JP6580508B2 - 加飾フィルム用粘着剤組成物、加飾フィルム及び加飾成形品 - Google Patents

加飾フィルム用粘着剤組成物、加飾フィルム及び加飾成形品 Download PDF

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Description

本発明は、加飾フィルム用粘着剤組成物、加飾フィルム及び加飾成形品に関する。
自動車内装品などの三次元曲面を有する成形体(以下、「被着体」ともいう)を加飾する方法として、真空成形法や圧空成形法が知られている。真空成形法や圧空成形法では、加飾フィルムを例えば100度以上に加熱して柔らかくした状態で引き伸ばし、被着体に圧着後、室温に冷却する。その後、加飾フィルムの不要な部分をトリミングする。
加飾フィルムと被着体との貼着には粘着剤が用いられるため、加飾フィルムは基材層と粘着剤層とを少なくとも有することが多い。
トリミングを容易に行うため、加飾フィルムが備える粘着剤層は、加熱、冷却後にタックが低く作業性が良好であることが求められる。また、加飾フィルムは加熱時に引き伸ばされるため、冷却時にもとに戻ろうとする応力が働き、不意な剥離が生じやすい。このため、加飾フィルムが備える粘着剤層には、加熱、冷却後の被着体に対する粘着力が高いことが求められる。
加飾フィルムとして、例えば、基材と、装飾層と、アクリル系粘着剤と90〜180℃の軟化点を有する粘着付与剤と、を含んでなる粘着層とをこの順に有してなる、真空成形用加飾フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−213894号公報
しかしながら、前述の特許文献1では、アクリル系粘着剤の組成及び物性について何ら検討されていない。このため、加熱、冷却後にタックが高く作業性に劣る場合や、冷却後の粘着力に劣り不意な剥離が生じる場合がある。
本発明では、上記課題に鑑みてなされたものであり、加熱、冷却後にタックが低く、かつ粘着力が高い粘着剤層を形成可能な加飾フィルム用粘着剤組成物、並びに当該粘着剤層を含む加飾フィルム及び加飾成形品を提供することを目的とする。
上記課題を解決する手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> (メタ)アクリル系重合体100質量部と、架橋剤0.01質量部〜10質量部と、軟化点が130℃〜180℃である粘着付与樹脂10質量部〜30質量部と、
を含み、前記(メタ)アクリル系重合体は、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を全構成単位に対して80質量%以上有し、かつカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.01質量%〜10質量%有し、前記(メタ)アクリル系重合体における前記架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターが10.1〜10.4である、加飾フィルム用粘着剤組成物。
<2> 前記(メタ)アクリル系重合体は、前記カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.7質量%〜5質量%有する、<1>に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
<3> 前記(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度は、−30℃以上−10℃以下である、<1>又は<2>に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
<4> 前記(メタ)アクリル系重合体は、メチルアクリレートに由来する構成単位を全構成単位に対して35質量%〜80質量%含む、<1>〜<3>のいずれか一つに記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
<5> 前記粘着付与樹脂は、テルペン樹脂及びロジン樹脂の少なくとも一方である、<1>〜<4>のいずれか一つに記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
<6> 前記粘着付与樹脂の溶解度パラメーターは、8.5〜9.2である<1>〜<5>のいずれか一つに記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
<7> <1>〜<6>のいずれか一つに記載の加飾フィルム用粘着剤組成物から形成された粘着剤層と、基材と、を有する加飾フィルム。
<8> 成形体と、前記成形体上に配置された<7>に記載の加飾フィルムと、を含む加飾成形品。
本発明によれば、加熱、冷却後にタックが低く、かつ粘着力が高い粘着剤層を形成可能な加飾フィルム用粘着剤組成物、並びに当該粘着剤層を含む加飾フィルム及び加飾成形品を提供することができる。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、本明細書において組成物中の各成分の量は、加飾フィルム用粘着剤組成物中に各成分に該当する物質を複数種併用する場合には、特に断らない限り、その成分に該当する複数種の物質の合計量を意味する。
更に(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタアクリレートの少なくとも一方を意味する。
更に加飾フィルム用粘着剤組成物とは、(メタ)アクリル系重合体と架橋剤との架橋反応が終了する前の組成物であって、例えば、液状、ペースト状又は粉末状の組成物を意味する。
更に粘着剤層とは、(メタ)アクリル系重合体と架橋剤とが実質的に架橋した後の層であって、例えば、固形状又はゲル状の層を意味する。
〔加飾フィルム用粘着剤組成物〕
本発明における加飾フィルム用粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」ともいう)は、(メタ)アクリル系重合体100質量部と、架橋剤0.01質量部〜10質量部と、軟化点が130℃〜180℃である粘着付与樹脂10質量部〜30質量部と、を含み、前記(メタ)アクリル系重合体は、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を全構成単位に対して80質量%以上有し、かつカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.01質量%〜10質量%有し、前記(メタ)アクリル系重合体における前記架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターが10.1〜10.4である。
加飾フィルム用の粘着剤層は、不意の剥離を抑制する点から、加熱、冷却後における粘着力が高いことが好ましく、さらに、被着体への貼着後に不要部分をトリミングする際の作業性を向上させる点から、加熱、冷却後におけるタックが低いことが好ましい。そのため、(メタ)アクリル系重合体と粘着付与樹脂とを含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層は、加熱、冷却後にて、粘着力が高く、タックが低いことが好ましい。
しかしながら、一般的に、(メタ)アクリル系重合体と粘着付与樹脂とを含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層は、例えば100℃以上に加熱し、冷却した後の粘着力及びタックが共に上昇する。本発明者らはこの機構を以下のように推測している。
粘着剤層の加熱により被着体への濡れ性が上昇し、粘着剤層が被着体の微細な凹凸に入り込む。そして、冷却後においてもこの状態が維持されるため、アンカー効果によって加熱前よりも粘着力が上昇する。また、加熱により(メタ)アクリル系重合体と粘着付与樹脂とが相溶するため、冷却後においても粘着剤層が柔らかく、加熱前よりもタックが高くなる。
本発明における粘着剤組成物から形成された粘着剤層は、加熱、冷却後の粘着力は上昇しており、さらに、加熱、冷却後のタックの上昇は抑制されている。本発明者らはこの機構を以下のように推測している。
本発明における粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系重合体と、架橋剤と、粘着付与樹脂と、を含み、この(メタ)アクリル系重合体は、架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーター(SP値)が10.1〜10.4の範囲内にある。このため、本発明における粘着剤組成物では、(メタ)アクリル系重合体のSP値が比較的高く、(メタ)アクリル系重合体と粘着付与樹脂とが比較的相溶しにくくなっている。これにより、この粘着剤組成物から形成された粘着剤層では、粘着付与樹脂が加熱中に粘着剤層の表面に局在化しやすくなっている。
さらに、本発明における粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して粘着付与樹脂10質量部〜30質量部含み、粘着付与樹脂の含有量が比較的多い。このため、この粘着剤組成物から形成された粘着剤層では、粘着付与樹脂が加熱中に粘着剤層の表面により局在化しやすくなっている。
加熱中に粘着剤層の表面に局在化する粘着付与樹脂は、軟化点が130℃〜180℃と比較的高いため、高温環境下ではタックを上昇させるが、室温環境下ではタックを上昇させにくい。さらに、前述のように、この粘着剤組成物から形成された粘着剤層では、粘着付与樹脂が加熱中に粘着剤層の表面に局在化しやすくなっているため、冷却後の室温環境下においても粘着付与樹脂が粘着剤層の表面に局在化し、タックの上昇が抑制される。
また、本発明における粘着剤組成物では、架橋剤の配合量を所定の範囲内に調整し、かつ(メタ)アクリル系重合体を構成するカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有量を所定の範囲内に調整している。このため、この粘着剤組成物から形成された粘着剤層は、架橋密度が適切な範囲となり、高温時に被着体の凹凸に濡れ広がりやすく、加熱、冷却後の粘着力に優れる。また、架橋密度が適切な範囲となるため、加熱、冷却後の粘着剤層の硬さが十分になるため、タックに優れる。
さらに、この粘着剤組成物から形成された粘着剤層は、架橋密度が適切な範囲となり、高温時に被着体の凹凸に濡れ広がりやすく、加熱時の被着体からの発泡を抑制できる傾向がある。また、架橋密度が適切な範囲となるため、加熱、冷却時に加飾シートが収縮しにくく、シワの発生が抑制できる傾向がある。このため、本発明における粘着剤組成物から作製した加飾シートは、外観に優れる傾向がある。
なお、本明細書においては、成形体を加飾後の加飾シートの外観を、単に「外観」と記載する場合がある。加飾シートは、成形体の加飾後に、シワや発泡が少なく外観に優れることが好ましい。
本明細書において、(メタ)アクリル系重合体における架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターとは、(メタ)アクリル系重合体を構成する全構成単位のうち、本発明における粘着剤組成物に含まれる架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターを指す。
本発明における粘着剤組成物から形成された粘着剤層は、(メタ)アクリル系重合体と架橋剤とが実質的に架橋した後の層である。そのため、加熱時の粘着剤層では、(メタ)アクリル系重合体における架橋剤と反応性を有する官能基と、当該架橋剤との架橋反応が完了した状態となっている。(メタ)アクリル系重合体の架橋部分には、粘着付与樹脂が近づきにくくなっており、粘着剤層にて(メタ)アクリル系重合体と粘着付与樹脂とが相溶しやすいか否かは、(メタ)アクリル系重合体における架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位の影響が大きい。そのため、架橋剤と反応性を有する官能基に由来する構成単位を考慮せずに算出した溶解度パラメーターが所定の数値範囲内である粘着剤組成物は、加熱、冷却後にタックが低く、かつ粘着力が高い粘着剤層を形成可能であることが推測される。
なお、本明細書において、「架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体」とは、本発明における粘着剤組成物に含まれる架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体を指している。この単量体は、本発明における粘着剤組成物に含まれていない他の架橋剤と反応性を有する官能基を有するものであってもよい。
(メタ)アクリル系重合体における架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーター(SP値)は、以下の式(1)に基づき算出される。
SP値=[ΣEcohM1/(ΣVM1×4.182)]1/2×XM1/100+[ΣEcohM2/(ΣVM2×4.182)]1/2×XM2/100+・・・[ΣEcohMn/(ΣVMn×4.182)]1/2×XMn/100 式(1)
ΣEcohM1、M2・・・Mn : M1、M2・・・Mnの凝集エネルギー密度
ΣVM1、M2・・・Mn : M1、M2・・・Mnのモル容積
XM1、M2・・・Mn : 架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する全構成単位に対する、M1、M2・・・Mnの含有率(質量%)
M1、M2・・・Mn : 架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体の種類
前述のΣEcoh及びΣVは、「SP値基礎・応用と計算方法」の67ページに記載されている各構造の凝集エネルギー密度Ecohと各構造のモル容積(V)をもとに、同一の構成単位ごとに計算される値である。
[(メタ)アクリル系重合体]
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体は、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を全構成単位に対して80質量%以上有し、かつカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.01質量%〜10質量%有する。さらに、(メタ)アクリル系重合体における架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターは10.1〜10.4である。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体は、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を全構成単位に対して80質量%以上有しており、アルキル(メタ)アクリレートを主成分としている。アルキル(メタ)アクリレートとしては、無置換のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、その種類は特に制限されない。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、直鎖、分枝又は環状のいずれであっても良い。また、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は1〜18が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4が更に好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
さらに、(メタ)アクリル系重合体の主成分であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの少なくともいずれかが好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレート及びメチル(メタ)アクリレート、又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びメチル(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体は、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を全構成単位に対して80質量%以上有している。これにより、粘着剤層の加熱により被着体への濡れ性が上昇し、粘着剤層の粘着力を上昇させることができる。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体は、被着体への濡れ性を上昇させ粘着剤層の粘着力を上昇させる点から、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を、全構成単位に対して80質量%〜99.99質量%有することが好ましく、85質量%〜99質量%有することがより好ましく、95質量%〜99質量%有することがさらに好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体は、加熱、冷却後のタックの観点から、メチルアクリレートに由来する構成単位を全構成単位に対して35質量%〜80質量%含むことが好ましく、40質量%〜75質量%以上含むことがより好ましく、40質量%〜60質量%含むことがさらに好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.01質量%〜10質量%有している。カルボキシ基を有する単量体としては、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体が挙げられる。
カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2−ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.01質量%以上有する。これにより、(メタ)アクリル系重合体と、架橋剤と、の架橋反応を十分に進行させることができるため、粘着剤層が十分な硬さとなり、加熱、冷却後のタックの上昇が抑制される。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体がカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.01質量%以上有するため、粘着剤層が柔らかくなりすぎず、加熱、冷却時の加飾シートの収縮を抑制でき、外観に優れる傾向がある。
また、本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%以下有する。これにより、(メタ)アクリル系重合体と、架橋剤と、の架橋反応が過剰に進行しないため、粘着剤層の粘着力を上昇させることができる。また、粘着剤層が硬くなりすぎず、高温時に被着体の凹凸に濡れ広がりやすく、加熱時の被着体からの発泡を抑制できる傾向がある。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を、全構成単位に対して0.01質量%〜10質量%有していればよいが、タック、粘着力及び外観を向上させる点から、0.5質量%〜5質量%有していることが好ましく、0.7質量%〜5質量%有していることがより好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体において、架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターは10.1〜10.4である。
架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターは、既述の方法で算出されるものである。
例えば、(メタ)アクリル系重合体の構成単位を適宜変更することで、架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターを調整できる。より具体的には、(メタ)アクリル系重合体にて架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位の種類や、当該構成単位を2種以上含むときの含有比を適宜変更することで、架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターを調整できる。
ここで、「架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体」とは、言い換えると、架橋剤と反応性を有する官能基を有する構成単位を除いた全ての構成単位を意味する。
架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体としては、本発明で用いる架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体であれば特に制限されず、例えば、前述のアルキル(メタ)アクリレート、芳香族モノビニル単量体、シアン化ビニル単量体、カルボン酸ビニル単量体、芳香族環を有する(メタ)アクリル系単量体が挙げられる。
芳香族モノビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルピリジンが挙げられる。シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。また、カルボン酸ビニル単量体としては、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル(商品名、ネオデカン酸ビニル)が挙げられる。
芳香族環を有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性クレゾール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化β−ナフトールアクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体では、架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターは10.1以上である。これにより、(メタ)アクリル系重合体と粘着付与樹脂とが相溶しにくくなっており、本発明における粘着剤組成物から形成された粘着剤層では、粘着付与樹脂が加熱中に粘着剤層の表面に局在化しやすくなっていると推測される。さらに、本発明で用いる粘着付与樹脂は軟化点が130℃以上であるため、本発明における粘着剤組成物から形成された粘着剤層では、冷却後の室温環境下においてタックの上昇が抑制される。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体では、架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターは10.4以下である。これにより、(メタ)アクリル系重合体と粘着付与樹脂とが相溶しにくくなりすぎず、粘着剤層の表面に局在化する粘着付与樹脂の量も多くなりすぎないと推測される。これにより、粘着剤層の加熱により被着体への濡れ性が上昇し、粘着剤層の粘着力を上昇させることができる。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体では、タック及び粘着力を向上させる点から、前述の溶解度パラメーターは10.2以上10.4以下であることが好ましく、10.2以上10.3以下であることがより好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体は、前述した単量体のほかに水酸基を有する単量体に由来する構成単位、窒素原子を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位などを有していてもよい。
水酸基を有する単量体としては、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体、不飽和アルコールが挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−3−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートに代表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミドが挙げられる。
中でも水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、他の単量体との相溶性及び共重合性が良好である点から、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートがより好ましく、2−ヒドロキシエチルアクリレートがさらに好ましい。
不飽和アルコールとしては、例えば、アリルアルコール、メタリルアルコールが挙げられる。
窒素原子を有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチル、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、とくに制限されず、外観と粘着力を向上させる点から、10万〜200万であることが好ましく、20万〜150万であることがより好ましく、30万〜120万であることがさらに好ましい。重量平均分子量は、重合反応温度、時間、有機溶媒の量などにより調整することができる。
(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、下記の方法により測定された値である。
(重量平均分子量(Mw)の測定方法)
下記(1)〜(3)に従って測定する。
(1)(メタ)アクリル系重合体の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で1分間乾燥し、フィルム状の(メタ)アクリル系重合体を得る。
(2)前記(1)で得られたフィルム状の(メタ)アクリル系重合体をテトラヒドロフランにて固形分0.2%になるように溶解させる。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算値として、(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)を測定する。
(条件)
GPC:HLC−8220 GPC〔東ソー株式会社製〕
カラム:TSK−GEL GMHXL〔東ソー株式会社製〕4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/min
カラム温度:40℃
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度(Tg)は、粘着剤層としたときの粘着力を高める点から、−30℃以上−10℃以下であることが好ましい。
(メタ)アクリル系重合体のTgは、下記式の計算により求められる絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算した値である。

式中、Tg、Tg、・・・・・及びTgは、単量体1、単量体2、・・・・・及び単量体nそれぞれの単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度である。m、m、・・・・・及びmは、それぞれの単量体のモル分率である。
なお、「単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度」は、その単量体を単独で重合して製造した単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度をいう。単独重合体のガラス転移温度は、その単独重合体を、示差走査熱量測定装置(DSC)(セイコーインスツル株式会社製、EXSTAR6000)を用い、窒素気流中、測定試料10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られたDSCカーブの変曲点を、単独重合体のガラス転移温度としたものである。
代表的な単量体の「単独重合体のセルシウス温度(℃)で表されるガラス転移温度」は、メチルアクリレートは5℃であり、エチルアクリレートは−27℃であり、n−ブチルアクリレートは−57℃であり、2−エチルヘキシルアクリレートは−76℃であり、2−ヒドロキシエチルアクリレートは−15℃であり、4−ヒドロキシブチルアクリレートは−39℃であり、t−ブチルアクリレートは41℃であり、酢酸ビニルは33℃であり、アクリル酸は163℃である。例えば、これら代表的な単量体を用いることで、前述のガラス転移温度を適宜調整することが可能である。
なお、絶対温度(K)から273を引くことで絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算可能であり、セルシウス温度(℃)に273を足すことでセルシウス温度(℃)を絶対温度(K)に換算可能である。
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体の製造方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法で単量体を重合して製造できる。なお、製造後に本発明における粘着剤組成物を調製するにあたり、処理工程が比較的簡単かつ短時間で行えることから、溶液重合が好ましい。
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させるなどの方法を使用することができる。なお、(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量は、反応温度、時間、溶剤量、触媒の種類や量を調整することにより、所望の値にできる。
(メタ)アクリル系重合体の重合反応時に用いられる有機溶媒としては、芳香族炭化水素化合物、脂肪系もしくは脂環族系炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物、グリコールエーテル化合物、アルコール化合物などが挙げられる。これらの有機溶媒はそれぞれ1種単独でも、2種以上混合して用いてもよい。
重合反応時に用いられる有機溶媒としては、より具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、及び芳香族ナフサに代表される芳香族炭化水素系有機溶媒、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、及びテレピン油に代表される脂肪族炭化水素系又は脂環族炭化水素系の有機溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、及び安息香酸メチルに代表されるエステル系有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンに代表されるケトン系有機溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルに代表されるグリコールエーテル系有機溶媒、並びに、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、及びt−ブチルアルコールに代表されるアルコール系有機溶媒が挙げられる。
また、重合開始剤としては、例えば、通常の重合方法で使用できる有機過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。
[架橋剤]
本発明における粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して0.01質量部〜10質量部の架橋剤を含む。
架橋剤としては、本発明における粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系重合体を架橋できるものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物が挙げられ、中でも、エポキシ化合物又はイソシアネート化合物が好ましい。架橋剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリス(グリシジル)イソシアヌレート、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌレート、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ベンゼンジ(メタンアミン)が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネートに代表される芳香族ポリイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、前記した芳香族ポリイソシアネート化合物の水素添加物に代表される鎖状又は環状の脂肪族ポリイソシアネート化合物、これらのポリイソシアネート化合物のビュレット体、2量体、3量体又は5量体、これらのポリイソシアネート化合物と、トリメチロールプロパンなどのポリオール化合物とのアダクト体が挙げられる。これらのイソシアネート化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの2量体、トリレンジイソシアネートとポリオールとのアダクト体、トリレンジイソシアネートの3量体又は5量体であるイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネートのビュレット体などの各種トリレンジイソシアネートに由来するトリレンジイソシアネート化合物が好ましい。さらに、反応性に優れ架橋密度を高めることができる点、並びに(メタ)アクリル系重合体との相溶性に優れる点から、トリレンジイソシアネート、又はトリレンジイソシアネートとポリオールとのアダクト体が好ましく、特に架橋時のゲル化を抑制する点から、トリレンジイソシアネート、又はトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体が特に好ましい。
エポキシ化合物は、市販品を使用できる。市販品としては、例えば、三菱ガス化学株式会社製の「TETRAD−X」及び「TETRAD−C」の商品名により市販されているものを好適に使用できる。
イソシアネート化合物は、市販品を使用できる。市販品としては、例えば、東ソー株式会社製の「コロネートHX」、「コロネートHL−S」、「コロネートL」、「コロネート2031」、「コロネート2030」、「コロネート2037」、「コロネート2234」、「コロネート2785」、「アクアネート200」、及び「アクアネート210」、住化コベストロウレタン株式会社製の「スミジュールN3300」、「デスモジュールN3400」、及び「スミジュールN−75」、旭化成ケミカルズ株式会社製の「デュラネートE−405−80T」、「デュラネート24A−100」、及び「デュラネートTSE−100」、並びに、三井化学株式会社製の「タケネートD−110N」、「タケネートD−120N」、「タケネートM−631N」、及び「MT−オレスターNP1200」の商品名により市販されているものを好適に使用できる。
本発明における粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して架橋剤を0.01質量部以上含む。これにより、(メタ)アクリル系重合体と、架橋剤と、の架橋反応を十分に進行させることができるため、加熱、冷却後のタックの上昇が抑制されるとともに、加熱、冷却時のシワの発生が抑制でき、外観に優れる傾向がある。
また、本発明における粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して架橋剤を10質量部以下含む。これにより、(メタ)アクリル系重合体と、架橋剤と、の架橋反応が過剰に進行しないため、粘着剤層の粘着力を上昇させることができ、かつ高温時に被着体の凹凸に濡れ広がりやすく、加熱時の被着体からの発泡を抑制でき、外観に優れる傾向がある。
粘着剤組成物における架橋剤の含有量は、タック、粘着力及び外観を向上させる点から、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部であることが好ましく、0.1質量部〜3質量部であることがより好ましい。
[粘着付与樹脂]
本発明における粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して、軟化点が130℃〜180℃である粘着付与樹脂10質量部〜30質量部含む。
なお、粘着付与樹脂の軟化点は、環球法により測定できる。
粘着付与樹脂としては、天然樹脂系と合成樹脂系が挙げられる。本発明においては、相溶性のバランスを取りやすいため、天然樹脂系の粘着付与樹脂が好ましく、中でも、テルペン樹脂及びロジン樹脂の少なくとも一方が好ましい。
テルペン樹脂としては、例えば、無変性のテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂が挙げられ、中でもテルペンフェノール樹脂が好ましい。
テルペンフェノール樹脂としては、テルペン類とフェノール化合物との共重合体が挙げられ、例えば、α‐ピネン、β‐ピネン、及びジペンテン(リモネン)に代表される単環式モノテルペン類と、フェノール、クレゾール、及びビスフェノールAに代表されるフェノール化合物と、の共重合体が挙げられる。
ロジン樹脂としては、例えば、ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、エステル化ロジンが挙げられ、中でもエステル化ロジンが好ましい。
これらテルペン樹脂及びロジン樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
テルペン樹脂及びロジン樹脂は、市販品を使用できる。市販品であるテルペン樹脂としては、例えば、ヤスハラケミカル株式会社製の「YSポリスターU130」、「YSポリスターT130」、「YSポリスターTH130」、「YSポリスターT145」、「YSポリスターT160」、「YSポリスターS145」、「YSポリスターG150」、及び「YSポリスターK140」、並びに、荒川化学工業株式会社製の「タマノル803L」、及び「タマノル901」の商品名により市販されているものを好適に使用できる。また、市販品であるロジン樹脂としては、例えば、ハリマ化成株式会社製の「ネオトール160」及び荒川化学工業株式会社製の「ペンセルD−160」の商品名によりされているものを好適に使用できる。
本発明における粘着剤組成物に含まれる粘着付与樹脂は、軟化点が130℃以上であるため、加熱、冷却後の粘着剤層におけるタックの上昇が抑制される。また、この粘着付与樹脂は、軟化点が180℃以下であるため、粘着剤層の加熱により被着体への濡れ性が上昇し、粘着剤層の粘着力を上昇させることができる。
粘着付与樹脂としては、タックの点で、軟化点が140℃〜165℃であることが好ましく、軟化点が145℃〜160℃であることがより好ましい。
本発明における粘着剤組成物は、前述の粘着付与樹脂を(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して10質量部以上含むため、粘着付与樹脂が加熱中に粘着剤層の表面により局在化しやすくなっていると推測される。これにより、冷却後の室温環境下においても粘着付与樹脂が粘着剤層の表面に局在化し、タックの上昇が抑制される。
また、本発明における粘着剤組成物は、前述の粘着付与樹脂を(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して30質量部以下含むため、粘着剤層の表面に局在化する粘着付与樹脂の量が多くなりすぎないと推測される。これにより、粘着剤層の加熱により被着体への濡れ性が上昇し、粘着剤層の粘着力を上昇させることができる。
粘着付与樹脂としては、(メタ)アクリル系重合体と粘着付与樹脂との相溶性のバランスを取り粘着付与樹脂が加熱中に粘着剤層の表面に好適に局在化しやすくする点から、溶解度パラメーター(SP値)が8.5〜9.2であることが好ましく、8.6〜8.9であることがより好ましい。粘着付与樹脂のSP値がこの数値範囲内にあることにより、加熱、冷却後の粘着剤層におけるタックの上昇がより好適に抑制される。なお、粘着付与樹脂の溶解度パラメーターは、カタログに記載された値を採用である。カタログに記載されていない場合は、Smallの式を用いて算出される値である。
前述の(メタ)アクリル系重合体における架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターと、粘着付与樹脂の溶解度パラメーターとの差は、粘着付与樹脂と(メタ)アクリル系重合体との相溶性のバランスをとる点から、1.3〜1.6であることが好ましく、1.4〜1.5であることがより好ましい。
[その他の成分]
本発明における粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系重合体、架橋剤及び粘着付与樹脂の他に、必要に応じて、架橋触媒、シランカップリング剤、有機溶媒、耐候性安定剤、可塑剤、軟化剤、剥離助剤、染料、顔料、無機充填剤、界面活性剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、紫外線吸収剤やヒンダードアミン系化合物に代表される光安定剤などを適宜含有してもよい。
[用途]
本発明における加飾フィルム用粘着剤組成物は、加飾フィルムを被着体に貼着するために用いるものである。
加飾フィルムを被着体に貼着する方法としては、例えば、真空成形法や圧空成形法が挙げられる。これらの中でも、加飾フィルムを被着体に貼着する方法としては、真空成形法が好ましい。
被着体としては、特に制限されず、平板、曲面板などの板材、立体形状物品、フィルムなどの成形体が挙げられる。これらの中でも、被着体としては、立体形状物品が好ましい。また、被着体を形成する材料としては、特に制限されず、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
〔粘着シート〕
本発明は、上述した粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する粘着シートであってもよい。本発明における粘着シートは、基材を有しない無基材タイプの粘着シートでもよく、基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する有基材タイプの粘着シートでもよい。
本発明における粘着シートにおいて、粘着剤層の厚さは、特に制限されるものではなく、用途や要求性能により適宜選択することができる。粘着剤層の厚さとして、例えば1μm〜100μmの範囲が挙げられる。
本発明における粘着シートの露出した粘着剤層は、剥離フィルムによって保護されていてもよい。剥離フィルムとしては、粘着剤層からの剥離が容易に行なえるものであれば特に制限されず、例えば、剥離処理剤を用いて少なくとも片面に易剥離処理が施された樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムに代表されるポリエステルフィルムが挙げられる。剥離処理剤として、例えば、フッ素系樹脂、パラフィンワックス、シリコーン、長鎖アルキル基化合物が挙げられる。剥離フィルムは、粘着シートを実用に供するまでの間、粘着剤層の表面を保護し、使用時に剥離される。
本発明における粘着シートは、例えば、本発明における粘着剤組成物を剥離フィルムや基材に塗布し、乾燥後に一定期間養生することによって粘着剤層を形成して作製できる。養生の条件は、例えば23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で1〜10日間とすることができる。粘着剤層を養生することにより、架橋剤によって(メタ)アクリル系重合体を十分に架橋された状態とすることができる。
無基材タイプの粘着シートは、例えば、剥離フィルムの剥離処理面に粘着剤組成物を塗布し、乾燥させ、粘着剤組成物の層を形成し、得られた前記層の、剥離フィルムと接しない露出した面に、別の剥離フィルムを剥離処理面が接するように重ね、養生して粘着剤層を形成する方法により作製できる。
有基材タイプの粘着シートは、粘着剤組成物を基材に塗布する方法により作製しても、粘着剤組成物を剥離フィルムに塗布する方法により作製してもよい。このような方法としては、例えば、剥離フィルムの剥離処理面に粘着剤組成物を塗布し、乾燥させ、粘着剤組成物の層を形成し、得られた前記層の剥離フィルムと接しない露出した面に基材を貼合し、養生して粘着剤層を形成する方法が挙げられる。
剥離フィルムや基材に粘着剤組成物を塗布する方法としては、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いた公知の方法が挙げられる。
〔加飾フィルム〕
有基材タイプの粘着シートとしては、前述の粘着剤組成物から形成された粘着剤層と、基材と、を少なくとも有する加飾フィルムが例示できる。加飾フィルムにおける基材としては、例えば、熱可塑性樹脂から形成される樹脂層であってもよく、中でもアクリル系樹脂を含んでなることが好ましい。アクリル系樹脂を用いて形成された基材は、加飾成形品を真空成形法により製造する際に要求される、展延性、折曲性、及び形状追従性などの真空成形加工性に優れている。
加飾フィルムにおける基材は、加飾フィルムが成形体へと加飾された後は加飾成形品の最外層に位置し、加飾成形品の保護層としての機能を果たすものである。アクリル系樹脂により基材を形成することで、耐摩耗性、耐薬品性、耐候性などの耐久性に優れた加飾成形品となる。
加飾フィルムにおける基材は、無色であってもよいし、有色であってもよい。基材を着色するには、公知の着色剤を樹脂中に添加すればよい。
また、加飾フィルムにおける基材は、透明であってもよいし、半透明であってもよいし、不透明であってもよい。
通常、基材の厚さは、好ましくは25μm〜300μm、より好ましくは50μm〜
200μmである。基材層の厚さが上記範囲内であれば、加飾成形品を真空成形法により
製造する際に、加工成形性、形状追従性、及び取扱い性が良好となる。
本発明における加飾フィルムは、基材と粘着剤層との間に、装飾層を有していてもよい。装飾層は、加飾フィルムに意匠性を付与するために設けられる層であり、模様、文字、パターン状の絵柄などを表現する柄層である。
〔加飾成形品〕
加飾成形品は、真空成形法や圧空成形法(好ましくは真空成形法)により、成形体上に本発明における加飾フィルムを貼り合せることで形成される。つまり、加飾成形品は、成形体と、成形体上に配置された加飾フィルムと、を含むものであり、より具体的には、成形体、粘着剤層、必要に応じて装飾層、及び基材層がこの順に積層されたものである。
成形体としては、本発明における加飾フィルムを貼着できるものであれば特に制限されず、平板、曲面板などの板材、立体形状物品、フィルムなどの成形体が挙げられる。これらの中でも、成形体としては、立体形状物品が好ましい。また、被着体を形成する材料としては、特に制限されず、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[(メタ)アクリル系重合体の製造]
<製造例1>
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置及び温度計を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)49質量部、メチルアクリレート(MA)50質量部、アクリル酸(AA)1質量部からなる単量体混合物のうち25質量%、酢酸エチル(EAc)45質量部及び重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.015質量部を加えて加熱し、還流温度で20分間重合を行った。次いで還流温度条件下で単量体混合物の残量75質量%と、EAc30質量部及びAIBN0.15質量部からなる重合開始剤溶液とを約90分にわたって逐次滴下し、更に60分後EAc25質量部及びAIBN0.30質量部を60分にわたって逐次滴下し、更に120分間重合反応を行った。反応終了後、反応混合物をメチルエチルケトンにて希釈し、固形分が約35質量%の(メタ)アクリル系重合体の溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系重合体は、ガラス転移温度(Tg)−23℃、重量平均分子量(Mw)60万であった。表1に製造例1における単量体組成を示す。
<製造例2〜9、12〜16>
以下の表1に示す単量体組成としたこと以外は、前述の製造例1と同様にして、(メタ)アクリル系重合体の溶液を得た。
製造例2〜9、12〜16にて製造した(メタ)アクリル系重合体の単量体組成を表1に示す。なお、表1における2EHAは、2−エチルヘキシルアクリレートを指し、VACは、酢酸ビニルを指す。
<製造例10>
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置及び温度計を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)49質量部、メチルアクリレート(MA)50質量部、アクリル酸(AA)1質量部からなる単量体混合物のうち25質量%、酢酸エチル(EAc)35質量部、トルエン10質量部及び重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.025質量部を加えて加熱し、還流温度で20分間重合を行った。次いで還流温度条件下で単量体混合物の残量75質量%と、EAc30質量部及びAIBN0.15質量部からなる重合開始剤溶液とを約90分にわたって逐次滴下し、更に60分後EAc25質量部及びAIBN0.30質量部を60分にわたって逐次滴下し、更に120分間重合反応を行った。反応終了後、反応混合物をメチルエチルケトンにて希釈し、固形分が約35質量%の(メタ)アクリル系重合体の溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系重合体は、ガラス転移温度(Tg)−23℃、重量平均分子量(Mw)30万であった。表1に製造例10における単量体組成を示す。
<製造例11>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、逐次滴下装置及び温度計を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)49質量部、メチルアクリレート(MA)50質量部、アクリル酸(AA) 1質量部、酢酸エチル(EAc)150質量部を入れ、反応器内の空気を窒素ガスで置換した。その後、撹拌下、窒素雰囲気中で、反応容器の内容物温度を70℃に昇温させた。その後、EAc35質量部にAIBN0.04質量部を溶解させた溶液を4時間かけて逐次滴下し、更に2時間反応させた。反応終了後、反応混合物をメチルエチルケトンで希釈し、固形分が約20質量%の(メタ)アクリル系重合体の溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系重合体は、ガラス転移温度(Tg)−23℃、重量平均分子量(Mw)は120万であった。表1に製造例11における単量体組成を示す。
<製造例17>
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置及び温度計を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)3質量部、メチルアクリレート(MA)96質量部、アクリル酸(AA)1質量部からなる単量体混合物のうち25質量%、酢酸エチル(EAc)60質量部及び重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.015質量部を加えて加熱し、還流温度で20分間重合を行った。次いで還流温度条件下で単量体混合物の残量75質量%と、EAc30質量部及びAIBN0.15質量部からなる重合開始剤溶液とを約90分にわたって逐次滴下し、更に60分後EAc25質量部及びAIBN0.30質量部を60分にわたって逐次滴下し、更に120分間重合反応を行った。反応終了後、反応混合物をメチルエチルケトンにて希釈し、固形分が約35質量%の(メタ)アクリル系重合体の溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系重合体は、ガラス転移温度(Tg)5℃、重量平均分子量(Mw)60万であった。表1に製造例17における単量体組成を示す。
なお、製造例1〜17にて製造した(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)については、前述の方法により測定された値であり、製造例1〜17にて製造した(メタ)アクリル系重合体におけるSP値は、前述の方法により算出された値である。参考として、製造例1にて製造した(メタ)アクリル系重合体についてSP値の算出方法を以下に記載する。
<SP値の算出>
前述のように、(メタ)アクリル系重合体における架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーター(SP値)は、以下の式(1)に基づき算出される。
SP値=[ΣEcohM1/(ΣVM1×4.182)]1/2×XM1/100+[ΣEcohM2/(ΣVM2×4.182)]1/2×XM2/100+・・・[ΣEcohMn/(ΣVMn×4.182)]1/2×XMn/100 式(1)
ΣEcohM1、M2・・・Mn : M1、M2・・・Mnの凝集エネルギー密度
ΣVM1、M2・・・Mn : M1、M2・・・Mnのモル容積
XM1、M2・・・Mn : 架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する全構成単位に対する、M1、M2・・・Mnの含有率(質量%)
M1、M2・・・Mn : 架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体の種類
前述のΣEcoh及びΣVは、「SP値基礎・応用と計算方法」の67ページに記載されている各構造の凝集エネルギー密度Ecohと各構造のモル容積(V)をもとに、同一の構成単位ごとに計算される値である。
製造例1にて得られた(メタ)アクリル系重合体は、後述する実施例1に用いる架橋剤であるイソシアネート化合物と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位として、ブチルアクリレート(BA)に由来する構成単位及びメチルアクリレート(MA)に由来する構成単位を含む。まず、BAに由来する構成単位のΣEcoh及びΣV、並びに、MAに由来する構成単位のΣEcoh及びΣVを算出した。
(BAに由来する構成単位のΣEcoh)
BAに由来する構成単位の構造式は以下の通りである。
BAに由来する構成単位は、CH、CH、COO及びCHの各構造を有し、各構造の凝集エネルギー密度は、それぞれ4710[J/mol]、4940[J/mol]、18000[J/mol]及び3430[J/mol]である。したがって、BAに由来する構成単位のΣEcohは以下のように算出される。
BAに由来する構成単位のΣEcoh=4710×1+4940×4+18000×1+3430×1=45900
(BAに由来する構成単位のΣV)
BAに由来する構成単位は、CH、CH、COO及びCHの各構造を有し、各構造のモル容積は、それぞれ33.5[cm/mol]、16.1[cm/mol]、18.0[cm/mol]及び−1.0[cm/mol]である。したがって、BAに由来する構成単位のΣVは以下のように算出される。
BAに由来する構成単位のΣV=33.5×1+16.1×4+18.0×1+(−1.0)×1=114.9
(MAに由来する構成単位のΣEcoh)
MAに由来する構成単位の構造式は以下の通りである。
MAに由来する構成単位は、CH、CH、COO及びCHの各構造を有する。したがって、MAに由来する構成単位のΣEcohは以下のように算出される。
MAに由来する構成単位のΣEcoh=4710×1+4940×1+18000×1+3430×1=31080
(MAに由来する構成単位のΣV)
MAに由来する構成単位は、CH、CH、COO及びCHの各構造を有する。したがって、MAに由来する構成単位のΣVは以下のように算出される。
MAに由来する構成単位のΣV=33.5×1+16.1×1+18.0×1+(−1.0)×1=66.6
BAに由来する構成単位及びMAに由来する構成単位の合計に対する、BAに由来する構成単位の含有率及びMAに由来する構成単位の含有率がそれぞれ49.5質量%、50.5質量%であるため、SP値は以下のようにして算出される。なお、表中では、製造例1〜17におけるSP値について、小数点第2位を四捨五入している。
SP値=[45900/(114.9×4.182)]1/2×49.5/100+[31080/(66.6×4.182)]1/2×50.5/100=10.17≒10.2
<粘着剤組成物の調製>
(実施例1)
製造例1にて製造した(メタ)アクリル系重合体の溶液(固形分として100質量部)と、架橋剤としてイソシアネート化合物であるコロネートL(東ソー株式会社製、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体、有効成分として2.0質量部)と、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール樹脂であるYSポリスターT−145(ヤスハラケミカル株式会社製、軟化点145℃、SP値8.80、有効成分として10質量部)と、を十分に攪拌混合して粘着剤組成物を得た。
実施例1にて調製した粘着剤組成物の組成を表1に示す。
表1において、架橋剤及び粘着付与樹脂の種類は以下の通りである。なお、表中では、ネオトール160のSP値について、小数点第2位を四捨五入している。
イソシアネート:コロネートL(東ソー株式会社製、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体)
エポキシ:TETRAD−X(三菱ガス化学株式会社製、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ベンゼンジ(メタンアミン))
T−100:YSポリスターT−100(ヤスハラケミカル株式会社製、軟化点100℃、SP値8.80であるテルペンフェノール樹脂)
T−130:YSポリスターT−130(ヤスハラケミカル株式会社製、軟化点130℃、SP値8.80であるテルペンフェノール樹脂)
T−145:YSポリスターT−145(ヤスハラケミカル株式会社製、軟化点145℃、SP値8.80であるテルペンフェノール樹脂)
T−160:YSポリスターT−160(ヤスハラケミカル株式会社製、軟化点160℃、SP値8.80であるテルペンフェノール樹脂)
160:ネオトール160(ハリマ化成株式会社製、軟化点160℃、SP値8.66である重合ロジンペンタエステル系樹脂)
(実施例2〜20)
実施例2〜20では、以下の表1に示す粘着剤組成物の組成としたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。
なお、表1に示す配合量は、固形分換算値、又は有効成分換算値である。
(比較例1〜10)
比較例1〜10では、以下の表1に示す粘着剤組成物の組成としたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。
詳細には、比較例1、2では、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して粘着付与樹脂の配合量が、それぞれ10質量部未満、30質量部超であった。
また、比較例3では、粘着付与樹脂の軟化点が130℃未満であった。
比較例4、5では、(メタ)アクリル系重合体におけるカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位が全構成単位に対してそれぞれ0.01質量%未満、10質量%超であった。
比較例6では、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が全構成単位に対して80質量%未満であった。
比較例7、8では、(メタ)アクリル系重合体における架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターがそれぞれ10.1未満、10.4超であった。
比較例9、10では、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して架橋剤の配合量が、それぞれ0.01質量部未満、10質量部超であった。
なお、配合量は、固形分換算値、又は有効成分換算値である。
<試験用フィルムの作製>
実施例1〜20、比較例1〜10にて得た粘着剤組成物を用い、以下のようにして試験用フィルムを作製した。
まず、粘着剤組成物を、片面に離型処理が施されているポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ100μm)の離型処理面上に、乾燥後の厚さが約40μmとなるように流涎塗布し、100℃で2分間乾燥した。次いで、PETフィルムのもう一方の面に加圧ニップロールを通して塩化ビニルフィルム(厚さ150μm)を圧着して貼り合せた後、23℃50%RHの条件下で7日間養生を行い、試験用フィルム(PETフィルム/粘着剤層/塩化ビニルフィルム)を作製した。
<粘着力測定>
作製した試験用フィルムを25mm×150mmにカットした後、PETフィルムを剥離し、被着体である厚さ2mmのABS板に2kgローラーで一往復し貼り合せた。次いで、110℃の乾燥機に1時間投入後、23℃50%RHの条件下で30分間放置したのち、剥離速度300mm/分、180°剥離における加熱、冷却後の粘着力を測定した。下記評価基準に従って粘着力を評価した。評価結果がA〜Cであれば実用上問題ないが、B以上が好ましく、Aがより好ましい。粘着力測定の結果を表1に示す。
A:30N/25mm以上
B:15N/25mm〜30N/25mm未満
C:10N/25mm〜15N/25mm未満
D:10N/25mm未満
<プローブタック測定>
作製した試験用フィルムを25mm×150mmにカットし110℃の乾燥機に1時間投入した。次いで、試験用フィルムを乾燥機から取り出し、25℃50%RHの条件で30分放置した後、PETフィルムを剥離した。試験用フィルムの粘着剤層のタックを、株式会社レスカ製タッキング試験機(モデルTAC−1000)を用いて、プローブサイズ5φ、接触時間0.1秒、押し込み荷重が200gf、25℃50%RHの条件で加熱、冷却後のタックを測定した。下記評価基準に従ってタックを評価した。評価結果がA〜Cであれば実用上問題ないが、B以上が好ましく、Aがより好ましい。タック評価の結果を表1に示す。
A:100gf/5φ未満
B:100gf/5φ〜200gf/5φ未満
C:200gf/5φ〜400gf/5φ未満
D:400gf/5φ以上
<外観評価>
作製した試験用フィルムを50mm×75mmにカットした後、PETフィルムを剥離し、被着体である厚さ2mmのABS板に2kgローラーで一往復し仮貼りを行った。次いで、110℃の乾燥機に1時間投入後、乾燥機から取出し、塩化ビニルフィルム面の外観を目視で確認した。下記評価基準に従って外観を評価した。外観評価の結果を表1に示す。
A:シワ、発泡が見られず、外観に問題なし
B:一部でシワ、発泡が発生
C:全面にシワ、発泡が発生
以下の表1に、実施例1〜20、比較例1〜10にて得られた粘着剤組成物の組成、及び測定結果、評価結果を示す。
[結果]
実施例1〜20では、粘着力の評価結果及びタックの評価結果がそれぞれC以上であり、加熱、冷却後にて、低タックと高粘着力との両立を図ることができた。
一方、比較例1〜10では、粘着力の評価結果及びタックの評価結果の一方がDであり、加熱、冷却後にて、低タックと高粘着力との両立を図ることができなかった。

Claims (8)

  1. (メタ)アクリル系重合体100質量部と、
    架橋剤0.01質量部〜10質量部と、
    軟化点が130℃〜180℃である粘着付与樹脂10質量部〜30質量部と、
    を含み、
    前記(メタ)アクリル系重合体は、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を全構成単位に対して80質量%以上有し、かつカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.01質量%〜10質量%有し、
    前記(メタ)アクリル系重合体における前記架橋剤と反応性を有する官能基を有さない単量体に由来する構成単位全体の溶解度パラメーターが10.1〜10.4である、加飾フィルム用粘着剤組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル系重合体は、前記カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.7質量%〜5質量%有する、請求項1に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度は、−30℃以上−10℃以下である、請求項1又は請求項2に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
  4. 前記(メタ)アクリル系重合体は、メチルアクリレートに由来する構成単位を全構成単位に対して35質量%〜80質量%含む、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
  5. 前記粘着付与樹脂は、テルペン樹脂及びロジン樹脂の少なくとも一方である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
  6. 前記粘着付与樹脂の溶解度パラメーターは、8.5〜9.2である請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の加飾フィルム用粘着剤組成物から形成された粘着剤層と、基材と、を有する加飾フィルム。
  8. 成形体と、前記成形体上に配置された請求項7に記載の加飾フィルムと、を含む加飾成形品。
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