以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
[印刷対象物]
錠剤印刷装置Sは、錠剤Tbを印刷対象物とする。錠剤Tbは、裸錠(素錠)、糖衣錠、フィルムコーティング錠(FC錠)、腸溶錠、ゼラチン被包錠、多層錠、有核錠等の錠剤やタブレットを含む。また、錠剤Tbは、硬カプセル、軟カプセル等のカプセル錠も含む。このような錠剤Tbの用途は、医薬用、食用、洗剤用、工業用等を問わない。なお、以下の実施形態においては、錠剤Tbを、直径がdである円形の例で説明する(図3参照)。
[錠剤印刷装置]
[概要]
まず、実施形態の錠剤印刷装置Sの概要を、図1を参照して説明する。錠剤印刷装置Sは、図1に示すように、供給装置10、搬送装置20、センサ30、カメラ40、印刷部50、排出装置60、回収装置70、収納装置80、制御装置90を有する。
供給装置10は、搬送装置20に錠剤Tbを供給する装置である。収容部11に投入された錠剤Tbが、移動経路部12を経て搬送装置20へ供給される。
搬送装置20は、錠剤Tbを搬送する装置である。搬送装置20は、供給装置10の下方に配置されていて、供給された錠剤Tbを搬送ベルト21によって搬送方向Dに搬送する。本実施形態では、この搬送ベルト21の外側の表面を、搬送面21aとする。搬送装置20の周囲には、錠剤Tbが搬送される方向に、センサ30、カメラ40、印刷部50、排出装置60、回収装置70、収納装置80の順で配置されている。
センサ30は、搬送装置20に搬送される錠剤Tbの有無を検出する検出部である。センサ30によって錠剤Tbが個別に検出され、この検出を基準としてそれぞれの錠剤Tbの搬送位置が把握、追跡される。また、この錠剤Tbの搬送位置に基づいて、以降の印刷等の処理が行われる。
カメラ40は、印刷前の各錠剤Tbを撮像する撮像部である。カメラ40は、印刷部50の手前の錠剤Tbを撮像して、この撮像画像に基づいて、錠剤Tbの姿勢を確認する。また、例えば、割れ、欠け、汚れ等の錠剤Tbの外観の状態を確認する処理が行われる。
印刷部50は、搬送装置20に搬送される錠剤Tbに印刷を行う機構である。印刷部50のインクジェットヘッド51によって印刷処理がされた錠剤Tbは、印刷確認カメラ52によって撮像され、この撮像画像に基づいて印刷状態の確認処理が行われる。その後、搬送される錠剤Tbは乾燥ユニット53によって印刷のインクが乾燥される。
排出装置60は、不良の錠剤Tbを搬送装置20から排出する装置である。錠剤Tbの外観の状態や印刷状態によって不良と判断された錠剤Tbを、回収装置70へ排出する。
収納装置80は、良品の錠剤Tbを収納する装置である。収納装置80は、回収装置70に続いて配置され、回収装置70に排出されなかった錠剤Tbを収納する。
制御装置90は、錠剤印刷装置Sの動作を制御する装置である。制御装置90は、以上説明した各部の駆動や処理を制御する。
[詳細構成]
次に、錠剤印刷装置Sの各部の構成の詳細を説明する。錠剤印刷装置Sを構成する
供給装置10、搬送装置20、センサ30、カメラ40、印刷部50、排出装置60、回収装置70、収納装置80、制御装置90の各構成部は、それぞれが1種又は複数種の処理を行う。これらの処理が、各錠剤Tbに対して順次行われる複数の処理である。
[供給装置]
搬送装置20に錠剤Tbを供給する供給装置10は、図1及び図2に示すように、収容部11、移動経路部12、待機部13、供給部14、規制部15を有する。
(収容部)
収容部11は、錠剤Tbを収容する容器である。図1に示すように、収容部11は、投入口11a、排出口11bを有する。投入口11aは、収容部11の上部に設けられ、複数の錠剤Tbが収容部11に投入される開口である。排出口11bは、収容部11の下部に設けられ、錠剤Tbが収容部11から自重により排出される開口である。
(移動経路部)
移動経路部12は、複数の錠剤Tbが、収容部11から搬送装置20に向かって移動する経路である。移動経路部12は、図2に示すように、上方の収容部11から下方の搬送装置20に向かって傾斜した直線状の経路であり、複数の錠剤Tbを一列にして搬送装置20に導く。この移動経路部12は、底面部12a、側面部12b、12cを有する。底面部12aは、長方形状の平板であり、収容部11の排出口11bから搬送装置20まで延びている。側面部12b、12cは、底面部12aの長辺に沿って立ち上げられた一対の平板である。この底面部12a及び側面部12b、12cにより、断面が略U字形状(樋形状)の錠剤Tbの通路12dが形成されている。なお、図3に示すように、側面部12b、12cの間隔、つまり、通路12dの幅Waは、錠剤Tbの1つ分よりも大きく、2つ分よりも小さい。すなわち、通路12dの幅Waは、錠剤Tbの直径がdであるとき、d<Wa<2×dとなる。
(待機部)
待機部13は、図2に示すように、移動経路部12の搬送装置20側の端部に設けられ、移動してきた1つの錠剤Tbが停止して待機する部材である。待機部13は、載置部13a、停止部13b、排出口13c、背部13dを有する。
載置部13aは、移動経路部12から移動してきた1つの錠剤Tbが載る水平方向の平板である。載置部13aは、移動経路部12の底面部12aに連続しており、少なくとも1つの錠剤Tbが載る大きさである。本実施形態の載置部13aは、2つの錠剤Tbは載らない大きさとしている。1つの錠剤Tbは、載置部13aに載ることにより、排出対象として待機する。なお、以下の説明では、移動経路部12における錠剤Tbの傾斜した移動方向と、その延長線上の待機部13における水平な移動方向を、図中、点線の矢印で示した移動方向Aとする。
停止部13bは、載置部13aにおいて移動方向Aに移動する錠剤Tbの移動端となる位置に設けられ、垂直方向に立ち上げられた平板である。移動経路部12を移動して来た錠剤Tbは、停止部13bに当たり停止する。
排出口13cは、待機部13から排出される錠剤Tbが通過する開口である。図3に示すように、排出口13cの平面方向から見た開口幅Wbは、移動経路部12の側面部12cの端辺、停止部13bの端辺の間隔によって規定される。この開口幅Wbは、錠剤Tbの1つ分より大きく、2つ分よりも小さい。すなわち、排出口13cの開口幅Wbは、錠剤Tbの直径がdであるとき、d<Wb<2×dとなる。排出口13cの下部は、載置部13aの端辺によって規定される。排出口13cからの錠剤Tbの排出方向は、移動経路部12の錠剤Tbの移動方向Aに交差する方向である。本実施形態では、錠剤Tbの移動方向Aに直交する方向が、図中、一点鎖線で示した排出方向Bである。
背部13dは、図2に示すように、排出口13cに対向する平板である。背部13dは、載置部13aから垂直方向に立ち上げられ、移動経路部12の側面部12bと、待機部13の停止部13bとの間に連続して設けられることにより、排出口13cの反対側を塞いでいる。
(供給部)
供給部14は、搬送装置20に順次供給される錠剤Tbと錠剤Tbの間に、錠剤Tbの搬送方向における大きさに応じた間隔が生じる位置に、待機部13に待機している錠剤Tbを排出することにより搬送装置20に錠剤Tbを供給する装置である。つまり、供給部14は、移動する搬送面21aに対して順次、つまり1つずつ連続して錠剤Tbを供給する。その供給先の位置は、錠剤Tbと錠剤Tbの間に間隔が空く位置であって、錠剤Tbの搬送方向における大きさ、つまり搬送方向の長さによって異なる。この間隔が空く位置は、搬送面21aの移動に従って、供給部14の供給先に順次到来する。
本実施形態の供給部14は、図2に示すように、待機部13に待機している1つの錠剤Tbに気体を吹き付けることによって、錠剤Tbを搬出装置20に排出させる吹付部141を有する。本実施形態においては、気体はエアーを用いる。吹付部141は、図示しないブロアユニット、配管及びバルブ等の気体回路に接続された細い管であるノズル141aを有する。このノズル141aの先端は、エアーが吹き出す開口である吹出口141bとなっている。吹出口141bは、背部13dに形成された穴に挿入され、待機部13に待機している錠剤Tbの側面に対向している。
図3に示すように、吹出口141bの口径Wcは、錠剤Tbの直径dよりも小さい。吹出口141bの口径Wcは、例えば、円形の場合は直径である。錠剤Tbに対する吹き付けは、錠剤Tbの重心に対して行うことが好ましい。ここで、複数が連なって移動方向Aに移動してくる錠剤Tbは、待機部13の停止部13bに押し付けられるので、
錠剤Tbの重心は、停止部13b、つまり移動方向Aの移動端(停止部13b)側に寄る。この重心に合わせるため、吹出口141bの中心Scは、平面方向から見て、錠剤Tbの径よりも広い排出口13cの中心Sbよりも移動端側に寄っている。
また、供給部14は、搬送ベルト21に対する錠剤Tbの供給タイミングが、搬送ベルト21で搬送される錠剤Tbと錠剤Tbの搬送方向における間隔が所定の間隔となるように、制御装置90によって制御される。つまり、搬送ベルト21上の錠剤Tbと錠剤Tbの間に、所定の間隔が空く位置に、錠剤Tbを排出するように制御される。したがって、吹付部141によるエアーの吹き付けは、後述するように、搬送装置20に、錠剤Tbを所定の間隔で搬送させるタイミングで行う。
(規制部)
規制部15は、図2〜図4に示すように、待機部13から排出方向Bに排出された錠剤Tbに接することにより、錠剤Tbの供給位置を規制する部材である。図2では、分かり易くするために、規制部15は点線で示して、下部の構造が透視できるようにしている。規制部15は、接触部15a、カバー15bを有する。接触部15aは、排出方向Bに交差する方向に設けられた垂直方向の平板である。接触部15aと排出口13cとの間隔Weにより形成される空間は、図4に示すように、待機部13の排出口13cから排出された錠剤Tbが、接触部15aに接して、搬送装置20に落ちるための空間である。したがって、間隔Weは錠剤Tbが搬送ベルト21上にスムーズに落下できる大きさで有ればよい。
カバー15bは、接触部15aの上端に連続して設けられた水平方向の平板であり、待機部13の上方を覆う位置まで延びて、背部13d及び停止部13bの上部に固定されている。これにより、カバー15bは、待機部13から排出される錠剤Tbの上方を覆っている。
(設置位置)
以上のような供給装置10の設置位置を説明する。まず、後述するように、搬送装置20は、搬送ベルト21の搬送方向に並んだ複数の吸引口26に錠剤Tbを吸引させて搬送する(図5参照)。このため、供給装置10は、待機部13から排出された錠剤Tbが、規制部15に接して搬送ベルト21上に落下し、搬送ベルト21の吸引口26に載る位置に配置されている。図5に示すように、平面方向から見て、規制部15の接触部15aと排出口13cとの間に錠剤Tbが入る間隔Weがあり、その直下に吸引口26が来る。また、図4に示すように、水平方向から見て、規制部15のカバー15bの下面と搬送ベルト21との間には、錠剤Tbが通過する空間が形成されている。そして、待機部13の下部と搬送ベルト21との間は、接触しないように隙間が設けられている。なお、本実施形態においては、図5に示すように、2列の吸引口26に対して、2台の供給装置10が、それぞれ錠剤Tbを供給する構成となっている。
[搬送装置]
搬送装置20は、錠剤Tbを搬送する装置である。搬送装置20は、図1に示すように、供給装置10の下方に配置されている。搬送装置20は、搬送ベルト21、駆動プーリ22、テンションプーリ23、2つの調整プーリ24a、24b、吸引チャンバ25、エンコーダ27を有する。搬送ベルト21は、搬送面21aに錠剤Tbを吸着保持して移動することにより、錠剤Tbを搬送するベルトである。搬送ベルト21は、無端状であり、駆動プーリ22、テンションプーリ23、2つの調整プーリ24a、24bに巻き掛けられている。なお、以下の説明では、搬送装置20において、搬送ベルト21の搬送面21aが移動することによる搬送方向をDで示す。また、搬送される錠剤Tbが先に通過する位置を上流側、後に通過する位置を下流側とする。搬送装置20の上側と下側で、上流側と下流側とは逆となる。
搬送ベルト21には、図5に示すように、複数の吸引口26が設けられている。複数の吸引口26は、搬送面21aの移動方向に所定間隔で形成されている。すなわち、錠剤Tbの搬送方向Dに沿って吸引口26が列状に形成されている。後述するように、この吸引口26に吸引力を付与することにより、錠剤Tbが搬送ベルト21に吸着される。本実施形態では、供給装置10から渡される錠剤Tbは、互いに接することなく間隔を空けて搬送される。
図1に示すように、駆動プーリ22は、モータMによって回転する。駆動プーリ22が回転することにより、搬送ベルト21が駆動される。吸引チャンバ25は、概ね箱状であり、環状の搬送ベルト21の内側に設けられている。吸引チャンバ25には、所定の部位に形成された排気口25aに、図示しない真空ポンプ等の排気装置が結合されている。
このような吸引チャンバ25により、搬送ベルト21における、駆動プーリ22と調整プーリ24aとの間に位置する吸引口26、駆動プーリ22と調整プーリ24bとの間に位置する吸引口26、さらに、駆動プーリ22の外周に位置する吸引口26のそれぞれに、吸引力が付与される。
エンコーダ27は、モータMの駆動軸の回転に伴って動作するロータリーエンコーダである。錠剤Tbが、基準となる位置(基準位置)を通過してからのエンコーダーパルスのカウント値を得ることで、その錠剤Tbに関し、基準位置を通過した以降の存在位置を追跡できる。なお、錠剤Tbの位置の特定に用いることができればよいので、エンコーダ27の種類は特定されない。
[センサ]
センサ30は、搬送装置20に搬送される錠剤Tbの有無を検出する検出部である。図1において、搬送ベルト21により搬送される錠剤Tbの有無を検出する位置は、センサ30と対向する、搬送ベルト21上の錠剤検出位置Pdである。この錠剤検出位置Pdが、上述の錠剤Tbに関する基準となる位置(基準位置)となる。
センサ30は、例えば、レーザセンサのように、反射型の光学センサを用いることができる。センサ30は、センサ30から検出対象までの距離を検出する。例えば、センサ30は、センサ30から搬送ベルト21の搬送面21aまでの距離、センサ30から搬送ベルト21上の錠剤Tbの表面(搬送面21aに接している面とは反対側の面で、本実施形態では上面)までの距離を検出する。「センサ30から」とは、「所定の位置から」を意味し、センサの距離の演算手法により異なる。例えば、センサ下面を所定の位置とすることができるが、これには限定されない。
本実施形態では、センサ30は、搬送ベルト21の印刷位置Ppよりも、錠剤Tbの搬送方向Dの上流側の錠剤検出位置Pdで距離を検出する。センサ30は、搬送方向Dに駆動される搬送ベルト21表面に向かって距離を経時的に検出し、距離に応じた出力信号を制御装置90に出力する。この出力信号に基づいて、後述するように、制御装置90が検出信号を出力する。
[カメラ]
カメラ40は、印刷前の各錠剤Tbを撮像する撮像部である。カメラ40は、印刷部50よりも、搬送方向Dの上流側を搬送される錠剤Tbを撮像して、その撮像信号を制御装置90に出力する。制御装置90は、カメラ40からの撮像信号を取り込み、画像処理によって錠剤Tbの姿勢を計測、判定する。錠剤Tbの姿勢とは、搬送ベルト21の上の錠剤Tbの位置ずれ、向き、表裏などの状態である。また、錠剤Tbの外観の状態も判定する。外観の状態とは、錠剤の割れ、欠け、あるいは異物、汚れの付着などの外観から分かる錠剤Tbの状態である。カメラ40の視野範囲に入る搬送ベルト21上における領域は、搬送ベルト21の錠剤検出位置Pdと、その下流で印刷を行う印刷位置Ppとの間の所定範囲を含む。
カメラ40の視野範囲は、少なくとも1つの錠剤Tbの全体が撮像できる大きさであればよい。なお、撮像される画像のデータ量を抑えつつ、1つの錠剤Tbの全体を確実に撮像できるようにするため、同時に2つの錠剤Tbの全体が収まるが、3つの錠剤Tbの全体は収まらない大きさとすることが考えられる。このような大きさにすると、1つの錠剤Tbの画像が視野範囲の中心に位置づけられた場合、上流側と下流側で隣接する他の錠剤Tbの画像は、その一部が視野範囲外となる。
[印刷部]
印刷部50は、搬送装置20に搬送される錠剤Tbに印刷を行う機構である。印刷部50は、インクジェットヘッド51、印刷確認カメラ52、乾燥ユニット53を有する。インクジェットヘッド51は、印刷データに従って、錠剤Tbの表面に印刷を行うインクジェットヘッド51は、圧電素子や熱素子等のエネルギー発生素子を駆動させることにより、インク滴を吐出して印刷を行う複数のノズルを有する。インクジェットヘッド51は、カメラ40の下流側の印刷位置Ppにおいて、搬送ベルト21の表面に対向して配置されている。
印刷確認カメラ52は、印刷後の錠剤Tbを撮像する撮像部である。印刷確認カメラ52は、インクジェットヘッド51を通過した後の錠剤Tbを撮像する。制御装置90は、この撮像画像に基づいて、印刷状態を確認する。印刷確認カメラ52の撮像領域は、錠剤Tbの搬送方向Dにおける印刷位置Ppの下流側の所定範囲に設定されている。
乾燥ユニット53は、搬送装置20の下側部分の下方に設けられている。乾燥ユニット53は、搬送ベルト21の駆動プーリ22側に設けられ、錠剤Tbが搬送ベルト21に搬送される際に、表面に印刷された文字やマークのインクを乾燥して定着させる装置である。
[排出装置]
排出装置60は、不良の錠剤Tbを搬送装置20から排出する装置である。排出装置60はエアー噴射ノズルにより構成される。エアー噴射ノズルの吹き出し側は、吸引チャンバ25内に、搬送ベルト21を挟んで、回収装置70に対向する位置に設けられている。
[回収装置]
回収装置70は、不良の錠剤Tbを回収する装置である。回収装置70は、乾燥ユニット53の下流側に配置され、上側が開放された容器である。この回収装置70は、上記の排出装置60に、搬送ベルト21を挟んで対向している。
[収納装置]
収納装置80は、良品の錠剤Tbを収納する装置である。収納装置80は、回収装置70の下流側に、吸引チャンバ25の吸引作用が働かなくなる位置に配置され、上側が開放されたトレイである。
[制御装置]
制御装置90は、錠剤印刷装置Sの動作を制御する装置である。制御装置90は、例えば、専用の電子回路若しくは所定のプログラムで動作するコンピュータ等によって実現できる。
制御装置90は、供給装置10、搬送装置20、印刷部50等の機構部の駆動源、バルブ、スイッチ、電源等を制御する。つまり、供給装置10、搬送装置20の搬送速度、センサ30の信号処理、搬送される錠剤Tbの位置の把握、追跡、カメラ40や印刷確認カメラ52の撮像、撮像した画像の画像処理、不良の判定、印刷部50による印刷、排出装置60による不良の錠剤Tbの排出等が処理、制御される。
また、図示はしないが、制御装置90は、錠剤印刷装置Sの処理のための演算を行う演算部、処理に必要な各種の情報を記憶する記憶部や、制御対象となる各部との間での信号の変換や入出力を制御するインタフェースを有する。記憶部に記憶される情報には、以下に述べる各種の設定値、演算のためのパラメータ、演算結果等を含む。また、装置の状態を確認するためのディスプレイ、ランプ、メータ等の出力装置、オペレータが、錠剤印刷装置Sの動作に必要な情報を入力するためのスイッチ、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力装置も有する。
本実施形態においては、制御装置90は、上記のように供給部14が錠剤Tbを搬送装置20に供給する位置を、搬送される錠剤Tbと錠剤Tbの間に所定の間隔が空くように制御する。これは、搬送される錠剤Tb同士の関係で、最低限必要な距離が存在するためである。このように、最低限必要な距離が存在する理由を、以下に述べる。
[理由1:第1の限界距離(センサ30の検出限界に起因する最低限必要な距離)]
まず、制御装置90は、センサ30が検出する距離に応じた出力信号に基づいて、検出信号を出力する。つまり、前述のように、センサ30が出力する、搬送ベルト21上に錠剤Tbが無く搬送ベルト21の表面までの距離に応じた出力信号と、搬送ベルト21上に錠剤Tbが有り搬送ベルト21上の錠剤Tb表面までの距離に応じた出力信号との差分を求め、この差分が所定のしきい値を超えた場合に、錠剤Tbを検出したとする検出信号を出力する。この検出信号は、搬送装置20に搬送される錠剤Tbの有無を示す信号であり、錠剤Tbの存在を検出している間はON、錠剤Tbを検出しなくなるとOFFとなる。制御装置90は、検出信号がOFFからONへの切り替わった時、つまり検出信号の立ち上がりを、上記の基準位置を錠剤Tbが通過した時と判断する。搬送ベルト21に順次搬送される錠剤Tb同士が接している場合、すなわち、順次搬送される錠剤Tbと錠剤Tbの間隔がゼロの場合、この検出信号はONとなり続けることになり、錠剤Tb毎の検出信号の立ち上がりが発生しないため、個々の錠剤Tbが基準位置を通過することを見出すことができない。したがって、基準位置の通過を認識されなかった錠剤Tbに対する、その後の処理ができないことになる。
そこで、搬送装置20に搬送されている個々の錠剤Tbを、センサ30により確実に認識するためには、各錠剤Tbと錠剤Tbの間に間隔が空いている必要がある。以下、連続する錠剤Tbと錠剤Tbの間隔を、「錠剤Tbの間隔」と表現する。錠剤Tbの間隔は、錠剤Tbの搬送効率、処理効率を考えると、可能な限り短いことが望ましい。一方、センサ30により検出できる錠剤Tbの間隔には限界がある。このような検出の対象物同士の間隔を認識する場合、この間隔のセンサ30が検出できる限界距離である検出限界距離は、センサ30の計測分解能、計測応答性などによって決まる値である。また、光学センサーの場合、計測対象物の光反射率や色などによっても変わる。したがって、センサ30の検出限界距離は、あらかじめ所定の搬送速度において、異なる間隔で搬送させた錠剤Tbを検出させる等、実験等で求めておく。つまり、錠剤Tbの間隔が、センサ30の検出限界距離よりも短い距離では、錠剤Tbの間隔がゼロの場合と同様、錠剤Tbの基準位置の通過が認識されないため、その後の処理ができない。このため、順次搬送される各錠剤Tbの間隔は、ゼロより大きく、さらに少なくともセンサ30が検出できる限界距離を確保する必要がある。このように、搬送装置20に順次搬送される錠剤Tbの間隔として最低限必要となる距離が、第1の限界距離である。つまり、この第1の限界距離は、センサ30の検出限界に起因する最低限必要な距離である。
[理由2:第2の限界距離(各部の処理に必要な時間に起因する最低限必要な距離)]
次に、錠剤印刷装置Sに含まれる各構成部が個々の錠剤Tbに対して順次行う複数の処理には、各処理に必要な最低限の時間が存在する。つまり、これらの各処理は、錠剤Tbに印刷をするのに必要な複数の処理となる。これらの各処理には、例えば、カメラ40により錠剤Tbを撮像して、撮像した画像から姿勢等を認識する処理、認識した姿勢等の結果から印刷パターンを生成する処理、印刷パターンによるインクジェットヘッド51の印刷処理、印刷確認カメラ52が印刷された錠剤Tbを撮像して、撮像した画像から印刷の良否を判定する処理、乾燥ユニット53がインクを乾燥させる処理、不良の錠剤Tbを排出する処理等がある。これらの各処理にそれぞれ必要な時間は、処理の種類、印刷対象となる錠剤Tb等によって決まる。例えば、錠剤Tbのサイズや形状、割線の有無などの種類、印刷パターン等に基づいて、画像認識、印刷、外観検査や印刷検査などのいわゆる品質検査等の各処理時間を算出することができる。これらの複数の処理時間のうち最長となる処理時間が、処理に一番時間がかかるために錠剤印刷装置Sの錠剤製造処理を律速する時間であり、処理のために最低限必要な限界時間である。
そして、この処理のために最低限必要な限界時間に錠剤Tbが搬送される距離が、上記の第1の限界距離とは別の第2の限界距離である。ここでいう錠剤Tbが搬送される距離とは、錠剤Tbの搬送方向の長さと、順次搬送される各錠剤Tbの間隔とからなる距離であり、ピッチと呼ぶ。このピッチが、第2の限界距離よりも短いと、個々の錠剤Tbに対する処理が間に合わず、錠剤印刷装置Sとして稼働できないことになる。したがって、搬送装置20に搬送されている錠剤Tbに対して順次行う複数の処理を滞りなく行うためには、錠剤Tbのピッチが、第2の限界距離以上となる必要がある。このように、第2の限界距離は、搬送装置20に搬送される錠剤Tbのピッチとして最低限必要な距離である。第2の限界距離は、この距離を確保しなければ各錠剤Tbに処理を行うことができない距離として、錠剤印刷装置Sの錠剤製造処理を律速する距離でもある。つまり、この第2の限界距離は、各部の処理に必要な時間に起因する最低限必要な距離である。なお、限界時間及び第2の限界距離の対象となる処理は、供給装置10によって搬送装置20に錠剤Tbが供給された後の処理となる。
[第1の限界距離及び第2の限界距離に基づく制御]
上記のように、第1の限界距離が、錠剤Tbの間隔として最小とすべき設定値ではある。しかし、錠剤Tbの間隔を第1の限界距離としたとしても、限界時間よりも短い時間間隔で複数の錠剤Tbが到来してしまう場合がある。例えば、錠剤Tbのサイズが小さい場合や、錠剤Tbの形状や印刷パターンが複雑であったりして処理する時間が長い場合である。このような場合には、限界時間を満たす第2の限界距離を確保するために、錠剤Tbの間隔を第1の限界距離よりも長くする必要がある。
より具体的には、
錠剤Tbの搬送速度をv [mm/s]
錠剤Tbの搬送方向の長さをd [mm]
錠剤Tbの間隔をp [mm]
第1の限界距離sp [mm]
限界時間t [s]
ピッチP [mm]
第2の限界距離mP [mm]
とすると、
ピッチP=d+p [mm]
第2の限界距離mP=t×v [mm]
となる(図5参照)。
ここで、ピッチPは、各錠剤Tbの先頭から次の錠剤Tbの先頭までの距離である。図示しないが、第2の限界距離mPは、限界時間t内に錠剤Tbが移動する距離である。
そして、限界時間t内に複数の錠剤Tbが到来してしまわないようにするには、ピッチPが、第2の限界距離mP以上であることが必要となる。つまり、
P≧mP
となることが必要となり、この関係となる錠剤Tbの間隔pは、
d+p≧mP
p≧mP−d
となる。錠剤Tbの間隔pは、錠剤Tbが接触しなければ良く、少なくとも、
p>0
であればよい。
但し、第1の限界距離spを考慮すると、
p≧sp
とする必要がある。ここで、sp>0である。
さらに、搬送効率、処理効率の観点から、錠剤Tbの間隔pを最小限にする場合、錠剤Tbの間隔pを第1の限界距離spとすることになる。つまり、
p=sp
したがって、
P=d+sp
とすればよい。
しかし、前述の様に、P≧mPであるから
d+sp≧mP
でなければならない。
したがって、d+spがmPより小さくなる場合、錠剤Tbの間隔pを第1の限界距離spとすることはできなくなる。この場合、p=spとせず、p=mP−dとする。
換言すれば、
mP−d≦sp
であれば、
p=spとし、
mP−d>sp
であれば、
p=mP−dとする。
従って、
mP−d≦spであれば、p=sp
mP−d>spであれば、p=mP−d
とする。
つまり、第2の限界距離mPと錠剤Tbの搬送方向の長さdとの差を第1の限界距離spと比較して、錠剤Tbの間隔pを決定する。第2の限界距離mPと錠剤Tbの搬送方向の長さdとの差が、第1の限界距離sp以下であれば、錠剤Tbの間隔pを第1の限界距離spとする。この場合、錠剤Tbの搬送方向の長さdと第1の限界距離spとを合わせた距離が、ピッチPとなる。第2の限界距離mPと錠剤Tbの搬送方向の長さdとの差が、第1の限界距離spより大きければ、第2の限界距離mPと錠剤Tbの搬送方向の長さdの差を錠剤Tbの間隔pとする。この場合、第2の限界距離mPがピッチPとなる。このような錠剤Tbの間隔pが生じる位置に、待機部13に待機している錠剤Tbを排出する。
例えば、
d=10mm
mP=5mm
sp=0.5mm
の場合には、
mP−d=5−10=−5mmとなり、spの0.5mm以下である。よって、錠剤Tbの間隔pは、第1の限界距離spを採用する。したがって、
p=sp=0.5mm
P=d+p=10+0.5=10.5mm
となる。
d=3mm
mP=5mm
sp=0.5mm
の場合には、
mP−d=5−3=2mmとなり、第1の限界距離spの0.5mmより大きい。よって、錠剤Tbの間隔pは、第2の限界距離mPから錠剤Tbの搬送方向の長さdを引いた値を採用する。したがって、
p=mP−d=5−3=2mm
P=d+p=3+2=5mm
となる。
以上の関係を満たすように、制御装置90は、供給装置10における錠剤Tbの供給タイミングの制御を行う。つまり、エンコーダ27のパルスのカウント値が、あらかじめ設定した値になる毎に、供給部14が錠剤Tbを供給する。このカウント値は、ピッチPに相当するカウント値とする。このように、エンコーダーパルスの所定のカウント値毎に、吹付部141がエアーを吹き出すように、制御装置90は、ブロワーユニットやバルブを制御する。
なお、錠剤印刷装置Sにおいて、錠剤Tbに印刷を行って製造しようとする場合、作業者は、入力装置を用いて、出力装置に表示された入力画面を参照し、錠剤印刷装置Sを稼働させるための各種パラメータを入力する。例えば、搬送速度v、第1の限界距離spや、印刷する錠剤Tbの品種情報すなわちサイズ、形状や、印刷、検査情報すなわち印刷パターンや検査項目、検査基準などが入力、設定される。制御装置90は、錠剤Tbのサイズに応じて、限界時間t、第2の限界距離mPを求め、上記のように、錠剤Tbの間隔p及びピッチPを求める。制御装置90は、ピッチPに対応するカウント値に従って、供給装置10における錠剤Tbの供給タイミングを制御する。
[動作]
本実施形態の錠剤印刷装置Sにおいて、供給装置10が搬送装置20に錠剤Tbを供給する動作、搬送装置20に供給された錠剤Tbの表面に、文字やマークを印刷する動作を、図面を参照して説明する。
[錠剤供給動作]
図1に示すように、収容部11の投入口11aから投入された複数の錠剤Tbは、自重によって排出口11bから排出され、移動経路部12内の通路12dに入る。このように通路12d内に入ることにより、図2に示すように、錠剤Tbは移動経路部12の長手方向に沿って一列に並ぶ。
図3に示すように、側面部12b、12cの間隔、つまり、通路12dの幅Waは、錠剤Tbの1つ分よりも大きいが、2つ分よりも小さい。このため、収容部11から排出された錠剤Tbは、通路12d内に入って一列に整列され、側面部12b、12cによって両側をガイドされながら、傾斜した底面部12a上を、自重により移動方向Aに沿って滑り落ちる。
移動経路部12の下端に達した先頭の錠剤Tbは、待機部13に入る。そして、錠剤Tbは、図6(A)に示すように、待機部13の停止部13bに当たって停止する。これにより、錠剤Tbは、待機部13において水平状態で搬送装置20に供給される直前の待機状態となる。
このように、待機部13で待機状態の錠剤Tbに対して、吹付部141は、上記のようなタイミングで、エアーを吹き出す。すると、図6(B)に示すように、錠剤Tbは、排出方向Bに移動して、排出口13cを通過して、搬送ベルト21側に排出される。
ここで、図3に示すように、排出口13cの開口幅Wbは、錠剤Tbの1つ分よりも大きいが、2つ分よりも小さい。このため、錠剤Tbは、排出口13cから1つずつ排出される。錠剤Tbは、待機部13の停止部13bに当たって止まるので、待機部13内での待機位置が決まる。また、錠剤Tbは、排出口13cの停止部13b側に寄るが、停止部13b側に寄っている吹出口141bによって、錠剤Tbの重心にエアーを吹き付けることができるので、錠剤Tbは安定した姿勢で排出される。また、錠剤Tbは、停止部13bに沿って移動し、ガイドされながら排出されるので、排出位置が安定する。
以上のように、待機部13から排出された錠剤Tbは、図4に示すように、接触部15aに接触することにより、排出方向Bの移動を止めて搬送ベルト21の搬送面21a上に落下する。この時、待機部13の下部と搬送面21aとの間は、わずかな隙間となっているため、錠剤Tbが落下する高さが低く抑えられ、落下による錠剤Tbの位置や方向の変化を防止できる。搬送ベルト21の搬送面21aに落下した錠剤Tbは、図6に示すように、吸引口26に吸着保持された状態で搬送される。
さらに、後続の錠剤Tbが、待機部13に入り(図6(A))、所定のタイミングによる吹付部141の吹き付けによって、錠剤Tbが排出される(図6(B))。これにより、複数の錠剤Tbが、所定の間隔で搬送される。
[錠剤印刷動作]
センサ30は、搬送ベルト21の搬送面21a上を搬送される錠剤Tbが有るか無いかを検出するための距離の測定を行い、距離に応じた信号を制御装置90に出力している。搬送装置20に搬送される各列の錠剤Tbが錠剤検出位置Pdに来ると、センサ30の出力信号に基づいて、制御装置90が錠剤Tbの検出信号を生成する。制御装置90は、この検出信号に基づいて、エンコーダ27の信号からカウントを始め、この検出信号を生じさせた錠剤Tbの位置を追跡する。
追跡をしている錠剤Tbが、カメラ40の撮像領域(視野範囲)において、錠剤Tbの全体が撮像領域に入る位置に到達したタイミングで、カメラ40にて錠剤Tbを撮像する。
制御装置90は、撮像された画像データに基づいて、錠剤Tbが印刷可能か否かを判定する。錠剤Tbは、外観不良や姿勢不良の場合があり、このような場合以外は良品と認識され、印刷可能と判定する。
印刷可能と判定された場合、インクジェットヘッド51が、印刷位置Ppを通過する錠剤Tbに印刷を行う。この印刷のために、印刷すべき文字やマーク等の印刷データと、検出された錠剤Tbの姿勢の情報に基づいて、インクジェットヘッド51の複数のノズルからのインク滴の吐出パターンが生成される。この吐出パターンによりインクジェットヘッド51がインク滴を吐出することにより、錠剤Tbの表面の所定の位置に、所定の向きで文字やマーク等を印刷する。このようにして、搬送装置20で搬送される錠剤Tbが、搬送の基準となる基準位置を通過したことをセンサ30で検出され、その検出に基づいて印刷部であるインクジェットヘッド51によって、錠剤Tbに印刷が行われる。
外観不良や姿勢不良で印刷不可と判定された場合、インクジェットヘッド51は、印刷位置Ppを通過する錠剤Tbに印刷を行わない。
更に、印刷位置Ppにおいて印刷された錠剤Tbが、印刷確認カメラ52の撮影領域に進入すると、印刷確認カメラ52で所定の撮像領域の撮像がなされる。制御装置90は、撮像された画像データに基づいて、錠剤Tbに正常に文字やマークが印刷されたか否かを判定する。正常に印刷されなかったと判定された錠剤Tbについては、不良と判定される。
印刷確認カメラ52の撮影領域を通過した錠剤Tbは、搬送ベルト21の移動に伴ってさらに搬送され、乾燥ユニット53に対向して搬送される際に、表面に印刷された文字やマークのインクが乾燥され定着する。さらに、上記の処理が行われた錠剤Tbは、回収装置70に対応する不良品排出位置、収納装置80に対応する良品排出位置に向かう。
排出装置60のエアー噴射ノズルは、印刷がなされなかったことで不良となる錠剤Tb、外観不良や印刷不良のために不良となる錠剤Tb、不良ではないが、姿勢等が許容範囲を超えてしまったために印刷ができなかった錠剤Tbが、回収装置70に対応する位置に来た時に、エアーを噴射して、回収装置70に落下させる。このように、良品でない錠剤Tbは、搬送ベルト21から飛ばされて、回収装置70に落ちて回収される。
正常に印刷された良品の錠剤Tbは、良品排出位置に到達すると、吸引チャンバ25の吸引作用が働かなくなり、収納装置80内に落ちて収容される。すなわち良品として排出される。
[作用効果]
以上のような本実施形態の錠剤印刷装置Sは、錠剤Tbを搬送する搬送装置20と、搬送装置20に錠剤Tbを供給する供給装置10と、搬送装置20に搬送されている錠剤Tbに印刷する印刷装置と、を有し、供給装置10は、錠剤Tbが搬送装置20に向かって移動する移動経路部12と、移動経路部12の搬送装置20側の端部に設けられ、錠剤Tbが待機する待機部13と、搬送装置20に順次供給される錠剤Tbと錠剤Tbの間に、錠剤Tbの搬送方向の長さに応じた間隔が生じる位置に、待機部13に待機している錠剤Tbを排出することにより、搬送装置20に錠剤Tbを供給する供給部14とを有する。
特に、供給部14は、搬送装置20に順次搬送される錠剤Tbと錠剤TbのピッチをP、錠剤Tbの搬送方向の長さをd、搬送装置20に順次搬送される錠剤Tbと錠剤Tbの間隔をp、間隔pとして最低限必要な距離をsp、ピッチPとして最低限必要な距離をmP、とすると、P=d+pであり、このとき、間隔pは、p>0であって、錠剤Tbの搬送方向の長さに応じて、mP−d≦spであれば、p=sp、mP−d>spであれば、p=mP−d、となる間隔pが生じる位置に、待機部13に待機している錠剤Tbを排出する。すなわち、搬送装置20に順次供給される錠剤Tbと錠剤Tbの間に、錠剤Tbの搬送方向の長さに応じた最適な間隔が生じる位置に錠剤Tbを供給する。
ここで、センサ30の出力信号に基づく検出信号のON、OFFで錠剤Tbの有無を検出し、その後のカメラ40での撮像や、印刷部50による印刷処理などのタイミングを制御する場合、2以上の錠剤Tbが接して搬送されていると、検出信号のOFFからONとなる立ち上がりが、先頭の錠剤Tbにしか生じない。このため、後に続く錠剤Tbについては、上記のような基準位置を見出すことができないので、このような錠剤Tbが搬送装置20に供給されたこと自体が、錠剤印刷装置Sに認識されない。したがって、このような錠剤Tbは、印刷等の処理がまったく行われない。さらに、このような処理されない錠剤Tbが、排除されることもない。すると、結果的に良品の収納装置80へ収納され、良品と混在することになる。このような混在があると、収納装置80内に収納された錠剤Tbから良品と処理されなかった錠剤Tbとを分別する必要が生じてしまうために、生産性が落ちる。
本実施形態では、供給装置10が、確実に間隔を設けて錠剤Tbを供給することができるので、錠剤Tbが接触して搬送される状態を防止でき、印刷等の処理がなされない錠剤Tbの発生を低減するとともに、良品と分別する手間も軽減できる。つまり、センサ40で検出できない錠剤Tbの発生を防止できるので、供給されるすべての錠剤Tbを認識して、印刷等の処理を確実に行うことができ、錠剤Tbの製造において生産性を高めることができる。
また供給装置10は、複数の錠剤Tbが搬送装置20に向かって移動する移動経路部12を有し、待機部13は、移動経路部12の搬送装置20側の端部に設けられている。このため、移動経路部12からの錠剤Tbを一旦待機部13に待機させてから、任意のタイミングで排出させることができるので、移動経路部12から直接供給する場合に比べて、確実に錠剤Tbの間隔を空けることができ、等間隔とすることも容易である。
錠剤Tbのサイズの変更があった場合でも、これに応じて、容易且つ確実に錠剤Tbの間隔を確保しつつ、その間隔を必要最小限として、最大数の供給を行い、搬送効率、処理効率を高めることができる。例えば、供給側で供給位置や供給タイミングを制御するのではなく、錠剤Tbを搬送ベルト上に形成された窪みであるポケットなどに直接落とし込むことのみによって、錠剤Tbの間隔を確保する方法がある。この方法では、搬送ベルトの表面がシャッターの役割をしており、錠剤Tbの間隔は、ポケットの配置にのみ依存するので、必ずポケットを必要とする。すると、錠剤Tbの形状や大きさが変わる場合には、搬送ベルトを交換する必要があり、生産性が落ちる。また、錠剤Tbの種類毎に搬送ベルトを準備する必要があり、生産コストが上昇する。さらに、この方法では、高速で移動する搬送ベルトの表面に錠剤Tbが押し付けられることになり、錠剤Tbにダメージを与えるばかりでなく、擦れ落ちた錠剤Tbが粉塵となって、各部を汚すことになる。これに対して、本実施形態では、搬送ベルトにポケットが有るか無いかにかかわらず、錠剤Tbのサイズに変更があっても、錠剤Tbの間隔を制御でき、搬送ベルト21の交換も必要がない。このため、生産性が向上し、生産コストも抑えることができる。また、一旦待機部13に待機させた錠剤Tbを搬送ベルト21の供給するため、錠剤Tbのダメージも少ない。
また、搬送装置20に錠剤Tbがランダムに供給される場合、印刷の間隔にもバラつきが生じ、印刷のタイミングを含めた印刷処理が複雑となっていた。本実施形態では、搬送装置20への錠剤Tbの供給を一定間隔で行い、印刷の間隔を一定として、印刷処理を簡素化することができ、高速な処理による高スループットの錠剤印刷装置Sを構成できる。さらに、本実施形態は、単に錠剤Tbに間隔を空けるのではなく、第1の限界距離sp、第2の限界距離mPという2つの基準に着目し、この2つの基準に基づいて、錠剤Tbの間隔pを決定している。このため、錠剤Tbの間隔pを、処理に支障がなく、最も処理効率の高い距離にすることができる。
本実施形態は、待機部13から排出された錠剤Tbに接触することにより、錠剤Tbの排出位置を規制する規制部15を有し、規制部15は、待機部13からの錠剤Tbの排出方向の移動を遮り、搬送装置20に落下させる接触部15aを有する。このため、排出の勢いにより錠剤Tbの排出位置がバラつくことが防止される。つまり、錠剤Tbは、規制部15の接触部15aに接触することにより、排出方向Bの移動が止まるので、搬送ベルト21に対する錠剤Tbの供給位置のバラツキを失くすことができる。このため、小さな錠剤Tbであってもセンサ30の検出範囲から外れることが無く、確実に錠剤Tbの位置を把握することができる。また、錠剤Tbは、わずかな距離で搬送ベルト21の搬送面21aに落下するので、搬送面21a上における位置や方向のバラツキなく、一定位置に供給できる。また、錠剤Tbが搬送面21a上に供給された時、規制部15の接触部15aに接触しているので、落下時の振動が抑制される。また、接触部15aがガイドとなるので、移動する搬送面21aに供給された際の、錠剤Tbの位置や方向の変化が抑制される。このように搬送面21aにおける供給位置が安定するので、確実に錠剤Tbの間隔を確保することができる。
また、本実施形態は、供給部14による錠剤Tbの排出方向が、移動経路部12の錠剤Tbの移動方向と交差している。このため、待機部13からの錠剤Tbの排出が、移動経路部12における錠剤Tbの移動の延長線上ではなく、これと異なる方向で、供給部14により行われるので、排出速度を一定とし易く、安定した排出が可能となる。
本実施形態は、排出装置14は、エアーの吹き付けによって、錠剤Tbを待機部13から搬送装置20に排出させる吹付部141を有する。
このようにエアーの吹き付けによって錠剤Tbを供給するので、機械的に接触して押し出す場合に比べて、錠剤Tbに与えるダメージが少なく、錠剤Tbの不良品の発生を低減できる。また、エアーを吹き付けるため、機構部分が少なく、不具合により錠剤Tbが詰まる可能性を低減できる。また、仮に錠剤Tbが詰まったとしても、機械的に押し出す場合には錠剤Tbを傷つける可能性があるが、エアーの吹き付けであれば、錠剤Tbを傷つけることがない。このため、裸錠や素錠のように、表面の硬度が低い場合や傷つき易い場合、重量が軽い場合に、より適している。錠剤Tbは、待機部13内で待機位置が決まっている。このため、エアーの吹き付けによって錠剤Tbを供給しても、搬送面21aに対する錠剤Tbの供給位置のバラツキを失くすことができる。
本実施形態は、吹付部141が、待機部13に待機している錠剤Tbに対向し、エアーが吹き出す開口である吹出口141bを有し、吹出口141bの径は、錠剤Tbの径よりも小さい。
このため、錠剤Tbの直径よりも小さな径の吹出口141bによって吹き付けるので、排出させる錠剤Tbのみにエアーを当て易く、後続の錠剤Tbにエアーが当たることを防止できるので、排出の不具合を低減できる。特に、錠剤Tbが楕円形などの場合であっても、次に待機部13に入る錠剤Tbの姿勢を乱すことが無い。
本実施形態は、待機部13が、排出される錠剤Tbが1つずつ通過する開口である排出口13cを有し、吹出口141bの中心が、排出口13cの中心よりも、移動経路部12から移動してきた錠剤Tbの移動端側に寄っている。
このため、移動経路部12を移動してきた錠剤Tbの待機部13内での進行により、排出口13cと錠剤Tbの重心とのズレが生じても、エアーの吹き付けを重心近傍に合せることができる。このため、錠剤Tbは安定した姿勢で排出され、搬送面21aに対する錠剤Tbの供給位置のバラツキを失くすことができる。
また、錠剤Tbは、待機部13における停止部13bにガイドされながら排出されるので、これによっても、搬送面21aに対する錠剤Tbの供給位置のバラツキを失くすことができる。このように搬送面21aへの供給位置が安定するので、確実に錠剤Tbの間隔を確保することができる。
また、規制部15は、待機部13との間に設けられ、待機部13から排出される錠剤Tbの上方を覆うカバー15bを有する。このため、排出された錠剤Tbが上方から飛び出すことが防止される。これは、特に、エアーの吹き付けにより錠剤Tbを供給する場合に有効である
本実施形態は、移動経路部12が傾斜した直線状である。このため、構成がシンプルであり、所要スペースを小さくできるとともに、途中の衝突による錠剤Tbへのダメージも少なくて済む。また、垂直方向に錠剤Tbが積み重なる場合に比べて、錠剤Tbの重量が分散して、下層の錠剤Tbに加わる重量が軽減されるので、詰まり等が発生し難く、排出する際に加える圧力が軽くなり、錠剤Tbへのダメージも少ない。また、待機部13の錠剤Tbの上面には重量がかからないため、排出はスムーズに行うことができる。
[他の実施形態]
本発明は、上記の実施形態には限定されない。
(1)供給装置10は、以下のような態様も含む。
(供給タイミング)
供給タイミングを制御するパルスのカウント値は、モータMの駆動軸の回転に伴って出力されるパルスに基づくものには限定されない。搬送面21aの位置を追跡するエンコーダからのパルスのカウント値を用いてもよい。例えば、搬送ベルト21の移動方向に沿って等間隔に複数形成された穴や突起等の検出対象を、レーザ等により検出する毎にパルスを発生するエンコーダを用いてもよい。この場合も、エンコーダのパルスのカウント値が、錠剤Tbに間隔が空く所定のカウント値となった場合に、供給部14が錠剤Tbを供給するように、制御装置90が制御する。つまり、搬送面21aにおける錠剤Tbの間隔が空く位置そのものを判断して錠剤Tbを供給している。このようにすれば、搬送面21aの移動距離だけで制御できるので、搬送ベルト21の撓みや滑り等により、実際の移動速度が変化しても、確実に錠剤Tbに間隔を空けることができる。
また、錠剤Tbを、錠剤Tbの大きさに応じた間隔で搬送させるために、供給部14が、錠剤Tbを1つずつ搬送装置20に供給する周波数f又は周期cを、制御装置90が制御することもできる。錠剤Tbを供給する周波数f、周期cは、本実施形態においては、吹付部141によるエアーの吹き出しの周波数f、周期cに相当する。この周波数fは、上記のように、
錠剤Tbの搬送速度をv [mm/s]
錠剤Tbの搬送方向の長さをd [mm]
錠剤Tbの間隔をp [mm]
とすると、以下の式1で示す通りである。
f=v/(d+p) …式1
ここで、ピッチP[mm]は、1/2d+p+1/2dとなるので、
P=d+p[mm]
である。
錠剤Tbを供給する周期c、すなわち錠剤Tbを供給するためのエアーの吹き付け周期cは、搬送速度vに合わせて、このPとなるような時間間隔tmとなる。
時間間隔tmは、
tm=P/v[s]
この時間間隔tm[s]毎に、1回ずつエアーを吹き付けることになるので、吹き付け周期cは、以下の通りとなる。
c=tm
=P/v
=(d+p)/v [s]
したがって、吹き付け周波数fは、以下の通りである。
f=1/c
=v/(d+p)[Hz]
但し、上記のように、第1の限界距離sp[mm]、錠剤印刷装置Sの限界時間t[s]及びこれに基づく第2の限界距離mP[mm]が存在する。このため、
p≧sp且つc≧t
である必要がある。さらに、可能な限り錠剤Tbの間隔pを小さくするためには、
mP−d≦sp
であれば、
p=spとし、
mP−d>sp
であれば、
p=mP−dとする。
つまり、
mP−d≦sp
のときは、
c=(d+sp)/v [s]
mP−d>sp
のときは、
c=(d+mP−d)/v
=mP/v
ここで、第1の限界距離mPは、限界時間t内に移動する錠剤Tbの距離なので、
mP=t×v [mm]
したがって、
c=(t×v)/v
=t [s]
となる。
制御装置90の記憶部には、あらかじめ搬送装置20の搬送速度v、錠剤Tbの搬送方向の長さd、錠剤Tbの間隔pが設定されている。そして、上記の通り、速度v、長さd、間隔pのパラメータに基づいて、演算部がエアーの吹出し周波数fを算出し、この周波数で、吹付部141がエアーを吹き出すように、ブロワーユニットやバルブを制御する。
なお、錠剤印刷装置Sにおいて錠剤Tbに印刷を行って製造しようとする場合、作業者は、入力装置を用いて、出力装置に表示された入力画面を参照し、錠剤印刷装置Sを稼働させるための各種パラメータを入力する。例えば、搬送速度v、第1の限界距離spや、印刷する錠剤Tbの品種情報すなわちサイズ、形状や、印刷、検査情報すなわち印刷パターンや検査項目、検査基準などが入力、設定される。制御装置90は、錠剤Tbのサイズに応じて、限界時間t、第2の限界距離mPを求め、上記のように、錠剤Tbの間隔p及びピッチP、周波数f又は周期cを求める。制御装置90は、周波数f又は周期cで錠剤Tbを供給するように、供給部14による供給タイミングを制御する。
さらに、上記のように、錠剤Tbの形状、大きさ、印刷のパターン等によって、限界時間t及びこれに対応する第2の限界距離mPは変わる。このような錠剤Tbの品種の変更に応じた対応も、錠剤Tbの品種情報を入力するだけで、適切なタイミングでの錠剤Tbの供給が可能となるため、品種の変更も容易となる。また、錠剤Tbの品種の変更に応じて、搬送速度vを変化させても良い。搬送速度vを変化させた場合にも、錠剤Tbの搬送方向の長さdを入力するだけで、適切なタイミングでの錠剤Tbの供給が可能となる。
なお、エアーの吹き付け等、錠剤Tbへの排出動作開始から、実際に錠剤Tbが待機部13から排出されて搬送装置20に供給されるまでには、時間がかかる。この時間を実排出時間とする。待機部13における錠剤Tbの位置等が、各錠剤Tbにより僅かに相違する場合には、各錠剤Tbを排出する毎の実排出時間に僅かにバラツキが生じる可能性がある。このようなバラツキが大きいと、実排出時間が長い錠剤Tbと実排出時間が短い錠剤Tbとの間隔が、センサ30により検出できる限界の距離である検出限界距離よりも短くなる可能性がある。そこで、カウント値に基づく制御であっても、周波数や周期に基づく制御であっても、この実排出時間のバラツキを考慮した制御をするとよい。
より具体的には、各錠剤Tbの実排出時間を実測して、最小の実排出時間と最大の実排出時間の差分により実排出時間の最大時間差tdを求める。そして、錠剤Tbの間隔として最低限必要な距離である第1の限界距離spとしては、検出限界距離をspmとすると、検出限界距離spmに最大時間差tdを加味した値を設定するとよい。つまり、
sp=td+spm
とする。
これにより、実排出時間にバラツキがあっても、最低限、センサ30の検出限界距離splが確保される。つまり、限界距離spは、必ずしもセンサ30の検出限界距離sp1に一致させる必要はなく、ある程度の幅を持たせてもよい。但し、実排出時間のバラツキが、錠剤Tbの間隔が検出限界距離spmよりも短くならない程度の小さいものであれば、許容できるバラツキとして、最大時間差tdを加味する必要はない。
(各部のサイズ)
上記のように、吹出口141bの口径Wcは、錠剤Tbの直径dより十分小さく、後続の錠剤Tbに対しては吹き付けの力が及ばないものとすることが好ましい。そして、吹出口141bからの吹き付けの中心が、停止部13bに当たって停止した錠剤Tbの重心Soを押す位置に配置されることが好ましい。但し、錠剤Tbを1つずつ供給できるのであれば、後続の錠剤Tbに多少のエアーがかかったり、吹き付けの中心が重心Soから多少のずれがあってもよい。
通路12dの幅Wa、排出口13cの開口幅Wbは、錠剤Tbがスムーズに移動するよう、直径dに対してクリアランスを持たせた大きさとする。また、開口幅Wbは、錠剤Tbを搬送ベルト21上に落下させた時に、落下位置が大きくずれないだけのクリアランスとするとよい。上記の実施形態で述べたように、d<Wa<2×d、d<Wb<2×dとすることが考えられる。より好ましくは、Wa、Wbともに、d×1.1≦
Wa,Wb≦d×1.2程度とするとよい。
また、上記の実施形態では、図3に示すように、規制部15の搬送方向の長さを、排出口13cの開口幅Wbと同等としていた。但し、排出口13cから排出された錠剤Tbが確実に当たる長さであればよいため、錠剤Tbのサイズに応じて、開口幅Wbよりも小さくても、大きくてもよく、調整できるようになっているとよい。
(収容部)
収容部11は、移動経路部12に錠剤Tbを排出することができるものであればよい。このため、錠剤Tbの自重によって排出するものには限定されず、振動フィーダの振動によって排出する場合のように、外部からの力を加えて排出させるものであってもよい。
(移動経路部)
移動経路部12の通路12dに、図7(A)に示すように、錠剤Tbの周囲に接するとともに、錠剤の移動方向に沿って連続した突出部12eを設けてもよい。図7(A)の左図は、移動経路部12の平面図、右図は、左図のa−a断面図である。図7(A)の態様では、突出部12eは、通路12dの断面方向から見て、通路12dの上側の2つ縁部と、下側の2つの隅の4箇所から、中心に向かって均等に突出している。
ここで、例えば、図7(B)に示すように、突出部12eを設けない通路12dで、楕円形、長方形のように、方向によって経が異なる形状の錠剤Tを移動させる場合には、通路12d内での錠剤Tbの方向が揃わない。このため、待機部13から排出されて搬送ベルト21に載る錠剤Tbの方向も一定にならない。このため、頻繁に印刷パターンの調整を行わなければならず、印刷不良の錠剤Tbも多くなる。なお、図7(B)の左図は、移動経路部12の平面図、右図は、左図のb−b断面図である。
一方、図7(A)に示すように、突出部12eを設けた場合、通路12d内の錠剤Tbは、断面方向から見て上下左右の四方向から支持されるので、常に同じ方向で搬送される。このため、待機部13にも常に同じ方向で入ることになり、搬送ベルト21に供給される錠剤Tbの方向もバラツキが抑制される。したがって、印刷不良等を低減できる。なお、突出部12eの錠剤Tbに接する部分は、丸みや面取りを形成して、錠剤Tbに与える影響を低減するとよい。
移動経路部12は、必ずしも直線状には限定されない。曲線状、螺旋状等であってもよい。また、移動経路部12は、上記のように傾斜したものには限定されない。例えば、移動経路部12を垂直としてもよい。つまり、垂直に配置された移動経路部12内の通路12d内に、上下に積み重なった錠剤Tbが、自重により最下部の錠剤Tbが待機部13に入る構成としてもよい。この場合でも、待機部13の錠剤Tbに対して、上記のタイミングで吹付部141が気体を吹き付けることによって、錠剤Tbを所定の間隔、つまり錠剤Tbの大きさに応じた間隔を確保して順次供給することができる。これにより、水平方向の設置スペースに制約がある場合などに、有効となる。特に、糖衣錠やフィルムコーティング錠のように表面の硬度がある程度有って錠剤Tbへのダメージが大きくならないような錠剤の場合有効である。但し、錠剤Tbが垂直方向に積み重ねられるので、待機部13の錠剤Tbにかかる重量が大きくなるので、錠剤Tbを排出のための気体の噴出量や噴出圧は大きくする。
また、移動経路部12を水平としても良い。この場合、錠剤Tbを通路12d内で移動させるために、プッシャー等の接触による押出しや、気体による吹き付け等により送り出しを行う。また、傾斜した移動経路部12の端部が水平部分を有していて、待機部13に連続していてもよい。このようにすることで、待機部13で待機する錠剤Tbに、斜めにかかる押圧力を失くすことができるので、より安定した錠剤Tbの排出を行うことができる。
さらに、上記の態様では、移動経路部12の上部が開放されている樋状となっていたが、上部の一部又は全部が塞がっていてもよい。つまり、移動経路部12を、トンネル状、チューブ状に形成してもよい。錠剤Tbの様子を視認可能とするには、上部の全部又は一部が開放されていることが好ましい。但し、錠剤Tbの飛び出し、異物の混入等を防止するには、上部の一部又は全部が塞がっていることが好ましい。
(待機部)
待機部13の水平部分は、錠剤Tbの一つ分に限られない。複数分の大きさで有っても良い。この場合、上記のように、排出口13cの開口幅Wbが錠剤Tbを一つだけ排出できる幅であればよい。
待機部13は、錠剤Tbとの接触部分に、柔軟性のある材料を用いてもよい。接触部分としては、待機部13の内壁が含まれる。柔軟性のある材料としては、例えば、スポンジ、ゴム、高分子ゲル等が含まれる。具体的には、移動経路部12から進行してきた錠剤Tbが当たる停止部13bの内壁に、柔軟性のある材料の部材を設けるか、停止部13b自体を柔軟性のある材料で形成することが考えられる。背部13dの内壁も同様である。これにより、接触する錠剤Tbへの物理的衝撃を緩和でき、不良品の錠剤Tbを低減できる。
また、錠剤Tbのサイズに合わせて、排出口13cの開口幅Wbを変更できる構成としてもよい。この場合、錠剤Tbのサイズに応じて、移動経路部12の通路12dの幅Wa、待機部13の停止部13bの位置、供給部14の位置も、変更できる構成とする必要がある。このために、錠剤Tbのサイズに応じて、通路12dの幅Wa、停止部13bの位置、供給部14の位置が異なる移動経路部12、待機部13、供給部14を一体的に構成した供給用部材を複数用意しておく。そして、この供給用部材を、錠剤Tbのサイズに合わせて選択して、収容部11と搬送装置20との間に設置する。錠剤Tbのサイズを変更する場合には、これに応じた供給用部材に交換する。
また、通路12dの幅Wa、停止部13bの位置の位置を変更するための調整部材を、移動経路部12、待機部13に着脱する構成とすることもできる。例えば、図8に示すように、移動経路部12と同様の底面部12a’、側面部12b’、12c’と、待機部13と同様の載置部13a’、停止部13b’排出口13c’、背部13d’とを有する調整部材16を用いる。この調整部材16は、側面図12b’、12c’の間隔で決まる通路12d’の幅Wa’が、錠剤Tbの大きさに合わせて、通路12dの幅Waよりも狭く形成され、側面部12c’と停止部12b’の間隔で決まる排出口13c’の開口幅Wb’が、開口幅Wbよりも短く形成されている。また、吹出口141b’は、停止部13b’に接して停止した錠剤Tbの重心にエアーを吹き付ける位置に形成されている。したがってこの場合、通路12の幅Waや排出口13cのWbは、適用される錠剤Tbのサイズより大きく設定されている。
一方、図9に示すように、吹付部141の吹出口141bは、複数種の吹出口141b’の位置に対応可能となるように、口径が大きく又は幅が広く形成されている。このような調整部材16は、図9に示すように、移動経路部12及び待機部13内に挿入することにより、より小さな径の錠剤Tbに対応する通路12d’の幅Wa’、停止部12b’の位置、開口幅Wb’を有する装置に変更することが可能となる。吹出口14b’は、吹付部141の吹出口141bに連通しているので、吹付部141からのエアーが、吹出口14b’から吹き出して、錠剤Tbを排出させることができる。なお、図9では、一点鎖線で示した規制部15’についても、開口幅Wb’に合わせた幅のものを用いている。このように、錠剤Tbのサイズに応じて、複数の調整部材16を用意しておき、調整部材16を交換することで、上記のような供給用部材を交換する場合に比べて、異なるサイズの錠剤Tbに用意に対応させることができる。
なお、調整部材16は、一体的に設けなくてもよい。つまり、通路12d’、載置部13a’を別体としてもよい。また、側面部12b’、12c’のいずれか一方を挿入して固定することにより、通路12d’の幅Wa’を調整できる構成としてもよい。停止部12b’を挿入して固定することにより、開口幅Wb’を調整できる構成としてもよい。以上のような供給用部材、調整部材についても、通路12、12b’に、図7に示したような突出部12eを設けることにより、サイズの異なる錠剤Tbの安定を図ってもよい。
また、排出方向Bは、移動方向Aに交差する方向であればよく、必ずしも直交していなくてもよい。さらに、搬送方向Dとも交差する方向で有ればよく、必ずしも直交していなくてもよい。移動方向Aも搬送方向Dと必ずしも平行で有る必要はなく、交差する方向でも良い。錠剤Tbの供給のタイミングが所定間隔で行えるのであれば、供給装置10の各部の配置は自由である。
さらに、待機部13において錠剤Tbが載る面に、曲面を設けてもよい。例えば、図10に示すように、載置部13aに、垂直断面が下方に窪んだ部分円となる曲面を形成することが考えられる。なお、図10では、規制部15については図示を省略している。このようにすると、載置部13aに載った錠剤Tbが、曲面に沿って移動して中心線Sd側に寄せられるので、錠剤Tbの排出位置が一定となり安定する。また、部分円の最も窪んだ位置、例えば、中心線Sdの位置を、吹出口141bの中心Scに合わせることにより、吹出口141bの中心Scを、錠剤Tbの重心Soに対応する位置として、エアーを重心Soに対応する位置に当てることができる。
(供給部)
上記の実施形態では、図3に示すように、錠剤Tbの重心Soにエアーを当てるために、吹出口141bの中心Scが、排出口13cの中心Sbよりも、移動方向Aに移動する錠剤Tbの移動端側に寄っている。これは、排出のための力を錠剤Tbの重心近傍にかけるだけでなく、口径Wcの吹出口141bが、後続の錠剤Tbにエアーが当たることを防止できることにもなる。これにより、錠剤Tbを確実に一つずつ排出することができる。また、後続の錠剤Tbの姿勢を乱すことが無い。但し、開口幅Wbが1錠分を排出する幅であれば、後続の錠剤Tbに多少のエアーが当たっても問題はなく一つずつ錠剤を排出することができる。また、平面視円形の錠剤Tbのように、錠剤Tbの形状によってはその姿勢が乱れにくいものが有る。したがって、必ずしも吹出口141bの中心Scが、排出口13cの中心Sbよりも、移動方向Aに移動する錠剤Tbの移動端側に寄っている必要はない。さらに、エアーの吹き出し方向が必ずしも排出方向Bと平行である必要もない。後続の錠剤Tbにエアーが当たったとしても、供給部14の吹付部141が、錠剤Tbを停止部13bへ押し付ける方向にエアーを吹き付けることによって、確実に停止部13dにガイドされて錠剤Tbが排出されるので、落下位置を安定させることができる。
したがって、図11に示すように、吹付部141又は吹出口141bを複数設けてもよいし、吹出口141bをスリットとし、ライン状に気体を吹き出しても良い。これらの場合、各吹出口141bからの気体の吹き出し流量、圧力を場所によって変えることにより、錠剤Tbの排出方向や停止部13dに対する押しつけ力を調整することができる。また、吹付部141又は吹出口141bの位置を可変として、吹き付け位置を調整できるようにしてもよい。これにより、さまざまな錠剤Tbの形状に対して最適な排出のための力をかけることができる。また、吹付部141が吹き付ける気体は、空気には限定されない。対象となる錠剤Tbによっては、不活性ガス等、他の気体を吹き付けてもよい。
供給部14は、待機部13に待機している1つの錠剤Tbを排出させることができる構成であればよい。このため、気体を吹き付ける吹付部141には限定されない。例えば、図12に示すように、プッシャー142を用いて錠剤Tbに接触させて押し出す構成としてもよい。プッシャー142は、例えば、シリンダ142aにより駆動され、先端が錠剤Tbに接触するピン142bにより構成することができる。プッシャー142のピン142bは、上記のような錠剤Tbに所定の間隔が空くタイミングで錠剤Tbを押し出す。これにより、搬送面21aの錠剤Tbに所定の間隔を空けることができる。特に、糖衣錠やフィルムコーティング錠のように、表面の硬度がある程度高い場合など、錠剤Tbを傷つける懸念が少ない場合や錠剤Tbの重量が有るような場合に適用できる。この場合、気体の吹き付けより確実に錠剤Tbを排出できる。
このように、物理的な接触により錠剤Tbを押し出す場合にも、ピンの接触位置は、錠剤Tbの重心Soに対応する位置とすることが望ましい。このため、上記のように、ピン142bの配置位置を、排出口13cの中心よりも移動方向Aの末端側に寄せることが考えられる。但し、上記のように、錠剤Tbの形状によってはその姿勢が乱れにくいものがあるので、必ずしもピン142bの位置が、排出口13cの中心Sbよりも、移動方向Aに移動する錠剤Tbの移動端側に寄っている必要はない。さらに、ピン142bの押圧方向が必ずしも排出方向Bと平行である必要もない。ピン142bが、錠剤Tbを停止部13bへ押し付ける方向に付勢することによって、確実に停止部13dにガイドされて錠剤Tbが排出されるので、落下位置を安定させることができる。
また、供給部14を、図13に示すように、排出口13cを開閉するシャッター143により構成してもよい。例えば、待機部13の載置部13aに排出口13c側が低くなる傾斜が設けられていて、排出口13cに図示しない駆動機構により開閉するシャッター143を設ける。シャッター143が、上記のような周波数に基づくタイミングで開き、載置部13aの傾斜により錠剤Tbが排出された後に閉じることにより、錠剤Tbを所定の間隔を空けて供給することができる。この場合にも、移動経路部12から移動してきた錠剤Tbは、一旦待機部13に入って停止し、かつ移動方向Aと排出方向Bとが交差するので、シャッター143を閉じる時に後続の錠剤Tbとシャッター143が干渉することはない。よって、このような待機部13を設けることなく移動経路部12から錠剤Tbを直接供給する場合よりも、確実に排出タイミングを制御できる。
(規制部)
規制部15についても、錠剤Tbと接する面に、柔軟性のある材料を用いてもよい。例えば、接触部15aの排出口13cから排出された錠剤Tbが当たる部分に、柔軟性のある材料の部材を設けるか、接触部15a自体を柔軟性のある材料とすることができる。これにより、接触により錠剤Tbに加わる衝撃を緩和することができる。
さらに、規制部15の接触部15aにおける錠剤Tbが接触する面が、曲面であってもよい。例えば、図14に示すように、接触部15aの待機部13に対向する面を、水平断面が部分円となる曲面とすることが考えられる。部分円の中心線Seの位置を、搬送ベルト21の所望の位置に合わせて設けることにより、待機部13から排出された錠剤Tbが接触部15aに接触すると、錠剤Tbが曲面に沿って移動して中心線Se側に寄せられるので、錠剤Tbの落下位置を揃えることができる。
また、規制部15は、錠剤Tbが当たって定位置に落下させる部分があればよい。このため、カバー15bを設けない態様も構成可能である。さらに、供給部14による錠剤Tbの排出位置を定位置とすることができるのであれば、規制部15を省略してもよい。
(供給列数)
錠剤Tbを搬送する列数は、1列でも、2列以上であってもよい。例えば、図5に示したように、搬送装置20の搬送ベルト21に2列で搬送する場合、2つの供給装置10によって2列で供給する。この場合、搬送ベルト21上の2列の錠剤Tbのそれぞれについて印刷を行うために、上述したセンサ30、カメラ40、インクジェットヘッド51、印刷確認カメラ52、乾燥ユニット53、2つのエアー噴射ノズル60及び回収装置70は、当該2列の錠剤Tbに対応するように、各々共用としても良いし、別々に2セット設けても良い。
供給装置10及び搬送装置20の少なくとも一方を、搬送方向に直交する方向に移動可能に設け、一台の供給装置10から、複数の列に順次供給できる構成とすることも可能である。図15は、錠剤Tbを供給する列が2列の例である。供給部14は、搬送ベルト21の搬送面21aの各列に対して、錠剤Tbの間隔が空くように錠剤Tbを供給する。この場合、錠剤Tbの列数をNとすると、錠剤Tbの供給はN倍のペースで行い、これに応じて供給装置10が移動する。
例えば、
錠剤Tbの搬送速度をv [mm/s]
錠剤Tbの搬送方向の長さをd [mm]
錠剤Tbの間隔をp [mm]
錠剤Tbの列数をN
とすると、供給装置10における供給部14が錠剤Tbを供給する周期cは、N列に応じて短かくする必要があるので、
c={(d+p)/v}/N [s]
となる。
(2)搬送装置20の搬送ベルト21の搬送面21aには、図16に示すように、錠剤Tbが入る窪みであるポケット26aを設けてもよい。また、このポケット26aに、錠剤Tbを吸着保持する吸引口26を設けても良い。このような搬送ベルト21の場合、制御装置90によって、このポケット26aに入るタイミングで供給部14が錠剤Tbを供給する。例えば、ポケット26aが到来するエンコーダーパルスのカウント置に従って、錠剤Tbを供給する。これにより、さまざまなポケット26aのピッチや大きさに対して、自在に供給タイミングを設定することが可能となる。したがって、錠剤Tbの形状や大きさによって搬送ベルト21を切り替えても、供給装置20は供給タイミングを制御するだけですむ。また、ポケット26aに確実に錠剤Tbを供給することができるので、ポケット26aにうまく入らなかったりすることが無く、錠剤Tbはより安定して搬送される。
(3)上記の実施形態は、錠剤Tbの一方の面に印刷する錠剤印刷装置Sとして説明した。但し、本発明は、上記と同様の構成の搬送装置、センサ、カメラ、印刷機構、排出装置、回収装置、収納装置を追加して、錠剤Tbの両面に印刷を可能とする錠剤印刷装置Sとして構成することもできる。この場合、搬送装置20の良品が離脱する位置において、収納装置80ではなく、追加された搬送装置が良品を、他方の面が印刷される面となるように受け取る。そして、追加されたセンサ、カメラ、印刷機構、排出装置、回収装置、収納装置によって、上記と同様に、他方の面への印刷、不良品の回収、良品の収納が行われる。
また、排出装置、回収装置、収納装置は追加された搬送装置にのみ配置し、追加された搬送装置にて不良品の回収、良品の収納としても良い。この場合は、搬送装置20に供給された錠剤Tbは排出されることなくそのまま追加された搬送装置に受け渡される。搬送装置20で判定された結果は追加された搬送装置での錠剤Tbの追跡にも適用される。さらに、排出装置、回収装置、収納装置は、必ずしも設けなくてもよく、必要に応じて配置すればよい。例えば不良品の回収を行わないのであれば、排出装置や回収装置は設けない。また、収納装置の代わりに後の工程、例えば包装装置などへ搬送する搬送装置としても良い。
(4)実施形態において、センサ30はレーザセンサのような反射型の光学センサを用いるとしたが、レーザのビーム形状は限定されない。例えば、スポットビームでもよく、ラインビームでも良い。また、ラインセンサのようなイメージセンサでも適用できる。ラインセンサを適用する場合は、画像として処理をするのではなく、しきい値を超えた出力が存在したら出力信号をONとする。また、レーザでない光でも良く、超音波を用いるものでも良い。搬送ベルト21上の錠剤が検出できればさまざまなセンサが適用可能である。
(5)カメラ40を設置しない態様も構成可能である。つまり、上記の実施形態では、センサ30の出力信号に基づく錠剤Tbの検出信号をOFFからONとした錠剤Tbに対し、カメラ40が撮像し、その撮像画像に基づいて印刷等の処理をしている。しかし、カメラ40を省略して、錠剤Tbの検出信号に基づいて印刷部50による印刷をしてもよい。カメラ40を省略して、印刷確認カメラ52によって、錠剤Tbの状態の確認を行っても良い。また、印刷確認カメラ52を省略することもできる。
(6)実施形態において、インクジェットヘッドで説明したが、印刷部50は、非接触でさまざまなタイミングで錠剤Tbに印刷ができればよく、例えばレーザプリンタでも良い。
(7)実施形態において、乾燥ユニット53を設けているが、搬送中の乾燥が可能であれば、乾燥ユニット53は必ずしも設けなくても良い。
(8)錠剤Tbの形状は、円形には限定されない。楕円形状、トラック形状、丸みを帯びた三角形状や方形状等、種々の錠剤Tbが適用可能である。この場合、排出口13cの開口幅Wbは、錠剤Tbの1つ分の最大径よりも大きく、2つ分の最大径よりも小さければよい。但し、図7に示すように、楕円形状等の場合でも、小径部分が開口幅Wb方向となって排出されるように錠剤Tbの方向を揃えることができるのであれば、1つ分の小径よりも大きく、2つ分の小径よりも小さくでもよい。
(9)実施形態において、設定した各種の値に対する大小判断、一致不一致の判断等において、以上、以下として値を含めるように判断するか、より大きい、上回る、超える、より小さい、下回る、未満として値を含めないように判断するかの設定は自由である。
(10)以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。