JP2018201526A - 液状飲食品の製造方法 - Google Patents

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Takanobu Takihara
孝宣 瀧原
泰史 田中
Yasushi Tanaka
泰史 田中
光 杉浦
Hikari Sugiura
光 杉浦
啓浩 稲葉
Takahiro Inaba
啓浩 稲葉
寛子 今冨
Hiroko Imatomi
寛子 今冨
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Takayuki Ochi
貴之 越智
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Abstract

【課題】 液状飲食品の有する好ましい風味を向上させることができるとともに、好ましくない風味を低減または軽減することのできる液状飲食品の風味バランス調整方法、および液状飲食品の風味バランス調整剤を提供する。【解決手段】 液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることを特徴とする液状飲食品の風味バランス調整方法。また、水素含有ガスを有効成分として含有することを特徴とする液状飲食品の風味バランス調整剤。風味バランス調整は、甘味向上、旨味向上、塩味(しおあじ)向上、キレの向上、香味向上、炭酸刺激のまろやかさ向上、苦味低減、渋味低減、雑味低減、酸味低減、畜肉臭低減、加熱臭低減、および植物由来不快臭軽減からなる群より選択される1または2以上であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、液状飲食品の風味バランス調整方法に関し、特に、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることによって、接触直後から液状飲食品の風味を改善し、加熱殺菌後においても良好な風味バランスが持続し得る、液状飲食品の風味バランス調整方法に関するものである。さらに本発明は、液状飲食品の風味バランス調整剤、液状飲食品の製造方法、および当該製造法方法により製造された、風味バランスが調整された液状飲食品にも関する。
我国における飲料製品は、生活スタイルの変化や飲食に対する嗜好の多様化に応えるため、その種類は年々増加し続けている。特に、所定の容器中に封入され、そのままの状態で飲用可能な所謂RTD(Ready to Drink)形態の容器詰飲料が飲料製品全体でも主流となっている。更に、RTD形態の容器詰飲料は、紙製容器等が用いられ冷蔵保管が必要な所謂チルド製品と、缶やペットボトルといった常温で長期間の保存が可能な所謂ドライ製品とに分類されるが、圧倒的にドライ製品が大きな市場規模を有している。
ドライ製品に分類される容器詰飲料としては、コーヒー飲料、紅茶や緑茶といった茶系飲料、野菜果汁飲料、機能性飲料など非常に多種多様であり、一般的に数ヶ月間という長期の保存を可能とするため、容器充填後に加熱殺菌処理が行われている。従って、いずれの飲料カテゴリにおいても、高温での加熱殺菌による風味や呈味の劣化抑制という課題を常に有していた。
昨今の食と健康に対する意識の高まりもあって、身体に対する生理活性機能を備えた、所謂機能性飲食品に注目が集まっている。飲料製品もこの例外ではなく、既にトクホ飲料と称される製品が多種上市されており、これに加えて、昨今では、健康増進法等に定められた上記の特定保健用食品(トクホ)や、栄養機能食品の対象とは別に、一定の要件を備えることで食品への機能性表示が認められるという、新たな機能性飲料の制度にも期待が寄せられている。
生理活性機能を発揮する可能性がある成分の一つとして、近年注目されている物質の一つに水素がある。水素を高濃度で水に溶解させた、所謂「水素水」は、溶存水素の身体に対する具体的な挙動や、作用メカニズムの詳細については依然不明であるものの、分子状の水素が体内の活性酸素(酸素ラジカル)を除去する効果があるとされ、これによってさまざまな健康増進作用を促進するものとして期待されている。水素水は、缶やパウチ形態等の容器に封入された水素水製品として流通している。
水素水のように、水素自体の生理活性機能に着目した飲料に関しては、例えば、茶類、果実・野菜類等からなる機能性原料を水素水に配合した水素含有飲料に係る発明が提案されている(特許文献1参照)。また、水素を水に溶解させる方法として、ガス透過膜を介して原料水に所定圧に加圧した水素を溶解させる工程と、溶解後の水素水の水素濃度を測定する工程と、水素濃度が所定範囲になるように、加圧水素の圧力を調整する工程を備えた飲料用水素含有水の製造方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開2013−169153号公報 特許4573904号公報
このように、飲料用の水素含有水の製造方法については、既に複数の手法が提案されており、水素による生理活性機能が注目されるところではあったが、これら全ては、水素含有水に含まれている水素自体が身体に対して発揮しうる生理活性機能に着目したものである。これに対し、それ以外の新たな水素の機能、例えば、飲料製品そのものに対して作用し、特に飲食品が有する各風味成分のうち、当該飲食品として好ましい風味、例えば甘味や旨味のみを選択的に強調する一方で、苦味等の当該飲食品にとって好ましくない風味を抑制し、良好な風味バランスに調整しうるといった効果に関しては、現在まで有効な知見は開示されていなかった。
本発明は、液状飲食品の有する好ましい風味を向上させることができるとともに、好ましくない風味を低減または軽減することのできる液状飲食品の風味バランス調整方法、および液状飲食品の風味バランス調整剤を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第一に本発明は、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることを特徴とする液状飲食品の風味バランス調整方法を提供する(発明1)。
上記発明(発明1)によれば、具体的なメカニズムは不明であるが、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることにより、液状飲食品の有する好ましい風味を選択的に向上させることができるとともに、好ましくない風味を低減または軽減することができ、液状飲食品を良好な風味バランスに調整することができる。
上記発明(発明1)において、前記風味バランス調整は、甘味向上、旨味向上、塩味(しおあじ)向上、キレの向上、香味向上、炭酸刺激のまろやかさ向上、苦味低減、渋味低減、雑味低減、酸味低減、畜肉臭低減、加熱臭低減、および植物由来不快臭軽減からなる群より選択される1または2以上であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記液状食品は、中性ニンジンジュース、麹入り米飲料、ブラックコーヒー飲料、オレンジジュース、りんごジュース、トマトジュース、酸性ニンジンジュース、りんご果汁入り炭酸飲料、緑茶飲料、抹茶入り飲料、チキンコンソメスープ、コーンスープ、ビーフエキススープ、トマトスープ、またはスポーツ飲料であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)においては、前記液状飲食品原料に前記水素含有ガスを接触させた後、当該液状飲食品原料を他の原料とともに混合して液状飲食品の原液を調製することが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)においては、前記液状飲食品における水素の濃度が3.0ppm以下であることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜5)においては、前記水素含有ガスにおける水素の濃度が3体積%以上であることが好ましい(発明6)。
第二に本発明は、水素含有ガスを有効成分として含有することを特徴とする液状飲食品の風味バランス調整剤を提供する(発明7)。かかる発明(発明7)においては、前記水素含有ガスにおける水素の濃度が3体積%以上であることが好ましい(発明8)。
第三に本発明は、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることを特徴とする液状飲食品の製造方法を提供する(発明9)。かかる発明(発明9)においては、前記液状飲食品原料に前記水素含有ガスを接触させた後、当該液状飲食品原料を他の原料とともに混合することが好ましい(発明10)。
第四に本発明は、上記発明(発明9,10)に係る製造方法により製造された、風味バランスが調整された液状飲食品を提供する(発明11)。
本発明によれば、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることにより、液状飲食品の有する好ましい風味を向上させることができるとともに、好ましくない風味を低減または軽減することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る液状飲食品の風味バランス調整方法は、液状飲食品原料に水素含有ガスを直接的に接触させるものである。
本知見に関する具体的なメカニズムは不明であるが、後述する実施例に示す通り、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることにより、例えば、甘味、旨味、塩味(しおあじ)、キレ、香味、および炭酸飲料における炭酸刺激のまろやかさ、といった好ましい風味を向上させることができる。また、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることにより、例えば、苦味、渋味、雑味、酸味、畜肉臭、加熱臭、および植物由来不快臭、といった好ましくない風味を低減または軽減することができる。ただし、本実施形態による風味バランスの調整は、上記作用に基づいて発揮される風味バランス調整作用に限定されるものではない。
本実施形態においては、後述する実施例に示す通り、対象とする液状飲食品またはその原料に水素含有ガスを直接的に接触させた直後より、液状飲食品(または液状飲食品原料)の風味バランスを顕著に改善することができる。本実施形態による効果とは、飲食品が有する風味の経時劣化を抑制するという作用効果とは異なるものである。即ち、製造直後の飲食品の風味そのもののバランスをより良好な状態に改善し、且つ水素接触後においても、これを保持することができるという効果を発揮するものである。
また、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させる方法としては、例えば、予め水に高濃度で水素を溶解させた高濃度水素水を、その他の原料液と共に混合する方法、または調製した原料液に直接水素ガスを吹き込む等の方法などが挙げられる。ここで、かかる原料液は、液状飲食品の原液(本実施形態においては、配合成分が概ね配合され、加熱殺菌、容器充填等の工程に付される直前の液をいう。)であってもよく、上記液状飲食品の原液に配合される前の液状飲食品原料であってもよい。
後者の場合、水素含有ガスを接触させた液状飲食品原料は、他の原料とともに混合して液状飲食品の原液を調製することとなる。この場合、調製される液状飲食品の原液や最終的に製造される液状飲食品においては、水素の濃度が検出限界以下になる可能性があるが、そのような場合であっても、本実施形態に係る風味バランス調整効果が奏される。
1.液状飲食品および液状飲食品原料
(液状飲食品)
本実施形態による風味バランス調整の対象となる液状飲食品は、液状の飲食品であれば特に限定されず、例えば、果実飲料、野菜飲料、炭酸飲料、茶飲料、コーヒー飲料、スープ飲料等が挙げられる。液状とするための溶媒は、水であることが好ましい。
(溶媒である水の種類)
液体溶媒が水である場合、飲用に適していれば、硬水、軟水の種類は問わないが、飲用に好適であるという点、および、容器詰飲料の製造過程においてコーヒー抽出液等と混合されることを考慮すると、硬度(カルシウム濃度(mg/L)×2.5+マグネシウム濃度(mg/L)×4.5の算出値)が120未満である水を使用することが望ましい。
(脱気処理)
本実施形態にあっては、水素含有ガスによる作用をより効果的に発揮させる観点から、液体溶媒として予め脱気処理された脱気水を用いることが望ましい。
(脱イオン処理)
水に対する脱イオン処理とは、水に含まれる水素イオンと水酸化物イオン以外の陽イオン、陰イオンを除去することを意味する。脱イオン処理により得られた水は一般的に純水と称され、特に理論上の水のイオン積(水素イオン濃度×水酸化物イオン濃度=1.0×10−14)、導電率5.5×10−8S/cmに近いものは超純水とも称する。本実施形態にあっては、特に脱イオン処理は必要としないが、脱イオン水を用いることを制限するものではない。
(液状飲食品原料)
本実施形態において、液状飲食品原料は、液状飲食品の原料となるもののうち水素含有ガスを接触させる対象となるものをいう(以下、「水素接触原料」ということがある)。本実施形態の液状飲食品原料(水素接触原料)には、液状飲食品に配合される成分のほか、液状飲食品の原液も含まれる。水素含有ガスを効率的に接触させる観点から、液状飲食品原料もまた水等の液体溶媒に溶解または懸濁した液状の組成物であることが好ましい。具体的な液状飲食品原料としては、植物汁、植物抽出液、旨味成分、ミネラル、甘味付与剤、香料、酸味料等が挙げられる。
(植物汁)
植物汁は、植物体に対し、搾汁、破砕、磨砕等の処理を行って得られるものであればよく、汁液からピューレ、ペースト等様々な形態をとることができる。ここで、本実施形態において用い得る植物体には、果実、野菜、穀類、いも類、豆類等だけでなく、藻類、きのこ類をも含まれる。
本実施形態において用い得る植物体(果実、野菜、穀類、いも類、豆類、藻類、きのこ類等)は、本実施形態の効果が発揮される限りにおいて特に限定されないが、以下のものを例示することができる。
果実の種類としては、リンゴ、イチゴ、キウイフルーツ、ブドウ、モモ、パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、プルーン、パパイヤ、パッションフルーツ、ウメ、ナシ、アンズ、ライチ、メロン、西洋ナシ、スモモ類、柑橘類果実類(オレンジ、温州ミカン、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、シークワーサー、タンジェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー等)等が挙げられる。
野菜の種類としては、トマト、ナス、カボチャ、ピーマン、ゴーヤ、ナーベラ、トウガン、オクラ、エダマメ、サヤエンドウ、サヤインゲン、ソラマメ、トウガラシ、トウモロコシ、キュウリ等の果菜類、ニンジン、ゴボウ、タマネギ、タケノコ、レンコン、カブ、ダイコン、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ラッキョウ、ニンニク、ショウガ等の根菜類、モロヘイヤ、アスパラガス、セロリ、ケール、チンゲンサイ、ホウレンソウ、コマツナ、キャベツ、レタス、ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワー、ミツバ、パセリ、ネギ、シュンギク、ニラ等の葉茎類等が挙げられる。
穀類の種類としては、コメ、オオムギ、コムギ、ハトムギ、ソバ、ライムギ、ヒエ、キビ等が挙げられる。
いも類の種類としては、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマイモ、キクイモ等が挙げられる。
豆類の種類としては、アズキ、ダイズ、ヒヨコマメ、リョクトウ、レンズマメ等が挙げられる。
きのこ類の種類としては、エノキタケ、キクラゲ、シイタケ、ブナシメジ、ホンシメジ、ナメコ、エリンギ、ヒラタケ、マイタケ、マッシュルーム、マツタケ等が挙げられる。
種実類の種類としては、アーモンド、カシューナッツ、クリ、ココナッツ、ゴマ、ピスタチオ、ピーナッツ、ひまわり種等が挙げられる。
藻類の種類としては、アオサ、アオノリ、コンブ、ヒジキ、ワカメ等が挙げられる。
上記の植物体(果実、野菜、穀類、いも類、豆類、藻類、きのこ類等)は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。得られる植物汁は、希釈や濃縮のないストレートタイプから、加水による希釈タイプ、あるいは濃縮タイプまで幅広く用いることができ、濃縮タイプを用いることによりストレート換算で100%以上の飲食品を作成することも可能である。
上記の植物体から得られる植物汁の液状飲食品への配合量は、対象となる液状飲食品の種類や用いる植物汁にもよるが、ストレート換算で0.3〜200質量%であることが好ましく、4〜111質量%であることがさらに好ましく、9〜100質量%であることが特に好ましい。
(植物抽出液)
植物抽出液は植物体から水等の溶媒により抽出されたものであればよく、具体例として焙煎コーヒー豆抽出液(以下コーヒー抽出液という);緑茶抽出液、紅茶抽出液、烏龍茶抽出液等の茶抽出液;麦抽出液その他穀類抽出液等を含む。これらの植物抽出液は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記の植物抽出液の液状飲食品への配合量は、対象となる液状飲食品の種類や用いる植物抽出液にもよるが、抽出原料の使用量に換算して0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましく、0.5〜5質量%であることが特に好ましい。
上記の植物汁や植物抽出液は、植物に由来する甘味、旨味、香味等を有しており、本実施形態の風味バランス調整方法の適用対象として特に好適である。
また、上記の植物汁や植物抽出液は、植物に由来すると考えられる苦味、渋味、雑味、酸味、植物由来不快臭等を有することがあり、また加熱殺菌したときに加熱臭を生じさせることがあるが、本実施形態によれば、これらの好ましい風味を低減または軽減することができるため、かかる観点からも本実施形態の風味バランス調整方法の適用対象として特に好適である。
(旨味成分)
旨味成分は、液状飲食品に旨味を付与する成分であり、具体的には、前述した植物汁、植物抽出液のほか、コンソメ等の獣肉類や魚介類や野菜・果物類等のエキス;天然調味料又はその抽出物からなるだし汁;グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウムやグアニル酸ナトリウムやコハク酸ナトリウム等の旨味調味料;味噌、醤油、豆板醤、甜麺醤、魚醤、麹等の発酵調味料;などが挙げられる。これらの旨味成分は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記の旨味成分の液状飲食品への配合量は、対象となる液状飲食品の種類や用いる旨味成分にもよるが、0.001〜15質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがさらに好ましく、0.1〜5質量%であることが特に好ましい。
上記の旨味成分は、旨味を有する他、それぞれの成分に由来する甘味、塩味(しおあじ)、香味等を有することがあり、本実施形態の風味バランス調整方法の適用対象として特に好適である。
また、上記の旨味成分は、それぞれの成分に由来する苦味、渋味、雑味、酸味、畜肉臭等を有することがあり、また加熱殺菌したときに加熱臭を生じさせることがあるが、本実施形態によれば、これらの好ましい風味を低減または軽減することができるため、かかる観点からも本実施形態の風味バランス調整方法の適用対象として特に好適である。
(ミネラル)
ミネラル分としては、例えば、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン、亜鉛等が挙げられる。これらは、無機塩として配合されてもよく、他の原料(例えば、前述した植物汁や植物抽出液等の水素接触原料)の含有成分として配合されてもよい。
これらのうち、液状飲食品におけるナトリウムの含有量は、0.1〜1000mg/100gであることが好ましく、1〜500mg/100gであることがさらに好ましく、40〜500mg/100gであることが特に好ましい。ナトリウムは塩味の要因となるものであるが、本実施形態においては、水素含有ガスの液状飲食品原料への接触により塩味の向上が認められるため、ナトリウムの含有量を少なくすることができる。なお、本明細書における「塩味」は、ナトリウムに由来する好ましい「しおあじ」を意味し、ナトリウム以外の金属塩に由来する不快な塩味(えんみ)とは異なるものである。
また、本実施形態による効果を発揮させやすくする観点から、液状飲食品におけるマグネシウム含有量は、0.1〜300mg/100gであることが好ましく、0.3〜177mg/100gであることがさらに好ましく、0.3〜88mg/100gであることが特に好ましい。同様に、カリウム含有量は、1〜300mg/100gであることが好ましく、5〜200mg/100gであることがさらに好ましく、10〜140mg/100gであることが特に好ましい。また、カルシウム含有量は、0.1〜250mg/100gであることが好ましく、0.5〜150mg/100gであることがさらに好ましく、1〜50mg/100gであることが特に好ましい。
これらのミネラルは、液状飲食品原料(水素接触原料)に含まれることが多いものである一方で、液状飲食品に多く含まれると、苦味などの好ましくない風味をもたらすことがある。しかし、本実施形態においては、水素含有ガスの液状飲食品原料への接触により、苦味の低減(特に先味の苦味の低減、先味〜中盤の苦渋味の低減等)が認められる。
(甘味付与剤)
甘味付与剤は、液状飲食品に甘味を付与する成分であり、本実施形態の効果を損なわない範囲で使用することができる。ただし、本実施形態においては、前述した植物汁、植物抽出液、旨味成分等の甘味を有する液状飲食品原料(水素接触原料)を使用する場合、これらに由来する甘味が向上するため、甘味付与剤の使用量を少なくすることができる。
本実施形態において使用し得る甘味付与剤としては、具体的には、糖類、甘味料等が挙げられ、糖類としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖等が挙げられる。甘味料としては、例えば、砂糖、グラニュー糖、異性化糖、キシリトール、パラチノース、エリスリトール等のほか、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物、サッカリン、スクラロース等の高甘味度甘味料が挙げられる。また、ソルビトール等の糖アルコールを含んでいてもよいし、シュガーレスバルク甘味料、バルク砂糖甘味料等を含んでいてもよい。これらの甘味付与剤は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(香料)
本実施形態の液状飲食品は、本実施形態の効果を損なわない範囲で香料を配合することができる。ただし、本実施形態においては、前述した植物汁、植物抽出液、旨味成分等の香味を有する液状飲食品原料(水素接触原料)を使用する場合、これらに由来する香味が向上するため、香料の使用量を少なくすることができる。
本実施形態において使用し得る香料としては、例えば、柑橘その他果実から抽出した香料、植物の種実、根茎、木皮、葉等またはこれらの抽出物、乳または乳製品から得られる香料、合成香料等が挙げられる。これらの香料は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(酸味料)
本実施形態の液状飲食品は、酸味料を配合してもよい。ただし、本実施形態においては、前述した植物汁、植物抽出液等に由来する好ましくない酸味を低減する作用があることから、酸味料の使用は、あくまでも本実施形態の効果を損なわない範囲にとどめるべきである。
本実施形態において使用し得る酸味料としては、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、またはそれらの塩類が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(その他の添加物等)
本実施形態にあっては、前述した原料の他、本実施形態の効果を損なわない範囲において、ビタミン類、酸化防止剤、乳化剤、糊料、pH調整剤、着色料(色素)、油、品質安定剤等を含有してもよい。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK及びビタミンB群等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸またはその塩、エリソルビン酸またはその塩等が挙げられるが、このうちアスコルビン酸又はその塩等が特に好ましい。
乳化剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
糊料としては、例えば、ペクチン、セルロース、ゼラチン、コラーゲン、寒天、アルギン酸ナトリウム、大豆多糖類、ガラクトマンナン類、アラビアガム、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、タマリンドシードガム等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸カリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
(炭酸ガス)
本実施形態の液状飲食品は、炭酸ガスが封入された炭酸飲料であってもよい。この場合において、炭酸ガスのガスボリュームは1.5〜4.0であることが好ましく、2.0〜3.5であることがさらに好ましい。また、炭酸ガスをガス封入(カーボネーション)する方法としては、プレミックス法とポストミックス法とが挙げられるが、いずれを採用してもよい。
炭酸飲料における炭酸ガスは、清涼感をもたらす一方でその炭酸による刺激が強く感じられることがあるが、本実施形態においては、炭酸ガスによる刺激を緩和し、まろやかさを向上させることができる。
2.水素含有ガスの接触方法
(水素含有ガス)
本実施形態において用いる水素含有ガスは、水素を含有するガスであれば良く、水素濃度の限定は特に必要ない。そのため、水素含有ガスは、水素ガス単独であっても、不活性ガスなどの他のガスとの混合物のいずれの形態をとることもできる。
本実施形態による風味バランス調整効果をより効果的に発揮させる観点からは、水素含有ガスにおける水素の濃度が高い方が望ましいが、バブリングにより水素含有ガスを水または液状飲食品原料に直接吹き込む場合は、製造環境によっては、水素による爆発のリスクを十分に考慮する必要がある。
したがって、水素による爆発のリスクを避ける点を考慮すれば、水素含有ガスにおける水素の濃度は10体積%以下であることが安全であり、爆発限界以下となる7体積%以下であれば、より安全性は高まる。
他のガスとの混合ガスである場合、混合される他のガスは、窒素であることが好ましい。また、水素含有ガスは、酸素の濃度が3体積%以下であることが好ましく、0体積%(水素含有ガスが酸素を全く含まない場合に該当)であることが特に好ましい。
(水素含有ガスの接触方法)
液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させる方法としては、例えば、高濃度水素水をその他の原料液と共に混合する方法、または調製した原料液に直接水素ガスを吹き込む等の方法などが挙げられる。かかる原料液は、液状飲食品の原液であってもよく、当該原液に配合される前の液状飲食品原料であってもよい。また、なお、原料液中への水素を含有させる方法については、本実施形態に示した方法に限定されるものではなく、本実施形態の要件を充足するという範囲内において、各種公知の手法で水素を含有させても良い。
(高濃度水素水)
高濃度水素水は、溶媒である水に、1〜数ppmといった水素の飽和溶解量と比較して高い濃度に水素を溶解または視認できない程度の微細気泡の状態で含有させた水をいう。なお、本明細書においては、飽和溶解量より高い濃度の水素を含有する高濃度水素水を特に「過飽和水素水」と呼ぶことがある。
水素水の定義としては、学術研究会である「分子状水素医学シンポジウム(事務局:日本医科大学大学院加齢科学専攻細胞生物学分野研究室)」において、「水素水」とは、水素水関連消費者が開封したときに分子状水素の濃度が40μM以上存在している溶液。飽和水素濃度の5%にあたり、80μg/L(0.08 ppm)を意味する、と定められている。
水素を含有させる方法は特に限定されないが、標準大気圧以上の水素ガス若しくは水素ガスを含有する気体を細かい気泡の状態で溶媒中に吹き込む方法(所謂バブリング)、または、気体透過膜を介して、液体溶媒中に水素を注入する方法等が挙げられるが、この他の方法であっても、水素を上記濃度以上に含有させることが可能な方法であれば、他の溶解方法を採用しても本発明の効果は同様である。
(気体透過膜)
本実施形態において用いられる気体透過膜は、従来から気体成分の分離に用いられていた所謂均質膜を採用することができる。
透過膜の具体的な種類は特に限定されないが、加圧に対する強度を保持する為、その膜厚は20〜60μmであることが望ましく、30〜60μmがより望ましく、30〜50μmが更に望ましい。
また、気体透過膜の素材としては、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、シリコーンゴムから選択できるが、シリコーンゴムから形成された気体透過膜が最も好適である。なお、シリコーンゴムはポリジメチルシロキサンから形成されていることが望ましい。
(気体透過性能)
本実施形態において、高濃度水素水の製造に気体透過膜を使用する場合、気体透過膜の気体透過性能は、気体透過量比Ar(アルゴン)/N(窒素)が2以上のものを用いることがより望ましい。上記気体透過量比は、アルゴン、及び窒素を、それぞれ透過膜に接する面における圧力を1.0kgf/cmに保った時の気体透過量を測定しその比率を算出したものである。
(気体透過膜の形態)
本実施形態において、水素の溶解に気体透過膜を用いる場合、透過膜の形態を特に問うものではないが、中空糸膜状の形態であることが望ましい。
中空糸膜とは気体透過膜の一利用形態であって、細いストロー状の細管に形成された膜体をいう。上記中空糸膜を多数本束ねた中空糸膜束からなる中空糸膜モジュールは、塩化ビニルの合成樹脂、若しくはアルミ等の金属で形成されたハウジング容器に密閉状態で格納されている。一般的に個々の中空糸膜1本当たりの直径(内径)は、数mm〜100μm程度である。
(液状飲食品原料への接触方法)
以上のようにして調製した高濃度水素水を用いて液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させる方法としては、高濃度水素水をその他の液状飲食品原料とともに混合して液状飲食品の原液を調製し、当該原液中にて水素含有ガスを接触させる方法、高濃度水素水(所望により水を加えてもよい)に配合成分を混合して液状飲食品原料を調製し、当該液状飲食品原料にて水素含有ガスを接触させたのち、かかる液状飲食品原料を他の液状飲食品原料とともに混合して液状飲食品の原液を調製する方法などが挙げられる。
(その他の接触方法)
前述した高濃度水素水を用いる方法の他、配合成分を水に混合して原料液を調製し、当該原料液に、バブリングにて水素含有ガスを吹き込む方法、または気体透過膜を介して原料液中に水素含有ガスを注入する方法等が挙げられる。また、他の公知の方法を用いてもよい。さらに、ここで水素含有ガスを吹き込みまたは注入する原料液は、液状飲食品の原液であってもよく、上記液状飲食品の原液に配合される前の液状飲食品原料であってもよい。
(液状飲食品の水素濃度)
本実施形態により最終的に得られる液状飲食品において、水素の濃度は3.0ppmであってよく、さらに1.6ppm以下であってよく、さらにまた0.5ppm以下であってもよい。なお、本実施形態における液状飲食品の水素濃度は、溶存水素測定器で測定した値であり、具体的な測定方法は後述する実施例にて示す。
ここで、上記上限値以下であるとは、水素濃度が0ppm、すなわち検出限界以下である場合を包含する。特に、あらかじめ水素含有ガスを接触させた液状飲食品原料を、他の原料とともに混合して液状飲食品の原液を調製する場合、水素濃度が検出限界以下となることはしばしば起こり得る。しかし、本実施形態においては、具体的なメカニズムは不明であるが、最終濃度が検出限界以下であっても、液状飲食品原料にあらかじめ水素含有ガスを接触させることにより、当該液状飲食品原料に起因する風味のバランス調整効果が奏される。
(液状飲食品の溶存酸素濃度)
本実施形態により最終的に得られる液状飲食品において、溶存酸素濃度は4ppm以下であることが好ましく、1ppm以下であることが特に好ましい。なお、本実施形態における液状飲食品の溶存酸素濃度は、ポータブル溶存酸素測定器で測定した値であり、具体的な測定方法は後述する実施例にて示す。
本実施形態において、水素含有ガスの接触は、液状飲食品の溶存酸素濃度に必ずしも影響を与えるものではないが、溶存酸素濃度が上記範囲内であると、本実施形態の風味バランス調整効果がより効果的に発揮される。
3.その他
(容器)
本実施形態に係る液状飲食品は、通常、容器に充填されて提供される。かかる容器としては、PETボトル、缶(アルミニウム、スチール)、紙、プラスチック、レトルトパウチ、瓶(ガラス)等が挙げられる。ここで、飲料としての水素水においては、水素のバリア性が要求されるため、ガラス瓶、金属缶、金属積層フィルムを用いた所謂パウチ形態の容器を用いることが好ましく、本実施形態においてもこれらの容器を好適に使用することができる。ただし、本実施形態においては、液状飲食品における水素濃度の保持は重要な要件ではないことから、一般的な飲料に用いられる容器も使用することができる。
(殺菌)
本実施形態に係る液状飲食品は、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造できる。殺菌の条件は食品衛生法に定められた条件と同等の効果が得られる方法を選択すればよいが、例えば、容器として耐熱容器を使用する場合にはレトルト殺菌を行えばよい。また、容器として非耐熱性容器を用いる場合は、例えば、調合液をプレート式熱交換機等で高温短時間殺菌後、所定温度まで冷却し、ホットパック充填するか冷却後に無菌充填を行うことができる。
ここで、液状飲食品に配合される液状飲食品原料(水素接触原料)の種類によっては、加熱殺菌を行うことにより、蒸れ臭、イモ臭、焦げ臭等の加熱臭;番茶様臭等の植物由来不快臭などを生じてしまうことがあるが、本実施形態においては、これらの好ましくない風味を低減または軽減することができる。
以上述べた液状飲食品の風味バランス調整方法によれば、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることにより、甘味、旨味、塩味、キレ、香味、および炭酸飲料における炭酸刺激のまろやかさ、といった好ましい風味を向上させることができるとともに、苦味、渋味、雑味、酸味、畜肉臭、加熱臭、および植物由来不快臭、といった好ましくない風味を低減または軽減することができる。また、水素含有ガスは、液状飲食品の風味バランス調整剤の有効成分として使用することができる。
さらに、液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることにより、風味バランスが調整された液状飲食品を製造することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、試験例等を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の試験例等に何ら限定されるものではない。
〔試験例1〕 中性ニンジンジュースへの水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
各原材料の最終濃度が表1の濃度となるように、100%ニンジンジュースの調合を行った。尚、調合に用いた水は脱気水を使用し、過飽和水素水は、脱気水へ中空糸膜モジュール処理により水素ガスを封入し、調製した。調製した調合液が60℃になるまで直火で加熱し、TULC缶190に、190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(121℃20分)を行った。5℃で4日間保管後、開封し、官能検査、水素濃度測定、溶存酸素濃度測定を行った。
(水素濃度および溶存酸素濃度の測定)
ここで、水素濃度は、溶存水素測定器(ユニセンス社製,マイクロセンサーモノメーター・ver.1.0)により測定した。また、溶存酸素濃度は、ポータブル溶存酸素測定器(HACH社製,HQ30d)により測定した。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・ニンジンの爽やかな甘味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後半の土臭みのある苦雑味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・薬品様の酸味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526

<結果>
水素の封入により、ニンジン特有の爽やかな甘味が強まり、かつ後半の土臭みのある苦雑味が軽減され、また薬品様の酸味が軽減された。
〔試験例2〕 麹入り米飲料への水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
各原材料の最終濃度が表2の濃度となるように、麹入り飲料の調合を行った。尚、調合に用いた水は脱気水を使用し、過飽和水素水は、脱気水へ中空糸膜モジュール処理により水素ガスを封入し、調製した。調製した調合液が60℃になるまで湯煎で加熱し、スチール缶190に、190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(126℃30分)を行った。5℃で3日間保管後、開封し、試験例1と同様に水素濃度および溶存酸素濃度を測定し、以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・米の旨味を引く甘味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後半の刺すような苦雑味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・焦げ様の焼け臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
水素の封入により、米の甘味が強まり、かつ後半の苦雑味が軽減され、更には焦げ様の焼け臭の生成を抑制した。
〔試験例3〕 ブラックコーヒー飲料への水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
深煎りコーヒー豆400gに約90℃の脱気水4,788gを加え、ドリップ抽出した。抽出液は2,508g回収した。抽出結果を表3に示す。
Figure 2018201526
得られた抽出液を用いて、各原材料の最終濃度が表4の濃度となるように、調合液を調製した。尚、調合に用いた水は脱気水を使用した。各3,000gの調合液に、窒素+水素混合ガス(窒素:水素=95:5)(→実施例3)、あるいは窒素ガス(→比較例3)を、バブリングにより溶解させた(バブリング条件;レギュレーター圧:1.5kf/cm、処理時間:20分間)。
(激しい泡立ちによる液ロスのため、処理液の回収量は、いずれも約1,000g程度となった。)
バブリング処理液を60℃になるまで直火で加熱し、TULC缶190に190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(123℃7分)を行った。5℃で2日間保管後、開封し、試験例1と同様に水素濃度および溶存酸素濃度を測定し、以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・後味のざらつく様な苦味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・先味〜中盤の香ばしい甘味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・焦げ様の焼け臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
バブリングによる、窒素+水素混合ガス(窒素:水素=95:5)の封入により、コーヒーの先味から中盤に感じられる香ばしい甘味が強まり、後味のざらつく様な苦味が軽減され、焦げ様の焼け臭もまた軽減された。
〔試験例4〕 オレンジジュースへの水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
表5の配合表に示すとおり、100%オレンジジュースを試作し、過飽和水素水を使用し水素封入を行った。尚、比較例には、過飽和水素水の代わりに脱気水を用いた。比較例4、実施例4は、95℃達温殺菌後、缶190に190gずつ正確に充填し、巻き締め後、転倒殺菌30秒を行い、冷水で室温まで冷却した。一方、比較例5、実施例5は、同条件で殺菌処理後、PET200に200gずつ正確に充填し、巻き締め後、転倒殺菌30秒を行い、冷水で室温まで冷却した。得られたサンプルについて、試験例1と同様に水素濃度を測定した。また、5℃および45℃で2週間保管後、それぞれ以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・刺激的な酸味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味のすっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・フレッシュ感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・イモ様の蒸れ臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
水素の封入により、刺激的な酸味が弱まり、後味に雑味が抑えられたすっきり感のある味わいになった。従って、水素封入により、高果汁でありながら、夏場でもゴクゴク飲めるすっきりした飲料の提供が可能と考えられた。
また、45℃保管2週間後の官能評価では、水素を封入したサンプルでは、フレッシュな味わいが維持され、加温保管により生ずるイモ様の蒸れ臭生成が抑制された。
〔試験例5〕 りんごジュースへの水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
表6の配合表に示すとおり、100%りんごジュースを試作し、過飽和水素水を使用し水素封入を行った。試験例1と同様に水素濃度を測定した。また、5℃および45℃で2週間保管後、それぞれ以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・後味に持続する酸味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味のすっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・フレッシュ感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・蒸れ臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・トップの爽やかなりんご香
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
製品では水素処理で酸味が弱まり、すっきり感、フレッシュ感が高まっていた。
45℃保管2週間後では、水素を封入したサンプルでは、フレッシュな味わいが維持され、水素未処理に比べて、加熱により生ずる蒸れ臭が抑制されるとともに、トップの爽やかなりんご香が維持されていた。
〔試験例6〕 トマトジュースへの水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
表7の配合表に示すとおり、100%トマトジュースを試作し、過飽和水素水を使用し水素封入を行った。試験例1と同様に水素濃度を測定した。また、5℃および45℃で2週間保管後、それぞれ以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・後味のビリビリと刺すような雑味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味のすっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・イモ臭(加熱臭)
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・フレッシュ感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
100%オレンジジュースの場合と同様に、水素封入により、ビリビリと刺すような雑味を抑えられ、後半の濃度感が弱まり、すっきりした味わいとなった。従って、水素封入により、野菜汁リッチでありながら、夏場でもゴクゴク飲めるすっきりした野菜飲料の提供が可能と考えられた。
また、45℃保管2週間後の官能評価では、水素を封入したサンプルでは、フレッシュな味わいが維持され、加熱により生ずるイモ臭や焦げ臭が弱まっていた。よって、100%トマトジュースの香味劣化抑制にも、水素封入が有用と考えられた。
〔試験例7〕 酸性ニンジンジュースへの水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
表8の配合表に示すとおり、ニンジンジュースを試作し、過飽和水素水を使用し水素封入を行った。尚、レモン果汁でpHを酸性域に調整した。95℃達温殺菌後、PET200に200gずつ正確に充填し、巻き締め後、転倒殺菌30秒を行い、冷水で室温まで冷却した。得られたサンプルについて、試験例1と同様に水素濃度を測定した。また、5℃および45℃で2週間保管後、それぞれ以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・カロテン臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・土臭さ
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・イモ臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・すっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・フレッシュ感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
水素封入により、カロテン臭、土臭さ、イモ臭等の好ましくない臭気が弱まり、すっきりした味わいとなった。45℃保管により、カロテン臭、土臭さ、イモ臭等の臭気は、水素を封入していないサンプルで強まったが、水素封入サンプルでは、ほとんど変化がなかった。
〔試験例8〕 りんご果汁(炭酸ガス入り)飲料への水素ガス処理効果
<試作・評価方法>
表9の配合表に示すとおり、20%りんご果汁入り飲料(炭酸ガス入り)の3.6倍(w/w)濃縮シラップを調製した。尚、濃縮シラップへは過飽和水素水を使用し水素封入を行った。濃縮シラップを95℃達温殺菌した後、氷上で5℃以下になるまで冷却した。シラップと炭酸水を表10に示すとおり混合し、耐熱圧PET280に充填し、65℃10分間の後殺菌処理を行った。冷水で室温まで冷却した。得られたサンプルについて、試験例1と同様に水素濃度を測定した。また、5℃および45℃で2週間保管後、それぞれ以下の基準にて官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・甘味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・炭酸刺激
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
Figure 2018201526
<結果>
水素封入により、炭酸刺激が弱まり甘味が強まった。45℃保管2週間後の官能評価では、さらに炭酸刺激が弱まった。
〔試験例9〕 緑茶飲料への水素処理効果
<試作・評価方法>
95℃の脱気水4,800gに、緑茶120gを投入し、5分間抽出した。尚、攪拌は、茶葉投入直後、2分後、3分後に、1回/秒の速度で15回(15秒)ずつ行った。抽出中の加温は行わず、茶葉投入5分後の温度は89℃となった。32メッシュのフィルターでろ過し、氷上で20℃以下になるまで冷却し、ネル布でろ過を行い、抽出液4,330g回収した。抽出結果を表11に示す。
Figure 2018201526
得られた抽出液を用いて、各原材料の最終濃度が表12の濃度となるように、調合を行った。各調合液を65℃になるまで直火で加熱し、TULC缶190に190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(123℃7分)を行った。5℃で2週間保管後、試験例1と同様に水素濃度を測定し、以下の基準にて官能評価を行った。また、45℃で2週間保管後、官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・雑味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・渋味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・すっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・フレッシュ感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・番茶様臭(劣化臭)
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
水素封入により、雑味、渋味が抑えられ、高濃度でありながら、すっきりとした味わいの緑茶飲料となった。45℃保管2週間後の官能評価では、水素封入により、フレッシュな味わいが維持されるとともに、加熱により発生する番茶様のいたみ臭発生が抑制されていた。
〔試験例10〕 抹茶入り飲料への水素処理効果
<試作・評価方法>
各原材料の最終濃度が表13の濃度となるように、調合を行った。尚、調合に用いた水は脱気水を使用した。また、抹茶は卓上ホモジナイザーを使用し、約37倍の脱気水に分散させてから、調合液に配合した。尚、過飽和水素水は、脱気水へ中空糸膜モジュール処理により水素ガスを封入し、調製した。調合液が60℃になるまで直火で加熱し、TULC缶190に、190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(123℃7分)を行った。5℃で4日間保管後、開封し、試験例1と同様に水素濃度および溶存酸素濃度を測定し、以下の基準にて官能評価を行った。
また、45℃で2週間保管し、官能検査を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・後味の苦渋み
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・先味〜中盤の苦渋み
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・抹茶の新鮮香
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
水素の封入により、抹茶由来の後味の苦渋みが、先味から中盤へとシフトし、かつ抹茶特有の新鮮香が強まる傾向が認められた。尚、これらの効果は、官能評価時の水素濃度が検出限界以下においても認められた。また、45℃保管2週間後も、同様の傾向が認められた。
〔試験例11〕 チキンコンソメへの水素処理効果
<試験方法>
過飽和水素水を作成してイオン交換水と混合し、得られた各濃度(水素濃度は表14を参照)の水素水に市販のチキンコンソメを10倍加水で溶解し、溶解30分後、チキンコンソメの濃度が0.1%になるようにイオン交換水でさらに希釈し、官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・蒸れ臭
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・先味塩味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味の持続
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
水素処理により、チキンコンソメにある蒸れ臭が弱まり、先味の塩味と後味の持続が強まり味が強まった。
次に、水素処理で風味が改善されたチキンコンソメについて、その効果が当該チキンコンソメを液状飲食品原料として用いた場合にも及ぶか否かを検討すべく、コーンスープに使用した場合を一例として検証を行なった。
<試作・評価方法>
チキンコンソメを、1.6ppm水素水を用いて10倍加水で溶解し、各原材料の最終濃度が表15の濃度となるように、調合を行い、コーンスープを作成した。比較例としてイオン交換水で溶解させたものを作成した。調製した調合液が60℃になるまで湯煎で加熱し、スチール缶190に、190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(126℃52分)を行った。5℃で1日間保管後、開封し、官能検査、水素濃度測定を行った。70℃で1週間保管し、官能検査を行った。
なお、本検証においては、水素との接触は、原料となるチキンコンソメについてのみ、上記実施例18〜21と同様の手順で行い、コーンスープとしての調製過程においては、別途水素との接触処理は行っていない。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・後味の持続性不快刺激
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味のすっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
水素処理により風味が改善されたチキンコンソメを液状食品原料として用いることで、コーンスープの後味のすっきり感が向上した。70℃1週間保管後は、すっきり感が共に低下するものの、その傾向はその傾向は水素の封入により軽減された。また加熱劣化に伴い後味に生じる痛みに感じる持続性の不快刺激の発生を水素封入により軽減することができ、加温販売に強い製品であることが確認できた。
〔試験例12〕 ビーフエキスへの水素処理効果
<試験方法>
1.6ppmの水素水に市販のビーフエキスパウダーを10倍加水で溶解し、溶解30分後、0.1%になるようにイオン交換水でさらに希釈し、官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・先味塩味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味の持続
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味の苦味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
水素処理により、ビーフエキスの後味を持続しるとともに不快な後味の苦味を抑え、すっきりとした味わいになった。
次に、水素処理で風味が改善されたビーフエキスについて、その効果が当該ビーフエキスを液状飲食品原料として用いた場合にも及ぶか否かを検討すべく、トマトスープに使用した場合を一例として検証を行なった。
<試作・評価方法>
ビーフエキスパウダーを、1.6ppm水素水を用いて10倍加水で溶解してトマトスープを作成した。比較例してイオン交換水で溶解させたものを作成した。調製した調合液が60℃になるまで湯煎で加熱し、スチール缶190に、190g計量充填し、巻締めした後、レトルト殺菌(126℃52分)を行った。5℃で1日間保管後、開封し、官能検査および水素濃度測定した。70℃で1週間保管し、官能検査を行った。
なお、本検証においては、水素との接触は、原料となるビーフエキスについてのみ、上記実施例23と同様の手順で行い、トマトスープとしての調製過程においては、別途水素との接触処理は行っていない。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・先味塩味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味の持続
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・後味の苦味
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
水素処理により風味が改善されたビーフエキスを液状食品原料として用いることで、トマトスープの先味の塩味が高まり後味の苦味が軽減し、後味の持続性も抑えられることで、濃厚な味わいながらもすっきりとした後味となり、飲みやすい物となった。70℃1週間保管後における後味の苦味が強くなるのを水素封入により軽減することができ、飲みやすさを維持できた。
〔試験例13〕 スポーツ飲料への水素処理効果
<方法>
表18の濃度となるように、スポーツドリンクの調合を行った。調合はイオン交換水を用いた。シリコン中空糸モジュール(永柳工業社製,ナガセップM40−6000×140)を用いて調合液に直接水素封入を行った(流速0.8L/min,水素圧力0.25MPa)。得られた液はスパウト付アルミパウチに直接充填した。その後殺菌し(90℃,10分間)、冷却後、官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・味の切れ・すっきり感
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
・チキン臭の後味残り
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
水素処理により、味切れが向上しすっきり感が向上した。また後味にチキンエキス由来のチキン臭を感じるが、水素処理によりその臭いが軽減されていた。快に感じる。
〔試験例14〕 塩化マグネシウム水溶液への水素処理効果
<試験方法>
塩化マグネシウム・6水和物(赤穂化成社製,クリスタリン)を脱イオン水に溶解させ、塩化マグネシウム溶液を調製した。脱イオン水を貯留後、中空糸膜(永柳工業社製,ナガセップM65−3500×140)により一度水素封入を行い(流速0.8L/min,水素圧力0.23MPa)、水素水を調製した。塩化マグネシウムの最終濃度が0.075%となるように混合し、官能評価を行った。
(官能評価)
官能評価は以下の評価項目と評価基準を用いて行った。官能評価結果は、7人のパネラーに委託して行い、採点は0.5点刻みで各パネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)した。
(官能評価項目)
・先味の苦味刺激
1点:全く感じられない
2点:わずかに感じられる
3点:やや感じられる
4点:強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
Figure 2018201526
<結果>
水素処理により、先味の苦味刺激が弱まり、口当たりがよくなった。
本発明は、多様な液状飲食品の風味のバランスを調整することができ、果実飲料、野菜飲料といった植物汁を配合した飲料;茶飲料、コーヒー飲料といった植物抽出物を配合した飲料;炭酸飲料、スポーツ飲料などの清涼飲料;コーンスープ、野菜スープ、味噌汁等のスープ飲料;などの風味のバランスを調整する方法として特に好適である。

Claims (11)

  1. 液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることを特徴とする液状飲食品の風味バランス調整方法。
  2. 前記風味バランス調整は、甘味向上、旨味向上、塩味(しおあじ)向上、キレの向上、香味向上、炭酸刺激のまろやかさ向上、苦味低減、渋味低減、雑味低減、酸味低減、畜肉臭低減、加熱臭低減、および植物由来不快臭軽減からなる群より選択される1または2以上であることを特徴とする請求項1に記載の液状飲食品の風味バランス調整方法。
  3. 前記液状食品は、中性ニンジンジュース、麹入り米飲料、ブラックコーヒー飲料、オレンジジュース、りんごジュース、トマトジュース、酸性ニンジンジュース、りんご果汁入り炭酸飲料、緑茶飲料、抹茶入り飲料、チキンコンソメスープ、コーンスープ、ビーフエキススープ、トマトスープ、またはスポーツ飲料であることを特徴とする請求項1または2に記載の液状飲食品の風味バランス調整方法。
  4. 前記液状飲食品原料に前記水素含有ガスを接触させた後、当該液状飲食品原料を他の原料とともに混合して液状飲食品の原液を調製することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液状飲食品の風味バランス調整方法。
  5. 前記液状飲食品における水素の濃度が3.0ppm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液状飲食品の風味バランス調整方法。
  6. 前記水素含有ガスにおける水素の濃度が3体積%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液状飲食品の風味バランス調整方法。
  7. 水素含有ガスを有効成分として含有することを特徴とする液状飲食品の風味バランス調整剤。
  8. 前記水素含有ガスにおける水素の濃度が3体積%以上であることを特徴とする請求項7に記載の液状飲食品の風味バランス調整剤。
  9. 液状飲食品原料に水素含有ガスを接触させることを特徴とする液状飲食品の製造方法。
  10. 前記液状飲食品原料に前記水素含有ガスを接触させた後、当該液状飲食品原料を他の原料とともに混合することを特徴とする請求項9に記載の液状飲食品の製造方法。
  11. 請求項9または10に記載の製造方法により製造された、風味バランスが調整された液状飲食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102486939B1 (ko) * 2021-12-29 2023-01-10 서안규 알칼리 간장 제조 방법 및 이에 의해 제조된 알칼리 간장

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