以下に、本願の開示するPOS装置、POS装置のプログラム、及びPOS装置の制御方法の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例により開示技術が限定されるものではない。また、実施例において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略され得る。
図1は、POS装置100と店員端末200とを有するシステムの構成の一例を示したものである。図1のPOS装置100は、可動部位110と、人感センサ120と、制御部130と、通信部140とを備える。
可動部位110は、POS装置100において、第一の方向に向けた第一の形態と、第二の方向に向けた第二の形態とを切り替えることが可能なように構成される。別言すると、第一の形態のPOS装置100は、可動部位110を第一の方向に向けた形態となる。第二の形態のPOS装置100は、可動部位110を第二の方向に向けた形態となる。たとえば、可動部位110は、一軸ヒンジを介してPOS装置100本体と接続されており、POS装置100本体に対して所定の範囲内で一軸ヒンジを中心に回動することで、第一の形態と第二の形態とを切り替えても良い。
人感センサ120は、第一の方向を含む検知範囲において物体(人体)を検知するように構成されたセンサであって、たとえば、人体検出用途の測距センサを用いることができる。この様な測距センサとして、たとえば、三角測量の原理を応用した光学式センサを用いることができる。一般的な光学式測距センサは、発光素子である赤外発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)と、受光素子である位置検出素子(PSD:Position Sensitive Detector)とを備える。測距の原理について概略を述べると、赤外発光ダイオードの光が発光部レンズを通して投光され、物体(人体)により反射し、受光部レンズを通して受光素子上の1点に入射する。受光素子上の光の入射位置は物体(人体)までの距離に応じて変化するため、受光素子上の光の入射位置を検出することにより、物体(人体)までの距離に応じた信号を出力することができる。人感センサ120は、たとえば、物体(人体)までの距離が近いほど、大きな値を示す信号を出力し得る。
制御部130は、可動部位が第一の形態にある場合、人感センサ120からの検知信号を用いて、顧客の存在を検知した旨を通知する処理を実行するように構成される。別言すれば、制御部130は、可動部位110が第二の形態にある場合、人感センサ120の検知信号を無効にしてよい。制御部130は、第二の形態における人感センサ120を非活性にして、消費電力を削減してもよい。制御部130は、たとえば、第二の形態において、人感センサ120への動作クロックの供給を停止することで、人感センサ120を非活性にしても良い。
通信部140は、制御部130が人感センサ120からの検知信号を用いて顧客を検知した場合に、所定の店員端末200に対して顧客を検知した旨を通知する通知信号を送信するように構成される。通信部140は、たとえば、無線LAN(Local Area Network)などの無線通信を用いて店員端末200と無線信号を送受信してもよいし、10BASE−T(IEEE802.3i)規格のUTP(Unshielded twisted pair)ケーブルなどを介した有線通信を用いてもよい。
図1の店員端末200は、通信部210と通知部220とを備える。通信部210は、POS装置100の通信部140から送信される通知信号を受信し、通知信号を通知部220に供給するように構成される。
通知部220は、通信部210から供給を受けた通知信号を用いて、POS装置100が顧客を検知した旨を店員に通知するように構成される。通知の態様は、振動、音、光、あるいはそれらの組み合わせを用いることができる。たとえば、通知部220は、通知信号を受けた場合、偏芯分銅モータを回転させることで振動を発生させるバイブレータを駆動させて、店員に通知してもよい。あるいは、通知部220は、スピーカ又はイヤホンから通知信号に応じた音を出力することで、店員に顧客の接近を通知しても良い。
図2は、POS装置100の制御部130において実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。図2に示す処理の流れは、たとえば、所定の周期で実行を開始される。所定の周期は、たとえば、1秒や10ミリ秒など比較的短時間で繰り返される周期であってもよいし、10秒や30秒などの時間間隔で繰り返される周期であっても良い。
図2に示す処理が開始されると、制御部130は、POS装置100の可動部位110が第一の方向を向いている第一の形態にあるか否かを判定する(S11)。たとえば、可動部位110の位置に連動して、可動部位110が第一の形態にある場合に第一の値(たとえばハイレベル)を制御部130が認識し、可動部位110が第二の形態にある場合に第二の値(たとえばローレベル)を制御部130が認識し得るようなセンサないしスイッチを用いることができる。制御部130は、このようなセンサ等からの信号を受けて、当該信号の値が第一の値であるか否かを判定することで、可動部位110が第一の形態であるか否かを判定してもよい。
制御部130は、可動部位110が第一の形態にあると判定した場合(S11でYES)、人感センサ120が非活性の状態にあるのか否かを判定する(S12)。たとえば、制御部130は、人感センサ120への電源供給の制御に用いられるレジスタの値を参照し、レジスタの値が人感センサ120への電源供給が遮断されている状態を示す値の場合に、人感センサ120が非活性の状態にあると判定しても良い。なお、電源供給の制御に用いられるレジスタの値は、たとえば、人感センサ120の動作に必要なクロック信号が供給されているか否かを示す値であっても良い。
制御部130は、人感センサ120が非活性の状態にあると判定した場合(S12でYES)、人感センサ120を活性化させる(S13)。たとえば、制御部130は、人感センサ120への電源供給の制御に用いられるレジスタの値を、人感センサ120の活性状態を示す値に上書きすることで、レジスタの値に応じて人感センサ120への電源供給を制御する電源制御回路に対して人感センサ120への電源供給を開始させるよう指示してもよい。なお、レジスタの値に応じて人感センサ120への電源供給を制御する電源制御回路の処理は、制御部130により実行されても良い。たとえば、制御部130は、人感センサ120の動作に必要なクロック信号を人感センサ120に供給することで、人感センサ120を活性状態にしても良い。
制御部130は、人感センサ120を活性化した状態(S13の実行後、又はS12でNO)において、人感センサ120からの検知信号を用いて、第一の方向を含む検知範囲において人体を検知したか否かを判定する(S14)。たとえば、人感センサ120からの検知信号の値が、人体までの距離が近いほど、大きな値を示すものとする。制御部130は、処理S14において、人感センサ120からの検知信号を所定の閾値Xthと比較し、検知信号が所定の閾値Xthを超える場合、人体を検知したと判定しても良い。あるいは、図2に示す処理の実行周期よりも短い時間間隔において、人感センサ120から供給される1以上の検知信号を受け、所定の閾値Xthを超える検知信号が所定回数連続した場合に、人体を検知したと判定しても良い。所定回数は、顧客がPOS装置100近傍を通過した場合などの瞬間的な顧客の接近を誤って検知することを避けるために十分な値を、人感センサ120の検知範囲及び測定周期との関係を参考にして適宜設定すればよい。たとえば、店舗内を歩く顧客の一般的な速度で人感センサ120の検知範囲を通過する場合に、人感センサ120の測定周期で検知される回数の平均値を超える値を用いても良い。これにより、POS装置100の近傍を通過しただけの顧客を会計待ちの顧客であると誤検知することを防止できる。また、所定の閾値Xthを超える検知信号の連続回数をカウントする際に、前回の検知信号の値との差分が所定値を超える場合、複数の顧客が相前後して通過した可能性があるため、カウント対象から除外しても良い。ここでの所定値は、一般的な顧客の歩く速度(又は歩幅)と測定周期とを参考にして、異常値を判別できる値に設定すればよい。
制御部130は、人体を検知したと判定した場合(S14でYES)、通信部140を用いて通知信号を所定の店員端末200に送信することで、顧客を検知した旨を店員に通知する(S15)。
制御部130は、通知信号を送信した後(S15の実行後)、あるいは、今回の人感センサ120からの検知信号からは人体検知の条件が満たされないと判定した場合(S14でNO)、処理を終了する。なお、所定の実行周期が到来した場合には、処理S11以降の処理を再度実行してもよい。
上述の処理S11の判定処理において、可動部位110が第一の方向に位置する第一の形態にない場合(S11でNO)、制御部130は、人感センサ120が活性の状態にあるか否かを判定する(S16)。たとえば、制御部130は、人感センサ120への電源供給の制御に用いられるレジスタの値を参照し、レジスタの値が人感センサへの電源供給が行われていることを示す値の場合、人感センサ120が活性の状態にあると判定しても良い。なお、電源供給の制御に用いられるレジスタの値は、たとえば、人感センサ120の動作に必要なクロック信号が供給されているか否かを示す値であっても良い。
制御部130は、人感センサ120が活性状態にあると判定した場合(S16でYES)、人感センサ120を非活性化させる(S17)。たとえば、制御部130は、人感センサ120への電源供給の制御に用いられるレジスタの値を、電源供給を遮断する状態(非活性状態)を示す値に上書きすることで、レジスタの値に応じて人感センサ120への電源供給を制御する電源制御回路に対して人感センサ120への電源供給を遮断するよう指示しても良い。なお、レジスタの値に応じて人感センサ120への電源供給を制御する電源制御回路の処理は、制御部130により実行されても良い。たとえば、制御部130は、人感センサ120の動作に必要なクロック信号の供給を遮断することで、人感センサ120を非活性状態にしても良い。
制御部130は、人感センサ120を非活性化した後(S17の実行後)、あるいは、上述の判定S16において人感センサ120が活性状態でないと判定した場合(S16でNO)、制御部130は処理を終了する。なお、所定の実行周期が到来した場合には、処理S11以降の処理を再度実行してもよい。
以上の処理により、店員は、POS装置100の可動部位110が第一の方向に向いた第一の形態にあるのか否かに応じて、POS装置100の制御を切り替えることができる。たとえば、POS装置100が第一の形態にあると判定された場合、POS装置100の制御部130は、人感センサ120の検知信号を用いて店員への通知を行うか否かを制御するように構成される。たとえば、POS装置100が第二の形態にあると判定された場合、POS装置100の制御部130は、人感センサ120の検知信号を用いて店員の通知を行うか否かの制御を無効化するように構成される。
以上の開示によれば、センサを用いて顧客の接近を検知し得る機能を備えたPOS装置100において、店員が顧客の存在をすでに認識している場合に不要な通知を防ぐことができる。たとえば、店員が顧客の存在をすでに認識している状況において、POS装置100から離れる場合には、POS装置100の可動部位110が第二の方向に向いた第二の形態にしておくことで、人感センサ120からの検知信号を用いた店員への通知処理が実行されず、不要な通知を防ぐことができる。一方、顧客がPOS装置100の近傍に存在していない状態で、店員がPOS装置100から離れる場合には、POS装置100の可動部位110が第一の方向に向いた第一の形態にしておくことで、人感センサ120からの検知信号を用いて店員への通知を行うか否かの制御が実行されるため、会計待ちの顧客の待ち時間を削減できる。また、不要な通知を防止しつつ適切な通知を実現することにより、顧客が抱き得る不快な印象を低減できる。
[実施例1]
つぎに、以上の開示をより具現化した実施例を以下に詳述する。まず、実施例1に係るPOS装置100について説明する。図3は、実施例1に係るPOS装置100の第一の形態の一例を示した斜視図である。図3において、POS装置100は、第一本体部10と、第二本体部20と、クレードル部30とを有する。
実施例1に係るPOS装置100では、第一本体部10とクレードル部30とを含む可動部位が、図示されていない一軸ヒンジを介して、第二本体部20に対して回動可能に接続されている。すなわち、実施例1において、第一本体部10とクレードル部30は、可動部位の一例である。
第一本体部10は、たとえば、タブレット型の情報処理装置(タブレット型コンピュータ)であって、挿抜可能にクレードル部30に接続されるように構成される。図3に示す斜視図では、クレードル部30に接続された第一本体部10が第一の形態において第一の方向に露出する部位として、「人感センサ11」と、「第一表示部12」とが図示されている。
第一の形態において第一の方向に露出した人感センサ11は、第一の方向を含む検知範囲において人体の検知を行うように構成される。たとえば、第一の方向と想定される顧客の位置とが略整合するようにPOS装置100を配置することで、第一の形態における人感センサ11の検知範囲に顧客を含ませることができる。さらに、本実施例では、想定される顧客の位置と第一の方向とが略整合するようにPOS装置100を配置することで、第一の形態における第一表示部12の表示面が、想定される顧客の方向を向く。これにより、人感センサ11の検知信号に応じて第一表示部12の表示内容を異ならせるように制御することで、POS装置100により検知されたことを顧客に気付かせることができる。また、第一の形態における第一表示部12に広告などの顧客向けの情報を表示させるように、第一表示部12の表示内容を制御してもよい。
図4は、実施例1に係るPOS装置100の第二の形態の一例を示した斜視図である。図4において、POS装置100の可動部位である第一本体部10とクレードル部30とは、ヒンジ部33により第二本体部20に対して回動することで、第二の方向を向いている。たとえば、第二の方向と想定される店員の位置とが略整合するようにPOS装置100を配置することで、第二の形態における第一表示部12を店員の方向に向かせることができ、店員がPOS装置100を円滑に操作することができる。
第二の形態におけるPOS装置100は、第一の方向に第二表示部21を露出させてもよい。これにより、第一表示部12には第二の方向の店員に向けた表示内容を表示する一方で、第二表示部21には第一の方向の顧客に向けた表示内容を表示することができる。たとえば、第二の方向にいる店員が、第一表示部12の表示内容を参照しながら、第二の形態におけるPOS装置100を操作し、顧客が購入する商品の金額を入力するなど決済処理を遂行することができる。その一方、顧客が購入する商品の金額を第二表示部21に表示するように制御することで、第一の方向にいる顧客は支払うべき金額を知ることができる。
図4において、第二本体部20の磁気センサ22と、クレードル部30の磁石32とが図示されているが、第二の形態におけるPOS装置100の外観から目視可能に露出されていなくてもよい。磁気センサ22と磁石32は、可動部位である第一本体部10とクレードル部30とが何れの形態にあるのかを検知するセンサの一例である。たとえば、磁気センサ22は、磁気抵抗効果素子(MR(Magneto-Resistance)素子)を用いることができる。磁気抵抗効果素子は、電気抵抗が磁界(磁場)に応じて変化する現象を応用したものであり、たとえば、磁界による抵抗値変動を電圧の変化として検出することができる。磁気センサ22は、第二の形態において磁気センサ22と磁石32とが離隔することで、磁石32からの磁界の大きさが低下したことを示す検知信号を出力する。なお、クレードル部30に磁気センサを実装し、第二本体部20に磁石を実装してもよい。また、磁気センサとしてホール素子を用いてもよい。
第二の形態において、第二の方向に露出した人感センサ11は、第一の方向における人体の検知を行わない。別言すると、第二の形態において、人感センサ11による第二の方向を含む検知範囲は、第一の方向を含まない。これにより、想定される顧客の立ち位置と第一の方向とが略整合するようにPOS装置100を配置しておくことで、第二の形態における人感センサ11が第一の方向にいる顧客を検知することを防止できる。
以上により、たとえば、顧客がPOS装置100の近傍に存在していない状態で、店員がPOS装置100から離れる場合には、POS装置100を図3に示される様な第一の形態にしておくことで、第一の方向に向いた人感センサ11からの検知信号を用いた顧客の接近検知に応じて店員への通知処理が実行されるため、会計待ちの顧客の待ち時間を削減できる。一方、店員が顧客の存在をすでに認識している状況において、POS装置100から離れる場合には、POS装置100を図4に示される様な第二の形態にしておくことで、第二の方向に向いた人感センサ11からは第一の方向に位置する顧客を検知することはなく、顧客の接近検知の通知は実行されず、店員への不要な通知を防ぐことができる。このように、不要な通知を防止しつつ適切な通知を実現することにより、顧客が抱き得る不快な印象を低減できる。
つぎに、実施例1に係るPOS装置100の側面視における各構成の位置関係の一例を説明する。図5は、実施例1に係るPOS装置100の第一の形態の一例を示した側面図である。図5において、POS装置100の第一本体部10は、左隅に人感センサ11を実装し、上面の中央部分に第一表示部12を実装している。人感センサ11及び第一表示部12は何れも側面方向からは外観されないため、図5では破線で図示されている。以下、他の構成についても同様である。
POS装置100の第二本体部20は、側面視で左側の高さが右側の高さよりも低く、上面が左側に傾斜した形状を有する。これにより、第一の形態における第一本体部10の第一表示部12は、図5において左下がりに傾斜し、想定される顧客の立ち位置(すなわち第一の方向;図5において左側)からの視認性が向上する。
図5において、第二本体部20の上面中央部分に第二表示部21が実装されており、上面左側部分にはクレードル部30の磁石32と対向する位置に磁気センサ22が実装されている。これにより、POS装置100が第一の形態の場合に、磁気センサ22は、クレードル部30の磁石32からの磁場の影響を最も強く受け得る。第二本体部20の磁気センサ22がクレードル部30の磁石32から受ける磁界の強さを測定することで、POS装置100のプロセッサは、磁気センサ22による測定結果を用いて、第一本体部10とクレードル部30とを含む可動部位が第一の形態にあることを検知できる。変形例として、磁気センサ22が、予め設定された閾値と測定結果とを比較し、たとえば、測定結果が閾値を超える場合にはハイレベルを示す検知信号をプロセッサに供給し、測定結果が閾値未満である場合にはローレベルを示す検知信号をプロセッサに供給するように構成しても良い。なお、本開示において、磁気センサ22と磁石32との実装上の位置関係が図5に示す位置に限定されることは意図されない。たとえば、図5において右側に位置するヒンジ部33の付近に磁気センサ22と磁石32とを実装しても良い。
POS装置100のクレードル部30は、第一本体部10を挿抜可能に接続するインタフェース部31と、第二本体部20の磁気センサ22と対向する位置に実装された磁石32と、側面視で右隅に実装されたヒンジ部33を備える。
ヒンジ部33は、第二本体部20と回動可能に接続されており、かつ、インタフェース31を介して接続された第一本体部10の回路と、第二本体部20の回路とを接続するフレキシブルプリント基板上に形成された配線が収容されている。なお、図5において、説明の便宜上、ヒンジ部33は実線で図示されているが、側面方向からヒンジ部の全体が実際に目視できるとは限らない。
図5において、第一本体部10の左隅に位置する人感センサ11は、第一の方向を含む検知範囲において人体を検知することができる。第一の方向は、たとえば図5において左方向である。
第一の形態における人感センサ11の検知範囲と顧客との位置関係の一例を図7(A)に示す。図7(A)では、図5と同様に、POS装置100の第一の形態が側面方向から図示されている。POS装置100は、台600の上に搭載されており、第一の方向を含む検知範囲700において人体400(顧客)を検知し得る。このように、想定される顧客の位置と第一の方向とを略整合させるようにPOS装置100を配置することで、第一の形態における第一表示部12を顧客側に向くため、第一表示部12に顧客向けの情報を表示することができる。また、想定される顧客の位置を検知範囲700に含めるようにPOS装置100を配置することで、第一の形態における人感センサ11は顧客400の接近を検知できる。なお、図7(A)において、検知範囲700を示す実線は、検知範囲の幅の一例を図示するものであり、人感センサ11により人体を検知できる距離の限界を示すことを意図していない。他の図においても同様である。
図6は、実施例1に係るPOS装置100の第二の形態の一例を示す側面図である。POS装置100は、図5に示す第一の形態から、第一本体部10とクレードル部30とを含む可動部位を、ヒンジ部33を軸にして時計回りに回動させることで、図6に示す第二の形態になる。第二形態にすることで、第二本体部20の磁気センサ22とクレードル部30の磁石32とが十分に離隔するため、POS装置100のプロセッサは、磁気センサ22が磁石32から受ける磁場が低下したことを受けて、可動部位が第二の形態にあることを検知できる。上述したように、変形例として、磁気センサ22は測定結果が所定の閾値未満に低下したことを検知して、たとえば、ローレベルを示す検知信号をPOS装置100のプロセッサに供給することで、POS装置100のプロセッサに可動部位が第二の形態にあることを検知させても良い。なお、本開示において、磁気センサ22と磁石32との実装上の位置関係は図6に示す位置に限定されることは意図されない。たとえば、磁気センサ22と磁石32とを、図6のヒンジ部33が位置する側に実装しても良い。
第二の形態では、第一表示部12が第二の方向を向くように構成される。したがって、第二の方向を店員の位置と略整合するようにPOS装置100を配置しておくことで、店員からの第一表示部12の視認性及び第一本体部10の操作性が向上し得る。また、第二の形態では、第一表示部12が第二の方向に向くことで、第一の方向にいる顧客が第一表示部12の表示内容を覗き見することを防止できる。
第二の形態のPOS装置100と顧客400及び店員500の位置関係の一例を、図7(B)に示す。図7(B)では、図6と同様に、POS装置100の第二の形態が側面方向から図示されている。図7(B)に示す第二の形態のPOS装置100は、台600の上に搭載されており、第一表示部12が第二の方向に向くように構成される。このように、図7(B)で台600より右方向である第二の方向に店員500が位置することで、第一の方向(台600の右側)に位置する店員500からの第一表示部12の視認性及び第一本体部10の操作性が向上し得る。また、第一表示部が第二の方向を向くことで、図7(B)で左方向である第一の方向にいる顧客が第一表示部12の表示内容を覗き見することを防止できる。さらに、第一本体部10の人感センサ11は、第一の方向とは異なる方向を向くため、仮に第二の形態の人感センサ11を活性状態にしたとしても、第一の方向にいる顧客400を検知することを防止できる。
図8は、実施例1に係るPOS装置100と店員端末200とを有するシステムにおける各装置の構成の一例を示したものである。図8のPOS装置100は、第一本体部10と、第二本体部20と、クレードル部30とを備える。第一本体部10とクレードル部30とは、可動部位の一例である。
第一本体部10は、人感センサ11と、第一表示部12と、入力部13と、記憶部14と、プロセッサ15と、インタフェース部16と、通信部17とを備える。人感センサ11、第一表示部12、入力部13、記憶部14、インタフェース部16、通信部17は、第一本体部10のバス又は専用配線を介してプロセッサ15と接続されている。
人感センサ11は、図3乃至図7に示される人感センサ11に対応するものであり、可動部位が第一の形態にある場合に第一の方向を含む検知範囲において人体を検知することが可能なように構成される。人感センサ11は、電力の供給を受けて、第一の方向を含む検知範囲における人体までの距離に応じた検知信号を、プロセッサ15に出力してもよい。たとえば、人感センサ11は、人体までの距離が近いほど、大きな値を示す信号をプロセッサ15に出力するように構成され得る。
第一表示部12は、図3乃至図7に図示される第一表示部12に対応するものであり、プロセッサ15からの指示に基づいて文字や記号などを表示するように構成される。たとえば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(OEL:Organic Electro Luminescence)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどが挙げられる。
入力部13は、利用者(たとえば店員、顧客)による第一本体部10への入力を受け、利用者の入力操作に応じた入力信号を、プロセッサ15へ出力するように構成される。たとえば、平板上のセンサを指でなぞることで位置を入力できるタッチパッド、キーボード、マウスなどが挙げられる。なお、入力部13と第一表示部12とを組み合わせたタッチパネルを用いても良い。
記憶部14は、実施例1に係る処理を規定するプログラムやデータなどを記憶できるように構成される。たとえば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などが挙げられる。
プロセッサ15は、記憶部14に記憶されたプログラムを読み込み、プログラムに記述された命令セットを実行することで、実施例1に係る処理を実行するように構成される。別言すると、記憶部14に記憶された本実施例に係るプログラムをPOS装置100のプロセッサ15に実行させることで、実施例1に係る処理を実行する制御回路が構成される。プロセッサ15は、制御部の一例である。たとえば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などが挙げられる。プロセッサ15は、複数のプロセッサ・コアを搭載したマルチプロセッシングユニットであってもよいし、マルチプロセッシングユニットに搭載された何れかのプロセッサ・コアであってもよい。
インタフェース部16は、クレードル部30のインタフェース部31と挿抜可能に接続されるように構成され、インタフェース部31を介して第二本体部20の回路(たとえば第二表示部21、ハブ部23、磁気センサ22)と第一本体部10の回路(たとえばプロセッサ15)とを接続する。たとえば、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したコネクタ、I2C(Inter-Integrated Circuit)規格に準拠したコネクタ、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。
通信部17は、プロセッサ15からの指示に基づき有線又は無線を用いて店員端末200との間で信号の送受信を行うことができるように構成される。たとえば、Bluetooth(登録商標)、WLAN(Wireless Local Area Network)などの無線通信、電線や光ファイバなどの通信経路による有線通信、あるいは、そのような無線通信と有線通信を組み合わせた通信経路を用いてもよい。図8では、POS装置100と店員端末200との間で無線通信を用いた例が示されている。
つぎに、第二本体部20は、第二表示部21、磁気センサ22、ハブ部23を備える。第二表示部21、磁気センサ22、ハブ部23は、たとえばフレキシブルプリント基板上に形成された配線を用いてインタフェース部31と接続されており、さらにインタフェース部31とインタフェース部16とが接続されることで、これらインタフェース部31及びインタフェース部16を介してプロセッサ15と接続される。
第二表示部21は、図4乃至図6に示される第二表示部21に対応するものであり、プロセッサ15からの指示に基づき顧客向けの表示内容を出力するように構成される。たとえば、蛍光表示管(Vacuum Fluorescent Display)、発光ダイオード、有機EL、液晶素子などを用いたカスタマディスプレイなどが挙げられる。
磁気センサ22は、図4乃至図6に示される磁気センサ22に対応するものであり、クレードル部30の磁石32から受ける磁場を測定して得た検知信号を、インタフェース部31及びインタフェース部16を介してプロセッサ15に供給するように構成される。たとえば、磁気抵抗効果素子、ホール素子などを用いたセンサが挙げられる。
ハブ部23は、スキャナー41、プリンター42、現金ドロア43、信用照会端末44などの周辺機器を接続する外部インタフェースとして構成される。たとえば、USB(Universal Serial Bus)ハブコントローラが挙げられる。
スキャナー41は、商品の値札に添付されたバーコード又はRFID(Radio Frequency IDentifier)タグなどから共通商品コードなどの情報を読み取り、読み取った情報をPOS装置100(たとえばプロセッサ15)に供給するように構成されたものである。プリンター42は、プロセッサ15からの指示に基づき、領収書などの情報を感熱紙などに印字するように構成されたものである。現金ドロア43は、紙幣や硬貨などの現金を収納し、プロセッサ15と連動して又はプロセッサ15とは独立して、現金収納庫を開閉し得るように構成されたものである。信用照会端末44は、プロセッサ15と連動して又はプロセッサ15とは独立して、信用照会を行うセンターにクレジットカードの情報を問い合わせて決済処理を実行するように構成されたものである。これらの周辺機器41乃至44は、ハブ部23との接続経路を通じて電源供給を受けるように構成されても良い。
図8に示すクレードル部30は、インタフェース部31、磁石32を備える。インタフェース部31は、図5及び図6に示されるインタフェース部31に対応するものであり、第一本体部10のインタフェース部16を挿抜可能に接続するように構成される。たとえば、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したコネクタ、I2C(Inter-Integrated Circuit)規格に準拠したコネクタ、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。
また、インタフェース部31は、フレキシブルプリント基板上に形成された配線を介して第二本体部20の第二表示部21、磁気センサ22、ハブ部23と接続されるように構成される。インタフェース部31と第二本体部20の回路とを接続するフレキシブルプリント基板の配線は、図8において図示を省略されているヒンジ部33に収容される。
磁石32は、第一形態において、第二本体部20の磁気センサ22に対して所定の磁場を与えるように構成される。なお、クレードル部30の磁石32を第二本体部20に実装し、第二本体部20の磁気センサ22をクレードル部30に実装しても良い。その場合、クレードル部30に実装された磁気センサは、インタフェース部31及びインタフェース部16を介してプロセッサ15に検知信号を供給し得るように構成される。以上が、本実施例に係るPOS装置100の構成例である。
つぎに、図8に示される店員端末200について説明する。店員端末200は、通信部51、プロセッサ52、出力部53、記憶部54を備える。通信部51、出力部53、記憶部54は、店員端末200のバス又は専用配線を介してプロセッサ52と接続されている。
通信部51は、有線通信又は無線通信を用いて、第一本体部10の通信部17と信号を送受信することができるように構成される。たとえば、Bluetooth、WLAN(Wireless Local Area Network)などの無線通信、電線や光ファイバなどの通信経路による有線通信、あるいは無線通信と有線通信を組み合わせた通信経路などを用いても良い。通信部51は、第一の形態の人感センサ11を用いて顧客の接近を検知したことを示す通知信号を、第一本体部10の通信部17から受信した場合、店員端末200のプロセッサ52へ通知信号を供給する。
プロセッサ52は、記憶部54に記憶されたプログラムを読み込み、プログラムに記述された命令セットを実行することで、実施例1に係る処理を実行するように構成される。別言すると、記憶部54に記憶された実施例1に係るプログラムをプロセッサ52に実行させることで、実施例1に係る店員端末200の処理を実行する制御回路が構成される。たとえば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などが挙げられる。プロセッサ52は、複数のプロセッサ・コアを搭載したマルチプロセッシングユニットであってもよいし、マルチプロセッシングユニットに搭載された何れかのプロセッサ・コアであってもよい。プロセッサ52は、実施例1に係るプログラムを実行することで、POS装置100からの通知信号を通信部51を介して受けた場合、出力部53を用いて店員への通知を実行する。
出力部53は、プロセッサ52の制御の下、振動、音、光、あるいはそれらの組み合わせを用いて、店員への通知を実行するように構成される。たとえば、所定の音量で音を出力するスピーカ、振動を出力する偏芯分銅モータ、光を出力するLEDなどが挙げられる。
記憶部54は、実施例1に係る店員端末の処理を規定するプログラムや当該処理で用いられるデータなどを記憶できるように構成される。たとえば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などが挙げられる。
以上が、実施例1に係る店員端末200の構成である。なお、図8では図示されていないが、店員端末200は、第一本体部10と同様に、表示部と入力部とを備えてもよい。さらに、汎用的なスマートフォンに本実施例に係る店員端末用のプログラムを実行させることで、本実施例に係る店員端末200を構成しても良い。あるいは、Bluetoothなどの無線通信規格に準拠したワイヤレスイヤホンを店員端末200としてもよい。
図9は、実施例1に係るPOS装置100の第一本体部10のプロセッサ15で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。図9に示す処理の流れは、たとえば、所定の周期で実行を開始される。所定の周期は、たとえば、1秒や10ミリ秒など比較的短時間で繰り返される周期であってもよいし、10秒や30秒などの時間間隔で繰り返される周期であっても良い。
図9に示す処理が開始されると、プロセッサ15は、インタフェース部16及びインタフェース部31を介して接続される磁気センサ22からの検知信号の値を参照し、記憶部14に記憶された所定の閾値Ythと検知信号で示される値とを比較することで、磁気センサが検知する磁場が閾値Ythを超えるか否かを判定する(S21)。たとえば、可動部位を構成する第一本体部10とクレードル部30とが第一の形態にある場合、磁気センサ22からの検知信号は、磁石32からの磁場の影響を強く受けていることを示す値となる。所定の閾値Ythについて、磁気センサ22が第一の形態における磁石32からの磁場の影響を受けていることを判定するために十分な値を設定して記憶部14に記憶すればよい。磁気センサからの検知信号の値が閾値Ythを超えたことを判定することで、POS装置100が第一の形態にあることが検知される。なお、本開示において、実施例1に係るPOS装置が第一の形態であるか否かを検知する手段として、磁気センサ22を用いることに限定することは意図しない。たとえば、第一本体部10とクレードル部30とを含む可動部位の位置に連動して、可動部位が第一の形態にある場合に第一の値(たとえばハイレベル)をプロセッサ15が認識し、可動部位が第二の形態にある場合に第二の値(たとえばローレベル)をプロセッサ15が認識し得るようなセンサないしスイッチを用いることができる。プロセッサ15は、このようなセンサ等からの信号を受けて、当該信号の値が第一の値であるか否かを判定することで、POS装置100の可動部位が第一の形態であるか否かを判定してもよい。
つぎに、プロセッサ15は、磁気センサ22からの検知信号の値が閾値Ythを超える場合(S21でYES)、現在の動作状態が顧客用入力モードであるか否を判定する(S22)。顧客用入力モードは、プロセッサ15において実行される他のプログラムの処理により、顧客に情報を入力させる処理が実行されている状態を意味する。たとえば、クレジットカードを用いた決済処理において、第一表示部12に表示された署名欄に顧客のサインを入力させるなどの用途に、顧客用入力モードが用いられる。たとえば、顧客入力モードに係る他のプログラムの処理を実行する際に、現在の動作状態を示す値(動作状態値)として、顧客用入力モードであることを示す値を記憶部14に記憶しても良い。プロセッサ15は、記憶部14に記憶された動作状態値を参照して、顧客用入力モードであるか否かを判定しても良い。
顧客用入力モードの場合には、店員がPOS装置の近傍で顧客に立ち会うことが想定されるため、第一の形態であっても、人感センサによる顧客の接近検知は不要である。そのため、顧客用入力モードであると判定された場合(S22でYES)、プロセッサ15は、実施例1に係る処理を終了する。なお、所定の実行周期が到来した場合には、処理S21以降の処理を再度実行し得る。
プロセッサ15は、現在の動作状態が顧客用入力モードではないと判定した場合(S22でNO)、人感センサ11が非活性の状態にあるか否かを判定する(S23)。たとえば、プロセッサ15は、人感センサ11への電源供給の制御に用いられるレジスタの値を参照し、レジスタの値が人感センサへの電源供給が行われていないことを示す値の場合、人感センサ11が非活性の状態にあると判定しても良い。なお、電源供給の制御に用いられるレジスタの値は、たとえば、人感センサ11の動作に必要なクロック信号が供給されているか否かを示す値であっても良い。
プロセッサ15は、人感センサ11が非活性の状態にあると判定した場合(S23でYES)、人感センサ11を活性化させる。たとえば、プロセッサ15は、人感センサ11への電源供給の制御に用いられるレジスタの値を、活性状態を示す値に上書きすることで、レジスタの値に応じて人感センサ11への電源供給を制御する電源制御回路に対して人感センサ11への電源供給を開始させるように指示しても良い。なお、プロセッサ15は、人感センサ11の動作に必要なクロック信号を人感センサ11へ供給することで、人感センサ11を活性状態にしてもよい。
プロセッサ15は、人感センサ11を活性化した状態(S24の実行後、又はS23でNO)において、人感センサ11からの検知信号を用いて、第一の方向を含む検知範囲において人体を検知したか否かを判定する(S25)。たとえば、人感センサ11からの検知信号の値が、人体までの距離が近いほど、大きな値を示すものとする。人感センサ11からの検知信号を所定の閾値Xthと比較し、検知信号が所定の閾値Xthを超える場合、人体を検知したと判定しても良い。あるいは、図9に示す本実施例に係る処理の実行周期よりも短い時間間隔を有する測定周期において、人感センサ11から供給される1以上の検知信号を受け、所定の閾値Xthを超える検知信号が所定回数連続した場合に、人体を検知したと判定してもよい。所定回数は、顧客がPOS装置100近傍を通過した場合などの瞬間的な顧客の接近を誤って検知することを避けるために十分な値を、人感センサ11の検知範囲及び測定周期との関係を参考にして適宜設定すればよい。たとえば、店舗内を歩く顧客の一般的な速度で人感センサ11の検知範囲を通過する場合に、人感センサ11の測定周期で検知される回数の平均値を超える値を用いても良い。これにより、POS装置100の近傍を通過しただけの顧客を会計待ちの顧客であると誤検知することを防止できる。また、所定の閾値Xthを超える検知信号の連続回数をカウントする際に、前回の検知信号の値との差分が所定値を超える場合、複数の顧客が相前後して通過した可能性があるため、カウント対象から除外しても良い。ここでの所定値は、一般的な顧客の歩く速度(又は歩幅)と測定周期とを参考にして、異常値を判別できる値に設定すればよい。
プロセッサ15は、人体を検知したと判定した場合(S25でYES)、検知レベルに応じた通知信号を生成し(S26)、店員端末200へ通知信号を送信する(S27)。検知レベルは、POS装置100への人体の接近の度合いを示す値である。たとえば、人感センサ11からの検知信号は、人感センサ11から人体までの距離が近いほど大きな値を示すものであり、人体の接近度合を示す検知レベルの一例である。
検知レベルに応じた通知信号には、たとえば、検知レベルを示す値を含ませてもよい。これにより、検知レベルに応じて店員端末200が実行する通知方法を異ならせることで、通知を受けた店員は顧客の接近度合を判別できる。たとえば、検知レベルが低い通知信号の場合、人感センサ11から人体までの距離があまり近くないことを意味し得る。この場合、誤検知の可能性があるため、店員は最初の通知を無視してもよいかもしれない。これに対し、検知レベルが高い通知信号の場合、人感センサ11から人体までの距離は非常に近いことを意味し得る。この場合、誤検知の可能性は低いため、店員は至急に対応すべきであると認識するかもしれない。
なお、本開示において「通知信号を生成する」という文言には、想定される検知レベルの種類毎に記憶部14に予め記憶された通知信号のうちから、人感センサ11による測定結果に応じた検知レベルに該当する通知信号を選択するという実施例も含み得る。たとえば、検知レベルに応じて異なるメロディーの音楽ファイルを予め記憶部14に記憶させておき、人感センサ11による測定結果に応じた検知レベルに該当する音楽ファイルを選択して、店員端末200へ送信することで、検知レベルに応じたメロディーの音楽ファイルを店員端末200で再生させて通知しても良い。
プロセッサ15は、通知信号を店員端末200へ送信した後、あるいは、通知信号を店員端末200へ送信する前に、顧客向けの画面Aを第一表示部12に出力する(S28)。すなわち、処理S26乃至処理S28は図9に示す順序に限定されず、本実施例の趣旨に沿う範囲で適宜変更可能である。他の処理についても同様である。
図10は、実施例1に係る顧客向けの画面Aの内容例を示す。図10に示す画面A(12A)では、顧客向けのお知らせである旨を示すアイコン12A1、店員を呼び出し中である旨を示すメッセージ12A2、ユーザが画面Aを閉じて画面Bなどの他の画面を表示させたい場合にユーザの押下操作を受け付けるアイコン12A3が表示されている。図10に示す画面Aが第一表示部12に表示されることで、顧客は、しばらくすれば店員がやってくることを認識し得る。
つぎに、POS装置100が第二の形態の場合の処理について説明する。上述の処理S25で、人体を検知しないと判定した場合(S25でNO)、プロセッサ15は、第一表示部12に顧客向け画面Bを出力する(S29)。図11は、本実施例に係る顧客向けの画面Bの内容例を示す。図11に示す画面B(12B)では、POS装置が設置されている店舗の商品に関する広告として、商品の画像12B1と、価格などを示す広告情報12B2が表示されている。図11に示す画面Bが第一表示部12に表示されることで、店舗にいる顧客は、POS装置100の第一表示部12に表示された期間限定の商品などに気付き、購買意欲を刺激され得る。なお、処理S29において表示する顧客向け画面Bとして、個別の商品広告の他に、企業イメージを伝える映像や、音楽家の演奏場面を描写した映像、あるいは選挙の投票日などの公益的な情報を伝える映像を再生しても良い。あるいは、処理S29において、顧客向け画面Bを表示することに替えて、第一表示部12を非活性の状態にすることで、消費電力の削減を行っても良い。
プロセッサ15は、処理S28の実行後、あるいは処理S29の実行後、実施例1に係る処理を終了してもよい。また、所定の実行周期が到来した場合には、処理S21以降の処理を再度実行してもよい。
上述の処理S21の判定処理において、磁気センサが検知する磁場が閾値Ythを超えないと判定した場合(S21でNO)、プロセッサ15は、人感センサ11が活性状態にあるか否かを判定する(S30)。たとえば、プロセッサ15は、人感センサ11への電源供給の制御に用いられるレジスタの値を参照し、レジスタの値が人感センサへの電源供給が行われていることを示す値の場合、人感センサ11が活性の状態にあると判定しても良い。プロセッサ15は、動作に必要なクロック信号が人感センサ11に供給されているか否かを判定することで、人感センサ11が活性状態にあるか否かを判別しても良い。
プロセッサ15は、人感センサ11が活性状態にあると判定した場合(S30でYES)、人感センサを非活性化させる(S31)。たとえば、プロセッサ15は、人感センサ11への電源供給の制御に用いられるレジスタの値を、電源供給を遮断する状態(非活性状態)を示す値に上書きすることで、レジスタの値に応じて人感センサ11への電源供給を制御する電源制御回路に対して人感センサ11への電源供給を遮断するように指示しても良い。なお、レジスタの値に応じて人感センサ11への電源供給を制御する電源制御回路の処理は、プロセッサ15により実行されても良い。たとえば、プロセッサ15は、人感センサ11の動作に必要なクロック信号の供給を遮断することで、人感センサ11を非活性状態にしても良い。
プロセッサ15は、人感センサ11を非活性化した後(S31の実行後)、あるいは、上述の処理S30において人感センサ11が活性状態でないと判定した場合(S30でNO)、実施例1に係る処理を終了し得る。なお、所定の実行周期が到来した場合には、処理S21以降の処理を再度実行してもよい。以上が、実施例1に係るPOS装置100の処理の流れである。
図9に示す処理の流れの変形例として、以下を示す。まず、処理S25で人体を検知したと判定した場合に(S25でYES)、プロセッサ15は、第一表示部12に店員を呼び出すか否かを顧客に確認を求める画面Cを表示しても良い。画面C(図示しない)では、店員を呼び出すか否かの顧客の希望を尋ねる旨のメッセージと、顧客からの操作として店員の呼び出しを希望する旨の回答を受け付けるボタンと、店員の呼び出しを希望しない旨の回答を受け付けるボタンとが表示される。
プロセッサ15は、画面Cを表示させた状態で、人感センサ11からの検知信号による人体検知の判定を所定の周期で繰り返し、人体を検知しなくなった場合には、画面Cの表示を消すとともに、処理S26乃至処理S28を実行せずに実施例1に係る処理を終了させても良い。この場合、実施例1に係る処理を終了させる前に、処理S29を実行して画面Bを第一表示部12に表示するように制御しても良い。なお、所定の実行周期が到来した場合には、処理S21以降の処理を再度実行してもよい。
プロセッサ15は、画面Cにおいて店員の呼び出しを希望する旨の回答を受け付けるボタンの操作を検知した場合、処理S26乃至S28を実行するように制御しても良い。
プロセッサ15は、画面Cにおいて店員の呼び出しを希望しない旨の回答を受け付けるボタンの操作を検知した場合、処理S26乃至S28を実行せずに、処理S29を実行してもよい。ただし、この場合でも、顧客の接近検知が所定時間以上継続する場合には、防犯対策などの観点から、処理S26乃至S28を実行することで、店員に顧客の接近を通知するようにしてもよい。
あるいは、プロセッサ15は、画面Cにおいて店員の呼び出しを希望しない旨の回答を受け付けるボタンの操作を検知した場合、防犯対策などの観点から処理S26及び処理S27を実行して店員に通知するとともに、処理S28ではなく処理S29を実行することで、顧客には広告などの画面Bを表示するようにしてもよい。この場合、プロセッサ15は、顧客が店員の呼び出しを希望する操作を行ったか否かに応じて、通知信号で通知する内容を異ならせることで、店員端末200の出力部53からの出力を異ならせても良い。これにより、顧客が店員の呼び出しを希望しない操作を行った旨を告げる通知を受けた店員は、当該通知を無視するか、あるいは防犯対策の観点からPOS装置の近傍に向かうべきであると認識し得る。
このように、人感センサ11で顧客の接近を検知した場合に、一律に店員を呼び出すのではなく、顧客の希望を確認してから必要に応じて店員を呼び出すように制御することで、さらに望ましい適切な通知制御となり得る。
つぎに、実施例1に係る店員端末200について説明する。図12は、実施例1に係る店員端末200のプロセッサ52で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。図12に示す処理の流れは、たとえば、POS装置100からの通知信号を受信した通信部51からプロセッサ52が当該通知信号の供給を受けた場合に実行される。
図12に示す処理が開始されると、すなわち、通信部51を介してPOS装置100からの通知信号を受信すると、プロセッサ52は、通知信号に基づく通知を出力部53から出力する(S31)。たとえば、プロセッサ52は、出力部53としての偏芯分銅モータ(バイブレータ)を駆動することで、顧客の接近検知を告げる通知信号をPOS装置100から受信したことを店員に通知する。
処理S31において、店員端末200は、通知信号に検知レベルが含まれている場合、通知信号の検知レベルに応じた強度・リズムでバイブレータを駆動させてもよい。これにより、検知レベルが大きいほど、すなわち、人感センサ11から顧客までの距離が近いほど、出力部53としてのバイブレータの振動強度を強めたり、検知レベルが大きいことを示す所定のリズムでバイブレータを鳴動させることができる。通知を受けた店員は、店員端末200の出力部53の振動強度・リズムに応じて、顧客の接近度合を判別できる。たとえば、振動強度が弱い場合、人感センサ11から人体までの距離があまり近くないことを示し、誤検知の可能性があるため、店員は最初の通知を無視してもよいかもしれない。これに対し、振動強度が強い場合、人感センサ11から人体までの距離は非常に近いことを示し、誤検知の可能性は低いため、店員は至急に対応すべきであると認識し得る。あるいは、出力部53としてスピーカないしイヤホンを用いる場合、処理S31において、通知信号に基づくメロディーを再生しても良い。この場合でも、店員は、出力部53から出力されるメロディーによって、顧客の接近度合を判別し得る。以上が、実施例1に係る店員端末200のプロセッサ52で実行される処理の流れである。
[実施例2]
つぎに、実施例2に係るPOS装置100について説明する。図13は、実施例2に係るPOS装置100の一例を示す斜視図である。図13(A)は実施例2に係るPOS装置100の第一の形態を示し、図13(B)は実施例2に係るPOS装置100の第二の形態を示す。図3及び図4に示す実施例1との相違は、図13に示すPOS装置100の第二本体部20に人感センサ24を備えている点である。なお、第一本体部10には、人感センサ11を備えても良いし、備えなくても良い。図13では、第一本体部10の人感センサ11を備えていない例を示している。そのほかの構成は同様であるため、説明を省略する。
図14は、実施例2に係るPOS装置100の構成の一例を示したものである。なお、店員端末200は、実施例1と同様の構成を用いることができるため、説明を省略する。図14に示すPOS装置100は、第二本体部20が人感センサ24を備えている点で、図8に示す実施例1に係るPOS装置100と相違する。なお、第一本体部10の人感センサ11については上述した通り、省略しても良いし、備えても良い。その他の構成については、図8に示す構成と同様であるため、説明を省略する。
第二本体部20の人感センサ24は、第一の方向を含む検知範囲において人体を検知できるように構成される。人感センサ24は、インタフェース部31及びインタフェース部16を介してプロセッサ15と接続されており、検知信号をプロセッサ15に供給することができるように構成される。
図15は、実施例2に係るPOS装置100の第一本体部10のプロセッサ15で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。図15に示す処理の流れは、プロセッサ15が実行する制御に用いる検知信号が、第二本体部20の人感センサ24から供給を受けるものである点で、図9に示す実施例1に係るフローチャートと相違する。そのほかの処理については同様であるため説明を省略する。たとえば、図15に示す処理S22において顧客用入力モードではないと判定した場合(S22でNO)、プロセッサ15は、第二本体部20の人感センサ24が非活性であるか否かを判定する(S23A)。非活性であると判定した場合(S23AでYES)、プロセッサ15は、第二本体部20の人感センサ24を活性状態にする制御を行う。具体的な内容については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。そして、プロセッサ15は、第二本体部20の人感センサ24が活性化した状態において(S24Aの実行後、又はS23AでNO)、第二本体部20の人感センサ24からの検知信号を用いて、第一の方向を含む検知範囲において人体を検知したか否かを判定する(S25)。処理S25以降については、図9に示す実施例1に係るPOS装置100の処理と同様であるため、説明を省略する。
つぎに、実施例2に係るPOS装置100が第二の実施形態の場合の処理について説明する。たとえば、図15に示す処理S21において磁気センサが検知する磁場が閾値Ythを超えないと判定した場合(S21でNO)、プロセッサ15は、第二本体部20の人感センサ24が活性状態か否かを判定する(S30A)。活性状態であると判定した場合(S30AでYES)、プロセッサ15は、第二本体部20の人感センサ24を非活性状態にする制御を行う(S31A)。具体的な内容については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。以上が、実施例2に係るPOS装置100のプロセッサ15で実行される処理の流れである。
[実施例3]
つぎに、実施例3に係るPOS装置100について説明する。図16は、実施例3に係るPOS装置100及び店員用応答タグ300とを備えるシステムの構成の一例を示したものである。なお、店員端末200は、実施例1と同様の構成を用いることができるため、説明を省略する。
図16に示すPOS装置100は、第一本体部10が店員検知部18を備える点で、図8に示す実施例1とも、図14に示す実施例2に係るPOS装置100とも相違する。また、図16に示す構成では、POS装置100の店員検知部18との間で近距離無線通信が可能な店員用応答タグ300を備える点で、図8に示す実施例1とも図14に示す実施例2とも相違する。ここで、店員検知部18と店員用応答タグ300との間で行われる近距離無線通信とは、POS装置100の通信部17と店員端末200の通信部51との間で行われる無線通信よりも通信可能な範囲が近距離に限定されるという意味である。たとえば、近距離無線通信技術として、十数センチ程度の距離での小電力無線通信に対応した近接場型無線通信の国際規格であるISO/IEC18092(Near Field Communication)、ISO/IEC14443(MIFARE)、あるいはFelica(登録商標)などの非接触無線通信技術などが挙げられる。なお、図16に示すPOS装置100は、第二本体部20が人感センサ24を備えている例を示しているが、図8に示す実施例1に係るPOS装置100と同様に、第一本体部10に人感センサ11を備えるようにしても良い。この場合、第二本体部20の人感センサ24は省略できる。
店員検知部18は、近距離無線通信により、店員用応答タグ300に対して、たとえば所定周期で問い合わせ信号を送信し、問い合わせを受けた店員用応答タグ300からの応答信号を受信し、プロセッサ15へ応答信号を供給するように構成される。これにより、プロセッサ15は、所定時間範囲内に店員用応答タグ300からの応答信号を受信できなかった場合には、店員用応答タグ300を所持した店員がPOS装置100の近傍にいないと判定できる。あるいは、プロセッサ15は、所定時間範囲内に店員用応答タグ300からの応答信号を受信した場合には、店員用応答タグ300を所持した店員がPOS装置100の近傍にいると判定できる。なお、図16において、店員検知部18は第一本体部10に実装されているが、プロセッサ15と連携がとれるのであれば、第二本体部20又はクレードル部30に実装してもよい。店員検知部18は、店員の存在を検知する第二のセンサの一例である。
店員用応答タグ300は、応答タグ通信部61、制御回路62、記憶部63を備える。店員用応答タグ300は、電池を用いて動作するアクティブタグであってもよいし、POS装置100の店員検知部18のアンテナから放射される電波をエネルギー源として動作するパッシブタグであってもよい。
店員用応答タグ300の応答タグ通信部61は、POS装置100からの問い合わせ信号を受信し、制御回路62に問い合わせ信号を供給するように構成される。また、応答タグ通信部61は、制御回路62から供給されるPOS装置100への応答信号をアンテナから送信するように構成される。
制御回路62は、応答タグ通信部61を介してPOS装置100からの問い合わせ信号を受信し、記憶部63に記憶されている識別情報を用いて生成した応答信号を応答タグ通信部61を介してPOS装置100へ送信するように構成される。
記憶部63は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶素子であって、店員を識別し得る識別情報を記憶するように構成される。店員用応答タグ300がパッシブタグである場合には、不揮発性の観点から、識別情報を記憶する記憶部63としてROMを用いてもよい。なお、記憶部63に記憶される識別情報は、店員ごとに一意に識別できる値であっても良いし、複数人の店員で同じ識別情報を共有するものであってもよい。
図17は、実施例3に係るPOS装置100の第一本体部10のプロセッサ15で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。図17に示す処理の流れは、処理S21において磁気センサが検知する磁場が閾値Ythを超えないと判定した場合(S21でNO)にプロセッサ15が実行する処理として、S32乃至S34が追加されている点で、図15に示す実施例2と相違する。そのほかの処理については図15に示す実施例2と同様であるため、詳細な説明を省略する。
まず、処理S21でNOの場合(すなわち、第二の形態を検知した場合)、プロセッサ15は、店員検知部18で店員を検知できているか否かを判定する(S32)。たとえば、プロセッサ15は、店員検知部18を介して店員用応答タグ300に問い合わせ信号を送信し、店員用応答タグ300からの応答信号を店員検知部18を介して受信できるか否かを判定することで、店員の検知有無を判定してもよい。
プロセッサ15は、店員を検知できていると判定した場合(S32でYES)、現在時刻を参照し、店員を検知した時刻として記憶部14に記憶する。そして、プロセッサ15は、処理S30A以降の処理を実行する。なお、処理S30A以降の処理は、実施例2と同様であるため説明を省略する。
一方、処理S32で店員を検知できていないと判定した場合(S32でNO)、プロセッサ15は、処理S33で記憶した時刻(最後の検知時刻)と現在時刻とを参照し、店員を最後に検知してから所定時間が経過したか否かを判定する(S34)。たとえば、プロセッサ15は、現在時刻から最後の検知時刻を減算して得た経過時間を、所定の閾値と比較することで、処理S34の判定を行っても良い。たとえば、プロセッサ15は、比較をした結果、経過時間が所定の閾値を超えた値を示す場合、店員を最後に検知してから所定時間が経過したと判定してよい。
店員を最後に検知してから所定時間が経過していないと判定した場合(S34でNO)、プロセッサ15は、図17に示すS30A以降の処理を実行する。なお、処理S30A以降の処理は、実施例2と同様であるため説明を省略する。
店員を最後に検知してから所定時間が経過したと判定した場合(S34でYES)、プロセッサ15は、図17に示す処理23A以降の処理(ただし、処理S28及び処理S29を除く)を実行する。これにより、POS装置100が第二の形態であったとしても、店員が所定時間を超えてPOS装置100の近傍を不在である状態が継続する場合は、プロセッサ15は、人感センサによる顧客の接近検知を実行するように制御することができる。たとえば、POS装置100において店員が会計操作中に、顧客が購入しようとする商品の値段を確認するために一時的にPOS装置100を離れることを想定した場合、商品の値段を確認して再度POS装置100に戻ってくるまでに通常予期される時間の上限値を、処理S34の判定で参照される閾値に設定しても良い。こうすることで、通常予期される時間の上限値が経過するまでは、顧客をPOS装置100の前で待機させつつ、店員への無用な通知を防止することができる。一方、通常予期される時間の上限値を超えて顧客を待機させることは、他の店員が対応すべき異常事態が生じているおそれがあるため、顧客の接近検知の結果に応じて他の店員にも通知することで、潜在的な異常事態に対して迅速に対処し得る。
図17に示す処理の流れの変形例として、処理S21でYESの場合に実行される処理において、以前に実行した処理S33で記憶部14に記憶した最後の検知時刻を参照するようにしてもよい。たとえば、処理S21の判定でYESの場合に、プロセッサ15は、記憶部14に最後の検知時刻が記憶されていれば、その最後の検知時刻から所定時間が経過したか否かを判定しても良い。たとえば、処理S21でYESの場合に実行される最後の検知時刻からの経過時間の判定処理で用いられる閾値(所定時間)は、実施例3に係るPOS装置100が第二の形態において最後の検知時刻を記憶してから、店員がPOS装置100を第一の形態に変化させて立ち去ろうとするまでの所要時間として通常想定される時間を参考にして、適宜設定すればよい。
プロセッサ15は、最後の検知時刻から所定時間が経過したと判定した場合、処理S22以降を実行するようにしても良い。一方、最後の検知時刻から所定時間が経過していないと判定した場合、プロセッサ15は、図17に示す実施例3に係る処理を終了させても良い。これにより、店員がPOS装置100を第一の形態に変形させて立ち去ろうとするまさにその時に、会計を希望する顧客がPOS装置100に近づいた場合には、店員が顧客の存在を認識することが想定されるため、第一の形態であっても、所定の時間が経過するまでは通知を無効化することで、不要な通知を防止できる。なお、処理を終了させた場合であっても、所定の実行周期が到来した場合には、処理S21以降の処理を再度実行してもよい。
[実施例4]
つぎに、実施例4に係るPOS装置100について説明する。図18は、実施例4に係るPOS装置100の構成の一例を示したものである。なお、店員端末200は、実施例1と同様の構成を用いることができるため、説明を省略する。図18に示すPOS装置100は、第一本体部10が備える人感センサ11が第一の人感センサ11Aと第二の人感センサ11Bとを有する点で、図8に示す実施例1に係るPOS装置100と相違する。
図18に示す人感センサ11は、第一の人感センサ11Aと、第二の人感センサ11Bとを有するように構成される。第一の人感センサ11Aは、第一の方向を含む検知範囲において人体の接近を検知するように構成される。これは、第一の検知部の一例である。第二の人感センサ11Bは、第二の方向を含む検知範囲において人体の接近を検知するように構成される。これは、第二の検知部の一例である。実施例4において、人感センサ11は、プロセッサ15の制御の下、第一の形態において第一の人感センサ11Aを活性化させ、第二の形態において第二の人感センサ11Bを活性化させるように動作する。その他の構成については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
つぎに、図19を参照して、実施例4に係るPOS装置と顧客及び店員の位置関係の一例を説明する。図19(A)では、POS装置100の第一の形態が側面方向から図示されている。POS装置100は台600の上に搭載されており、台600の左側に位置する顧客400の方向(第一の方向)に第一表示部12の表示面が向いている。また、POS装置100の人感センサ11は、第一の方向を含む検知範囲700Aにおいて顧客400を検知し得る。すなわち、第一の形態における人感センサ11は、プロセッサ15の制御の下、第一の人感センサ11Aを活性化することで、第一の方向を含む検知範囲700Aにおける人体を検知するように構成される。なお、図19(A)において、検知範囲700Aを示す実線は、検知範囲の幅の一例を図示するものであり、人感センサ11により人体を検知できる距離の限界を示すことを意図していない。他の図においても同様である。
図19(B)では、POS装置100の第二の形態が側面方向から図示されている。POS装置100は台600の上に搭載されており、台600の右側に位置する店員500の方向(第二の方向)に第一表示部12の表示面が向いている。第一表示部12は、第一本体部10の構成要素であり、可動部位の一例である。また、POS装置100の人感センサ11は、第二の方向を含む検知範囲700Bにおいて店員500を検知し得る。すなわち、第二の形態における人感センサ11は、プロセッサ15の制御の下、第二の人感センサ11Bを活性化することで、第二の方向を含む検知範囲700Bにおける人体を検知するように構成される。なお、図19(A)に示す第一の形態の可動部位と、図19(B)に示す第二の形態の可動部位とは、ヒンジ部を中心に略90度の回動角度を有する。
図20は、実施例4に係る人感センサ11の概観の一例を示す斜視図である。図20では、第一の人感センサ11Aと第二の人感センサ11Bとが組み合わされた人感センサ11が示されている。人感センサ11A及び11Bは各々、発光素子11A1及び11B1と、受光素子11A2及び11B2とを有する。発光素子11A1及び11B1は、たとえば、赤外発光ダイオードであってもよい。受光素子11A2及び11B2は、たとえば、位置検出素子(Position Sensitive Detector)であってもよい。
図20に示される例では、第一の人感センサ11Aの検知範囲と、第二の人感センサ11Bの検知範囲とが、相互に略直交するように構成される。これにより、第一の形態において、第一の人感センサ11Aの発光素子11A1から放射された光は発光部レンズを通して第一の方向を含む検知範囲に投光され、当該第一の方向を含む検知範囲における人体に反射し、反射光が受光部レンズを通して第一の人感センサ11Aの受光素子11A2に入射し得る。また、第二の形態において、第二の人感センサ11Bの発光素子11B1から放射された光は発光部レンズを通して第二の方向を含む検知範囲に投光され、当該第二の方向を含む検知範囲における人体に反射し、反射光が受光部レンズを通して第二の人感センサ11Bの受光素子11B2に入射し得る。図19に示したように、第一の形態の可動部位と第二の形態の可動部位とは略90度の回動角度を有する。実施例4に係る人感センサ11は、第一の人感センサ11Aと第二の人感センサ11Bとで検知範囲を90度ずらしているため、可動部位の回動角度と併せると、第一の形態と第二の形態とで検知範囲を略180度異ならせることができる。
図21は、実施例4に係るPOS装置100のプロセッサ15で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。図21に示す処理の流れは、実施例4に係る人感センサ11が第一の人感センサ11Aと第二の人感センサ11Bとを有する構成に変更されたことに従い、処理S23B及び処理S24Bにおいて各人感センサの制御対象が明記されたという点で、図9に示す実施例1に係る処理の流れと相違する。
また、図21に示す実施例4に係る処理では、処理S21の判定でNOの場合(すなわち、第二の形態の場合)、第二の人感センサ11Bを用いて人体検知を行い、検知結果に応じてPOSの動作状態を省電力モードかアクティブモードにする制御を行う点で、図9に示す実施例1に係る処理の流れと相違する。その他の点については、図9に示す実施例1に係る処理の流れと同様であるため、説明を省略する。
まず、処理S21の判定でYESの場合(すなわち、POS装置100が第一の形態の場合)、プロセッサ15は、POS装置100の動作状態が顧客用入力モードでなければ(処理S22でNO)、第一の人感センサ11Aが非活性の状態にあるか否かを判定する(S23B)。たとえば、プロセッサ15は、第一の人感センサ11Aへの電源供給の制御に用いられるレジスタの値を参照し、レジスタの値が第一の人感センサ11Aへの電源供給が行われていないことを示す値の場合、第一の人感センサ11Aが非活性の状態にあると判定しても良い。なお、電源供給の制御に用いられるレジスタの値は、たとえば、第一の人感センサ11Aの動作に必要なクロック信号が供給されているか否かを示す値であっても良い。
プロセッサ15は、第一の人感センサ11Aが非活性の状態にあると判定した場合(S23BでYES)、第一の人感センサ11Aを活性化させ、第二の人感センサ11Bを非活性化させる(S24B)。たとえば、プロセッサ15は、第一の人感センサ11Aへの電源供給の制御に用いられるレジスタの値を、活性状態を示す値に上書きすることで、レジスタの値に応じて第一の人感センサ11Aへの電源供給を制御する電源制御回路に対して第一の人感センサ11Aへの電源供給を開始させるように指示しても良い。なお、プロセッサ15は、第一の人感センサ11Aの動作に必要なクロック信号を第一の人感センサ11Aへ供給することで、第一の人感センサ11Aを活性状態にしてもよい。また、プロセッサ15は、第二の人感センサ11Bへの電源供給の制御に用いられるレジスタの値を、電源供給を遮断する状態(非活性状態)を示す値に上書きすることで、レジスタの値に応じて第二の人感センサ11Bへの電源供給を制御する電源制御回路に対して第二の人感センサ11Bへの電源供給を遮断するように指示しても良い。なお、レジスタの値に応じて第一の人感センサ11A及び第二の人感センサ11Bへの電源供給を制御する電源制御回路の処理は、プロセッサ15により実行されても良い。たとえば、プロセッサ15は、第二の人感センサ11Bの動作に必要なクロック信号の供給を遮断することで、第二の人感センサ11Bを非活性状態にしても良い。
プロセッサ15は、第一の人感センサ11Aを活性化した状態(S24Bの実行後、又はS23BでNO)において、第一の人感センサ11Aからの検知信号を用いて、第一の方向を含む検知範囲において人体を検知したか否かを判定する(S25)。処理S25以降の処理は、図9に示す実施例1に係る処理と同様であるため、説明を省略する。
つぎに、第二の形態の場合の処理について説明する。図21に示す処理S21の判定においてNOの場合(すなわち、第二の形態の場合)、プロセッサ15は、第二の人感センサ11Bが非活性の状態にあるか否かを判定する(S35)。たとえば、プロセッサ15は、第二の人感センサ11Bへの電源供給の制御に用いられるレジスタの値を参照し、レジスタの値が第二の人感センサ11Bへの電源供給が行われていないことを示す値の場合、第二の人感センサ11Bが非活性の状態にあると判定しても良い。なお、電源供給の制御に用いられるレジスタの値は、たとえば、第二の人感センサ11Bの動作に必要なクロック信号が供給されているか否かを示す値であっても良い。
プロセッサ15は、第二の人感センサ11Bが非活性の状態にあると判定した場合(S35でYES)、第二の人感センサ11Bを活性化させ、第一の人感センサ11Aを非活性化させる(S36)。とえば、プロセッサ15は、第二の人感センサ11Bへの電源供給の制御に用いられるレジスタの値を、活性状態を示す値に上書きすることで、レジスタの値に応じて第二の人感センサ11Bへの電源供給を制御する電源制御回路に対して第二の人感センサ11Bへの電源供給を開始させるように指示しても良い。なお、プロセッサ15は、第二の人感センサ11Bの動作に必要なクロック信号を第二の人感センサ11Bへ供給することで、第二の人感センサ11Bを活性状態にしてもよい。
また、プロセッサ15は、第一の人感センサ11Aへの電源供給の制御に用いられるレジスタの値を、電源供給を遮断する状態(非活性状態)を示す値に上書きすることで、レジスタの値に応じて第一の人感センサ11Aへの電源供給を制御する電源制御回路に対して第一の人感センサ11Aへの電源供給を遮断するように指示しても良い。なお、レジスタの値に応じて第一の人感センサ11A及び第二の人感センサ11Bへの電源供給を制御する電源制御回路の処理は、プロセッサ15により実行されても良い。たとえば、プロセッサ15は、第一の人感センサ11Aの動作に必要なクロック信号の供給を遮断することで、第一の人感センサ11Aを非活性状態にしても良い。
プロセッサ15は、第二の人感センサ11Bを活性化した状態(S36の実行後、又はS35でNO)において、第二の人感センサ11Bからの検知信号を用いて、第二の方向を含む検知範囲において人体を検知したか否かを判定する(S37)。たとえば、プロセッサ15は、図21に示す処理の実行周期よりも短い時間間隔において、第二の人感センサ11Bから供給される1以上の検知信号を受け、所定の閾値Xth未満の値を示す検知信号が所定回数連続した場合に、人体を検出しなかったと判定しても良い。閾値未満の検知信号の連続性を判定することで、店員がPOS装置100を操作中であるにもかかわらず、誤って省電力モードに変更されてしまうことを防止できる。
一方、処理S37において、第二の方向を含む検知範囲において人体(店員)を検知したと判定した場合(S37でYES)、プロセッサ15は、POS装置100の動作状態をアクティブモードに変更又は維持する(S38)。たとえば、POS装置100は、アクティブモードにおいて、清算処理などの他のプログラムによる処理を実行してもよい。また、POS装置100は、アクティブモードにおいて、第一表示部12をアクティブにして、第一表示部12に店員用の画面を表示するように制御しても良い。
一方、上述の処理S37において、第二の方向を含む検知範囲において人体を検知しなかった場合(S37でNO)、プロセッサ15は、POS装置100の動作状態を省電力モードに変更又は維持する(S39)。たとえば、POS装置100のプロセッサ15は、省電力モードにおいて、第一表示部12を非アクティブにして、表示面のバックライトを消灯するなどして、第一表示部12の画面表示を暗くしても良い。また、POS装置100のプロセッサ15は、省電力モードにおいて、ハブ部23に接続される周辺機器の消費電力を低減するように制御しても良い。
また、POS装置100のプロセッサ15は、省電力状態を開始する前に、現金ドロア43などの周辺機器に対して、インタフェース部16、インタフェース部31、ハブ部23を介して、ロック状態に遷移する指示を送信しても良い。たとえば、現金ドロア43は、ロック状態において、現金を収納する棚(現金収納庫)を装置の内部に閉じ、現金の取り出しを防止する措置を講じてもよい。以上が、図21に示す実施例4に係る処理の流れである。
上記実施例1〜4で図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。たとえば、POS装置100のプロセッサ15は、第二本体部20に実装しても良い。あるいは、第一本体部10と第二本体部20との両方にプロセッサを実装し、これら複数のプロセッサを連携させて、上記実施例1〜4に係る処理を実行しても良い。
さらに、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしてもよい。