JP6744109B2 - 放射性廃棄物の固化体製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放射性廃棄物の固化体製造方法に関する。
原子炉施設などの解体に伴って発生する高線量の放射性廃棄物は、例えば、セメント、ガラスなどの固化材を用いて容器などへの固形化することが求められている。
セメントを固化材とする放射性廃棄物の固化方法(以下、「セメント固化法」とする。)は、原子力施設内での処理が比較的容易なことから、多くの原子力施設で標準的な固化方法として用いられている。
しかし、セメント固化法を用いた場合、水和反応により水和物を生成して硬化する反応を利用するため、高線量の放射性廃棄物に対しては、固形化された放射性廃棄物の固化体(以下、単に「固化体」とする。)に残留する水分が放射線分解されて水素が発生する。発生した水素が容器内に充満して爆発限界濃度(空気中では4%)を超えた場合、爆発が生じ得る。従って、セメント固化法を用いる場合、爆発の発生を防ぐ観点から、セメントと混合する放射性廃棄物の濃度または量を制限して、水素の発生量を抑制する必要がある。
故に、放射能濃度の高い放射性廃棄物をセメントで固化する場合、1個の容器内に収納可能な放射性廃棄物の量が制限され、廃棄に必要な容器の個数が増えるので、放射性廃棄物の輸送費用および処分費用が増大する。
一方、ガラスを固化材とする放射性廃棄物の固化方法(以下、「ガラス固化法」とする。)は、水を含まないので高線量廃棄物に対し有用である。しかし、ガラス固化法は、1200℃以上に加熱した溶融ガラスに放射性廃棄物を混合して容器の中に固める高度な技術を要する固化方法であり、セメント固化法に比べて汎用性および経済性に劣る。
上述した事情を考慮し、水和反応を利用しないジオポリマー(ジオポリマーバインダー)による放射性廃棄物の固化方法(以下、「ジオポリマー固化法」とする。)が提案されている。ジオポリマーは、AlおよびSiで構成される。ジオポリマー作製の原料は、水、固化材およびアルカリ刺激剤であり、必要に応じて添加材が添加される。
ジオポリマー作製の原料に関連して、固化材としては、例えば、メタカオリン、カオリン、高炉スラグ、フライアッシュ、焼却灰などを用いることができる。また、アルカリ刺激剤としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸セシウムもしくはケイ酸ルビジウムの単体、またはこれらの少なくとも二つを組み合わせたものなどを用いることができる。添加材は、ジオポリマーの強度向上や粘度制御などを目的に必要時に添加される。
上述のジオポリマーと放射性廃棄物とを混合してできる混合物を所定条件下で加熱することで放射性廃棄物を固形化するジオポリマー固化法が、例えば、特許文献1および2に記載されている。
特許第5807785号公報 特許第5661492号公報
しかしながら、ジオポリマーには、水和物のように不可分に含まれる水分がないものの、放射性廃棄物とジオポリマーとの混合物を生成する工程で水を必要とするため、当該混合物には水分が残留する。従って、混合物からの水分除去が不十分でない場合、セメント固化法を用いる場合と同様に、固化体内に残留する水分が放射線分解されて水素が発生するという課題が残る。
特許文献1に記載される放射性廃棄物の固化方法では、第1の加熱工程で放射性廃棄物とジオポリマーとの混合物を水分除去しながら固化させ、続く第2の加熱工程で固化した混合物(固化体)からさらに水分を除去している旨が記載されているが、当該固化方法では、放射性廃棄物とジオポリマーとの固化体の空隙率によっては、混合物内に残留している水分が加熱工程を経ても十分に除去できないことが起こり得る。
従って、特許文献1に記載される放射性廃棄物の固化方法を用いたとしても、固化体内に残留する水分が放射線分解されて水素が発生するという課題を完全に解決できる訳ではなく、セメント固化法の場合と同様に、混合する放射性廃棄物の濃度または量を制限して、水素の発生量を抑制する必要がある。
また、特許文献2に記載される放射性廃棄物の固化方法では、放射性廃棄物とジオポリマーとの混合物を、固化させずに所定条件下で加熱することで、混合物内から水分を除去しながら固化させる旨が記載されているが、当該固化方法では、放射性廃棄物とジオポリマーとの混合物が固化する前から100〜400℃で加熱しているため、固化体の変形が起こり得る。
一方、放射性廃棄物の輸送費用および処分費用の観点からいえば、より大きな固化体を製造したり、1個の容器内に収納可能な放射性廃棄物の濃度や量を高めたりすることが望ましいが、より形状の大きい固化体を製造する場合、固化体から水分が抜けにくく、水蒸気が内部にとどまり、爆裂するリスクが高まってしまう。従って、固化体内の水分除去が必ずしも十分でなかったり、固化体が変形し得る従来の放射性廃棄物の固化方法では、現状以上に放射性廃棄物を収容可能な容器の大きさや1個の容器内に収納可能な放射性廃棄物の濃度や量を高めるのは困難である。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも爆裂しにくい放射性廃棄物の固化体製造方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る放射性廃棄物の固化体製造方法は、上述した課題を解決するため、ジオポリマーの組成物に放射性廃棄物を混合した混合物を固化させることで、前記ジオポリマーによって固化された前記放射性廃棄物の固化体を製造する方法であって、粒径が0.01mm以上20mm以下の粒状体の固形有機物を含有する添加剤と前記ジオポリマーと前記放射性廃棄物とを混合し添加材入り混合物を生成する工程と、前記添加材入り混合物を150℃以上250℃以下で加熱する工程と、を具備し、前記固形有機物は、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびポリエチレンから選択される1種類の熱可塑性樹脂であることを特徴とする。
さらに前記放射性廃棄物の固化体を製造する方法であって、有機溶媒を含有する添加剤と前記ジオポリマーと前記放射性廃棄物とを混合し添加材入り混合物を生成する工程と、を備え、前記添加材入り混合物を100℃以下で加熱する工程および前記添加材入り混合物を減圧する工程のうち少なくとも一方の工程、を具備することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る放射性廃棄物の固化体製造方法によれば、より爆裂しにくい放射性廃棄物の固化体を製造することができる。
本実施形態に係る放射性廃棄物の固化体製造方法を説明する説明図であり、(A)は固化前の添加材入り混合物の状態を模式的に示す模式図、(B)は添加材入り混合物を固化して得られる固化体の構造を模式的に示す模式図。 第1の実施形態に係る放射性廃棄物の固化体製造方法の処理手順の一例である第1の固化体製造手順の流れを示す流れ図(フローチャート)。 第1の固化体製造手順で生成される添加材入り混合物の組成を模式的に示す模式図であり、(A)が第1の添加材入り混合物の組成を模式的に示す模式図、(B)が第2の添加材入り混合物の組成を模式的に示す模式図。 第1の固化体製造手順で生成される添加材入り混合物を固化して製造される固化体の構造を模式的に示す模式図であり、(A)が第1の固化体の構造を模式的に示す模式図、(B)が第2の固化体の構造を模式的に示す模式図。 第2の実施形態に係る放射性廃棄物の固化体製造方法の処理手順の一例である第2の固化体製造手順の流れを示す流れ図(フローチャート)。 第2の固化体製造手順で生成される添加材入り混合物の組成を模式的に示す模式図。 第2の固化体製造手順で生成される添加材入り混合物を固化して製造される固化体の構造を模式的に示す模式図であり、(A)、(B)および(C)は、それぞれ、第3〜5の固化体1C〜1Eの構造を模式的に示す模式図。 本実施形態に係る放射性廃棄物の固化体製造方法の変形例および当該変形例に係る固化体製造方法で製造される固化体を説明する説明図であり、(A)は固化前の第6の添加材入り混合物の状態を模式的に示す模式図、(B)は第6の添加材入り混合物を固化して得られる第6の固化体の構造を模式的に示す模式図。
以下、本発明の実施形態に係る放射性廃棄物の固化体製造方法およびこの固化体製造方法によって製造される放射性廃棄物の固化体(以下、単に「固化体」とする。)を添付図面に基づいて説明する。なお、図面の明瞭性を担保するため、添付の図面において、固化体内に混在する放射性廃棄物については図示を省略している。
本発明の実施形態に係る放射性廃棄物の固化体製造方法は、まず、ジオポリマーの組成物(以下、「ジオポリマー組成物」とする。)に放射性廃棄物を混ぜたものに、さらに固化体の爆裂発生を低減する構造部(以下、「爆裂低減部」とする。)をジオポリマーの内部に形成する添加材を加え、ジオポリマー組成物と放射性廃棄物と添加材とを含む混合物(以下、「添加材入り混合物」とする。)を生成する。
その後、添加材入り混合物に混練水を加えて混練した後、適宜成形し、ジオポリマー組成物を反応させ、硬化を進めるとともに添加材入り混合物を固化する。上記工程により、添加材入り混合物に加えられた添加材がジオポリマー内に爆裂低減部を形成し、ジオポリマー内に爆裂低減部が形成された固化体が製造される。
図1は本実施形態に係る放射性廃棄物の固化体製造方法を説明する説明図であり、図1(A)は固化前の添加材入り混合物10などの状態を模式的に示す模式図、図1(B)は添加材入り混合物10などを固化して得られる固化体1(1A〜1F)の構造を模式的に示す模式図である。
本実施形態に係る放射性廃棄物の固化体製造方法では、例えば、図1(A)に示されるように、添加材入り混合物10などを用意(生成)する。ここでは、複数の添加材入り混合物10、20および30を用意している。添加材入り混合物10、添加材入り混合物20および添加材入り混合物30は、それぞれ、添加材12、添加材14および添加材12および14が加えられている混合物である。
生成した添加材入り混合物10、添加材入り混合物20および添加材入り混合物30を固化すると、図1(B)に示されるように、内部に爆裂低減部3(3A〜3F)が形成されたジオポリマー2によって固化された固化体1(1A〜1F)が製造される。
ジオポリマー2は、例えばメタカオリンやアルミノケイ酸原料などの固化材と、例えばケイ酸ナトリウム(NaSiO)と水酸化ナトリウム(NaOH)とを含有するアルカリ刺激剤とを含むジオポリマー組成物11(混合物)を反応させることで硬化する物質である。
以下、各実施形態に係る放射性廃棄物の固化体製造方法および当該製造方法によって製造される固化体について説明する。
[第1の実施形態]
図2は第1の実施形態に係る固化体製造方法の処理手順の一例である第1の固化体製造手順の流れを示す流れ図(フローチャート)である。
図3は第1の固化体製造手順で固化される添加材入り混合物10(10A,10B)の組成を模式的に示す模式図であり、図3(A)および図3(B)は、それぞれ、第1の添加材入り混合物10Aおよび第2の添加材入り混合物10Bの組成を模式的に示す模式図である。
図4は第1の固化体製造手順で生成される添加材入り混合物10(10A,10B)を固化して製造される固化体1(1A,1B)の構造を模式的に示す模式図であり、図4(A)および図4(B)は、それぞれ、第1の固化体1Aおよび第2の固化体1Bの構造を模式的に示す模式図である。
第1の固化体製造手順は、まず、ジオポリマー組成物11(図3)に放射性廃棄物を混合し、さらに添加材12(図3)をさらに加えた添加材入り混合物10(図3)を生成する(ステップS1)。
添加材入り混合物10に加えられる添加材12としては、少なくとも添加材入り混合物10を固化する際に気化する物質であればよく、例えば、固体の有機物(以下、「固体有機物」とする。)12A(図3(A))や有機溶媒12B(図3(B))などから選択される。
ここで、図3(A)に示されるように、添加材12として固体有機物12Aをさらに加えた添加材入り混合物10が第1の添加材入り混合物10Aである。また、図3(B)に示されるように、有機溶媒12Bをさらに加えた添加材入り混合物10が第2の添加材入り混合物10Bである。
通常、添加材入り混合物10を固化する際に加熱して添加材入り混合物10に含まれる水分を除去するため、この添加材入り混合物10の加熱によって、添加材入り混合物10に含まれる水分の除去と併せて添加材12を気化することもできる。この場合、添加材入り混合物10の加熱温度は、添加する固体有機物12Aや有機溶媒12Bの沸点以上の温度とすればよい。逆に固化する際の加熱温度が決まっている場合、添加材12は当該加熱温度よりも低い温度の沸点を有する固体有機物12Aや有機溶媒12Bから選択することができる。
固体有機物12Aとしては、例えば、熱可塑性を有する固体の有機物である。より具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびポリエチレンなどから選択される1種類の熱可塑性樹脂が挙げられる。
有機溶媒12Bとしては、例えば、エチルアルコール(エタノール)、メチルアルコール(メタノール)、ヘキサン、シクロヘキサンおよびアセトンなどから選択される少なくとも1種類が挙げられる。
前記ステップS1で加えられる添加材12A,12B(図3)が、続くステップにおいて、添加材入り混合物10A,10B(図3)を固化して得られる固化体1A,1B(図4)におけるジオポリマー2の内部に空孔4(図4)を含む爆裂低減部3(図1)としての空孔部を形成する。
添加材入り混合物10を生成したら、続いて、添加材入り混合物10に、混練水を加えて混練した後、添加材入り混合物10に内在する添加材12を気化して除去した状態で添加材入り混合物10を固化する(ステップS2)。
すると、固体有機物12Aが加えられている第1の添加材入り混合物10Aでは、ジオポリマー2の内部に除去された固体有機物12Aが存在した痕が空孔4として残存し、爆裂低減部3としての第1の空孔部3Aが形成された第1の固化体1Aが製造される(END)。
第1の固化体1Aを製造する第1の固化体製造手順としては、例えば、ジオポリマー組成物11としての固化材(例えば、メタカオリン、カオリン、高炉スラグ、フライアッシュ、焼却灰など。以下、同様とする。)に、粒径0.01mm以上20mm以下の範囲内に調製された粒状のアクリル樹脂を固体有機物12Aとして添加し、ジオポリマー組成物11としてのアルカリ刺激剤(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸セシウムもしくはケイ酸ルビジウムの単体、またはこれらの少なくとも二つを組み合わせたもの。以下、同様とする。)と水とを加えて混練して混練物を生成する。
固体有機物12Aの添加量は、直径1mm以上の空孔4が含まれる割合(以下、単に「気孔率」とする。)が5%以下であれば固化体1の強度に影響しないという本出願人の知見に基づき、混練物に対して1vol%以上5vol%以下とする。
その後、生成した混練物を、150℃以上250℃以下で加熱し固化して第1の固化体1Aとする。ここで、温度範囲を150℃以上250℃以下としているのは、固体有機物12Aを気化するのに十分であることが見込まれる温度である。また、加熱時間は、水蒸気の発生量などを考慮して十分に固化していると判断される状態を確認するまでの時間としている。
上記条件下で製造される第1の固化体1Aは、何れもジオポリマー2の内部に空孔4を含む第1の空孔部3Aが形成されており、多孔質化したジオポリマー2で固化された第1の固化体1Aを得ることができる。
なお、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびポリエチレンを固体有機物12Aとして添加した場合、およびアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびポリエチレンから2種類以上を選択し固体有機物12Aとして添加した場合にも、アクリル樹脂を固体有機物12Aとして添加した場合と同様に第1の空孔部3Aが形成された第1の固化体1Aを得ることができる。
ここで、粒径0.01mm以上としているのは、粒径0.01mm未満は一般に粉体であり、取扱作業の際にはマスクが必要になるなど粒体と比べて取り扱いがより困難なためである。一方、粒径20mm以下としているのは、第1の固化体1Aの内圧に対する強度を確保するためである。
また、有機溶媒12Bが加えられている第2の添加材入り混合物10Bでは、有機溶媒12Bを気化させて除去する過程で生じる空孔4がジオポリマー2の内部に残存し、爆裂低減部3としての第2の空孔部3Bが形成された第2の固化体1Bが製造される(END)。
第2の固化体1Bを製造する第1の固化体製造手順としては、例えば、ジオポリマー組成物11としての固化材に、エタノールを有機溶媒12Bとして添加し、ジオポリマー組成物11としてのアルカリ刺激剤と水とを加えて混練して混練物を生成する。
有機溶媒12Bの添加量は、液体の場合には空孔が比較的細かく均質に形成されるため、固体有機物12Aよりも多量に加えることができるという本出願人の知見に基づき、混練物に対して1vol%以上25vol%以下とする。
その後、生成した混練物を、150℃以上250℃以下で加熱し固化して第2の固化体1Bとする。
上記条件下で製造される第2の固化体1Bは、何れもジオポリマー2の内部に空孔4を含む第2の空孔部3Bが形成されており、多孔質化したジオポリマー2で固化された第2の固化体1Bを得ることができる。
なお、エタノールの代わりに、メタノール、ヘキサン、シクロヘキサンおよびアセトンを有機溶媒12Bとして添加した場合、およびエタノール、メタノール、ヘキサン、シクロヘキサンおよびアセトンから2種類以上を選択し有機溶媒12Bとして添加した場合にも、エタノールを有機溶媒12Bとして添加した場合と同様に第2の空孔部3Bが形成された第2の固化体1Bを得ることができる。
また、メタカオリンにエタノールを添加し、ケイ酸ナトリウムと水酸化ナトリウムと水とを加えて混練して生成した混練物を150℃以上250℃以下で加熱(以下、「本加熱」とする。)して固化する前に、有機溶媒12Bを事前に気化しても、事前に気化しない場合と同様に、第2の空孔部3Bが形成された第2の固化体1Bを得ることができる。
有機溶媒12Bを気化する手法としては、当該有機溶媒12Bの沸点以上で水の沸点未満の温度範囲で温度を変えて加熱する(以下、「予備加熱」とする。)手法、大気圧未満に減圧する(負圧にする)手法および予備加熱と減圧とを併用する手法の何れの手法の何れでもよい。上記手法の何れを採用しても第2の空孔部3Bが形成された第2の固化体1Bを得ることができる。
なお、減圧時の圧力は、可能な限り低い方が好ましいが、大気圧未満、すなわち負圧であればよい。例えば、0.091メガパスカル[Mpa](=約0.9気圧)であっても最終的には有機溶媒12Bを気化することができ、その後、本加熱の工程を経て第2の空孔部3Bが形成された第2の固化体1Bを得ることができる。
また、メタカオリンなどの固化材にエタノールなどの有機溶媒12Bを添加し、ケイ酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムなどのアルカリ刺激剤と水とを加えて混練して生成した混練物を本加熱する代わりに、予備加熱のみ、すなわち添加した有機溶媒12Bの沸点以上で水の沸点未満の温度範囲で温度を変えて加熱し、本加熱をすることなく有機溶媒12Bの気化し固化した場合においても、予備加熱と本加熱とを併用した場合と同様に第2の空孔部3Bが形成された第2の固化体1Bを得ることができる。
第1の固化体製造手順および第1の固化体製造手順により製造される固化体1A,1Bによれば、固化体1A,1Bを構成するジオポリマー2の内部に爆裂低減部3としての空孔部3A,3Bを形成することができる。空孔部3A,3Bでは、空孔4が内部からの水蒸気の脱離を促進し、内部圧力の上昇を抑制するため、空孔部3A,3Bが形成される固化体1A,1Bは、より曲げ変形が生じにくい固化体となる。
また、第1の固化体製造手順において、添加材12として有機溶媒12Bを用いる場合、有機溶媒12Bの沸点は一般に水の沸点よりも低く、エタノールなどは100℃未満でも気化するため、添加材入り混合物10に含まれる水分が気化して生じる水蒸気が生じる前に気化させることができる。
また、有機溶媒12Bは、減圧操作によっても有機溶媒12Bを気化させることができる。従って、100℃未満の加熱操作(予備加熱)および減圧操作の少なくとも一方を行うことで、有機溶媒12Bを除去することができる。さらに、添加材12として有機溶媒12Bを用いる場合、有機溶媒12Bの沸点よりも高く150℃未満の温度範囲で予備加熱することによって本加熱を省略することができる。
[第2の実施形態]
図5は第2の実施形態に係る固化体製造方法の処理手順の一例である第2の固化体製造手順の流れを示す流れ図(フローチャート)である。
図6は第2の固化体製造手順で固化される添加材入り混合物20(20A〜20C)の組成を模式的に示す模式図であり、図6(A)、図6(B)および図6(C)は、それぞれ、第3〜5の添加材入り混合物20A〜20Cの組成を模式的に示す模式図である。
図7は第2の固化体製造手順で生成される添加材入り混合物20(20A〜20C)を固化して製造される固化体1(1C〜1E)の構造を模式的に示す模式図であり、図7(A)、図7(B)および図7(C)は、それぞれ、第3〜5の固化体1C〜1Eの構造を模式的に示す模式図である。
第2の固化体製造手順は、第1の固化体製造手順に対して、最終的に除去される添加材12の代わりにジオポリマー2の内部に最後まで残存する添加材14を加えている点、すなわち添加材入り混合物10(10A,10B)の代わりに添加材入り混合物20(20A〜20C)を生成し、固化して固化体1(1C〜1E)を製造する点で相違する。そこで、第2の固化体製造手順の説明では、第1の固化体製造手順と相違する点を中心に説明し、重複する説明を省略する。
なお、以降の説明では、添加材14として、複数の空孔が設けられた無機材料で構成される構造体である無機多孔体14A(図6)をさらに加えた添加材入り混合物20を第3の添加材入り混合物20A(図6)と呼称し、無機材料の繊維である無機繊維14B(図6)をさらに加えた添加材入り混合物20を第4の添加材入り混合物20Bと呼称し、無機多孔体14Aおよび無機繊維14Bをさらに加えた添加材入り混合物20を第5の添加材入り混合物20Cと呼称する。
また、第3の添加材入り混合物20A、第4の添加材入り混合物20Bおよび第5の添加材入り混合物20Cを固化した固化体1を、それぞれ、第3の固化体1C、第4の固化体1Dおよび第5の固化体1Eと呼称する。
第2の固化体製造手順は、まず、ジオポリマー組成物11(図6)に放射性廃棄物を混合し、さらに添加材14(図6)をさらに加えた添加材入り混合物20(図6)を生成する(ステップS3)。
添加材入り混合物20を生成したら、続いて、添加材入り混合物20に、混練水を加えて混練した後、添加材入り混合物20に内在する添加材14を内部に留めたまま添加材入り混合物20を硬化させ、ジオポリマー2(図7)の内部に添加材14を残存した状態で添加材入り混合物20を固化する(ステップS4)。
すると、添加材14として無機多孔体14Aが加えられている第3の添加材入り混合物20Aでは、ジオポリマー2の内部に無機多孔体14Aが残存したまま固化し、ジオポリマー2の内部に爆裂低減部3として、無機多孔体14Aに設けられる複数の空孔を含む第3の空孔部3Cが形成された第3の固化体1Cが製造される(END)。
ここで、加えられる無機多孔体14Aとしては、例えば、アルミナ(Al)、ゼオライト、沸石、レンガおよびシャモットなどから選択される少なくとも1種類の無機材料の多孔体が挙げられる。
第3の固化体1Cを製造する第2の固化体製造手順としては、例えば、ジオポリマー組成物11としての固化材に、粒径0.01mm以上20mm以下の範囲内のサイズに調製されたシャモットを無機多孔体14Aとして添加し、ジオポリマー組成物11としてのアルカリ刺激剤と水とを加えて混練して混練物を生成する。
無機多孔体14Aの添加量は、無機多孔体14A自体が除去されて空孔化する訳ではなく、固体の無機多孔体14A自身がジオポリマー2の内部に留まって第3の空孔部3Cを形成することから固体有機物12Aなどを気化して第1の空孔部3Aなどを形成する場合よりも多量に加えることができるという本出願人の知見に基づき、混練物に対して1vol%以上25vol%以下とする。
その後、第1の実施形態と同様に、生成した混練物を150℃以上250℃以下で加熱し固化して第3の固化体1Cとする。
上記条件下で製造した第3の固化体1Cは、何れもジオポリマー2の内部に無機多孔体14Aが残存したまま固化し、無機多孔体14Aに設けられる複数の空孔を含む第3の空孔部3Cが形成されており、多孔質化したジオポリマー2で固化された第3の固化体1Cを得ることができる。
なお、アルミナ、ゼオライト、沸石およびレンガを無機多孔体14Aとして添加した場合、およびアルミナ、ゼオライト、沸石、レンガおよびシャモットから2種類以上を選択し無機多孔体14Aとして添加した場合にも、シャモットを無機多孔体14Aとして添加した場合と同様に第3の空孔部3Cが形成された第3の固化体1Cを得ることができる。
上述した第3の固化体1Cを製造するための第2の固化体製造手順および当該固化体製造手順により製造される第3の固化体1Cでは、ジオポリマー2の内部に無機多孔体14Aが残存したまま固化し、無機多孔体14Aに設けられる複数の空孔を含む第3の空孔部3Cが爆裂低減部3として形成されるので、第3の空孔部3Cが内部からの水蒸気の脱離を促進し、内部圧力の上昇を抑制することができる。
換言すれば、無機多孔体14Aに設けられる複数の空孔は、ジオポリマー2の内部に水蒸気が通気する経路となるため、無機多孔体14Aはジオポリマー2の内部に水蒸気が通る孔(経路)を供給している。従って、上述した第3の固化体1Cを製造するための第2の固化体製造手順によれば、第3の空孔部3Cを介して内部からの水蒸気の脱離が促進され、より曲げ変形が生じにくく爆裂が生じにくい第3の固化体1Cを製造することができる。
また、無機繊維14Bが加えられている第4の添加材入り混合物20Bでは、ジオポリマー2の内部に無機繊維14Bが残存したまま固化し、ジオポリマー2の内部に爆裂低減部3として、無機繊維14Bを含む無機繊維部3Dが形成された第4の固化体1Dが製造される(END)。
ここで、加えられる無機繊維14Bとしては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナとシリカ(SiO)を主成分とした人造鉱物繊維であるセラミック繊維、岩石繊維および金属繊維から選択される少なくとも1種類が挙げられる。
第4の固化体1Dを製造する第2の固化体製造手順としては、例えば、ジオポリマー組成物11としての固化材に、長さ0.01mm以上20mm以下で長さに調製されたガラス繊維を無機繊維14Bとして添加し、ジオポリマー組成物11としてのアルカリ刺激剤と水とを加えて混練して混練物を生成する。
無機繊維14Bの添加量は、混練物に対して1vol%程度の無機繊維14Bを加えれば曲げ靱性の向上が見込まれるという本出願人の知見に基づき、混練物に対して1vol%以上5vol%以下としている。
その後、生成した混練物を、150℃以上250℃以下で加熱し固化して第4の固化体1Dとする。
上記条件下で製造される第4の固化体1Dは、何れもジオポリマー2の内部に無機繊維14Bとしてのガラス繊維を含む無機繊維部3Dが形成されており、無機繊維14Bとしてのガラス繊維によって曲げ靱性が高められたジオポリマー2で固化された第4の固化体1Dを得ることができる。
ここで、無機繊維14Bの長さを0.01mm以上としているのは、長さ0.01mm未満では無機繊維14Bの一片のサイズが粉体と同程度となるため、取扱作業の際にはマスクが必要になるなど粒体と比べて取り扱いがより困難なためである。一方、長さを20mm以下としているのは、これ以上長い場合、無機繊維14B同士が絡みやすくなって機械を使用しての混練が困難となる一方で強度への影響はほとんど変わらなくなるためである。
なお、炭素繊維、セラミック繊維、岩石繊維および金属繊維を無機繊維14Bとして添加した場合、およびガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、岩石繊維および金属繊維から2種類以上を選択し無機繊維14Bとして添加した場合にも、ガラス繊維を無機繊維14Bとして添加した場合と同様に無機繊維部3Dが形成された第4の固化体1Dを得ることができる。
上述した第4の固化体1Dを製造するための第2の固化体製造手順および当該固化体製造手順により製造される第4の固化体1Dでは、ジオポリマー2の内部に無機繊維14Bが残存したまま固化し、無機繊維14Bを含む無機繊維部3Dが爆裂低減部3として形成されるので、加熱時に無機繊維14Bが曲げ靱性が高まり、より高い内部圧力が加わった場合にも曲げ変形が生じにくい構造とすることができる。
従って、上述した第4の固化体1Dを製造するための第2の固化体製造手順によれば、より曲げ変形が生じにくく爆裂が生じにくい第4の固化体1Dを製造することができる。また、第4の固化体1Dの曲げ靱性が高まることで、固化体製造時における処理温度をさらに上げることできるので、さらに水分の脱離を促進した第4の固化体1Dを製造することができる。
さらに、無機多孔体14Aおよび無機繊維14Bが加えられている第5の添加材入り混合物20Cでは、ジオポリマー2の内部に無機多孔体14Aおよび無機繊維14Bが残存したまま固化し、ジオポリマー2の内部に爆裂低減部3として、第3の空孔部3Cと無機繊維部3Dとが併存する構造部、すなわち多孔質な無機繊維部(以下、「多孔無機繊維部」とする。)3Eが形成された第5の固化体1Eが製造される(END)。
第5の固化体1Eを製造する第2の固化体製造手順としては、例えば、ジオポリマー組成物11としての固化材に、粒径0.01mm以上20mm以下の範囲内に調製された粒状のシャモットを無機多孔体14Aとして添加するとともに、長さ0.01mm以上20mm以下の範囲内の長さに調製されたガラス繊維を無機繊維14Bとして添加し、ジオポリマー組成物11としてのアルカリ刺激剤と水とを加えて混練して混練物を生成する。
ここでは、一例として、上述した第3の固化体1Cを製造するために加えている無機多孔体14Aの添加量および第4の固化体1Dを製造するために加えている無機繊維14Bの添加量の範囲内から選択した添加量とし、具体的には、無機多孔体14Aの添加量は混練物に対して10vol%とし、無機繊維14Bの添加量は混練物に対して1vol%としている。
その後、生成した混練物を、150℃以上250℃以下で温度条件を変えて加熱し固化して第5の固化体1Eとする。
上記条件下で製造される第5の固化体1Eは、何れもジオポリマー2の内部に無機多孔体14Aおよび無機繊維14Bが残存したまま固化し、ジオポリマー2の内部に爆裂低減部3として、多孔無機繊維部3Eが形成されており、多孔質化したジオポリマー2で固化された第5の固化体1Eを得ることができる。
上述した第5の固化体1Eを製造するための第2の固化体製造手順および当該固化体製造手順により製造される第5の固化体1Eでは、ジオポリマー2の内部に無機多孔体14Aおよび無機繊維14Bが残存したまま固化し、多孔無機繊維部3Eが爆裂低減部3として形成されるので、無機多孔体14Aに設けられる複数の空孔を含む多孔無機繊維部3Eが内部からの水蒸気の脱離を促進して内部圧力の上昇を抑制するとともに、多孔無機繊維部3Eに含まれる無機繊維14Bが曲げ靱性を高めるので、より高い内部圧力が加わった場合にも曲げ変形が生じにくい構造とすることができる。
このように、第2の固化体製造手順および第2の固化体製造手順により製造される第3の固化体1Cおよび第5の固化体1Eによれば、第3の固化体1Cおよび第5の固化体1Eを構成するジオポリマー2の内部に爆裂低減部3としての第3の空孔部3Cおよび第3の空孔部3Cに相当する構造を有する多孔無機繊維部3Eを形成することができる。
第3の空孔部3Cおよび多孔無機繊維部3Eでは、ジオポリマー2の内部に残存する無機多孔体14Aが内部からの水蒸気の脱離を促進し、内部圧力の上昇を抑制するため、より曲げ変形が生じにくく爆裂が生じにくい固化体とすることができる。
また、第2の固化体製造手順および第2の固化体製造手順により製造される第4の固化体1Dおよび第5の固化体1Eによれば、第4の固化体1Dおよび第5の固化体1Eを構成するジオポリマー2の内部に無機繊維14Bを含む無機繊維部3Dおよび多孔無機繊維部3Eが爆裂低減部3として形成されるので、加熱時に無機繊維14Bが曲げ靱性が高まり、より高い内部圧力が加わった場合にも曲げ変形が生じにくい固化体とすることができる。
さらに、第2の固化体製造手順および第2の固化体製造手順により製造される第5の固化体1Eによれば、無機多孔体14Aに設けられる複数の空孔を含む多孔無機繊維部3Eが内部からの水蒸気の脱離を促進して内部圧力の上昇を抑制するとともに、多孔無機繊維部3Eに含まれる無機繊維14Bが曲げ靱性を高めるので、より高い内部圧力が加わった場合にも曲げ変形が生じにくい構造とすることができる。
以上、上述した放射性廃棄物の固化体製造方法を適用すれば、添加材12および添加材14の少なくとも一方が加えられていない場合に固化して製造される固化体のジオポリマー2の内部には形成されない爆裂低減部3(3A〜3F)をジオポリマー2の内部に形成することができ、ジオポリマー2の内部に爆裂低減部3が形成されない固化体に対して、より曲げ変形が生じにくい構造となるため、より爆裂しにくい放射性廃棄物の固化体1(1A〜1F)を製造することができる。
より詳細には、第1〜第3の固化体1A〜1Cは、爆裂低減部3として、第1〜第3の空孔部3A〜3Cがジオポリマー2の内部に形成されるので、第1〜第3の空孔部3A〜3Cが内部からの水蒸気の脱離を促進し、内部圧力の上昇を抑制することができる。従って、第1〜第3の固化体1A〜1Cを、より曲げ変形が生じにくく爆裂が生じにくい構造とすることができる。
また、第4の固化体1Dは、爆裂低減部3として、無機繊維部3Dがジオポリマー2の内部に形成されるので、無機繊維部3Dが第4の固化体1Dの曲げ靱性を向上し、より高い内部圧力が加わっても曲げ変形が生じにくい構造とすることができる。従って、第4の固化体1Dを、より曲げ変形が生じにくく爆裂が生じにくい構造とすることができる。
さらに、第5の固化体1Eは、爆裂低減部3として、多孔無機繊維部3Eがジオポリマー2の内部に形成されるので、多孔無機繊維部3Eが内部からの水蒸気の脱離を促進するとともに第5の固化体1Eの曲げ靱性を向上するため、第5の固化体1Eをより曲げ変形が生じにくく爆裂が生じにくい構造とすることができる。
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、上述した実施例以外にも様々な形態で実施することができる。例えば、上述した第1の固化体製造手順および第2の固化体製造手順は、それぞれ単独な場合の他、組み合わせても適用することもできる。すなわち、ジオポリマー組成物11(図8)に放射性廃棄物を混合し、さらに添加材12(図8)と添加材14(図8)とを加えて固化して固化体1(図8)を製造してもよい。
図8は本実施形態に係る放射性廃棄物の固化体製造方法の変形例および当該変形例に係る固化体製造方法で製造される固化体1を説明する説明図であり、図8(A)は固化前の添加材12および添加材14が加えられた混合物(以下、「第6の添加材入り混合物」)30の状態を模式的に示す模式図、図8(B)は第6の添加材入り混合物30を固化して得られる固化体(以下、「第6の固化体」)1Fの構造を模式的に示す模式図である。
例えば、図8に示されるように、添加材12および添加材14の両方を加えて第6の添加材入り混合物30を生成し、添加材12は気化して第6の添加材入り混合物30から除去する一方、添加材14はジオポリマー2の内部に留めて残存させた第6の固化体1Fを製造してもよい。
第6の固化体1Fは、第5の固化体1Eと同様に、内部からの水蒸気の脱離を促進する空孔部と曲げ靱性を向上させる無機繊維部とが爆裂低減部3として形成される、すなわち多孔質な無機繊維部である多孔無機繊維部3Fが形成されるので、曲げ変形が生じにくい、ひいては爆裂しにくい多孔無機繊維部3Fが形成された第6の固化体1Fを製造することができる。
また、ジオポリマー2の内部に空孔を形成する、すなわち多孔質化する例として、固体有機物12Aや有機溶媒12Bを加えて気化したり、無機多孔体14Aをジオポリマー2の内部に留めたまま固化する例を説明したが、ジオポリマー2の内部を多孔質化できるのであれば、固体有機物12Aや有機溶媒12B以外の物質を適用して行ってもよい。例えば、ジオポリマー2の内部に気泡を発生させる発泡剤を加えることでも、ジオポリマー2の内部に空孔を形成することができる。
ジオポリマー2の内部を多孔質化する添加材として発泡剤を加える場合、ジオポリマー2の内部に気泡を発生させ、発生した気泡が存在していた痕をジオポリマーの内部に空孔として残存させることができる。発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、アゾジカルボン酸アミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、界面活性剤から選択される少なくとも1種類から選択することができる。
また、本発明は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1(1A〜1F) 固化体
2 ジオポリマー
3 爆裂低減部
3A〜3C 第1〜第3の空孔部
3D 無機繊維部
3E,3F 多孔無機繊維部
4 空孔
10(10A〜10B) 添加材入り混合物
12 添加材
12A 固体有機物
12B 有機溶媒
20(20A〜20C) 添加材入り混合物
14 添加材
14A 無機多孔体
14B 無機繊維
30 添加材入り混合物

Claims (3)

  1. ジオポリマーの組成物に放射性廃棄物を混合した混合物を固化させることで、前記ジオポリマーによって固化された前記放射性廃棄物の固化体を製造する方法であって、
    粒径が0.01mm以上20mm以下の粒状体の固形有機物を含有する添加剤と前記ジオポリマーと前記放射性廃棄物とを混合し添加材入り混合物を生成する工程と、
    前記添加材入り混合物を150℃以上250℃以下で加熱する工程と、を具備し
    前記固形有機物は、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびポリエチレンから選択される1種類の熱可塑性樹脂であることを特徴とする放射性廃棄物の固化体製造方法。
  2. ジオポリマーの組成物に放射性廃棄物を混合した混合物を固化させることで、前記ジオポリマーによって固化された前記放射性廃棄物の固化体を製造する方法であって、
    有機溶媒を含有する添加剤と前記ジオポリマーと前記放射性廃棄物とを混合し添加材入り混合物を生成する工程と、を備え、
    前記添加材入り混合物を100℃以下で加熱する工程および前記添加材入り混合物を減圧する工程のうち少なくとも一方の工程、を具備することを特徴とする放射性廃棄物の固化体製造方法。
  3. 前記有機溶媒は、エチルアルコール、メチルアルコール、ヘキサン、シクロヘキサンおよびアセトンから選択される少なくとも1種類である請求項2に記載の放射性廃棄物の固化体製造方法。
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