飲食品におけるマグネシウム含有量は、0.1〜300mg/100gであることが好ましく、0.3〜177mg/100gであることがさらに好ましく、0.3〜88mg/100gであることが特に好ましい。同様に、カリウム含有量は、1〜300mg/100gであることが好ましく、5〜200mg/100gであることがさらに好ましく、10〜140mg/100gであることが特に好ましい。また、カルシウム含有量は、0.1〜250mg/100gであることが好ましく、0.5〜150mg/100gであることがさらに好ましく、1〜50mg/100gであることが特に好ましい。
これらのミネラルは、液状飲食品原料(水素接触原料)に含まれることが多いものである一方で、液状飲食品に多く含まれると、苦味などの好ましくない風味をもたらすことがある。しかし、本実施形態においては、水素含有ガスの液状飲食品原料への接触により、苦味の低減(特に先味の苦味の低減、先味〜中盤の苦渋味の低減等)が認められる。
(甘味付与剤)
甘味付与剤は、液状飲食品に甘味を付与する成分であり、本実施形態の効果を損なわない範囲で使用することができる。ただし、本実施形態においては、前述した植物汁、植物抽出液、旨味成分等の甘味を有する液状飲食品原料(水素接触原料)を使用する場合、これらに由来する甘味が向上するため、甘味付与剤の使用量を少なくすることができる。
本実施形態において使用し得る甘味付与剤としては、具体的には、糖類、甘味料等が挙げられ、糖類としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖等が挙げられる。甘味料としては、例えば、砂糖、グラニュー糖、異性化糖、キシリトール、パラチノース、エリスリトール等のほか、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物、サッカリン、スクラロース等の高甘味度甘味料が挙げられる。また、ソルビトール等の糖アルコールを含んでいてもよいし、シュガーレスバルク甘味料、バルク砂糖甘味料等を含んでいてもよい。これらの甘味付与剤は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(香料)
本実施形態の液状飲食品は、本実施形態の効果を損なわない範囲で香料を配合することができる。ただし、本実施形態においては、前述した植物汁、植物抽出液、旨味成分等の香味を有する液状飲食品原料(水素接触原料)を使用する場合、これらに由来する香味が向上するため、香料の使用量を少なくすることができる。
本実施形態において使用し得る香料としては、例えば、柑橘その他果実から抽出した香料、植物の種実、根茎、木皮、葉等またはこれらの抽出物、乳または乳製品から得られる香料、合成香料等が挙げられる。これらの香料は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(酸味料)
本実施形態の液状飲食品は、酸味料を配合してもよい。ただし、本実施形態においては、前述した植物汁、植物抽出液等に由来する好ましくない酸味を低減する作用があることから、酸味料の使用は、あくまでも本実施形態の効果を損なわない範囲にとどめるべきである。
本実施形態において使用し得る酸味料としては、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、またはそれらの塩類が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(その他の添加物等)
本実施形態にあっては、前述した原料の他、本実施形態の効果を損なわない範囲において、ビタミン類、酸化防止剤、乳化剤、糊料、pH調整剤、着色料(色素)、油、品質安定剤等を含有してもよい。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK及びビタミンB群等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸またはその塩、エリソルビン酸またはその塩等が挙げられるが、このうちアスコルビン酸又はその塩等が特に好ましい。
乳化剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
糊料としては、例えば、ペクチン、セルロース、ゼラチン、コラーゲン、寒天、アルギン酸ナトリウム、大豆多糖類、ガラクトマンナン類、アラビアガム、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、タマリンドシードガム等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸カリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
(炭酸ガス)
本実施形態の液状飲食品は、炭酸ガスが封入された炭酸飲料であってもよい。この場合において、炭酸ガスのガスボリュームは1.5〜4.0であることが好ましく、2.0〜3.5であることがさらに好ましい。また、炭酸ガスをガス封入(カーボネーション)する方法としては、プレミックス法とポストミックス法とが挙げられるが、いずれを採用してもよい。
炭酸飲料における炭酸ガスは、清涼感をもたらす一方でその炭酸による刺激が強く感じられることがあるが、本実施形態においては、炭酸ガスによる刺激を緩和し、まろやかさを向上させることができる。
(液状飲食品の種類)
本実施形態の対象となる液状飲食品としては、果実飲料、野菜飲料などの植物汁を配合した飲料;茶系飲料、コーヒー飲料などの植物抽出液を配合した飲料;発泡性飲料(炭酸飲料等)、ニアウォーター、スポーツ飲料などの清涼飲料;コーンスープ、野菜スープ、味噌汁等のスープ飲料;などが挙げられる。
スポーツ飲料とは、身体運動後に汗として失われる水分、ミネラルを速やかに補給できる飲料であると一般的に規定され、例えば、正常なヒトの体液浸透圧(約280〜290mOsm/kg)を有する飲料(アイソトニック飲料)、ヒトの体液より低い浸透圧を有する飲料(ハイポトニック飲料)などが挙げられる。
なお、本実施形態の液状飲食品は、茶類、果実・野菜・植物類、糖・甘味料類、ポリフェノール類、ビタミン及び補酵素類、アミノ酸・タンパク質類、酸化還元酵素、クエン酸及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも一種の機能性原料が水素水に配合された水素含有飲料を包含しなくてもよい。
2.水素含有ガスの接触方法
(水素含有ガス)
本実施形態において用いる水素含有ガスは、水素を含有するガスであれば良く、水素濃度の限定は特に必要ない。そのため、水素含有ガスは、水素ガス単独であっても、不活性ガスなどの他のガスとの混合物のいずれの形態をとることもできる。
本実施形態による風味バランス調整効果をより効果的に発揮させる観点からは、水素含有ガスにおける水素の濃度が高い方が望ましく、例えば、水素含有ガスにおける水素の濃度は、3体積%以上であることが好ましく、5体積%以上であることがより好ましい。ただし、バブリングにより水素含有ガスを水または液状飲食品原料に直接吹き込む場合は、製造環境によっては、水素による爆発のリスクを十分に考慮する必要がある。
したがって、水素による爆発のリスクを避ける点を考慮すれば、水素含有ガスにおける水素の濃度は10体積%以下であることが安全であり、爆発限界以下となる7体積%以下であれば、より安全性は高まるが、安全性が十分に確保されていれば、純粋な水素ガス(水素100体積%)を使用することが望ましい。
他のガスとの混合ガスである場合、混合される他のガスは、窒素であることが好ましい。また、水素含有ガスは、酸素の濃度が3体積%以下であることが好ましく、0体積%(水素含有ガスが酸素を全く含まない場合に該当)であることが特に好ましい。
(水素含有ガスの接触方法)
液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させる方法としては、例えば、高濃度水素水をその他の原料液と共に混合する方法、または調製した原料液に直接水素ガスを吹き込む等の方法などが挙げられる。かかる原料液は、液状飲食品の原液であってもよく、当該原液に配合される前の液状飲食品原料であってもよい。また、なお、原料液中への水素を含有させる方法については、本実施形態に示した方法に限定されるものではなく、本実施形態の要件を充足するという範囲内において、各種公知の手法で水素を含有させても良い。
(高濃度水素水)
高濃度水素水は、溶媒である水に、1〜数ppmといった水素の飽和溶解量と比較して高い濃度に水素を溶解または視認できない程度の微細気泡の状態で含有させた水をいう。なお、本明細書においては、飽和溶解量より高い濃度の水素を含有する高濃度水素水を特に「過飽和水素水」と呼ぶことがある。
水素水の定義としては、学術研究会である「分子状水素医学シンポジウム(事務局:日本医科大学大学院加齢科学専攻細胞生物学分野研究室)」において、「水素水」とは、水素水関連消費者が開封したときに分子状水素の濃度が40μM以上存在している溶液。飽和水素濃度の5%にあたり、80μg/L(0.08 ppm)を意味する、と定められている。
水素を含有させる方法は特に限定されないが、標準大気圧以上の水素ガス若しくは水素ガスを含有する気体を細かい気泡の状態で溶媒中に吹き込む方法(所謂バブリング)、または、気体透過膜を介して、液体溶媒中に水素を注入する方法等が挙げられるが、この他の方法であっても、水素を上記濃度以上に含有させることが可能な方法であれば、他の溶解方法を採用しても本発明の効果は同様である。
(気体透過膜)
本実施形態において用いられる気体透過膜は、従来から気体成分の分離に用いられていた所謂均質膜を採用することができる。
透過膜の具体的な種類は特に限定されないが、加圧に対する強度を保持する為、その膜厚は20〜60μmであることが望ましく、30〜60μmがより望ましく、30〜50μmが更に望ましい。
また、気体透過膜の素材としては、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、シリコーンゴムから選択できるが、シリコーンゴムから形成された気体透過膜が最も好適である。なお、シリコーンゴムはポリジメチルシロキサンから形成されていることが望ましい。
(気体透過性能)
本実施形態において、高濃度水素水の製造に気体透過膜を使用する場合、気体透過膜の気体透過性能は、気体透過量比Ar(アルゴン)/N(窒素)が2以上のものを用いることがより望ましい。上記気体透過量比は、アルゴン、及び窒素を、それぞれ透過膜に接する面における圧力を1.0kgf/cmに保った時の気体透過量を測定しその比率を算出したものである。
(気体透過膜の形態)
本実施形態において、水素の溶解に気体透過膜を用いる場合、透過膜の形態を特に問うものではないが、中空糸膜状の形態であることが望ましい。
中空糸膜とは気体透過膜の一利用形態であって、細いストロー状の細管に形成された膜体をいう。上記中空糸膜を多数本束ねた中空糸膜束からなる中空糸膜モジュールは、塩化ビニルの合成樹脂、若しくはアルミ等の金属で形成されたハウジング容器に密閉状態で格納されている。一般的に個々の中空糸膜1本当たりの直径(内径)は、数mm〜100μm程度である。
(液状飲食品原料への接触方法)
以上のようにして調製した高濃度水素水を用いて液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させる方法としては、高濃度水素水をその他の液状飲食品原料とともに混合して液状飲食品の原液を調製し、当該原液中にて水素含有ガスを接触させる方法、高濃度水素水(所望により水を加えてもよい)に配合成分を混合して液状飲食品原料を調製し、当該液状飲食品原料にて水素含有ガスを接触させたのち、かかる液状飲食品原料を他の液状飲食品原料とともに混合して液状飲食品の原液を調製する方法などが挙げられる。
(その他の接触方法)
前述した高濃度水素水を用いる方法の他、配合成分を水に混合して原料液を調製し、当該原料液に、バブリングにて水素含有ガスを吹き込む方法、または気体透過膜を介して原料液中に水素含有ガスを注入する方法等が挙げられる。また、他の公知の方法を用いてもよい。さらに、ここで水素含有ガスを吹き込みまたは注入する原料液は、液状飲食品の原液であってもよく、上記液状飲食品の原液に配合される前の液状飲食品原料であってもよい。
水素含有ガスを接触させる液状飲食品原料は、乳成分を含まないようにしてもよい。ここで、乳成分には、タンパク質、脂質といった成分が比較的多く含まれ、加熱殺菌による風味劣化の要因となり易く、乳に由来する不快臭・不快味などが発生しやすいといった問題があるが、かかる乳成分に特有の問題は、本実施形態の風味バランス調整効果の対象として想定されていない。
なお、「水素含有ガスを接触させる液状飲食品原料が乳成分を含まない」場合には、前述したとおりに液状飲食品の原液を調製する際に、水素含有ガスを接触させない液状飲食品原料が乳成分を含む場合、が包含される。例えば、乳成分を含まない液状飲食品原料に対し前述したように水素含有ガスを接触させた後、水や他の原料とともに混合して液状飲食品の原液を調製する際に、得られる原液中の水素濃度が検出限界以下(例えば、実施例にて用いたユニセンス社製溶存水素測定器であれば、0.6ppb未満)である場合、後から混合される他の原料は、水素含有ガスを接触させたとはいえない。このような、水素含有ガスを接触させない液状飲食品原料には、乳成分が含まれていてもよい。
(液状飲食品の水素濃度)
本実施形態により最終的に得られる液状飲食品において、水素の濃度は3.0ppmであってよく、1.6ppm以下であってよく、0.5ppm以下であってよく、0.2ppm以下であってよく、0.1ppm未満であってもよい。なお、本実施形態における液状飲食品の水素濃度は、溶存水素測定器で測定した値であり、具体的な測定方法は後述する実施例にて示す。
ここで、上記上限値以下であるとは、水素濃度が0ppm、すなわち検出限界以下である場合を包含する。特に、あらかじめ水素含有ガスを接触させた液状飲食品原料を、他の原料とともに混合して液状飲食品の原液を調製する場合、水素濃度が検出限界以下となることはしばしば起こり得る。しかし、本実施形態においては、具体的なメカニズムは不明であるが、最終濃度が検出限界以下であっても、液状飲食品原料にあらかじめ水素含有ガスを接触させることにより、当該液状飲食品原料に起因する風味のバランス調整効果が奏される。
(液状飲食品の溶存酸素濃度)
本実施形態により最終的に得られる液状飲食品において、溶存酸素濃度は4ppm以下であることが好ましく、1ppm以下であることが特に好ましい。なお、本実施形態における液状飲食品の溶存酸素濃度は、ポータブル溶存酸素測定器で測定した値であり、具体的な測定方法は後述する実施例にて示す。
本実施形態において、水素含有ガスの接触は、液状飲食品の溶存酸素濃度に必ずしも影響を与えるものではないが、溶存酸素濃度が上記範囲内であると、本実施形態の風味バランス調整効果がより効果的に発揮される。
(液状飲食品の酸化還元電位)
本実施形態により最終的に得られる液状飲食品において、酸化還元電位は、−50mV以上であってよく、0mV以上であってよく、50mV以上であってよい。ここで、従来の水素含有水などの飲料においては、水素自体の還元作用に着目した指標として、酸化還元電位を用いており、その値は概ね−100mV以下となっていた。これに対し、本実施形態においては、水素による風味バランス調整効果が発揮されればよく、必ずしも水素自体の生理活性機能を期待したものでないため、酸化還元電位を低く維持する必要はなく、例えば酸化還元電位が前述した−50mV以上であっても差し支えない。なお、本実施形態における液状飲食品の酸化還元電位は、酸化還元電位計で測定することができる。
3.容器
本実施形態に係る液状飲食品は、通常、容器に充填されて提供される。かかる容器としては、PETボトル、缶(アルミニウム、スチール)、紙、プラスチック、レトルトパウチ、瓶(ガラス)等が挙げられる。ここで、本実施形態においては、液状飲食品における水素濃度の保持は必須な要件ではないことから、一般的な飲料に用いられる容器を使用することができる。ただし、水素濃度が保持されると、水素による風味バランス調整効果もより効果的に発揮されることから、水素の保持が可能な容器、例えば、ガラス瓶、金属缶等の硬質材料からなる容器や、金属積層フィルムを用いた所謂パウチ形態の可撓性材料からなる容器を用いてもよい。
このような、水素を保持する観点から本実施形態において好適に使用することのできる容器として、以下に述べる可撓性包装材料を用いた容器が挙げられる。一方、金属缶やガラス缶等の硬質材料からなる容器を用いた場合には、容器中の液状飲食品と容器との間に生じる空間部(所謂ヘッドスペース)を調整することで、水素の保持が容易となる。
なお、これらの容器に充填された液状飲食品(すなわち、容器詰液状飲食品)においては、水素が効果的に保持されているため、本明細書において、特に容器詰水素含有飲料と称することがある。
3−1.可撓性包装材料からなる容器
本発明の一実施形態においては、容器を構成する材料として、図1に示す可撓性包装材料1を用いることができる。本実施形態に係る可撓性包装材料1は、金属層11と、樹脂基材12と、樹脂基材12の一方の面側(図1における上側)に積層された無機物層13とを備えている。また、本実施形態においては、さらに紙基材14と、紙基材14の一方の面(図1における上側)に積層された印刷層15とが積層されており、さらに金属層11と無機物層13との間、金属層11と紙基材14との間、紙基材14と印刷層15との間、および印刷層15における紙基材14とは反対の面側(図1における上側)には、それぞれ樹脂層16A、16B、16Cおよび16Dが積層されている。なお、図1に示す可撓性包装材料1を用いて容器を成形した場合、可撓性包装材料1における樹脂層16D側(図1における上側)の面が容器の外側に、樹脂基材12側(図1における下側)の面が容器の内側になる。
本実施形態において、金属層11は少なくともアルミニウムを含有する。かかる金属層11を備えることで、本実施形態に係る可撓性包装材料1は、水素含有飲料用容器としたときに水素ガスの漏出を防止することができる。
さらに、無機物層13は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、カルシウム酸化物、ケイ素窒化物、アルミニウム窒化物、ケイ素酸窒化物およびアルミニウム酸窒化物からなる群より選択される1種または2種以上で形成されており、上記金属層11とは異なるものである。かかる無機物層13を備える可撓性包装材料1は、可撓性が要求される用途に使用されて金属層11にクラックが生じた場合でも、水素ガスの漏出を防止することができる。
ここで、アルミパウチやアルミ付き紙パックなど、アルミ箔を使用した可撓性容器の場合、流通過程や飲用前の取扱い時などに起こる僅かな凹み・折れによってもアルミ箔に微小なクラックが生じる。そのため、アルミ箔を使用した可撓性容器に水素含有飲料を充填した場合、微小なクラックが生じたときに水素ガスが漏出してしまうという問題があった。これに対し、上記実施形態に係る可撓性包装材料は、可撓性容器に用いることが可能であって、クラックが生じたとしても水素ガスの漏出を抑制することができる。また、当該可撓性包装材料を用いて成形された水素含有飲料用可撓性容器に充填されてなる容器詰水素含有飲料は、容器の凹みや折れによりクラックが生じたとしても、水素ガスの漏出が抑制されたものとなる。
(金属層)
本実施形態における金属層11は、水素ガスの透過を防止する層であり、少なくともアルミニウム(Al)を含有する。なお、本明細書において、金属層11を構成する金属には、アルミニウムのほか、アルミニウム合金(例えば、JIS H4160に規定されるアルミニウム合金)も含まれるものとする。
金属層11がアルミニウム合金で構成される場合、アルミニウム以外に含まれる成分としては、鉄、銅、マンガン、ニッケル、亜鉛、チタン等の金属;ケイ素等の非金属が挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。金属層11がアルミニウム以外の上記成分を含有する場合、軽量性や成形性を維持しつつ剛性を落とすことができ、展延性、耐衝撃性、耐屈曲性などに優れていることから、鉄を含有することが好ましい。
金属層11におけるアルミニウムの含有量は、98質量%以上であることが好ましく、特に99質量%以上であることが好ましく、さらには99.9質量%以上であることが好ましい。かかる範囲でアルミニウムを含有する金属層11は、十分な可撓性を有するとともに、水素ガスの漏出をより効果的に防止することができる。ここで、アルミニウムの含有量が100質量%の場合、すなわち、金属層11がアルミニウムのみで構成される場合は、特に好ましい実施形態の一つである。
金属層11の厚さは、5〜14μmであることが好ましく、特に5〜12μmであることが好ましく、さらには6〜9μmであることが好ましい。金属層11の厚さが5μm以上であると、金属層11にクラックやピンホールが形成されにくく、水素ガスの漏出をより良好にバリアすることができる。一方、厚さが14μm以下であると、可撓性包装材料1の可撓性が十分なものとなり、また重量が軽量であるため、可撓性包装材料1の取り扱いがより優れたものとなる。
(樹脂基材)
樹脂基材12は、可撓性を有するものであれば特に限定されない。かかる樹脂基材12としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ナイロン等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリルニトリル、ポリイミドなどの樹脂からなる樹脂フィルムが好ましく、単層からなるフィルムであってもよいし、同種または異種の複数層を積層したフィルムであってもよい。延伸、未延伸のどちらでも良いが、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。これらの中でも、特に二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートまたはナイロンが好ましい。
樹脂基材12において無機物層13が積層される側の面には、無機物層13との密着性を高めるため、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、大気圧プラズマ放電処理、リアクティブイオンエッチング処理等の表面処理を施してもよく、また熱可塑性樹脂によるアンカーコート層等を設けてもよい。
樹脂基材12の厚さは、特に限定されないが、可撓性やコストを考慮すると、1〜200μmであることが好ましく、特に5〜100μmであることが好ましく、さらには5〜30μmであることが好ましい。
(無機物層)
本実施形態に係る可撓性包装材料1は、前述した金属層11に加えて、金属層11とは異なる無機物層13を備えることで、可撓性包装材料1にクラックが生じた場合であっても、水素ガスの漏出を効果的に防止することができる。これは、成分構造から層構造になって蒸着されており、耐物理的衝撃に優れ、程度により回復性も期待でき、また水素保持機能を有することによるものと考えられる。ただし、クラック形成後における無機物層13の水素ガス漏出防止効果は、これらの理由に限定されるものではない。
なお、従来から、酸素や水蒸気などに対するガスバリア性を有する材料として、アルミニウム等の金属や、ケイ素酸化物(シリカ)およびアルミニウム酸化物(アルミナ)等の無機物が用いられていた。しかし、アルミニウム等の金属は遮光性を有するのに対し無機物は透明性を有するなどの対照的な物性を有するため、両者はそれぞれ別々の用途に用いられ、併用されることはなかった。また、本実施形態の対象である水素ガスバリア性が要求される用途においては、アルミニウム等の金属層を有する可撓性ガスバリアフィルムが用いられており、優れた水素バリア性を有するが、耐クラック性に問題があった。一方、無機物層を有する可撓性ガスバリアフィルムは水素バリア性に劣るため、かかる用途には用いられていなかった。しかし、本実施形態に係る可撓性包装材料1においては、金属層11と無機物層13とを併用することで、金属層11にクラックが生じたとしても、なお優れた水素ガスバリア性を有するものとなる。
無機物層13に含まれる無機物は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、カルシウム酸化物、ケイ素窒化物、アルミニウム窒化物、ケイ素酸窒化物およびアルミニウム酸窒化物から選択される1種または2種以上である。これらの中でも、金属層11と組み合わせたときの水素ガス漏出防止効果および製造コストなどの観点から、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物およびカルシウム酸化物が好ましく、ケイ素酸化物およびアルミニウム酸化物が特に好ましい。
無機物層13の厚さは、5〜300nmであることが好ましく、特に10〜100nmであることが好ましく、さらには10〜30nmであることが好ましい。
(その他の層)
紙基材14は、本実施形態に係る可撓性包装材料1を用いて紙パックを形成する場合に設けられるものである。紙基材14としては、パルプ、天然紙、合成紙、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙など、一般的に紙パックに用いられる原紙であれば特に制限されずに使用することができる。
紙基材14の坪量は、特に限定されるものではないが、可撓性や強度の観点から、170〜500g/m2であることが好ましく、特に200〜350g/m2であることが好ましい。
印刷層15は、図1においては、紙基材14に積層された樹脂層16Cに印刷加工を施すことで設けられるが、本実施形態はこれに限定されず、例えば紙基材14等に直接印刷加工を施すことで印刷層15を形成してもよい。
樹脂層16は、所望の層をコートしたり、層間の接着を担ったりする層である。本実施形態では、図1における樹脂層16Aは無機物層13をコートし、樹脂層16Bおよび樹脂層16Cは紙基材14をコートし、また、それらの樹脂層16A〜16Cは、層間の接着を担う。一方、図1における樹脂層16Dは、可撓性包装材料1の最外層として、印刷層15をコートする。
樹脂層16A〜16Cの構成材料としては、被着体に対する接着性を有し飲料用容器に一般的に用いられる材料であれば特に限定されないが、取扱いの容易さの観点から熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−αオレフィン共重合体等などが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができ、また、樹脂層16A〜16Cは、同一の組成物であってもよく、異なる組成物であってもよい。
樹脂層16Dとしては、汚染防止コート、耐候性コート、表面粗さおよび鏡面光沢度調整用コート等のトップコート層などが挙げられる。かかる樹脂層16Dの構成材料としては、例えば、ポリウレタン;アクリル系ポリマー;ポリ塩化ビニル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;オレフィン系、ポリエステル系等の熱可塑性エラストマー;アイオノマーなどの樹脂を使用することが好ましく、それらの中でもポリオレフィン、特にポリエチレンを使用することが好ましい。それらの樹脂は、顔料、無機フィラー、有機フィラー、紫外線吸収剤等の各種添加剤を含んだものであってもよい。
また、可撓性包装材料1は、前述した以外の層、例えば、水素含有飲料の酸化を防止する等の機能を備えた機能性層、可撓性包装材料1同士を熱接着(ヒートシール)するためのシーラント層などを、本実施形態による効果を損なわない範囲で備えていてもよい。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、樹脂基材、無機物層、金属層および紙基材がこの順に積層される場合を一例として説明したが、本発明に使用可能な可撓性包装材料はこの場合に限られない。例えば、さらなる一実施形態として、図2に示すように、可撓性包装材料2においては、金属層21、樹脂基材22および無機物層23がこの順に積層されており、無機物層23における樹脂基材23とは反対の面側(図2における上側)には樹脂層26が、また金属層21における樹脂基材22とは反対の面側(図2における下側)にはシーラント層28が、それぞれ設けられている。また、本実施形態においては、紙基材は積層されていない。
本実施形態における金属層21、樹脂基材22および無機物層23としては、前述した第1の実施形態にて説明した金属層11、樹脂基材12および無機物層13と同様のものを用いることができる。なお、金属層11と樹脂基材12との間に樹脂層を設けない場合、樹脂基材12は、前述した樹脂フィルムの中でも接着性(例えば、熱接着性)を有することが好ましい。
(可撓性包装材料の製造方法)
以下においては可撓性包装材料1の製造方法を例にとって説明するが、その他の実施形態に係る可撓性包装材料2にも適宜応用が可能である。
可撓性包装材料1を製造するには、可撓性包装材料を製造するには、まず樹脂基材12と無機物層13との積層体を製造する。かかる積層体は、樹脂基材12を構成する樹脂フィルムの一方の面に、無機物層13を形成することで得られる。
樹脂フィルムの一方の面に無機物層13を形成する方法は、使用する材料に応じて適宜選択すればよい。例えば、上記無機物層の材料を、抵抗加熱蒸着法、高周波誘導加熱蒸着法、電子ビーム物理蒸着法等の真空蒸着法;熱化学蒸着法、プラズマ化学蒸着法、光化学蒸着法等の化学蒸着法;スパッタリング法、イオンプレーティング法などにより、樹脂基材12の少なくとも一方の面に形成する方法などが挙げられる。また、無機物層13の材料を有機溶剤に溶解した溶液を、樹脂基材12の少なくとも一方の面に塗布する方法であってもよい。
ここで、無機物層13がケイ素酸化物で形成され、アルミニウム酸化物を含有しない場合には、真空蒸着法で形成することが好ましい。また、無機物層13がアルミニウム酸化物で形成され、ケイ素酸化物を含有しない場合には、熱化学蒸着法またはプラズマ化学蒸着法で形成することが好ましい。さらに、無機物層13がケイ素酸化物およびアルミニウム酸化物で形成される場合には、電子ビーム物理蒸着法で形成することが好ましい。
このようにして得られた無機物層13における樹脂基材12とは反対の面側(図1における上側)に、樹脂層16Aを積層する。樹脂層16Aの形成は常法によって行えばよく、例えば、押出ラミネーション、ドライラミネーション等によって形成することができる。
なお、本実施形態においては、樹脂基材12の少なくとも一方の面に、無機物を蒸着させて無機物層13が形成され、さらに無機物層13に樹脂層16Aが積層された積層体として、市販の蒸着フィルムを用いてもよい。本実施形態において利用可能な蒸着フィルムとしては、例えば、「GLシリーズ」「GXシリーズ」(凸版印刷社製)、「IBシリーズ」(大日本印刷社製)、「バリアロックス」(東レフィルム加工社製)、「テックバリア」(三菱樹脂社製)、「TLシリーズ」、「マックスバリアシリーズ」(三井化学東セロ社製)、「エコシアール」(東洋紡社製)などを例示することができる。このような市販の蒸着フィルムにおいては、無機物層13のコート層(本実施形態における樹脂層16Aに該当)として、熱接着性を有する樹脂層があらかじめ設けられているものもある。
得られた樹脂基材12、無機物層13および樹脂層16Aを備える積層体に、金属層11を構成する金属箔と、紙基材14を樹脂層16Bおよび16Cでサンドイッチしてなる積層体とを、順に積層する。得られた積層体における樹脂層16C側の面に印刷加工を施して印刷層15を形成し、当該印刷層15を樹脂層16Dにてコートすることにより、本実施形態に係る可撓性包装材料1を得ることができる。
一方、他の一実施形態に係る可撓性包装材料2を製造するには、前述した方法と同様にして樹脂基材22、無機物層23および樹脂層26を備える積層体を得たのち、当該積層体と、金属層21を構成する金属箔と、熱可塑性樹脂により構成されるシーラント層28とを、順に積層すればよい。
(水素含有飲料用容器,水素含有飲料用紙パック,水素含有飲料用パウチ)
本実施形態に係る水素含有飲料用容器は、前述した可撓性包装材料を用いて形成されたものである。例えば、前述した可撓性包装材料1を用いた場合、水素含有飲料用紙パックが得られ、また前述した可撓性包装材料2を用いた場合、水素含有飲料用パウチが得られる。
水素含有飲料用紙パックの形状は、用途・目的などに応じて適宜決定すればよく、例えば、ブリックタイプ(レンガ型)、ゲーブルトップタイプ(屋根型)、フラットタイプ、円筒型、三角錐型などが挙げられる。なお、水素含有飲料用紙パックの注出口には、例えばキャップ、プルタブの開封機構等を適宜に設けてもよい。
一方、水素含有飲料用パウチの形状も、用途・目的などに応じて適宜決定すればよく、スタンディングパウチ、非スタンディングパウチ等の何れであってもよい。また、包装形態も特に制限されず、通常のガゼット袋の他、サイドガゼット袋や平袋など各種のものを使用することができる。さらに、水素含有飲料用パウチの注出口には、例えばスパウト等の開封機構を設けてもよく、開封するための切欠部を設けてもよい。
なお、水素含有飲料用容器(紙パックおよびパウチを含む)の注出口にキャップ、スパウト等の開封機構を設ける場合、これらの開封機構を構成する材料としては、水素ガスの漏出が抑制される材料であることが好ましく、例えばアルミニウムなどの金属製であることが特に好ましい。
本実施形態に係る水素含有飲料用容器は、以下のようにして製造することができる。例えば、水素含有飲料用紙パックを製造する場合、前述した可撓性包装材料1を、まず所定の形状に裁断する。次いで、所定の折り曲げ線に沿って折り曲げ、これにより形成された端部の重なり部分を適当な接着剤またはシーラント層のヒートシールにより接着し、所定の形状に成形された水素含有飲料用紙パックを得ることができる。
一方、本実施形態に係る水素含有飲料用パウチを製造するには、前述した可撓性包装材料2を、まず所定の形状に裁断する。次いで、所望により底面用フィルム(好ましくは可撓性包装材料2で構成される)を折り込み、またスパウトなどの開封機構を載置した後、シーラント層28のヒートシール性を利用して、袋状となるように端部をヒートシールしたり、適当な接着剤を用いて製袋したりすることにより、所定の形状に成形された水素含有飲料用パウチを得ることができる。
なお、水素含有飲料用容器の製造工程には、後述する水素含有飲料が充填される工程が含まれていてもよい。
このようにして得られる水素含有飲料用容器、水素含有飲料用紙パックおよび水素含有飲料用パウチは、前述した可撓性包装材料を用いて成形されているため、例えば容器の製造工程、特に成形工程における折り曲げなどにおいて金属層に微小なクラックが生じたとしても、水素の漏出を抑制することができる。そのため、得られる容器に水素含有飲料を充填したときに、水素濃度を高い値に維持することができる。また、本実施形態に係る容器詰水素含有飲料は、水素ガスの漏出が防止され、流通・販売過程や飲用時における取り扱いが容易な水素含有飲料として好適である。
なお、上記実施形態における各要素は、適宜設計変更などが可能である。例えば、可撓性包装材料における積層の順序は、金属層が樹脂基材と無機物層との間に存在しないように積層すればよい。すなわち、上記実施形態においては、印刷層および樹脂層を除くと樹脂基材12/無機物層13/金属層11/紙基材14の順序として説明したが、金属層/樹脂基材/無機物層/紙基材や金属層/紙基材/樹脂基材/無機物層といった順序で積層されていてもよい。
3−2.硬質材料からなる容器を用いた場合の水素保持方法
本発明の他の一実施形態においては、金属缶やガラス缶等の硬質材料からなる容器を用い、容器中の液状飲食品と容器との間に生じる空間部(所謂ヘッドスペース)を調整する。
ここで、ボトル缶等の容器詰飲料がヘッドスペースを有しない場合、搬送時等における衝撃に弱く、開栓時に内容物(飲料)が噴出する虞があるといった容器強度的な問題が生じ、商品形態として適切でないという問題があった。また、発明者らがヘッドスペースの体積と水素濃度の保持率(液体充填直後からの水素濃度の減少率)との関係を検証したところ、単純にヘッドスペースを小さくすれば水素濃度の保持率が向上するという関係は成立しないことが判明した。
かかる問題に対し、本発明者らは、封入された水素含有飲料の内容量に対するヘッドスペースの体積の割合と、ヘッドスペースの内圧とのバランスを所定範囲に調整することによって、充填後においても高い水素濃度の保持率を確保しつつも、上述した容器強度に関する諸問題をも解決しうることを見出した。
(ヘッドスペース割合とヘッドスペース内圧との関係)
本発明の一実施形態に係る容器詰水素含有飲料は、所定のヘッドスペースを有するように水素含有飲料が容器に封入されてなるものとすることができる。
本実施形態に係る容器詰水素含有飲料は、水素含有飲料の内容量VL(mL)と、ヘッドスペースの体積Hv(mL)と、ヘッドスペースの内圧Hp(MPa)との関係が、下記式Iを満たす。
0.0020≦(Hv/VL)×Hp≦0.0070 ・・・(I)
ここで、ヘッドスペースの体積Hvを水素含有飲料の内容量VLで除した値Hv/VLは、水素含有飲料に対するヘッドスペースの割合と言い得るものである。
本発明者らは、容器詰水素含有飲料において、水素含有飲料に対するヘッドスペースの割合Hv/VLとヘッドスペースの内圧Hpとの関係が上記式Iの要件を満たすことによって、搬送時等の耐衝撃性に優れるとともに開栓時の噴きこぼれが抑制され、かつ、経時による水素濃度の保持率が改善されることを見出した。すなわち、(Hv/VL)×Hpが0.0020〜0.0070であることにより、水素濃度の保持率を向上させると共に容器強度等を確保することができる。特に、(Hv/VL)×Hpが0.0020以上であることで、より水素濃度の保持率を高く維持しつつも、容器強度等を確保することができる。一方、(Hv/VL)×Hpが0.0070以下であると、水素濃度の保持率が特に優れたものとなる。
(Hv/VL)×Hpの上限値は、0.0070以下であり、0.0055以下であることが好ましく、0.0050以下であることがより好ましく、0.0048であることがさらに好ましく、0.0035以下であることが特に好ましい。一方、(Hv/VL)×Hpの下限値は、0.0020以上であり、0.0022以上であることが好ましく、0.0023以上であることが特に好ましい。
(ヘッドスペース割合)
水素含有飲料に対するヘッドスペースの割合Hv/VLは、0.020〜0.050であることが好ましく、0.025〜0.040であることがより好ましく、0.030〜0.040であることが更に好ましい。Hv/VLが0.020以上であると、搬送時等の耐衝撃性にさらに優れるとともに開栓時の噴きこぼれが抑制され、一方Hv/VLが0.050以下であると、経時による水素濃度の保持率がより優れたものとなる。
(ヘッドスペース体積)
ヘッドスペースの体積Hv(mL)は、容器強度、及び開封時の噴出し防止等を鑑み、10.0mL〜20.0mLであることが好ましく、10.0mL〜15.0mLであることがより好ましい。ヘッドスペースの体積Hvが10.0mL以上であると、搬送時等の耐衝撃性にさらに優れるとともに開栓時の噴きこぼれが抑制され、一方ヘッドスペース体積Hvが20.0mL以下であると、上記効果に加え、経時による水素濃度の保持率がより優れたものとなる。
ここで、水素含有飲料の内容量VLは、水素含有飲料を充填する前の空容器の質量と、充填後の容器詰水素含有飲料の質量とを測定し、その差分として得られる水素含有飲料の充填質量(g)を、比重1.00にて体積(mL)換算した値である。また、ヘッドスペース体積Hvは、開栓前の容器詰水素含有飲料の質量を測定した後、開栓して比重1.00の水を満注して合計質量を測定し、その増分であるヘッドスペース体積に相当する水の質量(g)を、比重1.00にて体積(mL)換算した値である。水素含有飲料の内容量VL及びヘッドスペース体積Hvの測定方法の詳細は、後述する実施例にて示す。
なお、水素含有飲料の内容量VL及びヘッドスペースの体積Hvは、所定の容量を備える容器を用い、また、当該容器への水素含有飲料の充填量を調整することで、所望の値に制御することができる。
(ヘッドスペースの内圧)
本実施形態に係る容器詰水素含有飲料において、ヘッドスペースの内圧Hpは、0.060〜0.130MPaであることが好ましく、0.060〜0.120MPaであることが特に好ましく、0.070〜0.100MPaであることが更に好ましい。ヘッドスペースの内圧Hpが0.060MPa以上であると、搬送時等の耐衝撃性にさらに優れるとともに開栓時の噴きこぼれが抑制され、一方ヘッドスペースの内圧Hpが0.130MPa以下であると、経時による水素濃度の保持率がより優れたものとなる。
ここで、本実施形態においては、ヘッドスペースを構成している気体は、例えば窒素ガスであって、ヘッドスペースの内圧は、飲料液を容器に充填した後、液体窒素等を滴下することでヘッドスペースから空気等を追い出した後に巻締め(密封)するにあたり、液体窒素の滴下量を調整することにより、調整することができる。
また、ヘッドスペースの内圧Hp(MPa)は、一般的に缶テスターと称される、真空検缶機等を使用して測定することが可能である。なお、本実施形態の容器詰水素含有飲料が、容器を密封した後にさらに加熱殺菌されるものである場合、上記ヘッドスペース内圧は、容器を密封しさらに加熱殺菌した後に測定するものとする。
(容器)
本実施形態に係る容器詰水素含有飲料は、容器に充填されて提供される。かかる容器としては、PETボトル、缶(アルミニウム、スチール)、紙、プラスチック、レトルトパウチ、瓶(ガラス)等が挙げられる。本実施形態においては、水素濃度の保持率を優れたものとする観点から、水素のバリア性が要求に優れるガラス瓶、金属缶、又は金属積層フィルムを用いた所謂パウチ形態の容器を用いることが好ましく、中でも製造時や搬送時等の取扱いが容易であることから、金属缶を用いることが好ましく、アルミニウム缶を用いることが特に好ましい。
また、容器が金属缶、特にアルミニウム缶の場合、その容器形状は、ボトル(ビン)の形をしており、スクリュー式のキャップの蓋によりリシールが可能である、所謂ボトル缶形状のものが好ましい。
ボトル缶形状の容器は水素保持、リシール性の観点から優れているものの、ペットボトルと比較すると凹み等の変形が生じると元に戻らない為、例えばホットパック充填されたペットボトル飲料のように、ヘッドスペースを無くす、又は小さくすることは耐衝撃性の観点から困難である。
また、容器の容量は本実施形態の要件満たす範囲であれば、特に制限されるものではないが、300〜550mLであることが好ましい。容器の容量がかかる範囲にあると、十分量の水素含有飲料が充填されても前述したヘッドスペース体積やヘッドスペース割合を確保することが容易となり、水素濃度の保持率を良好なものとすることができる。
本実施形態に係る容器詰水素含有飲料は、水素含有飲料の内容量に対するヘッドスペース体積の割合Hv/VLとヘッドスペースの内圧Hpとの関係が所定の要件を満たしているため、ヘッドスペースを有しながらも水素濃度が低下しにくいものとなる。本実施形態に係る容器詰水素含有飲料は、水素濃度が低下しにくく、特に常温保管においても水素濃度が低下しにくいため、常温流通が可能である。また、本実施形態に係る容器詰水素含有飲料は、ヘッドスペースを有しているため、搬送時等の流通時においても耐衝撃性に優れ、また、開栓時に内容物(水素含有飲料)が噴出するおそれもない。そのため、本実施形態に係る容器詰水素含有飲料は、様々な飲用シーンに適用が可能である点において特に好適である。
4.その他
(殺菌)
本実施形態に係る液状飲食品は、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造できる。殺菌の条件は食品衛生法に定められた条件と同等の効果が得られる方法を選択すればよいが、例えば、容器として耐熱容器を使用する場合にはレトルト殺菌を行えばよい。また、容器として非耐熱性容器を用いる場合は、例えば、調合液をプレート式熱交換機等で高温短時間殺菌後、所定温度まで冷却し、ホットパック充填するか冷却後に無菌充填を行うことができる。
ここで、液状飲食品に配合される液状飲食品原料(水素接触原料)の種類によっては、加熱殺菌を行うことにより、蒸れ臭、イモ臭、焦げ臭等の加熱臭;番茶様臭等の植物由来不快臭などを生じてしまうことがあるが、本実施形態においては、これらの好ましくない風味を低減または軽減することができる。
以上述べた液状飲食品の風味バランス調整方法によれば、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることにより、甘味、旨味、塩味、キレ、香味、および炭酸飲料における炭酸刺激のまろやかさ、といった好ましい風味を向上させることができるとともに、苦味、渋味、雑味、酸味、畜肉臭、加熱臭、および植物由来不快臭、といった好ましくない風味を低減または軽減することができる。また、水素含有ガスは、液状飲食品の風味バランス調整剤の有効成分として使用することができる。
さらに、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることにより、風味バランスが調整された液状飲食品を製造することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、試験例等を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の試験例等に何ら限定されるものではない。
〔試験例1〕 中性ニンジンジュースへの水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
各原材料の最終濃度が表1の濃度となるように、100%ニンジンジュースの調合を行った。尚、調合に用いた水は脱気水を使用し、過飽和水素水は、脱気水へ中空糸膜モジュール処理により水素ガスを封入し、調製した。調製した調合液が60℃になるまで直火で加熱し、TULC缶190に、190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(121℃20分)を行った。5℃で4日間保管後、開封し、官能検査、水素濃度測定、溶存酸素濃度測定を行った。
(水素濃度および溶存酸素濃度の測定)
ここで、水素濃度は、溶存水素測定器(ユニセンス社製,マイクロセンサーモノメーター・ver.1.0)により測定した。また、溶存酸素濃度は、ポータブル溶存酸素測定器(HACH社製,HQ30d)により測定した。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・ニンジンの爽やかな甘味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後半の土臭みのある苦雑味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・薬品様の酸味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318

<結果>
水素の封入により、ニンジン特有の爽やかな甘味が強まり、かつ後半の土臭みのある苦雑味が軽減され、また薬品様の酸味が軽減された。
〔試験例2〕 麹入り米飲料への水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
各原材料の最終濃度が表2の濃度となるように、麹入り飲料の調合を行った。尚、調合に用いた水は脱気水を使用し、過飽和水素水は、脱気水へ中空糸膜モジュール処理により水素ガスを封入し、調製した。調製した調合液が60℃になるまで湯煎で加熱し、スチール缶190に、190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(126℃30分)を行った。5℃で3日間保管後、開封し、試験例1と同様に水素濃度および溶存酸素濃度を測定し、以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・米の旨味を引く甘味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後半の刺すような苦雑味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・焦げ様の焼け臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
水素の封入により、米の甘味が強まり、かつ後半の苦雑味が軽減され、更には焦げ様の焼け臭の生成を抑制した。
〔試験例3〕 ブラックコーヒー飲料への水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
深煎りコーヒー豆400gに約90℃の脱気水4,788gを加え、ドリップ抽出した。抽出液は2,508g回収した。抽出結果を表3に示す。
Figure 0006749318
得られた抽出液を用いて、各原材料の最終濃度が表4の濃度となるように、調合液を調製した。尚、調合に用いた水は脱気水を使用した。各3,000gの調合液に、窒素+水素混合ガス(窒素:水素=95:5)(→実施例3)、あるいは窒素ガス(→比較例3)を、バブリングにより溶解させた(バブリング条件;レギュレーター圧:1.5kf/cm、処理時間:20分間)。
(激しい泡立ちによる液ロスのため、処理液の回収量は、いずれも約1,000g程度となった。)
バブリング処理液を60℃になるまで直火で加熱し、TULC缶190に190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(123℃7分)を行った。5℃で2日間保管後、開封し、試験例1と同様に水素濃度および溶存酸素濃度を測定し、以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・後味のざらつく様な苦味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・先味〜中盤の香ばしい甘味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・焦げ様の焼け臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
バブリングによる、窒素+水素混合ガス(窒素:水素=95:5)の封入により、コーヒーの先味から中盤に感じられる香ばしい甘味が強まり、後味のざらつく様な苦味が軽減され、焦げ様の焼け臭もまた軽減された。
〔試験例4〕 オレンジジュースへの水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
表5の配合表に示すとおり、100%オレンジジュースを試作し、過飽和水素水を使用し水素封入を行った。尚、比較例には、過飽和水素水の代わりに脱気水を用いた。比較例4、実施例4は、95℃達温殺菌後、缶190に190gずつ正確に充填し、巻き締め後、転倒殺菌30秒を行い、冷水で室温まで冷却した。一方、比較例5、実施例5は、同条件で殺菌処理後、PET200に200gずつ正確に充填し、巻き締め後、転倒殺菌30秒を行い、冷水で室温まで冷却した。得られたサンプルについて、試験例1と同様に水素濃度を測定した。また、5℃および45℃で2週間保管後、それぞれ以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・刺激的な酸味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味のすっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・フレッシュ感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・イモ様の蒸れ臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
水素の封入により、刺激的な酸味が弱まり、後味に雑味が抑えられたすっきり感のある味わいになった。従って、水素封入により、高果汁でありながら、夏場でもゴクゴク飲めるすっきりした飲料の提供が可能と考えられた。
また、45℃保管2週間後の官能評価では、水素を封入したサンプルでは、フレッシュな味わいが維持され、加温保管により生ずるイモ様の蒸れ臭生成が抑制された。
〔試験例5〕 りんごジュースへの水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
表6の配合表に示すとおり、100%りんごジュースを試作し、過飽和水素水を使用し水素封入を行った。試験例1と同様に水素濃度を測定した。また、5℃および45℃で2週間保管後、それぞれ以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・後味に持続する酸味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味のすっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・フレッシュ感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・蒸れ臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・トップの爽やかなりんご香
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
製品では水素処理で酸味が弱まり、すっきり感、フレッシュ感が高まっていた。
45℃保管2週間後では、水素を封入したサンプルでは、フレッシュな味わいが維持され、水素未処理に比べて、加熱により生ずる蒸れ臭が抑制されるとともに、トップの爽やかなりんご香が維持されていた。
〔試験例6〕 トマトジュースへの水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
表7の配合表に示すとおり、100%トマトジュースを試作し、過飽和水素水を使用し水素封入を行った。試験例1と同様に水素濃度を測定した。また、5℃および45℃で2週間保管後、それぞれ以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・後味のビリビリと刺すような雑味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味のすっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・イモ臭(加熱臭)
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・フレッシュ感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
100%オレンジジュースの場合と同様に、水素封入により、ビリビリと刺すような雑味を抑えられ、後半の濃度感が弱まり、すっきりした味わいとなった。従って、水素封入により、野菜汁リッチでありながら、夏場でもゴクゴク飲めるすっきりした野菜飲料の提供が可能と考えられた。
また、45℃保管2週間後の官能評価では、水素を封入したサンプルでは、フレッシュな味わいが維持され、加熱により生ずるイモ臭や焦げ臭が弱まっていた。よって、100%トマトジュースの香味劣化抑制にも、水素封入が有用と考えられた。
〔試験例7〕 酸性ニンジンジュースへの水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
表8の配合表に示すとおり、ニンジンジュースを試作し、過飽和水素水を使用し水素封入を行った。尚、レモン果汁でpHを酸性域に調整した。95℃達温殺菌後、PET200に200gずつ正確に充填し、巻き締め後、転倒殺菌30秒を行い、冷水で室温まで冷却した。得られたサンプルについて、試験例1と同様に水素濃度を測定した。また、5℃および45℃で2週間保管後、それぞれ以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・カロテン臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・土臭さ
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・イモ臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・すっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・フレッシュ感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
水素封入により、カロテン臭、土臭さ、イモ臭等の好ましくない臭気が弱まり、すっきりした味わいとなった。45℃保管により、カロテン臭、土臭さ、イモ臭等の臭気は、水素を封入していないサンプルで強まったが、水素封入サンプルでは、ほとんど変化がなかった。
〔試験例8〕 りんご果汁(炭酸ガス入り)飲料への水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
表9の配合表に示すとおり、20%りんご果汁入り飲料(炭酸ガス入り)の3.6倍(w/w)濃縮シラップを調製した。尚、濃縮シラップへは過飽和水素水を使用し水素封入を行った。濃縮シラップを95℃達温殺菌した後、氷上で5℃以下になるまで冷却した。シラップと炭酸水を表10に示すとおり混合し、耐熱圧PET280に充填し、65℃10分間の後殺菌処理を行った。冷水で室温まで冷却した。得られたサンプルについて、試験例1と同様に水素濃度を測定した。また、5℃および45℃で2週間保管後、それぞれ以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・甘味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・炭酸刺激
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
Figure 0006749318
<結果>
水素封入により、炭酸刺激が弱まり甘味が強まった。45℃保管2週間後の官能評価では、さらに炭酸刺激が弱まった。
〔試験例9〕 緑茶飲料への水素処理効果
<試作・評価方法>
95℃の脱気水4,800gに、緑茶120gを投入し、5分間抽出した。尚、攪拌は、茶葉投入直後、2分後、3分後に、1回/秒の速度で15回(15秒)ずつ行った。抽出中の加温は行わず、茶葉投入5分後の温度は89℃となった。32メッシュのフィルターでろ過し、氷上で20℃以下になるまで冷却し、ネル布でろ過を行い、抽出液4,330g回収した。抽出結果を表11に示す。
Figure 0006749318
得られた抽出液を用いて、各原材料の最終濃度が表12の濃度となるように、調合を行った。各調合液を65℃になるまで直火で加熱し、TULC缶190に190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(123℃7分)を行った。5℃で2週間保管後、試験例1と同様に水素濃度を測定し、以下の基準にて官能評価を行った。また、45℃で2週間保管後、官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・雑味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・渋味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・すっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・フレッシュ感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・番茶様臭(劣化臭)
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
水素封入により、雑味、渋味が抑えられ、高濃度でありながら、すっきりとした味わいの緑茶飲料となった。45℃保管2週間後の官能評価では、水素封入により、フレッシュな味わいが維持されるとともに、加熱により発生する番茶様のいたみ臭発生が抑制されていた。
〔試験例10〕 抹茶入り飲料への水素処理効果
<試作・評価方法>
各原材料の最終濃度が表13の濃度となるように、調合を行った。尚、調合に用いた水は脱気水を使用した。また、抹茶は卓上ホモジナイザーを使用し、約37倍の脱気水に分散させてから、調合液に配合した。尚、過飽和水素水は、脱気水へ中空糸膜モジュール処理により水素ガスを封入し、調製した。調合液が60℃になるまで直火で加熱し、TULC缶190に、190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(123℃7分)を行った。5℃で4日間保管後、開封し、試験例1と同様に水素濃度および溶存酸素濃度を測定し、以下の基準にて官能評価を行った。
また、45℃で2週間保管し、官能検査を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・後味の苦渋み
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・先味〜中盤の苦渋み
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・抹茶の新鮮香
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
水素の封入により、抹茶由来の後味の苦渋みが、先味から中盤へとシフトし、かつ抹茶特有の新鮮香が強まる傾向が認められた。尚、これらの効果は、官能評価時の水素濃度が検出限界以下においても認められた。また、45℃保管2週間後も、同様の傾向が認められた。
〔試験例11〕 チキンコンソメへの水素処理効果
<試験方法>
過飽和水素水を作成してイオン交換水と混合し、得られた各濃度(水素濃度は表14を参照)の水素水に市販のチキンコンソメを10倍加水で溶解し、溶解30分後、チキンコンソメの濃度が0.1%になるようにイオン交換水でさらに希釈し、官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・蒸れ臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・先味塩味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味の持続
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
水素処理により、チキンコンソメにある蒸れ臭が弱まり、先味の塩味と後味の持続が強まり味が強まった。
次に、水素処理で風味が改善されたチキンコンソメについて、その効果が当該チキンコンソメを液状飲食品原料として用いた場合にも及ぶか否かを検討すべく、コーンスープに使用した場合を一例として検証を行なった。
<試作・評価方法>
チキンコンソメを、1.6ppm水素水を用いて10倍加水で溶解し、各原材料の最終濃度が表15の濃度となるように、調合を行い、コーンスープを作成した。比較例としてイオン交換水で溶解させたものを作成した。調製した調合液が60℃になるまで湯煎で加熱し、スチール缶190に、190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(126℃52分)を行った。5℃で1日間保管後、開封し、官能検査、水素濃度測定を行った。70℃で1週間保管し、官能検査を行った。
なお、本検証においては、水素との接触は、原料となるチキンコンソメについてのみ、上記実施例18〜21と同様の手順で行い、コーンスープとしての調製過程においては、別途水素との接触処理は行っていない。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・後味の持続性不快刺激
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味のすっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
水素処理により風味が改善されたチキンコンソメを液状食品原料として用いることで、コーンスープの後味のすっきり感が向上した。70℃1週間保管後は、すっきり感が共に低下するものの、その傾向はその傾向は水素の封入により軽減された。また加熱劣化に伴い後味に生じる痛みに感じる持続性の不快刺激の発生を水素封入により軽減することができ、加温販売に強い製品であることが確認できた。
〔試験例12〕 ビーフエキスへの水素処理効果
<試験方法>
1.6ppmの水素水に市販のビーフエキスパウダーを10倍加水で溶解し、溶解30分後、0.1%になるようにイオン交換水でさらに希釈し、官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・先味塩味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味の持続
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味の苦味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
水素処理により、ビーフエキスの後味を持続しるとともに不快な後味の苦味を抑え、すっきりとした味わいになった。
次に、水素処理で風味が改善されたビーフエキスについて、その効果が当該ビーフエキスを液状飲食品原料として用いた場合にも及ぶか否かを検討すべく、トマトスープに使用した場合を一例として検証を行なった。
<試作・評価方法>
ビーフエキスパウダーを、1.6ppm水素水を用いて10倍加水で溶解してトマトスープを作成した。比較例としてイオン交換水で溶解させたものを作成した。調製した調合液が60℃になるまで湯煎で加熱し、スチール缶190に、190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(126℃52分)を行った。5℃で1日間保管後、開封し、官能検査および水素濃度測定した。70℃で1週間保管し、官能検査を行った。
なお、本検証においては、水素との接触は、原料となるビーフエキスについてのみ、上記実施例23と同様の手順で行い、トマトスープとしての調製過程においては、別途水素との接触処理は行っていない。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・先味塩味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味の持続
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味の苦味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
水素処理により風味が改善されたビーフエキスを液状食品原料として用いることで、トマトスープの先味の塩味が高まり後味の苦味が軽減し、後味の持続性も抑えられることで、濃厚な味わいながらもすっきりとした後味となり、飲みやすい物となった。70℃1週間保管後における後味の苦味が強くなるのを水素封入により軽減することができ、飲みやすさを維持できた。
〔試験例13〕 スポーツ飲料への水素処理効果
<方法>
表18の濃度となるように、スポーツドリンクの調合を行った。調合はイオン交換水を用いた。シリコン中空糸モジュール(永柳工業社製,ナガセップM40−6000×140)を用いて調合液に直接水素封入を行った(流速0.8L/min,水素圧力0.25MPa)。得られた液はスパウト付アルミパウチに直接充填した。その後殺菌し(90℃,10分間)、冷却後、官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・味の切れ・すっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・チキン臭の後味残り
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
水素処理により、味切れが向上しすっきり感が向上した。また後味にチキンエキス由来のチキン臭を感じるが、水素処理によりその臭いが軽減されていた。快に感じる。
〔試験例14〕 塩化マグネシウム水溶液への水素処理効果
<試験方法>
塩化マグネシウム・6水和物(赤穂化成社製,クリスタリン)を脱イオン水に溶解させ、塩化マグネシウム溶液を調製した。脱イオン水を貯留後、中空糸膜(永柳工業社製,ナガセップM65−3500×140)により一度水素封入を行い(流速0.8L/min,水素圧力0.23MPa)、水素水を調製した。塩化マグネシウムの最終濃度が0.075%となるように混合し、官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・先味の苦味刺激
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 0006749318
<結果>
水素処理により、先味の苦味刺激が弱まり、口当たりがよくなった。
以上の試験例で確認された、水素による風味バランス調整効果において、液状飲食品における水素濃度の保持は必須な要件ではない。ただし、水素濃度が保持されると、水素による風味バランス調整効果もより効果的に発揮されると考えられるため、所定の容器を用いた場合の水素保持効果についても、水素水を用いて以下に検討した。なお、水素水は、本発明の風味バランス調整効果の対象とは言い難いものの、以降の試験例においては、水素濃度の保持効果を確認するために、液状飲食品を模したものとして水素水を用いた。
〔試験例15〕 可撓性包装材料を用いた容器の水素保持効果−1
(参考実施例1)
金属層としてのアルミニウム層を備え、以下の層構成を有するアルミフィルム(細川洋行社製)を14.7cm×13cmに裁断した。
=アルミフィルムの層構成=
括弧内の数値は厚さを表す。
PET(12μm)/ポリエチレン(15μm)/アルミニウム(7μm)/ポリエチレン(15μm)/直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)(30μm)
裁断したアルミフィルムについて、クラック形成処理を行った。すなわち、直径1.5cm程度の円筒状の2本の棒を、それぞれの棒の先端をフィルム端部から5cm内側に位置させ、2本の棒を巻き込むようにしてフィルム屈曲させた。次いで、2本の棒を、フィルムに対して手で固定しながらフィルム中央部方向に動かし、次いで元に戻すという一連の動作を50秒間で100回繰り返した。その後、最初の2本の棒の方向と略直交する方向にて2本の棒を巻き込み、一連の動作を同様に行い、フィルムにクラックを形成した。
一方、樹脂基材層としてのポリエチレンテレフタレート(PET)層と、無機物層としての酸化ケイ素蒸着層とを備え、以下の層構成を有するシリカ蒸着フィルム(凸版印刷社製,製品名「GLフィルム」)を12.5cm×10.4cmに裁断した。
=シリカ蒸着フィルムの層構成=
括弧内の数値は厚さを表す。
GL−RD12(12μm)(凸版印刷社製,PET層および酸化ケイ素蒸着層を有する)/延伸ナイロン(ONY)(15μm)/無延伸ポリプロピレン(CPP)(50μm)
クラックを形成したアルミフィルムと、裁断したシリカ蒸着フィルムとを、アルミフィルムのLLDPE層およびシリカ蒸着フィルムのCPP層が互いに接するようにして積層し、ヒートシールすることにより、アルミフィルムにクラック形成処理が行われた可撓性包装材料を得た。得られた可撓性包装材料を2枚用い、シリカ蒸着フィルム側が内側になるようにして2枚を重ね合わせ、3辺をヒートシールして製袋し、水素含有飲料用容器を得た。
市販のミネラルウォーターを卓上水素水生成機(エコモ・インターナショナル社製,製品名「Aquela blue MEH-1500」)に供して水素水を得た。得られた水素水に含まれる水素ガス濃度を溶存水素濃度計(東亜ディーケーケー社製,製品名「DH−35A」)にて測定し、その結果に基づき水素ガス濃度を1.30ppmに調整した後、200mLを上記水素含有飲料用容器に充填し、ヘッドスペースが無いようにヒートシールして密封することにより、容器詰水素含有飲料を製造した。
得られた容器詰水素含有飲料(サンプル)を25℃で1週間保存した後、水素含有飲料に含まれる水素ガス濃度を溶存水素濃度計(東亜ディーケーケー社製,製品名「DH−35A」)にて測定した。結果を表20に示す。
(参考実施例2)
シリカ蒸着フィルムに替えて、以下の層構成を有するアルミナ蒸着フィルム(凸版印刷社製,製品名「GXフィルム」)を用いた他は、参考実施例1と同様にして、容器詰水素含有飲料を製造し25℃1週間保存後の水素ガス濃度を測定した。結果を表20に示す。
=アルミナ蒸着フィルムの層構成=
括弧内の数値は厚さを表す。
GX−P−F12(12μm)(凸版印刷社製,PET層および酸化アルミニウム蒸着層を有する)/ONY(15μm)/CPP(50μm)
(参考例1)
シリカ蒸着フィルムに替えて、以下の層構成を有するアルミ蒸着フィルム(東レ社製)を用い、クラック形成したアルミフィルムのLLDPE層およびアルミ蒸着フィルムの直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)層が互いに接するようにして積層した以外は、参考実施例1と同様にして、容器詰水素含有飲料を製造し25℃1週間保存後の水素ガス濃度を測定した。結果を表20に示す。
=アルミ蒸着フィルムの層構成=
括弧内の数値は厚さを表す。
VM−PET(12μm)(東レ社製,PET層およびアルミニウム蒸着層を有する)/ドライラミネート(DL)/LLDPE(80μm)
(参考例2〜6)
表20に示す蒸着フィルムまたはアルミフィルムを14.7cm×13cmに裁断し、包装材料として用いた。2枚の包装材料をCPP層(またはLLDPE層)が内側となるようにして2枚を重ね合わせ、3辺をヒートシールして水素含有飲料用容器を得た。これら以外は参考実施例1と同様にして、水素ガス濃度を1.30ppmに調整した水素水を充填してヘッドスペースが無いように密封し、25℃1週間保存後の水素ガス濃度を測定した。結果を表20に示す。
Figure 0006749318
表20に示すように、参考実施例で得られた容器詰水素含有飲料は、アルミフィルム(におけるアルミニウム層)にクラックが形成されていても、水素ガスの漏出が抑制されており、クラックが形成されていない参考例6と同程度の水素ガス残存率を有していた。一方、無機物層を備えていない参考例1〜2、および金属層を備えていない参考例3〜5の容器詰水素含有飲料は、水素ガスの漏出が十分に抑制できなかった。
〔試験例16〕 可撓性包装材料を用いた容器の水素保持効果−2
(参考実施例3)
14.7cm×13cmに裁断したアルミフィルム(細川洋行社製、層構成は前述)と、12.5cm×10.4cmに裁断したシリカ蒸着フィルム(凸版印刷社製,製品名「GLフィルム」,層構成は前述)とを、アルミフィルムのLLDPE層およびシリカ蒸着フィルムのCPP層が互いに接するようにして積層し、ヒートシールすることにより、可撓性包装材料を得た。得られた可撓性包装材料を2枚用い、シリカ蒸着フィルム側が内側になるようにして2枚を重ね合わせ、3辺をヒートシールして製袋した。得られた製袋品について、クラック形成処理を行い、クラック形成された水素含有飲料用容器を得た。
得られた水素含有飲料用容器(クラック形成処理済)について、参考実施例1と同様に、水素ガス濃度を1.30ppmに調整した水素水200mLを充填し、ヘッドスペースが無いようにヒートシールして密封することにより、容器詰水素ガス含有飲料を製造した。得られた容器詰水素含有飲料(サンプル)を25℃で1週間保存した後、水素含有飲料に含まれる水素ガス濃度を溶存水素濃度計(東亜ディーケーケー社製,製品名「DH−35A」)にて測定した。結果を表21に示す。
(参考実施例4,参考例7〜8)
シリカ蒸着フィルムに替えて、アルミナ蒸着フィルム(凸版印刷社製,製品名「GLフィルム」,層構成は前述)、アルミ蒸着フィルム(東レ社製,層構成は前述)、またはアルミフィルム(細川洋行社製,層構成は前述)を12.5cm×10.4cmに裁断し、14.7cm×13cmに裁断したアルミフィルムと積層した以外は、参考実施例3と同様にして可撓性包装材料を製造した。かかる可撓性包装材料を用いてクラック形成された水素含有飲料用容器を得た後、水素ガス濃度1.30ppmに調整した水素水200mLを充填し、ヘッドスペースがないように密封して、25℃1週間保存後の水素ガス濃度を測定した。結果を表21に示す。
(参考実施例5)
以下の層構成を有するシリカ・アルミナ混合蒸着フィルム(東洋紡社製)を、14.7cm×13cmに裁断した。
=シリカ・アルミナ混合蒸着フィルムの層構成=
括弧内の数値は厚さを表す。
エコシアールVN507(15μm)(東洋紡社製,ONY層およびシリカ・アルミナ混合蒸着層を有する)/ドライラミネート(DL)/LLDPE(40μm)
アルミフィルム(細川洋行社製,層構成は前述)を12.7cm×11.0cmに裁断し、シリカ・アルミナ混合蒸着フィルムのLLDPE層およびアルミフィルムのLLDPE層が互いに接するようにして積層し、ヒートシールすることにより、可撓性包装材料を得た。得られた可撓性包装材料を2枚用い、アルミフィルム側が内側になるようにして2枚を重ね合わせ、3辺をヒートシールして製袋した。得られた製袋品について、参考実施例3と同様にして、クラック形成処理を行い、水素ガス濃度1.30ppmに調整した水素水200mLを充填し、ヘッドスペースがないように密封して、25℃1週間保存後の水素ガス濃度を測定した。結果を表21に示す。
(参考実施例6)
アルミフィルムに替えて、以下の構成を有するアルミ合金フィルム(細川洋行社製)を使用した以外は、参考実施例3と同様にして可撓性包装材料を製造した。かかる可撓性包装材料を用いてクラック形成された水素含有飲料用容器を得た後、水素ガス濃度1.30ppmに調整した水素水200mLを充填し、ヘッドスペースがないように密封して、25℃1週間保存後の水素ガス濃度を測定した。結果を表21に示す。
=アルミ合金フィルムの層構成=
括弧内の数値は厚さを表す。
PET(12μm)/ドライラミネート/アルミニウム合金(7μm)/ドライラミネート/LLDPE(60μm)
(参考例9)
シリカ蒸着フィルムを用いず、14.7cm×13cmに裁断したアルミフィルム(細川洋行社製,層構成は前述)のみを用いて製袋した以外は、参考実施例3と同様にして、クラック形成された水素含有飲料用容器を得た後、水素ガス濃度1.30ppmに調整した水素水200mLを充填し、ヘッドスペースがないように密封して、25℃1週間保存後の水素ガス濃度を測定した。結果を表21に示す。
(参考例10)
シリカ蒸着フィルムを用いず、14.7cm×13cmに裁断したアルミ合金フィルム(細川洋行社製,層構成は前述)のみを用いて製袋した以外は、参考実施例3と同様にして、クラック形成された水素含有飲料用容器を得た後、水素ガス濃度1.30ppmに調整した水素水200mLを充填し、ヘッドスペースがないように密封して、25℃1週間保存後の水素ガス濃度を測定した。結果を表21に示す。
Figure 0006749318
表21に示すように、参考実施例で得られた容器詰水素ガス含有飲料は、製袋後にクラック形成を行っても、水素ガスの漏出が良好に防止されていた。一方、無機物層に替えてアルミ蒸着層を用いた参考例7、アルミフィルム2枚の積層体を用いて製袋した参考例8、アルミフィルム1枚のみで製袋した参考例9、およびアルミ合金フィルム1枚のみで製袋した参考例10は、いずれも水素ガス漏出防止効果が十分でなかった。
〔試験例17〕アルミ缶詰水素含有飲料における水素保持効果
(容器詰水素含有飲料の製造)
天然水を−0.08MPaの負圧環境で溶存気体の脱気を行い、その後126℃で30秒間殺菌した後、25℃まで冷却したものを使用した。かかる水は無菌条件下にて、気体透過膜を介して水素を注入し、充填時の水素濃度が表22に示す値となる水素含有飲料を調製した。得られた水素含有飲料を、表22に示す内容量となるよう、洗浄殺菌済みのアルミ缶に充填し、充填開口部より液体窒素を滴下してヘッドスペースの空気を追い出した後、キャップを巻き締めて密封し、81℃5分相当の後殺菌を行い、容器詰水素含有飲料を得た(参考実施例7)。
また、アルミ缶を変更し、さらに、水素含有飲料の充填量、充填時水素濃度、および液体窒素の滴下量を変更した以外は、参考実施例7と同様に製造し、容器詰水素含有飲料を得た(参考実施例8〜18,参考例11〜17)。それぞれの参考実施例及び参考例においては、同一条件にて複数の容器詰水素含有飲料をそれぞれ製造し、下記試験例に供した。
(内容量及びヘッドスペース体積の測定)
参考実施例および参考例の各容器詰水素含有飲料において、水素含有飲料を充填する前の空容器の質量をそれぞれ測定した。次に、水素含有飲料を充填した後の容器詰水素含有飲料の質量を測定し、充填前後の差分を水素含有飲料の充填質量(g)とした。得られた充填質量を比重1.00にて体積(mL)に換算し、水素含有飲料の内容量(mL)を算出した。結果を表22に示す。
また、参考実施例および参考例の各容器詰水素含有飲料について、開栓前の質量を測定した後、開栓して比重1.00の水を満注して合計質量を測定した。開栓前後の質量の増分は、ヘッドスペースに充填された水の質量(g)に相当する。得られたヘッドスペース体積相当の水の質量(g)を、比重1.00にて体積(mL)に換算し、ヘッドスペース体積(mL)を算出した。結果を表22に示す。
(ヘッドスペース内圧の測定)
参考実施例および参考例の各容器詰水素含有飲料について、真空検缶機(横山計器社製)を用い、後殺菌後のヘッドスペース内圧(単位:MPa)を測定した。結果を表22に示す。
(水素濃度の測定)
参考実施例および参考例の各容器詰水素含有飲料において、ニードル型水素濃度測定器(ユニセンス社製)を用い、容器に充填する直前の水素含有飲料の水素濃度(単位:ppm)を測定した。また、各容器詰水素含有飲料を25℃にて2週間保管した後、水素濃度を測定した。これらの結果に基づき、下記式にて水素濃度の保持率を算出した。
水素濃度保持率(%)=(25℃2週間後の水素濃度)/(充填時の水素濃度)×100
結果を表22に示す。
Figure 0006749318
表22に示すように、本発明の要件を満たす試料は、25℃2週間後の水素濃度の保持率に優れていた。
本発明は、多様な液状飲食品の風味のバランスを調整することができ、果実飲料、野菜飲料といった植物汁を配合した飲料;茶飲料、コーヒー飲料といった植物抽出物を配合した飲料;炭酸飲料、スポーツ飲料などの清涼飲料;コーンスープ、野菜スープ、味噌汁等のスープ飲料;などの風味のバランスを調整する方法として特に好適である。
1,2…包装材料
11,21…金属層
12,22…樹脂基材
13,23…無機物層
14…紙基材

Claims (9)

  1. 水素を含有する液状飲食品が容器に充填されてなる容器詰水素含有液状飲食品であって、
    前記容器が金属缶であり、
    前記液状飲食品における溶存酸素濃度が4ppm以下であり、
    前記容器に充填された前記液状飲食品の内容量VL(mL)、前記容器中のヘッドスペースの体積Hv(mL)、及び前記ヘッドスペースの内圧Hp(MPa)が、下記式Iを満たす容器詰水素含有液状飲食品
    0.0020≦(Hv/VL)×Hp≦0.0070 ・・・(I)
  2. 前記ヘッドスペースの体積Hvが10.0〜20.0mLである、請求項に記載の容器詰水素含有液状飲食品
  3. 前記ヘッドスペースの内圧Hpが0.060〜0.130MPaである、請求項またはに記載の容器詰水素含有液状飲食品
  4. 前記容器詰水素含有液状飲食品の内容量VLに対する前記ヘッドスペースの容積Hvの比Hv/VLが0.020〜0.050である、請求項のいずれか一項に記載の容器詰水素含有液状飲食品
  5. 前記水素含有液状飲食品の充填時における水素濃度(ppm)が1.5〜3.0ppmである、請求項のいずれか一項に記載の容器詰水素含有液状飲食品
  6. 前記水素が過飽和水素水に由来する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器詰水素含有液状飲食品。
  7. 前記液状飲食品において、甘味向上、旨味向上、塩味(しおあじ)向上、キレの向上、香味向上、炭酸刺激のまろやかさ向上、苦味低減、渋味低減、雑味低減、酸味低減、畜肉臭低減、加熱臭低減、および植物由来不快臭軽減からなる群より選択される1または2以上の風味バランスが調整されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器詰水素含有液状飲食品。
  8. 前記液状飲食品が、野菜飲料、果実飲料、茶系飲料、コーヒー飲料、発泡性飲料、スープ飲料、またはスポーツ飲料である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器詰水素含有液状飲食品。
  9. 前記液状飲食品が、中性ニンジンジュース、麹入り米飲料、ブラックコーヒー飲料、オレンジジュース、りんごジュース、トマトジュース、酸性ニンジンジュース、りんご果汁入り炭酸飲料、緑茶飲料、抹茶入り飲料、チキンコンソメスープ、コーンスープ、ビーフエキススープ、トマトスープ、またはスポーツ飲料である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の容器詰水素含有液状飲食品。
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