JP6603050B2 - 包装飲食品の製造方法及び包装飲食品の品質劣化抑制方法 - Google Patents

包装飲食品の製造方法及び包装飲食品の品質劣化抑制方法 Download PDF

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Description

本発明は、包装飲食品の製造方法及び包装飲食品の品質劣化抑制方法に関するものであって、特に脂質分を含有する包装飲食品に係る製造方法及び品質劣化抑制方法に関する。
近年の生活スタイルの変化や飲食品に対する嗜好の多様化に応え、現在、膨大な種類の飲食品が袋体等の容器に密封包装された形態で流通している。
これら飲食品には、菓子類や、粉末茶等の乾燥加工食品、凍結乾燥のインスタント食品、若しくはこれら飲食品に準じた調味料類等が含まれ、いずれも我々の日常生活に欠かせない存在となっている。
このような飲食品は、一般的な生鮮食品とは異なり、製品購入の後、常温下において一定期間保存されるものが多く、中には数ヶ月以上の長期間に亘る保存を前提としている製品も多い。
このような包装形態の飲食品は、賞味期限や消費期限までの所定期間、摂取した場合の安全性は勿論のこと、呈味や風味等の品質を一定水準以上に保持する必要がある。
一般的に、これら包装飲食品の品質保持の為には、包装体内部や飲食品自体に残存する水分による劣化や、酸素による酸化劣化を防止することが重要であるため、食品と共に乾燥剤や脱酸素剤を封入してこれら水分や酸素による劣化を抑制する手法や、包装体内を窒素ガス等の不活性ガスで満たし、残存酸素の影響を抑制する方法が従来から行われていた。
しかしながら、上記の方法では摂取安全性の上では問題とならなくても、飲食品の呈味や風味といった品質に関しては、十分に劣化が抑制されているとは言い難かった。
特に、脂質成分が多く含まれる食品類にあっては、上記のような品質劣化が、より顕著に現われやすいいという傾向を有していた。
これらを解決する方法としては、包装体内を真空にして密封する真空パック、若しくは冷凍保存などの手法が考えられるが、全ての包装飲食品に適用できるわけではなく、またこれらの処理を行う為、別途のコストがかかるという問題を有していた。
ところで、出願人は乳成分を含む飲料液中において、乳タンパク等のタンパク質、乳脂肪等の脂質、及び乳等に由来するカリウムのうち2以上の成分の濃度をそれぞれ所定の範囲に調整すると共に、飲料液中に含まれる水素の濃度を所定濃度に調整することによって、乳特有の苦味やカリウムに起因する苦味、塩味が抑制され、乳自体の風味は向上するという知見を得た。
また、飲料に水素を含有させるという点については、従前より飲料水に水素を溶解させた所謂水素水が流通しており、これらの製造方法については、既に複数の手法が提案されており(特許文献1)、機能性飲料にも応用されている(特許文献2)。
出願人は、水素を飲料に含有させることによる水素自体の生理活性機能、飲料の呈味性向上の他の水素の効果、即ち、飲食品の品質劣化に対する効果について、先行技術文献の調査を行ったが、飲食品に直接水素を含有させる形態である上記特許文献に係る発明の他には、先行技術文献は発見されなかった。
特開2013−169153号公報 特許4573904号公報
本発明の解決する課題は、袋体等の容器に密封包装される飲食品、特に脂肪分を含む飲食品であって、呈味劣化等の品質劣化が抑制されると共に、通常の製造方法からの大きな改変を伴わず、低コストで製造可能な密封包装される飲食品の製造方法を提供することにある。
出願人らは、水素の品質劣化抑制機能について、更に鋭意検討を進めた結果、密封包装飲食品において、袋体等の密封包装体内に充填する気体を、窒素等の不活性ガスのみではなく、不活性ガスに一定割合で水素ガスを混合した気体にすることによって、封入された飲食品の呈味性や風味の保持の観点で、優れた品質劣化抑制機能が発揮されうることを見出し、本願発明をするに至った。
即ち本願発明は、
(1)
包装容器内に封入された包装飲食品の製造方法であって、包装容器内に飲食品を充填する工程と、前記包装容器内に気体を充填する気体充填工程と、前記飲食品と前記気体が充填された包装容器を密封する密封工程とを備え、
前記気体にはモル換算で10.00%以下の割合で水素が含有されていることを特徴とする包装飲食品の製造方法。
(2)
前記気体は窒素、二酸化炭素、ヘリウムから選択される1以上の気体を更に含有することを特徴とする1の包装飲食品の製造方法。
(3)
前記気体は水素と窒素からなる混合気体であって、水素と窒素はそれぞれモル換算で0.10:99.90〜10.00:90.00の範囲で混合されていることを特徴とする1又は2の包装飲食品の製造方法。
(4)
上記飲食品は0.30wt%〜50.00wt%の脂質を含有することを特徴とする1〜3いずれか1の包装飲食品の製造方法。
(5)
上記飲食品は固形食品であることを特徴とする1〜4いずれか1の包装飲食品の製造方法。
(6)
包装容器内に封入された包装飲食品の品質劣化抑制方法であって、前記包装容器内には、モル換算で0.10%〜10.00%以下の水素を含有する気体が封入されていることを特徴とする包装飲食品の品質劣化抑制方法。
(7)
前記気体は窒素、二酸化炭素、ヘリウムから選択される1以上の気体を更に含有することを特徴とする6の包装飲食品の品質劣化抑制方法。
(8)
前記気体は水素と窒素からなる混合気体であって、水素と窒素はそれぞれモル換算で0.10:99.90〜10.00:90.00の範囲で混合されていることを特徴とする6又は7の包装飲食品の品質劣化抑制方法。
(9)
上記飲食品は0.30wt%〜50.0wt%の脂質を含有することを特徴とする6〜8いずれか1の包装飲食品の品質劣化抑制方法。
(10)
上記飲食品は固形食品であることを特徴とする6〜9いずれか1の包装飲食品の品質劣化抑制方法。
(11)
上記固形食品の含有水分量が10.00wt%未満であることを特徴とする6〜10いずれか1の包装飲食品の品質劣化抑制方法。
に関するものである。
本願発明は袋体等の容器に密封包装される飲食品、特に脂肪分を含む飲食品であって、呈味劣化等の品質劣化が抑制されると共に、通常の製造方法からの大きな改変を伴わず、低コストで製造可能な、密封包装飲食品及びその製造方法を提供することができるものである。
以下、本発明の実施の形態につき、以下詳述する。
1. 包装飲食品
本実施形態の包装飲食品は、密封状態で流通しうるものであれば特に制約されない。
例えば、ポテトチップ、ビスケット、クッキー等の菓子類、緑茶リーフ、抹茶、コーヒー豆等の乾燥加工食品の他、顆粒だし、固形コンソメスープ、乾燥味噌等の調味料類を例示することができる。
本発明の効果を顕著に発揮させる為には、飲食品には、水分量が少ない乾燥形態の食品であることが望ましく、食品中の含有水分量は、10%以下であることが特に望ましい。
また、食品中の脂質は特に酸化の影響を受け易い物質であって、包装容器内の封入ガスから、酸素除去剤等で酸素を取り除いた場合でも、熱や食品中に含まれる微量の酸素によっても劣化が進行するこのため、脂質を含んだ食品の方が、本願発明の効果をより顕著に確認することができる。
従って、本発明の効果検証の為には、所定量の脂質が含まれている飲食品を選択することが望ましい。
食品中の脂質含有量は飲食品の全重量に対して0.3〜50.0%であることが望ましく、1.0〜45.0%であることがより望ましく、2.0〜40.0%であることが更に望ましく、3.0〜40.0%であることが最も望ましい。
2.包装容器/包装材
飲食品の包装容器及び包装材としては、密封(気密)状態を保持しうるものであれば特にその種類は問わず、樹脂性袋、アルミ袋、缶、瓶といった形態を例示することができる。中でもガス封入処理が容易である袋形態、特に内側にアルミが蒸着された樹脂フィルムからなるアルミ袋の形態が望ましく、袋体の密封方法としてはヒートシール、ウェルダー(高周波)溶着等の手段を任意に選択することができる。
3.封入ガス
包装容器内に封入するガスには、所定量の水素ガスが含まれている必要がある。
水素以外の成分としては、食品への影響が少ない窒素、ヘリウム等の不活性ガスであることが望ましく、既に袋体への封入ガスに用いられており、コストも安価である窒素が望ましい。
また、封入ガスの内、水素ガスの含有割合はモル換算で10.00%以下であって、0.10〜8.00%が望ましく、1.00〜5.00%が更に望ましい。
なお、水素ガスは非常に分子量が小さいことから、気密容器であっても、時間の経過と共に、外部に透過され易く、包装容器内の水素ガス濃度は時間の経過に伴って減少していく。
しかしながら、本願発明の効果を発揮させる為には、本願の要件である水素ガスの濃度が官能評価を行う際にまで保持されている必要は無く、本願の要件である水素ガス濃度は、包装容器にガスを封入した直後の濃度として要件を満たしていればよい。
以下、本発明の実施例について、具体例を挙げて説明する。
1. 実施例1(ポテトチップスへの適用)
(試料調製)
(1) ポテトチップサンプル
ジャガイモ(品種:男爵薯)を流水で洗浄した後、皮を剥かずにスライサーで楕円形にスライスした。これをキッチンペーパーで水分を拭き取った後、170℃に加熱したサラダ油(日清オイリオ製)で気泡が出なくなるまで素揚げした。
油からあげた後、キッチンぺーパーで表面に付着した余分な油を除去した。
更に、得られたポテトチップス約218gに、食塩3.3gをふりかけ、良く混ぜて、ポテトチップスサンプルを作製した。
上記ポテトチップス15gを、アルミ袋(40×12.5cmサイズ)に詰め、真空ガス充填機により、へッドスペースに窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=95:5)、または窒素ガスを封入し、ヒートシールにより密封した(ガス封入条件:4.5kgf/cm2の圧力で7秒間封入)。
窒素と水素の混合ガスを封入した試料を実施例試料1、窒素ガスのみ封入した試料を比較例試料1とした。
(2) 市販ポテトチップス
市販ポテトチップスBIG BAGうす塩味(170g入り)(カルビー株式会社製)を、20gずつアルミ袋(40×12.5cmサイズ)に詰め、真空ガス充填機により、へッドスペースに窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=95:5)、または窒素ガスを封入し、ヒートシールにより密封した(ガス封入条件:4.5kgf/cmの圧力で10秒間封入)。
窒素と水素の混合ガスを封入した試料を実施例試料2、窒素ガスのみ封入した試料を比較例試料2とした。
(官能評価)
5℃保管で1週間経過後、37℃保管で1週間経過後、及び37℃保管で2週間後の試料でそれぞれ官能評価を行った。
(評価方法)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。
官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
官能評価の採点は以下の評価基準に従って実施した。
(官能評価項目)
(1)油の重さ
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや強く感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
(2)油の臭み
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや強く感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
上記条件における評価結果を表1に示す。
Figure 0006603050
(考察)
表1に示すとおり、封入時において窒素:水素=95:5のガスを封入した実施例試料1は、比較例試料1と比して、経時後も油の重さ、及び油の臭みのいずれの観点においても良好な呈味性を保持している。
油の重さ、臭みは油分の酸化等による変質に起因するものであると考えられるが、封入時において微量の水素ガスを添加することによって、単一の不活性ガス(窒素)のみで充填した場合と比べ、品質劣化が抑制されていることが確認できた。
また、本評価結果を裏付ける目的で、実施例試料1及び比較例試料1において、更に経時を進め、37℃で17日間保管後に、所定の香気成分について測定を行った。
測定結果を表2に示す。
なお、香気成分の測定は、37℃で17日間保管した実施例試料1、比較例試料1の両サンプルをそれぞれ5mm以下に荒く粉砕し、0.5gをヘッドスペースバイアルに取り、SPME法にて香気成分を補集し、GC/MSによる香気成分分析を行い、値をシクロヘキサノール(0.01%、5μL添加)に対する比で表した。違いが認められた成分を表2に示す。
Figure 0006603050
表2に示す通り、ピラジン系化合物(焦臭)、ピロール化合物(クロロホルム様の刺激臭)、アーモンド臭(焦臭)、アセチルフラン(脂肪臭)について、測定を行ったところ、微量水素を封入した実施例試料1は比較例試料1と比べ、上記各臭気成分の発生が抑制されていることが確認できた。
また、市販ポテトチップスについても、同様の条件で封入した実施例試料2−1及び水素の含有割合のみ変化させた実施例2−2及び2−3、並びに比較例試料2について、表1に示す官能評価結果と同様の評価方法、並びに評価基準によって、37℃で6日間保存後に評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 0006603050
(考察)
表3に示すとおり、市販品のポテトチップスについても同様の効果を得られることが確認できた。実施例試料1と比べ脂質の含有量が高い市販品についても、効果としてはほぼ同レベルであった。
また、同サンプルにおいて水素と窒素の割合を変化させて検証した場合、水素量がわずかであっても、油の重さや油の臭みを防ぐ効果が確認された。
2. 実施例2(クッキーへの適用)
(試料調製)
市販クッキー(イトウ製菓株式会社製、商品名:バターサブレクッキー)を、各3枚(約30g)ずつアルミ袋(37.2×10cmサイズ)に詰め、真空ガス充填機により、へッドスペースに窒素・水素混合ガス(窒素:水素=95:5)、または窒素ガスを封入し、ヒートシールにより密封し(ガス封入条件:4.5kgf/cmの圧力で10秒間封入)、窒素と水素の混合ガスを封入した試料を実施例試料3、窒素ガスのみ封入した試料を比較例試料3とした。
(官能評価)
5℃保管2週間、及び45℃保管2週間後の試料でそれぞれ官能評価を行った。
(評価方法)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。
官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
官能評価の採点は以下の評価基準に従って実施した。
(官能評価項目)
(1)油の臭み
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや強く感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
上記条件における評価結果を表4に示す。
Figure 0006603050
(考察)
表4に示すとおり、封入時において窒素:水素=95:5のガスを封入した実施例試料3は、比較例試料3と比して、油の臭みの観点において、水素ガスを含ませることによる臭味抑制を確認できた。
3. 実施例3(固形コンソメスープへの適用)
(試料調製)
市販固形コンソメスープ(味の素株式会社製)を、各2粒(約16g)ずつアルミ袋(10.5×6cmサイズ)に詰め、真空ガス充填機により、へッドスペースに窒素・水素混合ガス(窒素:水素=95:5)、または窒素ガスを封入し、ヒートシールにより密封し(ガス封入条件:4.5kgf/cmの圧力で7秒間封入)、窒素と水素の混合ガスを封入した試料を実施例試料4、窒素ガスのみ封入した試料を比較例試料4とした。
(官能評価)
5℃保管2週間、及び45℃保管2週間後の試料でそれぞれ官能評価を行った。なお、
官能評価は、1粒(約5.3g)を300mlの湯(約90℃)に溶かした溶液で実施した。
(評価方法)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。
官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
官能評価の採点は以下の評価基準に従って実施した。なお、褐変については変化が無かった為、省略する。
(官能評価項目)
(1)後半の旨味
1点:旨味が感じられない
2点:旨味がわずかに感じられる
3点:旨味が感じられる
4点:旨味が強く感じられる
5点:旨味が非常に強く感じられる
(2)酸味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや強く感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
上記条件における評価結果を表5に示す。
Figure 0006603050
(考察)
表5に示すとおり、封入時において窒素:水素=95:5のガスを封入した実施例試料4は、比較例試料4と比して、経時後においても後半の旨味が強く感じられると共に、呈味劣化の要因となり得る酸味は増大しないことが確認できた。
4. 実施例4(顆粒だしの適用)
(試料調製)
市販顆粒だし(味の素株式会社製:商品名「ほんだし」)を、各30gずつアルミ袋(10.5×6cmサイズ)に詰め、真空ガス充填機により、へッドスペースに窒素・水素混合ガス(窒素:水素=95:5)、または窒素ガスを封入し、ヒートシールにより密封し(ガス封入条件:4.5kgf/cmの圧力で7秒間封入)、窒素と水素の混合ガスを封入した試料を実施例試料5、窒素ガスのみ封入した試料を比較例試料5とした。
(官能評価)
5℃保管2週間、及び45℃保管2週間後に官能評価を行った。なお、官能評価は、顆粒だし1.0gを150mlの湯(約90℃)に溶かして行った。
(評価方法)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。
官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
官能評価の採点は以下の評価基準に従って実施した。
(官能評価項目)
(1)中盤〜後半にかけてのかつおの旨味
1点:旨味が感じられない
2点:旨味がわずかに感じられる
3点:旨味が感じられる
4点:旨味が強く感じられる
5点:旨味が非常に強く感じられる
上記条件における評価結果を表6に示す。
Figure 0006603050
(考察)
高温(45℃)で保存した場合における旨味(かつおの風味)の保持効果が特に強く認められた。
5. 実施例5(緑茶(茶葉)の適用)
(試料調製)
緑茶リーフ(品番:CW14緑茶)50gをアルミ袋(10.5×6cmサイズ)に詰め、真空ガス充填機により、へッドスペースに窒素・水素混合ガス(窒素:水素=95:5)、または窒素ガスを封入し、ヒートシールにより密封し(ガス封入条件:4.5kgf/cmの圧力で7秒間封入)、窒素と水素の混合ガスを封入した試料を実施例試料6、窒素ガスのみ封入した試料を比較例試料6とした。
(官能評価)
5℃保管1週間、37℃保管1週間後、及び37℃保管2週間後に官能評価を行った。なお、官能評価は、緑茶リーフ3gを195gの熱湯(約98℃)で75秒間抽出し、茶葉を除去してから行った。
(評価方法)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。
官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
官能評価の採点は以下の評価基準に従って実施した。
(官能評価項目)
(1)苦渋み
1点:苦渋み変化無し
2点:苦渋みが極わずかに強くなった
3点:苦渋みわずかに強くなった
4点:苦渋みがやや強くなった
5点:苦渋みが非常に強くなった
(2)甘味
1点:甘み変化なし
2点:やや甘みが強くなった
3点:甘みが強くなった
4点:甘みがかなり強くなった
5点:甘みが非常に強くなった
(3)旨味
1点:旨味が感じられない
2点:旨味がわずかに感じられる
3点:旨味が感じられる
4点:旨味が強く感じられる
5点:旨味が非常に強く感じられる
(4)鮮度感
1点:劣化臭有
2点:わずかに劣化臭有
3点:変化無し
4点:鮮度感が強くかんじられる
5点:鮮度感が非常に強く感じられる
上記条件における評価結果を表7に示す。
Figure 0006603050
(考察)
緑茶の場合、菓子類等と比較すると呈味性の保持効果が劣るものの、封入時において窒素:水素=95:5のガスを封入した実施例試料6については、苦渋味が抑えられつつも甘味は保持され、且つ旨味、鮮度感についても保持されることが判明した。
6.実施例6(抹茶への適用)
(試料調製)
抹茶(品番:IHM-J10)10gを、アルミ袋(10.5×6cmサイズ)に詰、ヘッドスペースに窒素・水素混合ガス(窒素:水素=95:5)、または窒素ガスを、ガスが逃げないように封入し(ガス封入条件:1kgf/cmの圧力で10秒間風入)、ヒートシールにより密封し、窒素と水素の混合ガスを封入した試料を実施例試料7、窒素ガスのみ封入した試料を比較例試料7とした。
(官能評価)
5℃保管1週間、37℃保管1週間後、及び37℃保管2週間後に官能評価を行った。
なお、官能評価は、抹茶2gを50gの熱湯(約98℃)に茶筅で分散させ、48gの熱湯(約98℃)を加え、かるくかき混ぜてから行った。
(評価方法)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。
官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
官能評価の採点は以下の評価基準に従って実施した。
(官能評価項目)
(1)苦渋み
1点:苦渋み変化無し
2点:苦渋みが極わずかに強くなった
3点:苦渋みわずかに強くなった
4点:苦渋みがやや強くなった
5点:苦渋みが非常に強くなった
(2)まろやかさ
1点:全くかんじられない
2点:ほとんど感じられない
3点:普通
4点:まろやかさがやや向上した
5点:まろやかさが強く向上した
上記条件における評価結果を表8に示す。
Figure 0006603050
(考察)
封入時において窒素:水素=95:5のガスを封入した実施例試料7については、苦渋味が抑制されつつも、まろやかさが向上し良好な呈味が保持されることが確認できた。
7. 実施例7(コーヒー豆の適用)
(試料調製)
コーヒー豆(品番:サントスMM No.2L=15.72)50gを、アルミ袋(10.5×6cmサイズ)に詰め、真空ガス充填機により、へッドスペースに窒素・水素混合ガス(窒素:水素=95:5)、または窒素ガスを封入し、ヒートシールにより密封した(ガス封入条件:4.5kgf/cm2の圧力で7秒間封入)し、窒素と水素の混合ガスを封入した試料を実施例試料8、窒素ガスのみ封入した試料を比較例試料8とした。
(官能評価)
5℃保管1週間、または37℃保管1週間後に官能評価を行った。
なお、官能評価は、コーヒー豆10gに計200gの熱湯(約98℃)でペーパードリッップにより抽出し、評価した。
(評価方法)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。
官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
官能評価の採点は以下の評価基準に従って実施した。
(官能評価項目)
(1)後半の苦渋み
1点:後半の苦渋み増大はられない。
2点:後半の苦渋み増大がわずかに感じられた
3点:後半の苦渋み増大がやや感じられた
4点:後半の苦渋み増大が強く感じられた
5点:後半の苦渋み増大が非常に強く感じられた
(2)まろやかさ
1点:全くかんじられない
2点:ほとんど感じられない
3点:普通
4点:まろやかさがやや向上した
5点:まろやかさが強く向上した
(3)鮮度感
1点:劣化臭有
2点:わずかに劣化臭有
3点:変化無し
4点:鮮度感が強くかんじられる
5点:鮮度感が非常に強く感じられる
上記条件における評価結果を表9に示す。
Figure 0006603050
(考察)
封入時において窒素:水素=95:5のガスを封入した実施例試料8については、公判の苦渋味の増大が抑制されつつも、まろやかさは保持され、淹れたての鮮度感が失われず、良好な呈味が保持されることが確認できた。
(まとめ)
実施例1乃至7に示すとおり、容器への封入時において、封入ガスに微量の水素ガスを混入させることによって、封入する食品の種別に因らず、呈味の向上、及び品質劣化の抑制効果を発揮することが確認できた。
なお、水素ガス自体は遮蔽することが非常に難しく、各実施例においては測定していないが、官能評価を行った際に、容器中に残存している量は極微量であると思われる。
にもかかわらず、封入後のわずかな時間、且つ微量の水素ガスを含有させるだけで、酸化防止剤等を用いることなく、各食品の品質を長期に亘り保持しうるとことが判明した。
本発明は包装飲食品の製造方法及び包装飲食品飲食品の品質劣化抑制方法に関するものであって、所定の脂質分を含有する包装飲食品に係る製造方法及び品質劣化抑制方法に利用可能である。

Claims (10)

  1. 包装容器内に封入された包装飲食品の製造方法であって、包装容器内に飲食品を充填する工程と、前記包装容器内に気体を充填する気体充填工程と、前記飲食品と前記気体が充填された包装容器を密封する密封工程とを備え、
    前記飲食品は、含有水分量が10.00wt%未満の固形食品であり、
    前記包装容器は、その内側に酸素と水素との反応触媒を備えず、
    前記気体は、水素と不活性ガスとからなる混合気体であって、水素の含有割合がモル換算で1.00%〜10.00%であることを特徴とする包装飲食品の製造方法。
  2. 前記不活性ガスは窒素、二酸化炭素、ヘリウムから選択される1以上の気体であることを特徴とする請求項1に記載の包装飲食品の製造方法。
  3. 前記混合気体は水素と窒素からなり、水素と窒素はそれぞれモル換算で1.00:99.90〜10.00:90.00の範囲で混合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装飲食品の製造方法。
  4. 前記混合気体における水素の含有割合がモル換算で1.00%〜5.00%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の包装飲食品の製造方法。
  5. 上記飲食品は0.30wt%〜50.00wt%の脂質を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の包装飲食品の製造方法。
  6. 包装容器内に封入された包装飲食品の品質劣化抑制方法であって、
    包装される飲食品は、含有水分量が10.00wt%未満の固形食品であり、
    前記包装容器は、その内側に酸素と水素との反応触媒を備えず、
    前記包装容器に、モル換算で1.00%〜10.00%の水素と不活性ガスとからなる混合気体を封入することを特徴とする包装飲食品の品質劣化抑制方法。
  7. 前記不活性ガスは窒素、二酸化炭素、ヘリウムから選択される1以上の気体であることを特徴とする請求項6に記載の包装飲食品の品質劣化抑制方法。
  8. 前記混合気体は水素と窒素からなり、水素と窒素はそれぞれモル換算で1.00:99.90〜10.00:90.00の範囲で混合されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の包装飲食品の品質劣化抑制方法。
  9. 前記混合気体における水素の含有割合がモル換算で1.00%〜5.00%であることを特徴とする請求項6〜8いずれか1項に記載の包装飲食品の品質劣化抑制方法。
  10. 上記飲食品は0.30wt%〜50.0wt%の脂質を含有することを特徴とする請求項6〜9いずれか1項に記載の包装飲食品の品質劣化抑制方法。
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