JP6749017B2 - 静電容量式近接センサおよびこの静電容量式近接センサを備えるドアハンドル装置 - Google Patents
静電容量式近接センサおよびこの静電容量式近接センサを備えるドアハンドル装置 Download PDFInfo
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Description
また、静電容量式近接センサでは、物体の近接と非近接とで出力信号の大きな変化を確保して検出精度を高めるために、センサ電極を含むLCR共振回路を用いることが知られている。
特許文献1に記載の近接センサによれば、励振周波数を共振周波数frより高く設定したことにより、物体がセンサ電極へ接近する場合には共振電圧は常に減少することから、共振電圧の変化から物体の検出を行うことができる。
本発明者の研究によれば、例えば洗車時を想定し比較的大量の水がドアハンドルを濡らした場合のセンサ電極の容量は、人体がドアハンドルに接触した場合のセンサ電極の容量よりも大きくなることが確認されている。
したがって、特許文献1とは逆に共振回路の共振周波数よりも低い励振周波数を選択することにより、センサ電極に人体が近接した場合と水が近接した場合において、物体が近接していない状態から全く逆の方向に共振電圧が変化するように設定でき、人体と水を識別できる可能性がある。
高周波信号を出力する発振手段と、
センサ電極を含むLCR共振回路を有し、前記高周波信号が入力されて前記センサ電極の容量に応じた電圧信号を出力するセンサ回路と、
前記電圧信号に基づいて前記センサ電極への人体の近接を検出する制御部と、
を備える静電容量式近接センサであって
前記制御部は、
検出準備モードにおいて、
物体が前記センサ電極に近接していないときの前記LCR共振回路の共振周波数f0と、前記共振周波数f0の高周波信号を前記LCR共振回路に入力した際の前記電圧信号V0を検出し、
前記共振周波数f0よりも低い第1検出周波数f1と、該第1検出周波数f1よりも高い第2検出周波数f2を設定するとともに、前記電圧信号V0に基づいて、上限閾値Vth1と、該上限閾値Vth1よりも低い下限閾値Vth2を設定し、
検出モードにおいて、
前記LCR共振回路に前記第1検出周波数f1の高周波信号を入力した状態で、前記電圧信号が前記上限閾値Vth1以上となったことを検出すると、前記LCR共振回路に前記第2検出周波数f2の高周波信号を入力し、この状態で前記電圧信号が前記下限閾値Vth2以下となったことを検出することによって、前記センサ電極への人体の近接を検知する、
ことを特徴とする。
高周波信号を出力する発振手段と、
センサ電極を含むLCR共振回路を有し、前記高周波信号が入力されて前記センサ電極の容量に応じた電圧信号を出力するセンサ回路と、
前記電圧信号に基づいて前記センサ電極への人体の近接を検出する制御部と、
を備える静電容量式近接センサであって
前記制御部は、
検出準備モードにおいて、
物体が前記センサ電極に近接していないときの前記LCR共振回路の共振周波数f0と、前記共振周波数f0の高周波信号を前記LCR共振回路に入力した際の前記電圧信号V0を検出し、
前記共振周波数f0よりも低い第1検出周波数f1と、該第1検出周波数f1よりも高い第2検出周波数f2を設定するとともに、前記電圧信号V0に基づいて、上限閾値Vth11と、該上限閾値Vth11よりも低い第1下限閾値Vth12と第2下限閾値Vth21を設定し、
検出モードにおいて、
前記LCR共振回路に前記第1検出周波数f1の高周波信号を入力した状態で、前記電圧信号が前記上限閾値Vth11以上となったことを検出すると、前記LCR共振回路に前記第2検出周波数f2の高周波信号を入力し、この状態で前記電圧信号が前記第2下限閾値Vth21以下となったことを検出することによって、前記センサ電極への人体の近接を検知し、
前記LCR共振回路に前記第1検出周波数f1の高周波信号を入力した状態で、前記電圧信号が前記第1下限閾値Vth12以下となったことを検出すると、前記LCR共振回路に前記第2検出周波数f2の高周波信号を入力し、この状態で前記電圧信号が前記第2下限閾値Vth21以下となったことを検出することによって、前記センサ電極への水の近接を検知する、
ことを特徴とする。
ドアハンドル装置であって、車両外側のドアハンドル内に、上記本発明の第1もしくは第2の態様の静電容量式近接センサを備えることを特徴とする。
また、本発明の第2の態様によれば、1回のタッチで2回の検出が行われることがなく、さらに人体と水の識別を行うことができる静電容量式近接センサを実現することができる。
本実施形態例は、本発明の第1の態様に係るものである。
以下、本例の静電容量式近接センサを、図面を参照して説明する。
本例の近接センサは、所謂キーレスエントリーシステムにおける車両ドアの解錠・施錠用のセンサとして用いることができるものである。この場合、センサ電極は被操作体としてのドアハンドルの内部に設けられ、ドアハンドルの所定の面にユーザが近接・接触すると、その近接・接触を検知できるように所定の位置に配される。
ADコンバータ41は、平滑回路30から入力された電圧信号S1をA/D変換し、判定信号S2として制御部42に出力する。
制御部42は、詳しくは後述するが、高周波信号生成部43に制御信号S3を出力する他、判定信号S2に基づき人体がドアハンドルに接触した(人体がセンサ電極22に近接した)と判断した場合には人の検知信号S4を出力する。
発振手段としての高周波信号生成部43は、詳しくは後述するが、制御部42から入力される制御信号S3に基づき、所定の周波数および所定のデューティ比の高周波信号S0をLCR共振回路20に出力する。
LCR共振回路20に入力された高周波信号S0は、インダクタ21とセンサ電極(可変容量)22により歪まされ、立上がりおよび立下がりが遅れたのこぎり波に近い波形となり、ダイオード31により半波整流される。そして、平滑回路30に入力されると、ローパスフィルタを構成する固定抵抗32とコンデンサ33によって平滑化され、直流に近い電圧信号S1が出力される。
図2に示されるように、人体がセンサ電極22に近接したときの共振周波数fhは、人体がセンサ電極22に近接していないときの共振周波数f0よりも低い。これは、人体がドアハンドルに近接・接触するとセンサ電極22の容量が増えることによる。
fb<fa
の関係を満たすように制御することにより、センサ電極22への人体の近接を検出することができる。
すなわち、LCR共振回路20に入力する高周波信号S0の周波数fbを上記のように設定することにより、人体がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号V10(点P10の電圧)と、人体がセンサ電極22に近接したときの電圧信号V1h(点P1hの電圧)は、
V10<V1h
の関係にある。つまり、センサ電極22に人体が近接すると、電圧信号は常に増加することになり、センサ電極22への人体の近接を検出することができる。
図3において、S10は指がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号S1の周波数特性、S1h1〜S1h3は指をセンサ電極22に近づけ始めてから時間T1〜T3後における電圧信号S1の周波数特性、S1h4は指をセンサ電極22に近づけ始めてから時間T4後において指をセンサ電極22に接触させたとき電圧信号S1の周波数特性を示している。
図3に示すように、LCR共振回路20に先の周波数fbの高周波信号を入力すると、指がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号はVT0(点PT0の電圧)であり、指をセンサ電極22に近づけ始めてから時間T1後には電圧信号はVT1(点PT1の電圧)となり、時間T2後には電圧信号はVT2(点PT2の電圧)となり、時間T3後には電圧信号はVT3(点PT3の電圧)となり、時間T4において指をセンサ電極22に接触させたときの電圧信号はVT4(点PT4の電圧)となる。
図4に示すように、電圧信号S1はセンサ電極22に指を近づけ始めてから徐々に上昇し、時間T3後に最大値VT3に達し、その後は低下して時間T4後にVT4となる。センサ電極22にタッチしている間(時間T4〜T5)は、電圧信号はVT4のままほぼ一定である。センサ電極22から指を離し始めると、電圧信号は指を近づける過程と逆の過程を辿って変化する(時間T5〜T9)。
VT0<Vth<VT4
の範囲内、例えばVT1に設定すると、1回のタッチで1回(図4中のI点)だけの検出を行うことができる。しかしながら、上限閾値Vthを低めに設定すると、人体と例えば水等との判別が難しくなり、また、環境温度変化やセンサ回路部品の特性のバラツキの程度によっては誤検出を招き易い問題がある。
一方、人体の近接を検出する上限閾値Vthを、
VT4<Vth<VT3
の範囲内、例えばVT2に設定すると、水等との判別が容易になるものの、1回のタッチで2回(図4中のII点とIII点)の検出が行われてしまう問題がある。
なお、図5において、ステップS0〜S5は、第1検出周波数f1、第2検出周波数f2、上限閾値Vth1および下限閾値Vth2を設定するための検出準備モード期間であり、ステップS6〜S13はセンサ電極22への人体の近接を検知する検出モード期間である。
まず、電子キーを携帯したユーザが車両に近づくと、車載の認証システムと電子キーとの間で無線通信が行われ、当該車両の正規の電子キーであることの認証が行われる。なお、この認証は、スマートエントリーシステムにおける公知の認証方法で行うことができる。
正規の電子キーであることの認証が行われると、近接センサ1による人体の検出が行われる。
正規の電子キーが認証された時点では物体がセンサ電極22に未だ近接していない状態であり、制御部42は、高周波信号生成部43からLCR共振回路20に入力する高周波信号S0の周波数掃引を行うように制御する。本例では、この周波数掃引はスタート周波数230kHzからストップ周波数274kHzまで指定された掃引速度で行われる。
上記の周波数掃引を行うことで、図2に示した電圧信号S10が得られ、物体がセンサ電極22に近接していないときのLCR共振回路20の共振周波数f0と、共振周波数f0の高周波信号をLCR共振回路20に入力した際の電圧信号V0(点P0の電圧)が検出される。
なお、本例の近接センサ1では、共振周波数f0は261kHz、電圧信号V0は2.72Vであった。
次に制御部42は、図6に示すように共振周波数f0よりも低い第1検出周波数f1と、第1検出周波数f1よりも高い第2検出周波数f2を設定するとともに、電圧信号V0に基づいて上限閾値Vth1と下限閾値Vth2を設定する。
なお、人体がセンサ電極22に近接したときのLCR共振回路20の共振周波数fhは253kHzであり、第1検出周波数f1はfhよりも高く設定されている。また、人体がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号S10のグラフと、近接したときの電圧信号S1hのグラフが交差する点Paの周波数faは259Hzであり、第1検出周波数f1はfaよりも低く設定されている。
なお、LCR共振回路20に第1検出周波数f1の高周波信号を入力した際、人体がセンサ電極22に近接したときの電圧信号をV1h(点P1hの電圧)としたとき、
V10<Vth1<V1h
の関係を満たしている(図6参照)。
なお、LCR共振回路20に第2検出周波数f2の高周波信号を入力した際、物体がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号をV20(点P20の電圧)とし、人体がセンサ電極20に近接したときの電圧信号をV2h(点P2hの電圧)としたとき、
V2h<Vth2<V20
の関係を満たしている(図6参照)。
第1検出周波数f1、第2検出周波数f2、上限閾値Vth1および下限閾値Vth2を所定時間毎に更新するために、所定時間毎に物体がセンサ電極22に近接していないときのLCR共振回路20の共振周波数f0と電圧信号V0を検出する。このため、ステップS3では共振周波数f0と電圧信号V0を検出するタイミング(即ち共振点検出タイミング)であるか否かの判断を行う。
具体的には、前回の検出から1分間以上経過している場合にはステップS4〜S5においてステップS1〜S2と同様の検出と設定が行われた後、ステップS6に進む。また、前回の検出から1分間以上経過していない場合には、そのままステップS6に進む。
制御部42は、高周波信号生成部43からLCR共振回路20に第1検出周波数f1の高周波信号S0を入力するように制御する。
LCR共振回路20に第1検出周波数f1の高周波信号S0を入力した際、時間T0〜T4にかけて人体がセンサ電極22に近接しつつあると、図7に示すように電圧信号S1のグラフもS10→S1h1→S1h2→S1h3→S1h4と変化するため、電圧信号S1がVT0(点PT0の電圧)→VT1(点PT1の電圧)→VT2(点PT2の電圧)→VT3(点PT3の電圧)→VT4(点PT4の電圧)と変化する。
上記のように電圧信号S1が変化する過程において、電圧信号S1が上限閾値Vth1以上になった場合には、人体がセンサ電極22に近接している可能性があり、制御部42は高周波信号S0を第1検出周波数f1から第2検出周波数f2に切り替える。
図7の場合、
VT1<Vth1<VT2
であるため、時間T1と時間T2の間に第1検出周波数f1から第2検出周波数f2に切り替わる。
LCR共振回路20に第2検出周波数f2の高周波信号S0を入力した際、上記のように時間T0〜T4にかけて人体がセンサ電極22に近接しつつあると、図8に示すように電圧信号S1のグラフもS10→S1h1→S1h2→S1h3→S1h4と変化するため、電圧信号S1がVT0(点PT0の電圧)→VT1(点PT1の電圧)→VT2(点PT2の電圧)→VT3(点PT3の電圧)→VT4(点PT4の電圧)と変化する。
図8の場合、
VT2>Vth2>VT3
であるため、時間T2と時間T3の間に人体がドアハンドルに接触した(人体がセンサ電極22に近接した)と判断し、人の検知信号S4を出力する。
なお、第2検出周波数f2に切り替わってから所定時間(本例では1秒間)経過しても電圧信号S1が下限閾値Vth2以下にならない場合には、一時的なノイズの影響もしくは開錠の意思なしとして、検出準備モードに戻る。
上記のように徐々にセンサ電極22に指を近づけてタッチした後、指を完全に離すまでの電圧信号S1の時間的変化をグラフにすると図9のようになる。
第1検出周波数f1のもとで電圧信号S1は時間T0から徐々に上がり始め、時間T11で上限閾値Vth1以上になる。時間T11に第1検出周波数f1から第2検出周波数f2に切り替えると、電圧信号S1はタッチが完了する前の時間T22で下限閾値Vth2以下になり、人の検知信号S4が出力される。電圧信号S1は、その後も低下して完全にタッチしている間(時間T4〜T5)はほとんど変化せず、指を離し始めると逆の過程を辿って上昇し、指が完全に離れた時間T9以降は一定となる。
このように本例では、ステップS10で人の検知信号S4が出力された後も第2検出周波数f2のもとで検出が続けられ、電圧信号S1が下限閾値Vth2以上になったことを検出すると(時間T33)、一連の検出動作が解除され、検出準備モードに戻る。
そして、検出モードにおいて、LCR共振回路20に第1検出周波数f1の高周波信号を入力した状態で、電圧信号S1が上限閾値Vth1以上となったことを検出すると、LCR共振回路20に第2検出周波数f2の高周波信号を入力する。また、この第2検出周波数f2の高周波信号を入力した状態で、電圧信号S1が下限閾値Vth2以下となったことを検出することによって、センサ電極22への人体の近接を検知するようにしている。
これにより、環境温度変化やセンサ回路部品の特性のバラツキの影響を抑制するために上限閾値Vth1を高めに設定しても、1回のタッチで2回の検出が行われてしまうこともなく、人体の近接をより確実に検知することができる。それに加え、図4に示したIIIの点ではなくIIの点だけで人体の近接を検知できるため、タッチしたままの状態が長かったとしても、タッチ直前にすばやく人体の近接を検知することができる。
V10<Vth1<V1h
の関係を満たすことにより、人体の近接を確実に検知することができる。
V2h<Vth2<V20
の関係を満たすことにより、人体が近接した際の検出漏れを抑制し、より一層確実に検知することができる。
本実施形態例は、本発明の第2の態様に係るものである。
第1の実施形態例は人体の検出だけに関するものであったが、本例の近接センサは人体と水の識別を行う点が第1の実施形態例と異なる。
図11に示されるように、物体がセンサ電極22に近接していないときの共振周波数をf0、人体(手)がセンサ電極22に近接したときの共振周波数をfh、水がセンサ電極22に近接したときの共振周波数をfwとすると、
fw<fh<f0
の関係を満たしている。
これは、人体等の誘電体がドアハンドルに接触するとセンサ電極22の容量が増え、また、洗車時を想定し比較的大量の水がドアハンドルを濡らした場合のセンサ電極22の容量が、人体がドアハンドルに接触した場合のセンサ電極22の容量よりも大きくなることによる。
fc<fb<fa
の関係を満たすように制御することにより、人体と水の識別を行うことができる。
すなわち、LCR共振回路20に入力する高周波信号S0の周波数fbを上記のように設定することにより、物体がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号V10(点P10の電圧)と、人体がセンサ電極22に近接したときの電圧信号V1h(点P1hの電圧)と、水がセンサ電極22に近接したときの電圧信号V1W(点P1Wの電圧)は、
V1W<V10<V1h
の関係にある。つまり、センサ電極22に人体が近接した場合と水が近接した場合とでは、物体がセンサ電極22に近接していないときの状態から全く逆の方向に電圧信号が変化することになり、人体と水の識別を行うことができる。
図13において、S10は水がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号の周波数特性、S1W1〜S1W3は水をセンサ電極22に吹きかけ始めてから時間T1〜T3後における電圧信号の周波数特性、S1W4は水をセンサ電極22に吹きかけ始めてから時間T4後においてセンサ電極22が水で完全に濡れたときの電圧信号の周波数特性を示している。
図13に示すように、LCR共振回路20に、
fc<fb<fa
の関係を満たす周波数fbの高周波信号を入力すると、水がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号はVT0(点PT0の電圧)であり、水をセンサ電極22に吹きかけ始めてから時間T1後には電圧信号はVT1(点PT1の電圧)となり、時間T2後には電圧信号はVT2(点PT2の電圧)となり、時間T3後には電圧信号はVT3(点PT3の電圧)となり、時間T4においてセンサ電極22が水で完全に濡れたときの電圧信号はVT4(点PT4の電圧)となる。
図14に示すように、水を吹きかけた場合は、指を近づけてタッチする場合に比べ、電圧信号S1の初期変化の割合が大きい一方で、ピーク電圧と、最終電圧(時間T4後の電圧)は低くなっている。
また、水を吹きかけた場合の最終電圧と指を近づけてタッチした場合の最終電圧の間に下限閾値を設定することにより、人体と水をより一層確実に識別することができる。
なお、図15において、ステップS20〜S25は、第1検出周波数f1、第2検出周波数f2、上限閾値Vth1、第1下限閾値Vth12および第2下限閾値Vth21を設定するための検出準備モード期間であり、ステップS26〜S39はセンサ電極22への人体や水の近接を検知する検出モード期間である。
まず、電子キーを携帯したユーザが車両に近づくと、車載の認証システムと電子キーとの間で無線通信が行われ、当該車両の正規の電子キーであることの認証が行われる。なお、この認証は、スマートエントリーシステムにおける公知の認証方法で行うことができる。
正規の電子キーであることの認証が行われると、近接センサ100による人体や水の検出が行われる。
第1の実施形態例のステップS1と同様に高周波信号生成部43からLCR共振回路20に入力する高周波信号S0の周波数掃引を行うことで、図11に示した共振周波数f0と電圧信号V0(点P0の電圧)が検出される。
なお、本例の近接センサ100においても、共振周波数f0は261kHz、電圧信号V0は2.72Vである。
次に制御部42は、図16に示すように共振周波数f0よりも低い第1検出周波数f1と、第1検出周波数f1よりも高い第2検出周波数f2を設定するとともに、電圧信号V0から、上限閾値Vth1、第1下限閾値Vth12および第2下限閾値Vth21を設定する。
なお、人体がセンサ電極22に近接したときのLCR共振回路20の共振周波数fhは253kHzであり、第1検出周波数f1はfhよりも高く設定されている。また、物体がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号S10のグラフと、人体がセンサ電極22に近接したときの電圧信号S1hのグラフが交差する点Paの周波数faは259Hzであり、第1検出周波数f1はfaよりも低く設定されている。また、電圧信号S10のグラフと水がセンサ電極22に近接したときの電圧信号S1Wのグラフが交差する点Pcの周波数fcは254Hzであり、第1検出周波数f1はfcよりも高く設定されている。
また、本例では、第1下限閾値Vth12を2.07Vに設定した。この第1下限閾値Vth12は、電圧信号V0(点P0の電圧)の76%の値としている。
なお、LCR共振回路20に第1検出周波数f1の高周波信号を入力した際、人体がセンサ電極22に近接したときの電圧信号をV1h(点P1hの電圧)とし、水がセンサ電極22に近接したときの電圧信号をV1W(点P1Wの電圧)としたとき、
V1W<Vth12<V10<Vth11<V1h
の関係を満たしている(図16参照)。
なお、LCR共振回路20に第2検出周波数f2の高周波信号を入力した際、物体がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号をV20(点P20の電圧)とし、人体がセンサ電極22に近接したときの電圧信号をV2h(点P2hの電圧)とし、水がセンサ電極22に近接したときの電圧信号をV2W(点P2Wの電圧)としたとき、
V2W<V2h<Vth21<V20
の関係を満たしている(図16参照)。
第1検出周波数f1、第2検出周波数f2、上限閾値Vth11、第1下限閾値Vth12および第2下限閾値Vth21を所定時間毎に更新するために、所定時間毎に物体がセンサ電極22に近接していないときのLCR共振回路20の共振周波数f0と電圧信号V0を検出する。このため、ステップS23では共振周波数f0と電圧信号V0を検出するタイミング(即ち共振点検出タイミング)であるか否かの判断を行う。
具体的には、前回の検出から1分間以上経過している場合にはステップS24〜S25においてステップS21〜S22と同様の検出と設定が行われた後、ステップS26に進む。また、前回の検出から1分間以上経過していない場合には、そのままステップS26に進む。
制御部42は、高周波信号生成部43からLCR共振回路20に第1検出周波数f1の高周波信号S0を入力するように制御する。
ステップS27〜S33は検出モードにおいて人の検出を行うステップであり、第1の実施形態例のステップS7〜S13と同様であるので説明を省略する。なお、上限閾値Vth11と第2下限閾値Vth21は、それぞれ第1の実施形態例の上限閾値Vth1と下限閾値Vth2に対応している。
LCR共振回路20に第1検出周波数f1の高周波信号S0を入力した際、例えば時間T0〜T4にかけて水がセンサ電極22に近接しつつあると、図17に示すように電圧信号S1のグラフもS10→S1W1→S1W2→S1W3→S1W4と変化するため、電圧信号S1がVT0(点PT0の電圧)→VT1(点PT1の電圧)→VT2(点PT2の電圧)→VT3(点PT3の電圧)→VT4(点PT4の電圧)と変化する。
上記のように電圧信号S1が変化する過程において、電圧信号S1が第1下限閾値Vth12以下になった場合には、水がセンサ電極22に近接している可能性があり、制御部42は高周波信号S0を第1検出周波数f1から第2検出周波数f2に切り替える。
図17の場合、
VT3>Vth12>VT4であるため、時間T3と時間T4の間に検出周波数が第1検出周波数f1から第2検出周波数f2に切り替わる。
なお、ステップS34においてLCR共振回路20に第1検出周波数f1の高周波信号S0を入力してから所定時間経過しても電圧信号S1が第1下限閾値Vth12以下にならない場合には、一時的なノイズの影響として検出準備モードに戻る。
高周波信号S0を第1検出周波数f1から第2検出周波数f2に切り替えた際、上記のように時間T0〜T4にかけて水がセンサ電極22に近接しつつあると、図18に示すように電圧信号S1のグラフもS10→S1W1→S1W2→S1W3→S1W4と変化するため、電圧信号S1がVT0(点PT0の電圧)→VT1(点PT1の電圧)→VT2(点PT2の電圧)→VT3(点PT3の電圧)→VT4(点PT4の電圧)と変化する。
図18の場合、
VT1>Vth21>VT2
であり、時間T2以降は電圧信号S1が第2下限閾値Vth21以下になっている。そのため、検出周波数が第1検出周波数f1から第2検出周波数f2に切り替わった直後に、水がドアハンドルに接触した(水がセンサ電極22に近接した)と判断し、水の検知信号S5を出力する。
なお、第2検出周波数f2に切り替わってから所定時間(本例では1秒間)経過しても電圧信号S1が第2下限閾値Vth21以下にならない場合には、一時的なノイズの影響として検出準備モードに戻る。
上記のようにセンサ電極22に放水した後、放水を止めるまでの電圧信号S1の時間的変化をグラフにすると図19のようになる。
第1検出周波数f1のもとで電圧信号S1は時間T0から徐々に上がり始め、時間T11の近傍で最大値になる。その後、電圧信号S1は減少し、時間T44に第1下限閾値Vth12以下になる。時間T44に第1検出周波数f1から第2検出周波数f2に切り替えると、電圧信号S1は直後の時間T55に第2下限閾値Vth21以下になり、水の検知信号S5が出力される。電圧信号S1は、その後も低下してセンサ電極22が完全に水で濡れている間(時間T4〜T5)はほとんど変化せず、放水を止めると逆の過程を辿って上昇し、時間T9以降は一定となる。
このように本例では、ステップS37で水の検知信号S5が出力された後も第2検出周波数f2のもとで検出が続けられ、電圧信号S1が第2下限閾値Vth21以上になったことを検出(時間T66)すると、一連の検出動作が解除され、検出準備モードに戻る。
そして、検出モードにおいて、LCR共振回路20に第1検出周波数f1の高周波信号を入力した状態で、電圧信号S1が上限閾値Vth11以上となったことを検出すると、LCR共振回路20に第2検出周波数f2の高周波信号を入力する。また、この第2検出周波数f2の高周波信号を入力した状態で、電圧信号S1が第2下限閾値Vth21以下となったことを検出することによって、センサ電極22への人体の近接を検知するようにしている。
さらには、検出モードにおいて、LCR共振回路20に第1検出周波数f1の高周波信号を入力した状態で、電圧信号S1が第1下限閾値Vth12以下となったことを検出すると、LCR共振回路20に第2検出周波数f2の高周波信号を入力する。また、この第2検出周波数f2の高周波信号を入力した状態で、電圧信号S1が第2下限閾値Vth21以下となったことを検出することによって、センサ電極22への水の近接を検知するようにしている。
これにより、環境温度変化やセンサ回路部品の特性のバラツキの影響を抑制して、1回のタッチで2回の検出が行われることがなく、さらには人体と水の識別を行うことができる。
V1W<Vth12<V10<Vth11<V1h
の関係を満たすことにより、人体と水の識別を確実に行うことができる。
V2W<V2h<Vth21<V20
の関係を満たすことにより、人体や水が近接した際の検出漏れを抑制し、より一層確実に検知することができる。
図20は、本発明の第3の実施形態例に係るドアハンドル装置を模式的に示した断面図である。
本例のドアハンドル装置は、車両用のドアハンドル装置に関するものであり、所謂スマートエントリーシステムにおけるドア解錠用の近接センサを備えるものである。
近接センサ203は、第1もしくは第2の実施形態例のものと同じであり、センサ回路とマイコンを搭載したセンサ基板203a上にセンサ電極203bが搭載されている。
センサ基板203aは、センサ電極203bが車両のドア本体側(即ち、アウタパネル201側)を向くように配されている。
アンテナ204は、ユーザが携帯する電子キーとの間で無線通信を行うためのものである。
また、第1の実施形態例では、ステップS9とステップS11で同じ閾値Vth2を用いて判断しているが、ステップS11は単に検出モードから検出準備モードに以降するタイミングを判断するものであるため、ステップS11で用いる閾値は任意に設定することができ、ステップS9で用いる閾値と異ならせてもよい。
また、第2の実施形態例では、ステップS29、ステップS31、ステップS36およびステップS38で同じ閾値Vth21を用いて判断しているが、これらの閾値も互いに異ならせてもよい。
しかしながら、第1の実施形態例においては、LCR共振回路20に第1検出周波数f1の高周波信号を入力した際、物体がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号V10と、人体がセンサ電極22に近接したときの電圧信号V1hが、
V10<Vth1<V1h
の関係を満たしていれば、第1検出周波数f1はfh以下に設定することもできる。
また、第2の実施形態例においては、LCR共振回路20に第1検出周波数f1の高周波信号を入力した際、物体がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号V10と、人体がセンサ電極22に近接したときの電圧信号V1hと、水がセンサ電極に近接したときの電圧信号V1Wが、
V1W<Vth12<V10<Vth11<V1h
の関係を満たしていれば、第1検出周波数f1はfh以下に設定することもできる。
しかしながら、第1の実施形態例においては、LCR共振回路20に第2検出周波数f2の高周波信号を入力した際、物体がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号V20と、人体がセンサ電極22に近接したときの電圧信号V2hが、
V2h<Vth2<V20
の関係を満たしていれば、第2検出周波数f2はf0以下に設定することもできる。
また、第2の実施形態例においては、LCR共振回路20に第2検出周波数f2の高周波信号を入力した際、物体がセンサ電極22に近接していないときの電圧信号V20と、人体がセンサ電極22に近接したときの電圧信号V2hと、水がセンサ電極22に近接したときの電圧信号V2Wが、
V2W<V2h<Vth21<V20
の関係を満たしていれば、第2検出周波数f2はf0以下に設定することもできる。
また、上記の実施形態例では物体の近接を検知した際の制御として、ドアの解錠と施錠を制御する場合を説明したが、例えば室内側や室外側の各種照明や表示灯の点灯と消灯を制御するなどしてもよい。
10 センサ回路
20 LCR共振回路
21 インダクタ
22 センサ電極(可変容量)
23 固定抵抗
30 平滑回路
31 ダイオード
32 固定抵抗
33 コンデンサ
34 バッファ回路
40 マイコン(マイクロコンピュータ)
41 ADコンバータ
42 制御部
43 高周波信号生成部
201 アウタパネル
202 ドアハンドル
203 近接センサ
203a センサ基板
203b センサ電極
204 アンテナ
205 シールド電極(遮蔽板)
206 隙間
Claims (13)
- 高周波信号を出力する発振手段と、
センサ電極を含むLCR共振回路を有し、前記高周波信号が入力されて前記センサ電極の容量に応じた電圧信号を出力するセンサ回路と、
前記電圧信号に基づいて前記センサ電極への人体の近接を検出する制御部を備え、
前記制御部は、
検出準備モードにおいて、
物体が前記センサ電極に近接していないときの前記LCR共振回路の共振周波数f0と、前記共振周波数f0の高周波信号を前記LCR共振回路に入力した際の前記電圧信号V0を検出し、
前記共振周波数f0よりも低い第1検出周波数f1と、該第1検出周波数f1よりも高い第2検出周波数f2を設定するとともに、前記電圧信号V0に基づいて、上限閾値Vth1と、該上限閾値Vth1よりも低い下限閾値Vth2を設定し、
検出モードにおいて、
前記LCR共振回路に前記第1検出周波数f1の高周波信号を入力した状態で、前記電圧信号が前記上限閾値Vth1以上となったことを検出すると、前記LCR共振回路に前記第2検出周波数f2の高周波信号を入力し、この状態で前記電圧信号が前記下限閾値Vth2以下となったことを検出することによって、前記センサ電極への人体の近接を検知する、
ことを特徴とする静電容量式近接センサ。 - 前記第1検出周波数f1は、人体が前記センサ電極に近接したときの前記LCR共振回路の共振周波数よりも高く設定される、請求項1に記載の静電容量式近接センサ。
- 前記LCR共振回路に前記第1検出周波数f1の高周波信号を入力した際、物体が前記センサ電極に近接していないときの前記電圧信号をV10とし、人体が前記センサ電極に近接したときの前記電圧信号をV1hとしたとき、
V10<Vth1<V1h
の関係を満たす、請求項1に記載の静電容量式近接センサ。 - 前記第2検出周波数f2は、前記共振周波数f0以上に設定される、請求項1に記載の静電容量式近接センサ。
- 前記LCR共振回路に前記第2検出周波数f2の高周波信号を入力した際、物体が前記センサ電極に近接していないときの前記電圧信号をV20とし、人体が前記センサ電極に近接したときの前記電圧信号をV2hとしたとき、
V2h<Vth2<V20
の関係を満たす、請求項1に記載の静電容量式近接センサ。 - 高周波信号を出力する発振手段と、
センサ電極を含むLCR共振回路を有し、前記高周波信号が入力されて前記センサ電極の容量に応じた電圧信号を出力するセンサ回路と、
前記電圧信号に基づいて前記センサ電極への人体の近接を検出する制御部を備え、
前記制御部は、
検出準備モードにおいて、
物体が前記センサ電極に近接していないときの前記LCR共振回路の共振周波数f0と、前記共振周波数f0の高周波信号を前記LCR共振回路に入力した際の前記電圧信号V0を検出し、
前記共振周波数f0よりも低い第1検出周波数f1と、該第1検出周波数f1よりも高い第2検出周波数f2を設定するとともに、前記電圧信号V0に基づいて、上限閾値Vth11と、該上限閾値Vth11よりも低い第1下限閾値Vth12と第2下限閾値Vth21を設定し、
検出モードにおいて、
前記LCR共振回路に前記第1検出周波数f1の高周波信号を入力した状態で、前記電圧信号が前記上限閾値Vth11以上となったことを検出すると、前記LCR共振回路に前記第2検出周波数f2の高周波信号を入力し、この状態で前記電圧信号が前記第2下限閾値Vth21以下となったことを検出することによって、前記センサ電極への人体の近接を検知し、
前記LCR共振回路に前記第1検出周波数f1の高周波信号を入力した状態で、前記電圧信号が前記第1下限閾値Vth12以下となったことを検出すると、前記LCR共振回路に前記第2検出周波数f2の高周波信号を入力し、この状態で前記電圧信号が前記第2下限閾値Vth21以下となったことを検出することによって、前記センサ電極への水の近接を検知する、
ことを特徴とする静電容量式近接センサ。 - 前記第1検出周波数f1は、人体が前記センサ電極に近接したときの前記LCR共振回路の共振周波数よりも高く設定されることを特徴とする請求項6に記載の静電容量式近接センサ。
- 前記LCR共振回路に前記第1検出周波数f1の高周波信号を入力した際、物体が前記センサ電極に近接していないときの前記電圧信号をV10とし、人体が前記センサ電極に近接したときの前記電圧信号をV1hとし、水が前記センサ電極に近接したときの前記電圧信号をV1Wとしたとき、
V1W<Vth12<V10<Vth11<V1h
の関係を満たす、請求項6に記載の静電容量式近接センサ。 - 前記第2検出周波数f2は、前記共振周波数f0以上に設定される、請求項6に記載の静電容量式近接センサ。
- 前記LCR共振回路に前記第2検出周波数f2の高周波信号を入力した際、物体が前記センサ電極に近接していないときの前記電圧信号をV20とし、人体が前記センサ電極に近接したときの前記電圧信号をV2hとし、水が前記センサ電極に近接したときの前記電圧信号をV2Wとしたとき、
V2W<V2h<Vth21<V20
の関係を満たす、請求項6に記載の静電容量式近接センサ。 - 車両外側のドアハンドル内に請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の静電容量式近接センサを備えることを特徴とするドアハンドル装置。
- 前記静電容量式近接センサは基板上に形成され、
前記基板は、前記センサ電極が車両のドア本体側を向くように配され、
前記センサ電極が形成されていない前記基板の背面にシールド電極が形成されている、請求項11に記載のドアハンドル装置。 - 前記ドアハンドルの表面が導電性を有する、請求項12に記載のドアハンドル装置。
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