JP6745238B2 - 加飾フィルム用粘着剤組成物、加飾フィルム及び加飾成形品 - Google Patents

加飾フィルム用粘着剤組成物、加飾フィルム及び加飾成形品 Download PDF

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Description

本発明は、加飾フィルム用粘着剤組成物、加飾フィルム及び加飾成形品に関する。
自動車内装品などの三次元曲面を有する成形体(以下、「被着体」ともいう。)を加飾する方法として、真空成形法、圧空成形法などが知られている。真空成形法、圧空成形法などでは、加飾フィルムを例えば100℃以上に加熱し、柔らかくした状態で引き伸ばし、被着体に圧着後、室温に冷却する(以下、このような処理を「加熱冷却」ともいう。)。その後、加飾フィルムの不要な部分についてトリミングを行っている。
一般的に被着体の材質としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下、「ABS樹脂」ともいう。)が用いられている。近年、自動車内装品の軽量化のために、比重が低く、かつ、熱成形性にも優れるポリプロピレン樹脂(以下、「PP樹脂」ともいう。)を被着体として使用する場合が増えている。そのため、低極性であるPP樹脂を加飾することが可能な加飾フィルムが求められている。
加飾フィルムと被着体との貼着には粘着剤が用いられるため、加飾フィルムは基材層と粘着剤層とを少なくとも有することが多い。
加飾フィルムとして、例えば、基材、装飾層、アクリル系粘着剤及び、90℃〜180℃の軟化点を有する粘着付与剤とを含んでなる粘着剤層とをこの順に有してなる、真空成形用加飾フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
加飾フィルム用粘着剤として、例えば、アクリル酸n−ブチル: アクリル酸=95:5の共重合物と硬化剤とを含むアクリル系粘着剤が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、加飾フィルム用粘着剤として、例えば、2種のアクリル系ポリマーを含むいわゆるブレンドタイプの粘着剤組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2012−213894号公報 特開2015−196289号公報 特開2009−35588号公報
一般に、加飾フィルムが備える粘着剤層は、トリミングを容易に行うために、加熱冷却後のタックが低いことが求められる。また、加飾フィルムは、加熱時に引き伸ばされるため冷却時にもとに戻ろうとする応力が働き、不意な剥離が生じやすい。このため、加飾フィルムが備える粘着剤層には、加熱冷却後の被着体に対する粘着力が高いことが求められる。
上記の特許文献1〜3はいずれも、被着体の材質については何ら検討されていないため、PP樹脂のように極性の低い被着体に対しては、剥がれが生じる場合があった。
具体的には、発明者らが検討したところ、特許文献1に記載の真空成形用加飾フィルムでは、アクリル系粘着剤の組成及び物性について何ら検討されていない。このため、加熱冷却後にタックが高く作業性に劣る場合や、冷却後の粘着力が低く不意な剥離が生じる場合があった。
また、特許文献2に記載のアクリル系粘着剤及び特許文献3に記載の粘着剤組成物では、PP樹脂のような極性の低い被着体に対する粘着力が低く不意な剥離が生じる場合があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、加熱冷却後のタックが低く抑えられ、かつ、極性の低い被着体に対する粘着力が高い粘着剤層を形成可能な加飾フィルム用粘着剤組成物、並びに当該粘着剤層を有する加飾フィルム及び加飾成形品を提供することを課題とする。
上記課題を解決する手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> tert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して25質量%〜65質量%であり、かつ、カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して8質量%以下である(メタ)アクリル系ポリマー100質量部と、粘着付与樹脂30質量部〜50質量部と、を含み、架橋剤の含有量が10質量部未満である加飾フィルム用粘着剤組成物。
<2> 前記粘着付与樹脂の軟化点が70℃〜130℃である<1>に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
<3> 前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度が−40℃〜−5℃である<1>又は<2>に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
<4> 前記(メタ)アクリル系ポリマーにおけるカルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して0.05質量%以上である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の加飾フィルム用粘着剤組成物
<5> 前記粘着付与樹脂は、テルペン樹脂及びロジン樹脂から選ばれる少なくとも1種である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
<6> 架橋剤の含有量が、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して0.01質量部以上である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
<7> 架橋後のゲル分率が50質量%未満である<6>に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
<8> 基材と、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の加飾フィルム用粘着剤組成物から形成された粘着剤層と、を有する加飾フィルム。
<9> 成形体と、前記成形体上に配置された<8>に記載の加飾フィルムと、を有する加飾成形品。
本発明によれば、加熱冷却後のタックが低く抑えられ、かつ、極性の低い被着体に対する粘着力が高い粘着剤層を形成可能な加飾フィルム用粘着剤組成物、並びに当該粘着剤層を有する加飾フィルム及び加飾成形品を提供することができる。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
また、本明細書において組成物中の各成分の量は、加飾フィルム用粘着剤組成物中に各成分に該当する物質を複数種併用する場合には、特に断らない限り、その成分に該当する複数種の物質の合計量を意味する。
(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタアクリレートの少なくとも一方を意味する。
加飾フィルム用粘着剤組成物とは、(メタ)アクリル系ポリマーと架橋剤との架橋反応が終了する前の組成物であって、例えば、液状、ペースト状又は粉末状の組成物を意味する。
粘着剤層とは、粘着剤組成物を塗布及び乾燥して層状に形成したものを意味する。一実施形態においては、(メタ)アクリル系ポリマーと架橋剤とが実質的に架橋した後の層であって、例えば、固形状又はゲル状の層を意味する。
≪加飾フィルム用粘着剤組成物≫
本発明の加飾フィルム用粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」ともいう。)は、tert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して25質量%〜65質量%であり、かつ、カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して8質量%以下である(メタ)アクリル系ポリマー100質量部と、粘着付与樹脂30質量部〜50質量部と、を含み、架橋剤の含有量が10質量部未満である。
本発明の粘着剤組成物は、少なくとも特定量のtert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び特定量のカルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を含有する(メタ)アクリル系ポリマーと、特定量の粘着付与樹脂と、を含み、架橋剤の含有量が特定量以下であるため、PP樹脂のような極性の低い樹脂から形成された被着体に対して優れた粘着力を発揮し、かつ、加熱冷却後のタックを低く抑えることが可能である。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系ポリマーは、tert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を、全構成単位に対して25質量%〜65質量%含んでいる。特に、tert−ブチル(メタ)アクリレートは極性が低いので、本発明の(メタ)アクリル系ポリマーは、一般的な(メタ)アクリル系ポリマーと比べて極性が低く抑えられ、極性が低い粘着付与樹脂との相溶性が向上する傾向にある。
本発明の粘着剤組成物は、粘着付与樹脂を30質量部〜50質量部を含む。上記のとおり粘着付与樹脂は、本発明の粘着剤組成物が含む(メタ)アクリル系ポリマーに対して高い相溶性を示す。そのため、本発明の粘着剤組成物は、粘着付与樹脂を30質量部〜50質量部と比較的多く含んでいるにも関わらず、粘着付与樹脂がブリードアウトしやすい加熱中にもブリードアウトし難く、粘着剤層の表層に留まりやすいものである。本発明の粘着剤組成物から形成した粘着剤層は、表層に局在した粘着付与樹脂により、極性の低い被着体に対しても優れた粘着力を維持することが可能となる。
また、本発明の粘着剤組成物が粘着付与樹脂を比較的多く含むことで、粘着剤層の表層付近に留まる粘着付与樹脂の量が多くなり、タック発現の温度は、室温よりも高温領域に移動しやすくなり、加熱冷却後のタックをより低く抑制することが可能となる。
なお、一般的に、粘着付与樹脂がブリードアウトすると、粘着剤層の粘着力は下げる傾向にある。
また、本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーを構成するtert−ブチル(メタ)アクリレートのガラス転移温度(Tg)は、室温(25℃)より高い温度領域にある。本発明の(メタ)アクリル系ポリマーは、特定量のtert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むことで、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)を高くすることが可能となる。(メタ)アクリル系ポリマーのTgの値が高いと、粘着付与樹脂によるタックの発現する温度領域が、室温よりも更に高温側に移動するので、加熱冷却後のタックが低く抑えられると推測される。
また、本発明の粘着剤組成物では、架橋剤の配合量を所定の範囲内に調整し、かつ(メタ)アクリル系ポリマーを構成するカルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率を所定の範囲内に調整している。このため、この粘着剤組成物から形成された粘着剤層は、架橋密度が過剰に高くなり過ぎず、凝集力が高くなりすぎず、加熱時に被着体の凹凸に濡れ広がりやすく、加熱冷却後の粘着力に優れる傾向がある。
本発明の粘着剤組成物は、各成分があいまって、極性の低い被着体に対する粘着力が高く、加熱冷却後のタックが低い粘着剤層を形成できると推測される。
加えて、(メタ)アクリル系ポリマーのTgが高いと、高温での凝集力が高くなる傾向にあるので、本発明の加飾フィルムは、シワ、発泡等が発生しにくく、外観に優れる傾向がある。
なお、本明細書においては、成形体を加飾した後の加飾フィルムの外観を、単に「外観」と記載する場合がある。加飾フィルムは、成形体の加飾後に、シワや発泡が少なく外観に優れることが好ましい。
<(メタ)アクリル系ポリマー>
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーは、少なくとも、tert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して25質量%〜65質量%であり、かつ、カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して8質量%以下である。
後述する粘着付与樹脂との相溶性及び加熱冷却後のタックを低く抑える観点から、本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーは、tert−ブチルアクリレートに由来する構成単位を含むことが好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーにおけるtert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率は、全構成単位に対して25質量%〜65質量%である。tert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が25質量%未満であると、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度が高くなりすぎて、加熱冷却後のタックを低く抑えることが困難である。
また、tert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が65質量%を超えると、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)が高くなりすぎてしまい、粘着剤組成物から形成された粘着剤層の粘着力が十分に得られない傾向がある。
加熱冷却後のタックを低く抑え、かつ、粘着力を向上させる観点から、本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーにおけるtert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率は、全構成単位に対して30質量%〜60質量%が好ましく、35質量%〜55質量%がより好ましく、40質量%〜50質量%が更に好ましい。
カルボキシ基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2−ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、加熱冷却後のタックを低く抑え、かつ、粘着力を向上させる観点から、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種が好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方であることがより好ましい。
なお、カルボキシ基を有するモノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーにおける、カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率は、全構成単位に対して8質量%以下である。カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率が8質量%を超えると、架橋剤を含む場合に(メタ)アクリル系ポリマーと架橋剤との架橋反応が過剰に進行してしまい、粘着剤組成物から形成された粘着剤層が硬くなりすぎて、粘着力が十分に得られない傾向がある。
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーは、カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を実質的に含まなくてもよい。
ここで、実質的に含まないとは、不可避的に混入したカルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル系ポリマーの存在を許容するが、意図して添加されたカルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル系ポリマーの存在は許容されないことを意味する。
粘着剤層に適度な硬さを付与し、加熱冷却時の加飾シートの収縮を抑制する観点から、本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーにおけるカルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率は、全構成単位に対して0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、加熱冷却後のタックの低減及び粘着力を向上させる観点から、0.1質量%〜6質量%が特に好ましく、0.5質量%〜3質量%が最も好ましい。
なお、(メタ)アクリル系ポリマーがカルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を含む場合は、粘着剤層に凝集力を付与して外観を向上させる観点から、粘着剤組成物中に架橋剤を含むことが好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーは、tert−ブチル(メタ)アクリレート以外のアルキル(メタ)アクリレート(以下、「その他のアルキル(メタ)アクリレート」ともいう。)に由来する構成単位を含んでいてもよい。
その他のアルキル(メタ)アクリレートとしては、無置換のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、その種類は特に制限されない。その他のアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、直鎖、分枝又は環状のいずれであっても良い。また、その他のアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は1〜18が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4が更に好ましい。
その他のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
粘着剤層を形成した場合に十分な粘着力が得られる観点から、その他のアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの少なくとも一方であることがより好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーにおけるその他のアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率は、全構成単位に対して35質量%以上が好ましい。これにより、粘着剤層の加熱により被着体への濡れ性が上昇し、粘着剤層の粘着力が上昇する傾向がある。
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーにおけるその他のアルキル(メタ)アクリレートの含有率は、被着体への濡れ性を上昇させ粘着剤層の粘着力を上昇させる観点から、全構成単位に対して35質量%〜70質量%が好ましく、50質量%〜65質量%がより好ましく、55質量%〜63質量%が更に好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーは、本発明の効果が発揮される範囲内において、tert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位、カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位、及び、その他のアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位以外のその他の構成単位(以下、「その他の構成単位」ともいう。)を含んでもよい。
その他の構成単位を構成するモノマーは、tert−ブチル(メタ)アクリレート及びカルボキシ基を有するモノマーと共重合できるものであれば特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
その他の構成単位を構成するモノマーとしては、水酸基、アルキレンオキシド基、グリシジル基、アミド基、N−置換アミド基、三級アミノ基などの官能基を有するモノマーや、多官能アクリル系モノマー、芳香族モノビニルモノマー、シアン化ビニルモノマー、カルボン酸ビニルモノマー、芳香族環を有する(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。
水酸基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート及び3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
アルキレンオキシド基を有するモノマーとしては、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート及びメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
グリシジル基を有するモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アリルエーテルなどが挙げられる。
アミド基又はN−置換アミド基を有するモノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
三級アミノ基を有するモノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
多官能アクリル系モノマーとしては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
芳香族モノビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルピリジンが挙げられる。
シアン化ビニルモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。
また、カルボン酸ビニルモノマーとしては、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル(商品名、ネオデカン酸ビニル)が挙げられる。
芳香族環を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性クレゾール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化β−ナフトールアクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
粘着剤組成物中の本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーの含有率は、目的に応じて適宜選択できる。(メタ)アクリル系ポリマーの含有率は、粘着力の観点から、粘着剤組成物の固形分総質量に対して、60質量%〜77質量%が好ましく、64質量%〜75質量%がより好ましく、66質量%〜72質量%が更に好ましい。
なお、固形分総質量とは、粘着剤組成物から、溶剤などの揮発性成分を除いた残渣の総質量を意味する。
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、特に制限はなく、外観と粘着力を向上させる観点から、10万〜200万であることが好ましく、20万〜150万であることがより好ましく、50万〜120万であることが更に好ましい。
重量平均分子量は、重合反応温度、時間、有機溶媒の量などにより調整できる。
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、下記の方法により測定された値である。
(重量平均分子量(Mw)の測定方法)
下記(1)〜(3)に従って測定する。
(1)(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を剥離紙に塗布し、100℃で1分間乾燥し、フィルム状の(メタ)アクリル系ポリマーを得る。
(2)前記(1)で得られたフィルム状の(メタ)アクリル系ポリマーをテトラヒドロフランにて固形分0.2質量%になるように溶解させる。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算値として、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)を測定する。
(条件)
GPC:HLC−8220 GPC〔東ソー株式会社製〕
カラム:TSK−GEL GMHXL〔東ソー株式会社製〕4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/min
カラム温度:40℃
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、粘着剤層としたときの粘着力を高め、かつ、加熱冷却後のタックを低く抑える観点から、−40℃〜−5℃であることが好ましく、−35℃〜−20℃であることがより好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、下記式の計算により求められるモル平均ガラス転移温度である。

式中、Tg、Tg、・・・・・及びTgは、モノマー1、モノマー2、・・・・・及びモノマーnそれぞれの単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度である。m、m、・・・・・及びmは、それぞれのモノマー成分のモル分率である。
なお、「単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度」は、そのモノマーを単独で重合して製造した単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度をいう。単独重合体のガラス転移温度は、その単独重合体を、示差走査熱量測定装置(DSC)(セイコーインスツル株式会社製、EXSTAR6000)を用い、窒素気流中、測定試料10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られたDSCカーブの変曲点を、単独重合体のガラス転移温度としたものである。
代表的なモノマーの「単独重合体のセルシウス温度(℃)で表されるガラス転移温度」は、メチルアクリレートは5℃であり、エチルアクリレートは−27℃であり、n−ブチルアクリレートは−57℃であり、2−エチルヘキシルアクリレートは−76℃であり、2−ヒドロキシエチルアクリレートは−15℃であり、4−ヒドロキシブチルアクリレートは−39℃であり、tert−ブチルアクリレートは41℃であり、tert−ブチルメタクリレートは107℃であり、酢酸ビニルは33℃であり、アクリル酸は163℃である。例えば、これら代表的なモノマーを用いることで、前述のガラス転移温度を適宜調整することが可能である。
なお、絶対温度(K)から273を引くことで絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算可能であり、セルシウス温度(℃)に273を足すことでセルシウス温度(℃)を絶対温度(K)に換算可能である。
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法は、特に制限されない。本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法でモノマーを重合して製造できる。なお、製造後に本発明の粘着剤組成物を調製するにあたり、処理工程が比較的簡単かつ短時間で行えることから、溶液重合が好ましい。
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、モノマー、重合開始剤、及び、必要に応じて用いる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させるなどの方法を使用できる。
(メタ)アクリル系ポリマーの重合反応時に用いる有機溶媒としては、芳香族炭化水素化合物、脂肪系もしくは脂環族系炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物、グリコールエーテル化合物、アルコール化合物などが挙げられる。これらの有機溶媒はそれぞれ1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合反応時に用いる有機溶媒としては、より具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、及び芳香族ナフサに代表される芳香族炭化水素系有機溶媒、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、及びテレピン油に代表される脂肪族炭化水素系又は脂環族炭化水素系の有機溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、及び安息香酸メチルに代表されるエステル系有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−イソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンに代表されるケトン系有機溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルに代表されるグリコールエーテル系有機溶媒、並びに、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、及びtert−ブチルアルコールに代表されるアルコール系有機溶媒が挙げられる。
また、重合開始剤としては、例えば、通常の重合方法で使用できる有機過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。
[架橋剤]
本発明の粘着剤組成物における架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して10質量部未満である。
架橋剤としては、本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系ポリマーを架橋できるものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、及び金属キレート化合物が挙げられ、中でも、エポキシ化合物又はイソシアネート化合物が好ましい。架橋剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリス(グリシジル)イソシアヌレート、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌレート、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ベンゼンジ(メタンアミン)が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネートに代表される芳香族ポリイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、前記した芳香族ポリイソシアネート化合物の水素添加物に代表される鎖状又は環状の脂肪族ポリイソシアネート化合物、これらのポリイソシアネート化合物のビュレット体、2量体、3量体又は5量体、これらのポリイソシアネート化合物と、トリメチロールプロパンなどのポリオール化合物とのアダクト体が挙げられる。
これらのイソシアネート化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの2量体、トリレンジイソシアネートとポリオールとのアダクト体、トリレンジイソシアネートの3量体又は5量体であるイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネートのビュレット体などの各種トリレンジイソシアネートに由来するトリレンジイソシアネート化合物が好ましい。更に、反応性に優れ架橋密度を高めることができる観点、並びに(メタ)アクリル系ポリマーとの相溶性に優れる観点から、トリレンジイソシアネート、又はトリレンジイソシアネートとポリオールとのアダクト体が好ましく、特に架橋時のゲル化を抑制する観点から、トリレンジイソシアネート、又はトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体が特に好ましい。
エポキシ化合物としては、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、三菱ガス化学株式会社製の「TETRAD−X」及び「TETRAD−C」の商品名により市販されているものを好適に使用できる。
イソシアネート化合物は、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、東ソー株式会社製の「コロネートHX」、「コロネートHL−S」、「コロネートL」、「コロネート2031」、「コロネート2030」、「コロネート2037」、「コロネート2234」、「コロネート2785」、「アクアネート200」、及び「アクアネート210」、コベストロ社製の「スミジュールN3300」、「デスモジュールN3400」、及び「スミジュールN−75」、旭化成ケミカルズ株式会社製の「デュラネートE−405−80T」、「デュラネート24A−100」、及び「デュラネートTSE−100」、並びに、三井化学株式会社製の「タケネートD−110N」、「タケネートD−120N」、「タケネートM−631N」、及び「MT−オレスターNP1200」の商品名により市販されているものを好適に使用できる。
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤を含まなくてもよいが、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して架橋剤を0.01質量部以上含むことが好ましい。架橋剤を0.01質量部以上含むことにより、(メタ)アクリル系ポリマーがカルボキシ基などの架橋性官能基を含む場合に、(メタ)アクリル系ポリマーと、架橋剤と、の架橋反応を十分に進行させることができるため、加熱冷却後のシワの発生を抑制しやすく、外観に優れる傾向がある。
上記の観点から、本発明の粘着剤組成物における架橋剤の含有量としては、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.05質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上が更に好ましい。
なお、粘着剤組成物が架橋剤を含む場合は、粘着剤層に凝集力を付与して外観を向上させる観点から、(メタ)アクリル系ポリマーがカルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位を含むことが好ましい。
また、本発明の粘着剤組成物における架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して10質量部未満である。粘着剤組成物における架橋剤の含有量が、10質量部以上であると、(メタ)アクリル系ポリマーがカルボキシ基などの架橋性官能基を含む場合に、(メタ)アクリル系ポリマーと、架橋剤と、の架橋反応が過剰に進行してしまい、粘着剤層が硬くなり過ぎて、粘着剤層に十分な粘着力を付与することが困難になりやすい。また、(メタ)アクリル系ポリマーがカルボキシ基などの架橋性反応基を含まない場合には、架橋剤量が過剰となり、例えば架橋剤同士が縮合反応することでガスが発生してしまい、外観に劣る傾向がある。
(メタ)アクリル系ポリマーと、架橋剤と、の架橋反応が適度に進行させて、粘着剤層に粘着力を付与し、かつ加熱時の濡れ性を向上させ被着体からの発泡を抑制して、外観を向上させる観点から、粘着剤組成物における架橋剤の含有量としては、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.05質量部〜8.0質量部が好ましく、0.5質量部〜8.0質量部がより好ましい。
架橋剤としてイソシアネート化合物を含む場合、イソシアネート化合物の含有量としては、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して0.1質量部〜8.0質量部が好ましく、1.0質量部〜7.0質量部がより好ましく、3.0質量部〜6.0質量部が更に好ましい。
架橋剤としてエポキシ化合物を含む場合、エポキシ化合物の含有量としては、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して0.1質量部〜0.5質量部が好ましく、0.2質量部〜0.4質量部がより好ましい。
上記範囲内であると、加熱冷却時のシワの発生を抑制しやすく、外観に優れる傾向がある。
<粘着付与樹脂>
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、粘着付与樹脂30質量部〜50質量部を含む。
なお、粘着付与樹脂の軟化点は、環球法により測定できる。
粘着付与樹脂としては、天然樹脂系及び合成樹脂系が挙げられる。(メタ)アクリル系ポリマーとの相溶性のバランスを取りやすいため、天然樹脂系の粘着付与樹脂が好ましく、中でも、テルペン樹脂及びロジン樹脂から選ばれる少なくとも一方が好ましい。
テルペン樹脂としては、例えば、無変性のテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂が挙げられ、中でもテルペンフェノール樹脂が好ましい。
テルペンフェノール樹脂としては、テルペン類とフェノール化合物との共重合体が挙げられ、例えば、α‐ピネン、β‐ピネン、及びジペンテン(リモネン)に代表される単環式モノテルペン類と、フェノール、クレゾール、及びビスフェノールAに代表されるフェノール化合物と、の共重合体が挙げられる。
ロジン樹脂としては、例えば、ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、エステル化ロジンが挙げられ、中でもエステル化ロジンが好ましい。
これらテルペン樹脂及びロジン樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
テルペン樹脂及びロジン樹脂は、市販品を使用してもよい。市販品であるテルペン樹脂としては、例えば、ヤスハラケミカル株式会社製の「YSレジンTO−105」、「YSポリスターU130」、「YSポリスターT130」、「YSポリスターTH130」、「YSポリスターT145」、「YSポリスターT160」、「YSポリスターS145」、「YSポリスターG150」、及び「YSポリスターK140」、並びに、荒川化学工業株式会社製の「タマノル803L」、及び「タマノル901」の商品名により市販されているものを好適に使用できる。また、市販品であるロジン樹脂としては、例えば、ハリマ化成株式会社製の「ネオトール160」、「ハリエスターS」、「ハリエスターDS−90S」、「ハリエスターDS−110S」及び荒川化学工業株式会社製の「ペンセルD−125」の商品名により市販されているものを好適に使用できる。
粘着付与樹脂の軟化点としては、70℃〜130℃が好ましい。軟化点が70℃以上であると、加熱冷却後の粘着剤層におけるタックの上昇が抑制される傾向がある。また、軟化点が130℃以下であると、粘着剤層の加熱により被着体への濡れ性が上昇し、粘着剤層の粘着力を上昇させる傾向がある。
上記観点から、粘着付与樹脂の軟化点としては、70℃〜125℃が好ましく、75℃〜115℃がより好ましく、80℃〜110℃が更に好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、粘着付与樹脂を(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して30質量部〜50質量部含む。このため、粘着付与樹脂が加熱中に粘着剤層の表層により局在化しやすくなっていると推測される。これにより、冷却後の室温環境下においても粘着付与樹脂が粘着剤層の表層に局在化し、タックの上昇が抑制される。
また、本発明の粘着剤組成物は、粘着付与樹脂を(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して50質量部を超えて含むと、粘着付与樹脂が粘着剤層の表面から過剰にブリードアウトしてしまい、十分な粘着力を付与しにくい傾向がある。また、粘着付与樹脂の含有量が(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して30質量部未満であると、加熱冷却後のタックの上昇を十分に抑制することが困難になりやすい。
上記観点から、粘着付与樹脂の含有量は、35質量部〜45質量部が好ましく、37質量部〜43質量部がより好ましい。
[その他の成分]
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー、架橋剤及び粘着付与樹脂の他に、必要に応じて、架橋触媒、シランカップリング剤、有機溶媒、耐候性安定剤、可塑剤、軟化剤、剥離助剤、染料、顔料、無機充填剤、界面活性剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、紫外線吸収剤やヒンダードアミン系化合物に代表される光安定剤などを適宜含有してもよい。
−ゲル分率−
本発明の粘着剤組成物において、架橋後のゲル分率は、50質量%未満であることが好ましい。架橋後のゲル分率が50質量%未満であると、架橋構造が多くなり過ぎず、粘着剤層に粘着力を付与することが可能となり、加熱冷却後のタックを低減し、かつ、極性が低い被着体に対しても十分な粘着力が得られる傾向がある。
上記観点から、架橋後のゲル分率としては、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
また、架橋後のゲル分率は、シワや発泡の発生を抑制して外観を向上させる観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。
なお、養生を行う場合には、養生後のゲル分率が上記範囲であることが好ましい。
また、本発明の粘着剤組成物が架橋剤を含まない場合におけるゲル分率は、剥離フィルムや基材に粘着剤組成物を塗布後、乾燥した後に下記の方法で測定される値である。
粘着剤組成物中における架橋後の「ゲル分率」は、下記(1)〜(17)の手順に従い測定される値である。
(1)粘着剤組成物を100μmの厚さのPETフィルムセパレーター(剥離紙)上に塗布し、室温で30分間風乾した後、100℃で2分間本乾燥させ、粘着剤層を形成し、セパレーター付き粘着剤層を得る。
(2)得られたセパレーター付き粘着剤層を23℃、相対湿度65%の条件にて7日間養生する。その後、セパレーター付き粘着剤層を75mm×75mmの大きさに切り出す。切り出されたサンプルの粘着剤層の重さは、概ね0.2g程度となる。
(3)250メッシュ(線径0.03mm、目開き72μm、ステンレス製)の金属金網を用意し、金属金網を100mm×100mmの大きさに切り出す。
(4)上記金属金網は酢酸エチルで脱脂した後、乾燥させる。脱脂、乾燥後の金属金網は、デシケーター内に保管する。また、金属金網の端部の解れは、測定誤差の原因となるため、予め取り除く。
(5)金属金網の質量を正確に測定する。この質量をAとする。
(6)金属金網の中央に、75mm×75mmの大きさに切り出した(2)のセパレーター付き粘着剤層を貼り付けた後、粘着剤層からPETフィルムセパレーターを剥がし取る。なお、粘着剤層の金属金網への貼付は、後述の(7)〜(9)の工程により金属金網を折り畳んだ後の面内において粘着剤層が配置される位置となるように行う。
(7)金属金網は、フィルム状の粘着剤層を貼り付けた面を内側にして、奥側の辺から手前側に半分に折り畳む。
(8)半分に折った金属金網(手前側に端部が2辺ある)の手前側3分の1を奥側に折りたたみ、更に奥側3分の1を手前側に折り畳む(縦方向を100mmの6分の1に折り畳み、横方向は折り畳んでいない状態)。
(9)上記金網を左から3分の1の部位で右側に折り畳み、同様にして右から3分の1の部位で左側に折り畳む。これを試料1とする。試料1では、元の金属金網の大きさから、縦方向が6分の1に折り畳まれ、横方向が3分の1に折り畳まれている。
(10)上記の試料1の質量を正確に測定する。この質量をBとする。
(11)試料1の折り目が開かないようにステープラーで留める。これを試料2とする。試料2の質量を測定する。この質量をCとする。
(12)粘着剤組成物の1種類につき、ゲル分率測定用の試料2を2個作製する。
(13)試料2を、酢酸エチル80gを入れたガラス瓶に入れ、蓋をする。
(14)試料2を入れたガラス瓶を23℃、相対湿度65%の条件にて3日間放置する。
(15)試料2をガラス瓶から取り出し、酢酸エチルで簡単に洗浄する。
(16)試料2を120℃で24時間乾燥した後、質量を正確に測定する。これをDとする。
(17)下式によりゲル分率を計算する。
ゲル分率[質量%] = (D−(A+(C−B)))/(B−A)×100
[用途]
本発明の粘着剤組成物は、加飾フィルムを被着体に貼着するために用いるものである。
加飾フィルムを被着体に貼着する方法としては、例えば、真空成形法、圧空成形法及び熱高圧成形法が挙げられる。これらの中でも、加飾フィルムを被着体に貼着する方法としては、真空成形法が好ましい。
被着体としては、特に制限されず、平板、曲面板などの板材、立体形状物品、フィルムなどの成形体が挙げられる。これらの中でも、被着体としては、立体形状物品が好ましい。また、被着体を形成する材料としては、特に制限されず、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、PP樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂などが挙げられる。
中でも、本発明の粘着剤組成物は、加熱冷却後のタックが低く抑えられ、かつ極性の低い被着体に対する粘着力が高い粘着剤層を形成できるため、加飾フィルムを、PP樹脂、PE樹脂等の極性が低い樹脂から形成された被着体に貼着する際に、好適に用いることができる。また、本発明の粘着剤組成物は、加熱冷却後のタックが低く抑えられ、かつ極性の低い被着体に対する粘着力が高い粘着剤層を形成できるため、加飾フィルムを、一般的に貼着が難しいとされる立体形状物品に貼着する際に、好適に用いることができる。
<粘着シート>
本発明は、前記粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する粘着シートであってもよい。本発明の粘着シートは、基材を有しない無基材タイプの粘着シートでもよく、基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する有基材タイプの粘着シートでもよい。
本発明の粘着シートにおいて、粘着剤層の厚さは、特に制限されるものではなく、用途や要求性能により適宜選択することができる。粘着剤層の厚さとして、例えば1μm〜100μmの範囲が挙げられる。
本発明の粘着シートの露出した粘着剤層は、剥離フィルムによって保護されていてもよい。剥離フィルムとしては、粘着剤層からの剥離が容易に行なえるものであれば特に制限されず、例えば、剥離処理剤を用いて少なくとも片面に易剥離処理が施された樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムに代表されるポリエステルフィルムが挙げられる。剥離処理剤として、例えば、フッ素系樹脂、パラフィンワックス、シリコーン、長鎖アルキル基化合物が挙げられる。剥離フィルムは、粘着シートを実用に供するまでの間、粘着剤層の表面を保護し、使用時に剥離される。
本発明の粘着シートは、例えば、本発明の粘着剤組成物を剥離フィルムや基材に塗布し、乾燥後に一定期間養生することによって粘着剤層を形成して作製できる。養生の条件は、例えば23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で1〜10日間とすることができる。粘着剤層を養生することにより、架橋剤によって(メタ)アクリル系ポリマーを十分に架橋された状態とすることができる。
無基材タイプの粘着シートは、例えば、剥離フィルムの剥離処理面に粘着剤組成物を塗布し、乾燥させ、粘着剤組成物の層を形成し、得られた前記層の、剥離フィルムと接しない露出した面に、別の剥離フィルムを剥離処理面が接するように重ね、養生して粘着剤層を形成する方法により作製できる。
有基材タイプの粘着シートは、粘着剤組成物を基材に塗布する方法により作製しても、粘着剤組成物を剥離フィルムに塗布する方法により作製してもよい。このような方法としては、例えば、剥離フィルムの剥離処理面に粘着剤組成物を塗布し、乾燥させ、粘着剤組成物の層を形成し、得られた前記層の剥離フィルムと接しない露出した面に基材を貼合し、養生して粘着剤層を形成する方法が挙げられる。
剥離フィルムや基材に粘着剤組成物を塗布する方法としては、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いた公知の方法が挙げられる。
<加飾フィルム>
有基材タイプの粘着シートとしては、前記粘着剤組成物から形成された粘着剤層と、基材と、を少なくとも有する加飾フィルムが例示できる。加飾フィルムにおける基材としては、例えば、熱可塑性樹脂から形成される樹脂層であってもよく、中でも塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、PP樹脂、又はアクリル系樹脂を含んでなることが好ましい。塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、PP樹脂、又はアクリル系樹脂を用いて形成された基材は、加飾成形品を真空成形法により製造する際に要求される、展延性、折曲性、及び形状追従性などの真空成形加工性に優れている。
加飾フィルムにおける基材は、加飾フィルムが成形体へと加飾された後は加飾成形品の例えば最外層に位置し、加飾成形品の保護層としての機能を果たすものである。塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、PP樹脂、又はアクリル系樹脂により基材を形成することで、耐摩耗性、耐薬品性、耐候性などの耐久性に優れた加飾成形品となる。
加飾フィルムにおける基材は、無色であってもよいし、有色であってもよい。基材を着色するには、公知の着色剤を樹脂中に添加すればよい。
また、加飾フィルムにおける基材は、透明であってもよいし、半透明であってもよいし、不透明であってもよい。
通常、基材の厚さは、好ましくは25μm〜300μm、より好ましくは50μm〜
200μmである。基材の厚さが上記範囲内であれば、加飾成形品を真空成形法により
製造する際に、加工成形性、形状追従性、及び取扱い性が良好となる。
本発明の加飾フィルムは、特に制限されず、基材と粘着剤層との間に、装飾層を有していてもよい。装飾層は、加飾フィルムに意匠性を付与するために設けられる層であり、模様、文字、パターン状の絵柄などを表現する柄層である。
<加飾成形品>
本発明の加飾成形品は、成形体と、成形体上に配置された前記加飾フィルムと、を有する。より具体的には、成形体、粘着剤層、必要に応じて装飾層、及び基材層がこの順に積層されたものである。
本発明の加飾成形品は、真空成形法や圧空成形法(好ましくは真空成形法)により、成形体上に本発明の加飾フィルムを貼り合せて得ることができる。
成形体としては、本発明の加飾フィルムを貼着できるものであれば特に制限されず、平板、曲面板などの板材、立体形状物品、フィルムなどの成形体が挙げられる。これらの中でも、成形体としては、立体形状物品が好ましい。
また、成形体の材料としては、特に制限されず、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、PP樹脂、PE樹脂などが挙げられる。
中でも、成形体の材料としては、PP樹脂、PE樹脂等が好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[(メタ)アクリル系ポリマーの製造]
<製造例1>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、逐次滴下装置及び温度計を備えた反応容器内に、n−ブチルアクリレート(BA)57質量部、tert−ブチルアクリレート(tBA)42質量部、アクリル酸(AA)1質量部、酢酸エチル(EAc)75質量部を入れ、反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。その後、撹拌下、窒素雰囲気中で、反応容器の内容物温度を70℃に昇温させた。その後、酢酸エチル(EAc)120質量部に重合開始剤である2、2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ABN−V)0.02質量部を溶解させた溶液を4時間かけて逐次滴下し、更に2時間反応させた。反応終了後、反応混合物をメチルエチルケトンで希釈し、固形分が約20質量%の(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系ポリマーは、ガラス転移温度(Tg)−23℃、重量平均分子量(Mw)は100万、ゲル分率は22質量%であった。表1に製造例1におけるモノマー組成を示す。
なお、ガラス転移温度(Tg)、重量平均分子量(Mw)及びゲル分率(質量%)は既述の方法で測定、計算したものである。
<製造例2〜14>
以下の表1に示すモノマー組成とし、有機溶媒及び重合開始剤の量を変更して重量平均分子量を調整した以外は製造例1と同様にして、(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。
製造例2〜14にて製造した(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー組成、ガラス転移温度(Tg)、重量平均分子量(Mw)及びゲル分率(質量%)を表1に示す。
なお、ガラス転移温度(Tg)、重量平均分子量(Mw)及びゲル分率(質量%)は既述の方法で測定、計算したものである。
<粘着剤組成物の調製>
(実施例1)
上記で得た製造例1の(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を固形分として100質量部と、コロネートL(東ソー株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体)を6.7質量部(有効成分としては5質量部)と、粘着付与樹脂としてロジン−グリセリン樹脂であるハリエスターDS−90S(ハリマ化成株式会社製、軟化点90℃、有効成分100%)を酢酸エチルで固形分50質量%溶液に希釈した溶液80質量部(有効成分としては30質量部)とを、十分に撹拌混合して粘着剤組成物を得た。
実施例1にて調製した粘着剤組成物の組成を表1に示す。
<試験用フィルムの作製>
実施例1にて得た粘着剤組成物を用い、以下のようにして試験用フィルムを作製した。
まず、粘着剤組成物を、片面に離型処理が施されているポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ100μm)の離型処理面上に、乾燥後の厚さが約40μmとなるように流涎塗布し、100℃で2分間乾燥した。
その後、粘着剤組成物を塗布したPETフィルムと、塩化ビニルフィルム(厚さ150μm)と、を粘着剤組成物溶液の塗布面が塩化ビニルフィルムに接するように重ね合せて積層体とした。この積層体を加圧ニップロール対に通して圧着して貼り合わせた後、23℃50%RHの条件下で7日間養生を行い、試験用フィルム(PETフィルム/粘着剤層/塩化ビニルフィルム)を作製した。
[評価]
<粘着力>
作製した試験用フィルムは、25mm×150mmにカットした後、PETフィルムを剥離し、被着体である厚さ1mmのPP板に重ね合わせて、2kgローラーで一往復し貼り合せた。次いで、110℃の乾燥機に10分投入して加熱した。次いで、試験用フィルムを乾燥機から取り出し、23℃50%RHの条件下で30分間放置して冷却した後、剥離速度100mm/分、180°剥離における粘着力を測定した。
以下の評価基準に従って、加熱冷却後の粘着力を評価し、その結果を表1に示す。
評価結果がA〜Cであれば実用上問題ないが、B以上が好ましく、Aがより好ましい。粘着力測定の結果を表1に示す。
(評価基準)
A:30N/25mm以上
B:15N/25mm以上30N/25mm未満
C:10N/25mm以上15N/25mm未満
D:10N/25mm未満
<加熱冷却後のタック>
上記で作製した試験用フィルムを用いて、以下のプローブタック試験を行った。
まず、作製した試験用フィルムを25mm×150mmにカットし110℃の乾燥機に1時間投入して加熱した。次いで、試験用フィルムを乾燥機から取り出し、25℃50%RHの条件で30分放置して冷却した後、PETフィルムを剥離した。試験用フィルムの粘着剤層のタックを、株式会社レスカ製タッキング試験機(モデルTAC−1000)を用いて、プローブサイズ5φ、接触時間0.1秒、押し込み荷重が200gf、25℃50%RHの条件で加熱冷却後のタックを測定した。
以下の評価基準に従って、加熱冷却後のタックを評価し、その結果を表1に示す。
評価結果がA〜Cであれば実用上問題ないが、B以上が好ましく、Aがより好ましい。
(評価基準)
A:100gf/5φ未満
B:100gf/5φ以上200gf/5φ未満
C:200gf/5φ以上400gf/5φ未満
D:400gf/5φ以上
<外観>
作製した試験用フィルムを50mm×75mmにカットした後、PETフィルムを剥離し、被着体である厚さ2mmのPP板に重ね合わせて、2kgローラーで一往復し貼り合せた。
次いで、110℃の乾燥機に1時間投入して加熱した。次いで、乾燥機から取出し、塩化ビニルフィルム面の外観を目視で確認した。
以下の評価基準に従って、外観を評価し、その結果を表1に示す。
(評価基準)
A:シワ、発泡が見られず、外観が非常に良好である。
B:一部でシワ、発泡の発生が見られる程度であり外観が良好である。
C:全面にシワ、発泡の発生が見られる。
(実施例2〜21)
実施例2〜21では、以下の表1に示す粘着剤組成物の組成としたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。調製した粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして試験用フィルムを作製した。得られた試験用フィルムについて、実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
なお、表1に示す配合量は、固形分換算値、又は有効成分換算値である。
(比較例1〜9)
比較例1〜9では、以下の表1に示す粘着剤組成物の組成としたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。調製した粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして試験用フィルムを作製した。得られた試験用フィルムについて、実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
なお、表1に示す配合量は、固形分換算値、又は有効成分換算値である。
表1における略号は以下の通りである。なお、表1中の質量部数は、固形分又は有効成分の換算値である。表1中の「−」は、該当の成分を含まないことを示す。
・tBA:tert−ブチルアクリレート
・BA:n−ブチルアクリレート
・2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
・AA:アクリル酸
・コロネートL:イソシアネート化合物(東ソー株式会社製、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体)
・TETRAD−X:エポキシ化合物(三菱ガス化学株式会社製、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ベンゼンジ(メタンアミン))
・DS−90S:軟化点が90℃のロジン系粘着付与樹脂(ハリマ化成株式会社製、商品名:ハリエスターDS−90S)
・ハリエスターS:軟化点が70℃のロジン系粘着付与樹脂(ハリマ化成株式会社製、商品名:ハリエスターS)
・DS−110S:軟化点が110℃のロジン系粘着付与樹脂(ハリマ化成株式会社製、商品名:ハリエスターDS−110S)
・D−125:軟化点が125℃のロジン系粘着付与樹脂(荒川化学工業株式会社製、商品名:ペンセルD−125)
・TO−105:軟化点が105℃の芳香族変性テルペン系粘着付与樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製、商品名:YSレジンTO−105)
[結果]
tert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して25質量%〜65質量%であり、かつ、カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して8質量%以下である(メタ)アクリル系ポリマー100質量部と、粘着付与樹脂30質量部〜50質量部と、架橋剤10質量部未満と、を含む実施例1〜21の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する加飾フィルムは、極性の低い被着体に対する粘着力に優れ、かつ、加熱冷却後のタックが低く抑えられていた。
特に実施例2、3、5、7、9〜11及び15〜21の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する加飾フィルムは、極性の低い被着体に対して、より優れた粘着力を有し、かつ、加熱冷却後のタックがより低く抑えられていた。これらの中でも、実施例2、3、5、7、9〜11及び17〜21の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する加飾フィルムは、加えて、外観も優れていた。
これに対して、粘着付与樹脂の含有率が(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して30質量部未満の比較例1、tert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して25質量%未満の比較例4、tert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含まず、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位としてn−ブチルアクリレートに由来する構成単位のみを含む比較例6及び、tert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含まない比較例8は、いずれも加熱冷却後のタックに劣っていた。
粘着付与樹脂の含有率が(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して50質量部を超える比較例2、カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して8質量%を超える比較例3、tert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量が全構成単位に対して65質量%を超える比較例5、及び、架橋剤の含有率が(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して10質量部を超える比較例9は、いずれも極性の低い被着体に対する粘着力が劣っていた。
粘着付与樹脂を含まない比較例7は、極性の低い被着体に対する粘着力に劣り、かつ、加熱冷却後のタックに劣っていた。
以上より、本発明の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する加飾フィルムは、加熱冷却後のタックが低く抑えられ、かつ、極性の低い被着体に対する粘着力を有することがわかる。また、本発明の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する加飾フィルムは、ゲル分率が0質量%を超えると、外観についても良好な結果であることがわかる。

Claims (9)

  1. tert−ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して25質量%〜65質量%であり、かつ、カルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して8質量%以下である(メタ)アクリル系ポリマー100質量部と、
    粘着付与樹脂30質量部〜50質量部と、を含み、架橋剤の含有量が10質量部未満である加飾フィルム用粘着剤組成物。
  2. 前記粘着付与樹脂の軟化点が70℃〜130℃である請求項1に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度が−40℃〜−5℃である請求項1又は請求項2に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
  4. 前記(メタ)アクリル系ポリマーにおけるカルボキシ基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して0.05質量%以上である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
  5. 前記粘着付与樹脂は、テルペン樹脂及びロジン樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
  6. 前記架橋剤の含有量が、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して0.01質量部以上である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
  7. 架橋後のゲル分率が50質量%未満である請求項6に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
  8. 基材と、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物から形成された粘着剤層と、を有する加飾フィルム。
  9. 成形体と、前記成形体上に配置された請求項8に記載の加飾フィルムと、を有する加飾成形品。
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